『韓国人による震韓論』(シンシアリー著)

この本は、韓国人の冷徹な目で、日本人は韓国人とどう付き合ったら良いのかを示唆してくれています。一言で言って韓国は敵国、その位置は千年経っても変わらないという事でしょうか。福沢諭吉は早くから中国・朝鮮半島は信頼するに値しないことを見抜いていました。三田の卒業生は是非この本を読んで、韓国と絶交するようにしてほしい。

さて、昨年4月安倍首相の米・上下院合同演説→昨年8月首相戦後70年談話→昨年12月慰安婦合意→本年5月オバマ訪広というシナリオは日米共同で中韓の歴史戦を粉砕するために描かれて来たような気がします。米国は”Korea fatigue”と、中国と手を組み米国への裏切りで、韓国を相手にしなくなってきていると思います。

歴史戦の延長で言えば、今回三菱マテリアルの強制徴用した(単なる契約、銃剣を突き付けた訳でない、従軍慰安婦と同じ構図)と主張する中国人との和解はすべきではなかったです。岡本行夫辺りが智恵ならぬ間違ったアイデアを授けた所でしょうか?彼は三菱マテリアル取締役で、北米一課長の時に、湾岸戦争時の日本の支援金をくすねた男です。日高義樹氏の本に書いてありました。また彼は朝日新聞の誤報・虚報の第三者委員会の委員で朝日の言いなりにしかならない根性のない男です。国際的な謝罪報道すら要求しませんでした。第三者の如何わしさは舛添を見てれば分かるでしょう。でもサイモン・ウィーゼンタール・センターというのはユダヤ人の強力な組織です。ユダヤと中国が手を握り歴史戦を仕掛けてきているとしか思えません。日本も杉原千畝だけでなく、東条英機や樋口季一郎がユダヤ人を救ったことをPRしなければ。

http://toyokeizai.net/articles/-/79307

また、歴史戦で民間も頑張っています。今後はUNESCOを舞台に慰安婦や南京虐殺を否定し、天安門事件やチベット人虐殺を世界記憶遺産に載せるように攻めの姿勢で臨んでいかねば歴史戦に勝てません。相手の嫌がることをしなければ。

6/2松林利一氏のFacebook

今年この(注:慰安婦)申請をするため中国がUNESCOに働きかけ3月末の締め切りを5月末に引き延ばしたらしい。これに対しては日本政府が本気で取り組みUNESCOに善処させる必要がある。外務省や文科省を初めとする関係省庁のやる気溢れる行動を見たい。

上記は「守り」となるが守りだけでは面白くない。「攻め」が必要になる。「文化大革命」「天安門事件」材料には事欠か無い。この攻めに関しては民間人が中心となる。私としても是非とも応援していきたい。

今回別途「20世紀中国大陸における政治暴力の記録」をテーマとして、チベットと日本が共同で申請を行った。具体的には120万人を超えるチベット人の虐殺事実と200人を超える日本人虐殺の通州事件。この2つを併せ「中国の政治暴力」として括り長く世界記憶遺産に残す趣旨での申請である。

ある面「史実と捏造の対決」がUNESCOを舞台に開始された。真実が虚構に負ければ道理が引っ込む。道理を通すため勝たねばならない。>(以上)

http://www.sankei.com/world/news/160601/wor1606010023-n1.html

本書によれば「韓国は日本と戦争したいが力がないからやらないだけ」と思っているとのこと。こんな国に日本は支援してきました。利敵行為で、愚かとしか言いようがありません。政治家だけでなく、国民の監視が行き届いていなかったためです。偏向メデイアの果たした役割は大きいでしょう。

<5/26Asahi.com「独島」と旭日旗めぐり日韓で混乱も 潜水艦救出訓練

 日米韓などが参加して韓国近海で25日から始まった潜水艦救出訓練で、海上自衛隊韓国軍揚陸艦「独島(トクト)(竹島の韓国名)」への乗艦に難色を示した。一方、韓国側では海自の救難艦が通常使う旭日旗を掲げたことに反発する声も出て、日韓防衛協力の難しさを改めて見せつけた。

 日米韓など6カ国が参加し、潜水艦の遭難事故を想定した脱出と救助の訓練を行う。7回目の今年は韓国がホスト国で、当初は大型艦で収容能力がある「独島」に各国の参加者を招き、訓練の状況を逐次解説する方針だった。

 だが、海自は独島への乗艦に消極的だった。領有権争いで韓国の主張に譲歩した印象を持たれることを嫌ったとみられる。これには韓国側が譲歩し、別の艦船に変更されたという。

 一方、海自の救難艦などは24日、旭日旗を掲げて韓国南部の鎮海(チネ)海軍基地に入港。これを問題視する韓国メディアの報道が相次いだ。ハンギョレ新聞(電子版)は旭日旗について「かつての日本軍国主義の象徴だ」とした。(ソウル=牧野愛博)>(以上)

韓国経済も断末魔を迎えています。「6/3韓国危ない33社 造船大手破綻で始まった“ゾンビ財閥”破綻ラッシュ」という記事や「米、強引すぎる韓国圧迫 WTO韓国人上級委員の再任拒否&FTA完全履行要求」と韓国への米国の怒りが目に見えるようです。

http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20160603/frn1606031550001-n1.htm

http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20160603/frn1606031845005-n1.htm

慰安婦も韓国国内で意見を纏められるとは思えません。国際協約違反は世界に知れることになるでしょう。平気で日韓基本条約を反故にする国ですから。

http://japan.hani.co.kr/arti/international/24295.html

日本は間違っても通貨スワップで韓国を助けてはなりません。言って来たら、公衆の面前での土下座と慰安婦の虚偽の発表を要求すべき。それと反日を止めることを。でも彼らはいつでも裏切るので、約束はすぐ反故にされるでしょう。「非韓三原則」こそが正しい道です。中国側に行こうが日本の知ったことではありません。共産国になればよい。米国ももう見限っているでしょう。

内容

P.33~35

日本はどこの国よりも韓国との武力衝突の可能性に備えるべき         

もちろん、その道に反対している国もあります。その中でも、もっとも反対している が、隣国である大韓民国です。「何もするな。何も変えるな。絶対に変わるな!」ともっとも日本に要求している国、それが韓国です。

マスコミなど、日本側のメディアの記事に目を通していると、先に「縛り」の一つだと書いた七十年前の戦争のことで、「韓国」という字が異常なほど目立つことを、私は憂いています。韓国に対する必要以上の配慮を、無条件の協力を強いる論調も目立っています。まるで、国家間の出来事を、善悪論で押し通そうとしているようです。

どうでしょう。「韓国に、力が足りないという現状以外に、日本を侵略しない理由などない」というのが私の持論です。力が足りないというのは、韓国が安全保障をアメリカに頼っているという意味です。

日本は、韓国という国についてもっと警戒心を持つ必要があります。

歴史上、大きな「聖戦」は「聖地」にまつわるものでした。「独島(竹島)」という韓国人の「反日の聖地」のことも含め、ここだけの話、「局地的な武カ衝突など全ての可能性に備える」必要があります。

どちらかというと、私はもし日本がどこかの国と武力衝突するなら、その相手は中国やロシア、いや北朝鮮より、韓国のほうが可能性が高いと思っています。

韓国のこだわりの正体は「謝罪表現」の有無

詳しくはこれから書いていくことになりますが、韓国の「対日観」は、「韓国が上で、 日本が下」を基本とします。日本が上がることは、韓国が下がることです。韓国が日本に対してそこまで一方的な上下関係を信じて疑わない土台は、「善悪論」、具体的には「日本の謝罪」です。

韓国人の精神世界では、謝罪は「歪」を認めることであり、「歪」は「正」より下です。 謝罪した人は「格下」になります。安倍談話において韓国がもっとも気を尖らせる「謝罪」表現の有無。そのこだわりの正体でもあります。

私はこう思っています。安倍談話によって、韓国がこだわっている日本との関係の基本が破壊されるだろうと。それが「良い意味での破壊」であることを信じています。

「安倍談話」の内容がなぜ両国関係を「良い意味で破壊する」のか

本名も出せずに「シンシアリー」という場違いなポジションにある私ですが、場違いだからこそできることもあります。

日本が「普通の国」への重い一歩を踏み出した二〇一五年二月から八月の間、日本の「縛り」たる韓国で何が起こったのか。どんな心理が人々の頭の中をよぎったのか。安倍談話の内容がなぜ両国関係を「良い意味で破壊する」ものなのか。

それを書籍としてまとめることも、意味があるのではないでしようか。それがこの本を書いた理由です。

さて、そういうことで、あくまで一冊の「読み物としての楽しさ」を失わないよう気をつけながら、これから始めてみたいと思います。韓国にとってとても長かった六力月の話を。

P.72~75

朝鮮日報がニ○一一年に連載したシリーズコラム(2011韓国人よ、幸せになれ)の五回目(ニ〇一一年一月七日)に、面白い内容が書いてあります。

コラムの諮問委員会に参加した海外の専門家たちは、韓国人を「お金が好きでありながら、大金持ちは嫌いだという、富に対して二重の態度を持っている」と分析しました。朝鮮日報がアンケート調査を行った結果、韓国人は九十三%が「お金が幸せに必要だ」と思っていることがわかりました。

しかし、その理屈だと「幸せになっているはず」である大金持ちの人たちに対しては韓国人はかなり批判的で、「親のおかげだろう」、「何か不正をやった結果」としか見ていないこともわかりました。これは、外国の專門家たちには大変珍しく、興味深い結果だったようです。

KDIの報告書に戻ると、「上」になれなかった人たちは、「剥奪感」を主張しています。 報告書によると、他人と比べる「比較傾向」の強い人であればあるほど、「目標至上王義」、 「利己主義」な態度を見せたとなっています。また、彼らは自分を幸せだと感じていない側面が強く、自分が不幸な理由を「相対的な剥奪感」によるものだと思っていました。

剥奪感というのは、韓国の国語辞書によると、「権利や資格など、当然自分にあるべきいくつかのものを奪われたように感じること」という意味です。

「下」になった人たちは、「上」になった人たちに素直に拍手を送ることができないでいるのです。不当な何かによって、負けてしまった。そう思っています。スポーツの試合などでも韓国人は「きれいな負け方」ができないことで有名ですが、それとも関係していま す。

「憤怒調節障害を病んでいる大韓民国」

上は下を人間扱いしないし、下は上に何かを奪われたと思っている社会には、「憤怒」 だけが残ります。

二〇一五年三月二十六日の中央日報は〈憤怒調節障害を病んでいる大韓民国〉という切ない題の記事で、「このところ韓国社会は憤怒で溢れかえっている。特定の問題が話題になると、多くの人たちがその問題の本質を見るよりも、ただ不満を吐露するのに忙しい。

いや、不満を超え、憤怒を表出するといった表現が合っているかもしれない。とくに強者が弱者に不適切な方式で権威を振るう『甲の横暴』のことになると、こうした葛藤と憤怒は極に達する……」と伝えています。 「甲」というのは、大企業が不公平な契約を中小企業に要求する「契約書の甲乙表」から きた表現だと言われています。まるで、革命前夜みたいな雰囲気ですね。

相手を赦せば自分が「下」になるから決して赦さない

怒り狂い泣き狂う人に「それは残念でしたね」と言ってやれないこともないですが、すこし考えてみると、「当然、肖分にあるべきものを奪われた」の「当然」の基準は誰が決めたのか?気になります。法律などちゃんとした基準によるものならわかりますが、も し「自分自身の基準」によるものなら、大問題です。

自分が不幸な理由は、奪われただけではなく、自分自身に原因がある可能性だってあるのですが、そういう見方が欠けているからです。そんなのは、ただの被害者意識です。 「慰安婦」や「セウォル号」などのニユースをご踅になった方なら、「被害者を自称しながら、なんであんなに偉そうに上からの目線なんだろう」と思われたことはないでしょうか。

被害者は邪悪な何かによって権利を剥奪された人たちだから、すなわち「正」で、「上」 だ。韓国には、そういう妙な「共感帯(連帯感)」ができています。上になれなかった人たちが自分自身のために残した最後の予防線、“私は何も悪くない。私は正しい。だから、本当は私が上なのだ”。その感覚の副作用であると言えるでしょう。 お気づきでしょうか。これが「恨(ハン)」の正体です。

「悪」を設定することで、自分が「善」になれます。「歪(下)」を設定することで、自分 が「正(上)」になれます。逆に、相手を赦せば、自分の格が下がります。だから赦しません。

言い換えれば、恨(ハン)は、永遠に赦せないから終わらないのではなく、赦そうとしないから終わらないのです。

P.80~85

集団利己主義の原点は「白か黒かだけ。中間地帯がない」

「終わらない」と合わせてもう一つ、「恨」の現れ方として「両非論を認めない」を覚えておく必要があるでしょう。

両非論は「両方に責任がある」という意味ですが、自分にも非があると認めると「格が下がる」ため、恨の世界では両非論は認められません。結果、「善」か「悪」か、「白」か「黒」かだけが存在できます。だから韓国社会はほとんどの事案が「極端な二つの意見(ニ元論的)」に分かれることになります。

文化体育観光部公式ブログによると、「ニ〇一三年韓国人の意識•価値観調査(文化体育観光部が二〇一三年十月十一日〜十一月十日まで全国の十九歳以上の男女二千五百三十七人を対象に実施したアンケート調査)」の結果、「富裕層と庶民層の葛藤(対立)が大き いと思いますか?」という質問に「はい」と答えた人が八十九•六%。「企業家と労働者の間の葛藤が大きいと思いますか?」に「はい」八十五• 一%。「進歩(左翼)と保守 (右翼)の間の葛藤が大きいと思いますか?」に「はい」八十三•四%でした。

それもそのはず、単純に「葛藤」があるだけでなく、政治でも経済でも、韓国社会では「妥協は負け」です。自分の正しさを諦めることだからです。だから、「中間地帯」の役割が果たせるような「中道派」の存在もありません。

この問題が指摘されたのは、ずいぶん前からです。ちょっと古い情報源ですが、一九九〇年に東亜日報が一年間連載した〈韓国人診断〉というシリーズコラム、その八回目となる 「白か黒かだけ。中間地帯がない(一九九〇年三月二十五日/東亜日報)」をまとめてみます。

  • 私たちの周辺には、中間地帯の存在を許容せず、両極端だけが対立する風潮が蔓延している。ある主題において賛成か反対かの意思表示を強要するだけで、妥協点を見つけようとする努力は無視される

・考えが違うと敵となる。韓国人は他人と違う考えを持っていても余程のことがないとそれを表に出さない。他人と違う意見を出しても、返ってくるのは討論の相手としての関係ではなく、感情的な敵対関係であるからだ。

・「画一」が、「統一」や「団結」と勘違いされている社会。その社会で置いてけぼりにされないためには、対立している両極端のどちらかを選んだほうが楽だ。その間に存在する多様な選択の行動パ夕―ンは、たとえそれが中庸でも、「灰色主義(どちらでもない)」 と非難されるからだ。このような「黒白主義」、「二分法的思考傾向」のせいで、私たちの社会では政治的、社会的、個人的活動において多元主義が成熟できずにいる

・韓国人の両極端さは、「民族性」にその理由がある。「地政学的」には、厳しい国際関係の中で、急いで一つの結論を出さないといけなかった。「文化的」には、「王宮文化(極めて高貴で富裕な文化)」と「農民文化(低質で貧困な文化)」という両極端な文化しか存在しなかった。今のソウルすらも、過去の農民文化の集合体であるだけで、独自の都市文化を創造できなかったという指摘を受けている

・宗教や学問的にも•中国や日本のように、多様な宗教や学問が共存することはできなかった。朝鮮時代からは「儒教」、「朱子学」だけが認められた。政治の世界にもまた、「対立」だけが存在した。「日帝時代(併合時代のこと)」には「親日か、反日か」だけだった。「軍事政権時代(朴正熙〜盧泰愚政権まで)」には「政権の言いなりか、闘争か」しかなかった。「極右」が「極左」を生む結果になったのだ

・そんな中、「両極端性」が深化していった。そして、民族性として内面化されたのだ

この現象は、日本側のネットでよく「ウリ(私たち)とナム(他人)」と呼ばれる、韓国特有の「集団利己主義」となりました。二十五年前の新聞で大々的に扱うくらいなら問<題意識があったようですが、診断はできたのに処方案は効かなかったようで残念です。

「異なる」ことを永遠に受け入れられない民族

一九九六年六月二十九日のハンギョレ新聞に載っている、韓国文化政策開発院の金文煥 (キム•ムンファン)、ソウル大学美学(※aesthetics。美の本質や形態、構造などを追求する学問)部教授のインタビューから、同じ見解を見出すことができます。日本文化の輸入規制をなくすべきかどうか議論が起きていた頃の記事です。

  • (質問)韓国文化と日本文化を比べるなら:

「(教授の答弁)韓国文化には儒教主義的文化の遺習が比較的強く残っている。日本も儒教を受け入れたが、『真似をした(表面的にやっただけという意味)』だけで、比較的、 多くの固有の伝統を生かしてきた。その結果、規範に縛られない風土ができた」

「韓国は儒教的伝統が強すぎて、『対抗文化』としての本質が強くなりすぎた。一時、韓国社会で『克日』という言葉が流行したことがあるが、それも『対抗文化』としての我らの文化の性質が反映された結果だ。日本文化と韓国文化は、ニつの民族の生活と歴史が異なるから、異なっていて当たり前だ。『異なる』を認めると、正しいか間違っているかの価値判断から自由になれる」

・韓国文化のそのような属性はどこに起因するのか:

「韓国人は倍達民族(韓国民族の呼び方の一つ)や単一民族など、同類意識が強いため、『異なる』を認めることができず、つい『異なる』を「間違っている』と扱う傾向がある」

恨(ハン)とはもともと、自分と他人を比べることから始まるものです。比較にこだわり過ぎるのは、自分自身に自信がないからでもあります。韓国人は他国の文化の起源を主張することで有名ですが、それと似ています。自国の文化に自信がないという意味です。

自分に自「信」がないから、誰かと信じ合うことなど成立しません。信じ合わないから、妥協もありません。自分の主張だけが絶対的に正しくて他人の意見は間違っているという、 余裕のない認識になってしまいます。 「異なるを認めることで正誤の判断から自由になれる」。正しさは一つではないこと。韓国人はそれが認められないでいます。

それが、「兩非論など認めない」という流れになるわけです。

P.203~205

第三節 国全体か恐ろしい反日人間量産施設」

韓国人はなぜ「約束」を守れないのか?

この本を読まれている読者の皆さんは、「韓国人って約束は守るベきだという基本的な教育もしていないのか?」と思われるでしょう。それはもう、していますよ。韓国は決して教育インフラが乏しい国ではありません。

では、どうして日本との約束を守らないのか?また同じ話になりますが、「上下関係」が原因です。

韓国人は、ある規則において「例外になる(規則を守らなくてもいい)ことが、自分がその規則を守っている他の人たちより「上」になった、何か特別な待遇を受ける資格を得たことだと思っています。校則でも社会規範でもビジネスでもスポーツの試合でも国間の条約でも、この考え方は変わりません。

すなわち「社会の配慮の中には自分も主体として含まれている。自分も他人に対し配慮を行うべきだ」とする価値観ができていません。「社会には配慮が必要だけど、私は例外で、配慮は他人が私に対して行うべきだ」と思っています。

この「自分だけ例外になりたい」という願望は、「自覚がない」、「責任感がない」、「信頼できない」という結果に繋がったりします。

「下」は「上」に何もできず、隙さえあれば「上」を引きずり下ろすことしか考えていない。「上」は「下」に何をしても構わず、隙さえあれば「下」をこき使うことしか考えていない。

それが韓国の「上下関係」です。韓国社会の「二元論的構造」を象徴していると言えましょう。

「恨(ハン)」とは、相手と比べたがる歪みからできたもので、負けを認められず、自分は不正な方法で負けた被害者だから実は「上」であると信じ続けることである・・・と第二章に書きました。ある意味、「あらゆる規則から例外になれる資格」こそ、恨(ハン)が追求するものであるとも言えます。

(韓国にとっては)絶対的な上下関係を基本とする日本との関係においての約束事など、守るはずがありません。韓国関連のニュースなどを見て、皆さんは「この人たち、は何をしてもいいと思っているのか」と不快に思われたことはありませんか?その認識でほぼ正解です。

恨の価値観に囚われている韓国にとって、日本が上がることは韓国が下がることです。日本が下がることは韓国が上がることです。韓国にとってはその比較が何より優先します。 「反日」という名の、最後先順位です。

韓国は、「約束は守らないといけない」と平気で話しながらも、「日本との約束は守らなくていい」と思っています。韓国が日本より上だからです。

そもそも、韓国は、日本に悪いことをしたという自覚そのものがありません。日本との約束を破るのは韓国にとって当然の権利だから、日本に悪いことをしたと思う理由がないのです。

どちらかというと、韓国で反日は、そのまま愛国であり、一種の「道徳」です。

P.218~226

安倍談話が気になって仕方がない」韓国人の異常行動

日本が被害者に化けようとしている」と原爆関連の式典を「拒否」

異常に暑かった二〇一五年七月~八月。

「安倍談話が気になって仕方がない」韓国の異常行動も熱く続きました。 マスコミは「安保法案のせいで安倍の支持率が落ちた」と狂喜する報道を連発しながら、「安倍政権の立場が弱くなったから、安倍談話の内容も韓国に有利になるだろう」という、根拠のわからない期待を示したりしました。

新聞記事などを引用するとキリがないので、八月になってからの韓国の動きだけを、一部まとめてみます(※以下、安倍談話が発表された二〇一五年八月十四日を前後しての記事からの引用が多いため、年度表記を省略します。記述のないものは、全て二〇一五年です)。

八月四日は朴槿恵(パク•クネ)大統領が岡田克也民主党代衣と接見した際、安倍談話を意識し、安倍総理は村山談話や河野談話などをもう一度明らかに認める必要がある、今こそが慰安婦問題を解決できる事実上の最後の機会だと話しました(同日の国:民日報)。岡田代表はいわゆる慰安婦問題に関連し、「日本の政治家として申し訳がなく、恥ずかしい」と話しています(八月三日/聯合ニュース)。

八月六日にはクアラルンプールで開かれたASEAN関連会議で、尹炳世(ユン・ビョンセ)外交部長官(外相)が日本の岸田文維外相に「安倍談話と関連し、歴代内閣の明確な歴史認識継承を明らかにし、日韓最大の懸案である日本軍慰安婦問題の解決のための日本側の進展した態度」を要求したとのことです。(同日の聯合ニュース)。

外交部長官が日本に「進展」を要求していた八月六日は、ちょうど広島に原爆が投下された七十周年目の日でした。

広島の追悼式には、日本で行われた原爆犠牲者追悼行事に初めて本国の高官(ローズ米国務省軍備管理・国際安全保障担当次官)を派遣したアメリカを始め、核保有「大」国であるイギリス、フランス、ロシアなど世界百カ国から、最多の五万五千人が参席しました。しかし、韓匡の柳興洙(ユ・フンス)駐日大使は、姿を見せませんでした(八月六日聯合ニュース。中国側も参列していません)。

韓国側は「日本が被害者に化けようとしている」との理由で、原爆関連の式典などを拒否しつつあります。

大韓言論賞を受賞したこともある論説貪が「原爆は神罰だった」、「まだ日本への罰が足りないと思うの.は神の自由だ」(ニ〇一三年五月二十日/中央日報という記事を載せたことは有名ですが、この日(八月六日)にもまた、東亜日報が「日本は被害者を名乗る資格はない。その理由は単純に日本は加害者だからだ」、「日本人の原爆の日に対する感情は安っぽい感傷に過ぎない」と批判しています。

朝鮮日報も原爆で亡くなった方に対する日本の追悼、慰霊ムードを「日本が東アジアで信頼を獲得し、平和国家と認められるためには、犠牲者コスプレ(犠牲者のふりをすること) はそれくらいにして、相手の立場から考えることも学ぶべきだ」と書いています(八月十四日)。

韓国は原爆のことを、「セムトン(イイザマ)」だと、どこか喜んでいます。日本の「進展」を要求する前に、こういう韓国側の「セコさ」を何とかしてほしいものですが・・・。

「安倍談話、安倍談話、安倍談話」・・・政府を挙げて、もはや病的な執着

八月八日の朝鮮日報の報道内容はさらに傑作です。

「……朴槿患大統領が発表する光復節(八月十五日)演説文を準備している大統領府と外交部の実務担当者らは今、緊急態勢に入っている。今後の韓日関係にかなりの影響を与えることになる日本の安倍晋三総理の戦後七十年談話が光復節の前日に発表されるからだ ……(中略)……予想される安倍談話の内容に合わせ複数の演説文を準備しているとのことだ……」

