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『出生率が世界最低だった2015年の中国 「不妊不育」の影、二人っ子政策も不発か』(11/11日経ビジネスオンライン 北村豊)について
中国人の合計特殊出生率が下がることは、世界平和の為には喜ばしいことです。中国の歴史上、人口を侵略の武器にして来ました。中国の行動は須らく軍事行動と結びついています。宇宙開発も然り。増えた人口を入植させ、武力を用いず中国の領土とします。ブータンは国土の2割を入植されて奪われましたし、南シナ海の人工島基地にも政府が金を払って中国人を入植させるでしょう。尖閣にも民間人(特に高齢者を)を日本政府が金を払って入植させればよい。
中国人の不妊不育が多いと言うのは分かります。あれだけ環境汚染が激しいのですから。大気は勿論、水もそうです。その中で生育される動植物を食べているのですから体がおかしくなるのは当然です。もし、中国人に日本のような国民皆保険・先進医療を付与すれば、間違いなく中国はそれで財政破綻するでしょう。まあ、私腹を肥やすことしか考えない悪辣な為政者の下では望むべくもありませんが。
そもそも東北三省は満洲人の土地で漢人の土地ではありませんでした。今の満洲族の人口は約1000万人で、80年代の300~400万人から増えました。少数民族優遇策を受けるためと言われていますが、漢人のなりすましが相当いるような気がします。中国全体の人口が13.7億人(黒戸は入れず)とすれば0.73%です。民族浄化されたのでしょう。チベット、ウイグル、モンゴルでやっています漢人男性との強制結婚や、虐殺で民族浄化を図ろうとしてきました。国際社会、特にリベラルと言われる人達が中国を非難しないのはおかしいです。
中国の合計特殊出生率が下がってきているのは、経済的に豊かになった人が増えて子供を多く産まなくなってきているという事でしょう。農業主体の国家であった時代は、労働力として子供が多く必要でした。今でも農村では多くの子供がいると思います。しかし、共産党の地方幹部は不動産を活用して賄賂を取るために農民から土地を奪ってきました。ただ、彼らが都会に出てくれば、教育程度から言って、建設現場などの低賃金労働をするしかありません。生活は苦しく、子供を産むまでには至らないでしょう。その中で、男女比が世上言われていますような男110:女100と言うのは、やはり宗族意識のせいです。お墓を守るのは男という事で男を生みたがる訳です。女の場合は間引かれてしまいます。結婚できない男が増えれば、宗族意識が続く限り、人口はドンドン減っていくでしょうが、漢民族は他国から女性を拉致とか人身売買するような気がします。世界にとって迷惑な国です。
記事
10月12日付で「中国統計出版社」から発行された『“中国統計年鑑2016(2016年版中国統計年鑑)”』には、2015年に行われた小規模な国勢調査である“小普査(人口1%のサンプリング調査)”の結果が掲載されていた。中国の『“全国人口普査条例(国勢調査条例)”』によれば、“人口普査(国勢調査)”は10年毎に実施し、前後2回の国勢調査の中間に当たる5年目に人口1%のサンプリング調査を行うことになっていて、後者を俗に“小普査”と呼ぶ。なお、“普査”は略称で、正式名称は“普遍調査”である。
わずか「1.05」
さて、中国にとって極めて重要な事実が、2015年に実施された“小普査”の結果によって判明した。それは2015年の中国における“育齢婦女(出産適齢女性)”の“総和生育率(合計特殊出生率)”がわずか1.05であるということだった。合計特殊出生率とは、「1人の女性が一生に産む子供の平均数を示す」人口統計学の指標で、15~49歳の女性の年齢別出生率を合計したものである。合計特殊出生率が1.05という事は、中国の「人口置換水準(人口が増加も減少もしない均衡した状態となる合計特殊出生率の水準)」である2.1の半分にも達していないことを意味し、人口が大きく減少する傾向にあることを示している。
2015年の“小普査”では、全国で15~49歳の出産適齢女性567万人がサンプリング調査を受けたが、567万人は出産適齢女性人口の1.55%に相当する人数である。これら567万人の出産適齢女性が2015年に出産した子供は17万5309人であったが、その構成は、1人目の子供が9.3万人、2人目の子供が6.97万人、3人目以上が1.25万人であった。年齢の異なる出産適齢女性の出産水準に基づいて最終的に算出された2015年の出産適齢女性の合計特殊出生率は1.05であった。
2015年7月10日に開催された“国家衛生和計劃生育委員会(国家衛生・計画出産委員会)”の定例記者会見の席上で、人口動態について発表を行った“計画育成基層指導司長(計画出産現場指導局長)”の“楊文庄”は、「出生人口は2010年の1592万人から2014年の1687万人に増加し、増加傾向を維持している。合計特殊出生率は1.5~1.65で、幾分上昇している。1人目の子供の出生は減少し、2人目の子供は増加している。2014年における0~14歳の低年齢人口の全人口に占める比率は16.5%で、世界平均の26%より低く、先進国と同じである」と述べた。
この点について、“中国人民大学”社会・人口学部教授の“宋健”は、「10年毎の国勢調査で大量の低年齢人口が調査から漏れ、小学校入学時に突然に大量の学童人口が出現するという現象があるので、これらの統計漏れ率を修正した上で、各種の方法を通じて推計すると、合計特殊出生率はおおよそ1.5~1.6になるが、この水準はここ数年安定している」と述べて、楊文庄が述べた数字を肯定した。
世界銀行が2016年6月21日に発表した2015年の「世界の合計特殊出生率・国別ランキング」によれば、世界の204の国・地域のうち、中国は合計特殊出生率1.57で第177位にランクされており、最下位(第204位)は台湾の1.12となっている。この1.57という数字は楊文庄が発表した数字に近く、中国政府が報告した数字を根拠にしたものと思われるが、もし上述した1.05という数字が本当だとすれば、中国は台湾に代わって最下位となり、台湾は最下位を脱して203位となるのである。
中国の“国家統計局”の統計によれば、2015年末時点の総人口は13億7462万人で、2014年末より680万人増加した。これを性別で見ると、男性人口が7億414万人であるに対して女性人口は6億7048万人で、女性人口を100とすると男性人口は105となる。しかし、これを2015年の出生人口で見ると、男女比率は女100に対して男113.5となり、国連が正常値としている女100:男103~107よりも大幅に高い。
「2.2」は極めて困難
一方、2016年5月19日に世界保健機構(WHO)が発表した「世界保健統計2016年版」によれば、中国の平均寿命は76.1歳で、その内訳は男性74.6歳、女性77.6歳となっている。上述したように、2015年末における全人口の男女比率は女100:男105だが、この平均寿命は女性の方が男性より3年長いという前提に立って年齢別人口を考えると、出産適齢女性の人口は同年代の男性人口より遥かに少ないものとなり、その男女比率は女100:男110程度になるものと思われる。要するに、中国の出産適齢女性がより多くの子供を出産すれば、人口の減少は防止できるが、さもなければ人口の減少は避け難い。
上述した合計特殊出生率1.05は、先進国の合計特殊出生率1.00に相当するものと考えられる。先進国は合計特殊出生率が2.1になったら、人口の維持が可能となり、世代間の人口バランスが保てるようになるが、中国がこれと同様に人口維持と世代間人口バランスを保てるようになるには、合計特殊出生率を2.2にしなければならない。但し、これは中国にとって極めて困難なことと言える。
過去20年間に、中国は早々と超低出生率の落とし穴にはまってしまっていた。国家統計局のデータによれば、中国の2010年から2015年までの合計特殊出生率は、1.18、1.04、1.26、1.24、1.28、1.05で、その平均値1.175であり、最高でも1.28であった。その詳細は下表を参照願いたい。
(表) 中国における子供の出生率(2010~2015年)

(出所:2016年11月1日付「鳳凰財経ネット」の記事「人口雪崩!」)
中国は人口を抑制するため、1980年から1組の夫婦が出産してよい子供を1人だけに制限し、2人目以上には罰金を科す“独生子女政策(一人っ子政策)”を実施してきたが、少数民族地区や一部の農村地区では特例により2人目以上の子供を出産することが許されていた。2014年からは“単独両孩”政策と呼ばれる「夫婦の一方が一人っ子であれば、2人目の子供の出産を容認する」政策が実施されたことにより、2014年の2人目出生率は一気に上昇している。しかし、2014年に“単独両孩”が実施されたにもかかわらず、2015年には全ての出生率が下降に転じている。
さて、上述したように、国家衛生・計画出産委員会の楊文庄司長は「合計特殊出生率は1.5~1.65」と述べているし、中国人民大学の宋健教授は「10年毎の国勢調査で大量の低年齢人口が調査から漏れた」として、合計特殊出生率は1.5~1.6であり、この水準はここ数年安定して推移していると述べている。しかし、2015年の合計特殊出生率が1.05であることを考えると、約1/3の低年齢人口が国勢調査から漏れるなどということは有り得ない話で、1.05の信憑性は高いと考えられる。
二人っ子政策の効果は
合計特殊出生率の低下と人口の高齢化に脅威を覚えた中国政府は、35年以上にわたって継続してきた一人っ子政策を廃止することに方向を転じ、2015年12月27日に開催された“全国人民代表大会常務委員会”で「人口・計画出産法」の改正案を採択し、1組の夫婦が出産してよい子供を2人まで容認する“両孩政策”あるいは“二胎政策”と呼ばれる「二人っ子政策」<注1>への全面的な転換を決定した。同法は2016年1月1日から正式に施行された。
<注1>二人っ子政策の詳細については、2015年11月6日付の本リポート「遅きに失した『二人っ子政策』への転換」参照。
二人っ子政策が施行されたことにより、2016年の合計特殊出生率が上昇するかどうかは分からない。中国には二人っ子政策の条件に適応する夫婦は約9000万組いるが、その妻たちの60%、すなわち5400万人は35歳以上であり、彼らが敢えて高齢者出産に挑むかは極めて疑問である。また、若い夫婦たちは経済的な理由から子供を1人は生むとしても、2人目の出産には躊躇する傾向にあることも人口増加を阻む大きな要因と考えられる。
さらに、中国には不妊症に悩む人口が5000万人以上いることも大きな阻害要因と言える。20年前、中国では“育齢人口(出産適齢人口)”における不妊症の平均発症率はわずか3%であったが、2011年末に12%、2012年末には12.5%と上昇し、2016年の現在では15%にまで達している。不妊症は今や中国で一般的な病気となり、ここ5年間では毎年100万組以上の夫婦が不妊治療のために医院で診療を受けており、患者は25~30歳の若者が多数を占めているという。
不妊不育の影
2016年1月に医療サイトの“中衛生殖健康網(ネット)”は『2015年“不妊不育(不妊)”調査報告』<注2>の内容を報じたが、その概要は以下の通り。
<注2>日本語の「不妊」を中国語では“不妊不育”と言う。“不妊”は文字通り女性の不妊を指し、“不育”は男性の不妊を意味する。
【1】飲食、環境、生活習慣などの諸要因による影響を受けて、近年来、我が国の不妊家庭は次第に増大し、不妊の現状は憂慮せざるを得ない状況にある。関係の調査統計によれば、不妊症の発症率は15%前後に達しており、さらなる増大と若年化の傾向を示している。
【2】不妊症の総診察数に占める男女比率は男65%:女35%、不妊症発症率の男女比率は男60%:女40%で、いずれも男性が圧倒的に多い。不妊症の原因は、男性側:50%、女性側:40%、男女双方:10%、原因不明:10%となっている。
【3】女性の不妊は、妊娠中絶の繰り返しで子宮内膜が薄いもの:40%、生理不順:30%、卵巣に卵胞がたくさんできてしまう「多嚢胞性卵巣」:13%などに起因している。一方、男性の不妊は、精子・精液異常:57%、性機能障害:23%、前立腺炎:16%などとなっている。
不妊症の主体を占める男性について言えば、中国人男性の精液1ccに含まれる精子量は30~40年前には1億個前後であったものが、昨今では2000~4000万個に減少しており、精液中に精子が無い「無精子」や精液中の精子濃度が低い「乏精子」、精液中の精子が死んでいる「精子死滅」などの症状が顕著に増大しているという。
すなわち、1人目の子供すら妊娠することが困難な人口がすでに5000万人も存在しているのだから、二人っ子政策を施行したからと言って、人口の増加を楽観視することはできない状況にあるのだ。
話は変わるが、2016年10月19日に国家衛生・計画出産委員会が『中国流動人口発展報告2016』を発表した。この報告によれば、中国の東北三省(遼寧省、吉林省、黒龍江省)は出生率が極度に低く、過去30年で小学校の在校生が800万人以上減少した。この減少幅は全国水準を遥かに上回るものであり、流出人口の増大もあって、東北三省の人口問題は改めて中国国民の関心を集めているという。
高齢者人口増と相まって
政府統計によれば、東北三省の小学生は、1980年には1297.9万人であったが、2014年には473.9万人となり、35年間に824万人減少し、その減少率は63.5%であった。これは当時100人いた小学生が今では40人以下に減少したことを意味する。1980年における東北三省の人口は全人口の9.02%であり、東北三省の小学生人口は全小学生人口の8.9%で、両者はほぼ同率だった。しかし、2014年における東北三省の人口が全人口の8.02%であったのに対して、東北三省の小学生人口は全小学生人口の5%にも達していなかった。
