8/2阿波羅新聞網<贸易战 川普打出闪电战 习近平到了此时才会妥协?=貿易戦でトランプは電光石火 習近平はこの時期に妥協できるか?>米中貿易戦は再度レベルを上げ、8/1トランプは2000億$の中国からの輸入品に10%でなく25%の関税を賦課することを決めた。米国の学者は「中国の国民経済が高関税を賦課されて二進にも三進にも行かなくなって初めて、習は妥協できる。米中貿易戦争は中国経済と一帯一路プロジェクトに致命的な打撃を与える以外に、WTOの命運にも深刻な影響を与える」と述べた。
セントトーマス大学の葉輝元助教は「WHがこんなにも速く勝ちに乗るため追撃して来たのは、中国にとって意外であった。これは、米国政府が中国経済の衰退を加速したいと言う思いの表れであり、今が正しくそのチャンスである」、「最近の経済指標を見れば、米国の就業率と経済成長率は暦年で一番高い。タカ派の角度から見て、米国が負けるのはコストの一点のみ。譬え高関税にして自国経済にどんな影響を与えても、今の市場は活発で発展しており、影響が激烈になることはない」、「この貿易戦争は冷戦時代の米ソの螺旋式軍備競争(spiraling arms race)を思い起こさせる。両方とも自己防衛のための行動に移したが、交代して反撃に及ぶことは内部の圧力に直面することとなった」と述べた。
米国にいる中国経済学者の程暁農博士は「世界経済がグローバル化するのが有利な国がある。米国を仮想敵としている国で、一つしかない。それは中国で、国力を増し、米国から多大の利益を取り、米国を敵として阻止しようとするのは、まさか中国が当然すべきことと思っているのではないだろうね?もし中国が米国を仮想敵と看做さず、米国から儲けを得ようとしなくても、米国が自衛するのを認めないとしたら道理は通らない」と述べた。
トランプは中国が白旗を上げて来ても攻撃は止めない方が良いでしょう。北朝鮮と同じで時間稼ぎに使われるだけです。また白旗の後ろから打つこともありうると思っておかないと。何せ南シナ海の人工島を軍事目的で使わないと言っておきながら基地化する国ですから。やはり「騙す方が賢く、騙される方が馬鹿」と思っている民族ですので。中国経済が崩壊するまで手を緩めないことです。
http://www.aboluowang.com/2018/0802/1152417.html
8/3阿波羅新聞網<习近平破惯例和部队博弈 动了高层的心肝?=習近平は慣例を破り部隊とゲーム 軍高級幹部の心を動かしたか?>8月1日は建軍91周年記念日であった。習は慣例を破り、上将に昇格させることはなかった。軍権(人事権)を握っていて、誰も逆らえないからである。党のメデイアが最近報道したのは、習は6000もある軍のビジネスを全面的に停止するよう命じたと。この中には、法輪功信者の臓器摘出ビジネスも入っているかどうかは分からない。今の所、習と軍との関係は悪く、お互い力を見せ合っている段階。ただ、今年昇進させなかった点はどちらが優勢か物語っている。しかし、米中貿易戦争の行方によって、中国経済に問題が起きたなら反対勢力が結集することは排除できない。
相変わらず習は軍の嫌がることをしようとしています。鄧小平が改革開放で認めた軍のビジネスを否定するのですから。そこには当然賄賂や兵器の横流しも含まれます。軍のビジネス禁止は正しい方向と思います。特に臓器摘出・売却ビジネスは。でも習はこれで寝首を掻かれる確率が高くなったでしょう。中国では裏切りが当り前ですから、内部で謀って病死扱いで殺されるかもしれません。
http://www.aboluowang.com/2018/0803/1152807.html
門司氏の記事は、今まで本ブログで述べて来たものとは内容が大分異なります。どちらが正しいかは分かりませんが、関税がそんなに簡単に撤廃されるとは思えません。
