8/18櫻井よしこコラム<「 中国マネーが席巻する征服と略奪の網 日本は負の流れ変える歴史的使命がある 」 『週刊ダイヤモンド』2018年8月11・18日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 1243
中国で異変が起きている。7月26日、北京の米大使館付近で爆発事件が発生、中国当局は内蒙古自治区出身の26歳の男を拘束した。情報筋は、少数民族に対する苛酷な監視の網をくぐってモンゴル系の青年が爆弾を所持して北京中心部の米大使館に近づくなど、あり得ないと強調する。
「産経新聞」の藤本欣也記者が7月17日に北京発で報じたのは、(1)7月第2週、屋内外の習近平中国国家主席の写真やポスターの即刻撤去を命じる警察文書がインターネットで拡散した、(2)中国政府系のシンクタンク「社会科学院」で習氏の思想及び実績を研究するプロジェクトが中止された、(3)党機関紙「人民日報」一面から習氏の名前が消え始めたという内容だった。
いずれも権力闘争の明確な兆候と見てよい変化である。
中国の報道では常に鋭い視点を見せる産経の矢板明夫記者も7月18日の紙面で以下の点を報じた。(1)7月初め、江沢民、胡錦濤、朱鎔基、温家宝らを含む党長老が連名で党中央に経済・外交政策の見直しを求める書簡を出した、(2)長老たちは、党内にはいま個人崇拝や左派的急進主義などの問題がある、早急に改めよと要請した、(3)習氏の政治路線と距離を置く李克強首相の存在感がにわかに高まった。
(2)の「個人崇拝」や「左派的急進主義」などの表現は、独裁者、毛沢東の時代に逆戻りするかのような習氏を念頭に置いた警告であろう。長老群の習氏に対する強い不満が読みとれる。
8月1日の産経で、中国河北省の北戴河から西見由章記者が報じた。北戴河は毎夏、中国共産党の指導部や長老が一堂に会し、2週間ほどかけて人事や重要政策を議論する場として知られる。会議に備えて、渤海に面した北戴河一帯は数キロにわたって交通が遮断され厳重な警備体制が敷かれるが、街中で見掛ける看板には、ごく一部を除いて習氏の名前がないというのだ。
最も顕著なのが、「新時代の中国の特色ある社会主義思想の偉大な勝利を勝ち取ろう」という大スローガンを書いた看板である。これは昨年10月の第19回共産党大会で華々しく打ち上げた習氏の思想である。当然、「習近平による」という枕言葉がつかなければならない。にも拘わらず、沿道沿いの看板には習氏の名前はないのである。
また、街のどこにも習氏の肖像画や写真が1点もないそうだ。習氏の個人独裁体制が批判されているのは明らかといえる。
北戴河で長老たちはどんな人事を要求するのか。学生時代の級友たちを重要閣僚や側近につける習氏の「縁故政治」にストップをかけるのか、憲法改正まで断行して、習氏は自らの終身主席制度への路線を敷いたが、それを阻止するのか。そこまでの力が長老たちにあるのかは不明だが、中国が尋常ならざる混乱に陥る可能性もある。
習氏の強権政治が牽制されるにしても、警戒すべきは国際社会に対する中国支配の網が、彼らの言う一帯一路構想の下で着々と進んでいることだ。一帯一路構想で620億ドル(約6兆8200億円)という最大規模の融資を受けたパキスタンは、そのプロジェクトのおよそ全てで債務の罠にはまりつつある。過大借り入れで返済不能に陥るのはもはや避けられないだろう。7月の選挙で誕生した新政府が、いつ世界銀行などに緊急援助を求めるかが注目される中で、中国の債務の罠に捕捉された国々はスリランカのように、港やダム、重要インフラ、広大な国土を99年間などの長期間、中国に奪われてしまいかねない。
