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『天安門事件を成功体験として語り始めた中国の物騒さ “恐怖政治”を徹底する習近平、天安門事件は再び起きるのか』(6/6JBプレス 福島香織)、『トランプ政権が今も天安門事件を厳しく追及する理由 米国の価値観と正反対の人権弾圧、対中政策の大きな指針に』(6/5JBプレス 古森義久)について

6/7希望之声<中共持续打压宗教信仰 强拆教堂又逼迫教徒缴强拆费=中共は宗教信仰を抑圧し続けている 教会を取り壊し、信者たちに解体費用を払うように強制>中共当局は長期に亘り中国の宗教団体を迫害してきた。 最近、河南省唐河県のキリスト教会は夜の間に強制的に取り壊されたが、解体が完了した後、当局は教会に何万元もの解体費を支払うように要求した。 現在、江西省、安徽省、中国北東部でも同様の事件が発生している。

以前中国の死刑執行は銃殺でしたが、弾代を遺族に請求していたのと相通ずるものがあります。信仰の自由を認めない国がどうして自由貿易を主張できるのか?

中共当局は長期に亘り中国の宗教団体を迫害し、教会を破壊、十字架を焼き払ってきた(出典:対中援助協会)

写真は河南省鄭州市大里の破壊された教会を示している。 (出典:対中援助協会)

https://www.soundofhope.org/gb/2019/06/07/n2943202.html

6/8阿波羅新聞網<失禁崩溃!女基督徒遭强灌药 中共毁灭信仰恶行曝光=失禁や精神崩壊! 女性クリスチャンは中共の強制服薬に遭う 中共による信仰破壊の悪行が明らかに>中国の人権問題について長い間ウオッチしてきた雑誌「寒冬」は本日、「中共政府が長い間人権を迫害し、法輪功信者、全能神教会の信者、良心犯、そして多くのウイグル少数民族達を刑務所に送り、酷刑を課している。中には生きたまま臓器を取られる人も」と報道。 たとえ死んでいなくても、多くの信仰者は長期間向精神薬を服用することを余儀なくされ、その結果重大な肉体的、精神的な傷をもたらしている。

写真は酷刑を示す(武林軍事ネットから取ったもの)

https://www.aboluowang.com/2019/0608/1299437.html

6/7阿波羅新聞網<川普一句话戳破北京硬扛 金融战美国打响第一枪 涉1.8万亿美元还有第四波加税=トランプの一言は北京の強硬姿勢を打ち砕く 金融戦争に向け米国は号砲を撃つ 米国は1.8兆ドルと追加関税の第4波を>6/5(水)、米国議会は、米国に上場している中国企業に規制の遵守、財務の透明性と説明責任に関する米国の法律と規制の遵守、米国内の1.8兆ドルもある中国系上場企業への管理監督を求める法案を提出した。 アポロネットの時事評論家の王篤然は、「これは米国における金融戦争の最初の一撃である」と分析した。

トランプは6日、中国製品の3,000億ドルに対して適当な時に関税を課すと述べた。 中共の商務部は「徹底的に付き合う」と言ったが、トランプのその一言で北京の強硬姿勢を打ち砕いた、中共はまだ米国と私的に交渉している。 トランプの貿易戦争は米国人に経済的な恩恵をもたらし、トランプの世論調査の支持率は上がっている。(6/5CNNによれば、トランプ再任賛成が54%、反対が41%、あの反トランプのCNNの数字です)。 さらに、FRBの最新のデータによると、米国の家計純資産は今年第1四半期に4.5%増加し、過去最高を記録した。

いよいよ貿易戦だけでなく、金融戦争に走りだしました。次は通貨戦争でしょう。日本政府と日本企業は中共に加担すれば負けが見えています。米国をしっかり支えないと。

前にも書いていますが、中国の企業は少なくとも3種の財務諸表を作成しています。監督機関、株主、銀行とそれぞれ数字が違います。それに賄賂や接待用に「小金庫」も必ず持ちます。コンプライアンス上、重大な問題です。

写真は法案提出発起人の一人である共和党議員のMike Conaway

https://www.aboluowang.com/2019/0607/1299255.html

6/8阿波羅新聞網<特朗普:中共已用完所有武器 中美将达成贸易协议=トランプ:中共はすべての武器を使い果たした 米中は貿易で合意に達するだろう>米中貿易戦争はまだ鎮まっていない。 トランプ大統領は6/7(金)米国メディアの独占インタビューを受けて、中国との貿易協定で合意に達するだろうと述べた。 彼は、米国がまだ3,250億ドルの中国の輸入品に課税していないことを強調した。だが、中共はすでにすべての武器を使い果たしている。

米中両国の貿易戦争は益々激しくなる中、トランプ大統領は6/7(金)フランスでフォックスニュースキャスターのローラ・イングラハムの独占インタビューを受け、中国との貿易協定に合意するだろうと述べた。

イングラハムが中国との貿易協定を締結するかどうかという質問に、トランプは「イエス、中国と貿易協定を確実に締結する。その意味は、彼らは今すぐ合意したがっている。 私も合意したいが、彼らがしてきたことは非常に悪辣である。我々はかつて協議書があり、彼らは最初からの再交渉を望んでいたが、そのようにはできない」と答えた。

トランプはバイデン元副大統領の中共の脅威に対する無知を批判し、習近平はバイデンが米国をリードすることを期待していると述べた。

まあ、トランプのリップサービスというか目くらましでしょう。合意の目途は立っていません。習は米国の敵と認定されているロシアと手を組もうとしているようですが、プーチンがそんなに簡単に中国を信じる筈もない。助け合えれる部分はと言う所でしょう。

https://www.aboluowang.com/2019/0608/1299467.html

6/8日経<AI独裁ばらまく中国 拡販される監視システム 本社コメンテーター 秋田浩之

街のすみずみに監視カメラを置き、顔認証で特定の個人を追いかける。ネット空間を厳しく検閲する。中国は最新の人工知能(AI)を使い、AI独裁ともいえる体制を固めつつある。

さらにはクレジットカードや交通違反の履歴、国への貢献によって、一人ひとりに点数を付け、管理するシステムも確立しようとしている。

こうした動きに手を貸しているとして、米政府は防犯・監視システムの中国最大手、杭州海康威視数字技術(ハイクビジョン)に制裁を科すことを検討中という。

しかし、中国の動きは、はるかに先をいっている。彼らは厳しい監視システムを国内に張りめぐらせるだけでなく、それらを海外にも広めているのだ。

米人権団体、フリーダム・ハウスの報告書によると、少なくとも18カ国が中国企業の支援を受け、AIなどを駆使した監視システムを築いている。その中にはジンバブエやウズベキスタンなど、強権が指摘される顔ぶれも並ぶ。

日本が長年にわたって援助を注ぎ、改革を促してきた東南アジアも例外ではない。各種の報道などによると、タイやマレーシアが中国企業と契約し、最先端の監視システムの導入に動いている。ミャンマーは交通違反の摘発などに、中国のAI技術を使う計画だ。

中国側の目的は、お金もうけだけではなさそうだ。中国企業には監視システムの顧客である外国政府の同意を得て、顔認証のデータを自社に吸い上げ、解析を手伝うケースもあるという。こんな契約が広がれば、中国は外国からも膨大なデータをかき集め、顔認証の精度を高められる。

日米欧やオーストラリアはいま、中国が「一帯一路」構想に沿ってインド太平洋の要所に港や鉄道をつくり、政治力を広げることを警戒している。対抗策として、米豪は昨年秋、新たにファンドを設け、域内国のインフラ整備を支援していくことを決めた。

とはいえ、こうした目に見えるインフラ整備よりも、中国によるAI監視システムの拡散のほうが、世界への影響は深刻だ。中国が港や鉄道をつくったからといって、その国の民主主義が後退するとは限らない。しかし、民主的といえない国々に高度な監視システムが渡れば、さらに強権政治に染まってしまう恐れがある。

むろん、中国によるAI支援のすべてがいけない、というわけではない。空港の管制や交通網の制御など、相手国の近代化に役立つ協力であれば、悪い話ではない。問題なのは、強権政治を広めかねないAI支援である。

もう一つ気がかりなのは、中国がハード面だけでなく、法体系というソフト面でも、デジタル独裁のノウハウを拡散していることだ。そのひな型が2017年6月、中国が制定したインターネット安全法である。

同法は中国で集めたデータをすべて国内で保存し、海外持ち出しの際は当局の審査を受けるよう義務づける。「国家の安全」を脅かす問題では、企業が捜査に協力するよう定めた。

デジタル空間に「国境」を設けて隔離するとともに、反政府の情報を摘発しやすくする狙いだ。運用によっては、中国内の外国企業も「国家の安全」を理由に情報の開示を迫られ、拒めば処罰されかねない。

日米欧や豪州の安全保障当局者は懸念を強めるが、状況は悪くなっている。中国の法律を参考にタイやベトナムが今年、似たような法律を設けた。この動きが広がれば、世界のデジタル空間でも自由が制限されてしまう。

こうした展開に歯止めをかけるため、日米欧や豪州は連携し、早く手を打つことが大切だ。AIを跳躍台にした中国による影響力の拡大は、決して侮れない。

民主主義国とは異なり、中国は人権批判をさほど気にせず、約13億人の国民のデータを集め、AIを進化させられる。中国の監視システムを売った国々と契約し、個人のデータを集めることも不可能ではない。

では、日米欧や豪州は、どうするか。残念ながら即効薬はないが、少なくとも2つ、やれることがある。

第1に、中国の監視システムに依存するリスクについて、各国に説明していくことだ。

日米豪は重要情報が中国に漏れかねないとして、次世代通信規格「5G」から中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)を外すことを決めた。同社は疑惑を否定しているが「中国の国内法を入念に分析した結果、情報の提供を当局に迫られたら、ファーウェイは拒みきれないと判断した」(外交筋)という。

日米豪はそうした分析結果をもっと積極的に他国と共有し、注意を促すべきだろう。民主主義国はもちろん、強権国といえども、情報が中国に筒抜けになることは望まないはずだ。

第2に、日米豪や欧州連合(EU)が歩調をそろえ、デジタル空間の国際ルールづくりを急ぐことも大事だ。政府による過度の介入や監視を禁じるルールを定め、そのうえで、賛同国を募って共通のデジタル圏を立ち上げ、規模を広げていくことが望ましい。

使いようによって、AIは世界の民主化を促す道具にもなるし、強権政治の台頭を招く装置にも転じる。後者の展開だけは、防がなければならない。>(以上)

宮崎正弘氏のメルマガで中国はデジタル全体主義と唱えていましたがその通りです。共産主義がデジタルを使って人権侵害し、世界革命を引き起こそうとしているのが、「今」です。自由主義国で自由を享受している人はその危険性を認識し、中国の共産主義を崩壊させないと、自由も民主主義も跡かたなく消え去るでしょう。

福島氏の記事では、再度天安門事件(場所が違っても)が起きるのではと懸念しています。しかし、文中にある通り、これだけ監視の網が張り巡らされれば、一瞬に鎮圧されるでしょう。以前は軍を味方につけて反乱を起こせばと考えたときもありましたが、ITの進歩でそれも難しいと感じます。やはり外圧で、世界が中共を相手にしないように仕向けるのが大事かと。秋田氏の記事によれば、後進国が中共のハード、ソフトを導入して強権政治を実行しようとしているとあります。説得してそうならないようにしませんと。

古森氏の記事では、ナショナリストの方が人権侵害に真剣に取り組むという事でしょう。左翼は人権侵害が当り前、リベラルはPCに代表されるように自由を奪います。リベラルを英和辞書で引くと「自由な人に相応しい」が本義と出てきます。自由を奪う人たちがリベラルと呼ばれるのはおかしいでしょう。

福島記事

中国・北京の天安門広場(資料写真)

(福島 香織:ジャーナリスト)

 この原稿がJBpressにアップされるのは天安門事件30周年の6月4日が過ぎたあとだが、やはり天安門事件のことを書きたい。この事件は風化させてはいけない。習近平政権になってそう強く思うのは、ひょっとすると天安門事件は再び起きるのではないか、と危惧しているからだ。

 天安門事件とは何か、いまさら説明する必要もないように思える一方で、これほど複雑な背景を持つ事件もあまりない。単純に学生が民主化を求め、中国共産党がそうした学生たちの運動を武力で蹂躙した、という構図だけでは十分に説明しきれない。経済状況の悪化、党内権力闘争、国際情勢の変化、海外からの干渉、そういったものが複合的に影響し、知識人・学生と一般市民・労働者らを同じ方向の運動に走らせていった。なぜあそこまで人々が恐れ知らずの熱狂に染まったのか。なぜ共産党はそれを戦車で踏みつぶすと決断してしまったのか。そのプロセスは依然、多くの専門家たちの研究テーマとなっている。

