目良浩一氏(歴史の真実を求める世界連合会(GAHT)代表)はアメリカで慰安婦像建立反対運動を展開しております。手弁当でやっていますが、訴訟社会のアメリカですので金がかかります。本ブログをお読みの方で良ければ是非寄付をお願いしたく。小生も寄付しました。裁判の進行状況をメールで教えて戴けます。本記事を知ったのもメールでの通知でした。日本人の名誉がかかっています。無関心では済まされません。「日本民族は倫理的に劣った民族」の烙印を押し、世界にアピールして、日本の国際競争力を弱め、あわよくば日本を属領にしようとする中国・韓国の謀略に負けてはなりません。
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記事
73年前の日米開戦日である8日、東京都内で「慰安婦問題と戦後日本外交の失敗」をテーマに、「新しい歴史教科書をつくる会」と「史実を世界に発信する会」による集会が開かれた。「つくる会」理事の藤岡信勝氏や、米カリフォルニア州グレンデール市に設置された慰安婦像撤去を求める訴訟の原告の一人、目良浩一氏らが、慰安婦問題と日本外交について、それぞれの視点から講演した。藤岡氏は「慰安婦問題は外務省の戦後最大の失敗だ」と指摘し、外務省改革を求めた。 集会の参加者は約170人。集会は、「日本人が名誉を回復するために、外務省の改革は不可避である」として、日本政府に(1)世界に正しい情報を発信するための独立機関を早急に設置(2)国連に世界各国で守る「特定国に対する敵対教育を禁止する条約」を提案(3)外務省改革のための内閣直属の会議を設置-を盛り込んだ決議を採択して閉幕した。
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以下、主な発言者の講演内容を詳報する。
【藤岡信勝「つくる会」理事】
「慰安婦問題の捏造(ねつぞう)を許した日本外務省7つの大罪」について報告する。
第1の大罪は近隣諸国条項の制定だ。1982年6月、歴史教科書の検定で「侵略・進出誤報事件」が起こった。その後、教科書検定基準に「近隣諸国条項」が入ったが、これは外務省の後押しで実現した。慰安婦問題とどうかかわるのか。近隣諸国条項の運用のガイドラインは文部省(当時)が定め、「朝鮮人強制連行」という言葉には一切検定意見をつけないことにした。以来、「朝鮮人強制連行」が小中高の全ての歴史教科書に載ることになった。朝鮮人強制連行の嘘は大手を振るって教科書に入り込んだのだ。この嘘があったからこそ、その上に慰安婦強制連行の嘘を建て増すことが可能になった。嘘の2階建て構造だ。肝心なことは、建物の1階がなければ2階は建てられないということ。慰安婦問題の原点は、朝鮮人強制連行を定着させた教科書問題にあった。 第2の大罪は宮沢喜一元首相の謝罪外交だ。1991年12月、翌月に控えた宮沢氏の韓国訪問について、慰安婦問題で何の調査もなされていないのに、首相が謝罪するという方針を外務省は決めた。外務省は首相に謝罪外交を指南したのだ。慰安婦問題を政治問題化する決定的な誤りだった。
宮沢氏は盧泰愚大統領との30分の会見の中で8回も謝罪した。一国の指導者は、国家と国民の名誉にかけて、謝罪なんかしてはならない。まして慰安婦については政府として何一つ調査もしていない。「この件は調査してから、政府としての見解を公表する」と言っておけばよかった。宮沢氏に振り付けをしたのは紛れもなく外務省。この間違いは、どんなに糾弾しても足りないほどひどいものだ。第3の大罪は「強制連行」を「強制性」にすりかえるへ理屈を製造したことだ。1992年1月の宮沢訪韓で、慰安婦問題は日韓間の政治・外交問題になった。さすがに、これは日本国家にとっての一大事であると考えた保守系メディアは、(朝鮮半島で女性を強制連行したと証言した)吉田清治の慰安婦強制連行の話を検証し始めた。同年4月30日、産経新聞に現代史家、秦郁彦氏の韓国・済州島調査の結果が載った。このほか、西岡力、上杉千年(ちとし)両氏の調査で、慰安婦問題は学問的・実証的には、この年の春までに決着がついていたといえる。 そのことに最も敏感に気付いたのは、実は朝日新聞だった。これ以後の紙面では、意図的に「強制連行」の言葉を使わなくなった。しかし、朝日はそれ以来22年間、嘘と知りながら吉田証言を22年間も取り消さなかった。