国家統計局のデータによれば、1983年時点における東北三省の合計特殊出生率は、遼寧省:1.34、吉林省:1.24、黒龍江省:1.75であった。それから27年後の2010年に行われた「第6回国勢調査」の結果として算出された合計特殊出生率は、遼寧省:1.00、吉林省:1.03、黒龍江省:1.03であった。これらの数値は上述の表で示した全国の2010年の合計特殊出生率1.18より大幅に低いが、全国の2015年の合計特殊出生率が1.05であることを考えると、2015年の東北三省の数値は1.00を大きく下回っているものと思わる。東北三省の人口が出生数の増加によって増大することは最早考えられない。
これに加えて、東北三省は人口流出による人口減に苦しんでいる。2010年の第6回国勢調査のデータによれば、東北三省の流出入人口は400万人で、流入人口を差し引いた純流出は180万人であり、しかもその主体は中年と青年であった。なお、2000年の第5回国勢調査の時には、東北三省は36万人の純流入であった。
合計特殊出生率の低下は若年人口の減少を意味し、将来の労働人口の減少を招く。それはすなわち、中国が直面している高齢者人口の急激な増加と相まって、中国社会全体に大きな影を投げかけるに違いない。ちなみに、2016年5月23日に厚生労働省が発表した日本の2015年の合計特殊出生率は1.46で、1994年の1.50以来21年ぶりの高水準であった。
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『習近平とドゥテルテ、二枚舌の応酬か フィリピン漁船による漁解禁は真の和解?』(11/11日経ビジネスオンライン The Economist)について
11/5拓大で開かれた「緊迫する南シナ海情勢」セミナーでフィリピンのハリー・ロケ下院議員の講演内容が宮崎正弘氏のメルマガで紹介されていましたので引用します。
<中比協力スピーチ
代表・Herminio Harry L Roque Jr.より ここで皆様にお話しできることを光栄に存じます。私はHarry Roque Jr.と申します。今年に入ってから、私はフィリピン共和国の議員に選ばれました。官途に就く前は、特に人権や憲法の分野で弁護士をしていました。フィリピン大学法学部で15年間にわたって教鞭を取り、国際公法、国際人道法、そして憲法を専門としてきました。 私は、代議院の議員としての地位を理由にこちらにご招待頂いているかもしれませんが、議会を代表してお話していると主張することはできません。国際関係の問題に関する議会の立場は、未だに不確定です。その代わりに、仲裁人、個人弁護士、法学教授、二人の子供の父親、一人の女性の夫、そして何よりも、フィリピン人としての知識と経験を照らして、本日はお話しさせて頂きます。
中比の仲裁
過去数年間にわたり、南シナ海における中国の存在は、フィリピン人漁民が同海内にあるものの周辺で魚を捕るのを妨げてきました。中国は、フィリピンが自国の大陸棚や排他的経済水域の一部として領有権を主張している領域に、人工島や装置を建設しました。フィリピンは、このような行為は両国が締約国である国連海洋法条約(UNCLOS)の掲げる規則に矛盾していると主張してきました。 このような理由から、2013年1月22日、フィリピンは中国を相手に、本件を国際海洋法裁判所(ITLOS)の前に提訴しました。同裁判所は、UNCLOS締約国間の紛争に対処する専門国際機関です。しかしながら、実際の手続きは常設仲裁裁判所(PCA)が行いました。 中国は同手続きへの正式参加を拒否しました。同国は、一般に公開した様々な声明、ならびに裁判所の個々の審判員への書簡を通じ、フィリピンの主張に対する論争を行ったのです。 また、すでにご存じかもしれませんが、2016年7月12日、PCAはついにフィリピン共和国と中華人民共和国間の訴訟の判決を下しました。 PCAはどのように判決を下したのでしょうか?あまり詳細にはお話しませんが、裁判所は三つのことを述べました:
1.裁判所は、条約が定める権利を超えて、九段線内側の領海における資源に対する歴史的権利があるとの中国の主張には、法的な根拠がないと述べました。
2.そして、裁判所は、それぞれの海洋権に応じて、南シナ海の様々な地物を分類しました。注目すべきは、太平島を含め、いずれの地物にも島であるとの判断が下されなかったことです。したがって、いずれの地物もEEZ[作成者1] あるいは大陸棚を生成できないということになります。
3.最後に裁判所は、フィリピン人漁民によるスカボロー礁への接近を妨げることにより、中国が多数の国際法違反を犯しており、フィリピンの船舶および乗員に深刻な衝突の危険をもたらし、海洋環境を破壊しているとの判決を下しました。
この判決は、南シナ海を巡るフィリピン・中国間の長年にわたる紛争の終結と見られています。多くのフィリピン人は、同判決をゴリアテに対するダビデの勝利[作成者2] と比較しています。この判決が、国家の力はその大きさではなく回復力に見られるということを示したからです。 私は異なる見解を持っています。この判決によってフィリピンが成し遂げたことについて嬉しく思い、また誇りに思ってはいますが、これが何かの終わりだとは考えていません。フィリピンに、ひいては国際社会のその他の地域に実際的な利益をもたらす形で同判決の執行に向かって進まなければ、この判決もピュロスの勝利[作成者3] になってしまうだけです。
我々が現在直面している問題はシンプルです:国際法の下でこの判決を執行することはできるでしょうか?もしできるのであれば、どうやって執行するのでしょうか? 最初に、我々が認めるべきは、同裁判所による判決が、それ自体を執行する傾向にあるということです。国際法に対する主な批判のひとつに、道を外れた国家に法を遵守させる「国際警察」が存在しない、というものがあります。これは部分的にしか正しくありません。 私の元教授であり、国際司法裁判所の元裁判官であるロザリン・ヒギンスが適切に述べたことには: 国家は、自身が立法機関の当事者でなかったこと、あるいは具体的な提案を承認したくなかったことから、疑いようもなく、自身が明確に同意していない規範に拘束されていることを認めるようになりました。しばしば暗黙であったり熱狂的であったりもする合意が国際法の原則であるならば、その合意は、国家が自制を警告するにあたっての相互の利点を感知するから生じるのです。国際法の違反は、それによる短期的な利点がたとえあったとしても、国益にかなうことはめったにありません。意思決定のプロセスとしての法には、これで十分なのです。義務の原則をほかに見つける必要はありません。 我々は、国際法が主権国家の合意に基づくものだと認めていますが、国家の合意が他の国家の立場に大きく影響されることも理解しています。同裁判所の判決は紙切れにすぎないと中国が主張するかもしれませんが、この判決が同国の意思決定に規範的な影響を及ぼしたと我々は確信しています。 まるで中国が許しがたい罪を犯したかのように、この判決を中国に対する警棒として使うよりも、我々は、その代わりに、政治的な見通しを変える手段として使えばよいのです。我々は、この仲裁をゼロ・サム的な判決と見なすよりも、協力へのたたき台にすればよいのです。
次に、最初に申し上げたことに関連しますが、国際法の執行に対する国家の合意の重要性を認めることにより、中国と相互の、持続可能な、意義のある合意を結ぶことを目指すべきです。中国に我々の法的立場を確信させた今、主権者としての我々の権利を尊重するよう中国を説得できる格好の立場にあるのです。 この仲裁判決に命を吹き込むのであれば、その欠点を含め、同判決の完全性をまずは受け入れなければなりません。お気づきかもしれませんが、同裁判所の判決は統治権の問題には裁定を下しませんでした。つまり、南シナ海の岩礁や砂州の法的性質を分かっていても、誰がこれらの地物に統治権を行使するのかについては、国際法で判断が下されていないのです。フィリピンの見解では、これらの地物は我々の所有です。当然のことながら、中国の見解では、これらの地物は中国の所有です。この問題に関しては、ベトナムや台湾についても同様です。 結局のところ、南シナ海への接近を実際的な大問題にしている未解決の課題は多数存在します。
同裁判所は、フィリピン人漁民がスカボロー礁で伝統漁を行うのを妨げる中国の行為を違法だと見なしていますが、中国自身も歴史的にこの海域で職人漁業を行っていたと認めていることにご注目下さい。これもまた同判決の微妙な境界線のひとつに過ぎず、これにより、我々が中国の敵ではなく、中国の権利もまた尊重している主権者仲間であるというメッセージを中国に伝えることができます。 皆さん、我々のジレンマに対する解決策は極めてシンプルです。スカボロー礁の共同漁業条約の可能性に関して中国との話し合いに入ることは、手始めとして適切です。
トンキン湾における中越海上国境画定条約のように、フィリピンもまた、中国・フィリピン間の二国間協調と友好関係の発展を築くことができます。これはまた、同地域における緊張の緩和につながる可能性、ならびに国際法上の権利を効果的に行使するのに必要な影響力をフィリピンにもたらす可能性もあります。
米比関係
これにより、次は友好関係の問題に移ります。 私は、この判決がフィリピン・中国間の緊張を高めたとは思いません。中国はフィリピンの主要貿易相手国のひとつであり、国内では多数の中国国民が大企業に勤務、あるいは大企業を経営していますので、両国には、この関係を守り、保っていきたいと考える真の理由があると考えています。
しかし、中国がフィリピンへの信頼を差し控えようとしていることも十分に理解しています。これは、フィリピンが、軍事的パートナーあるいは守護者として米国に依存していることに端を発しています。 1951年、フィリピンと米国は相互防衛条約を締結しました。この条約の目的は、「平和の構造を強化」し、外国部隊から攻撃を受けた際に互いの国を支援することを確約することでした。その後、フィリピンに軍事拠点を設置しましたが、これは1992年まで続きました。1998年、フィリピンと米国は訪問軍隊地位協定を締結し、これにより、米軍が軍事演習実施のためにフィリピンを訪問するようになりました。その後2014年には、「同地域の平和と安全を促進するため」に、フィリピンと米国は防衛協力強化協定を締結しました。
法的観点からのこれらの協定についての懸念はさておき、私は一貫して、米国とのパートナー関係はフィリピンにとって非常に不利なものだと主張してきました。この問題は、フィリピンの土地におけるアメリカ兵士による殺人が浮き彫りにしました。これらの協定に具現化された協力原則にもかかわらず、被疑者の身柄を確保する権利は米国に留保されました。このため、米国海軍の伍長勤務上等兵、ジョセフ・スコット・ペンバートンは、トランスジェンダー女性、ジェニファー・ロードを殺害したことにより地方裁判所で有罪判決を受けていたにもかかわらず、一夜も刑務所で過ごしていません。前にも言いましたが、これはもう一度言うに値することです:ジェニファー・ロード殺害は、フィリピン主権の死を象徴しています。
さらに言えば、これらの協力協定は、フィリピン人の真の安全を実現していません。中国海軍の船舶が南シナ海のフィリピン人漁民を脅かしていた時、米国は中国に対してその行為をやめるようにとのメッセージを送っただけでした。これはフィリピンがどうせ自国でも行うことに過ぎません。余談ですが、フィリピンにおける米国の存在は、フィリピン南部のミンダナオ島における反乱を激化させただけだと多くの人が考えています。
皆さん、私はフィリピンに対する米国の貢献を損ねるつもりはありません。私自身、米国で勉強して卒業しましたし、私の親戚の多くは米国に住んでいます。しかし一方で、米国の支援を過度に評価するワナに陥りたくはないのです。 不安の源を排除することにより、直接的に、我々の安全問題の解決を検討するべき時がきました。しかし、軍事訓練や軍拡競争を通じた示威でこれを行うことはできません。国連憲章の原則に沿った方法により、つまり平和的な紛争解決方法を通じて、これを行うことができるのです。
自主的外交
私が自主的外交を全面的に支持するのは、こうした理由からです。私は、これによって、孤立を意味しているのではありません。定義によれば、自主的外交とは、国家は、介入あるいは強制することなく、その最善となるように、他の主権者を引き込むべきだということです。 現在、フィリピンの最善の利益は、平和的に自国の水域を探索および利用できるようになることです。
実際のところ、我々の平和維持部隊として米国に依存し続けるようでは、我々は最善利益の実現に四苦八苦することになります。実のところ、米国の存在こそが、この地域の緊張を高め続けているのです。 中国と協力するのは良いことなのだろうか、と考える人もいるかもしれません。多くの人が、中国と協力しようという試みは、主権の放棄の現れだと考えています。一部のフィリピン人には、それを反逆だと言う人もいるかもしれません。 それが愛国心の現れである限り、私は彼らの気持ちを受け入れますが、このような考えは、現代世界の複雑性や国際法の定める規範とは相容れないものです。
