6/3日経ビジネスオンライン 高濱賛『慰安婦は棚上げ、焦点は北朝鮮に 迫る米韓首脳会談』記事について

朴大統領がアメリカでどういうことを言うか見ものです。告げ口外交を封じられたら言うことがあるのかどうか。父親と違い軍事センスがあるとは思えません。ですから北のSLBM発射実験成功(真偽不明)のニュースを聞いても動じないというか、リスクという感覚がないのでしょう。それは「慰安婦」で日本を叩いていればいいというレベルの話ではなく、戦争が起きるかもしれないということですから。何せ北の若殿は何をするか分かりませんので。自暴自棄にかられ戦争を始めるかもしれません。やるなら朝鮮半島だけでやってほしい。“civil war”ではないですか。

普通の感覚であればTHHADを配備せねばとなるのでしょうが、中国の反対に遭い、米中に良い顔をしようとするので無理が出ます。二股外交、蝙蝠外交の限界です。事大主義で結局外国の介入というかいろんな国につこうとして失敗、結局日本に統合された歴史があるのに。まあ、漢字をいとも簡単に捨てる国ですから、「歴史」を知るはずもない。それで都合よく「歴史」を改竄・捏造するのでしょう。

中国は北をソ連時代の東欧のように西側との緩衝地域のまま残したいと思っているでしょう。直接国境を接すると警護の義務が生じるので。そうでなければとっくに北は中国に呑み込まれていたハズ。南も中国領にしてしまえば、日本とは間に日本海がありますので可能かも知れませんが。中国の東北三省には朝鮮族が多く住んでいます。北の政権が安定していることを中国は望んでいるので、本音で言えば言うことを聞かない金正恩を外し正男に首を挿げ替えたいと思っているのでは。

オバマのアメリカもここにきて少しは変わるのかもしれません。G7宣言で南沙諸島の軍事基地化した中国を非難するようです。でも中国は織り込み済みでしょう。具体的な行動がない限り、舐めるだけ。中国の主張する12海里内に飛行機や艦船を入れないと。戦争になったら米軍は一瞬にして中国軍を制圧してしまうと日高義樹氏は言っています。

http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20150603/dms1506031140004-n1.htm

その方が中国国民にとっては共産党支配から逃れられて幸福かもしれません。米軍が12海里内に進出した時に中国はどうするのか。東シナ海に防空識別圏を設定した時のように何もできず、恥をさらすことになるのか。その場合は少なくとも習体制ではなくなるでしょう。

記事

朴槿恵(パク・クネ)韓国大統領が6月14日から5日間の日程で米国を訪問する。16日にバラク・オバマ米大統領と首脳会談を行う。その後、テキサス州ヒューストンに立ち寄り、先端医療や航空宇宙関係施設を視察する。

(”Statement by the Press Secretary on the Visit of President Park Geun-hye of the Republic of Korea,” Office of the Press Secretary, 5/26/2015)

(”Park, Obama Set to Tackle Alliance, North Korea Tension,” The Korea Herald, 5/27/2015)

(”Will Pres. Park get a red carpet in the US like Shinzo Abe did?” The Hankyoreh, 5/13/2015)

 さる4月の安倍晋三首相の訪米で日米同盟に「質的変化」(”qualitative change”)が生じた。首相が「歴史認識問題」や「慰安婦問題」で「河野談話」や「村山談話」を踏襲すると確約したことで、米側の「わだかまり」が解けたからだ(「安倍首相の議会演説で米国の『歴史認識問題』は決着」参照)。これを受けての朴大統領の訪米である。

 朴大統領の訪米は就任直後の13年5月以来、2度目。2年前を振り返ってみる――。朴大統領は、13年5月に訪米した際、米議会で演説し「歴史問題に端を発した対立が一層深刻になっている。歴史に正しい認識を持たなければ明日はない」と英語で訴えた。日韓の対立に米国を巻き込むことで対日外交圧力を強めようとした。

 ワシントンも韓国初の女性大統領の初の公式訪米ということもあって歓待した。朴大統領に思いの丈を述べさせる余裕を見せた。朴大統領が「慰安婦問題」を人権問題、とくに女性の人権に絡めたことが功を奏した面も見逃せない。

「日韓が歴史認識でツノ突きあっている場合ではない」

 だが米政府はそれ以後、日韓対立が膠着することに警戒心を抱き、事あるごとに日韓双方に譲歩を促してきた。米政府は、朴大統領が慰安婦問題に執着しなければならない韓国国内の政治社会情勢を理解している。しかし、朴大統領が安倍政権に対して「新たな謝罪・補償を執拗に求める頑なな対応」(米国務省OB)に苛立っているのも事実だ。いわゆる「Korean fatigue」(韓国に対する嫌気)である。

