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『米国の恫喝に欧州はどう反応するのか 新国務長官「防衛費を増額しないなら欧州の同盟を見直す」』(3/2日経ビジネスオンライン 熊谷徹)について

3/5日本経済新聞電子版によると米中軍拡に現実味 中国国防費が初の1兆元超え 

【北京=永井央紀】中国の2017年予算案の国防費が初めて1兆元(約16兆5千億円)を超えるのが確実となった。5日に開幕する全国人民代表大会(全人代、国会に相当)の傅瑩報道官が記者会見で今年の伸び率が7%前後になると明らかにした。ふんだんな予算で海洋進出を支える海空軍の強化を急ぐ構えで、米トランプ政権との軍拡競争が現実味を帯びてきた。

傅氏は記者会見で「中国の国防費は国防の必要性と経済情勢から検討される」と説明した。中国の国防費はかつて21年連続で10%以上増えていたが、景気減速にともない16年から2年連続で伸び率が1ケタになった。ただ、規模はすでに日本(約5.1兆円)の3倍以上で、今年の増加分だけで650億元(約1兆円)となり、軍備拡張の基調は変わっていない。

国際社会の厳しい視線を意識してか、傅氏は北大西洋条約機構(NATO)が加盟国に国防費を国内総生産(GDP)の2%以上とするよう求めていると指摘したうえで「中国の国防費はGDP比1.3%の水準を保っている」と説明。「米国は中国に追い越されるのが心配かもしれないが、米国との力の差は非常に大きい」とも強調し、中国の国防費増の正当性を訴えた。

中国軍内では国防費の伸びを再び2ケタ台に戻すよう求める声は多い。「台湾問題は武力統一を目指す段階に入っている」(軍の元高官)などの強硬論も根強く、予算増への圧力となっている。こうした強軍路線に一層の拍車をかける可能性があるのは「米史上最大級の軍備増強」に決意を示すトランプ米大統領の存在だ。

トランプ政権は3月中旬に示す2018会計年度(17年10月~18年9月)予算案で、国防費を540億ドル(約6兆円)増額して6千億ドル規模とする方針。中心となるのは核戦力の拡大で、大陸間弾道ミサイル(ICBM)の更新などにあてるとみられる。トランプ氏は2日にも建設中の空母上で演説し、空母増強などの「海軍再建」に意欲を示した。

中国はこれまでも着々と海洋進出を進めてきた。全人代開幕を3日後に控えた2日、過去最多13機の軍用機が宮古島と沖縄本島の間の宮古海峡上空を抜けて西太平洋で遠洋演習を実施した。中国から離れた地域での演習は年々増加し、昨年12月には中国初の空母「遼寧」が太平洋から南シナ海に抜け、台湾を一周した。中国周辺への米軍の展開を阻む「接近阻止・領域拒否(A2AD)」戦略の一環とされる。

海空軍の武器装備の充実も続く。関係者によると昨年末、ロシアの最新鋭戦闘機「スホイ35」4機が中国に初納入された。今後さらに20機が中国に到着する。大連や上海では国産空母を建造中だ。

国際社会からは中国の発表する国防費が不透明だとの懸念が強い。空母など武器装備の研究開発費は国防費とは別枠の予算に計上され、実際の軍事関連費は公表数字の2倍近いとかねて指摘されている。中国の公表数字への信ぴょう性の低さが周辺国や米国の警戒を強め、各国の軍拡を一段と招く構図となっている。>(以上)

中国の国防費は公表されていない方が多いと言われています。日経記事の2倍ではなく、3倍くらいと言われて来ました。総額が増えていますので、そこまで伸ばすことができなくなったのかもしれませんが。世界平和にとって最大の脅威は中国であることは間違いないでしょう。ロシアは飛び地のカリーニングラードに核弾頭搭載可能な弾道ミサイルを配備しましたが、領土的野心は見せていません。中国が日本に照準を合わせている核ミサイルを配備していることを考えますと、米国が核報復を確約していれば大騒ぎしなくても良いのでは。まして米国とベルギー、ドイツ、イタリア、オランダはニュークリアシエアリングしていて、日本より進んでいます。ただ、ポーランドの核武装したいという気持ちも頷ける話ですが。

米国のアジア回帰の為には、欧州は自力で防衛できるようにしてほしいと思います。米国も二正面作戦は取れないでしょう。中国と対峙する前に、北の問題を解決するようです。3/5の宮崎正弘氏のメルマガでもティラーソン国務長官の訪日でそのように書いています。いよいよ金正恩政権が打倒されようとしています。前にも書きましたが、攻撃は在韓米軍の家族を沖縄に移動させてからになると思います。朝鮮総連傘下の人間や、韓国籍の在日であってもスリーパーがいます。破壊工作を仕掛けてくるかもしれません。治安維持に市民も協力しないと。韓国からの難民が出て来たら、彼は「日本も韓国の領土」と言いだすに決まっています。済州島に押し返しましょう。ビザも復活させてほしいです。大使がいなくても領事業務はできるでしょう。

http://melma.com/backnumber_45206_6496194/

中国は経済拡大と共に軍拡をして来ました。独裁国家ですからできることですが、これを止めるためには経済崩壊させるしかありません。このままいくと、2045年を待たずに、米国の国防費を追い越します。盗みが得意ですので、技術的にも追いつく可能性があります。時間の利益を中国に与えてはなりません。南シナ海では基地の撤去はしないでしょう。確実に米中衝突はします。その前に経済制裁して、中国国内で国民の不満を共産党に向けることができれば。評論家は経済の面だけ見て米中両国に打撃になるとしかコメントしませんが、軍事を支える経済に打撃を与えませんと。中国に代わる外国企業を探す努力を米国企業にさせれば良いだけです。

記事

軍事演習を行うドイツ連邦軍の兵士たち。(撮影・熊谷 徹)

ミュンヘン中心部の高級ホテル「バイリッシャ―・ホーフ」。ここで毎年2月に開かれる「ミュンヘン安全保障会議(MSC)」は、民間団体が主催するイベントだが、ドイツ政府の首相をはじめ、主要国の外務大臣、国防大臣らが一堂に集うユニークな催しだ。比較的狭いホテルなので、通路は立錐の余地もないほど混み合うことがある。参加者は特定の条約、協定について合意しなくてはならないという、時間的なプレッシャーにさらされていないため、比較的自由に意見を交換できる利点もある。

注目されたペンス演説

今年2月17~19日に開かれたMSCは、内外のメディアや安全保障関係者から特に大きな注目を浴びた。昨年11月にトランプ政権が誕生してから初めてのMSCであり、同政権の副大統領マイク・ペンスが参加したからである。彼が米国外で演説するのは初めてのこと。

トランプは選挙期間中に、「NATOは時代遅れだ」と言い切っていた。「トランプの大統領就任とNATOの運命/atcl/opinion/15/219486/120600023/」でお伝えしたように、この発言は、欧州に強い不安と動揺をもたらしている。欧州諸国の指導者たちは、「米国は将来も欧州の防衛に関わるのか。それとも、欧州から徐々に手を引こうとしているのか」という問題に強い関心を示している。

特にロシアが2014年にクリミアに戦闘部隊を送って強制併合、ウクライナ東部の内戦にも介入するなど、不穏な動きを強めている。ロシアと国境を接するバルト3国やポーランドでは、80年代の東西冷戦の時代に似た不安感と緊張感が高まっている。MSCで、米新政権のナンバー2が、NATOの未来についてどのような方向性を示すのかが注目されたのは、そのためだ。

「欧州諸国は約束を守れ」

ペンスが2月18日にミュンヘンで発信したメッセージは、独首相アンゲラ・メルケルら会議場を埋めた欧州諸国の政治家たちの胸に、安堵と不安が混ざった感情を生じさせたに違いない。

ペンスは、トランプのような露骨な表現を避け、「米国はNATOを力強く支援する。大西洋を挟んだ軍事同盟への関与は揺るがない」と述べた。紋切り型の表現ではあるが、少なくとも米国は、欧州との軍事同盟に関わり続けるという言質を与えた。このことは、メルケルら欧州諸国からの参加者に、一抹の安堵感を与えただろう。

だがペンスは、彼のボスからのメッセージを伝えることも忘れなかった。それは、「米国は防衛ただのりをもはや許さない」という意思表示だ。

ペンスは「北大西洋条約は、加盟国が攻撃を受けた場合、他の国が結束して反撃するという集団的自衛権の原則に基づいている。この原則は、加盟国が応分の貢献をすることも義務付けている」と述べ、「NATO加盟国は、約束した防衛費をきちんと負担することを約束した」と欧州諸国に矛先を向けた。NATO加盟国は、2006年の会議で、「2024年までに、国内総生産(GDP)に対する防衛支出の比率を、2%に引き上げる」と合意している。

その上でペンスは「この約束は、あまりにも長い間、大半のNATO加盟国によって無視されてきた。この約束を達成したのは、まだ数か国にすぎない。欧州の大国の中にも、防衛費を本格的に増やす努力を始めていない国もある。この約束不履行は、軍事同盟の基盤を侵食している」と批判した。米国の本音は、「NATOへの関与を続ける」という外交辞令ではなく、むしろこちらの方だろう。

ドイツに向けられた矛先

ペンスは名指しを避けたが、「防衛費を増額するための真剣な努力を始めていない大国」とは、欧州最大の経済パワー・ドイツのことである。NATOの統計によると、2016年のドイツの防衛支出の対GDP比率は1.19%で、2%の目標から遠く離れている。英国(2.21%)やフランス(1.78%)にも水を開けられている。ペンスは「我々は、同盟諸国がこの目標を達成することを期待している。今や、本格的な行動を始める時だ。欧州の防衛には、米国だけでなく欧州の貢献も欠かせない」と釘を刺した。

ドイツの防衛支出

(出所:ドイツ連邦政府)

つまりペンスの発言は、「ドイツなどが応分の防衛負担を怠り、欧州の防衛について米国に過度に依存しているのは、もはや許せない。米国が将来NATOに関与し続けるのは、他のNATO加盟国が防衛費増額の約束を守った場合のみだ」というメッセージを含んでいるのだ。

MSCの会場でペンスの演説に対する拍手は、少なかった。彼の発言は、外交辞令のオブラートに包まれていたとはいえ、しょせんはトランプによる欧州批判の繰り返しである。このため欧州諸国の外務大臣や国防大臣たちは、喝采を送る気にならなかったのだろう。

MSCでメルケルは、「防衛支出の増額は、徐々に行うべきものであり、効率性についても配慮しなくてはならない。安全保障に貢献するのは、防衛支出の増額だけではない。発展途上国への援助や教育水準の改善、難民の援助も安全保障にとって重要だ」と反論。議論の焦点を防衛支出だけに絞り込むトランプ政権の姿勢を、間接的に批判した。

同時にメルケルは「対GDP比で2%」の目標達成に向けて努力する方針を強調するとともに、「欧州はイスラム過激派の脅威とロシアの野心に直面しており、米国の軍事力を必要とする」と述べ、欧州が独力ではこの2つの試練に対応しきれないという本音を漏らした。

集団的自衛権の原則から逸脱?

ペンスは3日後にブリュッセルのNATO本部で事務総長イェンス・ストルテンベルグと会談。その後の記者会見で、ミュンヘンでの演説よりも率直な表現を使い、「防衛支出の目標を達成しない同盟国に対する、米国市民の忍耐は、永遠には続かない」と述べている。彼は、そうした国に対して米国がどのような措置を取るかについては、明言を避けた。

ペンスに先駆けて、2月15日にNATO本部を訪れた米国の国防長官ジェームズ・マティスは、ペンスよりも単刀直入に「他のNATO加盟国が防衛費増額の努力を怠るならば、米国は欧州防衛への貢献を減らす」と語った。これは、欧州に対する「恫喝」もしくは脅迫とも取れる発言だ。

欧州の加盟国が最も強く懸念しているのは、北大西洋条約の第5条、つまり「NATO加盟国は、他の国に対して行われた軍事攻撃を、自国への攻撃とみなす」という原則が、トランプ政権によって揺るがされることだ。トランプがNATOを批判して以降、「欧州諸国は、対GDP比2%の目標を達成していない国が攻撃されても、米国は自国への攻撃と見なさず、反撃しないのではないか」という懸念を強めている。

この点について、NATOの事務総長ストルテンベルグは、ペンスとの共同記者会見で「北大西洋条約の第5条が定める集団的自衛権について、(防衛費負担などの)条件を全く付けていない」と釘を刺している。この発言は、ロシアからの脅威に最も直接的に曝されているバルト3国やポーランドが抱く不安を緩和するためだろう。

独の2024年までの目標達成は不可能

さてペンスに批判されたドイツにとって、2%の目標達成は容易なことではない。ドイツはロシアがクリミアを併合した2014年以来、防衛支出を毎年引き上げている。その増加率も、年々増えている。2017年には防衛支出を前年比で7.9%と大幅に増やした。その伸び率は、GDP成長率を上回る。

だがストックホルム国際平和研究所(SIPRI)が2015年の各国の防衛支出を比較した統計によると、ドイツの支出は393億9300万ドルで、米国(5960億ドル)の約15分の1に過ぎない。

主要NATO加盟国の防衛支出の対GDP比率(2016年)

