8/20加瀬英明コラム<日本を守る② 非核化 成果なければ米国「海上封鎖」断行か
米中間で、“関税合戦”による死闘が始まった。
そのわきで、いま、中東が爆発しそうだ。
米中間のデスマッチの幕があがるわきで、北朝鮮危機がどこかへ行ってしまったように、みえる。米朝はここ当分のあいだは、交渉を続けてゆくのだろうか。
8月はじめに、シンガポールで東南アジア諸国連合(ASEAN)サミットが催された。
北朝鮮の李容浩(リヨンホ)外相が、「米国が同時並行する措置をとらなければ、わが国だけが非核化を進めることはありえない」と演説したのにもかかわらず、ポンペイオ国務長官は北朝鮮の非核化について、「北の決意は固く楽観している」と述べて、李外相と固い握手を交わした。
日本では、6月にシンガポールにおいて「歴史的な」米朝首脳会談が行われてから、しばらくは緊張が解けたものと判断して、北朝鮮からのミサイル攻撃に備えて、東京(防衛省構内)、島根、広島、愛媛、高知各県、北海道に展開していた、PAC3ミサイル迎撃ミサイルを撤収した。
北朝鮮は、米国から南北平和協定、制裁の緩和など段階的な見返りを求めて、トランプ政権をじゃらしている。北はワシントンを甘くみているのだ。
だが、トランプ政権は北朝鮮をあやしながら、北朝鮮に鉈(なた)を振るう瞬間を、待っている。
もし、11月初頭の米国中間選挙の前までに、北が非核化へ向けて、米選挙民が納得できる成果を差し出さなければ、海軍艦艇を用いて、北朝鮮に対する海上封鎖を実施することになろう。米国民は何よりも力を好むから、喝采しよう。
私は本紙の『日本を守る』連載(4月27日号)のなかで、米国が北朝鮮に対して海上封鎖を断行する可能性が高いと予想している。
海上封鎖という“トランプ砲”が発せられると、日本の政府と国会が激震によって襲われよう。米海軍が日本のすぐわきにある北朝鮮に対して、海上封鎖を実施しているというのに、自衛隊が燃料食糧の供給などの後方支援に役割を限定するわけには、ゆくまい。
中東は日本のエネルギーの80%以上を、供給している。
日本を揺るがしかねない危機が中東で進行しているのに、日本の世論は目をそらしている。>(以上)
8/20希望之声<川普痛斥中国芬太尼流入美国害人=トランプは中国からフェンタニル(麻薬性痛み止めの薬、モルヒネの50~100倍効く)が入って来て米国人を傷つけることを阻止>トランプはツイッターで「中国からフェンタニルが入ってくるのを阻止すべく堅く決意した。米国人の子供達に毒を垂れ流し、国家を破壊するものをそのままにしておくことはできない」と。彼は、上院はすぐにフェンタニル流入阻止法案を通過させ、遅れないようにと呼びかけた。
国際郵便経由で薬は流入。CDCの数字によれば全米で1250万人が麻薬処方を濫用し、260万強が薬の摂取が習慣化している。麻薬の過剰摂取で毎日100人超が死に、銃と自動車事故を加えて亡くなった数より多い。
中国は阿片戦争の仇を英国でなく、米国で取ろうとしているのでしょう。
https://www.soundofhope.org/gb/2018/08/20/n2088675.html
8/21希望之声<好血腥!广东小贩当街砍死城管 恐怖现场曝光(视频)=血腥い 広東省の豆腐花の小売は都市管理の役人を斬り殺す 恐ろしい現場を撮影>
2名の都市管理役人と小売りが争いになり、1名は切り殺され、1名は逃げた。
多分都市管理の役人が、小売が営業免許(個人営業でも必要)を持っていないことを理由に賄賂を要求したのだと思います。不断から横暴な役人に怒りが募り、凶行に及んだのでしょう。
