10/27日経朝刊<日中協調 経済前面に 通貨交換協定/第三国を開拓 安保は中国が慎重
【北京=原田逸策、永井央紀】26日の日中首脳会談で新たな段階の関係構築を確認した両政府は、経済分野を中心に実務協力を加速させる。対米摩擦を背景に中国が求める第三国市場開拓での連携や金融分野の協力で合意。戦後最悪といわれた状況を正常化させ、「競争から協調」という新たな関係の象徴とする考えだ。ただ安全保障分野は中国側が慎重姿勢を崩さず「半歩前進」にとどまった。(1面参照)
会談を前に握手する安倍首相と中国の習近平国家主席(26日、北京の釣魚台迎賓館)=浦田晃之介撮影
「中日両国はより幅広い共通利益を持つようになっている。中日関係発展を新しい歴史的な方向にしなければならない」。習近平(シー・ジンピン)国家主席は26日、安倍晋三首相との会談の冒頭、こう語りかけて笑みを浮かべた。4年前の安倍首相の訪中時の険しい表情とは一変した。
転機の一帯一路
李克強(リー・クォーチャン)首相も安倍首相と食事を2度ともにするなど、前回に比べて厚遇ぶりは明らか。その成果と言えるのが今回の経済分野での合意案件であり、特に第三国市場開拓では合意事業は52件に上り「事業金額は200億ドル(約2兆2千億円)に達した」(李氏)。
目玉案件はタイの工業団地の再開発だ。エネルギー効率を高めて環境に優しい団地をめざし、共通インフラとなるゴミ処理場やゴミ発電設備の整備で日中が協力する。第三国であるタイのアマタ社も参加し、日中企業の利害を同社が調整する場面もあるとみられる。
背景にあるのは中国が海外でインフラ建設を進める「一帯一路」が曲がり角にあるという事情だ。順法意識の低さ、現地文化への理解の欠如――。中国政府系シンクタンクは海外投資の失敗案件をこう分析する。日本企業が補える部分は少なくない。逆に経営判断の早さ、コストは中国企業が優位だ。
金融協力も新段階に入った。日中の中央銀行は危機時などに人民元と日本円を交換する通貨交換(スワップ)協定の再開で一致した。両国の企業が円や人民元を取れなくなった場合、中央銀行経由で調達できる。
融通額の上限は3兆4千億円(人民元の上限は2千億元)と以前の10倍超に膨らむ。日本企業の人民元調達に万一、支障が出ても、通貨協定があれば日本銀行が最後の貸し手になれる。日本企業が中国事業を拡大しやすい経営環境が整う。
前回の公式訪中となった2011年12月に日中は世界に先駆けて金融協力で合意したが、沖縄県の尖閣諸島(中国名・釣魚島)を巡る問題で棚上げされ、13年には通貨協定も失効。逆に欧米は協力を加速し、日本は周回遅れとなっていた。
「来日時に期待」
日本の幸運はこの7年で中国の金融市場の開放が思ったほど進まなかったこと。米国との貿易戦争で中国は証券や保険でも外資の過半出資を認めた。野村ホールディングスは過半出資する証券子会社の設立を中国当局に申請。日本勢もスタートラインに並んだ。
日中両政府は26日、証券市場を巡る包括協力で合意した。監督当局や市場関係者が参加するフォーラムを毎年開き、実務協力の場とする。上場投資信託(ETF)の相互上場もめざす。
ずらりと並んだ協調案件にも懸念はつきまとう。メンツを重視する中国は合意の数や金額を重視し、実行は二の次になりがちだ。約1年前には米中首脳会談でも巨額商談の調印式があったが、多くは棚上げとなった。
一方、安全保障分野では、中国軍と自衛隊の偶発的衝突を防ぐ「海空連絡メカニズム」をめぐる防衛当局同士の初会合を年内に開くことを確認。火種となっている東シナ海のガス田開発問題は協議の「早期再開」を目指すことで一致し、一定の前進を見せた。
不測の事態が発生した際に防衛当局が連絡を取り合う「ホットライン」開設時期は依然決まらず、ガス田協議への対応も従来から「早期」の文言が加わったにすぎない。日本政府高官は「今回は半歩前進。来年の習近平国家主席の来日時に大きな成果を目指す」と語った。>(以上)
10/27日経朝刊<米、国益反しなければ静観 中国の行動是正へ期待
【ワシントン=永沢毅】トランプ米政権は今回の安倍晋三首相の中国訪問を契機とした日中協力の進展が、中国の行動是正につながるよう期待している。注視しているのは、対中けん制に向けて日本との協力をさらに強化しようとしている経済分野だ。米国の国益に真っ向から反しない限り、日中の接近を問題視しない構えをとっている。
首相は中国の広域経済圏構想「一帯一路」への協力も選択肢に入れる。ユン・スン米スティムソン・センター東アジアプログラム研究員は「一帯一路のプロジェクトを環境に配慮したり、(現地労働者の雇用確保など)社会的に受け入れやすい形にしたりするよう日本が後押しすれば、米国にとって悪い話ではない」と指摘した。
一帯一路はかねて環境保全対策の不備などの問題点が指摘されてきた。首相は26日、日中のインフラ協力については透明性の確保が前提になるとの認識を表明。インド太平洋地域のインフラ整備の支援に向けて米が設けるファンドでも透明性や持続可能な開発を重んじる方針を掲げており、日米の足並みはそろう。
トランプ政権は軍事技術に転用可能なハイテク技術の中国への流出阻止にも腐心している。9月のニューヨークでの日米首脳会談の後にまとめた共同声明では、知的財産の収奪や強制的な技術移転といった第三国による「不公正な貿易慣行」への対処での協力推進をうたった。名指ししてはいないが、中国が念頭にあるのは明らかだ。
米中は経済、安保を含めた幅広い分野で緊張関係にあり、「新冷戦」の瀬戸際に立っている。ペンス米副大統領は4日の講演で「公正かつ互恵主義にのっとった米中関係になるまで(圧力の)手を緩めることはない」と宣言、中国抑止に向けた対抗策をとり続ける方針を表明した。>(以上)
10/27宮崎正弘氏メルマガ<安部訪中、「競合から協調へ」スタンスを本気で変えたのか? 米国メディアは慎重に批判。「危機にヘッジした」とNYタイムズ>「しかし一帯一路への日本の協力に関しては、声明文に明確な付帯条件があって、「ルールに則り、透明性のあるプロジェクトへの協力」となっており、諫言すれば、その両方を欠いている中国の遣り方が続く限り、日本の協力はないという意味に取れる」
http://melma.com/backnumber_45206_6749776/
10/26ZAKZAK<「パンダより尖閣」 安倍首相が中国に通告すべき数々の“事案” 長谷川幸洋氏「直ちに撤退要求を」>
http://www.zakzak.co.jp/soc/news/181026/soc1810260007-n1.html
10/26ZAKZAK<消費増税でまんまと習主席の狙い通りに!? 中国にちやほやされ踊らされる日本の金融エリートたち>
http://www.zakzak.co.jp/eco/news/181026/eco1810260008-n1.html
しかし、日本はどうしてこうも愚かなのでしょうか?反日教育をし、核ミサイルを日本に向けている国に通貨スワップなんて正気の沙汰ではありません。外務省出身の谷内辺りに交渉を任せる所が基本的に間違っています。日本が今回何を得たのか?まさかパンダのリースとでも言うのでしょうか?少なくとも「尖閣は日本の領土」、「日本に照準を合わせた核ミサイルの撤去」を要求したらどうですか。財務省が裏で動いたのでしょうけど。今回は貸付ではありませんが第二の西原借款と同じです。中国の外貨準備は実質底を突いているという時に、助けるなんて利敵行為そのものです。しかし、日本人は中国人の本質が分かっていません。彼らは、約束は相手が守るもので、自分は守らなくて良いという考えの持主です。「騙す方が賢く、騙される方が馬鹿」というものです。日本人は「武士に二言なし」の精神で生きて来ましたから、中国人に利用されるだけです。いい加減、聖徳太子以降の歴史から学ばないと。安倍政権は少なくとも来年の消費税増税は凍結して、財務省にコントロールされていないことを見せたらどうですか。
10/10ブログ「日本と韓国は敵か?味方か?」<#韓国 外交部『南北軍事合意書にアメリカ激怒という日本報道は大嘘!』>
10/23ブログ「日本と韓国は敵か?味方か?」<#韓国 国境地帯非武装化に伴い、米軍ヘリの米軍基地への着陸に北朝鮮の許可を求める事態に。>
http://blog.livedoor.jp/japan_and_korea/archives/77338326.html
左翼と朝鮮人は平気で嘘をつきます。恰も本当のように報道して既成事実化を図ります。日本のメデイアもちょくちょくこの手法を使います。やはり、あらゆる情報は多角的に見て真偽の程を確かめねばならないと思います。
米国は韓国も制裁対象にすれば良いのに。中国同様、第二次制裁を課すことはできるでしょう。日本もそうならないように、充分米国と緊密協議をして、中国と付き合いいませんと。第二次大戦の同盟相手を間違えたことが再現されないようにしませんと。
記事
バチカンで10月18日、ローマ法王(右)と会談した文在寅大統領(写真:ロイター/アフロ)
(前回から読む)
文在寅(ムン・ジェイン)大統領が欧州を訪問、主要国首脳に北朝鮮に対する制裁の緩和を求めた。だが完全に無視され、米韓関係をますます悪化させただけだった。