 犠牲者数もいまだ不明だ。中国の公式発表では319人。元新華社国内部主任の張万舒が香港で出版した手記の中で引用した、中国赤十字の当時の書記から聞いた数字が727人。2014年の機密解除で明らかになった米公文書によれば死者1万454人(天安門広場および長安街8726人、それ以外の北京市内1728人、戒厳部隊筋が中南海に挙げた数字)、負傷者4万人。2017年12月に明らかになった英国情報当局の推計が1000~3000人。当時の英国大使が国務委員から聞いた数字として本国に打電した数字は少なくとも1万人。中国赤十字の推計として報告した数字は2700~3400人。また「解放軍総参謀部が1989年10月12日にまとめた数字によると、6月1~10日の間の死者数3万1978人」という“噂”が中国の民主化活動サイトなどに挙げられている。一方で「天安門広場で虐殺はなかった」と信じている人も多くいる。

 軍同士の相打ち混戦や市街戦のような事態になり、兵士側にも相当数の犠牲者が出たと言われている。当時、北京以外でも、およそ70都市で大規模民主化要求運動が起き、治安維持のための武装部隊と激しい衝突を繰り返していた。その実態はほとんど不明なのだから、私は死者が万人単位であっても「あり得ない」とは思えない。

中国・北京の天安門広場で、軍と衝突したデモ参加者によって焼かれた軍用車両20台の残骸のそばに集まる住民たち(1989年6月4日撮影)。(c)Manny CENETA / AFP〔AFPBB News

天安門事件を成功体験として語り始めた共産党

 事件から30年たってなお犠牲者数がわからない上に、情報統制はますます厳しく、巧妙になっている。今の中国人大学生たち、若い記者や編集者たちに天安門事件の話を振っても知らないという。

 私が上海に留学していた1999年、ちょうど天安門事件10周年のころは、ユーゴスラビアの中国大使館の誤爆事件があり、各地で反米デモがあった。多くの学生たちが、反米デモに参加するよう共産党に扇動されていた。だが、みんな心の片隅には天安門事件があって、おびえていた。ある女子学生から「お母さんからデモに絶対参加するなと言われた。天安門事件を忘れるな、と。政府が認めているデモも、いつ“治安維持”を理由に鎮圧されるかわからない」と打ち明けられたことがある。

 この20年の世代間ギャップを思えば、この先、40周年、50周年を迎えるころに共産党体制が続いているのなら、「天安門事件で虐殺はなかった」「米国が中国を貶めるためにでっちあげたフェイクニュース」というのが国際社会の通説になっているかもしれない。

 現に、中国共産党からは天安門事件を“成功体験”と語る声が出てきた。中国国防部長の魏鳳和がシンガポールで開催されたアジア安全保障会議(シャングリア対話)で、天安門での武力鎮圧は政治的に「正しい判断だった」と公言した。魏鳳和は「そこ(武力鎮圧)から中国が安定に向かった」と語り、「この30年で中国共産党の指導による中国の大きな変化をみても、中国政府の天安門事件に対する処理を過ちだったと言えるのか?」と問いかける。

 これまでは、党内でも天安門事件は“トラウマ”であり、だからこそ言葉にできない“タブー”であったが、そのタブーは悪い意味で破られつつある。「天安門事件」を成功体験として対外的に語り出したのは習近平政権が初めてである。習近平は天安門事件当時、福建省寧徳区(今の寧徳市)の書記であり、都会の民主化の熱狂にまったく共感できなかったのかもしれない。

事件の教訓を政策に盛り込んでいる習近平

 先日、明治大学でシンポジウム「30周年 六四・天安門事件を考える-民主化は、なぜ挫折したのか」が開かれ、私はその前日の内部討論会と記者会見に参加した。内部討論会では、シンポジウムの登壇者であるアンドリュー・ネイサン(コロンビア大学教授)が自著『最後的秘密』(香港新世紀出版)についての解説を行った。ネイサンが最近発掘した新資料を書籍化した同書には、天安門事件直後に行われた政治局拡大会議上での王震ら保守派長老や政治局メンバーの肉声が収録されており、当時の党内ハイレベルが天安門事件をどのように考え、何を教訓としていたかが読み取れる。

 共産党はこの事件が起きた原因を、(1)外部敵対勢力(米国)と内部敵対勢力の結合、(2)イデオロギー政策の過ち、(3)党内分裂、(4)党の核心の不在、などと総括している。特にそのような状況を生じさせたのが趙紫陽であり、彼が民主化の領袖として鄧小平にとって代わろうとした政治的野心を攻撃する発言も多々あった。

 ネイサンによれば、この4つの教訓を習近平ほどしっかり汲み取り、自分の政策に反映した指導者はいない、という。習近平政権の政策(たとえば反スパイ法などで“外国スパイ”の摘発を強化し、公民運動や労働者運動を徹底的に弾圧し、西側イデオロギーに対する厳重な取締りを行い、メディア、作家、知識人らへの弾圧、監視、コントロールを強化し、反腐敗闘争において党内の異なる意見を完全排除し党内分裂の可能性を封じ、自ら核心になろうとしている)などを見れば、確かにそう思われる。

 だが、その教訓による政策というのがうまく機能しているかというと、私は懐疑的だ。国内外の“敵対勢力”は、習近平の強硬な政策によってむしろ増えているのではないか。特に米トランプ政権はこれまでにない対中強硬姿勢を打ち出すようになった。また、党内分裂を防ぐつもりで徹底粛清を行った結果、党内に習近平に対する恐怖と恨みを隠し持つ面従腹背の反習近平派がむしろ増え、習近平の不安と疑心暗鬼と孤立がますます深まっているように見える。“習核心キャンペーン”も習近平のカリスマ性のなさを暴露する結果となっている。天安門事件の教訓を汲み取った政策の結果、天安門事件がいまだかつてないほど起こりそうな条件が整いつつあるような気がするのだ。

体制は当時よりも安定している

 ちなみにネイサン教授は当時のような大衆運動が短期的将来に起きる可能性については否定的だった。彼によれば、「体制はむしろ安定している印象だ」という。

 同じシンポジウム登壇者の張博樹(在米華人知識人、憲政・思想史学者、元社会科学院哲学研究所)はさらにこう説明する。

「1989年の大規模なムーブメントの状況と今の状況は大きく違う。87年の第13回党大会では政治体制改革が打ち出されており、党内ハイレベルでも改革を進める動きがあった。それに89年の民主化希求の動きが結びつく上下結合があり、天安門事件前のようなダイナミックな民主化運動が起きた。

 しかし、習近平政権下には政治改革の動きはなく、89年のような状況はできていない。さらにいえば、習近平政権下ではITなどハイテク技術を駆使した監視社会を実現しつつあり、民間の動きを厳格にコントロールしている。民衆の力だけでは体制を変えることは難しい。しかも、そうした独裁政治にもかかわらず、貧困は減り経済は発展している。大規模な経済危機が起きて国民が生きていけなくなる状況は存在せず、体制はむしろ安定している。

 もし体制がひっくり返るような動きがあるとしたら、習近平が病没するとか、南シナ海や台湾で紛争が起きて負けるといった特殊な状況が起きた場合。だが、それは習近平政権が終わるのであって、共産党体制が終わるという話ではない」

 張博樹は、貧困によって民衆が立ち上がるのではなく、もっと次元の高い権利要求運動が起き、党内にも改革開放の経験を経て民主化を求める官僚が台頭し、彼らが結びつく時代が来ることに期待する、と語っていた。

 元学生リーダーの王丹は、天安門事件の背景にハイパーインフレと都市部の失業者の急増という経済要因があったことに触れ、「中国の経済がマイナス成長に入れば、大衆の不満が爆発する」形で変革を求める運動が起きるのではないかという期待を示した。同時に、米中貿易戦争の行方次第では、党内の路線対立がより先鋭化し、場合によっては習近平体制が崩壊するシナリオはありうるという見方も否定していない。

中国を「許した」米国の失敗

 実際に天安門事件が再び起きるか否かは、誰であっても簡単に予想できるものではない。ただ、言えることは、もう一度同じような状況が起きれば習近平政権は武力弾圧をためらわないであろう、ということだ。

 中国の民主化運動を支持する雑誌「北京の春」編集人の胡平は、「天安門事件前まで、共産党は弾圧するときに“敵”のレッテルを張ってからするという手順を踏んでいたが、天安門事件では学生、知識人、一般庶民といった普通の中国人をいきなり虐殺した。この恐怖こそが中国人に植え付けられた天安門事件の負の遺産」と言い、この事件以降、人々が共産党に抵抗する意志を完全に失ったと指摘する。今の習近平政権はまさに容赦ない弾圧や粛清をちらつかせ、反対意見を完全に押さえつけることでの見せかけの体制の安定を演出している。

 だが、人間というものは本当に恐怖に屈したまま生き続けることができるのだろうか。私はそうは思わない。

 香港では6月4日の夜、恒例のビクトリアパークのキャンドル追悼集会が行われ、主催者発表で18万人、警察発表で3.7万人が参加した。これは雨傘革命が起きた2014年以来の規模だ。

 また台湾では6月4日夜、陳破空ら天安門事件に参加した在米華人民主活動家や人権活動家らが総統府に招かれ蔡英文総統と会見した。蔡英文は5月23日、王丹ら天安門事件参加者とも会見している。台湾の総統が総統府に天安門事件関係者を招いて会見するのは初めてだ。事件を過去のものとさせない努力を多くの人が続けている。逃げ場のない恐怖、それを口外できない鬱屈は“窮鼠猫を咬む”式の暴発となり、天安門事件の弾圧・虐殺を再演しかねないのではないかと強い懸念を持っているからに他ならない。

 天安門事件後、日本は米国からの水面下の要請を受けて経済制裁を早々に解除し、米国とともに今の中国を“育てた”。ウォール・ストリート・ジャーナルは「中国を許した米国の失敗」と当時の米国の決断を批判している。米国政府も失敗を認めているからこそ、今、対中強硬策姿勢に出ている。

 ポンペイオ国務長官は6月4日、中国の人権問題に強い不満を表明し、国務省の報道官も天安門事件を「虐殺」と表現した。日本の菅義偉官房長官は「遺憾」表明はしたが、果たして天安門事件後の日本の中国への対応は、「遺憾」で済ませられるものだろうか。

 日本も今一度、天安門事件後から今に至るまでの中国への対応や姿勢について振り返って反省してみてはどうだろう。

古森記事

事件から30年目を迎える天安門広場(2019年6月3日撮影、写真:AP/アフロ)

(古森 義久:産経新聞ワシントン駐在客員特派員、麗澤大学特別教授)

 2019年6月4日は天安門事件の30周年の記念日だった。いや追悼の日というべきだろう。この日に殺された多数の中国人男女の霊が悼まれる日だからだ。

 その追悼の行事が世界各地で開かれたが、現時点におけるこの事件の最大の意味は、その教訓が米国のトランプ政権の対中政策に堅固に生かされていることだろう。現在の激しい米中対立は、天安門事件が大きな要因になっているとも言えるのである。

天安門事件の民主化運動指導者が証言

 天安門事件の30周年を追悼する6月4日、米国の首都ワシントンでは多様な行事が催された。いずれもあの事件で命を奪われた多数の中国人男女の霊を悼み、その悲劇を起こした中国共産党政権の残虐性を糾弾する趣旨の行事だった。

 米国があの事件を現在も解決されていない重大な課題としてとらえ、対中政策の指針に反映させているという基本姿勢は、4日に米国議会で開かれた「中国に関する議会・政府委員会」主体の大公聴会でも明らかだった。

「中国に関する議会・政府委員会」は、米国の立法府である議会と、行政府である政府が合同で中国の人権状況を恒常的に調査する機関である。公聴会は、同委員会が主体となり、下院外交委員会、同じく議会で人権問題を専門に扱う「トム・ラントス人権委員会」(下院で長年、人権問題を専門に活動した著名な故ラントス議員の名をとった特別機関)、そして行政府のホワイトハウスや国務省の代表も含めて合同で開かれた。主題は「30年目の天安門事件・中国の弾圧の深化を点検する」とされていた。

 この公聴会の主役は、当時、天安門事件で民主化運動の指導者として活動し、その後の弾圧を逃れて海外に避難したウーアルカイシ氏や周鋒鎖氏だった。彼らは証人として登場し、当時の天安門広場での弾圧から、中国当局によるその後の長く過酷な民主化運動抑圧の実態を生々しく語った。

中国・北京で行われた民主化を求めるデモで、天安門広場に集まった人々(1989年6月2日撮影)。(c)CATHERINE HENRIETTE / AFP〔AFPBB News

「拘束された人々はただちに釈放されるべき」

 米国にとって、天安門事件は単なる歴史上の出来事ではなく、現在、目の前に存在する未解決の問題である。公聴会の開催趣旨は、そのことを明確に物語っていた。開催趣旨は以下の通りだった。

「1989年、中国のあらゆる階層の市民たちが天安門広場に集まり、平和的な集会によって政府に対し民主化の促進や腐敗の追放を求めたが、暴力的な弾圧にあった。中国政府はその後、事件が起きたことを否定し、言論を抑圧した。この公聴会は、当時の弾圧、その後の抑圧を再点検して、習近平政権下の現在の中国に情報の開示を求め、あわせて現在のアメリカの対中政策の指針とする」

