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『香港立法会選挙、「本土派6議席獲得」の意味』(9/21日経ビジネスオンライン 福島香織)について
9/23日経<中国、政府主導で能力削減 鉄鋼2社統合
【上海=小高航】中国の国有鉄鋼大手、宝鋼集団(上海市)と武漢鋼鉄集団(湖北省)が経営統合を発表した。習近平指導部は過剰設備の削減など「供給側改革」で低迷する経済のてこ入れを図る姿勢を打ち出している。今回の大型再編はその一環だ。世界の粗鋼生産能力の半分を占める中国で設備削減が進めば中国発の「鉄冷え」が解消に向かうが、実効性のある設備の統廃合となるかは不透明だ。

宝山鋼鉄の製鉄所(上海市)

宝鋼は22日、「品質や効率を高め、国際競争力のある企業をめざす」との声明を出した。習指導部は昨年12月、「供給側構造改革」を進める方針を打ち出し、生産能力の削減や過剰債務の削減などを掲げた。今回の大型再編は、非効率な産業構造を改め低迷する経済のてこ入れを図る姿勢を強調する狙いがある。
中国では鉄鋼やセメント、石炭など幅広い産業で過剰設備が深刻だ。補助金などにより赤字続きでも生き残る「ゾンビ企業」の比率は鉄鋼では5割を超えるとされる。
中国政府は20年までに1億~1億5千万トンの生産能力を削減する計画を持つ。今年の削減目標は4500万トンで1~7月の進捗率は47%だった。年6千万トンの生産規模の統合新会社で効率化を進め削減に弾みを付ける。
再編に踏み切った背景には中国の過剰生産が各国から批判されていることもある。今月上旬、中国・杭州で開かれた20カ国・地域(G20)首脳会議。欧州連合(EU)のユンケル欧州委員長は「欧州の鉄鋼産業は近年1万人が失業した。この状況は受け入れられない」と不満をぶちまけた。
中国経済の減速で鉄の国内需要が減った結果、2015年の中国の鉄鋼輸出量は1億トン強と日本の年産量を上回る規模に膨らんだ。G20では、中国も含め解決策を探る「世界フォーラム」の設立を決めた。
中国の鉄鋼再編を巡ってはこれまで中央政府が笛を吹いても地方政府や企業の抵抗で進まなかった経緯がある。主力2社の統合で世界の鉄鋼業界では中国発の「鉄冷え」の解消に向かうのでは、との見方も出ている。
新日鉄住金の宗岡正二会長は22日、訪問先の北京で記者団に、今回の再編について中国の過剰生産設備削減に向けた「最初の一歩だ」と述べた。「(経営統合が)次々と連鎖すればだいぶ変わってくると思う」と一段の再編に期待を示した。
実際、中国では宝鋼・武鋼に続く「再編第2弾」が取り沙汰される。河鋼集団(河北省)と首鋼集団(北京市)の組み合わせや、鞍山鋼鉄集団(遼寧省)を軸とする統合案が浮上。中国鋼鉄工業協会の幹部は今月、「25年までに全生産量の6割以上が大手10社に集約されるだろう」と述べた。
ただ、実際に設備削減が進むかどうかは不透明だ。中国には中小の民営製鉄所が無数に存在する。宝鋼など大手が生産を抑制して市況が回復すると中小各社が生産量を増やし、市況が再び悪化するというイタチごっこが続く。今年に入り国内で2千万トン強の設備が廃棄されたが、中小が競って増産し、足元の輸出量は逆に増加傾向にある。
統合新会社が重複設備や人員をどこまで削減できるかも焦点だ。日本の鉄鋼商社幹部は「統合後に設備廃棄に踏み込めなければ焼け太りするだけ」と懸念する。>(以上)
9/24日経<台湾、外交に中国の壁、ICAO総会出席できず
【台北=伊原健作、北京=山田周平】台湾の蔡英文政権がめざす国際機関での外交活動に対し、中国が阻止する動きに出始めた。台湾当局は23日、27日にカナダで開く国際民間航空機関(ICAO)の総会に出席できない見通しになったと発表した。中国が、台湾と中国は一つの国とする「一つの中国」の原則を受け入れない台湾の参加を認めないためで、蔡政権は強く反発している。
「出席できるよう今朝まで努力してきたが、非常に残念だ」。李大維・外交部長(外相)は23日に記者会見し、台湾のICAO総会参加に向けた協議に中国側が応じなかったことについて唇をかみしめた。対中政策を担当する行政院(内閣)大陸委員会は同日「国際機関への参加に政治圧力を加えるやり方に強烈な不満を表明する」とのコメントを出した。
ICAO総会は3年に1度開かれ、航空の安全確保や管制などに関する国際的な基準の作成について話し合う。台湾は国民党の馬英九政権だった前回の2013年には「中華台北」名義で特別ゲストとして出席。1971年の国連脱退以降、国連機関の公式会議への参加はほとんど実現していなかっただけに、念願の国際機関参加の拡大を象徴するイベントだった。
馬前政権は92年に「一つの中国」の原則を中台双方が口頭で認め合ったとする「92年コンセンサス」を中国側と共有し、融和を推進した。このため台湾が国際機関で活動することを外交圧力で阻んできた中国が軟化。台湾は09年には世界保健機関(WHO)総会へのオブザーバー参加、13年にはICAO総会へのゲスト参加の実現にこぎ着けた。
しかし台湾独立志向を持つ現在の民主進歩党(民進党)の蔡政権は「92年コンセンサス」を認めておらず、中国は当局間の直接対話メカニズムを停止し、再び圧力を強める姿勢に転じた。国際機関への台湾参加を阻止することで、馬前政権への対応との格差を鮮明にして、蔡政権に揺さぶりを仕掛けた。
中国外務省の陸慷報道局長は23日の記者会見で「台湾は中国の1つの省にすぎず、この行事に参加する権利を当然持っていない」と語った。
また中国で台湾政策を担当する国務院台湾事務弁公室の馬暁光報道官も同日「台湾側が(ICAO総会に)参加できない状況は、完全に民進党当局が作り出したものだ」と批判する談話を発表。「(蔡政権は)大陸(中国)をみだりに非難し、民衆を間違った方向に導くべきではない」と主張した。
中国側は一段踏み込んだ台湾内部の切り崩しにも出ている。18日に中国の兪正声・全国政治協商会議主席が台湾の8県市の首長らで作る訪中団と会談し、農産品購入や観光促進などの優遇策を約束した。8県市はいずれも国民党系で、野党側を露骨に優遇することで台湾社会の分断を狙ったとの見方が強い。
これに関して、日本の菅義偉官房長官は23日、「(台湾が)何らかの形で参加するのが、現実問題として望ましい」と語った。さらに「日台間では多数の定期直行便が運航されている。国際民間航空の安全で着実な発展を確保するべきだ」と付け加えた。>(以上)
宝鋼は山崎豊子の『大地の子』のモデルになった会社です。稲山嘉寛氏も黄泉の国で中国や日本をどう見ているのでしょうか。中国に技術援助して世界経済を攪乱する元凶を作りました。戦後のGHQの洗脳に引っかかり、贖罪意識の塊になってしまったためと思われます。日本人は戦前・戦中・戦後と中国人の本質を理解できないでいます。「騙す方が賢く、騙される方が馬鹿」と。こういう民族と誠意をもって付き合えばどういう結果を引き起こすかは明らかです。中国は政治的には一党独裁・人権抑圧国家ですが、経済的には弱肉強食のウルトラ資本主義(但し、営業・生産の許認可権と言う生殺与奪の権限を政府が持ち、腐敗の温床となっています)です。本記事にありますように宝鋼と武鋼が合併したとしても、設備廃棄しなければ規模が大きくなるだけで、世界の実需を無視して、在庫は維持されるか、増加することになります。中小の鉄鋼メーカーでは大手と比べると規模の経済で違いがあり、価格面で大手とは対抗できないと思いますが、地方政府との癒着があれば話は別になります。1994年には704社あったビール会社は、2005年(華潤ビールが雪地ビールを買収した年から推定。下記URL参照。中国の記事には年月日が入っていない。)に400社に減ったと次の記事にあります。中国のビールは国内消費かつ実需が伸びています(ここ2年はマイナス成長ですが。15年4299万kl(▲4.3%)、14年4493万kl(▲3.1%)、13年4635万kl(4.5%)。因みに日本は発泡酒・第三のビールを含めて15年546万kl)のでまだ良いですが、過剰生産かつ世界的にソーシャルダンピングするのでは、世界の同業者が迷惑するだけです。根本問題は賄賂に行きつく訳です。物を造ったり、動かすときには必ず賄賂が絡みますので、生産にブレーキがかけられない構造的なシステム欠陥があります。
“随着外资收购速度的加快,中国啤酒市场的竞争正在发生变化:最初啤酒行业有1000多家企业,经过收购兼并,目前还剩下400多家,今后啤酒企业的数量还将减少。”
http://www.jiuwang.org/pijiu/sc/613.html
台湾のICAO参加について菅官房長官は「参加が望ましい」と言うだけでなく、裏で働きかけをしなくては。日本でいくら発言しても台湾人は喜びません。カナダに圧力をかけるべきです。中国人のカナダ進出で、経済も握られ難しいかもしれませんが。
香港への中国からの新移民は中共の殖民政策です。香港の自治を自ら崩すものです。言って見れば外国人参政権のようなものです。勿論、帰化させるので香港人となりますから、帰化条件の問題となりますが。福島氏の言うように民族自決派と雖も中共、特に習近平を甘く見ている気がします。香港に軍の投入があったときに、国際社会の真価が問われます。中国と経済的結びつきが如何に深くとも経済制裁すべきです。NHKの国谷裕子は「天安門事件で大きな虐殺はなかった」と中共のセリフを鸚鵡返しにしましたが、香港ではそんなことは許されません。
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最多投票を獲得した土地正義連盟党首の朱凱廸。「予算案を否決できる勢力となって、北京との交渉を目指す」(写真:ロイター/アフロ)
少し前の話になるが、香港の立法会選挙が9月4日に行われた。雨傘革命後、初めての立法会(香港議会)選挙として国内外でも注目された選挙だ。結果は既報の通り、親中派(建制派)が過半数を維持したものの3議席減らし、反中国派(非建制派)が30議席を獲得、法案の否決に必要な議席の3分の1(24議席)以上を維持できた。
今回の選挙で特筆すべきは、やはり本土派(独立派、自決派)と呼ばれる雨傘革命後に生まれた、新政治勢力の若者が6議席獲得したことだろう。この6議席が多いか少ないか、その評価は分かれるが、これまで全く存在しなかった本土派という勢力が議会に誕生したこと、しかも最年少当選者、最多得票数当選者ともに本土派であったことの意味は決して小さくない。
「香港自決」掲げる新勢力が台頭
従来の議会における反中国派の主流は、民主派と呼ばれる民主党を中心とする勢力だが、彼らはあくまで2047年まで維持されるとした一国二制度の枠組み内で香港の民主・自治を守る考えであり、香港返還時に与えたられたミニ憲法・香港基本法に忠実だ。
だが、この新しい政治勢力は一国二制度の枠組みを越えて、香港の未来を香港人が決める香港自決を掲げ、中国と英国が作って香港に与えた基本法も、香港人が新しく作り変えるべきだと主張している。中国にとっては決して座視できない主張を掲げているのである。このことが、今後の香港にどのような変化をもたらすのだろう。
香港の立法会選挙の仕組みを少しだけ説明しておく。
定数は70議席、4年ごとに選挙が行われる。直接選挙で35議席、職能別に35議席がそれぞれ選ばれる。直接選挙は香港島、九龍西、九龍東、新界西、新界東の5選挙区に分けて行われる。職能別議席は、産業界議席(30議席)と区議会(5議席)に分かれ、産業界議席は、金融、建設業、教育、法律、医療などの産業界ごとに候補を立て、その産業界ごとの職能団体者の投票による間接選挙で選ばれる。
産業界は中国経済との関係から圧倒的に親中派議員が多くなるし、立候補者が少なく選挙自体が行われない無投票当選で決まる場合もある。区議会議席は、香港の地方区議の中から立候補を募り、有権者が区に関係なく直接投票する。つまり香港有権者は基本的に2枚の投票権(直接選挙枠と区議会議席枠)を持つ。職能団体に属する有権者はこれに加えてさらに1枚、3枚の投票権を持つことになる。
主に民意が反映されるのは、直接選挙枠35議席と区議会枠の5議席だ。直接選挙枠の選挙法は比例代表制・最大剰余方式(有効投票数を定数で割った基数で、得票数を割った数字の大きさで当選順位を決めていくやり方)。
今回の有権者登録は378万人で、直接選挙枠の投票率は58%で前回よりも5ポイント高い過去最高を記録した。直接選挙枠35議席のうち、民主派が獲得した議席は13議席、本土派が6議席、親中派が16議席。職能代表枠35議席のうち民主派は10議席、親中派は24議席、無党派が1議席。反中国勢力は合計して30議席という内訳だ。