細川氏の記事では、報道だけでは分からない部分を解説していて役に立ちました。WTOは中国にいいように利用されるだけでプラスにならないので廃止でいいのでは。個別orグループでの貿易協議に置き換えれば良いでしょう。中国が米国に不買運動を仕掛ければ面白い。米国民は益々中国に怒ることになり、通商禁止まで行くのでは。Facebookもgoogleも中国市場を狙っていくのは先が見通せてないという事です。米中の世界覇権を巡る争いの最中なのに、「国は関係ない」と思っているとしたら経営センスがないという事です。米企業がどこでもビジネスできるのは世界最強の軍隊があるからです。中国進出は軍に対する利敵行為と言うのが分かっていません。日本企業も中国と関係を深めるのは危ないです。米国とビジネスできなくなる可能性もありますので。
門司記事
「戦うトランプ」のイメージ発信がどこまで続くか(写真=ロイター/アフロ)
3月にトランプ米大統領が鉄鋼・アルミニウム製品輸入への追加関税を発動させることによりいわゆる「貿易戦争」が始まりました。状況が混沌とする中で、米国の劣勢も見えてきました。今回の「政治と市場の正しい見方」は貿易戦争を取り上げ、これまでの経緯を振り返ってみます。
貿易戦争を始めるにあたってのトランプ氏の戦略は、鉄鋼・アルミニウム関税に関するもの(以下、鉄・アルミ戦線)と、対中国の制裁関税に関するもの(以下、中国戦線)の2正面作戦でした。ただどちらの戦線においても基本的な方針は関税を人質に相手から譲歩を引き出すという安易なもので、実態として戦略といえるようなものはなかったと思われます。
まず鉄・アルミ戦線について見てみます。鉄・アルミ戦線の狙いには、トランプ氏のコア支持層である鉄鋼・アルミニウム産業の保護もあったでしょうが、それ以上に重要なのは前述のように関税を人質に貿易相手国に譲歩を迫ることでした。この場合の譲歩は、米国に有利な形での通商条約の締結や改定ということになりますが、中でもトランプ氏が重視したのは、政権発足以来続いている北米自由貿易協定(NAFTA)の見直し交渉で成果を上げることです。
農業関係者から悲鳴
しかし、世の中それほど甘くありません。米国の鉄鋼・アルミニウム関税に対し、中国、カナダ、メキシコ、欧州連合(EU)、ロシア、インド、トルコなどが順次報復関税の発動を表明しました。報復関税の標的となった農業関係者からは悲鳴が上がり、ハーレーダビッドソンは欧州向け製品の製造拠点を米国外に移す方針を打ち出しました。
8月1日に米ブルームバーグは、一時中断され、その後再開されていたNAFTA見直し交渉のうち、米国・メキシコ間の自動車分野が合意に近づいていると報じました。両国による自動車交渉はNAFTA見直しでもっとも難航していたテーマの1つであるため、もし合意がなされれば、見直し交渉全体が大きく前進することになります。詳細は不明ですが、もし米国の妥協により交渉が進展したのであれば、トランプ氏の思い通りには、事が進んでいないと言えるでしょう。
中国戦線は好調な滑り出し
次に中国戦線を見てみます。こちらの狙いは条約の締結や改定ではなく、中国に対し米国が対中貿易赤字を削減するための直接的な協力を求めるものでした。当初中国戦線は米国有利に進みます。知的財産権侵害を理由とした制裁関税に加え、中国の大手通信機器メーカー中興通訊(ZTE)の制裁問題もカードとして機能し、中国を追い詰めたように見えました。6月21日付ウォール・ストリート・ジャーナル(日本版)は「中国はトランプ政権が関税の発動を回避すれば、米国の農産品や工業・エネルギー製品を(年間)700億ドル近く購入する案を示した」など、中国が米国に譲歩した様子を報じています。
