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『日韓軍事情報協定めぐり韓国で巻き上がる反対論 大統領スキャンダルの最中になぜ急ぐ?朴大統領に任せられないと野党反発』(11/16日経ビジネスオンライン 趙章恩)について
この期に及んでも財務省は日韓通貨スワップを再開させようと目論んでいます。日本弱体化の旗振りをしている官庁は「財務省、外務省、文科省、法務省」が四天王でしょう。日韓議員連盟会長の額賀とか日韓親善協会会長の河村とかの圧力を受けているのかもしれませんが、国民感情から乖離し過ぎです。「従軍慰安婦」は嘘であったというのが2014年8月の朝日新聞の報道で明らかにされ(朝日新聞は誤報を世界に向けては報道していない、yellow paperです)、それを知っているのにも拘らず、世界に日本を貶めるプロパガンダを続けてきました。 日本人もいい加減怒りをあらわにした方が良いでしょう。先ずは親韓派議員に圧力をかけ、次の選挙は応援しないとメールを選挙事務所に送ることです。多分解散が12月か明年1月にはあるでしょうからこれは堪えるでしょう。『非韓三原則』が正しい道です。甘やかすからつけ上がる幼稚な民族です。日本を貶めた代償は大きかったことを体で覚えさせないと。下のURLは通貨スワップで青山繁晴氏が怒ったというものです。
http://deliciousicecoffee.blog28.fc2.com/blog-entry-6447.html
官僚の失態と言えば外務省につきます。安倍首相にヒラリーとしか会談させなかった手落ちについて下の記事のように外務省が言い訳していますが、信じられません。トランプとの人脈は安倍・トランプ会談時にマイケル・フリンも同席していたと11/19日経にありましたので、官邸ルートでしょう。マイケル・フリンは菅官房長官や長島昭久議員と会っています。この記事は外務省が嘘を言っているか、記者が妄想を逞しくして書いたとしか思えません。
11/19日経<トランプ大統領と米国(5)「話が違うじゃないか」
「大変あたたかい雰囲気で会談できた」。首相の安倍晋三(62)は17日夕(日本時間18日朝)、ドナルド・トランプ(70)と笑顔で写真におさまった。

電話協議に向け必死に人脈をたどった(10日、官邸に入る安倍首相)
もともと安倍は19日からペルーで開くアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の前に米ニューヨークに立ち寄り、米次期大統領との会談を狙っていた。唯一かつ大きな誤算は、その相手をヒラリー・クリントン(69)とみていたことだ。
なぜか。「クリントン勝利の流れは変わりません」。外務省はこう報告し続けていた。9日夕の首相官邸。安倍はトランプ勝利を報告しに来た外務省幹部に「話が違うじゃないか。とにかく早く電話で話したい」といら立った。その場に外務次官の杉山晋輔(63)はいなかった。
9月の安倍の訪米時。外務省はクリントンとの会談だけを設定。安倍は「トランプ側にも仁義を切った方が良いんじゃないか」と漏らす。そこで外務省はトランプの経済顧問、ウィルバー・ロス(78)との面会も決めたが、クリントンの反応を気にして会談は秘密にした。
「クリントンが勝つと決めつけない方が良い。保険を掛けよう」。こう主張していたのは駐米大使の佐々江賢一郎(65)だ。公使の岡野正敬(52)らにトランプ人脈開拓を指示していた。投開票日の数日前には、トランプに近い関係者に外務省側から「勝利した時には安倍首相から電話したい」と打診。政府高官によると、トランプ側は「祝いたいと電話してきた国は初めてだ」と喜んだという。
安倍が9日夕に「電話協議」を指示したことを受け、外務省は佐々江らの面会記録などをもとにトランプ人脈に片っ端から当たり、どうにか10日朝の安倍・トランプの電話にこぎつけた。首相周辺は「投開票数日前の打診が効いた」とも話す。
「予想していたわけでは必ずしもない」。9日午後、財務官の浅川雅嗣(58)はトランプ優勢の報に漏らした。浅川もクリントン政権なら財務長官候補とされる人物と親交があった。だがトランプ側とのパイプはほぼゼロ。16日にニューヨーク入りし、人脈づくりを始めている。
「大統領がトランプさんなら、それはそれでいいじゃないか。やれることを考えよう」。11日夜。安倍は与党幹部を前に、自分自身に言い聞かせるような口調で語った。
(敬称略)>(以上)
韓国とのGSOMIAには反対です。機密が中国に簡単に漏れるでしょう。まあ、死に体の朴大統領が署名を許可するとは思えませんが。上述のURLのブログには「中国とのGSOMIAを結ばない条件として通貨スワップを」と韓国は言っているようですが、そんなものがなくても漏らしているのですから、条件にも何もならないはず。いい加減日本政府は韓国の嘘に騙されないでいてほしい。条約、法律、ルールを反故にしてきた連中です。協定を結んだって、どこ吹く風で破るでしょう。小中華ですので。
朴大統領は死んでも辞任しないでしょう。辞任すれば大統領としての不逮捕特権もなくなり、即逮捕、死刑となり、殺されるのが分かっているからです。権力を握ったものが、腐敗するのは大韓民国の歴史です。歴代大統領or一族が不幸な結末を迎えています。朴氏も例外ではありません。命が助かりたいなら亡命するしかありません。任期満了・弾劾でも大統領を下りた瞬間に逮捕されるでしょうから。まさか日本に亡命なんてことはないでしょうね?あれだけ日本の悪口を世界に言いふらし、告げ口外交をしてきて。でも臆面もなく掌返しができる民族だから分かりませんけど。所詮、中華、小中華と日本人は民族性が違うのですから敬して遠ざけることです。
記事

韓国史上初めて青瓦台にまで迫る集会(新華社/アフロ)
韓国の国防部は11月14日、日韓の防衛情報を共有するための韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)に仮署名したと発表した。同協定の目的は、日韓の間で軍事情報を共有して、北朝鮮の核とミサイルに対応することにある。
韓国のテレビ、新聞など全メディアは14日18時30分頃、速報として一斉に報道した。地上波放送SBSの速報によると、仮署名は韓国国防部東北アジア課長と日本防衛省調査課長が行った。これにより、軍事情報包括保護協定実務協議も終了したという。
韓国は今、朴槿恵大統領の去就を巡って、非常事態としか言いようがないほど国政が停滞し、混乱している。そんな中で国防部(韓国の「部」は日本の「省」にあたる)が、国内での十分な議論もないまま韓日軍事情報包括保護協定に仮署名した。日本との軍事協定をこのタイミングで、速戦即決で締結したのはなぜかと韓国で問題になっている。
青瓦台に至る韓国史上初の集会
11月12日、ソウル市光化門では3回目の朴槿恵大統領退陣を求める抗議集会が行われた。集まった人は年齢も職業もさまざまだった。子供を連れた家族や中高校生、全国各地の農民会や労働組合、大学の名前が書かれた旗を持ったグループなどが目に入った。ソウル市は集会に参加した中高校生らの安全を確保すべく、保健教師を現場に派遣した。
光化門から人があふれ、だいぶ離れた明洞辺りまで集会の行列が続いた。集会の参加者は、警察の推計では26万人。ただし、複数の韓国メディアがソウル市の地下鉄とバスの乗車データから推計したところ100万人を超える規模だった。
この日の集会は、韓国史上初めて、青瓦台(大統領官邸)の入口にあたる景福宮ロータリーまで行進できた。警察は当初、青瓦台周辺では集会を開催できないようにしていたが、ソウル行政裁判所が許可した。「多数の国民が自らの意思を表現するため集会に参加している以上、条件なく認めるのが(韓国が)民主主義国家であることを証明することになる」との理由だ。
12日は米国各地のコリアンタウンでも在米韓国人が集まり、朴大統領の退陣を求める集会を開いた。
集会が開かれた後の13日、朴大統領の友人であるチェ・スンシル一族の国政介入と不正腐敗を捜査する検察は、参考人として朴大統領にも取り調べを行うと発表した。チェ氏の不正を黙認したのか、不正を手助けするよう大統領府の秘書らに指示したのか、などが焦点になるという。大統領は起訴されない特権があるが、現役の大統領が検察の取り調べを受けたというだけでも政治的汚点になる。
共有情報は厳格に管理
軍事情報包括保護協定とは、国同士でお互いの軍事機密を提供し合うもの。戦術データ、暗号情報、システム統合技術などが対象になる。秘密は、第三国に流出しないよう厳格に守る。
日韓が合意した同協定の主な内容は、以下の3つである。 (1)情報提供当事者が書面で承認することなしに、第三国政府等に軍事秘密情報を公開しない。あらかじめ許可された目的以外の目的で使用しない。 (2)情報を閲覧する権限は、公務上必要で有効な国内法令によって許可を得た政府公務員に限る。 (3)情報を紛失または毀損した場合は、情報提供当時局に即時通知し、調査する。
拙速な交渉
韓国国防部は日本の防衛省と、2016年10月27日に交渉を再開した。11月9日に再度協議し、14日には仮署名をした。たった18日で協議を終えたことになる。国防部は仮署名する前の11日、同協定の内容を法制処(日本の内閣法制局に相当)で審査してもらうよう外交部に依頼し、仮署名後の手続きも準備していた。
国防部のハン・ミング長官は10月15日の記者会見で、「韓日軍事情報包括保護協定は国民の意見を反映して推進する。国民の支持、同意を待つ」との立場を表明していた。ところが、10月18~20日に行われた韓米外交国防長官会談後の10月27日に突然、同協定の交渉を再開すると発表した。もともと予定していた公聴会や世論調査を実施しないまま日本側と交渉をはじめ、仮署名を強行した。
国防部のムン・サンギュン報道官は11月11日の記者会見で、「安保・政治問題は歴史と分離すべきというのが国防部の原則。韓日軍事情報包括保護協定は安保のために必要な事項である」として説明した。これに対して韓国民の間では、仮署名が行われた14日以降も「納得がいかない」という声が大きくなっている。
「国防部は何か隠し事でもしているのか」
韓国の野党3党(共に民主党、国民の党、正義党)は、「大統領スキャンダルで国政が麻痺している最中に、軍事情報包括保護協定という大事な取り決めを国防部が即決で進めるとは何事だ」として日本との交渉を中断するよう国防部に求めていた。
韓国メディアも総じて「なぜ今でないといけないのか、なぜここまで急ぐのか」と疑問視する報道をしていた。
しかし国防部は、北朝鮮対策のためにとにかく締結しないといけないという立場を繰り返し、野党3党が反対する中で仮署名した。
一般市民の間でも、「大統領スキャンダルで国がこんな状態なのに韓日軍事情報包括保護協定を無理に急ぐのはなぜか? 国防部は何か隠し事でもしているのか」と疑問に思う声が上がっていた。「協定内容をより詳しく公開するまで締結してはならない」「交渉を中断すべきだ」と国防部を非難する向きもあった。
リアルメーター社が2016年10月に行った韓日軍事情報包括保護協定に関する世論調査では、締結賛成が15.8%、反対が47.9%という結果だった。政治的志向が保守派の人も進歩派の人も、どちらにおいても反対する意見が圧倒的に多かった。
レイムダックの朴大統領は裁可できるか
野党3党は国防部が国民の意見を無視して韓日軍事情報包括保護協定の仮署名をしたので、ハン・ミング国防長官の解任を国会で検討すると反発している。野党3党の代表は早速15日に集まり、ハン長官の辞任について話し合うことにした。
共に民主党のウ・サンホ院内代表は15日朝に党内会議を開き、「ハン長官の辞任を求めるのは特定の長官を辞めさせる目的ではなく韓日軍事情報包括保護協定を中断せよという意味である。民心を読めず一方通行で締結を強行したので国民の抵抗はもっと激しくなるという点を(国防部に)警告する」と発言した。
