『ブレグジット、思わぬ好機? うまみ増すロンドン和食 欧州総局長 大林尚』(9/26日経朝刊)について

EUの規制はおかしい部分が沢山あるのでは。健康を害さない基準値内であれば良いと思いますが、基準値がなく一律にダメということでしょうか?非関税障壁のようにも思えます。それでも日本人の凄さは規制をクリアするように技術開発してしまう所でしょう。

ビールの原材料や製造国などの説明書きを10ケ国表示したラベルが必要とのこと、そんなにラベルにスペースが取れるのかどうかですが、字を思い切り小さくして表示するのでしょう。英語と原産国語の2ケ国語表示で良いと思いますが、国の面子があるのでしょうか。

ブレグジットで£が安くなり、英国からEUへの輸出価格もそれにより、相殺されるという見立てもあります。確かに英国での商売でもEU基準適合商品として売り込めば良いかもしれませんし、日本の地域限定商品のように英国向け商品を開発する手もあるでしょう。

本記事にありますように、フュージョン料理の店は和食のブランド価値を下げるものです。淘汰されていってほしいと願っています。あれだけ反日を唱える中国人・韓国人が儲かるとなると日本の名前を使うのは止めてほしいと思っています。節操のない連中です。でも英国人も本物の和食とフュージョン料理の違いが分かってきたとのこと、喜ばしい限りです。

英国とは食だけでなく、安全保障面でも連携できれば良いと考えています。第二次日英同盟です。米国の力が翳り、トランプのように内向きの人間が大統領になるかも知れず、中国の力に対抗するには、米英同盟を結んでいる英国とも同盟を結んだ方が良いと思っています。幸い、パンダハガーのオズボーンやオニール財務次官も辞任したメイ内閣ですから。

http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM23H71_T20C16A9FF1000/

記事

東京・築地に本店を置くかつお節の老舗、和田久の3代目社長・和田祐幸さんは10年あまり前、パリのしゃれた和食店へ入ったのが一念発起するきっかけになった。満を持して注文した吸い物を一口すすったとき、うま味を感じなかった。

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調べてみると、欧州連合(EU)の行政機関である欧州委員会が日本産かつお節の域内への持ち込みを禁じていた。薪(まき)でカツオをいぶすときにできる焦げ目が発がん性物質のひとつベンゾピレンを含むというのが根拠だった。

もちろんその量は人の健康を害するほどではない。だが規制は規制。試行錯誤を経て、EU基準を満たすかつお節の出荷を2010年にロンドンで始めた。ところがその翌年、欧州委はさらに規制を強めた。和田さんは創意工夫を重ね、ベンゾピレンを含まない製法を3年前に編み出した。

薪を使わず木片でいぶすやり方だ。昨年春、大西洋に面するスペインの港町ヴィーゴにほど近い缶詰工場に間借りし、新しい製法で生産を始めた。今年からはより広い加工工場を稼働させた。かつお節は和食の基礎。いまやスペイン産は欧州に暮らす日本人家庭だけでなく、和食店の料理長に広く重宝されている。

ここにきてロンドンで和食ビジネスに携わる人の口の端に上り始めたのが、英国のEU離脱(BREXIT=ブレグジット)は好機ではないかという見方だ。日本からみると、たしかにEUの食品規制は過剰感がぬぐえない。

まず日本の乳製品を輸出できない。乳成分を含む多くの加工食品は、はじかれる。香料は欧州委が指定したものだけしか使えない。だから日本のビール会社が得意とする、本物に引けを取らないノンアルコールビールが飲めない。残留農薬の基準も同様だ。欧州委の指定外農薬を使った日本茶は、味わえない。

規制に触れる食品は最悪の場合、通関前に輸出国へ送り返される。その輸送費は業者もちだ。賞味期限を考えると返送後は廃棄処分ということがままある。

成分規制だけではない。ビールの場合、原材料や製造国などの説明書きを10カ国語で表示しなければならない。「ラベルは自社ではつくれない。専門業者に依頼しており、コストが上がる要因になっている」(英国に進出したビール会社)

数々の規制のくびきから仮に英国が解放されたら長年の努力が水泡に帰すのではと、和田さんに水を向けてみた。答えは「逆手にとってEU品質を売りに攻勢に出ます」。かつお節のグローバル化に粉骨砕身した自負がにじむ。

一般に、伝統的な英国料理はうま味が乏しい。出汁(だし)に凝縮されたうま味を味わう食文化が根づいてこなかったようにも思える。もっとも、この10年ほどの間にロンドンに広がった和食人気をみると、英国人の味覚は少しずつ豊かになってきた感がある。

昨年、日本大使館は英国人向けにうま味セミナーを開き、京都の3つ星料亭、菊乃井の村田吉弘主人がさまざまな効用を語った。「塩分を控えめにしても食事の味わいを損なわない」。それでも、うま味が必要な理由を質問した女性がいたが、健康で安全性が高いという和食文化へのイメージは浸透し、定着しつつある。

ロンドンの和食店は3種に大別できる。第一は、世界から集まる資産家に照準を合わせた客単価が数百ポンド(1ポンド=130円強)の高級店。すし、懐石料理、鉄板焼きなどだ。英国人よりもアラブ系や中国人、ロシア人を上得意にしている。

第二は、客単価が数十ポンドの中級店。典型はラーメンだ。ひと昔前、ロンドンでラーメンといえば伸びた麺と出汁が利いていない冷めたスープが定番だったが、この数年間に店舗網を広げた豚骨ラーメンチェーンの味わいは日本に引けを取らない。店内では日本酒を頼み、箸を器用に使う若い人を見かける。日本のラーメン屋と異なり流行の先端をゆく食べ物は、すしと並ぶ和食の代名詞だ。

第三は、中国や韓国風の味つけが施されたフュージョン(無国籍料理)店。料理人はたいてい日本人以外だ。最近は「現地の人も本物の和食とフュージョン和食の違いが分かる」(レストラン運営コンサルタントの小池道隆氏)。

話を食品規制に戻そう。今月半ば、EUはスロバキアの首都ブラチスラバで英国を除く27カ国の非公式首脳会合を開いた。トゥスクEU大統領は記者会見で英国との離脱交渉は来年1~2月に始まるだろうと語った。離脱手続きを定めたリスボン条約50条は、交渉期間を原則2年と規定する。ただし当事国を除くすべての加盟国が同意すれば、期間は延ばせる。

こまごましたEU規制を離脱後の英国がどう扱うかを展望すると「2年で交渉がまとまるとは考えにくい」と英外交官はみる。

国民投票のキャンペーン中、離脱派はEUの官僚統制をはねのけ、英国に主権を取り戻そうと説いた。与党保守党内に少なからずいる主権回復論者が意識したかどうかはともかく、時間をかけてでも科学的根拠が乏しく健康被害と関係がない食品規制から自由になる利は、小さくなかろう。

うま味をふんだんに味わう環境は、英国人の食文化に変革をもたらす。和食ビジネスのうまみも増す。

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