 このように天安門事件はドナルド・トランプ大統領下の現在の米国において、なお強烈なインパクトを発揮し、対中政策にも影響を及ぼしているのである。

 実際にトランプ政権の国務省報道官は、政府の公式見解として、30周年記念の直前の5月30日の記者会見で以下のように言明していた。

「天安門事件において、中国当局による徹底した虐殺が実行されたことを我々は忘れてはならない。事件の30周年を前に、中国共産党が断行したおぞましい組織的な迫害行為で拘束された人々はただちに釈放されるべきだ」

 この声明は、具体的には習近平政権が最近また天安門事件関連の民主化の活動家や支援者を拘束したことへの抗議だった。トランプ政権はこのように天安門事件での弾圧を現在の習近平政権に結びつけて非難する姿勢をとっているのである。

中国の人権侵害をこれまでになく問題視

 これまで中国政府は天安門事件を「反革命暴乱」と断じて、その出来事自体を闇に葬っていた。事件自体について完全に口を閉ざしているのである。

だがトランプ政権はそれを承知のうえで、あえて事件を未解決の問題として習近平政権に突きつけ、全容の解明を迫った。それは中国共産党政権の邪悪性を衝く要求でもあった。

 米国の他の歴代政権も、天安門事件の悲劇を中国政府の人権弾圧として非難してきた。だが、中国との経済や外交の関係を断ったり保留したりすることはなかった。基本的にはオバマ政権まで各政権はみな中国との関与政策を続けてきた。

 ところがトランプ政権は、その関与政策自体を間違いだったと公然と宣言した。共産党政権下の中国は、基本的な価値観においても、安全保障においても、国民の生活に直結する経済においても、米国と対立する相手だと言明し、正面衝突をも辞さない姿勢を明確にするようになったのだ。

 現在の米国の対中政策にとって、なぜ天安門事件が大きな意味を持つのか。その最大の理由は、トランプ政権が対中政策を立案するうえで「人権」という要素をますます重視するようになってきたことである。

 トランプ政権の対中政策の支柱となる「国家安全保障戦略」も、「米国の価値観」として個人の自由や権利の尊重を強調している。

 トランプ大統領は貿易、そして安全保障という順番で中国との対決姿勢を固めてきたという印象が強い。しかし、最近は中国政府のウイグル民族大弾圧に象徴される人権抑圧への非難も頻繁に述べるようになった。この人権弾圧非難の中核が、天安門事件への糾弾なのである。つまり、現在のトランプ政権の対中政策には、天安門事件への激しい非難が大きな役割を占めている、ということなのだ。

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『天安門事件30年、習近平は“暗黒の歴史”の清算に向き合うか?』(6/4ダイヤモンドオンライン 加藤嘉一)、『天安門30年、香港「言論の自由」に暗い未来』(6/4ダイヤモンドオンライン WSJ)について

6/6阿波羅新聞網<孟晚舟向法院说谎?加拿大警方提出声明=孟晩舟は裁判所に嘘をつく? カナダの警察は声明を出す>華為の最高財務責任者孟晩舟は昨年逮捕されてから、彼女の権利が侵害されたとして、ブリティッシュ・コロンビア州高等裁判所に民事訴訟を提起した。 数日前、カナダの警察とカナダ入管局は声明を発表し、「孟を逮捕したときには彼女の電子機器をチェックしなかった」と。

彼女の引っ越した大邸宅はおかしな大規模改装工事をしたばかりで、中国領事館に近いため、外部からは引っ越しの目的は別にあり、逃亡の可能性もあるし、その家からトンネルを掘って中国領事館まで通じているかどうかわからないのではという疑惑を抱かれている。

嘘つき中国人だから、利用できるものは何でも利用するでしょう。もし、トンネルを掘って逃げたとすればハリウッドは映画を作って大々的に中国人が嘘つきと言うのを広めたらよい。

https://www.aboluowang.com/2019/0606/1298916.html

6/6阿波羅新聞網<西门子、通用电气、飞利浦涉嫌贿赂北京 遭美国证券交易委员会SEC调查=シーメンス、ゼネラルエレクトリック、フィリップスは北京に賄賂を贈った疑いで、米国証券取引委員会SECによって調査される>情報筋によると、シーメンス、フィリップス、ゼネラルエレクトリックは、中国政府や病院の職員と交渉するため贈賄用に地元の仲介人を利用した疑いがあり、医療機器の販売は米国証券取引委員会(SEC)によって調査されている。

中国ビジネスでは賄賂は当然の権利となっています。上から下まで、どんな小さな取引ででもです。SECが動き出したという事は米国以外の自由主義国でも、5Gに関して中国製品を使うなという警告でしょう。「別件で挙げるぞ」という。中国ビジネスは賄賂が前提ですので、どの企業も叩けば埃が出ますので。

https://www.aboluowang.com/2019/0606/1298942.html

6/5希望之声<北京贸易战若打稀土牌恐要臭 江派权贵暗控 行业开会大吐苦水=北京は貿易戦でレアアースのカードを使うならば、悪臭を放つだろう。江派の権貴が秘密裡に支配している 業界の会議は不満を漏らす>米中貿易戦争が再び激化し、北京当局はレアアースを道具として戦う姿勢を取り、公式メディアはレアアース戦争の世論を起こそうと躍起になっている。 しかし、先日、中国のレアアース業界が会議を開いたが、参加者たちは不満を漏らし、「このビジネスは違法に支配され、製品の遅れ等問題は山積している」と非難した。 大陸の希土類資源は、曽慶紅、劉雲山、羅干など、中共江派の権貴家族によって完全に支配されている。

習近平が禁輸すれば良いのに。江派がモンゴル経由で密輸するかも。

https://www.soundofhope.org/gb/2019/06/05/n2938921.html

6/7阿波羅新聞網<澳洲国立大学遇骇!20万笔个资遭窃 爆中共吸收间谍隐忧=オーストラリア国立大学はハッキングに遭う! 20万人分の個人データが盗まれ、中共がオーストラリアの中でスパイにするのを非常に憂える>世界のトップクラスにランクされているオーストラリア国立大学は、再び中共にハッキングされ、最大で20万人の学生の機密個人情報を盗まれたと疑われている。 オーストラリアの諜報機関は、中共が有望な学生を狙いとし、彼らが職場に足を踏み入れた後、彼らが中共のためにスパイ活動に従事するようになることを心配している。

「Sydney Morning Herald」と「Canberra Times」の6日の報道は、オーストラリア国立大学が昨年サイバー防衛のアップグレードを行っていた時に、19年間蓄積された個人データがハッカーによって盗まれたことに気付いた。 教員や客員研究員を含む20万人以上の学生のデータが盗まれた。 盗まれた情報には、名前、住所、電話番号、銀行口座、学業記録、税務情報、パスポート情報などが含まれる。

2017年にオーストラリア国立大学と立命館大学は、卒業時に2つの大学からそれぞれの学位を取得できるデュアル・ディグリー(学部共同学位)に係る協定を締結しました。日本の大学もハッカー対策をキチンとしておかないと。中国はハニーか金で籠絡しようとします。若い男は美女には弱いでしょう。

https://www.aboluowang.com/2019/0607/1298984.html

6/6ニコニコニュース<中国天安門事件の犠牲者の象徴「タンクマン像」がアメリカに建てられ中国共産党激怒! 実際の死者数も調べられる>ナンシー・ペロシ民主党・下院議長も映っています。中共に厳しいのはトランプ共和党だけでないという事。

https://news.nicovideo.jp/watch/nw5430227

加藤氏の記事では、中国が台湾侵攻して中国のモノにするまで天安門の清算は行われないだろうとのご託宣。自由主義国の連携でそうはならないでしょうから、その前に中共が解体するのでは。

加藤氏が民主主義の擁護者とは思えなかったのですが、いつ転向したのでしょう?それとも小生の読解力が足りなかった?

WSJの記事を読んで感じることは、中共は香港だけの敵でなく、世界人類の敵という事です。早く潰さないと。暗黒世界になります。

加藤記事

Photo by Yasuo Katatae

今日、天安門事件から30年を迎える。北京の中心地にある天安門広場に集結した一般市民を、共産党指導部は武力で鎮圧することで、事態の収束を図ろうとした。そして、この“暗黒の歴史”に対して、共産党は現在に至るまで清算してこなかった。

 今日、天安門事件から30年を迎える。胡耀邦元共産党総書記の死をきっかけに民主化を求める学生や市民が立ち上がった。そこには体制内部に奉仕する知識人や役人すらも含まれていた(例えば《人民日報》従業員)。

 北京の中心地にある天安門広場に集結した一般市民を、共産党指導部は武力で鎮圧することで、事態の収束を図ろうとした。そして、この“暗黒の歴史”に対して、共産党は現在に至るまで清算してこなかった。

 “平反六四”――、党自身が当時取った措置を正視し、自らの歴史にけじめをつけることが求められ、はや30年が過ぎ去った。

筆者の予測を凌駕した3つの事象

 本連載は「中国民主化研究とは中国共産党研究である」という立場を取っている。中国が民主化するか否か、仮にするとしたらそれはどういう経緯になるのか、仮にしないとすればそれはなぜなのかといった問いを明らかにしていくためには、中国共産党の歴史、体制、政策、そしてそれを取り巻く国内世論や国際関係を解きほぐしていく以外に効果的な方法はないという意味である。いうまでもなく、現在党・国・軍のトップに君臨する最高指導者である習近平という人物そのものに光と影を当てていく作業も不可欠になる。

 故に、昨今において習近平総書記率いる共産党指導部が、この問題をどう捉えているのかをあらゆる方法を駆使して探ることが、その出発点になると筆者は考える。その意味で、“平反六四”という課題は避けては通れない試金石になるのだ。

 筆者は2015年7月に出版した拙書『中国民主化研究:紅い皇帝・習近平が2021年に描く夢』(ダイヤモンド社)第II部「改革」第7章「天安門事件と習近平時代」にて次のように記している(198~205頁)。

(1) 中国共産党にとって、「政治改革に踏み切るか」という問題と、「天安門事件を清算するか」という問題は表裏一体である。

(2) 政治的インセンティブに欠け、共産党の正統性が揺らぐ懸念が存在し、既得層や保守派からの反発が必至という政情下において、習近平がそれらの障害を取っ払って平反六四する可能性は、少なくとも現段階、そして近未来では低いといわざるを得ない。

(3) 政権が中期に近づいていく過程で(2016~2018年ごろ)、仮に党内政治が安定し、権力基盤がいっそう強固になり、習近平本人が「これなら改革を進めても、体制も社会も不安定化しない」と主観的に判断できれば、政治改革を推し進める可能性はある。その政治改革を推し進める過程で、平反六四を戦術的に利用しないとも限らない。

 現在に至っても基本的な考え方に変わりはないが、その後習近平政権の下で発生したいくつかの現象は筆者の予測を凌駕するものであり、自らの見通しの甘さを痛感しているというのが正直な心境である。ここでは3つの事象を通じてそれらを整理してみたい。

国家主席任期撤廃は権力基盤や政権求心力を弱体化させている

 1つ目は、2017年秋に開催された党の19回大会で、習近平が憲法改正を通じて国家主席の任期(2期10年)を撤廃したことである。

 この動きそのものに関しては本連載でも検証してきたためここでは触れないが、上記の(3)に絡めていえることは、政権初期、中期、後期という時間軸そのものに対する捉え方を変更せざるを得なくなったという点である。少なくとも制度的には習近平は2022年以降も総書記、国家主席、中央軍事委員会主席三役のトップに居座ることが可能になった。

 実際にどうするかは定かではない。筆者が中国、米国、日本などの政府官僚、知識人、軍関係者らと議論をしている限りでは、習近平は2027年、2032年まで君臨するという見方もあれば、それでは逆に反発を招き政権の求心力が低下するために、あえて2022年で退任し、自らの信頼する後継者を据えることで“かいらい政権”を作るという見方もある。

 ただいずれにせよ、(3)で言及した「政権が中期に近づいていく過程で(2016~2018年ごろ)」という時間軸や観察の枠組みは、あまり実質的な意味をなさなくなったといえるだろう。

 2つ目に、(2)(3)に関連して、筆者が当時予想していたよりも、習近平政権の権力基盤が不安定かつ不透明であるという点である。過去の半年において本連載でも扱ってきたが、経済成長の低迷、および出口の見えない米国との貿易戦争が複雑に絡み合い、そんな現状を招いた政権指導部の方針や政策を疑う人間が共産党内外で見られるようになってきた。

「米国との貿易戦争が解決しないまま景気が悪化していく現状下で、習近平が充分な党内外の議論を経ずに一方的に強行した国家主席任期撤廃に対する不満が吹き出てきている」(国家発展委員会元次官級幹部)といった声も聞こえてくる。本稿では深入りしないが、習近平による国家主席任期撤廃は、少なくとも現状から眺める限り、習近平の権力基盤や政権求心力を強化するのではなく、逆に弱体化させているというのが筆者の基本的見解である。そして、このような現状下において、習近平が平反六四する政治的インセンティブは低下していくものと思われる。