結果的には、ここがトランプ氏にとって、矛を収める唯一のチャンスでした。元々米国は中国に対して3年で2000億ドルの対米貿易黒字削減を要求していたといわれており、先ほどの中国の提案はそれを満たすものだったからです。しかし、トランプ氏はこの提案を拒否、更に米国の制裁関税に対して中国が報復措置をとった場合2000億ドル(後に最大5000億ドル)相当の輸入に対し、追加の制裁関税を課すことを表明するなど、圧力を一段と強めました。
いったん譲歩の姿勢を見せた中国はトランプ氏のこの対応を見て態度を硬化、徹底抗戦に転じます。7月6日に米国が制裁関税を一部発動した際には中国もすぐさま報復関税で応じました。こうして中国戦線も膠着状態となり、貿易戦争はトランプ氏にとって特段の成果がないまま、長期化することになりました。トランプ政権は、追加の対中関税について、関税率を当初案よりも引き上げることを検討をしているようですが、中国に対してどこまで効果が上がるか不透明です。元々安易な発想で貿易戦争を始めただけに、トランプ氏には有効な打開の手段がないと思われます。
「まだトランプ氏には自動車の輸入関税や、最大5000億ドル規模といわれる対中制裁関税がある」という見方もありますが、実際にこの2つを発動することは困難です。発動すれば他国に大きな被害が出ることが予想されますが、悪影響は米国の景気や雇用、インフレにも及びます。両刃の剣であるため、そう簡単には発動することはできないでしょう。実際トランプ氏は対中制裁関税を一部発動させていますが、その規模はまだ340億ドルです。トランプ氏も制裁関税を発動することの困難は理解しているものと思われます
路線転換がはらむ支持率低下のリスク
手詰まりになったトランプ氏が選んだのは、予想外の路線転換です。7月25日のトランプ氏とEUのユンケル欧州委員長の共同声明によれば米国とEUは自動車を除く工業製品の関税撤廃や米国産の大豆、液化天然ガス(LNG)の対EU輸出拡大などに向けた交渉を始めることで合意したとされています。これはトランプ氏にとって、これまでの高圧路線から融和路線への大きな転換となります。ここまで実績らしい実績はほとんどありませんが、手詰まりになっており、やむを得ないということだと思います。合意の中にEU向けの大豆輸出拡大が含まれているところを見ると農業関係者からの不満を抑えきれなくなったのかもしれません。
貿易戦争でトランプ氏に実績らしい実績はありませんが、それでも貿易戦争開始後、支持率はじりじりと上昇してきました。この点については「俺たちのために戦うトランプ」を支持者に上手く印象付けたことが、支持率上昇につながったとの指摘があります。もしそうなら、この融和路線への転換には支持率低下を招くリスクが考えられます。特に問題になりそうなのが、前述の合意の中の「自動車を除く工業製品の関税撤廃」です。素直に読めば、トランプ氏のコア支持層である鉄鋼・アルミニウム産業が恩恵を享受している関税も撤廃の対象になります。11月に中間選挙を控えたこの時期に自分のコア支持層の利益に反する政策を打ち出さざるを得ないということは、それだけトランプ氏が追い詰められていたということでしょうが、下手すれば支持率が急降下のリスクもあると見ています。
支持率低下の兆しは既に現れています。米調査会社ギャラップによればトランプ氏の直近(7月23-29日調査)の支持率は40%、前週比2%低下し、5月21-27日以来の低水準となりました。この支持率低下については路線変更が影響した可能性があります。このまま支持率が低下するかどうか、今後の世論調査結果が注目されるところです。
関税などの貿易障壁は撤廃に向かう見通し
