『記者の死が映すロシアの闇』(9/6日経朝刊 坂井光)、『トルコの二の舞になりたくない 米制裁に危機感募らすプーチン政権』(8/31日経ビジネスオンライン 池田元博)、『通貨安がロシア国民を直撃、プーチン人気は揺るがず』(8/20ダイヤモンドオンライン ロイター)について

9/5NHK world<“美著名记者将出书揭露特朗普政府内幕”=米国の著名な記者ボブ・ウッドワードがトランプ政権内の内幕を暴露した本を出版>マテイスが「トランプの理解能力は小学5、6年並」、ケリーは「白痴でどんな説明をしても無駄」と言った内容が書いてあると。勿論両者とも否定、トランプはツイッターで「彼の本は嘘だらけ。大衆を欺こうとしている」と。

https://www3.nhk.or.jp/nhkworld/zh/news/101677/

9/5NHKニュース<幹部が大統領を批判 トランプ政権の内幕描く本 注目集める>

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180905/k10011609851000.html

ボブ・ウッドワードは元WP記者で、ウォーターゲートで共和党のニクソン大統領を辞任に追いやった男です。二匹目の泥鰌と中間選挙で民主党を勝たせるために時期を選んで出版したのでしょう。本来正義を追求するのであれば、民主党とヒラリーのステイール文書とメールサーバー問題の筈です。如何に左翼・民主党と左翼メデイアが狂っているかです。左翼同士連動して動いているのでしょう。日本も同じですが。

9/5希望之声<遏阻中共核野心 川普政府启用“核威慑”策略=中共の核の野心を阻止 トランプ政権は核抑止戦略を採る>中共の絶えざる軍拡と核兵器の充実、世界の公の地域にこれ見よがしに挑戦する態度が脅威を産んでいることに対し、米国国防部は今年2月に核戦略に対して評価し直し、脅威に対する核抑止戦略を提案した。トランプは8月に「2019年国防授権法」に署名し、米軍の現有三位一体(陸海空)の核戦力を現代化することにした。

米国国防省次官のDavid Trachtenbergは「我々は中露と核で何かをしようという事ではなく、共に歩もうとしているだけだ。関心があるのはある部分で彼らの計算を変え、いかなる国でも我が国及びその同盟国に対する攻撃を起こす前に熟慮を促すものである。「核態勢の見直し」報告(NPR)中に「米国は中共に対しての核戦略を定めている。北京が誤って“ある地域で核戦力の優勢を確保出来たら限定的に核の使用も受け入れられる”と結論を出すのを避けるためだ。米国は将来に亘り信頼できる軍事能力を維持し、中共のリーダーが衝突のレベルが上がった時に、+-を意識し、核の使用は割に合わないと思わせることだ。報告の目的は、まず中露やその他の国に対する抑止力を強化することである。次に同盟国を安心させる。これが核態勢の根本且つ重要な面である。同盟国及び友好国は核を持つ必要はない」と述べた。

中共は「核の先制使用はしない」と言っているが、約束を守るかどうかは疑わしい。中共の将軍で、元解放軍反化学兵器学院の副院長だった徐光裕は7年も前から「南華早報」上で驚くべき発言をしていた。「北京は既に米国奇襲計画を定めている」と。

しかし、米国は30年代の英仏の対独宥和政策のようなことはしないだろう。

https://www.soundofhope.org/gb/2018/09/05/n2140470.html

本当に中露はどうしようもない国です。

9/5阿波羅新聞網<海南抗暴喊出“打倒共产党,打倒习XX”口号 太火爆了=海南省で暴力に対抗し”打倒共産党 打倒習XX“のスローガン 燎原の火のように>《南京条約》(アヘン戦争)の賠償金は2100万銀元(換算すると30億人民元)、《下関条約》(日清戦争)の賠償金は二億両の銀(換算すると600億元)、《辛丑条約》(義和団の乱後)の賠償金は4.5億両の銀(換算すると1350億元)、合計すると290億$。600億$の半分も行かない。栄剣は「もし多数の大衆が習の6年の執政に対し、良いという評価を下しても、ばら撒きには殆ど良い話は聞かない。国内では金の循環が足りず、医療、農村教育、年金、食品衛生等、国の資金投入を待っている分野である。しかし、リーダーは国民の艱難を考慮せず、アフリカはおろか金持ち中東の国まで大盤振る舞いし、子が祖父の田を売るのに心を痛めることはない。