中国社会は近年まれに見るほどに不自由で不寛容と化している

 3つ目に、習近平という政治家に対する見方である。私は習近平に直接会って話したことはない。

 1人の人間を分析したり評価したりする際に最も重要なことは直接会って話をして、それを最大の根拠、裏付けにすることだと筆者は考える。その意味で、筆者自身は習近平を評価できる立場にないし、的確な分析ができる術を持たない。それでも、習近平が改革に積極的だった胡耀邦と近い関係にあった習仲勲元国務院副総理の息子であること、総書記就任後間もなく深センにある鄧小平の銅像にお参りをし、改革開放という国策を継承していく意思や立場を示唆したこと、習近平が福建省、浙江省、上海市という沿岸部の、中国の各地方のなかでは開放的な場所でトップを歴任してきたことなどを根拠に、同氏が“改革派”の政治家たりえるのではないかという観測を抱いたことは確かである。

 それに加えて、習近平は共産党や新中国の建設に尽力した革命世代の子弟である。劇的な改革を実行する際に長老派たちの支持が得やすい立場にある。故に、例えば共産主義青年団出身の政治エリートよりも、ある意味政治改革を推し進めやすい境遇にあるのではないかという見方をいだき、示したこともある。

 ただ過去数年に起きたいくつかの事象を振り返るとき、少なくとも筆者には習近平を“改革派”の政治家であるとみなす根拠は見いだせない。経済、政治を含めてである。“習近平思想”を掲げ、自らに権力を集中させ、メディア、大学、企業、市民社会、NGO、インターネットなどへの引き締めを不断に強化し、個人崇拝がはびこるような状況を自ら作り出してしまっている。

 中国が近年稀に見るほどに緊張した、不自由で不寛容な社会と化している現状を前に、習近平が政治改革に乗り出す可能性を論じてもまったく説得力を持たないといわざるを得ない。

祖国統一という最重要事業の完結前にリスクは侵さない

(1)で挙げたように、中国共産党にとって政治改革を実行することと平反六四は表裏一体である。習近平率いる党指導部が政治改革に極めて消極的な状況下で、天安門事件の清算に乗り出すとは到底思えない。従って、筆者の見る限り、米国、日本、台湾を含めた場所で天安門事件30年にまつわる報道や集会は熱を帯びているとはいうものの、当事者である中国共産党は今日、そして今年を通じて、本事件を“スルー”するであろう。関連する報道や集会に対して、国内では徹底監視しながら動きを潰し、海外でもあらゆる動きをフォローしながら共産党の正統性に疑問が投げかけられないように、ありとあらゆる工作を図っていくに違いない。

 中国共産党はいつになったらこの“暗黒な歴史”に真正面から向き合うのだろうか。筆者には分からないが、昨今の観察と感覚からすれば、中国共産党が“中国”を統治している間は向き合わないのではないかという思いをかつてないほどに強めている。もちろん、中国ではいつ何がどのように起こるか分からないことは歴史が証明している。“希望”を捨てるべきではないのだろう。

 文末となったが、習近平をよく知る革命世代の子弟で、親族が習仲勲と同じ国務院副総理を歴任した人物が筆者に語った次の言葉で本稿を締めたいと思う。

「習近平、そして中国共産党が平反六四する可能性はある。ただそれは台湾を統一してからのことだ。祖国統一という中国共産党にとって最も重要な事業が完結する前に、党や国論の分裂を招くリスクを内包している六四に手を付けることは、私の中国共産党への理解からすれば考えられない。中国共産党はそういう組織ではないし、習近平はそういう指導者ではない」

(国際コラムニスト 加藤嘉一)

WSJ記事

Photo:iStock/gettyimages

 【香港】香港では毎年6月4日の夜、何万もの人々が各地の主要な公園に集まり、ろうそくに火をともす。1989年に天安門広場で命を落とした人々を追悼し、加害者である中国共産党を非難するためだ。

 香港は中国で唯一、中央政府を非難する大規模な抗議行動が容認されている場所だ。しかし、天安門事件から30年の節目となる今年、抗議行動の準備を進める人々の心中をかすめる一つの問いがある。「一体いつまで続けられるだろうか」

 香港はこれまで何十年にもわたって、反対意見の表明や演説を容認する文化を誇りにしてきた。しかし今、多くの人々は中国政府の強い影響下でこうした自由が抑圧されつつあることを懸念している。

 追悼集会では毎年、「CCP(中国共産党)を打倒せよ」「今こそ中国に民主主義を」「一党支配を終わらせろ」といった叫びが聞かれる。演説者らは中国共産党に対し、天安門での虐殺を認め、天安門で学生らが求めていた民主主義を導入するよう要求する。

 香港の一部の人々は、新たな各種法案や、批判勢力への締め付け強化によって、こうしたイベントでの自由な発言が制限されることを恐れている。

 追悼集会を組織する非営利団体の主席を務める何俊仁(アルバート・ホー)氏は「大義に深くかかわり、コミットしている人々は、苦難など気にしない」とし、自身も公に意見表明することを決して恐れないと語った。だがその一方で、「一般市民への影響は、より暗いなものだ。われわれが本当に大切にしてきた自由が、危険にさらされている」と述べた。

香港が英国から中国に返還された際の合意では、2047年までは制度上の現状維持が保証されていた。しかし、香港に対する中国の経済的、政治的影響力が強まる中で、この合意が失効する数十年前に自由が損なわれるとの懸念が高まっている。

 活動家らを不安にさせている法的動きの中には、今後数週間以内に可決される公算が大きい「逃犯条例」(犯罪人引渡し条例)改正案も含まれている。同改正案は、中国本土など香港が協定を結んでいない地域に容疑者を移送できるようにするもので、香港の指導者は過去の犯罪での身柄引き渡しを可能にするだろうと述べている。これがビジネス団体や外国の外交官、活動家を一様に警戒させている。

 検討中の別の条例は、中国の国歌を尊重しないことを犯罪とするものだ。また政府は物議を醸している国家安全条例をいつの日か導入することを約束している。それは「香港基本法第23条」として知られ、中央政府を批判する扇動的な発言および行動を当局が犯罪とみなすものだ。

 香港の治安当局は身柄引き渡しの改正案について、重大な罪を犯した逃亡犯を標的にしているとい説明。これらの罪は集会や報道、言論および出版といった行為には関連しないと述べている。同局はこれらの自由と権利は香港基本法などによって完全に保護されており、政府がそれらを守る決意であると強調した。

 しかし、デモ参加者らは過去に起きたように、中央政府がでっち上げの容疑で政府に反する政治的意見を持つ人々を標的にする可能性があると主張する。近年には、香港の書店関係者が姿を消し、本土で警察に拘束されていたことが判明するケースがあった。

 2014年に79日間にわたって繰り広げられた「雨傘運動」と呼ばれるデモ以降、抗議行動は頻繁に起こり続けている。そして、香港は、皮肉っぽいユーモアで知られる市民たちが自由に市当局や中央政府を批判できる聖域であり続けている。

 それでも、報道の自由が制限されつつあることを示す兆候はある。英国人ジャーナリストが民主化を求める地元活動家の講演会を主催すると、当局は同ジャーナリストを実質的に市から追放した。

香港中文大学の政治学者、スザンヌ・ペッパー氏によると、集会への出席者の数は年月の経過とともに増えたり減ったりしているが、今週の集会の規模は最大級になるとみられている。身柄引き渡しの条例案が、人々に抵抗する理由があることを想起させているからだという。

 集会を組織する香港の民主派団体「香港市民愛国民主運動支援連合会」は今年4月末、天安門事件を追悼する記念館を再開させた。記念館は以前、別の場所に開設されたもので、天安門事件の際に軍隊によって殺害された人々の所持品などが陳列されている。

 記念館は繁華街である旺角の商業ビルの10階に開設されたが、開館の約3週間前に何者かが侵入し、室内のソケットに食塩水を流し込んで破壊する事件があった。記念館のオープニングの前後数日間には、中国政府支持派が建物の周りに立ち、同館につながる細い通路を占拠した。

 同連合会の蔡耀昌(リチャード・チョイ)副主席によれば、記念館は以前の場所でも問題に直面したものの、「感じる脅威は今回の方がより深刻」だ。

 蔡氏は「逃犯条例」以上に「国家安全条例」を懸念していると語った。「逃犯条例」であれば、その危険が及ぶのは蔡氏ら個人なのに対し、「国家安全条例」は記念館にあるもの全てを非合法とする恐れがあるからだ。

(The Wall Street Journal/Natasha Khan)

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『韓国の国民も見放し始めた文大統領、日本は冷静に考える必要がある』(6/4ダイヤモンドオンライン 真壁昭夫)について

6/5阿波羅新聞網<曾庆红把习近平架到火上烤 六四定性回溯北京什么信号 王沪宁不得了 能管习近平=曽慶紅は習近平を火炙りに 6月4日の解釈が後戻りしたのは北京にどんな信号を送ったか 王滬寧は習近平を非常に良くコントロール>王滬寧が新しい仕事についてから、外部の分析は尋常でなく習近平の権限を奪っていると。彼の新しい肩書きは習近平をも管理できる。

王滬寧は“初心を忘れず、使命を堅く記憶にとどめる”教育プロジェクトリーダーになった。習近平が就任して以来、中共幹部向けに多くのプロジェクトを設立したが、プロジェクトリーダーは全部習近平が就いていた。今回は珍しく王滬寧に任せ、外部に憶測を齎した。王滬寧が習近平の権限を奪取したかどうか?

国家安全部がバックにいると指摘されている中共の海外メディアは、トランプ政権のメキシコに対する関税の警告を利用して、中共の経済妥協派に打撃を与えるよう宣伝し、退場すべきと。 アポロネット評論家の王篤然の分析は、「国安のバックには曽慶紅がおり、これは習近平を火炙りにする意図がある。 徹底的に貿易戦を戦わせるつもり。トランプのメキシコの扱いは、メキシコが不法移民に何ら手を打たないのでメキシコを罰しようとするのではない。今やメキシコからの輸入は中国を抜いている」と。

加えて、中共内部で闘争と分裂が激化しているのは明らかで、中国メディアの《財経社》は反鎖国の社論を発表し、一方、中共国防部長は台湾海峡問題と6月4日の大虐殺に厳しい姿勢を見せた。 これはどういう意味を持つのか?陳破空の分析では「魏鳳和・国防部長は、腐敗した軍トップとして極端な好戦的人物であり、中共の軍国主義の一部でもある。腐敗、独裁、専制、国内鎮圧、外国の脅威を一身に受けているので、彼がこのように話すのはおかしくない。彼が話したのは、中共は人民が自由社会と台湾に敵対するよう対立路線を歩み続けなければならないことを意味している。

中共を潰すには、貿易戦を継続させねばならず、曽慶紅のように煽って後戻りできないようにするのが正しい道です。習近平にはラストエンペラーが相応しい。

https://www.aboluowang.com/2019/0605/1298330.html

6/5阿波羅新聞網<华为5G设备连自家业者都嫌!中国联通选择採购爱立信产品=華為の5G設備は、国内業者にさえ嫌われる! チャイナユニコムはエリクソン製品の購入を選択>中国工業情報化部は最近、「近い将来5Gの商用許可証を発行する」と発表し、中国が正式に「5G商用元年」を迎える。 チャイナモバイル、チャイナテレコム、チャイナユニコムおよびその他の3つの主要な通信事業者は、5Gネットワークの構築を開始することを計画している。 しかし、中国メディアの報道によると、チャイナユニコムは何と中国の大手通信機器メーカー華為やZTEを使用せず、エリクソンと5G事業に署名し、購入金額は200億米ドルを超えると。

チャイナユニコムの今回の購入は1900基地局である。 中国メディアの分析では、「チャイナユニコムがエリクソンを選んだのは、ノキアのオファーが最も高く、華為が2番目、ZTEが3番目、エリクソンが最低で、209億ドルである。

華為やZTEの5Gの技術レベルがどの程度か分かりませんが、①中共が海外メーカー使用を認めるか②米国がスエーデン政府やフィンランド政府に圧力をかけてエリクソンやノキアを中国で売らないようにさせる可能性もあります。また、中国に売れば、いろんな情報やノウハウは華為やZTEに筒抜けになるのでは。

https://www.aboluowang.com/2019/0605/1298548.html

6/5希望之声<拜登气候政策涉嫌多处抄袭 川普戏称“腐败媒体可以救拜登”= バイデンの気候政策は剽窃の疑いが トランプは「腐ったメディアだけがバイデンを救える」と述べた>元副大統領のジョー・バイデンは、気候政策で少なくとも5か所の剽窃が認められた。また、引用元がないため、新たな剽窃を非難する世論に直面している。 しかしトランプ大統領はからかって「腐ったメディアだけがバイデンを救える」と述べた。

https://www.soundofhope.org/gb/2019/06/05/n2937964.html

6/6看中国<左派们为何宁愿去反对川普 也不抗议北京当局?(图)=左派がトランプに反対しても、北京当局に抗議しないのはなぜ? (図)>英国の “Daily Express”は6/6、Tim Newarkの論評を発表し、「英国労働党の党首であるJeremy Corbinと左派の支持者たちは、英国最大の同盟国であり、選挙で選ばれた米国大統領のトランプ(Trump)に抗議し、北京の天安門広場30周年記念のために北京当局に抗議しない。 左派が本当に関心があるのは一体何か、言を俟たない」と。