欧州歴訪は大失敗
鈴置:文在寅大統領の訪欧が大失敗に終わりました。10月13日から21日までフランス、イタリア、ベルギー、デンマークを歴訪。19日にはブリュッセルで開かれたASEM(アジア欧州会合)首脳会議に出席しました。
仏、英、独などの首脳と会談しては強引な理屈をこねて北朝鮮への制裁をやめさせようとしたのです。ハンギョレの「文大統領、英独首脳と会談し『対北制裁の緩和』を公論化」(10月20日、日本語版)から大統領の発言を拾います。
(10月15日、マクロン仏大統領に対し)少なくとも北朝鮮の非核化が後戻りできない段階まで進んだと判断される場合は、国連制裁の緩和を通じて、北朝鮮の非核化をさらに促さなければならない。安保理の常任理事国として、このような役割を果たしてほしい。
(10月19日、メイ英首相に対し)少なくとも北朝鮮が後戻りできないほど非核化を進展させた場合、北朝鮮に対する人道的支援や制裁緩和が必要であり、国連安保理でそのプロセスに関して議論することが必要だ。
無視された屁理屈
—どこが強引なのでしょうか。
鈴置:これだけ聞くともっともらしい。しかし「北朝鮮の後戻りできない非核化」の定義が問題なのです。文在寅大統領はメイ首相に、以下のようにも語りました。ハンギョレの同じ記事から引用します。
北朝鮮は昨年11月以降、核とミサイル実験を中止し、豊渓里(プンゲリ)核実験場の廃棄や東倉里(トンチャンリ)のミサイル実験場と発射台の廃棄を約束したのに続き、米国が相応の措置を取った場合は、プルトニウムの再処理とウラン濃縮核物質を作る寧辺(ヨンビョン)の核施設を放棄する用意があることを明らかにした。
北朝鮮が引き続き非核化措置を推進できるよう、国際社会が国連安保理を中心に促進策に関する知恵を集めなければならない。
文在寅大統領の理屈は「北朝鮮が核・ミサイル実験を中断し、核実験場などの廃棄を約束した」から「北にさらに非核化を推進させるよう、制裁解除を検討しよう」ということです。北朝鮮の口約束を「後戻りできない非核化」に認定してしまったのです。
こんな屁理屈に騙される人はいません。英独仏の首脳は「北朝鮮はCVID(完全かつ検証可能で不可逆的な非核化)のため、より確実な行動を示す必要がある」と口をそろえました。
北朝鮮は核弾頭やミサイルを保有したまま。実験場を廃棄したぐらいで非核化したとは認められない、と文在寅提案を一蹴したのです。
そして10月19日、ASEM首脳会議は「安保理決議に従い、核およびその他の大量破壊兵器、弾道ミサイル及び関連する計画と施設の、完全な、検証可能な、かつ、不可逆的な廃棄を要求」との議長声明を採択しました。
CVIDを強調、文在寅提案などは完全に無視したのです。外務省のサイトで「議長声明のポイント」を読めます。
北の顔色を見るな
—韓国は大恥をかきましたね。
鈴置:ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は「Moon’s Push to Ease North Korea Sanctions Falls flat」(10月19日)との見出しで報じました。
「対北制裁緩和を狙った文のごり押し、完敗で終わる」と酷評したのです。世界で恥をさらした韓国。保守系紙は文在寅外交を痛烈に批判しました。
朝鮮日報は10月22日の社説の見出しを「文大統領の欧州歴訪、事実上の外交事故ではないか」(韓国語版)としました。
「外交事故」とは韓国メディアがしばしば使う表現で、日本語に訳せば「外交上の大チョンボ」といった感じです。ポイントを訳します。
ASEM首脳会談は北朝鮮の核に関し、議長声明で「CVID方式で廃棄するよう」求めた。CVIDの核心は検証だ。北朝鮮はCVIDを極力避けようとする。
我が国の政府はいつの間にかCVIDの代わりに「完全な非核化」だけを言うようになった。「検証」を取り除いたのだ。議長声明に盛り込まれた、北朝鮮の生物化学兵器の廃棄に関しても政府は声をあげたことがない。韓国民の声を韓国政府ではなく、アジアと欧州の首脳が代弁したのである。
文大統領が英仏首脳に対北制裁の緩和を訴えたのは今、国際社会がこの問題をどう見ているかを理解していないからだ。韓国の外交は「南北」に足をとられ、方向感覚を失った。今回の訪欧は事実上の外交事故である。
なお「南北に足をとられ」とあるのは「北朝鮮の顔色を見て」との意味です。朝鮮日報はそこまで露骨に書くのを避けたのでしょう。こう書けば韓国人なら誰でも「忖度外交」の意味と分かりますし。
姑息な文在寅外交
—他の保守系紙も批判しましたか?