安倍談話が気に入らなかったらキツイ内容を、気に入ったら柔らかい内容を選ぶという意味です。早くも「反撃」を用意していたわけですね。

八月十日には、また朴槿恵大統領が、大統領府首席秘書官会議で、「日本政府が歴代内閣の歴史認識を確実に継承するという点を明らかにすることにより、我が国をはじめとする周辺国との関係を新たに出発させようとする成熟した姿勢を示していてほしい」と話しました。

同日の聯合ニユースは、「朴大統領の発言は、安倍晋三日本総理の戦後七十年談話に村山談話や小泉談話などで指定された「侵略」、「謝罪」、「痛切な反省」、「植民地支配」の四つの核心表現を込めて、真の反省と謝罪の意を示すことを促したものと見られる。また、安倍総理の談話が期侍に満たなかった場合、韓国と中国など日本の植民地支配と侵略被害国との関係がさらに悪化することもありえるという警告メッセージを送ったとも解釈される」と報道しています。

八月十一日には、朴槿恵大統領が訪韓したハモンド英外相と会い、安倍談話について「歴代内閣の歴史認識の継承を明確にすれば、未来志向の関係発展の基礎になる」と述べました(同日の産経新聞)。記事によると、朴大統領は植民地支配と侵略への反省を明記「(それらの談話が)韓日関係の発展を可能にした」と説明したとのことです。

八月十二日には、なんと潘基文(パン•ギムン)国連事務総長が、安倍談話に対して 「日本は過去の歴史に対する真の反省に墓づいた真の和解と協力を通じてより良い末来に進まなければならない」と国連報道官を通じて話しました(八月十三日/聯合ニュース)。 国連事務総長が特定国家の過去歴史問題を公に「反省」を要求するのは、極めて異例です。潘事務総長本人は否定しているものの、韓国の次期大統領候補だという噂もあります。

八月十三日には、魯光鎰(ノ .グァンィル)外交部スポークスマンが、「日本内閣の歴代談詁で表明された歴史認識が後退してはならず、継承されなければならないという点を強調しながら、それが何を意味するかは、日本政府が明確に知っているだろう」と強調しました(同日のKBS)。

潘基文事務総長はともかく、こうしてみると、ほほニ日おきに、安倍談話に関連した韓国「政府」の見解が披露されていることがわかります。安倍談話、安倍談話、安倍談話 ……別に韓国人に向けて発せられる談話でもないのに、ここまでくると、もはや病的な執着です。

韓国が「舌なめずりして」待った発表当日

そして、韓国が(望ましくない意味で)待ち焦がれていた、談話発表の日が来ました。 八月十四日、十七時頃に閣議で決された「安倍談話」は、ちょうど十八時に発表されました。

私はすでに三月の時点で「次の本(本書)は『価値観』をキーワードにする」と決め、「その象徴は安倍談話になる」と信じていました。そして、この六力月間の記録を本としてまとめるのは、十分に意味のあることだと。その六カ月のクラィマックスになるであろう安倍談話に期待していたのは言うまでもありません。

しかし、率直に言って、不安もありました。

談話の内容を決めるまで、安倍総理周辺では、自民党の内部から外部から、想像を絶するほど様々な意見がぶつかり合ったことでしょう。その中でも、私は「閣議決定」がもっとも心配でした。

六月二十一日には読売新聞が「安倍首相は今夏に発表する戦後七十年談話について、閣議決定を見送る方針を固めた。政府の公式見解としての意味合いを薄め、過去の談話にとらわれない内容とする狙いがあるとみられる」と報道したこともあります。

閣議決定はあったほうがいい形になります。言うまでもないでしょう。しかし、その分、内容への制約も増えます。閣議決定のためには、満場一致が必要になるからです。閣僚の中には公明党の方もいるわけでして。

談話発表の一週間前、安倍総理が談話の草案について谷垣禎一自民党幹事長、菅義偉官房長官、公明党の山ロ那津男代表と話し合ったとのことですが、その場で山口代表は、

  • 謝罪と反省が必要
  • 世界各国にちゃんと謝罪が伝わるように

・中国、韓国との関係改善のための内容

などを要求したとのことです(八月九日/聯合ニユース)。

公明党には公明党の考え方があるでしょうけど、日本の総理の日本のための談話について話し合いながら、どうしてこうも他国を気にしすぎるのか・・・これは別に山口代表の問題だけでもなく、日本のマスコミの論調も同じでした。非常に残念なことです。

星の数ほどの意見があれど、総理は一人、談話は一つだけです。全てに配慮すると「ヌルい!」と叩かれ、片方に突っ走ると「極右だ」と叩かれるでしょう。そのバランスをどう取ればいいのか。私のような凡人には「賴みます—安倍総理」とお願いすることしかできず・・・。

八月十四日、早めに診療を終えた私は、自分の部屋でワールドブレミアム(海外向けNHK放送。韓国でも一部のケーブルテレビで放送されています)チャンネルをつけました。

歌って踊る楽しい子ども番組が終わり、午後六時。総理自ら戦後七十年談話を発表する、生放送が始まりました。

〈戦後七十年談話、いわゆる安倍談話の全文は、本書には載せません。全文は首相官邸サイト(http://www.kantei.go.jp/)にありますので、「首相官邸トツプ〉総理大臣〉総理指示・談話など>平成二十七年八月十四日内閣総理大臣談話」でお読みください〉

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『ロボット100万台と工員14人飛び降りの因果 鴻海の中国工場で、まずは工員7万人を削減』(6/3日経ビジネスオンライン 北村豊)

98年~2000年まで深圳で勤務しました。その時にビール壜の洗壜工場へ見学に行きました。台湾人の経営という事でその非人間的なやり方に吃驚しました。当時は外省人と本省人の区別もついていませんでしたので、多分外省人が経営していたのだと思います。従業員の宿舎は、コンクリ-トでできた建物の大部屋に3段ハンモックを吊るし、ぎゅうぎゅう詰めにし、それでも足りなければ廊下に莚を敷いて寝かせていたりしていました。(深圳は暑い地域です)。仕事は市場から帰ってきた壜を手洗いするのですが、出来高払いで1本0.01元。しかも手袋をしないので、手がふやけてしまいます。いくら山奥から人を引っ張ってきても、当時逃げ出す人は多かったです。

鴻海の郭会長も勿論、外省人です。外省人(蒋介石が連れて来た台湾に住む中国人の子孫)と本省人(台湾人)では性格が違います。Facebookの記事を見ましたら、蒋介石が台湾に逃げ込んできて70年近くなりますので、外省人の本省人化、本省人の外省人化が出てきているとありましたが、大勢は外省人(台湾に住む中国人)と本省人(台湾人)と思えば良いのでは。鴻海の郭会長のやり方は洗壜工場のやり方と同じだったのでしょう。ですから、14人も飛び降り自殺(?)者が出たのです。普通は2,3人自殺者が出れば、監督官庁やマスコミが放っておくはずがありません。地方政府は雇用で文句が言えないのと、同じ中国人同士賄賂付けになっていたと思います。流石に14人にもなって放置できなくなったのでしょう。最初の飛び降りをした“馬向前”の後の報道がされたのかどうか?中国では金で報道させないこともできますので。

鴻海のシャープ買収で約束はすぐに反故にされました。当たり前です。日本人は中国人の性格を理解していないからです。契約とか約束とかは自分に都合の良いときだけ守ると。「騙す方が賢く、騙される方が馬鹿」という民族的特質を持ちますので。

http://www.sankei.com/economy/news/160514/ecn1605140026-n1.html

http://www.itmedia.co.jp/business/articles/1605/23/news062.html

人員合理化のための機械化・ロボット化は合成の誤謬を引き起こすでしょう。マクロで見れば、失業増、消費減となります。中進国の罠と北村氏は言っていますが。郭会長が台湾を愛するなら、中国大陸でなく、台湾に投資すべき。元々安い人件費狙いで大陸に進出したはずです。2000年に上海にいた台湾人カメラマンに聞いた話ですが、中国人の女子大生を囲っているとのこと。小生にも別な女性を紹介すると言われましたが勿論断りました。経営者で数人囲っているのは当り前です。台湾から離れて女性囲い狙いもあったのでしょう。言葉が通じますので。しかし、今や大陸の人件費も上がり、ロボットを増やすのであれば、別に大陸で投資する必要はありません。郭会長は台湾人ではなく、中国人だからでしょう。

記事

中国の国営ラジオ放送局“中国人民広播電台(中央人民放送)”のウェブサイト“央広網(ネット)”は5月26日付で、「ロボットの展開で富士康昆山の工員11万人が5万人に削減」と題する記事を掲載した。「富士康昆山」とは“富士康科技集団(英文名:Foxconn)”(以下「富士康」)の江蘇省“昆山市”にある工場を指す。その概要は以下の通り。

ロボットが人に取って代わる現実

【1】ロボットが人間に取って代わることは、いまや趨勢ではなく、広く展開されている現実である。富士康はすでにロボット技術を採用し、昆山工場の工員を2013年の11万人から5万人まで削減し、人件費の大幅な削減に成功した。

【2】典型的な労働集約型企業である富士康に対する外部の印象は、無数の生産ラインがあり、出入りが激しい工員と厳しいコスト管理下で行われる連続の超過勤務である。しかし、周期的な工員不足、人的コストの上昇に伴う工場の遠隔地への移転などの各種圧力に直面して、富士康は生産形態の転換なくしては破滅に至ることを認識していた。それなら、どうやって行員数を半減して、営業額を増大させることができるのか。

【3】仮に一般工員の給与を年間5万元(約85万円)、工業用ロボットの市場価格を約12万元(約204万円)とした場合、生産ラインの改造を通じて、多数の工員をロボットに置き換えることができる。ロボットは24時間操業を可能とするし、誤差は小さく、製品率はさらに高いので、3年程度で富士康昆山工場は削減あるいはその他の方法で工員を半分に減らすことができる。

【4】江蘇省昆山市のほか、浙江省、広東省などの東部、東南部の経済発展地区でもますます多くの地域でロボットが人に取って代わる現象が出現している。広東省の2015年を例に挙げると、ロボットの保有量は4.14万台で、全国の18.8%を占め、全世界の2.49%であった。そのうち、2015年に新たに増加したロボットは1.82万台で、全国の4分の1、全世界の6.9%を占めた。一口で言えば、広東省はロボットが人に取って代わる有力な省になりつつある。

【5】ロボットの導入が盛んになっている背景には、労働力市場の矛盾が浮かび上がる。2015年の1~9月に広東省の定点観測企業2万社における工員不足の平均人数は38人であった。「世界の工場」として名を馳せた“東莞市”はかつて工員不足に悩んだが、ロボットの導入後は工員不足が大幅に緩和された。

【6】コストの上昇もロボットの導入を後押ししている。2008年より前の30数年間、珠江三角州の労働者の賃金水準は年に100元(約1700円)程度しか上昇しなかったが、2008年以降の7年間に広東省“広州市”の最低賃金水準は月額800元(約1万3600円)から1895元(約3万2200円)に上昇して毎年1.2倍の伸びを示したが、製靴、家具などの業界では倍増したところもあった。仏山市経済・情報化局副局長によれば、普通工員の平均月給が3500元(約6万円)として、ロボットを導入した後に、ロボット1台が平均して工員8人分の仕事をすれば、1年間で30万元(約510万円)の人件費を節約することができる。また、ロボットを導入すれば、製品の品質が向上する。ロボットは精度が安定しており、製品の品質を大幅に高めることができる。

【7】多くの人々が心配するのは、ロボットが導入された後に流れ作業の生産ラインの工員たちが大挙して失業することになるのではないかということである。ある家具生産工場を例に挙げれば、1台20万元(約340万円)のロボットは年俸10万元(約170万円)の熟練工2人に取って変わることができる。言い換えれば、1年間でロボットの購入費用を回収できることになる。あるネットユーザーは富士康昆山工場で6万人の工員が削減された記事を見て、工員の失業時代が間もなく到来するという思いを深くしたという。

シャープ買収の台湾・鴻海が推進

 さて、今年3月30日に台湾の“鴻海精密工業股份有限公司”(以下「鴻海精密工業」)が3888億円の第三者割当増資を引き受ける形で日本の家電大手であるシャープを買収したことは大きな話題となったが、富士康はその鴻海精密工業が中国本土へ投資することを目的に設立した企業である。実質的には台湾の鴻海精密工業を中核とする“鴻海科技集団”が、中国では富士康という企業名で運営されているもので、鴻海科技集団と富士康は表裏一体の関係にあると言ってよい。富士康はアップルの委託を受けてiPhoneやiPadを生産していることで知られるが、アップルのみならず世界の大手メーカー各社から電子機器の生産を請け負う世界最大の電子機器受託生産サービス(EMS)企業である。なお、鴻海精密工業は米フォーチュン誌の世界企業番付「Fortune Global 500」2015年版の31位(2014年版では32位)にランクされている。<注>

<注>2015年版で鴻海精密工業の同業者は、韓国サムソン13位、米国アップル15位。ちなみに、日本企業で最高位のトヨタ自動車は9位。

鴻海精密工業は1988年に富士康の名義で対中投資を行い、広東省“深圳市”に最初の工場を建設した。その後、冨士康の業績は順調に拡大したことから、深圳工場だけでは生産が需要に追い付かず、同じ広東省で深圳市に近い“恵州市”、“中山市”、“仏山市”などの珠江三角州周辺に工場を建設したが、さらなる増産の必要性から中国各地に工場を建設し、今では中国全土に合計35カ所もの工場を持つに至っている。工場数の増大に伴い工員数も飛躍的に増大し、中国国内だけで最高時は150万人に達していたと考えられている。

 鴻海精密工業が上述した世界企業番付「Fortune Global 500」に初めてランクインしたのは2005年版で371位であった。この輝かしき栄誉を礎として、さらに上位を目指して業績の拡大を図っていた富士康科技集団を突然襲ったのが、2010年1月から11月までの11か月間に連続して発生した14件の工員飛び降り事件だった。

若手工員14人が飛び降り

 最初の事件が発生したのは1月23日の早朝だった。深圳市“宝安区”にある富士康の“華南培訓処(華南訓練所)”の宿舎で19歳の工員“馬向前”が階段の上り口で死亡しているのが発見された。警察は馬向前の死因を高所から墜落したことによる外傷性ショック死と断定したが、これは宿舎の高い所から飛び降りたということを意味していた。しかし、馬向前の遺族は馬向前がすでに会社へ辞表を提出済みで、2月9日には富士康から去る予定だったとして、警察発表の死因に異議を唱えてメディアに訴えたことから事件は大きく報じられ、冨士康は世論の厳しい追及の矢面に立たされることとなった。但し、メディアが事件を大きく報じた裏には、冨士康が台湾の投資企業であることも大きく影響していた。

 この事件を皮切りとして、わずか11か月間に工員の飛び降り事件が合計14件発生したのだった。その内訳は、3月11日(飛び降りた工員の年齢・性別:20歳・男)、3月17日(不明・女)、3月29日(23歳・男)、4月6日(19歳未満・女)、4月7日(18歳・女)、5月6日(24歳・男)、5月11日(不明・女)、5月14日(21歳・男)、5月21日(21歳・男)、5月25日(29歳・男)、5月26日(23歳・男)、8月4日(22歳・女)、11月5日(22歳・男)であった。なお、彼らが飛び降りた結果は死亡12件、負傷2件であったが、このうち自殺あるいは自殺の可能性と判断されたものは8件で、不明が4件だった。

 上記から分かるように飛び降りた工員は“80后(1980年代生まれ)”あるいは“90后(1990年代生まれ)”と呼ばれる若者であり、彼らの全てが農村の出身者で、冨士康へ入社してから時間はそれほど経過していなかった。彼らは富士康の厳しい管理体制の下で機械のように単純な生産作業に長時間従事することで精神のバランスを崩し、思い詰め、逃げ場を求めて飛び降り自殺に走ったものと考えられる。

employees in a Chinese manufacturing

2010年、若手工員の連続飛び降り事件が発生した際、鴻海は広東省の工場を国内外のメディアに公開した(写真=ロイター/アフロ)

2010年当時の調査によれば、富士康の給与は的確に支払われていたし、工員に対する福利厚生も他社に比べて遜色のないものだった。但し、労働環境は非人間的な単純作業の繰り返しであり、トイレに立つ回数すら制限する奴隷労働に近いものだった。富士康の本拠地である深圳市の工場では、わずか3平方キロメートル足らずの土地に40万人以上の工員がひしめき、退勤時間には深圳市で最も繁華な地区以上に込み合う様相を見せていた。富士康が工員に求めるのは、ひたすら速度と効率であり、生産ライン上では、自由な発言や携帯電話を受けることは禁止され、交代者が来ない限り持ち場を離れることは許されなかった。これに加えて、工員を監督する現場管理者の態度は極めて悪く、横柄であった。工員が命令に従わない時には暴力を振るい、暴言を吐き、首にするぞと脅して従わせる。要するに富士康の職場には働くことの喜びもなければ、夢も希望も見い出せなかった。

 中国がまだ貧しかった時代に生まれ育った“60后(1960年代生まれ)”や“70后(1970年代生まれ)”の工員たちは、富士康のような外資系企業の工場で働くことで、国内企業よりも良い給与を得ることに喜びを感じた。しかし、物心付く頃に中国が飛躍的な経済成長を遂げた“80后”や“90后”の工員たちは、一人っ子政策が生み出した「一人っ子」であるために親に大切に育てられた。このため、彼らは厳しく単調な労働に耐える力が無かったし、深圳市のような大都市の生活に憧れる抱いて富士康へ入社したのだった。そうした彼らが夢と現実の乖離に絶望を感じて、飛び降り自殺を図ったことは想像に難くない。

3年以内に100万台のロボットを導入

 メディアは富士康で起こった14件の連続飛び降り事件を“14連跳”と名付けて、富士康叩きに狂奔した。富士康は全ての工員宿舎に自殺防止ネットを設置し、70人の心療内科医を常駐させることで、工員の飛び降りを抑止する措置を講じた。その後、富士康は工員に対する大幅な賃上げを実施し、1日当たりの超過勤務を3時間に制限する規定を作ることで、“14連跳”による企業存亡の危機を乗り越えた。この“14連跳”を契機として、2011年頃に鴻海精密工業の創業者で、鴻海精密工業と富士康の“董事長(会長)”を兼ねる“郭台銘”が提起したのが、機械が人に取って代わる“機器人(ロボット)計画”だった。郭台銘は3年以内に100万台のロボットを導入して富士康の生産ラインを改良すると公言したのだった。

 郭台銘がロボット開発計画を提起したのは2006年だった。彼は米国マサチューセッツ工科大学から技術者グループを招聘して富士康の生産ラインに適合するロボットの開発を要請した。2007年には富士康の「AR(Automation Robotics:自動化ロボット)事業部」を深圳市に発足させ、本格的に工業用ロボットの研究開発をスタートさせた。2008年には開発された富士康製ロボットを生産ラインへ投入してテストを行い、2009年には“Foxbot”と命名された富士康製ロボット15台が完成し、塗装、組立、運搬などのラインに配備された。こうした過程を経て、郭台銘は日産1000台のペースでロボットを生産すれば年間30万台という確信を持ち、2011年に3年以内に100万台のロボット導入を公言したのだった。

2015年5月24日付の上海紙「新聞晨報」が報じた富士康の関連記事によれば、富士康は2010年から2015年5月までに、3億元(約51億円)を投入して昆山工場生産ラインの自動化改造を進めており、すでに採用している自主開発のロボットは2000台以上に上っている。同紙に掲載された富士康の自主開発ロボットには、“富士康深圳一号”の文字が書かれていた。

 上記の記事には、“中国機器人産業聯盟(中国ロボット産業連盟)”の統計データが紹介されていた。同データによれば、2014年に中国市場で販売された工業用ロボットは約5.7万台で、前年比で55%増大した。5.7万台は全世界の販売量の4分の1を占め、中国は2013年・2014年と2年連続で世界一のロボット市場となった。このうち、中国の国内企業のロボット販売量は1万6945台で前年比76.6%の増大、外資企業のロボット販売量は約4万台で、前年比47%の増大であった。

中進国の罠に、はまり込む

 上述したように、中国では人間に取って代わるロボットの導入が積極的に進められているが、その大部分は設備投資の資金に余裕がある、あるいは、資金を借りる能力のある大企業が主体である。これに対して、中小企業は銀行からの借入は困難で、資金調達能力に限界があるため、ロボットを導入したくてもできない状態にある。こうした状態が進めば、ロボット導入を果たした大企業はますます富み、導入ができない中小企業はますます窮することになり、企業間格差はより一層拡大しよう。

 一方、ロボット導入が進めば、大量の工員たちが職場を追われ、失業者が増大することは火を見るよりも明らかである。中国では経営破たんしながら政府や銀行の支援を受けて存続している国営のゾンビ企業を整理する方針が出され、数百万人規模の失業者が出る可能性が高い。ロボット導入はさらなる失業者の増大を加速させることになるが、中国政府はこうした失業者にどのように対処する積りなのか。その根底にあるのは、中国政府が最低賃金水準を年々大幅に引き上げたことによる賃金上昇が企業業績を悪化させ、人件費節約のためにロボット導入を余儀なくさせたことにある。

 こうして見ると、中国が中進国の罠(わな)にはまる可能性は極めて高く、容易には罠から抜け出せないように思えてならない。

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『トランプはなんとイスラム教徒にも大人気だった 日本では伝えられないアメリカの現実』(6/1JBプレス 部谷 直亮)について

本記事を読みますと、イスラム教徒の中でのトランプ支持者は①経済活性化②イスラムの教えに沿っていること③充実した医療保険を理由に挙げています。イスラム教徒は民主党支持者が多いので、数少ない共和党支持者の中でのトランプ支持者ですから総数はグッと少くなるのでは。でもトランプの支持率がヒラリーを抜いた記事もありました。ヒラリーはFBIの聴聞もあり、追い込まれています。また、サンダースが民主党候補になれない場合(特別代議員の存在もあり、サンダースが候補になることはないでしょう)、独立候補となる可能性もあります。共和党で独立して候補となる人はいません。ヒラリーにとっては苦難の道が続くと思います。

フィリピンのドウテルテの大統領就任は6/30ですが、大分発言も慎重になってきました。中国は南シナ海の問題で味方につけようといろんな工作を仕掛けるでしょうが、アキノ大統領のしてきた米軍の駐留、南シナ海領有権問題の国際司法裁判所の判決(ドウテルテ大統領就任前に判決が出る可能性もあり)は守るでしょう。6/1Newsweek記事では見出しが「ドゥテルテ次期フィリピン大統領 米国に依存せず」ですが、読みますと南シナ海については多国間協議を支持していますし、自主防衛の力を付けて行くというのは方向として正しいのでは。

http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2016/06/post-5221.php

http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM2800W_Y4A420C1EAF000/

ドウテルテ同様、トランプも今後発言を軌道修正していくと思います。

日本の海外駐在特派員はロクな取材先を持っていないでしょう。せいぜい海外の新聞やTV、ネット記事を翻訳して、さも自分が調べたような顔をしているだけです。日高義樹氏のように取材先を持って自分のTV番組の中で放送できる人は稀です。トランプが大統領になるかもしれないので官民挙げての人脈作りをしていかないと。大統領にならなくても何かで役に立つでしょう。ビル・クリントンはアーカンソー州知事の時には日系企業を誘致して親日的でしたが、ブッシュ父から引き継いで大統領になったときに経済が悪化していたのと中国からの金で日本軽視の姿勢を取りました。日本の人脈作りが下手なせいです。ま、日本人は中国人のようにスマートに賄賂を贈ることは出来ませんから。ヒラリーが大統領になれば、中国宥和策を採るでしょう。

記事

Trump-12

米カリフォルニア州フレズノで開いた集会で演説する米大統領選の共和党候補ドナルド・トランプ氏(2016年5月27日撮影)。(c)AFP/Sandy Huffaker〔AFPBB News

 2015年12月、イスラム教徒を完全に入国禁止にすると宣言したトランプ候補。だが驚くべきことに、在米イスラム教徒団体が2016年3月に行った世論調査では、共和党系候補ではトランプ候補が最も支持を得ているという結果が出た。

 米国でもこの結果は意外感をもって受け止められたようで、トランプ候補を支持するイスラム教徒のグループなどへの各種インタビューが行われている。

 一体なぜトランプ候補がイスラム教徒から支持されているのか。実はその支持の背景にこそ、日本人の多くがトランプ旋風を読み違えてしまった原因がある。

最もイスラム教徒が支持する共和党候補

 米イスラム関係評議会協会(CAIR:Council on American – Islamic Relations)は、在米イスラム教徒の間では名の通った中立的で穏健な団体である。

 トランプ候補が「入国禁止宣言」を行った際にはすぐさま批判を行い、その後も幹部が、トランプ候補をはじめとする共和党候補を繰り返し批判している。

そのトランプ候補に批判的なCAIRが今年3月、全米のイスラム教徒1850人に世論調査を行った。その結果、最も支持する大統領候補は、第1位クリントン候補(47%)、第2位サンダース候補(25%)、第3位トランプ候補(11%)、第4位ルビオ候補(4%)、第5位クルーズ候補(2%)、第6位ケーシック候補(1%)となった。