ひとつの国を同盟国か敵国かに分類することは、状況に関係なく、地図を黒色と白色に塗ることになるでしょう。 中国との将来の交渉がどのように終わるかを申し上げることはできません。双方にとって利益のある合意に終わるかもしれないし、そうでないかもしれません。しかし、挑戦してみなければ、決して分かりません。そして、フィリピン国民のために、私はどんなことでも挑戦するつもりです。 ご清聴ありがとうございました。
[作成者1]「排他的経済水域」の略 [作成者2]旧約聖書の一場面 [作成者3]犠牲が大きく、得るものの少ない勝利>(以上)
次は10/31FT記事を11/6日経電子版に翻訳掲載した時に故意にヘッドラインを「習」から「安倍」に代えた悪質な印象操作のケース。日経への電凸に対しての回答は「日本版なので目につきやすいタイトルにした」とのこと。いくら100%子会社とはいえ、日経に元記事を勝手に編集する権利はないと思いますが。完全に契約違反ではないですか?如何に日本のメデイアは腐っているかです。

こんな記事もありました。日経は真底腐っています。
http://mamoretaiwan.blog100.fc2.com/blog-entry-3004.html
さて、中比の問題になっていますスカボロー礁ですが、最近の記事を取り上げて見ます。
11/8毎日新聞は<スカボロー礁に巡視船 沿岸警備隊派遣 大統領訪中後、漁再開
【マニラ共同】フィリピン沿岸警備隊は7日、領有権を巡り中国との対立が続いていた南シナ海のスカボロー礁(中国名・黄岩島)に巡視船2隻を派遣し、パトロールを始めたことを明らかにした。
スカボロー礁は2012年に中国が実効支配を固め、中国公船の妨害でフィリピン漁民は操業できず、沿岸警備隊も現場海域には近づけていなかった。しかし、10月に訪中したドゥテルテ大統領が南シナ海での領有権問題を棚上げした後は妨害がやみ、漁が再開していた。
沿岸警備隊幹部はパトロールの具体的な場所や活動状況は明らかにしなかったが「さらに多くの巡視船が配備される」との見通しを示した。中国とフィリピンの首脳会談を受けた措置の可能性があり、中国側の今後の対応が注目される。
幹部によると、2隻のうち1隻は日本政府が10月にフィリピン側に引き渡した「ツバタハ」。今月5日に現場海域に到着したという。
幹部は中国公船が現場海域にいたかどうかには言及しなかった。>(以上)
10/31レコードチャイナ<「スカボロー礁から中国公船撤収」は誤り、だが漁民への妨害はない―比国防相
2016年10月30日、中国とフィリピンの係争地となっている南シナ海のスカボロー礁(中国名:黄岩島)周辺に展開していた中国公船が撤収したとされる問題について、フィリピンのロレンザーナ国防相は、中国海警局の船が依然として同礁周辺を巡航しているとした一方で、フィリピン漁民は妨害をされずに漁を行っていると語った。環球網が伝えた。 AP通信によると、フィリピン海軍が週末に上空から偵察した結果、少なくとも4隻の中国海警局の船がスカボロー礁周辺にいたという。ロレンザーナ国防相は「中国公船がいなくなったとする沿岸警備当局の情報は間違っていた」と補足した。 フィリピンのドゥテルテ大統領は、中国を訪問した際、フィリピンの漁民が今後数日でスカボロー礁に戻ることができるとの見通しを示していた。 中国外交部の陸慷(ルー・カン)報道官は28日の定例記者会見で、ドゥテルテ大統領の訪中により中比関係は全面的に改善したとした上で、スカボロー礁でのフィリピン漁民への妨害行為をやめたのかとの質問については「双方は現在、まさに意思疎通を続けている」と述べていた。(翻訳・編集/柳川)>(以上)
ドゥテルテと習の関係は、狐と狸の騙し合いみたいなものかもしれません。お互いにいいとこどりをしようとしているのでしょう。11/5講演で、ハリー・ロケ議員は、「国際仲裁裁判所判決はテコの役割でしかなく、二国間交渉をしないと最終解決しない」という立場でした。それに対し、ベトナム外務省顧問のテイン・ホアン・タン氏は「二国間協議でなく多国間で話合うように問題を国際化した方が良い」とのことでした。大国と小国では力の差がありすぎ、マルチラテラルの方が合理的と思われますが、タン顧問は「中国が面子を失わない形で撤退できるよう誘導」との話もあり、狙いは一緒なのかも。比としては中国を仲裁裁判判決から救い、貸しを作って実利を取った形でしょうか。ただ、中国が何時までもおとなしくしているとは思えません。宇宙まで侵略しようとしている連中です。そこの認識が違っていますと、下手な妥協で終わってしまいます。
ASEANも中国から大きな支援を受けていますラオス、カンボジアという内陸国家があり、纏まりを欠いています。戦後の国連の仕組みが左翼リベラルやグローバリストに牛耳られ、見直しが必要になっているのと同じく、ASEANも仕組みを見直した方が良いでしょう。Brexitやトランプ大統領の誕生とか行き過ぎたリベラリズムの修正が世界的に起きています。トルコのEU加盟申請も、本年中のヨーロッパへのヴィザなし渡航が認められなければ、取り下げる可能性もあります。難民流入抑制協定も反故になり、難民問題は新たにヨーロッパを襲うでしょう。トルコはトランプが大統領になることもあり、ヨーロッパでなくロシアに近づくと思います。また、ヨーロッパはNATOの米軍縮小でロシアの脅威に晒されるようになるのでは。独仏だけでロシアに対抗は出来ません。独仏は今までシリア問題等で、米国の言うことに從わないで来すぎましたので、米国の意趣返しが起きると思います。
記事

中国を訪れたドゥテルテ大統領(左)と習近平国家主席(写真:AP/アフロ)
南シナ海の環礁、スカボロー礁。最近、中国の沿岸巡視船がこの海域でおとなしくしていることが話題を呼んでいる。まるで推理小説に出てくる「夜間に吠えなかった犬」のようだ。
これまでの4年間、中国船はフィリピンの漁師がスカボロー礁で漁をするのを妨害し続けてきた。きっかけは中国の漁船が絶滅危惧種を違法に捕獲していたことを知ったフィリピン海軍の視察官が検挙を試みたことだった。
だが11月に入り、フィリピンのテレビは自国の漁船が再びこの礁に赴き、漁をして戻って来る様子を映し出した。船いっぱいの魚を持ち帰る漁師たちはみな顔をほころばせていた。
中国が妨害行為を始めたのを受けて、フィリピンのベニグノ・アキノ大統領(当時)はオランダ・ハーグの国際裁判所(仲裁裁判所) にこの件に関する訴状を提出した。同裁判所は今年7月、フィリピンの訴えを認める司法判断を下した。なにしろスカボロー礁はフィリピン本島から220kmほどしか離れておらず、同国の排他的経済水域内に位置している。一方、中国からの距離は約900㎞だ。
また、アキノ大統領は米国と防衛協力強化協定(EDCA) も結んだ。これにより米軍はフィリピンの5つの基地を拠点に活動することができるようになった。同大統領は、中国がスカボロー礁に人工島を建設し始めた場合、軍事的に対応するよう米国に求めた。中国は領有権が争われている南シナ海の岩礁や小島の一部で既に建設行為に及んでいる。
中国の支配を受け入れれば多額の資金
ところが、アキノ氏に代わって6月に大統領に就任したロドリゴ・ドゥテルテ氏は唐突に方針を変えた。米国との合同軍事演習の中止を発表し、EDCAを廃止すると威嚇したのである。
この路線変更を強調するため、ドゥテルテ大統領は10月下旬に中国を公式訪問した際、米国との「決別」を宣言した。そして、中国側にこう伝えた。「私はあなた方の思想に合わせて自らを立て直してきた。これからはずっと中国を頼りにしていく」。
ドゥテルテ大統領がこうした忠誠を示した後、中国は数十億ドルの融資と投資を約束するとともに、スカボロー礁での妨害行動をやめた。南シナ海で中国と領有権を争っている他の東南アジア諸国に対してこれ以上明確なメッセージはないだろう。中国の支配を受け入れれば多額の資金が手に入るぞ、というわけだ。
現在多くの問題に悩むマレーシアのナジブ・ラザク首相は11月初旬 、北京をうやうやしい態度で訪問した。
習近平をジレンマから救う
米国は現在、南シナ海の領有権を巡る中国の野望に対抗し、他の沿岸諸国との統一戦線を維持すべく努めている。だが、ドゥテルテ大統領の言動は米国のこの努力を台無しにした。それだけではない。中国の習近平国家主席をジレンマから救い出しもした。
ハーグの仲裁裁判所が中国に不利な司法判断を下したのを受けて、中国の強硬論者、とりわけ軍関係者はスカボロー礁に滑走路を建設するなどして反撃するよう習国家主席に求めていた。一方で、習国家主席の強硬路線はすでに高いリスクを伴うため、もっとソフトなアプローチをとるべきだと主張する向きもあった。
今回、ドゥテルテ大統領のおかげで、中国は指一本動かすことなく欲しかったものの大半を手に入れた。中でもフィリピンとの2カ国間協議は大きな収穫だった。中国が長年呼びかけていたが、フィリピンはこれをずっと拒んでいた。
中国にも二心ありか
それでも中国側は用心する必要があるだろう。中国からの投資を歓迎するドゥテルテ大統領の態度が従順を意味すると捉えるのはまだ早い。
フィリピン最高裁の判事の一人は、スカボロー礁を譲渡することは憲法違反であり、弾劾に値する行為だとドゥテルテ大統領に警告している。フィリピン国民の間では今でも米国が広く人気を集めており、中国は嫌われている。
そしてドゥテルテ大統領は中国の耳に心地よい言葉を贈りながらも、日本やベトナムを訪問した際には矛盾するような発言をしている。日本やベトナムもまた、中国と領有権を巡り争っている国家である。
ベトナムでは、ドゥテルテ大統領は「とりわけ南シナ海における航海と上空通過の自由、およびスムーズな商業活動」の必要性を強調した。日本との共同声明では国連海洋法条約を尊重することが重要だと主張した。これは国際裁判所がスカボロー礁に関する司法判断を出すにあたり拠り所とした条約だ。
一方、中国にも二心があるのかもしれない。スカボロー礁付近での漁をフィリピン人に解禁しているように見せながら、その実、内側の大きな礁湖に以前のように立ち入ることは許していないのだから。
© 2016 The Economist Newspaper Limited. Nov 5-11 2016 | BEIJING AND SINGAPORE | From the print edition
英エコノミスト誌の記事は、日経ビジネスがライセンス契約に基づき翻訳したものです。英語の原文記事はwww.economist.comで読むことができます。
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『「トランプ当選」しか書けない中国SNSの闇事情 「ウチにも公安が来た」と主婦が震える言論統制』(11/10日経ビジネスオンライン 山田泰司)について
11/10みずきの女子知韓宣言ブログより<トランプがホワイトハウスに入る前に、韓国がしておくべきこと
「未来指向」と「未開指向」
趙甲濟(チョ・ガプジェ)の超少数派サイトから井戸の外のバンダービルドさん。

トランプがホワイトハウスに入る前に、韓国がしておくべきこと バンダービルド 北朝鮮の核問題の解決は、韓国も核で武装する方法以外の方法すべてが対症療法であり、一時的なものに過ぎない。 米国政権(共和党or民主)が変わるたびに気を揉んで、北朝鮮の核を防いでもらおうとぶらさがることに、もうウンザリである。 非対称核武器を防ぐために、あらゆるケースを考慮して、高価な防御兵器を配置して、持続維持・管理することも、実際には並大抵なことではない。 経済的負担が少なくないからだ。 この方法では、高コストの支出にずっと苦しまなければならない。
「(韓国と日本の核武装については)いずれかの時点がくれば、議論しなければならない問題だ。」
トランプが今年の3月25日、ニューヨークタイムズとのインタビューを通じて公にした発言である。 韓国はこの機会にトランプを相手にして、「韓国の核武装容認」を勝ち取る交渉をするべきである。 このような機会は今後永遠にない。 北朝鮮の核実戦配備が目前の状態で、時期的に事実上最後のチャンスだ。
トランプがホワイトハウスに入った後、長い時間が経過すれば、次第に心が変わる可能性もある。 したがって、外交力量を総動員して、正式就任以前に交渉をして、「韓国自体の核武装容認」を勝ち取るのが望ましい。 日本と手を取り合って共同で推進すればいいが、日本国内の雰囲気(反核世論優勢)を考慮すると、今すぐには難しいといえる。
韓国単独だとしても、必ず今回談判すべきである。 この機会を逃せば次はない。 核心は簡単である。
「韓国自体の核武装を容認するならば、在韓米軍の分担金も好きなだけ上げてやる。その代わり、国際社会が経済制裁しないようにカバーしてほしい。」
このような機会は二度とない。 トランプ当選により、経済分野などで多少の混乱は予想されるが、もし「核武装を容認」ということを韓国が得られるなら、トランプ当選は、北朝鮮の核の脅威から抜け出す神の贈り物だと言える。 ヒラリーではなくトランプになったのが、韓国にとって「天佑神助」ということだ。
トランプのそばに専門の補佐官が本格的にくっついて「邪魔」する前に、早く交渉するのが良い。 結果がたとえ良くないと予想されても、無条件に交渉しようとしなければならない。 そして好ましいのは、いや、無条件に「韓国の独自の核武装」意思決定をもたらすべきである。 疲れきった北朝鮮の核問題から根本的に、そして永遠に解放されるには、その方法以外にはない。 トランプの心が変わる前に急がなければならない。 バンダービルド 引用ソース https://www.chogabje.com/toron/toron22/view.asp?idx=&id=138059&table=TNTRCGJ&sub_table=TNTR01CGJ&cPage=1