中国がどうなろうと、中国マネーによる征服と略奪の網は広がっている。この負の流れを米欧諸国と共に変えていくのが日本の歴史的使命である。奮起し、世界の秩序構築に貢献する責任を政治には自覚してほしい。>(以上)
小生は「騙される方が悪い」との考えの持主です。「騙すのが賢い」と評価される中国人相手に,
良い話と信じるのはナイーブです。そうは言っても、中共の毒牙の犠牲にならないよう自由主義国は連携して守ってあげないと。
8/22ブログ正しい歴史認識、国益重視の外交、核武装の実現<朝日新聞日本語版の「吉田虚偽証言取消し記事」英訳にGoogle検索を回避するメタタグを埋め込む>相変わらず朝日の不誠実さは共産主義者そのものです。未だ読んでいる人の精神構造を知りたい。
8/22阿波羅新聞網<习近平一度移居西山防不测 胡锦涛深夜急令习闭门不出内幕=習近平は一度居を西山に移したのは暗殺を防ぐにはどうしたらよいか分からないため 胡錦濤は深夜に急ぎ習に「門を閉めて家から出るな」と指示>18大前から王立軍は中央警護局員を買収して、要人の盗聴をして薄熙来に報告していた。習近平が主席になる前に、周永康、薄熙来、王立軍たちは2度にわたって習を暗殺しようとした。1度は会議室に爆弾設置、もう一度は病院で検査を受けるときに毒針で、政変を起こそうとした。習が西山の軍事指揮センターに居を移したのは暗殺を防ぐためである。2012年18大前に次期主席の習が12日も姿を消したのは暗殺の恐れがあった為である。当時のある日の夜の0時20分、胡錦濤に中央弁公室主任から緊急電話があった。主任は胡錦濤に中南海警衛団第一大隊副隊長から緊急電話があったことを伝えた。事態は重大なので寝ていた胡錦濤を起こした。緊急を要することなので、胡はすぐに習に電話し、「胡本人の電話を除き、外出もダメ、来客も受けないように」と。同時に胡は習の住まいに北京の特警を派遣して警護に当たらせた。すぐに政治局核心会議を開き、事件について討論した。明け方には政治局拡大会議を開き、在京の党や軍の幹部が出席した。会議が終わり、長老たちに報告。核心会議で、習近平、李克強及び家族は中南海に集まり、習の近い内の活動は取り消された。
胡錦濤は会議の中で、「党内に野心家や陰謀家がいる。習を暗殺して主席になるのを阻止しようとしているのが、党と軍にいる」と発言した。胡は当時、周永康、郭伯雄、徐才厚が郊外に集まり、会議を開いているのは不正常で暗殺事件と関係があるのでは疑っていた。だが証拠がなかった。徐才厚が職を解かれ、死ぬ前に習の暗殺事件について説明した。それは、習が外地に行ったときに車が壊れて人が亡くなった事件、宿泊先でショートが起きた事件、部隊視察時に突然撃たれた事件、周永康・令計画・郭伯雄等の政治的野心家の活動等である。
2012年2月6日、王立軍は成都の米国領事館に逃げ込み、周永康と薄熙来の政変の証拠を米国に渡し、習が米国訪問時してバイデンと会った時に、彼が習にそのことを教えた。
中国は今でも恐ろしい国です。でも、習が反腐敗運動に名を借りて、暗殺しようとした政敵を倒したのは頷けます。ただ、習を胡の後継主席に選んだのは、江派の曽慶紅で、習が主席になる前から周永康・薄熙来のように亡き者にしようと思っていたかは分かりません。