 在米イスラム教徒の多くは民主党支持者(この調査でも67%が民主党支持、18%が共和党支持と回答)なので、クリントン候補、サンダース候補が首位を占めることは当然であろう。一方、米国内で議論を呼んだのは、トランプ候補が共和党候補で最も支持を集めたことである。トランプ候補のイスラム教徒入国禁止宣言やテロリストの家族も皆殺し発言を強烈に批判した、ルビオ、クルーズ、ケーシックの3候補はトランプに惨敗してしまったのだ。しかも、前二者は地元ですら負けている。CAIRがトランプに批判的な団体であることを考慮すると、まさに意外な調査結果であった。

 また、世論調査で定評のあるギャラップ社の調査でも、CAIRとほぼ同様にトランプ候補は在米イスラム教徒の13%から支持を得ている。

支持の理由は経済と社会保障への対応

 なぜトランプ候補はイスラム教徒から支持を受けるのか。その大きな理由は経済と社会保障への対応である。

 CAIRの世論調査で共和党支持のイスラム教徒に「大統領選挙の候補者選びで最も重要な論点は何か」と尋ねたところ、第1位に経済(38%)、第2位はイスラム教徒への差別(14%)、第3位は医療(12%)、第4位は外交(10%)となった。

 要するに、1兆円を超える資産を稼ぎ出した経営者としての実績を持ち、国内経済再建を強烈に掲げるトランプ候補に、経済問題を重視するイスラム教徒たちの支持が集まっているのである。

 実際に、サジド・タラルという在米イスラム教徒によるトランプ後援会会長は、「トランプが支持されている理由は経済」だと言う。トランプ候補の小さな政府、ビジネス推進政策、財政政策こそが、米国を経済的混乱から救うことができると話す。

 CAIRの行政関連業務マネージャーを務めるロバート・マッカウもCNNの取材に対し、「イスラム教徒でトランプを支持する人間の大部分は、中小企業経営者のための減税などの経済政策に引き寄せられている」と指摘している。

 また、トランプ候補は共和党候補では珍しいことに、オバマ大統領が推進してきた国民皆保険制度に好意的である。彼は、「オバマケアよりも素晴らしい皆保険制度を実現させる」と主張しており、これが医療の充実を願うイスラム教徒の願いに叶っているのだろう。

共和党とトランプ候補はイスラム的価値観を体現している

 各誌が行った、イスラム教徒へのインタビュー等からも興味深い結果が出ている。

 イスラム教徒による共和党系団体「共和党イスラム教徒連合」の代表を務めるパキスタン系米国人で女性弁護士のサバ・アハメドは、USAトゥデイ誌のインタビューで以下のように語っている。

「自分は2011年までは民主党員だった。だが、よくよく考えれば共和党にこそイスラムの価値観があると思い、共和党員になった。すなわち、中絶反対、反同性婚、伝統的な家族制の維持、自由経済および貿易の推進である。イスラムの価値観はまさしく(米国の)保守主義と重なる。

 トランプ候補は、最終的にはイスラム教徒入国禁止政策を撤回するだろう。実際、つい最近、彼は入国禁止政策を“単なる提案”だと言っている。自分は、共和党候補者が誰でも気にせずに支持し、他の在米イスラム教徒にも支持を呼びかけるつもりだ」

 つまり、トランプ候補の問題発言は選挙戦で注目を浴びて勝つためのレトリックに過ぎない、共和党こそイスラムの価値観と親和性があるから支持する、というのがアハメド氏の主張である。

3人のイスラム教徒たちへのインタビュー

 またタイム誌は、CAIRの調査を受けて、トランプを支持する3人のフロリダ在住のイスラム教徒にインタビューを実施した。これらのインタビューも、イスラム教徒たちがなぜトランプを支持するのかを雄弁に語っている。

 まず、37歳の無党派層のアダム・ウォーシャワーは、次のようにトランプ支持の理由を話す。

「トランプ候補は、別にイスラム教徒が嫌いだから入国禁止を提案したのではない。ただ、テロを防ぎたいからそう言っているに過ぎない。私はイスラム教徒として、テロを食い止めるためにトランプ候補を支持する。

 自分は別にトランプ信者というわけではなく、単なるリアリストだ。彼が勝つのであれば、イスラム教徒のために最も良い政策を行ってもらうよう支えたい。イスラム教徒の自分が彼を支持することが、イスラム教徒にとって良き変化をもたらす」

 1990年にシリアから移民した小切手換金サービス会社の社長のオマル・アルカディリ(52歳)も熱心なトランプ支持者である。アルカディリは次のように語る。

「自分はこれまでクリントンやオバマ大統領に投票してきた。しかし、オバマ大統領の下で、経済は悪化した。トランプの反イスラム教徒発言を聞いて最初は悩んだが、もっと大事な問題は経済であるとの結論を得た。

 トランプの反イスラム教徒宣言は選挙戦における炎上戦法でしかない。アメリカの熱狂しやすい人々に向けたエンターテイメントみたいなものだ」という。

 3人目は、パレスチナ移民の子供で、現在はプリペイド携帯会社の支店を複数経営するラエド・ハマダーンである。ハマダーンは「パレスチナ和平を重視する唯一の候補」としてトランプ候補を支持している。

「トランプ候補はメキシコの壁の建設やイスラム教徒の追放を唱えているが、実際には投票なくしては行えないから実現不可能だ。オバマ大統領がグアンタナモ収容所を閉鎖したいと言いながらいまだにできていないのと同じことだ。

 自分は、好戦的な共和党と違って戦争を回避するオバマ大統領を支持してきた。しかし、民主党は税金を経営者からたくさん徴収するばかりで支持できない。共和党ならば、経営者にもより公正な税制にしてくれる」

 以上のように、トランプを支持するイスラム教徒たちは、オバマ大統領の経済手腕に絶望すると同時に、トランプの過激な言動を冷静に分析して期待をかけている。そして、彼らは、先のサバ・アハメド弁護士と同様に、自らが支持を表明し応援していくことが、トランプ候補のイスラム教徒への好意的な反応につながると考えている。

 要するに、イスラム教徒たちは極めてリアリスティックな立場からトランプ候補に期待しているのである。

アメリカの現実を無視している日本の分析

 筆者は昨年末より様々な研究会でトランプ候補優勢を主張してきた。だが、多くは「トランプが大統領になったら高級焼肉を奢る(笑)」という反応であった。現在もマスメディアでは「最後はヒラリーが勝つ」という論調が大勢を占める。

 なぜ日本では、こうした現実を無視する分析が横行するのだろうか。

 その大きな原因は、上記のような選挙戦の帰趨を決定する草の根の支持層の声を軽視してきたからであろう。実際、選挙戦初期の日本のメディアの「ブッシュが勝利する」という分析も、共和党のエリート層に属する人間からの伝聞情報を根拠とし、ティーパーティー(茶会)運動のような市民運動には目を向けていなかった。

 しかし、もはや米国政治(特に共和党内部)は、一部の既得権益を重視するエリート層の手を離れつつある。しかも、ややこしいのは、このエリート層には、これまでの草の根運動を主導してきたはずの「保守派」も、今や含まれているということである。

 要するに、旧来のエリート層や「保守派」に期待しない、減税と自由競争に基づく経済政策を重視する草の根の一般市民たちが影響力を行使する時代に入っているのだ。

 トランプ候補が、エリート層が少なく、既得権益化した「保守派」にも入れない在米イスラム教徒の支持を受けているというのは、そうした時代の変化を象徴していると言えよう。そして、そこにこそ、トランプ旋風を日本が理解できず予測もできなかった原因があるのである。

(*)CAIRの世論調査については、早稲田大学公共政策研究所地域主権研究センター招聘研究員の渡瀬裕哉氏から貴重な助言を頂戴しました。ここに深く御礼を申し上げます。

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『G7とオバマ広島訪問、中国「日本猛攻」の意味 安倍式「歴史の乗り越え方」が中国を焦らせる』(6/1日経ビジネスオンライン 福島香織)について

中国人は自分が都合悪くなると、すぐに論理のすり替え、百年前のことを持ち出すなどして誤魔化そうとします。不合理精神そのものですが、「騙す方が賢く、騙される方が馬鹿」という国柄ですから。でも非難の仕方は相変わらずで、朝鮮半島と同じで下品です。中華・小中華というのは如何に徳のない民族かという事です。エリザベス女王に“rude”と言われるのは当り前です。礼儀を知りませんので。孔子がいくら徳を教えようとしても誰も守ろうとしなかった国です。中国の歴史は虐殺の歴史なのに、デッチアゲの南京事件を言い立てるのは面の皮が厚すぎでしょう。而も共産中国の建国の父・毛沢東は文革時、批林批孔を煽動して紅衛兵に人にあるまじきことをさせました。それが今では孔子学院を世界中に作り、中国語を教えるというのですから。ご都合主義の最たるものです。

本記事の中で、中国のメデイアは「サミット、オバマの訪広が今度の参院選対策」というのですから、選挙もしてない国に難癖をつけられる覚えはないという気にさせられます。悔しかったら選挙して見れば良いのに。出来ないのであれば、黙っているべきと思うのですが、そうできない所に性が出るのでしょう。オバマの訪広は日本が望んだことではないのは、日本の新聞記事、ネットを読めばわかること。日本に多くのスパイを送り込んでいる中国が知らないはずがありません。都合の悪い情報は知らん振りします。

9月のG20は楽しみです。中国は日本を悪者とする絵を描こうとするでしょうが、せいぜい味方は韓国くらいのものでしょう。それだって米国から圧力をかけられれば分かりません。逆に中国が孤立を深めるのではと。議事国の纏め方が楽しみです。

記事

Abe and OBama in Hiroshima

歴史を乗り越えようとする日米に、中国は焦りを募らせる(写真:代表撮影/AP/アフロ)

 8年ぶりの日本でのG7に続いて、オバマ米大統領の広島訪問と、先週の日本は国際ニュースが盛りだくさんであった。しかも、いずれも中国が影の主役であったといえる。ただ8年前は、リーマンショック直後に世界から経済の救世主として期待された中国の存在感とは裏腹に、今回はむしろヒール(悪役)であった。中国の反応から、サミットとオバマ広島訪問を見てみたい。

日本が「悪知恵」で対中包囲網

 G7の首脳宣言では中国を名指しこそしなかったが、国家が国際法に基づき力や威圧を用いないこと、平和的な手段による紛争解決を追求することの重要性を再確認し、東シナ海、南シナ海における状況を懸念し、紛争の平和的管理、解決の根本的な重要性を強調した。

 これに対し中国外交部報道官は27日の定例記者会見で、強烈な反発を表明。「今回の日本が主催するG7サミットは、南シナ海問題を煽り、緊張情勢を拡大させ、南シナ海の安定に不利益をもたらした。G7は先進国の経済問題を話し合うプラットフォームと名乗るにふさわしくない。中国側はG7のやり方に対して強烈な不満を示す」と日本を名指しする形で抗議した。

 さらに30日の記者会見では、「中国が南シナ海で展開している活動は完全に主権範囲内のことで、正当合法であることは議論の余地がない。中国は南シナ海の航行・飛行の自由もしっかり維持している。しかし“航行の自由と自由の横行は同じではない”。中国は個別の国家が航行の自由という建前で中国を悪者にすることには断固反対する」と訴え、G7拡大会議でも中国へのけん制を念頭に海洋問題が議論されたことについては、「会議で何を討論しようとも、他国の利益を損なうことはすべきではなく、地域の緊張を刺激すべきでもない」と批判した。

 安倍晋三首相は記者会見上、一言も中国という国名を言わず、南シナ問題については、2014年のアジア安全保障会議上で提出された三原則、つまり①国際法に基づき主張する②力や威圧を用いない③平和的解決を徹底する、を繰り返しただけである。表現上は決して中国を特別挑発するようなものではないのだが、一部中国メディアは「G7は安倍が“夾帯私貨”(ヤミ商品を紛れ込ませることを)している」という言い方で、いかにもホスト国の日本が悪知恵をめぐらして、G7の本来の議題とは関係のない南シナ海の問題を強引に議題のテーブルに乗せて、対中包囲網を形成したのだ、と日本に対する苛立ちを募らせている。

南シナ海問題以外についても、中国メディアはおおむね酷評しており、「G7モデルは、西側国家が世界経済の舞台上、圧倒的優勢を占めるために作られたのであり、中国、インド、ブラジルなどの新興国が彼らに背を向けて発展し始めた今日、G7サミットはすでに政治的回顧録に過ぎず、政治そのものになりえない」「内容のないショーだ」(中国金融報)、「会議の議題は空疎で、対立は明らかで、成果は乏しく、しかもホスト国の日本がたえず議題を偏向させている」「G7の影響力は日増しに衰退し、世界経済における役割はすでに過去のもの」(中国社会科学報)などとG7オワコン説を力説している。

「G7よりG20」「南京を忘れるな」

 もちろん、9月に中国がホストとなって浙江省杭州で開かれるG20こそが、グローバルな問題の討論と解決のプラットフォームであるということが言いたいがための文脈だ。

 「G20があるのに、G7はまだ必要なのか」というタス通信の報道などを引用して、南シナ海から世界経済減速まで、世界の諸問題の原因となっている中国が参与していないG7ではなく、中国が重視するG20がグローバルメカニズムの核となるのだと訴えている。

 G7に続く、米大統領オバマの広島訪問についても、思いっきり難癖をつけている。

 27日に外相の王毅が記者会見上で「広島は注目に値するが、南京はさらに忘れてはならない。犠牲者に同情することも大切だが、加害者は、永遠にその責任から逃れることができないのだ」と“過去の侵略戦争発動者”日本に釘を刺した。

 華僑系通信社中国新聞社は「やってきたよ、でも謝らない:オバマの広島訪問に日本は満足なのか?」というタイトルで、これがオバマの在任期間のロスタイムの政治ショーにすぎないと揶揄した。

 さらに「非核化を推進できるのか、日米同盟を強化できるのか、アジアリバランス政策に多少寄与するのか、あるいは日本の侵略行為の罪を淡化させるという安倍の望みをかなえ、7月の選挙のプラス材料となるのか。我々は目をこすって待ってみよう」「かつて非核化推進努力によりノーベル平和賞を受賞したオバマがもっとも気にしているのは残りの在任期間が多くない状況下で、“非核世界”の理想実現のために努力して見せる。それが自分により多くの政治遺産を残すことになる。…安倍にしてみれば、オバマの広島訪問は日本の第二次大戦下での侵略暴行の記憶を淡化させることに役立つ。表面上は世界に核兵器の廃絶を呼びかけるためとしながら、実際は自分たちが第二次大戦の被害者であるイメージを打ち出して、日本が侵略戦争を発動した責任と他国に与えた損害の記憶を薄れさせようということだ」などと、日米の狙いを分析している。

 さらに、次期大統領選の共和党候補ドナルド・トランプが「(オバマが日本訪問中)なぜ真珠湾奇襲作戦について質問しないんだ」と28日にツイッター上でつぶやいたことなどを引用し、日本が戦争被害者でなく加害者であることを改めて強調した。

米国の戦闘能力はピーク時の半分

 またシンガポールのストレーツタイムズ紙を引用する形で、米国のレームダックを印象付けようとしている報道もある。

 「オバマは広島で日本に謝罪はしなかったものの日本にごまをすったことは明白である。これは傲慢なアメリカ合衆国とオバマさんが一夜にして良心に目覚め、日本と対等なパートナーシップを結ぶことを決めたのか? もちろん違う。日米間のパワーバランスはすでに巨大な変化が生じている。米国経済は日増しに衰弱し、オバマは世界覇権維持を軍事力にますます頼らざるを得なくなっているが、その軍事力もまた、経済基礎の上に建設されている。いまや、米軍の戦闘能力は、ピーク時の50パーセント前後である。この米軍の実力的凋落は何なのか。間違いなく、米国のグローバル覇権がいよいよ終焉の時を迎えているサインである」

 「オバマはこの脆さ極まりない世界覇権の地位のため、軍事同盟の関係上、日本にすり寄らねばならないのだ。もちろん安倍は鋭敏にこのオバマの本音をかぎ取っている。米国が日本を必要としている以上に、日本も米国がさらに必要である。…(オバマに広島にG7のついでに立ち寄るよう頼むのは)オバマ大統領が謝罪をすれば一番良いが、謝罪をしなくとも、オバマが来れば、それは一つの態度なのである。オバマが広島に謝罪に来た、というふうに読み取ってよいのだ。安倍は虚栄心とメンツを大いに満足させたことだろう。オバマは何を得たのか? 屈辱以外に? 実際、米国はこんなところまでやってきて、実質なにもよいことはないのである」(中華ネット論壇)

 以上の論評は、外国メディアを引用する形も含めて、かなり中国の本音に迫っているのだと思う。そしてサミットとオバマ広島訪問の成果とは何かを考えるとき、中国の批判の裏側を読めばだいたい当たっているだろう。グローバル経済の問題に対応するとき、G7ではいまひとつ影響力が持てないということもある意味、当たっている。だが今回、注目するべきは国際社会のパワーバランスにおける日本の存在感を中国がかなり意識してくれているということだろう。

 中国は、今回のサミットにしろ広島訪問にしろ、安倍が仕組んだと批判している。中国包囲網でG7とアジア・アフリカ7カ国の結束を固めることに成功し、オバマ広島訪問で米国のレームダックと日本と米国の関係性の変化を国際社会に印象づけた。さらに中国や韓国などとの“歴史情報戦”に一矢報いた。

中韓とは異なる、歴史の乗り越え方を示す

 習近平政権の当初の外交シナリオの中に、日本が“歴史修正主義者”で軍国主義復活を狙っているという間違ったイメージを国際社会の中で広め、日米離反、日本孤立を画策しようというものがあった。日米離反政策は、結果的に習近平がオバマを侮りすぎたことで失敗、米国はむしろ対中警戒を強めて日米同盟が強化される格好になるのだが、その流れに乗じて今回、日本は“過去の戦争の被害者と加害者の和解と未来志向”というものを演出してみせて、過去の戦争の被害者として延々に謝罪を求め続ける中国や韓国にあてつけて見せたのである。

 このことは、いまや国際政治の一つの重要カードとなっている歴史情報戦において、中国が言うように、日本の侵略戦争イメージを薄れさせると同時に、いつまでも過去の戦争の恨みにこだわっている中韓の心の狭さと対比するかたちで、日本という国の歴史の乗り越え方を示すことができたのだ。

安全保障のバランス、再考を

 今回のオバマ広島訪問に関する中国の批判(指摘)の中で、私が一番、なるほどと感心したのは、米国の軍事力衰退の象徴と捉えていることである。米大統領広島訪問の意義としては、日米関係の緊密化アピールによる対中牽制以外に、単純にノーベル平和賞を受賞したオバマが大統領としての最後の花道に広島を選んだのだろうというぐらいにしか考えていなかったのだが、ここは中国の見立てが当たっているだろう。

 日本では、この訪問時期にあわせて共同通信が実施した全国電話世論調査で、日米地位協定を「改定すべきだ」との答えが71パーセントに上った。もちろん、元米海兵隊員の軍属が逮捕された沖縄女性遺棄事件の衝撃が大きな要因ではあるが、この大統領広島訪問も影響があるだろう。軍事大国として圧倒的強者として日本の安全保障を預かってきた米国の大統領が、謝罪の言葉こそ口にしなかったが、かつての虐殺現場を訪れて献花したわけである。

 米国は日本に対して圧倒的強者から、等身大のパートナー国の立場に自ら降りてきて、日本の気持ちに配慮を示そうとしている。米国はかつてほど威圧的でも傲慢でもなくなったが、かつてほど強くもない。ということならば、日本の安全保障のバランスも再考せねばなるまい、という気持ちにさせられるではないか。

 オバマの次の大統領が誰なのかにもよるが、世界がここまできな臭く、南シナ海から東シナ海にかけての緊張がかつてなく高まっている状況で、米国の軍事的実力が落ちているというならば、従来の日米地位協定を変えていこうという流れになるのは当然かもしれない。

中国の非難が示す安倍外交の成果

 “戦後レジームの脱却”を公言していた安倍政権が、それどころか、日米安保強化に動いたという点を批判する声は保守層の間でも起きているが、その日米同盟のパワーバランスが少しずつであるが変化している流れを考えると、やはり安倍外交の根っこにはぶれがないという気がする。

 G7サミットについても、米大統領広島訪問についても、中国がここまで真剣に“安倍のたくらみ”として批判してくるということは、安倍外交としてはかなりの成功だと自信を持っていいということだろう。もちろん、消費増税延期という内政問題にサミットを利用した感などもあるのだが、外交を内政に利用することが悪いというわけではない。

 世界はいま戦後長らく固定されてきた枠組みや秩序から、少しずつ変化しようとしている。主なプレイヤーは米国と中国、あるいはロシアだと思われているが、日本もかなりの存在感をここにきて見せるようになってきたではないか。次はG20で中国のお手並み拝見である。

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『米投資ファンド、中国の不良債権処理に参入 』について(5/30日経)

本記事の債務は小さすぎでしょう。中国は都合の悪い数字は低く発表しますので。宮崎正弘氏のメルマガにも中国の債務はトータルでGDPの320%、30兆$(3300兆円)とヘッジファンドは読んでいるとのこと。中国の発表している数字は融資平台のノンバンクの数字は入っていないのかも知れませんが、それにしても少なすぎの印象があります。

http://melma.com/backnumber_45206_6373694/

実需を無視して建物を作った後には何が残るかと言うと、宴の後の借金と廃墟でしょう。紙幣の増刷で乗り切れるかどうかです。ハイパーインフレになるのでは。そうなれば、共産党は打倒されるでしょう。幹部は亡命、でも預金情報を押えている米国に差押えされるかもしれません。借金の返済に充てられるかも。

ハゲタカのKKRが損をすることはしないと思います。安く買い叩いて、高く売り抜ける目算があるのでしょう。ただ、中国の土地の所有権は共産党が握っています。居住用70年、工業用地50年の使用権だけを切り売りしています。この年限を利用して儲けるのかどうか?やり方は想像できません。

「招商銀行が不良債権の証券化に踏み切った」と言うのは、リーマンの轍を踏むということでしょう。サブプライムで腐った林檎も入れて証券化して、世界的にその証券を買った国や銀行は損しました。そのような証券を中国以外の国が買うことはないでしょう。損するのが分かっていますので。花見酒の経済になるのでは。

記事

 【上海=張勇祥】米国の有力投資ファンドが相次ぎ中国の不良債権処理ビジネスに参入している。オークツリー・キャピタルが北京の不動産に投資したほか、コールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)は中国国有の資産管理会社(AMC)と提携した。中国では景気減速に伴い不良債権が急増している。当局は海外勢の資金を導入し、最終処理を急ぐ考えだ。

condo in Beijing

10年間、建設が止まったままの住宅群(5月、北京)=AP

 オークツリーは2015年に第1弾となる不良資産買い取りを実施したほか、「北京で商業用不動産のプロジェクトに関与している」という。地方都市の不動産への投資は検討せず、上海や北京など大都市圏での投資機会を探るとしている。

 KKRは中国国有の不良債権処理会社、「中国東方資産管理」と共同出資会社の設立で合意した。KKRで中国地区の代表を務める劉海峰氏は「投資先に必要な資本とノウハウを提供する」という。同社は中国の不良債権の多くは不動産が担保になっていると指摘しており、不動産を活用した最終処理を模索するとみられる。

 ゴールドマン・サックスは現時点では残高はないが、北京の拠点を通じ投資機会を探っている。中国では1997年のアジア通貨危機を契機に、大きく膨らんでいた不良債権処理を本格化した経緯がある。中国当局は政府出資でAMCを設立、国有銀行の不良債権を分離して買い取ったほか、ゴールドマンなど海外の投資銀行に債権を売却した。

bad loan in China

 ゴールドマンは国有商業銀行の一角である中国工商銀行のほか、複数のAMCから総額200億元(約3300億円)規模の不良債権や関連資産を買い取った実績があるとされる。ゴールドマンは工商銀にも出資、香港市場などへの上場を支援した経緯があり、過去の実績を生かせると判断しているようだ。

 このほか、ローンスターは国有AMCの一つである「中国華融資産管理」に接触。不良債権ビジネスでの提携を模索している。ローンスターは華融だけでなく、複数の金融機関と協議しているとみられる。

 海外の投資ファンドが相次ぎ中国に進出する背景には、金融機関が巨額の不良債権を抱え、かつ最終処理を急いでいることがある。中国の商業銀行の不良債権残高は16年3月末時点で1兆3921億元と1年前に比べ42%も増加した。

 このほか、不良債権に分類していないものの、将来の元利払いにリスクがある「関注類」と呼ぶ債権が3兆2000億元にのぼる。中国は1~3月期の実質経済成長率が6.7%と7年ぶりの低水準にとどまり、鉄鋼や石炭、造船業などで債務不履行が相次いでいる。中国政府は過剰な生産能力や人員を抱える企業の淘汰を進める方針で、不良債権は今後も増加が続く公算が大きい。