*なんだかなあ…(注:ブログ主の意見) 韓国人のコメント ・滅共!(ハンドルネーム) オジョングン教授は今、政治家や学者たちがワシントンDCに飛んでいって、一緒にご飯を食べてゴルフをして、企業の要人に挨拶をさせて、米国政財界に対してロビーしなければならないと言っていた。 なのに私たちは毎日のように、力の抜けた「パククネ下野!」だけを叫んでいる。これが国か。 一番良いのは日本と連邦制統一することだが…
・正解と不正解(ハンドルネーム)
やはり名もない人よりはるかに現実的で実現可能な主張です。
しかし民族が馬鹿レベルなので、聞く人がいないみたいで苦しいね。 この記事を最低限、外交部長官や国防部が読んでくれるといいのですが。 この国の馬鹿のレベルでは難しい。 可能性のある優れた意見だが、実現の可能性はあまりないようです。>(以上)
韓国人の保守派はチャンと外交を考える人が、少ないけれどいるという事です。翻って日本ではどうか。11/11の日経朝刊に「関係者によると、佐々江賢一郎駐米大使らがトランプ氏の娘イバンカ氏、セッションズ上院議員らに選挙中から接触」とありましたが、言い訳以外の何物でもありません。大統領候補と首相が直接会うのと大統領候補の娘と大使が会うのでは格が違いすぎます。本当に外務省は愚かです。「武力を持たないから外交ができない」というのは嘘で、幣原の時には強い軍隊があったではないですか。況してや、強い外交をするために、「武力を持つ」ように動けば良いのにそうは動きません。防衛省に力を奪われたくないためです。
山田氏の記事では、国民監視の目が至る所にできているという事です。金盾工程を使い、ネット検索してヒットする言葉を探しているのでしょう。何清漣の『中国の嘘―恐るべきメディア・コントロールの実態』(2005年)の中に出て来たのが、小生にとっては初見でした。驚くことに、金盾は米国企業が協力して出来たとのこと。米国人の考えていることもやはりおかしい。やがて中国人が米国を打倒しようとしているのに気が付かないなんて。しかし、国民の精神的・物質的充足を図るのが国家の役割なのに、国民を監視し、あまつさえ選挙で選ばれていない正統性のない私党が国を牛耳る仕組みはおかしいです。国際社会が潰さないといけないでしょう。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%87%91%E7%9B%BE
記事
米大統領選挙の開票速報は、日本の自宅のテレビで見ていた。卓上のパソコンでは、中国の人たちがどのような反応を示すのかを確かめようと、中国版ツイッターの1つである微博(ウェイポー)を常時開いておいた。スマートフォン(スマホ)の通知センターに、日本経済新聞の速報メールが入る。「日経平均急落、下げ幅一時1000円超 トランプ氏先行で」の見出し。時刻は14時5分。
パソコンに目を移すと、中国版ツイッターのリアルタイム検索ランキングの2位に、「川普贏了」(爆)の文字が。川普はトランプ、贏了は勝利、爆は急上昇の意味だ。ちなみに1位は、ある芸能人同士の不倫疑惑についてだった。

え、決まったのかと慌てて書き込みのいくつかに目を通す。「CNNがトランプの勝利を速報」というツイートが拡散していて、閲覧回数を10分間で194万回にまで押し上げていた。CNNのテレビ画面なのだろう、キャスターの横に「DONALD TRUMP WINS」と大書された画像も添付されている。
しかし、日本のメディアはテレビ、新聞、ネットのいずれも、まだ当確を報じているところはない。それどころか、CNNのホームページにもまだ当確の報道はなかった。
もう一度よく読むと、リツイートに「詐欺師」「騙しやがって」の書き込みが見えた。どうやら、デマのツイートにまんまと釣られてしまったようだ。CNNの画像は、ご丁寧にも合成だったのだろうか。
ただ、その時点でクリントン氏は既に敗色濃厚になっていたし、選挙自体に対する関心も高く、「美国大選」(米大統領選)のワードはのべ12億回も読まれていた。抜群のタイミングでデマを投稿し、瞬時に私をはじめ200万人もの人間を釣り上げた投稿者は、トランプ氏より一足先に勝利宣言をしていたのかもしれない。
盛り上がらない「既得権益の打倒」
さて、トランプ氏、クリントン氏いずれが当選するにしても、私には中国人の反応で、確かめてみたいことが1つあった。それは、既得権益を巡る米国民の判断を、中国人がどう評価するかについてだった。
今回の選挙において、クリントンは既得権益層の代表、トランプ氏はそれを打倒する側の代表、という構図で語られていた。そして、トランプ氏が当選した。習近平国家主席は就任以来、腐敗官僚の取り締まりを続けてきた。しかし腐敗官僚の根絶にはほど遠く、図らずも米大統領選前日の11月7日にも、安徽省の副省長が重大な規律違反で捜査を受けることが明るみに出たばかりだった。
もちろん、トランプ氏の当選が中国にとってどのような影響をもたらすのかは総合的に語られるべきことである。ただ、トランプ氏の勝利に勢いを得て、中国の庶民の間に既得権益を倒そうとする気運が盛り上がるような事態は、習氏を中心とする権力側にとっては避けたい事態だ。打倒すべき既得権益の対象はあくまで習氏らが自ら決めることであり、一歩間違えば習氏自身にも打倒の刃が向くことも十分あり得ることだからである。
そこで改めてSNSの書き込みを眺めてみた。ところが、「中国も既得権益を打倒だ」と気勢を上げる書き込みは見当たらない。それどころか、たわいのないことを言う内容がほとんどなのである。頭から順に100件程度の書き込みを読んだ限りにおいて、内容は大ざっぱに分けて以下の3つにまとめることができた。
まず、「トランプだと円高になるんだな。日本で買い物がいよいよできなくなる」「日本に留学中なのに、トランプ当選で急に円高に振れて、生活が苦しくなる」と円高を嘆くもの。2つ目は、「男のバカと女のバカなら、男のバカの方がずっとマシだ」等々、トランプ氏顔負けの暴言を吐くもの。そして、「トランプを大統領に選ぶなんて、アメリカ人はお笑いというものを分かっている。見直した」「今年一番のジョーク」とふざけるだけのもの、である。
ネットの書き込みなど、この程度のものが主流だと言えばその通り。ただ近年、庶民レベルでも、21世紀の超大国は中国とアメリカだと公言する人が、中国ではずいぶん増えていた。だから、米国の次の大統領が決まり、次代の米中関係について滔々と論じるものや、既得権益を取り上げて論議するものが多いのではないかと予想していた。ところがふたを開けてみれば、毒にも薬にもならない書き込みが圧倒的に多かったのである。
なぜなのだろうと考えて頭に浮かんだのは、言論統制の強化が庶民レベルにまで下りてきていることをうかがわせる、ある話だった。
批判の書き込みから1時間で来た公安
それは先月末のこと。ひと月ぶりに会ったある上海人の友人に、その後元気だった? と挨拶代わりに聞くと、「最近ちょっと、いろいろ不安なことがありますよ」と言う。どうしたのと尋ねると、「団地のシャトルバスで顔見知りになって親しくなった近所の奥さんがいるんです。先週末、やはり乗り合わせたら、隣の席に移動してきてさらに顔を近づけて、その上で聞こえるか聞こえないかぐらいの小声で、『この間、公安が家に来たの』と言うんです。何があったのと聞くと、『政府の政策に対する不満をちょっとSNSに書き込んだの。そうしたら1時間もしないうちに、ウチのドアをノックする音がする。出てみると、男が2人立っていて、公安だというの。そして、『あなた、政府に対する文句を書き込んだの、これが初めてじゃありませんね? 慎みなさい。これは警告です』と言って帰って行ったの、と言うんです』という。
社会運動とかに熱心な人なの? と尋ねると、民間で事務職をしている30代のごくごく普通の主婦で、ごくごく普通のビジネスパーソンだとのこと。「彼女、『書き込んで1時間もしないウチに来たのよ。怖い』と言って青い顔をしていました。それを聞いてボクも、なんだか息苦しくなって。それ以来、不安なような、窮屈なような、落ち着かない気分なんですよ」と浮かぬ顔で話していた。
習氏が中国のトップに立って以来、ネット上の書き込みに対する規制を強化しているというのは数年前から聞いたり読んだりはもちろんしていた。ただ、自分の友人の知り合い、という身近なところでの実例を聞いたのはこれが初めてだった。そして、当事者の女性を震え上がらせたように、書き込みから公安の到着まで1時間という至近距離に監視の人的システムがあるのだということを知り、さすがにいい心持ちにはならなかった。
トランプ当選のツイートがわずか10分間で200万回も閲覧されるように、ネット上には砂漠の砂の数ほどの膨大なつぶやきが敷き詰められている。その中から「問題」のある1粒の砂を見逃さずにつまみ上げ、2400万人いる上海の人口をかき分けて1時間で1人の元にたどり着くというのだから。庶民レベルでこういう状況に遭遇する人が身近に出ているというのを聞くと、トランプ当選の書き込みが毒にも薬にもならないたわいのない話に終始し、ましてや既得権益の話になど至らないのもむべなるかな、と思う。
中国の全国人民代表大会(全人代、国会)常務委員会は11月7日、ネット利用者の実名化を義務付ける「インターネット安全法」を採択した。中国は近年、愛国を唱え、強国化を推進するなど、国としての中国の結束を国民に呼びかけている。言論の締め付けやネット規制の強化も、一枚岩の中国を作り上げるための手段だというわけだ。
ただ、規制の強化に直面した庶民たちの反応や、ネットで当たり障りのないことしか書かない傾向が出てきた様子を見ると、中国人は血縁の者しか信頼しないという元来の習性を一層強め、いよいよ家族、一族の間でしか本音を言わなくなるのではないか。国としての一体感を強めた上で勢力を外へ外へと広めていこうとの体制側の思惑や行動とは裏腹に、国民は一族という内側を向き、中国という国を形作る結び目が緩くなりほどけていく。そんなことを予感させた米大統領選であった。
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『中国「長征5号」打ち上げ成功の意味 宇宙覇権への野望は、はったりではない』(11/9日経ビジネスオンライン 福島香織)について
11/11日経朝刊<人工衛星製造、中国が台頭
世界の人工衛星の製造数ランキングで中国が台頭している。2005年は米国、欧州、ロシア、日本に続き5位だったが、15年は米に次ぐ2位に躍り出た。背景には、他国に頼らない独自の全地球測位システム(GPS)の構築を進めていることなどがある。

中国の製造数は、10年前の3基に比べ、15年は約7倍の22基にまで膨れあがった。ほとんどを国営企業の中国空間技術研究院(CAST)が製造する。35基の衛星を束ねて運用する中国版GPSの「北斗2」の整備が進んでおり、20年ごろの完成まで製造数が大きく伸びると見られる。
米国は、06年に52基まで製造数を伸ばし、以降は増減を繰り返している。15年には、ここ5年で最も多い37基を製造し世界トップの座を守った。ボーイングが10基、ロッキード・マーチンとスペースシステムズ・ロラール(SSL)が4基ずつ製造した。
13年、14年と打ち上げ数2位だったロシアは15年の製造数が前年より10基以上減少、4位に転落した。
欧州は欧州版GPS「ガリレオ」の整備を続けており、08年以降はコンスタントに20基以上製造を続けている。日本は三菱電機が製造する衛星を中心に5基前後で、低空飛行が続く。>(以上)
この日経記事は、事実だけを述べていますが、何のために中国が人工衛星を多く造って飛ばすかについては一言も触れていません。読者が考えろというのでしょうけど、忙しいサラリーマンでは解説しないと分からないでしょう。特に「平和愛好」を刷り込まれた人間には。科学技術の進歩は大きく言えば、軍事目的で為されて来たか、転用することにより為されて来ました。中国が開発に力を入れていますのは、軍事目的に決まっています。
中国は、地球制覇だけでは飽き足らず、宇宙にまで手を出し、欲望を最大限に追求しようとしています。黄文雄が『それでも中国は崩壊する』の中で、中国を「人口最多・資源最少・欲望最大・道徳最低」と言ったのも頷けます。強欲そのものです。18世紀の米国の西漸運動、ロシアの南下政策、英国の東方侵略と並んで、後世の人間に世界史の中での汚点として語られるのでは。
福島氏の本記事の中に、「国土資源開発計画では、深海、深地、深空の三方向」、「未開拓の地には先に行って旗を立てたものの所有となるという感覚が中国当局にはまだあり、彼らはいずれ、月面や火星の資源を奪い合う国際競争時代が来ると予想している。」とあり、遅れて来た帝国主義国の色合いを濃く滲ませています。歴史は不可逆であり、起きてしまったことを元には戻せませんが、将来は変えて行くことができます。中国の野望をどこかで止めないと。
また、「毛沢東時代を振り返れば、国内で数千万人の人民が餓死しかけていても「両弾一星」(原水爆と大陸間弾道ミサイルと人工衛星の総称)精神を掲げ、本気で旧ソ連と全面核戦争するつもりで核兵器開発を行い、文革の混乱の最中に初の衛星・東紅1号を打ち上げてきたのが中国という国であった。」、「「宇宙ステーションについても、米国は経済的理由でできなくなり、欧州も日本も諦める中、中国だけがその科学的価値を認めて、やり続ける。…2024年で国際宇宙ステーション(ISS)の運用が終われば、中国だけが世界で唯一宇宙ステーションを保有する国家になるのだ」。 中国の宇宙覇権への野望はもはやはったりではない。果たして中国経済がその野望を最後まで支え切れるのか、という点についてはいろいろ意見の分かれるところかもしれないが、いかなる犠牲も失敗も意に介さずひたすら天空を目指す中国の本気を、日本も米国も決して侮れるものではないということはしっかり認識しなくてはならないだろう。」とあり、中国がここまではっきり、野望をあからさまにしているので、国際社会は中国経済を崩壊させるように動かなければ、本当に大変なことになります。