 そして今年4月の安倍訪米でワシントンの空気は一変した。米外交はどこまでもストレートでプラグマティック(実際的)だ。変わり身も速い。

 東アジア情勢は風雲急を告げている。例えば中国は南シナ海・南沙(スプラトリー)諸島で埋め立て工事を急ピッチで進めている。一方、朝鮮半島では北朝鮮の中枢で異変が起こっている。米国防総省元高官の一人はこう指摘する。「日韓が『歴史認識問題』などでツノ突き合わせている場合ではなくなってきた――こうした認識がワシントンで急速に広がっている。ケリー国務長官と尹炳世(ユン・ビョンセ)韓国外相が2月7日に話し合い、6月の米韓首相会談が急遽決まったのはこのためだ。朴大統領が再び『慰安婦問題』に触れ、日韓の和解を渋るようであれば、日米防衛協力体制を踏まえた日米韓同盟の再構築は遅れるばかりだ。これがオバマ政権の認識だし、この点では民主、共和両党とも一致している」。

 ケリー国務長官、アシュトン・カーター国防長官が相次いで訪韓し、緊迫する北朝鮮情勢への戦略を練る必要性を朴大統領に直接、訴えた。返す刀で両長官は、来るべき訪米では朴大統領が「慰安婦問題」を蒸し返さないよう求めた可能性大だ。

こうした米側の意向を察知した韓国政府の対応にも変化が見られる。「慰安婦問題」は事実上棚上げし、安全保障面では日米に足並みを揃えるスタンスにかじを切った。北朝鮮の核問題をめぐる6カ国協議の日米韓首席代表が5月27日にソウルで協議した。29日にはシンガポールで日米韓3カ国国防相会談も行われた。すべて、朴大統領の訪米に向けた地ならしと見ていいだろう。

 ワシントンで6月3日、米戦略国際問題研究所(CSIS)が米韓シンポジウムを主催する。朴大統領訪米をにらみ、韓国に対する米国のスタンスを占う上で注目される。米側からはリチャード・アーミテージ元国務副長官、カート・キャンベル元国務次官補、クリスファー・ヒル元国務次官補、ロバート・ガルーチ元北朝鮮核問題担当特使、シドニー・サイラー北朝鮮核問題担当特使が出席する。このシンポジウムでのテーマも米韓軍事同盟、北朝鮮の動向に絞られている。「歴史認識」問題は完全に無視された格好だ。

(”Korea Going Forward,” Center for Strategic & International Studies, 6/3/2015)

「北朝鮮は容易ならざる事態」という現状認識

 北朝鮮は5月8日、日本海側のハンギョムナンドの新浦沖で潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の水中発射に成功した。「初期段階だが地域の新たな脅威」(米ジョンズ・ホプキンス大学高等国際研究大学院米韓研究所の研究員)となってきた。

(”N.Korea Test-fires Submarine-launched Ballistic Missile,” Agence France-Presse, 5/10/2015)

 米下院軍事委員会の軍事専門スタッフの一人は筆者にこう述べた。「SLBMの開発はまだ初期段階で、実際の配備には4~5年はかかるだろう。ただ北朝鮮の脅威が増しているのは、核開発やミサイル開発といった軍事面での動きだけではない。問題は2012年夏の李英浩(リ・ヨンホ)朝鮮人民軍総参謀長の解任に始まった粛清人事の異常さだ。その後、張成沢(チャン・ソンテク)国防委員会副委員長や玄永哲(ヒョン・ヨンチョル)人民武力相の処刑にまでエスカレートしている。金正恩党第一書記の訪ロが中止になった理由の一つにクーデターの危険を排除するためといった見方も出ている」。

 13年の米韓首脳会談で両首脳は「21世紀におけるいかなる挑戦にも立ち向かうために朝鮮半島およびアジア太平洋地域の平和と安全にとっての楔である米韓同盟を順応、強化させていく」ことを再確認した。

 首脳会談を受けて、米韓軍事協力は着実に進んでいる。具体的には、米韓合同軍事演習が予定通り実施されている。韓国は2014年1月、在韓米軍駐留経負担費(SMA)を6%(8億7000万ドル増)増額した。

(”U.S.-South Korea Relations,” Mark E. Manyin, Congressional Research Service, 6/24/2014)