社会主義世界体制の崩壊によって行き場を失った左翼勢力は、戦前の日本の糾弾を生きがいにするようになる。慰安婦問題は赤ん坊のおしゃぶりのように、彼らにとって手放せないおもちゃになり、彼らは、3つのことをやり始めた。1つ目は、慰安婦問題を東南アジアに広げること。朝鮮半島での慰安婦の強制連行、すなわち奴隷狩りは、どうやら立証の見込みがないということがわかった。そこで、朝鮮がダメならアジアがあるさ、といって、反日弁護士たちが東南アジアの各地を手分けして、日本軍により「人権」を踏みにじられた「被害者」を求めて、調査に出かけた。そのうち、インドネシアで、調査票まで作らせたのが高木健一という弁護士だった。その結果、戦争中、インドネシアには2万人の日本兵しかいなかったのに、2万2千人の元慰安婦が名乗り出た。私が雑誌で高木氏の、この反日活動を批判したら高木氏は私を名誉毀損(きそん)で提訴した。言論で戦えないから商売道具の訴訟を仕掛けてきた。ついに私は高木氏と法廷で直接対決することになった。2つ目は、国連の舞台でこの問題を広げること。国内の論争に負けたので、事情を知らない外国を巻き込んで逆輸入しようという作戦だ。その宣伝のキーワードとなったのが、戸塚悦朗弁護士が考案した「sex slave」、「性奴隷」という言葉だった。3つ目は「強制連行」を「強制性」にすり替える、言葉のトリックだ。これを主導したのが外務省で、外からバックアップしたのが朝日新聞だ。宮沢訪韓のあと、韓国政府は盛んに「強制連行」だけは、慰安婦の名誉にかけて認めてほしいといってきた。そこで、政府は2回にわたる大がかりな調査をしたが、出てくるのは、もめ事を起こすなという、いわば「強制連行」のようなことを禁止する通達ばかりで、強制連行の証拠は何一つ見つからなかった。最近、米政府の官庁横断で行われた作業班(IWG)の調査結果が注目されている。米政府によっても、日本が強制連行や性奴隷制をとっていたなどという証拠はただの一件も見つからなかった。日本政府は調査結果を淡々と発表すればいいのだ。それなのに、慰安婦問題を何とか認めようとしてひねり出した詭弁(きべん)が、慰安所における「強制性」という問題のスリカエだ。第4の大罪は、河野洋平官房長官談話を出したことだ。詳細は省略するが、今年の6月20日、政府は河野談話の作成過程についての調査報告書を出した。報告書は、政府が強制連行を示す資料はないと認識していたのを、河野官房長官(当時)が記者会見で強制連行を認めたと報告した。個人プレーだった。河野氏の間違いは当然糾弾されなければならない。しかし、報告書は外務省の責任には全く何も触れていない。河野談話は強制連行を肯定しているともとれる曖昧な文面ととともに、「強制性」をうたっているのだが、この論理を用意したのは外務省だった。第5の大罪は、「クマラスワミ報告書」への反論を引っ込めたことだ。1996年、国連の人権委員会で、慰安婦を性奴隷と認めたクマラスワミ報告書が提出された。これに対し、外務省は珍しく、今読んでも立派な、事実関係に踏み込んだ反論文書を作った。ところが直前になって撤回してしまった。この後、外務省は一切、事実関係に踏み込んだ反論をしなくなった。第6の大罪は「新しい歴史教科書」を検定で不合格にする策動をしたことだ。2000年10月の、野田英二郎事件として知られている出来事だ。