http://www.aboluowang.com/2018/0822/1161836.html
8/22阿波羅新聞網<11月川习会?川普发话了!CIA盯上中共渗透 美统战侨领被点名 ——川普不看好中美新一轮贸易谈判 中共在美统战侨领被点名=11月にトランプ・習会談?トランプが発した CIAは中共に浸透されていると推測 対米統一戦線の華僑の名前が上がる トランプは貿易交渉を見たくない >17日、トランプはNYのハンプトンで募金活動をし、中国問題について触れ、「中国はもっと注意を払うべき。我々はまだ関係は終わっていない。但し、習と会うかどうかは不確定」と。この前にトランプはツイッターで、「中国がより良い条件を出さない限り、米国は何らの協議で決めることはできない」と言っていた。
“The Daily Beast”の元記者は、「ワシントンで“(台湾との)平和的統一促進会”が浸透していて長い歴史を誇る。数十年にも亘る」と指摘。
前CIA分析官のピーター・マテイスは「中共の海外での工作はコミュニテイのリーダーにさせるか、政府に替わり中共の外交宣伝をするかの政策方針があり、米国人と米国及び社会の利益を衝突させるのが狙いである。 “The Daily Beast”に、「中共は積極的に親北京の組織を作り、親台湾・チベット・法輪功の組織に対抗しようとしてきた。米国内を含み、帰化華僑米国人をチエックして、コミュニテイ内で不和になるようにする」と。
アラバマ州の政治で30年も活躍している華僑のリーダーは「中国が米国に影響を与える部隊」である。「世界日報」は、「何暁慧は北京の上級工作員で、中国語メデイアから英語の主流メデイアに影響を与える手なので、注意せよ」と。何暁慧を良く知る華僑は「この報道は15年前に起きた陳文英事件を思い出させる。このような報道は華僑のイメージに良くない」と。
“和平统一促进会”前会长吴惠秋(左),中共驻美大使馆公使李克新(中),“和平统一促进会”会长何晓慧(右),=「平和的統一促進会」前会長の呉恵秋(左)、駐米公使李克新(中)、「平和的統一促進会」会長の何暁慧(右)
<隠蔽されたスパイ陳文英、元FBIエージェントは執行猶予を宣告された
更新日:2005-07-19 3:20 PM
【大紀元7月19日報道】(中央社、ロサンゼルス、18日、AFP)元米連邦捜査局(FBI)の捜査官のスミスは、ダブルエージェントの女性スパイ陳文英と関係を結んでいたが、本日ロサンゼルス連邦裁判所のクーパーの判決は、自宅で3ヶ月の軟禁と、3年間の執行猶予を宣告された。
スミス氏は、今月13日に法廷で、過去20年間に陳文英と「性的関係」を結んだことを認めたが、上司には隠していた。 ロサンゼルス裁判所は、検察官との協議の上、上記判決を下した。
カリフォルニア州のビジネス界で活躍していた陳文英氏は、当初、スミスが中国政府に関する機密情報を提供する責任を負う情報提供者であり、2003年4月に一緒に逮捕された。
検察は、陳文英氏も中国政府からの支払いを受けたスパイだったと述べた。
連邦裁判所のクーパー裁判官は、検察に対する陳文英の反論を元に、政府が重要な証人(退職したスミス)との接触を阻止すべきと、検察の主張を却下した。陳文英がスミスの書類の中から機密文書を盗んだという主張は、その後、米国第9巡回裁判所に上訴された。 >(以上)
陳文英・・・とても愛人関係を持ちたいとは思えない人物のような気がするのですが・・・。蓼食う虫でしょうか?
