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奄美に昨日着きました。
2/19日経ビジネスオンライン 長尾賢『100隻の艦艇集め国際観艦式をしたモディの意図』について
日米豪印で中国の軍事膨張を封じ込めなければなりません。中国は西沙諸島に地対空ミサイルを配備しました。米軍の南沙・西沙諸島での「航行の自由」作戦は、国際法上の「無害通航」に当たり、領海12海里内でも軍事や経済活動などをしない場合には通航が認められる権利を行使したものです。腰が引けている話です。公海であれば軍事演習も可能でしょうに、それをせず、領海とかの説明では恰も人工島が中国の領土と認めているようなもの。オバマの宥和政策が中国を増長させ、好き勝手にさせています。来年1月20日の新大統領就任までに、中国は取れるものは取って置こうと思っています。豪印には「そうりゅう」型潜水艦をブラックボックス化して、供与して中国潜水艦に対抗できるようにした方が良いです。また台・比・越にも軍事協力していくべきです。
中国は直接武力に訴えるのではなく、三戦(心理戦・世論戦・法律戦)で勝利することを考えています。敵国の国民に中国の武力の凄さをアピール(空母遼寧を見ればどの程度かは想像できますが、一般国民は朝日新聞に代表されるアカ新聞のプロパガンダに騙されます)したり、国際的に日本の非道徳性(慰安婦・南京虐殺・今「正定事件」をバチカンに訴えている、総て捏造したもの)を訴えたり、中国の国内法で勝手に領土・領海にしたり、国家安全法や反スパイ法を制定して、外国人・外国企業にも適用したりしています。日本もやられ放しでなく、国際司法裁判所に提訴するようなことも考えて対抗していかないと。
記事
インドが2月4~8日、インド海軍だけでなく50カ国の艦艇や代表が参加する国際観艦式を実施した。2隻の空母を含む約100隻の艦艇と45機の航空機が参加する大パレードだ(公式サイトには写真やビデオがある)。もちろん、日本も招待され、海上幕僚長と護衛艦の両方が参加した。
インドが15年ぶりに国際観艦式を主催した(写真:AP/アフロ)
100隻を集める国際観艦式の挙行は多額の予算と労力を要する。世界最大の海軍である米海軍でも、約300隻の艦艇しか保有していない。比較的大きい海上自衛隊やインド海軍でも約140隻程度だ。そこから100隻を集める。このため、インドが国際観艦式を行うのは2001年以来15年ぶりのことである。
なぜ今年、再び行ったのか。それは日本の安全保障にどのような影響を与えるのか、本稿で分析する。
海軍の活動を活発化
昨今、インドは海洋を目指している。それは海軍に対する予算配分の変化を見れば明らかだ。インドの国防費における海軍予算のシェアは、1990年の12%から2015年の16%へと増加している。それも、インドの国防費全体を増やしている上でのことだから、大きな変化だ(図1)。
図1:インドの国防費推移 出所:Ministry of Defence, Government of India, Annual Reportより作成
海洋に対するインドの考え方の変化は、ナレンドラ・モディ政権下でさらに加速している。モディ首相の下で、インド海軍は世界の40カ国以上を訪問しているのだ(注1)。以前にはない活発な動きだ。訪問先は西から順に欧州、アフリカ、中東、インド洋の島嶼諸国、東南アジア、オーストラリア、日本そして米国と、インドから遠く離れた地域にまで及ぶ(図2)。
図2:モディ政権になってからインド海軍艦艇が訪問した国々(橙色)
さらに、2016年に入ってから、インドは空母を外国に派遣するようになった。インドの新しい空母ヴィクラマディティアは、1月にスリランカを、2月にはモルディブを訪問している(関連記事:インドの新しい空母が持つ戦略的意味)。
インド洋沿岸各国に対して、哨戒艦艇、航空機、レーダーを供与するとともに、要員の訓練も行っている。