(出所:NATO)

NATOの統計によると、2016年のドイツの防衛支出の対GDP比は、NATO加盟国28カ国中で第16位(2%の目標に達しているのは、米国、ギリシャ、英国、エストニア、ポーランドの5カ国だけ)。つまりNATO加盟国の82%は、2%の目標に達していない。

ドイツの防衛支出の対GDP比率

(出所:ドイツ連邦政府・NATO)

ドイツの2%達成が難しい理由は、経済規模が大きいことだ。2017年のドイツの防衛支出は、370億ユーロ(約4兆4400億円)。2016年のドイツのGDPは、3兆1330億ユーロ(約375兆9600億円)。GDPの2%は、627億ユーロ(約7兆5192億円)である。

つまりドイツが米国に対する約束を果たそうとすると、防衛支出を現在より257億ユーロ(約3兆840億円)も増やす必要がある。約70%もの増額だ。欧州最大の経済パワーといえども、これは難題である。ドイツが7年以内、つまり2024年までに、2%の目標を達成するのは不可能であろう。

米国への依存からの脱皮を目指すドイツ

トランプの圧力は、欧州の安全保障地図を塗り替え、米国からの「乳離れ」を促す可能性がある。今欧州の安全保障関係者の間では、「米国がNATOへの関与を減らす場合に備えて、我々は防衛能力を高める可能性がある」という意見が強まっている。

ドイツのジグマー・ガブリエル外務大臣は、MSCの直前に行ったドイツの保守系日刊紙フランクフルター・アルゲマイネ紙(FAZ)とのインタビューの中で「欧州諸国は、いつまでも米国に防衛してもらえばよい、自分たちは何もしなくてよいと長い間思い込んできた。だがそうした時代は、完全に終わった。我々は、強い欧州を作らなければならない。そうしなければ、トランプ、プーチン、中国から一人前のパートナーとして見られることはない」と断言している。

彼は「米国がリーダーとしての役割を果たさなくなるのであれば、欧州は防衛力の強化という、長年の課題を実行に移さなくてはならない」と述べ、米国との新たな関係を模索することになるだろうと指摘した。

さらに過激な意見も出ている。ポーランドの元首相ヤロスワフ・カチンスキーは、今年2月初めに「米国が欧州を防衛しないとしたら、欧州は独自の核抑止力を持つべきだ」と発言した。

かつてソ連の支配下に置かれた中東欧諸国は、米国に対して、ロシアの脅威から自分たちを守る守護者の役割を期待してきた。中東欧諸国が、独仏とは異なり、ブッシュ政権のイラク侵攻を支援したのは、そのためである。だが中東欧諸国の期待は、トランプ政権の誕生で大きく揺らいでいる。「米国の核の傘は、本当に頼りになるのか?」。カチンスキ―の発言の背景には、NATOの将来について不透明感が強まったことに対する、中東欧諸国の焦燥感がある。

平和の配当を享受できる時代は終わった

MSCの2日後、ドイツ連邦政府は連邦軍を増強すると発表した。連邦軍の将兵の数は現在17万8000人。これを2024年までに2万人増やして19万8000人とする。ドイツは東西冷戦の終結後、徴兵制を廃止した他、将兵の数を年々減らしていた。欧州の中央に位置するドイツは、冷戦終結による「平和の配当」を最も享受してきた国の1つである。

だがロシアだけではなく、大西洋の反対側の米国、そして中東や北アフリカでも、地政学的な不透明感が強まりつつある今、ドイツは「米国のいない西側陣営」の中で指導的な役割を果たすよう、EU諸国から求められる可能性がある。ドイツが平和の配当を享受していればよい、居心地の良い時代は、終わったのだ。

2017年は、ドイツそしてEU諸国が米国からの自立を目指し始める、重要な分水嶺となるかもしれない。

欧州の対米戦略に注目するべきだ

我々日本人は、米国の豹変に直面した欧州人たちの焦りと不安感を、対岸の火事として眺めているだけでよいのだろうか。SIPRIによると、日本の2015年の防衛支出はGDPの1.0%で、ドイツよりも低い。409億ドルも防衛に支出しているのに、対GDP比率が低いのは、経済規模が大きいためだ。つまり日本も、ドイツと同じ悩みを抱えている。

万一トランプ政権が、日本に対しても防衛費増額を要求してきた時、我が国はどう答えるのか。欧州とアジアの地政学的状況は大きく異なるとはいえ、欧州が考える対米戦略の中に、我々が学べる内容もあるはずだ。本シリーズでは、今後も欧州諸国の動きについてお伝えしていくつもりだ。

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『蕭建華失踪事件から読む「習近平vs曽慶紅」暗闘 「カネの流れを知る男」を巡る駆け引き、激化か』(3/1日経ビジネスオンライン 福島香織)について

蕭建華が正しいのか、肖建華(という中国語の記事がありましたので)が正しいのかwikiで調べましたら、戸籍登記は肖建華で、山東省の夏輝村の宗族の名前として蕭建華も依然として使っているとありました。

本記事で、蕭建華は神童だったと言われますが、天安門事件で中共側に立ったと言いますので、民主化に興味はなく、後に洗銭(マネロン)に手を染める程の拝金教信者だったわけです。典型的な中国人エリートと言う訳です。そもそも中国では政治の授業があり、中共のプロパガンダをしています。そこで良い成績を取らないと名門校には進学できません。

蕭建華逮捕の理由として①インサイダー取引防止②キャピタルフライト防止③習の面子を潰した報復④曽慶紅の力削ぎ⑤外貨国内還流促進といったところでしょうか。どれも当てはまる複合要因が絡み合っている気がします。秋の党大会人事がどうなるかでしょうけど。本記事中の①広東省党委書記の胡春華の進退、②党中央規律検査委員会の王岐山の進退、③国家副主席の李源潮の進退がポイントでしょう。

習近平の訪米がニュースになっています。3/4日経電子版には

<習主席4月にも訪米検討 G20前の関係安定狙う 

【ワシントン=永沢毅、北京=永井央紀】中国の習近平国家主席は4月にも訪米し、トランプ米大統領と会談する検討に入った。今秋に新たな最高指導部を選ぶ共産党大会を控えるなか、両首脳が顔をそろえる7月のドイツでの20カ国・地域(G20)首脳会議よりも前に会談し、対米関係を早く安定させたい考えだ。米側が期待する経済面の譲歩などへの対応が焦点になりそうだ。

中国共産党関係者は日本経済新聞社の取材に「G20で会談するのは当然だが、それでは遅い。その前に訪米して会えるかどうかが焦点だ」と語った。党内ではトランプ米大統領と習氏が早く関係を構築すべきだとの意見が強まっている。訪米が実現する場合、4~5月となる可能性が高い。

トランプ氏は大統領就任前、中国大陸と台湾が一つの国に属するという「一つの中国」政策の見直しを示唆し、台湾統一を悲願とする中国側は強く警戒した。ただ、トランプ氏は2月上旬の習氏との電話協議では一転して「一つの中国」を尊重すると表明。習氏もこれを評価し、早期に会談することで一致した。

中国側はここからドイツでの外相会談や、外交担当トップ楊潔篪国務委員(副首相級)の訪米など関係修復へ急ピッチで動いた。外交筋によると楊氏は訪米時に首脳会談の早期実現を打診。その前段階としてティラーソン国務長官に中国訪問を招請しており、「近い将来の訪中に関心を示す」との言質を引き出した。この訪中が首脳会談を本格的に調整する場となる見通しだ。

習氏は2015年に米国を公式訪問しており、外交儀礼上は次は米大統領が訪中する番だ。首脳会談するからには中国側が成果とできるような合意も必要となる。台湾問題で手打ちしたとはいえ、中国による南シナ海の軍事拠点化をめぐる問題は妥協点が見えないまま。トランプ氏は通商・為替政策での対中批判も緩めていない。

中国側には日本の安倍晋三首相がフロリダ州のトランプ氏の別荘で歓待されたことを踏まえ、首都ワシントン以外の場所で非公式にゆっくり話す形式を求める声もある。ただ、トランプ氏が受け入れるかどうかは不透明だ。北京の外交筋は「米中間の条件が整わなければG20まで待つ選択肢もある」と指摘したうえで、「それでも早期訪米する可能性の方が高い」との見通しを示した。

中国は今秋、5年に1度の共産党大会を開き、最高指導部を大幅に入れ替える。習氏は自らに近い人間をなるべく登用して2期目を盤石の体制としたい考え。人事で主導権をとるためには、外交面の懸案を顕在化させたくない。対米関係の安定という外交成果を示せるような訪米にできるか否かを水面下で探っているもようだ。>(以上)

トランプと楊潔篪の面談時間は5~7分だったわけで顔立ててやっただけです。そんな突っ込んだ話し合いが出来たとは思えません。楊潔篪は英語ができるので、英語で会話したでしょうけど。習近平訪米に持ち帰らせるお土産があるのかどうか?習は秋の党大会前に訪米してアピールしたいと思っているのが、ミエミエです。水面下で交渉しているでしょけど、トランプはWTOの決定にも従わないことを明言しました。選挙公約通り、中国製品に大幅な関税をかけて、戦場を経済の場面に持ち込もうとしています。お土産無しでは、本来米国が訪中する番なので、習が膝を屈することはないでしょう。本記事は両日経記者が中国人だけから取材したのかも知れません。誘導記事かもしれませんが米国人に与える影響はないでしょう。

また、3/4日経電子版にはイエレンが3月利上げを示唆した記事が載っていました。蕭建華を逮捕したとしてもキャピタルフライトは止まらないでしょう。

米、月内利上げ検討へ FRB議長が明言 

【ワシントン=河浪武史】米連邦準備理事会(FRB)のイエレン議長は3日、シカゴ市での講演で「(14~15日の)次回会合で追加の政策金利の調節が適切か判断することになる」と述べ、月内の利上げを検討する方針を明言した。同氏は「経済指標が想定通りであれば、緩やかな利上げが適切だ」とも表明。10日に発表する2月の米雇用統計を見極めて、最終判断する考えだ。

イエレンFRB議長は月内の利上げを検討する方針を明言した(3日、シカゴ)=AP

イエレン氏は3日の講演で「労働市場は完全雇用に本質的には達した」と指摘し、米経済は緩やかな拡大が続くと自信を示した。1月の個人消費支出(PCE)物価指数が前年同月比1.9%上昇したことから「インフレ率も目標の2%に近づいている」と強調した。海外経済の下振れリスクも減退していると指摘した。

金融市場が注視する追加の金融引き締めについては「経済データが想定通りに推移すれば、我々は緩やかな利上げが適切だと現在判断している」と強調。そのうえで「今月の会合で、物価や雇用が想定通り改善したか、追加の政策金利の調節が適切かどうか、判断することになる」と明言した。

イエレン氏は2月中旬の議会証言で「今後数回の会合で、追加の利上げが適切か判断することになる」と述べ、3月、5月、6月のいずれかの会合で利上げに踏み切る考えを示唆していた。今回の講演では「次回会合で検討する」と明示し、14~15日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げする可能性を強く示唆した。

月内の利上げに向けた最後の関門は、米労働省が10日に発表する2月の雇用統計だ。雇用情勢は底堅く推移してきたものの、新規就業者数の伸びが大幅に鈍化すれば利上げ判断の逆風になる。イエレン氏は3日の講演で「長期的な傾向でみれば、雇用の伸びは月7万5千~12万5千人で整合性がとれる」と指摘。2月の統計で10万人前後の就業者の伸びが確保できれば、利上げの障壁にはならないとの見方を示唆した。

今後の利上げペースについては「FRBが後手に回っているとの証拠は現時点でない」と指摘。昨年12月に公表した年3回の利上げペースを引き続き想定していることを示唆した。>(以上)

福島氏も主張するように共産党の問題は、白昼堂々拉致が可能な社会という事です。中国語の記事では3人の女性ボデイガードに守られていたが、5人の公安or国安部の人間に連れ去られたとのこと。銅鑼湾書店だけでなく、これが日常茶飯事に行われているということです。法輪功やモンゴル・ウイグル・チベット人も同じ目に遭っています。やはり共産主義の悪い所は三権分立していない所でしょう。為政者をチエックするシステムがないため好き放題できます。司法は行政の一部ですし、メデイアは党の「喉と舌」です。日本でも左翼は同じ事を考えています。左翼メデイアの新聞は取らず、左翼議員にも投票しないことです。

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大富豪・蕭建華氏は香港の五つ星ホテル、フォーシーズンズホテルから行方不明に。この失踪の意味することとは?(写真:ロイター/アフロ)

今年の秋はいわずもがな、第19回党大会が控え、権力闘争が激化しているのだが、その第一ラウンドは、習近平VS曽慶紅ではないかという見方が出ている。一般に、第19回党大会前の権力闘争のみどころは三つあるといわれている。すなわち、①広東省党委書記の胡春華の進退、②党中央規律検査委員会の王岐山の進退、③国家副主席の李源潮の進退、がどうなるか、である。いずれも、権力闘争の軸は習近平VS共青団派の文脈で観察されている。