http://www.epochtimes.com/b5/5/7/19/n990880.htm
何暁慧はニクソンの愛人だった陳香梅同様、要人の愛人の可能性があります。中国女性に貞節はなく、体で地位か金かを求めますので。デイープステイト(金融グローバリスト、CIA、FBI)が如何に腐っているか。今トランプの元弁護士や選対本部長だった人間にトランプを貶める発言をさせています。中間選挙で民主党を勝たせ、弾劾に持ち込みたいと思っているのでしょうけど、そううまく行くかです。
「平和的統一促進会」は「世界抗日戦争史実維護連合会」と同じで、日米分断 米台分断を狙って組織されたものと思われます。日米台はキチンと軍事同盟国として中国に向き合いませんと。
http://www.aboluowang.com/2018/0822/1162005.html
8/22宮崎正弘氏メルマガ<それは習近平子飼いの陳全国がウィグル自治区書記に任命されてから始まった 残虐なウィグル族弾圧、収容所に放り込み拷問、再教育。棄教を迫る>日本のメデイアは本件を大々的に発信しません。朝鮮半島人対するヘイトとか敏感なくせに、他の民族の人権弾圧に鈍感なのは素性が知れると言うもの。
http://melma.com/backnumber_45206_6724289/
8/22中央日報<「日中間の通貨スワップ、3兆円規模で再開を調整」>今米中間で世界覇権を争っているときにこれはないでしょう。財務省の先走りか、韓国が自分のスワップ願望を中国に託して様子見したのでは。
http://japanese.joins.com/article/247/244247.html?servcode=300§code=300&cloc=jp
福島氏記事では、米中覇権争いの一環でも良いですから、ウイグル人の民族浄化を押し止めてほしいです。またISもイラクやシリアでなく中国で戦えと言いたい。
HONZ記事で、トム ミラー氏も久保氏も中国の歴史を知らないと思われます。科挙制度が長く続いた中国では武官より文官の方が上です。ところが共産党が政権を取り、「政権は銃口から生まれる」ようになると実質武官の方が上になります。軍の経験のない江沢民以下は、尊敬は集められていないでしょう。肩書きによる地位で縛っているだけです。ですから、「アジアの国に朝貢を求める」ことはなく、武力で脅して植民地化すると思います。遅れて来た帝国主義者ですから。武家政権(鎌倉から江戸)=軍事政権が700年も続いた日本とは大違いです。軍国主義が悪いと日本のメデイアは言いますが、自分達が国民を煽って戦争の道を歩ませたのを隠蔽するためではないかと思われます。武家政権時代は、悪くはなかったはずです。あの時代にいろんな文化が残っているではないですか。共産国の中国と北朝鮮に誇れる文化がありますか?自国民を虐殺する共産主義と軍国主義を比べれば遙かに軍事政権の方が良いと言えます。
福島記事
米国メディアを中心にウイグル・ムスリム弾圧についての報道が続いている
中国でウイグル・ムスリムを対象とする強制収容所が急速に拡大していることが、米国の衛星写真などから判明している。収容者は少なく見積もっても100万人、あるいは200万人を超えているという推計もあり、中国の宗教、“少数民族”政策の苛酷さがこの2年で急激に増していることがうかがわれる。外国ジャーナリストが新疆地域での取材の自由を奪われて久しいが、一部記者は現地の強制収容所周辺も果敢に取材している。また、強制収容所からかろうじて国外に逃げだした人たちの証言も表に出だした。新疆地域のムスリム迫害の状況をまとめてみたい。
中国国内のウイグルを中心とするムスリムの弾圧状況は2009年の7・5ウルムチ事件以来、外国記者らが現地で自由に取材することが叶わず、一部の在外ウイグル人組織経由で発信される以上の情報がなかなか出ない状況だ。だが昨年暮れあたりから米国メディアを中心に現地のウイグル・ムスリム弾圧状況への取材がかなり試みられている。背景には米トランプ政権がウイグル問題を対中外交カードとして見直していることもあろう。