そして、昨年12月にインドの国防相が訪米した際には、中国が飛行場建設を進める南シナ海において、米印両海軍が共同パトロールを行うことについて話し合ったようだ(注2)。実施される可能性は現時点では低い。だが、検討している以上、選択肢の一つになっている。
インドの国際観艦式は、このような情勢の中で開かれた。海洋の大国であることを世界に示そうという、インドの強い意志が込められているとみてよい。
(注1)長尾賢「活動範囲を拡大するインド海軍:日本にとっての意味」『勃興するインド-日印協力のアジェンダ-』(東京財団)2015年10月7日
(注2)Sanjeev Miglani , “Exclusive: U.S. and India consider joint patrols in South China Sea – U.S. official” (Reutor, 10 Feb 2016)
中国の影に危機感を募らせるインド
インドがこうした動きを進める背景には何があるのか。やはり中国のインド洋進出が関係しているとみられる。インド海軍の艦艇が訪問した40カ国以上の国々を詳細に見てみると、日本、米国、オーストラリア、東南アジア諸国の大半を訪問しているにもかかわらず、中国を訪問していない。
実は、モディ政権より前の政権は、インド海軍の艦艇に日本を訪問させる時には中国も訪問させていた。しかし、昨年10月に訪日したインド海軍の艦艇は日本、韓国、フィリピン、ベトナムは訪問したが、それだけでインドに帰ってしまった。
今回の国際観艦式には中国も招待しているから、ある程度の配慮はしている。だが、前の政権に比べれば、モディ政権は明らかに中国を警戒しており、それがインド海軍の動きに反映されているとみられる。
中国がインド洋で進める3つの展開策
実際、中国海軍によるインド洋進出は非常に活発化している。中国の活動は大きく3つに分けられる。第1は、インド周辺の国々で進める港湾建設だ。これらの港湾を地図上に描いて結ぶと、インド亜大陸に真珠の首飾りをかけているように見えることから「真珠の首飾り戦略」と呼ばれる。インドは、これらの民生用の港が中国海軍の拠点として使用されることを懸念している。
2つ目は中国海軍そのもののインド洋展開だ。中国はインドが懸念している通り、インドの周辺国に艦艇を寄港させ始めている。2014年にはスリランカに2度、中国の潜水艦が寄港。2015年にはパキスタンにも中国の潜水艦が寄港した。今年1月末には中国の3隻の軍艦がスリランカを訪問し、そのままバングラデシュも訪問した。中国艦隊がバングラデシュを訪問するのは初めてのことだ。
こうした動きは、インドの周辺だけでなく、インド洋全域でみられるようになっている。特にソマリア沖の海賊対策に派遣された中国艦隊には、海賊対策のほかに別の目的があるようだ。2014年、中国は海賊対策のために潜水艦を派遣した。潜水艦は海賊対策には不向きだ。海賊対策を口実にして、インド洋に海軍力を展開し、情報収集や訓練にあたっているものとみられる。
海賊対策に従事する中国の艦隊は当初、補給のためにセイシェルに寄港していた。それが今度は、ジブチに基地を設置する。中国にとって、インド洋沿岸で初めての海軍拠点になりそうだ。
中国がバングラデシュやスリランカにも武器を輸出
3つ目は武器輸出である。中国はインド周辺国に向けた武器輸出を熱心に進めている。パキスタンに4隻のフリゲート艦を輸出し、さらに8隻の潜水艦を輸出することを決めた。バングラデシュにも、2隻のフリゲート艦を輸出済み。さらに2隻の潜水艦を輸出しようと積極的に動いている。中国とパキスタンが共同開発した戦闘機をスリランカに売却することも決めた。
インドは、バングラデシュとスリランカに圧力をかけ、これらの計画を撤回させようと試みている。実際スリランカは、中パが共同開発した戦闘機の購入計画を撤回し、代わりに、インドの国産戦闘機の購入を検討中だ(図3)。
図3:インド洋における中国の海洋関連活動