https://twitter.com/twitter/statuses/1031824969431273472
https://www.soundofhope.org/gb/2018/08/21/n2091216.html
8/21阿波罗新闻网<中美贸易战现关键新焦点 外媒:中共无奈 白宫放弃=米中貿易戦で鍵となる焦点が 外国メデイア:中共はどうすることもできず WHは解決を放棄>ワシントン戦略・国際問題研究所の中国問題研究員は「WHは中共と一緒に問題解決しようとしているようには見えない。もう結論を出しているようである。譬え貿易交渉を重ねても、中共は理を持って話し合えない競争相手で、WHは既に中共を見限った」と述べた。
8/23~24米国、日本、EUとで中国問題を打ち合わせるが、同時期に中共の訪米団と交渉するのは中国への冷遇を表している。希望の声TVによれば「米国議員と企業は日・EU政府に米国との協力を呼びかけ、関税問題を解決して北京に多方面から圧力を加える」とのこと。
http://www.aboluowang.com/2018/0821/1161540.html
鈴置氏の記事を読んで、日本をダシ(用日)にして自国の安全を考えるというのは朝鮮半島のDNAでしょうか?白村江の戦い、元寇、朝鮮出兵、日清・日露戦争等、朝鮮半島と関わり合うと碌でもない結果が待ち受けています。朝鮮半島人の民族的特質、性格の悪さが信を大事にする日本人とは合わないのでしょう。無視するに限ります。記事内にありますように、韓国は日米の敵国ですから、将来米国から制裁を受けるようになると思います。蝙蝠国家の末路は哀れなものになるでしょう。中国は衰退していくはずですから、組む相手を間違えました。戦前の日本がドイツと手を組んだようなものです。反日に凝り固まって冷静に見る眼を持ち得なかったのでしょうけど。鈴置氏も言っていますように、米中貿易戦は世界覇権、中でも金融・通貨覇権を巡る争いです。現在基軸通貨を持っている米国が有利にゲームを運ぶのは当り前のことです。それが韓国は見えなかったという事です。
加瀬氏の言うように11月中間選挙前に朝鮮半島を海上封鎖すれば韓国にも影響が及ぶでしょう。勿論日本にもですが。自衛隊が臨検するかどうか。国連義務違反に対する取締行為とでも説明するのでしょうか?朝鮮戦争時には国連軍の命令により、特別掃海隊を日本も出しましたから。ウイキによれば「海上保安官や民間船員など8000名以上を国連軍の作戦に参加させ、開戦からの半年に限っても56名が命を落とした」とのこと。似非平和主義の戦後は終わりを告げようとしているのは間違いありません。
記事
北朝鮮は洋上で石油などを積み替える「瀬取り」で経済制裁をすり抜けている(写真:防衛省/ロイター/アフロ)
(前回から読む)
「米国から見捨てられる」と韓国の保守が焦り始めた。
保守系紙に「日韓同盟論」
鈴置:韓国の保守系紙、朝鮮日報に日韓同盟論とも受け止められる論文が載りました。金載千(キム・ジェチョン)西江大学教授の寄稿「北朝鮮の非核化交渉、このまま行けば我々は中国の勢力圏に編入」(8月1日、韓国語版)です。結論は以下です。
故・ズビグニュー・ブレジンスキー(Zbigniew Brzezinski)博士は著書『Strategic Vision』で、東北アジアと朝鮮半島で米国の影響力が衰退し中国が躍進した場合、韓国が取り得る選択は、中国への便乗(さらなる依存)、独自の軍事大国化、日本との安保協力のうち1つだと主張した。
隣り合う覇権国(中国)に依存する戦略が一方的な自律性の喪失に直結することは明白だ。中国に対抗しうる我が国の軍事大国化は事実上、不可能だ。