既にここまで貿易戦争における米国の劣勢は明らかだったと思いますが、先日のEUとの合意はトランプ氏自身がそれを認めた証と解釈しています。すぐにとはいかないでしょうが。今後徐々に関税などの貿易障壁は撤廃され、貿易戦争は終結を迎えると予想しています。最後に金融市場への影響ですが、貿易戦争は投資家の不安要因となっているため、今後終結に向かうとの見方が広まれば、リスク・オンの動きを促すことになりそうです。株式市場では米国の自動車関税が重石になっている、自動車株などが見直される可能性があるでしょう。
なお、当コラムの意見は筆者個人のものであり、筆者が所属する組織のそれとは無関係であることをお断りしておきます。
細川記事
7月25日に開催された米欧首脳会談に挑む、ユンケル欧州委員長(左)とトランプ米大統領(写真:AP/アフロ)
米欧間の貿易摩擦は、首脳会談で当面の摩擦拡大を回避した。メディアは、「ひとまず『休戦』を演出」と言う。しかし、そこには報道だけでは見えてこない本質が潜んでいる。それは、これから始まる日米の新貿易協議(FFR)への示唆だ。
合意にない「自動車と農産物」にこそ本質がある
まず米欧首脳会談の合意では、「自動車を除く工業製品の関税、非関税障壁、補助金の撤廃に取り組む」という。これをどう読むべきか。
むしろ、この対象外である「自動車と農産物」こそが、米欧間の貿易摩擦の本丸だ。
自動車の関税撤廃は米国が難色を示して除外された。これは欧州連合(EU)の高等戦術の結果だ。トランプ大統領はEUが課す10%の自動車関税を批判して、EUが譲歩しなければ、20%の追加関税を課すと脅している。これに対して、EUは米欧双方で自動車の関税を撤廃することを提案した。これは米国を逆に揺さぶることになる(参考:「メガFTA」が対米、対中戦略を左右する)。
米国のアキレス腱は「ライトトラック」
実は米国は自動車分野にアキレス腱を抱えている。それは米国で言うところの「ライトトラック」だ。
米国は乗用車の関税は2.5%だが、ビッグスリーの儲け頭であるピックアップトラック、SUV(スポーツ用多目的車)などを「ライトトラック」として25%の関税をかけている。米国はこれを死守したいのだ。乗用車では収益を上げられないビッグスリーにとって死活問題だ。米国は50年以上も前からこの高関税を譲らない長い歴史がある。
米国の「ライトトラック」へのこだわりは尋常ではない。
かつてTPP(環太平洋経済連携協定)交渉でも、29年間25%を維持して、30年後に撤廃することで合意した。信じられないぐらい先だ。先般の米韓自由貿易協定(FTA)の再交渉でも、韓国に対して鉄鋼の追加関税の脅しを武器に圧力をかけて、「2021年までに撤廃する」とされていたものを、20年先延ばしして2041年までにした。EV(電気自動車)などの台頭で激動の自動車産業は30年後には様変わりで、そんな先の関税撤廃を約束してもほとんど無意味だ。
自動車は単なる「交渉カード」であることが露呈
さらに言えば、トランプ大統領は自動車関税を単なる「交渉カード」として使っているに過ぎないとも見ることができる。「自動車関税の相互撤廃」というEUの揺さぶりで、それが露呈しただけだ。「今回EUから譲歩を得られたのも、自動車関税での脅しが効いたからだ」とロス商務長官は正直に吐露している。まだこの脅しのカードを米国は手放したくないのだ。EUは「交渉が続く限りは自動車への追加関税はない」と説明するが、これを裏返して米国から言えば、「脅しのカードを持ち続けて交渉する」というものだ。
他方、EUの守りたい本丸は農産物だ。農業国フランスの抵抗もあって、大豆の輸入以外、農産物については今回の合意には全く触れられていない。「貿易障壁の撤廃を話し合う対象から農産品は除外された」とする報道は、EUサイドからの都合のいい説明を鵜呑みにしたものだ。
米欧の本丸である自動車、農産物はまだこれからの交渉なのだ。合意文にも、「これは対話のスタートであって、多くの他の産品、問題に今後取り組む」とされている。従って「自動車は棚上げ」「農産物は交渉の対象外」という報道は表面的過ぎるだろう。