“金をばら撒く議論”は止めてくれ。中国の恥である。中国とアフリカのウイン・ウインはこうして作られた

中国・アフリカ協力のキーワードは次の通り。8/28の商務部発表によれば、2017年の中国・アフリカの貿易額は1700億$に達し、2000年の17倍、中国がアフリカに直接投資したのは31億$で2003年の40倍である。

http://www.aboluowang.com/2018/0905/1169261.html

9/6facebook 變態辣椒 投稿

命運共同體,並不包括你——近期舉行的中非合作論壇北京峰會上,習近平出手豪闊,向非洲提供600億美元的援助。習還表示,願同非洲人民共築更加緊密的中非命運共同體。想到最近廣東汕頭水災嚴重,人民等不到政府救援只能組織自救,湖南耒陽等地家長為子女爭取公立學校的教育資格被殘酷鎮壓,我想越來越多人已經認識到了,獨裁者們構築的是他們的命運共同體,“韭菜”們的命運還得靠自己努力。

運命共同体にはあなたは含まれてはいない。北京で最近行われた中国・アフリカ協力首脳会議で、習近平はアフリカへ大盤振る舞いし、600億ドルを支援することとした。習はアフリカの人達に中国とアフリカは緊密な運命共同体を築くべきと表明した。最近の広東の汕頭の洪水の酷さに思いを致すと、人々は政府の救助を待つことができず、自分たちで解決する組織を作らねばならず、 湖南の耒陽市の親は子供の教育のために酷い圧力を受けており、私は益々多くの人が次のことを知ってきていると思っている。「独裁者達が築いているのは彼らの運命共同体であって、“ニラ”達(大衆)の運命はやはり自分の努力によらなければならない」と。

https://www.facebook.com/btlajiao/photos/a.621494207959765/1751737711602070/?type=3&theater

中国の対アフリカ600億$供与について、大衆の怒りは凄まじいものがあります。近藤大介著の『未来の中国年表 超高齢大国でこれから起こること』の77頁に「中国は1割のヨーロッパと9割のアフリカだ」のように出てきます。胡錦濤時代の幹部の話らしいですが、軍拡や世界制覇の野心を持つ前に国内でやるべきことは沢山あるだろうという事です。リーダーだけが幻想にしがみ付いて政治の何たるかが分かっていないのでしょう。まあ、中国の長い歴史の中で、民草に思いを馳せる王はいなかったと思います。尭舜?

坂井氏の記事は、ロシアの闇を伝えています。プーチンのKGB上りの個人的な性格によるものなのか、ロシアの大地に根差す構造的な問題なのか?民主制を取っていても、為政者が自制することを覚えないと真の民主主義にはならないという事でしょう。まあ、米国にもヒラリーや民主党、デイープステートと言った闇がありますが。中共は闇だらけです。

池田氏の記事とロイターの記事を読んで、南シナ海や尖閣に不法占拠や不法侵入を繰り返す、中国にも、関税賦課だけでなく、もっと厳しい制裁をかけるべきではと思いましたが、トランプは中露を分断してとの考えでしょうか?敵を団結させても困るので。

しかし、マテイス解任の噂と金正恩の非核化発言は、米国が北を攻撃しようとしてマテイスが反対しているためではないかという気がします。それで金が焦って言って来たのでは。まあ、金が中国にどう説明するかですが。

坂井記事

7月30日、アフリカ中部の中央アフリカ共和国で、著名なロシア人記者3人が殺害された。彼らが調べていたのはロシアの民間軍事会社ワグネル。プーチン政権の「陰の軍隊」とささやかれ、世界の紛争地で暗躍する雇い兵グループだ。

