6/4日経ビジネスオンライン 鈴置高史『ついに「核武装」を訴えた韓国の最大手紙 「米国は今度こそ許してくれるはずだ……」』記事について

韓国人の方がまともに見えます。脅威に対してどう手を打ったらよいかを真剣に考えたら、核保有も選択肢の一つになって然るべき。日本に核を持たせたくないのは米中露全部そうでしょう。ですから左翼を使って日本の核保有を邪魔してきました。韓国が核保有すれば当然日本も保有するようになるから米国は韓国の核保有に反対するでしょうけど。

問題は国内にいる敗戦後利得者です。自分たちが国を売ってきて利益を得て来た権益を手放したくないものですから「今そこにある危機」も見ようとしないし、分かっていても米国ではなく中国に隷従した方が良い(中国に代表されるように左翼は金に汚い)と思う人がいることです。国民の大多数が政治に無関心ですからいいようにやられる訳です。

弱腰のオバマを信じることはできません。自ら生き延びることを考えるのであれば、真剣に国民一人ひとりが、偏向メデイアや学者の権威に関係なく、自分の頭で考える必要があります。今の日本は享楽主義に染まっているといってよいのでは。GHQの3S(sex、screen、sports)政策が戦後70年蝕んできました。子子孫孫や国家のために何ができるかを自分の生き方として考えないと。

「安全の欲求」はマズローの欲求5段階説でも生理的欲求の次段階の根源的な欲求として、これが確保されてやっと上位の欲求に行くという説です。高邁に平和論を唱える人達は中国の南沙での侵略行為についてどうして黙っているのでしょう。第二次大戦の日本の行為を非難するのであれば当然今の中国を非難すべき。それができないのであれば、過去の日本の行動も非難できないと言うべき。(小生は日本軍の中国駐留は欧米列強と同じで侵略とは思っていませんが。中国人に聞きたい。欧米の取った行動と日本の取った行動とどこが違うのか教えてほしい。アへン戦争、円明園の焼き討ちとか。満州は漢人の土地ではなく(万里の長城の北側にある)、清朝(満州族の土地)の故郷です。詳しくは「紫禁城の黄昏」(レジナルド・ジョンストン著)を是非読んで戴きたい。見方が変わるでしょうから。)

安全保障を真剣に考えないと。右翼と言って発言を封じ込める時代は終わったというべき。覚醒してほしい。

記事

誰からも止められず、核武装を着々と進める北朝鮮。焦った韓国人が「我々も核を持つ」と言い出した。

次の核実験で宣言

鈴置:韓国の朝鮮日報が「核武装」を訴えました。朝鮮日報は韓国で最大の部数を誇る保守系紙です。日本の新聞業界で言えば、読売新聞のポジションと似ています。

 書いたのは楊相勲(ヤン・サンフン)論説主幹。政治部長、編集局長を経て論説委員会入りした、韓国保守論壇の本流中の本流の人です。それもあって、この「核武装論」は見過ごせません。

 以下は、その「金正恩も、恐れさせてこそ平和を守る」(5月21日、韓国語)のポイントです。

  • 朴槿恵(パク・クンヘ)大統領は、北朝鮮のミサイルを先制打撃するシステムであるキル・チェーンと、韓国型ミサイル防衛(MD)で十分(北の核に)対応できると言う。だが、それが技術的に可能になるには相当の時間がかかる。
  • さらに核保有国を相手に、成功するか不確実な先制攻撃をするというのは机上の空論だ。今の韓国にそれを命令する大統領も、実行する軍も、耐える国民もいない。
  • MDの重要手段である終末高高度ミサイル防衛(THAAD=サード)も、数十発のミサイルを同時に発射された場合、対応できない。
  • 国家間の平和の本質は恐怖の均衡だ。「自分も死ぬ」という恐怖が双方にあってこそ戦争は防げる。核国家である北と、非核国家である南の間の最も大きな危険は、恐怖の不均衡にある。
  • それを均衡させるために、有事の際は金(正恩=キム・ジョンウン=第1書記)を含む北の指導部を「最優先」で「必ず」除去するという斬首作戦を、対北抑止戦略の第1の軸に据えるべきである。
  • 第2の軸は核武装の選択権を持つことである。今後、北が核によって挑発した時に、米国の拡大抑止の実効性がないことが確認された場合には、韓国も即座に核武装すると予告しておくのが核選択権だ。
  • 北が4回目の(次の)核実験を実施し、核ミサイルの実戦配置が確認された瞬間が、大韓民国が核選択権を明らかにすべき時期と思う。
  • 月城原子力発電所(慶尚北道慶州市)の重水炉を利用すれば、核武装には2年もかからない。我が国の技術をもってすれば、核実験の必要もない。

