6/10日経ビジネスオンライン 奥山真司『中国がかわしたい米国の“海峡封鎖” 大国の世界展開は「内海」の確保に始まる』記事について

日高義樹氏の『中国敗れたり』によると①米海軍は中国の知らない内に、中国を海上封鎖できるキャプター型機雷を近海に敷設するのは可能とのこと。特殊原潜で敷設は気づかれないそうです。衛星で操作することなく必要時点で浮き上がってきて艦船(軍事用、民間船を問わず)を撃沈。海底に長期間敷設可能とのこと。これをやれば、中国経済は崩壊間違いなしです。もう既にやっている可能性もありますが。②A2/AD戦略を中国はプロパガンダしていますが、中国の空母キラーと言われるクルージングミサイルDF-21D(中国名:東風-21D)はマッハ5~6で非常に遅い(普通の大陸間弾道弾のスピードはマッハ20~30)し、破壊力もハープーン程度(?)で大したことがないとのこと。米空母は最大30数ノット(50数Km/h)で走り、ミサイルが飛んでくる間に位置を変えれるし、中国側のレーダーを攪乱してDF-21Dの飛行を妨害できるとのこと。これによりエアシ-バトル戦略を採らなくても中国軍はなす術がなくなります。

問題は能力でなくて意思の問題です。オバマが宥和政策を取れば(民主党と言うのは日米とも碌でもない政党です。中国から多分オバマは献金を受けているでしょう。ヒラリーがそうであったように。なにせ大統領選時、投票者登録をごまかして大統領になったと言われている史上最低の米大統領です)中国はつけあがり、ドンドン侵略して行って既成事実化を図るでしょう。内蒙古、チベット、ウイグルのように。米軍は中国の主張する12海里に艦船を通過させるべきです。中国の主張は国際法違反、何の強制力も持たないことを世界に知らしめるべきです。

日本は相変わらず民主党や共産党が国際環境の変化を考えない議論をしています。このままいけば日本の独立も危うくなります。女でミソを付けた山崎拓がしゃしゃり出て来て集団的自衛権にイチャモンつけていました。中国でハニートラップに遭い、今回も中国から言わされているのでしょう。裏に古賀や野中、加藤、河野辺りが蠢いているのかも知れません。野党が充分な議論が足りないというなら通年国会にすべき。国民はもっと怒るべきです。民間企業でそんなに休むことはできないでしょう。選挙対策でなく、議員本来の仕事である国会で法案作成に専念すべき。Lawmakerの名が泣くでしょう。中国と比較すればアメリカの方がずっとマシです。日米同盟が基軸で多国間で中国を封じ込めるべきです。中国に有利な発言をする政治家やメデイアの人間は裏に何かあると見た方が正解です。

記事

 マッキンダーが提唱した言葉に「内陸海」がある。英語では「ミッドランド・オーシャン」(Midland Ocean)。大西洋を囲む自由主義陣営の国々がソ連(ロシア)に対抗するイメージを表すために使ったものだ。マッキンダーの死後、この概念は北大西洋条約機構(NATO)として結実した。

 地政学ではこのように、ある海を囲む、つまり「内海化」する国家や同盟国が、シーパワー国家としての土台を獲得し、世界展開を目指す傾向があると見なすことが多い。古代に栄華を誇ったローマ帝国は地中海を内海化した。英国も地中海と大西洋を内海化したことがある。

 オスマン・トルコも地中海と黒海を囲い込んだ。ソ連は黒海やバルト海、それにオホーツク海を内海化した。そして日本も「大国」であった戦前は、日本海と東シナ海を内海化していた。

カリブ海の内海化から米国の世界展開が始まった

 では米国の場合はどうなるか。現在は上記のように大西洋をはじめ、世界のほとんどの海を「内海化」している。とりわけ世界展開を始めた時期に最初に内海化したのが、自国のすぐ南側にあるカリブ海であったことが重要だ。

 当時のカリブ海は、砂糖の原産地や奴隷貿易の拠点として、英国をはじめとする欧州の列強たちが関与していた場所であった。これに対して米国は1823年にモンロー大統領が提唱した、いわゆる「モンロー・ ドクトリン」に従って、西欧の列強を西半球(南北アメリカ)から排除する方針を取り始めた。

 当初は、カリブ海最大の勢力であった英国(1833 年に奴隷制を禁止)と協力する形で奴隷貿易を取り締まる警戒活動などを行っていた。だが、1899年の米西戦争でスペインを排除し、20世紀前半に英国がこの海域から撤退すると、米国政府は彼らがこの海域に二度と復帰してこられないように様々な手段をとっている。

