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1/11産経ニュース 正論 渡辺利夫『自縄自縛の歴史解釈から脱し、中韓の理不尽な主張に究明された事実発信で対抗せよ』について

一昨日、官邸に韓国の通貨スワップ反対のメールを送りました。

「日韓通貨スワップに反対の件

1/11韓国の次期経済副首相兼企画財政部長官に指名された柳一鎬氏が「日本との通貨交換(スワップ)再開など、通貨スワップの拡大を考慮することがきる」と国会で述べたとのこと。借りる方が偉そうに言うこと自体この民族の特殊性を表しています。事実無根の従軍慰安婦問題を世界に喧伝してきた国です。また竹島を不法占拠し、共産中国に擦り寄った裏切り者です。こういう国は痛い目に合わせないと分からないのです。日本は軍事的・経済的支援をする理由がありません。韓国も日本を敵国と位置づけしているのですから日本も同じ考えで臨まないと。さんざん悪態をついてきたのに、困ったときだけ助けてくれとは虫が良すぎです。これをやれば参院選(場合によっては衆参同時)で自民党はボロ負けするでしょう。昨年末の慰安婦合意の上に通貨スワップまですれば。自覚して政策を決めていってほしい。」と。

1/14の日経では

「日韓・日中、通貨協定に再開機運 関係改善など背景に

日本と韓国、日本と中国の間で金融危機の際に米ドルなどを相互に融通しあう「通貨交換協定」の復活に向けた機運が高まってきた。最近の外交関係の改善と金融市場の動揺が背景だ。両国とは昨年に財務相などが参加する財務対話を再開。通貨協定が復活すれば、経済外交の正常化のシンボルにもなりうる。

currency swap

 「日本との通貨交換協定の再開など、協定の拡大を考える価値がある」。韓国の柳一鎬(ユ・イルホ)次期副首相兼企画財政相は11日、同国国会の人事聴聞会でこう述べた。日韓は領土や歴史認識の問題をめぐって外交関係が悪化し、通貨協定を15年2月に打ち切った。だが昨年末に最大の懸案だった慰安婦問題が進展。次期財政相の発言は「日韓関係の改善を象徴している」(国際金融筋)との見方がある。

 米国の利上げに伴う金融市場の動揺に備える意味も大きい。韓国銀行(中央銀行)によると、通貨が暴落した際にドル売り介入に使える同国の外貨準備高は15年12月末時点で3679億ドルと5年間で約26%増えた。ただ柳氏は「(米利上げの)影響は限定的だが、対策を立てなければならない」と指摘。その選択肢の一つが日本との通貨協定の再締結というわけだ。

 日本政府はこれまでの協定交渉と同様に「韓国側からの要請が必要」という立場を崩していない。次期財政相の発言はあくまでも韓国内での発言にすぎず、日本への要請とはいえない。ドル・ウォン相場は足元で1ドル=1200ウォン台前半と約5年半ぶりのウォン安水準に下落している。一時はウォン高で国内産業が疲弊していただけに、ウォン高につながりやすい通貨協定に前向きな財政相の発言については「真意を見極める必要がある」(日本の財務省幹部)と様子見ムードが漂う。

 1年以上前から交渉を続けている中国との通貨協定にも再締結に向けて前進する可能性が高まっている。日本は16年の主要7カ国(G7)、中国は20カ国・地域(G20)の議長国同士で幅広い経済連携を検討していく方針だ。中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)と日本が大株主のアジア開発銀行(ADB)がインフラ投資でも連携を探る。市場では「日本との協定締結は人民元の国際的な地位をさらに高めることになる」(SMBC日興証券の肖敏捷氏)との意見もある。

 日中韓は自由貿易協定(FTA)交渉を加速するなど外交関係の改善をテコに経済関係では緊密化を目指す動きが目立つ。ただ中国とは南沙諸島の問題など新たな外交上の懸念もある。歴史や領土問題をにらみながらの経済外交が続きそうだ。

 ▼通貨交換協定 2つ以上の政府がそれぞれの外貨準備を使い、資金(主に米ドル)を融通し合う取り決め。通貨の急落などの金融危機に備える仕組みで、通貨スワップ協定とも呼ぶ。金融危機が起こった国では貿易決済や為替介入に必要な外貨が不足する場合がある。同協定を結んだ相手国がこのような国に外貨を貸し出し、為替市場の安定につなげる。」とありました。

日経は中韓を側面から支援しているようなものです。彼らの言うことを鵜呑みにすれば、必ず失敗します。日経は中国進出をあれだけ煽り、中国経済が崩壊直前でも、自分の責任については頬かむりです。マスメデイアの特質で「他人に厳しく、自分に甘い」です。

1/14ZAKZAKによれば「日韓、通貨交換協定を再開へ 政府、韓国の正式要請が前提 中国景気の後退リスクに対応

日本政府は、緊急時に通貨を融通し合う「通貨スワップ(交換)」の日韓協定について、韓国政府から正式要請があれば再締結に応じる方針を固めた。日本政府高官が13日、明らかにした。北朝鮮の核開発問題や中国景気の悪化など安全保障と経済の両面で不安要素を抱える東アジア地域の安定に向け、正式要請には応じるべきだと判断した。再締結が実現すれば、協定は昨年2月以来となる。
 日本政府は、中国の景気後退が韓国経済に大きな影響を与えるリスクがあるため、国境を超えた景気悪化の連鎖を防ぐには通貨スワップ協定が有効だと判断した。韓国で経済危機が発生し米ドルや日本円が不足したときに、日本が通貨を融通し経済の安定化を図る。
 日本政府は、韓国政府から協定再開の申し入れを受けてから、融通枠の上限額などを検討する。協議がまとまれば国際会議に合わせた財務相会談や首脳会談などでの調印式も検討する。
 通貨スワップ協定は、経済力のある国が周辺国を支援する側面が強く、日韓間の場合は日本が韓国を支援する形となる。
 日韓両政府は平成13年に通貨スワップ協定を締結。23年には欧州債務危機を受けて融通枠を最大の700億ドルまで拡大した。
 しかし、24年に当時の李明博大統領が竹島(島根県隠岐の島町)に上陸するなど日韓関係が冷え込んだ影響を受けて規模が縮小。協定期限を迎えた昨年2月、韓国側から延長要請がなかったため終了した。

ただ、昨年10月には日本経済団体連合会に対し、韓国の全国経済人連合会が再開を呼び掛けていた。

 日韓両政府が慰安婦問題で合意したことから、北朝鮮の核実験への対応などで「スムーズな日韓連携が可能になった」(首相官邸筋)とされる。日本政府にとって、歴史認識問題で中国の習近平国家主席と共闘してきた韓国の朴槿恵大統領との距離を通貨スワップ協定による支援でさらに縮める狙いもある。

 ただ、官邸サイドは韓国の非公式による再開打診に応じる気はなく、公式な要請を待つ考えだ。」

とありました。財務省がわざと流している可能性もあります。衆参同時選で安倍内閣が消費税増税見送りさせないようにいろいろ動いている可能性もあります。或はアメリカの要請かもしれませんが。

政府もキチンとした外交をしてほしい。中韓とも敵国です。敵が弱っているのに助ければ、相手を余計に増長させるだけです。「敵に塩を送る」のが通用するのは日本人同士の時だけです。常に相手を騙そうと思っている民族には通用しません。