1年半以内に核選択権

 重水炉から出る使用済み核燃料は、核兵器への転用が比較的容易です。1970年代に朴正煕(パク・チョンヒ)大統領が月城原発への重水炉の導入を決めたのは、核兵器開発を念頭に置いたためと言われています。

—「核武装論」とはいえ、今すぐの話ではないのですね。

鈴置:北は近く4回目――次の核実験を実施する可能性が高いのです。1回目は2006年、2回目は2009年、3回目は2013年です。このペースから判断して、2015年か2016年に4回目が実施されると見られています。

 そして4回目の実験で、核弾頭が実用化段階に達して――ミサイルに載せられるほどに小型化して――実戦配備される、と見る専門家が多い。

 ですから、もし楊相勲論説主幹の主張が採用されれば、1年半以内に韓国が「核選択権」を宣言する可能性が増すのです。

「弱腰のオバマ」は信頼できない

—でも「核選択権」の宣言から、次の段階の「核武装」に進むには条件が付いています。

鈴置:その通りです。「米国の拡大抑止の実効性がないことが確認された場合」との条件です。「米国の拡大抑止」とは、北朝鮮が韓国を核攻撃すれば、必ず米国は北を核報復する――との見通しから、北が韓国攻撃を思いとどまる、という意味です。

 ただ、韓国人はここを――米国が本当に核報復してくれるかを、疑い始めたのです。韓国が北によって核攻撃された際、米国が在韓、在日米軍基地、あるいはグアムへの核攻撃のリスクを甘受してまで北朝鮮を核攻撃してくれるのかと、韓国人は考えるようになったのです。

 

 この記事では触れていませんが、米国の大統領が「弱腰のオバマ」であることも、韓国人の不安をかきたてています。

 一方、北の指導者は粛清で権力を維持する、何をするか分からない若者です。韓国人にとっては最悪の組み合わせなのです。

 もっとも米国は北朝鮮の核の脅威の増大を受けて、日本とはMDを共同で開発する一方、在韓米軍基地やグアムへのTHAAD配備を計画するなど、努力しています。

侵攻後に「核を使うぞ」

—米国の拡大抑止、要は「核の傘」ということでしょうが、それが破れているのではないかとの恐れですね。

鈴置:その通りです。日本人だって「実は破れ傘ではないか」と心配してもいいのですが。

—韓国人はなぜ、米国を疑うのでしょうか。

鈴置:「米国に捨てられた」記憶があるからです。まずは、朝鮮戦争の引き金になったアチソン国務長官の声明。「韓国は米国の防衛線の外にある」ことを表明したもので、1950年の話です。

 もっと古くには米国と日本が、朝鮮とフィリピンの支配権をお互いに認め合った1905年の「桂―タフト協定」があります。

 韓国紙はいまだに「米国から捨てられる不安感」を大きく書きます(「日米の『同時格下げ宣言』に慌てる韓国」参照)。アチソン声明も桂―タフト協定も、彼らにとっては昔の話ではないのです。

 北朝鮮と領土を接する韓国ならではの、極めて困惑するシナリオもあります。北が通常兵力による攻撃と、核威嚇を組み合わせたらどうなるか、考えて下さい。

 北が韓国に侵攻した場合、米韓両軍は空軍の攻撃により北朝鮮の兵站線や指揮部を叩きます。これで侵攻を食い止める計画であり、空軍力が北の冒険主義を抑止しているわけでもあります。

 でも今後は、核武装した北が「爆撃への報復として核兵器を使うぞ」と恫喝するかもしれません。米韓両国は逡巡し、韓国の一部を北に占領されたまま、休戦に応じる羽目に陥るかもしれないのです。

未曾有の恐怖と混乱

—核を持った北は、通常兵力の使用を逡巡しなくなる、ということですね。

鈴置:その通りです。さらに注目すべきことがあります。このケースでは、北は核を使っているわけではない。ただ「使うぞ」と言うだけです。

 米国はその北に対し核攻撃はかけにくいのです。そして米韓両軍は、通常兵力による反撃もしにくくなってしまいます。

 楊相勲論説主幹の言う「北が核によって挑発した時に、米国の拡大抑止の実効性がないことが確認された場合」とは、このようなケースを念頭に置いているのです。

 この記事では、2010年に砲撃された延坪島を含む西海5島――ソウル西北の黄海上にあって、北朝鮮と目と鼻の先で対峙している韓国領の島です――に北朝鮮が侵攻する可能性が高い、と指摘しています。

 さらに楊相勲論説主幹は「こうした北の挑発に対抗できない場合、韓国社会には未曾有の恐怖と混乱、内紛が起きるであろう」と警告しました。

 結局、核を持った北朝鮮が次回、小規模なものでも通常戦力を行使した際に、韓国が「核武装」に動く可能性が大きいのです。その前に「核選択権」を宣言してあれば、ですが。

「核選択権」の元祖

—「核選択権宣言論」は韓国でどう受け止められていますか?