鈴置:もちろんです。東亜日報も社説「欧州のCVIDの壁にぶつかった『制裁緩和』、遅れる北朝鮮核の時刻表」(10月22日、日本語版)で「文在寅政権の姑息な手法」を非難しました。
文氏は9日間の欧州歴訪で、北朝鮮に対する制裁緩和の必要性を繰り返し強調した。大統領府は「制裁緩和を公論化する成果があった」と評価するが、実際はCCVIDに対する欧州諸国の明確な意思を確認し、壁にぶつかったと見るのが正しいだろう。
もし非核化促進に向けてある程度の制裁緩和が避けられないと判断したとすれば、米国と膝を突き合わせて協議して説得し、北朝鮮の誤った判断と非核化意思の後退を最小化する戦略を設けるべきだった。他の安保理理事国に対して公開的に「反制裁連合戦線」を構築しようとする外交の動きを見せたことは適切でなかった。
米国は対北制裁を緩和しようとする韓国の動きを苦々しく見ています。トランプ大統領自身が警告を発したほどです(「『言うことを聞け』と文在寅を叱ったトランプ」参照)。
そこで文在寅政権は欧州を説得することで、制裁緩和に応じない米国を孤立させる作戦に出た――と東亜日報は読んだのです。もちろん、そんな稚拙な小陰謀はたちどころに頓挫しました。
そのうえ米国の怒りに油を注ぎましたし、世界をして「韓国は北朝鮮の核武装を幇助するつもりだな」と疑わせるに至りました。
今や文在寅政権は、北が開発した核を分けて貰う作戦に出ていると見なされ始めています。詳しくは『米韓同盟消滅』の第1章第4節をご覧下さい。
米国を怒らせる姑息なやり方は、南北関係にも悪い影響――例えば、年内に予定される金正恩(キム・ジョンウン)委員長の訪韓計画も危くすると東亜日報の社説は指摘しました。
非核化が少しも履行されていない状態での正恩氏のソウル訪問に対して賛否の論議を激しくする可能性がある。南北関係は非核化に関係なく動いてはならず、そうすることもできない。
問題をすり替えた左派系紙
—ハンギョレは?
鈴置:さすがに左派系紙も「成功」とは書けませんでした。そこで「バチカン訪問では大成果をあげた」と話をすり替えたのです。ハンギョレの10月21日の社説の見出しは「文大統領の欧州歴訪、最大の成果は『ローマ法王の訪朝受諾』」でした。
文大統領の歴訪の最大の成果はフランシスコ法王の北朝鮮訪問受諾を勝ち取ったことだった。世界12億人のカトリック世界の精神的な指導者であり、平和と和解の象徴である法王は18日、法王庁での文大統領との単独面談で「(金正恩委員長からの)招待状が来たら無条件で受け、行くことができる」と快諾した。
ローマ法王の訪朝は南北朝鮮が画策。「金正恩委員長が望んでいる」と文在寅大統領が広報しています。「北朝鮮は普通の国」とのイメージを世界に広めるのが狙いです。そうなれば国連の制裁も緩和しやすくなるし、非核化圧力も弱まると踏んでいるのでしょう。
もっとも、法王が本当に訪朝を受諾したのかははなはだ怪しい。朝鮮日報は「イタリア語で語った法王の訪朝関連答弁は英語で言えば『available』」(10月20日、韓国語版)で以下のように指摘しました。
青瓦台(大統領府)と与党は法王訪朝を既成事実化した発言を繰り返している。だが、法王が平壌訪問に関して語った言葉は英語で言えば「available(可能だ)」との意味だ。原則論として答えたに過ぎない。
米政府系のVOAはさらにはっきりと「訪朝」を否定しました。「法王庁『訪朝の口頭要請は受けたが、多くは語っていない』」(10月20日、韓国語版、談話部分は英語)で、法王庁報道官の発言を伝えたのです。
From the Vatican side, we have not said a lot, although we did confirm that an invitation arrived orally.
