『中国人クレーマーはなぜ集団で国歌を歌い出すのか 空港での斉唱に中国国内では冷ややかな反応』(2/5JBプレス 安田峰敏)について

2/7日経朝刊<米中 ぶつかり合うDNA 本社コメンテーター 秋田浩之

一見すると、米国と中国の関係はひとまず、落ち着いているように映る。

中国との巨額の貿易赤字に不満を抱きながらも、トランプ米大統領はあからさまな中国たたきは控えている。

ツイッターでは、習近平(シー・ジンピン)国家主席を「信頼できる偉大なリーダーだ」と持ち上げることも忘れない。いずれも、北朝鮮問題での協力を優先してのことだろう。

しかし、ホワイトハウスや国防総省、米軍中枢の動きを探ると、ちがった構図が浮かぶ。地下からあふれるマグマのように、強大になる中国への警戒感が着実に広がっているようなのだ。

1月上旬、ワシントンのハドソン研究所で、インド太平洋情勢をめぐる討論会に参加する機会があった。顔をそろえたのは同研究所の安全保障、経済の専門家や元米政府高官ら。彼らとの議論で印象に残ったのが、中国が進める「一帯一路」構想への警戒心だ。

一帯一路とは、アジアから欧州にいたる海と陸のインフラを中国主導で築こうというものだ。中国はすでに莫大な資金を注ぎ、陸路や港の建設にまい進している。

この構想が完成すれば、経済だけでなく、外交面でもインド太平洋は中国の勢力圏に覆われ、自由と民主主義の秩序が塗り替えられてしまうかもしれない――。ハドソン研究所の会議ではこんな認識から、米国と同盟国はどう対応すべきか、意見が交わされた。

実は、トランプ政権の「奥の院」でも同じような議論が静かに熱を帯びつつある。内情に通じた米安全保障専門家らによると最近、こんな動きがあった。

トランプ大統領がアジア歴訪から戻った昨年11月下旬から年末にかけて、ホワイトハウスは国家安全保障会議(NSC)を数回にわたって招集し、ひそかに重要会議を開いた。

テーマは一帯一路構想などを通じ、影響力を広げる中国にどう対抗するか。その解として「自由で開かれたインド太平洋戦略」を進めることを正式に決め、具体策をまとめた文書を承認したのだという。

この戦略は本来、安倍政権が唱えていたもので、トランプ政権が乗ってきた。ホワイトハウスがまとめた文書は秘密扱いだが、その大枠は次の3つだ。

▼同盟国や友好国と組み、東・南シナ海からインド洋、アラビア海で、法にもとづく自由な秩序が崩されないよう行動する。

▼そのために、日米豪やインドが手分けして海上のパトロールを強めるほか、他の沿岸国が自前の海域をきちんと守れるよう、彼らの海上警備組織を支援する。

▼アジアから中東へのシーレーン(海上交通路)を押さえるため、日米豪印などが支援し、要所に当たる東南アジアやスリランカ、ベンガル湾に港湾を整備する。

米政権の屋台骨を支えるマティス国防長官とマクマスター大統領補佐官(国家安全保障担当)が、この戦略を主導している。国防総省の有力ブレーンは、彼らの懸念をこう代弁する。

「中国は昨秋の共産党大会で、2049年までに世界の超大国になると宣言した。一帯一路構想はその手段であり、米国優位の秩序への真剣な挑戦だ」

厳しい対中観は、インド太平洋戦略にとどまらず、米国の世界戦略にも反映されつつある。昨年末から、トランプ政権は国家安全保障、国防、核の3戦略を相次いで公表した。

この中で、ロシアと並び、中国を「現状変更勢力」と呼び、いまの秩序を脅かそうとする存在に位置づけた。戦略上、敵対国とみなしたに等しい。

米政府内外の戦略家と話して感じるのは、政策上の理屈というより、自国をしのぐライバルの出現は許せないという、超大国の生存本能である。

人間と同じように、国家にも長年の歴史や文化に根ざしたDNAがあるように思う。米国のそれは主に西へと勢力圏を広げようとする本能だろう。祖先は1620年、メイフラワー号に乗り、欧州から米東海岸にたどりついた。

そこから米西海岸まで「開拓」し、さらに太平洋に進出。19世紀にはハワイを併合し、やがてフィリピンも支配した。1941年には日本とぶつかり、日米戦争となった。そんな本能が今度は膨張する中国によって目覚めつつある。

一方の中国にも、独自のDNAがある。それは周辺に自前の影響圏(朝貢圏)を広げ、囲い込もうとする性質だ。その証しが万里の長城である。中国が一帯一路構想の実現に向けて疾走するのも、国力が増すにつれ、再び、遺伝子の働きが活発になってきたことの表れといえるだろう。

だからといって、米中がただちに全面対決し、紛争の危険を冒すとは考えづらい。双方は経済で固く結ばれ、北朝鮮問題などでも協力しなければならないからだ。

それでも長期でみれば、DNAの衝突が強まり、米中関係は次第に冷め、緊張をはらんでいくだろう。米中攻防の風波は、アジアの国々にも押し寄せることになる。日本も例外ではない。

安倍政権は昨年来、中国の一帯一路構想に協力する姿勢をにじませている。日中関係の改善につなげるためだが、注意深く進めなければ、日米にきしみが生じ、アジアが不安定になる危険もある。対中政策をめぐる日米の調整が、極めて大切な局面に入った。>(以上)

秋田氏記事にありますように、米国は軍事的にも、経済的にも中国を締め上げて行くはずです。それが昨年12月の国家安全保障戦略、本年1/19の国家防衛戦略、1/30一般教書演説、2/2新たな核戦略と繋がる訳です。今までのオバマのように中露に甘い顔は見せないという事です。

1/2本ブログで渡部悦和氏の『トゥキュディデスの罠』と『キンドルバーガーの罠』について説明を紹介しました。米国に替わって中国は国際公共財を提供できないのではとの見立てです。それはそうです。南シナ海での国際仲裁裁判の判決を「紙屑」と称して国際ルールに従わないのですから。スリランカやモルデイブでやっていることは要人に賄賂を贈り、中国の軍事基地に繋がる施設を中国からの借金で建たせ、払えないとなれば租借するという阿漕なサラ金紛いのことを平気でします。賄賂は中国4000年の文化ですから一朝一夕には治らないでしょう。

中国が“status quo=現状維持”を変えるのであれば国際世論は、モンゴル・ウイグル・チベットの独立を叶えるべきです。台湾は既に独立しています。軍も通貨もパスポートも別ではないですか。それで良く中国の一部なんて言えると思います。

http://dwellerinkashiwa.net/?p=7947

奥山真司氏の地政学について12/29本ブログでも紹介しました。米国人のスパイクマンが予言したものを中国が「一帯一路」としてパクったものという見立てです。中国人に独創性を求めても無理と言うもの。

http://dwellerinkashiwa.net/?p=7904

2/7biglove<THEアジア大学ランキング2018、東大8位…上位350内は日本最多> 2/7日経朝刊にも同じ記事が出ましたが表題は<東大、順位下げ8位 アジアの大学ランキング 首位はシンガポール国立大>でした。左翼の厭らしさが滲み出ていると思いませんか?そもそもで言えば大学で一番要求されるインフラは「学問の自由」です。それを度外視した大学ランキングなぞあり得ないはずです。中国の清華大学や北京大学が上位に入るというのはおかしく感じます。賄賂でも贈ったのかと疑います。英国の“Times Higher Education”の見方はなっていません。日本の大学や学生・受験生はこんなランキングを気にせず、勉学に励んで貰いたいと思います。

https://news.biglobe.ne.jp/trend/0207/res_180207_5627297172.html

安田氏の記事では、2017/1/1の本ブログで中国人の洗練されていない10大マナー違反について書いています。社会階層の違いはあまりないのではという気がします。何せ中国は成金ですので、やってはいけないことも分からないのでしょうし、また其の儘放置すれば為政者の思うが儘となりますので。何せ退役軍人ですらデモをする国ですから。

http://dwellerinkashiwa.net/?m=20170101

記事

成田発・上海行きのジェットスター航空機に搭乗予定だった中国人客が航空会社職員や空港警察と衝突した。写真はジェットスター航空の旅客機(2014年5月4日撮影、資料写真)。(c)AFP/ROSLAN RAHMAN〔AFPBB News

今年(2018年)1月24日夜、上海行きのジェットスター航空GK35便の欠航(正確には24時間の遅延)をきっかけに、同便に搭乗予定だった中国人客100人以上が成田空港内で騒ぎ、航空会社職員や空港警察と衝突。1人が逮捕される事件が起きた。

一部の中国人客らはもみ合いになるなかで、なぜか中国国歌を合唱。現場の動画が残されていたこともあり、この奇妙な光景は日本国内のテレビのニュースでも報じられたので、ご存じの方もいるのではないだろうか。

在米華人メディア『多維新聞』公式Youtubeチャンネルで紹介された、中国人客の国歌斉唱の様子を撮影した動画。なだめにかかった千葉県警も大変である

実のところ、こうした事件は今回が初めてではない。2015年9月5日にも、タイのドンムアン空港で飛行機の出発が10時間近く遅延した際に、同便に搭乗予定だった約260人の中国人団体旅行客のうち一部が激しく抗議。やはりみんなで国歌を斉唱したのである。

台湾大手テレビ局『三立新聞』公式Youtubeチャンネルで紹介された、バンコクでも国歌を斉唱する中国人客たちの姿

なお、中国人客が搭乗を予定していたのはバンコク発重慶行きのオリエント・タイ航空。彼らは「自分たちが尊重されていない」ことに怒っており、タイ側(誰?)の謝罪や1000元相当の金銭補償、航空機の変更なども求めていたとされる。

ほかにも国歌こそ歌わなかったが、2016年12月にも日本の新千歳空港で中国人客100人あまりが、搭乗予定の中国国際航空が大雪で欠航となり空港内で2日以上も待たされた結果、航空会社や空港側のケアが不十分だったとして大規模な抗議をおこない、一部が警察に連行される事件が起きている。

各事件はそれぞれ背景が異なる。航空会社・空港・中国人客の3者のいずれに最も責任があるかも、事件ごとに議論があるようだ。今回の原稿では、個別の事件の責任追及ではなく、なぜ海外で飛行機が遅れた「中国人客」は国歌を斉唱したり、集団で騒いで警察沙汰になったりしやすいのかについて私なりに解説してみたい。主な要因は以下の4点である。

【1】出身地域や社会階層

現場動画などからまず指摘できるのは、当事者には非常に申し訳ないが、空港でこうしたトラブルを起こす中国人客は、服装や言動が基本的に垢抜けない人々が多いという点だ。「社会階層」という表現には少し抵抗感もあるものの、中国社会は日本よりもずっと巨大な格差のもとで、貧富・地域・年齢などさまざまなレイヤーで人々が分断されており、社会階層もまた現実のものとして存在している。

実は中国人客の国歌斉唱事件は、中国国内でもネット世論などでは冷ややかに評されることが多い。都会的でそこそこの学歴や国際感覚を持つ人の目には、海外でクレームを入れる際に集団で国歌を斉唱するような行為は、野暮ったく恥ずかしい振る舞いに映っている。彼らは経済力より文化資本の面での格差が大きく、海外や異文化にあまり慣れておらず、外国語もまずできない、ローカルな価値観やライフスタイルのなかで暮らしている人たちだ。

なお、成田とドンムアンでの国歌斉唱事件の際、中国人客らの利用した航空会社はいずれもLCC(格安航空会社)だった。自国の経済発展にともない、従来は生活が国内で完結していた層の人たちも海外旅行を楽しむようになったのだが、彼らが選ぶ格安ツアーの航空会社はLCCになることも多い。

LCCは本来、サービスの水準を落とすことで大手航空会社よりも安い運賃を実現しており、利用者側も一定の不自由はある意味で織り込み済みとして、それに対処できることが求められている。だが、結果的に価格の安さゆえにパックツアーの移動手段として組み込まれ、そうした能力があまり高くない人が利用しがちになっているのだ。

ちなみに2016年12月の新千歳空港のトラブルでは、航空会社はLCCではなかったが、騒ぎの当事者になったのは帰国を控えた中国人の技能実習生たちだったとされる。技能実習生には貧しい農村部出身の人たちが多く、上記の観光客たちよりもさらにローカルな社会階層の出身者だ(詳しくは西本紫乃「『新千歳空港で暴れた中国人乗客』騒動の真相」に詳しい)。

国際線の航空機への搭乗経験や言葉が異なる海外での交渉事に慣れていないなかで、搭乗予定機の欠航や航空会社・空港側とのコミュニケーションを充分に取れなかったことのストレスが事件の要因になったと思われる。

【2】クレーム方法の違い

日本におけるいわゆるクレーマーは、基本的に1人でゴネる。これは日本の客商売が、不必要なほど個々人の顧客を大事にするため、個人が1人で突っ込んで無理難題を持ちかけても真面目に相手をしてもらえる(少なくとも話だけは最後まで聞いてもらえる)ことも大きな要因かと思われる。

いっぽうで中国の場合、クレーマーどころか消費者として正当な要求をする顧客ですらも、個人が1人で掛け合った場合は担当者に面倒がられて門前払いされる例が少なくない。特にお役所や交通・運輸関係(駅など)の窓口ではその傾向が顕著だ。

1人で意見を表明しても誰も聞く耳を持たないことが当然だった社会で、大組織を相手に自分の要望を通す一番いい方法は、相手方にコネが利く人間を探して話を付けてもらうこと・・・なのだが、それが無理ならとにかく徒党を組んで数の力でプレッシャーをかけるしかない。【1】で述べたようなローカル系の中国人ほど、こうした方法での問題解決策を取る傾向は強い。