特に注目すべきは、直接選挙枠で6議席を獲得した本土派と呼ばれる勢力だ。雨傘運動後、雨後の筍のように本土派の小政党が乱立し、それらが民主派票と食い合うのではないかと心配されたが、香港の比例代表・最大剰余方式という選挙法が小政党乱立選挙に有利に働いたこと、そして雷動計画と呼ばれるインターネットのSNSを使った票の分配指南が比較的うまくいったことで(いかなかったという評価もある)、民主派票の死票をかなり抑えることができたと見られる。
圧力や妨害が、有権者に危機感
本土派6議席の内訳は、雨傘革命で中心的役割を果たした学生運動体「学民思潮(スカラリズム)」を母体とした政党・香港衆志(デモシスト)の最年少当選者、羅冠聰(ネイサン・ロー、23歳、香港島区)、土地正義連盟党首の朱凱廸(エディー・チュー、38歳、新界西区)、劉老師のあだ名でしられる小麗民主教室の劉小麗(40歳、九龍西区)、青年新政の游蕙禎(25歳、九龍西区)、青年新政の梁頌恆(バッジョ・レオン、30歳、新界東区)、熱血公民の鄭松泰(32歳、新界西区)。
選挙前に、本土派はかなり圧力を受け、一番過激な暴力革命の可能性も排除しないと主張していた香港民族党の陳浩天(アンディー・チャン)や、2016年春節の旺角騒乱に関わった本土民主戦線の梁天琦(エドワード・レオン)ら約6人が、基本法に反するとして、その出馬を取り消された。
だが、こうした妨害は逆に、有権者の危機感をあおり過去最高の投票率となり、また、中間派を本土派票に取り込む作用もあったという見方もある。圧力を受けたことで、本土派の候補たちの発言も、革命や独立といった過激な発言を抑えるようになり、むしろ環境保全や土地問題といった有権者の共感を得やすいテーマを主張に盛り込む工夫もして、より一般の有権者の共感を得やすくなった効果もあった。
この結果、「本土派」として6議席を獲得したのだが、彼らはこの選挙結果にはどのような意義を見出したか。
全候補者中、最多得票を誇る朱凱廸にインタビューする機会があった。彼は、新界西区の土地利権・腐敗問題を告発し、同区の環境保全を公約の一つに据えている。
この新界西区の不動産開発問題は中国資本も絡み、それを快く思わない地元有権者の共感を集める一方、いわゆる“反中ヘイト”とは違う環境保全という普遍的な問題意識の提示によって、狭い意味の本土派以上の有権者の支持を獲得できた。だが、当選後も不動産利権に絡むマフィアから執拗な脅迫を受けており、彼自身のみならず家族の身の安全も心配されている。
予算案をカードに北京と交渉を
彼は今回の選挙については、極めてポジティブに評価しており、次のように語っていた。
「今回の選挙は、香港の歴史に残るものだ。初めて、民主派と建制派(親中派)という二つの選択肢以外の選択肢を有権者に与えられた選挙だった。有権者が探している新しい政治の方向性を示すことができた。英中が香港返還協定を結んで以降、香港人は自分で自分の未来を決める権利を奪われていた。香港人は民主化運動は基本法に従って一国二制度の枠組みの中で進めるという方程式しかないと思い込んできた。でもそれは騙されていたんだ。雨傘運動で、その方程式とは違う方法で民主化を進める方法があるのではないかということに気づき、今回の選挙を通じて、香港人は香港の未来をどう発展させるかを自分で決めることができる、自分で決めたいという考えを示すことができたのだと思う」
「今回の選挙では、政府からの圧力がかかって候補者は心底自由に、香港人は自分で香港の未来を決めることができるということを十分に訴えられなかった。でも、そう語れなくても、有権者にはメッセージは伝わった」
さらに朱凱廸は今回の選挙結果をこう分析する。
「今回の選挙結果を見ると、20%の有権者は香港の未来は自分たちが決めるべきだと考えている。35%の有権者は民主主義が重要だが、どうすればいいかわからない。なので旧来の民主派に投票した。だが旧来の民主派には、香港の民主を守るためにどうしたらよいか方法論がない。民主派はただ、今の行政長官を辞任させればいいと考えている。我々の任務は、民主派の中で自決派に共感できる人間に働きかけ、増やしていき、最終的には予算案を否決できる勢力にまで伸ばすこと。そうすれば、予算案をカードに北京と交渉できるようになると思う」
希望に満ちた意見だが、実は本土派の内情はそう単純ではない。
本土派(自決派)は主に二派に分かれている。民主自決派と民族自決派。朱凱廸、羅冠聡、劉小麗ら3人は民主自決派、鄭松泰と青年新政の2人は民族自決派だ。
民族自決派は、香港の最大の問題点は中国人が香港に多すぎることだと考え、新たに中国から来る新移民に対して排他的な姿勢を隠さない。一方、民主自決派は、新移民を含め、香港で生活する人たちが香港人であり、一緒に香港の民主化を実現していきたいと考えている。反中国であり、香港の前途を香港人が決めていくという点は共通だが、今後増えていくだろう新移民の対応で、決定的な対立点がある。
民族自決派の熱血公民党首、鄭松泰にも話を聞いた。彼は香港理工大学の社会学専任講師で北京大学にも留学経験のあるインテリである。熱血公民は「熱血時報」などのセルフメディアを持ち、若者の支持が大きい政党で期待を込めて5人の候補を立てたが、結局、鄭松泰一人しか当選しなかった。
この理由について雷動計画が関係あるかもしれない。雨傘革命に参加した香港中文大学の戴耀廷教授に提唱されたネット選挙戦略で、民主派・本土派小政党が乱立する今回の選挙において、死票を減らし、党落選上の候補に票を集めて当選させるために、民意調査などを基に得票予想数などのデータをSNSで計画参加者に発信、投票指南を行う。投票締め切り間際に有権者が殺到して、投票時間を延期する騒ぎが起きたが、これは雷動計画で得票推計を見たうえで投票行動を決めようとした結果、締め切りぎりぎりに投票する有権者が増えたせいだと言われている。約4万人の有権者が参加した。だが、これは熱血公民など、もともと人気の高い政党の票を思いがけなく減らす結果になったともいえる。
流血、暴動を避け、憲法を変える
鄭松泰は今回の選挙結果については、「我々の党は失敗した」という。だが「(本土派の意見を選挙運動によって広めたことで)民主派に現実問題を直視させ、基本法改正などのプレッシャーを与えることができた」と選挙自体の意義は高く評価した。雨傘革命の要求である真の普通選挙が実現できなかった背景には基本法の問題がある。香港にとっての憲法・基本法では直接選挙を行う場合の候補者は指名委員会が指名すると決められており、誰でも立候補できる真の普通選挙は「違憲」となる。
「熱血公民の主張は、香港人の公民投票権獲得と全民制憲、つまり自分たちの憲法を創ること。今の基本法(ミニ憲法)の解釈権は中国全人代にしかない。香港の憲法なのだから、香港人が作り、香港人に解釈権があるべきだろう。公民投票によって、憲法改正を実現させることが私たちの運動の目標だ。今の香港の状況を客観的にいえば、香港は中国の一地方化が進んでいる。同時に香港独立を主張する若者が台頭している。だが、香港独立を強く主張すれば、必ず流血沙汰になるだろう。流血、暴動を避けるために、立法会で公民投票法を作り、憲法を変えていくことが必要だ」と訴える。そして、本土派各党、民主派との間に様々な対立点はあるとしても、基本法改正の一点については共闘できる部分があるのではないか、と期待する。
ただ鄭松泰は北京留学の経験から、中国が民主化する可能性はゼロと見切り、中国人に対しても不信感がある。「毎年5万人増える中国からの新移民も投票権が与えられる。彼らのうちにどのくらいが建制派、親中派に投票するのかはわからない。だが半分以上は親中派の票田になるのではないか。これが今の香港政治の現実だ。香港の血が入れ替えられようとしている」。青年新政の主張にも「抗赤化(抗中国化)」がある。この新移民への警戒感が本土派を二分する対立点だが、こうした対立点も含めて、議会制度によって香港のありようを決めていこうという姿勢を打ち出している。
雨傘革命から今回の立法会選挙の道のりを振り返ると、香港人、特に若者たちの政治参与の努力に少なからぬ感動を覚える。2014年秋から冬にかけて79日にわたる公道占拠――真の普通選挙を求めて行われた法律違反ともいえる若者の抗議行動は、中国当局の香港統治のあり方を改善させるどころか悪化させる形で終わり、一時は香港に言いようのない挫折感が漂った。
だが、その挫折感の中から、曲りなりにも政党と呼べるものがいくつか生まれ、立法会選挙で議席を獲得した。独立派・本土派は暴力革命も辞さない危険勢力というレッテルも張られかけたが、選挙運動で有権者と向き合い、当局からの圧力を論理的にかわすことで、自分たちの主張をより現実とすり合わせて前に進んでいる。当選後は意見・立場を異にする政党との共闘点も見出そうと、それぞれが真剣に考えている。なぜ日本の若者の政治運動に、こうした変容や成熟が生じなかったのかと思う。
3月の行政長官選挙で“奇跡”は起きるか
もちろん、中国に対する予見はたいそう甘い。北京と交渉したり、基本法を改正したりというのは、今の段階では夢想に近い。中国が香港に対して絶対に軍事行動をとらないと彼らが考える根拠は、香港が党中央の官僚たちのマネーロンダリングの場であり、その財産を守る大事な金融都市・香港の安定を損なうような真似はしないはずだ、という一点にすぎない。
だが、果たしてそうか。私の観察するところは、胡錦濤政権ならばいざ知らず、習近平政権は、香港の安定をそれほど重視していない。むしろ恐怖政治で北京への抵抗を封じようとする傾向が、例の銅鑼湾事件などからも見て取れる。
だが、それでも、選挙や議会政治という今、与えられているシステムを使って、なんとか香港を変えていこうとする若い運動家、政治家たちの情熱と努力を見ていると、なにか奇跡を期待する気持ちも抑えられないのだ。
次の香港政治の山場は来年3月の行政長官選挙。その結果いかんによっては、中国が香港政策を変更してくるかもしれない。香港の若い政治家たちの動向と香港世論の動きから、これからも目が離せない。
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『アメリカ人、差別批判が怖くてうかつに口を開けず エスカレートする「ポリティカルコレクトネス」に四苦八苦』(9/20JBプレス 老田章彦)について
米国もここまで愚かになったかという気がします。侮蔑的響きがあるからと言って、社会が圧力により言葉を使用を中止させるというのは、歴史や伝統を軽視するものです。確かに”Jap” より”Japanese” 、“Nigger” より”African American”の方が聞いていて気持ちが良いでしょう。でも小説や学術論文まで規制の網をかけるのはどうかと思います。時代を正しく反映しない表現となります。それでは時代考証が意味をなさなくなります。差別かどうかは文脈の中や語調で分かるものです。一律に自主規制する必要はないと思います。
米国での「約束の地」や「マニフェスト・デステイニー」もダメになるのでは。日本でも筒井康隆の断筆宣言もありました。一種の「言葉狩り」でしょう。筒井氏は癲癇協会からのクレームが発端らしいですが、「つんぼ(耳の不自由な人)」「めくら(視力障害者、目の不自由な人)」「おし(口の不自由な人、聾者、ろうあ者)」「ぎっちょ(左利き)」も差別用語に指定されています。「つんぼ桟敷に置かれる」は使えません。「ぎっちょ」なんて別に差別の意図を感じませんので、違和感があります。
米国がPC(ポリテイカル・コレクトネス)に拘るなら、それ以上に、歴史の真実に真摯に向かいあった方が良いのでは。クーリッジ時代の排日移民法案、FDRの謀略(ハルノートを翳して日本への大戦への誘導)や原爆投下、現在の「南京」や「従軍慰安婦」の歴史解釈において中韓の捏造を放置する姿勢(これは日本政府が悪いのが大部分=日本国民の責任)は日本人に対する差別です。
人種差別を口実に反論を許さない姿勢は、在日や台湾出身で中国人の精神を持った蓮舫に見受けられます。これを認めることは日本人に対する逆差別になりますし、本記事にありますようにルールの正誤の境を曖昧にします。言葉は時代と共に変遷するとはいえ、できるだけ文法的に正しい言葉を使うべきでしょう。それは差別の問題とは関係ありません。学問は真理の追究にあります。社会的圧力によって歪められるべきではありません。ガリレイの時代に逆戻りします。「実事求是」では。
記事

アメリカ人の多くは我々の想像以上にポリティカルコレクトネスに気を遣って会話をしている(写真はイメージ)
カリフォルニア大学は、「バークレー校」や「ロサンゼルス校」など10大学の連合体として、学生23万8000人、教員19万人を抱える大所帯だ。2015年、その頂点に君臨するナポリターノ学長がすべての教員に向けて発した通達が、関係者を驚かせた。
それは、教員は次のような表現を口にしないよう求めるものだった。
「アメリカは機会の土地だ」(America is the land of opportunity.)