 中国の銀行も最終処理を加速しており、5月には国有大手の中国銀行のほか、招商銀行が不良債権の証券化に踏み切った。銀行の資産内容の劣化を放置すれば金融システムへの信認が揺らぎかねず、中国当局は政府主導で不良債権対策を進める考えだ。

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『オバマ広島訪問、米国内はどう受け止めたのか』(5/30日経ビジネスオンライン 高濱賛)

本日、安倍首相は野党の不信任決議を受けて、粛々と否決し、衆院解散するのでは。麻生副総理、谷垣幹事長、稲田政調会長も「消費税増税を延期するのであれば、衆院を解散して信を問うべき」と言いだしたのはその証拠では。示し合わせての発言ではないかと思います。二階総務会長は先日の御坊市長選で子息が落選する憂き目に遭い、支持基盤がガタガタになっているのでこの近くでの選挙はしたくない気持ちがありありですが。売国議員は落選した方が良いでしょう。

5/30日経では<内閣支持、56%に上昇 オバマ氏訪問「評価」92% サミット外交「評価」62% 

 日本経済新聞社とテレビ東京による27~29日の世論調査で、内閣支持率は56%で4~5月の前回調査から3ポイント上昇した。不支持率は35%で5ポイント低下。先の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)で議長を務めた安倍晋三首相の働きぶりは62%、オバマ米大統領の広島訪問は92%がそれぞれ「評価する」と答えた。一連の外交成果が支持率を押し上げた形だ。(関連記事総合・政治面に)

approval rating of cabinet

 内閣支持率は2014年9月の内閣改造を受けた調査で60%を記録して以来の高水準となった。

 来年4月の消費増税は「反対」が63%と依然高水準。「賛成」は3ポイント上昇の32%だった。増税先送りで取り沙汰される衆参同日選は「反対」が1ポイント低下の42%、「賛成」は3ポイント低下し38%だった。経済政策「アベノミクス」は「評価する」が38%と2ポイント上昇し、「評価しない」は49%で4ポイント低下した。

 調査は日経リサーチが全国の18歳以上の男女を対象に乱数番号(RDD)方式で電話で実施。固定電話と携帯電話で計2278件を対象に、1089件の回答を得た。

外交成果、参院選へ与党に追い風 本社世論調査 

 日本経済新聞の世論調査で、主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)などの外交成果が安倍政権の内閣支持率を1年8カ月ぶりの高水準に押し上げた。2017年4月の消費増税も「反対」が6割超と、先送りの意向を示した安倍晋三首相を後押しする結果が出た。7月の参院選に向けて追い風になりそうだ。

 首相はサミットで主要7カ国(G7)首脳らとの議論を主導し、世界経済の減速阻止策を柱とした首脳宣言を取りまとめた。こうした議長としての働きぶりを「評価する」は62%で「評価しない」の21%を大きく上回った。内閣支持層で「評価する」との回答は8割に上った。

 政府・与党はもともと参院選を控えた時期のサミット開催を「選挙戦に弾みをつける格好の場」ととらえ、会議の成功を最重要課題としていた。安倍首相は5月の大型連休中に欧州を歴訪、財政出動を含む政策協調に慎重な英国やドイツの首脳と調整を重ね、首脳宣言の採択につなげた。

 世界経済が危機に陥るリスクに触れた首脳宣言は、17年4月の消費税10%への引き上げ先送りの口実になるとの批判も根強い。ただ予定通りの消費税引き上げに「反対」が「賛成」のほぼ2倍。内閣支持・不支持にかかわらず「反対」が多く、増税延期そのものが参院選に大きくマイナスになることはなさそうだ。

 サミットに併せて実現したオバマ米大統領の広島訪問も高い評価を受け、内閣支持率は56%と14年9月の第2次安倍改造内閣が発足した直後以来の高い水準になった。参院選の投票先も自民党が44%と「1強」を維持しており、選挙戦に向けた大きな懸念材料は見当たらないようにみえる。

 ただ沖縄県で米軍属が逮捕された女性遺棄事件への日本政府の対応は「適切ではない」が46%と「適切だ」の37%を上回った。事件には女性の反発が根強く、無党派層も半数近くが政府対応を「適切ではない」と回答した。6月上旬には沖縄県議選があり、その結果次第では参院選に逆風が吹く可能性もある。

参院選候補の野党一本化 「反対」が「賛成」上回る

 世論調査で7月の参院選での野党が進めている候補者一本化について聞いたところ、「賛成」が35%、「反対」が42%となった。

 野党の支持層でみると、民進党支持層が「賛成」73%、「反対」19%、共産党支持層も「賛成」63%、「反対」27%と一本化の軸になる民進、共産両党の支持層には一定程度浸透している。ただカギを握る無党派層は「反対」36%と「賛成」31%を上回った。

 民進、共産両党に社民、生活両党を加えた野党4党は参院選で32ある「1人区」すべてで一本化のメドを立てている。

 今後は政策のすり合わせなどが課題になりそうだ。

 参院選で投票したい政党は、自民党が44%で4~5月の前回調査から変化はなかった。民進党は3ポイント低下の12%だった。公明党4%、共産党5%、社民党1%でいずれも横ばい。おおさか維新の会は2ポイント低下の4%で、生活の党は1ポイント上昇の2%。態度未定は4ポイント増え28%だった。

 政党支持率は自民党が2ポイント低下の44%、民進党が3ポイント低下の8%。無党派は9ポイント上昇し30%だった。>(以上)

安倍首相の支持率も上がり、解散には良いチャンス。参院の野党一本化も衆院と同日選をすることにより実質一本化の活動ができなくなります。第二次安倍内閣の使命は憲法改正です。衆参の2/3を確保する良いチャンスです。先ず96条改正して衆参1/2の発議にすれば良いのでは。国民投票はそのまま。

米国も多様な意見の存在が認められる社会ですので、いろんな意見が出るのは健全でしょう。でも、日本が歴史の見直しをしようとすると、「歴史修正主義者」の烙印を押して封じ込めるのは間違っています。お互いの立場を尊重するのが自由主義国家の良い所でしょう。米国人ももっと、自国の歴史を学ぶべきです。インデイアンの虐殺、黒人奴隷、原爆投下は米国の原罪です。自覚してほしい。日本人は謝罪は求めませんが、歴史の見直しはして行きます。

記事

Obama in hiroshima

被爆者の人をハグするオバマ大統領(写真:AP/アフロ)

—米国のバラク・オバマ大統領が来日しました。被爆者を含めた日本国民の多くは同大統領の広島訪問、原爆資料館見学、慰霊碑前での演説の“3点セット”を高く評価しています。米国の反応はどうですか(オバマ演説の英文全文はこちら)。

高濱 3人の米識者に聞いてみました。彼らが付けたスコアはA+~B+(最高点はA+、最低点はC-)でした。

  • リベラル派:ダスティン・ライト博士、カリフォルニア大学サンタバーバラ校歴史学部

 オバマ大統領によるこれまでの演説の中で最も重要な演説として記憶されるだろう。とくに原爆で命を奪われた日本人はもとより、韓国人、米兵ら戦争捕虜の人たちに触れたのも非常によかった。

 加えて、何に言及しなかったかも重要だ。原爆投下によって戦争終結が早まり、あれ以上多くの米兵や日本人が戦争の犠牲にならなかった――という点に触れなかった。これは、原爆投下正当論の修正につながる可能性がある。少なくとも、従来からの論議に一石を投じたことは間違いない。(採点はA+)

  • 穏健保守派:米主要シンクタンクの上級研究員(匿名希望)

 オバマ大統領は就任する前から広島を訪問したいと希望してきた。2009年のプラハ演説で謳い上げた『核なき世界』に向けた決意を広島で再び発信したいという願望を実現した勇気は見上げたものだ。レガシー(遺産)作りの一環だと批判されようと、お構いなしにやってのけた。

 共和党の大統領候補への指名を確実にした不動産王ドナルド・トランプ氏の品位も哲学もないアジ演説を聞くにつけ、オバマ大統領の言動は米国人にとって一服の清涼剤となる。世界に誇れるものだ。これだけの知性と見識を持った大統領はなかなかいない。

 ただ核兵器廃絶についての具体的な青写真が提示できなかったのは残念だ。(採点はA-)

  • 中道派:デイビッド・ストラウブ氏(国務省で日本部長、朝鮮部長を歴任した日韓関係をよく知るアジア通。スタンフォード大学アジア太平洋研究センター朝鮮問題研究プログラムのディレクター)

 オバマ大統領は、就任当初からやろうとしていた広島訪問を実現した。この点についてはそこそこの成功(modest success)と言える。「謝罪はしない」と事前に公言するなど用意周到に根回しをして、米国内にくすぶり続けている政治的な信管を抜き取った。反対してきた退役軍人団体も最後には無視するか、いやいやながら訪問を了承した。

 戦略面でみると、海洋進出を続ける中国や核開発に余念のない北朝鮮に対して、『核兵器なき世界』を広島からアピールする狙いはある程度成功した。

 広島は日米同盟にとって、のどに刺さったトゲだ。それを取り除いて和解することに役立ったのは違いない。ただし、日米の間で和解はすでに済んでいる。

 その一方で、東アジア全域に目を転じて、今回の広島訪問を考えてみると、中国、韓国、北朝鮮は控えめな形ではあるが訪問に否定的だった。オバマ大統領は、慰霊碑の前で述べた所感で韓国人被爆者にも触れた。だが広島訪問が、東アジア全域で第二次大戦の傷を癒す和解につながったかどうかは疑問だ。(採点はB+)

反対してきた退役軍人は反応せず

 米主要メディアも「オバマ大統領は原爆投下について謝罪はしなかったが、悲惨な戦争で命を奪われた罪なき人々を追悼した」(MSNBC)といったトーンで広島訪問が成功だったと報じています。

—当初、オバマ大統領の広島訪問に強く反対していた退役軍人、とくに日本軍の捕虜になった人たちの反応はどうでしたか。

高濱 反対派は反応しませんでした。

 オバマ政権による徹底した根回しが功を奏したのです。オバマ大統領自身、「謝罪しない」とメディアとのインタビューなどで繰り返し述べました。スーザン・ライス大統領補佐官も退役軍人団体の幹部に会って「謝罪はしない」と口を酸っぱくして説明しました。

 退役軍人団体の人たちは当初はこう反発していました。「たとえ謝罪しなくとも、大統領が広島に行って慰霊碑に献花すれば、日本人はそれを謝罪と受け取りかねない」。それが根回しの結果、退役軍人のある者は黙りこくり、ある者は無視する姿勢に変わったように思います。

 オバマ大統領は広島に訪問する直前まで、軍隊や退役軍人といった反対派に配慮し続けました。例えば、米軍岩国基地に立ち寄り、日米同盟の最前線で働いている米兵の労をねぎらいました。

 慰霊碑に献花した際にオバマ大統領は、黙とうはしたものの頭は下げませんでした。見ている米国民に「謝罪」と受け取られかねないジェスチャーを避けたのでしょう。

「広島訪問は愚行」となじる保守系サイト

 もっとも保守派の中には今回の広島訪問を手厳しく批判する者もいます。926万人がアクセスしているというウエブサイト「ヤング・コンサーバティブ」のマイケル・カントレル編集長はこうコメントしています。

 「オバマ大統領がまたまた陳腐な愚行(old shenanigans)をやらかした。被爆地・広島を訪問したのだ。そこで、原爆投下は『罪悪だ』(evil)と言ってのけた。なんで原爆が投下されたか、知っているはずだ。カミカゼがパールハーバーを奇襲したからだ。この男は嘆かわしい(deplorable)」

米国民の原爆投下正当論は変化するか

—オバマ大統領の広島訪問を契機に、米国民の間にある原爆投下正当論は今後、弱まっていくでしょうか。

高濱 しばしば引用される「原爆投下を正当化する米国民は56%」という世論調査結果は2015年のものです。これが今後劇的に減っていくかどうか、まだ分かりません。

 ただ原爆投下正当論の実態を調べていくと、ハリー・トルーマン第33代大統領の原爆投下決定が正しかったという紋切り型の自己弁護以上の何かがあります。それは第二次大戦を戦った米国民の大義名分を守らねばならないという信念です。日本軍国主義と戦い、打ち負かしたという歴史認識の修正は絶対に許せないという「偉大なる世代」*が抱く矜持なのかもしれません。

*:「偉大なる世代」(The Greatest Generation)は、大恐慌を生き抜き、第二次大戦で帝国主義と戦い勝利した1930年以前に生まれた米国民を指す。NBCテレビのアンカーマン、トム・ブロコウ氏が著書の中で使用し、その後一般化している。

反対の理由は「偉大なる世代の業績と遺産」を守ること

 ロイド・ベッセイ米海軍退役少将の指摘にそのことがにじみ出ています。同氏は退役軍人会の幹部で、潜水艦の乗組員として第二次大戦を戦いました。「原爆投下で日本は無条件降伏した。もし原爆を使用しなければ、米軍は日本本土に上陸し、日本軍と戦っただろ。多くの米兵の命だけでなく、日本国民の命を犠牲にしたかもしれない。あのトルーマン大統領の決定は正しかった。第二次大戦に参戦していた米兵にその是非を問えば、彼らのほとんど全員がトルーマン大統領の決定に賛同していたはずだ」。

 「オバマ大統領と安倍晋三首相は、同大統領が広島で謝罪しないことで合意したそうだ。だが、米国の現職大統領が広島を訪問すること自体が大統領による『暗黙の謝罪』(implicit apology)と受け止められる」

 「米大統領は平和と戦争の双方に大変な責務を負っている。トルーマン大統領は原爆投下という空前絶後の歴史的かつ宿命的な決定を迫られた。何らかの謝罪をすべきだと信じている者は、トルーマン大統領が当時直面していた立場に自らをおき、歴史的脈絡の中でその意味を考えるべきだ」

 「われわれ『偉大なる世代』は自らが築き上げた遺産と業績に誇りを持っている。原爆投下について大統領が謝罪することは、第二次大戦に参戦し死んでいった同志の魂を踏みつけにする酷い仕打ち以外のなにものでもない。それがいかなる形であれだ」

「真珠湾vs広島」という一次方程式に疑義

 かって東京特派員だった米ニューヨーク・タイムズの知日派ベテラン外交記者デービッド・サンガー氏は、オバマ大統領の広島訪問について「Obama’s Visit Raises Ghosts of Hiroshima」(オバマ訪問は広島の亡霊を呼び覚ます」という見出しの記事でこう指摘しています。

 「オバマ大統領の広島訪問は、大統領選の真っ最中というこの時期を念頭に入れれば、オバマの『謝罪の旅』を批判してきた勢力にとって格好の標的になる」

 「一方、懸念されるのは、それでなくとも歴史認識問題で修正主義的な主張をしてきた日本の保守勢力が、オバマ大統領の広島訪問で勇気づけられ、『先の戦争は正しかった』という自分たちの主張は正しかったと言い出すことだ。彼らは第二次大戦前中に日本軍が犯した南京虐殺、従軍慰安婦問題、捕虜虐待拷問といった過去をしっかりと受け止めようとはしていない」

 「オバマ大統領がなぜ、いま広島訪問に踏み切ったのか、それは広島を知る『偉大なる世代』の人たちが歯が抜けるように死んでいるからだ。やがて彼らは皆いなくなり、トルーマン大統領の原爆投下決定を支持する世代は絶滅してしまうだろう」

—オバマ大統領の広島訪問をめぐる論争は、「真珠湾vs広島」という一次方程式――日本軍が真珠湾を攻撃したからその報復として原爆を投下した――ではないのですね。底辺には根深い歴史認識の問題がある。

高濱 その通りです。

 一つは、原爆投下についての日米の記憶の違いです。米国にとっては、日本帝国主義を破り、第二次大戦を終結させ、冷戦に向けて備えたという意味があります。日本にとっては無条件降伏と世界唯一の原爆被害国としての記憶です。お互いに異なる歴史認識を持っているわけです。

 そこには日米両国民の歴史認識をめぐる溝があるのです。あまりここを突くと、サンガー記者の指摘するように、眠っていた「亡霊」を起こしてしまいます。オバマ大統領が「謝罪する」「謝罪しない」との論議に潜んでいたのはまさにこの歴史認識の問題でした。

—オバマ大統領の広島訪問を受けて、その答礼として「今度は安倍首相がアリゾナ記念館で追悼すべきだ」という議論が巻き起きないでしょうか。同記念館は、水没した戦艦アリゾナ真上に建てられています。

高濱 安倍首相が真珠湾を訪問するという話は、5月25日の日米首脳会談後の共同記者会見でも出ました。安倍首相はそうした計画はないと明言。同首相のこの発言を米メディアはやや批判的に取り上げました。今後、保守派を中心に同様の要求が出てくる可能性は十分ありそうです。

オバマ大統領は従来の歴史認識を堅持

—オバマ大統領は訪日する前、ベトナムを訪問しました。ベトナムは75年4月まで米国と戦争をしていた国です。ベトナムから見れば、米国はベトナムを「侵略した敵国」です。空爆で罪のないベトナム人を大量に殺したことについて、ベトナム国民の間で「米国は謝罪すべきだ」といった声は上がらなかったのでしょうか。

高濱 それがまったくなかったんですね。専門家によると、理由は三つあります。

 一つは、ベトナム人の平均年齢が若いこと。ベトナムの人口9342万人のうち60%以上は「戦争を知らない世代」です。従って、空爆もソンミ虐殺も遠い昔の話になってしまっている。そして若い世代は親米なのです。

 2番目の理由はベトナムの歴史にあります。外国勢力から徹底的に侵略されてきました。まず2000年前に中国に侵略された。1428年に中国から独立したかと思うと、今度はフランスに占領された。1954年まで続きました。

 ベトナム駐在経験のある米外交官は筆者にこう言っています。「米国は63年から75年までベトナムで戦闘活動に従事した。これはあくまでも南ベトナムを支援するためだった。内戦の助っ人だった。だからベトナム人には米国だけを悪者扱いする国民感情はないんだ。現にベトナム人の76%が米国に好感を持っているという世論調査がある」。

 3番目は、中国が脅威となっていること。南シナ海での海洋権益追求、軍事基地化はベトナムにとってはたいへんな脅威です。かって中国と戦争をしたベトナムが中国に対して抱く恐怖心は他国とは比較にならないほど強い。そこで頼りにしたいのが米国です。

 今回のオバマ訪越で実現した武器禁輸の全面解除は、ベトナムにとっては最重要案件でした。「謝罪」なんかよりも「武器」だったのです。

 米国にとっては「侵略に対する謝罪」などもっての外の話です。「共産勢力の拡大を阻止する」という大義名分のため南ベトナムを支援した――これが米国の歴史認識です。

 オバマ大統領にとって今回のベトナム、広島歴訪は、「謝罪することなく、従来の歴史認識を堅持する」の旅でした。

「謝罪なし」は日本から提案した?

—ところでオバマ大統領の「謝罪なき広島訪問」の舞台裏(ジョン・ケリー国務長官とキャロライン・ケネディ駐日大使による水面下での活動など)についていろいろ報道されています。米側から何かインサイドストーリーは流れていますか。

高濱 「謝罪なし」を最初に言い出したのは日本サイドだったことを仄めかす極秘外交文書の存在が明らかになっています。

 オバマ大統領は09年11月に訪日した際に、すでに広島訪問を考えていたのです。これはジョン・ルース駐日米大使(当時)がヒラリー・クリントン国務長官(当時)に宛てた機密公文(09年9月3日付け)で明らかになったものです。ウィキリークスが11年10月12日に暴露しました。

 この中でルース大使は09年8月28日、薮中三十二・外務事務次官(当時)との会談内容についてこう報告しています。「薮中事務次官は次のように述べた。オバマ大統領は日本国民の間で史上まれにみる人気を博しており、同大統領の11月の訪日に強い期待を抱いている」。

 「とくに日本の反核グループは、大統領が4月5日にプラハでした非核演説を踏まえ、大統領が広島に足を運ぶのではないかと推測している。日米両国政府はそのような世論の期待感を抑制すべきだ。オバマ大統領が原爆投下について謝罪するため広島訪問するというのは『non-starter』(考慮するに値しない)である」

 「適切なメッセージを携えた、派手さのないシンプルな広島訪問は確かに極めてシンボリックだが、今年11月の訪日に絡めるのは時期尚早である」

 オバマ大統領が広島を訪問するという考えをルース大使、薮中次官のどちらが言い出したのか、この公文からはわかりません。ただし、オバマ大統領が広島を訪問する可能性について両国政府が極秘裏に話し合っていたことは分かります。また日本側から「謝罪抜き」を提案していた事実も浮かび上がってきます。

—今回の広島訪問は次期大統領選に何らかのインパクトを与えそうですか。

高濱 トランプ氏は28日の選挙演説でこう述べています。「オバマ大統領は広島を訪問したが、謝罪さえしなければ問題にはしない。誰が気にするか、だれもしないだろう」。「黙認」というよりも「無視」といった感じです。ただツィッターでこう書いています。「オバマ大統領は日本滞在中に真珠湾奇襲について話したのかね。数千人の米国人が命を落としてるんぞ」。

 クリントン氏のほうは28日午後9時現在(東部時間)コメントしていません。

 予備選の最終段階に入り、トランプ氏もクリントン氏もそれどころではないのでしょう。また、国論を二分する「原爆投下」の是非論など、どちらも取り上げたくないでしょう。是非論を支持する人は民主党と共和党のどちらの支持層にもクロスオーバーして存在しています。1995年のギャラップ調査によると、「米大統領は原爆投下について謝罪すべきでない」と答えた共和党支持者は74%、民主党支持者は52%でした。

広島で謝らず、死体遺棄で謝罪

 トランプ氏は核使用論を展開していますからオバマ大統領の「核廃絶」宣言には真っ向から反対でしょう。

—オバマ大統領が広島を訪問する直前に沖縄で、米軍関係者が日本人女性の死体を遺棄する事件(いずれ殺人事件になると思いますが)が起こりました。当初危惧された広島訪問への悪影響はなかったようです。米国はこの事件をどう見ていますか。

高濱 確かにバッドタイミングでしたが、広島訪問そのものに悪影響は出ませんでした。

 ただ7月には沖縄で大々的な県民抗議集会が予定されているようです。今回の事件が普天間基地移設問題にどう影響を及ぼすか。1995年に米兵3人が少女を暴行した事件の悪夢を彷彿させます。成り行きを注視しています。

 オバマ大統領は日米首脳会談の席上、この事件について「謝罪」しました。これを受けて米メディアの中には、「広島では謝罪しないのに、元海兵隊員の殺人事件(米メディアは死体遺棄とは言わずに殺人と決めつけています)で謝罪した」と皮肉っぽく報道していました。

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『「知識青年」は文革を懐かしく振り返った 歴史的な悲劇を繰り返してはいけない』(5/24JBプレス 柯 隆)、『「エイズ誤判定」で10年、放置された男の悲劇 幾多の人生を狂わす、中国検査体制のお粗末』(5/27日経ビジネスオンライン 北村豊)について

中国重慶市で台湾・蔡英文総統就任の祝賀横断幕を貼りだした17人を逮捕するという記事がありました。

http://www.excite.co.jp/News/chn_soc/20160523/Recordchina_20160523026.html

中国に民主化を希望する人間がいたとしても弾圧されるだけ。邪な人間が権力を牛耳り、富を独占する悪辣な社会が中国です。共産党統治の正統性など微塵もないでしょう。

柯氏の記事には「知識青年」は文革を懐かしく振り返るとありますが、やはり感覚がずれているのかと。紅衛兵で有為の人材を虐殺したのも忘れて懐かしむようでは民主化なんぞ夢のまた夢。民度の問題でしょう。

北村氏の記事では中国のエイズ患者は100万人とありますが、もっと多いと思います。売血する人も多いし、エイズ患者は絶望のあまり注射器で道行く人にエイズをうつそうとして射した話もありましたから。中国の医療機関は金儲け主義で、小生が駐在していた2005年までは救急車も金がなければ乗せてくれない状態でした。偽陰性で政府を訴えても多分勝てないでしょう。役人同士で結束し、人民法院の裁判官も賄賂で動きますので。

https://www.youtube.com/watch?v=trh0gi_qUSo

http://www.epochtimes.jp/jp/2012/08/html/d12288.html

柯記事

Mao's portrait at Tenanmen-3

文化大革命を指導した毛沢東の責任は追及されなかった(資料写真)

 2016年は、文化大革命が発動されて50年目の年である。1966年5月16日、党中央政治局拡大会議は「文化大革命小組」(指導グループ)の設立に関する通達を発表し、これが実質的に文化大革命のスタートとなった。

 それから文革は10年間続き、1976年、毛沢東の死去とともに終焉した。共産党中央委員会は文革が誤りだったことを認め、文革によって打倒された知識人や共産党幹部たちの多くが名誉を回復した。