元インド大使で、教科書検定委員になった野田氏が、外務省の課長や課長補佐クラスのメンバーを7~8人集めて、検定で不合格にするためのプロジェクト・チームをつくっていたのだ。外務省の本質がよく表われている。 第7の大罪は、慰安婦問題で事実関係に踏み込んだ反論を全くしないことだ。不作為の罪と言えるが、実はそれ以上の罪を犯している。単に、事実で反論しないだけでなく、「日本は謝罪しています。見舞金を払っています」とわざわざ宣伝することで、むしろやってもいない罪を世界に自白したことになっている。外務省が犯した7つの大罪の結果、米カリフォルニア州グレンデール市に慰安婦の像まで建つことになった。この結果に、外務省は政府機構の中で最大の責任を負っていると思う。
【目良浩一・歴史の真実を求める世界連合会(GAHT)代表】
グレンデール市に設置された慰安婦像撤去訴訟の原告として、この訴訟についての要点について話す。
慰安婦像が設置されたのは2013年7月9日、訴訟を起こしたのは今年2月20日。この約10カ月でいろいろな動きがあった。この間、非常に手厚い支援をみなさまからいただき、深く感謝している。これまでの寄付金は日本から7200万円、米国では4万7000ドルぐらい、計7800万円相当となった。使途について説明すると、かなりの部分は裁判費用だ。この集会で講演するための米国からの航空運賃にも使われている。エコノミークラスだ。飲食代には一銭も使っていない。5つの点についてお伝えする。第一は、慰安婦像の設置にこぞって反対すべきであるということ。どうして反対しなくてはいけないのか。慰安婦像を建てるということは、日本人、日本国に対する貶めだ。これは、日本人は卑劣な人間で人道をわきまえず、冷酷で女性に対して非礼な人類であることを世界に広めようとする動き。日本人としては当然これに抵抗し、慰安婦像撤去に向かって努力すべきである。ところが日本政府は反論しない。従って、(韓国などは)別のところで噂を広げる。特に米国で「従軍慰安婦問題があって、女性たちは性奴隷で20万人もいた」という話を広めている。黙っていれば、世界の人は「そうか、日本軍は悪かったのか。日本人は冷酷であったのか」と思ってしまう。これに絶対に抵抗しなくてはいけない。一旦、日本人が卑劣な民族であるということが一般常識になれば永遠に続く。数世紀にわたって汚名が世界に広がり、消すことができない。消すとすれば現在、生きているわれわれの努力以外にはないとの思いでがんばっている。次に、米国における慰安婦像撤去訴訟は勝てるかという問題だ。一審で敗訴した。かなりの人が「訴訟を起こしても勝てない。無駄なことをやっている」と考えていると思うが、それは間違い。一審では、担当の連邦裁判所の判事の質が悪く、「原告には訴訟の資格がない」という奇妙な理由で敗訴した。しかし、ほかの司法関係者に意見を聞くと、これは明らかにおかしいという。二審では、こういう判断はないと考えている。現在、連邦裁判所の高裁に控訴しているが、それ以外に州裁判所にも裁判を起こしており、2つの裁判が進行中だ。裁判の成果はもっぱら弁護士の能力によるところがかなり大きい。最初の弁護士事務所だった大手メイヤー・ブラウンは、外的な圧力、つまり中国系反日団体の世界抗日戦争史実維護連合会(抗日連合会)から圧力を受けてわれわれの弁護から撤退した。しかし、現在は強力な弁護チームを抱えている。費用はかかるが、今回の判決はかなり有利ではないかと思っている。これまでも多くの資金援助をいただいているが、さらなる協力をお願いしたい。第3点は、グレンデール市の慰安婦像はカリフォルニア州韓国系米国人フォーラム(KAFC)という韓国系の団体が推進したが、その裏には中国系米国人がいる。抗日連合会だ。韓国系だけでなく中国系を相手にして戦う覚悟が必要だ。次に、米国人が公平であるかというと、実際にはそうではない。