ローカル系の中国人客が海外の空港で集団でトラブルを起こす例が多いのは、たとえ国外でもこの中国的方法で問題解決を図ろうとするためである。ちなみに中国国内では、飛行機の遅延などでこの手の問題の発生が予見された場合には、なにはともあれ飲食物を供給しておとなしくしてもらうことが多い。人間、ものを食べている間は徒党を組んでまで怒ろうとは思わないし、心理的な不満自体も緩和されるからだ。

【3】「自分だけが損をする」ことを嫌う

先に中国は階層社会だと書いた。多くの中国人はこうした階層の存在をある程度は諦観しており、自分よりも経済力や政治的資源が明らかに「上」の人が、より恵まれた環境を享受していてもそれほど激しい怒りは示さない(不満がないわけではないが、日常的にそうした例がありすぎるからである)。

ただ、だからこそと言うべきか、多くの人が同じような階層や境遇に置かれている場合には、自分以外の誰かが得をして自分が損をする側に回ることは容認できない。特に外国人だけが優遇されて自分たちが放っておかれた(ように見える)事態は、被害者意識が刺激されるためいっそうトラブルが起きやすくなる。

今回の成田空港の事件でも、搭乗予定客のうち日本人客だけが制限エリアを出ていったことで「日本人はよい待遇を受けているに違いない」というイメージがひとり歩きし、フラストレーションを貯める要因になったとされる(なお、実際は日本人であれば簡単に制限エリアを出て再入国できるため、彼らは自力で外部の宿泊先に向かったと見られる)。

また、新千歳空港のトラブルは悪天候で出発が遅延して2日以上も空港内に留め置かれ、不満が爆発したことが直接の理由だが、その前に他社の便が続々と出発するなかで自分の搭乗予定便だけが出発せず、事情説明も充分に得られなかったことが、いっそうストレスを貯める結果を生んだと見られている。

【4】中国国歌が持つ意味

中国人客の国歌斉唱は、近年の中国国内で強まっている愛国主義的なプロパガンダの影響や、中国の国力や国際影響力が強まったことに対する自信ゆえの、鼻持ちならない愛国アピールであるとする説明は多い。事実、そうした側面は皆無ではないだろう。ただ、より泥臭い理由が関係している可能性もある。

中国国歌『義勇軍進行曲』は歌詞の内容(後述)さえ気にしなければ、メロディが勇壮でテンションが上がるなかなかの名曲だ。ゆえに、中国人の間ではちょっと泥臭いノリでみんなの団結を確認したいときにひとまず歌っておくと盛り上がる歌、という性質も持っている。日本でいえば『君が代』よりも、一昔前の軍艦マーチや宇宙戦艦ヤマトのテーマ、地元密着型球団を持つ地方都市における『いざゆけ若鷹軍団』や『それ行けカープ』などにやや近い雰囲気もあるのだ。

また、『義勇軍進行曲』はもともと抗日戦争中の映画楽曲がオリジナルであり、「立ち上がれ、奴隷となることを望まぬ人々よ」「中華民族は最大の危機に至っている」という歌詞からもわかるように、中国人をいじめる外国人(=日本人)への抵抗を雄々しく歌い上げた歌だ。海外におけるトラブルは、中国人客の主観ではまさに「外国人にいじめられている」事態に他ならず、抵抗ソングとしてはうってつけの曲なのである。

動画を見る限り、現場で笑いながら歌い始めたドンムアンのケースは前者、空港警察ともみ合いになるなかで歌い始めた成田のケースは後者の要素がより強いように見える。それぞれ、上記に書いた「徒党を組む」という中国的な抗議方法や、自分たちだけが損をして同じ便に搭乗する日本人が得をしていることが気に入らないといった心情とも組み合わさって、中国人客らはトラブルが起きると国歌斉唱を始めるわけなのだ。

中国政府は「不適切」と非難

ちなみに、意外にも中国政府はこうした自国のツーリストによる行為に渋い顔をしている。例えば成田の事件について中国外交部は「集団で国歌を歌うことで問題を解決するのは明らかに不適切であり、かえって(日本との)民族的な対立を容易に引き起こし、ひどくは矛盾を激化させる」と、ずいぶん厳しい表現で非難している。

ローカル中国人たち自身は自分たちの泥臭いノリで国歌を歌っているだけでも、国際的に報道されると明らかにナショナリスティックな匂いをまとってしまい、中国の国益を害するというわけだろう。そもそも中国当局は、社会問題に対して人民が徒党を組んで抗議を示すような従来型の抗議それ自体をかなり嫌がっている。

中国の経済発展や国際化とは、従来は中国国内で生活が完結していた泥臭い人たちが海外を闊歩する現象でもある。中国政府ですらやや持て余し気味のこの問題について、各国の空港や航空会社が対処していくのはなかなか大変そうだ。

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『中国マネーが引き金に、オーストラリアで大規模スト未遂事件』(2/2ダイヤモンドオンライン 姫田小夏)について

2/4facebook 記録中国<话说古时,有一类街头混混,好吃懒做,游手好闲。这等廝乱时既持械造反,打家却舍。治时常偷鸡摸狗,欺压良善,为患一方。官府莫策。后心生一计,制以毒攻毒计,遂将此等歹人纳入编制,发其银饷,着其制服,谓其曰衙役,差人。

今日,这些歹人更了名改了姓,唤作协警,城管,以政府的名义欺压百姓,为非做歹!

昔は街にはギャング、 美食家で怠け者、ぶらついている者がいた。これらが暴れ騒ぐときには武装して反乱を起こし民家から物を盗んだ。普段はいつも秘密裡に悪事を働き、善良な人々を虐め、その地区を憂えさす。政府は何もできない。よって策をめぐらし、毒を以て毒を制するの計に出た。少しずつこの悪人どもに給料を払い、制服を着せ、役所の小使いとして取り立てた。悪い奴。 現在はこの悪人どもは名を変えて、警察補助や都市管理局となり、政府の名の下に大衆を抑圧し、悪いことをする。多分営業許可証がなくて商売していたのでしょう。商品は没収されます。後は役人どもが山分けすると思います。

https://www.facebook.com/jiluzg.2.0/videos/216985022181898/

2/5facebook記録中国<天津有失去獨生子女的家長拉橫幅示威要求政府兌現“只生一個好 政府來養老 ”的偉大承諾。。

天津では一人っ子を失った親が、政府に対し「一人っ子政策は良い。政府が老後の面倒を見てくれる」という大きな約束を求めて示威行動に出た。1/10本ブログでも紹介しましたメイ・フォン著『中国「絶望」家族』に出て来る『失独』(政府の一人っ子政策に從ったが、子供を失い、老後の面倒を見てくれる人がいない人達を指す)が政府に声を上げたのでしょう。共産党政府が責任なんて取るはずがありません。人民は虫けら以下ですから。

https://www.facebook.com/jiluzg.2.0/videos/217311802149220/

http://dwellerinkashiwa.net/?m=20180110

2/6facebook記録中国<过年回家 要钱不易 上海隧道路桥集团的工人要求归还他们的血汗钱

春節の帰郷のために、金を得るのは容易ではない。「上海トンネル・陸橋会社」.の労働者は彼らの働いた金を出すことを要求2/16は春節(旧正月)で故郷に帰る人が多く、民族大移動と称されます。延べ30億人が移動するとも言われています。この会社は資金繰りに詰まったか、経営者が悪い奴で金を出さないのか分かりませんが、出稼ぎ農民工に金を払っていないことが分かります。これを見ると中国の景気が新聞報道のように良いとは思えません。故郷に帰る時には周りに沢山のお土産を買って帰らなければならず、金が無ければ帰れません。また春節に近づけば近づくほど交通機関の切符も取りにくくなります。

https://www.facebook.com/Jfartptihecas.2.0/videos/2055860091361613/

12/23AFP<「天安門事件の死者は1万人」 英公文書を公開>ちょっと時間が経ったニュースですがfacebookで知りました。英国もメイ首相の訪中前のこの時期に何故と思いましたが、機密解除の時期にあったからだそうで。相手国に忖度ばかりはしないという事です。日本も見習わなくては。SARSの時もそうでしたが、中共が如何に嘘つきか分かるでしょう。「南京」や「慰安婦」の嘘を信じている人に聞きたい。あなたはこの記事を読んでも、「南京」や「慰安婦」の話を信じますかと。

http://www.afpbb.com/articles/-/3156480

姫田氏の記事では、中国人に富を与えると碌なことが起きないというのが分かるでしょう。小生が98年に出張で中国・青島市に行ったときに、もう既に「マンションは現地人には高くて手が出ない」と言われていました。それでも中国国内の話でしたから、外国に迷惑をかけるという事ではありませんでしたが。20年経ってオーストラリアだけでなく、日本の土地も買い漁られています。中国人が不動産に執着するのは、共産党が当然個人の所有権を認めず、使用権だけと言うのもあるのかも知れません。まあ、中国と戦争状態になれば接収する手はありますが。世界各国が自国の中国人の資産凍結をすれば、南シナ海や東シナ海での侵略行為を止めるようになるかもしれません。親中派のターンブルもやっと中国人の恐ろしさに気付いたのでは。日本人もボーとしていてはダメでしょう。

記事

オーストラリアで危うく交通ストライキ 背景にあるのはチャイナマネーの流入

1月下旬、オーストラリア・ニューサウスウェールズ(NSW)州は、不穏な空気に包まれていた。鉄道公社シドニー・トレインズ(ST)の運転士が加入する鉄道・トラム(路面電車)・バス労組(RTBU)が賃上げを巡り、1月29日に24時間のストライキ突入の準備を始めていたからだ。

「前代未聞の大規模なストライキが決行されるようだ」──。現地では、そんな憶測が飛び交ったが、結局ストライキは回避された。しかし、このストライキで注目したいのは、その背景である。というのも、運転士らが声を上げた背景には、意外な“火種”があったからだ。

ストライキとは、通常、賃金を始めとする「労働条件の不満」を理由に起こるもの。だが、今回は、そんな簡単な問題ではなかった。筆者は、国際関係学に詳しい日本人研究者を取材したが、オーストラリアから帰国したばかりの研究者によれば、「ストライキは、地域に安心して住めなくなった中間層の怒りが爆発したもの」だというのだ。

NSWの州都であるシドニーは近年、住宅価格が激しく上昇している。新築や中古住宅のみならず、賃料の上昇も著しく、中間層の生活はかなりの打撃を受けている。その理由について、地元市民は「チャイナマネーの流入が引き起こしたものだ」と信じて疑わない。

「ここ数年、中国の富裕層マネーが、オーストラリアにどんどん投下されてきました。市民はこれを黙って見てきましたが、実は心の奥底では相当不満が高まっているのです」(国際関係学の研究者)

そのため、このストライキは、史上最大の規模に発展する可能性があるとも言われていた。この研究者も「想定外の事態が起こるかもしれない」と身を縮こまらせていたほどだった。

わずか3年で 住宅価格が35%も急上昇

ここ数年、オーストラリアでは外資による投資の規模や分野が、著しく変化した。外国投資審査委員会(FIRB)によれば、2015~16年度における外国資本の投資は2479億米ドルであり、わずか3年(2012~13年度比)で約1.8倍に膨れ上がっている。しかも、その内訳を見ると、資源関連への投資(276億米ドル)をはるかに上回る724億米ドルが、「住宅」に投下されたことが分かる。12~13年度に比べると、実に4倍以上の増加だ。

そして15~16年度を国別で見ると、中国が件数、金額ともに最多の投資国となっており、投資総額の26%を占めた。オーストラリア統計局(ABS)は、その報告書の中で「中国は、特に不動産投資への関心が強い」と指摘している。15~16年度、オーストラリアが中国資本に認可した不動産分野への投資金額は、前年度比で31%も伸びたという。

一方、英字紙電子版は、「12年以来、各州の州都の住宅価格は44%も上昇している」と報じる。外資による不動産投資が顕著なのは、ヴィクトリア州とNSW州だ。

ABSの資料によれば、NSWの住宅価格(中間値)は、14年が66万4700米ドルだったが、17年には89万6100米ドルになった。たった3年で約35%も上昇、もはや“億物件”ばかりである。

住宅購入の外国人規制もむなしく 大量に入ってきたチャイナマネー

15年12月、住宅価格の急上昇に危機感を募らせたオーストラリア政府は、抜本的な改革に乗り出した。土地税を上げ、印紙税もさらに高くした。外国人が中古住宅を購入できないようにしたのもこの頃からだ。

それでも効果がなかったため、2017年度からは、外国人への新築住宅販売は総量の50%を上限とする“枠”が設けられた。オーストラリアでは、外資が投資を行う前に書類申請を行うのが前提だが、その申請料も1割増しにし、空き家税も導入した。金融機関もナショナル・オーストラリア銀行、オーストラリア・コモンウェルス銀行などを中心に、16年から海外の購入者向けの融資を中止している。

経済効果を期待して投資を誘致したものの、そこに入ってきたのは大量のチャイナマネーだった。市民生活は守られるのか、その攻防はいまや対岸の火事ではない。

振り返れば、上海の不動産バブルも同じ構造だった。2000年代、上海の住宅価格は毎年2桁の上昇を続けた。住宅価格を上昇に導いたのは、地元上海人ではなく、浙江省温州市を中心とした不動産投機を専門に行う“外来勢”だった。

それに伴い、どこの企業でも労使間で、賃上げを巡る激しい攻防が繰り返された。しかし、住宅価格の上昇に賃金上昇が追いついていかず、カバーできない分は副業で補ったり、相手企業との取引でひねり出したバックマージンで補った社員も少なくない。大小問わず、中国の企業で不正が蔓延したのも、住宅価格の急上昇に起因したといっても過言ではないだろう。

中国の投機行為がもたらす “悲しい結末”が世界に拡散

「異常なほどの値上がりだ」と人々を驚かせてきた上海の住宅価格で、「街はすっかり人が住めるところではなくなった」(上海の日本人実業家)とも言われている。住宅は言わずもがなだが、高騰するテナント料で店舗や倉庫を借りるのも容易でなく、商売をするのも一苦労だった。