 しかし、鄧小平の主導による文革の清算は不十分だった。文革のほとんどの責任は毛沢東が負うべきものだったが、共産党中央委員会の総括では毛沢東夫人の江青女史をはじめとする四人組(江青、張春橋、姚文元、王洪文)に責任が押し付けられた。

 四人組は毛沢東が死去してから1カ月後に逮捕された。のちに開かれた四人組の裁判で江青女史は「私なんかは毛主席の番犬のようなもので、毛主席に言われるがままに人を噛んだだけだ」と弁明した。四人組には死刑または無期懲役、懲役20年の刑が宣告された。だが、毛沢東の罪は問われなかった。これこそが鄧小平主導の文革処理の最大の問題である。

なぜ毛沢東の責任は問われないのか

 中国国内では、文革に関する多くの資料がいまだに公表されていない。文革研究のほとんどは、毛沢東の秘書や共産党幹部の一部が記した回顧録をもとに行われている。

 文革が発動された理由として最も説得力のある解説は、毛沢東が、文革の前に自らが発動した「大躍進政策」が失敗したため、責任を問われることを恐れて文革を発動したというものだ。

 大躍進の過ちを批判したのは劉少奇国家主席である。毛沢東は劉少奇に権力を奪われることを恐れ、文革を発動した。要するに、文革は劉少奇を打倒するための権力闘争だったということである。

 この解説には一理ある。だが、全国民が巻き込まれた理由については言及されていない。劉少奇を打倒するために、なぜ全国民を巻き込む必要があったのだろうか。

 実は毛沢東にとっては、理想的な社会主義国家を建設することよりも、絶対的権力者としての地位を確立することが最大の目標だった。大躍進政策が失敗したことで、党内において毛沢東に対する批判が台頭していた。その急先鋒だったのが国家主席の劉少奇である。毛沢東は自らの地位と権力を固めるために文革を発動し、自らに批判的だった知識人と共産党幹部を一網打尽にした。その結果、毛沢東は人民の上に君臨する“王様”になった。毛沢東にとって文革は一石二鳥の革命だったのである。

 こうして毛沢東は国民を巻き込んで政敵を倒した。毛沢東の責任を問う必要があることは明白である。それなのに、なぜ責任が問われなかったのか。

 毛沢東が死去したあと鄧小平が復権したが、毛沢東にとって代わるほどの権力は手にしていなかった。中国で毛沢東はすでに神様と同じような存在になっていた。一方、鄧小平は「最高指導者」に過ぎない。毛沢東の責任が問われれば、共産党そのものの正当性が揺るぎかねない。

 実は鄧小平自身も文革の被害者だった。だが、リアリストの鄧小平は政治的必要性から毛沢東の責任を問わないことにした。そこで、四人組が逮捕され、投獄されたのである。

文革時の歌劇が復活

 文革は中国に何をもたらしたのだろうか。

 まず、中国の経済は崩壊寸前に陥った。文革で直接殺されたのは数百万人に上ると言われている。また、数千年にわたって脈々と流れてきた中国文化も完全に破壊してしまった。文革は完全に「罪」である。

 しかし、中国では今なお文革に関する議論は自由にできない。38年前に採決された共産党中央委員会の決定では、文革が「過ち」だったとされた。その後、文革によって打倒された共産党幹部と知識人の多くが名誉を回復した。いわゆる文革の後処理である。しかし、文革自体は完全に否定されていない。

 現在、中国で文革のイメージを象徴するのは当時作られた歌や歌劇である。近年、文革の時代の歌と歌劇を上演するイベントが相次いでいる。中国人は、なぜあの悲劇をこんなに早く忘れてしまうのだろうか。

「知識青年」は文革を懐かしく振り返る

 現在の共産党幹部のほとんどは文革に直接参加した世代である。彼らにとって、文革はある意味で青春そのものだった。

 彼らは学校で勉強しなければならない年頃にもかかわらず毛沢東の呼びかけに応じて勉強を放棄し、恩師たちを迫害した。彼らは文革の被害者であると同時に加害者でもある。

 筆者は、当時、農山村へ下放された「知識青年」と呼ばれる人々にインタビューしたことがある。意外にも、彼らの多くは当時のことを懐かしく語っていた。彼らが振り返る様子を見ると、文革はとりたてて悲劇ではなかったようである。

 歴史的な悲劇は、人々が悲劇を忘れたときに繰り返される。中国では、多くの有識者が文革の再来を懸念している。

 もちろん今は毛沢東時代のような大規模な文革が再び起きる可能性は低いと思われるが、より“洗練”された新しい形の文革が起きる可能性は十分ありうる。

「造反有理」は今も生きている

 そもそも文革という悲劇が引き起こされたのは、毛沢東を守るという大義名分のもと社会の秩序を決定する法律が無視されたからである。

 劉少奇が紅衛兵に暴行されたとき、劉は憲法の本を持ち出し、「革命的な若者よ。私は国家主席である以前に、公民として憲法で保障される権利を享受できる」と主張して抵抗した。むろん、毛沢東を守ると主張する革命的な若者たちが、劉少奇国家主席の話を聞き入れるはずはない。

 中国人には、「ある目的を達成する場合、手段は選ばなくていい」という傾向が往々にして見られる。文革世代のDNAには「造反有理」(体制に逆らうのには道理がある)の遺伝子が埋め込まれている。

 しかし、この考えこそ悲劇を生む土壌である。法治国家であれば、目的はどうであれ、手段が合法的でなければならない。中国が法治国家になるまでの道のりは、依然として長いと言わざるをえない。

北村記事

 中国では「エイズ(AIDS)」を“艾滋病(aizibing)”と呼ぶ。12月1日は“世界艾滋病日(世界エイズデー)”であるが、その前日の2015年11月30日に“中国疾病予防控制中心(中国疾病予防抑制センター)”傘下の“性病艾滋病予防控制中心(性病エイズ予防抑制センター)”は中国におけるエイズ流行に関する最新情報を発表した。その概要は以下の通り。

(1)2015年10月末までの時点で、生存しているエイズウイルス(HIV)保菌者とエイズを発症しているエイズ患者の総数は57.5万人、死亡したエイズ患者は17.7万人であった。

(2)2015年1月から10月までに新たに報告された病例は9.7万件であった。これら病例がHIV感染した主たる経路は、性感染、血液感染および母子感染であり、異性性接触感染が66.6%、男性同性性行為感染が27.2%を占めた。男性同性性行為感染の比率は明らかに上昇しており、2015年の全国男性同性愛者のHIV感染率は平均8%に達している。

(3)ここ数年、若者や学生の間でエイズ感染が急速に拡大している。2015年1月から10月までの間に新規に報告された学生のHIV感染者およびエイズ患者の数は2662人に達し、昨年同期に比べ27.8%増大している。

官製統計57.5万人、実数は100万人超か

 上述したように中国の官製統計はHIV保菌者とエイズ患者の総数を57.5万人としているが、専門家の多くはこの数字は少なすぎると疑問を呈し、その実数は100万人以上に達していると考えられている。生存するHIV保菌者とエイズ患者の総数を100万人と仮定すると、2015年末の総人口(13億7500万人)に占める比率は0.07%となり、人口1万人当たり7人のHIV保菌者とエイズ患者が存在することになる。この数字は世界的に見れば決して高い水準ではないが、中国ではエイズに関する正しい知識の普及が十分でないため、人々のエイズに対する差別と偏見は日本以上に激しく、一度HIV保菌者の烙印を押されると社会から疎外されるのが常である。

 河南省南西部に位置する“南陽市”の管轄下にある“鎮平県城郊郷四里庄村”の農民、“楊守法”もHIV保菌者の烙印を押されたことで苦しい日々を送ることを余儀なくされた犠牲者の1人だった。今年(2016年)53歳の楊守法は小学校卒業の学歴しかない。1985年に22歳で結婚した楊守法は、妻との間に3人の子供(一女二男)を得た。彼は農業に従事し、農閑期には工事現場で働いて生計を立てていた。

 2003年に四里庄村は河南省疾病予防抑制センターによってエイズの中度感染村に認定された。このため、同年12月に四里庄村の特定集団に対してHIV感染状況の調査を目的とする採血が行われることになり、楊守法はその調査対象に選定された。この調査は四里庄村の医師である“胡明道”から“健康普査(健康調査)”という名目で調査対象に選定された村人たちに通知されたのだったが、楊守法は12月15日に胡明道の診療所で採血を受けた。

 数か月後、胡明道が楊守法の家を訪ねて来て、「あんたはエイズに感染している」と通告した。四里庄村にはエイズに感染した者が多く、当時もエイズ感染は低水準ながら流行が続いていたので、楊守法は胡明道の言葉を何らの疑問を抱くことなく素直に受け入れた。しかし、胡明道が去った後に緊張が解けた楊守法は心の張りを失って落ち込み、「死ねばそれまで」と自分に言い聞かせたのだった。1992年頃、鎮平県では闇の売血が盛んに行われ、採血に使う注射針が使い回しされたことにより、多数の貧困な農民たちがエイズに感染した。楊守法の記憶によれば、1992年頃、超過出産による「一人っ子政策」違反の罰金を支払うために家計が逼迫(ひっぱく)したことから、楊守法は一度だけ売血を行ったことがあった。血液は大きな袋1個が50元(約850円)だったが、楊守法は一度に袋2個分も採血され、その量の多さに驚いて、2度と売血には行かなかった。楊守法はそのたった1度の売血で不運にもエイズに感染したのだと理解した。

感染通告、恐怖、無気力、離婚…

 エイズ感染の通告を受けた後、楊守法は幾度も自殺を考えたし、心中は常に恐怖に打ちひしがれていた。それ以前の楊守法は至って健康で病気一つしたことが無かったが、通知を受けてからは1日働くと全身に痛みを感じるようになった。楊守法はエイズ感染の事実を家族に告げることができなかった。当時すでに学校を中途退学していた長女と長男は妻と一緒に四川省へ出稼ぎに行っていた。次男は四里庄村に残って学校へ通っていたが、2006年に学校を中途退学して母と姉兄がいる四川省へ出稼ぎに行ってしまった。

 エイズ感染を告知されてからの楊守法は農業を止めて無登録の輪タク<注>を始めたが、気力がないから仕事にも身が入らず、毎週必要とする生活費15元(約260円)すら稼ぐことができなくなった。その頃には楊守法がエイズ感染者(HIV保菌者)であることは村の公然の秘密と化し、村人たちが群れている場所に楊守法が顔を出すと、人々は彼を避けて四散するようになった。こうした事が度重なると、楊守法は親類や友人との付き合いを断ち、村の冠婚葬祭にも参加せず、家に閉じこもるようになった。

<注>「輪タク」とは、自転車の後部に客席を取り付けた営業用の三輪車。

 そうこうする内に、楊守法のエイズ感染は四川省にいる彼の妻の知る所となり、2010年に妻は“鎮平県人民法院(裁判所)”へ離婚訴訟の申し立てを行ったが、裁判所は楊守法が病気であることを理由に保留とした。2011年7月に再度離婚訴訟を申し立てた妻は、裁判で「自分は“人販子(人身売買業者)”に誘拐され、鎮平県へ売られて楊守法と結婚させられた。結婚後は双方に何の感情もなく、2004年からずっと別居生活を送っている」などの理由を述べ立てた。楊守法は裁判には一度も出席しなかったが、最終的に裁判所は離婚を認めた。後に妻が語ったところでは、彼女が人身売買業者に売られたというのは嘘で、実際は鎮平県には従兄(いとこ)に連れられて来たし、楊守法との関係も決して悪いものではなかった。全ては離婚するための方便だった。離婚が成立すると、楊守法と子供たちとの関係は次第に疎遠になり、そのうちに連絡は途絶えた。楊守法は全く一人ぼっちになったのだった。

一方、エイズの知識が深まるにつれて、楊守法は定期的にエイズ治療薬を飲めば、発症を抑えられることを知った。最初の頃は、鎮平県疾病予防抑制センターから「1分(約0.17円)硬貨」大の白い錠剤を受け取り、1日1錠を3回に分けて飲んだが、飲むとすぐに激しい嘔吐に襲わるのが常だった。2005年10月に楊守法は城郊郷の“十里庄村”にあるエイズ治療所に収容された。ここではスタブジン(Stavudine)、ラミブジン(Lamivudine)などのアップグレードされた治療薬が供与されたが、服用後の反応は以前より緩和された。但し、毎日薬を服用することにより、楊守法の身体はますますむしばまれていった。夏は厚手の外套を着ても凍えそうに寒く、冬は布団にもぐり込んでも寒くて、ストーブが必需であった。また、手の震え、頭のぼやけ、耳鳴り、眼のかすみ、記憶力減退といった症状が進行した。

10年後の陰性判定

 2012年9月、楊守法は病状が悪化しため“南陽市第一人民医院”で治療を受けたが、その際に自分がエイズ感染者(HIV保菌者)であることを告知しなかった。その翌日、楊守法は前日に行われた検査の結果を受け取ったが、そこに書かれていた「HIV抗体陰性」の意味が理解できなかった。そこで医師に尋ねると、医師は「エイズに感染していないということだ」と答えた。そんな馬鹿なことがあるはずがない。楊守法は驚いて言葉を失った。今回の検査で、楊守法は食道炎、びらん性胃炎、胆のう炎、前立腺肥大などの疾病を患っていることが判明したが、これらはエイズ治療薬の長期服用による副作用と考えられた。

 楊守法は十里庄村のエイズ治療所に戻ると、HIV抗体の検査結果について意見を聞いたが、治療所の責任者は、「恐らくエイズ治療薬を服用していたために、陰性という結果が出たのだろうが、その検査結果は不正確だ」と断定したのだった。それならば、エイズ治療薬の服用を止めたらどうなるか。楊守法はエイズ治療薬を飲むのを止め、それから2年間が経過する前後に多数の医院を訪れてHIV抗体検査を受けたが、検査結果は全て陰性だった。

 こうして楊守法がエイズ感染者(HIV保菌者)でないことは確認された。思えば2003年から2014年までの約10年間に、楊守法はエイズ感染者として差別と偏見にさいなまれ、離婚により妻子からは見放され、治療薬の副作用で体はボロボロにされ、精神的にも追い詰められ、地獄の日々を過ごして来たのだ。

 2015年11月に楊守法の姪がネットの掲示板に楊守法が遭遇したエイズ誤判定事件の顛末を書き込んだことで、同事件はネットユーザーの注目を集め、転載を重ねることにより全国に知れ渡ることとなった。11月10日、“鎮平県衛生局”は7月15日に楊守法から要求を受けてHIV抗体検査を行った結果が陰性であった旨の発表を行ったが、2003年のHIV抗体検査時に残留していた楊守法の血液を今回改めて再検査した結果は陽性であったことから、その原因を残留血液のDNA検査を含めて究明すると表明した。

 ところで、エイズ感染者でないことが確認されたことで、楊守法は経済的に困窮することになった。エイズ感染者と認定された楊守法は、2人分の“農村低保(農村生活保護)”を支給され、毎月200元(約3400円)を受領していた。これ以外に2013年からは毎月200元のエイズ救済金をまとめて毎年2400元(約4万円)を1回払いで支給されていた。しかし、エイズ感染が誤判定であったことが確認されたことにより、2015年の年末にこれらの支給は停止された。

賠償請求の道は険し

 楊守法は2015年に6000元(約10万円)を費やして新しい三輪車を購入していたが、薬の副作用に蝕まれた体は長時間の労働を許さず、輪タクの稼ぎはせいぜい1日20~30元(約340~510円)にしかならなかった。切羽詰まった楊守法は、鎮平県政府に対して200万元(約3400万円)の賠償請求を提出した。2016年3月、城郊郷政府ビルにおいて、楊守法と姪は鎮平県疾病予防抑制センターとの間で賠償問題の協議を行ったが、センター側が提示したのは10万元(約170万円)にも満たない金額で、交渉は決裂した。5月10日前後に四里庄村の書記が25万元(約425万円)ならどうかと打診し、これでだめなら裁判に訴えろと言って来たが、楊守法は即座に25万元の提案を拒絶した。

 治療薬の服用を停止してから3年が経過し、楊守法の衰えた体はある程度まで回復したが、まだ歩くには杖が必要だし、手はいつも震えている、記憶力は依然として衰えたままである。「あいつらは誤判定で俺の人生を台無しにしておきながら、10~20万元程度のはした金でちゃらにしようとしている」と怒りを露わにしている楊守法は、適正かつ正当な賠償金を獲得すべく、裁判に訴えることを決意している。

 誤判定によりエイズ感染者にされた例は楊守法が初めてではない。2009年に江蘇省“常州市”の工場で長年働いていた“邳州(ひしゅう)市”出身の“呉長棟”もエイズ感染を告知されたことで悩み苦しんだ犠牲者だった。1975年生まれで当時34歳だった呉長棟を悪夢が襲ったのは2009年11月5日だった。この日、仕事が休みだった呉長棟は買い物の途中に献血車を見かけ、生まれて初めて献血を行った。多少は世の中に役立つことをしたと良い気分に浸ったが、その翌日に実家のある邳州市の疾病予防抑制センターから「あなたはエイズに感染している」との電話連絡を受けて奈落の底に突き落とされた。

 突然のエイズ告知を受けて動転した呉長棟は長年勤めた職場を辞して邳州市へ戻り、邳州市疾病予防抑制センター(以下「邳州市センター」)に出向いた。呉長棟が事の真偽を尋ねると、応対した医師は常州市で献血を行った際に採血した血液がHIV抗体検査で陽性と判定されたと説明したのだった。呉長棟は献血時に“居民身分証(身分証明書)”を提示したために、エイズ感染の連絡は身分証明書に書かれた住所がある邳州市センターへ連絡されたのだった。邳州市センターは呉長棟の実家に電話を入れて、「血液に問題がある」と理由を説明して呉長棟の居場所を確認した上で、呉長棟へ連絡してきたのだった。

 実家に連絡が行ったことは呉長棟にとって耐えがたい衝撃だった。すでに69歳の母親を含む家族が呉長棟の血液に問題があることを知っているのだ。呉長棟は離婚して一人娘を母親に預けて常州市へ出稼ぎに行っていた。自分がエイズで死んだら、母親と娘はどうなるのか。実家へ帰った呉長棟に対して家族は血液に問題があるとはどう意味かと尋ねたが、呉長棟はちょっとした病気だと言葉を濁し、人知れず涙を流し、眠れぬ日々を送った。

 しばらくして冷静になった呉長棟は、「自分がエイズに感染するようなことをした覚えがない以上は、誤判定の可能性は否定できない」という結論に達した。11月25日に“徐州市”内の医院で偽名を使ってHIV抗体検査を行ったところ、結果は陰性だった。その2日後の11月27日に徐州市疾病予防抑制センターで検査を受けたが、結果は陰性だった。さらに念を押すため、12月4日と12月21日に徐州市内の別の医院で検査を受けたが、全て陰性だった。こうして呉長棟のエイズ感染は誤判定だったことが確定した。彼は誤判定の責任を追及したが、関係機関は責任回避と責任転嫁に注力するだけで、呉長棟に対する謝罪もなければ、原因の究明すら行おうとしない。呉長棟は誤判定が確認されてから500日を経過しても依然としてエイズ感染のトラウマに悩まされている。

「偽陽性」を放置か?

 上記2例はHIV抗体検査の結果が陽性であったことからエイズ感染と診断されたものだが、実際は「偽陽性」であったものと考えられる。日本でもスクリーニング検査の偽陽性率は約1%であり、100人に1人の割合で偽陽性が出現している。但し、日本の場合には、検査は2段階方式で、スクリーニング検査の後に確認検査があり、偽陽性は確認検査では正しく陰性に判定されるため、誤判定が起こる可能性はほぼ皆無と考えられている。

 中国も日本と同様にHIV抗体検査の2段階方式を採っていれば、楊守法や呉長棟のような誤判定の被害者が出ることはないはずである。短期間に陰性が確認された呉長棟はまだしも、10年以上にわたって厳しい境遇を味わった楊守法の場合は悲惨であった。こうした誤判定や誤認が起こった場合に、当事者たる関係者に共通する常套手段は責任回避と責任転嫁であり、被害者に謝罪や賠償が行われることは滅多にない。

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『「トランプ大統領」が誇張できないほど危険な理由 恐るべき候補を生み出した責任はエリートにある』(5/24JBプレス「5/18FT」より)

何かこの題の付け方から言って論点がずれているというか、民主主義という事を理解していないのではという感じを持ちました。共和党主流派がトランプを抑えられなかったのは、主流派のエリートが悪いからだと読めます。しかし、大衆の心を掴み切れなかったエリートこそ問題があるのではないかと小生は感じますが。

フィリピンのドゥテルテだって大統領になってから態度を変え、米日に協力と軌道修正してきました。彼は暗殺団を自前で持つほどの男です。それを活用して、治安対策で名を上げました。ペルーのフジモリ元大統領と同じです。センドロ・ルミノソ(毛沢東主義武装組織)を鎮圧しましたが、逮捕され、今は収監中です。この逮捕にはいろんな見方があるようです。

http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1134830811

5/22日経電子版には<比ドゥテルテ氏、日米重視 南シナ海問題で 

フォームの終わり

 【マニラ=佐竹実】フィリピンの次期大統領に決まったミンダナオ島ダバオ市長のロドリゴ・ドゥテルテ氏は22日、同市内で記者会見し、中国との南シナ海の領有権問題に関して「我々は西側諸国の同盟だ」と述べた。米国や日本との関係を重視するアキノ現政権の外交方針を引き継ぐ考えを示した形だ。過激な言動で注目され中国寄りとの評価もあったが、大統領選挙後は就任後を見据えた手堅い発言が目立つ。

 南シナ海を巡っては、ドゥテルテ氏は米国との同盟を重視するだけでなく、同海域で「中国の占領に影響されているベトナムやインドネシア、マレーシアとともに歩む」とも述べた。

 「今後数年で現状に変化がなければ中国との2国間協議もする」とも言明。だがその際には「中国が実効支配する場所は我々の排他的経済水域(EEZ)の中にある。もしそこに何かを建設するのであれば経済的利益を阻害するし、国際法違反だ」と主張するという。

 大統領選期間中、ドゥテルテ氏は中国との対話の重要性や南シナ海での共同資源探査の可能性に言及したため、中国寄りの政権運営をするのではないかとの見方もあった。だが16日に「日本との関係を重視している」という理由で各国大使の中で日本大使に最初に会い、18日にはオバマ米大統領と電話会談した。こうした中で態度を現実路線にシフトしているようだ。

 南シナ海では、米国が艦艇や航空機を派遣する「航行の自由作戦」を実行して中国の動きをけん制している。アキノ政権は、米軍の実質的な駐留を認める「拡大防衛協力協定」を結んだ。近くフィリピン国内の基地に米軍が展開することになり、地政学的な重要性が増す。

 ドゥテルテ氏は22日の記者会見で「経済の専門家ではない」として経済政策については言及しなかった。ただ同氏の陣営は、アキノ政権のマクロ経済政策を引き継ぐと表明している。外資の進出を促すため、出資制限を緩和する考えも示している。>(以上)

学歴で言えばドゥテルテ氏はリセウム・オブ・ザ・フィリッピンズ大学を出て、父は知事、母は教師というエリートの家庭に育ちました。トランプ氏はペンシルベニア大学ウォートン・スクール卒業でこちらはハーバードと並ぶMBAとのことです。両者ともエリートであることを隠し、乱暴な発言で有権者の心を捉えて来ました。演技と言えば演技です。トランプが大統領になり、堅実路線に戻った時に有権者は裏切られたと感じるでしょうか?そうはならないと思います。一時的でも自分たちの気持ち、怒りを理解してくれたと納得するのでは。サンダースが特別代議員を除けば奮闘しているのもその影響があるのでは。勿論ヒラリーのメール問題の影響もあるでしょうけど。それを衆愚と見るかですが。エリートが下々の心を掴めないのでは、選挙で反乱を起こされるという事です。共産国の茶番の選挙以外では。日本も「こころ」と「大阪維新」以外はダメな野党です。二大政党制とか言っても、政権を担えるだけのリアリズムに徹した政党がありません。憲法9条を擁護する脳内お花畑の連中では安心して国政を任せられません。対抗勢力がなければ自民党も増長します。リベラル過多や利権に突っ走るのではと心配になります。反日民進党の保守派は姿が見えません。

記事

Trump-11米ウエストバージニア州チャールストンで行われた選挙集会で演説するドナルド・トランプ氏(2016年5月5日撮影、資料写真)。(c)AFP/Brendan Smialowski〔AFPBB News

 ドナルド・トランプ氏が共和党の大統領候補になる。ひょっとしたら米国の大統領になるかもしれない。この展開の重大さと危険性を誇張するのは困難だ。20世紀の米国は自由と民主主義の砦だった。その米国が、人々と権力にファシストのような態度を取る人物を大統領に選ぶことになったら、世界は一変してしまうだろう。

 トランプ氏は女性を嫌い、外国人を嫌う。人種差別もする。自分の無知と無定見を得意がり、自分にとって都合の良いことが真実だと思っている。政策についての考え方は、空恐ろしいか笑止千万かのどちらかだ。

 しかし、そうした態度や考え方よりも厄介なのは、彼の性格だ。トランプ氏はナルシストであり、弱者をいじめるゴロツキであり、陰謀論を広める人物だ。大統領が自由に使える権限をこんな人物が行使するなど、考えただけで空恐ろしい。

 保守派の評論家アンドリュー・サリバン氏は先日、「我々の自由民主主義と立憲秩序にとって、トランプは絶滅レベルの出来事だ」と書いていた。まさにその通りだ。

 人々が横暴な命令に従ったり、従わない人にそれを強制したりする――そういう状況を作ることは、トランプ氏にとって驚くほど簡単なことかもしれない。独裁者になりたがる人物は、危機を誇張したり自ら作り出したりすることで司法や政治の制度を誤った方向に導くことができる。ロシアやトルコの大統領はその優れた見本だ。

 米国には立憲秩序が確立しているが、それさえも揺るがしかねない。大統領が議会で弾劾を免れるのに十分な支持を得ているときは、特にそうだ。

 サリバン氏は、反民主主義の思想家の中で最も偉大なプラトンの考え方を援用している。それによればプラトンは、社会というものは平等になればなるほど権威を受け入れなくなっていくと考えていた。するとそのすき間に、複雑な問題に単純な解決策を提示するデマゴーグ(扇動政治家)が入り込むという。

 トランプ氏は、腹を立てた人を数多く引き連れた笛吹き男だ。サリバン氏によれば、トランプ氏は「ますます嫌われているエリートと互角に張り合ってくれそうな」人物として成り上がった。メディア革命も、「我々の民主的な議論をエリートが穏健なものにしたり支配したりすることをほぼ完全に」取り除いてしまうことにより、トランプ氏の台頭の追い風になった。

 扇動は民主主義のアキレス腱だ。しかし、プラトンが生きていた時代のアテネの民主主義は内部の専制君主に屈服したのではなく、専制君主の支配から生まれた。この民主主義を紀元前338年に終わらせたのは、当時のマケドニアの王だった。

 サリバン氏は、エリートが果たす役割については控えめにしか述べていない。米国の場合、大統領のイスをカネ買うことはできないからで、オバマ氏がロムニー氏を破ったのはその好例だという。だが、もっと低いレベルの政治では、影響力をカネで買うことができる。そしてそれ以上に重要なのは、経済や社会の方向性を決めているのがエリートたちであることだ。国民の多くが腹を立てているのであれば、その責任はエリートにある。

 民主党がその正義感から女性の権利重視に、そしてそれ以上に人種、性的指向、そして性同一性の3点におけるマイノリティー(少数派)の福祉向上に傾倒したことで、中間層の白人男性――特に南北戦争以前の南部に住む白人男性――の忠誠心は共和党に向かうことになった。「オバマ錯乱症候群」に人種的な要素がからんでいることは明らかだ。

 共和党はその後、ここで得た支持者たちに「エサとムチ」を与えた。献金してくれる支持者らが強く求めていたもの、すなわち低い税率、緩やかな規制、自由貿易、リベラルな移民政策などを実現するには、新しい支持者の票が必要だったのだ。

 そしてこれらの主張を共和党の目標にするために、エリートは政府を敵に回さざるを得なかった。また、決して実現できそうにない改革を約束し、文化の面で保守的な支持者を引き込まなければならなかった。

 さらに、民主・共和両党のエリートたちが促進した経済の変革は、政治家の能力の高さと高潔さに対する信頼を損なうことになった。これについては、金融危機とその後の救済劇が決定的な役目を果たした。

 しかし、中間層はすでにそのころ、何十年にもわたる実質所得の伸び悩みと相対所得の減少に苦しみ続けていた。グローバル化は世界の多くの貧しい人々に多大な利益をもたらしてきたが、米国内には大変な数の敗者がいた。そうした敗者たちは今日、経済と国家を運営する連中が自分たちを疲弊させ、搾取し、見下しているのだと考えている。

 共和党のエリートでさえそうした敗者たちの敵になり、トランプ氏は敗者たちの救済者になっている。同氏が億万長者であることは驚くに当たらない。トランプ氏が望んでいるシーザリズム、すなわちひとりのカリスマ的な強者による支配というものを説いたシーザー(カエサル)は、平民派を率いた貴族だった。

 平等は、健全な共和国の必須条件ではない。しかし、互いを思いやる気持ちはある程度必要だ。新しい活動――古代ローマであればほかの土地の征服、中世のフィレンツェであれば銀行業――によって富が突然手に入ると、社会の絆が損なわれることがある。市民から徳が失われてしまったら、その共和国は瓦解する時期を迎えることになる。

 経済、社会、政治の変化により、米国は人口のかなりの部分が強権的な指導者を渇望する状況になっている。共和党のエリートたちは、自分たちの支持基盤がほかの誰でもなくテッド・クルーズ氏を、そしてクルーズ氏と比較したうえでトランプ氏を選んだ光景に目が覚める思いでいるに違いない。同党のエリートは、ポピュリストのゲームに興じた。特に、大統領への協力を断固拒否する姿勢を貫いた。その結果、この種のゲームを得意とするグループがエリートを打ち負かしたのだ。

 トランプ氏は、機能の制限された国家という保守派のお気に入りに、自分の支持者が全く関心を示さないことを承知している。支持者の望みは、経済、人種、性について失われたかつての地位を取り戻すことだ。トランプ氏はこれに対し、大型減税と歳出の維持、「そして」債務の削減を公約している。おかしな話だが、同氏には論理的一貫性など必要ない。一貫性などというものは、トランプ氏が馬鹿にしている「古くさくてかつがれやすい従来型のメディア」のためにあるからだ。

 ヒラリー・クリントン氏は弱い候補だ。夫の失敗、エスタブリッシュメントと言われる階層に属していること、そして政治の才能の不足という悪材料を抱えている。今度の選挙はクリントン氏が勝つべきだが、そうはいかないかもしれない。しかし、仮に勝つとしても、それでこの話が終わるわけではない。

 トランプ氏は政治に新しい可能性を生み出した。しかし、米国をこの困った状況に至らしめた主因は、民主主義が過剰だったからではない。近視眼的なエリートたちの過ちによる部分の方がはるかに大きい。

 これまでに起こったことのすべてが悪いわけではない。中には正しいものもあるし、それらは避けるべきではなかった。しかし、起こったことの大部分は避けることができた。エリート、特に共和党のエリートたちがそこに火をつけてしまった。この炎を消すのは、難しいだろう。

By Martin Wolf

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『日本の「被害者なりすまし」を許すな 「ヒロシマ」で大騒ぎの韓国(1)』、『昔は「弱さ」を恥じる韓国人もいた 「ヒロシマ」で大騒ぎの韓国(2)』、『韓国は「尊敬される国」になるのか 「ヒロシマ」で大騒ぎの韓国(3)』(5/25・26・27日経ビジネスオンライン 鈴置高史)について

オバマ大統領の広島訪問について、5/27BS「プライムニュース」でメア元沖縄総領事は「日米の強固な絆が確認できてよかった。米国内でも批判はない。段階を踏んでやってきたから。真珠湾訪問は必要ない。昨年の米議会での首相演説で首相は”repentance”と言う表現を使って気持ちを表した。それで充分」、5/28TV「ウェイクアップ! ぷらす」で同じくメア氏は「日米が歴史を乗り越え、固い絆で結ばれたことを中国に分からしめ、大いなる抑止になるだろう」と言っていました。成熟した日米関係になると思います。歴史を振り返ってみれば、ペリー来航から日本は米国に翻弄されて来ました。それがやっと真に対等な大人の関係に一歩近づけたのではと思っています。小生は自主防衛論者ですが単独防衛論者ではありません。単独防衛となると近隣に邪悪な帝国があり、それに対抗するには核保有の他、通常兵器を増やし、防衛軍人の数も増やさねばなりません。あるTV局が言ってました1.7兆円増などの数字で収まる訳がありません。それこそ崩壊したソ連のように高いGDP比の軍事予算に注ぎこむことになります。戦前の悪夢の復元になります。ABCD包囲網を敷かれた逆を考えれば、中国包囲網を敷くことこそが勝利の秘訣です。中国・韓国は日本に歴史戦を挑んできましたが、オバマ大統領の広島訪問は歴史カードを無効にする転換点となるかもしれません。

5/25日経朝刊には<オバマ氏、新たな米越関係訴え 枯れ葉剤にも言及 

フォームの終わり

 【ハノイ=富山篤】ベトナムを訪問中のオバマ米大統領は24日、主な政治日程を終えた。同日の首都ハノイでの演説で「ベトナム戦争は両国に苦痛と悲劇をもたらした」とし、米軍が大量に散布した枯れ葉剤に異例の言及をした。対越武器輸出を41年ぶりに全面解禁するとも表明した。今回の訪越は戦争の惨禍を経た両国が新たな戦略関係に入ることを印象づけた。

 「シンチャオ(こんにちは)、ベトナム」。24日正午、登場したオバマ氏はハノイ郊外の国立会議センターを埋め尽くす約2000人にベトナム語であいさつした。話はベトナムの歴史から始まり、自然にベトナム戦争へと移った。

 「冷戦と共産主義への恐怖が我々を戦争へと引きずり込んだ」。1975年4月のベトナム戦争終結以降、ベトナムで直接、同戦争に言及した米大統領はオバマ氏が初めてとみられる。オバマ氏は「300万人のベトナムの兵士と市民、5万8315人の米国民が命を失った」と続け「両国は痛みと尊い犠牲をいつまでも忘れてはならない」とした。

 米軍が戦争中に大量に散布した枯れ葉剤にも言及した。「エージェントオレンジ(枯れ葉剤の通称、ダイオキシン類)を除去し、ベトナムの土地が元の姿に戻るように引き続き努力を続ける」。森林に逃げ込んだ北ベトナム兵に業を煮やし、米軍は最低でも4400万リットルの枯れ葉剤をまいたとされる。この事実は米国ではタブーに近い。オバマ氏は謝罪こそしなかったが、大統領が言及した意味は大きい。演説の最後は、ベトナムの国民的文学作品「キエウ伝」の一説を引用し「100年の旅へ共に乗りだそう」と締めくくった。

 演説のほかにも、オバマ氏は米越関係が新時代に入ることを印象づけた。23日、米大統領として初めてハノイにあるベトナム建国の父、ホー・チ・ミン氏の家を訪問した。ベトナム戦争前の1958年から死亡する69年まで同氏が住んだ家で、米軍の北爆の標的にもなったとされる場所だ。

 米国にとってはかつての敵であり、共産主義の象徴でもある同氏の家を訪問することはためらわれるようだった。オバマ氏はグエン・ティ・キム・ガン国会議長と共に訪れ、ホー・チ・ミン氏がお気に入りだった池で魚に餌をやるなど和やかに過ごした。

 オバマ氏は25日、越財界人らと懇談した後、日本に向かう。主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)が終わった後の27日には被爆地、広島を現職米大統領として初めて訪問する。オバマ氏にとっては、かつて米国が激戦を繰り広げたベトナムと、第2次世界大戦末期に原爆を投下した広島を「慰霊」する旅でもある。>とありました。

米越の和解は対立した歴史の清算であり、もっと大きくみれば中国封じ込めの一環です。枯葉剤の使用について謝罪したわけでなく、未来志向で除去することを約束しました。それで良いと思います。起きてしまった事は原状回復できません。それですぐ謝罪=金で解決となる訳ですが、見苦しく感じます。日本人は民族的に「水に流す」性格です。「武士道」の国が乞食まがいのことをしては沽券に関わります。

これに対して成熟していないのは、中韓です。早速、王毅は「被害者の立場の広島だけでなく、加害者の立場の南京も」とか言って歴史カードを手放さないぞと日本を脅しています。北朝鮮と同じように包囲網が敷かれつつあることに対し、虚勢を張ってるようにも見えますが。謝罪=金を要求し、事実に目を塞ぐ韓国人も成熟していません。福沢諭吉が悪友謝絶と言ったのも宜なるかな。どう考えても年齢が合わないでっち上げ慰安婦の問題や日本人と一緒に連合国と戦ったのに戦勝国を僭称するのは、ムッソリーニを吊るしたイタリア人が戦勝国と自称しても認められないと同じでしょう。フランスはドゴールの政治力が勝っただけ。敗戦国になってもおかしくはありませんでした。

韓国は本当にストーカー国家です。地下アイドルの女性を刺傷した犯人と同じというかレベルで言えばもっと悪質です。日本人はもっと怒らねば。いつまでも偏向メデイアの思想刷り込みに浸っているのは愚の骨頂です。

朱に交われば赤くなる、悪貨は良貨を駆逐する、です。「非韓3原則」を貫きましょう。在日特権の逆差別も止めさせましょう。

記事

ruin by atomic bomb

原爆で廃墟と化した広島。71年後のオバマ大統領の訪問は、「パンドラの箱」を開けることになるかもしれない(写真:AP/アフロ)

 韓国メディアがざわめく。「米国と日本がますます仲良くなる」と勘違いしたからだ。

韓国は大損

—オバマ(Barack Obama)大統領が広島を訪問するというので、韓国紙が大騒ぎしています。

鈴置:5月26日から開かれる主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)に出席した後、翌27日に現職の米大統領として初めて広島平和記念公園を訪れます。

 オバマ大統領はそこでスピーチしますが、米国が核兵器を使ったことに関する「道義的責任」にも触れると見られます。

 韓国メディアはこの計画が正式に発表される前から一斉に反発し、大統領の広島訪問に強い懸念を表明してきました。

—なぜ反発するのでしょうか。韓国は今、北朝鮮の核の脅威に直面しています。そんな中、オバマ大統領が「核なき世界」を呼び掛けるため広島を訪問するというのに……。

鈴置:日本が外交的得点を稼ぐ一方、自分が大損とすると考えたからです。

つけ上がる日本

—なぜ「日本が得して韓国が損する」のでしょうか。

鈴置:韓国人の目にはそう映るのです。彼らは独特の外交観を持っています。それを基に日本に奇妙な外交戦を仕掛け、しばしば自滅します。

 2015年に安倍晋三首相の米上下両院演説を阻止しようと国を挙げて取り組んだのがいい例です。この時も日本が得をし、韓国が損をすると彼らは危機感を深めたのです(「『アベの議会演説阻止』で自爆した韓国」参照)。

 結局、阻止できなかったばかりか、米国との関係も悪化しました。米国が日本との同盟を強化しようとしている時に、日米離間を必死で図る韓国は異様な目で見られたのです。米外交関係者は「韓国疲れ」(Korea Fatigue)などと上品な言い方で表現していましたが。

被害者に化ける

—今回も勘違いしているのですか?

鈴置:その通りです。オバマ広島訪問に関する韓国メディアの論調を紹介します。保守、左派にかかわらず「大統領の広島訪問により、米国は加害者たる日本を被害者に認定することになる。日本をつけあがらせるな」という主張で共通しています。

 正式発表が5月10日深夜(日本時間)。朝鮮日報の社説(5月12日、韓国語版)は見出しからして韓国の空気を率直に語りました。「広島に行く米大統領、日本の『被害者なりすまし』と一線を画せ」です。ポイントは以下です。

  • 原爆の悲劇は日本の帝国主義が起こした戦争と蛮行の結果だ。しかし日本は自分たちが起こした戦争について継続的かつ誠意ある謝罪を避けている。
  • 日本は「広島」を全面に押し出して被害者になりすましている。米大統領の広島訪問で、なりすましが成功しているかのような光景を見ながらオバマが、本当の被害者であるアジアの様々の民族に対しどんな考えを持っているのか、気にかかるのだ。

 中央日報の社説「オバマ大統領の性急な広島訪問は遺憾=韓国」(5月12日、日本語版)も「日本を被害者にするな」でした。以下です。

  • 帝国主義的な侵略戦争を起こした日本は原爆の被害者である以前に加害者だ。にもかかわらず日本は過去の過ちに対する真の反省と謝罪なしに、軍事大国化の動きを加速化している。
  • オバマ大統領の広島訪問は日本の被害者のイメージばかり浮き彫りにするおそれがあり、本当の被害者である韓国・中国など周辺国に誤ったメッセージを送りかねないという点で、広島訪問の決定は性急であり遺憾だ。
  • 日本の世論はオバマ大統領の広島訪問自体を謝罪として受け止める可能性が高い。すでに日本メディアはオバマ大統領の広島訪問を「歴史的事件」として特筆大書している。戦犯国が被害者に化けるという、あきれるような事態が生じないよう、日本政府・メディアは我田引水式の解釈や過度な意味付けを自制しなければいけない。

歴史カードを取り上げられた

—日本のメディアは書き方まで注文を付けられてしまいましたね。

鈴置:「オバマ訪問で『勝った、勝った』といい気になるなよ」ということでしょう。どの社説にも、韓国が駆使してきた「歴史カード」を米国から取り上げられるのではないか、との恐怖がにじみ出ています。

 韓国人は苦い思いをしたばかりです。2015年12月28日の「日韓慰安婦合意」で「韓国はこの問題を二度と蒸し返さない」と約束させられました。

 多くの韓国人が「歴史カード」の1枚を放棄させられたこの合意の背後に米国の存在を感じ取っています(「掌返しで『朴槿恵の親中』を批判する韓国紙」参照)。

—「歴史カード」に関わる戦いで、韓国の2連敗、ということですか?

鈴置:勝ち負けで言うなら「3連敗」に思えるのでしょう。2015年4月に安倍首相は米上下両院で演説しました。同年初めから韓国は国を挙げてその阻止に取り組みました(「『安倍演説阻止』に向けた韓国の動き」参照)。

「安倍演説阻止」に向けた韓国の動き(2015年)

2月14日 聯合ニュース「在米韓国人、安倍首相の議会演説阻止に動く」と報道
3月4日 訪米した韓国国会の鄭義和議長、安倍首相の米議会演説に関し米下院議長に「日本の真の謝罪と行動が必要」
3月19日 聯合ニュース「米議会、安倍総理の上下院合同演説を許可する方向」と報道
3月20日 韓国外交部「安倍首相は米議会演説で歴史への省察を示すべきだ」
3月29日 韓国の尹炳世外相「安倍首相の米議会演説と70年談話が日本の歴史認識の試金石になる」
4月2日 鄭議長、訪韓した民主党のナンシー・ペロシ下院院内総務に「日本の首相は米議会演説で過去を認め謝罪すべきだ」
4月2日 尹外相、ペロシ総務に「安倍演説は侵略、植民地支配、慰安婦に関しすでに認めた立場を具体的な表現で触れねばならない」
4月2日 朴槿恵大統領、ペロシ総務に「慰安婦問題の解決は急務」
4月16日 日米韓外務次官協議で韓国の趙太庸第1次官「安倍演説は正しい歴史認識を基に」と注文
4月21日 韓国国会の羅卿瑗・外交統一委員長、リッパート駐韓米大使に安倍首相の歴史認識について懸念表明
4月21日 WSJ「韓国政府が安倍首相の米議会演説に韓国の主張を反映させるべく米広報会社と契約」
4月22日 韓国の柳興洙駐日大使、戦後70年談話で「(侵略、植民地支配、反省の)3つの言葉を使うよう期待」
4月22日 韓国外交部、バンドン会議での安倍演説に関し「植民地支配と侵略への謝罪と反省がなかったことが遺憾」
4月23日 米下院議員25人「安倍首相が訪米中に歴史問題に言及し、村山・河野両談話を再確認する」ことを促す書簡送る
4月23日 韓国系と中国系の団体、元慰安婦とともに米議会内で会見し「安倍首相は演説で謝罪を」と要求
4月24日 韓国外交部「尹外相とケリー米国務長官が電話、歴史対立を癒す努力で一致」と発表
4月24日 ブラジル訪問中の朴大統領「日本に、正しい歴史認識を基にした誠意ある行動を期待」
4月24日 ローズ米大統領副補佐官「安倍首相に対し、過去の談話と合致し、地域の緊張を和らげるよう働きかけている」
4月24日 メディロス米NSCアジア部長「歴史問題は最終解決に達するよう取り組むことが重要」
4月28日 安倍首相、ワシントンでオバマ大統領と会談
4月29日 安倍首相、米上下両院で議会演説。日米同盟の強化を訴え万雷の拍手受ける

 阻止運動のスローガンは「米国がもし安倍の議会演説を許せば、日本は戦犯国家の烙印を消せる。米国は免罪符を与えるな」でした。韓国人とすれば、この歴史戦でも負けたことになります。

「戦犯国家」はひれ伏せ

—「戦犯国家」とはあまり聞きなれない言葉ですが。

鈴置:「日本は戦争を起こした国だ。韓国の前で永遠にひれ伏さなければならない」という主張を具現化した単語です。2010年頃から韓国人が使い始めました。私が初めに見たのは朝鮮日報だったかと思います。

 国際社会で日本より優位に立つため、官民挙げて「歴史カード」を磨くのが韓国の基本戦略でありまして「戦犯国家」はその一環です。しかし今、韓国人はそのカードが、相次ぐ「外交敗戦」で磨滅しかけたのではないかと不安にかられています。

 だから、各紙とも「歴史カード」を維持すべく「まだ日本は韓国に謝罪していない。だからオバマ大統領も謝罪すべきではない」と叫んでいるのです。オバマ大統領が謝罪したら完全に「日本に免罪符を与える」ことになると理解しているからです。

 韓国紙の「オバマ謝罪」へのこだわり方は異様です。東亜日報の社説「米大統領の初の広島訪問を見る韓国人の目」(5月12日、日本語版)をご覧下さい。

  • ホワイトハウスは「『核兵器のない世界』の平和と安全を追求するオバマ大統領の約束を強調するため」とし、「原爆投下に対する謝罪と解釈されるのは誤り」と明らかにした。しかし、米紙USAトゥデイが指摘したように、日本人はオバマ大統領の訪問そのものを謝罪と解釈するムードだ。

 米政府が「謝罪ではない」と言っているのに「でも、日本は謝罪を得たとして威張り出すに違いない」と心配したのです。

 先ほど引用した中央日報の社説「オバマ大統領の性急な広島訪問は遺憾=韓国」の「我田引水式の解釈や過度な意味付けを自制しなければいけない」とのくだり。

 日本の政府とメディアに対し「謝罪と認識したら許さないからな」と威嚇したわけで、韓国人がいかに気にしているかを示しています。

嫉妬と事大主義

—普通の韓国人が「歴史カードの磨滅」を恐れるものでしょうか。

鈴置:そこまで深くは考えない人もいるでしょう。ある韓国の識者は、普通の人の不満はもっと単純で「日本がうまいことやった。不愉快だ」「オバマは日本ばかり可愛がる」といった感じと解説します。

 趙甲済(チョ・カプチェ)ドットコムに、韓国紙の広島報道を批判した「『100年前の気分』にとらわれる韓国」(5月14日、韓国語)という記事が載りました。ここでも、韓国メディアを冷ややかに見る読者が、以下を書き込みました。

  • 最近、韓国メディアの記者らは米国と日本が蜜月関係になれば韓国が危機に陥ると焦燥感を募らせているようです。日本への嫉妬と米国への事大主義が合わさった心理でしょう。

 事大主義とは「米国の大統領が免罪符を発行する」という韓国紙の発想を厳しく批判したものです。

広島訪問は手土産

—それと、日本への嫉妬ということですね。

鈴置:同じ新聞でも、社説ほど裃(かみしも)を着ない雑報や解説記事は、より露骨に「日本に負けた」と報じて、読者の嫉妬心をかき立てています。

 朝鮮日報の「オバマ、日本の宿願かなえる」(5月11日、韓国語版)も「安倍外交の勝利」と書きました。

  • オバマの広島訪問を粘り強く進めてきた安倍晋三総理としては「第2次世界大戦の敗戦後、初めて戦勝国である米国の広島訪問を成し遂げた総理」との業績を上げることになる。

 左派系紙、ハンギョレの解説記事「『非核化』強調するオバマ大統領、『原爆被害』知らせたい安倍首相」(5月11日、日本語版)はサブ見出しに「日本は外交的勝利」を取り、前文でも以下のように書きました。

  • 日本にとっては、今年自国で開かれる主要7カ国(G7)首脳会議の日程を活用した日本外交の勝利ともいえる。

—こんな記事を読む韓国人は面白くないでしょうね。

鈴置:だから「確かに韓国は外交戦でまた負けた。だが、それはオバマにゴマをするという、せこい手を安倍が使ったからだ」との趣旨の説明もくっついています。そこでは広島訪問は日本への「報奨」や「贈り物」と表現されています。

ウィキリークスの暴露

—日本外交が勝利した、あるいは安倍政権は宿願を達成した、という韓国紙の報道は本当ですか?

鈴置:一連の記事は、事実とは全くかけ離れています。そもそも、安倍政権がオバマ広島訪問を望んだわけではなかった。

 核廃絶を訴えるために、日本が各国首脳の広島訪問を進めてきたのは事実です。しかし、米国の大統領は例外でした。

 広島と長崎への原爆投下に関し、米国では否定論よりも肯定論の方が多い。もし、大統領が広島を訪問すれば日本への不必要な謝罪として反発する声が米国内で起きる可能性が大きいのです。

 一方、全くの謝罪なしでも日本国内から反発を招く可能性があります。いずれも日米関係を悪化させますから、日本の歴代政権は広島訪問に極めて慎重でした。

 オバマ大統領は2009年11月の初訪日にあたり、広島訪問を検討しました。同年4月、プラハで「核なき世界」を訴え、10月にはそのためにノーベル平和賞を受賞しました。そんな流れの中で被爆地訪問を望んだのです。

 しかし、同年8月、薮中三十二外務次官(当時)はルース(John Roos)駐米大使(同)と会って「オバマ大統領が謝罪しない以上、訪問は成功の見込みがない」と、広島訪問に否定的な見方を伝えました。これは後に、内部告発サイト「ウィキリークス」が暴露した米外交公電によって判明しました。

 日経新聞の吉野直也ワシントン特派員は「日米史を変えた7年 検証・オバマ氏広島訪問」(5月13日、電子版)で、その後に米国務省が安倍首相の真珠湾訪問を打診したと書いています。

 米国内の反発を少しでも抑え、オバマ大統領の広島訪問を実現するのが目的でした。しかし同記事によると、日本政府はこの提案も以下のように断ったのです。

  • 「過去の戦争の延長線上で、交換条件のようにオバマ氏が被爆地を訪れるのは望まない」

「真珠湾」とは交換しない

—どういう意味でしょうか。

鈴置:ある日本の外交専門家は「交換」すれば「真珠湾と広島は等価なのか」と、日米双方で反発が出る可能性を懸念したのだろうと言います。

 安っぽい「和解劇」を演じるべきではないとの考えもあったのでしょう。そんな見え透いた「交換」をしたら、日米関係は却って底が浅いものに見えてしまいます。

 米国の外交当局も苦労したと思います。自分の大統領が望むから広島訪問を推進したに過ぎません。大きな外交成果が上がるわけでもないのに、リスクだけは大きいのです。

 いずれにせよ、今回の広島訪問は日米双方が知恵を絞った結実です。それから推察するに「真珠湾訪問」が近い将来、「広島訪問」とは関係ないとの建前で実現することになります。

—要は、オバマ大統領が広島訪問にこだわった。しかるに関係悪化を恐れた日米両国の外交当局が、いかに副作用を減らすか苦心してきた、ということですね。

鈴置:その通りです。

—では、韓国紙はなぜ「日本の小陰謀に米国が騙された」式に書くのでしょうか。

鈴置:韓国人は「外交とは細工を弄して大国を動かすこと」と信じているからです。朴槿恵(パク・クンヘ)大統領の告げ口外交はその典型です。前回、紹介した全斗煥(チョン・ドファン)大統領の「へ理屈外交」も全く同じです。

 韓国紙は日本も同じ行動原理で動いていると信じ込み、アベが小細工してオバマを広島に呼び込むのに成功した、と書いたのです。

中国共産党を喜ばせるな

—でも、少し調べれば事実と異なることが分かるはずです。

鈴置:確かにそうです。日本が広島訪問を事実上断っていたことは、ウィキリークスの暴露により公知の事実となっています。日本のメディアは2011年9月に一斉にそれを大きく報じています。

 でも、韓国メディアにとって事実はさほど重要ではありません。読者に喜怒哀楽の材料を提供することが彼らの仕事なのです。

 今回で言えば「あの小ずるい日本にまたやられた。我が国の政府は何をやっているのだ」という読者の怒りをかき立てればいいのです。

 実は、韓国人が大喜びしそうなネタがあります。オバマ大統領の広島訪問で日本――ことに韓国紙が蛇笏のごとく憎む日本の保守勢力が懸念を深めていることです。

 保守の論客、島田洋一・福井県立大学教授が興味深い記事を『月刊Hanada 2016年7月号』に書いています。見出しは「謝罪を迫るより考えるべきこと」です。要約します。

  • オバマ大統領は今年3月30日付ワシントン・ポストに寄稿し「核兵器を使用した唯一の国としてアメリカは、その廃絶への道をリードし続ける道徳的義務(moral obligation)を有する」と書いた。これに対し原爆投下への謝罪に等しいとの批判が米国の一部で起こった。
  • 非戦闘員居住地域への核爆弾投下は紛れもない戦争犯罪だ。オバマ「道徳」発言は現職大統領としてぎりぎりの線だろう。日本がそれ以上の謝罪を求めると、無用の日米歴史戦を誘発しかねない。
  • 米大統領の広島訪問時に歴史戦を仕掛けても、日米分断を狙う中国共産党を喜ばせるに終わる。

苦笑する「日本の右翼」

—なるほど、日本の保守は「謝罪による日米分断」を警戒し続けているのですね。

鈴置:もちろん安倍政権も同様です。日経新聞の大石格編集委員が書いた「風見鶏・広島訪問はパンドラの箱」(5月15日)も、その点を突いています。

  • 日本政府がオバマ大統領の謝罪に神経質なのはなぜか。「日本は本当に戦争責任を反省したのか」と、安倍首相が昨年夏の戦後70年談話でケリをつけたはずの難題を蒸し返されるのを懸念してのことだ。
  • 一部の米退役軍人団体は、オバマ氏に広島行きを控えるよう求める書簡を送った。似た動きは中国や韓国にもある。広島訪問は新たなパンドラの箱を開けかねない。

 オバマ大統領の広島行き直前に「バターン死の行進」で生き残った元米軍人の捕虜が同行することが決まったのも「パンドラの箱」を開けないための努力です。

 もっとも、せっかく日本が困っているというのに、韓国紙はそれを書かないどころか嫉妬しているのです。ハンギョレの社説「オバマ大統領の広島訪問が成果を収めるために」(5月12日、日本語版)は「日本の右翼が大喜び」と書いています。

  • 安倍晋三政権に代表される日本の右翼勢力が今回の訪問を機に、「被害者日本」を浮き上がらせ、歴史に対する責任を回避しようとする動きがはっきりしている。彼らは今回の訪問自体を日本外交の勝利と考えている。

 「日本の右翼」がこれを読んだら苦笑することでしょう。「被害者日本」とのイメージが日米関係を悪化させると一番、懸念している人たちですから。

 彼らの中には、米大統領の広島訪問は「ありがた迷惑」と言い切る人もいます。日本の保守にとって、オバマ大統領の広島訪問は「報奨」でも「贈り物」でもなく「時限爆弾」なのです。

南京に来い

—中国は動きますか?

鈴置:もちろんこの機会を逃さず「パンドラの箱」に手を突っ込んで騒ぐでしょう。中国は9月に20カ国・地域(G20)首脳会議を浙江省・杭州で開きます。この際、オバマ大統領や安倍首相を含むG20首脳に南京訪問を求める作戦を練っている模様です。

 もし、安倍首相が南京を訪問しなければ「日本はまだ反省していない」と大声で叫べばいい。日本を孤立に追い込み、日米離間も図る狙いです。

—韓国紙もこの動きに注目していますか。

鈴置:チラリと書いてはいます。ハンギョレの「『安倍首相も南京虐殺の現場に訪問を』 オバマ大統領広島訪問に中国で不満」(5月13日、日本語版)がそうです。ただ、今現在は「オバマは日本に謝罪するな」と叫ぶのに忙しい。

今度こそ中国と共闘

—韓国政府はどう出るのでしょうか。

鈴置:オバマ広島訪問に関し、韓国政府は表立って反対しませんでした。「安倍議会演説阻止」で大失敗したのに懲りたからでしょう。

 でも「米議会演説の戦い」は韓国が単独で日本と戦う形でした。一方、「南京での歴史戦」は当然、中国が主戦投手。韓国は陰で手助けし、あとで勝ち組に入れてもらう手があります。うまくすれば、今度は米国も味方に引き込めるかもしれません。

 広島訪問を機に韓国メディアが「日本は謝罪していない」と声を揃えています。今のところ謝罪阻止が目的です。が、次第に「安倍は南京に来い」との、中国の要求への声援に変化していくと思われます。

 「慰安婦」でも中韓は政府間でスクラムを組みました(「中韓の『慰安婦共闘』」参照)。「南京」で組むのは当然のことなのです。

中韓の「慰安婦共闘」

2014年7月3日
中韓首脳会談で「慰安婦の共同研究」に合意。共同声明の付属文書に盛り込む(聯合ニュース・韓国語版
2014年12月15日
韓国政府系の東北アジア歴史財団と、中国吉林省の機関、档案局(記録保管所)が慰安婦問題関連資料共同研究のための了解覚書(MOU)を締結(聯合ニュース・日本語版
2015年8月15日
中国国家公文書局が『「慰安婦」–日本軍の性奴隷』第1回文献テレフィルムを公式サイトで公表(人民網日本語版
2015年9月22日
サンフランシスコ市議会が「慰安婦碑または像の設置を支持する決議案」を全会一致で採択。運動の中心となったのは中国系団体(産経新聞
2015年10月12日
中国外交部の華春瑩副報道局長、旧日本軍の慰安婦に関する資料について「ユネスコ世界記憶遺産への登録申請を他の被害国と共同で進める方針」(聯合ニュース・日本語版
2015年10月13日
韓国外交部の魯光鎰報道官、慰安婦資料のユネスコ世界記憶遺産に中韓が共同で登録申請することに関し「推進中の民間団体が判断すべきだ」。推進中の民間団体とは女性家族部傘下の財団法人、韓国女性人権振興院(聯合ニュース・日本語版
2015年10月28日
「中韓の慰安婦像2体」をソウル城北区に設置、除幕式。中韓の彫刻家が製作し、両国市民団体が支援(産経新聞

(次回に続く)=5月26日に掲載予定

Terumi Tanaka

日本原水爆被害者団体協議会の田中煕巳事務局長は、被爆地・広島を訪問するオバマ大統領に向け「核兵器廃絶の先頭に立ってほしい」と感情を抑えて語る(写真:ロイター/アフロ)

前回から読む)

 気骨を失った国に独立はあるのだろうか――。

いつもの独り相撲が始まった

前回は、韓国メディアが日米関係を完全に読み違えた、との話でした。

鈴置:オバマ(Barack Obama)大統領の広島訪問は安倍晋三政権が上手に立ち回って実現した――と韓国メディアほぼすべてが、勘違いして報じました。

 そして、日本はオバマに何らかの形で謝罪させるだろう。それにより韓国の持つ「歴史カード」が無効化されてしまう――と焦り、韓国紙は一斉に「オバマは謝罪するな。日本はまだ我々に謝っていない」と叫んだのです。

 韓国人は日本はもちろん、米国に対してもフラストレーションを高めています。また、いつもの独り相撲です。

—なぜ簡単明瞭な事実を誤認するのか、今ひとつ分かりません。いくら思い込みが激しい人たちと言っても……。

鈴置:オバマ大統領の広島訪問は日本政府が意図したわけではない。ことに謝罪を求めるつもりはなかった――。しかし、韓国人は「謝罪を求めない日本人」というものが理解できないのです。

 韓国では「謝罪を要求できるチャンス」があったら最大限、活用するのが常道だからです。謝罪させることで倫理的に上位に立ち、相手を支配する――という発想です。

「下」の日本には何をしてもいい

—「上」なら相手を支配できるのですか?

鈴置:ええ、韓国社会には「上」なら「下」に何をしてもいいという空気が色濃い。

—そう言えば「ナッツ・リターン」事件というものがありました。

鈴置:2014年のことでした。大韓航空のオーナーの娘が乗っていた航空機を搭乗ゲートに引き返させたうえ、気にいらないパーサーを降ろさせました。

 このケースでは、珍しくもパーサーが泣き寝入りしなかったので表沙汰になりました。が、普通は「オーナーの家族はわがままなもの。仕方ない」で終わりです。

 日本との関係も同様です。日本人は1993年の河野談話を通じ、韓国との和解の道を開いたつもりだった。でも韓国人はそうは思わない。これで韓国が「上」になったのだから、日本には何をしてもいい、と考えるようになりました。

 日本の助けが要らないと自信を深めた2010年を過ぎる頃に、その思いが一気に噴出しました。「卑日」が日常化したのです(「韓国の主な『卑日』」参照)。

韓国の主な「卑日」

「従軍慰安婦」像設置
2011年12月14日、韓国挺身隊問題対策協議会がソウルの日本大使館前に「従軍慰安婦」像を設置。日本政府が抗議したが、ソウル市と韓国政府は無視。その後、韓国と米国の各地に相次ぎ設置された。「像」以外に「碑」も世界中で立てられている。2014年1月には仏アングレームの国際漫画祭で、韓国政府主導の慰安婦をテーマにした企画展が開催。
大統領の竹島上陸
2012年8月10日、李明博大統領が竹島に上陸。日本政府は抗議し駐韓日本大使を一時帰国させた。同月13日これに関連、李大統領は「日本の影響力も昔ほどではない」と発言。同月17日、野田佳彦首相がこの問題に関し親書を李大統領に送るが、同月23日に韓国政府は郵便で送り返した。
天皇謝罪要求
2012年8月14日、李大統領が天皇訪韓について「独立運動をした人に心から謝罪をするのならともかく(昭和天皇が使った)『痛惜の念』だとか、こんな言葉1つなら、来る必要はない」と発言。
対馬の仏像窃盗
2012年10月8日、韓国人が対馬の仏像と教典を盗んだ。2013年1月に韓国の警察が犯人の一部を逮捕、仏像2体を回収。しかし韓国・大田地裁は「韓国から盗まれた可能性がある」と日本に返さず。2015年7月18日に1体だけ日本に返還。
中国人放火犯の本国送還
2013年1月3日、ソウル高裁が靖国神社放火犯の中国人を政治犯と認定、日本に引き渡さない決定を下した。日本政府は日韓犯罪人引渡条約をたてに抗議。犯人は2011年12月26日の靖国放火の後、2012年1月8日にソウルの日本大使館に火炎瓶4本を投げ、逮捕されていた。
朴大統領の「告げ口外交」
2013年2月の就任似来、朴槿恵大統領は世界の首脳やメディアに会うたびに、安倍晋三首相の「歴史認識」など日本を批判。
産経元支局長起訴
2014年10月8日、ソウル中央地検が産経新聞の加藤達也元ソウル支局長を在宅起訴。容疑は「大統領に関し虚偽の事実を報じ、名誉を棄損した」。報道の元となった朝鮮日報の記事に関してはおとがめなし。同年8月7日からの加藤元支局長への出国禁止措置は2015年4月14日に解除。12月17日、1審で無罪判決、5日後に確定。
安倍首相の米議会演説阻止
2015年2月に聯合ニュースが「在米韓国人、演説阻止へ」と報道以降、韓国は大統領、外相、国会議長、学者らが世界の要人を対象に、同年4月の安倍首相の米議会演説を阻止する運動を展開した。阻止できないと判明後は、演説に慰安婦への謝罪を盛り込ませるよう米国に要求した。メディアも連日、阻止キャペーンを張った。韓国の国を挙げての筋違いで執拗な要求に、米政界では「韓国疲れ」という言葉が使われた。

 今回の「広島事件」は韓国人の目には「下」の連中がじたばたして――「謝罪」を勝ち取って秩序をひっくり返そうと画策する図に映るのです。

 日本人は「下」に見られているという認識を持たないと、韓国や日韓関係を正確に理解できません。

謝罪を求めない日本の被爆者

—「韓国よりも下の国」という自覚、ですね。

鈴置:その通りです。

—日本の政府が米大統領の広島訪問に消極的であり、謝罪も求めなかったのは、日米関係の悪化を懸念したから――ということでした(前回参照)。では、肝心の被爆者はどうだったのですか?

鈴置:実は、被爆者団体も今回は謝罪を求めていません。日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)は1984年に「原爆被害者の基本要求」を作りました。

 その中で「アメリカ政府への要求」の一番先頭に「広島・長崎への原爆投下が人道に反し、国際法に違反することを認め、被爆者に謝罪すること。その証として、まず自国の核兵器をすて、核兵器廃絶への主導的な役割を果たすこと」を掲げました。

 しかし、2016年5月18日に発表した「オバマ大統領の広島訪問にあたっての要望書」に「謝罪」は入っていません。

 ちなみに要望は4項目で「核兵器のない世界への努力」「核兵器のない世界へ一緒に立ち上がる」「包括的核実験禁止条約(CTBT)の批准」「被爆の実相にふれ、被爆者の話を聞く」です。

「感情をぐっと抑えて」

—日本被団協は今回、なぜ謝罪を要求しなかったのでしょうか。

鈴置:田中煕巳事務局長が5月19日、日本記者クラブで会見し、謝罪に触れました。ポイントを書き起こします。この会見はYouTubeの『田中煕巳被団協事務局長「オバマ広島訪問」①』で見ることができます。

  • (原爆で)子を失った親の世代はほとんど生きておられません。その人たちの悔しさに私は接してきたので、個人的には「謝罪しなくていい」と口が割れても言えません。ただ今の(生きている)被爆者全体の「核兵器をなくすためにオバマさんに先頭に立ってほしい」「(CTBTを直ちに批准するなどの)プラハでの約束を本当に実行してほしい」との思いがにじみ出る要請になりました。広島に来られたら、オバマさん個人の原爆に対する体験が質的に変わるだろうと期待しています(開始後19分48秒から)
  • (松井一美広島市長の4月21日の「謝罪を求めない」との発言に関し意見を聞かれて)その言葉が独り歩きしています。謝罪をしてくれと言うなら、空襲とか艦砲射撃とか沖縄とか(市民を)殺された問題がある。そういうこと皆含めて謝罪しろとアメリカが受け止めるなら、簡単にウンとは言わないでしょう。日本政府はアジアへの心からの謝罪をしていないので、謝罪一般に関しては今のような形で議論されるのはいいこととは思っていません。被爆者に対しては謝罪をしてほしいという気持ちはあります。が、それを強く求めることが核兵器をなくすことの障害になるのなら、ぐっと抑えて(オバマ大統領に)核兵器廃絶の先頭に立ってほしいという願いがあるのでしょう(27分10秒から)

「被害者コスプレ」と罵倒する韓国

—核兵器をなくしたい、との思いがひしひしと伝わってきますね。

鈴置:謝罪を求めるとオバマ大統領の広島訪問は実現しない。すると核廃絶を進めることはできない。それなら謝罪は求めない――との判断です。心情はもっと複雑に決まっていますが。

 被爆者の意向も反映してのことでしょう、日経電子版の意識調査では「オバマ大統領に最も期待するのは?」との問いに対し「平和記念公園や原爆資料館への訪問」が65.1%と圧倒的多数でした。

 「原爆投下への謝罪」は2番目で6.9%。6.8%の「被爆者との面会」がそれに続きました。「クイックVote」(第271回)「オバマ大統領広島訪問『歓迎』95%」(5月19日)で読めます。

 韓国人には「ぐっと抑えて」が分からないのです。被害者は大声で泣き叫ぶもの――が韓国の常識だからです。

 「目的のためなら感情を殺す」という行動を理解できないので「日本は謝罪させ被害者になりすまそうとしている」と思い込み、韓国メディアは口を揃えて「被害者コスプレ」と日本を罵倒するのです。

 なお、聯合ニュースの「韓国人原爆被害者が広島訪問へ」(5月12日、日本語版)は「韓国人被爆者はオバマ大統領の訪日に合わせ広島を訪問し、米日両国政府に謝罪と補償を求める」と報じています。

「自分の弱さ」見つめた韓国人

—韓国人は国際社会でも自分が「被害者」であることを強調しますね。

鈴置:それを外交資源にしているからです。2002年に北朝鮮による日本人拉致が明らかになった直後、韓国メディアは一斉に「これで日本が被害者になりすます。我々の被害者の立場を奪うつもりだ」と書きました。

 もっとも昔は、自分の国の弱さを恥じる韓国人もいました。私の韓国学のお師匠さんの1人は「悔しかったら強くなるしかないのです」といつも語っていました。もう、四半世紀も前の話ですがね。

 植民地支配に関しても、不平がましいことは一切言わない韓国人がいました。それを日本人に対して言った瞬間、自分の国の弱さから目を背けることになる、との信念があったのです。

 1980年代までは韓国社会の要所、要所を、そんな気骨ある人が固めていました。亡国を身をもって体験しただけに、繰り返さないためにはどうすればよいか、韓国の指導層は全身全霊で考えていたのです。

 1979年に暗殺された朴正煕(パク・チョンヒ)大統領がその最たる人でした。一方、韓国人に過去を謝らない日本人もいました。

ぺらぺらと謝らない日本人

—気骨ある韓国人の誇りを傷つけるからですか。

鈴置:そうです。気骨ある韓国人にとって日本人の謝罪は、韓国の弱点を言い立てられることと等しいからです。

 「謝らない」もう1つの理由は「ではあの帝国主義の時代に、韓国を併合する以外に日本にどんな道があったのか」との煩悶です。それに対する真摯な答えが出せない限り、謝罪は偽善だと考える骨のある日本人がいたのです。

 田中明(1926―2010年)という研究者が、以下の1文を書いています。岩波現代文庫に収録された『韓国の民族意識と伝統』の2ページで読めます。底本は1984年に出版された『朝鮮断想』です。

  • とはいっても、そうした自分の思いを、いわゆる「日帝三六年に対する反省」といった美しい言葉に近づけていこうという気持ちには全くならなかった。そんなことをすれば、自分が「いい日本人」に化けてしまい、こんどは“良心的怠惰”に安住するであろうことは目に見えていたからだ(ぺらぺらと心地よく朝鮮に対する贖罪の言葉を連ねる、といった類の人を私はよく見てきた)。

 日本にも気骨ある人がいたのです。今は「ぺらぺら」の人か、あるいは「ぺらぺら」をやっても韓国に謝罪を要求され続けるので、反韓になった人がほとんどですが。

 気骨のある韓国人と気骨のある日本人の間には、暗黙の合意のようなものがありました。不幸な関係を繰り返さないためには「強い韓国」を造るしかない、との思いです。

 1970年代までの日韓協力は、そうした共通認識に裏打ちされていました。日本の贖罪のためとか、反共の防波堤を造るためとか、そんな表面的な目的だけではなかったのです。

中国に立ち向かう気骨

—日韓関係は深いのですね。

鈴置:「深かった」のです。日韓の気骨ある人々の個人的な関係が、両国の「大人の関係」を支えていたのです。今では「謝罪」を巡る外交ゲームに堕していますけれど。

—「気骨」ですか。

鈴置:「気骨」は外交を分析する時、欠かせないと思います。経済力や軍事力だけが国力ではありません。韓国にとって日本との関係以上に、中国との関係で「気骨」の有無が重要になります。

 今、中国が巨大な軍事力と経済力を持って周辺国家を勢力圏に取り込もうとしています。その中国にどう対していくのか――。私はこの点に関心を持って韓国を見つめてきたのです。

 21世紀に入って韓国の指導層の中に「中国には従うしかない」との発想が芽生え――復活してきました。

 日本と比べ韓国は大きなハンデキャップを持っています。中国のすぐ隣にあるという地理的条件。中国の歴代王朝に朝貢してきたという歴史。これら地政学的な悪条件のために、中国に立ち向かうには日本人とは比べものにならない程の「気骨」が要るのです。

 しかし、2006年の段階で「もう日本も、中国には逆らってはいけません」と日本人にはっきりと語るリーダーまで出てきました。韓国は中国に逆らわない――。それは昔の「上」と「下」の関係に戻ることを意味します。

 「二度と植民地や属国にはならない」という韓国人の決意は、いったいどこへ行ったのだろうと私は衝撃を受けました。

 そこで、韓国が中国の懐に戻るというあらすじの近未来小説『朝鮮半島201Z年』を書いたのです。この発言については、同書のあとがきにも記しています。

日本人に気概はあるのか

—韓国は強くなったのになぜ、気骨がなくなったのでしょうか。

鈴置:様々の理由が考えられますが、最も大きいのは国防面での米国への依存でしょう。他人に国を守ってもらっているうちに、国民は緊張感を失い、自分の手で運命を切り拓いていく気概をなくすのです。

—……。

鈴置:そうです。日本もまた、そうなのです。

(次回に続く)=5月27日に掲載予定

Obama in Vietnam

5月24日、オバマ大統領は広島訪問に先立ち、ベトナム・ホーチミンで演説。対中包囲網の構築に向け、旧敵と新たな一歩を踏み出した。韓国が「過去」に拘泥する間に、アジア情勢は急速に変化している(写真=ロイター/アフロ)

前回から読む)

 韓国は「尊敬される国」になるのだろうか――。

メディア批判記事は1本

—韓国メディアがオバマ(Barack Obama)大統領の広島訪問に不満の声を上げ続けています。

鈴置:私が見た限り1本だけですが、大手メディアにこうした報道を批判する記事が載りました。「広島での米日の平和ショーを見守る韓国人慰霊碑」(5月13日、韓国語版)です。紙の新聞では5月14日付です。

 書いたのは朝鮮日報の姜天錫(カン・チョンソク)論説顧問。東京特派員、政治部長、編集局長、論説主幹、主筆を歴任した有名な記者です。四半世紀前には韓国メディアはエース中のエースを東京に送っていたのです。

 この記事の主張は「我々はオバマ広島訪問の本質を見落として『韓国人も謝罪の対象になるのか』という点ばかりにこだわっている。こんなことではまた、国を滅ぼす」です。「メディアが」と書いてはいませんが、文脈から見て明確な韓国メディア批判です。

亡国の100年前が再現

—「韓国人もオバマの謝罪の対象になるのか」とは?