 その後、第一次世界大戦の時期に、米海軍がこの海域での覇権を握った。このため、カリブ海全域が「アメリカの地中海」(American Mediterranean)と呼ばれるようになった。

 つまり、米国が本格的に世界展開を始めるきっかけとして、自国周辺の海域の「内海化」があったと言えるのだ。

南シナ海を巡る米中の攻防

 このアナロジーをそのまま中国にあてはめて考えると、興味深いことが分かる。「アメリカの地中海」に相当するのは、スパイクマンが「アジアの地中海」(Asiatic Mediterranean)と呼んだ、南シナ海を含む海域だ。

 ご存知のように、中国は現在、南シナ海の領海化を必死に進めている。その証拠に、南沙諸島周辺で7カ所の岩礁を埋め立てていることが最近確認されており、フィアリー岩礁をはじめとする少なくとも3カ所の海域で、ジャンボ機も発着可能な3000メートル級の滑走路を建造中であると報じられている。

 これはまさにスパイクマンが予測した、「アジアの地中海」において中国が覇権を確立するための第一歩と言えるものだ。もしこの「内海化」が実現すれば、中国はユーラシア大陸のリムランドの南部の海域と空域をコントロールする力を持つことになる。

 もちろんこれが実現するかは未知数だ。少なくとも現時点の米国は、この「アジアの地中海」から手を引く意志はないように思える。そうなると、この海域を巡る米中の権益の衝突は当面続くことが予測される。ただし19世紀末までカリブ海を抑えていた英国が、20世紀初頭にアメリカに覇権を譲り渡して撤退した事実は気になるところだ。アメリカも「その時」が来れば撤退する可能性もある。

海上交通路とチョークポイント

 このような「内海化」のもう一つの側面として重要になるのが、海上交通路(SLOCs:スロックスと読む)とチョークポイント(choke points)の確保である。

 英国がシーパワーとして世界の海を管理できたのは、この海上交通路やチョークポイントにおいて覇権を握っていたことが大きい。日本も日露戦争でこの恩恵を受けた。ロシアのバルチック艦隊が日本に向かうのを、スエズ運河のようなチョークポイントや海上交通路で英国が妨害をしてくれたおかげで、日本海海戦(1905年)に快勝することができた。

 米国も同様に、海上交通路やチョークポイントの確保に熱心だ。前述した米西戦争が起きた原因の一端は、カリブ海の海上交通路の確保にあった。米国は1914年、フランスが着工していた工事を譲り受けて、チョークポイントの典型であるパナマ運河を完成させている(ちなみにマハンはこの年に亡くなった)。

 後に2つの世界大戦に参戦した米国は、まさに英国の海上交通路とチョークポイントを引き継ぐことで世界覇権を握ったことを忘れてはならない。

 現在の主な海上交通路とチョークポイントは、米国が管理しており、それには当然ながらこの南シナ海も含まれる。ヒラリー・クリントン前国務長官が2010年のASEAN地域会合で「米国は航行の自由を守る」と宣言したのは、世界最大のシーパワー国家として、海上交通路(とチョークポイント)の覇権を確保する覚悟の表れであったと言える。

中国が抱えるマラッカ・ジレンマ

 他方、中国にとっての海上交通路とチョークポイントに関係してくる問題を考えると、彼らにとっての最大の懸念として挙げられるのは「マラッカ・ジレンマ」である。

 このジレンマとは、中国が経済的に発展して国力が高まると、米国(とシンガポール)に対する脆弱性が高まってしまうというものだ。経済発展するとエネルギーの需要が高まり、中東からの石油の輸入に頼らざるを得なくなる。その際の海上交通路のチョークポイントは、マラッカ海峡(中国が輸入する原油の80%がここを通過)だ。したがって同海峡を管理する米国(とシンガポール)との関係が重要になる。

 当然ながら中国には、このジレンマを解消しようという動機が働く。その解決策として北京は現在、3つの計画を進めていると言われている。

 第1がパキスタンのグワダル港と新疆ウイグル自治区のウルムチまで、パイプラインを結ぶ計画だ。グワダル港はイランとの国境のすぐ東にある。インド洋に向かって開けている砂漠の南端にある良港だ。最近の「一帯一路」につながる「中パ経済回廊」というスローガンの下で、中国政府がすでに大規模な投資を行っている。今後さらに深海港化――大型の船を着岸できるようにするため浚渫(しゅんせつ)工事を行う――や港湾施設の拡充を行う方針をパキスタン政府と決定している。