これは勤勉に働けば報われるという意味の、アメリカ人が誇りにしてきた言葉だ。だが学長によれば、この言葉は「有色人種は怠け者で能力が低いから、より努力する必要があることを暗示」するものであり、人種差別につながるリスクがあるという。
一方で、さまざまな人種・民族の共存を意味する「アメリカは人種のるつぼ」(America is a melting pot)、「人類はひとつ」(There is only one race on this planet, the human race)も禁句とされた。これらの言葉は個々の人種・民族が培ってきた文化の軽視につながりかねないため、授業はもとより学生たちとの雑談においても使われるべきではないという。
驚くばかりの気の遣いようだが、今のアメリカはそこまでする必要があるのか。こういう社会で一般市民はどのようにして暮らしているのか。
目を白黒させながら言葉を探すアメリカ人
ポリティカルコレクトネスとは、対人関係において相手の人種・性別・宗教などに十分に配慮することを指す。直訳すれば「政治的な正しさ」だが、ここでは「差別なく中立であること」と理解しておきたい。
日本でも最近耳にするようになった言葉だが、アメリカでは多くの人が、日本人の想像以上にポリティカルコレクトネスに気を遣いながら暮らしている。
筆者が住むワシントンDCには、南北戦争により解放された奴隷が、身の安全や職の確保などに関して連邦政府の保護を求めて集まってきたという歴史がある。そのため、アフリカ系市民が多く人口の約50%を占める。これは全米トップの割合だ。
黒人は全般的に所得が低く、失業率は高く、彼らが固まって住む地域では犯罪が多い。筆者はそうした地域の目と鼻の先に住んでおり、近所の人との間で「今週の殺人事件」が話題に上ることもある。
だが、筆者はあるとき気がついた。人々は「やっぱり危ない地域だね」といった感想を滅多に口にしないのだ。
その理由は、もしも目の前に黒人がいたら、そうした言葉は「黒人を犯罪者と見るステレオタイプ」として相手の気分を害することがあるからだという。たとえ統計的な根拠があってもだ。
教養のある人ほどそうした気遣いが顕著で、彼らはたとえば白人同士であっても「ステレオタイプな人種観」に結びつきそうな言葉を慎重に避けているのが分かる。
アフリカ系、ヒスパニック系やアジア系、ユダヤ系など、アメリカ人が互いに配慮すべき対象は多い。倹約家のことを「彼は○○○人だからね」などと言うのもアウトだ。出かかった言葉をあわてて飲み込み、目を白黒させながら別の言葉を探す様子は(繰り返すが、そこに他の人種がいないにもかかわらず)、痛々しいまでのお行儀よさと見えることがある。
「文章の間違い」を直すのは間違いだ!
だが、そのようにしてポリティカルコレクトネスを心がけていれば差別問題と無縁でいられるのかといえば、そうもいかないことがある。
カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)のバル・ラスト名誉教授は、大学院生のレポートを添削し、綴りや文法のミスを訂正して返却した。ところが、レポートを受け取った学生のうち数人から強い抗議の声があがった。そのうち何人かは有色人種だった。彼らは、自分たちが書いた綴りや文法は決して誤りなどではなく、自分たちの思想を反映した独自の表現だと主張した。
たとえば黒人同士が会話するときは独特な英語が使われ、ブラックイングリッシュなどと呼ばれている。
「彼は何もしなかった」という場合、私たちが教わった英語では
He didn’t do anything.
だが、ブラックイングリッシュでは
He didn’t do nothing.
となることが多い。 ‘No’ が繰り返される二重否定文だ。
そのほか、
You (were) playing football.
のように単語が略されることや、三人称の動詞が異なることもある。
He don’t have a choice.
いうまでもなく He doesn’t が「正しい文法」だ。
こうしたブラックイングリッシュは、古くから黒人音楽や文学を通して独自の文化を表現してきた。近年はラップミュージックの隆盛により、若い世代の間に強烈な民族的プライドが育っている。UCLAの学生の主張はそうした流れのなかから出てきたものだった。
学生たちは、民族の文化の表れである文章表現を否定し、文法ミスとみなす教授の態度はもってのほかであり、「学内にはびこる人種差別的な空気」を象徴するものだと主張して、教室での座り込みを開始。同調者を含む25人が抗議行動に加わり、授業は阻止された。
学生たちの個々の「文化」は、学問的な正しさを曲げてまで守るべきものなのか。大学のポリティカルコレクトネスは難しい局面を迎えている。
ブリトーを食べるのはメキシコ人差別?
こんな出来事も起きている。
カリフォルニア州にあるスティーブンソン大学では、SF小説好きの学生たちが宇宙イベントを開催し、宇宙船や異星人(エイリアン)の写真を展示した。ところが、このイベントで提供されたブリトーなどメキシコ料理が問題となった。ある学生が「この料理は、メキシコなど中南米の出身者が異邦人(エイリアン)であることを暗示している」と考え、大学に抗議の手紙を送ったのだ。
たしかに「エイリアン」という単語は、排他的・差別的なニュアンスで使われることもある。そして、この大学には正式な入国書類を持たない(たいていの場合は親世代が不法入国した)メキシコ人学生が少なからずいる。
「そうした学生の心情にも配慮すべきだ」と考えた大学側は、ブリトーの提供を許可したことは誤りだったと謝罪した。加えて今後は、イベントを開く学生に対して「文化習熟トレーニング」の受講を義務付けると発表した。
このように人種・民族をめぐるポリティカルコレクトネスが先鋭化する理由は2つあるだろう。1つは奴隷制への贖罪意識と、間違いを繰り返してはいけないという自己規制。もう1つは、このような多民族国家で誰もが居心地よく暮らせるようにするための譲り合いの心だろう。少なくとも筆者の周辺にいるアメリカ人にはそのように捉えている人が多い。
ポリティカルコレクトネスへのいらだちも
だが米国全体を見れば、ポリティカルコレクトネスへのいらだちも募っているようだ。その表れの1つは、オバマ大統領が一貫して寛容な姿勢を見せてきた不法移民について「問答無用で国外退去させる」とぶち上げるドナルド・トランプ候補が一部の大喝采を浴びていることだろう。
ポリティカルコレクトネスという言葉自体も微妙な響きを漂わせつつある。「アメリカ人は今後、どこまでポリティカリーコレクトでいられるのか・・・」といった文章も、今後はより慎重な姿勢で書くべきかもしれない。
ウィスコンシン大学ミルウォーキー校が行った「適切なことば?」(Just Words?)というキャンペーンによれば、ポリティカルコレクトネスという用語そのものが、すでにポリティカリーコレクトではないらしい。この言葉は、人々に不適切な表現を駆逐するよう迫ってくる攻撃的な言葉になってしまったというのだ。
「もっと肩の力を抜いて」と言ってあげたいが、アメリカ人の格闘は緩む気配もない。多民族社会であることがアメリカの繁栄の源泉だと多くの人々が信じている以上、こうした努力がやむことはないのだろう。「文法ミス」やブリトーのエピソードを笑って済ませることのできない複雑さがこの社会にはある。
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『日本の不動産「爆買い」から撤退する中国人 富裕層は五輪を前にタワーマンションを早くも売却』(9/20JBプレス 姫田小夏)について
9/22日経<中国の民間債務急増に警鐘 BISなど、金融危機のリスク
【北京=原田逸策】中国の民間債務の急激な増加に国際機関が相次いで警鐘を鳴らしている。国際決済銀行(BIS)は18日付の四半期報告書で、中国などを念頭に「債務の伸びが国内総生産(GDP)の成長率より異様に高い」と指摘。国際通貨基金(IMF)も8月の年次審査報告書で「早急に企業債務の問題に取り組むべきだ」と促した。中国政府も債務の削減に乗り出したが、実効性は上がっていない。
BISは企業と家計を合わせた民間債務のGDP比率が、これまでの傾向とどれだけ乖離(かいり)しているかを示す指標を公表している。債務が過去を上回るペースで膨らめばプラスとなる。
報告書によると、2016年3月末で中国は30.1%。調査対象の43の国・地域で他を引き離して最も高い。15年12月末より1.7ポイント高く、直近の底だった11年12月末から23.4ポイント上昇した。
BISは「プラス幅が10%を超えると、3分の2の国で3年以内に金融危機が起きた」と説明する。バブル経済が崩壊した1990年に日本は23.7%、サブプライム危機が起きた07年に米国は12.4%といずれも過去最高を記録。アジア通貨危機が起きた97年のタイは35.7%で中国はこの水準に迫りつつある。外貨準備高の水準などが異なるため他国の例と単純比較はできないものの、中国はBISが指摘する警戒ラインを大きく上回っている状態だ。
IMFも8月の報告で中国の企業債務問題に「早急に包括的な対応が必要」と指摘した。具体的には国有企業への政府支援の制限、過剰債務を抱えた「ゾンビ企業」の再編、失業者の支援――などを挙げた。「(中国経済は)脆弱性が増し、ショックへの抵抗力が弱まりつつある」(リプトン筆頭副専務理事)
BISによると、中国の家計・企業を合わせた民間債務のGDP比率は16年3月末で209.8%。08年9月末には115.7%だったが、リーマン・ショック直後に打ち出した「4兆元対策」(当時の為替レートで約57兆円)とその後の中国経済の成長鈍化で急激に上昇した。
習近平指導部も昨年12月に「供給側(サプライサイド)改革」を打ち出し、過剰債務の削減を目標の一つに掲げた。5月には年5000億元規模の企業減税を始めた。企業の税負担を軽くし、稼いだ金を借金返済に回してもらう狙いだ。
ただ、足元も民間債務は減っていない。企業や家計の資金調達額は1~8月に11兆7500億元と前年同期より1兆1千億元多い。個人の住宅ローンが急増する一方、民間企業主体の中華全国工商業連合会の譚林経済部長は「銀行はすでに融資した先にまた貸すのに慎重な態度だ」と話す。
大手商社の幹部は「銀行による『貸し剥がし』でつぶれる中小企業が出始めた」と話す。中国人民銀行(中央銀行)が引き締めに動けば、まず中小企業融資が絞られる可能性が高く、慎重に進めざるを得ない。過剰債務を抱えた国有企業の淘汰も、失業増加を恐れる地方政府の反対で進んでおらず、民間債務圧縮の道筋は不透明だ。>(以上)
日中間で戦争になる前に中国経済が崩壊することを望むものです。ただ、何千万も自国民を殺した毛沢東に指導された中共が牛耳るキチガイ国家ですから逆に戦争に出るかも知れません。でも、日本の経営者の危機感の無さは何でしょう。230人も訪中団を組成し、敵国経済を助けようとしているのですから。中国に投資してもそんなに簡単に儲けさせてくれないというのをお偉方は分かっていないようです。真のエリートが会社のトップにいないから、大局を読み間違うのです。
http://www.sankei.com/economy/news/160921/ecn1609210010-n1.html
日本の不動産の売却では日本での譲渡所得税の支払い義務が生じます。勿論、売却額-(取得額+必要経費)にかかる税金ですが。売り逃げを防ぐには、中国へ「税金未納通知」をすることです。どうせ賄賂等ダーテイマネーで買った物件で、表には出せない金でしょう。マネロンの可能性もあります。ただ、本人を追跡できるかどうかが問題ですが。偽身分証や偽パスポートなどザラですから。下のURLは上海の偽護照(パスポート)と偽籤証(VISA)の会社が堂々と広告しています。中国とはこういう国です。