3人は車に乗っているところを銃撃された。犯人も動機も特定されていない。現地は治安が悪く、強盗との見方もある。ただ、取材を妨害したい政治的な背景が指摘されている。

というのも、同じくワグネルを調査していた記者が、4月にロシア中央部のエカテリンブルクの自宅アパート5階から転落死したばかりだからだ。真相は不明のままだ。

3人を支援していたのは、ロシアの元財閥オーナーであるミハイル・ホドルコフスキー氏。プーチン政権に反旗を翻し、現在は海外からロシアの民主化運動に取り組んでいる。プーチン政権にとっては目障りな存在だ。

ワグネルとみられる活動に光があたったのは2014年のウクライナとの紛争だ。米国務省などによると、ウクライナ東部に派遣され、クリミア半島併合や同国東部の占領作戦に関わった。プーチン大統領は当時「ロシア軍は関与していない」と主張していたが、雇い兵という形で関わっていたことがうかがえる。

その後、ワグネルはシリアに転戦した。親ロシア派のアサド体制支援のために、今春には2千人以上の雇い兵が派遣されたという。18年2月、米軍がシリアで軍事作戦を実施したところ、死者のなかにロシア人が数百人いたことをポンペオ米中央情報局(CIA)長官(当時)が明らかにし、表面化した。

ワグネルの詳細は不明なことが多い。ロシア南部チェチェン共和国など貧しい地方の出身者が雇い兵の多くを占めるとされる。

ロシアのメディアによると、財政面で支援しているのがレストラン経営などで成り上がった実業家のエフゲニー・プリゴジン氏。「プーチン氏の料理人」との異名を持つ大統領の盟友のひとりだ。ワグネルがプーチン政権の意向に沿って活動していると指摘されるゆえんだ。

プリゴジン氏の名前がとどろいたのは18年2月。ロシアは16年の米大統領選に関連して、ソーシャルメディア上でフェイクニュースや政治対立をあおる広告を拡散すると同時に、民主党のクリントン候補のイメージ悪化を狙った情報を流布したとされる。米財務省はその工作を支援したとして、同氏を経済制裁の対象に入れた。

中央アフリカ共和国は政情不安が続く。18年5月にトゥアデラ大統領が訪ロし、プーチン大統領と会談するなど、両国は接近している。プーチン政権が現体制を支援し、武器輸出や金など資源開発の利権獲得を目指していると指摘される。

3人は同国でのワグネルの闇に迫ることはできなかった。しかし、悲劇をきっかけに、ウクライナ、シリア、アフリカなど紛争地域や治安が不安定な地域で、ロシア軍の別動隊が暗躍している実態がクローズアップされることになった。

これらの活動がいずれも和平のためでないことは、現地の状況を見れば明らかだ。情勢を不安定化し、民主主義や市場経済、法の支配といった西側の価値観を揺るがしている。それによりロシアが影響力を及ぼそうとしているかに見える。

ロシアの民主派記者の旗手だったアンナ・ポリトコフスカヤ氏が、モスクワの自宅で銃弾に倒れたのが06年10月。ロシア南部チェチェン共和国での紛争を巡り、プーチン政権の人権侵害などを非難し続けたことが背景だ。

それからまもなく12年。米国に本部がある非営利団体のジャーナリスト保護委員会によると、17年以降、ロシア国内で殺害されたり、不審死を遂げたりしたロシア人記者は3人。いずれも政権に批判的な記事を書いていた。政権によるメディア支配は続く。

人権侵害、サイバー攻撃、さらには陰の軍隊。ロシアが闇のままにしておきたい現実に目を向ける必要がある。

池田記事

クリミア半島の併合、米大統領戦への介入、神経剤を使った襲撃事件への関与、対北朝鮮制裁の決議違反……。米国のトランプ政権がロシアに対する制裁措置を次々と発動している。通貨ルーブルが下落するなど経済への打撃も顕在化しており、プーチン政権は危機感を募らせている。

米の制裁で苦況に立つイランも他人事ではない……。写真はロシアのプーチン大統領(左)とイランのロウハニ大統領(右)(写真:ロイター/アフロ)