 ただし、プロジェクト全体の実現性が疑問視されている面もある。グワダル港周辺に住む民族(バルチ人)は、パキスタンの首都イスラマバード周辺に住む民族(パンジャブ人)と対立関係にあって、分離独立の機運もある。もし中国のパイプラインがグワダルまで延長されれば、イスラマバードに対抗するために「パイプラインを破壊し、中国人労働者を殺害する」と明言する独立運動側のリーダーもいる。また、北から吹く風が砂漠から運んでくる大量の砂によって港が埋まってしまう問題も抱えている。

 第2がミャンマーへのパイプラインだ。これは中国南部の昆明からチャウッピュー港まですでに伸びていて、今年の2月の時点で完成していると言われている(原油の輸送を開始しているかどうかは不明)。

 これはまさに戦前の「援蒋ルート」の再現だ。連合軍側が戦時中に、中国内の日本軍に対抗すべく整えた物資補給路が、現代において、マラッカ海峡をバイパスするための中国自身のための原油ルートとして復活したことになる。だが、北京政府が同時に敷設する予定だった鉄道のほうは、地元住民の反対などもあって中止している模様だ。

 第3が「クラ運河」――マラッカ海峡をバイパスする形で、マレー半島を横断して太平洋 (タイ湾)とインド洋(アンダマン海)の間の44キロを結ぶ――の建設である。つい先日、中国とタイの企業が計画を発表したが、こちらも、その実現性に疑問符がついている。報道が錯綜しており、タイ政府側はこの計画の存在自体を否定したという情報もある。

 いずれにせよ、中国側はマラッカ海峡という自らが権限をもたないチョークポイントを回避するため、新たな陸上ルートを開発する計画を次々に打ち出そうとしている。

米国が握る太平洋覇権に中国が挑戦

 マハンの頃から、まるで「太平洋を握るものは世界を制する」とでも言うべき現象が国際政治の場に現れている。第二次世界大戦では、この海域の覇権を巡って日米が激突した。日本の敗戦後は、米国がここの覇権を握った状態が続いている。言い換えれば、1945年以降、米国は太平洋を「内海化」しているのだ。

 ところが2000年代に入ってから、中国がこの覇権に異を唱え始めた。2006年にキーティング米太平洋艦隊司令官(当時)に対して中国海軍の司令官が「太平洋を2分割しよう」と提案したという逸話がある。

 習近平国家主席が2013年夏の米中首脳会談以来、「新型の大国関係」を唱え始めている。「G2論」の派生版だ。この頃から「広い太平洋には米中両大国を受け入れる十分な空間がある」というフレーズを使い始めた。つい最近も北京で米国のケリー国務長官に対して同様の言葉を発している。

 つまり中国は、太平洋において米国が覇権を握っている状態をよしとしていない。そこに国力に見合った自分たちの影響圏を確保し、覇権とは言わないまでも、米国と太平洋を分割し、できれば共存したいという意図を持っていると解釈できる。

 かつては、「米中は太平洋において共存できる」という楽観論も持ち上がった。米ボストン・カレッジ大学のロバート・ロス教授は、1999年に書いた論文の中で、このように主張した(ロス教授は後に考えを修正)。しかし、現在の南シナ海の状態を見て、米中が共存関係に向かっていると楽観的に判断する人々はすっかり減ってしまった。現状変更を積極的に進めようという中国の意図があまりにも明白に見えているからだ。

 いずれにせよ、「一帯一路」という広大なビジョンからも分かるように、中国が日本よりも大きなスケール、つまり「システム」レベルで国家戦略を地政学的に考えている点は、どうにも否定できない事実である。

米中に翻弄される日本

 米中という2つの「大国」は競争しながらも共存できるのかもしれない。だが、これまでの人類の歴史を見れば、この2国の間で戦争を含む大なり小なりの紛争が起こる可能性を否定することはできない。

 そして、東アジアという「サブシステム」の一角を占める日本は、今後もこの2国の関係に翻弄されることになる。

 このような中で、日本が考えるべきは、米中の覇権戦争に巻き込まれることなく、いかに相対的にパワーポジションを維持もしくは向上させるかだ。日本のリーダーたちには、日本をずる賢く立ちまわらせる知恵が必要になってくると言えよう。