「米国なき北東アジア」を想定した場合、国際規範と自由民主主義を共有する韓日協力は中国の覇権を予防し、牽制効果を持つカードとなる。
国民の情緒が障害になるが、政府が先頭に立って大乗的な見地から韓日関係を前向きに管理・発展させねばならない。
中国に対抗するには「単なる協力」ではとうてい無理。読む人が読めば、日韓同盟の勧めと受け止める記事です。反日至上主義者からの非難を恐れてでしょう、「軍事同盟」という言葉は一切、使っていませんが。
中国の属国に戻る
—気味が悪いですね。突然にすり寄って来るなんて。
鈴置:この寄稿は日本語版にも載ったので、「反日国家が何を言い出したのだろうか」と首を傾げる向きが多かった。注目すべきは「日韓同盟論」もさることながらなぜ今、それが韓国で唱えられ始めたか、です。
—なぜでしょう。
鈴置:金載千教授は冒頭で以下のように説明しています。
現在、北朝鮮の非核化が表面的な議題となっているが、水面下では米中がこの問題を契機に東北アジアの勢力再編というもっと大きな争いを繰り広げている。
これを見落とすと韓国は知らず知らずのうちに中国の影響圏に編入されるか、取り込まれてしまうであろう。
今、米中の間で「北朝鮮の非核化」と「米韓同盟の廃棄」が取引され始めました。金載千教授は、同盟を失った韓国は中国の属国に戻ってしまう、と訴えたのです。
シナリオ | 北朝鮮は誰の核の傘に入るのか? | 韓国はどうする? |
Ⅰ | 中国の核の傘を確保 | 米韓同盟を維持 |
Ⅱ | 米国と同盟・準同盟関係に入る | 米韓同盟を維持 |
Ⅲ | 半島全体が中立化し、国連や周辺大国がそれを保証 | |
Ⅳ | 自前の核を持つ | 北朝鮮の核の傘に入る |
北朝鮮の非核化の行方 |
—今頃、何を言っているのでしょうか。
鈴置:確かに「今頃」です。シンガポールでの米朝首脳会談が決まる過程で、トランプ大統領は韓国への核の傘の提供の中止――つまり、米韓同盟破棄を示唆しています(「『米韓同盟廃棄』カードを切ったトランプ」参照)。
6月12日に開いた米朝首脳会談でも、米韓合同軍事演習に加え、在韓米軍の撤収にまで言及しました(「米中貿易戦争のゴングに乗じた北朝鮮の『強気』」参照)。
「外」から見れば、韓国が米国から見捨てられたなと容易に分かります。ただ、韓国人はその現実を認めたくなかったのです。だから「今頃」言い出したのです。
金正恩を助ける文在寅
—それにしても、米朝会談からこの寄稿までに50日もたっています。
鈴置:さすがに韓国人も「見捨てられ」の可能性を無視できなくなったのでしょう。非核化に進展がないのに、文在寅(ムン・ジェイン)政権が北朝鮮との経済協力や、朝鮮戦争の終戦宣言に熱をあげ始めたからです。韓国の「先走り」は米国を苛立たせています。金載千教授は以下のように指摘しました。
今からでも韓国政府は南北交流よりも北朝鮮の非核化に優先順位を置き、力を集中すべきだ。平和協定だけをとっても、非核化が進展してこそ米議会の同意が得られる。
非核化は米国に任せきりにして、北朝鮮制裁の弱体化を招く南北交流にばかり没頭したら、中国の立場を強化することになる。
米国は南北交流を巡って制裁の例外を要請する文在寅政権に対しては逆に「北朝鮮制裁注意報」を公に発令した。
文在寅大統領と金正恩(キム・ジョンウン)委員長は4月27日の首脳会談で「非核化」と同時に「終戦を宣言したうえで平和協定を締結する」と約束しました。韓国政府が発表した日本語の報道資料「韓半島の平和と繁栄、統一に向けた板門店宣言」で、以下のようにうたっています。