国民の党も15日朝に党内会議を開いた。同党のキム・ジュンロ議員は「朴槿恵政府は判断力を失った。この政府は国民と共に考えない安保は絶対成功しないということを忘れたようだ。この政府は国民と国会は眼中にないのか」と批判した。
国民の党のパク・ジウォン院内代表は、15日朝のラジオニュースに出演し、「野党3党でハン長官の弾劾を検討することにした。辞任ではすまない。大統領スキャンダルの最中に日本の自衛隊の世界進出を保証するようなことを決めてはならないからだ」。
仮署名は「仮」ではあるがその重みは本署名と変わらない。日韓両国はこれからそれぞれ国内での手続きを進める。韓国は国務会議で韓日軍事情報包括保護協定を議決。大統領の裁可を経て公式に韓日軍事情報包括保護協定締結となる。しかし退陣を求められている朴大統領による決裁に野党3党が必死で反対している。仮署名はしたものの、韓国内ではこれからさらなる反発が予想される。
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『トランプ政権下の米中関係はどうなる? 日本は国際秩序再構築のプレイヤー目指せ』(11/16日経ビジネスオンライン 福島香織)、『世界の行方を聞く 経済・軍事で米中摩擦続く 清華大学国際関係研究院長 閻学通氏』(11/18日経)について
福島氏の記事の中国人の「トランプに対する4つの期待」は、如何に中国人と言うのは自己中心にしか論理が組み立てられない民族か、と言うのが分かります。閻学通の言う方がまだ真面に見えます。ただ彼も米国をそのように誘導したいという思いからの発言であることは間違いありません。それはそうです。個人の自由な発言を認めるような国に住んでいる訳ではないので。中共の意に沿った発言しかできません。
「4つの期待」に対して小生の考えは
①・・・TPPが中国の経済的包囲網になることが分かれば、方針転換することはありうると思います。何せトランプは選挙中には「中国からの輸入品に45%の関税をかける」と言っていたくらいですから。締結国同士の貿易が増え、未締結国との貿易は減ることが予想されます。面と向かって中国に要求するより、余程良いのでは。ただ中国が封じ込めと考えた場合は、報復措置を必ず取るでしょうけど。トランプは米国のラストベルトの雇用を増やそうと考えている筈ですが、投資を増やすしかありません。法人税減税で、米国から他国に投資してきた企業を米国に戻そうと考えているようですが、税逃れを目的として海外に逃げた企業が戻るかどうか分かりません。今でもFATCAがあっても米国に戻らないので(多分コストの問題で)、減税したからと言って、新たに米国内での投資に踏み切るかどうか。中国からの投資は避けた方が良いでしょう。昨日の本ブログにも書きましたが、何を仕込まれるか分かりませんので。日本を筆頭に自由主義国からの投資と、軍事に対する財政支出を増やすべきと考えます。
http://gigazine.net/news/20161116-china-threaten-trump/
②・・・戦争で獲得した覇権を手放すことはないというのが小生の見立てです。オバマが無能だから、オバマケアなるものに金を多く支出し、財政赤字を膨らませました。今後は米国の軍事とインフラに支出(政府・民間とも)を増やすと思います。中国が大きくなる前に、手を打たないと、米国は勝てなくなります。基軸通貨は愚か戦争に勝てなくなれば、今までの超大国の威信はなくなります。軍産複合体は許さないでしょう。
③・・・トランプはビジネスマンであるがゆえに、中国の隠された野望を見抜くことも早いでしょう。米国に取って代わり、世界を制覇しようとしているのは、宇宙開発やハッキング、AIIB開設の動きを見れば分かるというもの。また金持ちだから、ヒラリーのように中国の金で転ぶことはないと思います。あるとすれば女性ですかね(笑)。ジェームズ・ウルジーは金で転んだのでしょうけど。ドゥテルテもトランプも中国に対しては猫をかぶっているだけです。利用できるものは何でも取ってやるぞと言う考えでしょう。
④・・・「トランプ現象とは米国式民主主義の敗北である。またポピュリズムとナショナリズムがグローバリズムを凌駕する時代となったことの象徴でもある。・・・世界(特にアジア太平洋地域)に権力、価値観の真空が生まれ、その真空を中国式グローバリズム、中国式秩序が埋めるチャンスとなる。」と述べています。片腹痛いというか臆面もなく良く言えるなあと感じます。中国人の面の厚さを感じさせます。ポピュリズムとナショナリズムが、グローバリズムに勝ったことは間違いないでしょうけど、中国にはポピュリズムとナショナリズム(国民主義)なんて無いでしょう。選挙もなく、人権を抑圧、賄賂社会、「騙す方が賢く騙される方が馬鹿」という騙人社会が中国式グローバリズム、中国式秩序というのであれば、世界はどの国も歓迎しないでしょう。傲岸不遜としか言いようがありません。
中華系米国人がトランプを応援したというのはやらせでしょう。本当にトランプに投票したかもわかりません。中共としては金で手なづけたヒラリーの方が絶対に良かったはずで、ニュースでヒラリーの圧勝が報道されていたので、保険の意味合いでやっただけでは。
閻学通・・・「トランプ氏の政策で米国が相対的に衰退する流れを止めることができるとは思えない。中国と米国の実力差が縮小していく冷戦後の国際秩序が変わることはない」というのは思い上がりと言うか、希望的観測でしかないでしょう。米国が国益を侵されて、黙って見ているはずがありません。強度の楽観主義、自己中の為せる業です。米国の日本への核の傘供与維持と北東アジアに重心が移る発言は中国がそうあってほしいという願望であることが分かります。南シナ海は黙っていてほしいと。中国の願望の反対をすることが大切です。
福島記事

中国がトランプ当選を後押し?(写真:AP/アフロ)
米国大統領選でトランプ氏が当選し、来年1月20日からトランプ新政権がスタートする。中国はこれを国際秩序の転換期だととらえて、G2時代への道筋をつけたい考えのようだ。トランプ新政権下での米中関係はどうなるのだろうか。目下、中国メディアが期待する青写真を見てみよう。
「協力は中米の唯一の正しい選択」
トランプ当選から5日たった14日、習近平とトランプは電話会談を行い、習近平からはトランプ当選への祝辞が述べられた。当選当日の日に祝電を打ったうえでの電話会談だから、中国がいかにトランプ政権を歓迎しているかうかがい知れる。
新華社によれば、習近平は「中米国交回復以後37年をへて、両国関係は絶えず前向きに発展し、両国人民に実際的な利益をもたらしたし、世界と地域の平和、安定、繁栄を促進した。協力は中米両国の唯一の正しい選択だということは、こうした事実が証明している。目下、中米協力には重要なチャンスと巨大なポテンシャルが潜んでいる。双方が協調を強化し、両国経済の発展とグローバル経済の成長を推進し、各領域の交流、協力を開拓し、両国人民により多くの実質的な恩恵を与えるために、中米関係の前向きな発展を推進しようではないか」とトランプに語り掛けたという。
さらに「最大の発展途上国家、最大の先進国、世界の二大経済体として、中米の協力は必要であり、非常に多くの協力ができる状況がある。私は非常に中米関係を重視して、米国側と共同の努力をして両国関係を推進し、両国人民とその他各国の人民をさらに幸せにしたいと考えている」と訴えたとか。
これに対しトランプは「習主席が私の大統領当選を祝福してくれることに感謝する。私も習主席の米中関係の見方に賛成だ。中国は偉大で重要な国家であり、中国の発展の良好な展望は人々も注目している。米中両国はウィンウィンを実現できる。私はあなたと一緒に、米中両国の協力を強化していきたい。私は米中関係が必ず更に良好な発展を得られると信じているよ」と答えたそうである。
安倍政権が2012年12月に発足したとき、カウンターパートである首相の温家宝が即日に祝電を打たなかった状況と比べれば、習近平の対トランプのアプローチの熱心さは際立つ。新華社が報じるように「習近平とトランプは密接な連絡を保ち、良好な実務関係を打ち立て、早期に面会して、両国の関係発展と双方がともに関心を寄せる問題について意見交換する」と、中国サイドが期待するのもうなずける
トランプ新政権の安全保障顧問に内定しているジェームズ・ウルジーが10日に香港英字紙サウス・チャイナ・モーニングポストのインタビューに答えて、オバマ政権が、中国主導のAIIB(アジアインフラ投資銀行)に参加しなかったことは戦略的に間違いだったと批判したうえで、習近平の経済政策の柱の一つでもあり、中華グローバリズム構想の具体化である「一帯一路構想(海のシルクロードと陸のシルクロード沿線国家における経済一体化構想)」に対して、トランプ政権が「温かい」態度を示すとしていることも、中国当局サイドの新政権への期待を高めている。
中国共産党中央にパイプをもつ消息筋や学者たちは、トランプのことを「明白人」(物分かりのよい人物)と評価する人も多い。
トランプ政権に「4つの期待」
中国人学者やメディアの論評を総合すると、中国当局がトランプ政権に強い期待を寄せる理由はおよそ4点に集約される。
①事実上の中国経済包囲網であるTPPに明確に反対している。ヒラリーもTPP反対を表明しているがそれは、選挙戦のために仕方なく妥協しただけだが、トランプは必ずTPPを破毀するだろう。TPPはオバマ政権の政治的遺産であり、トランプはオバマの遺産を絶対受け継ごうとは考えない。
②アジアリバランス政策は後退し、南シナ海における中米緊張関係は緩和する。トランプは日米同盟のありかたやNATOへの協力体制を見直すとしており、アジアや欧州における米軍のプレゼンスが縮小する可能性がある。そのぶん中国のプレゼンスが拡大するチャンスとなる。TPPと同じく、アジアリバランス政策もオバマ政権の政治的遺産であり、この二つのセットで米国は対中包囲網を形成しようとしていたが、その外交方針は調整されるだろう。
③トランプの本質はビジネスマンであり、「ディール(取り引き、中国語で打交道)」が可能な相手である。信念、イデオロギーに縛られた政治家ではなく、人権や民主といった西側の価値観を教条主義的に振りかざして、国益を損なうことはない。中国としては「話し合い可能な人物」と期待される。またヒラリーのように陰謀をめぐらすタイプでもない。フィリピン大統領のドゥテルテと同じタイプだといえる。
④トランプ現象とは米国式民主主義の敗北である。またポピュリズムとナショナリズムがグローバリズムを凌駕する時代となったことの象徴でもある。トランプの政治的暴言は、米国式の普遍的価値観、人権や自由、ポリティカルコレクトネスといったものを教条の隅に追いやり、米国の民主主義の疲弊を露呈させてしまった。この民主主義の敗北は米国国内のみならず、米国の政治学者フランシス・フクヤマがフィナンシャルタイムスで指摘したように「世界秩序の分水嶺」となる。つまり、トランプ勝利は、米国式グローバリズム、自由主義的秩序の後退期に入ったことを示す。この米国式グローバリズムの後退の結果、世界(特にアジア太平洋地域)に権力、価値観の真空が生まれ、その真空を中国式グローバリズム、中国式秩序が埋めるチャンスとなる。
以上の4つの点は、非常に中国に都合のよい解釈でトランプ新政権の性質を分析したものであり、実際にトランプ政権の対中政策はまだ不明である。
こうしたトランプ政権の中国の歓迎ぶりに、一部反トランプ陣営からは、「トランプ当選は中国の陰謀」説まで出ており、反トランプデモがチャイナタウンを襲うような事態まで起きているようだ。
トランプ応援団に中国共産党が関与?