「制裁は非生産的で意味がない。とくにロシアのような国に対してはそうだ」――。8月22日、黒海沿岸の保養地ソチで開いたフィンランドのニーニスト大統領との会談後の共同記者会見。プーチン大統領は米トランプ政権が続々と打ち出している対ロ制裁措置を厳しく批判した。

トランプ、プーチン両大統領は7月16日、フィンランドの首都ヘルシンキで実質2回目となる会談を開き、関係改善への意思を首脳間で確認したばかりだ。しかし、その後も米国による対ロ制裁圧力は続き、8月3日には米財務省が北朝鮮の違法な資金取引に関与したとして、ロシアのアグロソユーズ商業銀行などを制裁対象に加えた。

さらに8月8日、こんどは米国務省が米国の安全保障に関わるモノや技術の輸出を禁じることなどを盛り込んだ対ロ制裁を新たに発動すると発表した。こちらは今年3月、英国で起きた神経剤を使ったロシア元情報機関員の暗殺未遂事件を受けたもので、27日に正式に発動された。

米国務省は「ロシア政府が化学兵器を使用した」と断定し、新たな追加制裁を決めた。約3カ月以内にロシアが化学・生物兵器を使用しないと確約して国連などの査察に応じない限り、さらに厳しい措置に踏み切るという。プーチン大統領の発言は、こうした米国の制裁圧力に反発したものだ。

プーチン大統領は、ヘルシンキでのトランプ氏との会談に関しては「有益だったと前向きに評価している」と語る。そのうえで米国の制裁は、米大統領の立場だけでなく「いわゆるエスタブリッシュメント」の意向が反映されていると指摘。ロシア批判の急先鋒(せんぽう)となっている米国の議会勢力や主要メディアなどを暗に非難するとともに、「こうした政策には将来性がない」と彼らがいずれ自覚し、通常の協力を始められるように期待すると述べている。

ヘルシンキでの首脳会談開催を受けて、米ロ関係に変化がみられるようになるか――。会談直後、ロシアの民間の世論調査会社レバダ・センターと政府系の全ロシア世論調査センターがともに国民の意見を聞いている。いずれも「変化なし」と予測する向きが5割前後を占めたものの、関係が「良くなる」と期待する声も少なからずあった。

ヘルシンキ会談後の米ロ関係

トランプ大統領に裏切られた

米トランプ政権による会談後の矢継ぎ早の対ロ制裁は、こうしたロシア国民の期待を裏切ったとみることもできる。それだけにプーチン大統領も国内世論に配慮し、「ロシアには無意味だ」などと言い訳することで、さほど深刻な事態ではないと強調せざるを得なかったようだ。

もちろん、米国による対ロ制裁そのものは決して目新しくはない。「ロシアに冷淡」とされたオバマ前政権も、とくにロシアによるクリミア併合以降、制裁を頻繁に発動していた。米大統領選への介入疑惑をめぐっては、多数のロシア外交官を国外追放したこともあった。

米国の制裁はロシアにとって半ば慣れっこになっているわけだが、トランプ政権下で発動される制裁は、ロシア国内ではオバマ前政権下よりも相当な危機感をもって受け止められているのが実情だ。なぜか。

トランプ大統領は平素、ロシアとの「融和と協調」の必要性を唱えているだけに、“裏切り行為”として倍加してとらえられる面もあるが、ロシアが危機感を抱く理由は別にある。制裁措置の内容が徐々に、ロシア経済を根幹から揺るがしかねない厳しいものになりつつあるからだ。

トランプ政権は今年4月には、昨年8月成立のロシア制裁強化法に基づき、米大統領選への介入やシリアへの武器売却などを根拠に対ロ制裁を発動した。ここでは世界有数のアルミニウム会社「ルサール」などを実質支配する大富豪のオレグ・デリパスカ氏を始め、ロシア経済をけん引する大手新興財閥の経営者らを標的にした。

神経剤を使った英国での襲撃事件への関与を理由に、米国務省が先に打ち出した「米安保に関わるモノや技術の禁輸」措置にしても、厳格に適用されればアエロフロート・ロシア航空の米国内での発着禁止といった深刻な事態に陥る懸念があるという。