南と北は、停戦協定締結65年になる今年、終戦を宣言し、停戦協定を平和協定に転換し、恒久的で強固な平和体制構築のための南・北・米3者または南・北・米・中4者会談の開催を積極的に推進していく。
史上初の米朝首脳会談で平和ムードが盛り上がる中、南北朝鮮と中国はこの条項をタテに、早急に終戦宣言を出そうと主張しています。
「食い逃げ」を警戒する米国
一方、米国は非核化が進まないうちに終戦を宣言すれば、「食い逃げ」されると警戒しています。終戦宣言は平和協定につながります。
すると北朝鮮と、「反米親北」の文在寅政権が声をそろえて「平和協定を結んだのだから在韓米軍は不要。出て行け」と言い出す可能性が高い。
トランプ大統領は在韓米軍不要論者ですが、米軍撤収は交渉カードに使いたい。非核化が進まぬうちにこのカードを無効化されてはかなわない。
もし「終戦宣言」を食い逃げされたら、北朝鮮の非核化を飲ませるために、米国はもっと強いカード――「米韓同盟廃棄」を切らざるを得なくなるでしょう。
トランプ大統領は「同盟廃棄」まで取引材料に使うハラはできていると思われます。ただ、米国の中には米韓同盟を捨てるなどとは想像もしていない人が多い。
しかし非核化が思うように進まなければ、そんな人も「北から核を取りあげられるのなら米韓同盟廃棄もやむなし」と考える可能性が大です。韓国の親米保守にとっては最悪の状況に陥ります。
8月15日、親米・反北朝鮮をうたう保守派がソウルでデモしました。朝鮮日報の「『今日は建国の日だのになぜ、政府樹立の日というのか』と摂氏38度の光化門周辺で3万人がデモ」(8月15日、韓国語版)は前文で「光化門周辺は太極旗と星条旗で埋まった」と写真付きで報じました。
韓国の保守派が米国の国旗を手にすることは珍しくありません。が、それを保守系紙が強調するところに親米派の焦りが伺えます。
日米の「敵性国家」に
—大統領はともかく、米国全体が韓国を捨てる方向に動くでしょうか?
鈴置:文在寅という左派政権が原動力になります。韓国は北朝鮮に対する制裁破りに動いている。米国を裏切って、北朝鮮・中国側に立ったのです。「そんな不義理な国を無理して守る必要もない」と思う米国人が増えるでしょう。
北朝鮮の非核化を目標にした外交ゲームを繰り広げるうちに、いつの間にか韓国が中国・北朝鮮側に取り込まれたのです。今や完全に「中国・南北朝鮮VS米・日」の構図です。
韓国電力が北朝鮮の石炭を火力発電に使用していたことが7月、明らかになりました。国連安保理決議は北朝鮮の石炭を禁輸品目に含めています。
5月には東シナ海の公海上で、北朝鮮の船舶が韓国船に接近したことが自衛隊機によって確認されました。禁輸品の石油をこっそり積み替えようとした――瀬取り未遂の疑いが持たれています。いずれの事件も、韓国政府の黙認下での禁輸破りの可能性が高いと見られています。
経済制裁の結果、北朝鮮は石油もドルも不足し経済成長率が鈍化、あるいはマイナスになったと見られています。せっかく効果があがってきたというのに制裁破り。
北朝鮮の核武装を幇助しているとしていると非難されても、韓国は弁解できません。米国や日本から見れば、韓国はすでに「敵性国家」なのです。
日韓が一緒に核武装
—そこで「米国から見捨てられる」「日本と組もう」と金載千教授は書いた……。
鈴置:その通りです。ただ、話はもう少し複雑かもしれません。冷静に考えれば韓国は、日本と同盟を結ぶだけではあまり意味がありません。なぜなら日本は核を持たないからです。韓国は米国の代わりの核の傘に入れないのです。