胡春華は共青団のホープで、ポスト習近平と目されている。李源潮は太子党かつ共青団(共産主義青年団)の実力派であり、このまま次の党大会で政治局常務委員会入りするとすれば、習近平に大いにプレッシャーを与える存在だ。習近平は党大会前に、彼らを失脚させて共青団の影響力を削ぎ、本来引退年齢となる王岐山を続投させ、習近平3期目に向けた布石を打って、習近平独裁体制確立に向けた道を開きたい、であろうと見られている。

香港から垣間見える中央の対立再燃

だが、その前に、太子党の影のラスボスと言われている曽慶紅らと習近平の対立が再燃してきた、というのである。春節イブ(除夕)に起きた、香港の大富豪にして、中国金融の裏ボス、ホワイトグローブス(白手袋、汚れた手を隠すために白手袋をする人、金融の裏仕事請負人)と呼ばれる蕭建華の失踪事件(おそらくは中国当局による拉致)の背景に、習近平vs曽慶紅の闘争があるらしい、というのだ。

蕭建華は、90年代から00年代にかけて曽慶紅ファミリーはじめ太子党子ファミリーの天文学的蓄財に貢献した人物であるだけでなく、2015年夏の上海株暴落をリモートコントロールしていたとささやかれている。また、2012年に、ブルームバーグが習近平ファミリーの不正蓄財疑惑を報じたあと、習近平の姉の持ち株を、習近平ファミリーを救済するという建前で購入するも、その件をニューヨークタイムズ紙にすっぱ抜かれたという因縁もある。さらに、今の習近平政権にとって最大の悩みの種であるキャピタルフライトに歯止めをかけるキーマンという指摘もあった。

果たして蕭建華失踪事件の背後にはどのような事情があるのか、それが秋の党大会にどのような影響力を与えるのか。久しぶりに香港ゴシップをネタにしてみたい。

蕭建華失踪事件について、軽く説明しておく。香港メディアがすでに詳しく報じているが、これは第二の銅鑼湾書店事件として、香港の司法の独立が完全に失われていることを示す事件でもあった。銅鑼湾書店事件については、過去のこのコラム欄を参照してほしい。

<参考> 香港銅鑼湾書店「失踪事件」の暗澹 銅鑼湾書店事件、「ノーと言える香港人」の告発

五つ星ホテルから白昼堂々

今年1月27日、香港セントラルの五つ星ホテル・フォーシーズンズホテルから、カナダ国籍ほかバルバドスの外交パスポートなど少なくとも三つのパスポートを保持している蕭建華が白昼堂々、拉致された。目撃者証言がいくつかあり、頭に布をかぶせられ、車いすに乗せられて午前10時頃、車二台で連れ去られとか。妻が翌日に、香港警察に捜索願いを出したが、その後、捜索願いが取り下げられた。有名ホテルから大富豪が失踪したというのに、ホテルサイドは何のコメントも出さず、蕭建華が創始者の投資企業集団・明天系の公式微博アカウントは「外国で病気療養中」とうそぶいた。消息筋によれば、すでに北京にいるらしい、という。つまり、中国当局によって拉致されたという見方が今のところ濃厚だ。ただし、中国当局は目下、沈黙を守っている。

この事件が銅鑼湾書店事件以上に恐ろしいのは、今回拉致された人物が、しがない書店関係者や民主化活動家といった庶民ではなく、太子党の大物をバックにつけ、中国金融界の裏ボスといわれている金と権力の両方を操る大物であったということだ。

香港のフォーシーズンズホテルは、反腐敗キャンペーンのターゲットになるやもしれないと不安に思う太子党や官僚の子弟や大企業幹部たちが、避風塘(漁船が台風をしのぐ湾岸)よろしく、一時身を寄せて、情報交換を行いながら、北京情勢をうかがう拠点として知られている。令計画が失脚する直前には、令計画の兄の利権の温床であった山西官僚らがみなこのホテルに逃げ込んだので、ホテル内の公用語は山西方言であったという冗談が流れたほどだった。

今回の事件は、党中央に強いコネを持っていても、金を持っていても香港は守ってくれない、という厳然とした事実を明らかにした。香港はもう誰も守れない。世界に名だたる高級ホテルで人が拉致されたとしても、香港警察は事件にすることすらできない。金融都市として必須条件の安全と信用はとことん地に落ちた。

1972年生まれの蕭建華は、15歳で北京大学法律系に入学した神童で、天安門事件のときは大学側の学生会主席として、民主化要求の学生たちと対峙した経験もあるらしい。卒業後は大学の党委員会の仕事をしながら起業、1999年に正式に「明天ホールディングス」を創設し、金融、証券、保険企業などに次々に買収。その中には長財証券、新時代証券などの大手もあった。現在、少なくとも明天系と呼ばれる企業集団は、9社以上の上場企業を傘下におき、30社以上の筆頭株主で、総資産1兆元以上とか。その市場に対するコントロール力は言わずもがなで、「明天金融帝国」との呼び名もある。

面子を傷つけた株購入事件

彼は2000年代に、自らの市場操作力を駆使し、曽慶紅や江沢民ら国家指導者ファミリーらの不正な蓄財に手を貸し、また蓄えた資金の洗浄も担ったといわれている。その額は、少なくとも2兆元を超えるとか。例えば、2007年に、曽慶紅の息子の曽偉が山東省最大のエネルギー国有企業で資産価値738億元相当の魯能集団を30億元あまりの格安で買収した“魯能事件”の黒幕も蕭だったという。太平洋証券の上場にからむ不正事件で、国家開発銀行副行長の王益が失脚し、やはり90年代に起業し飛ぶ鳥を落とす勢いであった投資企業・涌金集団のトップ、魏東が飛び降り自殺に追い込まれた2008年、この事件に関与したと噂される蕭建華も自分の身の安全を図るために出国。以降は、少しずつ持ち株をシャドーカンパニーに移し、できるだけ目立たないように動くが、それでも中国市場に対する影響力は厳然としていた。

香港に拠点をおくようになったのは5年ほど前からで、フォーシーズンズに幾部屋もアパートメントルームを借りていたとか。蕭には愛人が30人ほどいるといわれているが、最近は娘を生んだばかりの安徽省出身の愛人と生活を共にしていたという。

彼が中国当局に拉致された(と仮定して)その理由については、いくつか説があり、ニューヨークタイムズ(NYT 2月3日付)は、2013年に240万ドルで、習近平の姉夫婦の持つ投資会社の株を購入した件が関係あるとみている。蕭建華にすれば、習近平ファミリーのためを思ってという建前だったかもしれないが、この件は、NYTが2014年6月3日にすっぱ抜き、しかも蕭建華周辺筋がその事実を暗に認めるような発言をしたので、習近平のメンツをおおいに傷つける結果となった。ちなみに、NYT記事によれば、蕭建華が利益誘導した党中央幹部には、胡錦濤政権時代の序列4位の政治局常務委員の賈慶林の女婿・李伯潭や、元中国人民銀行行長の戴相龍の女婿・車峰の名前も出てきている。

蕭建華は多くの太子党、官二代、紅二代、つまり共産党の“紅色貴族”たちの不正蓄財を手助けし、その手法を熟知しており、よりによって現役党中央総書記ファミリーの蓄財の裏まで知っている。つまり習近平にとっても、スキャンダルを握る危険な人物と言える。このスキャンダル漏れを防ぐために、蕭建華の身柄を北京に取り戻す必要があったのではないか、という見立てだ。

市場操作説、キャピタルフライト抑止説も

もう一つの理由は、2015年の上海株大暴落、俗に言う「株災」に蕭建華がかかわっていたという見方である。蕭建華の資金力、影響力をもってすれば、市場をリモートコントロールすることはたやすい。習近平は2015年の株災がらみで、悪意ある市場操作を行ったとしてプライベートファンドの星、徐翔が逮捕され5年半の実刑を受けている。徐翔以上の市場操作能力を持つ蕭建華だけが逃げ切ることはできないのではないか、という見方だ。

さらに言えば、蕭建華の拉致は、習近平政権の金融政策立て直しと連動するものではないか、という説もある。目下の習近平政権の最大の悩みの一つは、外貨準備高が3兆ドルを割り込み、キャピタルフライトの歯止めが効かないという点だ。

この外貨準備高減少を食い止めるために、2017年の金融改革の柱の一つとして、国家外為管理局関係者が、外国市場で上場した国内企業に対して、そこで集めた外貨資金の一部を人民元にして国内に還流させるという方針を打ち出している。国内企業の香港上場を後押ししているのは、蕭建華のような巨大民営ファンド集団だ。さらに言えば、そうしてできた外貨資金を洗浄して、各地に分散させて、国内企業やあるいはその中核にいる紅色貴族たちの不正蓄財、キャピタルフライトを幇助してきたのも蕭建華のような巨大ファンド集団だ。

蕭建華を拘束したのは、こうしたキャピタルフライトをたくらむ紅色貴族や国内企業家の恐怖心をあおり、おとなしく外貨を国内に還流させることが目的ではないか。つまり、党中央の指導を聞かずに、キャピタルフライトに走れば、汚職容疑で拘束(たとえ身柄が香港にあっても逃げられない)、おとなしく外貨を国内に還流させれば、党中央が国内企業の香港および国外での上場を後押ししよう、ということだ、と。

ちなみに、この説を主張しているのは、元経済紙記者で、在米亡命学者でもある何清漣だが、香港、深圳金融の裏事情を知るだけあってその推測にはかなりの説得力がある。

だが、やはり国内外の中国政治ウォッチャーが興味深々なのは、蕭建華の取り調べによって、曽慶紅の失脚、あるいは失脚に至らなくても、党大会前に曽慶紅の影響力をけん制するだけの情報を習近平が得るためではないか、という説だ。

習近平と曽慶紅の関係も因縁が深い。曽慶紅は、老獪な政治手腕をもって、ダークホースであった習近平をまんまと総書記および国家主席の座につけた最大の功労者である。習近平にとっては恩人だ。だが、自分がコントロールされることを嫌う習近平は、権力トップの座についてからは曽慶紅を政敵とみなすようになった。そうして曽慶紅を追い落とすために仕掛けた権力闘争の象徴が、国家安全部副部長だった馬建の失脚(2015年1月)だった。

馬建は曽慶紅の懐刀として、その諜報能力を習近平はじめ党中央指導者に向けても発揮し、“習近平がらみのスキャンダル”を含む情報を、やはり曽慶紅のコマとして動いていた実業家・郭文貴に流したという噂もある。その郭文貴は、そうしたスキャンダル情報を持って米国に出国したまま、その行方が分からなくなっている。

ちなみに、すでに失脚していた周永康や令計画の汚職事件とも馬建はかかわっており、失脚は周永康、令計画事件に連座した格好となるのだが、馬建の最大の政治的庇護者が曽慶紅であることは公然の事実であったので、多くのジャーナリストたちが馬建失脚を習近平と曽慶紅の権力闘争の文脈で解釈していた。この権力闘争は、いちおう曽慶紅が逃げ切った形で収束していた。

「法秩序無視が当然」の恐ろしさ

もし蕭建華が北京で取り調べを受けているとすれば、魯能事件など曽慶紅ファミリーの過去の経済犯罪疑惑などについても蒸し返される可能性はある。習近平にしてみれば、かつて自分を政権トップの座を押し上げたあの鮮やかな政治手腕を、再び自分を引きずり下ろすために振るう可能性を恐れていて当然だろう。馬建事件で一度、その政治生命が危機に瀕したとはいえ、曽慶紅が政局を動かすだけの資金力と人脈と頭脳を維持している可能性は強く、秋の党大会を前に、少なくとも曽慶紅の動きは牽制しておきたいのではないか。

どの説も、あり得る話で、おそらくはいくつもの思惑が働いていることだろう。こうして想像力を膨らませて中国の権力闘争や政治の雲行きを眺めるのは、外国人にとっては知的好奇心をそそられるのだが、冷静に考えてみれば、こうした政治的思惑のためだけに、法秩序を無視していきなり香港から民間人を力づくで拉致するやり方を普通に行える共産党体制というのは、実に恐ろしい。中国が国際社会において覇権を拡大するということは、こういう行動基準が周辺国家にも広がっていくということなのだ。

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『日本の悪夢、中国の属国になる日はトランプ次第 米国が経済で譲歩を迫れば、「新型大国関係」で太平洋真っ二つも』(3/1JBプレス 織田邦男)について

3/3TV朝日の「モーニングショー」では朝から森友問題で安倍昭恵氏を叩いていました。メデイアがTVの中で、公人か私人かという愚にもつかない問題提起をしたのは、三木首相の靖国参拝を公人・私人に区別させて成功した事例からヒントを得たのだろうと思います。また、下記の写真にありますようにトランプ大統領と安倍首相が夫婦同伴で楽しく会話しているのを見て、朝日新聞は、トランプと安倍が意気投合したのはそれぞれNYTと朝日新聞に勝ったと話合った所からと思い、復讐のチャンスを窺っていたのだろうと思います。何とかして共謀罪を潰したいという一念(在日朝鮮人や在日中国人も当然対象。米北戦争や米中戦争が現実のものに近づきつつある中で、破壊工作の予防の法律が必要です)と、安倍首相本人には突っ込めるところが無いので、夫人を標的にしました。江戸の仇を長崎で討つ方式です。メデイアは「女性の活躍をもっと進めなければ」と言っているのに逆行するのでは。これで安倍昭恵氏が委縮しなければ良いですが。でも、相手を選んで付き合わないといけないと思います。相手は利用しようと思っている人間が多いですから。でもメデイアは朝鮮人と同じで、妬み・嫉みの塊なのでは。