左翼知識人と学生活動家は数十年前に間違った立場に立っていた。そして今も同じ過ちを繰り返している。

トランプ大統領は主権国家の立場に立っているだけで、私たちの自由に対する世界的な脅威に反対している。中国の貿易慣行に対する彼のアプローチは正しい。

https://www.secretchina.com/news/gb/2019/06/06/896020.html

6/4ZAKZAK<韓国国防相と笑って握手している場合か…岩屋防衛相、韓国レーダー照射を勝手に“棚上げ”で大炎上! 識者「現場の士気は完全に下がっている」>

https://www.zakzak.co.jp/soc/news/190604/pol1906040003-n1.html

6/5産経ニュース<自民部会で岩屋防衛相批判、日韓会談「怒り禁じ得ない。選挙にも関わる」>

https://www.sankei.com/politics/news/190605/plt1906050046-n1.html

滞貨一掃で任命された閣僚は問題があるという事です。小生の地元の桜田議員は不用意な発言をして辞任に追い込まれ、岩屋大臣は韓国orパチンコ業界からから何らかの利益を受けて来たとしか思えないヘタレです。元々自民党を飛び出した裏切り者で、出戻りですから、自民党員から信頼される訳がありません。他の国会議員の秘書からも「ダメ」との話は聞いていました。しかし、こういうスカタンを防衛大臣に安倍総理は任命したわけですから、自衛隊軽視としか言いようがない。口でいくら国防が大事、憲法改正してと唱えても、この人事は国益を損ねるだけ。今夏の選挙後、必ずや更迭してほしい。また今後選挙が終わるまで軽挙妄動しないよう官邸から厳しくお達ししないと。

真壁氏の記事を読んでいつも感じることは日本にのみ自制を求め、韓国には何も主張しないことです。別に勇ましくなれという事ではなく、言うべきことはちゃんと伝えよという事です。国際世論を気にするなら、なおさらでしょう。勿論、韓国のロビーイングには注意してもっと日本も金をつぎ込むべきです。経済的に困窮すれば韓国もロビーイングに回す金もなくなるでしょう。

反日教育している国はそれだけで敵国認定できます。真壁氏はその事実を知らないのか、知っていても止めさすことを主張する勇気がないのか、いずれにしてもヘタレ学者であることは間違いありません。彼に大学で教わっている学生が気の毒になります。学生も教授の言うことを有難がるばかりではなく批判すれば良い。

日本は、基本は『非韓3原則』、理不尽なことには国家の総力を挙げて反撃、国際世論を形成、経済制裁も、通貨スワップなぞ論外、日韓議員連盟で宥和姿勢を取る議員は選挙で落としましょう。

記事

Photo:YONHAP NEWS/AFLO

韓国の国民も文大統領を見放しつつある

 ここへきて、韓国の国民も文在寅(ムン・ジェイン)大統領を見放しつつあるようだ。5月27日には、文氏の弾劾を求める市民の請求が21万7000件に達した。20万人以上の請願が集まると、韓国政府は市民の求めにどう対応するか答弁を行わなければならない。経済運営がうまくいかず、外交面でも問題を抱える文政権を取り囲む状況は一段と厳しさを増している。

 ただ、日本としては、韓国で起きていることを冷静に考える必要がある。

 朴槿恵(パク・クネ)前大統領は、デモを発端にして議会から訴追され罷免された。文大統領は財閥を優遇する政治との決別を表明し、大統領就任当初は世論の高い支持を取り付けることに成功した。しかし、その後、文大統領の政策運営は行きづまり、今では同大統領の弾劾を請願する国民が増えている。

 そうした一連の動きは、ある意味、無視できない事実をわたしたちに突きつけているともいえる。社会心理学的に、韓国の世論の大本には“怨念”などの感情が強いといわれる。そうした恨みとは、韓国の社会に対する不満や怒り、失望と言い換えることができるかもしれない。そうした国民の心理が、韓国の政治を振り回すエネルギーになっているとも考えられる。

 文政権が世論の恨みを買った原因の1つは経済運営の失敗だ。

 韓国経済の中では財閥の存在感が大きく、経済的な富を社会全体に公平に再分配することが難しい。文大統領はそうした弊害を是正しようとしたが、結果的に期待されたような効果を上げることができなかった。その結果、国民の不満や失望が増幅し、一部の国民が弾劾を求める事態に至っている。今後、世界経済の先行き懸念が高まると、韓国の文大統領は一段と厳しい状況を迎える可能性が高い。

国民の世論が振り回す韓国の政治

 文大統領に対する弾劾請求の背景には、韓国の国民心理が大きく影響している。今回の弾劾請求を呼びかけたのは、朴前大統領の弾劾につながった“ろうそくデモ”の参加者とみられる。この人物は、北朝鮮との融和政策などを批判し、文大統領の弾劾を請求したといわれている。

 その論理は、大統領の政策運営に反対するので弾劾を求めるというもののようにみえる。朴前大統領も、同様の国民の心理によって罷免された。韓国の民主主義は、ある意味では、国民の恨みや不満のエネルギーに翻弄されているようにみえる。

 本来、民主主義における政治の機能は、多様な利害を調整し、長期の視点で国の発展を目指すことにある。特定の問題に不満を抱く人が多い場合、政策を立案して問題を解消し、より良い状況を目指すのが政治の役割だ。

 ただ、これまで韓国では、選挙によって選ばれた大統領が国民の利害ではなく、親族や知人、財閥企業の利害を優先してきたケースもあった。朴前大統領は、知人女性の崔順実(チェ・スンシル)被告を国政に関与させた。崔被告はその立場を利用して、財閥企業から便宜を受けたといわれている。これに怒った国民はデモを行い、結果的に大統領が弾劾された。

 本来であれば、有権者からの批判などをもとにして、法にのっとった形で国家トップの責任などが問われる。これが、“司法の独立”が尊重される理由だ。これに対して韓国では、デモという一部の国民の不満や恨みに押し流されるようにして、国の最高権力者である大統領が罷免されたようにみえる。その状況に関して、韓国の民主主義は成熟していないと指摘する政治の専門家もいる。

 韓国において政治家は、国民の心理をくみ取り、それに寄り添うことが重要になる。朴前政権は、政財界の癒着を放置し、一握りの人物に富が集中する状況を続けた。文氏は、朴政権までの政治との決別する“革新派”として、新しい政治路線を打ち出すことで支持を得ることはできた。しかし、社会の改革を進めて、新しい社会を作り上げることは口で言うほど容易ではない。

文大統領にとって最大の失敗は経済運営

 文大統領への国民の不満がたまった最大の要因の1つは、経済運営の失敗だ。

 韓国の世論は、政府主導での経済的富の増大と公正な分配を求めてきた。朴前大統領の父は、“漢江の奇跡”を実現し韓国経済の高成長を実現した朴正煕だ。それだけに、韓国世論には「その娘なら、きっと国民の生活をよくしてくれる」という期待があった。しかし、朴前大統領は歴代の政権同様、財閥企業に依存した経済構造を改めることはできず、自らの利権を重視してしまった。

 そこで、韓国の国民は所得向上の夢を文大統領に託した。その負託に応えようと、文氏は最低賃金の引き上げを目指したが、経済の実態を無視した賃上げは企業の大規模な反発に遭ってしまった。急速な賃上げは、雇用と労働時間を減少させた。文政権の政策は経済にマイナスの影響を与えた。それに加え、中国経済が減速し、韓国経済を支える輸出と、財閥企業の収益が急減した。韓進や錦湖アシアナなどの大手財閥では、世襲経営の限界という問題も顕在化している。

 この状況について、財閥依存の韓国経済は行き詰まりを迎えたと指摘する経済の専門家もいる。労組の影響力が強い上に企業業績の悪化懸念も加わり、若年層を中心に雇用環境は厳しさを増している。ある韓国出身の知人は、「韓国に帰る度に経済の悪化を痛感する。どのように韓国で満足のいく生活を送ることができるか、想像することも難しい」と話していた。

 すでに、1~3月期、韓国のGDP成長率は前期比0.3%減に落ち込んだ。短期間で景気が持ち直す展開は想定しづらい。その中で、文大統領は財政支出を積極的に増やす“ばらまき型”の政策を進め、世論の不満に対処しようとしている。

 にもかかわらず、政府が対応しなければならない水準にまで弾劾を求める国民が増えたことは軽視できない。文大統領がどのようにして世論をなだめ、国内の安定を実現することができるか、先行きの不透明感は増している。

深刻さ増す韓国の国際社会での孤立

 今後、極東および国際社会の中で、韓国は一段と孤立する恐れがある。それは、極東地域の安定に大きく影響する。

 現在、韓国では文大統領への弾劾請求に加え、前政権の与党であった自由韓国党の解散を求める請願も出された。その請願者数は180万人を超えた。この先、韓国の政治がどのように社会を安定させ国力を高めることができるか、予想することが難しい。

 文大統領は支持率を少しでも確保するために、財政出動をさらに重視するだろう。それは、一時的に成長率を押し上げ、世論の不満をなだめることにはなるだろう。ただ、過度な財政出動は長く続けられる政策ではない。中国の景況感が悪化する中で、韓国が財閥企業の経営改革に着手することも難しい。

 この状況が続くと、韓国経済は長期停滞に陥る恐れがある。その懸念から、韓国ウォンが大幅に売られている。4月から5月下旬までの期間で見ると、韓国ウォンは米ドルに対して4%超下落した。この下落率は、米国との通商摩擦の激化懸念と景気減速懸念を受けた人民元の下落率(約2.8%)を大幅に上回り、アジア通貨の中でも断トツだ。資金の流出が続けば、韓国の経済界は日韓スワップ協定の再開を求めるだろう。

韓国の政治と経済は、一段と不安定になる可能性が高い。世論はさらに政治を批判するだろう。極東情勢の緊迫感が高まることも想定される。

 わが国は、そうした変化を念頭に対策を練るべきだ。政府は、安全保障面では米国との関係を基礎としつつ、国際世論を味方につけなければならない。日本の主張に賛同する国が増えれば、政府は韓国に対して冷静に日韓請求権協定を守るよう伝え、しかるべき対応を求めることができる。それまでわが国が韓国をまともに相手にする必要はないだろう。

 何よりも重要なことは、わが国が国内での改革を進めつつ、アジア新興国などとの関係を強化して多国間の経済連携を目指すことだ。わが国の主張に賛同する国際世論を形成することが、長期の目線で国力を高めるために欠かせない

(法政大学大学院教授 真壁昭夫)

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『対中関税「第4弾」が引き金に、東アジア供給チェーン大再編の衝撃』(6/3ダイヤモンドオンライン 三浦有史)について

6/4阿波羅新聞網<川普或开辟3个新战场 中共黑客操纵欧洲5G测试 英媒揭李嘉诚力挺华为背后=トランプは3つの新たな戦場を切り開くか 中共ハッカーは欧州の5Gテストを操作する 英国のメディアは李嘉誠が華為を支援していると明らかに>欧州各国は、5Gで華為の設備を採用するかどうか躊躇しているが、英国メデイアは「中共は華為を支援するため、欧州の5Gのテストを操作して、競合相手のEricssonとNokiaを攻撃している」と報道した。 この報道はまた、「香港で最も金持ちの李嘉誠と華為の間に隠れた結び付きがあり、多額の資金援助を含め華為が5Gで英国に入るのを支援している」と。台湾のシンクタンクコンサルタントの董立文は、米中貿易戦争に加えて、トランプは3つの新しい戦場を開いたと述べた。

第一の戦場は「科学技術戦争の反共国際同盟」。

第二の戦場は「金融戦争」。金融業の中国市場への自由な参入による中国の自由化。それと貨幣戦。

第三の戦場は「食糧戦争」。中国の穀物の自給率は非常に低く、86%しかない。もし海外から食糧を輸入しなければ、人民を養うことはできない。 米国が食糧戦争に打って出れば、世界で最も重要な食料供給者は米国なので、中共は間違いなく負ける。米国が食糧戦争を発動するかどうかは中共が賢明かどうかにかかっているが、もし中共が依然として米国の牛肉、豚肉、大豆等の農産物に報復すれば、米国がすぐ反撃に転じ、中共の下り方は非常に悲惨なものになる。

メイ首相は李嘉誠に影響されていた可能性があります。でも下の記事のようにトランプは英国も5Gで歩調を合わせることを述べていますので一安心です。多分ボリス・ジョンソンと話しあったのでは。英国は李嘉誠をスパイとして監視しているのかも。

https://www.aboluowang.com/2019/0604/1298056.html

6/4希望の声<横河:翠西对刘欣 平淡无奇还是暗藏机锋 (音频/视频)=評論家の横河:Trish VS.劉欣 奇をてらわない平板さはやはり機敏さを隠している>火花を散らすことのなかったインタビューのハイライトは何? 劉欣は、中国共産党の党員ではないと言っているが、中共の喉と舌の役割から離れることはできない。礼節を持ったインタビューになるのは誰も望んでいなかった。中国大陸は、著作権がないことを理由にワザとライブ放送しなかった。知的財産の問題は技術窃取(千人計画等)や技術の強制移転の問題である。劉欣は学ぶことが知識と思っているが、知財と知識は違う。米国に取って代わり世界強国になることと発展途上国の面倒を見ることの両方を併せ持つことはできない。