韓国系の情報につかっている。もう少し厳密にいうと、米国人は慰安婦について何も知らない、またはほとんど知らないというのが大多数。知っている人は韓国系の情報を信じている。日本の軍隊はアジアの女性を性奴隷にしたと考えている。オバマ大統領もそうだ。背景にはクマラスワミ報告書と、日本政府に謝罪と補償などを求めた2007年の米下院対日非難決議の存在がある。さらに、米国人は英語以外のものをほとんど読まないから、慰安婦問題については吉見義明・中央大教授の「Comfort Women」を読み、そこに書かれていることが真実と思っている。朝日新聞は、日本語版で誤報の告白を大々的にやったが、英語版では非常に小さく間違いを犯したと書いた。最近では読売新聞も英語版で誤りがあったと認めたが、米国人は朝日新聞の英語版も読売新聞の英語版もほとんど読まない。朝日新聞の英語版が書いただけでは全く影響を与えていない。日本では、朝日新聞が間違いを告白したので慰安婦問題は解決したと感じている人が多いが、米国でその影響はゼロだ。米国人の意見を変えるにはまだ大きなことをやらなくてはいけない。もう一点は、日本政府の対応が、いままでのところ全く手遅れであることだ。政府としてもっと明確に否定すべきところは否定して、反論すべきところは反論して抗議するべきだ。日本政府の対応をみていると、あたかも反論することが社会的に、国際的にいけないかのような感じを持っている。例えば、2007年に米下院が対日非難決議をやろうとしたとき、同じケースがトルコでもあった。トルコは明確に米政府に反論したため、対トルコ決議案は採択されなかった。最近、外務省にも少し、いい動きもある。たとえば、今年7月、ジュネーブの国連で開かれた自由権規約委員会で、外務省の課長が「慰安婦は性奴隷ではない」と明確に宣言した。これは結構なことだ。しかし、多くの場所で積極的に発表することが必要だと思う。
【山本優美子・なでしこアクション代表】
今年7月にジュネーブの国連で開催された自由権規約委員会を「慰安婦の真実国民運動調査団」の団長として傍聴した。慰安婦問題は、ヘイトスピーチなど多くのテーマのうちの一つだった。調査団が委員に訴えたのは3点。(1)慰安婦は性奴隷ではなく戦時中の売春婦(2)慰安婦を性奴隷と認定した国連クマラスワミ報告書は嘘の資料(吉田清治証言)を基に書かれているので性奴隷の論拠に値しない(3)証言は単なる話で検証さえされていない-。これらの主張を印刷した資料と、1944年の米軍報告書(ビルマ=現ミャンマーでとらえられた慰安婦たちの調書)を添付して各委員に渡した。日本政府代表団は「性奴隷という表現は不適切である」といった。これは非常に大切だ。というのも、委員会から日本政府への質問に、「慰安婦は日本軍性奴隷慣行の被害者である」と書いてある。これに日本政府は「不適切な表現である」といったわけが、もし言わないで黙っていたら、認めていたことになっていた。しかし、私たちの配布資料と日本政府の反論があったからといって、委員会が納得したかといえば全然納得していない。「慰安婦は性奴隷」という主張はすっかり浸透していた。(日本政府の反論後の)委員会の反応はというと、「日本政府は慰安婦を強制していないというが、本人の意思には反していたという。これは矛盾しているだろう。こんな曖昧な立場は慰安婦の名誉を貶め、再び被害者にしている」というものだった。対日審査後の勧告にそう書かれていた。簡単には切り崩せない。委員会の議長はすっかり信じていた性奴隷がそうではないということで、異物を飲まされた感じだった。慰安婦問題は歴史問題でもあるので、事実を主張していればどうにかなるといえば、そうではないと思う。これは情報戦だ。われわれは真実を訴えているが、嘘でもいいから自分たちの都合のいいように広めれば勝ちという情報戦だ。