香港親中紙・香港商報が14日に報じたところによれば、今回の大統領選で、華人団体の多くがトランプ支持を表明し、トランプ応援団を結成して、セスナ飛行機で横断幕を流すような金のかかる応援広告を打ったり、集会を開いたり、寄付を募るなど、集票行動を積極的に展開していた。こうした組織的な華人票が前回の大統領選の3倍以上、トランプに集まったとか。この華人集団によるトランプ応援に、中国当局が関与しているかどうかは目下裏を取っていないが、反トランプ派は、これを中国共産党の支持によった組織行動だとみており、中国がトランプを当選させたという見方をしている。
このため、米国籍華人たちが反トランプ派デモの攻撃対象になっているという。デモ隊がチャイナタウンでペンキなどをまき散らしたり、ガラスを打ち壊したりなどの暴力をふるい、「中国に帰れ!」といった罵倒をしたりもしているという。
トランプの方が、非白人系米国人に対し差別的であると思っていたのだが、香港報道によれば、アンチトランプ派の方が、華人に対し「ここは白人の国だ、お前らは出ていけ」といった人種差別的発言をし、嫌がらせを行っている、ということになる。
華人票は従来、民主党に投票する傾向が多く、今回のような巨額の資金を集めた大規模な応援を共和党候補に行うことは、実際珍しい。しかもトランプ候補は中国に対する批判を選挙運動の中で繰り返してきた。となると、中国共産党の戦略的な誘導があったのでは、と疑われるのも自然なことだろう。ただ、興味深いのは、私の聞く限りは、在米華人のトランプ支持は、アンチ共産党派にも多く、トランプの個性自体が比較的中国人受けするタイプ、というだけかもしれない。
陰謀論とは別に、トランプが当選するであろう、という予測は中国共産党の中にかなり早期にあったように思う。対トランプ戦略はかなり以前から研究され、周辺ブレーンへの接触もかねてから進められていたという印象は私も持っている。前述したスティーブン・ウルジーも今年2月に香港フェニックステレビの討論番組に出演しており、AIIBや一帯一路構想に対する支持姿勢は、こうした中国当局サイドの接触によって形成されたのではないだろうか。
一方、中国の輸入品に対する45%の懲罰関税や、中国を為替操作国認定をするといったトランプの中国に対する挑発的発言については、楽観論が多い。
例えば45%に関税を引き上げれば中国輸出総額が13%落ち込むというモルガン・スタンレーの試算があるが、損なう貿易黒字は5%程度であり、これは中国としては耐えうる痛み、という意見もある。
また為替操作国批判についても、中国政府が介入によって人民元の暴落を食い止めて安定させている状況の方が、米国経済にとってもプラスであると説得すれば理解を得られるという期待がある。
中国政府サイドは、トランプの資金的バックであるトーマス・バラック率いるコロニー・キャピタルの中国投資の大きさや、トランプ・ホテルチェーンの中国市場への進出計画などを考慮すれば、トランプ政権も中国経済を破綻させるようなことはすまい、という期待がある。
習近平の「日米離反」策に備えよ
その一方で、アンチ中国共産党派の在米華人や日本の一部保守派が、トランプ政権が対中貿易戦争を仕掛け、中国経済をグローバル経済から締め出そうとすることを期待し、トランプ支持を表明しているところが何とも奇妙な現象だ。
繰り返すが、こうした中国当局の期待どおりのトランプ政権になるのかどうかは、いまのところ、私には判断はつきかねる。あえて、日本にとって最悪の予測をすれば、トランプ政権下の米中関係は、米国式グローバリズムの後退を中国式グローバリズムが埋める形で中国が存在感を増し、中国が望むG2時代に一歩近づく可能性がある。少なくとも中国はそうなることを期待しているので、まずはトランプ政権に対して融和的態度で接してくるのではないだろうか。フィリピン・ドゥテルテ政権に対し、スカボロー礁埋め立てを一時延期してみせたような妥協姿勢を最初に示してくるかもしれない。
そうなったとき、習近平政権の外交戦略は、オバマ政権を親中政権とみなした初期にとった「日米離反」に立ち戻る可能性もある。日本としては東シナ海の動きに警戒しなければならなくなるだろう。トランプ政権が尖閣諸島海域における中国側の挑発にどういう態度をとるか、中国としては試してみたくなるのではないだろうか。
もちろん、中国の期待が完全に裏切られる可能性も小さくない。オバマ政権も当初は親中政権とみなされていたのだ。だが、中国の急ぎ過ぎた海洋覇権戦略がオバマ政権の危機感を目覚めさせ、アジアリバランス政策が打ち出される結果となった。トランプ政権のブレーンに接触を持つ反共産党の在米華人民主化運動家は、「トランプ自身は中国に対しても外交に対しても無知に見えるが、トランプのブレーンたちは良識も経験もある共和党員だ。中国共産党が期待を膨らませるのは、米国の民主主義政治のシステムを真に理解していないからだ。中国の思惑通りにはいかないし、そうさせないように私たちも働きかけている」という。
トランプは南シナ海問題に対し態度を明確にしていないが、「強いアメリカを取り戻す」と言っているトランプ政権が、みすみすアジアの米軍プレゼンスを後退させるとは考えにくく、むしろ南シナ海の米中軍事的緊張は高まるのではないか、という見方も一部中国軍事筋にある。
日本は国際秩序再構築のプレイヤーに
いずれにしろ、トランプ政権誕生のインパクトは、習近平政権にとっても長期独裁政権を打ち立て赤い帝国・中国を中心とする中華秩序を確立するか、あるいは経済を破たんさせ、内政を混乱させた末に権力闘争などによって体制変革期を迎えるかというきわどいタイミングと重なる。ロシア、イスラム圏の台頭、英国のEU離脱などもあわせて考えると、世界はベルリンの壁崩壊以来の大きな秩序の転換期に差し掛かっているという予感がするのである。
この秩序転換期に、日本はどのような立ち位置で臨むのか、きちんと考えた方がいい。トランプ政権に翻弄されるのでもなく、世界で起きている不確定要素の拡大に不安がるのでもなく、ずっと米国の“付属国”扱いされてきた日本が、きちんと主権国家として国際秩序の再構築に参与するプレイヤーに昇格する好機ととらえるくらいの戦略性をもってほしいと望むのである。
日経記事
――トランプ次期米大統領は米国が「世界の警察にはなれない」と主張しています。

「米国が警察としての責任を負いたくないと考えているが、警察の権利を放棄はしない。この矛盾は世界に大きな不確実性をもたらす。国際社会で衝突は増えるだろう」
「トランプ氏の政策で米国が相対的に衰退する流れを止めることができるとは思えない。中国と米国の実力差が縮小していく冷戦後の国際秩序が変わることはない」
人権で注文減る
――米中関係にはどんな変化が起きますか。
「トランプ政権が中国にプラスだとは言い切れない。人権問題での注文は減りそうだが、米国民に経済的な利益を実感させるため、経済政策では中国に強く出るだろう」
「軍事面でも米中の摩擦と競争は続く。オバマ政権の『(軍事・外交の重心をアジアに戻す)リバランス(再均衡)』という表現は使わなくても、米国が同盟国と協力し東アジアで主導権を守る動きは変わらない」
――トランプ氏は中国抜きの自由貿易圏、環太平洋経済連携協定(TPP)を否定しています。
「中国に有利だとは限らない。トランプ氏はTPPだけでなく、あらゆる地域経済協力を拒む。日中韓や東南アジア諸国連合(ASEAN)が交渉中の東アジア地域包括的経済連携(RCEP)にも絶対に参加しないばかりか、発足を阻もうと動くのではないか」
――中国は日米同盟の行方を注視しています。
「安倍晋三首相は在日米軍の駐留経費の負担増を求められて苦労するだろうが、質的な変化は起きない。トランプ政権は日米同盟を主導する権利を放棄しない。米国の国益を考えると、日本への『核の傘』の提供をやめるとは考えにくい」
北東アジア重視
――南シナ海を巡る争いはどうなりますか。
「フィリピンのドゥテルテ大統領が対中政策を調整し、南シナ海情勢は大きく変化した。米国は中国に対抗する足場を失った。トランプ政権は関心の重点を東南アジアから北東アジアに切り替えるのではないか」
――北東アジアは朝鮮半島と台湾が焦点です。
「オバマ政権ほど北朝鮮の核開発問題に積極的に取り組まず、中国に責任を押しつけるだろう。これはやっかいだ。韓国では朴槿恵(パク・クネ)大統領が力を落としており、米韓関係は米国主導が一段と強まる」
「両岸(中台)関係への影響は最も判断が難しいが、台湾当局への支持はオバマ政権を上回る可能性がある。東南アジアで優位を失いつつある米国が台湾で手を緩めれば北東アジアの主導権も揺らぎかねないからだ」
(聞き手は中国総局長 山田周平)
=随時掲載
えん・がくつう(Yan Xuetong) 黒竜江大卒、米カリフォルニア大バークレー校博士号。中国を代表する国際政治学者で、辛口の論評で知られる。63歳。
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『次期大統領を生んだ「トランピズム」の正体 「白人中間労働者層」の危機感を呼び覚ました異端者』(11/14日経ビジネスオンライン 高濱賛)、『トランプ大統領でどうなる(中)日本に役割拡大 要請も 米中の緊張高まる可能性 森聡 法政大学教授』(11/17日経朝刊)について
グローバリズムVSナショナリズムの争いで、今回の大統領選では、アメリカはナショナリズムを選んだのだと思います。ナショナリズムは左翼リベラルが悪いイメージを与えましたのでペイトリオテイズムと言い換えるようになりました。そう言えば三島由紀夫の『憂国』も英語版の書名は”Patriotism”でした。Nationには国家の意味もあれば、国民の意味もありますので、元々は悪い意味ではなかったでしょう。それでなければ松下は「ナショナル」ブランドで一世を風靡しなかったと思います。
トランプの閣僚人事が今囁かれていますが、最終的にトランプが“Yes”と言わなければ確定しません。中国包囲網を築くには、国務長官と国防長官の人選が大事だと思います。国務長官候補にボルトン(慎太郎と懇意)やジュリアーニが上がっていますし、国防長官にはジェフ・セッションズ、
大統領補佐官にはマイケル・フリンとかが上がっていますが、浮かんでは消えている人もいますので、まだまだ流動的です。ウールジーは中国寄りの発言をした(米国はAIIBに入るべきだったとか)ので、多分中国の金塗れになっていると思われます。トランプの“make America great again”に反するのでは。基軸通貨を$からRmbに移すつもりなのでしょうか。中国の言うG2世界を認めることになります。西太平洋は中国の海になります。下記の時事通信の記事は、さも日本も早くはいれと言わんばかり。本当にアホな記者しかいないという気がします。ウールジーは要職にはついてほしくありません。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161111-00000096-jij-n_ame
トランプの“make America great again”は最初に使ったのはレーガンと言われていますから、トランプは相当レーガンを意識していると思います。スタッフの意見をよく聞き、何が真の国益かを考えると思います。単なる白人至上主義者や自由貿易否定論者ではないでしょう。ビジネスマンだから行動原理は利に敏い部分が大きいと思います。金持ちだから中国の金に転ばないことを期待したい。米国の世界覇権は第二次大戦後英国から移ったもので、世界規模での軍事基地展開と基軸通貨$から成り立っています。戦争の勝利品として勝ち取った今の地位をそんなに簡単に捨てるとは思えません。ただ、米国に歯向かうことの無い程度に同盟国に自立を促し、共同防衛及びそれへの応分の負担を求めるだけと考えます。
自由貿易の制限は米国への投資も減らし、雇用にも悪影響を齎します。中国へのダンピング輸出に対する懲罰的関税は良いとしても、輸入品の代わりを国内で作るには、先ず投資を国内産業や外国から受けなければなりません。中国の投資は何を仕掛けられるか分かりませんから、控えた方が良いと思います。
http://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/1611/16/news059.html
日本も米国に投資し、儲けた金を日本に還流し、内部留保としてため込むのではなく、自社の社員の賃金を上げるようにすれば良いでしょう。政府に言われてしぶしぶ賃上げするのでは、経営者の力量が問われます。