鴻池議員も偉そうにインタビューを受けていましたが、地元秘書のノートが流出したとのこと。どういう経緯でそうなったか分かりませんが、機密保持ができていない議員事務所という印象です。そもそも共産党にどのようにして渡ったのか。中共に連なる敵性政党なのに。

籠池氏も強引なやり方が目につきます。小生も大阪勤務時代、自宅と言っても社宅ですが、新入社員の親が突然訪ねて来て、「お世話になります」と言ってギフトを置いて行きました。断るのも悪いと思い、一旦貰いました。帰ってからギフトを調べましたら、中にメロンと現金が入っており、手紙を添えて現金は書留で返し、メロンは戴いた記憶があります。関東と関西の文化の違いかと感じました。金を受けるような立場でもないですし、やはり現金を受け取ることにはアレルギーがあります。中国に赴任して中国の賄賂文化と関西の金文化と似ていると感じた次第です。

織田氏が言いますように「最悪を考えて準備をする」のはどんな組織であれ、危機管理の要諦でしょう。国、地方公共団体、会社、個人のレベルにおいても、です。大多数の日本人は平和ボケしていて、戦争忌避、「平和」という念仏を唱えていれば戦争は起きないという考えの持主のようです。戦争は人間的な営みで、違法ではありません。最終的な紛争解決手段です。それが証拠に人間の歴史は戦争の歴史ではありませんか。核兵器の出現により、地球が破壊される可能性があっても、通常兵器による戦争は今でも起きています。

トランプ大統領の敵は金の力(ウオールストリート)を持ち、なかなか思ったように事が運びません。今度はセッションズ司法長官の駐米ロシア大使とのコンタクトが問題になっています。CIA、FBIといった諜報機関を相手に戦うのですから、生半可な覚悟ではできません。一進一退を繰り返すと思います。

トランプ大統領はWTOの決定には従わずと宣言しました。思いは「中国はWTOのルールに従っていないのに、それを止められないのは無用の長物」との思いでは。中国が南シナ海の国際仲裁裁判所の判決を「紙屑」と呼んで従わないなら、米国もという事でしょう。多国間の組織は国連を含め、左翼・リベラルに乗っ取られていますので。二国間or有志連合という形で物事を進めて行くのでは。イエレン議長が利上げするような雰囲気ですので、中国からの外貨流出ももっと起きるのでは。良い傾向です。

但し、織田氏の言うようにトランプ大統領もいつ心変わりするかも分かりません。敵は強大ですから。そうならないように、いろんなルートを使い、自由が保障される社会の維持に向けて、日米双方が努力するようにしませんと。太平洋を二分するくらいで中国の野望は収まらないでしょう。世界が悪の共産主義に染まれば、人類にとってこの上ない不幸となります。

日本は防衛費を自主的に増額し、脅威に少しでも対抗できるようにしていかないと。安倍内閣はずっと増額してきたといいますが、金額的にはまだまだです。江崎道朗氏の『マスコミが報じないトランプ台頭の秘密』の中に、中曽根首相は、ロンヤスと謳われて良好な日米関係を演出していましたが、その実、米国の防衛費増額要求に応えず、不信感を持たれ、米国をもっと中国に近づけることになったとありました。中曽根は言われるほどには有能ではないでしょう。胡耀邦を助けるために靖国参拝中止をして、靖国を外交カードにしてしまったりして。

記事

米フロリダ州パームビーチにあるドナルド・トランプ大統領のリゾート施設「マーアーラゴ・クラブ」で食事を共にする安倍晋三首相(中央左)、トランプ大統領(中央右)、昭恵夫人(右)、メラニア夫人(左)、ニューイングランド・ペイトリオッツのオーナー、ロバート・クラフト氏(左下、2017年2月10日撮影)〔AFPBB News

2月10日、ドナルド・トランプ政権発足後、初の日米首脳会議がワシントンで実施された。3日のジョージ・マティス米国防長官訪日に続き、トランプ政権での日米関係は上々の滑り出しだ。特に安全保障に関しては、日本にとって予想を超える成果を得たと言っていい。

「尖閣諸島が安保条約5条の適用対象」であることが共同声明に初めて明文化され、核を含む「あらゆる種類の米国の軍事力」による対日防衛を確約させた。駐留経費問題は話題にも上らず、在日米軍の重要性を確認するだけでなく、米軍受け入れに「謝意」まで盛り込ませたのは安倍外交の勝利と評価できる。

東、南シナ海で挑発行為を繰り返す中国、そして安倍晋三首相の訪米中にもあった核・ミサイルの恫喝を繰り返す北朝鮮に対し、日米の蜜月振りを見せつけたのは両国に対する強いメッセージとなったことは確かだ。

だが、「安保は満額回答」といって手放しで喜ぶ日本の姿勢に、危うさを覚えるのは筆者だけではないだろう。

2月3日、マティス長官の「尖閣は5条の適用対象」発言を「ニュース速報」で報じるメディアの当事者意識を欠いた属国姿勢、そして打つべき「次の一手」に係わる思考停止状態に対し、2月8日の拙稿「マティス発言にぬか喜び禁物、強か中国次の一手」で警鐘を鳴らしたところである。

1200人の高級官僚が決まるまでは全くの白紙

日米首脳会談が大成功裏に終わったことは、率直に評価したい。だが国内に蔓延する安堵感、政府関係者までが「まるで宝くじが当たったよう」と舞い上がる姿には大いなる違和感を覚えるのだ。

トランプ政権主要閣僚の議会承認は異例の「薄氷」採決が相次いでいる。いまだ閣僚人事で綱渡り状態だ。外交の要である安全保障担当補佐官マイケル・フリン氏が対ロ制裁問題で事実上更迭された。後任には現役陸軍中将のヒューバート・レイモンド・マクマスター氏が指名されたが未知数である。

議会承認が必要な約1200人に及ぶ高級官僚が決まるには、少なくともあと数か月はかかるだろう。外交・軍事を含むトランプ政権の方向性は未だ不透明、不確定である。

外交政策に安易な楽観論は禁物である。政治的任用の主要ポストがすべて確定し、トランプ政権が実質的に動き出すまでは、米国の外交・軍事政策は白紙と見た方がいい。

今、日本に必要なのは、トランプ大統領の「ちゃぶ台返し」を防ぐ外交戦略の策定である。大成功裏に終わった日米首脳会談後の安堵感に浸っているときに、「ちゃぶ台返し」「手の平返し」は考えたくないものだ。だが、「考えたくないことを考え、考えられないことを考える」のが危機管理の鉄則である。

英国のパーマストン卿が語ったように「永遠の同盟も、永遠の敵もない。あるのは国益であり、これを追求するのが政治家の責務」である。

「アメリカ第一主義」を掲げるトランプ大統領は、政治経験も外交経験もない。過去に縛られず政策方針を決定できるところは、新大統領の強みでもあり、弱みでもある。同時に同盟国にとっては危うさでもある。

日米首脳会談前日の9日、米中首脳の電話会談を行った。日米首脳会談に先立ち、「一つの中国政策」維持を表明するなど対中外交で配慮をみせた。

政権発足前、トランプ氏は従来の「一つの中国」政策を巡って疑問を呈した。また慣例を破って台湾の蔡英文総統とも電話会談をした。これが一転して「今後も『一つの中国』を尊重する」と述べ対話重視を表明した。

またトランプ氏は、これまでNATO(北大西洋条約機構)は「時代遅れ」だと発言してきた。だが、テリーザ・メイ英国首相との首脳会談では、一転して「100%」NATO支持を言明し、今後も重視していくと表明している。

ある評論家は、トランプ氏はビジネスマンであり、「取引の瞬間だけ親しいのは、ビジネスマンの常。本物の信頼関係かどうか分からない」と述べている。「最悪を予期して準備せよ」は危機管理の要諦である。まさに、首脳会談成功に浮かれている場合ではないのだ。

トランプ大統領と安倍首相との間で、これ以上ない緊密な個人的関係ができたことは喜ばしいことだ。だが、パーマストン卿の箴言が警告するように、国家間にあっては、いつ何時「手のひら返し」があってもおかしくはない。この警戒心は忘れず、先手を打って戦略を考え、あの手この手で実行に移していくことが求められている。

過去にも苦い経験がある。いわゆる「朝海の悪夢」である。

1971年7月、突然リチャード・ニクソン大統領が訪中を発表した。佐藤栄作首相には発表の5分前に電話連絡があったという。それまで中華人民共和国との国交を米国によって強く止められてきた日本にとっては、一夜にして「梯子を外された」形となり、まさに「寝耳に水」の出来事であった。

当時の駐米日本大使の朝海浩一郎氏は普段から、ある朝起きたら突然、米国と中国が手を結んでいた、こうなるのが日本にとっての悪夢だと語っていたが、それが現実となったことから「朝海の悪夢」と呼ばれるようになった。

現代版「朝海の悪夢」

現代版「朝海の悪夢」はあるのか。最悪のシナリオは、米国が勝手に中国と「安保と経済」を取引することだろう。

共同声明では、中国を名指しこそしないものの「威嚇、強制または力によって海洋に関する権利を主張しようとするいかなる試みにも反対する」「拠点の軍事化を含め、南シナ海における緊張を高める行動を避け、国際法に従って行動することを求める」とある。

またホワイトハウスのスタッフたちは対中強硬派が占めている。だが、これで安心している場合ではない。

対中貿易赤字のドラスティックな改善、雇用の大幅な創出を中国が取引材料として出してきた場合、共同声明は一挙に死文化する可能性は排除できない。これまでのトランプ大統領の言動から見て、経済的利益のためには、安全保障をディールする可能性は十分あり得るのだ。

中国は経済で大幅に譲るとしたら、何を代わりに取りに来るだろう。「台湾関係法の廃止」「在韓米軍撤退」など考えられる。だが、日本にとって最も厳しいシナリオは「西太平洋の覇権移行」である。

これは別に目新しい話でもなければ、荒唐無稽な話でもない。中国はバラク・オバマ政権に対し「新型大国関係」という言葉で繰り返し「西太平洋の覇権」を求め続けてきた。

中国が主張する「新型大国関係」を簡単に言えばこうだ。

米中は核大国であり「米中が対抗すれば両国と世界に災難をもたらす」。従って「互いの主権と領土を尊重し、矛盾や摩擦をコントロールする必要」があり、「互いの『核心的利益』を尊重」しよう。「太平洋には2つの大国を受け入れる十分な空間」があり、それは十分可能だというものである。

もっともらしい言葉の下に、鎧が透けて見える。つまり太平洋を東西に分割し、米中それぞれの主導の下に国際秩序を構築しようとするものである。

戦後、太平洋からペルシャ湾まで米海軍の制海権の下に置かれてきた。この地域における国際秩序は事実上、米国主導で作られてきた。

この「パックス・アメリカーナ」を、西太平洋に限定して「パックス・シニカ」に置き換える、つまり西太平洋については、中国が主導する国際秩序に置き換えるというパラダイム・シフトを狙った「太平洋、覇権分割論」である。

もともと鄧小平の懐刀であった劉華清が提唱した海洋戦略があり、「太平洋、覇権分割論」の淵源となっている。2010年までに第1列島線以西の制海権を握り、2020年までには第2列島線までを、そして2040年にはハワイまで制海権を掌握して西太平洋の覇権を握るという戦略である。

中国はこの海洋戦略を正式な中国海軍戦略に格上げし、すでに着々と手を打ってきている。

中国は本気、太平洋分割論

2007年5月、ティモシー・キーティング米太平洋軍司令官が初めて訪中した際、中国海軍高官から「太平洋分割論」を持ちかけられたという。「最初は冗談かと思っていたが、本気だったので驚いた」と議会証言している。

2013年3月、李克強首相が全国人民代表大会で「新型大国関係」について報告し、中国の対米外交方針となった。

2013年6月、米中首脳会談で習近平がオバマに正式に提案している。同年9月、中国の「衣の下の鎧」が読めないオバマ大統領は、これを検討することで合意。以降、習近平国家主席は米中首脳会談のたびに、壊れたレコードのようにこれを繰り返し主張してきた。

他方、アジアにおける多国間会議では、別の名前で覇権分割論を持ち出している。

2014年5月、上海で実施された「アジア相互協力信頼醸成措置会議」(CICA)で、習近平主席は「アジア新安保構想」を提唱した。「アジア安全観」というアジアの人にとっては耳に優しい言葉を巧みに使い、アジアからの米国排除を訴えている。

つまり「アジア安全観」とは、「アジアの問題はアジアの人々が処理し、アジアの安全はアジアの人々が守る」ことを原則とし、平等な立場で安全に関する協力を推進するというものである。そして「互いの主張、領土保全を尊重し、内政不干渉」の下に「平等協力」をうたうものだと主張する。

アジアからの「米国外し」が見え見えであり、米国なき後のアジアで、中国主導による国際秩序を構築する。つまりアジアの国々向けの体の良い覇権分割論であり、「パックス・シニカ」そのものである。