「口頭での訪問招請は受けたが、法王庁としては多くを語ってない」つまりは「訪朝するとは言っていない」と述べたのです。
実際、法王庁の文在寅大統領との接見に関する発表(10月18日、英語)は、訪朝には全く触れていません。
なぜ「話を盛った」のか
—韓国政府が話を盛ったのですね。
鈴置:そう見るのが普通でしょう。
—なぜ、すぐにばれる嘘をついたのですか。
鈴置:すぐにばれようが、法王訪朝が北朝鮮の意向である以上、強引に推し進めるしかなかったのでしょう、韓国としては。
制裁解除も同じことです。核廃棄も進まないうちから制裁解除を言っても、欧州が「そうですね」と受け入れるわけがない。それは韓国政府も分かっていたと思われます。しかし、北の指令である以上は実行せねばならなかったのでしょう。
—文在寅政権は金正恩委員長の言いなりですね。
鈴置:青瓦台の中枢部は北朝鮮こそが民族の正統性を維持していると信じる人々が占めています。彼らにとって北の指示は絶対なのです。
朝鮮日報は「『運動家の青瓦台』…秘書官クラス以上の36%が学生運動・市民団体の出身」(8月8日、韓国語版)で「青瓦台・秘書室の秘書官クラス以上の参謀陣のうち、学生運動出身者と各種市民団体の出身者が61%(19人)に達する」と報じています(「北朝鮮の核武装を望む韓国」参照)。
9月18日の南北首脳会談は平壌の朝鮮労働党本部庁舎で開かれました。「労働党のソウル支部長である文在寅が、労働党の最高指導者である金正恩委員長から本部に呼びつけられたも同然」と苦々しげに表現する保守派もいます。
米軍機関紙も「不仲」
—でも、こんなことを続けていれば、韓国は北朝鮮の使い走りと世界中から見切られてしまいます。
鈴置:その通りです。9月18日の南北首脳会談で米国に断りなく飛行禁止区域を定めたため、米国は烈火のごとく怒りました。米軍機関紙の星条旗紙は「Rare public discord between US, S. Korea raises concern about rift」(10月14日)との見出しで、はっきりと「米韓の不仲が表面化」と書きました。
9月下旬の国連総会への出席を期に、文在寅大統領は米国で「金正恩の首席報道官」と見なされるようになりました(「『北朝鮮の使い走り』と米国で見切られた文在寅」参照)。
さらに10月10日、康京和(カン・ギョンファ)外交部長官が北朝鮮への制裁解除方針を打ち出したため、米韓関係は完全におかしくなってしまいました(「『言うことを聞け』と文在寅を叱ったトランプ」参照)。
そして今や、欧州を抱き込んでの米国孤立作戦。文在寅政権の暴走は止まりません。もう確信犯です。「北朝鮮と手を組んでどこが悪いか」と本性を現わしたのです。
韓国の保守派の中には「そのうちに『北が核武装してどこが悪い』と文在寅政権が言い出すのではないか」とハラハラして見ている人もいます。
予想外に厳しい経済難?
—異様ですね。
鈴置:北朝鮮の経済難が外から見ていた以上に深刻で、今年の冬を越せないからではないか、との見方が急浮上しています。
2017年10月以降にさらに厳しくなった国連による経済制裁の効果が出て、食糧、エネルギー、外貨の不足に北は悩んでいる。下手すると体制を揺るがす騒動が起きかねない。
そこでなりふり構わず韓国に制裁解除の旗を振らせている、との見方です。もう先がない以上、今、韓国を使い殺しても仕方ない、と判断したのかもしれません。
(次回に続く)
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