TV討論全体を見ていないのでコメントするのは難しいですが、礼節尊重より活発に意見をぶつかり合わせた方が面白かったのでは。

https://www.soundofhope.org/gb/2019/06/04/n2934121.html

6/5阿波羅新聞網<习近平即将访俄 俄台开始更多互动=習近平はロシアを訪問の予定 ロシアと台湾は相互に動きが>中国の共産党指導者の習近平は間もなくロシアを訪問する。 両国は訪問を成功させるための一連の活動を始めており、中でもロシアは両国が米国と戦うために手を組むことを求めている。 しかし、ある分析によれば、「ロシアと中国の関係は想像しているほど良くはなく、ロシアと台湾はより多くの交流を始め、中共は、中国に入国するロシア国民のスマホをチェックし、友好的ではないと見なされている」と考えている。

「今年の春、台湾で初めて、ロシアは復活祭、勝利の日、スラブ文化などに関連した活動を行った。ロシアの演劇界やその他の人々は次々台湾に行った。これらの活動は名目上ロシアの民間参加であるが、実際は 政府と政府が裏で資金援助している」

ロシアの東アジア外交におけるカードとしての台湾の重要性は高まっている。 ロシアは、もし台湾が攻撃されれば、タイムリーにウクライナを攻撃すべきであるという見解さえ持っている。ロシアは台湾海峡の緊張を利用し、利益を得ることができる。

ロシアも口では中国と米国への共同対抗とか言いながら、中共の一番嫌がる台湾にいろいろ働きかけているのは、習近平を疑心暗鬼にさせて良いのでは。中共が台湾侵攻しても、ロシアは中立を保ちそうです。

モスクワ動物園。習近平とPutinは、モスクワ動物園のパンダ館の開会式に参加する。

https://www.aboluowang.com/2019/0605/1298133.html

6/5阿波羅新聞網<特朗普透露密情:肯定拉回英国一致对付华为=トランプは秘密情報を明らかに:必ずや英国を引き戻し、華為に共同対処する>フランス通信社(AFP)によると、トランプ大統領は本日ロンドンで、中国の華為が英国の5G建設に参加するかどうかについて、英国と合意に達すると確信していると述べた。 トランプは、5月のテリーザ・メイ英首相との会談後の共同記者会見を開催した際に、前述のコメントをした。

https://www.aboluowang.com/2019/0605/1298092.html

6/5日経<日本企業、米中対立で板挟み  ハイテク覇権争い 技術流出で根深い確執 

米国と中国のハイテク技術を巡る争いが日本企業を翻弄している。米国が相次ぎ打ち出した輸出・投資規制は間接的に日本企業にも中国関連事業の「デカップリング(切り離し)」を迫る。先端技術の覇権を競う米中の対立が激しくなるほど日本企業が板挟みになる可能性が高まっている。

米当局に届け出

「中国企業から出資を受けることを、米当局に届け出るべきでしょうか」。昨秋、日本の建設関連企業が、米国の法律事務所に問い合わせた。日本企業が中国企業から少額の出資を受けるだけで、なぜ米国に届け出なければならないのか。

2018年11月、対米外国投資委員会(CFIUS)はM&A(合併・買収)規制を厳しくした。中国への情報流出を警戒し、半導体など「重要技術」を扱う米企業などへの買収の事前申告を義務付けた。LIXILが伊建材子会社の中国企業への売却を断念した例など、米国外の企業同士の再編にも影響を及ぼす。

一見、無縁にみえても思わぬところで規制の対象になる。建設関連企業のケースでは「出資の見返りに中国人技術者を同社の米国拠点で研修させることを求められていた」(米事務所の弁護士)。

今後、特に注意しなければならないのは、18年8月制定の国防権限法に盛り込まれた輸出管理改革法(ECRA)だ。

人工知能(AI)、バイオなど14分野の技術を「新興技術」と「基盤技術」とし年内にも輸出規制する。これらの技術はCFIUSが既に審査対象としているが、猿見田寛弁護士は「ECRAの規制対象に加え、M&A以外の『平時』も、重要な技術の移転を漏れなく監視することが狙い」とみる。

最も影響を受けそうなのが産学の共同研究だ。米国の大学では中国リスクへの対応が始まった。ハーバード大ではリスクが高い企業や組織との共同研究について(1)寄付を受けても非公開技術を移転しない(2)情報機器を提供された場合は学内ネットワークとの接続を規制する(3)(中国政府系の友好機関)「孔子学院」の受け入れをしない――などの管理規則を定めた。

18年12月に華為技術(ファーウェイ)の幹部がカナダで逮捕されたのに続き、スタンフォード大の著名な中国系物理学者が自殺し、臆測を呼んでいる。東京大学の渡部俊也副学長は「今後は日本企業の研究機関も米国大並みのリスク管理をしないと、米国との共同研究に支障が出る」とみる。

国籍差別リスク

一方、デカップリングを意識し過ぎた対応には別のリスクも潜む。19年2月、ホンダの米子会社「ホンダエアクラフトカンパニー」が米司法省(DOJ)と和解した。DOJは同社がサイトに米国人に採用を限定する記載をしていたことを「国際武器取引規則(ITAR)や輸出管理規則(EAR)を曲解し、雇用で国籍差別をした」とみて調査を開始した。

ITARやEARには、軍事転用される機微情報への接触を米国人に限る「みなし輸出規制」がある。ホンダ側は「(規制に対応した)意図はなく、記載ミス」(広報)と説明するが、結局4万ドル以上の制裁金を支払い、求人の国籍要件を撤廃することで和解した。

「米国で輸出管理を担当する企業関係者は中国向けの不正な技術輸出や再輸出を警戒している」(伊藤嘉秀・米国弁護士)が、みなし輸出規制への対応には雇用関連法制とのバランスが必要だ。

中国も黙ってはいない。5月31日には中国企業に不当に損害を与えた外国企業をリストにすると公表。軍事転用できる先端技術の移転を規制する輸出管理法も準備中だ。「内容は再輸出規制など、米国の規制と合わせ鏡。技術力の向上を背景に、米国との交渉カードにしようとしている」(石本茂彦弁護士)

多くの日本企業にとって米中の市場はともに重要だ。藤井康次郎弁護士は「社内の米中事業部門間で情報を遮断し、技術流出リスクがないことを両当局に説明できるようにすべきだ」と話す。

米中貿易摩擦のなかでも、技術流出をめぐる確執は根深い。同盟国である米国と「一帯一路」による覇権を目指す中国。日本企業は両国の対立の渦に巻き込まれないよう細心の注意が必要な局面に入った。

(編集委員 渋谷高弘、同 瀬川奈都子)>(以上)

まあ、日本企業の読みの甘さも極まれりです。社内で中国部と米国部に分けたくらいで情報の遮断ができると考えるのは間違いです。野村の今回の事件を見ればすぐ分かるでしょう。米国が信じるとは思えません。日本企業であっても、CFIUS、FIRRMA、ECRA法違反で貿易できなくなるのでは。自由を認めない国から利益を取ろうとするのは、ウイグルやチベットを弾圧している共産主義の悪逆非道に手を貸すのと同じかと。ESGとか言っているのであれば少しは考えたら。所詮は口先だけと思われるでしょう。

三浦氏の記事では中国から脱出する外国企業だけでなく、中国企業もやはり中国から脱出しようとしているとのこと。一種の迂回輸出になって、米国はこれを認めるかどうかです。元々世界覇権を巡る争いなので、これを認めてしまうと中国を富ませることになり、当初の目論見から大きく外れます。これも規制されるのでは。最悪に備えて準備しておかなければ。日本は自由主義国の一員であることをゆめ忘れる勿れ。

記事

Photo:PIXTA

 米中貿易協議の “決裂”を受けて、米国は10日、輸入中国製品2000億ドル分について、6月1日から、関税を10%から25%へ引き上げる制裁「第3弾」実施を発表。

 さらに13日には計3805品目、総額3000億ドル分に、最大25%の関税をかける「第4弾」の発動を準備すると表明した。

 第4弾の対象には、スマートフォンやパソコン、衣類、スポーツ用品など、生活必需品が多く含まれ、実施は6月下旬以降とされる。

通関統計では見えない米中戦争 部品の供給チェーンに波及

「第4弾」が実施されれば、中国からの全輸入品に制裁が広がることになるが、その影響は米中経済だけにはとどまらない。

 他国から調達した部品などの中間財分を除き、自国で上乗せした付加価値分に着目した「付加価値貿易」の視点からは、米中貿易戦争がつきつけるもう一つの課題が浮き彫りだ。

米中貿易戦争をめぐるは米中の折衝は、一時は合意近しとみられていたが、劉鶴副首相を迎え、9~10日にワシントンで開催された協議でも折り合えず、米中貿易摩擦は最悪のシナリオに向かって動き始めた。

 関税引き上げの応酬は、米中両国間の貿易を停滞させ、経済成長の下押し圧力となる。それはどの程度のインパクトがあるのか。

 しばしば引用されるのが、相手国向け輸出がGDPに占める割合である。

 米国政府の貿易統計からそれぞれの割合を求めると、2018年で、米国の対中輸出は米国のGDPの0.6%、中国の対米輸出は中国のGDPの4.4%となる。

 関税引き上げの影響は米国よりも中国への影響が大きく、中国が不利とされるゆえんでもある。

 しかし、この貿易統計は通関ベースであり、必ずしも相手国向け輸出の実像を正しく捉えているとはいえない。

iPhoneのサプライヤー 中国企業は1割強

「世界の工場」である中国の輸出には、中国以外の国・地域から調達した部品などの中間財が多用されているからである。

 こうしたグローバル・バリュー・チェーン(GVC)の仕組みを象徴する事例として頻繁に引用されるのがアップルの製品である。

 例えば、iPhoneは中国で組み立てられた後に世界に輸出されているため、“made in China”とされているが、部品は世界中から調達されている。

 したがって、中国の対米輸出に含まれる中国由来の付加価値はそれほど多くない。

 事実、同社の2017年のサプライヤーリストに掲載されている200社を本社の国籍別に分けると、中国は27社に過ぎず、台湾(51社)、日本(43社)、米国(39社)を下回る。

 iPhoneに限ってみれば、米国の制裁関税がかけられて、価格が上がって売れなくなったりする影響は、中国よりも、台湾、日本、米国の方が制裁関税の影響が大きいといえそうである。

 この問題を定量的に把握できるのがTiVA(Trade in Value Added)と呼ばれる経済協力開発機構(OECD)の付加価値貿易統計だ。

 TiVAは部品などの中間財が最終消費地に届くまでに複数の国を跨ぐことよって生じる「二重計上」の問題を解消し、国境を越えて取引される財・サービスの付加価値が、どこの国・地域のどの産業に由来するかを明らかにしている。

「第4弾」の打撃 台湾、韓国など東アジアに

 米中両国の相手国向け輸出を付加価値ベースで捉え、自国由来の付加価値に限定したうえで、対中制裁関税「第4弾」が実施された場合の影響をみてみよう。

 関税が10%から25%に引き上げられた場合、国連貿易開発会議(UNCTAD)が指摘するように、輸出の9割は「貿易転換効果」が働き、関税率が低い第三国によって代替される。

 これを前提に「第4弾」が発動された影響をみると、中国はGDP比3.2%、米国は同1.1%に相当する輸出を失う可能性がある(図表1)。

 中国への影響は通関ベースの統計で考えられるより小さく、米国への影響は大きくなる。これは、中国の場合、自国でつけられる付加価値がまだ多くはないということが原因だ。

 一方で、米国による関税引き上げは、中国を対米輸出の最終輸出拠点とする周辺アジア諸国・地域にも大きな影響を与える。

 TiVAから中国の対米輸出に含まれる中国以外の国・地域の付加価値額を求め、「貿易転換効果」を加味して、そのGDP比を算出した。

 すると、台湾が最も高く1.3%となり、以下、韓国・マレーシア(0.6%)、シンガポール(0.5%)、タイ・フィリピン(0.4%)と続き、日本の0.2%を大幅に上回る(図表2)。


日本では、3月の景気動向指数からみた景気の基調判断が約6年振りに「悪化」に転じ、摩擦激化に対する不安が広がっている。

 中国の輸出減、生産減の影響を受けたとされるが、東アジア全体に視野を広げれば、日本は、台湾や韓国などに比べると、影響は相対的に小さいといえる。

電気・電子産業に集中 GVCの再編が動き出す

「第4弾」が発動されると、東アジアの国・地域の対中輸出は日本以上に停滞し、その影響は電気・電子産業に集中的に表れるとみられる。

 中国の対米輸出に含まれる中国以外の国の付加価値の産業別内訳をみると、その9割が製造業であり、製造業のなかでは電気・電子産業が5~8割と非常に高い割合を占めるからだ(図表3)。