南京虐殺は政府の責任でキチンと反論すべきです。中国の記憶遺産登録を奇貨として、「災い転じて福となす」とすれば良いでしょう。

記事

 去年は戦後70年だった。9月には「中国人民抗日戦争・世界反ファシズム戦争勝利70周年記念式典」なるものが北京で開催、大規模な軍事パレードが挙行された。天安門の楼上でパレードを見守る習近平国家主席をプーチン露大統領、朴槿恵韓国大統領、潘基文国連事務総長らが取り巻く異様な光景であった。

 ≪中韓で再生産される過去の記憶≫

 個人の人生においても国家の歴史においても凄惨(せいさん)なできごとが時に起こりうる。戦争はその最たるものであろう。しかし、戦争の悲劇も時間の経過とともに人間の記憶からは次第に薄らぎ、やがて消滅していくというのが人生の真実であり歴史の経験則である。ところが、中国や韓国では時の流れとともに過去の痛ましい記憶がいよいよ鮮やかなものとして再生産されている。

 戦争がいかに悲惨であっても、当事国がいつまでも啀(いが)み合っているわけにはいかない。勝者と敗者の間で戦争処理のための条件交渉がなされ、国際条約を結んで新しい国家関係を出発させるというのも歴史の経験則である。

 事実、日韓では1965年の基本条約や請求権協定が合意され、日中では72年の共同声明を経て78年に平和友好条約が締結された。前者では韓国の日本に対する請求権の一切が「完全かつ最終的な解決」をみたことが文書化され、後者では「主権及び領土保全の相互尊重、相互不可侵、内政に対する相互不干渉」が明記された。

≪わだかまり残った70年談話≫

 これで戦前戦中期の日韓間、日中間の懸案は、もちろん双方に少なくない不満を残しながらも、条約という形式に則(のっと)って決着したのである。慰安婦問題、靖国問題、歴史教科書問題などの提起は条約からの完全なる逸脱である。

 昨年8月14日には安倍晋三首相による戦後70年談話が発表された。評価はさまざまであったが、概(おおむ)ね国内では好意的に受け止められ、中韓からの反発も厳しくはなかった。私も談話が発表される以上はこれで致し方ないのかと考えもしたが、その一方で、そもそもなぜ一国の一首相、一内閣が自国の歴史解釈を表明してみせねばならないのか、これが歴史に対する誠実な向かい方なのかという思いをなお消すことができない。

 戦後50年の村山談話があまりにも自虐的な史観に立って自国を貶めたことへの慚愧の思いを安倍首相は抱いてきたのだろう。安倍談話が村山談話というテキストの書き換え、つまりは「上書き」を意図したのであれば、それはそれで意味があったことかもしれない。しかし、上書きは成功したのか。

 安倍談話の文書作成に先だち、首相は16人の有識者から成る「21世紀構想懇談会」を組成し、その報告書が談話より前の8月6日に公表された。報告書は断定的な文言をもってこう記す。

 「日本は満州事変以後、大陸への侵略を拡大し、第一次大戦後の民族自決、戦争違法化、民主化、経済的発展主義という流れから逸脱して、世界の大勢を見失い、無謀な戦争でアジアを中心とする諸国に多くの被害を与えた」。文中の「侵略」については複数の委員から次のような異議が唱えられたと注記されている。「(1)国際法上『侵略』の定義が定まっていないこと(2)歴史的に考察しても、満州事変以後を『侵略』と断定する事に異論があること(3)他国が同様の行為を実施していた中、日本の行為だけを『侵略』と断定することに抵抗がある」

 まっとうな異論である。注記で済ましていい話ではない。事実認識と歴史認識の根幹にかかわる異論である。ならば報告書があのように断定的な表現であっていいはずがない。談話作成に際して安倍首相は「自縄自縛」に陥ってしまったのではないか。

 ≪究明された事実を発信せよ≫

 談話では「事変、侵略、戦争。いかなる武力の威嚇や行使も、国際紛争を解決する手段としては、もう二度と用いてはならない」と述べた。自縄自縛から辛くも逃げたかの感があるが、よく読めば「もう二度と」とある。歴史をこんな言い逃れで弄ぶようなことはもうよしにしようではないか。

 戦争とは参戦国の錯綜する利害から成る多元連立方程式である。一国の行為のみを取り上げて糾弾できるほど単純な構図では描けない。万が一、往時の日本の戦争が侵略であったとしても「自存は単に国家の権利であるだけではなく、同時にその最高の義務であり、他のあらゆる義務はこの自存の権利および義務に隷属する」とパール判決書にはある。

 戦後70年が終わり、年も改まった。中国や韓国の理不尽な主張には、過去の条約を誠実に守るべきこと、真実は事実の中にのみ宿るという精神に立ち、究明された事実を粛々と発信することに徹しようではないか。南京虐殺の一大プロパガンダが始まっている。これに抗するには検証された事実をもってする以外にはないのだから。

1/12日経ビジネスオンライン 重村智計『「水爆実験」は、金正恩の訪中実現のため』、1/13日経電子版 中沢克二『“水爆” 毛沢東まねる金正恩氏、狙いは対米正常化』について

1/13日経には「オバマ米大統領は12日(日本時間13日)、議会の上下両院合同本会議で内政・外交の施政方針を包括的に示す一般教書演説をした。「米国民と同盟国を守るために必要であれば単独でも行動する」と明言した。4度目の核実験を強行した北朝鮮などを念頭に日韓両国など同盟国への脅威が差し迫った場合の米側の決意を示したものだ。」とありました。NPT体制が崩壊するのを恐れているのでしょう。国連の安全保障理事会も戦争を止めることはできません。ただ、北朝鮮には言えても、中国・ロシアに向かって本当にその通り行動するかは分かりません。ニュークリアシエアリングを米国と結べば良いのですが。ただ、そうすると平気で裏切る韓国も日本と同じということで強請るでしょう。朝鮮民族は本当に扱いにくいです。

今回の爆発は重村氏の言うように水爆ではないでしょう。確かに、米中が北朝鮮を甘やかし、何もしてこなかった咎めが出ています。時間の利益は核開発している北朝鮮にあります。中国が今回何もしなければ、味方に引き寄せて来た韓国が離れていく可能性もあります。THAADも配備されるかも知れません。習近平は内憂(権力闘争)外患(北朝鮮、米国による封じ込め)で苦境にあります。中国も金正恩のやる事は読めないのでは。これで自由主義陣営(日米+韓)の結束が固まり、中国には痛手になりました。

中沢氏の見方は驚きでした。世上、金正恩は金日成の真似をしていると伝えられているのに、毛沢東を真似ているとは。確かに両者とも徹底的に無慈悲です。独裁者の典型です。人の命を何とも思わないタイプです。習近平も毛沢東の真似をしていると言われていますが、流石に政敵の薄熙来や周永康を死刑にはしていません。その点で、張成沢を死刑にした金正恩の方が毛沢東の衣鉢を継ぐのに相応しいと言えるかも。人類にとっては不幸なことですが。習近平がどのように出るのか、本当に見物です。

重村記事

Korean student's demo against experiment of hydorogen bomb

北朝鮮の「水爆実験」に抗議して、韓国の学生がデモを行った(写真:AP/アフロ)