日米交渉での自動車問題をどう見るべきか
これは日本にとっても参考になる。
自動車分野は米国の自動車関税が攻められる立場にあるにもかかわらず、「相手国の自動車市場を攻めることによって、これを回避する」というのは米国の常套手段だ。攻撃は最大の防御なのだ。昔から日本市場に対して非関税障壁の閉鎖性といって難癖をつけ続ける理由はそこにある。そもそもビッグスリーは日本市場から撤退しつつある。こうした難癖には右往左往せず、米国のアキレス腱を堂々と突くのが正解だ。
かつて1995年に締結された日米自動車協定が2000年に期限を迎えた。そこで米国は再延長を強く求めてきたが、当時交渉担当だった私はこれを拒否した。その際、やはりこのアキレス腱を突くのが効果的だった。
日本のメディアは米国の主張をそのまま伝えて、日本の自動車市場が議論の焦点であるかのような報道をするが、これでは米国の思うつぼだ。8月から始まる日米のFFRを巡っても、そういう自虐的な報道には注意したい。米国は自動車の脅しを単に「交渉カード」として使っているのだ。
日米新貿易協議での米国の本音は何か
日米のFFRは7月中にも開催と報道されていた。日本のメディアも今か今かと待ち構えていたが、なかなか日程が決まらずヤキモキしていたようだ。
北米自由貿易協定(NAFTA)の見直し交渉についてメキシコの新大統領が予想に反して柔軟姿勢を見せたことから、米国もNAFTA交渉を優先することにしたようだ。
また、現在行われている自動車の追加関税引き上げのための商務省調査の大統領報告を公表して、「脅し」に現実味と迫力を持たせてから交渉に臨んだ方が効果的との計算も働いたようだ。
日本に対してもEU同様、自動車の追加関税は「脅しの道具」だ。
しかし、自動車分野で日本がやれることは限られる。日本の自動車メーカーによる対米投資を増やすことで、米国での雇用に貢献することをアピールすることぐらいだ。ただし、これは今までの日米首脳会談でも切ってきたカードで、限界もある。
他方、米国の要求の本丸は農産物市場だ。中間選挙を控えて、米国抜きTPP (TPP11)によって相対的に不利になる米国畜産業界などの不満解消が急務だからだ。日本としては米国に対して「TPPレベルまでの関税引き下げ」というカードを切るかどうかがポイントになる。
ライトハイザー米通商代表は7月26日、議会の公聴会での証言で、「日米FTAを交渉すべきだ」として改めて意欲を示した。多くのメディアは、米国の狙いは日米FTAだと報道したが、この発言の意味するところを正確に理解する必要がある。
ライトハイザー米通商代表がこう発言するのは、二国間で農産物の関税引き下げは、FTAという道具立てがないと世界貿易機関(WTO)の制度上できないからだ。FTA自体が目的ではなく、あくまでも米国が欲しいのは「農産物の市場開放」という果実だ。FTAはそのための手段に過ぎない。
TPPを内容とする「日米EPA」を
ここが日本の考えどころだ。
FTAにするためには、農産物だけでは成り立ち得ない。TPP交渉で農産物とパッケージで合意した自動車も当然含めて、大部分の製品をカバーしたものでなければWTOの制度上FTAとならないからだ。従って、米国にはTPP交渉で獲得した、米国の自動車関税の25年での撤廃を当然要求すべきだ。そして仮に米国が農産物でTPP以上の要求をしてきたら、もちろん拒否すべきだが、日本も米国の自動車関税の撤廃を25年よりも前倒しして要求すべきだ。
この協議の名称「FFR=Free, Fair and Reciprocal」通り、日米が相互的(reciprocal)である必要があり、こうした要求は当然だ。