高濱記事

オバマ大統領と会談するトランプ氏(左)(写真:AP/アフロ)
—本命とみられたヒラリー・クリントン民主党大統領候補が、大方の予想に反して敗れてしまいました。相手は政治の門外漢、ドナルド・トランプ共和党候補。この「トランプ現象」「トランピズム」は何なのでしょうか。
高濱:米国の識者の間でも「トランピズム」の定義づけをめぐって意見が分かれています。一過性のポピュリズム(大衆迎合主義)だとか、いやもっと根の深い社会現象だ、とか。
ただ、識者の間では一つの共通認識があります。
トランプ氏は、当初、貧富の格差や移民流入に対する、一部の白人労働者層の怒りや不満を煽ることで、反体制一本やりの選挙戦を続けていました。ところが選挙戦が進む中で、その怒りや不満は白人一般大衆へと裾野を広げ、ある種の「世直し運動」になってしまいましたという認識です。
トランプ氏自身、「これは選挙キャンペーンじゃない。ムーブメント(運動)だ」とまで言い切っていました。「保守対リベラル」といった座標軸では表せない社会現象となってしまったのです。
「錦の御旗」は、Against Institution、つまり反既成体制・反既成制度、反ポリティカル・コレクトネス*でした。
*:ポリティカル・コレクトネス(Political Correctness=PC)という言葉は、社会学者アレン・ブルームが1987年に著した「The Closing of American Minds」(アメリカン・マインドの終焉)の中で最初に使った。人種的差別や宗教上の差別を全面的に否定する正義を正当化すること。例えば米国の公立学校ではキリスト教の行事であるクリスマスを公的行事にすることは禁じられている。「クリスマス休暇」も「ホリデー休暇」と呼ぶ。
選挙キャンペーンがいつの間にやら一種のムーブメント(運動)になってしまった点。つまり「トランプ現象」とは、トランプ氏個人から乳離れして一人歩きし、巨大な社会現象になってしまったのです。
反自由貿易、反移民、反大企業、反インテリ、反軍事介入
—「トランピズム」には政治理念があるのでしょうか。
高濱:ある識者によると、トランプ氏の主張は以下のように整理されます。
- 1)自由貿易は中産階級層の雇用を奪い、収入減につながる。
- 2)大企業や金融機関は信用できない。大企業の持つ影響力を極力、制限すべきだ。
- 3)(メキシコやアジアなどからの)移民及び移民政策は信用できない。移民は基本的に制限すべきだ。
- 4)自由貿易は米勤労者の雇用を奪い、賃下げにつながる。北米自由貿易協定(NAFTA)からは撤退。環太平洋経済連携協定(TPP)は破棄すべきだ。
- 5)米国は国際社会での役割を可能な限り減らし、米軍派遣や他国への介入をできるだけ避けるべきだ。米国は(中東やアジアなど)他国の戦争への介入を避けるべきだ。
- 6)北大西洋条約機構(NATO)には懐疑的である。(日本や韓国やドイツなど)同盟国を含む他国および国連などの国際機関が米国に対して抱く「真意」(Motive)には疑念がある。
- 7)米政府は米産業や雇用を保護するために関税障壁を設けるべきだ。
- 8)富裕層、既成の政治家、インテリやメディアは信用できない。
( “Is Trumpism the Future of American Politics? ” Richard Back, empresa-journal.com., 8/30/2016)
「偉大な国家」とは70年以前の白人優先国家
—ということは、トランプ氏が掲げてきた「Make America Great Again」(もう一度米国は偉大な国にする)というスローガンは、最初は現状に不満を持つ白人中産階級労働者層の「復活」を意味していたわけですね。
高濱:当初、トランプ氏が主張していた「偉大な米国」とは、1970年以前の米国を指していました。まだ黒人公民権が認められておらず、移民も法律で厳しく制限されていた時代です。人口比でも白人は87.5%を占めていました。
ところが70年以降、公民権施行とともに才能のある黒人やアジア系移民の社会進出が目立ち始めます。移民法の改正で、メキシコをはじめとする中南米や中国や韓国などアジアからの移民が大量に入ってきました。選挙では非白人票が一定の影響力を持つようになります。
人口比では、白人の比率は2010年、全体の72.4%にまで減っています。2044年には50%を切り、有色人種がマジョリティになると予測されています。 (“A Look at the 1940 Census”)
つまり、それまで人種的に「白人」(Causian)であるというだけで、たとえ低学歴、低所得のブルーカラーであっても威張って生きていた人が、そうはいかなくなってきたのです。白人優先の「Community(社会共同体)」*が解体し始めたのです。
*:米国で使われているCommunityは、利害、宗教、人種、文化慣習などを共有する社会共同体を指す。
マイノリティになり下がる白人たち
米ジョージ・メイソン大学にジャスティン・ゲスト博士という新進気鋭の学者がいます。同博士は、「トランピズム」をここまで拡散させたのは、「新しい白人マノリティ」(New Minority)が恐怖心を抱いているからだ、と指摘しています。
ゲスト博士によれば、この人たちは政治思想的に右翼・右派というのではなく、「人種的ナショナリスト」(Racial Nationalist)です。中には大衆保守の「ティーパーティ」(茶会)やエバンジェリカルズ(キリスト教保守派)と重なる人たちもいます。
ゲスト博士はこう分析しています。「異文化、異宗教の移民が自分たちの住む町に雲霞のごとく入り込み、自分たち白人は人口比で少数派(マイノリティ)になっていく。かっての白人だけの『古き良き米国社会』の基盤が非白人によってぶち壊されていく。そうした社会環境に対する恐怖心がトランプ候補により即発され、それが超党派的に白人一般大衆の間に『トランピズム』を形成していった」。
ゲスト博士は、オハイオ州など「ラストベルト」(錆びついた工業地帯)5州に住む白人ブルーカラー層を対象に行った聞き取り調査からその実態を探り当てています。 (”The New Minority: White Working Class Politics in Age of Immigration and Inequality,” Justin Gest, Oxford University, 2016 )
トランプは反体制、反インテリの旗手?
—一つ疑問に思うのは、そうした「新しい白人マイノリティ」は、一方で反富裕層、反大企業、反インテリを唱えていますよね。なのに、どうしてニューヨークを拠点に全米各地に不動産やカジノ、ゴルフ場を展開しているトランプ氏に共鳴しているのですか。それにトランプ氏も名門ペンシルベニア大学ウォートン経営大学院を出ているインテリじゃないですか。
高濱:トランプ氏の暴言や喋り方をとらえて、「あいつは本当にウォートンで勉強したのか」と疑る人もいましたけれど(笑い)。
確かにトランプ氏は億万長者に違いはありませんが、あくまでも不動産やカジノを経営する新興成金二代目。ロックフェラーやカーネギーといった由緒ある富豪と同じカテゴリーには入りません。東部エスタブリッシュメントの一角を占めているわけでもありません。それに公職経験ゼロ、ワシントンの「インサイド・ベルトウェー」(ワシントン政界やマスコミ)とは無縁です。
ジョージタウン大学の歴史学者、マイケル・ケイジン博士などは、トランプ氏は「多くの政治家に無視され、見捨てられたと感じている白人マイノリティ」を扇動するには最適の役回りだったと言い切っています。 (”Populism: Old Whine, New Botttle,” Michael Kazin, Foreign Affairs, 10/6/2016)
「トランプ死すともトランピズムは死なず」
—トランプ大統領の下で今後、「トランピズム」は米国社会にさらに浸透していくのでしょうか。
高濱:識者の中には、トランプ氏が言い出した「トランピズム」は米社会の一角にどんと腰を下ろし、分断する米社会で一定のインパクトを与えると見る人も少なくありません。
政治的にみれば、共和党内で一定の勢力として「トランプ派」として根づくのか、あるいは共和党の外で超党派的に第三勢力として生き続けるのか、予測は分かれています。
前述のゲスト博士などは、共和党は再生のために「トランピズム」から学べ、と主張しています。つまり、トランプ氏を支持した白人ブルーカラー層の「一揆」の声を政策として取り入れることが党の再生につながるというのです。
しかし人口構造が今後どんどん多様化していく米社会で、トランプ氏が火をつけた白人中心主義が数の上で、将来性があるのか。「トランピズム」は大統領選以後、どのような道筋を辿るのか。まったく予見できません。
日経記事
ドナルド・トランプ氏が率いる米国の次期政権は、どのような外交・安全保障政策を展開するのか。選挙期間中に訴えていた政策をそのまま実行しようとするのか。世界が固唾をのんで見守っている。


正式に大統領職に就き、国務・国防両省の官僚や政策専門家の助言を受ければ、対外政策は現実的になると期待する楽観論がある。一方で「同盟国フリーライダー(ただ乗り)論」や「自由貿易協定反対論」など四半世紀にわたり唱えてきた対外政策に関する持論があり、70歳の大統領が簡単にそれらを捨てることはないとの悲観論も聞かれる。
おそらく実際には新政権内で様々な政策の個別具体的な判断を巡り、トランプ氏のかねての持論に沿った政策路線を貫徹すべきだとする声と、ワシントンの国際主義主流派が唱える政策路線を織り交ぜた現実的な政策を追求すべきだとする声が、せめぎ合うことになると予想される。
そしてトランプ大統領は、その時々の国内外の複雑な政治力学にさらされながら、両者を折衷させたり、一方の意見を採用したりしながら、対外政策のかじ取りをしていくことになる。トランプ氏が対外経済政策を取り仕切り、安全保障政策についてはマイク・ペンス副大統領や国家安全保障担当の大統領補佐官に委ねる可能性も考えられる。
つまり政権発足前から過剰に悲観するのも楽観するのも適切でない。多くはこれから起きることの影響を受ける。
現時点でトランプ外交を展望するのは難しいが、多くの大統領は独自の世界観に基づく対外政策の管理方針を持っていた。トランプ氏は米国の安全保障コストを大胆に軽減し、対外経済関係を2国間交渉で直接的に改善することにより、米国を「再び偉大にする」構想を描いているようだ。
第1にトランプ氏は、米国と諸外国との交易の条件を2国間交渉で改善し、対外関係から米国が得る経済的利益を増進させるという考えを示唆してきた。米国を赤字と借金にまみれた巨大な企業に見立てて、各国との2国間関係を経済的・商業的な損得勘定に基づいて「査定」し、厳しい経済交渉を2国間アプローチで繰り広げることで、米国にとって「赤字」の2国間関係を「黒字化」するという発想を持っているようにみえる。
環太平洋経済連携協定(TPP)や北米自由貿易協定(NAFTA)に否定的なのは、それらが多国間の枠組みだからだ。2国間で米国に有利な貿易・投資関係をつくり上げようとするかもしれない。
第2に米国の安全保障上の利益をかなり狭く定義し、武力を使ってでも守るべき本来的な利益は、原則として米国の安全のみだと考えているようにみえる。従って同盟国に平時から従来以上の防衛努力を求めてくる可能性は大いにある。仮に同盟国にまつわる有事が発生すれば、同盟国の防衛について政権内で、必要なあらゆる対応をとるべきだとする意見と、控えめな最小限の対応で構わないとする意見が出るかもしれない。
政権内の政策審議などを踏まえてトランプ大統領が対応を判断するので、現実には無条件に同盟国を見捨てるといった政策をあらかじめ決めるようなことはないだろう。
こうした発想がそのまま対外政策に反映されて実行されるかどうかは、現時点で全く不明だ。しかし仮想のシナリオを立てて、頭と心の準備をしておくことは必要かもしれない。では、どのような仮想シナリオが考えられるのか。
まず大国間関係についてはトランプ政権下で米ロ関係が改善し、米中関係がきしむ可能性がある。ロシアは経済面での競争相手ではないし、安全保障上の利益を限定的に定義するならば、ウクライナやバルト3国の安全を巡ってロシアと対立する必要もない。しかしトランプ大統領がロシアとの関係改善に動けば、ホワイトハウスと国防・国務両省は北大西洋条約機構(NATO)諸国の防衛を巡って見解が対立するだろう。