中国の富裕層の投機行為がもたらす“悲しい結末”が今、世界の主要都市にも拡散されようとしている。その恐ろしさを一言で表すなら、「地域経済を短期間で歪めてしまう力」(前出の研究者)である。

住宅価格をつり上げては市民生活に打撃を与えるチャイナマネーは、世界の各都市でさまざまな禍根を残すことになりそうだ。

(ジャーナリスト 姫田小夏)

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『次の焦点は平昌五輪前日の軍事パレード 「米国が北朝鮮を攻撃する」と焦り出した韓国紙』(2/3日経ビジネスオンライン 鈴置高史)、『拉致問題で共闘、日本の援軍がトランプ政権入り 北朝鮮の非道な行いを糾弾してきたサム・ブラウンバック議員』(2/5JBプレス古森義久)について

トランプがチャ駐韓大使の内定取消をしたのは良かったです。米国にいる朝鮮半島人は、国籍がアメリカであっても朝鮮半島に忠誠を誓いますから(日本の在日は国籍も韓国(隠れ北朝鮮もいる)で日本に居て反日活動に勤しんでいます)。そこが日系米国人とは違います。第二次大戦時の442部隊の欧州戦線での活躍ぶりは語り草になっています。ダニエル・イノウエ上院議員はこの戦闘で腕を無くしました。

大体、韓国は第二次大戦中は日本と共に日本人として戦ったのに、今や歴史を捏造改竄し、現憲法前文には当時各国が承認していなかった上海臨時政府(正確には「3.1運動で建立された大韓民国臨時政府」となっています)から説き起こししています。韓国にそんなに興味を持っている外国人はいないでしょうから、慰安婦の嘘同様信じ込まされる訳です。彼らは、中国人同様、平気で嘘がつける民族と思った方が良いでしょう。

https://ameblo.jp/sincerelee/entry-11350561128.html

https://www.weblio.jp/wkpja/content/%E5%A4%A7%E9%9F%93%E6%B0%91%E5%9B%BD%E8%87%A8%E6%99%82%E6%94%BF%E5%BA%9C_%E6%89%BF%E8%AA%8D%E5%95%8F%E9%A1%8C

2/4マイケルヨン・ブログ<韓国人、ついに「慰安婦のペテン」を叫びはじめる>

https://michaelyonjp.blogspot.jp/2018/02/blog-post_4.html?spref=fb

中国の国歌も抗日起源です。それを今でも国歌として使っているのは韓国の憲法同様、そうしなければ統治の正統性がなくなるからでしょう。明らかな反日国家に日本は支援すべきでありませんし、治安上入国も制限すべきです。彼らの反日教育が、やがて「日本人殺害」無罪となる事態を引き起こすことを恐れます。在日で反日活動をしてきた人たちは、吟味の上、強制送還すべきです。

鈴置氏ブログを読みますと、米軍の攻撃は必ず行われるだろうと踏んでいます。「鼻血作戦」だけでなく、全面戦争になる可能性もありますが、外交で妥協することはないとのこと。但し、NEOは必ずやって何か月後かに攻撃するとの読みです。そうなれば平昌パラが3/18に終わり、米韓合同軍事演習を4月に実施、終了後すぐにNEOを発動し、中間選挙前の9月辺りに攻撃かと思われます。ルトワックの言うように韓国が攻撃を受けても「自業自得」です。NEOを実施すれば、韓国民が大量に日本に移動してくることも考えられます。彼らはテロの手先になる可能性があります。反日民族を受け入れる必要はありません。NEO発動と共に韓国からの入国は全面禁止、日本に居る韓国人旅行者も還すようにしないと。

古森氏記事ではブラウンバック氏が国務省の国際宗教自由大使になったとの記事です。ローラバッカー氏同様、中国の法輪功信者の臓器移植問題を取り上げるかもしれません。日本も米国と呼応して中国の人権弾圧を止めさせるよう動いたら良いと思います。山田宏参院議員がこの問題に取り組んでいますので。ブラウンバック氏は法輪功以外に地下教会の問題(信仰の自由がないこと)も取り上げるかもしれませんが。

今ジョン・ネイスンの『ニッポン放浪記』を読んでいますが、翻訳者として三島には圧倒され、大江は付き合いやすいとのことで、三島からは離れて行ったことが書かれています。多分麻薬もやるネイスン氏と大江は左翼という事で気があったのでしょう。「私たちは毛沢東とフィデル・カストロのために乾杯した」(P.131)とありましたから。今英語で彼が翻訳した『午後の曳航』を読んでいますが、それほどうまい訳とも思えません。『豊饒の海・四部作』の内の『暁の寺』の訳者はCecilia Segawa Seigleですが、日本人なので日本語表現の理解度が高いのは当り前ですが、英語も素晴らしかったです。ネイスンの本に戻しますと、安部公房と大江はずっと仲が良く、兄弟のように付き合っていたそうですが、三島が文革時の紅衛兵に抗議の声を上げたときに、安部もそれに賛同したため、政治的な立場の懸隔が原因で別れたとのことです(P.132)。左翼は人が虐殺されるのを見ても何も感じないのでしょう。こんな人物がノーベル文学賞を受賞するのですから。共産主義は歴史の審判を受けたにも拘らず、大江は態度を改めることもありません。正しい道を知らない真正のバカです。

鈴置記事

北朝鮮の軍事パレードに米国はどう応じるのか (写真:ロイター/アフロ、2017年4月撮影)

前回を読む)

米朝間で「五輪休戦」を結んだはずが、急にきな臭くなってきた。

軍事作戦を念頭に語ったトランプ

鈴置:2月1日、韓国メディアが一斉に「戦争の危機」を訴えました。保守系大手紙が社説で「北朝鮮に対し米国が軍事行動に乗り出す可能性が高まった」と口をそろえたのです。

トランプ(Donald Trump)大統領の一般教書演説と、駐韓米大使の内定撤回という2つのニュースからです。確かに、1月30日の米議会でのトランプ大統領の一般教書演説は北朝鮮への先制攻撃を予感させるものでした。

大統領は「自国の市民を弾圧することにかけては世界で最も残忍な体制」と金正恩(キム・ジョンウン)政権を非難。さらに「無謀にも、米本土を威嚇する核ミサイルを間もなく持つ」と、北朝鮮の危険性を訴えました。原文は以下です。

no regime has oppressed its own citizens more totally or brutally than the cruel dictatorship in North Korea. North Korea’s reckless pursuit of nuclear missiles could very soon threaten our homeland.

そして「それを防ぐためにかつてない強力な圧力をかけている」「譲歩は攻撃と挑発を招くだけ」「過去の(米)政権のような過ちは繰り返さない」と述べて、北朝鮮とは一切、妥協しないと宣言したのです。

We are waging a campaign of maximum pressure to prevent that from ever happening.

Past experience has taught us that complacency and concessions only invite aggression and provocation. I will not repeat the mistakes of past administrations that got us into this very dangerous position.

ある専門家は「waging a campaign」との言葉使いから「トランプ大統領はすでに軍事作戦を展開中との意識にあるのだろう」と分析しています。「campaign」は元々、軍事行動を指す単語です。

「USA!」の声に満ちた議場

—トランプ大統領はこれまでもツイッターを使い、激しい言葉で北朝鮮を脅してきました。

鈴置:今回の演説は過去のツイッターによる威嚇とは完全に異なります。一般教書演説は1年で最も重要な演説です。加えて、議場の傍聴席には「残虐非道な北朝鮮」を象徴する人々を招いたのです。

北朝鮮を旅行中に拘束され、死に追いやられた米国の大学生の家族。それに、子供の時に飢えに苦しみ、片足を失い、当局に拷問されながらも北朝鮮から脱出した難民です。

大統領が演説で彼らに触れた瞬間、議員らは一斉に立ち上がって拍手しました。彼らと大統領に共感を示したのです。そして米国人と世界の人々はテレビを通じ、その画像(北朝鮮に関する部分は開始後1時間8分22秒から)を見たわけです。

演説が終わると議場は「USA! USA!」の声で満ちました。大統領が「人権蹂躙の金正恩政権の打倒」を呼び掛け、議員がそれにも応えたのです。もう、米国は「核・ミサイル開発の凍結」などといった安易な妥協はできないでしょう。

朝鮮中央通信は2月2日「朝鮮外相が国連事務総長に手紙」(2月1日付、日本語版)を配信しました。ポイントは以下です。

李容浩(リ・ヨンホ)外相が1月31日、米国の核戦争策動を止めて欲しいとの手紙を国連事務総長に送った。

北朝鮮の当局も一般教書演説を読んで「米国が本当に攻めて来る」とおびえたと思われます。

新たな挑発には報復攻撃

—国連に泣きつくとは、相当にぎょっとしたのですね。

鈴置:だから韓国紙もトランプ演説で騒いだのです。東亜日報は社説「北朝鮮に譲歩する『失敗』はもうしない…『平昌以降』を伺うトランプ」(2月1日、韓国語版)で「米国は北朝鮮を最強度で圧迫するつもりだ」と演説を分析しました。ポイントを訳します。

具体的には明かさなかったが、圧迫を最高度に引き上げるとの北朝鮮へのメッセージと読める。

無謀な挑発を防ぐには軍事的な選択も辞さないとの意思を明確にした。

最近の平昌五輪を期にした南北の解氷ムードにもかかわらず、トランプ大統領の北朝鮮への姿勢はさらに強硬になった。

朝鮮日報の社説「注目すべき米駐韓大使の内定者の落馬」(2月1日、韓国語版)は演説に加え、ワシントンの空気も「軍事行動」に向かっていると指摘しました。

トランプは昨年4月、化学兵器を使用したシリアに対し、人権問題を前に出して爆撃したことがある。

ブレア(Denis Blair)前・国家情報長官も1月30日、米上院の朝鮮半島関連の聴聞会で「北朝鮮が新たな挑発をした場合、限定的な報復攻撃で応じるべきだ」と述べた。

ポンペオ(Mike Pompeo)CIA長官は1月29日、BBCに「北の核危機を非外交的に解決する手段に関する情報を大統領に上げている」と語った。

韓国系米国人の落馬

—日本の新聞とは比べものにならないほどの緊迫感ですね。

鈴置:普通、日本のメディアで一般教書演説をカバーするのは朝鮮半島を専門としない記者です。記者というものは不案内な領域では、表面的な動きの有無でニュース価値を判断しがちです。

東亜日報も指摘したように、今回のトランプ演説に北朝鮮に関する「ニュース」はありませんでした。でも、半島専門家が議場の雰囲気を含め、じっくりと読めば「米国はノーリターンポイントを越えた」と考えます。少なくとも「それを越えたと演出した」と読みます。

韓国紙が危機感を高めたのにはもう1つ理由があります。同じ1月30日にワシントンポスト(WP)が、駐韓米国大使に内定していたビクター・チャ(Victor Cha)氏の人事案が撤回された、と報じたからです。

チャ氏は韓国系米国人で、ジョージタウン大教授や米CSIS(戦略国際問題研究所)韓国部長も歴任した北朝鮮問題の専門家です。

Disagreement on North Korea policy derails White House choice for ambassador to South Korea」という見出しの特ダネです。世界のメディアが後追いしました。

米政府も2月1日になって韓国政府に「内定取り消し」への理解を求めました。聯合ニュースの「駐韓米大使の人事案撤回 米側が理解要請=韓国外交部」(2月1日、日本語版)などが報じました

急浮上する「鼻血作戦」

—大使人事の撤回は珍しいのですか?

鈴置:世界のメディアが驚いたのは2点。まず、韓国政府のアグレマン(任命同意)まで得ていた人事の撤回だったこと。もう1つはその理由です。WPの記事によると、トランプ政権が検討する「鼻血(bloody nose)作戦」に対し、チャ氏が反対したためです。

「鼻血作戦」は北朝鮮に「核武装は絶対に認めない」意思を示すのが目的です。例えば、ミサイル発射台を1台だけ攻撃する方法です。

それで米国の意思は十分に見せつけられる。一方、それぐらいの攻撃に北朝鮮は反撃して来ないだろうから全面戦争にはならない、という理屈です。

—「反撃して来ない」のは確かですか?

鈴置:確かではありません。「反撃すれば全面戦争に突入し、自分が消滅する」と北朝鮮が予測するであろうから「反撃の可能性は減る」と見積もることは可能ですが。結局「鼻血作戦」を実施する際も、日米は反撃に備えることになります。

中央日報の社説「異例の米大使内定撤回、米の強硬策の信号か」(2月1日、韓国語版)も「鼻血作戦」の可能性が高まっていると警鐘を鳴らしました。

(米国政府が適格者かどうか)検証した後に、アグレマンまで得た内定者の人事を取り消すのは例がない。それだけトランプ政権が「鼻血作戦」に執着しているということだ。

私の見た限りですが、北朝鮮への「鼻血作戦」に初めて言及したのは昨年12月20日の英紙テレグラフでした(「2018年『北の核』は軍事攻撃か体制崩壊で決着」参照)。その後、米メディアでしばしば言及されるようになっています。

死ぬのは向こう側

—チャ氏はなぜ「鼻血(bloody nose)」に反対したのでしょうか。

鈴置:同じ1月30日のWPにチャ教授は「Victor Cha: Giving North Korea a ‘bloody nose’ carries a huge risk to Americans」を寄せ、それを説明しました。

「死ぬのは向こう側だから攻撃のリスクは取る価値がある、と言う人がいる。だが、韓国と日本住む多くの米国人非戦闘員が、北朝鮮の長距離砲とミサイルの雨から逃れるのは困難だ」と主張しました。原文は以下です。

Some have argued the risks are still worth taking because it’s better that people die “over there” than “over here.”

On any given day, there are 230.000 Americans in South Korea and 90,000 or so in Japan.

Given that an evacuation of so many citizens would be virtually impossible under a rain of North Korean artillery and missiles (potentially laced with biochemical weapons), these Americans would most likely have to hunker down until the war was over.