このようにインド洋における中国の海洋進出は、かなり活発になっている。インドが何もしなければ、その存在感は弱まっていくだろう。インドは、海洋においても大国であるとの強い意志を示し、中国の影響力を抑えたい。そのために国際観艦式を行い、空母を派遣して力を示すと同時に、武器や訓練を供与し、寛容なリーダーとして認められるよう努力している。そして、特に南シナ海における活動は、中国のインド洋進出に対するインド式の「返礼」、駆け引きのための重要なカードとなっているのだ。
インドは海洋国家になれるか
だが、問題はインドの実力だ。インドは本当に強力な海洋国家になることができるだろうか。この疑問を解くカギは、シーパワーの研究者であるアルフレッド・テイアー・マハンの研究の中にあるかもしれない。マハンは、シーパワーに影響を与える要素として、地政学的位置、海岸線の長さと港湾、それを守る海軍力、海で働く人の人口、国民性、政府の政策などを挙げている(注3)。これらの要素をみると、インドにはシーパワーとしての高い潜在性が認められる。
(注3)アルフレッド・T・マハン著、北村謙一訳『マハン 海上権力史』(原書房、2008年)47~126ページ。
まず地政学的位置だ。インドはそもそも大陸国家なのかというと、若干の違和感を覚える。高い山脈によってユーラシア大陸から切り離された地域だからだ。それを示すのは、かつてインドを治めた王朝の影響圏の範囲である。
現在のインドとその周辺を統一した王朝はマウリヤ朝、ムガル帝国、英領インドの3つだけだ。この3つが影響を及ぼした範囲は似通っていて、南アジアからほとんど出ていない。
原因の一つは地理である。インドは、ヒマラヤ山脈をはじめとする高い山脈に周囲を囲まれている。標高の低い地域から高い地域へと攻め上がっていくのは、戦闘面でも補給面でも難しいため、南アジアを超えた遠方に領土を広げることは困難だった。つまり、インドはユーラシア大陸とほぼ切り離された「島国」なのである(図4)。
図4:インドの王朝の影響範囲 出所:長尾賢「インドは脅威か?」『政治学論集』第25号、2012年(学習院大学大学院政治学研究科)1~15ページ
ただし、インドには別の歴史がある。チョーラ朝だ。欧州諸国が十字軍を派遣していた中世のころ、インド南部のチョーラ朝は強力な海軍力を保有し、インド洋沿岸から東南アジアまでを影響下に収めていた。チョーラ朝の歴史は、インドに海洋国家としての素地があることを示している。インド洋を通じて、東南アジア、中東、アフリカへと遠征することが可能だ。
海岸線は7500km、船員は5万5000人
ほかの要素も、インドが海洋国家となる素地があることを裏付けている。その海岸線は7500kmに及び、多くの港湾を有している。インド洋の沿岸国の中で圧倒的に巨大な海軍も保有している。
船員の数も多い。世界に散らばって働いているインド人船員を集めれば5万5000人規模となり、これは世界6位の人数である。しかも、インドでは、エネルギー需要が増大するのに伴って、海洋の重要性について理解を深めつつある。インド政府が海軍重視に政策の舵を切っているのは、前述の通りだ。つまり、インドは、マハンの言うシーパワーとしての潜在性があり、その能力を徐々に開花させ始めているのだ。
公文書『インド海洋軍事戦略』には次のような文言がある。「インドは発展を続けている国だ。つまり『明日』は『今日』よりも良いだろう」(注4)。インドの海洋国家としての潜在性を見る限り、大きく外れた言葉ではない。
(注4)この翻訳は、長尾賢『検証インドの軍事戦略-緊張する周辺国とのパワーバランス―』(ミネルヴァ書房、2015年)312ページによる。
日米印連携は日本の国益になる
インドが海軍力を強化すべく積極的に動いている現状は、日本にとってどのような意味を持つのだろうか。中国が海洋進出を進めるインド洋には、日本のシーレーンが通っている。中東から日本へ石油を運び、また、貿易するルートだ。中国との安全保障上の懸念を抱える日本にとって、インド洋におけるシーレーン防衛は気になるところだ。だから、2001年以来14年以上、海上自衛隊の艦艇や航空機を派遣し続けてきたのである。
