10/5 Sankei Biz 渡辺哲也『中国が資金流出に規制 海外のショッピング制限、爆買いに陰り?』10/6石平メルマガ『崩壊へ向かう中国経済』について

国際収支の面で見れば、経常収支+資本収支+外貨準備増減+誤差脱漏=0でこの外貨準備増減の累積が外貨準備高になります。確かに資本収支で自国内に金を呼込めばプラスになりますので、借入であっても外貨準備は増加することになります。中国に貸している金は、アメリカが利上げすれば、安全資産である$に切り替えられる可能性大です。人民元の利子は1.75%(1年物定期2015年8月26日~)で米国の利子は0.4%(1年物定期2015年10月2日、じぶん銀行)です。小生だったら、23兆$も国全体で借金を負っている人民元で預金する気はありません。

外貨準備が潤沢であれば、外貨持出で制限をかけることはないでしょう。日本も戦後から1978年まで持出が制限されていました。外貨準備が少なかったためです。中国が公表3.46兆$も外貨準備があるなら制限しなくても良いでしょう。数字を誤魔化しているとしか思えません。

石平氏の記事では消費、特に大衆の飲み物であるビールの消費が今年上半期で▲6%と言うのは凄い落ち込み方です。青島ビール小壜卸価格で2元(40円程度、www.1688.com調べ)ですから、それが飲まれなくなったという事はGDPもかなり下がっていると思います。不動産投資も振るわず、純輸出も振るわない中、消費に期待を寄せる中でです。そもそも中国は数字の誤魔化しは当り前で、▲6%と言うのも怪しいかも知れません。2005年当時で大壜の小売価格は1.5元~2元(30円弱)くらいでした。「世界のビール消費量 2013年 キリンビール調べ」によれば、中国は4631万KLで世界一、日本は549万KL(発泡酒・第三を含む)で第7位です。中国が下半期も▲6%で推移するとすれば年間で278万KL減る事になります。日本のビールメーカーが2社はなくなる計算です。経済面で、中国に期待することは止めた方が良いでしょう。TPPを活用することを考えた方が良いです。

渡辺哲也記事

中国のバブル崩壊が話題になっているが、その陰で中国の外貨準備に対する懸念が生まれ始めている。中国の外貨準備は約3兆4600億ドル(約415兆円、8月末)と減少傾向が続くが、額面上は世界最高水準であり、何の心配もいらない。しかし、この中身と実際に使用できる額に懸念が生じているのである。

 外貨準備とはキャピタルフライト(資金流出)に対する備えであり、通貨価値を維持するための保険のようなものである。国内から資金が流出する場合、自国通貨が売られ、ドルなど他国通貨に両替される。これが大規模に起きた場合、通貨の暴落が発生する。これを抑制するのが外貨準備であり、中央銀行などが他国通貨を売り、自国通貨を買うことで通貨の暴落を防ぐという仕組みである。

 では、中国の外貨準備の何が問題なのかということになるわけだが、中国の場合、外貨準備における米国債の割合が非常に低いのである。中国の保有する米国債の額は約1兆2400億ドル(7月末)であり、外貨準備総額の約3分の1しかない。日本の場合、外貨準備約1兆2400億ドル(8月末)に対して、そのほとんどが米国債であり、中国の状況はこれと大きく異なる。

また、日本の外貨準備は政府と中央銀行の純資産であり、全額介入に使うことができるが、中国の場合、国有銀行保有分なども含まれているとされており、企業などが預けている決済用資金も含まれている可能性が高く、実際にどの程度使えるかが分からないのだ。外貨準備とはあくまでも外貨をいくら保有しているかであり、借り入れであろうがその性質を問うものではない。

 この懸念を証明するかのように、中国当局は外貨流出阻止に躍起になっている。まずは通貨先物取引を規制し、そして、ついに中国人観光客が海外で使う外貨にも規制をかけ始めた。中国の場合、個人の両替は年間5万ドルまでとなっているが、実はこの規制は、中国で大きなシェアを持つ銀聯カードを利用することで回避できた。