トランプ大統領は「死ぬのは向こう側」と語ったと報じられています(「中国にも凄んで見せたトランプ」参照)。チャ氏は大統領の発言を真っ向から否定したわけで、米政府もこういう人を大使にはできないでしょう。

強襲揚陸艦が2隻に

—米国籍の非戦闘員の退避は難しいのですか?

鈴置:チャ氏のその主張には、多くの専門家が首を傾げます。米国は非戦闘員の退避計画(NEO=Non-combatant Evacuation Operation)をきっちり定めていて、訓練も年中実施しています。

韓国に住む米国籍の市民は、身近な米軍基地に駆け込めば、米軍はあらゆる手段で戦地となる韓国から脱出させてくれます。

通常は朝鮮周辺海域に1隻しかいない米海軍の強襲揚陸艦が、2017年末から2隻に増強されています。強襲揚陸艦は空母のように広い甲板を持ち、韓国脱出用のヘリコプターの発着に適しています。

日本の横田基地にも宿舎が急きょ建設されたそうです。関係者は在韓米国市民を収容する目的もあると見ています。米国は平和ボケした日本とは異なるのです。

米国が北朝鮮への何らかの攻撃をしようと決意した際にはまず、NEOを発動するはずです。もちろん北朝鮮は身構えるでしょうが、緊張は長期間維持できません。北朝鮮の軍民が疲れたころに攻撃する手があります。

ことに、どこか1カ所を象徴的に攻撃する「鼻血作戦」なら、北朝鮮がNEOにより事前に察知しても攻撃地点を予測できないので、防ぎようがありません。

朝鮮日報のユ・ヨンウォン軍事専門記者は「米、北朝鮮の1、2カ所の象徴をいつでも打撃可能…鼻血を流させる恐怖の作戦」(2月2日、韓国語版)で攻撃対象の候補をいくつか挙げています。以下です。

▼平安北道・寧辺(ニョンビョン)の核施設▼咸鏡北道・豊渓里(プンゲリ)の核実験場▼「火星15」型ICBM(大陸間弾道弾)などを生産する平壌(ピョンヤン)山陰洞(サンウムドン)ミサイル工場▼咸鏡南道のSLBM(潜水艦発射弾道弾)搭載型の潜水艦基地

韓国の自業自得

—なぜ、NEOを無視して議論するのでしょうか。

鈴置:そこです。その点からも「米国の先制攻撃を防ぎたい韓国政府とチャ氏は歩調を合わせているのではないか」との疑いがわきます。朝鮮半島の専門家にNEOは常識だからです。

チャ氏は韓国への反撃に関し、ことに懸念を表明しています。「日本は米国のMD(ミサイル防衛)で守られるかもしれないが、韓国はそうではない」とWPへの寄稿にも書いています。

While our population in Japan might be protected by U.S. missile defenses, the U.S. population in South Korea, let alone millions of South Koreans, has no similar active defenses against a barrage of North Korean artillery (aside from counterfire artillery).

この辺から、ますますチャ氏の議論が怪しくなります。「米国のMDで在日本の米国人は守られている」というのは誤りで「日本のMDで守られている」のが真実です。

—どうして、そんないいかげんなことを書くのでしょうか。

鈴置:本当のことを言えば「韓国の自業自得」が露見するからです。日本が自前でMDを保有すると書けば、韓国が自前のMDを持っていないことに光が当たってしまいます。

韓国は米国とMDを構築するのを拒否したうえ、ソウルを含む韓国北部へのTHAAD配備も拒否しています。いずれも中国の顔色を見た結果です(「中国に『降伏文書』を差し出した韓国」参照)。

戦略家のルトワック(Edward Luttwak)氏は「中国の言いなりになってMDを導入しない韓国」が北朝鮮の攻撃にさらされても自業自得だ、と言い切っています(「『五輪外交で主導権を握った』と小躍りする韓国」参照)。

チャ氏は「鼻血作戦」の不当性を強調するために「韓国の自業自得」と「NEO」には触れないのでしょう。

米国を騙した南北

—急にワシントンで「鼻血作戦」に焦点が当たり始めたのは、なぜでしょうか。

鈴置:平昌五輪開会式の前日の2月8日に、北朝鮮が平壌で大規模な軍事パレードを実施する可能性が高まったことが大きいと思います(「平昌で『米日VS南北』の戦いが始まる」参照)。

北朝鮮の核・ミサイル施設をすべて叩く、大規模な軍事攻撃に踏み切るハラをトランプ政権はまだ、固めていないようです。

しかし軍事パレードに対しては何か報復せねばならない。その結果、反撃されにくい「鼻血作戦」が注目された、ということではないでしょうか。

米国は「北朝鮮が五輪に参加を表明した。緊張を緩和し核問題を解決するために、五輪期間中の米韓合同演習は延期してほしい」との韓国の要請を受け入れました。

というのに五輪の始まる前日に北朝鮮が大規模の軍事パレードを実施したら、米国はまんまと騙されたことになります。

こんな小賢しい挑発を許したら、北朝鮮は米国をますますなめて核・ミサイル実験に動く――と誰しも考えます。

だからトランプ大統領が一般教書演説で「もう、譲歩はしない」と宣言し、朝鮮日報が2月1日の社説で指摘したように米政府や議会から「北朝鮮の次の挑発は絶対に容赦しないぞ」との声が漏れてくるのでしょう。

後ろに引けない金正恩

—韓国も米韓合同軍事演習の再延期と北朝鮮の軍事パレードの中止を取引させようと動く……(「平昌で『米日VS南北』の戦いが始まる」参照)。

鈴置:しかし、北朝鮮も容易には後ろに引けません。軍事パレードは4月に開催することが多かった。ただ緊張が高まる今年は、下手に実施したら米国から「挑発」と見なされ攻撃される可能性が大きい。

軍事パレードには金正恩(キム・ジョンウン)委員長も出席しますから、攻撃は斬首作戦――空爆による暗殺の場になりかねない。かといってパレードを中止すれば、金正恩委員長が米国に屈したことになってしまう。

そこで「親北」の文在寅(ムン・ジェイン)政権と組んで五輪休戦を演出し、その間に軍事パレードを開こうと知恵を絞ったのでしょう。

米韓の演習延期とは直接の関係はありませんが、国連の「平昌五輪停戦決議」が定めた停戦期間は五輪・パラリンピック期間と、その前後1週間です。

軍事パレードを米韓合同軍事演習よりも前に設定することにより、北朝鮮は「合同演習を永久に停止するならパレードを中止してもいい」と言い出せる余地も作ったわけです。

軍事パレードを食い逃げ

—でもそんな、せこい手を使うと逆に米国を怒らせませんか?

鈴置:そうなる可能性が大です。実際「鼻血作戦」が議論されるようになったわけです。でも、米国がそれを実施するとしても軍事パレード当日ではありません。国連停戦決議を尊重して、パラリンピックの後になるでしょう。

となると、金正恩委員長は自らの居場所を隠し続けさえすれば、斬首される心配はない。ミサイルの発射台1台くらいは破壊されるかもしれませんが。結局、北朝鮮は、軍事パレードを食い逃げできるのです。

そうこうするうちに米国まで届くICBMが完成する。そうすれば米国が「鼻血作戦」程度でも実施する可能性は一気に減る、と北朝鮮は読んでいるでしょう。

2月8日のパレードに今後の展開がかかっています。2月2日、北朝鮮を脱出した人々をホワイトハウスに招いた席で、トランプ大統領も「五輪の後に何が起こるか。すぐに分かることだと私は思うが」と思わせぶりな発言をしています。

Remarks by President Trump in Meeting with North Korean Defectors」(2月2日)で読めます。

(次回に続く)

古森記事

ドナルド・トランプ米大統領はホワイトハウス大統領執務室に脱北者6人を迎えた。通訳を挟み談笑するドナルド・トランプ大統領(右)と脱北者のチ・ソンホ氏(左、2018年2月2日撮影、資料写真)。(c)AFP PHOTO / ANDREW CABALLERO-REYNOLDS 〔AFPBB News

サム・ブラウンバックという名前を聞けば、日本の拉致問題関係者の多くは瞬時に前向きな反応を示すはずである。

10年ほど前、日本側の人たちが、北朝鮮に拉致された日本国民を救出するために米国の支援を得ようと動き始めた。その際、米国議会上院の共和党有力議員として活発に助力してくれたのがブラウンバック氏である。

そのブラウンバック氏がこの2月から、“宗教の自由問題”担当の特別大使として、トランプ政権の国務省に加わった。同氏は北朝鮮の宗教弾圧も追及することになる。

任務は世界の宗教弾圧への対処

サム・ブラウンバック氏(出所:Wikipedia

トランプ政権は、カンザス州知事のサム・ブラウンバック氏が2月1日に国務省・国際宗教自由担当の大使に就任したことを発表した。

国際宗教自由大使の任務は、世界の宗教弾圧への対処である。ワシントンの国務省本省に拠点を置きながら、移動大使という形で世界規模で活動する。

米国歴代政権は、国務省を主体に、世界各国の宗教の自由を守るための超党派の対外活動を続けている。同大使はその活動の中枢となる。

ブラウンバック氏といえば、日本の拉致問題の解決に米国議会を代表して積極的な支援を続けてきたことで幅広く知られている。現在61歳の同氏はカンザス州の弁護士出身の共和党政治家で、1995年から96年まで同州選出の連邦下院議員を務めた。96年には上院に転じ、2011年まで上院外交委員会などで活動した。

ブラウンバック氏は2008年の大統領選挙にも共和党予備選に出馬した。2011年には地元カンザス州の知事となった。その後、再選を果たし、2019年1月まで任期が残されていたが、このたびトランプ大統領の要請で政権入りした。同氏は敬虔なカトリック教徒として知られ、議会でも北朝鮮や中国の宗教抑圧への抗議を再三表明してきた。

「北朝鮮人権法」の制定に尽力

ブラウンバック氏が日本人拉致事件の解決への支援の活動を顕著にしたのは、2003年以降、上院外交委員会の「東アジア太平洋問題小委員会」委員長となってからである。同氏はそれまでアジアとの関わりは特に深くはなかったが、人権弾圧非難という観点から北朝鮮や中国に注意を向け、活発に動くようになった。

たとえば2003年6月には独自に記者会見を開き、北朝鮮の人権弾圧や、北朝鮮難民を抑圧する中国の行動を非難した。日本人拉致問題についても指摘し、北朝鮮当局を激しく糾弾した。

私もこの記者会見に出ていたが、静かな口調ながらも熱をこめて「北朝鮮工作員による日本国民の拉致」に言及するブラウンバック議員に好感を抱いたことをよく覚えている。

同議員はその後、米国の国政の場で、北朝鮮の残虐な行為の典型として日本人拉致を繰り返し指摘するようになった。そして「北朝鮮人権法」の制定へと動く。この法律は文字通り、北朝鮮の人権弾圧を阻むために米国政府が多様な支援行動をとることを規定していた。対象とする北朝鮮の人権弾圧には日本人拉致事件も含めている。この法律は2004年10月に成立した。

拉致被害者のために事務所を提供

当時のブッシュ政権は北朝鮮を「テロ支援国家」に指定しており、それに基づき2005年9月にマカオの中国系銀行「バンコ・デルタ・アジア(BDA)」の北朝鮮関連口座を凍結するという経済制裁措置をとった。ブラウンバック議員はこうした措置を積極的に支援していた。

ちょうどそのころ、日本側の拉致問題の「家族会」「救う会」「拉致議連」などがブッシュ政権の支援を得ようと動き始めていた。ブラウンバック議員はそうした各会の代表たちのワシントン訪問を温かく迎えるようになった。

「家族会」の横田早紀江、増元照明両氏、「拉致議連」の平沼赳夫会長や「救う会」の西岡力会長、島田洋一副会長らが訪米するたびに、ブラウンバック議員は上院外交委員会の代表として面会していた。日本側代表たちが緊急記者会見を開く必要が起きた際には、自分の事務所を即座に開放して提供するほどの協力ぶりだった。2008年10月に当時のブッシュ政権が北朝鮮のテロ支援国家指定を解除すると、ブラウンバック議員は誰よりも強い反対を表明した。

このようにブラウンバック議員は米国連邦議会の歴代のメンバーのなかでも、日本人拉致事件の解決のために、最も深く、最も長く協力してきた人物である。そうした人物がトランプ政権の国務省に加わり、世界の宗教弾圧に対峙するという展開は、北朝鮮による拉致事件の解決を目指す日本にとっても歓迎すべき動きといえるだろう。

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『中国「外国ゴミ輸入禁止」の波紋 4分類24種類の固体廃棄物、「最大輸出国」日本に痛手』(2/2日経ビジネスオンライン 北村豊)について

2/3facebook記事よりBBC<【逃到土耳其的新疆维吾尔人:宁愿家人被枪毙,也不想她们被中国政府虐待致死】

最近几个月,新疆针对少数族裔的维稳限制越来越严厉,BBC驻华记者沙磊前往当地采访,也不断被骚扰、跟踪、监控。一名现已逃到土耳其的维吾尔族人说,听到家人被带到拘留所的消息。他说:“我宁愿妻子与母亲被枪毙,也不想她们被中国政府虐待致死。”

【トルコに逃れた新疆ウイグル人:家族が射殺されても、中国政府に拷問死させられたくはない】 この数カ月、新疆では少数民族に対し治安維持面での制限が厳しくなってきた。中国のBBC特派員のシャーレイは当地を訪れたときに、絶えず嫌がらせ, 追跡監視を受けていた。既にトルコに逃れたウイグル人は、彼の家族が拘留所に連れて行ったことを聞いて、「私は妻と母が中国政府に虐待死されるより、射殺された方が良いと思っている」と言った。

https://www.facebook.com/BBCChinese/videos/10156131677328762/

2/1希望の声TV<西方大国共进退?英首相拒为“一带一路”背书(视频)=西側諸国は共に歩む 英国首相は“一帯一路”に裏書きせず(TV)>クリスマス前からメイ首相が訪中した時に「一帯一路」のMOUにサインさせようと工作してきたが、メイはサインしなかった。米・独・仏・澳・EUが「一帯一路」に慎重な態度を取っていることもあるとのこと。オズボーンが近くにいなくて良かったです。

http://www.soundofhope.org/gb/2018/02/01/n1501604.html

中国がゴミの輸入禁止を打ち出すのは当り前のことです。どの国でもゴミだったら受け入れないでしょう。それこそ“shithole coutry”になるでしょう。ただPETボトルはゴミではなく資源として利用してきたのでは。中国国内での在庫品過剰か生産能力増強で輸入しなくとも対応できると中共は考えたのでしょう。