大東亜戦争でも、日本が悪いという情報戦にある意味負けた。戦後も負け続けている。国連を利用した「捏造(ねつぞう)慰安婦」を切り崩さなくてはいけない。どうしたらいいか。外務省を批判するのは簡単だが、官と民でやらなくてはいけないと思う。国連の人権関連委員会は民の出番だ。NGO(非政府組織)は好きなことを発言できる。2016年2月15日から3月4日まで「女子差別撤廃委員会」の対日審査がある。さまざまな女性の人権問題が持ち込まれるが、慰安婦問題が中心となる。日程は国連人権委員会のサイトに発表されている。この対日審査に先立つプレセッション(準備会合)が来年7月27日から31日の間にある。プレセッションは本セッションに向けて、日本政府への質問を検討する場となる。この場に対して何をできるのか。われわれは英文ではあるがリポートを出せる。私たちがこういうことをやっていかなくてはいけない。具体的にやるには、「なでしこアクション」のサイトにまとめているのでみてもらいたい。(http://nadesiko-action.org/?page_id=6865)。何でも先頭に立って水をかきわけるときは重い。でも、後からみんながついてくると、水の流れが大きくなり、うねりが大きくなる。みなさんにリポート出したり、現地に行ったりしてもらいたい。これは左の人たちがずっとやってきたことだ。彼らが20年以上やり続けたことをわれわれが切り崩さなくてはいけない。みなさんがうねりを作っていかなくてはいけない。行動しましょう。
【白石千尋・国際機関職員】
私の勤める国際機関は、多数の国連機関と協力しながら世界140カ国で活動しており、各国の官僚、大臣、また首脳や大統領と緊密に連絡を取り合っている。この職場を「国際関係の縮図」としてみると、日本人の価値観とは違った常識が国際社会にあることに気づく。まず、自虐史観にとらわれた日本と、日本を「普通の国」としてみる世界に乖離(かいり)があるということ。例えて言うと、自虐史観というバケツを頭からかぶり盲目になった日本に中国・南北朝鮮がやじを飛ばしていて、その他の193カ国は遠巻きに見て苦笑している感じだ。日本が憲法9条や非核三原則、専守防衛などを保持し、自分の手足を縛っているのは、国益を追求する「普通の国々」からすると理解できない。彼らは自分たちが奴隷制度や殺戮(さつりく)など、血で血を洗う修羅場をくぐり抜けているので、70年前の戦争が日本の侵略か自衛かなどには全く興味がない。世界の中でも日本の歴史はまれに見る平和国家だ。また、世界の代表には日本の近代史を知らない人も多く、それよりも自国の汚職、貧困、紛争などが喫緊の課題なのだ。日本では中韓の意見が何倍にも誇張して伝えられるため、あたかもそれが全世界の意見かと錯覚するが、それはプロパガンダだ。日本は自虐史観を捨て、普通の国として国体を守り、国益を追求するべきだ。次に申し上げたいことは、国際社会は平和と友好を目指した仲良しクラブではなく、各国の覇権争いの舞台であるということだ。日本の世論は国連を「神聖化」し、「平和で良い国際社会を他国と協力して作っていこう」と考える人が多いが、他の国々にとって国連は自国の国益を推進する「場所」であり、あくまで「道具」でしかない。日本は純粋に平和を望み、国際協力を通して平和の実現を試みているが、他の国は国益を促進する場合に限って平和を支持するだけだ。彼らの目的は国益の追求であり、平和ではない。現に、この7月の国連人権委員会で慰安婦問題が議論されたとき、議長は一方的に中国、韓国、日本の左翼の弁論を擁護し、日本政府の反対意見を検証もせずに糾弾した。国連とは政治的組織であり、真実など追究していない。各国は自分に都合のいい時に国連を使い、自らの立場を正当化させ国際世論を味方につけようとしているだけ。覇権争いの舞台で、これが現実だ。国家間の関係とは、ある意味お互い銃を向け合ってパワーバランスを保っていることだと思う。