中国は「上に政策あれば下に対策あり」で、規制を強化しても抜け道を見つけるはずです。そもそもで言えば50万$などは合法的に稼げる人は少ないでしょう。賄賂が圧倒的と思います。外貨で賄賂を取り、キャッシュで日本の不動産を買えば問題はありません。ただ日中or日米VS 中で戦争が始まれば相手国の資産凍結・資産没収が行われるでしょう。
9/17産経ニュースで古森義久氏はランド研究所の報告として「2025年までに「米中戦争」が起きると警告した報告書の危険な中身とは? 引き金は尖閣での日中衝突」が起きるとの記事を書いています。平和ボケしている日本人はもっと危機感を持った方が良いでしょう。2025年と言えば、後10年以内に戦争が起きるという事です。憲法改正できていなくとも自衛権の発動で戦わざるを得ません。そのときになって初めて大多数の国民は国防について真剣に考えるのでしょうか?それとも人権抑圧国家・中国に隷従する道を選ぶのでしょうか?チベット、ウイグル、モンゴルを良く見てほしいものです。日本の平和愛好者と言うのは隷従する道を歩ませようとしているとしか思えません。100%の日本人は戦争反対でしょう。そうであるなら抑止力としての武力を持たなければなりません。中国が歴史を改竄・捏造して尖閣はおろか沖縄、日本へと侵略の触手を伸ばしてきていますので。正しい情報を得るためには、偏向メデイア(朝日、毎日、東京)の購読を中止にし、別の媒体に変える必要があります。
http://www.sankei.com/column/news/160917/clm1609170008-n1.html
記事

レインボーブリッジからの東京・晴海地区の遠景(出所:Wikipedia)
ここ数年、中国人富裕層がこぞって日本の不動産に投資していることが、たびたびメディアに報じられてきた。
中国人富裕層は、数年前から中国の不動産に対してこれ以上値上がりしないだろうと見切りをつけるようになった。一方、日本の首都圏の不動産は中国沿海部の大都市に比べて割安感があり、五輪効果で値上がりが期待できる。
中でも中国人富裕層が目を付けたのは、東京・晴海地区を含む湾岸エリアのタワーマンションだ。晴海地区のタワーマンションは、2020年に開催される東京五輪の選手村を階下に見渡せるという話題性もあり、首都圏のマンションの中でも人気が高い。価格もここ数年でじりじりと上昇している。そのタワーマンションを、中国人富裕層が群がるように買い求めた。
今や、物件によっては総戸数の1~2割が中国人オーナーというところもある。
「私が住むマンションも中国人が多いですね」と語るのは、湾岸エリア北側の豊洲地区のマンションを購入した三井真由美さん(仮名)。三井さんは「ここは総戸数が1000戸を超える大規模マンションですが、そのうち100世帯は中国籍の方ではないでしょうか」という。
中国人のマナーが問題になっていないかと尋ねると「それはあまり気になりません」とのこと。それよりも、同じマンションの居住者たちが大きな関心を寄せていることがあるという。「中国人オーナーが、いつ物件を売りに出すのか」ということだ。
中国人富裕層がタワーマンションを売却
ここ数年、首都圏の不動産市況は好況が続いたが、湾岸エリアなどでは高級物件を中心に腰折れ感が出始めた。
東京カンテイ市場調査部の高橋雅之氏によれば、「中華圏の富裕層が購入したタワーマンションでは、売却も増えています」という。
湾岸エリアの不動産仲介業者も、中国人投資家の割合が高い物件が集中する「晴海地区での売却が出始めています」と明かす。「2年前、新規分譲のある物件を青田売り(竣工前販売)しました。2年経ってようやく入居が始まったのですが、早くも売りに出す中国人投資家がいます」(同)
2年前に比べると、晴海のタワーマンションの価格は10~15%上昇している。2年前に6000万円をつけたマンションなら、現在の価格はおよそ7000万円である。中国人投資家の一部は、市場がピークを打って一斉に値下げに転じる前に「高値売り抜け」に出ようという算段らしい。
日本の不動産への関心はなくなっていないが・・・
昨年まで見られた中国人による「炊飯器やオムツの爆買い」は、ほとんど姿を消したようだ。実は「不動産の爆買い」も、急減している。首都圏に店舗網を持つ大手不動産販売の管理職は、「以前に比べて中国のお客様からの問い合わせは半減しました」と語る。
中国人投資家は、首都圏の不動産市場をどう見ているのか。値上がりが見込めない日本の不動産は見向きもされなくなるのだろうか。
中国人投資家を日本の不動産業者に紹介する、ある中国人仲介役から、たまたまこんな話を聞くことができた。
「中国人投資家は、依然として日本の首都圏の不動産に強い関心を抱いています。目的はさまざまですが、特に目立つのが『安定がほしい』『やすらぎがほしい』という需要です。私の中国人のお客さんの中には、日本風の古民家を購入した人もいます。中国経済の先行きが不透明な中で、日本に資産を移転させたいという動きも衰えていません」
国家権力を以てしても個人の所有権を奪えないという、日本の登記の効力も魅力なのだという。
強化された送金規制
その一方で、中国人からの日本の不動産への「問い合わせが半減」していることの理由について、この中国人はこう語った。
「中国で送金規制がさらに強化されたのです。中国人投資家は誰もがこの送金の問題に頭を痛めています」
中国では国家外貨管理局が「1人当たり年間5万ドルまでしか持ち出せない」と規定しているため、中国人富裕層はあの手この手で資産を海外に持ち出してきた。その手口の1つが、「蟻の引っ越し」(蚂蚁搬家)だ。協力者を何人も集めて、それぞれに上限の5万ドルを海外に持ち出させるのだ。仮に10人集めれば、50万ドルの送金ができる。中国人富裕層は、こうした人海戦術によって海外で高額な不動産を購入してきた。
ところが、そのやり方が突如できなくなった。加速する資産流出、歯止めがかからない外貨準備高の減少に、国家外貨管理局が業を煮やし、規制強化に乗り出したのだ。今年1月から、割り当てられた枠を他人のために使う行為は厳しく取り締まられるようになった。「同一の海外口座に5人以上が送金を行った場合、名義貸しを行った人は当局のブラックリストに載せられてしまいます」とこの中国人は首をすくめる。
円高に加えて中国側の政策変更により風向きは変わった。湾岸エリアでは東京五輪を待たずして、早くも「爆買い手じまい」となりそうな空気が漂っている。
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『平成28年版防衛白書を読み解く 何を伝え、何を伝えていないのか』(9/20JBプレス 矢野義昭)について
与那国だけでなく奄美や宮古、石垣等南西諸島に陸自の配備予定とのこと。予算・人員・装備をしっかり配分しなければ中国への抑止力になりません。
http://matome.naver.jp/odai/2140088706815504401
http://www.sankei.com/politics/news/160530/plt1605300006-n1.html
本記事は、長いのでコメントは短めにします。自衛隊員の生命を守るためには、法律をポジテイブリストからネガテイブリストに変える必要があります。国民にキチンと脅威と危機について説明しなければ防衛予算増額も覚束なくなります。政治配慮は必要ありません。「人殺し予算」とか抜かした日本共産党はバッシングを受けました。裏で誰が操っているかすぐ分かるでしょう。南スーダンは中国が利権を持っていますので、彼らに任せ、尖閣の防衛or南シナ海に戦力を回した方が良いでしょう。米軍との共同作戦を展開しなくては。防衛白書が、奥歯に物が挟まった言い方なのは、背広組が自主規制しているのでは。
政府は危機感が足りない気がします。メデイアの横暴を止められないのであれば、新規参入しやすくしたり、課税強化したりすれば良いでしょう。パチンコも営業禁止にできなければ売上税を課すようにしたらどうか。敵の弱体化を図らないと。
記事

静岡県御殿場市にある東富士演習場で実施された陸上自衛隊「富士総合火力演習」の予行で、ヘリコプター「UH-60ブラックホーク」から懸垂下降する隊員(2016年8月25日撮影)〔AFPBB News〕
今年も例年通り、『平成28年版日本の防衛 防衛白書(以下28年版『防衛白書』と略称)』が公刊された。他方では、中国の漁船200隻以上が公船などとともに尖閣諸島周辺に押し寄せ、北朝鮮は今年に入り、核実験、各種ミサイルの発射試験のテンポを上げている。
日本を取り巻く安全保障環境は、これまでになく厳しさを増している。
『防衛白書』には、国民世論に対して防衛政策への理解を深めてもらうという目的がある。現在の日本の危機的な情勢の実相と、その中で日本として採るべき対応策について、今年の白書は、何を伝えようとしているのだろうか。
また、現在の緊迫した情勢のもとで真に国民に伝えるべきことが伝えられているのだろうか。このような観点から、昨年27年阪の『防衛白書』と比較しつつ、検証する。
1 目次構成
昨年同様の全3部構成である。
第Ⅰ部「我が国を取り巻く安全保障環境」の目次は変わっていない。
第Ⅱ部「わが国の安全保障・防衛政策と日米関係」では、「平和安保法制などの整備」が節から第3章に独立し、経緯と概要が詳述されている。
昨年は第Ⅱ部第2章にあった「防衛装備移転三原則」は、今年は第Ⅲ部の第3章「防衛装備・技術に関する諸施策」にまとめられた。
昨年は第Ⅱ部第4章にあった「防衛省改革」は、第Ⅲ部「国民の生命・財産と領土・領海・領空を守り抜くための取組」第1章第1節「防衛省・自衛隊の組織」に簡略に記述されている。
第Ⅲ部第2章「安全保障協力の積極的な推進」について、昨年は第2節「国際社会の課題への取組」としまとめて記述されていた、「海洋安全保障の確保」、「国際平和協力活動の取組」、「軍備管理・軍縮・不拡散への取組」は、今年は第2節、第3節、第4節に独立して詳述されている。
第Ⅲ部第3章「防衛装備・技術に関する諸施策」には、「研究開発に関する取組」、「民生技術の積極的な活用」、「ライフサイクルを通じたプロジェクト管理」などの項目が新設され、「防衛装備移転三原則」が含まれるなど、防衛装備・技術に関する事項がまとめて記述されている。
以上からは、28年版では、昨年可決成立した「平和安保法制」と、それに基づき進められている国際的な「安全保障協力の積極的な推進」、「防衛装備・技術に関する諸施策」の推進の実態について、詳述しようとする意図が伺われる。
2 「巻頭特集」
28年版で新たに設けられた「巻頭特集 日本の防衛この一年」では、以下の項目が列挙されている。
①平和安全法制の成立・施行 ②防衛装備庁の新設 ③北朝鮮による核実験、弾道ミサイルの発射 ④各地で発生した自然災害 ⑤海外で活躍する自衛隊 ⑥自衛隊観艦式『海を守り、明日を繋ぐ』
これらの項目は、平和安保法制の成立を軸に、脅威認識、防衛省改革、安全保障協力活動、国民との一体化をテーマとしており、巻頭言や目次構成の狙い、重点事項と符合している。
3 第Ⅰ部「我が国を取り巻く安全保障環境」
(1)概説
・昨年は「わが国を取り巻く安全保障環境は一層厳しさを増している」としていたが、今年は「わが国周辺を含むアジア太平洋地域における安全保障上の課題や不安定要因は、より深刻化している」と要約している。
・「概説」の中で、北朝鮮と中国の脅威を特に列挙し、北朝鮮による「核兵器・弾道ミサイルのさらなる進展を「重大かつ差し迫った脅威」、中国の現状変更の試みは「わが国を含む地域・国際社会の安全保障上の懸念」と指摘、中朝の脅威増大に警戒感を高めている。