2014年11月、北京で行われた「中央外事工作会議」で、習近平は「国際社会の制度改革を進め、わが国の発言力を強める」と述べ、国際社会の制度を中国主導で作り変えることの重要性を述べている。

米議会では、早くからこの発言に注視し、2014年度の「米中経済安保見直し委員会」議会報告では、「中国は米国が主導する東アジアの安全保障アーキテクチャーが自国の体制維持、経済、社会的発展、領土の一体性といった核心的利益を利するものではないと判断している」と報告している。

ポール・ケネディが名著「大国の興亡」で述べるように「台頭した大国はすべて、古くから根を下ろしている大国の既得権に沿うように作られた国際秩序の再編を望むもの」であり、台頭した中国にとっては至極当然のことかもしれない。

2014年11月の米中首脳会談では、オバマ大統領は習近平主席の「新型大国関係」についての執拗なアプローチに「同意する」と発言した。だが、さすがにアジア諸国からは懸念の声が即座に上がった。

驚いたオバマ大統領は「アジアでの効果的な安全秩序は、大国が小国をいじめるような影響、威圧、脅しではなく、相互安全保障、国際法、国際規範、平和的解決を基本にしなければならない」と軌道修正している。

中国の覇権分割の動きに対し、オバマ大統領が明確に拒否したのは「経済分野」だけだ。2015年10月、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)交渉で参加国が大筋合意したことを受け、「中国のような国に世界経済のルールを書かせることはできない」と述べている。

その後、南シナ海での埋め立てなど、露骨で挑戦的な中国の動きが目立つようになり、警戒感を強めたオバマ大統領は、習近平主席が繰り返す「新型大国関係」に対しては、明確な意思表示を避け今日に至っている。

「新型大国関係」は、中国が周到な時間をかけ、繰り返し持ち出したものであり、中国の対米戦略上、特別な意味を持つ。

中国冊封体制下に置かれる危険性も

当然、習近平主席はトランプ大統領に対しても「新型大国関係」に名を借りた覇権分割論を要求してくるはずだ。今はその機会を伺っているときであろう。トランプ大統領が経済でディールを持ちかければ、これ幸いと、真っ先に打ち出してくる可能性は十分にある。

「新型大国関係」は日本やアジア諸国にとっては死活的意味を持つ。西太平洋が中国の覇権に組み込まれると、日本は中国が決めるルールに従わざるを得なくなる。当然、日米同盟は空洞化する。

最悪の場合、日本は事実上の中国冊封体制下に置かれ、日本のチベット化が始まる。これは悪夢に違いない。これが杞憂に過ぎるよう、日本はあらゆる手を尽くさねばならない。

「安保は満額回答」などと浮かれている場合ではなく、このための「次の一手」を考えるのが今求められているのだ。

今後のアジアの情勢を占う時、カギとなるのが米中関係であることは間違いない。この成り行きによっては、日本は死活的影響を受ける。

習近平主席は、この秋の党大会で発足させる2期目体制の盤石化に向け、いかなる失点も許されないという局面にある。トランプ政権への対応については、慎重に検討しつつ、様子見の状態と言っていいだろう。

トランプ政権には対中強硬派が多く入閣している。だからといって希望的観測や楽観的予断は許されない。米国の対中外交の成り行きにまかせるというこれまでのような受動的対応では覚束ない。手遅れになってからでは遅いのだ。

繰り返すが危機管理の要諦は「最悪に備えて準備せよ」である。最悪のシナリオにならぬよう、首脳会談で得た成果を梃に、「次の一手」を考え、能動的に行動することが必要である。

重要なポイントは、米中関係の緊張を保たせるよう努めつつ、さりとて武力衝突にはさせないことだ。この微妙なバランスをコントロールするイニシアティブが日本に求められている。

これまでのような受動的態度から脱皮し、米国の対中政策形成に積極的に関与することにより、日本に有利なアジア情勢を創成していく気構えと姿勢が求められている。

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『共和党に回り始めたオバマケアの「毒」 「撤廃」ではなく「修理」を唱える共和党議員も』(2/28日経ビジネスオンライン 篠原匡)について

ネットで読んだ記事です。Embed from Getty Imagesで埋め込まれた部分は映像をカットしています。但し、紹介したい部分だけは映像に残しています。トランプが、夫が戦死した妻を議会演説時に招待し、議場全体スタンデイングオベーションで激励したという感動逸話の部分です。実は戦死したウィリアム・ライアン・オーウェンズがイエメンで戦死したことに、父親がトランプの軍事作戦を批判した経緯があります。3/2日経にはこの部分がごっそり抜けていました。軍人を讃えることが嫌なのでしょう。意図的に外したとしか思えません。日本国民全体が自衛隊に感謝し、国会でスタンデイングオベーションできるようにならないと。民共社生の議員などを選挙で選ぶと、それができなくなります。

トランプ大統領初の議会演説で全米が涙した理由 2017/3/2  ニュースメディア

アメリカ現地時間2月28日午後(日本時間3月1日午前)に、トランプ大統領が上下両院合同会議で行った初めての施政方針演説ですが、今や宿敵となったCNNをはじめ、多くのアメリカの主流ニュース・メディアは好意的に取り上げたようです。

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もはやトランプの宿敵となったCNNの意外な反応

演説終了直後のCNNのスタジオには、いつも通り反トランプ色の強いキャスターと解説者の面々がスタンバイしていたのですが、最近は割とフェアな報道姿勢が目立つアンダーソン・クーパーはともかく、トランプ大統領誕生時に「これは白人の逆襲だ」とまで言ってのけたリベラル政治評論家ヴァン・ジョーンズの好意的な反応には驚かされました。

今回のトランプ大統領の演説が(少なくとも演説終了直後は)CNNの解説陣に好意的に受け止められた主な理由ですが、以下のポイントによるものだと思います。

  • これまでの選挙キャンペーンモードを引きずったような演説に比べるとトランプが「大統領らしかった」から。
  • (スティーブン・バノンなのか、イヴァンカの夫なのか分からないが)スピーチ・ライターの原稿が素晴らしかったから。
  • トランプ大統領もプロンプターの扱いに慣れたのか、演説の技術が向上したから。
  • 民主党が理想とする高福祉型社会、つまり「大きな政府」を目指してるかのような政策が示されたから。(これは「小さな政府」を目指す共和党の基本政策とは相容れないはずで議会の協力が得られるのか疑問だ。)

トランプのあまりの変貌ぶりに、演説終了直後は軽い興奮状態に陥ったCNN出演者達でしたが、この記事を書いている時点では、すでに数字上の矛盾点などを指摘した上で批判を展開しつつあります。(さすがCNNですね。)

トランプ批判の急先鋒、あのヴァン・ジョーンズも感動した瞬間とは?

今回のトランプ大統領の施政方針演説には、あのヴァン・ジョーンズをして「アメリカの政治史において最も素晴らしい瞬間の一つだ」とまで言わしめた瞬間がありました。

その瞬間をもたらしたのはトランプ大統領の娘イヴァンカ、・・・ではなく、イヴァンカの隣に立っていたキャリアン・オーウェンズという女性でした。彼女はトランプ政権下で初めて行われたイエメンでの対テロ軍事作戦で命を落とした海軍特殊部隊ネーヴィー・シールズの隊員ウィリアム・ライアン・オーウェンズの未亡人です。

それではトランプ大統領がウィリアム・ライアン・オーウェンズに触れた部分をスピーチ原稿から抜粋・翻訳してみましょう。

我々が国家として直面するチャレンジは強大だ。しかしながら、我が国民はさらに強大なのだ。そして制服に身を包んでアメリカのために戦う者達以上に偉大で勇敢な人達はいない。

今晩、我々は海軍特殊部隊の上級下士官ウイリアムズ”ライアン”オーウェンズの未亡人、キャリアン・オーウェンズをお迎えする栄誉に恵まれた。勇者であり英雄として生きたライアンは、我々の国家に安全をもたらすために、テロとの戦いで戦死したのだ。

議事堂の全員がスタンディングオベーションでオーウェンズ夫人に拍手を送ります。この時点で彼女はまだ着席したまま、必至に涙をこらえようとしていました。

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ただ、トランプ大統領が続けた演説の次の部分で彼女の様子が変化します。

私は先ほど戦果を確認したマティス国防相と話したのだが、彼は私にこう言った。「ライアンは、将来に渡りおさめることになるであろう、敵との戦いにおける数多く勝利に我々を導く膨大で価値のある情報をもたらした極めて優れた襲撃部隊の一員だった」

ライアンの遺産は永遠に刻み込まれたのだ。

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演説のこの部分で、溢れ出る涙もそのままに立ち上がったオーウェン夫人は、おそらく自分の夫に対して力強く拍手しながら天を仰ぎます。ここで再びスタンディングオベーションが起こり、おそらく2分以上拍手が続きます。その間、オーウェン夫人は歓喜の表情を浮かべながら天国の夫ライアンに語り掛けているように見えました。

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拍手がようやく鳴りやむと、トランプ大統領は原稿にないアドリブで夫人に語りかけました。

今、ライアンは我々を見ている。分かりますよね。ライアンは喜んでいるに違いない。今新記録を打ち立てたから。

2分近く鳴りやまなかった拍手のことを指して冗談を言ったトランプ大統領に、夫人は涙があふれた目で笑い返します。

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トランプ大統領はウィリアム・ライアン・オーウェンズに触れた部分を以下のように締めくくりました。

聖書は、自分の命を友人に捧げることほど愛の行いとして偉大なことは無いと説いている。ライアンは彼の命を、彼の友達と、彼の国と、自由のために捧げた。我々は決して彼のことを忘れないだろう。

以下が映像です。

演説のこの部分に多くのアメリカ人が感動したことは想像に難くありません。スピーチの内容もさることながら、オーウェン夫人の気丈な振る舞いに胸を打たれます。

軍事作戦には批判の声も

一方、既に報道されているように、今回のイエメンでの軍事作戦には疑問や批判の声が上がっていました。オーウェンの犠牲以外にも、死亡したアルカイダのアメリカ人幹部の娘とされる少女が犠牲になったほか、作戦に使用された航空機に損害があったことなどが理由とされています。

なお、退役軍人で元刑事のオーウェンの父親は、今回の軍事作戦に関する調査を訴えており、トランプ大統領の面会希望も拒否しています。

また、今回のトランプ大統領の演説内容に対しても「軍事作戦の失敗から国民の目をそらそうとする企み」として、あるいは「死者を政治的に利用した」として、早速非難の声が上がっているようです。

まとめ

就任直後としては最低水準の支持率にあえぐトランプ政権が、今回の演説である程度劣勢を挽回したことは間違いありません。

ただ、CNNの解説陣もコメントしていたように、ポピュリズム的な内容であった事は否めないと思いますし、実際に全ての項目に着手し、実現するのは容易ではないと思います。

日本に関わる部分としては、米国企業と並んでソフトバンクが雇用拡大につながる投資を計画する企業として好意的に紹介されたこと、アメリカの外交姿勢示す際に「かつての敵国と緊密な友好関係を結んでいる」と暗に日本にも言及したこと、貿易交渉では何よりも公正さを重要視するとしたこと、ヨーロッパ、中東、太平洋の安全保障に関与するが基地経費の公平な負担を求めるとしたことなど、特に目新しいものではありませんでした。(演説のトーンにも大きな違いを感じませんでした。)

個人的には、トランプ大統領の演説内容そのものよりも、オーウェン夫人の姿勢に心を動かされました。夫を亡くした悲しみ、あくまでも想像ですが、政治的に利用される可能性について義理の父親や周囲から反対や忠告を受けつつも最終的に議事堂に赴いた彼女の心境、そして夫が受けた最高レベルの栄誉に対する喜びが複雑に交じり合う様子が伝わってきました。

彼女に一日も/早く心の安らぎが訪れることを祈るばかりです。>(以上)

北野幸伯氏の8/2メルマガでBBCの記事を紹介していました。一部抜粋します。

「▼中国は、いかにトランプを懐柔したか???

BBC News 2月27日付で、キャリー・グレイシー中国編集長は、「中国は、どうやってトランプの反中を変えたのか?」について、「7つの理由」をあげています。

長い記事ですので、要約してみましょう。興味深いところは、引用します。そして、原文アドレスを最後にはりつけておきます。興味がある方は、全文読んでみてください。

中国が、トランプの反中を軟化できた一つ目の理由は?