鈴置:掲載されて2週間経った今も、メディア上に大きな反応は見られません。ただ、この記事が掲載される少し前の5月12日に、保守運動の指導者、趙甲済(チョ・カプチェ)氏が同様の主張を訴えています。

 実は、趙甲済氏こそが「核選択権」の元祖的存在です。左派から「極右」と批判されるこの人の意見を、大手紙がついに掲載したのです。韓国の保守指導層に「核選択権」の合意が形成されつつあるように見えます。

 趙甲済氏の記事「核ミサイル実戦配備に対応する政策を国民投票に付せ!」(韓国語)の論旨は以下です。

  • 大韓民国の憲法72条には「大統領は必要だと認めれば外交、国防、統一、その他の国家の安危に関する重要な政策を国民投票に付すことができる」とある。大統領は「国民投票案」に「自衛的核武装の権利の確認」を入れることができる。
  • 国連と国際社会が北韓政権の核武装を防ぐことができなかったことにより、大韓民国は国家の生存次元で核武装を含むすべての自衛的な手段を考究する権利を持つとの宣言だ。国民は必要なら核拡散防止条約(NPT)も脱退する権限を政府に付与する。
  • NPT第10条の規定によれば、韓国は北韓の核武装を防げなかったNPT体制から脱退する権利がある。
  • 核選択権を政府に委任するとの案が国民投票を通過し、政府がNPT脱退を検討した瞬間、韓国が核問題解決の主導権を握ることになる。中国と北の指導部に深刻な悩みの種をもたらすであろう。

 楊相勲論説主幹の記事と比べ、より具体的です。「国民投票にかけて核選択権の権威を増す」とか「NPTからの脱退を検討する」とか、核武装が世界に受け入れやすくなる手法を提言しています。

 なお、趙甲済氏も「北韓の潜水艦が釜山港のそばから核ミサイルを撃ったなら?」(5月9日、韓国語)で、「西海5島への攻撃と、核を使うぞとの威嚇により、米国は北朝鮮にどんどん譲歩するのではないか」との懸念を表明しています。

70%弱が「核武装に賛成」

—国民はどう考えるでしょうか。

鈴置:被爆国、日本とは大いに異なり、韓国人には核兵器への忌避感が薄い。例えば、世論調査すると70%近い人が――3分の2の韓国人が核武装に賛成します。

 

 例えば、3回目の核実験(2013年2月12日)の直後に韓国ギャラップと、峨山政策研究院が国民に聞いています。

 核武装に賛成した人はそれぞれ64%と66.5%に上りました(「今度こそ本気の韓国の『核武装論』」参照)。もっとも、大手メディアが核武装を主張することはタブーだったのです。

 朴槿恵大統領の就任式の日の2013年2月25日――3回目の核実験の直後でしたが、朝鮮日報は社説で核武装を検討する必要性を説きました。

 ただ、この社説「北の核を切りぬける新しい国家安保戦略が必要だ」では「核」という単語は一切使いませんでした(「今度こそ本気の韓国の『核武装論』」参照)。

 「北朝鮮から核兵器で脅されている韓国としては、国際協力などとは別次元の軍事的・政治的な対処方法を独自に模索するしかない」と、読む人が読めば分かる書き方に留めたのです。

原子力協定改定で”解禁”

—なぜタブーだったのですか?

鈴置:朴正煕政権(1963-1979年)が核武装に動き、米国に潰された過去があるからです。朴正煕大統領暗殺もそれに絡むとの見方さえ韓国にはあるのです。もちろん米国もそれをしっかりと覚えています。

 娘の朴槿恵大統領が初めて訪米した時、米議会調査局(CRS)は「U.S.-South Korea Relations」(米韓関係)という報告書で「韓国の核武装への希求」をはっきりと指摘しました(「『独裁者の娘』を迎える米国の険しい目」参照)。

 それに加え、2010年から韓国は米国と原子力協定の改定交渉に入り、ウラン濃縮や使用済み燃料の再処理の権利を要求していました。

 大手メディアが核武装論など書こうものなら、米国から「ウラン濃縮などの要求は核保有が目的だな」と見なされ、交渉が不利になるのが確実でした。

 2015年4月22日に、新たな米韓原子力協定が仮署名されたので、核武装論が”解禁”になった面もあると思います。

水中発射が最後の一撃

—5月9日に北朝鮮が「潜水艦から弾道ミサイルを水中発射する実験に成功した」と発表しました。これも韓国の「核武装論」の背中を押したということですか?