北朝鮮のSLBMをタテにTHAAD配備交渉開始を要請か

 しかしながら米国が望んでいる、最新鋭ミサイル迎撃ミサイル「戦域高高度防衛ミサイル」(THAAD=Terminal High Altitude Area Defense Missile)を駐韓米軍基地に配備する計画は韓国との間で正式議題にすらなっていない。フランク・ローズ米国務次官補(軍縮・検証・履行担当)は5月19日、ワシントンで開かれたシンポジウムで米高官として初めて「永久配備」に言及した。米韓首脳会談で、THAAD設置についての交渉を開始するようオバマ大統領が自ら打診する可能性大だ。

(”Missile Defense and the U.S. Response to the North Korean Ballistic Missile and WMD Threat,” Frank A. Rose, Assistant Secretary, Bureau of Arms Control, Verification and Compliance, Institute for Corean-American Studies(ICAS), U.S. Department of State, 5/19/2015)

 日米韓3カ国は14年12月、北朝鮮の核とミサイルに関する情報交換に関する「軍事情報共有了解覚書(MOU=Memorandum of Understanding)」を締結している。しかし、この覚書は日韓が情報を直接交換することも共有することも明示していない(日韓両国はこれと類似した「軍事情報包括保護協定(GSOMIA=General Security of Military Information Agreement)の締結を目指したが、韓国国内の反日感情に押された韓国政府が署名直前で一方的に撤回している)。

(”A trilateral intelligence sharing accord between Japan, Korea and the United States: implications and challenges,” Sukjoon Yoon, PacNet #6A, Center for Strategic & International Studies, 1/22/2015)

 朴大統領の訪米を前に、MOUの適用範囲を広げようとする米側の意向が高官の口を通して聞こえてくる。北朝鮮中枢で広がる粛清の動きを含む北朝鮮情報の共有を示唆するものだ。

 デービッド・シアー米国防次官補 は3月27日にワシントンで開かれたCSIS主催のセミナーで次のように発言した。「日米韓3カ国が昨年、締結した『軍事情報共有了解覚書』はグッド・スタートだ。今後さらに追加的な協定を締結するチャンスがあると考える」。

(”U.S.-Japan Security Seminar 2015,” David B. Shear, Assistant Secretary of Defense for Asia and Pacific Security Affairs, Center for Strategic & International Studies, 3/27/15)

 シアー発言について、あるシンクタンクの米国人研究員の一人はこう筆者に述べた。「シアー次官補が言おうとしていることは2つ。1つは、情報共有の対象は、北朝鮮の核、ミサイルだけでなく、北朝鮮の中枢における政治的な動きも含む。核・ミサイル開発の動きと政権中枢部で起こっていることとはどのような相関関係があるのか。いま米国にとって最も重要なのは北朝鮮の軍事的ハード面の情報と政治的ソフト面の情報の両方だからだ。2つ目は、米国を仲介とする日韓間の情報交換という枠を取り除き、三者が自由に迅速に情報を共有することだ」。

 韓国系米国人で国家安全保障会議(NSC)アジア部長を務めたこともあるビクター・チャ ジョージタウン大学教授は、先の安倍訪米に比べ、「今回の朴訪米は格式ばらない、お互いに好意を持った同盟国指導者同士の胸襟を開いた親密な対話になるだろう」と予想している。

(”Not ceremony, but intimacy,” Victor Cha, Joongang Daily, 5/29/2015)

 あるシンクタンクの研究者はこう語る。「米韓両首脳が胸襟を開いた親密な対話をするのであれば、話し合うべきは朝鮮民主主義人民共和国という国家の崩壊の可能性だ。その時に備えて、米韓への影響にはどんな影響があり、何を準備しておくべきか。日本や中国の出方についても、米韓が調整しておく必要がある。金正恩第一書記が継承した金王朝が崩壊しても国家そのものは残るのか、あるいは北朝鮮という国家自体が崩壊してしまうのか――どちらに進むかによって対応が異なる。『北朝鮮の崩壊』の可能性を視野に入れた協力体制の強化が必要だ」。

 ランド研究所は2013年、「北朝鮮崩壊の可能性に備えて」(”Preparing for the Possibility of a North Korean Collapse”)と題する膨大な量の報告書を作成している。「金王朝崩壊→北朝鮮国家の存続」と「北朝鮮国家自体の崩壊→消滅」の2つのシナリオのそれぞれに対して、米韓がどう対処するのか、米国への影響、中国の出方などについての鋭い分析がなされている。

(”Preparing for the Possibility of a North Korean Collapse,” Bruce W. Bennett, RAND Corporation, 2013)