<1. 家族や友人を取り込む>

中国は、トランプの家族を取り込むことにしました。家族とは具体的に、娘のイヴァンカさん、彼女の夫クシュナーさん、もう一人の娘ティファニーさんです。

<駐米中国大使の崔天凱氏は、トランプ大統領の娘イバンカさんに巧みに手を差し伸べた。ワシントンの中国大使館で行われた春節の祝宴にイバンカさんが出席した姿は広く報道され、イバンカさんは両政府の分断に橋を渡した。イバンカさんの夫、ジャレッド・クシュナー氏もまた、中国事業のパートナーを通じて中国政府につてを持っている。さらに、トランプ大統領のもう1人の娘ティファニーさんは、ニューヨーク・ファッション・ウィークで中国人デザイナー、タオ・レイ・ウォン氏のショーをあえて最前列で鑑賞した。>

そして、共産党の指令を受けた中国企業群も、いっせいに「アメリカに投資し、トランプさんを助けます!」と宣言しました。

<トランプ氏の私的な人脈を強化するため、中国で最も著名な起業家のジャック・マー氏はトランプ氏と会談し、自身が所有する電子商取引サイト、アリババで米国の商品を販売し米国に100万人規模の雇用を創出すると約束した。中国では民間企業にさえ共産党の末端組織が存在しており、国家の戦略的利益となると政府の命令に従うよう求められる。ジャック・マー氏は任務を背負っており、政府の方針にも沿っていた。ニューヨークのタイムズ・スクエアの屋外広告に、トランプ氏への春節の挨拶を掲載するため資金を提供した他の中国系企業100社も同様だった。>(同上)

<中国では民間企業にさえ共産党の末端組織が存在しており、国家の戦略的利益となると政府の命令に従うよう求められる。>

この部分、非常に大事ですね。

中国では、どんな巨大企業のトップでも、習近平の命令にはさからえない。

2番目の理由は。

<2. 贈り物をする>

これは、なんでしょうか?

<トランプ氏の企業帝国は物議を醸しているが、中国ではトランプ氏の商標に関する裁判が複数、棚上げ状態になっている。中国政府は、裁判所が共産党の影響下にあるという事実をはばから

ずに認めている。

(中略)

トランプ氏の商標登録の場合、必要な手続きは昨秋、派手な告知もなく迅速に行われ、裁判はトランプ氏の勝利で先週、集結した。>

(同上)

習近平は、裁判所を動かして、トランプの司法問題を解決し、喜ばせたと。さすがは「人治国家」中国。

3つ目の理由は、

<3. 必要な時まで声は荒げず>

これは、何でしょうか?

トランプさんは、明らかに中国を挑発していました。しかし、中国は、挑発に乗らなかった。

<大統領選挙活動中ずっと、中国を泥棒だとか貿易の強姦魔だと呼び、台湾について中国が頑なに守り続けてきた立場に挑み、中国を侮辱し、脅し続けたのだ。政府関係者はまた、南シナ海での取り組みを強化すると警告もしていた。しかしその間中ずっと、中国政府は鉄の如き自制心と抑制力を見せていた。>(同上)

<中国政府は鉄の如き自制心と抑制力を見せていた。>

実に立派です。これぞ「老子の戦略」ですね。

4番目の理由。

<4. 台本に納得するまでは語らず>

これは、トランプが「『一つの中国』の原則」を認める状況になるまで習近平は登場しないということ。

<ついにトランプ大統領と習国家主席との電話会談が実現した時、中国は自国が大切にしてきた「一つの中国」政策への米国の支持をあらためて取り付け、2人の出会いを尊厳あるものにもできた。習国家主席が決然とした忍耐強い役者であるという評判は、より一層高まった。トランプ大統領は、台湾について新しい立場を取ると話していたが、そのような発言は控えるに至った。>(同上)

5番目の理由。

<5. 甘い言葉は効果があるところで>

これは、「協力できるところから、協力関係を深めていこう」ということ。アメリカと中国が協力できるのは、もちろん「金」がらみ。ターゲットは、親中「財務省」、フラフラ「国務省」です。

<この電話会談以降、米中政府間では活発なやり取りが行われている。新たに財務長官に就任したスティーブン・ムニューチン氏は、中国の主要人物複数と経済政策について協議しており、ティラーソン氏も中国の外相である王毅外交部長や上級外交官の楊潔篪と会談を行っている。中国政府は、「習主席とトランプ大統領の間で達した合意」、つまり「不衝突、不対抗、相互尊重、相互利益への協力」を特徴とした関係の実現について協議を始めている。>(同上)

6番目の理由。

<6. 可能なものを与えよ>

これは、「口でいうだけでなく、実際にアメリカに与える」と。

<実際面では、相互利益というのはつまり、可能な際は常に譲歩や協力をするということだと中国は理解している。そして米国が懸念するある領域において、中国は協力する意思をすでに示している。北朝鮮からの石炭を輸入停止にすることによってだ。>(同上)

ホントに輸入を停止しているか、大いに疑問ですが・・・。少なくともトランプ政権は、信じているのですね。

7番目の理由。

<7. 相手の弱みを自分の強みに>

これは、なんでしょうか?RPE(北野氏のメルマガ)でも何度か触れましたが、「評判の悪いトランプさんと『逆』のことをする」。

具体的には?

トランプは、「ナショナリスト」なので、習近平は「私はグローバリストです!」と宣言する。

「中国の夢!」(=ナショナリズム)は、どこにいっちゃったのでしょう?

<世界の舞台では、習主席は、自分がドナルド・トランプとは違うということを巧みに示した。ダボスでの世界経済フォーラムで、習主席がグローバル化と自由貿易を擁護したのは有名な話だ。>(同上)

というわけで、習近平政権は、トランプが大統領になってから、「国をあげて」アメリカ新政権「懐柔」に奔走してきました。そして、大成功をおさめた。

BBC、キャリー・グレイシー中国編集長は、「中国の勝利」と断言しています。<こうした戦術でこれまで上げてきた効果について、中国政府は非常に満足だろう。

しかしこれは複数参加型の多面的なゲームで、長期的には多くの危険や罠が存在する。

中国は、危険をうまく中和し、トランプ大統領就任1ヶ月目という機会を巧みに利用した。

第一ラウンドは中国が勝利した。>(同上)

しかし、キャリー・グレイシーさんは、「戦術」的勝利とはっきり書いています。中国は、依然としてアメリカの戦略上「最大の敵」であることに変わりありません。

ですから、米中関係の平穏は長つづきしないでしょう。

http://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-39099806

」(以上)

トランプがおとなしくなったのはキッツシンジャーの影響と2/18号の週刊新潮に櫻井よしこ氏が書いています。戦略的忍耐で時間を稼ぐためであれば良いでしょう。何せ施政方針演説で軍事予算を10%(540億ドル)増やす目的は中国の脅威に備えるため以外には考えられませんので。火蓋を切るとしても渡邉哲也氏が言う金融制裁からでしょうが。まず北朝鮮問題を片づけるのが先になります。

オバマケアは見直すにしても対案が出て来ない限り、見直せないでしょう。時間の制約などありません。あったとしても、2年後の議会選挙の時まででしょう。良い案が出なければ、其の儘でも良いのでは。篠原氏の書きぶりだと、トランプや共和党よりオバマが勝ったと喜んでいる印象を受けますが、リベラルはそう思いたいのでしょう。

記事

トランプ大統領と共和党は、オバマ前大統領のあらゆる「レガシー(政治的成果)」を書き換えようとしているが…。(写真:UPI/アフロ)

オバマケアの撤廃・置き換えは実は至難の業

トランプ大統領と共和党によって自身の「レガシー(政治的成果)」を書き換えられようとしているオバマ前大統領。だが、オバマケア(医療保険制度改革法)に関していえば、その“毒”が逆に共和党をむしばみつつある。

「私がいつも言っているように、オバマケアは機能していない。(中略)。われわれはオバマケアの撤廃と置き換えを進めていく」

2月24日に開催された保守の祭典、CPAC(保守政治活動会議)でトランプ大統領が改めて宣言したように、トランプ大統領と共和党にとって、オバマケアの廃止と代替プランの導入は引き続き政策実行リストの最上位にいる。

もっとも、大統領の鼻息とは裏腹に、オバマケアの廃止・置き換えには時間がかかっている。

2月16日にライアン下院議長はオバマケアの廃止・置き換え計画について共和党議員に説明したが、税制優遇を伴う医療貯蓄口座の普及や保険料の所得税控除など、従来の共和党の主張を踏襲しただけで、プランと呼べるようなものではないという声が上がった(ワシントン・ポストの記事)。ライアン議長の前任、ベイナー前下院議長も、オバマケアの完全なる置き換えはないという見立てを米ポリティコに述べている。

オバマケア撤廃の政治的打撃に気づいた共和党

共和党はオバマケアが成立して以来、同法の廃絶を声高に主張してきた。悪名高い2013年10月の政府の一部閉鎖も、翌年から実施が始まるオバマケアの予算案に反対したことが要因だ。

健康保険加入の是非を州政府ではなく連邦政府が決めるという点において、オバマケアは共和党の党是とも言える「小さな連邦政府」と、その党是と表裏一体の「個人の自由」というイデオロギーと真っ向から対立する。共和党、とりわけティー・パーティの流れをくむ保守層にとって、オバマケアの撤廃は譲れない一線である。

それだけに、トランプ大統領がホワイトハウスに入った現状はオバマケアの撤廃と置き換えを進めるまたとない好機だ。それなのに、置き換え作業がなかなか進まないのはなぜなのか。その最大の理由は、オバマケアの撤廃と置き換えに伴う政治的打撃の大きさに気づき始めているためだ。

約5000万人とも言われた無保険者をなくすために導入されたオバマケア。根拠法の“Affordable Care Act”という名前が示しているように、手頃な価格で国民が医療保険にアクセスできるようにすることが最大の狙いだった。持病を抱えている人でも保険に加入できるような制度設計にしたのも、国民のアクセスを保証するためだ。

財政負担なくして手頃な医療保険は成立しない

半面、民間保険会社のヘルスケアプランが中心の米国の場合、市場原理に委ねるだけでは保険料が下がらないと考えられたため、収入に応じて保険料の一部に補助金を投入するという仕組みになった。結果として増税につながった上に、保険会社がリスクに応じてプランを見直したことで、既に保険に加入していた人々(主に中間層)の保険料上昇やプランの劣化を招いた。その怒りが、トランプ大統領の勝利の一因だったことは記憶に新しい。

選挙期間中、トランプ大統領は市場原理を導入することで、オバマケアよりも優れた保険制度を導入すると主張していた。ところが、オバマケア設立の経緯を見ても分かるように、そもそも市場原理では解決できないと考えられたために現行の仕組みになっている。「補助金か税控除かはともかく、政府の財政負担なくして手頃な医療保険は成立しない」(ある大手金融機関の調査担当)という声が圧倒的で、代替案を考えること自体が難しい。

「私には死にかけている夫がいる」

さらに、導入から2年以上が経過して、オバマケアが有権者の既得権になっていることも共和党を縛っている要因だ。

プレジデントデーの祝日だった2月20日の週、共和党議員の多くは地元の選挙区に帰り、有権者との対話集会に臨んだ。だが、多くの場所でトランプ大統領に対する厳しい批判に晒された。怒号が飛び交うなど炎上した集会も少なくなく、その様子はメディアで報道された(CNNの報道)。批判した人々はカネで雇われたサクラだとトランプ大統領サイドは主張している。

集会で炎上したテーマは様々だが、多くの場所でオバマケアの扱いが焦点になった。オバマケアが廃止されることで、自分の保険はどうなるのかという不安だ。アーカンソー州のタウンホールで、同州選出のトム・コットン上院議員に声を詰まらせ訴えた女性の言葉は象徴的だ。

「私には死にかけている夫がおり、金銭的な余裕はありません。もし今よりもいい保険を提供してくれるのなら是非そうしてください。夫の保険料は月29ドルです。29ドルで必要としている給付を受けている。それよりもいい制度を作れるって言うんですか?」

最初からオバマケアがなければ、国民もそういうものだとあきらめていただろうが、本来、保険に加入できなかった層が保険を得れば、あるいは既往症があっても加入できるとなれば、それはもう既得権である。それを以前の状況に戻すのは政治的に極めて困難だ。タウンホールの発言からは、共和党がどのような代替案を考えたとしても、保険内容の劣化につながると考える有権者が多いことを示唆している。

「Repeal(撤廃)」ではなく「Repair(修理)」を

ライアン議長など共和党指導部は是が非でも廃絶したいと考えているが、代替案を用意しないまま葬り去れば政治的な打撃があまりに大きい。ポピュリズムの流れに乗って大統領選を勝ち抜いたトランプ大統領にとっても、オバマケアの廃絶で再び低所得者を無保険の状況に放置するという選択肢はない。

一方で代替案を考えるにしても、保険内容を劣化させずにオバマケアの補助金を削減していくことは至難の業。長年、オバマケアの撤廃を訴えているだけに現状維持というわけにもいかない。既に、オバマケアに仕込まれた毒は共和党の全身に回っている。

ライアン議長は議会の休会期間が開けた3月初旬、もしくは中旬までに見直し計画を出すと語っており、残された時間は短い。2月24日に米ポリティコがすっぱ抜いたオバマケア撤廃法案のドラフトを見ると(ポリティコの記事)、保険に加入しない人々に対する罰則やオバマケアに伴って導入された各種増税を撤廃するなど、現在のドラフトはオバマケアの根幹を骨抜きにするものだが、カバレッジの劣化は免れないという指摘は相変わらず多く、「撤廃(repeal)」ではなく「修理(repair)」を唱える共和党議員も増えている。

最終的に、オバマケアの撤廃と置き換えがどういう形になるのかはまだ読めないが、少なくとも単純な撤廃は政治的にあり得ず、国民に広くあまねく医療保険を提供するというオバマケアのコンセプトが存続することは確実だ。大統領令によるレガシーは大統領令によって覆されているが、オバマケアを巡る戦いでは、既にオバマ大統領は勝利しているといっても過言ではない。ライアン議長をはじめ共和党はどう対処するのだろうか。

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『「市街戦が始まる」と悲鳴をあげた韓国紙 「北爆」危機の中、南では左右対立が激化』(3/1日経ビジネスオンライン 鈴置高史)、『金正男報道は、朴大統領弾劾への興味そらすため?』(3/1日経ビジネスオンライン 趙 章恩)について

Facebookよりの記事で村上春樹著の「騎士団長殺し」には南京虐殺について刷り込みが為されるようなとんでもない記述があるとのこと。議論がある部分をわざわざ話題にするという事は大江健三郎と同じくプロパガンダ作家という事でしょう。ハルキストなるものは彼の正体に気付き早く読むのを止めることです。「日本を貶めてまで、ノーベル賞が欲しいのか」という意見もありましたが、パレスチナ国家に肩入れし、ユダヤ人国家のイスラエルに厳しい発言をしたことから、如何に日本を貶め、東京裁判史観に寄り添うともノーベル賞は無理でしょう。ま、小生は時間の無駄と思い、村上春樹の本は読んだこともないし、今後も読むことはないでしょうけど。

<その年の十二月に何があったか?