たとえば国連の人種差別撤廃委員会(8月10日)に米国のゲイ・マクドゥーガル委員が「200万人規模のウイグルその他のムスリム少数民族を強制収容所で再教育を受けているとの報告を受けている」と懸念を表明。この報告では、ひげを蓄えている、ベールをかぶっている、国営テレビ放送を見るのを拒否した、などの理由で収容されるケースもあるという。さらに、新疆地域の12歳から65歳のウイグルについてはDNAや眼の虹彩などの生体情報を含むあらゆるデータを強制的に収集し極めて厳しい監視を実施していると指摘する。
7月26日には、副大統領ペンスがワシントンの講演で、数十万、あるいは数百万とみられるウイグルが強制収容され政治再教育を強いられている問題に言及し、「宗教的な信条が脅かされている」と懸念を表明。この同じ日に、米議会で開かれた公聴会で国務省が派遣する国連特別大使ケリー・カリーが、中国が2017年4月(新疆ウイグル自治区過激化防止条例を施行以降)、ムスリム少数民族の“中国化”を目的とする強制収容所を多数建設し、その収容人数が80万~100万人に達すると報告していた。その収容所では、信仰とウイグル言語、男性のひげや女性のベールなど、ウイグルのアイデンティティを放棄させ、共産主義を信じさせるよう洗脳教育を行っているという。この中国の対ウイグル弾圧は、「一帯一路」戦略の起点である新疆地域を中国化するという戦略目標があるのではないか、という点も付け加え、米国は、これを中国の人権問題として抗議していく構えであることを証言している。
新疆の強制収容所(中国語では集中営)に関しては、今年2月のBBCの報道から注目され始めた。BBCはトルコに逃げてきた亡命ウイグルの妻や母親が強制収容所に入れられたことなどを、本人から取材。「銃で殺されるより、妻や母親が収容所内で虐待死させられることの方が恐ろしい」と語っていた。
WSJがウイグル弾圧報道を強化
亡命ウイグル組織から断続的にこうした強制収容所の実態については情報が出ていたが、最近になってウォールストリートジャーナル(WSJ)がこの問題の報道に力をいれている。WSJ社説(8月13日付)で中国のウイグル弾圧への強い警告を発信。在米ウイグル問題研究者のアドリアン・ツェンツ氏の発言を引用する形で、この2年間に北西部の少数民族ムスリムが数十万単位で強制収容所送りにされている可能性を指摘。著名なウイグル族の民族学者で新疆大学教授のラハイル・ダウットが昨年12月以降、北京で姿を消したことなどにも触れ、中国のウイグル弾圧は国際社会が関心を寄せるべき重大な人権問題としている。
さらにWSJは強制収容所付近の現地取材や米国の衛星写真などを根拠とした秀逸なリポート(8月17日付)を発表している。カシュガルに近い疏勒県付近の衛星写真の2017年4月17日と2018年8月15日撮影の2枚を比較すれば、そこに建てられている強制収容所建設面積が2倍以上に拡大していることが一目瞭然だ。この収容所はWSJ記者が昨年11月にも現地を訪れている。その時にはまだなかった建物も8月15日には建てられており、この収容所の拡張が現在進行形で急速に行われていることを示している。
この記事では、米国と国連の専門家の推計として、新疆地域のムスリム少数民族人口の7%にあたる100万人が収容されているとしている。かつて強制収容所に収容されていた22歳のウイグル青年はWSJのインタビューに答えて「収容所の中国人職員から、この世に宗教なんてものはない、神なんて存在しないのに、どうしてお前は信仰するんだ?と問われた」と証言している。WSJはその他、収容者の家族ら数十人に接触しているが、うち5人が収容所内で家族が死亡した、あるいは釈放後まもなく死亡したと答えているという。
在外ウイグル亡命組織もこうした一連の動きに呼応している。米国の公聴会にあわせて7月26日、世界ウイグル会議代表のドルクン・エイサ及び前代表のラビア・カーディル、さらにオーストラリア、カナダ、日本、米国などのウイグル亡命組織代表者らが米ワシントンに集まり、ウイグル弾圧の実態について米議会と米メディアに発信した。