鈴置:ええ。それが最後の一撃となったと思います。北朝鮮の実験が本当に成功したか、疑問を持つ向きもあります。しかし、もし本当なら、米韓両国は対北軍事戦略を根本から見直す必要に迫られます。

 これまでの計画では、北が核ミサイルを発射しようとしたら、それを察知し、発射前にミサイル基地に攻撃をかける――キル・チェーン――で防ぐつもりでした。

 でも「察知」が可能なのは陸上のミサイル基地。水面下から撃たれたら発射前に察知するなんて、とてもできないのです。

 このため、韓国が北の核ミサイルを防ごうと思ったら、韓国も核ミサイルを持つしかない――との結論に至るのです。

 日本とは異なって、国民の間に忌避感がありません。今後「核への希求」が一気に表面化する可能性があります。

核武装論のバイブル

 趙甲済氏は、韓国の核武装や、その前段階の「核選択権」の必要性を説いた本を、2014年に日本語で出版しています。『韓国の自衛的核武装論』です。

 朴正煕時代の核武装の試みと、米国の牽制によって断念した経緯を丹念に取材し書いています。韓国の参考になるとして、インドやイスラエルの核開発にも詳しく言及しています。韓国の核武装論のバイブルといえる本です。

—核武装に関し、韓国政府はどう考えているのでしょうか。

鈴置:分かりません。ただ言えることは保守の指導層には、核武装のような戦略的動きは朴槿恵政権にはできないと見る人が多いのです。

 ポピュリズムそのままに、その場その場で一番受けそうな行動をしているだけ、との冷ややかな見方です。

 だからこそ、核武装論者は「核選択権の宣言」や「国民投票」へのムードを盛り上げて、政権をそちらに動かそうとしているのでしょう。

日本も駒のドミノ

—「核武装するぞ」と韓国が言えば、日本や台湾もその方向に動く。それを嫌う中国が北から核兵器を取り上げるはず、との狙いも核武装論者にはあるのですか?

鈴置:そうした「口先介入によるドミノ効果」も、あることはあるでしょう。が、本音は「自分も核を持つ」ことではないか、と思います。なぜなら「口先介入によるドミノ」はさほど効果がないと韓国では見なされ始めているからです。

 趙甲済氏は『韓国の自衛的核武装論』の第4章「北核の後援者は中国」で、米国に対抗するため中国こそが北朝鮮などに核を拡散させてきたのだと説きます。

 そして第5章「イスラエル式の秘密核開発」(178頁)などでは「北は米中の間で緩衝の役割をしているため、中国は日本が核武装をすることがあっても、北の核武装を止めないだろう」とのリー・クアンユー・シンガポール首相の発言を引用しています。

 もし、核武装論者が期待するなら、中国ではなく米国でしょう。オバマ政権は北朝鮮にまんまと騙されて以来、北の核問題からは身を引いています。

 北が核やミサイルを実験しても非難するだけ。「戦略的忍耐」と呼んでいますが、はっきり言えばこの問題を放置したままなのです。

 6月16日に米韓首脳会談がワシントンで開かれます。朴槿恵大統領は、この場で切羽詰まる北の核問題の解決をオバマ大統領に迫るべきだ、との声が韓国にあがっています。

朴正煕の復讐劇

—「核武装論」を持ち出せば、オバマ大統領も少しは本気になって北の核阻止に動くかもしれない、ということですね。

鈴置:もう1つあります。「暗黙に」でしょうが、米国が韓国の核武装を認めるかもしれない、との期待が韓国にはあるのです。

 カーター(James Earl “Jimmy” Carter, Jr.)政権(1977-1981年)時代に大統領国家安全保障担当補佐官を務めたブレジンスキー(Zbigniew Kazimierz Brzezinski)氏が、2012年に『Strategic Vision: America and the Crisis of Global Power』を書きました。

 この本の114ページでブレジンスキー氏は「米国の力が弱まると、その核の傘の信頼性が落ちる。すると韓国や台湾、日本、トルコ、ひいてはイスラエルでさえ新たな核の傘を求めるか、自前の核武装を迫られる」と指摘しています。

 安全保障の専門家として名高いブレジンスキー氏が、韓国の核武装を自然な流れと認識し、食い止めるべき対象とは書かなかったのです。

 そしてこの本を、韓国各紙は一斉に社説で取り上げています(「『中国に屈従か、核武装か』と韓国紙社説は問うた」参照)。

 米国の大きな変化に気づかない日本人が「寝ぼけて」いるのであって、韓国人はそれを織り込んで「自前の核」を語り始めているのです。朴正煕の屈辱の歴史を塗り直す核武装を――。