お互い銃を持っているからこそ戦争をせず話し合いで解決しようとするが、パワーバランスが取れておらず、一方が銃、もう一方が素手である場合、銃を持つ国が素手の国を搾取し、場合によっては殺す。これが過去400年に亘る植民地政策だ。国際社会では今も昔もこれが常識。だから軍事力に裏づけされていない外交は影響力がない。私たち日本人は、もっと国防について真剣に考えるべきだ。「平和・平和」と念仏のように唱え、「銃は使いません。軍隊はもちません」などと宣言しても、他国に襲われる危険を高めるだけだ。 中国・韓国が慰安婦問題を使って日本をゆするが、ある意味それは国際社会では普通の行為。付けこまれる隙を作った日本が悪いのであって、自国を防衛するのは国民と国家の義務。このような認識に基づくと、日本の外交は決定的な間違いを2つ起こしたことがわかる。第一の失敗は、国家間は戦略関係であるにも関わらず、戦略なしの外交を行ったということ。後で説明するが中国の究極の目的は日本の支配であり、慰安婦問題はその手段の一つに過ぎない。それなのに日本は、あたかも個人の関係のように、謝罪して誠意を見せて丸く収めようとする。相手は計算して動いているのに、誠意などというものが通じると考える甘さ。全く思考の次元が違う。謝罪して誠意を見せることは日本では美徳と考えられているが、国際社会では力に屈した弱者の象徴であり、責任を取らされる。謝罪は相手に付け込まれる隙を与えるものなので、普通の国はよっぽどのことがない限り謝罪はしない。日本が謝罪し続けているために、中韓につけ込まれてどんどん批判がエスカレートしている。国際社会では、謝罪は国家の尊厳を傷つけ、英霊を侮辱する行為。日本の謝罪外交は、国際関係の本質を全然わかっていない証拠だ。国際問題の多くは人為的に作られたもので、まず各国は戦略を定め、その目的に応じて問題を起こす。慰安婦問題はいい例だ。2012年11月、モスクワで行われた中国・ロシア・韓国の3カ国による会議で、中国からの参加者は、尖閣諸島(沖縄県石垣市)の奪取を宣言し、その戦略として慰安婦などの歴史問題を使って日本を孤立させ、日米を離反させることを明言した。尖閣・沖縄を中国に支配されると実質的に日本のシーレーンは中国に占領され、本州への攻撃もたやすく日本は中国の属国になりさがるだろう。近年、アメリカ、オーストラリア、カナダなど、日本と防衛協力を推進する国々でで慰安婦像・碑設置の動きが起きている。これらの国の世論を反日に仕向け、日本を国際的に孤立させるのが目的だ。中国の目的は日本を支配すること、そして慰安婦問題はその手段の一つなのだ。日本外交の第二の失敗は、日本の意見を国際世論に訴えなかったこと、世界への情報発信が不十分だった。日米合同であれば中国の侵略を阻止することができるが、日本単独だと中国に負ける。またロシアも味方につけ日米露で中国に対抗すれば、中国は完全に負けるだろう。他国との連帯は一国の安全保障を左右する。だから国際世論を味方につけることが大事だ。その重要な国際世論に対して日本は沈黙や妥協し、中韓の嘘に反論しなかった。反論するどころか30年間にも亘って朝日の捏造を放置し謝罪外交を繰り返してきた。これは世論対策を全く講じなかった証拠だ。だから国際社会が中韓の嘘を信じ、靖国参拝で安倍政権がバッシングされ、日米関係に亀裂が入った。世論は真実を支持するのではなく、拡散された情報を支持するのだ。日本が沈黙するということは、国際社会では「同意」を表す。嘘を暴露し、中韓の信用を失墜することで初めて相手は黙り、世論が日本の味方につく。国益に反したことは徹底的に声高に反対意見を主張しなければならないのだ。日本はどう動くべきか。まず、日本を支援する国際世論を形成するべきだ。それには、欧米・アジアの国々とのコミュニケーションを深め、緊密に連携すること。