しかし、日本がインド洋でできることには限界がある。米海軍に期待するところもあるが、この25年の間に艦艇数を半減させており、あまり余裕がない。
だから、毎年海軍予算を増やし続けているインド海軍との協力に期待が集まる。インド洋で日米が果たすべき役割を、少しでも多くインドが肩代わりしてくれれば、日米はそれだけ東シナ海、南シナ海に戦力を集中できるからだ。
このような事情を背景に、米国はインドに最新型の対潜水艦用哨戒機を輸出。さらに、インドが進める原子力空母ヴィシャルの建造も支援し始めた。米国は、インドが進める原子力潜水艦の建造計画に対する支援も検討し始めている。日本もUS-2救難飛行艇の輸出交渉を進めるとともに、インドが求めているそうりゅう型潜水艦などの輸出についても真剣に検討するべき時期が近付いているといえよう。
2/18日経ビジネスオンライン 山田泰司『家政婦は見た! 中国経済の異変 不景気で減る仕事 帰省できず爆竹禁止でたまる鬱憤』について
「举报有奖」と写真にありますが、これは密告の勧めです。違反者を当局に通知すれば、報奨金を出すとの意味です。ネットの「五毛党」以外の世界にも、共産党は監視強化の政策を採り入れたのでしょう。文革の時にも密告を奨励し、林彪の亡命用の飛行機が落ちたのは(撃墜されたのでは?)、自分の娘の林立衡から密告され、亡命が発覚したからだという話もあります。中国は監視社会です。日本の人権派弁護士は中国や朝鮮半島が好きなようですが、日本をこんな社会にしたいと思っているのでしょうか?何が人権派かと言いたい。
春節の爆竹・花火の禁止は習がクーデターの勃発を恐れたからでしょう。音が凄いので、銃や爆発物の音と紛らわしくなるからです。習はそれだけ、軍を押えきれていないという事です。
農民工の出稼ぎが無いなんてことは過去の8年間の駐在時代(1997~2005)には聞いたことがなかったです。中産階級が増えて、保姆(=家政婦)を頼む人が増え、中国の不景気がトリクルダウンの逆バージョンで農民工にも来ている構図では。中国経済の崩壊はこれからが本番と言う予兆のようなものでしょう。中国の発表する数字は信用できません。都合の悪いときには10倍~100倍くらいに数字を水増ししますので。
中国に投資している人は回収すべきです。
記事
爆竹・花火禁止を呼びかける横断幕やポスターが年の瀬の町の至る所に掲げられた(上海市内)
「爆買いはもう終了」、との声もありつつ、この春節(旧正月)も大勢の観光客が日本各地を訪れ旺盛な消費力を見せつけた。一方、中国国内、それも私の生活する上海市内に目を転じてみると、今年の春節は気になる2つの変化が見られた。1つは春節の風物詩とも言える花火と爆竹の禁止。もう1つは春節にも帰省せず上海にとどまる家政婦など出稼ぎ労働者が増えたことである。中でも帰省しない家政婦の一件は、中国経済の変調をうかがわせる、気になる現象である。
中国に来たことのない人でもニュース映像などで一度は見たことがあるのではないかと思うが、中国の春節を象徴するものの一つに、人々が爆竹を鳴らし花火を打ち上げることがある。春節の休暇期間を通じて、昼夜問わずに町のそこかしこから爆竹や花火の音が聞こえるのだが、ピークは3回ある。除夕(大晦日)から初一(春節初日)に日付が切り替わる前後の1時間、お金の神様である財神が天から地上に降臨するのをお迎えする日とされる初五(春節5日目)の未明、そして春節休暇が終わりを告げる春節15日目の元宵の夜がそれで、上海中の市民が同時多発的に一斉に鳴らすため、家の中で目の前にいる相手の声が聞き取りにくいほどの爆音と、朦々たる煙に町が包まれる。
ところが今年は、大気汚染のこれ以上の悪化を食い止めることを目的に、大都市を中心にこれを禁止する土地が続出した。上海でも中心部を取り巻く環状線の内側での打ち上げが禁止された。
日本人の想像を絶する中国人の爆竹好き