日本外国特派員協会で2015年に会見する世界ウイグル会議前代表のラビア・カーディル(写真:AFP/アフロ)
このときの在米亡命ウイグル人の証言によれば、習近平の子飼いの部下である陳全国が現新疆ウイグル自治区の書記になって以降、対ウイグル強制収容所再教育政策が強化され、収容所では毛沢東語録の暗唱や、毛沢東による新疆解放への感謝を唱えるよう強要する、時代錯誤な“再教育”が行われているという。さらにウイグルに対しては豚肉を食べるように強要し、ウイグル女性には漢族男性と結婚せねば、就職もできない、と洗脳しているという。こうした洗脳、再教育を受け入れない場合、せいぜい3人が入ればいっぱいになる程度の反省房に監禁される。この部屋に9~10人が詰め込まれることもあるという。
反省房では睡眠時間は4時間だけ、豚肉以外の食事を与えられず、一日中、毛沢東への感謝を唱えさせられるという。オーストラリアから来た亡命ウイグル人の証言によれば、陳全国が書記になって以降、在外ウイグルの家族への弾圧が激しくなっており、家族の偽の呼びかけによって、海外に留学していたウイグル学生が新疆に呼び戻されたあと収容所に入れられるという例が急増しているという。その数は8000人以上ではないか、とも言われている。マルコ・ルビオ上院議員は4月に、新疆ウイグル自治区書記の陳全国に対しては在米資産の凍結や入国ビザを制限するなど「人権の包括的責任に関するマグニツキー法」を適用するべきだと米政府に要請しており、米政府としても、その方向で検討中のもようだ。
こうしたウイグル側の主張を受けた米政権および米メディアの態度に対して、中国は強く反駁している。
国連の人種差別撤廃委員会でのゲイ・マクドゥーガルの証言に対しては、中国統一戦線部第九局副局長の胡連合が次のように反論した。
「100万人を強制収容しているという事実はない。確かに再教育施設は存在しているが、その名称は職業訓練センターであり、宗教過激派に騙された人々に対し、新たな居場所をつくり教育によって助ける場である。……だが、目下、そのセンターで何人が生活しているかは私も知らない」
統一戦線部第九局というのは、2014年に新設された新疆問題を担当する部署。この部署の建前は、新疆の三種勢力(テロ勢力、民族分裂勢力、宗教過激派)における幾多の深刻な社会問題を解決し、新疆の安定を図ることを目的とする。
中国のタブロイド紙・環球時報は胡連合の発言を踏まえて8月13日に「新疆を中国のリビアにしないこと、これが最大の人権」という社説を発表。簡単にいえば、新疆の平和維持のために多少の無茶は必要悪、という論理だ。いわく「新疆の治安維持は一大戦役であり、統一戦線部幹部群衆の新疆における戦いは、全国人民の支持と理解と許しを得られるものだ。彼らを恨み、噂に流され、西側の威圧を助長してはならない」。さらに新疆のイスラム過激派が中国の平和安定を脅かす例として、北京の金水橋や昆明鉄道駅で起きた「イスラム過激派テロ事件」などを例にあげている。要するに、宗教弾圧や強制収容所での再教育については事実上認めているということだ。
ISが中国に報復を予告
一部ウイグルが中国当局の弾圧・迫害を受けて、その恨みからIS戦闘員となって中国に報復してやりたいと考えていることは、彼らが発信する動画などからも判明している。昨年2月27日、ISのウイグル戦闘員らがウイグル語で「われわれはカリフ制国家の兵士だ。お前らのもとに行き、武力によってはっきりさせてやる。川のように血を流し、虐げられた人たちの復讐(ふくしゅう)をする!」と発言する警告ビデオを流していた。これはISの標的に中国が挙げられた初めてのビデオであり、中国としても脅威を感じたかもしれない。昨年4月以降の強硬な新疆政策は、こうした挑発を受けての、国家安全を守る上で必要な対応だというのが、中国側の言い分だろう。