一方、経済重視のトランプ政権は中国を最大の経済的ライバルとみなし、その不公正慣行やサイバー問題を取り上げて対抗措置を講じるかもしれない。あらゆる圧力手段を用いて米国に有利な条件を中国に要求すれば、米中関係はあつれきを増すことになる。トランプ政権が対外政策の推進でオバマ政権ほど中国を頼る必要がないとすれば、米中関係の緊張を覚悟した厳しい姿勢となる可能性がある。
その際、台湾への武器売却を拡大すると示唆するなど安全保障上の選択肢を圧力手段として、中国に経済交渉面での譲歩を迫ろうとするかもしれない。中国市場に進出する米企業などは、中国政府による報復措置に遭えば、圧力重視路線に反対する政治勢力を糾合しようとするだろう。
米国の優先地域ということでは、中東地域での行動を活発化させる可能性が高い。米本土の安全を直接的に脅かす過激派組織「イスラム国」(IS)に対して大規模地上軍は派遣しないまでも、軍事行動を強化してロシアとの表面的な協力も進めようとするかもしれない。米世論はテロリズムを最大の脅威とみなしているので、国内政治の面からも対IS作戦に力を入れるだろう(表参照)。
日本との関係では、トランプ政権が在日米軍の完全撤退ありきで政策を見直す可能性はほぼないとみてよいのではないか。シカゴ世界問題評議会の世論調査によれば、トランプ支持者中核層の84%、共和党支持者の88%は、米国の対外政策を実行していくうえで同盟を維持することは有効だと答えている。またトランプ支持者中核層の66%、共和党支持者の69%は、日本に長期的に米軍基地を維持すべきだと答えている。
つまり在日米軍を撤退させたところで、トランプ氏が米国内で政治的得点を上げられるわけでも再選に役立つわけでもない。また米国が在日米軍基地を放棄すれば、米軍の維持コストは上昇し、中東戦略を含む世界戦略が狂う。従って仮に在日米軍の撤退が検討課題に上れば、何よりも国防省や米軍、議会軍事委員会などがそれを阻止する動きに出るだろう。
ただし日本政府に対して、何らかの対米協力と役割拡大を求めてくる可能性は十分にあるのではないか。オバマ大統領は日米安保条約第5条が尖閣諸島にも適用される旨を言明した。トランプ氏の大統領就任後、最初の正式な日米首脳会談の際には、オバマ大統領と同じ立場を踏襲するかに注目が集まるとみられる。
トランプ政権は日米同盟を重視する姿勢を示しながらも水面下の協議では、会談後の声明や記者会見での発言に従来の対日防衛コミットメント(約束)を踏襲する文言を盛り込むので、日本政府が各種の対米協力や役割拡大を果たす文言の挿入に同意してほしいと求めるかもしれない。例えば対IS作戦に絡む財政支援や、防衛費増額と南シナ海での自衛隊のパトロールなど、米軍駐留経費の負担増とは異なる形をとる可能性もある。
トランプ氏が米国にとっての日米関係や日本の価値を経済的な物差しで測るのであれば、対米投資を増額するイニシアチブ(取り組み)などを通じて、安全保障と経済の両面で日米関係を強化していく発想がこれまで以上に重要になると考えられる。過剰な楽観も悲観も戒め、政権中枢との太いパイプを地道につくり上げていく努力が不可欠だ。
<ポイント> ○諸外国との交易条件を2国間交渉で改善 ○ロシアと関係改善し対IS作戦で協力も ○在日米軍撤退ないが対米協力要請の公算
もり・さとる 72年生まれ。京都大法卒、東京大法学博士。専門は現代米国外交、国際政治
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『トランプとの対決姿勢を鮮明にしたメルケル 祝辞に埋め込まれた“毒矢”』(11/14日経ビジネスオンライン 熊谷徹)、『トランプ勝利の衝撃、一番ヤバイのはEUだ』(11/14日経ビジネスオンライン 蛯谷敏)について
熊谷氏の記事の書き方は完全に日本人離れし、ドイツ人になり切った感じがします。26年も住んでいれば愛着が湧くことは理解できますが、安倍首相の祝辞を揶揄するのは戴けません。ドイツに帰化したら良いと思います。国の内外を問わず、メデイア人は往々にして日本を批判しますが、先ずは良く日本を理解した上で批判せよと言いたい。中韓のプロパガンダに乗せられ、日本を貶めるのはジェラシーそのものでしょう。日本ほど良い国はないと思っています。何と言っても治安が良く、米国や中国とは違います。またおいしい料理や世界各国の料理もリーズナブルな値段で食べることができます。況してや、日本の通貨は当局が円安を望んでいても、安全資産として買われ続けています。1000兆円の借金があると財務省は宣伝に余念がありませんが、負債だけでなく資産もあることを意図的に隠しています。それを他の国の人は理解しているので円を買う訳です。ドイチエ銀行が破綻しても、米国も日本も助けないでしょう。況してや財政破綻を来している中国も。
確かに、基本的人権や、自由、民主主義、法治は大切な理念です。それを踏みにじっているのは中国や朝鮮半島ではありませんか。ドイツ人はそれを無視して、経済的利益を追求するだけです。おかしな話です。難民の話でも欧州の侵略の歴史の復讐を受けていると考えれば分かり易いです。原田伊織の『官賊と幕臣たち』の中に、「英国は伝統的に反体制運動を支援してきた。薩長に肩入れしたのもそれが為」とありました。今は米国が跡を継ぎ、アラブの春を引き起こしたりしています。前述の理念には普遍的価値を持つものとして全面的に賛同しますが、グローバリズムには反対します。モノや金、情報の自由な移動は良いですが、ヒトは物質ではありません。言葉も違えば、育った環境も違います。相手をお互いに尊敬することで、棲み分けするのが正しい道と信じます。左翼・リベラルが良く使う多文化共生ではなく、多文化尊重です。多文化共生と言う言葉は中韓の侵略のツールとして使われています。気を付けませんと。
熊谷記事

メルケル首相はトランプ氏に厳しい態度で臨む(写真:ロイター/アフロ)
11月9日にドナルド・トランプ氏が米大統領選挙で勝利した時、各国首脳は外交儀礼に基づいて同氏に祝いの言葉を贈った。ドイツのアンゲラ・メルケル首相、そして日本の安倍晋三首相が発表した祝辞は、トランプ氏に対する両国の態度の違いを浮き彫りにした。
安倍首相が当たり障りのない表面的な祝辞を送ったのに対し、メルケル首相は祝辞の中にトランプ氏に対する「毒矢」を埋め込んだ。
トランプに示した協力の「条件」
メルケル首相は祝辞の中で、まるで学校の教師が生徒を教え諭すように、ドイツが重んじる価値を並べ上げた。「ドイツにとって、EU以外の国の中で、米国ほど共通の価値によって緊密に結ばれている国はありません。その共通の価値とは、民主主義、自由、権利の尊重、全ての個人の尊厳を重んじることです。人権と尊厳は、出身地、肌の色、宗教、性別、性的な嗜好、政治思想を問うことなく守られなくてはなりません」。 メルケル首相がこれらの言葉によって、わざわざ「性別、宗教や肌の色、同性愛者か否かで人間を差別してはならない」と指摘したのは、トランプ次期大統領が選挙運動の期間中に、女性、メキシコ人、イスラム教徒、同性愛者を蔑むかのような発言を繰り返してきたことに対する、暗黙の批判である。
メルケル首相の最も鋭い「毒矢」はその次に飛んできた。それは、「Auf der Basis dieser Werte(これらの価値の前提の下に)」というわずか5つの言葉だった。彼女は、こう言った。「トランプ氏がこれらの価値を我々と共有するならば、私はトランプ氏とともに働く準備があります」。
つまりメルケル首相は、「トランプ氏がこれまでのヘイト・スピーチで示してきた、女性や外国人、イスラム教徒、同性愛者に対する差別的な態度を改めないのならば、ドイツ政府はトランプ氏と協力する気はない」というメッセージを送ったのだ。同盟国の首相が、次期大統領に「あなたと協力するかどうかは、あなたが一定の条件を満たすかどうかにかかっている」と宣言するのは、極めて異例である。メルケル首相は「あなたとともに働くのを楽しみにしています」という、彼女がこの種の祝辞でしばしば使う言葉も、あえて避けた。
来年トランプ大統領が誕生した後、日米同盟がどうなるかは、未知数である。それにもかかわらず、安倍首相は祝辞の中で日米同盟を「希望の同盟」と持ち上げた。さらに同首相は、「トランプ次期大統領と緊密に協力し、日米同盟の絆を一層強固にするとともに、アジア太平洋地域の平和と繁栄を確保するために、日米両国で主導的役割を果たしていくことを、心から楽しみにしています」と述べ、トランプ氏と無条件で協力すると宣言している。そこには、メルケル首相が埋め込んだような、トランプ氏のヘイト・スピーチへの批判は込められていない。
私はメルケル首相の祝辞を聞いて、政治が「言葉の芸術」であること、そして我々日本人とは異なり、歯に衣を着せずに思ったことを言うドイツ人の国民性を強く感じた。ドイツでは、日本よりも個人主義、そして発言の自由が尊重されている。たとえ発言を向ける相手が、世界最強の国の次期大統領であってもだ。
大半のドイツ人はトランプを嫌っている
トランプ氏を批判したのは、メルケル首相だけではない。ドイツのヨアヒム・ガウック連邦大統領が報道機関に向けて出したコメントにも、トランプ氏に対する懸念が込められていた。米国大統領選挙の投票日つまりトランプ氏が大統領にえらばれた日は、11月9日だった。ガウック大統領はコメントの最初で、この日付がドイツでは特別の意味を持っていることに言及した。
ドイツで11月9日は、歴史に残る大事件が起きる特異な日と見なされている。1923年のこの日には、ヒトラーがミュンヘンでクーデターを試みた。1938年には、ナチス政権が全国でユダヤ教会を破壊し、多数のユダヤ人を殺害・逮捕した「帝国水晶の夜」事件が起きた。1989年にベルリンの壁が崩壊したのも11月9日だった。つまり、この「特異日」に起きた一連の出来事に、政界のアウトサイダーが大統領として米国で最高権力を握るという「椿事」が加わったのだ。
ガウック大統領は「米国で大統領選挙が行われている間、世界の多くの人々が不安を感じた」と述べ、彼がトランプ氏の言動について懸念を抱いていることを示唆した。もちろんガウック大統領は、トランプ氏の勝利をナチスの台頭と同列に並べたわけではない。しかし彼のコメントの底に、一抹の疑念が横たわっていることは明らかだ。
ドイツではトランプ氏の勝利は「想定し得る最悪の事態」と受け止められている。大半のドイツ人は、トランプ氏ではなくヒラリー・クリントン元国務長官が大統領になることを願っていた。彼らにとって、トランプ氏が大統領になることは、隣国フランスで、右派ポピュリスト政党「国民戦線(FN)」のマリーヌ・ルペン党首が大統領になるのと同じことだ。
「ポピュリスト・インターナショナルの急先鋒」
メルケル政権の閣僚たちによるトランプ批判は、首相や大統領よりもさらに露骨だった。同政権で副首相を務める、ジグマー・ガブリエル経済エネルギー大臣は「トランプ氏の勝利は、我々ドイツ人にとっての警告である。彼は所得格差や社会の分裂に対する人々の失望を利用して票を集めた」と述べ、トランプ氏が取るポピュリスト的な姿勢を批判。
ガブリエル副首相は、「現在、世界各国の右派ポピュリストたちが強権的政治家のインターナショナル(国際戦線)を形成しつつある」と考えている。このポピュリスト・インターナショナルにはロシアのウラジミール・プーチン大統領、トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領、フランスのFNのルペン党首などが属している。ガブリエル副首相は「トランプ氏は、このポピュリスト・インターナショナルの先頭に立つ人物だ」と指摘した。
さらに同副首相は「トランプ氏が属する共和党は、時計の針を、旧態依然とした悪い時代に戻そうとしている。彼らは、女性は台所とベッドにいればよいと考えている。彼らは同性愛者を刑務所に押し込め、労働組合を冷遇しようとしている。口を開いたものは、公の場で攻撃される」と舌鋒鋭く批判した。
現在ドイツの政界やメディアは、「欧州で拡大しつつある右派ポピュリズム勢力にとって、トランプ氏の勝利が追い風となる」との懸念を高めている。ドイツでも反イスラム、反EUの旗を掲げる右派ポピュリスト政党「ドイツのための選択肢(AfD)」が、州議会選挙で連戦連勝を続けている。その支持率は10%を超えている。旧東ドイツの一部の地域では、有権者の3人に1人がこの党を選んでいる。