「南京入城」と私は言った。

「そうです。いわゆる南京虐殺事件です。日本軍が激しい戦闘の末に南京市内を占拠し、そこで大量の殺人が行われました。戦闘に関連した殺人があり、戦闘が終わったあとの殺人がありました。日本軍には捕虜を管理する余裕がなかったので、降伏した兵隊や市民の大方を殺害してしまいました。正確に何人が殺害されたか、細部については歴史学者のあいだにも異論がありますが、とにかくおびただしい数の市民が戦闘の巻き添えになって殺されたことは、打ち消しがたい事実です。中国人死者の数を四十万人というものもいれば、十万人というものもいます。しかし四十万人と十万人の違いはいったいどこにあるのでしょう?」

もちろんそんなことは私にはわからない>(以上)

韓国は反日が行き過ぎて、まともな国家運営ができなくなっています。李承晩の時代から反日が国家の成り立ちの基礎となっています。韓国憲法の前文からして、「悠久の歴史と伝統に輝く我が大韓国民は、三・一運動により建立された大韓民国臨時政府の法統及び、不義に抗拒した四・一九民主理念を継承し、祖国の民主改革と平和的統一の使命に立脚して、~」とあり、歴史的虚構以外の何物でもありません。米国に与えられた独立でしょうに。捏造・改竄が得意な民族です。抗日伝説のある金日成が朝鮮半島統治の正統性があると愚かな韓国人は思い、従北派になってしまう訳です。プロパガンダですが反日に重点を置くとそうならざるを得ません。

国家を二分する議論が行われることは民主主義国家として健全な証でしょう。しかし、威圧・暴力によってそれを解決しようとするのは成熟していない証拠です。米国の反トランプデモも然り。不法移民の連中がグローバリスト達の金で踊らされているだけでしょう。韓国の従北派は北の裏に中国がいることには気づいていないようです。世界の左翼・リベラルの論調は中国が裏で糸を引いていると考えた方が良いのでは。戦勝国組織の国連ではなく、自由諸国連合から成る新たな組織を作った方が良いです。

韓国民は自責で考えることができない『恨』の民族であり、『事大主義』で強きに転ぶ破廉恥な民族でもあります。歴史的に蝙蝠外交を続けてきたのであり、告げ口外交も中国の機嫌を取るためという部分もあったでしょう。それが今や中国から制裁を受けている立場ですから。自分の都合で立場を変える人間は基本的に信頼されません。嘘つき中国人にさえも、です。

鈴置記事

2月25日、保守派の集会は300万人を動員(主催者発表)、特大の星条旗も持ち込まれた。朴槿恵大統領の弾劾を求める集会との衝突が懸念されている(写真:AP/アフロ)

前回から読む)

韓国で左右対立が激化、力の衝突を懸念する声が高まる。3月上旬にも朴槿恵(パク・クンヘ)大統領弾劾の可否に判断が下る。それを目前に、双方が「負けたら従わない」と言い出したのだ。

血がアスファルトを覆う

鈴置:最近の韓国紙には悲愴感が漂っています。各紙とも「このまま行くと、内乱状態に陥る」と訴えています。

朝鮮日報の「大統領側『アスファルトに血』、驚愕すべき法治拒否騒動」(2月23日、韓国語版)のポイントを訳します。

  • 我が国では弾劾を決めよと要求する「ろうそく(集会)勢力」と、棄却を要求する「太極旗(集会)勢力」が厳しく対峙する。彼らは自分たちが望む結果が出ない場合、従わないとの意向を堂々と打ち出した。
  • 2月22日に憲法裁判所で開かれた弾劾審判の弁論で、朴槿恵大統領側の弁護人、金平祐(キム・ビョンウ)弁護士が「(憲法裁判所が公正な審理をしないのなら)市街戦が起き、アスファルトが血で覆われるだろう」と語った。
  • 同弁護士は「大統領派がこの裁判は無効だと主張し、内乱状態に突入することもあり得る」「英国のクロムウェル(Oliver Cromwell)革命では100万人以上が死んだのだ」とも言った。
  • 早期に大統領選挙が実施された場合、政権を握る可能性の高い「共に民主党」の候補者も、ただ1人として憲法裁判所の決定に快く従うと約束していないのが現実だ。
  • 安煕正(アン・ヒジョン)忠清南道知事は2月22日、弾劾棄却が決定された際に「国民の喪失感を考えると、憲法的な決定だから承服するとは言い難い」と語った。文在寅(ムン・ジェイン)前代表は「私は従う」としながらも「民心とかけ離れた決定が出れば、国民が認めないだろう」と解説した。

なお、金平祐氏は大韓弁護士協会の会長を務めたこともある大物弁護士です。「そんな人がなんと過激なことを」と思う日本人も多いと思われますが、韓国の保守からは拍手があがりました。

「こんなことで弾劾し、いちいち大統領を辞めさせていたら今後、誰が大統領をしようと弾劾合戦に陥り、国が滅茶苦茶になる」との理屈からです。

破局を避ける道は?

中央日報も社説「葛藤をそそのかす大統領候補、破局を望むのか」(2月26日、韓国語版)で「このままでは解放(日本からの独立)直後のように、極度の左右対立で国が混乱に陥る」と警告を発しました。

東亜日報は社説「27日に弾劾最終弁論…憲法裁判所に従わないのなら汚辱の歴史に」(2月27日、韓国語版)で「いずれになろうと、広場(力)の論理で憲法裁判所の審判に不服を唱えるなら、大韓民国の憲政史に汚辱を残すだろう」と訴えました。

朝鮮日報は連日のように社説で「内乱勃発」を防ごうと訴えています。先に引用した社説に続き、2月24日には「弁護士協会と憲政会、『候補者は憲法裁判所の決定に従うことを明らかにせよ』」(韓国語版)を載せました。

同じ24日には別の社説「憲法裁判所で繰り広げられた光景は破局の予告編でもある」(韓国語版)で「弾劾が棄却されれば革命、弾劾されれば血、という2つが対立する行き止まりに入りこんだ」と危機感をあらわにしました。

—韓国に破局を避ける道はあるのですか?

鈴置:憲法裁判所が審判を下す前に、朴槿恵大統領が自発的に下野し、弾劾訴追そのものを無効にする。見返りに朴大統領はいかなる刑事訴追も受けない――とのアイデアが語られもしました。しかし、大統領側が拒否しました。

政治テロ恐れ、裁判官も警護

—自分の意見が通らない場合、両勢力は具体的にどうするつもりでしょうか?

鈴置:「太極旗勢力」――弾劾に反対する保守派からは、戒厳令を求める声があがっています。弾劾の審判が出た際、戒厳令を布告して憲法を停止すれば、それを無効にできるとの思惑からです。

左派系紙、ハンギョレは「太極旗には苦労が多い」(2月24日、韓国語版)という記事に、太極旗集会への参加者が「戒厳令を布告せよ」「戒厳令が答!」と書いた腕章を巻いている写真を載せています。

敢えてこの写真を使ったのは、左派系紙として「保守派は戒厳令を考えているぞ」と警戒を呼び掛ける狙いからでしょう。

そもそも、大統領の下野を要求するデモが始まった2016年秋の時点で保守からは「弾劾を防ぐには戒厳令を布くしかない」との意見が出ていました(「『悪手』を重ねる朴槿恵」参照)。

憲法裁判所が弾劾を決めた際、保守勢力が強力なデモによって市街戦状態を作り出し、戒厳令を引き出そうとしても不思議ではありません。

すでにテロの恐れから、憲法裁判所の裁判官や文在寅・前代表には警護がついています。東亜日報の社説「政治暴力の影差す2017年の韓国」(2月24日、韓国語版)は以下のように訴えました。

  • 万が一、法治主義を蹂躙する政治テロが起きた場合、産業化と民主化を成功させた世界10位圏の大韓民国の政治文化は、左右のテロが横行していた解放当時に墜落する。

棄却されても戒厳令

—一方の「ろうそく勢力」は弾劾が棄却されたらどうするのでしょうか。

鈴置:巨大なデモを組織して青瓦台(大統領官邸)と憲法裁判所に押し掛けるのは間違いありません。「共に民主党」の次期大統領の有力候補は2人とも「国民が認めない」と言っています。その1人、文在寅・前代表は「棄却されたら革命だ」とも語っています。

青瓦台に巨大なデモが押し寄せたら、あるいは保守勢力との間で市街戦が起きたら、政権は戒厳令を布くかもしれません。弾劾が棄却されてもやはり、戒厳令布告という非常事態に韓国が陥る可能性があるのです。

—弾劾が認められるものの、戒厳令が布告されないという状況は考えられませんか?

鈴置:もちろんありえます。弾劾が決まれば60日後に次期大統領を決める投票が実施されます。現在、大統領権限代行の黄教安(ファン・ギョアン)首相が戒厳令を布告せず、選挙管理内閣に徹すればそうなります。

ただ、この場合も憲法が停止される非常事態――クーデターが起きるかもしれません。次の大統領選挙では左派が政権を握りそうだからです。

韓国ギャラップの2月第4週の調査(韓国語)で、支持率1位は文在寅(ムン・ジェイン)前代表で32%。2位は安煕正知事で21%。いずれも「共に民主党」の党員です。

保守からは3位に黄教安首相が顔を出しますが、支持率は8%に過ぎません。弾劾後の大統領選挙は事実上、左派同士の戦いになると見られています。

左派政権なら米韓同盟は崩壊へ

—左派が権力を握ったらクーデターが起きるというのですか?

鈴置:その可能性があります。左派、ことに文在寅・前代表が権力を握れば韓国は一気に「離米従北」すると、保守側が見なしているからです。

米中どちら側に付くか――の踏み絵となっているTHAAD(=サード、地上配備型ミサイル防衛システム)に関し、文在寅・前代表は在韓米軍への配備容認を見直すと宣言しています。

北へのドル送金のパイプとなっていた開城工業団地や金剛山観光も再開すると言っています。韓国のコメと北の鉱産物を交換するとも言い出しました。現時点でそれらを実行すれば、国連の対北朝鮮制裁違反です。

もちろん米国もこの動きに注目しています。米国のアジア関係者が日本の専門家にまで「文在寅が当選したら韓国は我々側に留まると思うか」と聞くようになりました。

韓国の保守は死に物狂いです。「文在寅大統領」が登場すれば、米韓同盟が消滅しかねない。核を持った北朝鮮の言うことを唯唯諾諾と聞く韓国になってしまう――。

保守系紙の朝鮮日報は社説「文の『コメと鉱物の物々交換』、核と毒ガスが目に見えぬのか」(2月27日、韓国語版)で、露骨な文在寅攻撃に出ました。結論部分を翻訳します。

  • 昨年12月、文代表は「躊躇なく言う。私は(米国よりも)北朝鮮に先に行く」と語った。「事前にその必要性に関し、米日中に十分に説明する」とも言ったが、核・ミサイルはそのままにして金正恩を延命させる恐れがある。
  • 国際社会は北朝鮮の化学武器を核に次ぐ脅威と見なし始めた。それでも文代表は対北制裁案と圧迫案を、国民に一度としてきちんと説明したことがない。関心自体がないようだ。これでいいのか。

膨らむ太極旗集会

朝鮮日報はさすがに「クーデターを」とは主張しません。しかし真の保守――右派を自認する趙甲済(チョ・カプチェ)氏は、左派政権登場の際のクーデターを念頭に執筆・発言してきました。

それしか韓国の左傾化を防ぐ道はないとの思いからです。(「『民衆革命』はクーデターを呼んだ」参照)。「太極旗集会」には「国軍よ、立て」とのプラカードも目立つようになりました。

ただ、趙甲済氏ら保守は当面の目標として弾劾の棄却を目指しています。有力な保守の大統領候補が存在しない以上、まずは弾劾を棄却させ時間を稼ぐしかないのです。

2017年12月の通常の大統領選挙に持ち込めば、それまでに風向きが変わるかもしれません。例えば北朝鮮との間に緊張が高まれば、文在寅候補の票は大きく減るでしょう。

保守は今、弾劾棄却のために「ろうそく集会」に負けない数の参加者を「太極旗集会」に集めようと必死です。憲法裁判所が「ろうそく集会」の数の力を恐れ、弾劾を認めることを防ぐのが目的です。

集会参加者数のグラフをご覧下さい。主催者発表ベースでは保守派――「太極旗集会」が反・朴大統領派の「ろうそく集会」を上回っています。いずれも自己申告ベースですから、かなり多めの数字と思いますが。

変質した「名誉革命」

—警察のデータでは?