中国は毛沢東時代に「中国人はたとえズボンをはかなくても、核兵器をつくってみせる」という強い意志の下に開発しました。今回もその通りに行動するでしょう。米国軍はコンピューター制御が生命です。米軍衛星が中国軍に簡単に撃ち落されれば、米軍は全く機能しなくなります。米国ももっと危機感を持たねば。幸いトランプが大統領になり、「偉大なアメリカの再興」を掲げていますので、良き人材を国防長官に据えれば対応するのではと考えます。菅官房長官、長島昭久議員と会談したマイケル・フリン元陸軍中将がその候補に挙がっています。
http://www.chunichi.co.jp/article/front/list/CK2016111102000066.html
将来的に核融合が実用化されれば、エネルギーの問題は解決されるというのに、中国は何故に軍事膨張を続けるのでしょうか?習近平の言う「中華民族の偉大な復興の夢」というのは、真の「中華世界」を作り、世界を中国人で支配し、他の民族はチベット、ウイグル、モンゴル人と同じように奴隷として扱おうと考えていることです。国際社会が早く気付き、手を打たねば。
記事

11月3日、中国は新型ロケット「長征5号」の打ち上げに成功した(写真:ロイター/アフロ)
11月3日夜、中国海南島・文昌宇宙発射場では長征5号の打ち上げが成功した。長征5号は、直径5メートル、全長57メートル、20階立てビルに相当する巨大運搬用ロケットで、最大25トンを運搬できる。運搬能力係数としては米ボーイング社のデルタIVに次ぐ世界2位だ。今回は通信衛星のひとつ「実践17号」を搭載した打ち上げだが、今後中国が進める天宮計画(独自宇宙ステーション建設)や嫦娥計画(月面基地建設)の資材運搬に欠かせない中国の新世代ロケットである。
今年秋の天宮2号打ち上げ時に使用される予定だったが、最終的には天宮2号打ち上げは長征2号FT2が使われたので、今回の打ち上げが、5号の披露目となった。ネット中継で世界中のロケットファンがこの打ち上げの中継を見ただろうが、その長征5号の巨大さや性能だけでなく、打ち上げ直前にエンジンの予冷システムに問題が起きたにも関わらず、いったん燃料タンクを空にして再充填して160分の遅延だけにとどめて、再度打ち上げ体制に入った中国当局の強引なほどの情熱にも驚嘆させられたことだろう。
中国経済がハードランディング必至といわれるなか、かくも宇宙開発に膨大な予算と情熱を示すのはなぜか。その背景と現状について整理しておきたい。
247項目の独自開発技術の塊
長征5号について、中国公式メディアを参考にもう少し説明しておこう。研究者の間では「デブ5(胖五)」とあだ名される、直径5メートルの大型ロケットで、中国の従来の運搬ロケットの1.5倍の太さがある。推進力は従来の2.5倍、最大25トンを低軌道、14トンを静止トランスファ軌道に運搬できる。長征5号には247項目の中国独自開発新技術が使用され、中国新技術の塊と言っても過言ではない。一般にロケット開発では、打ち上げの失敗が与える損失やマイナス影響が大きいため、ここまで思い切って新技術を使用することはなく、中国としては非常の冒険的な試みだったとか。
なかでも開発に困難を極めたのが、主要の新技術の一つ、YF-100(120トン級液体酸素ケロシンエンジン、酸素リッチ段階燃焼サイクルエンジン)だ。これは旧ソ連のRD-120を参考に開発したと言われているが、試作機の最初の4台のうち2台は爆発、2台は燃料系統が焼損するといった失敗もあった。ようやく5台目を成功させることができたあとも、燃料層壁の接合の問題などさまざまな技術的困難に直面し続けたとか。
長征5号プロジェクトはいわゆる863計画(1986年3月の国家ハイテク発展研究計画)に従って、2001年2月、江沢民政権時代に正式にスタートし、足かけ15年、約45億元をかけて実現にこぎつけた。総設計責任者は1967年生まれの李東(航天科技集団一院)。長征5号の開発、研究、そして打ち上げにかかわっているのは、ポスト文革世代である60后から80后までの若手技術者、研究者たちであり、17歳で1999年の神舟1号の打ち上げを見て、宇宙開発の路を志した80后の若手エンジニアが注目を集めたりもした。
長征5号は160分の発射遅延はあったものの、初の発射をみごと成功させ、これらメードイン中国の先端技術の信頼性、中国ロケット研究の成熟ぶりを世界に見せつけることに成功した。今の時点では、中国の宇宙開発の実力について、旧ソ連の物まねであるとか、米国などと比べて大きく遅れをとっていると考える人は、国内外にほとんどいなくなっただろう。
「中国クオリティ」の概念を塗り替える
全世界の運搬ロケットの発射成功率は平均で91.5%、米国で93.1%、ロシアで94.9%。中国の長征シリーズロケットの発射成功率は97%。もともと中国のロケット発射技術は決して低くない。これまで米ロのロケット発射成功率が中国に劣っていた理由としては、中国よりも大型ロケットが多く、技術難度も高度であったからで、中国は打ち上げやすいものを数こなして実績を重ねてきたと言われてきた。だが、今回の長征5号発射、中国も米国並みの大型ロケットを、高難度の技術を用いて打ち上げたことで、中国宇宙開発における「中国クオリティ」の概念を塗り替える事件であるともいえる。
こうした中国の宇宙開発は習近平政権になってから加速している。特に、中国の宇宙開発元年とされた1956年10月の国防部第五研究院(中国最初のミサイル研究機関)創設からちょうど60年という節目の今年に合わせて、宇宙開発の成果を人民に知らしめるイベントが集中した。
9月15日に宇宙ステーション天宮2号が打ち上げられ、10月17日に打ち上げられた有人宇宙船神舟11号と19日にドッキングした。宇宙飛行士2名が天宮2号の中で、30日にわたり滞在し、さまざまな実験を行う予定だ。天宮宇宙ステーションは2018年以降にコアモジュールの打ち上げが始まり、2022年には完成させる予定だが、この天宮モジュールの打ち上げにも長征5号の活躍が期待されている。
月面への意欲も強く、嫦娥計画については、来年にはサンプルリターンを目的とした嫦娥5号の打ち上げを予定。その次には、いよいよ宇宙飛行士の月面着陸を予定している。中国は月面と火星の宇宙資源開発については十三次五カ年計画の国土資源技術工作の中に含めており、月面、火星資源開発を国土資源開発の延長と位置付けている。つまり未開拓の地には先に行って旗を立てたものの所有となるという感覚が中国当局にはまだあり、彼らはいずれ、月面や火星の資源を奪い合う国際競争時代が来ると予想している。火星探査機は2020年に打ち上げを予定している。火星探査ローバーのデザインなども公開されている。
1万人強制移住で「天眼」建設も
ちなみに十三次五カ年の国土資源開発計画では、深海、深地、深空の三方向への進軍を訴えており、宇宙だけでなく、1000メートル以上の海底や、2000メートル地下の資源探査など、地球の深部の人類未踏域にもその開発欲は向いている。中国の拡張意欲は上下左右360度、全方位に向かって展開されている。
このほか今年8月には量子通信衛星「墨子」号を世界で初めて打ち上げた。ある量子状態の完全な復元は不可能という物理的性質を利用して、解読不可能な暗号通信を可能にするという。これが正常に稼働すれば、中国は米国などとのサイバー戦において、一歩先んじたことになる。英BBCなどの報道によれば、もともとのアイデアはウィーン大学のアントン・ツァイリンガー教授が提唱した理論だが、ツァイリンガーが2001年に欧州宇宙機関に実用計画を提案したが実現には至らなかった。一方、このツァイリンガーの教え子である1970年生まれの潘建偉が、世界の最先端の量子通信研究の成果を祖国に持ち帰り、実用に向けた開発に大きく貢献した。現在は、ツァイリンガー自身も潘建偉の研究に協力しているという。
また直径500メートルの世界最大の電子望遠鏡「天眼」を、1万人を強制移住させて貴州省の山村に建設したことも瞠目に値する。100億光年以上向こうの目標を観測でき、宇宙の起源や地球外文明史探査が目的というとロマンチックだが、一部では軍事利用や軍事技術の開発が真の目的だとも言われている。電子望遠鏡の開発によって、軍事スパイ衛星やミサイル予警衛星の動向、観測技術やステルス機の捕捉技術が蓄積されるとか。
当たり前のことであるが、中国にとっての宇宙開発の真の目的は強軍化、軍事利用目的である。また、そう遠くない未来に宇宙戦争時代が来るということも見据えている。衛星爆破実験を国際社会の非難を浴びながらも実行し、軍制改革においても、航天部隊(宇宙部隊)創設が言及されている。宇宙飛行士はみな空軍所属である。宇宙空間を征し、衛星破壊戦争を征すれば、核兵器などは恐れるに足らない。宇宙ステーションも純粋な研究施設というよりは、衛星破壊戦争を想定した施設だと見られている。
文革時代の東紅1号…空気が似てきた
普通の炭鉱や化学工場では驚くほどの杜撰な管理による事故やその隠蔽が頻発して、製造業とていまだ「山寨(パクリ)」商売が横行する状況が21世紀になってもあまり改善されていないにも関わらず、軍事的最先端技術開発は、欧米、ロシアをしのぐ最速スピードで進められる。国有ゾンビ企業が整理され数百万人の失業者があふれ、地方財政の事実上の破綻も目に見えているにも関わらず、世界に先駆けて月や火星の資源開発に手を出そうとする。
日本などの民意重視の民主国家では、なぜそのようなことが可能なのか、なかなか理解できないだろうが、毛沢東時代を振り返れば、国内で数千万人の人民が餓死しかけていても「両弾一星」(原水爆と大陸間弾道ミサイルと人工衛星の総称)精神を掲げ、本気で旧ソ連と全面核戦争するつもりで核兵器開発を行い、文革の混乱の最中に初の衛星・東紅1号を打ち上げてきたのが中国という国であった。
まさしくあの時代に社会の空気が似てきた習近平政権時代において、経済よりも民生よりも宇宙開発に国家の関心と財力が注ぎ込まれるのは全く不思議ではない。中国は国家が貧したときほど、こういった国家大事業によって人民に党に対する求心力を生もうとした国なのだ。経済や社会が荒れたときほど、民生や経済ではなく宇宙開発を含む軍事・国防の強化に一番のプライオリティを置き、国外の敵を想定することで、人民の不満の矛先を外側に誘導することに成功してきた国である。
中国宇宙開発事業60周年記念日に際し、中国航天科技集団董事長の雷凡培が新華社のインタビューにこう語っている。
2024年、唯一の宇宙ステーション保有国に
「目下、我々の宇宙開発能力は国際先進レベルの指標の三分の一ぐらいにある。有人宇宙船、月面探査などの主要技術指標についてはすでに国際先進レベルに到達しているだろう。あともう少しの時間をかけて、2025年には宇宙強国の目標を達成できるだろう。…中国の宇宙技術は買ってきたものでも、人から与えられたものでもない。自主独立で艱難辛苦の奮闘を経て、いくつもの挫折を経験しても、這い上がるようにして作り上げてきた。だから西側先進国の宇宙大国とは違う道を行く」
「宇宙ステーションについても、米国は経済的理由でできなくなり、欧州も日本も諦める中、中国だけがその科学的価値を認めて、やり続ける。…2024年で国際宇宙ステーション(ISS)の運用が終われば、中国だけが世界で唯一宇宙ステーションを保有する国家になるのだ」
中国の宇宙覇権への野望はもはやはったりではない。果たして中国経済がその野望を最後まで支え切れるのか、という点についてはいろいろ意見の分かれるところかもしれないが、いかなる犠牲も失敗も意に介さずひたすら天空を目指す中国の本気を、日本も米国も決して侮れるものではないということはしっかり認識しなくてはならないだろう。
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『それを「想定外」と呼んだ全ての人の敗北 トランプの米国:「米国」「世界」「日本」はこう変わる』(11/10日経ビジネスオンライン 池田信太朗)、『消去法のアメリカ オバマ政権とリベラルに対する白人の復讐』(11/9日経ビジネスオンライン 篠原匡)、『トランプ大統領の「安保タダ乗り論」にどう対処すべきか』(11/9ダイヤモンドオンライン 北野幸伯)について
小生の本ブログのトップページに、「士気の集い」主催で、12/17に今回の《大統領選後の日米関係》と銘打ち江崎道朗先生による講演会が開催されます。奮って参加ください。トップページはPDFを貼付けしていますので、参加希望者はコピペができず、申し訳ありませんが、下記をクリック願います。
https://goo.gl/forms/k4DOmutB8zUccGDC3
篠原、北野両氏の記事にありますように、二人は貧しくなった白人の怒りが何も手を打とうとしないエスタブリッシュメントに対して復讐したという構図と捉えています。貧しくなった原因となっている不法移民を認めることはおかしいという事を当たり前に意思表示しただけです。アメリカ人の自殺も13万人/年と多いという記事を読みました。不法移民を認めることは法治国家ではありえません。法を蔑ろにし、人情だけで判断するとすれば、韓国と同じく国民情緒法に左右されるという事です。日本も不法移民の取締りと反日活動に勤しんでいる在日外国人を厳格に取り締まるべきです。
今後のトランプの動きですが、小生の3/15ブログの中で、3/9WSJに寄稿したルトワックの記事を掲載していますので参考にして戴ければ。
http://dwellerinkashiwa.net/?p=3489