特に大きな不安の種は、西欧諸国との対決姿勢を強めるロシアのプーチン大統領が、トランプ氏に好意的な姿勢を示していることだ。米国大統領選挙の選挙運動の期間中に、暴露ポータル「ウィキリークス」が民主党の電子メール約2万通を公開し、米国の政治関係者に衝撃を与えた。ドイツ政府部内では「ロシアの諜報機関が民主党のサーバーからメールを盗み出し、クリントン候補を不利な立場に陥れるために、ウィキリークスに情報を提供したのではないか」という見方が強まっている。プーチン大統領は、トランプ次期大統領にいち早く祝辞を贈っている。
来年9月には、ドイツ連邦議会選挙が行われる。メルケル首相は「ロシアがサイバー攻撃によってこの選挙結果を左右しようとする危険がある」と述べている。
同盟関係への亀裂に重大な懸念
またドイツ政府のフランク・ヴァルター・シュタインマイヤー外務大臣は今年8月、トランプ氏を「ヘイト・スピーチの伝道師(Hassprediger)」と呼んでいた。シュタインマイヤー外相は、トランプ氏が勝利した後「この投票結果は、多くのドイツ人が願っていたものではない。トランプ氏が大統領になることで、多くの事が難しくなるだろう」と強い懸念を表明。
トランプ氏は、選挙運動の期間中に「米国は友人を必要としない。北大西洋条約機構(NATO)は役に立たない」と発言している。NATOは、米国に率いられて、第二次世界大戦後、ソ連の脅威から西欧を守ってきた軍事同盟である。その同盟を率いる最高司令官となるトランプ氏が、欧州防衛の要であるNATOの必要性を疑問視しているのだ。これは、欧州の安全保障にとって重大な脅威である。シュタインマイヤー外相は、次期大統領のこの言動について、「今後は米国の外交政策について、先を見通すことが難しくなる。国際関係における大きな混乱が起きないことを望む」とコメントした。
ドイツ国防省のウルズラ・フォン・デア・ライエン大臣も、次期大統領が提唱する防衛政策に対する疑問を隠さなかった。彼女は「トランプ氏はNATO加盟国に対し、『あなたたちは軍事同盟にどのような貢献をしているのか?』と問うてくるだろう。だが我々も米国に対し、『あなたたちは、NATOの将来をどう考えているのか』と問うつもりだ」とコメントしている。
ドイツでは、トランプ次期政権が同盟国に対し軍事的な貢献を増大するよう求めてくることは不可避という見方が強い。これまでNATOでは、ある加盟国が軍事攻撃を受けた場合、他の加盟国はそれを自国への攻撃と同等と考えて反撃する義務を負った。いわゆる集団的自衛の原則である。だがトランプ氏は選挙運動の期間中に、「米国などNATO加盟国が反撃するのは、攻撃された国がNATOに対して十分な貢献を行っていた場合に限るべきだ」と主張した。
米国はこれまで他のNATO加盟国に対し、防衛予算を少なくとも国内総生産(GDP)の2%に増やすよう求めてきた。2015年の時点で29あるNATO加盟国のうち、米国(3.33%)を除くと、2%を超えているのはギリシャ(2.38%)、ポーランド(2.23%)、英国(2.09%)、エストニア(2.07%)の4カ国だけだ。ドイツの防衛費の対GDP比率は1.19%であり、米国の要求にはほど遠い。
政治の経験がゼロで、ビジネスマンであるトランプ氏は、歴代の大統領よりも、安全保障政策の上でコスト・パフォーマンスを重視するだろう。「外国の防衛ただ乗りは御免だ」という態度は、米国の庶民にもわかりやすい。今後米国が、同盟国に防衛支出の拡大を迫る可能性が強い。
ナチス時代への反省が国是
戦後の西ドイツ、そして今日のドイツ政府は、ナチス・ドイツが1930年代から1945年まで欧州で人種差別や他民族の迫害を繰り返したことに強い反省の意を示している。人間の尊厳を踏みにじったナチスの行為を二度と繰り返してはならないという決意は、ドイツの国是である。
ドイツの憲法に相当する基本法は、「人間の尊厳は絶対に侵してはならない。政府は、人間の尊厳を守る義務がある」という一文で始まっている。メルケル首相や閣僚たちがトランプ次期大統領に拒否反応を示すのは、トランプ氏が選挙期間中に行った言動に、人種や宗教に基づく差別的な態度を感じ取っているからだ。
例えばトランプ氏は選挙期間中に、大統領に就任した場合、米国に不法に滞在している約1100万人の外国人を国外退去させる方針を明らかにしていた。この問題について、欧米のメディアはしばしば「deportation(移送)」という言葉を使う。これはナチスがユダヤ人を強制収容所へ移送した事実をも示す言葉であり、ドイツ人やユダヤ人にとっては、戦慄すべきイメージを伴っている。
もちろんドイツは、超大国である米国を無視することはできない。米国はドイツにとって重要な貿易相手国であり、ドイツは米国に防衛面でも大きく依存している。したがって、ドイツが今後トランプ政権との対話の道を探ることは確実だ(実際、メルケル首相は11月11日にはトランプ氏と初の電話会談を行っている)。しかしドイツ人が、トランプ次期大統領の全ての政策を無条件に受け入れることはない。人権、そして人間の尊厳の擁護は、ドイツにとって越えてはならないレッド・ラインだ。
ドイツ人は、過去のナチスによる犯罪に対する反省に基づき、この一線だけは譲らないだろう。トランプ氏がメキシコ人、イスラム教徒、同性愛者などに対して差別的な政策を取った場合、ドイツ人たちは、トランプ氏をはっきりと批判するだろう。
これが、ドイツと同じく米国と同盟関係にある日本政府との、大きな違いだ。私はドイツに26年前から住んでいる一市民として、ドイツ政府が11月9日に見せた毅然たる態度を、誇りに思う。
蛯谷記事
ドナルド・トランプ氏が第45代米大統領への就任を決めた。この衝撃は大きく、週が明けた今も落ち着く気配がない。世界各国の政府はトランプ政権との付き合い方を模索している。
中でも大きなショックが広がっているのがEU(欧州連合)加盟国だ。米国との経済的な結びつきが深いだけでなく、NATO(北大西洋条約機構)の運営など安全保障面にも影響が及ぶ可能性がある。そのインパクトを、大和総研ロンドンリサーチセンターの菅野泰夫シニアエコノミストに聞いた。
(聞き手は蛯谷 敏)

ドイツのベルリンでも反トランプを呼びかける運動が広がったが…(今年9月)。(写真:ロイター/アフロ)

菅野泰夫(すげの・やすお)氏 1999年大和総研入社。年金運用コンサルティング部、企業財務戦略部、資本市場調査部(現金融調査部)を経て2013年からロンドンリサーチセンター長兼シニアエコノミスト。研究・専門分野は欧州経済・金融市場、年金運用など。執筆したリポートはこちら)
菅野:トランプ氏が大統領に正式に就任するまでまだ3カ月ほどありますから現時点では精緻な分析をするのは難しいですが、英国への影響とEU加盟国への影響を考えてみましょう。
まず英国です。報道を見ていると、テリーザ・メイ英首相とトランプ氏の関係は良好とは言えないようです。トランプ氏は大統領選が終了した後、日本や韓国など各国の首脳と次々に電話会談をしています。メイ首相と会話をしたのは選挙の2日後で、10番目前後だったと報道されています。メイ首相はトランプ氏の過去の発言を否定的に捉えていると言われており、個人としての考え方は決して近くはないと思います。
一方で、互いの国が置かれた状況は、とても似てきました。いずれも自国の経済を優先する保護主義的な色合いを強めています。英国が国民投票でEU離脱を決めた一方で、トランプ氏はNAFTA(北米自由貿易協定)やWTO(国際貿易機関)などの国際的な枠組みからの脱退を示唆しています。
他国に縛られることなく自国の国益を優先するのがその狙いです。ただし、今後、英国と米国の利害が一致すれば、貿易などの交渉はスピーディーに進む可能性があります。トランプ氏は個人的に英国のEU離脱を支持していました。自身の躍進が米国に与える影響を「Brexit Plus Plus Plus」と連呼してもいました。
—オバマ大統領は英国がEU離脱を決定する前、「離脱すれば、米国との貿易交渉で最後列に並ぶことになる」と警告しました。これに対してトランプ氏は「離脱したら、貿易交渉を真っ先に始めたい」と述べていました。
菅野:そのため、今後、両国が接近する可能性はあると思います。メイ首相も、電話会談の中で、両国の関係をかつてのレーガン・サッチャー時代になぞらえて語りました。
むしろ、心配しているのは、EUへの影響です。トランプ大統領の誕生は、ただでさえ揺れているEUの結束を、さらに弱体化させる可能性があります。
—どのような影響がありますか。
菅野:ポイントは、2つあります。
1つは、NATO(北大西洋条約機構)の枠組みの将来です。トランプ氏は過去の発言の中で、「NATOは時代遅れの存在」と度々批判してきました。NATO加盟国は、GDP(国内総生産)比で2%を国防費として負担する目標が課されています。米国は自国の防衛費の拠出は増やす方針ですが、NATOへの貢献を減らす可能性が指摘されています。米国はNATOの柱と言える存在で、これがなくなれば、NATOの抑止力は著しく低下します。
—そうなれば、EUにおいて、テロ組織やロシアの脅威が拡大しかねないというわけですね。
菅野:ロシアのプーチン大統領とトランプ氏の関係が今後どうなるかは分かりませんが、仮に米国がNATOから遠ざかれば、ロシアの脅威が増すのは間違いないでしょう。もちろん、NATO加盟国もそうした事態にならないよう、トランプ氏がロシアに接近する動きを阻止するでしょうし、トランプ氏も政策方針を変える可能性は十分にあります。
—「反ユーロ」「反EU」政党を完全に勢いづかせた
トランプ氏の勝利がEUに与えるもう1つの影響は、「反ユーロ」や「反EU」を掲げる極右政党をさらに勢いづかせたことです。トランプ氏が、Brexitを主導したUKIP(英国国民党)のナイジェル・ファラージ元党首と親密な関係にあるのは有名です。今回の結果を、欧州各国の極右政党が歓迎しています。
フランスの極右政党である、国民戦線のマリーヌ・ルペン氏はツイッターでトランプ氏に賛辞を送りました。オランダの極右政党である自由党のヘルト・ウィルダース党首も「トランプ氏の当選は我々にも追い風」とメディアに語っています。フランス、オランダ両国とも来年に選挙を控えており、これらの極右政党の躍進が予想されています。
特に、フランスの大統領選に出馬すると言われているルペン氏は、これまで絶対に勝利することはないとみられてきました。しかし、「トランプ大統領」が現実になった今、その可能性を絶対にないとは言い切れなくなっています。
他にも、今年12月に実施されるイタリアでの国民投票、オーストリアでのやり直し大統領選など、トランプ氏の勝利によってその流れが分からなくなりそうな選挙が無数にあります。EUの結束が再び大きく揺さぶられることになるでしょう。
—EUは今後どうなっていきますか。
菅野:一言で言えば、内向きになるでしょう。EU各国の国内政治が不安定になりますから、EUとして統一歩調を取ることは難しくなるでしょう。仏オランド大統領、伊レンツィ首相、そして独メルケル首相もみな、国内政治を安定させることに手いっぱいになり、EUとしての全体最適よりも部分最適を優先するでしょう。
具体的に言えば、これまで推進してきたFTA(自由貿易協定)などの活動は停滞する可能性が高い。10月30日、EUはカナダとのFTAに署名しました。最後までベルギーの国内調整が難航し、やっとの思いで署名にたどり着いた。今回はなんとかまとまりましたが、EUが今後もこうした結束を維持できるかは、非常に疑わしい。
加盟国は次第に、EUに加盟していること自体を足かせと感じるようになっていくでしょう。今後、米国や英国は、緊縮財政から財政出動に政策を転換する。その結果、仮に経済が上向くことになれば、緊縮財政を強いるEUに対する不満がさらに高まるでしょう。
こうした苦しい状況の中、中東から流入する難民がさらに増え続けています。米国がNATOへの関与を弱めれば、中東紛争の解決はさらに遠のくからです。難民の増加は、EUの結束をさらに困難にするでしょう。
—世界の主要国が内向きになっていくと。
1930年代のブロック経済に似てきた
菅野:1930年代にブロック経済が広がりました。この状況に似ていくと思います。拡大を続けてきたEUも、当面はEUという枠組みをどう維持するかが最大の課題となるでしょう。
もちろん、EUがすぐに解体してしまうとは思いません。しかし、その結束がかつてないほど揺らいでいるのは間違いありません。その行方を占ううえでも、来年の欧州各国での選挙は注視しておく必要があります。
—EU離脱を決めた英国は懸命だった?