中国人は分別回収できるかどうかには疑問があります。多分彼らの考えでは「そんな面倒くさいことはしたくない」となるのでは。食べたものを平気で道路に捨てる民族です。でも小生が中国駐在時代には、飲食店から出た食材や客の残したもののゴミ(液体化したもの)をプラスチックの樽に入れて回収、自転車で運んでいる人を良く見かけました。ゴミを出す人が分別して出すのでなく、回収を専門的にやらせれば対応できるのでは。

日本の輸入業者には打撃になるかも知れませんが、ゴミ(資源扱いではなくなった)を他国に輸出するのは不名誉なことです。(映画“トランスポーター3”では有毒廃棄物をある国に引き受けさせるため環境大臣の娘を拉致するストーリーでした)。日本国内で再ペレット化して使うようにしないと。飲料の包装コストは上がるでしょうけど。

日本の他に英国も輸出国とのこと。でもメイ首相の「一帯一路」へのMOUにサインしなかったことは正解です。中国はこのように政策がコロコロ変わります。でも彼らは自分の都合を棚に上げて、相手には契約遵守を強要します。こんな国(含む朝鮮半島)と真面に付き合ったら痛い目に遭うだけです。安倍首相も「一帯一路」は中国の軍事拡張路線と言うのを良く認識しながら、付き合っていかないと。習の訪日何て関係ありません。中国は対外的に困ってくると日本に近づいてくるわけですから。お人好し日本人は騙されないようにしませんと。

記事

中国の廃棄物処理場では周辺住民の健康被害も指摘されてきた(写真:Imaginechina/アフロ、2015年・武漢)

2017年12月31日、中国は“洋垃圾(外国ゴミ)”の輸入を禁止した。それは2017年7月27日付で中国政府“国務院”が、全国の省・自治区・直轄市政府ならびに国務院関係部門に対して下達した『外国ゴミの入境を禁止する固体廃棄物輸入管理制度の改革推進実施法案の通知』(以下「法案通知」)に基づくものであった。

監督管理制度を完全なものに

法案通知には以下の内容が明記されていた。

【1】主要目標:  固体廃棄物の輸入管理を厳格化し、2017年の年末前に、環境に危害が大きく、人々の意見が強烈な固体廃棄物の輸入を全面的に禁止する。2019年の年末前に、国内資源で代替可能な固体廃棄物の輸入を徐々に停止する。固定廃棄物の輸入、輸送、利用などの各ポイントに対する監督・管理を持続的に強化することを通じて、生態環境の安全を確保する。外国ゴミの密輸取り締まりに高圧姿勢を保持し、徹底的に外国ゴミの入境を阻止する。資源の節約・集約利用を強化し、国内の固体廃棄物の無害化、資源化の利用水準を全面的に引き上げ、徐々に国内資源の不足を補填し、麗しき中国の建設と“小康社会(ややゆとりのある社会)”の全面的実現のために有力な保障を提供する。

【2】外国ゴミの輸入を阻止するための監督管理制度を完全なものとする: (1)「環境に危害が大きく、人々の意見が強烈な固体廃棄物」については、2017年7月末前に「固体廃棄物輸入管理目録」を調整する。2017年の年末前に生活由来の廃プラスチック、無選別古紙および廃紡績原料、バナジウムスラグ<注1>などの品種を輸入禁止にする。 (“環境保護部”、“商務部”、“国家発展改革委員会”、“海関総署(税関総署)”、“国家質量監督検験検疫総局(国家品質監督検査検疫総局)”(以下「国家質検総局」)は責任を持って実施する)

<注1>バナジウムは原子番号23の元素で、元素記号はV。製鋼添加剤としての用途が主体だが、アルミニウムやチタンとの合金などに用いられる。

(2)「輸入する固体廃棄物の種類と数量を徐々に秩序を持って減少する」については、輸入固体廃棄物管理目録を何回かに分けて調整し、輸入固体廃棄物の種類と数量を大幅に減少させる。(環境保護部、商務部、国家発展改革委員会、税関総署、国家質検総局は責任を持って2019年の年末前に完成させる)

世界のリサイクル産業に深刻な影響

上述の法案通知を受けて、環境保護部、商務部、国家発展改革委員会、税関総署、国家質検総局は、2017年8月16日付の連名で「輸入廃棄物管理目録(2017年)」の公告を発表した。同公告の要点は以下の通り。

生活由来の廃プラスチック(Plastic waste from living sources):8品種、未選別古紙(Unsorted waste paper):1品種、廃紡績原料(Waste textile materials):11品種、バナジウムスラグ(Vanadium slag):4品種などの4分類24種類の固体廃棄物を『原料となり得る固体廃棄物の輸入制限目録』から『固体廃棄物の輸入禁止目録』へ組み入れる。本公告は2017年12月31日から執行される。

一方、方案通知よりも10日も早い2017年7月18日、中国政府は世界貿易機関(WTO)に対して上述した4分類24種類の固体廃棄物を2017年の年末までに輸入禁止とする旨の通知を行った。この通知の中で、中国政府はこれら原料となり得る固体廃棄物には汚染物質や危険物質が大量に混入しており、それらが中国の環境に深刻な汚染をもたらしていると言明した。これに対して年間56億ドルもの再生資源を中国へ輸出している米国の米国再生資源協会(United States Recycling Resources Association)は直ちに声明を発表し、中国が2017年末までに実施を予定している固体廃棄物の輸入禁止措置は、世界のリサイクル産業に深刻な影響を与えるとして懸念を示し、強く反対する旨を表明した。

こうした経緯を経て輸入禁止となった4分類24種類の固体廃棄物は、外国で発生したゴミであり、中国では“洋垃圾(外国ゴミ)”と表現される。上記の公告は2017年12月31日から執行が開始されたので、文頭に述べたように同日から中国は外国ゴミの輸入を禁止したのである。

廃プラスチック輸入量は735万トン

さて、そこで輸入禁止となった外国ゴミに含まれている廃プラスチックに焦点を当てて中国の輸入実態を調べてみると、その結果は以下の通り。

【A】日本の古紙業界紙「古紙ジャーナル」は2017年9月4日付の第1244号で、中国の廃プラスチックの状況を次のように報じている。

(1)現状、中国の樹脂生産量は年間7700万トン。中国国内の廃プラ消費量は1878万トン。中国国内で回収される廃プラスチックは、その大部分がペットボトルだと言われる。

(2)中国の2016年における廃プラスチックの輸入量は735万トン。品種別の内訳は、PET:253万トン、PE:253万トン、他のプラスチック:174万トン、PVC:45万トン、PS:9万トン。PETとPEの合計だけで506万トンとなり、全体の約7割を占めている。廃プラスチックの国別輸入量ランキングは、1位・香港:178万トン(24%)、2位・日本:84万トン(12%)、3位・米国:69万トン(9%)、4位・タイ:43万トン(6%)、5位・ドイツ:39万トン(5%)となっていて、上位4カ国で全体の5割以上を占めている。

(3)中国国内で産出される(以下「国産」)廃プラスチックの消費量が1878万トンであるのに対して、輸入量は735万トンで、国産と輸入を合わせた廃プラスチックの消費量は2613万トンになる。従い、国産と輸入の消費比率はおよそ7:3である。また、全体の樹脂生産量(7700万トン)からみた輸入廃プラスチックの消費割合はわずか9.5%に過ぎない。

【B】2017年7月17日付の「古紙ジャーナル」第1238号には、2016年における日本の廃プラスチック国別輸出量のグラフが掲載されている。これを見ると、2016年における日本の廃プラスチック輸出総量は152.7万トンで、国別では、中国:80.3万トン(52.6%)、香港:49.3万トン(32.3%)となっており、中国と香港の合計は129.6万トンで、輸出総量の84.9%を占めている。上述の【A】(2)にあるように、中国の廃プラスチック国別輸入量ランキングの1位は香港の178万トンとなっているが、この中には日本から香港へ輸出された廃プラスチック49.3万トンの全量が含まれていると推定できる。この推定が正しければ、中国の廃プラスチック国別輸入量ランキングの実質第1位は日本の129.6万トンということになる。

【C】日本の財務省貿易統計では廃プラスチックは、HSコード:3915の「プラスチックのくず」<注2>に該当するが、同統計の「品別国別表」(各品目について、どの国と貿易しているかの統計表)で中国と香港への輸出量と金額を調べると、その結果は下表の通り。

<注2>HSコードとは、国際貿易商品の名称及び分類を世界的に統一する目的で作られたもので、貨物を輸出入する際の品目分類に用いられる輸出入統計品目番号。HSコードは9桁あるいは10桁の数字であり、最初の6桁は世界共通の番号となっている。

【D】上表を見ると、中国向け輸出量は2003年(32.5万トン)に比べ2004年(16.3万トン)と2005年(5.2万トン)が大幅に減少している。これは2004年の春に日本から輸入した廃プラスチックに異なる廃棄物が混入していたため、国家質検総局が同年5月7日から日本からの廃プラスチック輸入を禁止したことに起因する。当該輸入禁止措置は2005年9月20日に解除されるまで16カ月間続いた。これに対して同時期の香港向け輸出量は2003年(30.1万トン)から2004年(58.7万トン)、2005年(89.9万トン)と急増し、2008年(77.9万トン)までは中国向け輸出量を上回る状態が続いた。これは中国の輸入禁止に対応して、日本から輸出される廃プラスチックが香港を経由して中国へ流入したことを意味している。

【E】2009年以降は中国向け輸出量が香港向けを上回り、最盛期の2012年と2013年には中国向け輸出量が105万トンを超えて、香港向けの2倍となった。但し、中国向けと香港向けの輸出量を合計すると、2012年:151.9万トン、2013年:145.4万トン、2014年:146.1万トンとほぼ同水準で推移している。これは、中国と香港が廃プラスチックの輸出市場として一体化していることを示していると言える。中国向けと香港向けの輸出量の合計は、2015年:137.7万トン、2016年:129.6万トンであったものが、2017年の11月までの累計は99.1万トンと激減し、恐らく2018年にはさらに半減するものと予想される。

日本のみならず…

廃プラスチックの輸入禁止に伴い、中国は国内における廃プラスチックの回収率を向上させると同時に再資源化を強化する対応を急ぐものと思われるが、上述したように中国向け廃プラスチックの実質的な最大輸出国である日本ならびに日本の輸出業者が被る痛手は極めて大きいと言える。年間130万~140万トンの廃プラスチックの市場を失い、600億円以上の取引を失うことになるのである。これだけの量の廃プラスチックを中国に代わって受け入れ可能な市場はおいそれと見つからない。日本は代替市場を探す、国内工場で廃プラスチックをペレット化して中国へ輸出する、発電焼却を主体とするサーマルリサイクル化による処理で対応することになるが、年間130万~140万トンの廃プラスチックは巨大である。

中国の廃プラスチック輸入禁止によって困惑しているのは日本だけではない。上海のニュースサイト「澎湃新聞(The Paper.cn)」は1月3日付で「中国の外国ゴミ輸入禁止に英国は打つ手なし。焼却もできず、処理能力もなし」と題する記事を報じた。その要点は以下の通り。

(1)英国の廃棄物処理コンサルティング企業である360 Environmentalの職員によれば、2017年に英国は中国へ26.4万トンの廃プラスチックを輸出した。これは英国の廃プラスチック輸出総量の1/3を上回っている。また、国際環境NGO「グリーンピース」によれば、英国は環境目標を満足させるための低コストによるゴミの回収処理を中国に依存しており、2012年以来、中国と⾹港へ累計270万トンの廃プラスチックを輸出して来ている。英国は四半期毎に7~8万トンの廃プラスチックを中国と香港へ輸出しているが、これが中国の輸入禁止で輸出できなくなると、他の市場はこれだけの廃プラスチックを受け入れることはできず、英国内の貯蔵能力はすぐに限界が来る。70カ所の英国地方都市政府を顧客とする廃棄物処理会社Suezの広報担当者は、「数十年来、英国の市場は廃棄物の再処理業務をアジアに振り向けて来た、しかし、現在我々はその道を封鎖されることになる」と述べた。

(2)英国の廃プラスチックにとって他に重要な輸出先はベトナムとインドであり、2016年にベトナムは英国から3.2万トンの廃プラスチックを輸入しており、インドも相当量を輸入している。但し、これらの市場もすぐに飽和状態になり、長期的に見れば、これらの国々も低品質の廃棄物の引き受けを拒否するようになるだろう。一方、英国国内では廃プラスチックの焼却は環境団体から激しい抗議を受ける。また、焼却が廃プラスチックの処理に一定の役割を果たすとしても、英国の全地域にゴミ焼却炉があるわけではなく、地域は限定される。現在、英国政府には廃プラスチックの処理に対する長期的な展望もなければ、中国の輸入禁止がもたらす短期的危機に対する解決策もないのが実情である。

英国のみならず上述した中国の廃プラスチック輸入量ランキング上位の米国、タイ、ドイツなどの諸国も同様の問題に直面しているものと思われる。

大きな一歩、遅すぎた一歩

2017年12月31日から執行された中国の外国ゴミ輸入禁止は、実質的には2018年の年明けから実施されたと言ってよいだろう。上述した廃プラスチックを含む4分類24種類の固体廃棄物の輸入を禁じたことにより、中国は従来輸入に頼っていた不足分を国内ゴミからの回収率の引き上げと再資源化効率の向上で解決しようとしている。このためには国内ゴミの分別回収を制度化し、国民のゴミ分別に対する意識を高めることが不可欠だが、ゴミのポイ捨てが未だに常習的に行われている現状では、一朝一夕にゴミ分別の徹底を図ることは困難だろう。