中国人は、春節に帰省すること、そして家族で爆竹を鳴らすことを人生の楽しみに、そして励みにして暮らしているようなところがある。
私はこれまで、何度も中国で春節を過ごしたが、帰省はともかく、大人になってまで爆竹を鳴らすことの何がそんなに楽しいのか、残念ながら今に至るまで、実感としては皆目分からないでいる。ただ、私が初めて中国に暮らし始めた1988年、新卒で大学の教師になった人の初任給が70元(現在のレートで約1260円)だった時代に、春節の花火と爆竹に費やす金額が1家族あたり200元(3600円)にもなるという話を聞いて、驚き呆れると同時に、爆竹を鳴らすのは中国人にとって、よく分からないけれども、とにかく特別なことなのだなということは感じた。現在でも、500~1000元(9000~1万8000円)程度は使うようである。
私は昨年、河南省の辺境にある農村地帯から上海に出てきて廃品回収をしている友人が帰省するのに合わせて彼の自宅にお邪魔し春節を過ごしたのだが、やはり大量に買い込んだ爆竹と花火を納屋にしまい込んでいた。そこで、何がそんなに楽しいのかと単刀直入に聞いてみると、40代の友人はきょとんとした顔で、「因為、開心嘛」(だって、楽しいじゃん)と答えた。理屈抜きで楽しい、という意味である。中国人にとって、爆竹や花火は体の深いところに訴えかける何かがあって、ストレスも何もかもを吹き飛ばす効果があるのだろう。
「自首」「通報」町に溢れる寒々しい言葉
その爆竹が大都市の多くで禁止された。上海では年の瀬から至る所に禁止を告げるポスターや横断幕が掲げられ、「違反を通報すれば報償」「違法行為を発見したらすぐ119番に通報せよ」「隠している者は自首を奨励する」といった寒々しい言葉が師走の町に溢れかえった。爆竹・花火打ち上げの3つのピークの中でも特に激しい年越しの夜に上海当局は、監視のために警察やボランティアを動員したのだが、その数なんと30万人と言うから驚く。私の住むアパートの入り口にも、年越しの夜は数人の警官が張り付いていた。その甲斐あってか見事に爆竹や花火の音は聞こえなかった。
ところで、過去数年にわたり反腐敗による幹部の摘発が相次ぐ中、春節の爆竹に対する厳しい締め付けが行われたことで、「まるで文化大革命の時代が戻ってきたようだ」、といった批評を、日本のネットや報道で見かけることがある。「通報」「自主」などという言葉の羅列を町中で目の当たりにすると、確かにいい気持ちはしない。ただ、文革のまっただ中に生きた中国人に話を聞くと、「文革時代に似てるというのはさすがに大げさ」という反応があることを伝えておきたいと思う。
北京で新聞記者の家庭に生まれたという60代のある女性は、文革のさなか両親の勤めていた新聞社の社宅のアパートに住んでいたが、「『今日は何号棟から同僚が飛び降りた』『昨日は何号棟から飛び降りた』というような話が毎日のようにあった。地獄だった」と当時を振り返る。
農村に溢れる習近平夫妻のポスターの意味
やはり文革当時、天津で幼少年時代を過ごした50代のある男性は、遊び場にしていた近所の雑木林で時々、死んだ人間が転がっていたのを鮮明に覚えているという。「子供のころ、死体を見るのは特別なことでもなかった」。この男性が生まれたのは日本で東京オリンピックが開かれた1964年。私は彼の1つ年下だが、これまで目にした死体は、亡くなった自分の祖父だけである。
中国の国や人の行動や言動を見て「どうして中国はこうなのかな」と理解に苦しむことも少なくない。ただ、同時代に生まれながら、幼少期に見たもの聞いたもの触れたものがまるで違うということを知ると、思考や価値観が違うこと自体は当然だということには得心がいく。
この春節、私が訪れた安徽省の農村部にある石畳が美しいある古村落では、自宅の目立つところに習近平国家主席のポスターを貼っている家が目立った。どこで買うのと尋ねると、村の書店で売っているとのこと。この様子を見て私も、「農村では習近平に対する個人崇拝が進んでいるのかな」ということがチラリと頭をかすめた。ただ、その村に住む20代の友人は、「お正月に指導者のポスターを買って飾るのは特に珍しいことではない」と言う。そうなのか、でも、日本に安倍晋三と夫人のポスターなんて、書店はおろかどこにも売ってないよと話したら、彼女は「へえ、そうなの」と、とても意外だという顔をしていた。
春節の農村部で多数見かけた習近平夫妻のポスター
中国人の自宅に国家主席とファーストレディーのポスターなどがペタペタと貼ってあるのを見ると思わずギョッとしてしまうが、話を聞いて実態を知ると、特に意味があることではなかったりもする。何をもって中国を理解するかというのは、なかなかに難しい話である。
去年の11月から急減した仕事
さて、春節を目前に控えた1月末のある日。「明日帰省しちゃうからその前にウチにゴハンを食べに来て」と同世代の友人夫婦が誘ってくれた。安徽省の農村から上海に出稼ぎに来ているハンさん夫妻である。夫は再開発に伴う建物の取り壊しの現場で肉体労働、妻は富裕層から上位中間層の家で家政婦をしている。
彼らに会うのは3カ月ぶり。昨年10月に結婚した次男夫妻に子供ができたと嬉しいニュースを聞かせてくれたのだが、どことなく浮かない顔をしている。次男の嫁を「ちょっとかんしゃく持ちね」と評していたので、嫁姑問題でも勃発しているのかと尋ねると、「そんなことじゃないよ!」と笑いながら手を振り、しかしすぐに笑顔を引っ込めて、「仕事が減っているのよ」と言う。
ハンさんは、息子が結婚するのでその準備に1カ月ほど仕事を休んで帰省した。働きぶりが真面目で料理も上手なハンさんは売れっ子で、多いときには固定客だけで8軒を掛け持ちし、1カ月に過去最高で1万元(約18万円)、平均でも8000元(15万円)と、大卒サラリーマン顔負けの月収を稼ぎ出している。
「だから、1カ月ぐらい休んでも、お客さんはすぐに取り戻せると高をくくっていたの。ところが11月に上海に戻ってみると、完全に状況が変わっていた。家事を頼むお金持ちが、減っていたのよ」と言うのだ。
仕事が減っているのはやはり景気が悪くなっているから? と尋ねると、「家政婦仲間ではそういう認識。掃除だけ頼まれていた家から仕事を打ち切られたとか、掃除と食事の準備を頼まれていた家から『食事だけでいいわ』と言われたとか。そんな話がこの2カ月で急に増えた」。ハンさん自身も、最高で8軒あった固定客は2軒に減った。「いくら1カ月休んでいたからといって、2軒から増やせないとは思いもしなかった。次男が結婚して初めての春節だから、両親として帰省してくるお嫁さんを実家で迎えないわけにはいかない。でも、上海に残って少しでも稼ぎたいというのが本音よ」。
ハンさんの夫も、上海の都心部に取り壊すべき物件がほとんど無くなり仕事が減ったため、この数カ月はつてを頼って、富裕層を中心に広がり始めた床暖房の敷設工事をやり始めた。だが、解体の仕事が毎日あったころの月収には届かない状況が続いているという。
「仕事奪われるの怖い」 帰省できない出稼ぎ層
仕事が減っていると証言する家政婦はハンさんだけではない。やはり安徽省の農村出身で、シングルマザーとして4歳の一人娘を育てているチョウさんもその1人だ。チョウさんは、過去2年、スマートフォンやパソコンが日本でも人気の台湾メーカーの上海工場で夜勤の仕事をしていたが、夜中に12時間働いても月収が4000元(7万2000円)に満たないため、週末に家政婦をして家計の足しにしていた。ところが、過去2年は2軒あった得意先が、昨年の11月から1軒に減ったのだという。「切る理由は言われなかったけど、景気が悪くなったことが関係しているのは間違いないと思う」。危機感を覚えたチョウさんは、今年の春節は子供だけを帰省させ、自分は上海に残って家政婦の口を探すことにした。ただ、結果は、「1軒も見つからなかった」とチョウさんは不安そうな顔で唇をかんだ。
上海のメディア『東方網』は2月4日付で、今年の春節は家政婦の時給が50元(900円)と通常の25元(450円)の倍になったと報じている。これだけを見ると家政婦は売り手市場のように思えるが、チョウさんは、「ひとくちに家政婦といっても、料理、洗濯、掃除など家事の需要と、老人や身障者の介護、乳児や子供の世話の需要に分かれる。今年、春節の相場が倍になったのは、家政婦がいなければ家族が本当に困ってしまう介護の家政婦の方。家事だけなら同じ25元のままでしたよ」と実情を語る。
先に紹介した習近平夫妻のポスターを自宅に貼る家々がある安徽省の古村落から上海に出稼ぎに来て家政婦をして10年目になるというオウさんも、「春節は、去年までなら上海に戻るのは、早くても法定休日最終日の初六(春節6日目)。長いときには元宵節(春節15日目)まで田舎の自宅にいた。でも今年は初四(春節4日目)には上海に戻る」と言う。例年より前倒しで仕事を再開する訳を尋ねると、「景気が悪くなって仕事が減り始めていることを心配して、今年は春節に帰省しない家政婦が多いと聞いたから。他人に仕事を取られると困る。私は今のお得意さんとは長い付き合いだが、安心はできない。仕事が減れば、音楽大学に通う子供に仕送りをするのも苦しくなる」。
田舎の自宅に残って米を作り、農閑期には荷役をして現金を稼いでいるワンさんの夫が、妻や子供と顔を合わすのはこの10年間、春節に家族が帰省した時だけ。ワンさん夫妻にとって今年は、たった4日間の夫婦水入らずの時間となった。
さらに身近なところでは、上海にある私の団地のご近所さんも、今年の春節は外地に出稼ぎに行っているご主人が帰省してこなかった。隣人夫婦は江蘇省の出身だが、既に身寄りがいないため故郷には帰省せず、夫婦の自宅があり妻が働く上海で春節を過ごすのを常としていた。ところが今年はご主人が戻らない。今年はご主人が帰ってこないんですね? とも聞けずにいたが、「わが団地の情報通」と自他共に認める16号棟のオバハンが私を目ざとく見つけてすり寄ってきて、「ご近所さんと麻雀して聞いたんだけどね、アンタのお隣さんのダンナ、稼ぎが悪くて今年は春節に戻ってこられないらしいよ」と耳打ちした。私は陰でなんと言われているのだろう。ヤレヤレ、である。
強引な政策は危機感の表れ
ともあれ、不景気の影響で、出稼ぎの人々の仕事が減り始めているのは間違いないことのようである。これが春節前後だけのことであれば、日本をはじめとする海外に爆買いツアーに出かけるからその間、家政婦は不要、ということも考えられるし、実際、そういう理由も一部にはあるのだろう。ただ、家政婦たちは「11月ごろから仕事が減り始めた」と口を揃える。日本での買いっぷりを見ていると気付き難いが、景気の悪化は爆買い客の主体である富裕層、上位中間層よりも、彼らにサービスを提供する出稼ぎ層に一足先に忍び寄り始めたようだ。
さらなる景気悪化の懸念が叫ばれる中、気になる現象ではある。ただ救いは、春節の爆竹禁止が都市部だけにとどまり、出稼ぎ層の帰省先である地方の小都市や村落には適用されなかったことだろうか。私が訪れた安徽省の農村でも、早朝5時ごろから深夜2時ごろまで、村人たちが連日、盛大に花火や爆竹を鳴らしていた。それでも、現地の夜空は、星に手が届きそうなほど澄み渡っていた。
高度成長を享受するという点において、出稼ぎ層は、都市出身者に比べ確実に見劣りする。家政婦をしている人で日本に爆買いツアーに出かけたことがあるという人に、少なくとも私はまだ、お目にかかったことはない。その彼らが、何よりも楽しみにしている帰省先での春節の爆竹と花火を禁止されとしたなら、鬱憤は確実にたまることだろう。
いや、今年は上海に居残りせざるを得ず、爆竹もできずに鬱憤をためた出稼ぎの人々が、昨年よりも確実に増えたはずだ。爆竹・花火の禁止を聞いたときには、大気汚染解消にはそれよりも先にやることがいくらでもあるだろうと突っ込みを入れたくなったものだ。ただ、市民の鬱憤が確実にたまるだろうことを承知で禁止に踏み切ったのは、景気と汚染の状態が、それだけ抜き差しならないところに来ていることを認識した当局の危機感の表れなのだろう。

