菅野:結果的に、英国のEU離脱決定は時代の流れを映し出していると言えるかもしれません。もちろん、離脱した英国も課題が山積していますから、英国の判断が正しかったとは言い切れませんが、これからの時代を象徴する変化であることは間違いないでしょう。
保護主義が世界的に広がる今、多くの国の政府が姿勢を大きく変化させています。最優先すべきは自国民である、自国の経済である。自国のことは自国で守り、利害関係が一致する相手とは個別に交渉する。そんな潮流が当面は主流になるでしょう。
そこには、大国や巨大な連合の傘の下で守られたセーフゾーンはありません。私は、この変化を「ニューノーマル」と呼んでいます。グローバル化の時代から次のフェーズに完全に移ったと言えるかもしれません。
こうした時代の中でどう立ち振る舞うか、日本も自ら考えなければならないと思います。
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『「21世紀最大のデモ」で朴槿恵退陣に現実味 保守もこの政権を見限った』(11/14日経ビジネスオンライン 鈴置高史)について
11/15日経朝刊によれば日本政府は韓国とのGSOMIA締結に動いているとのこと。
<軍事機密協定、日韓が仮署名 韓国野党は反発
日韓両政府は14日、両国で防衛秘密を共有するための軍事情報包括保護協定(GSOMIA)について、実務者間で実質合意し仮署名した。月内にも両国内の手続きを終え、正式署名する方針。朴槿恵(パク・クネ)大統領が大統領文書を友人に漏洩した問題で週内に捜査を受ける見通しで、韓国野党はそろって強く反発している。

日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の締結に反発し、抗議する人たち(14日、ソウル)=共同
日韓GSOMIAは主に対北朝鮮で連携するために締結する。同協定が発効されれば、情報共有の質・スピードともに向上し、日本のミサイル迎撃システムの精度を高められる。韓国側にも対潜水艦の探知能力が高いと定評がある自衛隊からの情報に期待がある。
協定は2012年に署名直前に「密室処理」との韓国世論の反発で頓挫した経緯がある。韓国政府関係者は「2度は失敗できない。大統領の意気込みは強い」と、反対論を押しきる見通しだ。
最大野党「共に民主党」の報道官は14日、「国政混乱の隙を狙って『売国外交』を主導している」として韓民求(ハン・ミング)国防相、尹炳世(ユン・ビョンセ)外相、金寛鎮(キム・グァンジン)大統領府国家安保室長3人の解任または弾劾を推進していくと表明した。
GSOMIAが発効して法的には防衛秘密全般を共有できるようになったとしても「実際にどの程度の情報を出し合って共有できるかは運用次第」(自衛隊幹部)という。韓国内が混乱するなかで締結すれば、両国の今後の防衛協力推進に影響を及ぼすとの指摘もある。>(以上)
死に体大統領が署名を許可できるかどうかです。2012年6月末に締結直前まで行ってドタキャンしましたから、今回もそうなる恐れがありますし、大統領が身動き取れない中で、日本への融和策を採れば、「親日派」の烙印を押され、任期満了or弾劾発動直前の辞任をすれば、不逮捕特権は失せるので、罪状がもう一つ増えることになります(韓国は罪刑法定主義ではなく、国民情緒法が優先する国なので)。小生はGSOMIAには反対です。日本の軍事機密が簡単に中国に漏れてしまいます。北の脅威に対してと言いますが、日本はSM3もあればPAC3もあります。通貨スワップ同様、韓国に有利な協定としか思えません。11/15宮崎正弘氏のメルマガには「韓国が核を持てば日本に照準を合わせる」とありました。日本に核ミサイルの照準を合わせている中国、北同様敵国です。日本政府は何故分からないのか、信じがたいです。古田博司氏の『非韓三原則』が正しい道です。
https://melma.com/backnumber_45206_6448584/
次の大統領選では左翼が勝つと言われています。目先のことだけ考えるのではなく、子々孫々のことを考えねば。GSOMIAは愚か慰安婦合意も覆すでしょう。一体、日本政府は誰の為に外交しているのか分かりません。先祖に敬意を払い、我々の子孫に自由でより良い社会を継承していくのが務めでしょう。新聞とかTVしか見ない情弱者は正しい判断ができません。特に安全保障関係では「平和念仏」に脳を犯されていて、外部環境の変化には興味も関心も持っていません。そう言う人が投票で代議士を選ぶわけですから、政府もおかしな政策しか取れなくなる訳です。核保有は日本人の生存にとって必須です。投下されてから気づくのでは遅すぎます。米国の核の傘が本当に機能するかどうかも分かりません。明年1/20にトランプが大統領になる訳ですから、11/17安倍首相との会談時には、首相はニュークリアシエアリングについて話してほしいと思っています。
記事

11月12日、26万人が参加した「21世紀最大のデモ」が開かれ、朴槿恵退陣を求めた(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)
(前回から読む)
11月12日、韓国全土で大統領の下野を求める「21世紀最大のデモ」が起きた。国民の声が一気に高まったことで、朴槿恵(パク・クンヘ)大統領は退陣するしかない、との空気が濃くなった。
参加者は1週間で5倍
—韓国で3週続けて大統領の退陣を求めるデモが起きました。
鈴置:11月12日夜のソウルのデモの参加者は、警察発表で26万人でした。一方、主催者側は100万人が参加したと言っています。
1週間前の土曜日、11月5日のデモはそれぞれの発表で4万5000人と20万人でした。いずれにせよ5倍に膨らんだわけです。韓国各紙は「21世紀に入って最大のデモ」と呼んでいます。

参加者が多かったことに加え、平和的なデモだったことも朴政権にトドメを刺す、と見る韓国人が多いのです。
保守運動の指導者、趙甲済(チョ・カプチェ)氏が12日夜にデモの現場を取材した後、自身が主宰するネットメディアに記事を載せました。「デモで下野すれば、これは民衆革命!」(11月12日、韓国語)です。ポイントを翻訳します。
大統領は「国民の声」を聞いた
- 今日、歴代最大規模のデモが開かれた。しかし現場の雰囲気は切迫しておらず、余裕があった。警察も催涙弾、放水車を使わなかった。多様な階層の参加者が祭りを楽しむかのようだった。食べ物を売る屋台も多かった。
- 1987年6月の民主化闘争や2008年の狂牛病暴動の雰囲気とは異なった。2002年のワールドカップの応援風景と似ていた。
この日のデモは一部の参加者が青瓦台(大統領官邸)に向かい、13日早朝まで機動隊と対峙しました。が、総じて穏健なものでした。
大規模だけれど平和なデモ――。これで批判はいっそう政権に集中します。「国民が静かな声で下野を求めたのに、大統領は無視した」ことになるからです。
韓国の各テレビ局の記者は青瓦台から中継し「下野を求める声がここまで聞こえる」とレポートしました。
そして翌13日の日曜日、青瓦台のスポークスマンは「大統領におかれては昨日の国民の皆様の声を重い気持ちで聞いた。現状の厳しさを深く認識している」と記者団に明かしました。
聯合ニュースが「韓国青瓦台『朴大統領は国民の声を重い気持ちで聞いた』」(11月13日、日本語版)で伝えました。デモは朴槿恵大統領を着実に追い込んでいます。
悪い王は誅すべきだ
—デモは左派の陰謀ですか?
鈴置:いいえ、国民の不満が噴出したものです。でも、左派が「平和なデモ」を十二分に活用しているのも明らかです。
中央日報の「曺国(チョ・グッ)教授『憲政回復のために名誉革命を本格的に始めよう』とツイート」(11月12日、韓国語版)から引用します。
- ソウル大学法科大学院の曺国教授は12日の民衆総決起を1688年に英国で起きた名誉革命になぞらえてきた。
- 曺国教授はSBSとのインタビューで「血を流さない方法で、現在の憲政紊乱の状況を終わらせ、憲政を回復せねばならない」と朴槿恵大統領の下野を求めた。
—デモこそが朴大統領を退陣に追い込む道だと言うのですね。
鈴置:韓国では、指導者――王様や大統領が道を誤った場合、家臣や国民は実力で取り除くべきだと考えられています。
曺国教授は左派系紙、ハンギョレへの寄稿「今や『名誉革命』の時だ」(11月7日、韓国語版)でも以下のように書きました。
- 主権者である国民は1987年6月の民主化闘争で民主的な憲法を作り、民主化が始まった。約30年たった今、国民の手で民主憲政を回復せねばならない状況になった。国の根本を再び立て直す「反正」の道を行かねばならない。今や「名誉革命」の時だ。
韓国語で「反正」(パンジョン)とは「悪い王を廃し、新しい王を立てる」との意味です。朝鮮朝でクーデターに成功した側が使った言葉でもあります。
デモを無視できない検察
—「悪い王」とは?