ISに名指しで報復を予告された中国には多少の同情もするが、この状況は2009年の7・5事件に象徴される中国共産党のウイグル弾圧が背景にあり、これまでの中国民族政策の失敗の結果という見方もできる。この失敗の原因を冷静に分析せずに、この後におよんで、宗教過激派のテロを防ぐという建前で1000万人規模の民族を丸ごと洗脳して信仰とアイデンティティを放棄させようとする完全な民族浄化など、21世紀の文明国の想像の斜め上をいく蛮行であり、これに共感や理解を寄せる先進国は皆無だろう。中国の民族政策がこの方向性を突き進む限りは、新疆の平和安定どころか、より強い恨みと復讐心を生み、新疆の内戦化が本格化するのではないか、と懸念するのである。
人権問題に踏み込んだトランプ政権
ところで、長らく米国を含め先進国がなかなか踏み込もうとしてこなかった人権問題としての新疆ウイグル問題が、このところ報道を含め活発化しているのは、前段でも触れたようにトランプ政権になってからである。ウイグル問題は一部IS問題とリンクしており、なかなか踏み込むのが難しいテーマだ。イスラム問題やテロ問題の背景に理解が浅い日本メディアも中国の圧力を受けながら、ウイグル問題に切り込むのは、より困難であったかと思われる。
そこに、人権意識がオバマ政権などよりも低いといわれ続けていたトランプ政権が切り込んだことは、たとえ対中強硬路線に必要な政治カードとして利用したいというのが本音であっても、当の迫害されているウイグル・ムスリムたちにとっては朗報であり、現状を改善するチャンスであろう。
さらにいえば、ケリー・カリーが公聴会で指摘したとおり、中国にとっての新疆政策は、習近平の壮大な軍事経済戦略である「一帯一路」の成否にかかわるテーマ。一帯一路戦略は「中国製造2025」と並んで、中国が米国に匹敵する現代社会主義強国になるために必要な二大戦略の一つだと考えれば、ウイグル問題は新疆地域のウイグル人権問題にとどまらず、日本を含む国際社会の安全保障にもリンクする問題だと再認識できるだろう。
さて、日本首相の安倍晋三が10月に訪中し習近平と会談する日程が詰められているが、大勢の財界人も同行し、ひょっとすると一帯一路への協力もテーマに上がるかもしれない。少なくとも中国サイドはそれを大いに期待している。だが、このテーマが俎上に載るならば、ぜひともウイグル問題や「過剰債務による罠」と指摘されている債務国の“植民地化問題”なども問いただしてほしいところだ。
HONZ記事
本当に読むに値する「おすすめ本」を紹介する書評サイト「HONZ」から選りすぐりの記事をお届けします。
(文:久保 洋介)
中国の「一帯一路」構想の真相 陸と海の新シルクロード経済圏
作者:トム ミラー 翻訳:田口 未和
出版社:原書房
発売日:2018-05-14
本書は今日の中国の外交・経済財政政策を理解する上で必読の一冊だ。今後、歴史に残るであろう中国の壮大な構想と、その背後にある哲学を理解することができ、また、この構想がアジア域内にもたらす波紋をあたかも現場にいるかのように感じることができる。中国の壮大なビジョンを理解する上で不可欠なガイド本といえよう。
この中国の壮大な構想こそが『一帯一路』または『新シルクロード』と呼ばれる政策だ。これは2014年に習近平総書記が提唱した経済圏構想で、中国がアジアとその先に広がる地域との連携強化を目指した二つのプロジェクトから成り立っている。中国西部から中央アジアを経由してヨーロッパにつながる「シルクロード経済ベルト」と、中国沿岸部から東南アジア、スリランカ、アラビア半島の沿岸部、アフリカ東岸を結ぶ「21世紀海上シルクロード」。いずれも、陸上と海上の双方で産業ベルト・貿易ルートを構築しようとする壮大な試みである。
『一帯一路』といえば一般的には中国の外交政策として認知されているが、国内政策や経済・財政政策としての一面も実は大きい。最近でも、米中貿易戦争による経済的ダメージを軽減するため、『一帯一路』に沿った積極的な経済・財政政策が活用されている。中国共産党は、景気浮揚策として、発展が遅れている国内地域への積極的な公共投資を2018年7月31日の中央政治局会議にて決めたが、投資の向け先の多くは『一帯一路』で今後カギとなる国境拠点にむけられる予定だ。
アジアの国々の経済・文化圏を徐々に変えていく