・グローバルな安全保障環境の中では特に、ロシアのウクライナで行った現状変更の結果は「固定化の様相を呈し」、中国の南シナ海での献上変更の「既成事実化がより一層進展する中、国際社会の対応に課題を残している」としている。中国のみならずロシアが新たな脅威として認識されている。
・グレーゾーンの事態の増加・長期化、テロの世界的拡散、サイバー空間へのリスク、領土問題の指摘は昨年と同じである。
・「関連事象」の図の中では、北朝鮮の「度重なる挑発的言動」、中国の「透明性の欠如」、東シナ海での「現状変更の試み」、南シナ海での「現状変更とその既成事実化」、太平洋進出の「高い頻度での維持」も指摘している。特に中国の活動活発化が重点的に採り上げられている。
(2)米国
・今年は、①中国の軍事的台頭をはじめとする、グローバルなバランス・オブ・パワーの変化、②ウクライナや南シナ海を巡る力を背景とした現状変更の試み、③ISILなど国際テロ組織による活動の活発化などの「新たな安全保障環境」のもと、米国の世界へのかかわり方が「大きく変化しつつある」としている。昨年の白書では単に「変化しつつある」とされていた。
2013年5月、バラク・オバマ大統領は大統領として初めて、米国が「世界の警察官」の地位を降りたことを表明したが、その後の世界では、中露朝など秩序挑戦国の台頭により世界的な情勢不安定が進んでいる。
今年の白書はそのことに対する率直な懸念を示している。特に、ドナルド・トランプ氏が共和党の大統領候補となってから、その懸念は強まっていると言えよう。
・米国は、「短期的には過激派組織、中長期的には既存の国際秩序や米国及び同盟国の利益を脅かすことを試みる国家」を脅威と認識していると述べている。対応策として、同盟国との関係強化とリバランシングが継続されるとみている。
昨年は中東およびウクライナを巡る情勢が与える影響に注目が必要と指摘していたが、今年はそのような指摘はない。オバマ政権はリバランシングの維持を追求しているが、2015年7月に統合参謀本部議長から公表された『国家軍事戦略』では、ロシアを第一の脅威とみとおり、新大統領のもとリバランシングが維持されるかは微妙になっている。
・米国の軍事的優位性が徐々に浸食されているとの認識の下、米軍の優位性の維持・拡大のため、新たな分野の軍事技術の開発を企図して「第3のオフセット(相殺)戦略」を推進しているとしている。
「第3のオフセット戦略」については、「大国に対する通常戦力による抑止を強化するため、技術・組織・運用面において優位性を維持することを狙いとしており、人間と機械の協働及び戦闘チームへの投資を重視するとしている」と明確に狙いと重点について述べている。
この戦略は今後の米軍の基本戦略として、装備、訓練、運用などの教義の基本となるとみられ、同盟国に対してもこの戦略に基づき、共同の計画、運用、訓練、研究開発などでの協力要請を投げかけてくるものと思われる。
日米共同においても、人間と機械との協働、特に自律分散型の人工知能を搭載したロボットシステムの開発と運用がキーになると思われる。
・米軍の最近の動向として、新たに、日本へのイージス艦の追加配備と配備予定、比への巡視船、調査船各1隻の供与とA-10の配備、シンガポールへの沿海域戦闘艦の4隻配備、P-5のローテーション配備および米星防衛協力強化協定の署名などが追加された。リバランシングの具体的進展を強調している。
(2)北朝鮮
・脅威度について、昨年の「重大な不安定要因」との表現から「重大かつ差し迫った脅威」と、より強い表現になっている。
・大量破壊兵器・ミサイルの開発については、4回目の核実験について触れ、「一般的な水爆実験を行ったとは考えにくい」との評価をしている。半面、「既に核兵器の小型化・弾頭化に至っている可能性も考えられる」とみており、「技術的な信頼性は前進」したとみている。
このように、試験を重ねるごとに北朝鮮の核とミサイルの能力が向上していることを認め、警戒感を強めている。
・SLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)の開発、KN14の登場など、新たな動きにも触れている。なお、軍事挑発の可能性、奇襲攻撃能力の向上については昨年同様に強調している。
・ムスダンが一定の機能を持つことが示され、固体燃料エンジンの燃焼試験など、新たな中・長距離弾道ミサイルの実用化に向けた技術の獲得とその高度化を追求する姿勢を示しており、さらなる技術の向上の兆候があるとしている。
このような多様な核ミサイルの配備が今後進めば、北朝鮮の核戦力は、米本土を攻撃する能力を持つだけではなく、米側の先制攻撃や報復攻撃から残存して、日韓などの米同盟国やグアムを報復攻撃する能力も持つようになり、対米最小限抑止段階に近づくことになるであろう。
・内政面では、金正恩の独裁が強化され、第7回党大会を2016年5月に開催、「核保有国」と自称し、並進路線を継続し、核とミサイルの開発を続けることを表明したことを指摘している。粛清が相次ぐなか、挑発や不確実性の増大に警戒感を示している。
・南北関係は地雷爆発を契機に「極度に緊張」した。半面、北朝鮮が4度目の核実験を強行したことにより中朝関係が冷却化している可能性があるとしている。
ただし、中朝関係は、その後、韓国へのTHAAD配備などを契機に米中関係、中韓関係が冷却化したのに伴い、関係が改善している可能性もある。
(3)中国
・「全般」の冒頭の表現は昨年とほぼ同じで、中国が「より協調的な形で積極的な役割を果たす」ことへの期待と、中国の「高圧的ともいえる対応」や「危険な行為」などへの懸念を示している。
昨年同様に反腐敗闘争の継続、A2/AD能力の強化も指摘している。「全般」の記述は抑制的であり、「中国」の記述順序も下げられており、対中配慮がにじみ出ている。
ただし昨年は単に「懸念を抱かせる」としていたものが、今年は「強い懸念を抱かせる」と、より警戒感を高めた表現になっている。
・「軍事」や「活動状況」では、昨年よりも具体的かつ詳細に中国の軍事力増強、軍改革や活動活発化の実態について述べており、説得力に富んだ内容となっている。中でも周辺海域での活動は詳細に図示されている。
特に「軍事」では、軍事費の28年間で44倍への急増、軍改革、空母建造を公式に認めたこと、次世代戦闘機の開発について記述された。
「活動状況」では、「外洋への展開能力の向上を図っている」とし、2016年のフリゲート艦、情報収集艦の活動など、活動範囲を「一層拡大するなど、わが国周辺海域の行動を一方的にエスカレートさせており、強く懸念される」としている。
さらに中国公船の領海侵入のルーチン化、公船への機関砲とみられる武器の搭載、中国機に対する緊急発進数の急激な増加、中国軍用機の南下、海洋プラットホームの増設などの事例を列挙して、強い警戒感を示している。
・「南シナ海及び「遠海」における活動の状況」についても、南沙諸島の埋め立て、西沙諸島の軍事基地化などの事例を挙げ、「自らの海上戦力を「近海防御・遠海護衛」型へとシフト」させ、「インド洋などのより遠方の海域での作戦を実行する能力を着々と向上させている」としている。
この「近海防御・遠海護衛」へのシフトは、昨年公表された中国の『国防白書』にも明記された新たな海洋戦略の方向であり、今後より具体化してくるとみられる。尖閣周辺での活動もますます活発化すると予想され、わが国としても不測の事態への備えが欠かせない。
(4)ロシア
・昨年版に続き、厳しい経済状況の中、軍の活動領域が拡大していると指摘している。今年は、シリアへの軍事介入と北方領土での活動に触れている。
・ウクライナ情勢について、「現状変更の結果は固定化の様相を示しており、特に欧米を中心にロシアに対する脅威認識が増大している」とし、欧米は中国よりもロシアを脅威視していることを指摘している。リバランシング戦略が継続されるか否かへの影響が注目される。
・改定されたロシアの『国家安全保障戦略』の内容について、「多極化する世界の中でロシアの役割がますます増大」し、「軍事力の果たす役割を重視し、十分な水準の核抑止力やロシア軍等により戦略抑止と軍事紛争の阻止を実施する」とまとめている。
米国の力が相対的に弱まり多極化する中、ロシアの軍事力、特に核抑止力が重要とのロシアの姿勢を明示している。
(5)東南アジア、国際テロなど
・東南アジアでは、中国による「一方的な現状変更及びその既成事実化に対する国際社会による深刻な懸念が急速に広まりつつある」とし、改めて中国への懸念の拡大を強調している。比中仲裁手続きなど「国際法に基づく問題解決に向けた努力」やスビ礁の埋め立ての実態なども紹介している。
・テロについては、「ホーム・グロウン型」・「ローン・ウルフ型」のテロ活動の事例が増大しており、わが国自身の問題として捉えるべきとしている。東京オリンピックを控え、日本でもテロ対策に本腰を入れるべき時点に来ているが、特に国際テロ組織と北朝鮮などの特殊部隊との連携には注意を要する。
(6)海洋、宇宙、サイバー
・海洋では米国の「航行の自由作戦」、中国のアデン湾ジブチでの施設建設、インド洋諸国での港湾建設、ロシア、中国などの北極海での活動について紹介している。特に中国の「遠洋」での活動拡大を裏づける内容になっている。
・宇宙での主要国の活動の指摘は昨年と同様であるが、中国と並びロシアの宇宙での対衛星兵器の開発、デブリの飛散がもたらす脅威を強調している。
・サイバーについては、直接攻撃よりも「より容易」との認識が広まり、昨年同様に、「中国、ロシア、北朝鮮などの政府機関などの関与」が指摘されている。国家意思を背景とするサイバー空間での脅威が、今後さらに深刻化することは明らかである。
・新たに「軍事科学技術と防衛生産・技術基盤」の項目が設けられ、「第3のオフセット戦略」について紹介されている。また、米国防省関連機関によるファンディングや欧米諸国での防衛産業の統合、装備技術協力推進の実態を記述している。
日本国内での同様の施策推進の必要性を説得するためとみられるが、軍事科学技術の優位性維持が日本にとっても重要な課題となっている。
4 第Ⅱ部「わが国の安全保障・防衛政策と日米同盟」
(1)「国家安全保障戦略」「防衛計画の大綱」「中期防衛力整備計画」「平成28年度の防衛力整備」、「防衛関係費」
・昨年とほぼ同様の内容に経年変化を加えたものが記述されている。すでに一般に公表されている内容であり目新しいものはない。
中期防の「別表」で整備規模を示し、期間内の予測しがたい国内外情勢の急変に関わりなく、中期的な予算の総枠と整備目標を事前に決めつけるという、柔軟性を欠いた不合理な整備計画策定手法という問題点は残されたままである。
・平成28年度は、「防衛大綱及び中期防に基づき、その3年目として、統合機動防衛力構築に向け、防衛力整備を着実に実施する」としている。防衛関係費は4兆8607億円、前年度比386億円、0.8%増であった。
現中期防の整備目標、わが国の防衛関係費の増額ぶりは、中露朝のみならず韓国、米国、東南アジア諸国、豪州、インドなどと比べても不十分である。
アジア太平洋を含む世界的なバランス・オブ・パワーが日本にとり不利な方向に傾いているなか、この程度の防衛予算増額では、バランスの悪化は食い止められず、同盟国、友好国などの信頼も得られないのではないかと危惧される。
統合機動防衛力構想も、情報の適時の入手、残存性、戦略機動の可能性、戦力の維持、予備力の確保などに問題点を抱えており、人と予算を大幅に増大させ、基盤を与えなければ、絵に描いた餅になりかねない。
予算の増額幅は、これまでの年率数パーセントという漸進的なものでは不十分になっている。予算を倍増する程度の本格的増額をしなければ、バランスの維持は困難であろう。