 銀聯カードは厳密に言えば、クレジットカードではなくデビットカードと呼ばれるもので、利用時に即時に銀行口座から引き落とされる仕組みになっている。このため、銀行口座の残額が限度額のようなものであり、中国国内の銀行口座にお金があれば、海外で自由に外貨を引き出せたのであった。このため、中国国内の両替規制は有名無実化していた。

ついに10月1日、中国は銀聯カードを使った両替に対して、年間10万元(約190万円)という規制(移行措置として10月から12月までは5万元)をかけた。なおショッピングは無制限だが、今後、ショッピングも規制する可能性が高いとされる。バブル崩壊と両替規制強化により、今後、中国人の海外での爆買いは徐々に減少すると思われ、日本の観光業やサービス業への影響も懸念される。

石平記事

今年8月と9月に公表された、中国経済関連の一連の統計数字は、現在のこの国の実体経済の深刻さを如実に語っている。

たとえば、中国自動車工業協会が8月11日に公表した数字によると、7月における全国の自動車生産台数は151・8万台で、前年同期比では約11%減、前月比では何と約18%減となった。まさしく地滑り的な落ち込みである。

生産台数激減の最大の理由は販売台数の減少にある。7月の全国自動車販売台数は前年同期比で約7%減、前月比では約17%の減少となった。これはまた、中国全体における個人消費の急速な冷え込みぶりを示している。

消費の冷え込みは自動車市場だけの話ではない。8月20日に米調査会社が発表した、今年4~6月期の中国市場スマートフォン販売台数は、前年同期比で約4%減少、四半期ベースで初めて前年を下回った。

国家工業と情報化部(省)が9月7日に公表した数字によると、全国の移動電話の通話量は今年7月までにすでに連続7カ月間のマイナス成長となったという。

同じ9月7日の国家統計局の発表では、今年上半期において全国のビール消費量は前年同期比で約6%減となって、ここ20年来で初のマイナス成長である。

このように、ビールの消費量からスマートフォンや自動車の販売台数まで、中国の消費市場は急速に縮まっているといえよう。そして、自動車販売台数の激減が直ちに生産台数の激減につながったのと同じように、消費の冷え込みは当然、製造業全体の不況をもたらしている。

英調査会社マークイットが8月21日に発表した同月の中国製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値は驚きの47・1となった。

PMIというのは好不況の分かれ目の数値で、50以下であれば不況となるが、中国のPMIはこれで6カ月連続で50を割っただけでなく、8月の47・1という数値はリーマン・ショック後の2009年3月以来、約6年半ぶりの低水準、まさに大不況の到来を示す数値であったからだ。

製造業が沈没していれば、それと一蓮托生(いちれんたくしょう)の関係にある金融業も当然、苦境に立たされる。

8月31日に中国国内メディアが伝えたところによると、不良債権の増大・業績不振などが原因で、

中国工商銀行などの「中国四大銀行」で「賃下げラッシュ」が始まったという。50%程度の賃下げを断行した銀行もあるというから、金融業の苦しさがよく分かる。

こうした中で、今までは「中国経済の支柱」のひとつとして高度成長を支えてきた不動産開発業も大変な不況に陥っている。

今年上半期、中国全国の「不動産開発用地」の供給面積が、前年同期比で約38%も激減したことは、現在の「不動産不況」の深刻さを示している。莫大(ばくだい)な在庫を抱える多くの開発業者が不動産をそれ以上抱えることをしなくなったので開発用地の供給が大幅に減ったわけである。

実際、2014年1月から今年の8月まで、中国全土の不動産投資の伸び率は連続20カ月間下落している。

また、今年6月中旬から今月中旬まで、上海株が連続的な大暴落を経験したことは周知の通りである。

以上のように、今の中国では、消費・生産・金融、そして不動産や株市場、経済のありとあらゆる領域において大不況の冷たい風が吹き荒れている。国民経済を支えてきた「支柱」の一つ一つが傾いたり、崩れかけたりするような無残な光景があちこちで見られているのである。

中国経済はただ今、壮大なる崩壊へ向かっている最中である。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください