兵頭 二十八著 『こんなに弱い中国人民解放軍』と6/23閻学通の日経記事について

如何に中国はプロパガンダがうまいかという事です。閻学通の記事もそう思って読まないと。平和を愛好する人間は必ず軍事のことに詳しくならないと敵のプロパガンダに踊らされ、却って戦争になるか、隷従の道を歩むかどちらかになります。戦争を防ぐために何故戦争が起きるのか、起きないためには何をすれば良いのか真剣に考えるべきです。企業でも問題が起きたときに、現状把握、原因究明、再発防止のプロセスを踏み、手を打つでしょう。それと同じです。民主党の枝野は憲法解釈変えたら次は徴兵制とか言っていますが、軍事の常識を知らない戯言です。普通軍事訓練をしない人間を戦地に送り出せば、足手まといになり、介抱に手を取られて戦闘どころではなくなります。効率を考えれば戦闘に馴れた集団がやった方が勝てると思います。全員を戦闘員にすれば、金とか女でよろめく兵士もいるでしょう。昔の大日本帝国時代とは違います。裏切るのが必ずいますので安心して使えません。今でも国のリーダーに敵の傀儡がいるくらいですので。

閻学通も認めている通り米中の利害は一致しないというか、中国が米国にあらゆる分野で挑戦しようとしているという事です。でも中国軍は兵頭氏の言う通り「張り子の虎」ですので「中国が相応の実力を付けるまで待って」と言うのが狙いです。「双方の摩擦が制御不能な災難につながることを防ぐしかない」と言うのは正しくそう。アメリカは騙されないように。騙すのが中国人の間では賢い人間と評価される訳ですから。オバマが軟弱だから頼りになりませんが。

閻氏の「中国はより多く周辺国の利益を考える。」とはよく言ったものだと思います。中華思想に汚染された中国人の本質がここに色濃く出ています。東南アジアの国々が南沙の問題で警戒し出しているのに気が付かないフリして言えることが凄すぎです。日本、ベトナム、フィリピンだけでなくマレーシア、シンガポールも警戒しています。

兵頭氏の本を読むと如何にアメリカは愚かか分かります。前にも書きました通り、米ハドソン研究所中国戦略センターのピルズベリーは「中国に騙されて来た」と後悔していますが気づくのが遅すぎます。FDRの時代から日本敵視政策を止めておけば今の事態はなかったでしょう。ニクソンと毛の密約はあって今でも生きているのではと思います。「瓶の蓋理論」がそうです。主敵は誰か見抜くことができなかったツケが回っているという事です。中国のことですから、キッシンジャーを筆頭に親中派の政治家に金を送っていると思います。でも過去より未来の方が大事。日米同盟を基軸にして多国間で中国包囲網を作り、戦争を防がねばなりません。

yanxuetong

 

 

 

 

 

 

 

 

6/23日経記事

米中、きょうから戦略•経済対話

海洋•投資…摩擦は必然

米国と中国は23〜24日に両国間の懸案を話し合う戦略•経済対話をワシントンで開く。対立が深まる両国の関係はどこに向かうのか。中国対外戦略に詳しい清華大学現代国際関係研究院の閻学通院長に聞いた。

習氏訪米後衝突も

—中国外務省は南シナ海の南沙(英語名スプラトリー)諸島で進める岩礁埋め立てについて「作業は近く完了する」と発表しました。米中間の緊張は緩和しますか。

「外務省の発表は、中国と米国の戦略•経済対話の環境を良くしようという狙いが明確だ。習近平主席が9月に訪米するまでは、衝突や摩擦が生じても、 規模や程度はそう深刻にはならない。だが訪米以降、 年末にかけて両国間で比較的深刻な摩擦や衝突が生じる可能性は排除できない」 —具体的にどんな事態が想定されますか。

「サイバー、海洋、人民元相場、国際通貨基金(I MF)のSDR (特別引き出し権)への人民元の採用、 投資、貿易赤字、宇宙、北朝鮮やイランの核問題… …。どの分野でも衝突は起こりうる。中国と米国の利益は一致せず、しかも、その分野は増えている。両国間の摩擦や衝突は必然だ」 「両国はまず、危機の防止や制御を重視して摩擦を減らす、もし<は摩擦が軍事衝突に発展することを防ぐ必要がある。さらに協力の強化を通じて、双方の摩擦が制御不能な災難につながることを防ぐしかない」

—中国が主導するアジアインフラ投資銀行(AI IB)の設立協定29日、 調印されます。

「AIIBが国際金融秩序に影響をもたらすことは明らかだ。一つは国際金融制度の再配置、もう一つは国際金融分野の権力の再分配だ。英国をはじめ欧州勢など多<の西側諸国が加入し、アジ地域に限られていたAIIBの影響力はグローバル規模に変化した。もともとはグローバルな影響力などなかった」

——AIIBは米中間の火種になりませんか。

「AIIBそのものが中国と米国の間の摩擦、国際金融秩序の矛盾の産物だ。 中国の発言権を大きくするMF改革は米国議会の承認が得られず、進んでいない。AIIBが摩擦を生むのではなく、摩擦や矛盾の結果生まれたのがAIIB だ」

—習指導部は周辺国外交を重視していますが、実際には摩擦が目立ちます。 なぜですか。

「中国が強調する周辺国外交とは、米国と中国の周辺国が衝突した際に中国が誰の利益に関心を払うかということだ。かつては米国周辺国との利害がぶつかった場合、中国は原則として中立か、中立に立てなけれぱ米国を支持するしかなかった。このことが中国と周辺国との緊張を生んだ」

「いまは米国と周辺国が衝突した際、中国はより多く周辺国の利益を考える。これが周辺国外交の一つの本質だ。立場が米国と一致するほど、中国の助けは要らなくなる。日本、ベトナム、フィリピンの立場に立った質問だと思うが、30力国以上ある中国の周辺国のうちの3力国にすぎな い」

—今回の対話に何を期待しますか。

「対話そのものの成果ではない。2力月余り後に迫る両国の首脳会談で成果を挙げるための条件をどう整えるかだ」

(聞き手は中国総局 大越匡洋)

兵頭氏の本の内容(P106~P.121)

中共の敵がロシアになった経緯

中共の技術開発チームは一九六七年、核弾頭を搭載した長距離弾道弾の製作に目途を付けた。ソ連はそれを予期していて、一九六六年にモスクワ周辺にABM(アンチ・ブリット・ミサイル)網を配置した。毛沢東は、「われわれも次ABMを持たねばならぬ」と思ったであろう。米国がつくっているような巨大なフェイズドアレイ・レーダーの設計が急がれた。

さかのぼると、中共とソ連の関係は、一九五八年以降、急激に悪化していた。ゴビ沙漠からニユーョークまでの距離よりも、ゴビ沙漠からモスクワまでの距離のほうが近い。ソ連は毛沢東が核ミサイルで武装しようとするのに対し、当然のように反対した。また、「理想世界」に二人の指導者は要らない。

こうして一九六〇年には、ソ連人の技術者が中共からすべて引き揚げ、一九六三年には北京対モスクワの舌戦が火花を散らした。その前年にはキユーバ危機もあった。

フルシチョフは、軍需に使っている国のカネをもっと民需に回してやらないと、ソ連国民の生活水準が改善されず(むしろ西側にどんどん格差をつけられ)、世界の共産化どころではないと判断するようになっていた。

毛沢東は、米国とすぐにも全面核戦争をしたがらないモスクワ指導部を、「修正主義」だと罵る。

一九六四年のロプノールでの原爆実験(東京オリンピック開催中であった)の成功後、国内の「修正主義者」を粛清しようと欲した毛沢東は、一九六六年から「プロレタリア文化大革命」をスタートさせた。

それに先行する毛の思いつきである「大躍進」政策から引き続いたこの政治的な大混乱のために、中共の経済と科学技術は、一九六七年の水爆実験成功など核兵器や大型ロケットの部門を除いて、一九八〇年代はじめまでの長く恐ろしい停滞期に入った。

一九六九年のウスリー川国境における武力衝突(ダマンスキー島事件)の直後、ソ連軍の機関紙『赤星』は、「現代の極左冒険主義者には核攻撃を御見舞いする」という記事を掲載した。

一方の米国は、ソ連からひそかに打診された「米ソ共同での対支先制核攻撃」案を断り、逆に、そのような誘いかけがモスクワからあったという事実を北京へ通牒した。

米支は実質的に「反ソ同盟」を組めるのではないかという模索も、毛沢東とキッシンジャー(当時、ニクソン大統領〈任期一九六九〜一九七四年〉の国家安全保障問題担当大統領補佐官) の胸中で始まっていた。

とすれば、中共にとり、当面の脅威は米国ではなくてソ連である。

モンゴル方面からのミサイル対策

そこで一九六九年、モンゴル方面から北京に向かって飛来する中距離核ミサイルを探知するための大型フェイズドアレイ•レーダーが、無理な背伸びであることは承知のうえで、一カ所以上、建設されることになった。ABM弾頭とするミニ原爆の研究も、あわせて推進された。

弾道弾早期警戒システムを機能させるためには、普段、宇宙空問を周回している衛星などの物体を、あらかじめ全部「カタログ化」しておく必要がある。さすれば、国際情勢が緊迫したとき(ソ連は開戦前に必ず国際宣伝を打つし、核攻撃には必ず他部隊の侵攻も連動するので、動員の兆候もある)に、カタログにない軌道で飛んでくる物体を、ソ連の核ミサイルではないか、と疑いやすい。そのカタログづくりのためにも、フェイズドアレイ•レーダーは早く建設しなければならないのだ。

工事は一九七〇年から始まった。北京から一四〇キロ北西にある、標高一六〇〇メートルの山腹に、「高さニ〇メートルX幅四〇メートル」の大レーダーが、北西の方角に正対して、組み上げられた。

アンテナ背後の内部には地下鉄並みの大トンネルが穿たれた。その内部は除湿空調され、石油を燃やす発動発電機などの必要な装置を収容した。

電波送出素子を計画の四分の一だけ並べた段階で、テストも実施した。そしてレーダーを作動させると、発動発電機は一日に五〇トンの石油燃料を消費。レーダー面の前方に転がっていた蛍光灯が、電波のエネルギーを受けて、照明器具に取り付けられてもいないのに光り輝いたという。

しかし残念ながら、これら初期の中共製のフェイズドアレイ・レーダーは、すべて期待水準に満たなかった。当時の中共は、どの先進外国からも部品や技術を買いつけることはできず、ダイオード素子やプリント基板にすら事欠いたのだ。

大型フェイズドアレイ・レーダーを構成するために何千個から何万個も必要となる「テジタルフェイズシフター」と呼ばれる回路を、とても国内量産できなかった。

米支間の密約で日本は

一九七一年前後の米支関係について、説明しておくことがある。 読者はこういう疑問を持つのではないだろうか。 –今日、世界第二位の公称GDPを誇るまでの金満国となりおおせた中共がどうして 旧ソ連みたいにICBMを何百基も大量生産して、米国との戦略核戦力のパリティ(対等) や、MAD (相互確証破壊)を追い求めないのか—?

MADというのは、もし外国から先制核奇襲を蒙むっても、そのお返しに主要敵国の本土の主要都市に、壊滅的な大打撃を与えられることがほぼ間違いないと自他ともに信じられるようなシステム構成の、第二撃(報復)用の戦略核兵力を保持する政策の略号だ。

この、MADによる「敵からの第一撃(核奇襲)の抑止」は、核戦力が量的に厳密に対等でなくとも、実現され得る。

中共には、何をするにも資金は潤沢にある。核ミサイル関連の技術も、ほどほどにだが、あることはある。ただ、多弾頭核ミサイルの技術はまだモノにできていない。潜水艦発射式の長距離ミサイルも開発ができていない。が、車両で随所に移動させられる単弾頭の大陸間弾道ミサイルならば、いくらでも量産可能な水準だ。これは敵の第一撃を受けても全滅はしないので、第二撃用としてカウント可能だ。

ミサイル基地用地の確保にも苦しんでいない。シナ奥地には、人が住んでいない広大な沙漠がある。人が多少存在しようと関係ない。住民や通行人の誰にも文句などいわさない。そういう軍用地事情の面でも特に不自由を感ずることがない。

それならばなぜ、旧ソ連のようなMADを、中共は選択しないのだろう?

ロシアはついに70年間、アメリカから一回も核攻撃を受けなかった。一九九一年にソ連が崩壊するときにも、その直後にも、周辺国から侵攻されなかった。これは、すべて対米MAD態勢のおかげであった。

選ぶことが可能な便利な道を、敢えて進まないことによって、中共は、安全保障上の、いかなるメリットを得ているのか?米国から先制核攻撃されたり、米国を後ろ盾とする周辺国から侵略されてもいいと思っているのだろうか?

対米MAD態勢がなければ、中共は、それら周辺国軍相手に戦術核兵器を行使することも難しく なるのである。脅しをかけにくいからだ。

こうした謎を矛盾なく説明できる仮説があると私は思っている。「一九七一年前後に、米国大統領ニクソンと、当時の中共独裁者たる毛沢東との間で、『ICBM競争はしないでおこう』という密約を結んだから」ではないのか。

このときニクソンは、日本を「切り札」に使った。その頃、日本は経済力の「高度成長」の真っ只中にあり、それに連れて自衛隊の予算も自然にどんどん増えていた。趨勢として、自衛隊の増強は果てしないのではないかと、北京は心配した。

まずアジアを支配し、ついで世界を支配したいと念願している中共指導部にとり、隣国の日本にすら軍事的に勝てないのでは、格好悪いこと甚だしい。

そこでニクソンと毛沢東は、日本を将来も核武装させないことに、共通の国益を見出したのだろう。

一九七一年春、ニクソンは、東京郊外の複数の空軍基地から、核攻撃部隊をすべて撤収させて、米軍が占領中の沖縄の基地や米本土の基地へ移転させた。東京から「核の傘」を撤去したのである。これによって中共は、「東風3」という中距離弾道弾によって、米軍の自動報復を招くことなしに、いつでも東京を破壊できることになった。

その見返りに毛沢東は、中共が将来開発するつもりの、米国まで届く ICBMの数量を、名目的・宣伝的な意義しかない 一二基程度に抑制することを誓った。それだけでなく、その ICBMからは普段は水爆弾頭を取り外しておいて、物理的に先制攻撃ができないようにすることや、「ラーンチ•オン・ウォーニング」を考えないことも、約束したのだろう。だか らこそ、対米弾道弾早期警戒システムはつくられないのだ。

米支間の唯一の密約が、この「核密約」なのだと私は思っている。

この密約は、米国においては大統領が交代する都度、そして中共においては毛沢束→華国鋒→鄧小平→江沢→胡錦濤→習近平と、党中央軍事委員会主席が代わる都度、口頭で相伝されているのであろう。

しかし、SLBM (潜水艦発射弾道弾)や戦略重爆撃機については、毛とニクソンは何も密約しなかった。だからアメリカは、中共の戦略ミサィル潜水艦の開発や配備の動向には特別に神経を尖らせている。中共海軍も、SLBMの宣伝を盛んにしてアメリカ人を挑発することについては、党から規制を受けないようである(以上の密約の詳しい背景解説が気になる方は、兵頭二十八の既著『ニッボン核武装再論』(並木書房)や『北京が太平洋の覇権を握れない理由』(草思社文庫)その他によってお確かめくだされたい)。

ソ連と中共の大違いとは

あと少し余談を続ける。読者はもう一つ疑問を持つことであろう。

米国は、ソ連崩壊前から、ロシアとの二国間で、国家の安全を決定的に左右するような軍備管理条約、軍縮条約を、いくつも締結している。

モスクワやニユーヨークなど互いの心臓部を破壊できる戦略核兵器の制限に関するものだ。その遵守のためには、米ソ両軍とも、既存の戦略核兵器のいくつかを廃棄して削減しなければならなかったこともある。プロの軍人なら、それに文句をつけたかっただろうが、 両軍ともに忠実に従って、文民政府が公的に交わした約束を裏で破ったりしなかった。

 しかし、これと似たような条約が、米支間で呼びかけられたことはない。

米軍は第二次世界大戦のあと、いつでも北京などの主要都布やシナ全土の軍事施設を、思うままに核空襲することができた。中共軍も一九七〇年代から、大型ロケットに核弾頭を搭載して米国心臓部を狙うことのできるポテンシャルを手に入れ、一九八〇年代には、米国東部の政治.経済中心地区まで届く ICBM(水爆弾頭付きの大陸間弾道ミサイル)を名目的な数ながら展開している。

そしてソ連が崩壊した一九九一年以降は、中共と米国の間では「新冷戦」がスタートしている。

いつ水爆ミサイルが飛び交うかもしれないという、このあぶなっかしい二国間関係を、 米支間で「核軍備制限協定」のようなものをまったく結ばないまま、なるようにしておけばいい—とは、まさか米国の政治家の誰も思っていないだろう。

しかし、それは不可能であったし、これからも不可能であろう。 理由はソ連と違って文民統制国家ではないからなのだ。

中共は、戦前の大日本帝国とよく似ていて、軍隊が文民政府のいうことに従わないという「勝手気儘権」を謳歌できるのである。

ニ〇一一年一月一一日、当時のゲーツ米国防長官が中共を訪れ、胡錦濤と会う数時間前に、中共軍は秘密裡に開発してきた「殲20」ステルス戦闘機の初飛行テストを挙行し、世界を騷がせた。ゲーツおよびその随行員が目撃したところでは、明らかに胡錦濤はそのデモンストレーションについて何も承知しておらず、ゲーツから会談の場で質問されて、うろたえていた。

二〇〇四年から党中央軍事委員会主席であるはずの胡錦濤は、中共空軍を政治的にコントロールできていない、その事実がパレてしまった瞬間だった。

ニ〇〇七年一月一一日に「第二砲兵」が、故障したまま周回していた中共製の気象衛星を、高度八五九キロで破壊して、宇宙空間に四万個のデブリ(危険な破片)を撒き散らした迷惑なミサイル・デモンストレーションについても、中共外交部の報道官は当初、「それは噂に過ぎない」と記者会見で語るしかなく (後日になって認めた)、政府の文官セクションがこの計画をまったく事前に相談されていなかったことを世界に知らしめてしまった。 ちなみに「一月一一日」が重なっているのは、これは偶然ではない。共産圏では、国際宣伝.上の大イべントの日付を、無理をしても意図的に重ねようとするのである。

将来仮に北京の文民政府が米国ワシントン政府と何か核軍備について細かく規制する協定を結んだとしても、軍人どもはそれを守らずに陰で「ズル」をやらかすであろう。それが、あらかじめ読めてしまう。

否、おそらくそのような協定の締結そのものを拒否するように、軍人たちが文民政府に迫るであろう。シナの文民政治家には、それも予見できる。だから体面を守るためには、交渉の呼びかけそのものをしないでほしいと、米国に向かって水面下で頼むことになるのだ。

米ソ間では実行され得た僻地の基地にまで陸上から人を派遣しての厳密な「相互査察」 も中共の軍幹部は厭がって、許さないだろう。衛星による査察は、中共軍のスパイ衛星の性能があまりに低すぎて、相互対等性の確保が図れない。これまた、北京の文民政府には、どうにもできない。

このような政体構造を承知するから、米国のほうも最初から呼びかけないのである。

ところで毛=ニクソンの密約が守られているのならば、それは、中共にレッキとした 「文民統制」が存在する証拠とはいえないのだろうか?

違うのだ。

この密約が中共の軍人によっても守られ続けている理由は、あくまで、「それが毛沢東の命令だったから」なのだ。鄧小平がいい含めたり、江沢民がいい聞かせたわけでは、ぜんぜんない。中共軍の最高幹部もただ、死んだ毛沢東の遺命ゆえに、それを秘事として伝承し尊重するのだろう。

鄧小平の没後は指導者不在

今日の中共を動かしているのは、「国家主席」でも「ナント力委員会総書記」でも「なんたら委員会主席」でもない。それらを多数兼任している誰かでもない。 特定の将軍たちでもない。テレビに映し出される誰彼でもない

歴代シナ王朝には、いくたびもこのような時代があった。皇帝にイニシアチヴがなく、大物宰相も不在の時代が・・・・・。

しかし、現在の彼らの体制にとっての「神」はある。毛沢東(の亡霊)だ。そして神の残した命令を解釈改憲した「偉大な預言者」も現れた。鄧小平だ。この二人は、確かに中共の 「指導者」だった。

が、鄧小平没後では、シナに指導者などいない。この真相を隣固のわれわれは正しく知っていなければ、甚だ危うい。

その毛は、スターリンの没後、「中共こそが世界の支配者にならなければならないので、 米ソの手先になるような者は殺せ」と決めた。誰であろうと対等者の存在など決して許さないという圧倒的な指導で、まず一九六四年に核実験を成功させた毛は、さらに、核弾頭を搭載できる国産地対地ミサイルの射程を、逐次延伸させた。

ミサイルの射程が一万キロ以上になれば、それはニユーヨークにも届く ICBMになる。が、それより前により近いモスクワが、中共製の核ミサイルの射程内におさまってしまうことは、自明な道理であった。

モスクワは中共内の実力ナンパー2の劉少奇を代弁人にして、なんとかその路線を変更させようと図った。が、毛沢東は一九六六年から六九年にかけて劉少奇を追い詰めて死に至らしめた。

ソ連は、エージエントを使った工作が失敗した場合の「プランB」として、モンゴルから戦車部隊を電撃侵攻さ.せ、ゴピ沙漠にあった中共のミサイル発射基地や核施設を破壊制圧し、あわよくば中共に傀偏政権を樹てることも本気で考えていた。だが、実行前に水面下で賛同を求めた米国(第一期ニクソン政権)がイエスといわなかったため、ついに諦められている(米国は偵察衛星等の航空写真により、このモンゴルにおける部隊集中も知っていた)。

どの隣国とも「共存」などないと考えているシナ人はすぐに逆襲に出た。ソ連との国境をなしていたウスリー川の中洲「ダマンスキー島」で、わざと負けるような小競り合いを国境警備隊に仕掛けさせ、その軍事衝突を派手に報道させた。ニクソン政権と大衆に、もはや疑いようもないメッセージを送ったのである。

それまで米国人は、ソ連と中共はいろいろと論争はしているけれども、結局は同じ穴のムジナで、いつかは共同で対米核戦争をやる気なのだろうと疑っていた。だが「ダマンスキー島事件」は、米国の庶民にすら、「中共とソ連はもはやほとんど戦争状態に突入していて、 これほどの抜き差しならぬ対立関係は当分、変わりはしないだろう」と了解させた。

これで、米国政府(第二期ニクソン政権)の新外交が、やりやすくなったのである。すなわち、事実上の「米支協商」を成立させる。それによって対ソ軍拡競争を、いままでよりコストの低いものに変えるのだ。

中共が味方になるなら、ベトナム戦争から手を引く政策(それはニクソンの最初からの公約だった)も、格好がつくだろう。ベトナムだけでなく、アジア全域から、対ソ戦と関係のない駐留米軍は引き揚げてしまってもいいだろう。

そこから毛沢東とニクソンとの間にどんな密約が相談されたと考えられるかは、既に書いた通りだ。

シナでは対等な他者は常に「敵」

核武装によって、毛沢東は、世界史が近代の段階に入った「清末」以降、初めて筆頭超大国を凌駕できるかもしれぬ手掛かりをシナ人に与えていた。だが、初の原爆実験を行った一九六四年からニクソン大統領訪中までの八年問ほどは、中共は米ソからいつ核で挟撃されて消滅するかもしれない危機でもあった。

その前には、米国から核攻撃されても奥地の農村が生き残るためだとして、一九五八年から「人民公社」という国防単位を強制したが、その生産性が悪かったので、シナ全域で一ニ〇〇万人が餓死したともいわれている。そんな苦しい時期を乗り切ったのも、一九六六年か らの「文化大革命」を含めた毛沢東の独裁的な指導力だった。

そしてついに毛沢東は、米国と密約を結んで中共を生き延びさせた。毛が、中共の永遠の神とされるのは至当であろう。

しかし、米国人はシナ人の世界観について無知であった。シナ人の人生哲学にも倫理にも「対等」の二者関係など絶対にあり得ないのだ。「友好」は、相手を凌ぐまでの一時的な方便でしかない。毛沢東は米国を、いつかは屈従させるべき相手だと考え続けた。それは後継指導者の鄧小平も同じである。

中共が米国の下位にあるときは我慢して、米国からの攻撃をかわす智恵を絞ることに努める。そしていつしか中共が米国と力が並んだとき、その日から米国を直接•間接に攻撃し、米国を中共に対して屈服させる。

米国が「中共様が一番です」と認めるまで、この攻撃は止めない—。

対等の付き合いなど、彼らにはしっくりこないのだ。シナ人は本能的に対等な関係は危険で不安定な状態に他ならず、安心できないと感ずる。儒教古典の『孟子』のなかに「敵」という字が出てくるが、それは「対等の他者」を意味していた。 シナ人にとって対等な他者とは、常に敵でしかないのである。

 

 

 

 

 

6/22NHKニュース『自民 「東京裁判」や憲法の制定過程を検証へ』報道について

6/22朝のニュースで表題について放送していました。自民党もやっと「東京裁判の見直し」について議論ができるようになったかという思いです。それほどアメリカの凋落ぶりが大きいのかもしれませんが。でも自民党の若手議員の集まり「過去を学び、分厚い保守政治を目指す若手議員の会」(岸田派の武井俊輔議員(衆院・宮崎1区)、國場幸之助議員(衆院・沖縄1区)と無派閥の石崎徹議員(衆院・新潟1区)が発起人)にエズラ・ボーゲルを呼んで勉強会をしている映像が映りました。ボーゲルは「日本は戦時中の加害の歴史を認めるべきだ」と言ったと別のネットで読みましたが、「お前が言うな」という事です。自分の国の影の部分には目を瞑り、アメリカに対抗しようとする中韓を増長させることが分かっていません。こういう手合いを呼ぶところに、自民党の若手も大学教授の影響、日教組の影響を色濃く受けて来たというところでしょうか。ま、警察で犯人をゲロさせるときの役割分担のようなものであればいいですが。

彼らはまともに、パル判事の書いたものを読んだことがあるのでしょうか?靖国神社の裏にパル判事の顕彰碑があり、そこには「時が熱狂と偏見とをやわらげた暁には また理性が虚偽からその仮面を剥ぎ取った暁には その時こそ正義の女神はその秤を平衡に保ちながら 過去の賞罰の多くに そのところを変えることを要求するであろう」と刻まれています。

中国の台頭を封じ込めるには堅固な日米同盟は必要ですが、過去の歴史に目を塞ぐことは、虚偽の慰安婦問題や南京虐殺問題同様、子子孫孫に罪を負わせることになります。アメリカも「修正主義者」と非難するかもしれませんが、言わない限り彼らも気づきません。何せ戦後70年も経っているのですから。それより、日本人がもっと勉強する必要がありますが。民主主義国で国民の団結こそが相手を納得させる大きな力になります。勿論韓国は民主主義国ではありませんから、団結もムダというものですが。

Radha Binod Pal Yasukuni

 

 

 

 

 

 

内容

6/22NHKニュース

自民党は、いわゆる『東京裁判』の判決内容や、今の憲法の制定過程などについて、党の政務調査会に新たな組織を設けて、検証を始める方針です。

自民党は、いわゆる従軍慰安婦の問題を巡って、「一部の誤った報道をきっかけに傷つけられた日本の名誉を回復する必要がある」として、特命委員会を設けて、検証を進めていて、来月、政府に検証結果などを報告することにしています。

これに続いて、自民党は党内の意見を受けて、いわゆる『東京裁判』の判決内容や、今の憲法の制定過程、それに、戦後のGHQ=連合国軍総司令部の占領政策などについても、党の政務調査会に新たな組織を設けて検証を始める方針です。

稲田政務調査会長は「東京裁判の結果を否定するつもりはないが、その理由の中に書かれた歴史認識はずさんなもので、日本人自身が検証する必要がある」と話しています。

自民党内では、こうした動きの一方で、若手議員らが歴史の教訓を党の政策立案に生かすとともに、党内に政治理念などを巡って多様な意見があることを示そうと、有識者や戦争を体験した人たちから話を聞く勉強会を開いており、戦後70年の節目に合わせて歴史の評価を巡る議論が活発になっています。

東京裁判 パール判事のことば(Facebook記事より引用)

「ああ 真理よ!

 あなたはわが心の中にある。

 その啓示に従ってわれは進む」

「日本人よ、日本に帰れ! とわたくしは言いたい」

「東京裁判の影響は、原子爆弾の被害よりも甚大だ」

「この”過ちは繰返さぬ”という過ちは誰の行為をさしているのか。もちろん、日本人が日本人に謝っていることは明らかだ。それがどんな過ちなのか、わたくしは疑う。ここに祀ってあるのは原爆犠牲者の霊であり、その原爆を落した者は日本人でないことは明瞭である。 落した者が責任の所在を明らかにして”二度と再びこの過ちは犯さぬ”というならうなずける。この過ちが、もし太平洋戦争を意味しているというなら、これまた日本の責任ではない。その戦争の種は西欧諸国が東洋侵略のために蒔いたものであることも明瞭だ。さらにアメリカは、ABCD包囲陣をつくり、日本を経済封鎖し、 石油禁輸まで行って挑発した上、ハルノートを突きつけてきた。アメリカこそ開戦の責任者である」

「東京裁判で何もかも日本が悪かったとする戦時宣伝のデマゴーグが これほどまでに日本人の魂を奪ってしまったとは思わなかった」

「日本人はこの裁判の正体を正しく批判し、 彼らの戦時謀略にごまかされてはならぬ。 日本が過去の戦争において国際法上の罪を犯したという錯覚におちいることは、 民族自尊の精神を失うものである。 自尊心と自国の名誉と誇りを失った民族は、 強大国に迎合する卑屈なる植民地民族に転落する。 日本よ!日本人は連合国から与えられた”戦犯”の観念を頭から一掃せよ」

『激動し 変転する歴史の流れの中に 道一筋につらなる幾多の人達が 万斛の想いを抱いて死んでいった しかし 大地深く打ちこまれた 悲願は消えない 抑圧されたアジア解放のため           その厳粛なる誓いに いのち捧げた魂の上に幸あれ ああ 真理よ! あなたはわが心の中にある その啓示に従って われは進む』

  1952年11月5日

「子孫のため歴史を明確にせよ」

「1950年のイギリスの国際情報調査局の発表によると、 『東京裁判の判決は結論だけで理由も証拠もない』と書いてある。ニュルンベルクにおいては、裁判が終わって三か月目に裁判の全貌を明らかにし、判決理由とその内容を発表した。しかるに東京裁判は、判決が終わって4年になるのにその発表がない。他の判事は全部有罪と判定し、わたくし一人が無罪と判定した。わたくしはその無罪の理由と証拠を微細に説明した。しかるに他の判事らは、有罪の理由も証拠も何ら明確にしていない。おそらく明確にできないのではないか。だから東京裁判の判決の全貌はいまだに発表されていない。これでは感情によって裁いたといわれても何ら抗弁できまい」

「要するに彼等(欧米)は、 日本が侵略戦争を行ったということを歴史にとどめることによって自らのアジア侵略の正当性を誇示すると同時に、日本の過去18年間のすべてを罪悪であると烙印し罪の意識を日本人の心に植えつけることが目的であったに違いがない。東京裁判の全貌が明らかにされぬ以上、 後世の史家はいずれが真なりや迷うであろう。歴史を明確にする時が来た。そのためには東京裁判の全貌が明らかにされなくてはならぬ。・・・これが諸君の子孫に負うところの義務である」

「わたしは1928年から45年までの18年間(東京裁判の審議期間)の歴史を2年8ヶ月かかって調べた。 各方面の貴重な資料を集めて研究した。この中にはおそらく日本人の知らなかった問題もある。それをわたくしは判決文の中に綴った。このわたくしの歴史を読めば、 欧米こそ憎むべきアジア侵略の張本人であることがわかるはずだ。しかるに日本の多くの知識人は、ほとんどそれを読んでいない。そして自分らの子弟に『日本は国際犯罪を犯したのだ』 『日本は侵略の暴挙を敢えてしたのだ』と教えている。満州事変から大東亜戦争勃発にいたる事実の歴史を、どうかわたくしの判決文を通して充分研究していただきたい。 日本の子弟が歪められた罪悪感を背負って卑屈・頽廃に流されてゆくのを、わたくしは見過ごして平然たるわけにはゆかない。彼らの戦時宣伝の偽瞞を払拭せよ。 誤れた歴史は書きかえられねばならない」

「日本人はこの裁判の正体を正しく批判し、 彼らの戦時謀略にごまかされてはならぬ。日本が過去の戦争において国際法上の罪を犯したという錯覚におちいることは、 民族自尊の精神を失うものである。自尊心と自国の名誉と誇りを失った民族は、 強大国に迎合する卑屈なる植民地民族に転落する。日本よ!日本人は連合国から与えられた”戦犯”の観念を頭から一掃せよ」

 

6/17日経ビジネスオンライン 福島香織 『周永康はなぜ死刑にならなかったか 裏取引か不文律か、闘争はさらに複雑化』記事について

「刑不上常委」(=政治局常務委は罪に問われない)という不文律は周永康の逮捕で破られましたので、「党内闘争で人を殺してはならない」と言うのも歯止めがかからなくてもおかしくはなかったでしょう。何故死一等減じられたかは分かりません。本文にありますように習と王の周りは皆敵なので、取引したことは間違いないでしょう。間違っても善意で寛大な措置をしたわけではありません。習の収賄資産が1兆6000億円と言われていますので、これを没収して、敵の懐柔原資にしたことも考えられます。金に弱い民族で、金のためには平気で裏切る体質ですから。

樋泉克夫のコラムによれば『中国は先ずは万古不易の性懲りもない賄賂帝国といったところだが、ワイロ問題に突き当たるたびに思い出されるのは林語堂の『中国=文化と思想』(講談社学術文庫 1999年)の次の一節だ。

 「中国語文法における最も一般的な動詞活用は、動詞『賄賂を取る』の活用である。すなわち、『私は賄賂を取る。あなたは賄賂を取る。彼は賄賂を取る。私たちは賄賂を取る。あなたたちは賄賂を取る。彼らは賄賂を取る』であり、この動詞『賄賂を取る』は規則動詞である」

 だとするなら、習近平政権が推し進める腐敗摘発で「虎」の一匹として仕留められ、北京の約30キロ北方に位置する「最神秘的監獄」である秦城監獄にブチ込まれた周永康は、裁判の際、はたして「私は中国では古来続く役人の伝統を順守し、『規則動詞』に従って行動しただけだ」と抗弁しただろうか。それとも判決を聞きながら心の中で「私は賄賂と取る。習近平は賄賂を取る。李鵬は賄賂を取る。私たち旧指導部は賄賂を取る。あなたたち現指導部は賄賂を取る。共産党幹部は賄賂を取る」とでも唱えただろうか。いずれにせよ、共産党もまた歴代王朝から国民党政権まで続く官場伝統文化をしっかりと引き継ぎ、「中国語文法における最も一般的な動詞活用」を忠実に守っているものだ。少なくとも賄賂文化に関する限り、「旧」も「新」も中国であることに大差はないということだ。ッったくもう、どうしようもないなア。』とありました。中国ではあらゆる階層で賄賂を取るのが当たり前の社会ですから。小生は目の前で体験したことがありますので、中国から帰国した時に(2005年)話したら「人種差別主義者」という目で見られましたが、今は流石に小生の話を「差別」レベルで捉える人は少ないでしょう。

李小琳が軟禁状態にあるという事は、まだ大トラを叩くのは止めないという事だと思います。逮捕という脅しと金で籠絡というアメとムチの政策を取っているのかもしれません。しかし、軍部の動き(特に南沙諸島は軍の面子絡むので)とアメリカの動き(ペンタゴンの考えや在米華人の幹部の腐敗証言)、経済崩壊という習政権に与える影響の大きいファクターもあり、その動きによっても政権延命できるかどうかです。

記事

周永康の判決があっけなく出た。無期懲役と予想よりも軽いものだった。それまでの、周一族の腐敗ぶりの喧伝、起訴段階でわざわざ機密漏洩容疑を付け加えたこと、習近平暗殺未遂の主犯は周永康であるといった香港などからのゴシップ報道を合わせれば、習近平政権は、彼の死刑判決を望んでいたと言われていた。少なくとも周永康が死刑判決を受けても、国民としては納得せざるを得ないだけの犯罪に関わっていたという印象を与えていた。しかも、彼と共謀していたといわれる元重慶市党委書記・薄熙来の公判が大々的にショーとして人民に公開され、SNSの微博などでもその発言や表情を逐一発信されたのとは違い、裁判は非公開でそそくさと行われた。裁判でどういった証言ややりとりがあったかは、目下ほとんど外に漏れていない。これはどうしたことか。なにか裏取引でもあったか。それとも、習近平が妥協したのか。

「無期懲役」「上訴しません」

 6月11日、天津市第一中級人民法院で周永康に対する判決は言い渡された。CCTVでもその様子は放送されたが、かつて「百鶏王」のあだ名をもち、精力絶倫といわれ脂ぎっていた周永康は、その見る影もなく、頭髪は真っ白に変わり、顔も痩せほそり、こめかみには老人特有のシミが浮いていた。やや猫背になり、自分より上背のある警官にはさまれて被告人席に座る様子は、権力闘争の敗北というもののみじめさを視聴者に伝えるには十分だった。

 だが、その判決内容は、おそらく多くの人たちが予想していたよりも甘かった。

 無期懲役、政治的権利の終身剥奪、および個人財産の没収。罪名は職権乱用罪で懲役7年、故意の国家機密漏洩罪で懲役4年、そして約1.3億元の収賄罪、この三つの罪を合わせると無期懲役という。判決を言い渡されている間、周永康は観念したように目をつぶり、最後に罪を認め、上訴しません、と答えた。

 新華社によると5月22日に裁判は開かれ、犯罪事実に関する証拠が提出されたが、国家機密に関わるものも含まれるために公開はされなかった。証言台には、四川の政商で、周永康の長男・周斌のビジネスパートナーでもあった呉兵らが立ち、また周斌と、周永康の妻で元CCTV美人キャスターの賈暁曄の証言ビデオが流されたとか。

 そこで、周永康および、周斌、賈暁曄は呉兵、丁雪峰(元山西省呂梁市長)、温青山(元中国石油天然ガス集団会計師)、周灝(元中国石油天然ガス集団遼河油田公司党委書記)、蒋潔敏(元国有資産管理委員会主任、元中国石油天然ガス集団会長)らに利益を図るために、彼らから計1億2977万2113元に相当する金品を受け取ったことが、証言されたとか。

 このほか李春城(元四川省党委書記)の証言で、周永康は李春城や蒋潔敏に指示して、息子や妻、弟夫婦らが経営する企業に便宜を図らせ、違法な利益21.36億元以上を得させた上、14.86億元以上の経済損失を国家と人民に被らせたとか。

 また元人気気功師の曹永正の証言によれば、警察の捜査記録など国家機密保護法の規定に違反する絶密文書5部が周永康の事務所にあり、またある機密文書については、その内容を曹永正に見せたとか。

表向きはこれで決着、だが…

 こういった証拠・証言を前にして、周永康はすべて事実であり、異議はありませんと答えたという。

 周永康は法廷での最後の陳述で、「検察からの指摘を受け、基本事実をはっきりさせ、罪を認めて悔いたいと思う」「関係者から家人が受け取った賄賂は、実際のところ私の権力に対するものであり、責任は私が追うべきである」「個人的事情から法を犯し続けたことは客観的事実であり、党と国家に重大な損失をもたらした。私の問題が規律と法によって処理されたことは、厳しい規律に従う党と法治国家の決心を全面的に体現している」と神妙に語ったそうだ。今年4月3日に起訴された周永康の事件は、表向き、これで決着がついた、ということになる。

 この判決について、いろいろと腑に落ちないことがあるので、いろいろ想像力をはばたかせてみたい。憶測を重ねるので、眉に唾をつけながら読んでほしい。

 周永康事件は、薄熙来事件からつながる事件である。薄熙来事件とは、2012年秋の党大会で政治局常務委入りを目指し、「唱紅打黒」(革命家唱和と腐敗撲滅キャンペーン)という大衆運動でアピール中の薄熙来が、その側近で重慶市公安局長だった王立軍と、薄熙来妻・谷開来の犯した英国人殺人事件の処理をめぐって対立、薄熙来から命を狙われると思った王立軍は、薄熙来失脚の決定的証拠を持ったまま成都市の米総領事館に逃げ込み、薄熙来のさまざまなスキャンダルが表ざたになり、失脚した一連のできごとである。

謀議の録音が米国経由で習近平に?

 薄熙来は収賄罪、横領罪、職権乱用罪などで無期懲役判決を2013年秋に言い渡された。実はこのとき、薄熙来が本当に失脚させられた理由は、彼の野望が政治局常務委入りにとどまらず、習近平から政権の座を奪うことであった、といわれている。いわゆる薄熙来クーデター説である。その片棒を担ぐと約束したのが周永康であった、といわれている。

 この説を最初に報じたのは、統一教会系の米国紙ワシントン・タイムズのビル・ガーツ記者だったのだが、この情報の出所は、王立軍が米総領事館に持ち込んだ録音だったという。

 私も又聞きの又聞きなのだが、その録音には、薄熙来が、父親薄一波ゆかりの成都軍区雲南第14軍の力を背景に2014年に強制的に習近平を引退させ、薄熙来が政治の実権を握る計画を周永康に相談している声が入っており、その時、周永康は「機が熟したときには、私も300万銃(公安警察、武装警察ら周永康指揮下にある武力)を引き連れて味方しますよ」と発言したとか。この録音が、米国経由で習近平の耳に入り、序列第9位の政法委書記と重慶市党委書記の軍事クーデター共謀説の根拠となった、らしい。

 冷静に考えると、軍事クーデターなど、そうそう簡単に実現できるものではないので、幼馴染の弟分が総書記出世コースに乗ったことに僻んで、鬱屈した薄熙来が、「おれはいつか天下とってやるぞー!」と与太話をしたのに対して、愛人も共有する大親友の周永康が「わかった、わかった。その時は、俺も加勢してやる」となだめた程度のものかもしれない。しかし、この時の習近平の受けたショックは激しく、薄熙来、周永康への復讐を心に誓ったとか。幼馴染の薄熙来はともかく、実際に公安・司法権力を掌握していた周永康の謀反心への怒りは深く、本気で極刑で報いるつもりであったとか。

なぜ予想より軽かったのか

 香港ゴシップメディアが、習近平が約6回の暗殺未遂に遭遇し、そのうち2回は周永康の指示によるものだと報じたのは、国家指導者暗殺容疑のイメージを植え付けようという習近平サイドのリークである、とも聞いた。暗殺やクーデターを計画した危険人物なので、極刑判決もやむなし、と人民に思わせるための前工作だと。

 また機密漏洩容疑を付け加えたのも、スパイ罪なら最高死刑もありうるからだと言われていた。ちなみにこの機密とは、北朝鮮の高官・張成沢と中国要人との会談内容を金正恩サイドにリークしたという今年2月の香港報道と関係あると見られていた。これが中国にとっての重要な北朝鮮パイプであった親中派の張成沢の粛正につながったとすれば、周永康のやらかした罪は万死に値しよう。動機は、薄熙来失脚連座を恐れて北朝鮮亡命を画策するため、だとか。

 これらの情報が嘘かまことかは、検証するすべはない。ただ、多くの中国国内外の専門家や評論家が、この判決は予想より軽かったと感じたのは事実だろう。

 では、なぜ予想より判決が軽かったのか。

 一つの仮定は、周永康と習近平になんらかの裏取引があった、可能性である。

 習近平の反腐敗キャンペーンの名を借りた権力闘争は、すでに後戻りできない域に突入している。胡錦濤の腹心・令計画を失脚させ、共産主義青年団のホープである李源潮ら江蘇閥に照準を合わせた汚職狩りを展開し、共青団派は完全に習近平の敵である。また江沢民、曾慶紅ら上海閥との闘いも収束していない。6月9日、天安門事件当時、首相だった李鵬の娘で元中国電力投資集団副総経理の李小琳が北京の空港から香港に向かおうとした際に、出国禁止措置にあった。同じ日、中国電力投資集団は彼女がすでに同集団を離れ、大唐電力集団副総経理に移籍したと発表した。李鵬の息子の李小鵬・山西省長も失脚秒読みと噂されている。

裏取引か、不文律か

 つまり、習近平にはこれから戦わねばならない大物長老・党中央幹部に囲まれている。まさしくほぼ360度、敵。なので、彼らの弱点を知る人間は、できるだけ生かして情報を引き出さなければならない。周永康は江沢民にかわいがられ、曾慶紅の後押しで出世してきた人物だから、当然上海閥のネガティブ情報にも詳しいはずだ。また胡錦濤政権では政治局常務委員9人の一人、つまり最高指導部の一員であるのだから胡錦濤政権の弱点もつかんでいるはずだ。そういった情報の提供の代わりに、周永康の判決を軽くした、のではないか。

 もう一つの仮説は、「党内闘争で人を殺してはならない」という党内不文律を犯そうとする習近平に対する反対勢力が予想以上に強かった可能性。文化大革命を引き起こした罪で逮捕・起訴された毛沢東の妻・江青ら4人組に対して判決を言い渡す前に、中央政治局で事前討論が行われた際、局内のほとんどが死刑判決を支持していた。だが、当時副首相の陳雲はこれに強硬に反対。「党内闘争で殺戒をしてはならない。でなければ、後の世代がうまく機能しない」と主張し、ついには「どうしても死刑にしたいなら、陳雲一人が反対した、と記録に残してくれ」とまで言ったとか。

 これは党史に残る有名な話で以来、権力闘争敗北者を死刑にしないという不文律ができた。鄧小平と趙紫陽の権力闘争の側面もあった天安門事件でも、趙紫陽は党籍そのままで終生軟禁生活を送った。党内闘争で人を殺せば、党内の疑心暗鬼は広がり団結は崩れ、共産党統治は続かないというわけだ。天安門事件の後、大規模な権力闘争自体が起きにくくなるように、権力が個人に集中しなくする集団指導体制が導入され、「政治局常務委は(司法による)罪に問われない」ことも暗黙のルールとなった。

 習近平は「政治局常務委は罪に問われない」という不文律を周永康起訴で破ったので、もう一つの「権力闘争で人を殺さない」という不文律も破るのではないかと言われていたのだが、明日は我が身と思う党中央幹部、長老たちが必死で抵抗した。習近平と、反腐敗キャンペーンの指揮を執る規律検査委書記の王岐山も必ずしも清廉潔白というわけではないので、それに妥協した、という見立てである。

さらに激化、複雑化

 刑が軽かった理由が、第一の仮説通りであれば、周永康判決は事件の終わりではなく、新たな事件の始まりであり、今後展開される権力闘争はもっと大物、元国家主席や元国家副主席や元首相ら大長老がターゲットにされる可能性も出てくることになる。もし、後者の仮説が理由であれば、「習近平の大虎狩り」は収束に向かうという期待も出てくるわけだ。

 私個人の予測では、習近平政権の「大虎狩り」は激化し、さらに複雑化すると見ている。複雑化する原因は、米国の習近平政権に対する姿勢だ。南シナ海での埋め立て作業を急速に大っぴらにやり過ぎたことで、さすがに米国サイドも習近平政権に揺さぶりをかけてきているが、その一つが、五月雨式に報じられている習近平一族の不正蓄財疑惑と王岐山のJPモルガン・チェースとの癒着疑惑だろう。米国から習近平政権の根幹を揺るがすネタが出る可能性もある。

 たぶん、2017年の党大会に至るまで、誰が勝つか負けるかわからない大規模かつ複雑な権力闘争が展開される。その間、本当に党の不文律が守られ続け、党中央内で人死にが出ないかどうかは、今知る由がない。

6/16日経ビジネスオンライン 高濱賛 『なぜ米共和党で大統領候補が乱立しているのか?』記事について

日高義樹氏の本によれば「米国の下院議員は日本の県会議員と同じレベル。また米国民はパスポートを持たない人が多い」とありました。外国に関心のない国民によって大統領とか国会議員が選ばれるのですから、ヘンな人がなる可能性もあります。この選挙の結果が世界の平和と直結するのですから。

民主党の政治が8年続き、米国民は変化を求めないのでしょうか?「ガラスの天井」を主張するヒラリーは中国人からの献金問題に見られるように中国と対峙できないのでは。またベンガジ事件とメールアドレス問題も抱えています。

ブッシュはやはり兄貴のせいでしょうか?ヒラリーとこんなに差が付くのでは指名を勝ちうるのは難しいです。マルコ・ルビオ辺りが抜け出すかも知れません。44歳と若く、ヒスパニックなのでそちらの票も取り込めます。ブッシュも奥さんがヒスパニックでスペイン語もできますが、この数字を縮めて行かないと。

記事

米共和党で、大統領候補としての指名を目指して立候補者が乱立している。6月9日現在で、その数は10人に上る。なぜ、そのような事態が生じているのか。今回は、Q&A方式でお伝えする。

—共和党で、大統領候補への立候補が相次いでいます。

高濱:6月4日にはリック・ペリー前テキサス州知事が出馬宣言しました。15日には本命の一人とされているジェブ・ブッシュ元フロリダ州知事が正式に立候補する予定です(本稿は6月13日に脱稿)。6月後半にはクリス・クリスティ ニュージャージー州知事、スコット・ウォーカー ウィスコンシン州知事、ジョン・カシック オハイオ州知事も立候補すると言われています。

 これまで正式に立候補を表明した候補者をまとめると以下のようになります。立候補が予想される人たちも付け加えておきます。

立候補日 氏名 スタンス
3月23日 テッド・クルーズ上院議員(テキサス、44歳) 守強硬派
4月13日 マルコ・ルビオ上院議員(フロリダ、44歳) キューバ系
5月4日 カーリー・フィオリーナ 元ヒューレット・パッカードCEO(カリフォルニア、60歳)  
5月4日 ベン・カーソン元ジョンズホプキンズ大学小児神経外科長(ミシガン、63歳) 黒人
5月5日 マイク・ハッカビー元州知事(アーカンソー、59歳) 南部バプティスト教会元牧師
5月18日 ボビー・ジンダル州知事(ルイジアナ、43歳) インド系。キリスト教保守
5月27日 リック・サントラム元上院議員(ペンシルバニア、57歳) 保守派
5月28日 ジョージ・パタキ元州知事(ニューヨーク、69歳) 中道保守派
6月2日 リンゼイ・グラハム上院議員(サウスカロライナ、59歳) 中道派。外交タカ派
6月4日 リック・ペリー前州知事(テキサス、65歳) 保守強硬派。外交タカ派
6/15? ジェブ・ブッシュ元州知事(フロリダ、62歳) 党主流派
6月後半? クリス・クリスティ州知事(ニュージャージー、52歳) 保守中道派
6/30? ジョン・カシック州知事(オハイオ、63歳) 保守派
ドナルド・トランプ氏(ニューヨーク、68歳) 実業家。作家
ランド・ポール上院議員(ケンタッキー、52歳) 眼科医。リバタリアン(自由意志尊重主義者)
スコット・ウォーカー州知事(ウィスコンシン、47歳) 保守派

—なぜこんなにたくさんの人が手を挙げているのですか。

高濱:最大の理由は、フロントランナーがいないからです。フロントランナーとは通常、50%近くの支持を得て、他の候補を大きく引き離している候補を言います。

 共和党でフロントランナーが出てこない理由は、党としての理念、政治哲学を巡って共和党を一本にまとめる人物がいないからです。これは単に人材難というだけでなく、共和党内で、保守政党としてのコンセンサスが形成しづらい状態が続いていることとも関係があります。具体的に言うと、伝統的な保守本流勢力と、草の根保守「ティーパーティ」(茶会)の影響下にある保守強硬派勢力が対立しています。

 このような状況では、「うまくすると、自分も指名が得られるかもしれない」と猫も杓子も意欲を見せるようになります。他方、指名されることが目的ではなく、自分の名前や主義主張、政策を予備選段階で世間に知ってもらおうと考える政治家も出てきます。リンゼイ・グラハム上院議員(サウスカロライナ州)などはその例でしょう。同議員は国防力強化を訴えており、予備選での国防論議に一定の影響力を及ぼすことが狙いだと思います。

—立候補している人の中には現職州知事や知事経験者が多いですね。

高濱:その通りです。専門家の中には、上下両院の連邦議員経験者よりも州知事経験者のほうが大統領に適していると指摘する人たちがいます。ニクソン第37代大統領以降を見ると、4人の州知事経験者が大統領になっています――カーター、レーガン、クリントン、ジョージ・W・ブッシュ。上院議員経験者はニクソン、オバマ、下院議員はジョージ・W・H・ブッシュ、フォードのそれぞれ2人だけです。

 6月9日現在で正式に出馬声明している現職州知事にはジンダルがいます。知事経験者はハッカビー、パタキ、ペリーの3人。出馬予定者を見ると、クリスティ、カシック、ウォーカーの3人が現職知事。知事経験者にブッシュがいます。

 確かに連邦議員の仕事は特定の政策を法案として上程し、他の議員の賛同を得て立法化することです。一方、州知事は「一国一城の主」。州という自治体の政策全般を立案し、実施し、州行政を運営していくのが仕事です。多くの州知事経験者が指名争いに名乗りを上げているのは、行政家として一定の成果があり、業績に自信を持っているからです。

(”Do Governors Really Make Better Presidents? We Did the Math,” Arit John, Bloomberg Politics, 11/11/2014)

—立候補するにはそれなりにカネがかかるのではないですか。

高濱:本格的な、予備選に突入すれば湯水のようにカネを使わねばなりません。しかし、序盤戦に立候補し、リストに名前を載せて、地元を中心にキャンペーンをするくらいならば、「億万長者の支持者が一人、カネを出せる支持団体が一つあれば十分」(共和党幹部の一人)と言われています。その後は、知名度を上げ、支持層を増やし、さらなる選挙資金を集めることができるかどうかにかかってきます。集められなければこの長いキャンペーンを続けることはできません。

—候補者はどのように絞られていくのでしょうか。

高濱:一つの目安は、8月6日にクリーブランドで開かれる米フォックス・ニューズ主催の公開討論会です。ここに参加できる10人に選ばれるかどうかが最初の関門でしょう。参加者はこの時点における支持率で決められます。

 第2の目安は、9月16日にカリフォルニア州シミバレーのレーガン大統領記念図書館で行われる CNN主催の公開公聴会です。これもやはり10人の候補者が参加して行われます。

(”CNN announces details of Republican presidentila debate,” CNN politics, 5/21/2015)

(”As Republican Debates Near, Candidates Veto Make Cut,” Maggie Haberman & Jeremy W. Peters, New York Times, 6/4/2015)

 現時点での各候補者および立候補予定者の人気度を見ると、ブッシュとウォーカーが12%でトップ、これにカーソン(11%)が肉薄。その後にポール(9%)、クルーズ(8%)、ルビオ(7%)、クリスティ(5%)が続いています。

(”Latest Elections Polls,” realclearpolitcs.com., 6/9/2015)

 まだ序盤ですから、これらの数字はメディアに登場する頻度に影響されたもの。その政策や政治理念が尺度になっているものではないと思います。しかしこうした知名度のある候補者が8月6日の第1回公開討論会に選ばれると言っていいでしょう。それだけに今、名の知られていない候補者はありとあらゆる機会を使って名前を売る必要があるのです。

ヒラリーに伍せるのはポール

—民主党ではヒラリー・クリントン前国務長官が断トツのようですね。となると、共和党の指名争いでは、「誰を立てればヒラリーに立ち向かえるのか」が重要なファクターになりませんか。

高濱:その通りです。しかし民主党候補と戦う本選挙の前に、まず共和党内の予備選で勝たねばなりません。まずは、どうやったら予備選で共和党員や支持者の票を集めるかが重要です。全米有権者の支持を取り付けることを考えるのは、指名されたあとの話になります。

 確かに共和党候補の誰がヒラリーに勝てるか、に多くの人が関心を持っています。CNNが6月2日に発表した世論調査の結果によると、ヒラリーに勝てる共和党候補はいません。ただ接戦を演じているのはポール(47%)でヒラリー(48%)と1%差。ウォーカーとルビオはともに46%でヒラリー(49%)に3%水をあけられています。

 興味深いのは、保守中道派のブッシュ(43%)がヒラリー(51%)に8ポイントもリードされている点です。

(”Latest Election Polls,” realclearpolitics.com., 6/9/2015)

 ポールは南部出身で保守派ですが、それほど強硬派ではありません。52歳になり、政治家として脂が乗り切っている点も米国民の支持を得ているのでしょう。ヒラリーのアキレス腱はなんといっても67歳という年齢です。しかも電子メール事件などのネガティブ・ファクターもあります(「ヒラリー危うし!『メールゲート』スキャンダルでぐらつく」参照)。

6/18日経『日韓慰安婦協議、合意にハードル 議題が判明 日本が財政支援 韓国は最終解決を保証』記事について

嘘吐き国民がまた何か言っているとしか思えません。今の安部内閣が朴大統領の言いなりになるとは思えません。国内では訪米時の約束の集団的自衛権を今国会中に通さなくてはならず、韓国のことなど頭の片隅にもないでしょう。彼らがアメリカの圧力を受けて勝手に、かついつも通りに彼らの夢想を話しているだけです。こんな記事を臆面もなく書く記者と言うのはレベルが低いのでは。国民はこんな記事に騙されませんよ、もう。韓国の言い分だけを聞いて記事にするからです。殆ど頭の悪いレベルでしょう。

お互いに主張して、結実しないことが日本の国益です。彼らを助けて日本が今までいいことがありましたか?植民地支配を怨み、従軍慰安婦で嘘を言いまくり、アメリカで嘘の証拠の像を建てまくる、殆どヤクザの手法でしょう。強制徴用裁判も、親日派の財産没収、産経新聞記者軟禁事件も、近代法の概念が分かってないから起こるのです。形だけ真似しても本質が分かっていない民族とは付き合わない方が良い。日本は批判はあるものの鹿鳴館や欧米に人材を派遣して法律を整備し、近代国家と認められました。韓国にはないでしょう。中国と同じく事後法が当たり前ですので。

二階俊博はどうしようもないですね。選んでる和歌山県民は恥と思わねば。2月に朴大統領と会った時に、彼女が前には単独で平昌オリンピックは開催できると言っていたのに雲行きがおかしくなると日本の援助を要請、簡単に平昌オリンピック・東京オリピックの相互協力などと言うのですから。利権政治家で有名。国会議員と言うか市会議員のレベルでしょう。翁長と同じ穴の貉です。

まあ、国民がキチンと監視しないといいようにやられますから。後から後悔しても間に合いません。情報強者になり、悪い政治家は落とさねば。後、メデイアの発する情報は眉に唾付けることが大切です。

記事

従軍慰安婦問題をめぐる日韓協議の議題の概要が分かった。日本がとる措置には元慰安婦への財政支援や、安倍晋三首相による謝罪や責任への言及を含む声明が挙がる。韓国がとる措置には朴槿恵(パク・クネ)政権での慰安婦問題の最終解決への保証などを列挙している。いずれも合意に向けたハードルが高く、結論は出ていない。

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 日韓両政府の外務省局長による昨年4月からの協議で、ネックになってきたのは損害賠償を含む請求権の問題だ。日本は1965年の日韓請求権協定により「完全かつ最終的に解決した」との立場。韓国は元慰安婦の個人請求権がなお残っているとして日本の法的責任を明確にすべきだとしてきた。日本は法的責任をあくまで否定している。

 論争の結論は出ていないとみられるが、判明した日韓協議の議題からは、それぞれがとるべき具体的な措置を議論している状況が分かる。

 たとえば元慰安婦への財政支援。韓国政府関係者は「政府予算を使うことで『日本政府が国家の責任を事実上認めカネを出した』と韓国国内に説明できる」と期待する。

 日本は90年代半ばにアジア女性基金をつくり、募金で集めた償い金を元慰安婦に支給した。人道措置との位置づけだった。韓国側が法的責任を帯びた財政支援にこだわるなら、着地は難しい。

 謝罪や責任への言及を含む首相声明も焦点だ。首相は4月の訪米時の講演で「人身売買の犠牲となった筆舌に尽くし難い、つらい思いをされた方々を思うと非常に心が痛む」と語った。旧日本軍の関与を認めた93年の河野洋平官房長官談話も見直さないと明言している。首相声明でさらに踏み込めば法的責任も絡んでくる。韓国側には「実質的に日本が責任を認めたと受けとれる表現でよい」との意見もある。

 韓国がとる措置もハードルが高い。日本側は「本当に朴政権がこの問題を蒸し返すことなく終わりにできるのか」と疑問視する。韓国世論の反発により一方的に撤回される危険があるからだ。

 ソウルの日本大使館前や米国で慰安婦を象徴する少女像を撤去することや、米国で慰安婦をテーマに集会を開く市民団体などを後押ししているとされることをやめることも、韓国がとる措置だ。いずれも日本を納得させる根拠が必要だ。

 協議は慰安婦問題の包括的な解決を探っており、最終決着には安倍首相と朴大統領の決断が欠かせない。朴大統領は11日の米紙インタビューで「相当な進展があった」と述べた。日韓がとる措置をめぐる話し合いを踏まえたとみられている。

6/15渡部亮次郎メルマガ Andy Chang『米国のアジア政策見直し(2)』記事について

来年1月の台湾の総統選で国民党の泡沫候補と言われていた洪秀柱の支持率が46%超になったという記事をみました。以前に読んだ中国時報の記事では3%しかなかったのですが。外省人がメデイアを支配していますから、中国人と同じく数字を操作しているのかも知れません。母数が3社で各1200人ですから操作は可能でしょう。

民進党の蔡英文が先月末から訪米して認知され、昨年11月の統一地方選の惨敗の余波が残る中ですので、次の次辺りを考えているのかも知れませんが。南シナ海での中国の傍若無人な振る舞いを見て、アメリカも流石に中国と台湾がこれ以上くっつくのは危ないと思っているはず。民進党が勝つと思います。

日本人ももっと国際関係に目を向けた方が良いです。無関心だから奸智に長けた国がそれを利用して間接侵略を果たそうとしているのに気が付きません。享楽主義も考え物です。或は学生時代に取った杵柄か、左翼脳から脱しきれない老人とか曲学阿世の徒とか困ったものです。自分たちは早く死ぬから良いとでも思っているのでしょうか?「平和」は「念仏」や「憲法9条」を唱えていれば実現できるものではありません。自明の理です。現実に中国の内蒙古、チベット、ウルグアイ、南シナ海の侵略を見ていれば分かりそうなもの。分からないとすれば空メクラか似非平和主義者でしょう。戦う姿勢を見せない限り、中国は嵩にかかって攻めてきます。こういう人たちは中国に隷従した方が良いと思っているのでしょうか?人権抑圧国家で自国民を何千万人も虐殺した国です。こういうことが判断基準に入ってないとしたら、何のために学問しているのでしょうか?単なる専門バカを造っているだけのように見えます。くれぐれもメデイアとか学者を権威と思わないように。常識・直観を大切にした方が良い。

記事

米国のアジア政策見直しとはアメリカが中国に強い態度を取るようになったこと、同時に日本重視、台湾重視と南シナ海への介入である。特に台湾問題でこれまでの態度を変えたのは良いことだ。

過去2か月の間に起きた台湾関連のニュースを拾ってみると米国の台湾に対する変化がわかる。(1)朱立倫の訪中と台湾民間の強烈な反対、(2)中台関係が中国拒否になった、(3)米国在台協会(AIT)主席・薄瑞光(Raymond Burghardt)の台湾訪問、(4)蔡英文・民進党党首の訪米で米国側の破格な歓待、(5)オバマの「アメリカは南シナ海の領有権を持っていない」発言。

これらの台湾で起きた一連の事件に前の記事(No.544)で書いた、シャングリラ・ダイアローグとG7首脳合同発表を合わせれば米国のアジア政策見直しが見えてくる。

  • 過去2か月に台湾で起きたこと

5月4日、国民党の党首で新北市長でもある朱立倫は中国を訪問して習近平と会見したが、この会見で習近平が「92年共識(中国は一つというコンセンサス)」が中国と台湾双方の平和の基礎であると強調したのに対し、朱立倫はコンセンサスを認めると言わず、代わりに「両岸同属一中(台湾と中国は同じく中国に属する)」と述べた。台湾は中国の領土であると発言したにも等しい。

これが報道されると台湾人民は激しく反撥し、朱立倫は台湾を売ったと批判された。朱立倫は「一つの中国とは中華民国のことだ」と弁解して嘲笑を買った。朱立倫の人望はガタ落ちとなり、国民党の三大政治人物から脱落した。中国の恫喝は人民の反感を強め、台湾では反中国と反外省人の声が高くなり、国民党は次の選挙で大敗するかもしれない。

5月10日にRaymond Burghardt(薄瑞光)米国在台協会主席が慌てて台湾に飛んできて馬英九と会談した。国民党党首が中国を訪問して習近平と会談をしたらアメリカは中国と中華民国にどんな(公開、非公開の)約束があったのか知りたがるのは当然である。だが彼はこの訪問で国民党側の公式説明を聞くだけでなく、台湾人民の総意が[NO CHINA]になったことを確認したと言える。

国民党は総統選挙に候補者を出せないでもたもたしている。中国政策も反対が強烈だから、Raymond Burghardtはこの時点で「国民党に見切りをつけた」のではないか。2012年の総統選挙にDouglas Paalを派遣して馬英九を支持した時とは大違いである。

Raymond Burghardtのもう一つの任務は、月末に米国を訪問する予定の民進党の党首・蔡英文とスケジュールの打合せだった。蔡英文のほかにも民間の有名人物に会ったと言われている。

  • 蔡英文の米国訪問

5月末から12日間の米国訪問に出発した蔡英文は、6月2日ワシントンで公式訪問を始め、参議院の軍事委員会主席John McCain、民主党議員のJack ReedとDan Sullivan などと会見した。蔡英文はこの後すぐAIT主任Raymond Burghardtの案内で米国貿易代表と会談した。

続いて3日にはホワイトハウスで米国国家安全会議を訪問し、4日には国務省でアントニー・ブリンケン国務副長官らと面会した。近年における台湾の総統候補者として、最も高いレベルの礼遇を受けた。このほか蔡英文は3日にアメリカのシンクタンクCSISにおいてKurt Campbellの主催で台湾問題について講演をした。

アメリカが1978年に中華民国と断交して以来、台湾の政治家がワシントンを訪問しても国会やホワイトハウスに招待されたことはなかった。蔡英文は野党の党首で総統選挙の候補者が、今回のワシントン訪問で破格な待遇を受けたのである。つまり米国は国民党に見切りをつけた、少なくとも来年は民進党が政権を取るだろうと予測したのだ。これは重要な政策変更である。

  • オバマの「南シナ海の領土主権否定」

6月1日、オバマ大統領はホワイトハウスでASEAN諸国の青年代表らと会見した際に、南シナ海における中国の勝手な岩礁埋め立てについて「もしも中国の主張が合法なら諸国はこれを認める。しかし肘で他人を押し退けるような行為で合法性を主張することはできない」と発言して中国の強引な領土主張を退けた。

その次にオバマは「アメリカは領土争議の片方ではなく、南シナ海の領土主権も持たない。しかしアジア太平洋の一国として、国際間の意見の相違は国際標準に従い、外交手段で平和に解決すべきで、これはアメリカにも利害関係のあることである」と述べた。

オバマは「アメリカは南シナ海(そして台湾澎湖)の領土主権を持たない」という非常に重要な発言をしたのである。日本はサンフランシスコ平和条約(SFPT)の第2条bで台湾澎湖の主権を放棄したが、同時に第2条fで新南群島(パラセルとスプラトリー群島)の主権も放棄した。しかし日本が放棄した領土の主権は明らかにされなかった。

放棄された領土の主権が明確でないため、台湾の台湾民政府(TCG)と米国台湾政府(USTG)のグループは、SFPT第23条に主要占領国アメリカと書いてあるからアメリカは台湾の占領権を持つ」と勝手に解釈して宣伝(主張)していた。

アメリカが領土主権を明確にしなかったから根拠のない主張ができたのである。だがオバマは「米国は南シナ海(そして台湾澎湖)の占領権を持っていない」と発言した。つまり「台湾民政府(TCG)と米国台湾政府(USTG)の主張には根拠がない」ことが明らかになったのである。

  • 「現状維持」とは緩やかな変遷

これまで米国のアジア政策は「現状維持」だけだった。つまり中国とイザコザを起こしたくないから、横暴な中国の領土拡張や武力恫喝に対し日本、台湾、東南亜諸国に我慢を要求してきたのである。米国のアジア政策見直しとは「我慢にも限度がある」ということだ。

米国が台湾の國民黨を支持してきた理由は、国民党は台湾独立をしない、民進党が独立主張をすれば中国が武力で恫喝する、だから米国は民進党を支持せず「現状維持」を押し付けてきたのだ。それが今回の蔡英文の訪米で米国の態度がガラリと変わった、国民党を見切り、民進党支持に回ったのだ。

米国は民進党が政権を取っても独立宣言はしないとわかった。それより國民黨の統一路線と中国の南シナ海の領土拡張のほうが危険で中国の台湾併呑はアジアで戦争が起きる。中国の急激な侵略を防ぎ、東南アジア諸国と連携して現状の緩やかな変遷で中国を抑え込む、これが米国のアジア政策見直しの要点である。

6/14藤岡信勝氏Facebook『米ハドソン研究所中国戦略センターのピルズベリー所長』記事について

昨日に続き、アメリカ世論が中国バッシングに変わってきたという記事です。それで中国は埋め立てをストップさせるようです。「【北京時事】中国外務省の陸慷報道局長は16日、中国が南シナ海の南沙(英語名スプラトリー)諸島で進めている埋め立て工事について談話を発表し、「既定の作業計画に基づき、近く完了する」と明らかにした。その上で次の段階として、軍事・防衛のほか、海上救難や災害対策、航行安全などに使用する施設を建設すると表明した。中国による南シナ海での埋め立てに対し、米国は中止を要求し、継続するなら「人工島」周辺に米軍機や軍艦を派遣する構えを見せていた。23、24両日にワシントンで開かれる米中戦略・経済対話を前に、対立激化を回避したい中国は、埋め立て工事終結の方針を示すことで妥協を探った可能性もある」。中国のことですから相手がおとなしくなるのを待って、また仕掛けてくるでしょう。騙されてはいけません。時間稼ぎをしているだけです。アメリカが衰退するのを待って、然る後攻撃してくると思った方が良い。孫子を生んだ狡猾な国です。アメリカは原状回復を中国に要求した方が良い。日本にハルノートを突きつけたのだから、それくらいできるでしょう。

ブログ『ぼやきくっくり』に「役所にも中国の手が入っている」と青山繁晴氏が述べたとあります。憲法審査会で集団的自衛権は違憲と言った長谷部教授を選んだのは法務省です。ここはアカの巣窟です。リベラルな考えを持つ人間しか出世できないのでしょう。真面目に押付け憲法を擁護しないと司法試験や公務員試験に通らないのですから。中国は役人もハニーや金で籠絡していると思います。津上俊哉などは経産省の役人でしたが思い切り中国の味方をしてきました。今は論調が変わってきましたが。後から結うのは福助頭です。ピルズベリーと一緒。彼らは中国の上の人間としか付き合わないから中国人の民族性が分からないのです。如何に「騙す方が賢く、騙される方が馬鹿」かというのを。上になるには凄まじい権力闘争を勝ち抜かないと駄目で、騙してきた結果、上になってきたと見た方が良い。それで良く「中国通」とか言われていると思います。本当に戦った経験がないからでしょう。お粗末の一言。こういう人たちの意見を有難がって聞いてきた経営者はメクラとしか言いようがありません。

http://kukkuri.jpn.org/boyakikukkuri2/log/eid1734.html

記事

江崎道朗氏の2時間前のFBへの投稿です。非常に重要です。ぜひお読み下さい。

(以下、引用)

【冷戦後、アメリカの「敵」は日本だとばかりに日本たたきに狂奔した背景には、米ハドソン研究所中国戦略センターのピルズベリー所長らCIAが、アメリカにとっての「敵」は「日本」であって「中国」ではない、という誤った分析をしてきたからだ。

おかげで、アメリカ政府は、経済的に日本を痛めつけることばかりする一方で、中国とは蜜月関係を築き、現在のような中国の軍事的台頭を助長してきた。

米ハドソン研究所中国戦略センターのピルズベリー所長は、自らの中国分析の間違いを反省しているそうだが、その結果、日本を含むアジア太平洋にどれほどのダメージを与えてきたことか。その点についての「反省」を、同著では書いているのだろうか。恐らく、何も書いていないだろう。

自らの判断の誤りが、日本を含むアジア太平洋諸国にとってどれほどダメージを与えることなのか、彼らには徹底して理解させるよう働きかけるべきだ。

十年近く前に、アメリカの首都ワシントンDCを訪問した際、保守系のシンクタンクでさえ、「アジア太平洋におけるアメリカのパートナーは、中国だ」と断言して憚らず、中国共産党政府の危険性をいくら訴えてもまともに相手にしてくれなかった。(唯一、共感してくれたのが、アメリカ共産主義犠牲者追悼財団のメンバーたちであった)。

どちらにしても、ピルズベリー所長らの議論をどのように受け止めるべきなのか、本来ならば、国会で議論すべきなのだが、「中国内の強硬派の力を過小評価」する国会議員が大半を占める、わが国の情況をどう打開したらいいのか。

(以下、引用)

米の中国分析のベテランが告白

「自分の対中認識は間違っていた」

2015年06月12日(金)岡崎研究所

 米ハドソン研究所中国戦略センターのピルズベリー所長が、今年2月発刊の著書“The Hundred-Year Marathon – China’s Secret Strategy to Replace America as the Global Superpower”において、中国は、2049年までに米国に代わって世界の支配国になることを目指している、と述べています。

 すなわち、米国は、中国を支援し続けていけば、中国が民主的で平和な国家になり、地域や世界を支配しようなどと考えないだろうと想定していたが、完全な誤りであった。我々は、中国内の強硬派の力を過小評価していた。強硬派は、中国建国100年の2049年までに経済、軍事、政治のすべての面で世界のリーダーになるとの計画(100年のマラソン)を有し、毛沢東に始まる歴代の政治指導者に助言することで、建国当初からそれを実施に移していたのだ。強硬派は、300年前の中国、すなわち世界のGDPの3分の1を占める中国を復活させたいのだ。中国の強硬派は、天安門事件以降特に力を強めた。

 2012年以降、中国人は、「中国主導の世界秩序」をおおっぴらに議論し、「中華民族の再興」とともに同秩序が訪れると信じている。最近になって、中国人は、私及び米国政府を最初(1969年)から騙していたと実際に語った。これは、米国政府史上最大のインテリジェンスの失敗である。

 中国は、最初から米国を「帝国主義者である敵」と認識し、米国を対ソ連カードとして用い、米国の科学技術を吸収、窃取するつもりだったが、米国の中国専門家はこれに気づかなかった。中国政府は公式に多極化世界の実現を主張しているが、実際には、それは、最終的に中国が唯一の指導国となる世界に至る途中段階に過ぎない。米国は中国に多大の支援と協力をしてきたにもかかわらず、中国の指導者は、150年以上にわたり米国が中国を支配しようとしてきたと考えており、彼らは中国が米国を逆に支配するためにあらゆることを行うつもりである。彼らにとって世界はゼロ・サムである。

 このような意図を有していたにもかかわらず、中国は、欺瞞、宣伝、スパイ等を用いて、中国が後進国で、軍事的に不活発で、弱い支援対象国であるとの誤ったイメージを西側諸国の関係者に与え続けた。中国はまた、西側諸国内の中国専門家をモニターし、様々な手段で操作してきた。

 中国は、「暗殺者の棍棒」と言われる非対照戦力をもって米国の通常戦力を破る作戦を考えている。実際に、この非対照(称の誤り?)戦力は有効であり、ペンタゴンの戦争シミュレーションで米軍が初めて敗れたのはこの中国の非対照(称の誤り?)戦力に対してだった。

 中国は、高い関税を課して重商主義的政策をとり、国営企業に補助金を与え、天然資源を直接コントロールしようとしている。中国の国営企業は今でも国内GDPの4割を占め、市場に反応するのではなく、中国共産党の指示に従っている。

 2049年に中国主導の世界秩序の中で中国が望んでいるのは、個人主義よりも集団主義を重んじる中国の価値、民主主義への反対、米国に敵対する諸国との同盟システムなどである、と論じています。

 出典:Michael Pillsbury, The Hundred-Year Marathon – China’s Secret Strategy to Replace America as the Global Superpower(Henry Holt and Company, 2015)

* * *

 本書は、『100年のマラソン』というタイトルや、その内容が一般の感覚では俄に信じがたいものを含んでいることから、いわゆる浅薄な「中国脅威本」の一つであると捉えられかねませんが、そういう類いのものとは全く異なります。米国の対中政策の転換に影響を与え得る書物です。

 まず、著者のピルズベリーですが、1969年から、CIA、国防総省、米上院特別委員会等に勤務し、対中政策の基盤となる中国の対米認識分析や米国の対中政策選択肢提示を地道に続けてきた人物です。2006年頃までは、米国の対中関与政策を支持する「対中協調派」の中心的人物でした。本書の中でも明らかにしていますが、ピルズベリーは、ほとんどの対中国インテリジェンスや米国内の対中国政策をめぐる秘密文書にアクセスしてきています。本書の内容、主張は、ピルズベリーが直接入手した関係者からの証言や、これまでアクセスした文書に基づいており、その信憑性は高いと思われます。

 ピルズベリーのような中国分析の大ベテランが、「自分の対中認識は間違っていた。中国に騙されていた」と本書で告白したわけですから、本書がワシントンの中国政策に関わる政府関係者や専門家に与えた衝撃は大きかったようです。

 本書の影響はすでに現れているようであり、例えば、本年3月には、米国のシンクタンクである外交問題評議会(CFR)が『中国に対する大戦略の変更(Revising U.S. Grand Strategy Toward China)」という小冊子を発表しています。同冊子は、米中関係は、戦略的ライバル関係になるとの可能性が高いとの前提で、対中政策をバランシングに重点をおくものに変更しなければならないと提言しています。米国の対中政策は南シナ海での中国の人工島建設などにより、強硬化しているように見えますが、今後どう推移していくか注目されます。

 なお、ピルズベリーは、昨年9月にも、1949年以来西側の対中観が誤って来たのは西側が中国を希望的観測から見て来たからである、と論じた論説を発表しており、2014年10月27日付本欄で紹介しています。】

6/11NewSphere『“中国共産党は崩壊しつつある”著名学者の主張、世界的話題に5つの論拠とは』記事について

アメリカの識者も中国を視る眼が厳しくなってきているという事です。中国のことですからいろんな人に金を配って味方にして来ました。でも中国の本音がアメリカに挑戦することにあると気付いてもう味方することはできないと思い出したという事です。金融面でAIIB設立、情報面で日米にハッキングを仕掛け、軍事面では南シナ海に九段線を引き、南沙諸島に中国の軍事基地を造り、多分防空識別圏を設定するつもりでしょう。ここまで中国を増長させた責任は日米にあります。ロシアは軍事大国と言ってもGDPはアメリカの1/8しかありません。中国は全経済主体で2600兆円の負債を負っていると言われますが、GDPでは1267兆円(2014年、1人民元=19.8726円で計算)あります。中国の出してくる数字をどこまで信用して良いかわかりませんが。それで自信を付けて、アメリカに反旗を翻そうとしているのでしょう。しかし中国の同盟国というか属国は北朝鮮しかありません。その北朝鮮ですら北京に核ミサイルを向けるかもしれません。如何に人望のない国か。戦争をしなくとも中国の石油輸入(輸入量は600万バレル/日、消費量は1000万バレル/日、日本の輸入量は300万バレル/日)ですから海上輸送できなくすれば、中国は干上がってしまいます。アメリカが圧力をかければ、寄港地として貸す国もなくなるでしょう。要はオバマにその覚悟があるかどうかです。

記事

3月に発表された、中国肯定派の学者による中国崩壊論が、「今度は本物か?」と識者に衝撃を与え、ネットやメディアでいまだに話題となっている。これに対し中国メディアは、西側のご都合主義と不満を露わにしている。

◆中国通から驚きの崩壊説

ウォール・ストリート・ジャーナル紙(WSJ)に、『来る中国の崩壊』と 題した記事を寄稿したのは、ジョージワシントン大学の国際関係の教授 で、中国政策プログラムのディレクター、デービッド・シャンボー氏だ。

ウェブ誌『Slate』は、「共産党崩壊寸前」説は目新しくもないとする が、以前から中国共産党の強さと適応力を強調してきたシャンボー氏のような学者の口から、このような大胆な話が飛び出したことが、中国ウォッ チャーに驚きを与えたと述べる。皮肉にも同氏は今年1月に、中国外交学院からアメリカで2番目に影響力のある中国専門家に選ばれている。

◆5つの兆候

シャンボー氏は記事の中で、政権のぜい弱性と党の組織的弱さに関する、 次の5つの兆候を提示している。

 1.中国の経済的エリートは、共産党システム崩壊を恐れ、海外に逃げる準備をしており、子弟を海外で学ばせ、市民権獲得のため子供を米国で出産し、海外で不動産を買いあさっている。

 2.習主席は政治的抑圧を強めており、民主主義など、西側の普遍的価値を信任するものの洗い出しを行っている。

 3.多くの体制支持者でさえ、そのふりをしている。プロパガンダは力を失い、指導者は裸の王様状態だ。

4 .汚職は政府や軍のみならず、中国社会にはびこっている。腐敗撲滅運動が進められているが、汚職の摘発が権力闘争につながっており、恣意 (しい)的な選択による粛清となっている。

 5.中国経済は停滞し、「体制的なわな」にはまっており、安易な出口はない。消費は増え、官僚主義も減り、財政改革も導入したが、経済改革 は既得権益を守るグループに阻まれている。

同氏は、解決には政治改革しかないと主張。しかし、習主席が恐れている のはソ連のゴルバチョフの二の舞になることで、解放よりも、統制を強めていくだろうと見ている。

◆中国メディアはほぼ否定的

『Slate』 は、シャンボー氏の記事に対し、中国国営メディアは脳卒中寸前と表現。人民日報傘下の『Global Times』は、すでに晩年を生きる同氏が「日和見主義者の仲間に入った」とし、「威厳を持ってふるまい、意見はよく考えるべき」と助言した。同じく政府系のチャイナ・デイリーは、 同氏が中国のポジティブな側面を完全に無視し、偏見を持って見ていると し、典型的な米メディアの書き方だと批判した。

ただし、中国の改革派歴史家、チャン・リーファン氏のように、シャンボー氏の意見を理解する声もある。ドイツの報道機関DPA通信に対し、 チャン氏は「習主席は権力を集中させ、反腐敗キャンペーンを続けており、大きな危機に直面している」とし、「もし失敗すれば、結果は政権の手に負えないものとなるだろう」と述べている(Slate)。

チャイナ・デイリーに寄稿した、アメリカのICA研究所のリサーチ・ディ レクター、ダン・スタインボック氏は、経済に関しての中国崩壊論に言及。崩壊論は、西側の経済が落ち込むと出てくる話題だと述べた。崩壊論者が根拠とする経済成長の停滞は、大きな絵のなかの一部にすぎないと説明。西側の政府と中央銀行では打つ手がなくなっているが、中国にはそれは当てはまらないとし、経済崩壊はないという認識を示した。

◆崩壊なしでも困難は続く

『Slate』は、世間一般の通念として、文化大革命、天安門事件などの危機を乗り越えた共産党は、新たな困難を克服するため、強く、抜け目ないままだと述べる。同誌はシャンボー氏の警告は真実であり、香港民主化運 動や環境汚染等の、指摘されなかった問題も多くあると指摘。党は崩壊の 危機にはないが、プレッシャーはかかっている、とまとめている。

6/11・12日経ビジネスオンライン 鈴置高史『米国も今度は許す? 韓国の核武装 核抑止論が専門の矢野義昭客員教授に聞く』記事について

2日分の記事で長いので短くコメントします。

①昨日も言いました通り、日高氏によれば中国の軍事力は「張り子の虎」、プロパガンダである。惑わされてはならない。いざとなれば海上封鎖、経済制裁すれば輸出入で成り立っている中国経済は崩壊する。アメリカは中国打倒について能力の問題ではなく意思の問題。矢野氏の見方はプロパガンダに踊らされている。まあ、プロパガンダであっても、最悪を考えての準備は必要ですが。

②朝鮮人への見方はキッシンジャーは他の白人と同じ。現実主義者だから当然と言えば当然。イザベラ・バードの『朝鮮紀行』は読んでいるでしょう。今の国務省も“Korea Fatigue”になっていますし。日本人も慰安婦の嘘が分かってきて韓国がいくら謝罪を求めて来ても、国民が日本政府の謝罪を許さないでしょう。

記事

 韓国で浮上する核武装論。核抑止論が専門の矢野義昭・拓殖大学客員教授(元・陸将補)は「今度は米国も認めるかもしれない」と言う(司会は坂巻正伸・日経ビジネス副編集長)。

朴正煕時代から核開発

矢野義昭(やの・よしあき)

岐阜女子大学客員教授、日本経済大学大学院特任教授、拓殖大学客員教授、博士(安全保障、拓殖大学)。専門は核抑止論、対テロ行動、情報戦。1950年大阪市生まれ。京都大学工学部機械工学科を卒業後、京都大学文学部中国哲学史科に学士入学し卒業。1975年、陸上自衛隊幹部候補生学校入校。以来、普通科幹部として第6普通科連隊長兼美幌駐屯地司令、第一師団副師団長兼練馬駐屯地司令などを歴任。2006年小平学校副校長をもって退官(陸将補)。2014年、フランス戦争経済大学大学院において共同研究。単著に『日本はすでに北朝鮮核ミサイル200基の射程下にある』(光人社、2008年)、『核の脅威と無防備国家日本』(光人社、2009年)、『あるべき日本の国防体制』(内外出版、2009年)、『日本の領土があぶない』(ぎょうせい、2013年)、『イスラム国 衝撃の近未来』(育鵬社、2015年)がある。

矢野:鈴置さんの記事「ついに『核武装』を訴えた韓国の最大手紙」を面白く読みました。

—誰も止めない北朝鮮の核武装。これに焦った韓国の保守が「いつでも核武装できる権利――核選択権――を我が国も持つと宣言しよう」と呼び掛けた、との話でした。

矢野:それを「宣言抑止」と言います。核兵器を持たない国が「あなたが核で私を脅したら、こちらも即座に持つよ」と予め宣言しておくことにより、仮想敵の核攻撃や威嚇を防ぐ手法です。

 もちろん核兵器を短期間に開発できる能力があることが前提となります。そして韓国はその能力を持っています。朴正煕(パク・チョンヒ)時代からプルトニウムの抽出技術に取り組んだ結果です。

 弾道ミサイルや巡航ミサイルなど、核の運搬手段もすでに保有しています。6月3日、韓国軍は射程500キロの地対地の弾道ミサイルの発射に成功しました。射程800キロのミサイルも開発中です。また、潜水艦から発射する巡航ミサイルも開発済みです。

朝鮮半島に「核の均衡」

鈴置:注目すべきは「作ってしまえば、米国も核武装を認めてくれる」と韓国人が考え始めたことです。

矢野:まさに、そこがポイントです。私も、韓国の核武装を米国が黙認する可能性が高いと見ています。北朝鮮の核武装を止める手立てがほぼない、という厳しい現実からです。

 鈴置さんがあの記事で指摘したように「北が核を持つことで、南を軍事的に挑発する可能性」が増しました。つまり、米国から見れば戦争に巻き込まれるリスクが高まったのです。

 このリスクを減らすには韓国にも核武装させて、南北朝鮮の間で「核の均衡」を作ればよい、という理屈になるのです。

 例えば、仮想敵に囲まれるイスラエルの核武装を米国が黙認したのも、中東での戦争に巻き込まれないためです。

—米国が日本と進めるミサイル防衛(MD)に韓国も加わればいいのではないですか。

MDでは撃ち漏らす

矢野:公式的には米国もそう言っています。でも、自分のミサイルで敵のミサイルを落とすMDは万全ではないのです。大量のミサイルで攻撃された時、撃ち漏らしが出てくるからです。

 これを「飽和状態」と言います。完全に核攻撃から身を守る手段がない以上、信頼できる同盟国の核保有を認めるのもやむを得ない、との考え方もあるのです。

 核兵器の製造技術は世界に拡散しており、核分裂物質と適当な資材があれば、誰でも初歩的な核兵器を作れるようになりました。米国は世界的に「同盟国の核」を黙認する方向にあると思います。

 中東をご覧下さい。先ほど申し上げたように、米国はイスラエルの核武装を黙認しました。イスラエルは公表していませんが、300発近い核弾頭を持つ、英仏並みの核保有国です。

 さらに、米国はイランとの核協議で和解し、その核保有を黙認する可能性が出てきました。「イスラム国」(IS)との戦いで、米国はイランの地上戦での協力を必要とするからです。

 今後、米国から核を黙認されたイスラエルとイランの間で、核の相互抑止体制が成立するのかもしれません。

 そのイランを念頭に、サウジアラビアが核保有に動く可能性が高まっています。中国から「東風3」など弾道ミサイルを輸入済みです。核弾頭に関してもパキスタンの核開発に当初から資金を提供しており、入手に障害はないと見られています。

緩くなった「韓国に対する縛り」

 中東で、地域の主要国に核を持たせて均衡する、という新たな核政策に米国は転換しつつあるように見えます。それが朝鮮半島にも及びかねないのです。

 兆候と言うべき動きがあります。2012年に米韓ミサイル協定が改定され、韓国は射程が800キロまでの弾道ミサイルを持てるようになりました。それまでは300キロでした。これでは北朝鮮の北東部へはミサイルは届きませんでした。

 2015年4月には米韓原子力協定が見直され、仮署名に至りました。様々の制限は付いていますが、韓国はウラン濃縮も可能になり、使用済み燃料の再処理も自由度を増しました。

鈴置:改定された原子力協定でもかなり制限が付いています。米国が「韓国の核武装」を黙認したとは言いにくいと思いますが。

矢野:でも、核の縛りが緩くなったのも事実です。米国の同意――暗黙裡の同意も含みますが――さえあれば、韓国は核開発に動けるようになったのです。

「黙認の時代」が始まる

—「核の黙認」の時代が始まるというのですね。

鈴置:米国の外交誌で「アジアの同盟国に核を持たせるべきか」で議論が起きました。

 2014年1月30日、The National Interestは戦略国際問題研究所(CSIS)のデヴィッド・サントロ(David Santoro)シニア・フェローの「Will America’s Asian Allies Go Nuclear?」を載せました。

 「韓国や日本が核武装に走る可能性が出てきた。その際、米国はそれらの国との同盟を打ち切るべきだ。核拡散防止条約(NPT)体制の崩壊を呼ぶからだ」との主張です。はっきり言えば、韓国や日本の核武装は何があっても止めるべきだ、との意見です。

 これに対し、新アメリカ安全保障センター(Center for a New American Security)のエルブリッジ・コルビー(Elbridge Colby)フェローが2月28日、同じ雑誌に「Choose Geopolitics Over Nonproliferation」を寄稿して反論しました。

 その主張は見出し通り「事実上破綻している核不拡散を守るよりも、同盟国をつなぎ止めておく方が重要だ」です。

 2つの意見は真っ向から対立します。が、共通点もあります。「北朝鮮が核兵器を持ち、中国が膨張するのに対抗し、韓国や日本が核武装に走るのは当然だ」との認識です。

日本も核を持て

矢野:ちょうどその頃、日本に対して核武装を勧める米国の安全保障専門家が登場しました。ウォルドロン(Arthur Waldorn)ペンシルバニア大学教授が2014年3月7日の日本経済新聞で「核武装の勧め」を書いています。

鈴置:そうでした。経済教室欄に寄稿した「米国との同盟、過信は禁物」ですね。肝心の部分は以下です。

  • 日本のミサイル迎撃システムは、おそらく世界の最先端だが、英国やフランスに匹敵するような安全保障を提供できないことは明確に理解する必要がある。
  • システムが「飽和状態」になってしまう、つまり対処できる以上の攻撃にさらされる可能性があるからだ。
  • 大規模な通常兵器と核兵器を開発している敵対的な中国を背景に、これらの事実は、日本がこれまで考慮してこなかった、政治的に微妙だが現実的で避けることのできない問題を突きつける。
  • 日本が安全を守りたいのであれば、英国やフランス、その他の国が保有するような最小限の核抑止力を含む包括的かつ独立した軍事力を開発すべきだ。

2014年に変わった米国の姿勢

—なるほど、はっきりと核武装を勧めていますね。

矢野:この記事が載った少し後、訪日した別の米国の安保専門家も少数の日本人の前で核武装の勧めを説きました。

 「日本は米国から原子力潜水艦を購入すべきだ」との言い方でした。核武装を前提にした議論でして、核ミサイルを発射するためのプラットフォームも必要だから整備しろ、という意味です。

 米国の専門家の間では「日本人に対し、核武装を認めるような発言をしてはならない」との暗黙の合意がありました。でもそれが、2014年初めを境に突然、変わったのです。

鈴置:矢野さんは2014年に核抑止に関する共同研究のため、フランスに滞在されました。欧州の専門家は「アジアの核」をどう見ているのでしょうか。

ドゴールの核の独立

矢野:フランスの複数の核の専門家が「韓国が核兵器開発を念頭に置いていることは我々も承知している。驚くにはあたらない。北朝鮮がそれを実際に進めていてかつ、韓国には潜在能力があるからだ」と語っていました。

 これが世界の常識的な見方でしょう。日本は被爆国ですから国民は核に対し強い忌避感を持ちます。しかし、韓国人に核アレルギーはありません。そして過去に侵攻してきたうえ、今も厳しく敵対する国が核兵器を持ちつつあるのです。

 東西冷戦下の1960年、フランスは初の核実験に成功し、核保有国となりました。「米国の核の傘の信頼性への不信」からです。

 米国は様々の特恵と引き換えに、仏の核の引き金も共同で持とうと持ち掛けました。しかし、フランスは拒否したのです。当時のドゴール大統領は「どの国も、自分のためにしか核の引き金は引かない」と信じていたからです。

 旧・西ドイツのアデナウアー首相も核を持ちたかった。しかし敗戦国であり、フランスや英国など他の欧州諸国からの不信感が根強く、とても持てなかった。そこで「核シェアリング」の権利を確保しました。

西独の核シェアリング

—「核シェアリング」とは?

矢野:西ドイツは米国が自国内に配備した戦術核の使用に関し平時から訓練しておく。緊急時には米大統領の承認を得たのちに核兵器を譲り受けて使用する――権利です。

 「核の引き金」は米大統領が握っているので真の「シェアリング」とは言えず、象徴的な権利に過ぎません。それでも西ドイツは、緊急時には核を使える可能性を確保したのです。

 ちなみに、韓国の軍事的な環境は西ドイツに似ています。国土が狭くて――つまり奥行きがないというのに――地続きの、北朝鮮と中国の強力な通常戦力の脅威に直面しています。

 英国は1952年に核実験に成功し、いち早く自前の核を持ちました。しかし国力の限界から、現在は抑止専用の自衛的な核戦力に留めています。

英国の切り札は潜水艦

—具体的には?

矢野:原子力潜水艦に核兵器を載せて、これを核報復力としたのです。

鈴置:先制核攻撃を受けても、位置を発見されにくい潜水艦は生存できる。そこで他国に対し「もし我が国を核攻撃したら、潜水艦から核で報復するよ」と脅せるわけですね。

矢野:その通りです。潜水艦は陸上の核ミサイル基地と比べ、敵の先制核攻撃からの残存性が高い。そこで、報復の切り札に使うのが合理的なのです。

 日経に論文を載せたウォルドロン教授も、訪日して「米国製の原子力潜水艦を導入せよ」と語った米国の専門家も、英国方式の――潜水艦搭載型の弾道ミサイルによる核抑止力を持て、と言っていると思われます。

 なお、英国は「潜水艦の核」に関し、自前の核弾頭と原子力潜水艦を運用していますが、潜水艦搭載型の弾道ミサイルは米国から「ポラリス」を導入しました。米英は1962年のナッソー協定(Nassau Agreement)でこれに合意しました。

 いずれにせよ、欧州各国の「核の歴史」からすれば、アジアの同盟国に独自の核戦力を持たせて抑止力を増そう、と米国が考えても何ら不思議ではないのです。

「衝動的な人々」と核

鈴置:日本は敗戦国のうえ、原爆を落とされていますから「核を持たせれば、それで復讐してくるかもしれない」との恐怖が米国にはあったでしょう。

 韓国人は「情緒的に不安定な人たち」との認識を米国の指導層からも持たれがちです。例えば1972年に訪中したニクソン大統領は、周恩来首相に以下のように語っています。

  • 朝鮮人は、北も南も感情的に衝動的な(emotionally and impulsive)人たちです。私たちは、この衝動と闘争的態度が私たち(米中)両国を困らせるような事件を引き起こさないよう影響力を行使することが大切です(『ニクソン訪中機密会談録』=日本語=100ページ)。

 原文は「Nixon’s Trip to China」の「Document 2」の17ページで読めます。

 米国にとって「自分たちと同じ人間が住む欧州」と比べ、アジアは「信用できない人たちの地域」でした。未だにそうした見方が根強いと思います。はて、アジアの核も「欧州並みに」と米国人が考えるでしょうか。

矢野:「韓国が核を持ったら、黙認してもいい」と米国が考える動機が急速に膨らんでいるのです。それは「北朝鮮の核武装」というローカルな理由に留まりません。米国の軍事戦略が根本から変化しているからです。

大戦争はできない米国

—前回の矢野さんのお話は、韓国の核武装を米国が黙認するかもしれない。北朝鮮の核武装に加え、米国の軍事戦略が世界的に変わったからだ、ということでした。

矢野:東アジアと西太平洋で、米中の軍事的な力関係が逆転する可能性が出てきました。米国は今後10年間で1兆ドル近い国防費を削減します。一方、中国は成長率の鈍化にもかかわらず毎年、軍事費を2桁のペースで増やしています。

 米国の陸軍と海兵隊は、アフガン戦争以前の水準に削減されます。そんな米国に、数10万人もの死傷者が出るような大規模の地上戦はもう、不可能なのです。

 米国が絶対に避けたいのは2つ。まず、中国との核戦争に拡大する恐れのある紛争に巻き込まれること。もう1つは大規模の地上兵力を長期に派遣すること、です。

鈴置:米国は、同盟国を守るという約束を果たせるのでしょうか。

矢野:難しくなります。米国は今でさえ、1つの戦争をすることで精一杯です。下手すると今後は、同盟国の領土の回復にさえ直接は関与できなくなります。

 そこで「韓国や日本などの同盟国が独自の核抑止力を持つことを黙認し、中国や北朝鮮の侵攻を防ぐ」という選択を米国がするかもしれない、との見方が広がっているのです。

有事の際、米軍は後退

鈴置:ブレジンスキー(Zbigniew Kazimierz Brzezinski)元・大統領国家安全保障担当補佐官が「米国の力が弱まると、その核の傘の信頼性が落ちる。すると韓国や台湾、日本、トルコ、ひいてはイスラエルでさえ新たな核の傘を求めるか、自前の核武装を迫られる」と書いたのも、そうした判断からなのですね。

 2012年に出版した「Strategic Vision: America and the Crisis of Global Power」の114ページです(「ついに『核武装』を訴えた韓国の最大手紙」参照)。

米国が「エア・シー・バトル」(Air Sea Battle)という、新しい戦争の方法を検討してきたと聞いています。

矢野:その構想でも、有事の際は中国のミサイルの集中攻撃を避けるため、在韓米軍も在日米軍もいったんは後方に分散退避することになっています。今後は基本的には韓国の防衛は韓国の、日本のそれは日本の責任となります。

 背景には、中国の中距離以下のミサイルの増強があります。その脅威から逃れるため、米軍はグアム以東に後退します。米国の一部シンクタンクは、米軍が反攻に転じるのは1カ月以上先になると見積もっています。

 2015年4月に18年ぶりに改定した日米防衛協力のための指針(ガイドライン)では、日本有事の作戦構想から地上作戦時の「極力早期の兵力来援」や、米空海軍による「打撃力の使用を伴う作戦」を示す文言は抜け落ちました。

必敗の精神

鈴置:そこで発生する問題は、アジア有事の際――つまり在韓米軍に後退されてしまった後の韓国が、北朝鮮の脅威に精神的に耐えることができるか、ですね。

矢野:そこなのです。韓国人の米軍に対する依存心の高さを見ると、とても耐えられるとは思えません。

鈴置:韓国国会の国政監査で議員が「米国の支援なしに我が国単独で北と戦ったらどうなるか?」と聞いたことがあります。核を考えずに、通常戦力だけで戦ったらどうなるか、との想定です。

 軍の幹部がきっぱりと「負ける」と答えたので問題になりました。 韓国の経済力は北朝鮮の40倍あります。どうやったら負けるのか、外国人には理解しがたいのですが、重要なのは多くの韓国人がそう信じていることです。

 韓国には徴兵制度があって、多くの男性が軍隊に行く。このため国軍の「必敗の精神」が国民に広く浸透してしまうのだ――と解説してくれた韓国の記者がいます。

 なお「負ける」発言が問題になった主な理由は「言ってはいけない本当のことを、軍幹部が語ってしまったから」でした。

崩れる「中台」軍事バランス

—有事に米軍が後退する可能性が高まったことも、韓国の核武装を加速する、ということですね。

矢野:その通りです。

鈴置:1970年代に朴正煕(パク・チョンヒ)大統領が核武装を考えたのも在韓米軍が削減され、いずれは完全撤収もありうる、と見られたからです。

 韓国を巡る安全保障の環境は今と似ています。1970年代の核武装計画は、米国の強力な圧力で挫折しましたけれど。

「在韓米軍や在日米軍が後方に引くような」有事とは、具体的にはどんな状況ですか?

矢野:例えば、中国と台湾の軍事衝突です。中国が台湾に侵攻した場合、米国はそれに「抵抗する能力を維持」することで台湾を支援せねばなりません。米国の台湾関係法で定められているからです。

 現在、台湾が持っている空と海の優勢――昔の言葉で言えば制空権と制海権ですが――は2020年代前半に、中国側に傾くと見られます。

 そうなれば中国が台湾を軍事的に威嚇する可能性が高まります。これが軍事的衝突に拡大する懸念があります。

 一方、台湾はそれを防ぐための核武装を考えるかもしれません。すると、ますます衝突の可能性が増します。中国は、台湾の核武装を侵攻の条件の1つに掲げているからです。

南シナ海が試金石

 あるいは中国が沖縄県の先島諸島――「尖閣」や与那国島、石垣島、宮古島に対し、今以上に挑発の度を高める可能性があります。

 この際、1995年と1996年の台湾海峡危機と同様に、ミサイル演習と称して中国が沖縄周辺に、あるいは東京湾を出たあたりの公海に多数の実戦用弾頭を撃ちこんでくるかもしれません。こうなっても在韓、在日米軍が後退する可能性があるのです。

 今、南シナ海で米中のつばぜり合いが激しくなっています。もし、中国の人工島の埋め立てを米国が阻止する力を見せないと、中国は「米国弱し」と見て台湾や沖縄でさらに強気に出てくるでしょう。

鈴置:20年前の台湾海峡危機の時、米国は空母打撃部隊を台湾周辺海域に送って中国を牽制しました。今度は反対に、後ろに引くかもしれないとは……。

矢野:中国のミサイルの性能が急速に向上しているためです。中国が最近開発した対艦弾道ミサイルの射程圏内――大陸から1000カイリ以内の東シナ界や南シナ海には有事の際、米空母打撃部隊は入らないでしょう。

米空母はもう、来ない

鈴置:「空母キラー」と言われる「東風21D」のことですね。でも、本当に実用化に成功したのですか? 超高速で大気圏に再突入する弾道ミサイルを、30ノットで動く艦船に当てられるものでしょうか。

矢野:確かに、そう疑う向きもあります。ただ、同時に多数の「東風21D」に狙われたら、直撃されなくても大きな被害が出るでしょう。

 至近弾に留まったとしても、炸裂した弾頭から放出される約1000発の子弾によって、米艦船は通信電子装備に深刻な損害を受けます。そのリスクを考えただけで、射程内の海域から空母を引き上げざるを得なくなります。

—結局、米中が衝突した時、これまで頼みの綱だった米空母は助けに来ないかもしれない、ということですね。

鈴置:その可能性を考えただけで、韓国人は核を手にしたくなるでしょう。北朝鮮の挑発があれば必ず米空母が急行してくれる――というのが韓国の常識になっていますから。

朴正煕時代の韓国ではない

—韓国が核を持った場合、米韓同盟はどうなるのでしょうか。

鈴置:韓国には「核兵器を開発しようとすれば経済制裁されて阻止される」「同盟を打ち切られる」と懸念する声もあります。朴正煕政権当時の米国の強力な圧力の記憶が、未だに残っているのです。

 保守運動の指導者で核武装論者である趙甲済(チョ・カプチェ)氏はこの懸念に対し、以下のように説得しています。「核開発して滅びた国はない」(5月14日、韓国語)から引用します。

  • 世界5大工業国、5大原子力技術国、7大輸出国、8大軍事力(通常兵力)、8大貿易国に浮上した韓国が中国側に傾けば、日本も対抗できないし、中国はユーラシア大陸の覇権国家になる。
  • こんな韓国が中国と北朝鮮を牽制するために核兵器を持とうとするからといって、米国が韓国を制裁できるのか? 韓米同盟は重要であり韓国にとって米国は大事だが、同じように米国にとっても韓国は大事なのだ。
  • 朴正煕大統領が1976年頃に核開発を放棄したのは、韓国の原子力発電所に協力しないと圧迫を受けたためだ。だが、2015年の韓国は1976年の韓国ではない。

核さえあれば、こちらのもの

 趙甲済氏ら核武装論者は「北の核にはどんなことをしても対抗しなければ、韓国は生き残れない」との悲愴な判断と「核武装すれば道は開けるし、それしか道はない」との覚悟を抱いているのです。

—米国が反対しようが韓国は核を持つということでしょうか。

鈴置:趙甲済氏らはそこまではっきり言っていません。しかし、そうなっていく――容易に強行突破論に転化し得ると思います。

 矢野先生との議論は「韓国の核を米国は黙認するか」がテーマでした。また、米国の外交誌「The National Interest」で起きた「同盟国に核を持たせるべきか否か」という論争も「米国が同盟を打ち切るぞと脅せば、同盟国は核武装をあきらめる」との前提がありました(「米国も今度は許す? 韓国の核武装」参照)。

 でも韓国の場合、米国の脅しの効果は急速に薄くなっています。「もう、昔の弱い韓国ではない。米国の言いなりにはならないぞ」という意識が強まっていますから。

—「核さえ持てば何とかなる」と、後先考えずに核武装に走るかもしれない、ということですね。

破綻する米韓同盟

鈴置:いわば、核至上主義――北朝鮮と同じ発想です。もう1つ、見落とすべきでないのは「完全中立化に伴う核武装」の可能性です。

 朴槿恵政権は2013年2月のスタート以来、事実上の米中等距離外交を採用しました。でも、限界に達したのです。

 米国が北朝鮮のミサイルに備え、在韓米軍に終末高高度防衛ミサイル(THAAD)を配備しようとしています。

 一方、それが自分の核の威力を減じる目的と考える中国は「配備を認めたら核攻撃の対象にするぞ」と脅します。韓国はどちらにも「NO」と言えないので頭を抱えています。

 北朝鮮の脅威から米国に守ってもらいながら、米国による防衛に反対する――。この韓国の奇妙な態度は、米韓同盟の矛盾に根ざしています。

 韓国の主要敵は北朝鮮であって、絶対に中国ではない。一方、米国のそれは中国であって北朝鮮ではない。米韓同盟は主要敵が完全に異なってしまった――はっきり言えば、破綻しつつあるのです。

南シナ海でも「離米従中」

矢野:THAADだけではありません。南シナ海を舞台に激化する米中対立もそうです。中国は各国の反対を押し切って、南シナ海で埋め立て工事を実施し、軍事基地を作っています。

 これに対し米国を中心に日本、豪州、フィリピン、ベトナムなど関係国がこぞって非難しています。というのに韓国は知らん顔です。

鈴置:韓国の気分は「もう、中立」なのです。韓国は「南シナ海の領有権と我が国は関係ない」と逃げ口上を打っています。

 しかしそれは言い訳です。中国は、米国とその同盟国を狙う核ミサイル原潜の隠れ家にしようと、南シナ海の内海化を進めているのです。

 中国の顔色を伺うばかりでそれに反対しない韓国を米国はどう見るのでしょうか――。6月3日、ラッセル国務次官補はワシントンのシンポジウムで、韓国に対し批判の隊列に加わるよう迫りました。

 米国も二股外交の韓国に、堪忍袋の緒を切ったのです。かといって韓国が対中批判に加われば、中国から苛め抜かれるでしょう。

 ラッセル発言は韓国で大きな問題となりました。中央日報の「米国務次官補『韓国が南シナ海紛争に声を高めるべき』」(6月5日、日本語版)で読めます。

独島を日本から取り返される

—韓国の「板挟み状態」は厳しくなる一方ですね。

鈴置:だから、悩んだ韓国が米韓同盟の破棄を考えるかもしれないのです。そうすれば、THAAD配備問題も南シナ海問題もきれいになくなります。

 もちろん今すぐ、という話ではありません。何らかの「引き金」がいると思います。例えば、米中の軍事的な対立が深まって、中国が韓国に対し「在韓米軍基地を攻撃するぞ」と脅した場合です。

 韓国は米国に対し「軍隊を引いてくれ」と頼む可能性が高い。そうなったら米韓同盟は消滅します。同時に韓国は核武装に乗り出さざるを得ない。

 対北朝鮮はもちろんのこと、中国や日本に対しても核が必要になるからです。米国の後ろ盾がなくなれば、中国が韓国に対し無理難題を突きつけるのは確実です。日本も独島――竹島を取り返しに来る、と韓国人は信じています。

 でも「核さえ持っていれば中国や日本になめられないで済む」――のです。「韓国の核」は北朝鮮専用ではありません。

グリップが効かない核保有国

矢野:韓国は北京や東京にも届く弾道ミサイルの開発に取り組んでいます。これに通常弾頭を載せても効率が悪い。日本や中国への核威嚇が念頭にあるのは間違いありません。

 朴槿恵政権の米中等距離外交も「仮に米国と縁が切れても、核を持っておけば中国の言いなりにならないで済む」という発想が根にあるように思えます。

鈴置:世論もそうです。「核さえ持てば、慰安婦問題だって日本は頭を下げてくる」などと上手にナショナリズムに火を付ければ、韓国社会に核武装論が一気に盛り上がると思います。

 そもそも国民の70%弱が核武装に賛成です。日本とは異なって核アレルギーはありません。だから強力な反対勢力は存在しないのです(「ついに『核武装』を訴えた韓国の最大手紙」参照)。

 むしろ韓国には「核を持たないから馬鹿にされるのだ」との思いの方が強い。「慰安婦」で米国が日本の肩を持ったとの理由で、ネットに「核武装して米国から独立しよう」との声が溢れる国なのです(「『ヴォーゲル声明』に逆襲託す韓国」参照)。

 もっとも「同盟国でなくなる韓国」の核に関しては、米国は阻止するかもしれません。米国のグリップの効かない核保有国は何をするか分からないからです。情緒が安定した国とは言えませんしね。米国や日本にとって“北朝鮮”がもう1つできては困るのです。

『朝鮮半島201Z年』

—鈴置さんは近未来小説『朝鮮半島201Z年』で米中が取引し、韓国が核武装する前の段階で北の核を取り上げたうえ、朝鮮半島全体を中立化する――と予想しました。

鈴置:米国は同盟国を1つ失う代わりに、戦争に巻き込まれるリスクを軽減する。中国は北朝鮮への軍事作戦という汗をかく代わりに、韓国から米軍を追い出す――という談合が米中間で成立するのです、この小説では。

 中国だって韓国に核を持たせたくはない。台湾や日本の核武装の呼び水となりかねないからです。それに南北双方が核を持てば、この半島を操りにくくなる。

—朝鮮半島の非核化を実現するためとはいえ、米国が簡単に同盟国を手放すでしょうか。

鈴置:先ほど申し上げたように、米韓同盟自体が巨大な矛盾を抱えています。いつまで持つか分からない同盟なのです。苦労して維持する必要があるのか、首をひねる米国の安全保障専門家が出始めました。

 「米国との同盟がなくなった後、中国の恐ろしい素顔を見れば韓国は戻ってくる」と言う専門家もいます。米軍基地を追い出した瞬間、中国にミスチーフ礁をとられた「フィリピン体験」を韓国にもさせよう――というわけです。

米中は「半島」では仲がいい

—米中関係は悪化する一方です。小説のように米国と中国が朝鮮半島に関し「談合」できますか?

鈴置:十分可能です。米中はこの半島に関しては一種の合意があるからです。前回も引用しましたが、1972年に訪中したニクソン大統領は、周恩来首相に以下のように語りました。今回は後半部分に注目下さい。

  • 朝鮮人は、北も南も感情的に衝動的な(emotionally and impulsive)人たちです。私たちは、この衝動と闘争的態度が私たち(米中)両国を困らせるような事件を引き起こさないよう影響力を行使することが大切です(『ニクソン訪中機密会談録』=日本語=100ページ)。

 原文は「Nixon’s Trip to China」の「Document 2」の17ページです。

 「感情的に衝動的な朝鮮人」が起こした朝鮮戦争のために、米国は5万人もの若者の命を失いました。中国は数10万人の戦死者を出したと言われています。

 米中がいかに敵対しようと「この不愉快な地域に再び足を取られてはならない」との共通の思いは変わらないのです。

核はこっそり開発できる

矢野:米中の思いは確かにそうでしょう。でも「鈴置シナリオ」には難点があります。核兵器はこっそり開発できるのです。「非核化」させたはずの南北朝鮮が、いつのまにか核を持つかもしれない。

 そうなったら元の黙阿弥です。それよりか、インドとパキスタンのように「顕在化した核均衡」の方が安定的です。

鈴置:なるほど、そうかもしれません。「中立化」によって南北が米中との同盟を破棄した後は、大国の監視や干渉は受けにくくなるでしょうしね。

矢野:結局、2020年代前半に――10年以内に日本は、潜水艦に搭載した核ミサイルを持った南北朝鮮と対峙することになる可能性が相当にあるということです。

鈴置:そうなるかもしれないし、そうはならないかもしれない。でも可能性が出てきた以上は、そうなった時のことを考えておかねばならないでしょうね。

6/10日経ビジネスオンライン 奥山真司『中国がかわしたい米国の“海峡封鎖” 大国の世界展開は「内海」の確保に始まる』記事について

日高義樹氏の『中国敗れたり』によると①米海軍は中国の知らない内に、中国を海上封鎖できるキャプター型機雷を近海に敷設するのは可能とのこと。特殊原潜で敷設は気づかれないそうです。衛星で操作することなく必要時点で浮き上がってきて艦船(軍事用、民間船を問わず)を撃沈。海底に長期間敷設可能とのこと。これをやれば、中国経済は崩壊間違いなしです。もう既にやっている可能性もありますが。②A2/AD戦略を中国はプロパガンダしていますが、中国の空母キラーと言われるクルージングミサイルDF-21D(中国名:東風-21D)はマッハ5~6で非常に遅い(普通の大陸間弾道弾のスピードはマッハ20~30)し、破壊力もハープーン程度(?)で大したことがないとのこと。米空母は最大30数ノット(50数Km/h)で走り、ミサイルが飛んでくる間に位置を変えれるし、中国側のレーダーを攪乱してDF-21Dの飛行を妨害できるとのこと。これによりエアシ-バトル戦略を採らなくても中国軍はなす術がなくなります。

問題は能力でなくて意思の問題です。オバマが宥和政策を取れば(民主党と言うのは日米とも碌でもない政党です。中国から多分オバマは献金を受けているでしょう。ヒラリーがそうであったように。なにせ大統領選時、投票者登録をごまかして大統領になったと言われている史上最低の米大統領です)中国はつけあがり、ドンドン侵略して行って既成事実化を図るでしょう。内蒙古、チベット、ウイグルのように。米軍は中国の主張する12海里に艦船を通過させるべきです。中国の主張は国際法違反、何の強制力も持たないことを世界に知らしめるべきです。

日本は相変わらず民主党や共産党が国際環境の変化を考えない議論をしています。このままいけば日本の独立も危うくなります。女でミソを付けた山崎拓がしゃしゃり出て来て集団的自衛権にイチャモンつけていました。中国でハニートラップに遭い、今回も中国から言わされているのでしょう。裏に古賀や野中、加藤、河野辺りが蠢いているのかも知れません。野党が充分な議論が足りないというなら通年国会にすべき。国民はもっと怒るべきです。民間企業でそんなに休むことはできないでしょう。選挙対策でなく、議員本来の仕事である国会で法案作成に専念すべき。Lawmakerの名が泣くでしょう。中国と比較すればアメリカの方がずっとマシです。日米同盟が基軸で多国間で中国を封じ込めるべきです。中国に有利な発言をする政治家やメデイアの人間は裏に何かあると見た方が正解です。

記事

 マッキンダーが提唱した言葉に「内陸海」がある。英語では「ミッドランド・オーシャン」(Midland Ocean)。大西洋を囲む自由主義陣営の国々がソ連(ロシア)に対抗するイメージを表すために使ったものだ。マッキンダーの死後、この概念は北大西洋条約機構(NATO)として結実した。

 地政学ではこのように、ある海を囲む、つまり「内海化」する国家や同盟国が、シーパワー国家としての土台を獲得し、世界展開を目指す傾向があると見なすことが多い。古代に栄華を誇ったローマ帝国は地中海を内海化した。英国も地中海と大西洋を内海化したことがある。

 オスマン・トルコも地中海と黒海を囲い込んだ。ソ連は黒海やバルト海、それにオホーツク海を内海化した。そして日本も「大国」であった戦前は、日本海と東シナ海を内海化していた。

カリブ海の内海化から米国の世界展開が始まった

 では米国の場合はどうなるか。現在は上記のように大西洋をはじめ、世界のほとんどの海を「内海化」している。とりわけ世界展開を始めた時期に最初に内海化したのが、自国のすぐ南側にあるカリブ海であったことが重要だ。

 当時のカリブ海は、砂糖の原産地や奴隷貿易の拠点として、英国をはじめとする欧州の列強たちが関与していた場所であった。これに対して米国は1823年にモンロー大統領が提唱した、いわゆる「モンロー・ ドクトリン」に従って、西欧の列強を西半球(南北アメリカ)から排除する方針を取り始めた。

 当初は、カリブ海最大の勢力であった英国(1833 年に奴隷制を禁止)と協力する形で奴隷貿易を取り締まる警戒活動などを行っていた。だが、1899年の米西戦争でスペインを排除し、20世紀前半に英国がこの海域から撤退すると、米国政府は彼らがこの海域に二度と復帰してこられないように様々な手段をとっている。

 その後、第一次世界大戦の時期に、米海軍がこの海域での覇権を握った。このため、カリブ海全域が「アメリカの地中海」(American Mediterranean)と呼ばれるようになった。

 つまり、米国が本格的に世界展開を始めるきっかけとして、自国周辺の海域の「内海化」があったと言えるのだ。

南シナ海を巡る米中の攻防

 このアナロジーをそのまま中国にあてはめて考えると、興味深いことが分かる。「アメリカの地中海」に相当するのは、スパイクマンが「アジアの地中海」(Asiatic Mediterranean)と呼んだ、南シナ海を含む海域だ。

 ご存知のように、中国は現在、南シナ海の領海化を必死に進めている。その証拠に、南沙諸島周辺で7カ所の岩礁を埋め立てていることが最近確認されており、フィアリー岩礁をはじめとする少なくとも3カ所の海域で、ジャンボ機も発着可能な3000メートル級の滑走路を建造中であると報じられている。

 これはまさにスパイクマンが予測した、「アジアの地中海」において中国が覇権を確立するための第一歩と言えるものだ。もしこの「内海化」が実現すれば、中国はユーラシア大陸のリムランドの南部の海域と空域をコントロールする力を持つことになる。

 もちろんこれが実現するかは未知数だ。少なくとも現時点の米国は、この「アジアの地中海」から手を引く意志はないように思える。そうなると、この海域を巡る米中の権益の衝突は当面続くことが予測される。ただし19世紀末までカリブ海を抑えていた英国が、20世紀初頭にアメリカに覇権を譲り渡して撤退した事実は気になるところだ。アメリカも「その時」が来れば撤退する可能性もある。

海上交通路とチョークポイント

 このような「内海化」のもう一つの側面として重要になるのが、海上交通路(SLOCs:スロックスと読む)とチョークポイント(choke points)の確保である。

 英国がシーパワーとして世界の海を管理できたのは、この海上交通路やチョークポイントにおいて覇権を握っていたことが大きい。日本も日露戦争でこの恩恵を受けた。ロシアのバルチック艦隊が日本に向かうのを、スエズ運河のようなチョークポイントや海上交通路で英国が妨害をしてくれたおかげで、日本海海戦(1905年)に快勝することができた。

 米国も同様に、海上交通路やチョークポイントの確保に熱心だ。前述した米西戦争が起きた原因の一端は、カリブ海の海上交通路の確保にあった。米国は1914年、フランスが着工していた工事を譲り受けて、チョークポイントの典型であるパナマ運河を完成させている(ちなみにマハンはこの年に亡くなった)。

 後に2つの世界大戦に参戦した米国は、まさに英国の海上交通路とチョークポイントを引き継ぐことで世界覇権を握ったことを忘れてはならない。

 現在の主な海上交通路とチョークポイントは、米国が管理しており、それには当然ながらこの南シナ海も含まれる。ヒラリー・クリントン前国務長官が2010年のASEAN地域会合で「米国は航行の自由を守る」と宣言したのは、世界最大のシーパワー国家として、海上交通路(とチョークポイント)の覇権を確保する覚悟の表れであったと言える。

中国が抱えるマラッカ・ジレンマ

 他方、中国にとっての海上交通路とチョークポイントに関係してくる問題を考えると、彼らにとっての最大の懸念として挙げられるのは「マラッカ・ジレンマ」である。

 このジレンマとは、中国が経済的に発展して国力が高まると、米国(とシンガポール)に対する脆弱性が高まってしまうというものだ。経済発展するとエネルギーの需要が高まり、中東からの石油の輸入に頼らざるを得なくなる。その際の海上交通路のチョークポイントは、マラッカ海峡(中国が輸入する原油の80%がここを通過)だ。したがって同海峡を管理する米国(とシンガポール)との関係が重要になる。

 当然ながら中国には、このジレンマを解消しようという動機が働く。その解決策として北京は現在、3つの計画を進めていると言われている。

 第1がパキスタンのグワダル港と新疆ウイグル自治区のウルムチまで、パイプラインを結ぶ計画だ。グワダル港はイランとの国境のすぐ東にある。インド洋に向かって開けている砂漠の南端にある良港だ。最近の「一帯一路」につながる「中パ経済回廊」というスローガンの下で、中国政府がすでに大規模な投資を行っている。今後さらに深海港化――大型の船を着岸できるようにするため浚渫(しゅんせつ)工事を行う――や港湾施設の拡充を行う方針をパキスタン政府と決定している。

 ただし、プロジェクト全体の実現性が疑問視されている面もある。グワダル港周辺に住む民族(バルチ人)は、パキスタンの首都イスラマバード周辺に住む民族(パンジャブ人)と対立関係にあって、分離独立の機運もある。もし中国のパイプラインがグワダルまで延長されれば、イスラマバードに対抗するために「パイプラインを破壊し、中国人労働者を殺害する」と明言する独立運動側のリーダーもいる。また、北から吹く風が砂漠から運んでくる大量の砂によって港が埋まってしまう問題も抱えている。

 第2がミャンマーへのパイプラインだ。これは中国南部の昆明からチャウッピュー港まですでに伸びていて、今年の2月の時点で完成していると言われている(原油の輸送を開始しているかどうかは不明)。

 これはまさに戦前の「援蒋ルート」の再現だ。連合軍側が戦時中に、中国内の日本軍に対抗すべく整えた物資補給路が、現代において、マラッカ海峡をバイパスするための中国自身のための原油ルートとして復活したことになる。だが、北京政府が同時に敷設する予定だった鉄道のほうは、地元住民の反対などもあって中止している模様だ。

 第3が「クラ運河」――マラッカ海峡をバイパスする形で、マレー半島を横断して太平洋 (タイ湾)とインド洋(アンダマン海)の間の44キロを結ぶ――の建設である。つい先日、中国とタイの企業が計画を発表したが、こちらも、その実現性に疑問符がついている。報道が錯綜しており、タイ政府側はこの計画の存在自体を否定したという情報もある。

 いずれにせよ、中国側はマラッカ海峡という自らが権限をもたないチョークポイントを回避するため、新たな陸上ルートを開発する計画を次々に打ち出そうとしている。

米国が握る太平洋覇権に中国が挑戦

 マハンの頃から、まるで「太平洋を握るものは世界を制する」とでも言うべき現象が国際政治の場に現れている。第二次世界大戦では、この海域の覇権を巡って日米が激突した。日本の敗戦後は、米国がここの覇権を握った状態が続いている。言い換えれば、1945年以降、米国は太平洋を「内海化」しているのだ。

 ところが2000年代に入ってから、中国がこの覇権に異を唱え始めた。2006年にキーティング米太平洋艦隊司令官(当時)に対して中国海軍の司令官が「太平洋を2分割しよう」と提案したという逸話がある。

 習近平国家主席が2013年夏の米中首脳会談以来、「新型の大国関係」を唱え始めている。「G2論」の派生版だ。この頃から「広い太平洋には米中両大国を受け入れる十分な空間がある」というフレーズを使い始めた。つい最近も北京で米国のケリー国務長官に対して同様の言葉を発している。

 つまり中国は、太平洋において米国が覇権を握っている状態をよしとしていない。そこに国力に見合った自分たちの影響圏を確保し、覇権とは言わないまでも、米国と太平洋を分割し、できれば共存したいという意図を持っていると解釈できる。

 かつては、「米中は太平洋において共存できる」という楽観論も持ち上がった。米ボストン・カレッジ大学のロバート・ロス教授は、1999年に書いた論文の中で、このように主張した(ロス教授は後に考えを修正)。しかし、現在の南シナ海の状態を見て、米中が共存関係に向かっていると楽観的に判断する人々はすっかり減ってしまった。現状変更を積極的に進めようという中国の意図があまりにも明白に見えているからだ。

 いずれにせよ、「一帯一路」という広大なビジョンからも分かるように、中国が日本よりも大きなスケール、つまり「システム」レベルで国家戦略を地政学的に考えている点は、どうにも否定できない事実である。

米中に翻弄される日本

 米中という2つの「大国」は競争しながらも共存できるのかもしれない。だが、これまでの人類の歴史を見れば、この2国の間で戦争を含む大なり小なりの紛争が起こる可能性を否定することはできない。

 そして、東アジアという「サブシステム」の一角を占める日本は、今後もこの2国の関係に翻弄されることになる。

 このような中で、日本が考えるべきは、米中の覇権戦争に巻き込まれることなく、いかに相対的にパワーポジションを維持もしくは向上させるかだ。日本のリーダーたちには、日本をずる賢く立ちまわらせる知恵が必要になってくると言えよう。