今回の大統領選で感じましたのはマスメデイアが如何に当てにならないかという事です。バイアスのかかった記事で、印象操作し、世論を誘導しようとしましたが、失敗しました。Brexitもそう。池田氏の記事にありますように、そんな手はインタラクテイブに情報が遣り取りできる時代には通用しなくなったという事です。記者の見方は一つの見方を示すだけで、有権者がどう判断するかは、いろんな情報素材を集めてから下すという事です。自分の意見が世界を動かすと記者が思っているとしたら、それは驕りでしかありません。池田氏の「トランプ大統領が世界を変えるのではなく、世界が変わったからトランプ大統領が生まれたと言うべきかもしれない。」というのが正しい見方と思います。
保守派のスカリア最高裁判事死亡(謀殺の噂もあった)後の人選は、これで保守派の中から選ばれることが決まりました。一安心です。米・民主党並びに国務省は中国のダーテイマネーに塗れているのが多く、中国と対峙できません。自由を建国の理念とする米国の国益を考えれば、一党独裁・人権抑圧国家と対峙せざるを得ません。
また、池田氏記事にありますように、仏のルペンにとっては追い風になるでしょう。彼女が大統領になればEUの崩壊は加速化するでしょう。ドイツの独り勝ちは許されません。中国に宥和的なドイツも方針を変えるかも。ロシアとの関係も、トランプ大統領になればNATOが変わらざるを得ません。
外務省の無能はここに極まれりと言ったところです。安倍首相のトランプ当選祝辞を述べたときの顔がこわばっていました。外務省はヒラリーにだけ会わせたリスクをどう感じているのでしょうか?トランプは日本が核を持つことを一時的に容認したのですから、防衛費負担増の交渉を言って来たら、少なくとも外務省はニュークリアシエアリングについて交渉の材料とすべきです。唯々諾々と相手の言うことだけ聞くのであれば、それは交渉とは言えません。
これから日本人一人ひとりが真剣に国防を考える良い機会です。北野氏の記事によれば米軍駐留費100%負担でも1800億円くらいの支出増です。単独防衛はコスト高と近代戦では勝てません。ABCD包囲網のように、包囲網を敷く側に回らなければ。 解散総選挙についてどう見るかですが、11/9渡部亮次郎メルマガに<年金削減で高齢者層が総選挙直撃の構図 杉浦 正章
新法案は「消えた年金」並みのインパクト
第1次安倍政権退陣の原因となった「消えた年金」と酷似した構図ができあがりつつある。野党が「年金カット法案」として反対する年金改革関連法案である。政府は気づいていないが、高齢者層に怨嗟の声が満ち始めている。
NHKの討論を聞いたが、視聴者に対する訴求力において自民党幹事長代行の下村博文と公明党幹事長代行の斉藤鉄夫は、民進、共産などの主張に、首を並べて討ち死にのていたらくであった。
与党はいくら理屈で練り上げても、結局は法案が高齢者の年金を減らす法案であることを露呈してしまったのだ。生活直撃マターは直ちに投票行動となって現れる。
衆院選挙で常に8割近くが投票をする高齢者層を敵に回すことになる。これを知ってか知らずか下村は先月24日、次期衆院選の小選挙区で自民党の獲得議席が、前回より86減る可能性があるとの見方を示した。これはのほほんとしている若手議員らへの“脅し”だけではなく、実感であったのかもしれない。
新法案は年金財政の悪化を食い止め、現役世代が将来受け取る年金の給付水準を維持する狙いがある。新たなルールは、物価や現役世代の賃金に合わせて年金給付額が変わる「賃金・物価スライド」を徹底するものだ。物価よりも賃金が大きく下がった場合、これまで物価の下落に合わせて年金支給額を下げていたが、新ルールでは、賃金の下落に合わせて支給額を下げる。
野党は「年金カット法案」と主張するが、安倍は「年金水準維持法案」と反論する。民進党の試算では、年金支給額は現在よりも5.2%減少。これが正しければ国民年金は年間約4万円減、厚生年金では年間約14.2万円減る。
既に安倍政権は公的年金を3.4%減らし、医療面でも70~74歳の窓 口負担を2割に引き上げるなど高齢者に厳しい政策を打ち出している。筆者の友人らも会合ではもっぱら年金問題が話題に上がり、感情的反発がまず先行するようになった。
それではなぜNHKで与党が完敗したかというと、人の懐に手を突っ込む法案に、理屈を先行させたからだ。野党幹部からは「スリがへりくつを述べるようなもの」 との批判の声が聞こえるが、うなずけなくもない。
下村は「『年金カット法案』という主張は受給者に対するポピュリズムそのもの」と反論したが、多くの高齢視聴者はこの発言に不快感を覚えたに違いない。ポピュリズムと言うより死活問題であるからだ。
また斉藤は「年金カットというが全く違う。いまは若い人が将来受け取るべき年金を取りくづしているが、将来の年金を確保する法案だ」と述べたが、民進党幹事長代理の福山哲郎は、「年金減少が発動されないのならこんな法案は必要ない」 と切って捨てた。
共産党や社民党の主張は信用がおけないから、文字の無駄で滅多に紹介しないが、今度ばかりは視聴者への訴求力があった。共産党書記局長の小池晃は「物価スライドでないと生活を維持出来ない。今度は物価がいくら上がっても賃金が下がったら年金を下げる。高齢者は生きていけない。」 と 感情に訴えた。
社民党副幹事長吉川元も「見れば見るほど年金カット法案と言うほかにない。生活水準が低下する」と述べた。この「生きていけない」「生活水準が低下する」という感情的表現が選挙戦では高齢者に最も通りやすく、年金制 度の問題については理性的に反応しにくいのだ。
一方で民放でも年金法案たたきが始まった。時事放談で元内閣官房長官武村正義は「年金はシリアスだ。老後の年金をあてにして一生懸命支払ってきた年寄りが納得できるか」と自らの年金にも言及して批判。民進党幹事長代理の玉木雄一郎はしめたとばかりに「確かにもらえると思って払ってきたのに約束が違う。ぎりぎりの生活者にとって年金確保は重要だ」と同調した。これが皮切り となって年金問題は朝テレ、TBSなど左傾化民放のワイドショーの絶好の餌食となることは確実である。
消えた年金問題は高齢者に実質的な影響はほとんどなかったが、今回は高齢者の所得を直撃する問題であり、自宅でワイドショーばかり見て世間話のネタにしている高齢者層への影響は甚大なものがあろう。
投票率を見れば高齢者パワーは一目瞭然である。高齢者人口は3186万 人で過去最多。総人口に占める割合は25.0で過去最高となり、4人に1 人が高齢者。
その高齢者のうち80歳から79歳までの投票率はすべて70%台を超えており、中でも年金が始まる65から69歳は77.75%で8割に迫る。
これらの老人パワーは安倍の対中国、北朝鮮政策に賛同する保守層が圧倒的だが、これが敵に回ったらどうなるか。産経の調査によれば4野党が全 295選挙区に統一候補を擁立した場合の、自民、公明両党は、ただでさえ 計47選挙区で「野党統一候補」に逆転されることが判明した。
前回衆院選で与党は3分の2(317議席)超の大勝を収めたが、野党共闘 により47選挙区で当落が逆転すれば、与党は279議席で3分の2を大きく割り込むとの予想だ。
これに年金問題の逆風が吹いた場合の早期解散は、大敗に輪をかける敗北を喫しかねない。唯一食い止めるのが12月15日の安倍・プーチン会談で北 方領土が前進するかどうかだが、中途半端では勝てない。
したがって安倍は年金を強行採決して1月解散・総選挙を含めた早期解散を完全に断念するか、年金を先送りするかの判断を迫れることになる。しかしほとぼりが冷めるのを待っても、引かれるたびに、怒りが増幅するのが年金削減であり、これは選挙戦に常時不利に働く。法案の内容も一挙に賃金にスライドさせることは避け、例えば5分の1くらいから始めるという、妥協策も必要となる>(以上)。
白人の怒りによる復讐ならぬ、老人の怒りによる復讐が起きる可能性が高いという事です。政治家は国民の声なき声をキャッチしないと、思わぬ展開になるという事を肝に銘じた方が良いでしょう。トランプが良い例です。今までの年金の物価スライド制維持で行くべき。
解散するなら早めにやった方が良いです。11/30臨時国会閉幕時か会期延長した時の最終日にやった方が良いでしょう。野党統一候補を立てられると、自民党若手議員は40~80台まで落選と言うのが上の記事です。野党の体制が整わない内に選挙するのが常道では。幸い、蓮舫の二重国籍問題、連合の自民党接近とかプラスの話題もあります。連合だって賃上げに力のない反日民進党を応援しても仕方ないと思っている筈です。前の総評と同盟とに分かれた方が健全では。
池田記事
「想定外」という言葉を聞く時、私たちは、その言葉を発した組織や人物が時代の変化に対応できなくなっていることを知る。ドナルド・トランプ氏という人物が次代の米大統領に選出されたという結果が示すものとは、その事実を前に「想定外」という言葉をつぶやく他ないすべての人の「敗北」だった。
英国の国民投票がEU(欧州連合)脱退という民意を世界に示した時にも感じていた。フィリピンのロドリゴ・ロア・ドゥテルテ大統領の発する言葉にも、インドのナレンドラ・モディ首相の政策にも感じていた。その違和感に対してそれぞれ世界史上の稀有な「例外」だと自らに言い聞かせて来た人々は、しかし、世界最強の国家で生まれたこの新しいリーダーを前に、どうやらこれらの現象が民主主義のエラーによるものというよりも、世界の大きな変化の表れと考えた方がいいのではないかと悟り始めている。
「金の総量」を上限とした世界の富を奪い合うゼロ・サムゲーム――誰かが豊かになれば誰かが貧しくなるゲーム――が強要された金本位制の時代を超えて、20世紀後半以降、世界は、自由貿易の輪を広げることで「全員が豊かになれる」という夢を共有することができた。その利害が一致していることが、各国に最善の安全保障をもたらす。2度の世界大戦と冷戦を経て、世界はその「結論」に収斂するかのように思えた。いわば「経済は政治を超える」。その20世紀における最大の実験がEUであり、21世紀のそれが環太平洋経済連携協定(TPP)だったと言えるだろう。
英国と米国の民意は、それぞれに「否」を突きつけた。
「オバマ政権とリベラルに対する白人の復讐」の中で、篠原匡・ニューヨーク支局長は、産業の転換に取り残されながら、新たな仕事を探すことも、その地を去ることもできない「白人の町」の困窮と、その原因を他国の経済成長や移民に帰する排他主義の台頭を描いていた。その姿は、英国が決別した欧州で、失業したギリシャの人々が、生まれた地から離れようとせず、経済成長を謳歌するドイツに怨嗟の声を上げる姿と重なって見える。
ヒトやモノの往来の障壁を引き下げれば、より豊かな生活を求めて人々は「最適な場所」に移動していく。自由貿易主義のそんな仮説が幻想に過ぎず、どうやら人間とは、やはり土着的なナショナリズムにその心を縛られ、自由になれない存在なのではないか。そんな懐疑が「全員が豊かになれる」という理想を破り、「あの国が豊かになったせいで自分たちは苦しくなった」というゼロ・サムゲームの心理にまで時代を後退させつつある。
「『トランプ大統領』、Brexitに意外な追い風」の中で蛯谷敏・ロンドン支局長は「フランスの極右政党である国民戦線のマリーヌ・ルペン党首はすぐにツイッターでトランプ大統領誕生を祝っている。反EUを掲げる欧州の極右政党にとっても、トランプ氏の大統領就任は追い風となる可能性がある」と指摘している。
トランプ大統領が世界を変えるのではなく、世界が変わったからトランプ大統領が生まれたと言うべきかもしれない。
日経ビジネスは、その変化を「例外」と捉えずに大きな変動の兆しと見て、かねて特集「もしトランプが大統領になったら」と題して「トランプの時代」を占って来た。同氏の当選を受けて、新たに3つのテーマで識者や現地に取材して記事を配信する。
その1:米国の変容
1つ目は「米国の変容」。トランピズムを生んだ土壌、廃墟のような「白人の町」を訪ね歩いた「消去法のアメリカ」シリーズに、当選確定後に大統領選挙戦を振り返った「オバマ政権とリベラルに対する白人の復讐」を配信。フィナンシャル・タイムズからは、反トランプの米国人による手記「トランプ勝利 睡眠薬が必要だ」を翻訳掲載した。熱烈にトランプを支持する層と、「明日、ニュージーランドに飛ぼうと思う。筆者は本気だ。とにかく今は、米国から可能な限り遠く離れるのがよさそうだ」と記事を書き出す記者。この両者の断絶の深さを、改めて比べてお読みいただきたい。
「本日配信の記事から
- オバマ政権とリベラルに対する白人の復讐
- トランプ勝利 睡眠薬が必要だ 米国から移住するしかないかもしれない
- 金融関係者には「冬の時代」が続く 日本郵政・長門正貢社長に聞く
- 議会と手を握れるか、接点は「減税策」 トランプ氏の米国:みずほ総研の安井明彦氏に聞く 」
その2:震える世界
2つ目は「震える世界」。トランピズムが顕在化させた世界の変容が、各地にどんな変化をもたらすかを考えた。「経済政策の分かりにくさ以上に分からないのが、トランプ氏が外交で何をやってくるかだ。トランプ大統領の誕生で起きる最も大きな変化は、地政学リスクの高まりではないか」と「これから大きくなるのは地政学リスク」の中で指摘するのは笹川平和財団特任研究員の渡部恒雄氏。ほか、英国のBrexit(EU離脱)に与える影響を蛯谷支局長が取材した「『トランプ大統領』、Brexitに意外な追い風」、サイバー空間におけるリスクを慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科教授の土屋大洋氏が解説する「サイバー空間の不安定化に拍車」などを配信した。
「本日配信の記事から
- 「トランプ大統領」、Brexitに意外な追い風 英国とEU、離脱交渉で形勢逆転?