各地方政府は中央政府から指示された行動日程に基づき、各地域住民にゴミ分別の徹底を促しているが、ゴミを分別して回収することがいかに自分たちの利益につながるかを全国民に理解させ、納得させなければ、尻すぼみの結果となる可能性は高い。中国政府が外国ゴミによる環境汚染の防止に一歩を踏み出したことは大きな前進と言えるが、その一歩が遅すぎた感を否めないのも事実である。

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『大統領として振る舞い出したトランプ氏の虚と実 一般教書演説でロシア疑惑、パリ協定、TPP復帰には一切触れず』(2/2日経ビジネスオンライン 高濱賛)について

2/2ZAKZAK<トランプ大統領が金正恩政権殲滅の姿勢 駐韓米大使「白紙」で韓国切り捨て、五輪後の“軍事発動”不可避>

http://www.zakzak.co.jp/soc/news/180202/soc1802020009-n1.html?ownedref=not%20set_not%20set_newsList

2/2ZAKZAK<米英国防相会談 北朝鮮への圧力強化を確認>

http://www.zakzak.co.jp/soc/news/180202/soc1802020022-n1.html?ownedref=not%20set_not%20set_newsList

2/3日経<米国務次官、省内ナンバー3の6ポスト中5つ空席 シャノン氏が辞任へ 外交、機能不全も

【ワシントン=永沢毅】米外交の中核を担う国務省で幹部ポストの空席が一段と目立ってきた。1日にシャノン国務次官(政治担当)の辞任が明らかとなり、省内でナンバー3の国務次官は6ポストのうち5つが空席という事態に陥った。2018会計年度(17年10月~18年9月)の予算の3割削減の方針も相まって省内の士気も低下気味だ。トランプ政権による外交の機能不全への懸念がさらに強まっている。>(以上)

2/2日経<米国務次官が辞任へ トランプ外交に支障も>「国務省ではトランプ政権下で予算の3割カットや人員削減方針が響き、士気低下が著しい。生え抜きの幹部職員がこの1年でほぼ半減し、外交政策の立案や実行への影響が指摘されている。」

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO26457720S8A200C1000000/

トランプは国務省を左翼リベラルの巣窟と見て、信用していないのでは。ですからテイラーソン国務長官ともそりが合わず、下手に仕事をされると、トランプのやりたいことができなくなるので、職員が辞任しても放置しているのでしょう。左翼リベラルと戦うためには必要な手続きです。

その代り国防総省主導で外交も動かしていくのでしょう。マテイス長官が鍵となります。平昌パラが3/18に終わりますので、それを視野に入れて作戦準備に入っているのでは。ZAKZAK記事にありますように、米軍の攻撃は当然に韓国に通知なしで行われるでしょう。英国も参加するとなると準備期間が必要となります。役割分担をどう決めるかです。米軍が北を攻撃した時に中露がどう動くかもあります。英国に睨みを利かしておいて貰いたいとの思いでは。

攻撃の時期は中間選挙が11月にありますから、その近くの9月辺りになるのかもしれません。それまでに、第一次朝鮮戦争に参加国に対して1/16バンクーバー外相会議を開いたようなことを何度かして、開戦後の支持取り付けを図るのでは。

TPPの米国復帰は難しいと思われます。トランプの支持基盤に対するリップサービスだけなのでは。11カ国が新たな米国の要求を受け入れるとは到底思えません。「入るのであれば11カ国で決めたルールに従え」となるでしょう。それではトランプの面子が立ちません。アリバイ作りで交渉はするかもしれませんが、本気にはならないでしょう。

高濱氏記事でトランプの嘘が2140件にも上ったとありますが、ロシアゲートを民主党がでっち上げたことは報道しません。どちらが悪質かです。

2/2ロイター<ロシア疑惑捜査の機密文書、トランプ大統領が公開承認へ>

https://jp.reuters.com/article/russia-memo-wh-idJPKBN1FL63Q

記事

議員席に向かって拍手をうながすトランプ米大統領(写真:The New York Times/アフロ)

—ドナルド・トランプ米大統領が1月30日、一般教書演説を行ないました。米国民はどう受け止めていますか。

高濱:「分裂国家」という今の国情を反映して、与野党の間、また保守とリベラルの間で評価は真っ二つに割れています。

リベラル派が「トランプが空想的な虚構国家の国情を報告した」(米ニューヨーク・タイムスのフランク・ブルーニ記者)と評す一方で、保守派は「トランプが共和党員に喧嘩で勝つ方法を教えた演説」(米ニューヨーク・ポストのマイケル・グッドウィン記者)と論評し、対照的でした。 (”The Fictitious State of Trump’s Fantastical Union,” Frank Bruni, New York Times, 1/30/2018) (”Trump Is Teaching Republicans How to Fight and Win,” Michael Goodwin, New York Post, 1/30/2018)

ただ客観的に見ますと、「これがあの毒舌家のトランプ大統領か」と思わせるほどの内容と振る舞いでした。声は落ち着き払っており、滑らか。大げさな身振り手振りもなし。ドギツイ表現は一切封印。歴代大統領を踏襲した大統領然たる年頭の一般教書演説でした。

ただし、型破りな面をみせる場面もありました。トランプ政権の目玉政策を読み終え、与党席の議員たちが立ち上がって拍手喝采する場面では、自らに拍手。時には与党席に拍手を強要するかのような素振りもみせました。自分が演説をしている最中に、自らに拍手をする大統領なんて見たことがありません。しかも何度もです。

無論、野党席の民主党議員たちは憮然とした表情。座ったままで、拍手などしませんでした。下院本会議場は最初から最後まで分裂したままの90分でした。 (”Best behavior: How Trump alters his tone to suit the occasion,” Marc Fisher, Washington Post, 1/30/2018)

数字を並べたて、さながら株主総会におけるCEOの年次報告

—秋の中間選挙を見据えて、大統領としての実績を盛んにアピールしていましたね。

高濱:次から次へと数字を挙げて、経済や雇用での実績を自画自賛しました。90分の演説の前半部分は大統領の演説というよりも、企業の最高経営責任者(CEO)が株主総会で行なう年次報告のような印象を受けました(笑)。

実は、演説の2日前の28日、トランプ政権の高官が演説内容や狙いについて事前に記者団に説明しました。その高官は「トランプ大統領は、この演説で『安全で、強くて、誇りを持てる米国を作る』ために全力を上げる決意を表明する」と言っていました。

トランプ氏は、このスタンスから脱線することなく、スティーブ・ミラー氏を中心とするスピーチライター・チームが作成した演説文を一字一句、その通りに読みました。ジェームズ・ケリー首席補佐官ら政府高官による振り付けが功を奏した格好です。

トランプ氏は、経済政策はかなり長い時間をかけて説明しましたが、移民法改革案をめぐって与野党が対立し、政府機関が一時的に機能マヒに陥った不手際には一切頬被りをしました。移民法改革にはかなりの時間を割きましたが、立法化できるかどうか、議会に下駄を預けた格好です。

「五輪休戦」でも金正恩氏に睨みかかせる

外交・安全保障では「力による平和」を目指す基本方針を訴え、核・ミサイル開発を続ける北朝鮮やイランに対して軍事面・経済面の締め付けを強める姿勢を強調しました。

平昌冬季五輪を使った金正恩委員長による「五輪休戦」を歯牙にもかけぬ、いつもと変わらぬ強硬な姿勢を前面に出しました。北朝鮮で拘束され、解放されたものの帰国直後に死亡した米人学生の両親や、脱北した北朝鮮人男性を傍聴席に招いて、北朝鮮がいかに非人道的な国家であるかを強調しました。

「公正な貿易の実現」を強調するくだりでは、中国を念頭において知的所有権侵害に触れました。

ただし、米国民が強い関心を抱いているロシア疑惑や、地球温暖化対策の国際的取り決めである「パリ協定」、日本が注目する環太平洋経済連携協定(TPP)復帰については一切触れませんでした。

TPP復帰発言はTPP11から取り残される危機感の吐露か

—トランプ氏はTPPについて、復帰の可能性を検討するような発言をダボス会議でしていましたね。同氏は就任早々、第一番にTPPからの離脱を宣言しました。それが今になってなぜ。トランプ氏の真意は奈辺にあるのですか。

高濱:トランプ氏は現時点では詳細な復帰条件を示していません。政権内にも、離脱撤回について協議を始めるといった話はなさそうです。実はワシントンの専門家たちの間でも、この点に関心が集まっています。一般教書演説でどう触れるのかが注目されていました。ところが何も出てこなかった。

米ブルッキングス研究所のミレヤ・ソリス上級研究員はこう見ています。「日本など11か国が新協定『TPP11』で合意に達したことが影響を与えていることは間違いない。トランプ政権は米国抜きの新協定などできっこないとみていたからだ」

「トランプ大統領が『合理的な内容であれば、TPP各国と交渉を検討する』と語る狙いは二つある。一つはTPPに反対してきた選挙民や業界に対して、今もTPPに反対しているのだという証しを示すこと。もう一つは、TPP参加国に対して米国が復帰する可能性が今もあるのだと思わせ続けることだ」

またカーネギー国際平和財団のジェームズ・ショフ上級研究員はこう分析しています。「おそらく誰かがトランプ大統領に『このままTPP11が締結されれば、米国は取り残される危険がある』と助言したのだろう。トランプ大統領としては新協定締結を遅らせようとしているのだろうが、そうした試みは失敗するだろう。TPP問題ではクレディビリティーを完全に失っているからだ」 (”Did a fear of ‘losing out’ push Trump to alter his stance on the TPP trade deal?” Ko Hirano, Kyodo, Japan Times, 1/29/2018)

トランプ大統領がついたウソは2140件

—安倍晋三首相も「米国がTPPに入る可能性について言及したことは歓迎したい。具体的な課題について、米側からまだ一言も発信がない。話は聞いてみたい」と国会で答弁しています。上記の専門家たちの話だと、やはり国内的なジェスチャーでTPP復帰など考えていないということなのですか。

高濱:民主党政権で外交交渉に携わった政府高官の一人は筆者に以下のストレートな反応を示しました。

「正直言って、トランプ氏が発する口から出る出まかせのツイッターや演説は一切読んでいないよ。時間の無駄だしね。トランプ政権の政策については、トランプ氏以外の政府高官の発言しか本気にしない。トランプ氏の言うことはウソか、感情的にカッカして発信するツイッターばかり。中には、トランプ氏が問題の本質を全く理解できていないことからくる意味不明のコメントもある。パリ協定復帰とか、TPP復帰とか、そのたぐいのもんだろう」

ちなみに米ワシントン・ポストは、政権発足から1年の間にトランプ氏がついたウソや誤解を招く主張は、なんと2140件に上ったと報じています。その際たるものが減税の規模。「米国史上最大の減税」と57回も主張していますが、財務省統計によると史上8番目の規模だと言います。 (”President Trump has made more than 2,000 false or misleading claims over 355 days,” Glen Kessler and Meg Kelly, Washington Post, 1/10/2018)

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『中国「北極シルクロード」の野望を読み解く 「極地国家」が資源と海路の先に見据えるのは北海道?』(1/31日経ビジネスオンライン 福島香織)について

1/28台湾の声<【「掃黒除悪」闘争】文化大革命の再来か>林健良氏は薄熙来>習近平のように捉えていますが、薄は落馬したのでそうとは言えないでしょう。でも、いずれにせよ日本人、台湾人から見て両方とも英雄からは程遠いのでは。大衆が怒り、天安門の時のように政権打倒の夢は起きないのでしょう。中国人を中途半端に豊かにし過ぎたのです。でも格差は広がるばかりです。本ブログでも何度もお伝えして来たとおりです。まあ、昔と違い、中国人を習語録で大衆動員して虐殺するようなことがあれば、今は世界がリアルタイムで気付くでしょうけど。

http://ritouki-aichi.com/vot/%E3%80%90%E3%80%8C%E6%8E%83%E9%BB%92%E9%99%A4%E6%82%AA%E3%80%8D%E9%97%98%E4%BA%89%E3%80%91%E6%96%87%E5%8C%96%E5%A4%A7%E9%9D%A9%E5%91%BD%E3%81%AE%E5%86%8D%E6%9D%A5%E3%81%8B/20180128

1/31ゲンダイ<日米外交史の専門家が心底危惧する、日本の「尖閣無策」 「もちろん、決めるのはあなた達だが」 ロバート・D・エルドリッヂ>日本人の政治家がダメなのは国民の責任です。国民にその自覚がないから衆愚と言われるのです。自分に選んだ責任はないとか、左翼政治家は選んでないとか。しかし、偏向メデイアの言いなりになっているだけではないですか。それが生き易いといえば生きやすいからです。抗えば損になること分かっているからです。確固たる信念を持ち合わせての話ではないです。自分が追い込まれた場面で、自分の頭で考えない限り、分からないのでは。大衆の数の力or権力で、真実を追い求める人間をなきものにしようとするのが今の日本です。私がいた企業然り、拉致被害者や沖縄を放置する社会然り、三島が47年前に絶望を感じたのも郁子なるかなです。

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/54252

1/30記録中国<廣東梅州某村土地被強徵,人打死三個月沒人責任?因為惡勢力是症腐的打手,共慘黨天下無法無天。=広東省梅州のある村の土地は強制的に奪われ、人が殴り殺されて3 ヶ月経っても誰も責任を追及されない。悪の勢力が腐敗の手先となっているので、共惨党の天下は法もなければ神もいない“That’s China”なのです。如何に共産主義が恐ろしいか、日本人はもっと真剣に考えた方が良いでしょう。敵の策略に乗って思考停止に陥るのでなく。

https://www.facebook.com/jiluzg/videos/571187196565930/

2/1ダイヤモンドオンライン<中国人観光客「成田空港騒乱」でわかった中国世論の“常識度” 莫邦富>まあ、中国人ですから遅れりゃ騒ぐのは当り前ですが。小生が中国駐在の時はしょっ中カウンターへ行って抗議している人間を見ました。遅れが1時間たって飲料水と弁当を出さなければ、中国人は怒るというのは分かりますが、①LCC②外国でそれをやるのは常識がないと言われても仕方がありません。まあ、中国人で日本人の常識に適う人は珍しいと思いますが。こんな人たちがPax-Sinicaを目指すって?止めてほしいだけです。

http://diamond.jp/articles/-/157917?utm_source=daily&utm_medium=email&utm_campaign=doleditor

2/1宮崎正弘氏メルマガ<中国の「理財商品」の焦げ付きが次々と表面化   残高900兆円、四割が潜在的不良債権だとすると。。。。。。{?}>早くトランプが中国に貿易できなくすることを願っています。貿易の富を軍拡に使っている訳ですから。李克強が日本に対し猫なで声になっているのは米国に対して危機感を持っているからです。安倍首相は「モリカケ危機」より「一帯一路危機」を真剣に考えた方が良い。敵に手を貸すなと言いたい。

http://melma.com/backnumber_45206_6640497/

福島氏の記事で思うことは、米国はやはり真剣に中国を敵と思っていないのではという事。トランプの一般教書演説で中露を槍玉に上げるのは何も考えていない証拠。敵の中国は日米韓の分断を図ろうと施策を巡らしてきているのに。少なくとも中露の分断を図り、ロシアの中立化を画策したらどうという気がします。況してや北極海航路はロシアのお膝元なのに、分断するには最適でしょう。誰もトランプに言わないのですかね?

