伊那久喜編集委員の風見鶏というコラムである。ここには『「過去に目を閉ざす者は現在に盲目となる」を日本のメデイアで最初に見出しにしたのは、調べた限りでは、演説全文を掲載した岩波書店の雑誌「世界」85年11月号である。・・・思想史研究家でもある有馬龍夫元ドイツ大使は自らのオーラルヒストリーで「演説に謝罪あるいはそれに類する表現は見当たりません」と述べる。有馬氏は演説中の次の2点に注目する。「民族全体に罪がある、もしくは無罪である、というようなことはありません。罪といい無罪といい、集団的でなく個人的なものであります」「今日の人口の大部分はあの当時子供だったか、まだ生まれてもいませんでした。この人たちは自分が手をくだしてはいない行為に対して自らの罪を告白することはできません」日本の政治家が語ったら「妄言」とか批判されるかもしれぬ内容である。ワイツゼッカー演説は半ば「神話」になった。神話と史実は違う。』とあります。小生、中国在勤時代、中国人から「ドイツは公式に謝罪したのに日本人は謝罪してない」と言われたことがありました。西尾幹二の本を読んでいたので「ドイツは公式に謝罪してない。ナチスのせいにしているだけ」と答えましたが。まあ、改竄・捏造が得意な中国の報道しか目にはいらない中国では無理からぬことです。中国人のズルイところは自分が史実を改竄・捏造しているのに日本が史実に忠実に説明しようとすると「歴史修正主義」と言って論理のすり替えをするところです。日本のマスコミも中国と同じで史実・事実を大事にしませんが、書籍や雑誌、ネットを読めば真実に近づきます。新聞・TVだけ見ていると頭が腐ります。
岩波の雑誌「世界」は左翼の愛読書で寺島実郎がよく寄稿しています。祥伝社版の『紫禁城(=故宮のことです)の黄昏』(レジナルド・ジョンストン著=清朝のラストエンペラーの愛新覚羅溥儀の英国人家庭教師)の監修をした渡部昇一氏は岩波文庫版を次のように批判。
「ところがこの文庫本は、原書の第一章から第十章までと、第十六章を全部省略しているのだ。その理由として訳者たちは「主観的な色彩の強い前史的部分」だからだという。この部分のどこが主観的というのか。清朝を建国したのが満洲族であることの、どこが主観的なのか。第十六章は満洲人の王朝の皇帝が、父祖の地にもどる可能性について、当時どのような報道や、記録があったかの第一級資料である。日本政府が全く関与しないうちに、それは大陸での大問題であった。溥儀がジョンストンと日本公使館に逃げ込んできた時の芳沢公使の当惑、その後も日本政府がいかに溥儀にかかわることを嫌ったか、その側にいたジョンストンの記述ほど信用なるものはない。また岩波文庫では、序章の一部を虫が喰ったように省略している。そこを原本に当たってみると、それは溥儀に忠実だった清朝の人の名前が出てくるところである。つまり岩波文庫訳は、中華人民共和国の国益、あるいは建て前に反しないようにという配慮から、重要部分を勝手に削除した非良心的な刊本であり、岩波文庫の名誉を害するものであると言ってよい」
岩波版の訳者の英語力にも疑問を呈している。
「訳者の略歴は記されていないので不明であるが、思想的には東京裁判史観の人らしいし、英語力にも問題がある。一例だけ挙げておく(原書450ページ、文庫本437ページ)
I need hardly say that the last persons in the world to whom the emperor would have appealed for sanctuary were Chiang Kai-shek and Chang Hsueh-liang;
(岩波訳:皇帝が誰かに庇護を求めるとすれば、世界中で一番最後に頼る人物が蒋介石と張学良であることは、あらためていうまでもない)
この岩波文庫訳では意味がちょうど反対になってしまっている。つまりthe last(最後の)という単語の意味が理解されていない。He is the last person to do such thing(彼はそんなことをやる最後の人だ=そんなことは絶対にしない人だ)というのは旧制高校向けの入試参考書にも出てくる例文である。しかし、誤訳は誰にでもあることだから、それ自体は大したことではないだろう。しかし溥儀が、蒋介石と張学良を世界中で一番最後に頼る人物だと考えていたと訳するのは、このジョンストンの本の内容 がまるで解っていなかったということになる。原文は「皇帝が庇護を求める場合、誰に頼るとしても、世界中でこの人たちだけには絶対頼りたくないのが蒋介石と張学良だった」という内容である。こんなことはジョンストンの記述をそこまで読んでくれば当然に解るはずなのだ。訳者たちが正反対に誤訳したのが単なる語学力の欠如なら許せるが、読者を誘導する意図があったとしたら―歴史の削除のやり方からみて、その可能性がないとは限らない―許せない犯罪的行為であろう。」(祥伝社版、監修者まえがき、11頁)また渡部は、岩波文庫版が「主観的な色彩の強い」として原著の重要部分を省いたことは、原作者に対する著作者人格権の侵害にあたるとする批判見解も出している。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B4%AB%E7%A6%81%E5%9F%8E%E3%81%AE%E9%BB%84%E6%98%8F
左翼は平気で改竄・捏造をします。これに留まらず、旧ソ連、中国、北朝鮮は映像をトリミングして存在しないことにしたり、存在したことにしたりしょっちゅうしています。眉に唾をつけて報道(日本の報道も含む)を自分の頭で再構成する必要があります。朝日新聞の慰安婦誤報も共産主義者(シンパも含む)による国際謀略の一環とみれば分かり易い。中国人のいつも言う「騙す人は賢く、騙される人は馬鹿」の基準で言えば殆どの日本人は馬鹿に分類されてしまう。いい加減目を覚ました方がいいでしょう。