さらに、米超党派の上院議員らが準備している新たな対ロ制裁法案では、ロシア国営銀行によるドル決済の禁止、米国民によるロシア国債の取引禁止、ロシアのテロ支援国家の指定まで盛り込んでいるとの情報も伝わってきている。

ロシアの金融市場ではここにきて、米国による一連の制裁圧力を嫌気して株式相場が急落。通貨ルーブルも一時1ドル=70ルーブル近辺まで下落する場面があった。国内の経済専門家の間では「米国の対ロ制裁はロシアの経済成長率を0.5~1.5ポイント押し下げる要因となる」と予測する向きも出ている。

「ロシアにとっては非生産的で意味がない」というプーチン大統領の発言とは裏腹に、ロシア政府も経済・金融界も、米国の制裁がもたらす負の影響を深刻に受け止め始めているのは間違いない。

ロシア、イラン、トルコが「団結」

米国の制裁との関連で、ロシアの専門家が注視している国々がある。トルコとイランだ。

米国のトランプ政権は、米国人牧師がトルコで自宅軟禁となっていることに強い懸念を表明。牧師の釈放を求めて経済制裁を発動した。トルコの閣僚を制裁対象とし、トルコから輸入する特定商品の追加関税率の引き上げも決めた。トルコのエルドアン政権も対抗措置をとっているが、この対立を背景にトルコの通貨リラが急落し、経済が大きく混乱する事態に至っている。

一方、イラン情勢で焦点となっているのは、米国が英仏独中ロとともに結んだイラン核合意から離脱したことだ。トランプ大統領は今年5月、「核合意の交渉内容は非常にお粗末」などと表明して一方的な離脱を宣言。8月にはイランへの経済制裁を再開し、各国企業に自動車や貴金属などの取引停止を求めた。

米政府は11月からは、イラン産原油・天然ガスの取引や金融分野を含む本格的な制裁に踏み切る予定だ。イランではすでに米制裁の影響で通貨が下落、物価も高騰しており、国会が経済財政相を弾劾する騒動も起きている。

ロシアはもともとトルコ、イランと関係が深く、シリア問題では内戦の終結に向けた和平協議を共に進めている。もちろん、米国が制裁をかける理由は異なるが、米国の制裁によって経済苦境に立たされているという点では共通する。ロシアにとっても他人事ではない。

実際、プーチン大統領は8月10日、トルコのエルドアン大統領と電話会談してエネルギー協力などの推進を確認した。その2日後の12日には、カザフスタン西部のアクタウで開かれたカスピ海沿岸5カ国首脳会議の場を使って、プーチン大統領とイランのロウハニ大統領が首脳会談を開いている。

米国をけん制するような協力も顕在化している。

ロシア国営の武器輸出企業ロスオボロンエクスポルトは、ロシア製の最新鋭地対空ミサイルシステム「S400」のトルコへの供給時期を、当初の2020年以降から19年に前倒しすると表明した。米国は北大西洋条約機構(NATO)加盟国であるトルコがロシア製のS400を導入することに再三反対してきた。それだけに、米国への対抗意識をより鮮明にしたともいえる。

また、12日のカスピ海沿岸5カ国首脳会議では、カスピ海の領有権などを定めた「法的地位に関する協定」に署名。1991年末のソ連崩壊後、天然資源の活用などをめぐって長年続いてきた沿岸各国の係争に終止符を打った。

5カ国は旧ソ連のロシア、カザフスタン、トルクメニスタン、アゼルバイジャンの4カ国とイランで構成される。ロシアが主導した今回の合意はカスピ海の豊富な地下資源活用などを促すとみられ、沿岸国にとっては朗報だ。米国が対イラン制裁を再発動した直後だけに、イラン支援の思惑もあるとされている。

ロシア、トルコ、イランの3首脳はさらに9月には、シリア情勢を巡る協議を名目にイランで会談するとの情報もある。3カ国の協調を誇示し、米国に対抗する狙いもあるのだろう。