鈴置:警察発表によると、1月7日の集会で「太極旗」が「ろうそく」を抜きました。なお、「ろうそく側」からの抗議でその後、警察は参加者数の発表をやめてしまいました。

だから現在の正確なところは分かりません。ただ、現場を見た人によると「太極旗集会」への参加者が急速に増え、少なくとも「ろうそく」と変わらない規模に育っているようです。

それを左派も脅威に感じたのでしょう。ハンギョレは「怒るほどに明るく・・・『ろうそく』を降ろしてはいけないわけ」(2月10日、韓国語版)で、2016年12月9日に弾劾訴追案が国会を通った後、参加者数が伸び悩んだ「ろうそく集会」へのテコ入れを図りました。

韓国人は「名誉革命」と胸を張っていたのに……(「『名誉革命』と」韓国紙は自賛するのだが」参照)。

鈴置:当初「ろうそく集会」に参加していた人の中には根っからの左派もいました。が、多くは朴大統領の権威主義的な手法に嫌悪を感じた普通の人々でした。

最近の「ろうそく集会」には「共に民主党」の大統領候補も加わります。次の大統領選挙をにらんでのことです。主催者団体の一部は「THAAD反対」も唱えるようになりました。保守的な人は参加に二の足を踏み始めました。

一方、「太極旗集会」に参加する人は親・朴槿恵派もいます。が、相当部分は朴大統領のやり方に疑問を感じながらも、左傾化した韓国には絶対に住みたくないという人です。

「星条旗」で「ろうそく」を消す

—2つの集会は弾劾に賛成するか否か、だけで対立しているのではないのですね。

鈴置:その通りです。大統領選挙を前に左右対決の場となったのです。象徴的なのは「太極旗集会」に多数の星条旗が登場するようになったことです。

小さな星条旗と太極旗を重ねて2本持つ人もいれば、巨大な星条旗を掲げる人もいます。「米韓同盟を守ろう」「ろうそく勢力が勝てば米韓同盟がなくなるが、それでもいいのか」との訴えです。

—今後の展開は?

鈴置:憲法裁判所の裁判官の1人が3月13日に退任することから、3月上旬に弾劾への審判が下されると見られています。

左右両派はこれまでの土曜集会に加え、独立運動を記念する「三一節」つまり3月1日にも大量動員をかける方針です。もちろん憲法裁判所への圧力が目的です。

「名誉革命」と自賛した韓国の政治騒動は、力で物事を決する「クロムウェルの革命」に変わり始めています。

始まった暴力沙汰

—2つの集会の間で衝突は起きないのですか?

鈴置:いずれもソウル一番の大通り、世宗路で開かれます。「ろうそく」は北の方に、「太極旗」は南の側に集まります。警察はその間に2万人弱の機動隊を置いて衝突を防いできました。

とは言ってもごく近い場所で開くので、韓国メディアは左右対立が激化する中、物理的な抗争が起こるのではないかと懸念しています。

2月25日には両派の間で小規模ながら暴力沙汰が起きました。中央日報の「太極旗集会で引火物質携帯していた60代の男を立件=韓国」(2月26日、日本語版)が伝えています。

理念闘争に明け暮れた日々

—第2次朝鮮戦争が起きるかもしれないという時に、当事者の韓国は……(「弾道弾と暗殺で一気に進む『北爆時計』の針」参照)。

鈴置:内輪もめです。朝鮮日報は社説「新幹会90年、統合運動の烈士が嘆く子孫の分裂」(2月16日、韓国語版)で、次のように嘆きました。

  • 北朝鮮の核が民族の生存を危険にさらし、周辺の強大国の争いが日増しに激しくなるというのに、我が政界では党派が四分五裂し、自分の利益を守るのに血眼になっている。
  • 大統領の弾劾を巡る憎悪と敵対感を見るにつけ、国連の信託統治に賛成か反対かに分かれ、生きるか死ぬかの理念闘争に明け暮れた解放直後を思い出す。

韓国の指導層も状況は十分に理解しています。でも、どうにもならないのです。

(次回に続く)

趙記事

クアラルンプールの空港で残留薬物を検査する特殊チーム(写真:ZUMA Press/アフロ)

金正男氏とみられる人物がマレーシアで殺害された事件をめぐって、韓国メディアが連日、報道合戦を繰り広げている。「速報」「単独報道」の見出しがあちらこちらで飛び交う。しかし、その多くが日本とマレーシアメディアの報道を後追いしたもので、北朝鮮の情勢に関して韓国がもっとも情報を持っていないのではないかとの不安が広がっている。

韓国では、朴槿恵大統領の弾劾に北朝鮮問題まで重なり、落ち着かない日々が続いている。今でも毎週土曜日にはソウル市内の光化門広場で、朴大統領の退陣を求めるろうそく集会が行われる。その現場に、弾劾に反対する朴大統領支持者らも集まる。弾劾反対集会の現場では発行者不明の「偽新聞」が配布され、それを情報ソースとする根拠不明の北朝鮮関連ニュースがSNSで拡散している。

2月27日付の中央日報によると、金正男氏は「北韓(編集注:北朝鮮)が国家主導で起こした化学武器使用テロ」で殺害されたとみなすべきとの意見が出ている(マレーシア警察は最終捜査結果をまだ発表していない)。マレーシア当局が逮捕した容疑者らはFTF(外国人テロ戦闘員=Foreign Terrorist Fighter)というわけだ。FTFは過激派組織「IS(イスラム国)」が全世界の若者を集めてテロリストにしているのを受けて登場した用語。国連安全保障理事会の定義によると、テロを実行・準備・計画・参加する目的で本人の国籍国以外の国に移動する個人を意味する。

「北韓は化学武器を使用」

中央日報は韓国政府関係者の話として、「北韓の工作員がマレーシアまで行き第3国人を雇って空港で(金正男を)殺害した。(神経性毒ガス)VXを使用し、他の民間人や空港施設を2次被害に陥れることも恐れなかった。これはFTFがしていることと同じだ。『北韓をテロ支援国に再指定(2008年に解除)すべき』という美国(編集注:米国)と(韓国政府は)同じ考えである」と報じた。

複数の韓国メディアによると、韓国の外交部(韓国の「部」は日本の「省」)は、国連が使用を禁じた大量殺傷を目的とする化学兵器を北朝鮮が所有し、実際に使用したとみなしている。韓国政府としてはVXガスを使用した対韓国テロを警戒しないわけにいかない。そのため、同政府は北朝鮮をテロ支援国に再指定して、民間企業の対北朝鮮輸出はもちろん、全ての援助を断ち切るべきと厳しい姿勢を見せている。

2月27日に開かれた国会情報委員会全体会議に、国防部の情報本部長が出席。金正男氏殺害事件について今までの経緯を説明し、対策を講じた。統一部(北朝鮮関連政策を担当する省庁)のチョン・ジュンヒ報道官は、同日の定例記者会見で、「北韓が化学武器を、民間人を相手に使用したことを強く糾弾する。化学武器禁止協約違反であり、国際規範に露骨に違反した」と批判した。

外交部のユン・ビョンセ長官は、国連人権理事会とジュネーブ軍縮会議に出席するため26日に出国した。仁川空港で記者らに向けて「(会議では)北韓が化学武器を保有することの危険性と、それを使用することの不当性について説明し、国際社会の対策、特に北韓当局の責任究明と(VXを製造・使用した)関連者に対する例外なき処罰を求める」と話した。

外交部によると、当初、同理事会には次官が出席する予定だったが、金正男氏殺害に国際的に禁じられている化学兵器が使用されたことが確認されたため、長官が自ら会議に出席し、事の重大さを国際社会に伝えることにしたという。

韓国政府と国民に対するテロにも警戒が必要

国家情報院は事件後の2月15日、国会情報委員会で次のように説明した。「金正男殺害は事件の3~4時間後に認知した。殺害は金正恩が発した暗殺命令に基づくもので、金正恩が命令を取り消さない限り、工作員は必ず履行しないといけない。北韓の工作員は最初、北韓の中で金正男の暗殺を試みたため、金正男は2012年シンガポールへ逃避。『命令を取り消してほしい。自分の逃げ道は自殺しかないことをよくわかっている』という内容の手紙を金正恩に送ったこともある。しかしその後も暗殺命令は取り消されていなかったことになる」。

「中国との関係が悪化すると知りながら金正恩が金正男を殺害したのは、金正恩が偏執狂的な性格だからだとみられる」  「金正男が韓国に亡命を試みたことはなかった。韓国に2016年に亡命したテ・ヨンホ前・駐英北韓大使館公使の警護を強化している」

ファン・ギョアン大統領権限代行は2月20日、国家安保会議・常任委員会を開き、以下のように述べた。「(金正男殺害)は容赦できない反人倫的犯罪行為でありテロ行為である。政権を維持するためには手段と方法を選ばない北韓政権の無謀さと残虐性を見せつけた。北韓のテロ手法がより大胆になっているだけに、韓国政府と国民に対して北韓がテロを実行する可能性にも格別に警戒しないといけない」。

「3月に始まる韓美軍事訓練を通じて北韓の挑発を強力に抑制すると同時に、国民が国家安保に対して信頼と自信を持てるようにする。政界を含め安保に関して国民が団結した声を出す必要がある」

公営KBSの報道は親・朴大統領に偏向?

韓国では、朴槿恵大統領をめぐるスキャンダルを捜査する特別検事の活動期限が2月28日に終了し、同大統領の弾劾の是非を決める判決がもうすぐ下される。さらに、大統領選挙の前倒しをめぐる保守派と進歩派の闘争がピークに達している。一部進歩派の間では大統領選挙前の「北風」がまた始まったのではないかと懸念する声がある。

北風とは、1997年に大統領選挙が実施された時、与党ハンナラ党が擁する候補への支持を高めるため、大統領官邸で働く行政官3人が北京で北朝鮮側に接触し、「休戦線付近で武力騒動を起こしてほしい」と依頼した事件をいう。国民を不安にすることで、「北朝鮮に人道的支援をすべき」と訴える野党候補(当時の金大中候補)ではなく、保守候補に票が集まるよう仕向ける狙いだった。大法院(日本の最高裁判所に当たる)の判決で、この行政官3人は国家保安法違反で有罪が確定した。

これ以来、韓国のネットには、大統領選挙を前にして北朝鮮がミサイルを発射したり、おかしな行動を取ったりすると、「北風ではないか」と疑う書き込みが増える傾向がある。今回も、政府の発表もメディアの報道も疑わしく見えて、何を信じたらいいのかわからない状況に陥っている。

全国言論労働組合は22日に報告書を発表し、公営放送KBSの報道が偏向していると主張した。KBSが15~22日に報道したニュースをモニタリングしたところ、金正男氏の殺害に関する報道ばかりで、朴大統領の弾劾や特別検事の捜査動向、次期大統領選挙に関する報道は縮小されていたという。

全国言論労働組合は、さらに次のように指摘した。  「KBSは特に2月16日以降、民放のソウル放送や文化放送に比べ3倍近く長い時間を金正男氏殺害関連ニュースに割き、朴大統領弾劾ニュースを流す時間を短くした」  「ニュースに対する価値判断は放送局によって違うが、それにしてもKBSは偏っている。事実関係が不明な推測報道で国民の不安を刺激している。このままでは国民を混乱に陥れる可能性がある」  「KBSは『北風』報道を行い、大統領弾劾に向かう国民の視線を他へ向けようとしているのではないか。KBSは正確な事実を伝えるという公営放送の役割を全うすべき」

朴大統領と金正男氏につながり?

一方、週刊キョンヒャンやキョンヒャン新聞が2月11日に報じたニュースが、保守派を支持する勢力に衝撃を与えた。「朴槿恵大統領が2002~2012年まで理事を務めたヨーロッパコリア財団は、金正男を窓口にして金正日と繋がっていた」という。ヨーロッパコリア財団が、統一部の許可なく金正男氏とメールのやりとりをしていたことも、関連人物のインタビューや証拠をもって報道した。北朝鮮に対して厳しい姿勢をとってきた朴大統領に、裏の面があったことになる。

そして、この報道の2日後に金正男が殺害されたことも話題になった。

週刊キョンヒャンは2月15日に別の記事で、「本誌が2月11日に報道をしたことが、金正恩委員長を刺激し、金正男氏の殺害につながった」という北朝鮮専門家の意見を報じた。

さらに「2012年の大統領選挙の時、国家情報院は金正男を韓国に亡命させるか、または金正男のインタビューを地上波の文化放送に流す計画を立てていた」という。北朝鮮との間に安全保障上の問題があることを読者に改めて知らせることで保守派に有利な世論を作り、朴槿恵候補への支持を高める狙いだったという。

週刊キョンヒャンはこの報道の中で、金正男氏がヨーロッパコリア財団側に送信したメールの原本も公開した。

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