さらに言えば、先進国間のFTAとしては、関税だけでなく、TPPで合意したような電子商取引や知的財産権などのルールも含めることによって、日欧と同様に経済連携協定(EPA)にすることが肝要だ。これも広義のFTAだ。しかし本来そういう交渉は日欧EPAのように何年もの歳月を要する。米国は決してそれを望まず、短期的成果を求めよう。本格的議論をする余裕もないだろう。
しからば、既に交渉結果として合意した経緯のあるTPPの内容をほぼそのまま「日米EPA」とすればよい。
米国のTPP撤退を受けて、TPP11では参加各国が米国に対して譲歩した知的財産権などの項目が凍結されている。これらも日米間では解凍して、日米EPAに含めることにするのだ。その中には、中国を念頭に置いたルールも含まれているので、これらを含めることはTPPのルールをグローバル・スタンダードにするうえで大きな意味がある。また日本にとっても、TPP11とその拡大、日欧EPAを合わせて、グローバルにルール重視の通商戦略を展開することになる。
問題はそれによって将来、米国がTPPに復帰する誘因を減殺しないかどうかだ。まだTPP11は日本の国会承認は終わったものの、未だ発効していない段階では、他のTPP11参加国が反発しないかも気になるところだ。これらを慎重に見極めたうえで判断することが必要だ。
なお、こうした対応は米国の自動車の追加関税を逃れるためではないが、少なくともこの交渉をしている間は、米国が日本に対して発動しないのはEUと同じだ。
大豆とLNGの輸入増は本当か?
私は、「EUが米国から大豆と液化天然ガス(LNG)の輸入を増やす」という譲歩のカードを切ったという報道を聞いて、最初、耳を疑った。EUは中国と違って市場経済だ。中国のような、国家が国有企業に買い付けさせられるような国家資本主義の国なら買い付けの約束もできようが、どうやってコミットするのか。
しかし、よくよく合意内容を読めば、合点がいった。実はEUが買い付けを増やすとコミットしたものではなかったのだ。ユンカー欧州委員会委員長にはそんな権限はない。
大豆は「貿易障壁を減らして貿易を増やすために米欧双方は取り組む」というものだ。それをトランプ大統領は選挙民に対して「EUに買わせた」と、誇らしげにぶち上げているだけだ。LNGもEUが調達先を多様化するために要望し、「米国が欧州の購入を容易にする」というものだ。
全然ニュアンスが違う。中国の「いくら購入する」とコミットする、いわゆる管理貿易と同列に受け止めてはいけない。もう少し正確に報道してもらいたいものだ。
同じく市場経済の日本も、政府がコミットできるのは防衛装備品の調達ぐらいだ。
メディアが見過ごす、今後の国際秩序への布石
重要であるにもかかわらず、日本のメディアが注目していないことがある。WTO改革と、知的財産権の侵害など不公正な貿易慣行などの「中国問題」にも、米欧が連携して対処することを表明したことだ。
いずれもトランプ大統領自身の関心事項ではないのは皮肉なことだが、それにもかかわらずEUが盛り込ませたことは重要だ。
WTO脱退にもしばしば言及するトランプ氏を念頭に置いて、日本と欧州が米国をWTO秩序につなぎ止めなければならない。そのためにはWTOの改革は急務だ。
さらに中国を念頭に置いて、知的財産権の侵害、補助金、国有企業による歪み、過剰生産問題を米欧が日本など他の有志国と一緒になって共同歩調で取り組むことを明記したことも重要だ。これは5月末の日米欧三極貿易大臣会合で合意した内容である。しかしトランプ大統領がその意味を理解しているようには思えない。そこで今回トランプ大統領に認識させたことに意味がある。
今後、日本にとっても重要な意味を持ってくる。日本はEUと連携して米国に働きかけており、これらはFFRでも当然重要なテーマになる。日本のメディアももっとこの点に関心を持つべきだろう。
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