とはいえ、経済規模で大きく見劣りするロシアが米国の制裁に面と向かって対抗するすべはなく、国際社会の影響力も極めて限定的だ。一方で、とくにトルコとは強権的な統治スタイルで似通う面もあるだけに、米国の目の敵になりやすい。米国が次々と繰り出す制裁措置に戦々恐々とし、「トルコの二の舞にはなりたくない」と願っているのがプーチン政権の本音ではないだろうか。

ロイター記事

8月14日、米国がロシアに追加制裁を加えたことを主因として、ルーブルは7月末からドルに対して10%下落。だが、ロシア国民はルーブル安の背景をよく理解しておらず、大統領は伝統的に批判を受けないと、同国の社会学者は指摘する。写真はロシアのプーチン大統領。ヘルシンキで7月撮影。提供写真(2018年 ロイター/Lehtikuva/Jussi Nukari via REUTERS)

[モスクワ 14日 ロイター] – グラフィックデザイナーのアレクセイ・ニコラエフさん(56)は、ロシアの通貨ルーブルの下落による負担を覚悟している。海外旅行先では購買力が落ち、好きな輸入ワインの値段は上がり、財布のひもを締める必要が出るだろう。

しかし、3月の大統領選でプーチン氏に投票した5600万人の1人である彼は、大統領にその責任があるとは思っていない。

米国がロシアに追加制裁を加えたことを主因として、ルーブルは7月末からドルに対して10%下落した。「辛いし不愉快だが、これで私の政治信条は変わらない。奇妙に聞こえるかもしれないが、かえって確信は強まった。やつら(西側)はロシアを崩壊させようとしている」とニコラエフさんは言う。

世論調査機関レバダ・センターの社会学者、ステパン・ゴンチャロフ氏によると、ニコラエフさんのような考え方はロシア国民に広く共有されている。

「国民はルーブル安の背景をよく理解していないし、大統領は伝統的に批判を受けない」という。

通貨安は西側の陰謀、というストーリーは、通貨リラが過去最低水準に下がったトルコとまったく同じだ。トルコのエルドアン大統領は、同国が経済戦争を仕掛けられていると訴え、国民に米国製品の不買を呼び掛けた。

ルーブル安の影響は既に、一部に出ている。ロシア旅行産業同盟の広報担当、イリナ・トゥリナ氏は、通貨変動によってパック旅行の需要が先週10─15%減少したと説明する。

同氏によると、旅行代金をまだ全額支払っていなかった顧客は、為替レートの変動によって料金が上がることを恐れ、慌てて残りを支払っている。「まだパック旅行を購入していない人々も、再考を迫られている」という。

楽観ムード

にもかかわらず、現時点の状況証拠から察する限り、多くのロシア国民は平然としてるばかりか、挑戦的とも言える姿勢だ。

外務省報道官は先週、対ロシア制裁は同国のウクライナやシリアでの行動とは無関係であり、米国が経済上のライバル国を蹴落とす必要に駆られてやったことだ、と述べた。

長年にわたって国営テレビや大統領府の反西洋的な言論を聞きなれてきた多くの国民の耳に、報道官の言葉はすんなりと受け入れられる。

過去にもっとひどいルーブル安を経験していることからも、一部の国民は今回の下落に驚かず、楽観している。

モスクワに住むゲンナジー・ツルカンさんは「何事も永遠には続かない。物事はうつろうものだ」と、通貨安を意に介していない。

ロシアによるウクライナのクリミア半島併合と経済悪化の影響が重なった2014年の通貨危機の方が、今回よりよほど深刻だった。

当時に比べると、ロシア経済はルーブルの相場変動によってはるかに影響を受けにくくなっている。14年以降、ロシア企業は対外債務を削り、国は西側の債券市場での調達所要額を減らし、ドル建てで決済される品目の輸入も減った。

プーチン大統領の支持率は、なお高水準とはいえここ数ヵ月でやや低下したが、世論調査会社によると、それもルーブル安ではなく不人気な年金改革案が原因とみられている。

グラフィックデザイナーのニコラエフ氏は「飲むワインの種類を変えたり、買う靴を2足から1足に減らさなければならないかもしれない。辛いのは辛いが、大したことはない」と達観している。

(Andrew Osborn記者)

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