 北朝鮮が1月6日、「水爆実験」を行った。なぜ今、行ったのか。何のために行ったのか。本当に水爆なのか。盛んに議論されている。

 最初の2つの疑問には、来る5月に開催が予定されている、36年ぶりの朝鮮労働党大会が大きく関係している。党大会は、北朝鮮では歴史的な行事で、この成否が体制の行方を決める。金正恩第一書記の頭には現在、党大会の準備と成功しかない。そして、党大会を成功させるためには、金正恩第一書記の訪中と習近平国家主席との首脳会談が必須となる。これらを実現するための交渉ツールが今回の「水爆実験」だった。

年7000万円の国家予算では水爆は作れない

 まずは水爆だったのかどうかについてみよう。

 韓国の情報機関と専門家、米政府関係者は「(北朝鮮は)水爆が作れるほどの技術を持っていない」「爆発が小さすぎる、ブースト型核分裂爆弾ではないか」との疑問を示している。ブースト型核分裂弾は、水素爆弾ほどではないが、核爆発を拡大できる「水爆まがい」の技術だ。

 開発資金の面から見ても、北朝鮮が水爆を製造するのは難しい。水爆を製造するには1兆円を超える資金が必要と指摘される。北朝鮮の国家予算は、公式の為替レートを適用すると約7000万円程度しかない。

 水爆ではないという事実は、実は、北朝鮮の公式声明の中で明らかにされていた。政府声明は、次のように述べている。「我々は新しく開発された試験用水爆の技術的諸元(諸要素)が正確であることを完全に実証し、小型化された水爆の威力を科学的に証明した」。

 声明は「試験用水爆」との表現を使っており、今回の実験が「完成した水爆」ではなく「試験」段階でしかない事実を認めている。今回の核爆弾を、朝鮮語では「水爆」と表現することにする、というトリックを使ったわけだ。北朝鮮の技術者は正直なのか、あるいは「水爆でない」とバレるのを見越して、言い訳できる余地を残したのか。

 なぜ、こうしたトリックを使ってまで「水爆」と発表したのか。単なる「核爆発」では、国連安保理決議違反になり、国際社会の厳しい批判と新たな制裁を招くだけだ。米国や中国、日本と韓国が大きな衝撃を受けることはない。

 「水爆」と発表することでこれらの国々に衝撃を与え、中朝首脳会談を実現するとともに米国を対話に引き込む。恒例の「瀬戸際外交」を展開したわけだ。もしこの駆け引きに失敗しても、「水爆実験」ならば、指導者の「偉大な業績」として国内で宣伝することができる。

 さらに、関係者によると、新たな核実験を求める軍の意向に金正恩第一書記は逆らえない事情があるという。裏読みすると、金正恩第一書記は軍を完全には掌握できていないことになる。

党大会の成功には中朝首脳会談が必要

 北朝鮮は、1980年以来、労働党大会を一度も開催できていない。社会主義国としては、異常な事態だ。労働党大会は、最高意思決定機関である。当初の党規約は、5年に一度開催することを規定していた。

なぜ開催できなかったのか。その理由は明らかではないが、金正恩第一書記の父である金正日総書記の施政方針と関連していると見ることができる。金正日総書記は党の関与を弱体化させ軍主導の政治を行った。金正日時代は、軍が党を無視する事態が継続した。

 金正恩第一書記は、この軍事優先の政治を、労働党が優先する本来の権限行使状態に変えようとしている。だが、これを実現するのは容易なことではない。軍事優先のシステムは、20年も続いてきた。軍は多くの利権を獲得し、党の人事に関与した。これを党優先の政治システムに切り替えるには、党大会による決定がどうしても必要だ。

 一方、党大会を成功させるためには、食糧難の解消や国民生活の好転が必要となる。それには、金正恩第一書記が訪中し、習近平国家主席との中朝首脳会談を実現する必要がある。習近平国家主席が労働党大会に出席すれば、党大会は大成功となり、指導者の偉大な業績として評価される。

モランボン楽団のドタキャンも水爆が原因

 北朝鮮は「水爆実験」の当日、異例の報道を行った。国営朝鮮中央テレビが、「水爆実験」の命令書に金正恩第一書記が署名する様子を放映したのだ。昨年12月15日と今年1月3日の2回にわたり、同書記が命令書に署名したと明らかにした。

 北朝鮮が過去の核実験において、こうした経緯を明らかにしたことはない。この報道には、明らかに目的と意図があったと考えられる。北朝鮮の報道は、厳しく規制されている。宣伝工作の一環と位置づけられており、報道には隠れた真実がある。

 昨年12月の命令書は、今年5月の労働党大会に言及するとともに、わざわざ「2016年の壮大な除幕を爆音とともに行うことで、全世界が(北朝鮮)を仰ぎ見るようにせよ」に書いてあると伝えた。「水爆実験」と党大会が関連することの証の一つである。1月3日の命令書には、「党中央は水素爆弾実験を承認する。2016年1月6日に断行する」と金正恩第一書記が自筆で署名した。

 この報道で重要なのは、「12月15日」「1月3日」という日付である。北朝鮮が「水爆実験」を実施する原因は中国にあると述べていることになるからだ。

 実験に至る経緯は、次のようなものだった。まず、朝鮮中央放送が12月10日、「金正恩第一書記が、(北朝鮮は)核爆弾、水素爆弾の巨大な爆発音を響かせられる強大な核保有国となったと述べられた」と報じた。中国はこれに激怒した。核実験とミサイル発射を中止すれば、金正恩第一書記に訪中の招待状を送り、経済支援も再開すると北朝鮮に伝えていたからだ。

 実はこの日、金正恩お気に入りの女性音楽グループ「モランボン楽団」が北京入りしている。12日に公演する予定だった。各国メディアは、「中朝の関係改善の象徴」と報道した。ところが同楽団は、12日の朝に金正恩第一書記の命令で突然帰国。中朝関係が悪化していることが明らかになった。

 公演は、なぜドタキャンされたのか。北京に在住する北朝鮮関係者によると、公演には習近平国家主席ら最高幹部が出席すると期待された。ところが、水爆発言に怒った中国側が「指導部は出席できない」と伝えてきた。これを受けて金正恩第一書記は、同楽団に帰国を命じた。

 中国指導部はその後も、同書記の訪中に関する交渉に応じなかった。「党大会前に訪中し、偉大な成果を宣伝する」という金正恩第一書記の計画が、崩壊したわけだ。

 北朝鮮の労働党機関紙「労働新聞」は、金正恩第一書記が12月15日に水爆実験の命令書に署名をした後、12月17日と23日の2回にわたり、同第一書記による「水爆発言」を報道した。「このままでは、水爆実験をしますよ」と中国を脅し、譲歩を求めた様子がうかがえる。「水爆実験」の署名に関する報道は、この経過を示唆し、「責任は中国にある」と非難しているわけだ。中国は、なんとも子供じみた対応だと受け止めたことだろう。

 金正日時代にも、指導者お気に入りの楽団を訪中直前に派遣したことがあった。この時、中国の指導者は、公演に出席し、写真撮影をして歓待した。北朝鮮の外交関係者によると、金正恩第一書記はこの前例にならって中朝関係の改善を実現し、訪中を実現するつもりでいた。