記事

中国の北極科学調査隊は「長期観測基地」を建設、着々と地歩を固めている(写真:新華社/アフロ、2010年8月19日撮影)

中国国務院新聞弁公室・外交部が1月26日に発表した中国初の「北極政策白書」はなかなか興味深い。中国の海洋覇権の野望が北極海航路にまで及んでいることを隠さなくなったということでもある。昨年の党大会で党規約に盛り込まれた一帯一路戦略の中には、すでに「北極シルクロード」の創設構想も含まれているのだが、この白書発表によって、具体的なプロジェクトがいよいよ始動すると見られている。北極シルクロード構想とはどんなものなのか、北極海沿岸国家でもない中国が極地国家を名乗りはじめ、北極海に食指を動かしている本当の狙いは何なのか、整理してみよう。

「極地国家」中国の重要責任

白書では、経済グローバル化に伴う一体化構想の一環として、北極が経済上、科学研究上、環境保護上、そして航路と資源開発の方面で、その価値が急激に高まっていると指摘。中国も陸地の一部が北極圏に接近している極地国家の一つであり、さらには国連安全保障理事国であり、グローバル貿易国家であり、エネルギー消費大国である中国は、この北極の価値を守る重要責任がある、としている。

いわく、北極の自然環境変化が中国の気候および生態環境に重大な影響をもたらしているのだから、中国が北極問題にもっと関与していくことが当然だ。また国連海洋法などに基づけば、中国は北極海に接する北極国家でないけれども、北極海の公海の航行、飛行、資源開発などの権利がある、と。北極の価値に目を付けた中国が本格的に北極国家事務に干渉していこうと公式に打ち出した、ということだ。

建前上、科学研究および環境保護への貢献を筆頭に挙げているが、その本当の狙いは、軍事と資源だと見られている。国務院新聞弁公室の記者会見では、米国人記者から、中国の北極政策の本当の狙いは、軍事戦略的なものではないか、という質問も出た。もちろん、当局側は全面否定だ。しかし、一帯一路戦略自体が、そもそも軍事戦略的な意味合いが強いことを考えれば、「北極シルクロード戦略」と名付けた時点で、中国にとっては軍事上の意味合いを持っていると受け取られても致し方ないだろう。北極海はそもそもシルクロードと無縁なのに、なぜシルクロードとこじつけているか、不思議ではないか。

「シルクロード戦略」とは、単なる国際経済協力の枠組みではなく、中国を中心とした、中国の秩序・ルールによる経済圏構想であり、地政学的軍事戦略的な狙いも含まれている。そこに参与する国は、だから、かつての中国の冊封体制のようなイメージで、中国を中心とした「新型国際関係」で結ばれることを意味している。北極海沿海国もそうした枠組みにいれていこう、ということだろう。

「南シナ海の今日は、北極海の明日の姿」

台湾の国家政策基金会副研究員の李正修は、ラジオ・フリーアジアに対してこう指摘していた。

「北極は、気候条件が厳しいので開発は緩慢だが、豊富なエネルギー、資源が存在する。中国の領土は北極となんら関係ないのに、突然北極政策白書を発表した。2016年、中国とロシアは北極問題研究センターを共同で設立し、すでに第一次共同調査を終えている。その後ロシアと中国は北極地域の液化天然ガス共同開発プロジェクトを発表し、2019年までに正式に生産する予定だ。もし、このプロジェクトが実現すれば、中東情勢によってエネルギー備蓄が影響を受けにくくなる」

「中国の軍事力にとっては、目下北極地域において、軍事基地もなく軍事行動を遂行できる能力もない。だから中国は今のところ、国際社会のルールに従い、北極の非軍事化利用の要求を遵守する姿勢をみせている。だが、中国の対外行動のこれまでのやり方をみれば、これはいわゆる”韜光養晦”であり、実力と条件が成熟すれば、おそらくは北極に軍事基地を建設しようとするのではないか」

中国の脅威を正しく分析する学者たちが、こうした懸念を持つのは当然で、中国はすでに国際社会の共通ルールであった宇宙の非軍事利用の原則を無視して宇宙衛星破壊実験を行い、国際協力ではなく独自で月面開発や宇宙基地建設プロジェクトを進めているのも、軍事利用目的であることをほとんど隠していない。ドイツ華字ニュースサイト、ドイチェ・ベレは「南シナ海の今日は、北極海の明日の姿だ」と警告する。中国は南シナ海を中国の内海化すべく、ベトナムやフィリピンとの係争地の島々の実行支配を武力によって奪い、ハーグの国際法廷の判決を無視して、奪った島々の軍事拠点化を進めている。

北極海の軍事的重要性は、今更説明の必要はないだろう。かつて米ソ冷戦時代、ここは東西の戦略ミサイルが密集、対峙する地域であった。なぜなら、北極海を越えれば米ソが最短距離でお互いに核をぶち込めるのだから。

米国を中心とするNATOはアラスカとグリーンランドに軍事基地を置き、カナダとともに北米防空司令部を組織していた。一方、旧ソ連はムルマンスクに世界最大規模の空海軍基地を建設していた。今、ロシアは米国にとって、かつての旧ソ連ほどの脅威ではないかもしれないが、中国は、確実に近い将来、米国との対立を先鋭化させる。米中新冷戦時代に突入する。とすれば、中国がロシアと組み、北極海を挟んで再び東西の戦略ミサイルが対峙する状況が起きないとも限らない。

「第二の中東」に

記者会見では外交部副部長の孔鉉祐がロシアとの協力関係をことさら強調していたが、そのことが、米国の警戒感をさらに呼んでいる。米国外交関係協会(CFR)が以前「北極を軽視するなかれ:米国の第四海岸戦略を強化せよ」というリポートを発表していたのだが、その中でも「北極海航路の開通が米国の国家安全において突出した重要性を持つ、すなわち、北極において中ロが共闘して米国の国家安全利益に挑戦する可能性である」と強く警告されている。

ちなみに北極海の資源も中国にとっての大きな狙いだろう。石油埋蔵量は900億ガロン、液体天然ガス埋蔵量は440億ガロン、世界の4分の1の石炭埋蔵量がある。ヤマル半島における中ロの液体天然ガス共同開発プロジェクトは中国に毎年400万トンの液体天然ガスを供給する予定だ。地球温暖化は、氷壁に阻まれていた資源を採掘・輸送可能にしたが、そのことは、北極を第二の中東にする可能性ももたらした。

中国のもう一つの狙いは、北極海路の利用だ。中国政府は中国企業に北極海航路のインフラ施設建設および商業テスト航海への参入を奨励している。中国遠洋海運集団(COSCO)の貨物船は2017年秋、ノルウェーから北極海航路を通り北海道苫小牧港に初寄港した。

まずは「科学調査」で

北極海は2005年以降、気候変動による氷の減少により、北極海沿岸を通過する新たな航路「北東航路」通称「北極海航路」が開通した。それまでロシア(旧ソ連)が原子力砕氷船で軍事上の目的のために切り開いてきたこの航路は、にわかにアジアとヨーロッパを結ぶ商業航路としての期待を集めるようになった。日本の商船三井も2018年から世界で初めての定期航路運行を開始するという。

北極海航路の魅力は、まずマラッカ海峡を通りスエズ運河を通る南回り航路と比べると、航行距離にして7割前後短縮され、燃料費が大幅に削減される点。砕氷船のエスコートが必要なため、速度はかなり落ちるが輸送日数も、例えば北海道発・オランダ行きの輸送船ならば南回り航路より約10日の短縮となる。さらに、海賊がうようよいるソマリア沖やマラッカ海峡、テロの危険があり中東情勢いかんによっては封鎖されかねないホルムズ海峡を通らなくて済むという意味で政治リスクも低い。

北極海は公海なので、公海自由の原則が適用されるが、氷に覆われた地域は沿岸国が特定のルールを設定してもよいことになっている。このための、北極海航路の運航ルールは今のところ、最大の沿岸国であるロシアが主導しており、事前の届け出と原子力砕氷船のエスコートを義務づけている。

中国は民国時代の1925年、スヴァールバル条約(ノルウェーのスヴァールバル諸島の地位に関する条約、加盟国は等しく経済活動を行う権利を有する)に加盟したが、本格的に北極に関与しはじめたのは1990年代。ウクライナから購入した砕氷船を改造した中国初の砕氷船「雪龍」によって1999年に初の北極海調査航海を行った。

2004年、スヴァールバル諸島に「中国北極黄河ステーション」を建設、ここを拠点に科学調査を行うようになる。2012年には中国船として初めて北東航路(北極海航路)の通過に成功。さらに2019年には、初の中国産原子力砕氷船「雪龍2号」が完成する予定で、当面は、雪龍、雪龍2号で「科学調査」を中心に、北極海に乗り出していこうとしている。

白書では「一帯一路の枠組みのもと、北極地区の相互の協力連携を促進し、経済社会の持続可能な発展をもたらす協力機会にしたい」という。ロシア北極海沿岸の投資だけでなく、グリーンランド、スウェーデン、アイスランドへの投資攻勢も目覚ましい。2012年から2017年7月までの間に中国の北極海沿海国への投資は892億ドルを超える。この地域全体の経済規模が4500億ドル程度だから、これは相当の影響力だ。主な投資先は交通、エネルギーのインフラ建設プロジェクトだ。またアイスランドとは自由貿易交渉も進められている。

「北海道を32番目の省に」

こうした中国の北極海への野望は、実のところ、日本の安全保障にとっても他人ごとではない。

たとえば、北極海航路のハブの一つになると目されている北海道の土地が、近年中国人に集中的に買い占められているという問題もある。産経新聞などが集中的に報道していたが、それは単に、中国人金持ちが自己資産の海外移転のために購入しているだけでなく、中国政府・共産党としての戦略的目的もあると見られている。

特に北極海航路の拠点港として釧路に注目しており、影響力を強めるために中国当局、地方政府関係者らが積極的に調査、視察、交流に訪れている。中国の北極シルクロード構想には「北海道を中国の32番目の省にする」ことも含まれている、というのは冗談でもなんでもなくて、中国の本音かもしれないのである。

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『平昌で「米日VS南北」の戦いが始まる 軍事演習廃止を要求する北朝鮮、それを支える韓国』(1/30日経ビジネスオンライン 鈴置高史)について

1/30日経<憲法9条2項「維持」47% 自衛隊明記で「削除」は15% 報道各社、聞き方で差 本社世論調査

日本経済新聞社とテレ ピ東京による26〜28日の世論調査で、憲法への自衛隊明記について3つの選択肢で聞くと「(戦力不保持を定めた)9条2項を維持し、明記すべきだ」が47%で最多だった。

「9条2項を削除し、明記すべきだ」は15%、「そもそも憲法に明記する必要はない」は24%だった。報道各社の肖衛隊明記をめぐる世論調査結果に違いが出ている。

9条2項を維持し、自衛隊を明記する憲法改正案は、安倍晋三首相が昨年5月に提案したもの。 自民党内には戦力不保持を定める2項を削除し、自衛隊を戦力として明確に規定すべきだとの意見がある。立憲民主党や希望の党は首相案に反対している。

日経調査では、自民党支持層では「2項維持」が55%と過半に達し「2項削除」は24%、「明記 の必要ない」は11%だった。無党派層は「2項維持」が44%、「2項削除」が8%、「明記の必要な い」が27%。立憲民主党支持層は「明記の必要ない」が5割を超えた。

憲法改正の国会発議はいつが望ましいかも聞いた。「いまの通常国会」が20%、「今年秋召集の臨時国会」が14%で、あわせて34%が年内の発議に賛意を示した。これに対し「2019年中」が 14%、「20年以降」が13%、「そもそも発議する必.要はない」が19%で、あわせて46%が年内の発 議に否定的だった。

自衛隊明記に関する世論について、自民党憲法改正推進本部の保岡興治特別顧問は日経の取材に「『戦力不保持』を削ることに抵抗感が強い人が多いのだろう。2項を維持して自衛隊を明記する案が現実的な落とし所だ」と話した。