東アジアの電気・電子産業が「第4弾」の影響を受けるのは、同産業のGVCが東アジアを中心に発展を遂げてきたことの裏返しでもある。

 このGVCは安価な労働力を大量に有する中国を最終的な輸出地とすることで順調に拡大し、中国を含む東アジア各国の経済成長や世界貿易の拡大を支える役割を担ってきた。

 しかし今後は、米中の貿易摩擦の激化を受け、GVC再編の動きが顕在化すると思われる。

再編は、対米輸出の最終拠点として圧倒的な存在感を示してきた中国の地位を相対化する方向で進むとみられる。

 中国は、(1)2030年頃に米国のGDPを上回る可能性が高いこと、(2)IoTに不可欠な通信規格5Gやスマートフォン用半導体で米国を脅かす存在になりつつあるこことから、米国の対中警戒感が弱まるとは考えにくい。

 そうであれば、6月のG20大阪サミットの際に来日するトランプ大統領と習近平主席の首脳会談が行われて、仮になんらかの「合意」に至ったとしても、周辺諸国にとって中国を対米輸出の最終拠点にするリスクは低くはならない可能性が高い。

 そのため、中国に生産拠点を設ける企業は、摩擦の長期化を前提とし、中国に代わる対米輸出拠点を模索せざるを得ない。

 例えば、iPhoneの組み立てを手掛ける台湾の鴻海精密工業(ホンハイ)はインドとベトナムに、和碩聯合科技(ペガトロン)はインド、ベトナム、インドネシアに、それぞれ新たな組み立て工場を設けると伝えられている。

 それらの工場が世界輸出の拠点となるなら、そこに部品を供給する企業にも中国から工場を移す誘因が働くだろう。

ベトナムなどに分散化 中国地場企業も「相対化」

 中国に集中した生産拠点を分散化させる「チャイナ・プラス・ワン」は、今に始まったことではない。

 日本では、2005年の中国における大規模な反日デモを契機に分散化の必要性が叫ばれてきた。

 今後見込まれる「チャイナ・プラス・ワン」が従来のそれと異なるのは、最終組み立てを担う企業だけでなく、部品を供給する企業も分散化を進めると見込まれることだ。

 アップルのワイヤレスイヤホンを生産する台湾の電子機器大手歌爾声学(ゴーテック)は、2018年10月、生産拠点の一部を中国からベトナムに移管する方針を明らかにした。

 こうした動きは中国地場企業にも波及し、広東省など電気・電子産業が集積する地域では空洞化が起こる可能性がある。

 分散先の有力候補とみられるベトナムの2019年1~4月の対内直接投資をみると、中国の投資が前年同期比116%増の13億ドルと、日本やや韓国を抑えて初めてトップになった。

 これは東アジアのGVCにおける中国の相対化が、中国地場企業によって進められ始めた嚆矢(こうし)といえるのではないか。

(日本総合研究所上席主任研究員 三浦有史)

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『天安門事件30年、中国を許した米国の失敗』(6/4ダイヤモンドオンライン WSJ)『ついに「長征」を宣言した習近平氏、米国との持久戦を覚悟』(6/4日経ビジネスオンライン 広岡延隆)『「反ファーウェイvsレアアース」の米中衝突を徹底解説』(6/3日経ビジネスオンライン 細川昌彦)について

6/4阿波羅新聞網<外媒:中国陆军医院前实习生亲历活摘器官=外国メディア:中国陸軍病院の元インターンは生きた臓器の摘出を経験した>“ニューヨーク・ポスト”は、6/1《元病院勤務者:中国の反体制派は臓器摘出による処刑》の記事を掲載し、中国の瀋陽陸軍総合病院のインターンが臓器摘出を手伝わされた経験を明らかにした。

記事は、「中国の臓器移植のシステムは単なる殺人ではなく、エスニッククレンジングであるかもしれない。当時の江沢民党書記長が法輪功を迫害した後に、中国の臓器移植ビジネスにおける多くの新鮮な臓器の供給源は法輪功学習者である。

少しずつ、中共の狂気がメデイア等に明るみに出てきています。漢民族の異常性と、共産主義の異常性が相俟って発現するのですから、人格破壊や精神破壊のレベルは相当なものになります。日本人は彼らに工作を受けて来て、どうして簡単に彼らの言うことを信じるのでしょう。嘘の南京事件を虐殺と言い、事実の天安門事件は無いことにする、所詮プロパガンダと言うことに気付かなければ。野党政治家と日本のメデイアは中共の手先です。自分の目と頭をフル回転させないと。

https://www.aboluowang.com/2019/0604/1297618.html

6/4阿波羅新聞網<三十年声犹在耳: 六四亲历者回忆枪响时刻=30年前の音がまだ耳に残っている 6月4日の目撃者は銃の発射の瞬間を思い出す>

音声は中国語、7分23秒の内、事件発生の部分は5分くらいから https://www.aboluowang.com/2019/0604/1297625.html

6/3看中国<独家:30年前一位日本青年拍下的六四前照片(组图)=独占:30年前に日本人の若者が撮った6月4日の写真>下のURLをクリックして写真をご覧ください。

https://www.secretchina.com/news/gb/2019/06/03/895707.html

6/3希望之声<新书《揭穿》:“激进化的”媒体想要摧毁川普 却毁了自己=新刊“仮面を剥ぐ”:「急進的な」メディアはトランプをダメにしたいと思ったが、メデイア自体を台無しにした>6/4に正式に出版される新刊、“Unmasked – Big Media War Against Trump”の共著者、Brent Bozell (Media Research Center)によれば、「この本は主流メディアが如何にトランプ大統領をダメにしようとしたか、だが結果は却ってメデイア自身をダメにしてしまった」と述べた。 この本に記録されているメジャーなメディアが犯した間違いと彼らが捏造したフェイクニュースを読んでほしい。本当に自壊の前兆が読み取れる。

米国メデイアも左翼シンパでしょう。国境を無くすのが良いと考えるグローバリストです。中共のチベット、ウイグルを見れば、世界統一政府ができれば異端は悲惨な目にあわされるのが理解できるはずです。トランプは「米国は永遠に社会主義国にはならない」と言ったのは正しい。人権を尊重しない、自由もなければ民主的でもない共産主義を後押しするのは人類に対する犯罪です。メデイアは自覚的か無自覚なのかは分かりませんが、直観が働いていないという事です。

https://www.soundofhope.org/gb/2019/06/03/n2931490.html

WSJ記事では父ブッシュの時代から(というか戦前から)米国人は中国人の本性を理解して来なかったという事です。「豊かになれば民主化する」というのは間違った考えです。それにやっと気づいたという事でしょう。

広岡氏の記事では、習近平が第二の長征を宣言したとあります。以前にも書きましたが、毛沢東の時代の貧しさと、今の豊かな時代とでは民衆の忍耐力に相当の開きがあります。大衆が蜂起しようとしても、治安警察や解放軍を掌中に収めているのですぐに鎮圧されるでしょうけど。やはり、関税だけでなく、金融制裁、軍事制裁(石油供給遮断等)もやって、経済崩壊させるべきです。債務が膨れ上がっている中国に経済ブロック化できるだけの能力があるとは思いません。

細川氏の記事は実務をこなしてきた経験から、日本企業に対する警告が含まれています。日本企業は真剣に対応し、中国へ味方することは止めないと。レアアースの問題は長期的には南鳥島の開発をすれば良いと思うのですが。

WSJ記事

筆者のジェラルド・ベーカーはWSJエディター・アット・ラージ ***  1989年春に天安門広場で学生が行った民主化デモには忘れがたい場面がいくつもある。もちろん、流血の事態に至った悲惨な結末もその一つだ。人民解放軍の戦車の前に武器も持たず、落ち着いた様子で立ちはだかった勇敢な男性の悲痛な姿もそうだ。  

しかし、米国人にとっておそらく最も強烈な映像は「民主の女神」像だった。民主の女神は学生が制作した間に合わせの像で、毛沢東の肖像画と霊廟(れいびょう)の真向かいに設置された。学生運動の指導者らは米国の「自由の女神」のレプリカではないと主張したが、そのよく似た姿を米国人が見逃すことはなかった。トーチを高く掲げる女性像は、自由な空気を求める世界中の人々の権利と願いを後押しする役割が米国にあることを想起させた。  

自由という普遍的な権利のために戦ってきたという米国なら、容赦ない弾圧にさらされている自分たちと連帯して立ち上がってくれるだろう――。当時の中国の学生たちがそう期待していたとすれば、その期待は見事に裏切られた。 ジョージ・H・W・ブッシュ大統領は当初、中国政府による弾圧を非難し、中国への武器輸出を停止するなど制裁を発表した。しかし、米政権は早い段階で、天安門事件を対中政策の転換点にしないことを決定していた。米国は公式の反応として、基本的に何も起きなかったかのように振る舞うことが明白になった。天安門事件のほんの数日後、ブッシュ大統領は「今こそ米国にとって、極めて重要なこの関係の重要かつ永続的な側面を見据えるべきだ」と発言したのだ。いつも通りの関係を続けるという政府の決定はワシントンで猛反発を招いた。議会では民主党議員と一部の共和党議員が対中制裁を要求し、中国に対して対決姿勢を強めるよう求めた。  

世界(中国を除く)は今週、天安門事件の30周年記念日を迎えるが、当時の米国の態度は今でも間違っていないと言えるだろうか。中国の虐殺者たちへの寛大な対応は2つの主張に基づいていたが、結果としてそのどちらにも欠陥があった。  一つ目の主張は現実の政治に基づく主張だ。当時、中国は米国にとって、冷戦の最大の敵だったソ連の力を抑えるために極めて重要な存在だった。しかも1989年春の段階では、ソ連が崩壊し始めたことは明らかになりつつあったが、数カ月後のベルリンの壁崩壊まで予想する声はワシントンにはなかった。  

ところがその後、三つどもえのチェスの中で中国が果たした役割は米国にとって役立つものではなくなった。2年後、ソ連が完全に消滅し、それから数年後には米国の覇権を長きにわたって脅かす大きな動きが中国で生じ始めた。  

今になってみれば、当時の米国の自制を正当化する2つ目の主張もうわべの議論のように思える。ブッシュ政権内では、大統領を批判する勢力がまさに訴えていた人権上の進展を達成するには関与の継続が不可欠だと考えられていた。大統領はそれをこう表現した。「人間には商業的な動機があるのだから、中国だろうとその他の全体主義国家だろうと、民主主義への移行は止めようがなくなる」。外交上の礼節を維持することで中国共産党内の「改革派」を後押しできるが、政治的および経済的に中国を孤立させれば「強硬派」を盛り立てるだけだ――。それが米国の考えだった。

過去30年の出来事を振り返ると、1989年の中国政府の行動を大目に見ようというこの米国の姿勢が大きな成果を挙げたとは言い難い。そしておそらく、経済や政治、外交の各分野で中国が繰り返すますます強硬な振る舞いに対しても同様のことが言えるだろう。  米国がより断固とした対応を取っていれば事態が大きく変わっていたかどうかは誰にも分からない。当時、中国の潜在的経済力は既に解き放たれていた。米国が中国を孤立させようとしたとしても、この30年で中国の経済成長は着実に実現されただろう。それに中国と対立して封じ込めるより、受け入れようとしたことは正しかったという説得力のある主張もある。  

ただ、より開かれた民主的で自由な社会への移行を後押しするという狙いからすれば、中国政府の行為を許すという30年前の米国の決断は目も当てられない失敗だ。 (The Wall Street Journal/Gerard Baker)

広岡記事

1934年、国民党軍と戦っていた中国共産党軍10万人は拠点としていた江西省瑞金の地を放棄し、壮絶な行軍を始めた。約2年の歳月をかけ1万2500kmを移動して陝西省延安にたどり着いた時、残っていたのはわずか2万人とも3万人とも言われている。この長期にわたる行軍の中で、毛沢東は共産党における指導権を確立した。  

中国近現代史におけるハイライトの1つ、「長征」と呼ばれる出来事である。無残な敗退戦だったとの見方もあるが、中国では長征を歴史的偉業と位置づけている。形勢不利の中でも持久戦に切り替えて耐え忍んだことが反転攻勢のきっかけとなったことは間違いなく、この出来事は中国共産党のDNAに深く刻まれた。

(写真:akg-images/アフロ)  

5月20日、長征の出発地を訪れた習近平国家主席は「今こそ新たな長征に出なければならない」と国民に呼びかけた。米中貿易交渉は行き詰まり、対立が激化している。米国との争いの短期決着は諦め、持久戦に持ち込むとの宣言とも取れる。  

天安門事件後は「豊かさ」で国民の不満を抑え込む

 このままの展開が続けば、待ち受けるのは経済や技術のブロック化だ。問題はそれが中長期的に必ずしも米国にとって有利に働くとは限らない点にある。次世代通信技術では中国は世界最先端の地位を確立した。国家規模でのビッグデータやAI(人工知能)活用においても、プライバシーなどの壁をクリアしなければならない民主主義国家に比べて中国が有利だ。弱点である半導体などの技術分野も急ピッチで追い上げている。中国がブロック経済圏を確立してしまえば、技術的にも経済的にも米国の影響力はむしろ失われる。