なぜなら、第Ⅰ部でも述べられているように、中国は「1988年から28年間で約44倍」に急増させている。習近平政権は「強軍」を重視しており、今後低成長になっても、経済成長以上の速度で軍事費を増額させるとみられる。
他方の米国は、連邦予算の赤字削減のため、2018年度以降大幅な国防費減額を余儀なくされるとみられている。このままでは、2020年代前半に米中の軍事費は逆転する可能性もある。
このような米中の中長期の国防予算の趨勢の下で、日米と中国のバランス・オブ・パワーを維持するには、日本も防衛予算を大幅に増額する必要がある。韓国も2000年以降国防費を17年連続で増加させており、2011年度以降は、毎年年率5パーセント前後で増額している。
(2)「防衛力を支える人的基盤」
・女性自衛官への職域開放について付言されている。女性労働力の活用という、全般政策の一環として推進されている。世界的にも兵員確保のため、女性職域の拡大が行われている。
しかし本来は、その特性上、男性隊員の増加が望ましい点も多い。正面から男性隊員確保の施策を取る努力を回避し、安易に女性隊員増員に依存すれば、その問題は現場にしわ寄せが来ることになる。
(3)「平和安全法制」
・法案は可決成立し2016年3月から施行されたため、改正法案の概要が列記されている。その意義として、「抑止力の向上と国際社会の平和と安定にこれまで以上に積極的に貢献することを通じて、わが国の平和と安全を一層確かなものにする、歴史的重要性を持つものであり、世界の多くの国や機関から高く評価・支持されている」としている。
「戦争法」とする国内の一部野党の非難をかわす狙いもあり、「平和と安全を確かなものとする」法制であり、国際社会からも広く支持されていることを強調している。
・半面、「歯止め」がかけられていることも強調している。「自衛隊法、重要影響事態安全確保法、国際平和協力法、事態対処法制、国家安全保障会議設置法の改正、国際平和支援法の制定」について概要を列記する際、「他国の武力行使との一体化回避」および「国会承認」の必要性を、各法を通じ明記している。
「主要事項の関係」の図でも、昨年はなかった、「他国防衛それ自体を目的とする集団的自衛権の行使は認められない」ことをバツ印で強調している。
・しかし平和安保法制には、まだ以下のような問題点も残されている。
①存立危機事態、武力攻撃事態での「他に適当な手段がない」ことの閣議での理由説明など「対処基本方針」了承の必要性 ②国際平和協力法の「国際連携平和安全活動」の安全確保業務、および国際平和支援法の「国際平和共同対処事態」における国会の事前承認の必要性
③領域警備法などグレーゾーン事態対処の根拠法の未整備 ④戦闘地域と「現に戦闘が行われていない現場」の区分、武力行使と武器使用の区分のあいまいさなど、「武力行使との一体化論」の制約 ⑤PKO参加五原則の制約
「歯止め」を強調するよりも、防衛法制のあるべき姿を目指すならば、むしろ、残された問題点についての言及があるべきであろう。
(4)「日米安全保障体制」、「新ガイドラインの概要」
・「日米安全保障体制」については、従来通り、「わが国自身の努力とあいまってわが国の安全保障の基軸」であることを冒頭に明示している。その他の記述は昨年と大きく変わりはなく、日米同盟強化の重要性を強調している。
・「新ガイドラインの概要」の列挙項目に変化はない。日米安保体制強化のため最も重要な施策と言える「日本の平和及び安全の切れ目のない確保」等について、本文中に詳述されている。
(5)「同盟強化の基盤となる取組」
・2016年6月の日米防衛首脳会談での以下の確認事項について、強調されている。
①日米地位協定の見直し ②東シナ海、南シナ海における現状変更の試みに反対 ③北朝鮮の動向を踏まえ、緊密に連携 ④新ガイドラインの実効性確保 ⑤日米装備・技術協力を更に深化 ⑥沖縄の負担軽減に努力。
昨年の日米防衛相会談に比べ、今年は①と⑥が新たに確認された。特に、⑥の確認は、「第3のオフセット戦略」を実効あるものにするうえで、欠かせない要素である。これを受けて、今年の『防衛白書』では、「防衛装備・技術に関する諸施策」が、極めて重視されている。
・「同盟強化の主な取組」では、「同盟調整メカニズム」、「共同計画策定メカニズム」の設置が、同盟強化策の要点であることから、「概要」に付言された。
・中国の力を背景とする現状変更の試みや北朝鮮の核・ミサイル開発などの脅威の高まりに対し、日米間で同盟を再度強化して抑止するとの意向が強く反映された内容になっている。
(6)「在日米軍の駐留」
・「在日米軍駐留の意義」、「在日米軍駐留経費負担」、「在日米軍の再編」の狙いと実態が強調されている。
日米同盟が抑止力として十分に機能するためには、「在日米軍のプレゼンスの確保や、緊急事態に迅速かつ機動的に対応できる態勢の確保などが必要」との認識に立ち、在日米軍は、「日米安保体制の中核的要素となっている」としている。
・「在日米軍駐留費負担」では「わが国の厳しい財政事情にも配慮しつつ」との文言が入った。米国と同様に日本側の財政事象も厳しいことを、米側に理解してもらいたいとの意向が表れている。
・「在日米軍の再編」では、「地元の理解と協力を得る努力を続けつつ、米軍再編事業などを進めていく」と、米軍再編事業推進に重点を置いた表現になっている。地元の理解を得ることの限界と周辺情勢の変化により米軍再編事業の早急な実現が必要になっているという判断があると思われる。
・「沖縄における在日米軍の駐留」では、普天飛行場の移設は、沖縄の負担軽減のみならず、その発展にも資する点を強調している。
また、牧港補給地区の一部早期返還の合意、北部訓練場の返還、嘉手納飛行場以南の土地の返還、沖縄所在兵力の削減、グアム移転、オスプレイの訓練移転など、沖縄の負担軽減に取り組んでいる実績も強調している。
これらは、在沖縄駐留米軍のローテーション配備への移行と符合した動きであり、中国のミサイル網などA2/AD戦略の脅威のもとに置かれた在沖縄米軍をより安全なグアムなどへ後退配備するという戦略的狙いもある。
他方で、沖縄のみならず南西諸島全般の安全保障という観点から、在沖縄米軍が後退配備されたことによる抑止力の低下をどう補完するかが、日本自らの責任となる。
・現中期防で採られている南西諸島防衛強化のための施策は、「島嶼防衛」に列挙されている。南西諸島正面の抑止力を維持するためには、計画された日本側の南西諸島防衛態勢強化策を実行に移し、在沖縄米軍後退で生じた抑止力の低下を補完しなければならない。
しかし、沖縄では反基地闘争が活発化している。反基地闘争には、日米の防衛態勢転換を阻害することを狙いとした意図的な政治戦、心理戦の面もあり、対応を誤れば抑止力の低下を招きかねない。
沖縄県民にも、日米防衛態勢の転換、特に日本政府の南西諸島防衛態勢強化への努力に協力しなければ、自らの安全が保てなくなる恐れがあることを説得すべきであろう。
5 第Ⅲ部「国民の生命・財産と領土・領海・領空を守り抜くための取組」
(1)「防衛力を担う組織」
・部隊運用関連業務の統合幕僚監部への一元化、防衛装備庁の新設、内部部局の改編などについて、概要を示している。昨年より地味な扱いだが、運用と装備関連業務それぞれの一元化という、画期的な防衛省改革事業が実現された。
(2)「周辺海空域における安全確保」
・中国公船の領海侵犯、南西地域の通過を伴う中国海軍艦艇の活動の活発化、ロシア空軍機の根室半島周辺での領空侵犯など、具体的な事例を挙げて、周辺海空域の安全が危機にさらされている実態を明示している。
・空自機による中国軍機に対するスクランブルが571回(昨年は464回)と過去最多となったことを強調している。中国のわが国周辺での活動の急増が顕著で、力を背景とする現状変更の試みが日本の領域にも向けられていることは明らかである。これも中国のA2/AD戦略、遠洋への進出意図の表れと言える。
(3)「島嶼防衛」
・「安全保障環境に即して部隊などを配置する」との文言が冒頭に入った。状況が悪化し、尖閣上陸が切迫していると判断されるような場合は、先手を打ち部隊を上陸させることがあることを示しており、対応がより積極的になった。
・平素からの情報収集・警戒監視の重要性と、事前に兆候が得られた場合は、「統合運用により部隊を機動的に展開・集中し、敵の侵攻を阻止・排除する」としている点は昨年と同じである。ISRと統合運用の重視は一貫している。
・ただし、今年は、兆候が察知された場合は、海上・航空優勢の獲得・維持が重要とする文言が入り、展開・集中地域は「侵攻が予想される地域」であることが示されている。
海空優勢の獲得・維持は、それができなければ島嶼侵攻は補給が続かず困難になることから、抑止策としても重要である。「侵攻予想地域」への展開・集中をいかに早く行うかも島嶼作戦成功の要件である。
・昨年は、「事前に兆候が得られず万一島嶼を占領された場合」に発動するとされていた、対地射撃による制圧後の陸自部隊の着上陸が、「島嶼への侵攻があった場合」に発動することにされている。
今回の修正は、事前の兆候把握ができていても侵攻阻止ができない場合もあることを考慮した、より現実的な表現になっている。また、島嶼の「占領」よりも「侵攻」の幅は広く、陸自の着上陸侵攻など島嶼奪回作戦の発動が、兆候把握の可否や占領の有無とは別に、主動的に行われることを示唆している。
・那覇基地の第9航空団の新編、与那国沿岸監視隊の配備に続き、警備部隊の配置、水陸機動団(仮称)の新編、哨戒機の取得など、南西地域の防衛態勢強化のための具体的な施策が、中期防に基づき列記されている。
・全般に「島嶼防衛」の内容は、より積極主動的になり、戦理的にも合理的になっていると評価できる。裏づけとなる南西諸島防衛態勢の強化が急がれる。
(4)「弾道ミサイル防衛」「ゲリラや特殊部隊などによる攻撃への対応」「海洋安全保障の確保に向けた取組」「宇宙空間における対応」「サイバー空間における対応」「大規模災害などへの対応」
・これら項目の説明内容については、経年変化以外はほぼ昨年と同様である。
・2016年の新規事項として、16年2月の北朝鮮の弾道ミサイル発射への破壊措置命令による対応、「開かれ安定した海洋」の秩序維持と中国との海空連絡メカニズム再開についての協議、熊本地震での活動などが付言された。
・「サイバー空間における対応」では、自衛隊指揮通信システム隊の監視、侵入防止、システム・規則・基盤の整備、情報共有、技術研究などの活動内容について、具体的に言及している。
・いずれの項目も、実行動に直結した内容であり、着上陸侵攻に連携して取られうる行動でもある。宇宙、特殊作戦、サイバー戦は非対称戦の重点分野とも言え、今後ますます重要になるが、自衛隊独力では限界があり、国際協力と国内の関係機関、民間との協力が欠かせない。
「宇宙基本計画」では、宇宙安全保障の確保が謳われている。サイバーの分野では、「内閣官房情報セキュリティセンター」「日米サイバー防衛政策ワーキンググループ」などが活動しており、これらとの連携が重視されている。
(5)「在外邦人等の輸送への対応」
・統合訓練の実施、コブラ・ゴールドへの参加などについて言及している。
・「平和安保法制」では「駆け付け警護」が可能になった。ただし、「現に戦闘が行われている現場」での活動はできない。また「安全確保業務」での人に危害を与える武器使用は、正当防衛、緊急避難に該当する場合のみとされており、過激派に拉致監禁された邦人を直接自衛隊が救出することはできない。
(6)「安全保障協力の積極的な推進」
・「軍事力の担う役割の多様化」「わが国やアジア太平洋地域、国際社会全体の平和と安定、繁栄に積極的に寄与」するという表現が入り、自衛隊がアジア太平洋地域において多様な役割を果たすことへの責任を明示している。