米中の甘い対応が「成功体験」に

 金正恩第一書記は、指導者に就任して以来一度も中国を訪問していない。中朝首脳会談も実現していない。5月の党大会を盛り上げるためには、訪中と首脳会談がどうしても必要だ。首脳会談が実現すれば、中国から石油や食料などの大規模援助を期待することができる。党大会を成功させるには、この援助が必要だ。

 北朝鮮はこれまでの経験から、中国は核実験やミサイル発射に当初は反発するものの、やがては関係改善に応じると見ている。米国の大統領も、任期最後の年になると、北朝鮮問題で成果を上げようとして、対話に応じてきた。

 この「成功体験」が、北朝鮮を「水爆事件」に踏み切らせたわけだ。

 だが、金正日時代と現在では、中国と北朝鮮の国力に天と地ほどの差がある。北朝鮮の国内総生産(GDP)は最大でも3兆円しかないと韓国銀行は推測している。一方、中国のGDPは1300兆円を超える。この数字は、中国が決断すれば、北朝鮮の指導体制が弱体化し、やがて崩壊に向かう可能性を物語っている。

 金正恩第一書記はこの現実を理解できず、父親時代の感覚のまま「水爆もどき実験」を命令し、習近平国家主席の怒りを買った。金正恩第一書記は、中国と国際社会で尊敬されていない。歴史はいずれ、「水爆実験」が北朝鮮崩壊につながった、と記録するかもしれない。

中沢記事

ちょうど1年前、中国国家主席、習近平は北京の人民大会堂で、中国の「水爆の父」として有名な老科学者に国家最高科学技術賞を授与していた。水爆実験を実施した毛沢東時代には機密保持のため名前が伏せらていた于敏(89)である。そして、この1月11日、朝鮮中央通信は、北朝鮮の第1書記、金正恩が「水爆実験に寄与した」とする核科学者らを朝鮮労働党中央委員会庁舎に招き、記念撮影をしたと伝えた。

Mao ze dong's picture

毛沢東は文革中でも核開発などは着々と進めさせた

 「金正恩は中国の過去の道を同じようにたどるつもりだろう」

 「金正恩は毛沢東を意識している。毛は文化大革命(1966~76年)の動乱期でさえ核開発にこだわり続けた」

 中国と北朝鮮の動きを大陸でウオッチする関係者らの指摘だ。金正恩が毛沢東を戦略・戦術をまねている、と耳にすると、あの斬新な髪形まで毛を倣っているような気がしてくるから不思議だ。

 

■東京五輪中に中国が初の核実験

 約半世紀の隔たりがある中朝の核開発を振り返ってみよう。

中国
1964年 初の核実験 「核実験は世界平和の維持への巨大な貢献だ」
 67年 初の水爆実験 「中国核兵器の新たな飛躍。毛沢東思想の偉大な勝利だ」
 70年 初の衛星打ち上げ成功 「衛星は東方紅(毛沢東をたたえる歌)を放送している」
北朝鮮
2006年 初の核実験 「核実験は朝鮮半島と周辺地域の平和と安定の維持に貢献する」
09年 “衛星”と称するミサイル発射 「衛星から金日成将軍の歌、金正日将軍の歌が電送されている」
16年 1月6日 “水爆実験成功”と発表 「5千年の民族の歴史に特筆すべき大きな出来事が起き、天地を揺るがしている。水爆まで保有した核保有国の前列に堂々と立った」

 北朝鮮が水爆実験に本当に成功したかは別として、半世紀を経た両国の発表内容は驚くほど似る。中国は1964年10月、東京オリンピックの最中にあえて初の核実験に踏み切った。日本国内でも放射性物質が確認された。東京には各国要人、選手が集まっていたが、中華人民共和国は蚊帳の外だった。

 67年には水爆実験。1990年代まで中国が40回以上も実験を繰り返した場所は、スウェーデン生まれの地理学者、スヴェン・ヘディンが「さまよえる湖」の謎解明に取り組んだ新疆ウイグル自治区のロプノール周辺である。「楼蘭の美女」のミイラ発見でも知られるシルクロードの一角だ。

大阪で万国博覧会が開催中だった70年、中国は人工衛星を打ち上げた。中国内では衛星が発する「東方紅」の曲がラジオから流れ、北京はお祭り騒ぎに。中国の示威行為だった。中国は国際的に孤立していた。今、北朝鮮が置かれている環境に極めて似ていた。

■水爆実験5年後にニクソン訪中

 中国に核開発の力がなかった時代、毛沢東は、米国などの核兵器を「張り子の虎」と呼び、虚勢を張った。だが、朝鮮戦争(50~53年)などで現実的に米国による核攻撃の瀬戸際に立たされると、自らの核開発にまい進する。

 60年代には、文化大革命の混乱に関係なく、核開発計画だけは着々と動いていた。当時、中国では、将来を見据えた潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)「巨浪1号」の開発も本格化した。

 毛沢東が喉から手が出るほど欲した「両弾一星」は、原爆、水爆と人工衛星(核運搬手段としてのミサイル技術)を指す。中国は70年までにいわば「三種の神器」を獲得し、対米交渉力を格段に強めた。密使となったキッシンジャーとの秘密交渉を経て、歴史的な米大統領、ニクソンの訪中が72年に実現する。中国の水爆実験の僅か5年後だった。

 中国は、対立していたソ連に対抗する手段として、当時は禁じ手と思えた米国と組む道を選んだ。続いて日本も中国と国交を正常化し、国際情勢は激変した。

 金正恩の狙いも対米交渉にある。その先には日本との国交正常化も見据えているだろう。とにかく危機をあおって米国の注意を引きつけ、最後は米朝交渉→国交正常化で現体制の保障を勝ち取りたい。金正恩にとって米軍のB52戦略爆撃機が核兵器を積んで韓国上空を飛んだり、日米韓の外交・安全保障上の結束が強まったりするのは、狙い通りかもしれない。

 そしてもう一つ。叔父まで粛清し、死刑としてしまった金正恩の恐るべき手法も毛沢東を想起させる。「大躍進」の失敗などで地位が揺らいだ毛沢東は、奪権のため国家主席だった劉少奇まで死に追いやった。

 毛沢東の文革的な方法で反腐敗運動を推し進める習近平でも、前最高指導部メンバーの周永康を無期懲役としたものの、死刑にはしていない。あくまで「ミニ文革」にとどまっている。現在の北朝鮮では、文革に似た事象が進行しているとの推測も成り立つ。

習近平にとっては、極めてやっかいだ。6日の核実験の衝撃で北朝鮮国境に近い中国東北部はかなり揺れ、地割れまで生じた。「(北)朝鮮で戦争が始まったのか……」。住民はおびえた。北朝鮮の核実験だと判明すると、今度は放射能被害への恐怖も広がる。

 中国には物資供給を止め、北朝鮮と手を切る選択肢もある。だが、それでは地域での影響力が低下するだけだ。それに北朝鮮は今でも形の上では“同盟国”だ。中朝友好協力相互援助条約(1961年)は破棄されていない。米中関係が南シナ海問題などで悪い今、北朝鮮カードを簡単には手放せない。その中国の弱みを金正恩は突いている。

■臆測広がる美女楽団公演ドタキャンとの関係

 北朝鮮発表によると、金正恩が“水爆実験”の実施を命じたのは、先に北朝鮮の美女らによる牡丹峰(モランボン)楽団が、北京公演をドタキャンして帰国した直後の12月15日だった。

Kim & Liu

金正恩氏の昨年の記録映画からカットされた中国序列5位の劉雲山氏(右、15年10月の平壌での軍事パレード、中国中央テレビの映像から)

 さらに1月10日、北朝鮮で放送された去年1年間の金正恩の活動をまとめた記録映画からは「中国との蜜月の証し」が消されていた。昨年10月、金正恩と手をつないで軍事パレードを参観した中国序列5位の劉雲山の姿がカットされたのだ。

 核実験だけはしないよう圧力をかけ続けた中国は当然、金正恩の挑発と受け止める。中国外務省スポークスマンも金正恩の誕生日である8日に中国が祝電を送ったかについて「知らない」と素っ気ない態度を示し、事実上、否定した。

 いざとなれば金正恩は「中国の1960年代の行動を見習っているだけ。自衛のためだ」と開き直ることもできる。自身の誕生日には、水中からのSLBMの発射映像も公開した。これも60年代からの中国のSLBM開発を意識しているかのようだ。中国は何もせず見ているのか。次の一手が見ものである。(敬称略)

1/8JBプレス 柯 隆『中国がなかなか退治できない毛沢東の亡霊 今なお聞こえる文革を賛美する声』について

中国・河南省・開封市・通許県の毛沢東の金像が撤去されました。造る方も造る方ですが、撤去する方も撤去する方です。中国には表現の自由がないことが、この1件で、1発で分かるでしょう。世界中の人がこのニュースを聞いてどう思うかです。中国には立派な法律は沢山できていますが、そのとおり運用された試しはありません。賄賂が物を言う世界ですので。PM2.5があれだけひどい状況になっても打つ手がないのは、法律を作っても誰も守らないからです。

確かに、毛沢東は大躍進時代、少なくとも2000万人の中国人を餓死させました。その後の文革でも知識人を迫害・粛清し、中国の発展に大きくマイナスとなることをしてきました。TVで「金像はネットで中国人からの大躍進・文革のことを批判されたから撤去」とか言っていましたが、嘘でしょう。そんな意見はすぐ削除されるハズです。でなければ天安門に掲げる毛沢東の肖像画も外すべきです。所詮、権力闘争の一部です。

でも柯隆氏のように日本にいる中国人は、自由な日本の中で、いろいろ調べた方が良いと思います。如何に中共が歴史を自分の都合よく、嘘で糊塗しているかが分かるはずです。ユネスコの南京虐殺の記憶遺産登録もロクに調べず1委員が認めたとのこと。多分買収したのでしょうけど。

http://www.sankei.com/politics/news/160110/plt1601100006-n1.html

因みに柯隆氏は南京生まれで大学も金陵科技学院です。金陵は南京の意味です。彼が南京虐殺に対してどういう立場を取っているかというと中国側の立場ですが。日本人だってひどいことをしたと思っている人の方が多いので仕方ありません。しかし、中国の出している資料は悉く東中野修道氏によって否定されています。挙証責任は中国にあり、証明されなければ日本は無罪で、中国はここでも歴史を改竄・捏造していることになります。中韓北と本当に碌でもありません。

http://www.fujitsu.com/jp/group/fri/column/opinion/201401/2014-1-4.html

ただ自由のない中国では、大陸に残した家族が人質になります。だから、なかなか本音は言えません。我が身だけでなく、家族の身も危うくしますので。毛の「百花斉放、百家争鳴」は見せかけで、後に反右派闘争の手段として使われます。それで身に染みて能力ある人間は文系の大学に行かず、理系で政治から遠去かっていました。90年代後半、小生が北京大の物理の教授と話した時も、大分話題に気を使いながら話していたのを覚えています。柯隆氏もこのような論文を発表すると、朱建栄のように中国大陸に拘留されるのではと心配になります。でも真実は真実、日本人が言うより、多くの中国人が言った方が、中国人は真剣に聞いてくれるでしょう。石平さん然り。古くは汪兆銘だっていた訳ですから。蒋介石が大陸を自分のものにしたかったから、汪兆銘と袂を分かち、英米に媚びた訳です。でも最終はスターリン、米国に裏切られ哀れな末路を辿りました。台湾国民にとっていい迷惑でしたが。

記事

Mao's portrait

中国・北京の毛沢東の肖像画(資料写真)

中国の旧暦では、まだ2016年になっていない。春節(旧正月)を迎えてはじめて新年になるのだ。

 中国人にとって2016年はどのような年になるのだろうか。この設問に答える前に、まず自分にとっての2015年を振り返っておきたい。

 これまでの1年間、筆者が集中的に読んだ本は、経済学の本に加えて中国の近現代史の本である。なぜなら、筆者が中国で受けた教育では、本当の歴史がまるで空白のようになっているからだ。

 大学受験の勉強では歴史的事件の背景や意義ばかり暗記させられ、歴史上の事実の多くは教わっていない。歴史とは国、民族と文化の歩みであり、学者による意義づけよりも事実そのもののほうが重要だと考えている。

 2016年は中国にとって、毛沢東(1893~1976年)が文化大革命(1966~76年)を発動してから50年目の節目の年にあたる。同時に、文革が終わってから40年になる重要な年である。今年はすべての中国人にとって、文革を検証し反省する年となる。そして、その後の鄧小平による「改革・開放」政策(1978年~)の始まりを記念すべき大事な年だといえよう。

2000万人以上を餓死させ中国文化を破壊した毛沢東

 中国では「国父」といえば毛沢東ではなく孫文(1866~1925年)である。しかし、毛沢東はそれ以上の存在感を放っている。今でも中国では、毛沢東は公式に批判できない存在だ。

 鄧小平が復権してから、共産党はいちど公式文献のなかで文革を否定する総括をしたが、その後、公の場で文革を発動した毛沢東の責任を追及することはタブーとなった。

 皮肉なことに鄧小平自身も文革の被害者である。北京大学に在学していた鄧小平の長男は、文革の最中に迫害を受けて学生寮の上層階から飛び降り、命こそ助かったが下半身不随となった。

 歴史的な事実を検証すると、毛沢東が犯したのは単なる過ちではなく、間違いなく犯罪であった。

 まず、反右派闘争(反体制狩り)において数百万人もの知識人と共産党幹部が迫害された。革命時に共に戦った同士の多くも迫害され、殺害された。自殺に追い込まれたものも少なくない。

 そして1950年代半ば、「英米に追いつき追い越す」ために毛沢東の鶴の一声で「大躍進」運動が繰り広げられた。農民が鉄鋼生産に動員された結果、農産物が収穫されず、59年から61年までの3年間、中国は大飢饉に見舞われた。公式の統計でもこの3年間において少なくとも2000万人が餓死したとされている。大飢饉で餓死した人数はもっと多いという人口学者や歴史学者もいる。

 中国共産党の公式文章では、この3年間の大飢饉は自然災害によるものとなっている。しかし気象記録によれば、この3年間に中国で大飢饉をもたらすほどの自然災害は起きていない。自然災害ではなく人災が大飢饉をもたらしたのである。

 大飢饉を招いた張本人は紛れもなく毛沢東本人である。しかし、毛は責任を負おうとはしなかった。党内で沸き起こった毛沢東への批判を封じ込めるため、文化大革命を発動した。

 その直接な狙いは一番の政敵だった劉少奇である。政治には権力闘争がつきものである。通常、権力闘争は権力者同士の争いである。しかし毛沢東は全国民を巻き込んだ権力闘争を繰り広げた。その結果、劉少奇と直接関係のない学校の先生や共産党幹部も多数迫害された。

 振り返ってみれば、文革のときに知識人や共産党幹部を迫害し、中国の歴史的な文化財を破壊し尽くした紅衛兵自身も実は被害者であった。彼らは貴重な青春時代を失い、若くして農村に下放された。元紅衛兵たちは、今、中国各界のリーダーとなっている。

歴史の逆戻りは許されない

 1つの民族や国にとって歴史は木の年輪のようなものである。年輪の形を変えることはできない。しかし中国の近現代史は政治的な必要性から大きく書き変えられている。

 歴代の中国指導者は「いかなる者も歴史を直視しなければならない」と訴えてきたが、なぜか学校教育のなかで教わる歴史は大きく歪んだものになっている。

 文革の始まりと終わりの節目となる重要な年に際して今の中国を観察すると、危機はまだ去っていないことが分かる。というのも、毛沢東が残した負の遺産が中国を不安定化させているからである。

 中国各界のリーダーの多くが元紅衛兵という現実から事態の深刻さが分かるはずだ。文革のときに青春期を過ごした者はまともな学校教育を受けておらず、まっとうな人格形成もなされていない。彼らは政治的必要性が認められれば、平気で人権など無視してしまう。

 文革の世代は法律を無視する世代でもあった。習近平国家主席は就任してから、法治の強化を繰り返して強調している。しかし中国では司法の強化が遅れている。法律が強化されても、法律が順守されていないのである。

 法の秩序が乱れる一番の原因は特権階級の存在にある。特権階級は法の訴追を免れることが多い。これは毛沢東時代から始まったものだ。逆に正規の裁判を経ずに政敵や“政治犯”などを投獄してしまうことも多い。

 2016年は習近平政権にとって、1期目の政権を安定させて2期目の政権構築の準備を行う過渡期にあたる。しかし、「毛沢東と文革」の負の遺産をきちんと清算しなければ、法による統治は強化されず、社会は安定しない。習近平国家主席がどれだけ汚職幹部の撲滅に取り組んでも徒労に終わるだけだ。

 近年、中国社会では、毛沢東の時代を評価し賛美する保守左派の動きが台頭している。これは中国社会の病根だといえよう。毛沢東を完全に否定しなければ政治改革は行われない。中国社会の不安定性は当面続くものと思われる。

柯 隆:富士通総研 経済研究所主席研究員。中国南京市生まれ。1986年南京金陵科技大学卒業。92年愛知大学法経学部卒業、94年名古屋大学大学院経済学研究科修士課程修了。長銀総合研究所を経て富士通総研経済研究所の主任研究員に。主な著書に『中国の不良債権問題』など。

1/10日経 伊奈久喜『オバマ氏を褒め殺しする』について

米国の「瓶の蓋」論(日本封じ込めの米中密約)が如何に愚かだったかです。対華21カ条条約(1915年)は密約部分(5号条項)をわざと中国が洩らしました。国際世論に日本の横暴さをイメージつけるためです。中国人は平気で約束を破ります。別に密約を破ったとして咎められるわけはありません。後は米国の態度の問題でしょう。尖閣は米軍自体が射爆場として使用していたことがあり、中国に領有権があればそんな行動は取れなかったはずです。台湾も領有権を主張していたので(今も国民党は主張していますが)、米軍が射爆場として使わなくなったときに、素直に日本領有とは言えなかっただけ。オバマもレガシー作りで尖閣の日本領有を明言して、大統領職を去ればよいと思います。

一昨日はグアム発でB-52機がソウル近郊の烏山(オサン)上空まで威圧飛行しました。北朝鮮だけでなく、中国に対して目に見える形での恫喝でしょう。本来、米軍原潜は日本海を遊弋している可能性が高く(軍事作戦上のことなので、当然公表するはずがありません)、わざわざグアムからB-52を飛ばす必要はないでしょう。また以前ブログでも書きましたが、キャプター型の機雷を朝鮮半島に沿って海底に敷設するだけで、海上封鎖と同じ効果が得られます。http://dwellerinkashiwa.net/?p=1983

ここでも米国の意思がどうであるかだけです。米国経済に中国経済は必要なのかどうか?中国の門戸開放を巡って日米は戦争しましたが(スターリンの謀略に乗せられたFDRが開戦したかっただけと小生は思っています)、安価な労働力でなくなった中国、AIIBを作り米国に金融面で挑戦する中国、自由・民主主義、法治、基本的人権のない中国に肩入れする必要があるのか聞きたい。米国要人に賄賂まがいの金を送っているので、そういう人(キッシンジャーやブレジンスキー)の意見は中国擁護でしょう。金を受け取っているかどうかを見分けるリトマス試験紙になります。

B-52

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Senkaku,Xi & Obama

2016年の世界が最も注目するニュースが11月8日の米大統領選挙であることは論をまたない。民主、共和両党の候補者がどんな組み合わせの対決になるにせよ、外交政策の焦点は、中東、ロシア、中国などだろう。

 このうち日本が最も深い関心を持つ対中政策には米政治に一種の公理めいたものがある。どの政権も選挙中は中国に厳しく、政権に就けば現実的対応に変わる点である。

 典型的だったのが01年に発足したブッシュ政権だった。選挙中は中国を「戦略的競争相手」と警戒し、政権末期の08年8月8日には、中国の人権状況に絡めた米国内の批判を承知で北京五輪開会式に参加した。

 例外はオバマ政権だった。08年の選挙中のオバマ氏は「中国も含めた包括的なアジア安保体制」を志向した。日米同盟の相対化であり、共和党のマケイン候補は日米同盟を「アジア外交の中核」に据えていた。

 中国に対しては「世界の課題解決により責任ある立場をとるべきだ」と、責任ある行動に期待する言い方をしていた。これらの政策の「対中融和度」を考えれば、70程度だったろうか。この点ですでにオバマ政権は異質であり、公理を覆していた。

 政権に就いてからも、中国が主張する新型大国関係論に反論せず、融和度は90以上になった。しかし15年10月27日、逆方向に再び公理を覆す。イージス艦「ラッセン」が南シナ海で中国が建設した人工島から12カイリの領海と主張する海域を航行した。融和度は40程度に落ちた。

 だが、日本の月刊誌が形成する外交論壇では懐疑的な意見が目立つ。「中央公論」の1月号(以下同じ)で外交評論家の佐藤優氏は、米艦は国際法で認められる無害通航をしただけであり、「なんらかの明示的、もしくは合意があったうえでの行動」と述べた。

 評論家の桜井よしこ氏も「正論」で「一番望ましい形の進入は、中国が、自分の領海だと主張している十二海里の海域に進んで、そこで軍事行動、軍事訓練をすること」とする。それがなかったから「既に負けている現状」と、厳しい。

 一方、「Voice」は、矢板明夫産経新聞北京総局長の「外洋拡張路線の挫折」を掲載した。副題には「米軍と爆撃機の派遣により傷ついた習主席の権威」とある。中国の敗北、米国の勝利との見立てだ。

 矢板氏の意図を離れ、これはオバマ大統領に対する褒め殺しになる。狙いは小欄でも何回かとりあげてきた尖閣諸島の領有権である。立場をとらないとする米国の態度を変更させ、日本領と認めさせるには、いまが好機であり、それにはオバマ氏に対する褒め殺しが効果的だからだ。