 一方の中国にも弱みはある。今日6月4日は1989年に起きた天安門事件からちょうど30年に当たる。民主化を訴える学生への武力行使は、中国共産党にとっては消し去りたい記憶だ。節目を迎える中で、海外メディアによる天安門事件についての記事が目立つ。肝心の中国国内における民主化運動は下火だが、それも経済的な豊かさがあってこそ。天安門事件以降、中国共産党は経済成長を以前にも増して追求し、国民に豊かさを享受させることで、一党独裁体制の安定を図った。

 民主化への動きが下火になっている現状は、そのもくろみが現段階ではうまくいっているということだろう。ただし今後、貿易戦争による経済の混乱が拡大し、長期化すれば、現在の政治体制への不満が噴出しかねない。それは中国政府にとって最も避けたい展開だろう。

 激しさを増す米中の貿易戦争。「新長征」を呼びかけた習国家主席はこれを共産党の存続をかけた戦いと位置づけたのかもしれない。だとすれば、両国の争いが容易に収まることは考えづらい。日本経済への影響もさらに大きなものになりそうだ。

細川記事

「ファーウェイ問題」はこの先どう展開するのか(写真:ユニフォトプレス)

 中国の華為技術(ファーウェイ)への事実上の禁輸という米国が出した切り札によって、世界で激震が続いている。ファーウェイの任正非CEO(最高経営責任者)は強気の姿勢を崩さないが、背景にはファーウェイが既にこの米国の動きを早々に察知して早くから手を打ってきたこともある。

 2月5日の本稿でもこの事態を予想していたが、ファーウェイもこの頃既に米国の動きをつかんで動いていた。購買の責任者が日本企業などに“サプライヤー詣で”を熱心に繰り返し、供給確保に奔走していたのである。

■参考記事:米国は中国ファーウェイのサプライチェーン途絶に動く

 ただ、ファーウェイは平静を装っているものの、半導体設計大手の英アームとの取引停止のインパクトは大きい。ファーウェイが強気でいられるのは同社子会社ハイシリコンからの半導体供給があるからだが、米国由来の技術を含むアームの技術がこの半導体設計に使われており、半導体生産に打撃を受けるのは明らかだ。

 またハイシリコンが半導体生産を委託している主たる委託先は台湾積体電路製造(TSMC)である。今のところ、これまでどおり供給を続けることを表明している。しかし実態はファーウェイからの要求と米国の圧力の間の板挟みで、双方から“踏み絵”を迫られる悩ましい状況に置かれているようだ。仮に米国から「利敵行為」と見なされれば、自らが米国の制裁対象にもなりかねないリスクを負っている。

トランプ大統領はファーウェイで“取引”するのか?

 一方、トランプ大統領がファーウェイへの制裁も中国との取引の対象になり得ると言及して波紋を呼んだ。恐らく市場への安心材料として株価対策の面もあるのだろう。

 トランプ大統領には昨年、中国通信大手ZTEへの制裁を習近平主席との取引に利用し成果を上げた成功体験がある。だが、ファーウェイ問題の根深さを見誤ってはいけない。

 昨年8月の記事「米中は『貿易戦争』から『経済冷戦』へ」でも指摘したが、トランプ大統領と「オール・アメリカ」を分けて考えるべきだ。

 「オール・アメリカ」とはワシントンの政策コミュニティーを形成する、米国議会、シンクタンク、諜報機関、捜査機関、などを指す。中長期的な視点で対中警戒感を強め、昨年10月のペンス副大統領の“新冷戦”宣言ともいうべき対中演説がその代表例だ。ファーウェイへの警戒感の震源地でもある。

 他方トランプ大統領は自らの選挙戦にしか関心がなく、取引による短期の成果を求めている。彼にとってファーウェイ問題も取引材料の一つにすぎない。それをさせないのが「オール・アメリカ」の考えていることだ。オール・アメリカにとっては昨年、トランプ大統領がZTEを取引の材料にされたことは、「悔しい汚点」なのだ。そのため今回は、議会共和党主流も含めて黙っておらず、トランプ大統領に取引をさせないだろう。

 「オール・アメリカ」のシナリオは明確だ。

 懸念ある中国企業に対しては次の3段階で締め出そうとしている。

  • 第1段階:米国の政府調達から排除する。米国政府が「買わない」「使わない」
  • 第2段階:米国の民間企業に「買わせない」「使わせない」
  • 第3段階:部材を「売らない」、製品を「作らせない」

 ファーウェイについては、昨年8月に第1段階、そして今回は第2、第3段階に突入した。ファーウェイ以外についても、監視カメラの中国企業ハイクビジョンや人工知能(AI)企業など数社が今後、第1段階から第2、第3段階への移行対象として名前が挙がっている。先般、米国土安全保障省が、中国製ドローンが収集した映像データに中国当局がアクセスする可能性がある、と警告した。ドローンのトップ中国企業DJIも、第1段階の対象になる候補として名前が挙がっている。

 こうした一連の動きはトランプ大統領に関係なく、ワシントンの「オール・アメリカ」として根深い動きであるため、トランプ大統領による関税合戦の取引とは一線を画して考えるべきだ。

サプライチェーンの次は「研究開発ネットワークの分断」

 こうした米国の動きに対して、部材を供給する日本企業も、米国の規制に違反しない範囲で、どうファーウェイとの関係維持を図れるかを模索している。もちろん今後の成長を考えて、ファーウェイとの取引は大事なビジネスチャンスだ。しかし同時に、米国企業が手を引いた穴を埋めるような“漁夫の利”ビジネスには要注意である。仮に米国から見て、「利敵行為」「背信行為」と映れば、制裁対象にもなり得ることを経営者は現場にも徹底すべきだろう。

 企業として注意すべきことをいくつか指摘したい。

 米国の規制で「再輸出規制」がある結果、日本企業が供給する製品に米国製の技術、製品が25%以上含まれる場合は、米国の規制がかかることは、ようやく知られるようになってきた。

 問題はそれにとどまらず、研究開発にも及ぶことだ。その際の落とし穴は「みなし再輸出」である。

 ファーウェイとの関係強化のためにファーウェイとの共同研究をしている日本企業も多い。その際、米国由来の技術が含まれていれば、ファーウェイへの技術移転として「みなし再輸出」の規制対象になることはあまり知られていない。

 さらに、米国の2019年度国防権限法により、米国の大学が懸念ある中国企業からの資金提供を受けたり、共同研究したりすれば国防総省の予算を受けられなくなる。この結果、米国の大学はファーウェイとの共同研究も打ち切っている。これが日本の企業・大学にも影響するのだ。

 ファーウェイなど米国から見て懸念のある中国企業との共同研究を行っている日本の企業、大学は、米国の大学からみると、問題視される可能性がある。その結果、米国との共同研究に支障が生じる可能性が否定できない。経営者は輸出には注意を払っていても、研究開発部門のことは技術者任せになっているケースも少なくないだろう。

 こうした米国の動きは「サプライチェーンの分断」だけではなく、「研究開発ネットワークの分断」にもつながりかねないインパクトがあるのだ。

 中国が「軍民融合」をうたっていることから、民生技術の軍事転用には厳しく目を光らせることになることも指摘しておきたい。日本企業も輸出に際し、軍事用途に使われないよう用途確認を行うことに一応なっているが、企業の現場では形式チェックだけで形骸化している面も否めない。しかし、少なくともファーウェイ向けに対しては形骸化が許されない。日本企業も社内の輸出管理のあり方を再チェックすべきだろう。我々は80年代の東芝機械ココム事件の怖さを忘れてはならない。

 また共同研究も成果が軍事転用されることのないよう歯止めが必要だ。

レアアースは中国の切り札になれるのか?

 こうして米国が対中の切り札ともいえる「ファーウェイ・カード」を切ってきたことに、中国はどう反撃するのか。

 「中国がレアアースで米国をけん制」との報道が飛び交っている。5月20日に習近平主席が江西省の磁石メーカーを視察訪問して、「重要な戦略資源だ」と強調したことに端を発して、対米輸出規制をほのめかした共産党機関紙の論評記事、国家発展改革委員会の声明発表と続いた。

 磁石メーカーの視察訪問に対米交渉の責任者である劉鶴副首相を帯同させたのは、米国をけん制するためのメッセージだろう。同時に、対米弱腰外交と批判する共産党内の保守強硬派へのアピールの面もあるようだ。逆に言えば、米国によるファーウェイに対する事実上の禁輸措置に対して、有効な対抗策を打てないことへの裏返しでもある。これ以外に対抗カードになりそうなものが見当たらないのだ。

 ただ一旦ここまでほのめかすと、習近平政権としても単なる国内向けのアピールにとどまらずに、実際にカードを切らざるを得なくなる可能性があることは懸念される。

レアアースを“十羽ひとからげ”に見る日本のメディア

 日本の報道を見ていると、レアアースを十羽ひとからげに捉えて、中国が世界の生産量の7割を占めることや、米国のレアアースの輸入の8割を中国に依存していることが強調されている。だが、これでは表面的な理解しかできない。

 レアアースは、環境規制の緩い中国での生産コストが安いのでシェアが高いだけで、中国が輸出規制すれば、価格が高騰し、他国の企業が代替供給できるため、レアアース規制は中国の強力な武器にはならないという主張もある。中国は世界の生産量は7割を占めていても、賦存(ふそん)量は世界の3~4割であることから、これは一面正しい。ただし、これもそう単純ではなく、レアアースの種類ごとに子細に見る必要がある。

 中国は相当調べ上げたうえで、もっと焦点を絞った対応を考えているようだ。現在の中国は2010年に日本に対して供給途絶した際と同じではない。中国もこの当時の経験から学んでいる。私は当時、この問題の対処に奔走していた経験から、もう一歩踏み込んで考えてみたい。

 まずレアアースは、少なくとも「軽希土類」と「重希土類」に分けて考えるべきだ。

 前者はセリウム、ランタンなどガラス研磨、触媒、光学レンズなどに使われるものだが、中国以外の国からの代替供給は可能だ。実際、2010年当時も他国からの代替供給が増えて、その結果、中国の制裁解除後、価格が暴落したという苦い経験を中国はしている。

 また供給途絶を受けた日本のメーカーはレアアースを極力使わない技術も開発し、状況は当時から劇的に変化している。現在の米国の対中依存度が8~9割だからといって、単純に壊滅的打撃を受けるというのは早計だ。2010年当時の日本企業と同様に、米国企業も代替供給、使用削減を大胆にするだろう。その結果、中国自身の首を絞めかねない、いわば“もろ刃の剣”なのだ。

 他方、重希土類はジスプロシウムなど磁石に使われ、強力な磁性や耐熱性を出すために磁石に添加する。EV(電気自動車)のモーターに使うだけでなく、ミサイルの精密誘導装置や戦闘機のレーダー、ソナー装置などにも使われ、安全保障上の大きな懸念材料だ。これらは中国以外の代替供給ソースは短期的には困難だ。地質上、中国南西部に偏在し、まさにそこに狙いを定めて習近平主席は訪問視察している。

 なお、同じく磁石に使われるネオジムは重希土類と軽希土類の中間に位置し、オーストラリアなどでも代替生産可能で、生産拡大の動きは既に出ている。

複雑な要素が絡み合う駆け引きが続く

 2010年以降、米中双方で、レアアースを巡る動きは活発であった。

 中国は2010年の経験から、その後、日本の磁石メーカーの一部から技術移転を得て、中国自身、磁石生産もある程度できるようになって、交渉力は当時よりは強くなっている。

 米国も2010年の中国による供給途絶を受けて、国防上の重要問題とし取り上げられ、国防備蓄も含めてサプライチェーンを確保するための法案が成立している。2018年8月、投資規制、輸出管理など多面的な対中戦略を規定した2019年度国防権限法においても、国防総省が中国からレアアース磁石を購入することを禁止している。それとともに国内のレアアース生産への経済支援を与える法案も可決している。

 仮に中国による米国への供給途絶があった場合、どうだろうか。

 日本の磁石メーカーも米国への供給に制約がかかるだろう。他方、磁石メーカーにおける備蓄もある程度あるので、しばらくはしのげるかもしれない。ジスプロシウムを使わない磁石の開発もある程度進展している。しかしそれがどの程度実用可能か不透明だ。

 2010年からの輸出規制に対しては、日米欧は世界貿易機関(WTO)に提訴して、2014年に中国は敗訴している。それにもかかわらずまた輸出規制を発動すれば、国際的に孤立を招きかねないリスクも計算に入れなければならない。

 こうしたさまざまな要素を織り交ぜた米中の駆け引きがまさに行われている。日本の報道にあるような単純な「切り札」ではないのだ。恐らく主要20カ国・地域(G20)大阪会合まではこうした計算が行われ、仮に中国側の動きがあるとすれば、G20後の可能性が高いのではないだろうか。

 従って、安倍総理がG20および日中首脳会談でこの問題にどう対処していくかが極めて重要になってくる。

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