それから考えると「日本との協力」とは、日本と一緒になって核武装しよう、との意味にもとれるのです。米韓同盟が消滅した後、韓国が単独で核武装に動いても米国と日本に阻止されるでしょう。
米国にすれば、せっかく北朝鮮を非核化したのに韓国が核武装したら、何のために汗をかいたか分からなくなります。韓国の核ミサイルは米国を狙ってのものではありませんが、中国だけではなく日本に向けられるのは確実です。
そこで「日本と一緒の核武装なら日韓の間で核の均衡ができるから、米国の許可が下りるかもしれない」と金載千教授ならずとも、韓国人は考えるものです。
「いざという時が来れば、米国は日本の核武装なら許す」との伝説が韓国にはあります。“証拠”もちゃんとありまして「日本が使用済みの核燃料から取り出したプルトニウムの保有を米国から認められていること」です。
日・印・越と組んで中国包囲網
—「日韓軍事協力論」は珍説・奇説というわけでもないのですね。
鈴置:韓国で主流になることはないと思います。が、保守の一部には昔からそうした意見があります。今回、金載千教授以外からもそんな声があがりました。
韓国国立外交院の元院長で韓国外国語大学の尹徳敏(ユン・ドクミン)碩座教授が朝鮮日報に「中国夢を成したいなら『謙譲』から学べ」(8月16日、韓国語版)を寄稿しています。
経済成長に成功し傲慢になって韓国を再び属国扱いし始めた中国とどう向き合うか、を論じた記事です。結論部分を訳します。
中国は大小15の国に取り囲まれている。うち9カ国と戦争をし、8カ国が米国の同盟国である。仲の良い国はパキスタンと北朝鮮ぐらい。15カ国のGDPを合わせれば中国よりも大きい。これらの国の人口と国防費も合算すれば中国よりも多い。
我々が中国周辺国とネットワーク――特にインド、日本、ベトナムとの連帯を強化すれば韓米同盟以外にも、もう1つの強力な対中のテコを持つことができる。
尹徳敏教授の訴えた提携の相手は日本に加え、インドやベトナムなど「中国を取り囲む国」です。核武装に容易に動けない日本だけだと頼りないと考えたのでしょう。尹徳敏教授は日本専門家で内情をよく知っています。
金載千教授とは異なり、米韓同盟が存続するとの前提で書いています。が、米韓同盟が揺らぐとの危機感を持つからこそ「もう1つの対中のテコ」を訴えたのでしょう。そうでなかったら中国のトラの尾を踏む「包囲網」など主張しないはずです。
変節した尹徳敏教授
注目すべきは「中国の属国には戻らない」との決意表明で金載千教授と軌を一にしたことです。自分の名前を出して中国にファイティング・ポーズをとるのは保守も含め、韓国の指導層では極めて異例です。
尹徳敏教授は少なくとも2017年11月まで「日中韓は運命共同体。東アジア共同体の構築が必要だ」と主張していました。
朝日新聞の「東アジア共同体への道は シンポジウム『日中韓 国民相互理解の促進』」(2017年11月11日)が発言を報じています。
—なぜ、尹徳敏教授は変節したのでしょうか。
鈴置:米中の対立が決定的になったからと思われます。寄稿で尹徳敏教授は「傲慢になって韓国を属国扱いするようになった」と中国を長々と非難しています。しかしこれはニュースではありません。「なぜ今」の説明にはならないのです。中国への敵対表明は米中対立が引き金になったと見るのが素直です。その部分を訳します。
中国は2025年までに製造業の分野で、2050年までには国力で米国を追い越して世界1位になるとの遠大な計画の下、事実上の覇権への挑戦状を突きつけた。
米中貿易戦争のあり様はかくしてますます1930年代末の第2次世界大戦前夜と似てきた。
米中間での中立は不可能
—「戦争前夜」と「反中」はどんな関係があるのですか?