 1970年代初め、米国が尖閣領有権で立場をとらないとしたのは、北京政府ではなく、当時国交のあった台湾への配慮だった。15年の中台首脳会談をみれば、国民党はもはや北京に近い。国民党への配慮は無用である。

 では対中配慮か。融和度がすでに40まで下がっているとすれば、仮に尖閣問題で30に下がっても大差はない。冷戦時代の米ソ関係もそうだったが、2つの大国に世界を共同管理する意識がある時、直接衝突は寸止めで避けられてきた。

 尖閣でオバマ政権が日本の領有権を認めれば、日米間の不信のとげは抜け、対中抑止力も増す。中国は米国との軍事衝突を選べないから、米国は失うものはない。それはオバマ政権が歴史に残すレガシー(遺産)として輝く。

1/5日経ビジネスオンライン 上野泰也『トランプ躍進に見る米国人の「復活」願望』について

今週の注目は米大統領選ではなくて台湾総統選+立法委選でしょう。蔡英文の勝利は揺るがないでしょうし、立法委選でも民進党+時代力量で過半数は超えそうです。宮崎正弘氏のメルマガにもそうありました。中共に擦り寄る国民党では日米の信頼は得られませんし、台湾国民の支持も得られないでしょう。

http://melma.com/backnumber_45206_6311539/

本文中の「ミザリー・インデックス」を見れば米景気は悪くなく、それで年末にFRBも利上げしたと思います。では何故共和党でトランプ現象が起きているのか?本文の「エリート政治家に舵取りを任せてきた結果、米国では中間所得層が崩壊し、所得格差(貧富の差)が拡大している。」というのは違うのでは。富の分配がうまく行っていないのかもしれませんが。でも金持ちトランプがそれで支持率を上げているとは考えにくい。やはりオバマの無能にホトホト嫌気がさしているのだろうと思います。レーガンの「強いアメリカ」に戻ってほしいという気持ちの為せるわざでしょう。ただレーガンはスタッフの意見を良く聞く耳を持っていましたが、トランプはワンマンタイプで、大統領になれば躓きを起こすのではと思われます。やはりマルコ・ルビオが良いかと。ただ1/10日経にバーナンキ(共和党支持)がルビオの「大統領になったらイエレン氏の再選は認めない」の発言を受けてか、「共和党をずっと支持してきたが、最近は愛想が尽きた」と自伝で歎いたとありました。

前にブログでも書きましたが、ヒラリーは大統領になる前に、人間的にどうしようもありません。でも米国民が選ぶのでどうしようもありませんが。トランプが「女性大統領はいつの日か出て来るだろう。ただ、ヒラリーではない」との発言をTVで見ました。今回は『ガラスの天井』があればよいのにと思います。

1/5日経には「米のアジア系移民 学歴高く世帯収入多め

 テロの潜在的脅威の中で移民規制を唱える声も出るものの、欧州からの移民中心に建国された米国は依然としてその受け入れ大国であることに変わりはない。

rate of Asian people in US

 中でも存在感が高まるのがアジア系だ。米国勢調査局の推計では2014年の米国の総人口(約3億1800万人)に占めるアジア系移民の比率は5.4%。50年前の1965年には1%に満たなかったが、その年の改正移民法施行で出身国別の移民数の制限が撤廃されたのを機に急増した。

 総人口に占める人種別比率では白人(62.1%)、ヒスパニック(17.4%)、アフリカ系(13.2%)に次ぐ4番目の規模。ただしこれは累計で、新たに入ってくる数ではアジア系が最も勢いがある。米シンクタンクのピュー研究所によると年間移民数に占めるアジア系比率は2000年時点の19%から10年に36%へと高まり、ヒスパニック(31%)を5ポイント上回る。

 同研究所はアジア系の特徴を「学歴と世帯収入の高さ」と指摘する。25歳以上で大学の学位以上を持つ割合は10年時点で49%と全体の28%を上回る。平均世帯収入も6万6千ドル(約800万円)と全体の4万9800ドルより3割強多い。

 アジア系は働く人の半分が企業役員や弁護士、医師といった専門職やその関連職で、この比率も全体の40%より高い。タクーン・パニクガル氏のようなデザイナーは全体ではまだ珍しいが、分母となる人口が膨らんでいけば、今後は多方面で才能を開花させる人たちが増えるだろう。」とありました。

アジア系の移民が2000年以降増えてきているのが分かります。勤勉・優秀な人材が多いので、そういう結果になったのでしょう。将来の大統領選に影響を与えます。中韓は米国で反日活動を活発化してきています。国際社会にアピールするには米国の世論を味方につけるのが手っ取り早いからです。中国は人口が多く、マンパワーを持って世界進出の強みとしています。中国系米国人を大統領にして世界を牛耳ろうと考えていますので、注意していかないと。日本の外務省は土下座外交するしか能がありません。キチンと戦略を立てろと言っても無駄なのが悲しい。

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Carson & Trump

2015年12月15日、米国の大統領選で、共和党候補の指名争いを繰り広げる元神経外科医のベン・カーソン氏(左)と不動産王ドナルド・トランプ氏(右) (写真=AP/アフロ)

 米国の共和党大統領候補指名争いで、不動産王ドナルド・トランプ氏の独走状態が長く続いてきた。イスラム教徒の米国への入国を禁止すべきだという発言が物議をかもした後、トランプ氏の支持率はむしろ上昇。モンマス大学が昨年12月14日に発表した調査結果では共和党内での支持率が41%に達し、同党の候補者で初めて4割を超えた。経済問題ではなくテロに対する不安が米国民にとって現在は最大の関心事になっているのが原因だと説明されている。

 2位に付けたのは、草の根の保守派運動「ティーパーティー(茶会)」に加え、キリスト教右派にも支持を広げているテッド・クルーズ上院議員(14%)。3位はマルコ・ルビオ上院議員(10%)。ともに40歳代のクルーズ氏かルビオ氏のどちらかが最終的に共和党の指名争いで勝つだろうという見方が専門家の間では根強い。経歴詐称などが問題視された元神経外科医のベン・カーソン氏はこの調査では9%にとどまり、4位に沈んだ。

 米ワシントンポストとABCテレビが共同実施して昨年12月15日に結果を発表した世論調査では、トランプ氏の支持率が38%に上昇。クルーズ氏は15%で4位から2位に浮上した。

クルーズ氏とトランプ氏がデッドヒート

 もっとも、大統領候補指名争いの皮切りとなる党員集会が2月1日に開かれるアイオワ州では、クルーズ氏がトランプ氏とのデッドヒートを繰り広げている。アイオワ州の地元有力紙が昨年12月7~10日に実施した州内の世論調査では、クルーズ氏が31%の支持を集め、トランプ氏の21%を上回った。

 過去の事例から、アイオワ州やニューハンプシャー州といった序盤の戦いで勝利するかそれなりの健闘を示さないと、支持率が急速に下がって、選挙戦からの撤退を余儀なくされる可能性がある。

 筆者を含む多くの日本人にとり、まさに予想外の「トランプ現象」。市場関係者の間では「トランプ・リスク」がささやかれ始めている。過激な発言で知られるトランプ氏が核のボタンを握ることになるようだと何が起こるのか予想がつかないというわけだ。