- これから大きくなるのは地政学リスク 中国は尖閣問題で米国の出方を探ってくる
- トランプ氏、真の姿は柔軟なビジネスマン 思想界の気鋭、萱野稔人氏が斬る大統領選
- 「トランプ当選」しか書けない中国SNSの闇事情 「ウチにも公安が来た」と主婦が震える言論統制
- サイバー空間の不安定化に拍車 日本と韓国で始まる「核保有」議論 」
その3:身構える日本
最後に「身構える日本」。世界で先進国が試みて来た自由貿易の実験の末端で、日本は、内需の伸びが止まりつつあることでようやくその重い腰を上げてTPPに参加を決めた。政府が進めるこの起死回生の決断が、米国に覆されるかもしれない。だが、「そこまで心配ない」と状況を冷静に見守るのが元・防衛大臣の石破茂氏。「選挙期間中に言ってきたことと、大統領になってから実際にやることは大きく変わるなんて、よくあります。例えばロナルド・レーガンは大統領選挙のときに、中国に対抗して台湾と国交を回復すると言いました」と、トランプ氏の理解と変化に期待する(「石破氏:「トランプ大統領」は豹変する」)。一方で、企業経営者からはTPPの実現を注視する声が聞こえてきた(「TPPの成否で船舶需要に影響も」、ジャパンマリンユナイテッドの三島愼次郎社長)。
日本経済に対する短期的なインパクトについては、エコノミストや企業経営者に聞いた。「日本の経済成長率はゼロ%台半ばに落ちる」(第一生命経済研究所首席エコノミスト・永濱利廣氏)、「為替は1ドル90円台前半へ」(みずほ銀行 チーフマーケット・エコノミスト・唐鎌大輔氏)、「日銀は苦しい立場に追い込まれる」(東短リサーチ チーフエコノミスト・加藤出氏)など悲観論が多数を占めたが、中には「ご安心を、日経平均の底値は1万6000円」(SBI証券投資調査部シニアマーケットアナリスト・藤本誠之氏)といった声も上がった。
「本日配信の記事から
- 日本株の命運は、今週金曜に決まる 三菱UFJモルガン証券・古川真ストラテジストに聞く
- 為替は1ドル90円台前半へ すべての動きがドル安につながっていく
- 石破氏:「トランプ大統領」は豹変する 自民党も民進党もパイプ作りはこれから
- 日銀は苦しい立場に追い込まれる マイナス金利深掘りは意味がない
- 日本の経済成長率はゼロ%台半ばに落ちる 円高から所得減は避けられない
- サントリー新浪社長「日米経済の現実直視して」 新政権への要望
- TPPの成否で船舶需要に影響も ジャパンマリンユナイテッドの三島愼次郎社長に聞く 」
トランプ的なるものが世界を覆いつつある今、その行く末を「想定外」と呼ばずに対応していけるかどうか。この時代を生きる国や企業それぞれが問われている。
篠原記事

勝利集会に向かうトランプ氏(写真=ロイター/アフロ)
長編の政治リアリティーショーと考えれば、これ以上ない筋書きだったのではないだろうか。
11月9日午前2時40分。米CNNに短いテロップが流れた。「クリントン候補、電話で負けを認める」。その瞬間、共和党の大統領候補、ドナルド・トランプ氏の会見が予定されていたヒルトンホテルの周辺は異常などよめきにつつまれた。純粋にトランプの当選に歓喜した人間もいれば、トランプ大統領が米国と世界に与えるであろう混沌を前にしたおののきもあったに違いない。
先の読めない展開と終盤のどんでん返しが優れたシナリオの条件だとすれば、今回の大統領選は100点満点がつけられる。
まず、登場人物の設定が素晴らしい。主人公のトランプ氏は不動産王国を作りあげたビリオネア。メキシコ移民をレイプ魔とののしり、元ミス・ユニバースを公の場で“ミス子豚”と呼ぶなど、大統領候補としてはあまりに粗暴だが、エリートが支配する腐りきったワシントン政治とは無縁のアウトサイダーだ。一方、ライバルのヒラリー・クリントン候補は政策に対する知見も高く、政治家としての実行力も申し分ない。ビル・クリントン元大統領のファーストレディーとしてホワイトハウス入りした後、上院議員、国務長官として権力の階段を駆け上ったザ・エスタブリッシュメントである。
何より展開がドラマティックだった。
昨年6月に出馬表明した時点では「メキシコ国境に壁を築く」と荒唐無稽な政策を唱えるだけの泡沫候補に過ぎなかった。だが、歯に衣着せぬ言動やライバルの主流派候補への容赦ない攻撃で、経済的・社会的に劣後感を感じていた白人労働者層からカルト的な支持を獲得。ジェブ・ブッシュ元フロリダ州知事 など並みいる有力者を押さえて支持率トップに躍り出た。
それでも2月に予備選が始まるまで、多くの専門家はトランプ氏がいずれ失速すると高をくくっていた。だが、予備選が始まると、彼の勢いが本物であると気づき始める。
白人労働者層に共感する唯一の政治家
その背景にあったのは米社会、とりわけ低所得の白人が抱えていた澱のような不満だ。
今回の大統領選でトランプ氏は、オハイオ州やノースカロライナ州、ウェストバージニア州など、白人労働者の比率が高い州で勝利を収めた。こういった州の多くは、日本や韓国、中国などとの国際競争に晒され、製造工程の自動化や工場の海外移転などに直面した地域だ。
鉄鋼業の「グラウンドゼロ」と呼ばれるペンシルベニア州アリクィッパは製鋼所の閉鎖で人口の大半が失業した。ここまで極端ではないにしても、製鋼所を抱えたペンシルベニアやオハイオの企業城下町の多くは1980年代以降、製鋼所の閉鎖や人員削減に見舞われた。それは家具で栄えたノースカロライナ州ヒッコリーや炭坑の街、ウェストバージニア州チャールストン周辺も変わらない。
こういった地域ではコミュニティの崩壊も深刻だ。ラストベルトの白人低所得者階級に生まれ、貧困と暴力の中で育ったJ.D.バンスの回顧録、『ヒルビリー・エレジー(田舎者の哀歌)』。ここで描かれているのは、雇用が失われた後も街を離れることができない貧困層が仕事や絆をなくし、暴力やドラッグに走る現実である。事実、ラストベルトやアパラチア山脈周辺は薬物中毒死がほかの地域よりも多い。
メキシコに壁を築くといった発言や不法移民の強制送還 はニューヨークのエリートやワシントンのエスタブリッシュメントには乱暴な声に聞こえる。だが、ラストベルトに暮らす人々にとってはみれば、自分達の苦境を理解し、共感してくれる唯一の政治家。彼らのような人々がトランプに希望を見出していたのだ。
そして2月。それまでトランプ氏に対する攻撃を控えていたライバル候補も、トランプ氏の躍進を前に慌てて攻撃を始めた。だが、乱戦でのケンカとなればトランプ氏の方が一枚上手。マルコ・ルビオ上院議員とのイチモツの大きさ論争やテッド・クルーズ上院議員との夫人を巡る中傷合戦などくだらない応酬のオンパレードだったが、罵詈雑言をパワーに変えたトランプ氏が熾烈な予備選を勝ち抜いた。まさかの指名獲得である。
ブレグジットの“再来”
相前後して、今回のリアリティーショーに花を添える動きが欧州で起きる。ブレグジット、すなわち英国のEU(欧州連合)離脱を決めた国民投票である。EUの肥大化した官僚機構や国家主権の制限に対する怒りなど、様々な背景が解説されたが、突き詰めれば、経済的な豊かさを実感できず、経済成長から取り残されたと感じている人々、特に地方都市の中高年の反乱である。ブレグジットを主導したボリス・ジョンソン氏がトランプ氏と同様のポピュリストだったこともあり、誰もがその姿をトランプ氏に重ねた。
もっとも、ポール・ライアン下院議長をはじめ主流派は、トランプ氏が党の正式な候補になればそれらしく振る舞うのではないかと期待していた。米国でも無党派層が占める割合は増えている。フロリダ州など大統領選で重要な役割を果たす州でヒスパニックの存在感が増しており、彼らに支持を広げなければホワイトハウスに手は届かない。そのためには従来の移民に対する強硬姿勢を和らげる必要がある。
実際、トランプ氏も演説の際にアドリブを控え、プロンプターを読むなどまともな候補になろうとした時期もあった。だが、70年間で培われた性格は数カ月で変わるものではない。党大会の直後、トランプ氏を批判した米兵遺族を脊髄反射的に攻撃してしまう。米国では戦争で死亡した兵士の家族を侮辱することはタブーである。結果的に、トランプ氏への支持を撤回する共和党主流派が相次いだ。8月半ばには選対本部長が辞任するなど、陣営内のごたごたがやまなかった。この時に、支持層を広げるのはやめて、原点である白人労働者階級に絞った選挙戦を展開すると決めたのだろう。
エスタブリッシュメントにしか見えない
それでも、クリントン氏との支持率の差が思ったほど広がらなかったのは、クリントン氏に対する不信感が大きい。
選挙期間中、クリントン氏は国務長官時代の私用メール問題や慈善団体「クリントン財団」による便宜供与疑惑などで強い批判を浴びた。私用メール問題は米連邦捜査局(FBI)の再捜査など二転三転したが、最終的に訴追を求めないという結論にいたった。それでもクリントン氏に対して、「何かを隠している」「嘘つき」という印象を持つ有権者は数多い。
女性の社会進出を阻む「ガラスの天井」を突き破る存在として同氏に期待する向きもあるが、ファーストレディーにとどまらず、上院議員、大統領と権力を目指すクリントン氏の上昇志向を毛嫌いする層は確実に存在する。サンダース氏を支持した若者たちにとってもクリントン氏は、ワシントン政治に染まりきったエスタブリッシュメントにしか見えないだろう。30年間の政治活動で染みついたイメージは数カ月では変わらない。最終的に、クリントン氏はマイノリティ票とサンダース票の両方を取り逃すことになる。
テレビ討論会を前にした9月半ば。両者の支持率の差は1ポイント以内まで縮まったが、その後、前代未聞のオクトーバーサプライズが炸裂する。テレビ番組に共演した女性に対する過去のわいせつ発言ビデオが暴露されたのだ。トランプ氏は「ロッカールームの会話だ」と火消しに努めたが、「スターであれば誰とでもヤレる」という趣旨の発言が大統領選の1カ月前に出た影響の大きさは計り知れない。「もうトランプは終わった」と多くの政治評論家が結論づけたのも当然だ。
その後、選挙直前にFBI(米連邦捜査局)のコミー長官がクリントン氏の私用メール問題を再調査すると発表する別のサプライズが起きたが、それでもトランプ氏が勝利する道はかなり限られていた。
彼が過半数の選挙人を獲得するためには、2012年の大統領選で共和党のミット・ロムニー候補が勝利した24州をすべて押さえた上で、フロリダやノースカロライナなどどちらに転ぶか分からない激戦州や、コロラドやペンシルベニアなど民主党寄りと考えられている州を取る必要があった。ロムニー氏が2012年に取った州も決して安泰ではない。オハイオ州やアイオワ州などはクリントン氏が力を入れ、激戦州となっている。奇跡に奇跡が重ならなければホワイトハウスへの道のりは厳しい――。そう思われていた。
米国の有権者は変化を選択した
それでも勝利したのはなぜか。ひと言で言えば、変化への渇望である。
ロナルド・レーガン元大統領のスピーチライターを務めたペギー・ヌーナン氏は以前、米ウォールストリート・ジャーナルの定期コラムで、今年の大統領選を「絶望」と「不安」の戦いとたとえた。
民主党のクリントン候補は政治経験が豊富で政策的な知見も高いが、政治経済を牛耳る主流派の代弁者で体制の劇的な変化は望めない。他方、共和党のトランプ候補は既存政治とは無縁のアウトサイダーだが、大統領になった後どのような世界を作るのかはふたを開けてみないと分からない。能力は申し分ないが現状維持の候補と、破壊力は満点だが予測不能な候補の二者択一。それを「絶望」と「不安」という言葉で表したのだ。そして、米国の有権者は最終的に変化を選択した。
サイレントマジョリティとして無視されてきた地方の白人の反乱と言い換えることもできる。
オバマ政権の8年間で経済は着実に回復しているが、所得の伸びは遅々としており、中間値を見れば金融危機前の水準を下回る。グローバル化と貿易の拡大で国は豊かになったのかもしれないが、慣れ親しんだ仕事がなくなり、英語を話さない隣人が増えた。オバマ大統領の8年間で同性婚の容認などリベラルな政策が導入され、「多様性」を重視すべしとの掛け声の下でマイノリティばかりが優遇される。彼らの視点から見れば、オバマ大統領の8年で米国は確実に悪化した。将来に対する不安が高まっているにもかかわらず、ワシントンのエリートは党利党略ばかりで物事が何も決まらない――。
その怒りは共和党の主流派にも向いている。
ライアン下院議長をはじめとする主流派は自由貿易や移民の受け入れを支持してきたが、地方に暮らす白人の多くはそれらを望んでいない。主流派が目指すソーシャルセキュリティの削減や富裕層減税も、ブッシュが始めたイラク戦争や積極的な拡張外交も、恐らく彼らの多くは望んでいない。トランプ氏が共和党の分裂を招いたとしばしば指摘されるが、既に共和党は、エスタブリッシュメントや富裕層と、それ以下に分裂していた。トランプ氏はそこに現れ、人々の不満に火をつけただけだ。
「これは白人の反撃だ。国を変えようという白人の反撃であり、黒人大統領に対する反撃である」。CNNでコメンテーターを努めるバン・ジョーンズ氏はこう述べた。トランプ氏が人格的に大統領に向かないと60%の人々が考えていた。その中でトランプ氏が大統領になり、上下院を制したという事実。それはオバマ政権とリベラルに虐げられてきた白人のせい一杯の復讐なのだろう。
北野記事

トランプ大統領誕生で株価は下落、為替も円高が進むなど、市場は 「トランプリスク」に怯えている。日本は、トランプ大統領とどのように渡り合っていくべきだろうか? Photo:AP/AFLO
ヒラリー・クリントンとの激戦を制したドナルド・トランプ。数々の暴言で知られるトランプだが、間もなく日本の同盟国・米国の大統領になる。この事実を私たちは受け入れ、未来に目を向ける必要がある。今回は、「日本は、トランプとどうつきあうべきなのか?」を考えてみよう。
なぜ、泡沫候補が勝利できたのか?