・「戦略的な国際防衛協力に向けて」という項目が起こされ、多国間と各国との防衛協力の枠組み、対話について、2016年の内容を中心に紹介されている。
「多国間安全保障枠組み」では、拡大ASEAN(東南アジア諸国連合)国防相会議が採り上げられている。
「各国との防衛協力・交流」では、昨年あったロシアとフランスが抜け、カナダが加わった。昨年は東南アジア諸国としてまとめて記述されていたが、今年はインドネシアとフィリピンが挙げられている。
防衛相会談が韓国と4年9か月ぶり、中国とは4年5か月ぶりに再開された。両国との関係は悪化していたが、対話は再開された。豪、インド、英とは着実に防衛協力が進んでいる。インドネシア、カナダとは初の外務・防衛閣僚会合が開かれた。比とは防衛装備品・技術移転協定が署名された。
ロシアとの対話はウクライナ問題で進展せず、フランスとは対露武器輸出の問題があり対話が進まなかったのかもしれない。全般に、アジア太平洋諸国、英語圏を中心に防衛協力と対話が進んでいる。
・「海洋安全保障の確保」では、ソマリア・アデン湾沖でのCTF151参加などの海賊対処、シーレーン沿岸国の能力構築支援について言及されている。
・「国際平和協力活動への取組」では、国連スーダン共和国ミッション(UNMISS)での活動とPKOでの人材育成面の協力について言及されている。教官の派遣、国連との共催で教官養成訓練が実施された。
・「軍備管理・軍縮・不拡散への取組」では、わが国が「拡散に関する安全保障構想(PSI)」に参加するなど積極的役割を果たしていることを強調している。
しかし「核兵器なき世界」を目指すオバマ大統領の主張がそのまま実現されれば、現『防衛大綱』でも「米国の拡大抑止は不可欠」とし、米国の拡大核抑止(核の傘)に核抑止力を全面的に依存しているわが国の安全保障の根幹が揺らぐことになる。単なる核軍縮推進ではこの問題は解決しないが、この点についての問題の指摘はない。
(7)「防衛装備・技術に関する諸施策」
・「技術的優位確保のための研究開発の推進」では、研究開発に先進技術及びデュアル・ユース技術を取り込んでいること、その成果として先進技術実証機(X-2)の初飛行を挙げている。
また、民生技術の積極的な活用のため、防衛省独自のファンディング制度を昨年度から開始し、109件の中から9件の研究課題を採択したことを紹介している。一部の大学等には、「平和利用」へのこだわりから防衛省のファンディング利用に抵抗があるとみられる。
・「プロジェクト管理などへの取組」のため、防衛装備庁にプロジェクト管理部を設置し、プロジェクト管理の重点対象装備品を選定するとともに、長期契約を可能にし、効率化、まとめ買いによりコスト削減と安定的調達を図っているとしている。
・「防衛装備・技術協力」では、防衛装備移転三原則に基づき、2016年に挙がった成果を列挙している。
①米国とは、日米共通装備品の整備基盤を確保するため、F-35Aの国内企業の製造参加、整備拠点設置、木更津でのオスプレイ整備などの取組を実施。
②豪とは、将来潜水艦プログラムの検討成果を豪政府に提出したが、採用には至らなかった。
③インドとは移転協定に署名し、救難飛行艇(U-2)を含むブロジェクトを探求、④比とは、移転協定に署名し、海自練習機の移転で合意した。
・「防衛生産・技術基盤戦略」については、厳しい財政事情、欧米企業の再編、国際共同開発の進展などを踏まえ、14年に防衛生産・技術基盤戦略を策定し、防衛生産・技術基盤の維持・強化のための諸施策、各防衛装備品分野の現状と今後の方向性が示された。
・米軍の基本戦略である「第3のオフセット戦略」の1つの狙いとして、同盟国の防衛生産・技術基盤の活用という面がある。特にアジア太平洋地域で随一の民生技術力と潜在的な防衛生産力、技術力を有するわが国への欧米、豪、インド、東南アジア諸国などの期待は大きい。
近年、中国の武器輸出は2006年から2010年の間に輸出額が88%増と、急拡大しており世界第3位になり、兵器生産基盤も拡大している。ロシア、南北朝鮮も同様に武器輸出に力を入れている。バランス・オブ・パワーの変化の1つの要因が、このような各国における武器の生産基盤と輸出拡大がある。
アジア太平洋域内のバランス・オブ・パワーの維持・回復のためには、米国および域内の友好国に対するわが国の装備移転の推進と、それに応じうる日本国内の生産基盤の拡大が必要である。
その意味で、防衛装備庁の一元的な管理体制のもと、現在推進されている防衛装備・技術に関する諸施策が、確実に実行されねばならない。
(8)「地域社会・国民との関わり」
・自衛隊は、不発弾処理、駐屯地開放、緊急患者輸送などの民生支援活動を通じて、地域コミュニティーの維持・活性化に貢献している。
また防衛施設と周辺地域の調和を図るため行っている、騒音対策、騒音以外の障害防止、生活・事業上の障害緩和、周辺地域への影響緩和などの施策を紹介している。
・自衛隊記念日記念行事などに関連し、様々の広報活動を行うとともに、情報発信や情報公開にも努めていることを紹介している。
・防衛省、自衛隊は、従来から地域社会や国民の理解を得るために重点的に施策を行ってきている。
他方では、沖縄を中心に、今でも激しい基地反対闘争が展開されている。政治性の強い基地反対闘争は、従来のような対策では終息しないとみられる。在来型の基地反対運動と区別し、対情報・保全の観点からも対策をとる必要があるであろう。
全般要約
『28年版防衛白書』は、「防衛大綱」に沿い、全編を通じて、バランス・オブ・パワーを維持・回復し紛争を抑止するための、一貫した基本戦略を描き出している。すなわち、第Ⅰ部の国際情勢認識では、中露の非対称脅威の高まりと、その対抗戦略としての米国の技術を重視した「第3のオフセット戦略」に言及している。
それに呼応し、第Ⅱ・Ⅲ部では、わが国の「統合機動防衛力の構築」、「防衛装備・技術に関する諸施策」等の対応策を紹介している。米国の戦略と整合した日本の防衛政策の具体的な方向と重点施策については、一貫して説明されている。
しかし、統合機動防衛力の限界、「平和安保法制」の残された課題、政治戦としての沖縄の反基地闘争への対応、米国の拡大核抑止力の信頼性など、政治的には記述困難だが、より本質的な問題点への回答は記述されていない。
政治的制約があることは、白書としての性格上止むを得ないであろう。しかし、現在の厳しい安全保障環境の中、国民に真に訴えるべき点をもっと明確に強く打ち出すべきであろう。
尖閣への中国の領域侵犯も北朝鮮の核ミサイルの脅威も、国家の主権、国民の生命、国土の統一という安全保障の根幹にかかわる問題である。それがいま脅かされようとしているにもかかわらず、これまで通りの政治的配慮が先に立った、生ぬるい表現で国民にいま抱える政策課題や問題点が伝わるのであろうか。
むしろ、予算や人員、法的権限といった基盤も欠けているのに、あたかもこれで防衛は万全なような幻想が、国民の間に拡散するおそれがある。
「戦争法」などという根拠のない、国際情勢を無視した政治的プロパガンダに怯えるよりも、心ある国民に真実を訴え、真に必要な国を挙げた防衛努力への協力を訴えねばならない。『防衛白書』はそのための貴重な媒体である。
日本は厳しい財政事情を抱えているとはいえ、国際標準から見て、あまりにも防衛に投入する国家資源が少なすぎる。このことは、防衛費の対GDP比率、国民人口に対する兵員比率などでも明らかである。
予備の人員、弾薬・装備品の備蓄なども無きに等しい(なお、今年の『防衛白書』の資料3では、州兵、民兵、準軍隊などが計上されておらず、総兵員数の全体像は分からない)。
このままでは米国の国力が相対的に弱まり、中朝の軍事的脅威が増大する中、日本周辺のバランス・オブ・パワーを維持することはできない。
力のバランスが崩れれば紛争が誘発される。そうなれば、日本の国土国民に直接危害が及ぶことになる。このような事態を未然に防ぐために、せめて世界標準並みに、いま少しの我慢と協力を国民に求めるという、責任ある政治を反映した『防衛白書』の公刊を期待したい。
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『激怒するゴジラと中国人の奇妙な沈黙 農民の中国礼賛を支える危うい楽観主義』(9/15日経ビジネスオンライン 山田泰司)について
中国の人権無視の制度としては、「一人っ子政策」(現在は緩和措置されている)、「農村戸籍」と「都市戸籍」の区別(毛沢東の「農村から都市を包囲する」の継続革命思想の影響か?)、「档案」(共産党が過去三代の家系の中で反共行動を起こしたかどうかを記述した内申書)、「一人っ子政策」以外は解決していません。「農村戸籍」と「都市戸籍」の区別こそが経済格差・教育格差・医療格差となって現れます。「档案」は当然人民抑圧の手段として機能していますので、共産党統治が打倒されない限り止めないでしょう。「一人っ子政策」も教育費高騰で2人産む人は少ないと言われていますが、これ以上中国人が地球上で増えるのは悪を栄えさせることになります。彼らは人口のパワーを世界侵略の武器として使いますので。長野朗の『支那三十年』にもそう書かれています。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A1%A3%E6%A1%88
中国の農村では、小学校中退が多いとのことです。小生の父もそうでした。新潟の貧農で9人も子供がいて、早くから丁稚奉公に出されました。軍に召集され、入隊後料理兵としてミャンマー戦線へ送られました。敗戦後、帰国して常磐炭鉱で働きました。炭鉱も斜陽産業となり、大学入学時、授業料免除の申請をした時に、学生課の職員は源泉徴収票を見て「これでは生活できない。嘘でしょう」と言ったのを覚えています。でも田舎でしたら豊かではありませんが、充分暮らせたのですが。
TVの影響は日本でも同じで、情報弱者は垂れ流しの情報を迂闊にも信じてしまいます。中国は中共が、日本は反日TV局が歪曲した報道を続けているのに気づきませんと。
小生が中国在勤時代(97~05年)、不条理に結構抵抗する人は見ました。家の追い出しを受けて、ダンプの下に寝そべり、「さあ、引いて見ろ」と言わんばかりの人もいました。何せ主張しないと命まで奪われる歴史を持った国ですから。それでもおとなしくなったというのは反政府行動をしなくなったという事かと思いましたが、今でも北京に陳情に行っている人は多いと思います。
http://www.epochtimes.jp/jp/2014/10/html/d65985.html
中国は社会的に格差が広がる仕組みになっています。大きなのは賄賂です。社会の上から下に至るまで取るから、誰も非難できません。中国人の列の横入りと同じです。これは白人とか日本人とかが注意するだけでした。権銭交易でポストが金を生む仕組みを中共は考え出し、「清官三代」と言われるほど中国の歴史は汚濁に満ちたものですが、その歴史の中でも程度が甚だしいものになりました。一部の特権階級が富を簒奪するのはノーメンクラツラーがいたソ連と同様です。ただ、中国は自由主義諸国との貿易で富を拡大することができました。ソ連を敵視する余りに中国に飴を与え過ぎたキッシンジャーの見通しの悪さです。白人は中国人の極悪さを理解できていないのでしょう。怪物を日米で作り上げ、その後始末で、日中戦争が囁かれているのですから何をか況やです。戦前同様、中国人を知らなさ過ぎです。中国に支援してきた政治家・経営者は「責任を取れ」と言いたい。
記事
日経ビジネスオンラインでは、各界のキーパーソンや人気連載陣に「シン・ゴジラ」を読み解いてもらうキャンペーン「「シン・ゴジラ」、私はこう読む」を展開しています。※この記事には映画「シン・ゴジラ」の内容に関する記述が含まれています。

(©2016 TOHO CO.,LTD.)