鈴置:「法律を犯した王」という意味ではありません。ある家臣の価値基準から見て間違った行動をとった王、あるいはある家臣にとって自分と対立する勢力に担がれている王、ということに過ぎません。
米国で学位も取得した法学者である曺国教授が、この単語を使うとは「反正」の伝統がいかに韓国社会に根付いているか、思い知らされます。
ただ、いくら「反正」としてもデモが流血に至ると、権力に弾圧の名分を与えてします。そこで「無血」なり「名誉革命」が称賛されるのです。
今、大統領の40年来の友人である崔順実(チェ・スンシル)氏への捜査が進んでいます。大統領の権力を笠に着て、政府の予算や人事を壟断して金もうけしたとの疑いです。
検察は11月14日からの週に朴大統領を調査する可能性が高い。12日の大規模デモにより、検察は「大統領は無関係だった」などとは発表しにくくなりました。国民が声をこれほどに高めた以上、検察も無視できないからです。
大統領のスキャンダルをテコに、保守勢力の打倒を図る左派の狙い通りになっていく、と趙甲済氏は危機感を深めています。
そこで「デモに押されて下野してはいけない」と大統領に訴え始めました。掲げた論理は「憲政を踏みにじることになる」です。先の記事で、趙甲済氏は以下のように書きました。
政権がデモで崩壊するのは……
- メディアの報道や国民の世論は主観的で容易に変わり得る。これを根拠に下野を求めるのは非理性的である。検察の捜査結果という1次的な事実が固まってこそ、何が事実で何が誇張なのか分かる。これを根拠にして弾劾するかしないかを決めるべきだ。
- 今や、朴槿恵大統領の最後の義務は憲政秩序を守るための政治的殉職である。絶対にデモに屈服し、下野してはならない。これは民衆革命の共犯になることを意味する。一方、弾劾されて権力の座から降りるのは民主的手続きに従うもので、革命とは関係ない。
- これから大統領はあらゆる侮辱を受けるだろうが、韓国の民主主義を56年前に戻してはいけない。1960年の韓国は世界で最も貧しい国だったが、2016年の韓国は様々の経験を経た富国強兵の民主福祉国家だ。
「1960年の韓国」とは、学生デモが李承晩政権を倒した事件を指します。趙甲済氏はそんな超法規的な手法で政権交代を実現することはもう、やめようと呼び掛けたのです。以下のようにも書いています。
- 先進民主国家はデモによって崩れない。20世紀に入って以来、米国もフランスもドイツ(1945年以降)も英国も日本もスペインも、そんなことはなかった。一方、1960年の韓国、1986年のフィリピン、1990年代のセルビア、2002年のウクライナでそれは起こった。
ここで退位すれば殺される
—先進国になるためにも「大統領は殉職せよ」ということですね。
鈴置:趙甲済氏は12日のデモを自身の目で確かめて「朴政権が任期を全うできる可能性は低い」と判断し「どうせ退陣するなら弾劾という正式の手続きを経るべきだ」と考えたのでしょう。
圧力に屈して直ちに下野するのと比べ、弾劾なら数か月間の時間を稼げます。その間に朴槿恵政権が体制を立て直せる可能性がないわけでもない。
それに今、大統領選挙を実施すれば朴大統領への反感から、左派が勝つ可能性が極めて高いのです。趙甲済氏はこう訴えました。
- デモ隊の圧迫に屈服して下野する姿勢を見せれば、朴槿恵大統領は(米国に亡命を余儀なくされた)李承晩(イ・スンマン)や(死刑判決を下された)全斗煥(チョン・ドファン)の道をたどることになる。
- その後は革命的状況になる可能性があり、そうした雰囲気に乗った非正常的な選挙により、反憲法的勢力が政権を取るかもしれない。
趙甲済氏は必死です。大統領に対しては「下野すれば身が危ない」とまで警告しました。
- 朴大統領は下野すれば安全になると考えるかもしれないが、それは誤算だ。青瓦台にいることが安全だ。国の東西を問わず、強制的に退位させられた王は殺されることが多いのだ。
トランプ当選も名分に
—左派はどう動くのでしょうか?
鈴置:参加者が増え続けるデモにより、左派にどんどん有利な状況になってきた。ここで一気に保守を追い詰めよう――と考え始めたようです。「早期決戦」に動く気配があります。
野党第1党「共に民主党」の次期大統領候補と目される文在寅(ムン・ジェイン)前代表が「朴大統領は権力を全て渡せ」と言い始めました。
3回目のデモの2日前の11月10日のことでした。名分は「米国にトランプ(Donald Trump)大統領が登場するから」です。
朝鮮日報が「『外交・戒厳権も渡せ』、文は大統領当選者のように振る舞う」(11月11日、韓国語版)で以下のように報じました。
文・前代表は11月10日、フェイスブックに「米大統領選の結果に対するメッセージ」という立場を表明する文章を発表した。
この中で「朴槿恵大統領は内政だけでなく外交でも信頼を失った」として「国益に直結した事項は次期政権で検討せねばならない。朴大統領は愛国的な決断をすべきだ」と述べた。「愛国的決断」とは事実上、大統領の職を放棄しろとの意味だ。
この記事からは「トランプ当選」と「朴大統領が外交で信頼を失った」を文・前代表がどう関係付けたかは不明です。
ただ「トランプは何をするか分からない」というイメージがあります。それを背景に文・前代表は「とにかく外交を含め全権を今、引き渡せ」と主張したのでしょう。
簡単ではない弾劾
—野党は「下野しろ」つまり「全権を引き渡せ」と主張していたのではありませんか?
鈴置:デモでは「辞任」「下野」とのスローガンが掲げられます。ただ「共に民主党」などの野党は「大統領の職にとどまってもいいが、その場合は権限を縮小せよ」と主張してきました。大統領と取引する狙いです。
法的に大統領を辞任させるには弾劾という手しかありません。それには国会議員の3分の2以上の賛成と、憲法裁判所の認定が要ります。
前者は与党、セヌリ党の約30人――4分の1強の議員の賛成が必要です。後者は「弾劾」に足る「大統領の犯罪」が立証されないと不可能ですが、捜査は始まったばかり。いずれも現段階でクリアできる保証はありません。
フランス型なら御の字
—そこで野党は「権限の縮小」を唱えてきたのですね。
鈴置:その通りです。「第2線への後退」というオブラートに包んだ言い方をすることが多いのですけれど。
「外交・国防」は朴大統領に任せ、「内政」は国会が指名した首相が担うとの案が主軸でした。フランスの大統領の権限を念頭に置いているようです。
そこに「共に民主党」の文在寅・前代表が外交に加え、軍の統帥権も朴大統領から取り上げる、という強硬案を言い出したのです。先の朝鮮日報の記事によると、詳細は次です。
- 文・前代表は市民団体と会って「大統領の固有の権限である軍の統帥権、戒厳令を発する権限、それに国家情報院、監査院、司法部、憲法裁判所や最高裁判所の長官と判事など広範な人事権を挙国中立内閣に任せるべきだ」と語った。
この案だと、朴大統領は完全に形だけの国家元首となります。シンガポールの大統領のようなものです。権力を失った朴大統領は、左派の思うままにいたぶられるでしょう。事実上の下野要求論です。
大統領には退く2線がない
—韓国の憲法では大統領の権限をどう定めているのですか?
鈴置:第4章第1節第66条に「行政権は大統領を首班とする政府に属する」とあります。ですから全権委任はもちろんのこと、権限縮小論でさえも憲法違反との批判があります。
趙甲済氏はここでも孤軍奮闘しています。「大韓民国大統領には退く『2線』はない」(11月8日、韓国語)を書いて、こう指摘しました。
- 国会による国務総理の任命と大統領の2線後退は、クーデター的発想である。
- 野党が主張する「大統領の2線後退」は事実上、政権を投げ出せとの脅迫だ。憲法違反でもある。大統領には退く2線がない。「2線後退」が内政を放棄し、国防、安保だけを与えるとの意味であっても憲法違反は明らかである。
- 憲法は大統領の憲法上の権限を他の人と分け持つようには規定していない。内政と安保は区分が不可能だ。安保は内政の核心である。
不支持率は90%に
—確かに「2線後退論」も無理筋ですね。
鈴置:法律論から言えばそうです。趙甲済氏も指摘したように、それはクーデター――超法規的な発想です。でも、韓国では法律よりも感情や個人の利益で物事が決まることが多い。
「あの王を殺せ」と叫ぶ人が増えれば、法律には関係なく弑逆(しぎゃく)――王殺しをしてきた「反正」の国です。
ちなみに、韓国ギャラップの調査では、11月第2週(8-10日)の朴大統領の支持率は前週と同じ5%。不支持率は1%ポイント増えて、この政権で最高の90%になりました。

| 「国政壟断事件」の動き(2016年) | |
| 10月 | |
| 24日 | JTBC、大統領演説の草稿など機密資料が崔順実氏に漏えいと報道 |
| 25日 | 朴大統領が資料提供を認めて国民に謝罪 |
| 26日 | 検察が崔氏自宅など家宅捜索。外交資料なども漏洩とメディアが報道 |
| 28日 | 朴大統領は首席秘書官全員に辞表を出させる。秘書室長が辞表提出 |
| 28日 | 韓国ギャラップ「朴大統領の支持率が6週連続で落ち、過去最低の17%に」と発表 |
| 29日 | 青瓦台、検察の家宅捜索を拒否。ソウルで1万人強の退陣要求デモ |
| 30日 | 青瓦台、検察に資料提供。朴大統領は一部首席秘書官らを辞任させる |
| 30日 | 与党、挙国一致内閣を提案するも野党は真相究明が先と拒否 |
| 30日 | 崔順実氏帰国、31日に検察に出頭、逮捕状なしで緊急逮捕 |
| 31日 | リアルメーター「潘基文氏の支持率が前週比1.3ポイント低い20.9%に」 |
| 11月 | |
| 2日 | 朴大統領、首相を更迭し、後任に盧武鉉時代に要職を歴任した金秉準氏を指名 |
| 2日 | 野党各党、新首相の就任に必要な国会聴聞会を拒否することで一致 |
| 2日 | 検察、安鍾範・政策調整首席秘書官を緊急逮捕 |
| 3日 | 検察、崔順実氏を逮捕。容疑は「安鍾範氏と共に財閥に寄付を強要した」職権乱用など |
| 4日 | 韓国ギャラップ「朴大統領の支持率は過去最低の5%、不支持率は89%」と発表 |
| 4日 | 朴大統領「検察の捜査受ける」と国民向け談話。野党は「退陣要求運動を展開する」 |
| 5日 | ソウルで4万5000強人の退陣要求デモ。釜山など他都市にも拡散 |
| 6日 | 禹柄宇・前民情首席秘書官が検察に出頭 |
| 7日 | 与党・セヌリ党の金武星議員、大統領に脱党を要求 |
| 7日 | 朴大統領、与野党代表との会談を提案するも3野党に拒否される |
| 8日 | ソウルで4万5000強人の退陣要求デモ。釜山など他都市にも拡散 |
| 8日 | 検察、崔順実氏に関連するとしサムスン電子本社や大韓乗馬協会を家宅捜索 |
| 8日 | 朴大統領、丁世均・国会議長を訪ね「国会が推薦する総理を受け入れ、内閣を任せる」 |
| 9日 | 野党3党、朴大統領の国会推薦総理案を「一考の価値なし。大統領は2線に引け」と拒否 |
| 9日 | 米次期大統領にトランプ氏決定 |
| 11日 | 韓国ギャラップ「11月第2週の大統領支持率は前週と同じ5%。不支持率は最高の90%」 |
| 12日 | 全国で朴大統領の退陣求める集会。ソウルでは26万人参加 |
| 13日 | 検察、「国政壟断事件」でサムスン電子の李在鎔・副会長ら財閥トップを参考人として聴取 |
※注 デモの参加者数は警察発表
(次回に続く)
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