日本独自の意見をもっと頻繁に世界に発信し、事なかれ主義と決別すること。また、日本の誇りを傷つけるような言動に対しては断固とした対立姿勢を示すべき。そして、プロパガンダ対抗組織をつくり、どんどん真実の歴史書を英訳し海外に拡散すべきだ。また、日本は戦略的外交を強化すべきだ。それには、徹底的に歴史問題を議論して自虐史観を脱却し、国論を一致団結させる。国防についての教育を義務化し、国民全員が国を守るとはどういうことか、真剣に考えるべきだ。国益を見据えた戦略を立て、軍事力を強化し、国際社会の実情をよく認識する必要がある。
【加瀬英明「史実を世界に発信する会」代表、「つくる会」顧問】
福田赳夫内閣で、首相特別顧問の肩書で対米折衝にあたった。最後に同じ肩書をもらって米国と折衝したのは中曽根内閣だった。私は日本外交の第一線に立って闘ったことがある。日本の外交にあたって最も心すべきことが1点ある。私は「ミラーイメージ」という名前をつけているが、これは相手の国も国民も日本人と同じような価値観を持ち、同じように考え、行動するはずだと思い込んでしまうこと。自分の姿を鏡に映して相手と交渉するようなものだ。私は漢籍に親しんでいたので、中国は邪悪な文明であると信じるようになった。1972年に田中角栄内閣のもとで日中国交正常化が行われたときは、雑誌上で猛反対した。日本は米国が中国と外交関係を結んだ後で国交回復すればよかったのだ。当時、日本外務省の幹部の中には中国で学んだ人が少なくなかった。「中国人も同じ人間なんだ。心が通じる」ということを言う人たちばかりだった。しかし、中国人だけではなく、米国人も日本人と全く違う。中国や米国、他国と交渉するときは“鏡”を取り払って、相手にあたらなければいけない。しかし、ミラーイメージは反対の方向にも働く。というのは、日本の文化、日本の歴史と朝鮮や支那、米国などは全く異なっている。しかし、こういった外国の人々は日本も自分たちと同じような歴史を持っているに違いないと思い込んでいる。日本についてよく知らない。日本は奴隷制度がなかった珍しい歴史を持った国だ。また、日本中、どこを探しても大虐殺を行っていない。奴隷という言葉を一つとっても、明治に入ってから一般的に日本語で使われるようになった。それまでは日常的に使われることはなかった。日本の歴史、伝統文化がまったく違った国であることを海外の人に知らせなければいけない。先ほど白石さんが、「海外では謝罪すればその責任を取らされる」といった。日本は和の文化だから、一回わびれば水に流す。日本人はすぐわびる。しかし、海外の人にはなぜだかわからない。海外の人とは共通点が乏しい。このような相手とかけあっているという前提のもとに交渉を行わなければならないことを肝に銘じなければならない。慰安婦問題の主戦場は東京だ。米ワシントンに年に2度通っているが、米政権幹部や議会、シンクタンクの主要な研究員に「慰安婦は職業的な売春婦だった」と話しても、「しかし、日本政府がわびているではないか」といわれる。人類の歴史では戦場と兵士の性処理の問題は常についてまわる。しかし、人類の歴史で一国の政府が罪を認めて謝罪をし、その上、補償したのは日本以外ない。だから、よほど悪いことをしたに違いないと思われる。ワシントンで講演しても、この問題に触れると必ず質問があって、「ここの日本大使が謝罪しているではないか」といわれてしまう。河野談話が出されて以降、一度も日本政府は撤回していない。あるいはただそうとしていない。だから、まだ悪いことを隠しているに違いないともいわれる。本来は主戦場は東京にあるのだ。安倍政権は残念ながら河野談話だけでなく村山富市首相談話も継承していくといっている。なんとかして、河野談話、村山談話を撤回させなければならない。そうなれば、米国における戦いも大切だが、目良先生の戦いも容易になる。日本のためになると思う。(了)