日本に対しても、「もっと金を出さなければ、米軍を撤退させる」「日本が核を保有することは悪いことではない」とトンデモ発言を繰り返し、日本人と日本政府を困惑させてきたトランプ。まず、当初「愉快候補」「泡沫候補」と思われていたトランプが、なぜ勝利できたのかを考えてみよう。
1つ目の理由は、「グローバル化」への反発である。
「超富豪が世界を牛耳っている」というと、「陰謀論」と捉える人が大半だろう。しかし、近年「本当にそうなのではないか?」という事実も出てきている。なんと、「世界の大富豪上位62人の資産と、下位36億人の資産は同じ」だというのだ。CNN.co.jp1月18日から。(太線筆者、以下同じ)
<オックスファムは今週スイスで開かれる世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)に向け、米経済誌フォーブスの長者番付やスイスの金融大手クレディ・スイスの資産動向データに基づく2015年版の年次報告書を発表した。 それによると、上位62人と下位半数に当たる36億人の資産は、どちらも計1兆7600億ドル(約206兆円)だった。>
<また、上位1%の富裕層が握る資産額は、残り99%の資産額を上回る水準にあるという。>(同上)
上位1%の資産は、残り99%の資産額より多い!そして、同報告書によると、格差はますます拡大し続けている。
・62人の超富豪と、貧しい36億人の資産は同じ。 ・上位1% の資産は、残り99%を超える。 ・貧富の差は、ますます拡大している。
このような世界の現状は、陰謀論者でなくても「おかしい」と思うだろう。米国でも、そう考える人が増えた。
ところで、「グローバル化」と「貧富の差の拡大」は、どう関係があるのだろうか?ここでいう「グローバル化」とは、「人、モノ、金の移動が自由になること」を意味する。たとえば、「金の移動」が自由になり、世界の大企業や大富豪たちは、普通にオフショアを利用している。つまり大富豪は、合法的に「税金をほとんど払う必要がない」のだ。
一方で、「人の移動の自由化」により、たとえば米国に貧しい国からの移民が殺到している。労働市場に安い労働力がどんどん供給されるため、元から住んでいた人たちの賃金は安くなり、職を失う人も多い。
しかし、「労働力が安くなること」を、大企業は歓迎する。今回の大統領選で、こうした「行きすぎたグローバル化」に反対の声を挙げた候補が2人いた。1人は、民主党でヒラリーを追いつめた社会主義者サンダース。もう1人は、共和党のトランプだ。
トランプ自身は大富豪だが、移民の規制を明言するなど、「反グローバル化」「米国第一主義」を掲げている。
トランプが勝利した2つ目の理由は、「ISによるテロが頻発していること」だ。
2014年8月、オバマは「イスラム国」(IS)への空爆を開始した。苦境に立たされたISメンバーたちは、難民に混じって欧州に逃れ、その後世界に散らばっていると言われている。たとえばドイツだけで15年、100万人以上の難民がシリア、イラク、アフガニスタンなどから来た。そのうち何人がISメンバーなのか、把握できない(誰も、「自分はISメンバーです」と宣言してやってこない)。
トランプは15年12月、「イスラム教徒の入国を完全に禁止しろ」と発言した。理由は、「誰が普通のイスラム教徒で、誰がISメンバーなのか分からないから」だ。政治家もメディアも「差別だ!」とひどく反発したが、米国民からは、「その通りだ!」という声が上がりで、支持率は下がらなかった。
トランプ当選の最大の理由 FBIはなぜヒラリー捜査を再開したのか?
3つ目、最大の理由は、大統領選直前にヒラリー・クリントンの汚職疑惑に関心が集まったことだろう。
ビル・クリントンが大統領を引退した01年、ヒラリーはニューヨーク州上院議員になった。2人は同年、慈善団体「クリントン財団」を立ち上げている。
政府の汚職を研究する「政府アカウンタビリティ研究所」(GAI)のピーター・シュバイツァー会長は15年5月、「クリントン・キャッシュ」という衝撃的な本を出版した。全米でベストセラーになったこの本によると、クリントン夫妻は、以下のような構図で金儲けをしていたという。
1.ビル・クリントンが、外国政府、企業の要望を聞き、上院議員(後に国務長官)ヒラリーに、それを伝える。 2.ヒラリーは、政治力を行使し、外国政府、外国企業の願いをかなえる。 3.外国政府、外国企業は、見返りとして、ビル・クリントンに高額の講演料を支払うか、あるいは「クリントン財団」に多額の寄付をする。
「クリントン・キャッシュ」によると、その「黒い収入源」は、カザフスタン、ロシア、インド、アフリカ、中東、南米と、世界中にひろがっている。「クリントン財団」の汚職疑惑については、FBIも捜査している。ウォール・ストリート・ジャーナル10月31日付を見てみよう。
<クリントン財団の捜査に関する証拠の強さに上級幹部らが繰り返し疑問を投げ掛け、多岐にわたる取り組みを縮小しようと試みていたことが新たに分かった。一部の関係者によれば、この一件の追及を制限するよう捜査員たちに命じていた。同財団への捜査は、金融犯罪などの有無を見極めるために1年以上前に始まった。>
この記事は、1.クリントン財団に金融犯罪の疑いがあり、FBIが捜査していること 2.FBIの上層部は捜査に乗り気でないこと、を示している。
しかし、上層部が乗り気でなかったはずのFBIは、なんと大統領選挙直前に、「メール問題」「クリントン財団問題」の捜査を再開し、ヒラリーのイメージに決定的打撃を与えた。
捜査再開の理由についてFBIは、ヒラリーの側近フーマ・アベディンと、その夫アンソニー・ウィーナー元下院議員のパソコンから、私用メール問題に関係のある可能性があるメールが「新たに65万通見つかったから」と説明している。
しかし、ロシアでは、「ヒラリーのあまりにひどい汚職に耐えかねたFBIが、彼女の支持率を下げるために、わざと選挙直前に捜査を再開した」とみられている。
真相は分からないが、実際に支持率は下がり、トランプは勝利した。
米軍駐留費全額負担と在日米軍撤退はどちらが日本にとっておトクか?
次に、「トランプ新大統領と、どう付き合うべきか?」を考えてみよう。トランプは、さまざまな暴言を吐いているが、日本がらみで大問題になったのは、2つである。
1.日本がもっと金を出さなければ、在日米軍を撤退させる可能性がある。 2.日本の核武装を容認する。
要するに、トランプは「日本がもっと金を出せば、在日米軍は留まる」ということを言いたいのだ。そうなれば、日本が核武装する必要もなくなる。つまり、日本にとって、トランプ問題は「在日米軍に残ってもらうために、もっと金を出すべきかどうか?」という話に集約される。
これを検討する前に、「そもそも日本には脅威が存在するのか?」を考えなければならない。
真っ先に思い浮かぶのは、北朝鮮だろう。そして、中国。毎度同じことを書いて申し訳ないが、中国は12年11月の時点で、ロシアと韓国に、「反日統一共同戦線」の構築を提案している。そして、「日本に放棄させるべき領土」には、北方4島、竹島、尖閣に加えて、沖縄も入っている。中国は、「日本には尖閣だけでなく、沖縄の領有権もない」と宣言しているのだ。さらに同国は、「反日統一共同戦線には、米国も引き入れなければならない」としている。
つまり、中国が尖閣、沖縄を奪うのは「既定路線」であり、米軍が撤退すれば、必ず侵略を開始するだろう。結局、日本の選択は2つしかない。
1.トランプの求めに応じて、米軍駐留費用をもっと払う。 2.米軍に出ていってもらい、自分の国は自分で守る。
「独立国家としての理想」は、いうまでもなく「自分の国は自分で守ること」だろう。しかし、そうなると、巨大な中国に対抗するために、「防衛費増加」を避けて通ることはできない(ストックホルム国際平和研究所のデータによると、中国の軍事費は15年、2150億ドル。日本は409億ドル。その差は、実に5倍以上である)。
現在、日本の防衛費はGDPの約1%、約5兆円である。これは、世界レベルで見ると例外的に少ない。米国の軍事費は15年、GDP比で3.32%。日本が米国並みの軍事費を目指せば、防衛費は年間16兆円となり、現状の5兆円+11兆円増となる。そこまで極端でなくても、GDP比2%ぐらいは、当然必要になってくるだろう。そうなると防衛費は倍増するので、年間5兆円増となる。
はたして日本国民は、「防衛費を年間5兆円増やすこと」に賛成するだろうか?財政面を考えても、おそらく無理だろう。では、トランプの要求に従って「米軍駐留費用」を増額すると、いくらかかるのだろうか?
実をいうと、日本は既に「米軍駐留費用」の約75%を負担している(そのことを知ったトランプは、「日本はそんなに払っているのか!」と驚いたという)。
防衛省によると、平成28年度の「在日米軍関係経費」は、5566億円となっている。これで75%ということは、100%負担すると年間7421億円が必要となる。
7421億円-5566億円=1855億円。
トランプから、「100%日本が負担しろ!」と言われ、それを実行すると、年間1855億円の負担増となる。一方、米軍に出ていってもらって完全自主防衛にし、防衛費を現在のGDP1%から2%にすれば、年間5兆円の負担増だ。どちらに経済合理性があるかは、明らかではないだろうか?
トランプの言動から読み取れる性格 「負けず嫌い」をうまく活用すべき
トランプとは、どんな男なのだろうか?今までの発言からはっきり分かる特徴が2つある。
1.民族主義的である。 多民族国家である米国で、「民族主義」という用語は適切ではないかもしれない。トランプ風にいえば、「米国第一主義」となる。
2.なんでも「損得」「お金」で判断する。 資本家、経営者としては当然かもしれない。このことは、日本、韓国、サウジアラビア、NATO諸国などに、「もっと金を出せ!」と要求していることから明らかだ。
BBCニュース11月2日付は、「ドナルド・トランプ氏の頭の中」という記事の中で、8つの特徴を挙げている。
1.過去について話すのが好きではない 2.けんかが好き 3.失敗を受け入れるのが嫌い 4.自分の名前が記事になるのが大好き 5.良い政治家は良いセールスマンだと考えている 6.自分は正直だから騒ぎになると考えている 7.パットが上手(らしい) 8.スキーの名人を良く思っていない、自分より上手いと見せつけられるのも嫌い
トランプの過去のインタビューを分析して書かれたこの記事からわかるのは、「異常なまでに負けず嫌い」であるということだ。もっとも興味深いのは、「8」だ。
<8. スキーの名人を良く思っていない、自分より上手いと見せつけられるのも嫌い。 本を書くにあたって、ダントニオ氏はトランプ氏の元妻イバナさんにも取材した。付き合い始めて間もなくコロラド州にスキーをしに出かけた時のことを、イバナさんは話した。 イバナさんがスキーが得意だと知らなかったトランプ氏は、先に斜面を下ってから恋人に「こっちだよ、ベイビー、こっちだよ」と呼びかけたという。 そこでイバナさんは「空中で回転したんです。2回、くるって。彼の前で2回。そしてそのまま遠くまで滑って行った」。 「ドナルドは激怒して、スキーを外して、シューズも外して、レストランまで歩いて行ってしまった。我慢できなかった。まったく我慢できなかったんです」> (BBCニュース 11月2日)
恋人が自分よりスキーがうまいのが、我慢できない!その後の態度は、まるで子どものようだ。日本は、こういうトランプの特徴を知り、うまく付き合うべきだ。安倍総理はトランプに会ったら、「私も日本国民も、米国が世界のリーダーで居続けることを望んでいます」と言おう。トランプは、きっと喜ぶだろう。
続いて、「しかし国際社会は、米国が世界のリーダーで居続けるとは思っていないようです。ほとんどの米国の同盟国が警告を無視して、中国主導のAIIBに参加したことからも、それは分かります。世界は、中国が世界のリーダーになると思っているみたいですね」と言う。すると、トランプの負けず嫌いに火がつき、「どうすれば中国に勝てるだろうか?」と考えはじめることだろう。
日本最大のリスクは、米国抜きで日中戦争になることである。そうなれば尖閣は、ほぼ確実に奪われる。
日中戦争を回避するもっとも簡単な方法は、払う金を増やしても日米同盟を強固に保つこと。そしてトランプに、「対中国バランシング同盟」を主導してもらうことだ。日本が考えなければいけないのは、トランプの強大なエネルギーを、正しい方向に向けることなのだ。
良ければ下にあります