「シン・ゴジラ」は日本滞在時の仕事場を借りているみなとみらいの横浜港のほとりに建つシネコンで観た。ゴジラが最初に姿を見せたのは東京湾の羽田沖だが、海中からゴジラが天空に吹き上げた高い水蒸気を目視できるのではないかという距離感にあるシネコンである。上陸したゴジラがレーザービームや巨大な尻尾でタワーマンションをなぎ倒す武蔵小杉も、日本滞在中は毎日のように通過する。よく知る生活圏が舞台ということも相まって、映画としては単純に面白かった。
怒るゴジラ、怒らない人間
面白かったのだが、身近な生活圏が舞台だからこそ、腑に落ちない点が1つだけあった。それは、劇中、怒っているのはゴジラだけで、町を木端微塵にされているというのに、人間側は誰も怒っていないという点である。
シン・ゴジラが暗喩するものについては、原発事故だ、いや戦争だと、様々な解釈があるが、いずれにせよ、人間がしでかしたことに起因するものだがら、ゴジラに対して怒るのはお門違い、でも、このまま放置するわけにもいかないので、粛々と受け止め対処するしかないという諦念で、人間を怒らせなかったのだろうか。だとしたら、それはあまりに優等生的だ。
なぜって、武蔵小杉のタワーマンションは安くないのだ。私はみなとみらいに仕事の拠点を置くに当たり、武蔵小杉に住めれば便利だな、家賃も安くないし、どうせなら家賃分をローンに充てて、等と考えて調べてみたら、7000万円から1億円が相場だと知り、早々に購入は諦めた。聞くと、武蔵小杉のタワーマンションを購入するのは世帯年収1000万円以上の層だとのことだが、町で見かける住人たちは、学齢期まっただ中の子供を抱えた若い夫婦の家族が多い。長期の住宅ローンと学費で可処分所得は年収から想像するほどには多くないはずで、マンションをぶっ壊されたら「チクショウ、ゴジラお前、いい加減にしろよ!」と感情を爆発させて怒鳴りつける人が1人ぐらい出てくる方が、リアルだと思うのだが。
不公平・理不尽も「仕方ない」ですませる中国人
怒らないと言えば、現代の中国人も奇妙なほどに怒らないという印象を私は持っている。
私は日々、上海のどこかで中国人に対して怒りを爆発させている。青信号で横断歩道を渡っている私に向かって直進し歩行者を蹴散らす白バイに。家賃を3割も上げるとしゃあしゃあと言いながら、「契約書を作るのは面倒くさいからイヤだ」と言い放つ、バブルの恩恵でカネを得ることについて舐めきった態度の上海人の大家夫婦に。ところが、中国人だって同じような目に遭っているはずなのに、怒っているのはどうやら私だけ。中国全土で、というと風呂敷を広げ過ぎだが、上海で一番怒っているのはダントツで私だ。
しかしまあ、契約書を作りたくないだの白バイだの、言ってみれば他愛のないことであればまだいい。中国には不公平や理不尽な目に遭っている人が大勢いる。伝聞にまで話を広げると際限がなくなるで、私の友人の話だけを1つ2つ紹介する。
中国ではシングルマザーで子供を産むと違法とみなされ、女性の方だけが罰金を取られる。しかも罰金に決まった額はなく、地元の役人が自宅にやって来て家具調度などをなめ回すように眺めて値踏みをし、払えそうなギリギリの額を算出するという。私の友人はそれで、自分や家族が貯金していたのとほぼ同額の6万元(約96万円)を罰金として徴収された。
不公平や理不尽で不利益を被る比率は都会生まれよりも農村生まれが圧倒的に多い。私は1965年生まれの今年51歳だが、私と同世代や40代の中国の農村の人たちには、小学校も出ていないという人が驚くほど多い。小学校には半年ずつ通算6年通ったが、結局15歳になって、小学校3年生を終えたところで通わなくなってしまった、等という話が珍しくないのだ。中国で小学校6年、中学校3年の義務教育が実施されたのは1986年のことなので致し方のない部分はあるのだが、それでも、都会生まれの同世代で小学校中退という人に、少なくとも私は会ったことがない。
不公平に起因する教育機会の差が就職にも影響するのは言うまでもない。1990年代から人件費の高騰が顕著になる2010年ごろまで、中国は「世界の工場」と呼ばれてきたが、ひとくちに中国と言っても最前線のライン工として長時間の単純労働に耐え、8人、10人同居のタコ部屋のような宿舎や、倉庫を改造したようなボロアパートに住んで低賃金で世界の製造業を支えてきた人の多くは比較的教育程度の低い農村出身者だ。2008年の北京五輪、2010年の上海万博に伴う都市建設を、肉体労働で支えたのも都会人ではなく農村からの出稼ぎ労働者である。こうした都市部での労働は、肉体的には苛酷で、賃金も同年代の都会のサラリーマンに比べると総体的に低い。ただそれでも、農村や内陸の地方都市で働くことを考えればはるかに現金収入を稼げる都市部での労働は、相対的に学歴が低い彼らにとっては、稼ぐための貴重な場でもあった。


2006年の上海。万博前の都市開発に沸いていた当時の上海には、シン・ゴジラが破壊した東京の町を彷彿させるような光景が町のあちこちで見られた。明日の成長を信じて疑わなかったこのころ、中国の労働者たちが怒りを露わにすることはなかった
都会からポイ捨てに遭う農民たち
ところがである。昨秋あたりから、上海ではこうした農村出身の単純労働者が多く住んでいる郊外の家賃が急騰し始めた。一方で彼らの給料はと言うと、中国経済の減速を背景に良くて頭打ち、スマートフォンやパソコン市場の世界的な飽和から、これらを造る中国の工場では残業が極端に減り、ライン工の給料は物価上昇を差し引くと、ピーク時だった一昨年あたりに比べ実質半分程度に落ち込んでいるケースも少なくない。そして、耐えきれなくなった彼らが職探しをするために故郷に帰るという現象が昨年末から今年の年頭にかけて続出した。いわば都会が用済みになった農村出身の単純労働者らをポイ捨てにかかったというわけである。
出自でその後の人生が決まってしまう公算が極めて高い農村の人たちの人生を見聞きする度、私はなんたる理不尽とやるせない思いが込み上げ、なんという不公平と怒りがこみ上げてくる。当の本人たちもさぞかし悔しかろうと思うのだが、案に反して「没辨法」(仕方ない)の一言で済ませてしまう。景気に陰りが見え始めた一昨年あたりから、彼らが「経営者ばかり豊かになって不公平だよなあ」とこぼすことが以前に比べて多くなったとは感じていた。ただ、これはあくまで愚痴の類であって、怒りの域にまで発展することはないのである。
白バイが歩行者に向かって突っ込んでくるとか、契約書を作るのを面倒くさがるというような類いのことは、中国人同士では気にならないのだろうと察しがつく。ただ、都市と農村、子の出生にまつわる男女間の不公平に起因する理不尽についても怒りを見せないことについては、本当に解せなかった。
そう思っていた矢先のこと。シン・ゴジラを観て程なく戻った上海で、1年ぶりに再会した農村出身の友人が、中国の人たちが怒りを見せない理由を解くヒントをくれたのである。
上海を食い詰め新天地へ
この友人は劉さんという。河南省南部の農村出身の42歳で1男1女の父。中学を卒業後、最初に就いた職業は牛の屠殺だった。その後、18年前に上海に出て来てからは廃品回収をして生計を立てていた。ところがPM2.5で上海も深刻な大気汚染に見舞われると、汚染の元凶として劉さんが回収の主力にしているペットボトルや古紙がやり玉に上がった。これらを原材料として稼働していた上海郊外や近隣省市の中小零細工場が環境基準を満たさないと言うことで相次ぎ閉鎖に追い込まれたのだ。これでペットボトルや古紙の価格が暴落、劉さんの収入は目に見えて減った。
これに追い討ちをかけたのが家賃の高騰だ。それまで住んでいたバラックが再開発で取り壊しになり、一気に3倍の家賃負担を余儀なくされた彼の生活はたちまち困窮、それでもなんとか持ちこたえたが、新居に移って1年後、ついに路上生活者に転落してしまった。時を同じくして、18歳の長女が湖北省武漢に友人と開いたエステティックサロンに貯蓄から10万元(約160万円)を出資するなどそれなりの蓄えはあったのだが、物価の高騰が続き、単純労働が減りつつある上海では先の展望がなさそうだということで、劉さんは昨年6月、娘が商売をする武漢で再起を図ることにし、上海を離れたのだった。
武漢での暮らし向きはどうか気になったが、劉さんが携帯電話の番号を変えてしまったことで、我々の連絡は途絶えてしまった。それが今月、「上海でまたやることにしたよ。8月からもう上海にいるんだ」と劉さんから電話がかかってきたのだった。
上海ではもう暮らしていけないからと離れる決断をしたのに、わずか1年で戻ってきたということは、武漢での暮らしが理想にほど遠いものだったのだろうということは容易に想像がつく。会うのが少し怖かったが、連絡してきてくれたことが嬉しくて、早速食事に誘った。
最後に会った時から1歳としを取った劉さんは、想像よりも若々しかった。むしろ、上海で廃品回収をしていたころよりも若返ったような気もする。この様子だと、こちらが心配するより苦労はしなかったのかなと少し安堵したが、食事をしながらこの1年にあったことを聞くにつれ、苦労をしなかったのではなく、実質何もしなかった、いや出来なかったのだということが分かった。想像よりも老け込んでいなかったのは、精神的にはともかく、肉体を酷使しなかったのが大きいのだろう。
新天地でも食えなかった
夫婦で武漢に行った劉さんは、新興住宅地に貸店舗を見つけて果物屋を始めた。ひと月目はそこそこ売れたものの、2カ月目に近所に果物屋が2軒、3カ月目にさらに3軒開店、わずか100メートル四方に6軒もの果物屋がひしめいたことで、劉さんの店の売上は減った。他の果物屋もそれは同じで、等しく貧しい状態になってしまったという。状況は、劉さんが出資した娘のエステティックサロンも同じだった。近所に競合店がひしめき、どの店もたいして儲からず、家賃を払うのがやっと、自宅の家賃を払えば赤字という状態だったという。
どうして同じ店ばかり近所に開くのかと思うだろうが、中国で果物屋は、資金が少ない人が始める定番の商売。言い方を変えれば、あえて果物屋を開くのではなく、他にアイデアも経験もなければ、果物屋しか開けないのが現実なのだ。エステティックサロンにしても、流行りだから儲かるだろうぐらいの認識で始める人が多い商売である。
このままでは店を開いているだけ赤字が増えるだけだと思った劉さんは、わずか3カ月で果物屋を畳んだばかりでなく、武漢に見切りをつけ、田舎の自宅に引き揚げてしまった。就職も考えたが、中卒で40代の劉さんが就ける仕事はビルやマンションの警備員か清掃員ぐらいで、給料は上海の3分の2から半分程度。「武漢は物価も安いし稼げると言われて行ったんだ。確かに家賃は上海に比べれば安いが、その他の物価は上海とそれほど変わらないから、手元には残らない。それなら、給料が高い上海で働くほうが、気分がいいじゃないか」と劉さんは言う
娘さんのエステティックサロンはどうなのと尋ねると、「結婚して妊娠して、いま田舎の自宅にいる」との答え。恐らく、店がうまくいかず、10万元の出資はフイになってしまったのだろう。幼なじみだという娘の結婚相手も、いまは定職がなく、自動車教習所に通っているのだと言う。さらに去年までは大学にやると話していた長男は今年の夏、中学を卒業したが、高校にも進まなかった。「本人が行きたくないと言うから仕方ないよ。上海に呼んでとりあえず働かせる。社会に出るための鍛練を積ませるんだ」という。
展望なき上海帰還
しかし、劉さんが上海を離れたのはそもそも、物価の高騰と就職難で生活して行けなくなったためだったはず。その状況は1年後の今も何も変わらないのだが、私の周囲では今、劉さんのように、上海で食い詰めて昨年から今年の春節(旧正月)あたりに職を求めて故郷に帰ったり地方都市に行ったりしたものの、当てが外れて上海に舞い戻ってきた友人、知人がこの1~2カ月でちらほら出始めている。ただ繰り返すが、彼らが上海を離れざるを得なかった状況は、何も変わっていない。行き場をなくした農村出身の人々が、さまよい始めたのである。
廃品回収の仕事が立ち行かなくなってきた当時、それまで愚痴をこぼすのを聞いたことがなかった劉さんも、「儲かるのは金持ちばかりだ」と漏らすようになっていた。あれから2年。初孫が誕生するのはおめでたいことではあるが、この1年の話から客観的に見て、劉さん一家の状況は、去年よりも苦しいものになっている。国の都合で右往左往させられ、八方ふさがりのように見える劉さんはさぞ、国や社会に対する不満、やり場のない怒りがたまっているのではないかと思った。
無職なのに中国礼賛のワケ
ところが、この1年の状況をひとしきり話し終えた劉さんは、私が何も尋ねていないのに、おもむろに、「中国は世界に冠たる強国、大国になったんだよ。確実に良くなっているんだ」と言った。え? なんでいきなりそんな話になるの? と急な展開に戸惑う私をよそに、そこからは、中国礼賛のオンパレードになった。曰く、「一帯一路って知ってるだろ? 中国と中央アジア、欧州、アフリカを結ぶ経済圏さ。あれが可能なのもね、中国製品の品質が良くなって、中国のモノを欲しい国が増えたからなんだよ」。曰く、「国防のためにおれたちの負担が重くなるのは仕方ない。強い国になるために、軍の強化が不可欠なんだ」。曰く、「去年株が下がっただろ? 中国経済は確かにいま良くない。でも、成長ばかりを求めて突き進めば、環境破壊が取り返しのつかないことになる。いまが我慢のしどころなんだ」。
最後の経済と環境の話など、お説ごもっともではある。ただ、その環境保護の名のもとに詰め腹を切らされたのは、中小零細企業や劉さんなど弱い個人で、そのために劉さんは長年親しみ最も経験もあって愛着もある職業を追われることになったはず。その劉さんが、それを言うのは少しきれい事すぎやしないか?
彼にそう言いかけたのだが、思いとどまった。なぜなら、以前は誰かの批判や愚痴をほとんど言わない代わりに国のことについて語ることもなかった彼の口から「強国」「大国」「環境保護」などという単語を語らせる出所が、容易に想像がついたからである。そして私は、きれい事すぎやしないかと言う代わりに、「劉さん、この1年、仕事が比較的ヒマだったから、テレビをよく観たんだね」と言った。彼は、あれ、バレたか、というように照れ笑いを浮かべ、そうだ、とうなずいた。でもすぐに真顔になって、「中国は昔より確実に良くなっているし、明日はもっと良くなるし、将来はさらに良くなって、もっと強い国になる。本当にそう思うよ」と言った。
職を失って憤懣や怒りを爆発させるどころか、愛国主義者になった劉さんを目の当たりにし、テレビの影響力はまだまだ捨てたものじゃないと思ったし、中国当局もさすがによく考えているんだなと感心した。そして、劉さんたちが怒らないでいられるのは、少なくとも今はまだ「次に良くなるのは自分の番だ」と信じられているからなのだということも。
「でもね劉さん」、と私は言った。「日本もそうだったけど、成長はいつかは止まるんだ。例外はないみたいだよ。だから、ひょっとして、成長はもうおしまいなのかもしれないな、ぐらいの気持ちでいろいろ考えた方が、いいかもしれないよ」。劉さんの目に一瞬、不安の影がよぎり、続いて怒りが宿ったのを見た。「オレの番はまだなのに、そんなこと許さないぞ」と言っているかのように見えた劉さんの目の中の光が、激怒して武蔵小杉のタワーマンションをぶっ壊すゴジラの赤い目とダブって見えた。
暗喩するものが原発であれ戦争であれ、シン・ゴジラに登場する日本のゴジラが、制御不能なもの、愚かしいものを作り出してしまったことに対する怒りの化身として描かれたのは間違いない。もし中国にゴジラが登場するのであれば、化身するのは劉さんのような人たちの怒りなのだろうか。
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