鈴置:韓国は朴槿恵(パク・クネ)政権以降、露骨な米中二股外交を展開してきました。保守言論の大御所である朝鮮日報の金大中(キム・デジュン)顧問などは2013年、先頭に立って二股を提唱したのです(「保守派も『米中二股外交』を唱え始めた韓国」参照)。
米中が適度の対立状態にあるうちはいい。韓国は両方から大事にされると期待できるからです。しかし対立が抜き差しならない段階に至れば、二股国家は双方から叩かれます。
マキャベリは『君主論』(角川ソフィア文庫版、大岩誠訳)の189―190ページでこう言っています。
態度をはっきりとさせて堂々と戦う方が、どんな時にでもはるかに有利なのである。
自分の立場を明らかにしないと(中略)勝った方は、怪しいと疑っているうえに逆境に際して手助けしてくれなかった者を自分の味方にしたいとは思わないし、また負けた者も、諸君が剣をとって彼らと運命を共にしなかったことゆえ、いまさらその助太刀を望めはしないからである。
—でも、米ソの冷戦期にも中立国が存在しました。
鈴置:徹頭徹尾、中立を貫けば尊重されます。しかし、韓国はコウモリです。朝鮮戦争(1950―1953年)以降、米国に北朝鮮の脅威から守ってもらってきたのに、中国が台頭すると見るや「離米従中」したのです。
保守派も含め、多くの韓国人が「米韓同盟は北朝鮮専用だ」と公言するようになっていました。要は、米中の対立時には韓国は中立を貫く、との主張です。でも、都合のいい時だけ「米国との同盟国」であることはもう、許されません。
「ずる賢く立ち回ろう」
—そう言えば「中国との対立は日本に任せよう」などと唱える記事がありました(「中国に立ち向かう役は日本にやらせよう」参照)。
朝鮮日報の鮮于鉦(ソヌ・ジョン)論説委員(当時)は「活火山の火口の役割は避けるべきだ」(2016年3月9日、韓国語版)で「中国と対立する役割は日本が負うべきであり、韓国は関係ない」と書きました。
韓国にとって米国は「血盟」だ。3万6574人の米軍将兵が朝鮮半島で命を落とした。北朝鮮との軍備競争を避け、繁栄を享受できるのも在韓米軍のおかげだ。借りを返すにはほど遠い。とはいえ、いざこざの身代わりまで買って出ることはできない。
韓国は北朝鮮を抑える「地域パートナー」との立場を越えたことはない。従って、アジアで米中間のいざこざの身代わりを進んで買って出る資格と責任は、日本にある。
指導者には、時としてずる賢さも必要になる。それでこそ「活火山の火口」役を避けることができる。
こうしたもの言いは、米国を怒らせるだけではありません。論理的に米韓同盟を突き崩します。「北朝鮮専用」と規定するなら、南北関係あるいは米朝関係が改善すれば、米韓同盟は不要になってしまうからです。
仮に北朝鮮が非核化するか、あるいはしたことになったとします。すると、トランプ大統領が「北朝鮮はもう敵ではなくなった。韓国の保守までが『北朝鮮専用の同盟』と言っていたのだから、米韓同盟を打ち切るぞ」と言い出す可能性があります。
その時、「ずる賢く立ち回ろう」と呼び掛けてきた鮮于鉦記者は、どうするつもりでしょうか。「中国を共通の敵としましょう」と言い出しても、通らないでしょう。誰もが「逆境に際して手助けしてくれなかった者を自分の味方にしたいとは思わない」のです。
北の「核の傘」に入る南
—米中戦争はどちらが勝つのでしょうか。
鈴置:今のところは米国が完全に主導権を握っています。貿易戦争と呼ばれることが多いのですが、本質は金融・通貨の戦争です。米国は様々の圧迫を加えて人民元を崩落の瀬戸際に追い詰めています。
中国が人民元を防衛するにも米ドルが要ります。ドルは米国しか印刷できません。つまり中国は米国製の武器で戦うしかないのです。米国の原油に依存しながら米国に太平洋戦争を仕掛けた日本と似ています。勝ち目は薄い。
もちろん中国だって反撃のチャンスを虎視眈々と狙っています。でもそれは中間選挙の敗北や、スキャンダルによるトランプ追い落としなどで、今ひとつ確実性に欠けます。
韓国の金載千教授や尹徳敏教授も、米国が勝つと判断したと思われます。そう判断したからこそ、中国に対し挑戦的な記事を書いたのでしょう。
—中国からいじめられるリスクを2人はとったのですね。
鈴置:中国が勝利したら、中国からいじめられるだけではなく、国内でも袋叩きになるでしょう。韓国では、各党派が周辺大国の支持を背景に――外国を引き込んで権力闘争するのが普通です。米中戦争の勃発とともに、韓国内で米中の代理戦争が始まる可能性が高い。
—では、文在寅政権は中国を引き込む?
鈴置:もちろん、この政権は米国よりは中国に近い。ただ、本当に後見役と頼むのは北朝鮮と思います。「誰の核の傘に入るのか」の視点で言うなら「北の核の傘」に入るつもりでしょう。「表・北朝鮮の非核化の行方」で言えば、シナリオⅣです。
(次回に続く)
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