このように、中国の外交・経済財政政策を理解する上で『一帯一路』構想を抜きには語れなくなってきているのが現状だ。この構想が成功するか失敗するかについて著者はあえて予言していないが、これが習近平の名声を後世に残すために考案された政策とは断言する。習近平総書記が乾坤一擲で推進する政策であり、失敗は許されない。
本書では、習近平肝いり政策がどのような意図でかつどのように進められているかを現場からのルポタージュという形式で描写している。各地での点としてのストーリーが『一帯一路』という大きな幹に繋がっていくのが本書の構成だ。
第一章ではアジアインフラ投資銀行(AIIB)のような多国籍金融システムを通して日米主導のアジア金融システムに風穴をあけていく様が描かれる。アメリカや日本はこのAIIBがブレトン・ウッズ体制を代替することを意図していると警戒するが、著者はAIIBの融資規模からしてそれは過大評価と評す。AIIBはあくまでもアピール用の金融機関でしかないとする。
本コラムはHONZの提供記事です
それよりも、圧倒的にAIIBよりも融資規模の大きい中国輸出入銀行(Exin Bank)や国家開発銀行(CDB)などが、実質的に中国の海外進出を後押しする機関であると説く。中国輸出入銀行単独の貸出額だけで世界銀行含む主要国際開発銀行七行の貸出額合計よりも多く、この銀行を主軸に中国はアジアのインフラ軍拡競争を勝ち抜こうとしていると分析する。これら銀行抜きには中国政府の意図は読み取れない。
第二章と第三章では、ロシアの影響力が強い中央アジアや、日本のプレゼンスが高い東南アジアへの積極的なインフラ投資によって、それら国々の経済・文化圏を徐々に変えていく様子が描写されている。中国は自国国境地域である新疆のウルムチやカシュガル、雲南省の昆明や景洪などを貿易拠点とし、次々と道路・鉄道・石油ガスパイプラインを外に向けて敷設していき、周辺諸国の街並みを変えていく。
究極的にはかつての朝貢制度を目論む
中国による投資によって周辺諸国は良くも悪くも近代化を遂げていき、否が応でも中国につながる道が切り開かれていくのだ。いずれの国々も覇権広げる中国を警戒視しながらも、『一帯一路』プロジェクトがもたらす投資資金というニンジンの前では政治的バランスをとるのが難しくなってきている。
そんな『一帯一路』構想も成功ばかりではない。ミャンマーやスリランカによる反旗やベトナムを中心とする一部ASEAN諸国が中国への敵対感情からアメリカへのすり寄りも許している。第四章から第六章のストーリーは、中国の思惑が一筋縄ではいかないことを物語っている。
この『一帯一路』構想を通して中国が目指すのは、中国の資金源を潤滑油とした非公式な同盟ネットワークの構築である。ハードインフラへの投資を軸に自国経済の繁栄と域内での地位確保を目指しており、究極的にはかつての朝貢制度を創出することを目論んでいると著者は分析する。
数十年後のアジアがどうなっているか楽しみだ。アメリカを軸とした経済・安全保障体制が維持され続けるのか、それとも中国による地域秩序が構築されているのか。いずれにせよ、中国による『一帯一路』構想は大きなうねりを今後も起こしていくことは間違いない。
このうねりを理解するのとしないのとでは、歴史を理解する上でもビジネスを進める上でも雲泥の差を生むことになるだろう。『一帯一路』が悪名高い大躍進政策の二の舞となるのか、はたまた中国経済と地域秩序を変える政策になるのか、同じ時代に生きるものとして目が離せない歴史のうねりである。
米中もし戦わば
作者:ピーター ナヴァロ 翻訳:赤根 洋子
出版社:文藝春秋
発売日:2016-11-29
足下で起きている米中貿易戦争の理論的支柱となる一冊。これも併せて読むと米中の「今」がわかる。書評はこちら。
久保 洋介
1985年、大阪生まれ。幼少時代を大阪・長崎・ニューヨークで過ごす。京都大学法学部在学時には、日本文化を紹介するイベントを企画し、「京都大学総長賞」「京都学生人間力大賞」を受賞。現在は総合商社にてエネルギー担当。好きなジャンルは、評伝、世界史、サイエンス。
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