 では、型破りの発言を連発するトランプ氏を少なからぬ米国人が支持しているのはなぜだろうか。

多数説は、エスタブリッシュメントと呼ばれる伝統的エリート層による米国の政治支配への失望や強い不満がトランプ氏支持の原動力になっているという見方である。エリート政治家に舵取りを任せてきた結果、米国では中間所得層が崩壊し、所得格差(貧富の差)が拡大している。

 テロや銃撃事件への恐怖も以前より強まっている。そこで、これまでとは違う考え方・出自の人に政治を任せてみてはどうかというムードが広がっているのだという。トランプ氏の歯に衣着せぬ大胆な発言は人々のうっ積した不満のはけ口にもなっているようである。

 だが、本当にそれだけだろうか。筆者は、オバマ政権下で何度も明らかになった国際社会における米国の力や威信の低下に強い不満を抱いた米国人が、「強いアメリカ」復活願望を抱いてトランプ氏に期待している面が、少なからずあるのではないかとみている。

 1980年代に映画俳優出身のロナルド・レーガン氏が共和党から出馬して当選し、大統領を2期務めた。その1期目の前半にヨーロッパを長期フリー旅行していた際、たまたま出会った米国人の女子学生と語り合ったことがある。

 詳しい内容は忘れてしまったが、景気悪化に加えてイラン米大使館人質事件への対応(救出作戦)に失敗した民主党の前大統領カーター氏を徹底的にけなした上で、レーガン大統領の話になると彼女が目を輝かせながら「強いアメリカ」に絶対必要な人物だと熱弁していたことを、今でも記憶している。

本当に国を任せたらかなり危なっかしいが…

 トランプ氏はテレビの人気番組「アプレンティス」で、課題をこなせなかった脱落者に対する「おまえはクビだ!(You’re fired!)」という決めゼリフで人気を集めた人でもある。銃を手にして西部劇映画で活躍した俳優出身のレーガン氏に対する米国民の30数年前の心情と同じようなものが、今回はトランプ氏に寄せられているのではないか。

 昨年12月14日、シリアからの難民受け入れに対してトランプ氏は反対を改めて表明し、自分が大統領になれば「彼らは(シリアに)帰ることになる」と発言。パリ同時テロ事件で犠牲者が拡大したのはフランスの厳しい銃規制のためだという持論も展開した。

 もっとも、内政・外交の両面で経験がまったくないトランプ氏に米国という大国の先行きを本当に委ねることができるかどうかとなると、よく言えば未知数、悪く言えばかなり危なっかしいと言わざるを得ない。

 トランプ氏は、東部ウクライナの親ロシア派による分離運動を支援して国際社会から非難されたロシアのプーチン大統領とは、どうやら緊密な関係を築けそうである。プーチン大統領は昨年12月17日の記者会見で「トランプ氏には花があり、才能があることに疑問の余地はない」「ロシアとの関係を深めたいと(同氏は)発言しており、われわれはもちろん歓迎する」と述べた。

 これに対しトランプ氏は、「内外で尊敬されている人物からこうした賞賛を受けるのは常に大変な名誉だ」「米ロがもっと協力すればテロを根絶でき、世界平和を再構築することができると常に感じている。貿易のみならず、あらゆる恩恵が相互の信頼関係からもたらされる」と返答した。

 ソ連を「悪の帝国」と呼んで強硬姿勢をとったレーガン大統領は1980年代後半になると、重い軍事費負担や計画経済の行き詰まりから経済的に疲弊したソ連のゴルバチョフ書記長との間で、東西冷戦の終結に向けた動きを積極的に推し進めた。仮にトランプ氏が米国の大統領になれば、米ロ関係の改善が進む可能性は確かに高いだろう。米国が方針を転換してアサド政権の存続を認める形で、シリア問題の「交通整理」も進むと予想される。

レーガン時代と比べると

 だが、いまの世界情勢は、レーガン政権の頃とはだいぶ異なっている。中国の影響力が格段に大きくなったことに加え、欧州では統合の動きが進んだ。中東ではイスラム国家やイスラム組織の動向が重要になっており、米ロ2国だけで世界秩序をいかようにもできるわけではない。そうした中でトランプ氏が米国の外交をうまく操ることができるかどうか。筆者は懐疑的である。

 経済問題でも、トランプ氏の主張には危うさがつきまとう。日米などがTPP(環太平洋経済連携協定)で大筋合意に達した昨年10月5日、トランプ氏は「現政権の能力のなさは理解を超えている。TPPはひどい協定だ」と批判。11月10日のテレビ討論会では「恐ろしい合意だ」「承認されれば雇用がますます失われる」「私は自由貿易主義者だが、交渉には頭のいい人があたらなければならない。今の米政府には頭のいい人がいない」と述べた。だが、仮にTPPが再交渉となれば各国の利害が再び噴出することになり、まとめ上げるのは至難の業だろう。

 為替相場についてトランプ氏は、「ドルの競争力が弱い」ことを問題視する立場をとっている。「中国や日本など他の多くの国の通貨切り下げによって、米国の企業がわたりあっていくことが不可能になっている」と述べ、中国や日本の通貨下落を非難した。

 その一方で、FRB(連邦準備理事会)が利上げに動かないことについて、昨年12月の利上げ開始よりも前の11月上旬の時点で、「オバマ大統領が利上げをしないよう要請しているからだ」「オバマ大統領は在職中にバブル崩壊を目の当たりにしたくないためイエレンFRB議長に利上げしないよう要請した」という、明らかに根拠のない発言をした。

 12月19日のアイオワ州での集会では、「バブルが崩壊するなら、次の政権が発足してから2カ月後ではなく、今起きればいいと思う」「今はとんでもないバブルの状態かもしれない。もしそのバブルが崩壊すればやっかいだ」と、他人事のように述べていた。もしトランプ氏が本当に大統領になるようなら、崩壊の前か後かにかかわらず、バブルへの最善の対応策をとっていかなければならないのだが…。

 だが実際には、オバマ大統領が再選を果たした前回2012年の大統領選と同様に、内輪の争いの中で共和党は消耗してしまい、幅広い米国民の支持を得られる候補者を出せないという「負けパターン」に陥りつつあるように見える。今回の大統領選では民主党のヒラリー・クリントン氏が勝利するだろうというのが、筆者の予想である。

 ちなみに、大統領選(特に現職が再選を狙うケース)でその行方を占う際に注目される「悲惨指数(ミザリー・インデックス)」、すなわち失業率と消費者物価上昇率(前年同月比)を足した数字は、2015年11月時点で5.0+0.5=5.5という歴史的な低さである<図>。12月の数字は未発表だが、各年の12月の数字を遡ると1955年(4.6)以来の低水準になる。翌56年の大統領選挙ではアイゼンハワー大統領(共和)が再選を果たした。

■図:米国の「悲惨指数(ミザリー・インデックス)」

misery index

注:各年12月のデータのみ表示。ただし15年は11月のデータ(出所:米労働省資料より筆者作成)

 むろん、既に述べたように雇用の数は増えても賃金の伸びが鈍く、中間所得層が崩壊しつつあるという米国経済の厳しい実情も常に指摘されるのだが、このインデックスで見る限り、オバマ大統領と同じ民主党のクリントン氏には経済状況という面からも追い風が吹いていると言える。