鈴置:オバマ大統領が平和記念公園への訪問を検討中と米国や日本で報じられた時、韓国メディアはそれを阻止すべく、一斉に訪問反対の論陣を張りました。

 5月10日に訪問が正式に発表された後は、もう反対しても仕方がないと思ったのでしょう、「日本に謝罪するな。それは免罪符を与えることになる」という合唱に変わりました。

 さらに「行くこと自体が謝罪だ。少なくとも日本人はそう受け止めるだろう」と米国紙が書くと、韓国紙は「謝罪の対象には韓国人被爆者も含まれるか」に焦点を当てるようになりました。

 ホワイトハウスの記者会見で韓国メディアがそれを執拗に問いただしました。明確な回答がなかったため、韓国紙はこれまた一斉に「謝罪の対象から韓国人が外れたら承知しないぞ」と声を荒げたのです。

 一連の報道ぶりを見た姜天錫論説顧問はいかがなものか、と首を傾げたのです。ポイントを翻訳します。

  • 日本は1996年に広島の「平和記念館」をユネスコの世界文化遺産に申請した。当時、これに反対したのは米国と中国だった。今回、オバマ大統領と安倍総理はこの建物の前に立つ。
  • 米国はかつてのような余裕はない。中国は爪を隠して時を待つ戦略を捨てた。日本は中国侵略の過去から、その脅威を深刻に感じている。
  • 大国に囲まれる朝鮮半島の地政学的な位置は、亡国の悲劇に苦しんだ100年前と変わっていない。だが、地政学的な見方は古臭いものとされ、大韓民国が置かれた状況を読み取る目は完全に退化してしまった。
  • 広島訪問は米日の政治ショーだ。だが韓国は「追悼の対象に韓国人は含まれるのか」と尋ねるばかりだ。世界情勢の変化に追いついていないのだ。100年前にも、世界の動きを読み違えて国を失ったというのに。

馬鹿にされる地政学

—「地政学」という言葉が出てきましたね。

鈴置:姜天錫論説顧問は「現実を見ろ」くらいの意味で使っているのだと思います。でも、この単語の使い方はピンと来ます。

 2009年、韓国の保守系紙の政治記者に「結局、韓国は海洋勢力側に残るのですか、それとも大陸側に行くのですか」と聞いたことがあります。「米中どちら側の国になるのですか」と露骨な質問をするのを避けたつもりでした。

 すると「そんな地政学的な見方をまだしているのですか」と聞き返されました。この回答が意味することは2つあります。

 まず、米中双方とうまくやっていけると韓国人が固く信じていること。もう1つは、地政学に代表される現実主義的な――観念的な理想論を排する考え方は古臭く危険である、と韓国人が思うようになったことです。

 ソウル五輪(1988年)頃までは、日本人の平和ボケを韓国人は苦笑して眺めていたものです。北朝鮮と厳しく対峙していた当時の韓国にとって「後背地・日本」の平和ボケは危険なものでもありました。

 それが、韓国人に地政学的な言葉を使って質問をするだけで「軍国主義者扱い」されるに至ったのです。「平和ボケすることが先進国の証(あかし)」と彼らは思い始めたようでもあります。

日本の後ろには海洋大国がいた

—「100年前にも読み違えた」とは?

鈴置:姜天錫論説顧問は具体的には書いていません。勝手に忖度すべきではありませんが、常識的にはこういうことかと思います。

日清戦争でも日露戦争でも、朝鮮は建前は中立を維持した。が、心情的には大陸の大国である清やロシアの味方だった。日本は野蛮な小国との意識からである。

しかし、日本の後ろには英国や米国など海洋勢力が付いていた。それを見落とした朝鮮は勝ち馬に乗れず、植民地に転落した。

 でももう一度言いますと、姜天錫論説顧問はここまで踏み込んで書いているわけではありません。

 記事の趣旨はあくまで「韓国人も謝罪や追悼の対象か」といった狭い視野で外交を語るな、大局を見ろ――との警告です。

日米同盟強化に危機感

—広島訪問は「日米の政治ショー」なのでしょうか。

鈴置:日本で見ていると、政治効果を狙ったショーとはとても思えません。なぜなら、日米同盟を強化すべきだと考えている保守派には、こんな「ショー」は不要です。

 それどころか「オバマの任期終了直前の実績作りのため、日米同盟が危険に晒される」と考える人が多い。米国の軽率さに対する失望を語る人もいます(「日本の『被害者なりすまし』を許すな」参照)。

 一方、安倍晋三政権の日米同盟強化に反対する人は「広島訪問によって日本はますます危険な状況に引き込まれる」と反発を強めています。両者を合わせ見ると「日米同盟強化」に逆効果か、せいぜい「意味がない」程度なのです。

 ただ、韓国人から見れば「注目すべき政治ショー」なのでしょう。これにより、旧敵の日米が和解し同盟を強化するように見える。もちろん中国を包囲するのが目的ですから「海洋側か、大陸側か」の踏み絵をますます迫られると韓国人は危機感を高めるわけです。

 日本を訪問する直前、オバマ大統領はベトナムを訪問し、中国を念頭に軍事協力強化を約束しました。これこそ劇的な変化です。米国はベトナムとは血みどろの戦いを続け、1995年まで国交がなかったのですから。

 韓国の立ち位置が問われる材料が、また増えたのです。声を大にして「韓国人よ、目を覚ませ」と叫びたくなるのも分かります。

韓国に謝らないと承知しないぞ

—警告の効果はありましたか?

鈴置:全くないようです。依然としてどのメディアも「韓国人も対象になるのか」と米国に迫り続けています。

 同じ朝鮮日報でさえ、3日後に金秀恵(キム・スヘ)東京特派員の「広島に行くオバマ大統領へ」(5月16日、韓国語版)を載せました。

 2015年7月に外国人記者のツアーで広島を訪れ、被爆者と会った体験を基に書いています。結論は以下です。

  • オバマ大統領が行く時も(自分が体験した朝鮮人被爆者への無視と)同じような状況が繰り返されるなら、笑って見過ごすことはできません。
  • 朝鮮の人々は植民地支配と原爆で2回、苦痛を受けました。その苦痛に何とおっしゃるのか、広島で見守りたいと思います。

 要は「韓国人も謝罪や追悼の対象にならなかったら承知しないぞ」ということです。姜天錫論説顧問の警告は後輩にも届かなかったようです。

二股を推奨の朝鮮日報

—韓国メディアに批判的なヴァンダービルド氏は「広島訪問」について書きましたか?

鈴置:何本も書きました。ただし、いつものことですが、大手紙と比べ桁違いに読者の少ないネットメディアの趙甲済(チョ・カプチェ)ドットコムが舞台です。

 何と、うち1本は姜天錫論説顧問のこの記事への批判でした。「『100年前の気分』にとらわれる韓国」(5月14日、韓国語)です。

 批判のポイントはいくつかあります。まず「米日政治ショー」と書いたことに関してです。

  • 韓国の同盟国と友邦である米国と日本の首脳外交に、韓国を代表する新聞が「米日政治ショー」との見出しを付けた。
  • まだ100年前の気分を一歩も抜け出せず、同盟国や友邦国の首脳外交に対し不平不満(「平和ショー」など)をこぼす状態だ。全く成熟しきれていない。

 親米保守のヴァンダービルド氏としては「もっと立ち位置を明確にしろ」と言いたかったのでしょう。朝鮮日報の主張は「米中の間では二股をかけろ」式のものが多い。

 2015年10月に朴槿恵(パク・クンヘ)大統領が訪米した際、共同会見の場でオバマ大統領から「中国の不法な振る舞いに批判の声を上げろ」と迫られたことがあります。

 米国の叱責への対応で、保守系紙の意見は割れました。東亜日報は米国側に立とうと言い、中央日報は中国に傾きました。朝鮮日報の社説は歯切れが悪く、どちらつかずのものでした(「蟻地獄の中でもがく韓国」参照)。

 姜天錫論説顧問は今回の記事で米中の厳しい対立が始まったことを見過ごしてはならないと主張しましたが「海洋勢力側に立つべきだ」とまでは書かなかったのです。

韓国人の精神を堕落させる

—ヴァンダービルド氏のもう1つの批判のポイントは?

鈴置:「いつまで弱者のつもりか」です。要所を訳します。

  • こうした記事は、今日の韓国人をして引き続き国を失った気分(悲しみ)にひたって生きていくことと、周辺からの終わりのない慰めと同情を渇望させ、もしそれらが望んだほどに与えられなければ、際限のない不平と不満をこぼすように誘導する(韓国人の精神を堕落させる)、望ましくないものである。

—姜天錫論説顧問の記事に、そんな部分はありましたか?

鈴置:先ほどは訳しませんでしたが、最後の2段落に韓国人被爆者の慰霊碑の話が出てきます。見出しも、そこから取っています。以下です。

  • 広島の原爆被害者16万人のうち3万人は当時の朝鮮人だった。長崎では7万人のうち1万人がそうだ。安倍総理はこの事実を知っている。オバマ大統領も知らないはずがない。
  • 平和公園の片隅に立つ韓国人慰霊碑は2人の姿を見守ると同時に、祖国に対しても恨みに満ちた叱責の言葉を投げかけるだろう。「100年前に世界の動きを読み違えて国を失ったのに、今もこのざまか」と。

弱さを売りにするのはやめろ

—姜天錫論説顧問も朝鮮人被爆者に言及してはいるのですね。

鈴置:もし、それに一切触れずに「韓国人が追悼の対象かどうかばかりを気にするな」と書いたとします。読者から「我々の苦しみを無視するのか」と抗議が殺到するでしょう。

 そこで韓国人の犠牲者に言及した後、彼らがいまだに狭い視野の韓国人を嘆くであろうと説く――論理構成にしたと思われます。回りくどくなりますが、これなら読者から怒られずに言いたいことも言えるのです。

 韓国のメディアは「日本の悪行」に少しでも関連する記事には、どこかに必ず日本糾弾の言葉を入れるのが約束事です。ヴァンダービルド氏もそれは分かっているでしょう。

 でも、敢えて「反日記事の約束事」に寄りかかる大記者を厳しく批判したのです。ヴァンダービルド氏は記事の最後でこう、記しています。

「100年前と変わらない」との嘆きはこの記事に向けられなければならない。

人間が成長するにつれ、望ましくない習慣は時期が来れば自然になくなる。大の大人になっても周囲から慰めを得ることにだけこだわり、得られなければ不満(嫉妬)を漏らすという未成熟な態度が続けば、韓国を尊敬する国は出てこないだろう。

 「いつまでも弱者であったことを売り物にするな」との怒りです。さらにメディアが、どこかでそんな習慣を断ち切らねば国の格は上がらない、と訴えたのです。

得意技は捨てられない

—韓国にも気骨ある人がいるではありませんか。

鈴置:ええ。でも、昔と比べれば数はぐんと減りました。ほぼ、絶滅状態です。慌てて付け加えれば、日本も他人のことは言えませんが。

—結局、韓国は「尊敬される国」になるのでしょうか。

鈴置:その質問は「弱者であることを卒業するか」つまり「歴史カードを捨てるか」という質問になるわけですが、簡単ではないと思います。

 「歴史カード」の活用は対日外交の基本ツールとして定着したからです。柔道などで、得意技を容易には捨てられないのと同じです。楽ですからね。

—でも、「弱者を売り物にする韓国」を日本は突き離しそうです。

鈴置:その時はまた、米国や中国を頼みにしていくでしょう。今回の韓国メディアの「ヒロシマ騒動」を見てもそれは明らかです。日韓が大人の関係になることはまず、ないでしょう。

 

 

 

『ヒラリー大統領誕生で日米関係はかつてない危機も ニューヨーク・タイムズ紙の辣腕記者が明かすヒラリーの本音』(5/24JBプレス 高濱賛)について

米国の世論調査のやり方は日本の世論調査と同じで固定電話でしているとのこと。これでは暇な老人しか対象にならず、結果に偏りが出ます。日本の左翼マスコミは誘導尋問に近い質問や、あまつさえ結果をいじったりします。心情的に中・韓と同じものを日本のメデイアは持っています。共産主義にシンパシーを持つ人は「目的は手段に優先する」と考え、「嘘も方便」とするのでしょう。邪悪な考えです。

ヒラリーは強欲、嘘つき、自己顕示欲の強い人間で好きになれません。ましてや民主党は中国に近い議員がおり、多分金で懐柔されているのだろうと思います。民主党の支持基盤である全米自動車労組もマフィアとの繋がりも噂され、ジャック・ニコルソン主演の映画『ホッファ』にもなりました。まあ、大統領がマフィアと繋がりがあり、暗殺されるケースがある国ですから。

共和党はRepublican Party =Grand Old Party=GOPと呼ばれ、リンカーンが奴隷解放宣言を出した偉大な政党です。ところが、リンカーンの意に反した人種差別を広言するトランプが共和党の大統領候補となりました。歴史の皮肉でしょうか。いくら、厳しい選挙レースがあるからと言って禁じ手のような気がします。ただトランプに言わせれば「こうでもしなければ、メデイアは取り上げず、選挙に生き延びれなかった」との弁解がありました。

オバマは力の行使を極端に嫌がります。戦争嫌いとも言われますが、戦争が好きな人はそんなに多くないでしょう。日本人であれば100%に近いと思います。ただ、力の行使を躊躇すれば悪が蔓延ります。警察や軍の存在はそれを防ぐためにあります。中国やロシアの侵略は、オバマでは反撃してこないと読んだからです。理念だけでは平和は守れませんし、9条を守る会のように念仏を唱えるだけで平和が守られる筈がありません。抑止力があって初めて戦争が回避できるのです。そうしなければ奴隷の平和が待つのみです。オバマは口先だけで行動がないと言われてきて、ここにきてレガシー作りに勤しんでいます。広島訪問は日本人として喜ぶべきことと思っています。謝罪は不要ですが、「死の行進」の生き残りの兵士を連れて来なくとも良かったのでは。連れて来る意味が良く分かりません。原爆の悲惨さを彼らに見せ仇を討ってやったと思わせるのか、戦争は非人間的行為を誘発するという事を悟らせるのか?オバマのことですから後者だと思いますが。

記事

Hillary-2

オバマには「レガシー作り」しか頭にない

 米民主党大統領候補指名争い終盤戦をよそにバラク・オバマ大統領は、あと6か月の任期をレガシー(遺産)作りに懸命だ。

 とにかく大統領として歴史に名を残したくて仕方がないのだろう。

 その手段は、ノーベル平和賞に輝いた「核廃絶」宣言の上塗りであり、旧敵対国との和解だ。歴代大統領がやろうとしてできなかったことを6か月の間に成し遂げようというのだ。

 こう見ると、キューバ訪問にしてもベトナムや被爆地・広島訪問にしてもその狙いが手に取るように分かってくる。後世の史家は「ベトナムを訪問した最初の現職米大統領」「広島を訪れた最初の現職米大統領」としてオバマ氏の名前を未来永劫記録することだろう。

 国内政策では、全米の公立学校区と大学に対し、心と体の性が異なる「トランスジェンダー」の生徒・学生が自身の認識する性のトイレを使用できるよう義務づけるガイドラインを通達。LGBT(性的少数者)の権利を保護するのが狙いだ。

Obama & Hillary

Alter Egos: Hillary Clinton, Barak Obama, and the Twilight Struggle Over Amarican Power Mark Landler Random House, 2016

 南部中西部の保守的な州では反発が起こっているが、オバマ大統領は意に介さない。

 大統領の3選はないのでオバマ氏が再選されることはない。従って選挙民の動向を心配する必要もない。米議会共和党とは完全な絶縁状態にある。

 「やりたい放題のレイムダック大統領(任期切れ間近の大統領)」と皮肉る共和党幹部もいるくらいだ。

 「オバマ大統領の民主党」の次期大統領候補を決める代議員獲得競争ではヒラリー・クリントン前国務長官が大きくリードしている。

 しかし各州ごとの最高得票数争いでは伏兵バーニー・サンダース上院議員(バーモント州)が19勝23敗2分(5月19日現在)で善戦している。同上院議員は最後まで撤退しないと明言している。

世論調査は必ずしも選挙結果を見通せず

 サンダース善戦の背景についてこんな指摘がある。

 「ヒラリーはもともとオバマ政権の国務長官だった人間。民主党系労組や大企業から巨額の政治資金を得ている。ヒラリーが大統領になっても政治が抜本的に変わるとは思えない。民主党の一般党員や支持者がヒラリーに反発しているのはそのためだ」(米大手紙政治記者)

 「ヒラリーが一部でなぜ嫌われているかだって?そりゃ、あの高慢ちきな人間性だよ」(ロスアンゼルスのレストラン経営者、白人中年男性)

 が、クリントン指名に向けた流れは変わりそうにない。指名決定まであと、90人の代議員数を獲得すればいい。サンダース氏はあと850人必要だ(5月19日現在)。

 当然のことながら米国民の関心は、そのヒラリー氏と共和党大統領候補が確実視されてきた不動産王、ドナルド・トランプ氏との一騎打ちに注がれている。

 ここ1~2週間、トランプ氏が僅差でヒラリー氏をリードしているといった世論調査結果も出ている。予備選を振り回してきた世論調査が果たして本当に民意を反映しているのか。疑問視するものも少ない。

 「現在実施されている世論調査はすべて電話で行われている。が、米国内では固定電話所有者数は年々減っている。電話をかけてもなかなか受話器を取らない人が増えている。電話回答する層は暇なリタイア組、白人中高年層が多い。世論調査機関の老舗、ギャラップなどは大統領選の世論調査を一切やめているのはそのためだ」(カリフォルニア大学バークレイ校ジャーナリズム大学院教授

理想主義者オバマと現実主義者のヒラリー

 本選挙までまだ6か月ある。何が起こるか分からない。

 少し先走りすぎかもしれないが、「ヒラリー大統領」ってどんな大統領になるのか。オバマ大統領とはどこかどう違うのか。政治理念、政治手法の違いはなにか。いずれ論じられる興味深い命題だ。

 本書「Alter Egos: Hillary Clinton, Barack Obama, and The Twilight Struggle over American Power」はそれを予測するうえで貴重な材料を提供している。

 著者は、ニューヨーク・タイムズのマーク・ランドラー記者。外交、内政なんでもござれのベテラン・ジャーナリストだ。クリントン国務長官(当時)の国務省を担当、外遊には常に同行、外交の第一線から鋭い記事を送ってきた。その後オバマ大統領のホワイトハウス詰めとして現在に至っている。

 本のタイトルは難解だ。著者がこの本で書きたかったすべてがこのタイトルに凝縮されている。

 Alter Egoは日本語でも「アルター・エゴ」つまり「分身」だ。リベラリズムを標榜する2人はその意味では「一心同体の友」だ。

 「2人ともリベラルな国際主義者だ。ルールに基づく秩序を重んじ、第2次世界大戦後、ハリー・トルーマン第33代大統領とディーン・アチソン国務長官とが築き上げた戦後体制を堅持することでは完全に一致している」(著者)

 ところが危機に直面した際の2人の対応は異なる。米国という国家が持つパワーを国際社会でどう行使するか、という外交理念で2人は大きく異なるからだ。

ムバラクを見捨てたオバマに反発したヒラリー

 チュニジアで長期政権を倒したジャスミン革命に触発されて2011年1月から2月にかけてエジプトで起こったエジプト革命。約30年にわたり大統領の座に座り続けてきたホスニー・ムバラク大統領の退陣を迫った大規模なデモは、まさに騒乱だった。

 少なくとも850人が死亡、約5500人が負傷した。

 オバマ大統領は直ちにデモを支持し、ムバラク退陣に賛同した。しかしヒラリー国務長官は違った。

 長年にわたり米国との同盟関係を堅持してきたムバラク大統領の退陣には慎重な姿勢を見せていた。オバマ大統領はこうしたヒラリー氏のスタンスに激怒したと著者は書いている。

 「しかしながらオバマとヒラリーの間に生じた意見対立は、それがイラン問題にしろ、シリア、中国問題にしろ、中身に関するものではなく、むしろ戦術面でのものだった。つまり2人ともリベラル派国際主義者という点では同じだった。だからイスラム国(ISIS)を巡る意見対立も実は戦略面というよりも戦術面でのものだった。言い換えると、方向性というより程度の問題に関してだった」

外交理念の違いは2人の出自にあり

 その違いはその出自と育った環境にある、と著者は指摘している。

 「オバマは幼児・少年期にシングルマザーとともにインドネシア、ハワイで過ごす。米本土に住む米国人の子供に負けないだけの学力をオバマにつけさせようと母親は孤軍奮闘する。そのために絶えず本を読ませた。オバマはアフリカ人の父と白人の母との間に生まれた混血児だ。人種的偏見や差別を痛いほど経験してきた」

 「一方のヒラリーは、中西部シカゴ近郊の保守的な町で育った。父親はゴリゴリの反共主義者だった。熱烈な共和党支持者だった。だからヒラリーは学生時代にはボランティアで共和党候補を応援した」

 「ヒラリー自身、かって『私の政治信条は生まれ育った保守主義に根づいている』とまで述べていた。その後民主党に転向、リベラル派弁護士として社会の不正義、女性差別、人種差別に立ち向かう。だがヒラリーのプログレッシブな言動はあくまで保守的な基盤に根差していたと言える」

 「オバマは自制的であり、内向的であり、痛いほど自らをがんじがらめにしている制約に敏感だった。一方のヒラリーは、鋭角的であり、プラグチックであり、厚かましくて、オールドファッション(古風な)なところがあった」

 「オバマは理想主義者だった。米国が他の国は異なる国家だという考え方には組みしなかった。国家安全保障についてはナイーブなところがあった。一方のヒラリーはリベラル派干渉主義者だった。米国には神から与えられた不正義と戦う任務があると信じていた」

イラン核合意にいちゃもんつけたヒラリー

 2人の考え方の違いは、2008年の大統領選予備選でも露呈した。

 公開討論会で司会者から「大統領就任1年目に無条件でイラン、シリア、ベネズエラ、キューバ、北朝鮮の指導者に個別に会うか」と聞かれたオバマ氏はまごうことなくこう答えている。

 「私は会う。一定の国の指導者と会って、話をしないという考え方は馬鹿げている」

 一方のヒラリー氏は「イランの指導者はイスラエルと米国を完膚なきまでに打ちのめし、抹殺すると言っていることを忘れてはならない」とイラン指導者と無条件で会うことには難色を示した。

 おかしなことだが、あれから8年後、当時のオバマ氏と同じようなことを言っているのは今を時めくドナルド・トランプ氏だ。無条件で金正恩委員長と会うと言っている。

 国務長官辞任後、ヒラリー氏はオバマ大統領の外交政策について批判がましいことは一切口にしなかった。

 ただ大統領選立候補を表明して以降は、そうしたスタンスが微妙に変わってきている。

 2015年7月、オバマ大統領はイランとの「包括的共同行動計画」(JCPOA)で合意した。イランは今後10年、核開発が大幅に制限された。オバマ大統領はこの合意を「最強の核拡散防止合意だ」と自画自賛した。

 ところがヒラリー氏は「私の外交交渉上の出発点は常に相手の出方を疑うところから始まる」と慎重な言い回しで、この合意にいちゃもんをつけている。

 ヒラリー氏は、オバマ大統領が金科玉条にしてきたTPP(環太平洋経済連携協定)についても微妙な言い回しになってきている。むろん、民主党の強力な支援団体の労組の顔色を窺ったポーズだ。

 票目当ての選挙時の発言だということを差し引いても「オバマ離れ」が見え隠れしている。

 「ヒラリー大統領」がオバマ外交路線をそのまま踏襲すると見るのは甘いかもしれない。「ヒラリーのアメリカ」はリベラル派の看板を掲げながら、その実、「オールドファッションな保守路線」に舵を切るかもしれない。

 訪日のたびに元ファーストレディの「特権」を生かして「旧知の皇后陛下」とハグし合う「ヒラリー大統領」は知日派ではあっても「親日派」とは限らない。

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