ただ、報道各社の調査をみると質問文や選択肢の微妙な違いで異なる結果が出ている。日経で「明記する必要ない」とした選択肢について、NHKは6〜8日の調査で「憲法9条を変える必要はない」とした。すると38% がこの選択肢を選び、2項維持と2項削除を抑えて最多だった。

「2項を削除し自衛隊を明記すべきだ」の選択肢についても差が出た。読売新聞のじ日の調査では「2項は削除し自衛隊の目的や性格を明確にする」としたところ、 これが34%で最多だった。毎日新聞は20〜21日の調査で「2項を削除して自衛隊を戦力と位置付ける」としたところ、12 %にとどまった。

埼玉大の松本正生教授 (政治意識論)は聞き方の違いに加え「憲法改正の質問の直前にどんな内容を聞いたか、という点も結果に影響する」と話す。例えば安倍政権の経済政策に関する質問を聞いた後に憲法について聞くと、経済政策に比べれぱ憲法改正の優先順位が低いと思われ、改憲に慎重な意見が増える可能生があるという。

調査結果の違いに関しては「まだ明確な主張を持っていない国民が多いのだろう」(公明党幹部)との見方もある。松本教授は「各社の結果の違いは、有権者のなかにまだ憲法改正のリアリティがないことを示している」と分析する。

>(以上)

1/31日経<安倍氏、改憲なぜ急ぐ 国会発議、まず年内めざす 不調なら来年の二段構え

憲法改正を巡り自民党内の動きが慌ただしくなってきた。3月の党大会までに党独自の改憲案を取りまとめる方針だ。改憲を急ぐ裏にはどんな戦略があるのか。安倍晋三首相が9月の党総裁選に勝てば任期は2021年まで。自らが打ち出した20年の新憲法施行の目標から逆算して18年にまず国会発議を目指し、不調なら19年にする二段構え戦略とみられる。

衆院予算委で答弁する安倍首相(30日)

首相は改憲論議を党に任せるとの姿勢を繰り返すものの、改憲日程を首相官邸がコントロールするのは公然の事実。その首相らがこれまで視野に入れていたのは19年夏の参院選に合わせて憲法改正の投票を実施する「ダブル投票」だった。改憲の是非だけが焦点となる国民投票単独での実施よりも、集票の相乗効果が見込める。野党への批判票も改憲賛成票として上積みできるとの計算があった。

ただし19年は天皇陛下の退位や改元、参院選、日本で開く20カ国・地域(G20)首脳会議など大きな行事が相次ぐ。日本で初めての国民投票が、こうした窮屈な日程の合間を縫って実施されるべきではないとの声が永田町で広がる。

「ダブル投票」の制度的な難しさを指摘する声も強まる。参院選の選挙活動を制約する公職選挙法よりも国民投票法での国民投票運動に関する規制の方が緩いためだ。

例えば、参院選公示後の選挙期間中は、公職選挙法では戸別訪問が認められず、ポスターなどの配布制限もある。国民投票法に基づく国民投票運動だと主張すれば、戸別訪問やポスター配布も制約されない。せっかくの国民投票が大混乱しかねない。

もっともこうした政治日程や国民投票の制度的な課題などはある程度は織り込み済みで、それでも利点の方が上回るとみて官邸が照準を合わせていたはず。日程の前倒しに動くのは別の理由がある。改憲への世論の想定以上の慎重論だ。

日本経済新聞社の1月の世論調査では首相が提案する「9条2項を維持し、自衛隊を明記する」との案への賛成は47%と最多。それでも5割に満たない。

NHKの同月の調査では「9条を変える必要はない」が38%に上った。公明党は「参院選までは選挙で勝つことを優先すべきだ」と訴え、政府高官は「このままでは参院選後へ先送りされかねない」と懸念する。

そもそも参院選とのダブル投票に照準をあわせてきたのは参院選後に先送りはできないとの判断があった。国会発議には与党や改憲勢力を合わせて衆参両院で3分の2の賛成が要る。参院選で自民党が議席を減らせば、3分の2を割り込む事態もあり得るからだ。

しかし「ダブル投票」に合わせてスケジュールを進めていくと慎重な世論や公明党の反発でずるずると先延ばしされ、改憲そのものができなくなる恐れがある。「ダブル投票」という節目は視野に入れつつも、もう少し前に照準を合わせる二段構え戦略が浮かび上がる。

具体的にはこうだ。まずプランAとして参院選前の19年初めまでに国民投票を実施するシナリオを描く。世論が盛り上がり、野党も改憲論議を避けられない状況になれば、そのまま国会で改憲を発議し国民投票を実施する。

改憲への理解が思うように深まらなければ、プランBとして参院選に合わせた国会発議や国民投票をうかがう。二段構えで備えるなら「今から議論を本格化させて損はない」というわけだ。

国民投票は国会での改憲発議から60日以後180日以内に実施する。19年初めまでに実施するには、遅くとも秋に臨時国会を開いて改憲を発議する必要がある。首相や改憲に積極的な議員らは、秋の臨時国会が改憲の山場になるとみて、今国会から雰囲気づくりを進める。自民党が3月の党大会までに党独自の改憲案をまとめようと動くのも、そのためだ。

17年10月の衆院選は、当初は18年後半が本命とみられていたのを首相が1年前倒しして圧勝した。国民投票は、衆院解散と違って首相の決断だけで時期を選べないのも確か。今国会で改憲論議をどこまで詰められるかが、首相が表明した20年までの新憲法施行の実現を左右する。(島田学)>(以上)

ジェイソン・モーガン著『日本国憲法は日本人の恥である』を読みますと、「アメリカはなぜソ連と同盟を結んだのか。その背景には、ともに伝統をぶち壊すことを目的とするという共通項があったからである。

そもそもソ連の誕生はロシアの伝統(特にロシア正教会とその習慣)をぶち壊す運動の結果だった。ロシア国内では、激しい反ロシア運動が起こり、最終的にレ—ニンが登場してボルシエビズムが登場した。

一方、アメリカの連邦政府はアメリカの伝統に対して非常に否定的だった。特に南北戦争の後、連邦政府の使命はアメリカ大陸に残るあらゆる伝統を壊滅させることだった(連邦政府の先住民族に対する扱いはその古典的な例である)。

このように伝統に対する考え方の面では、アメリカの連邦政府とソ連は瓜二つだったのである。そういう意味で、私は第二次世界大戦(ほんとうの名前は、「第二次反伝統世界大戦」だと言ってもいい)で、両国が同盟をつくったのは自然なことだったのだ。

伝統を壊すという意味では、宗教を潰すことも重要だった。それはアメリカのリベラルは、伝統と宗教が堅固に存在しているとなかなか落ち着けないからだ。

なぜ落ち着けないのか。それは、リベラルが描く人間像が虚像にすぎないからである。」(P144~145)

「またその一方で、宗教をぶち壊すことに必死になった。宗教的な存在(天国、神様、教会、天使など)は政府の力などを簡単に超越してしまうからである。

ちょっと脱線するが、今の中国には政府の許可のないチべット仏教の頂点に立つダライ・ラマ(法王)の“生まれ変わり”を禁止するという、笑ってしまう法律があるそうだ。しかし、アメリカの連邦政府も同じような目で宗教を見ている。国民を思うがままに操りたい政府にとって、宗教は最も嫌いな存在なのだ。

実はアメリ力が太平洋戦争で日本を徹底的に攻撃した大きな理由のーつにこの宗教問題があったとも言える。日本はすばらしい伝統と宗教の両方を兼ね備えていた。アメリカの連邦政府にとっては、それが許しがたかった。だから、アメリカは、日本との戦争で日本の伝統と宗教を完膚なきまで粉々に壊さなければ気がすまなかったのである。

しかしその目的は、武力だけで達成できるものではなかった。そこでアメリカは日本の軍隊を滅ほしてのち、すぐさま次の戦争を始めた。日本人洗脳作戦だ。

アメリカは、占領政策を推し進める中で歴史を捏造して太平洋戦争を日本による一方的な侵略だと書き換え、日教組などを通じて、「日本」という許しがたい存在を消し去ろうとした。それは、かつてアメリカの先住民族に対して行い、彼らの伝統、宗教、過去、そしてアイデンテイテ-まで奪った方法とまるで同じだった。

そして、すべてを失った日本(言い換えればすべてをアメリカの連邦政府に奪われた日本)は、「アメリカ連邦政府という偶像を拝めば、日本の安全を保障する」という条件で、 メイド•イン.アメリカの憲法を受け入れ、アメリカの傘下に入ったのである。

つまり、今の日本国憲法はまるで偶像を崇拝しているようなものだと言っても言い過ぎではないのだ。

アメリカの連邦政府は天国や神様を忘れてしまい、神様の代わりに自分の”理性”を拝むようになっている。それはまったくの偶像にすぎないのだが、それこそ「啓蒙思想」の最終的な姿である。

そして、神様を天国から追い出したアメリカ帝国は、他国に対して自らを崇拝の対象にすることを求め、偶像崇拝の「応募者」を必死に探し、応募者が見つからなければ、戦争を起こしてでもむりやりにでもそれを実現しようとする。そういう意味では、日本国憲法は、アメリカンイデオロギーという偶像を崇拝するためのインストラクシヨン•シート(指示書)であり、そこには個人を尊重するという考え方はまったく存在していない。」(P.146~147)米国が日本を戦争に嵌めたのはFDRの個人的な性格に依るものと思っていましたが、それだけではないようです。ローマがカルタゴに押し付けたのと同じように、武力放棄の意味で憲法9条を日本に押し付けたと思っていましたが、宗教や伝統を破壊するためもあったと言うのは新しい発見です。この本は米国の歴史学会の実態も余すところなく暴いていて、読んでいて面白いです。是非ご一読を。

1/31日経ビジネスオンライン<「自衛隊」ではなく「自衛権」を憲法に定める 改憲に関するアンケートを開始 森 永輔>

http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/071000146/012500019/

小生もアンケートに参加しました。実現可能性は考慮に入れず、「9条2項削除」「自衛権の行使を追加」に〇しました。

憲法改正に反対している人に聞きたいのは、北の脅威にどう対応したら良いのか教えてほしいです。金正恩は「話せば分かる」タイプではありません。日本に核投下されて全滅の道を選ぶのか、はたまた北の奴隷となって生きる道を選ぶのかのどちらかになるだけです。まあ、反対している人の大部分は深く考えず、左翼メデイアのプロパガンダに洗脳されているだけと思いますが、いい加減覚醒したらと思います。

鈴置氏の記事で2/9ペンス副大統領と安倍首相が文大統領と会って話すのなら、「これ以上北との宥和政策を採るなら、韓国がどうなろうと知ったことはない」と日米で韓国に最後通牒を突き付けてほしい。平昌パラが終わり次第、米軍は北を単独で攻撃してほしいと願っています。自衛隊は拉致被害者の救出に向かいますが、敵の陸軍の動向も見なければなりませんから慎重にやらないと。在韓邦人救出は他の諸外国と協力してとなるでしょう。

記事

平昌五輪で韓国と北朝鮮は女子アイスホッケーの合同チームを編成。「平和ムード」を演出するが…(写真提供:大韓体育会/Lee Jae-Won/アフロ)

前回から読む)

平昌(ピョンチャン)冬季五輪を期に、韓国と北朝鮮が共闘体制に入った。敵は米国だ。

演習は永遠にやめよ

—平昌五輪を前に平和ムードが盛り上がっています。

鈴置:表面的には「平和ムード」ですが、実態は韓国と北朝鮮による「米国追い出し作戦」です。米韓合同軍事演習の再延期、あるいは完全な廃止に向け、南北は手を携えて動いています。

まず北朝鮮が「演習を永遠にやめよ」と言い出しました。朝鮮中央通信の「朝鮮政府・政党・団体連合会議」(1月24日付、日本語版)という見出しの記事から引用します。

最高指導者金正恩委員長が今年の新年の辞で提示した祖国統一課題の貫徹のための朝鮮政府・政党・団体連合会議が24日、平壌で行われた。

(報告者と各討論者は)南朝鮮当局が米国との戦争演習を永遠に中断し、南朝鮮に米国の核戦略資産と侵略武力を引き込む一切の行為を中止すべきだと強調した。

「戦争演習を永遠に中断せよ」――延期した米韓合同軍事演習を実施に移さず完全にとりやめよ、と北朝鮮は要求したのです。

合同演習は例年、3月上旬から約2カ月間実施されます。しかし、今年は1月1日の金正恩(キム・ジョンウン)委員長の平昌五輪への参加表明を受け、米韓が急きょ延期しました(「『五輪休戦』で金正恩の窮地を救う文在寅」参照)。

偽装平和攻勢に反撃した米国

—北朝鮮の要求に対し、米国はどう反応しましたか。

鈴置:直ちに反撃に出ました。朝鮮日報の「米『北に変化はない……軍事パレードは国際社会への挑戦』」(1月27日、韓国語版)が、米国の反撃ぶりをまとめています。

ネラー(Robert Neller)海兵隊総司令官は1月25日にワシントンのCSIS(戦略国際問題研究所)の講演会で「(朝鮮半島での演習は)相手に『我々は準備を終えた。我々と争わない方がいいぞ』と理解させるためのものだ」と述べた。合同演習を中断する考えはないということだ。

マティス(James Mattis)国防長官も1月25日、「1953年以降、軍事オプションは残っており、今も存在している」と述べた。北朝鮮との対峙の状況に変化はない、という意味だ。

米国防総省と韓国の合同参謀本部が1月25日、同時に五輪後に直ちに合同演習を再開すると発表したのも、五輪を利用した北朝鮮の偽装平和攻勢を事前に食い止める目的と見られる。

1月26日、ナッパー(Marc Knapper)駐韓米大使代理は「(北朝鮮による合同演習の永久中断の要求は)話にならない。とても受け入れることはできない」「演習は五輪終了後に必ず再開する」と述べた。

助太刀に出た韓国

—一斉射撃ですね。

鈴置:すると、韓国が北朝鮮の援護射撃に出たのです。1月26日、趙明均(チョ・ミョンギョン)統一部長官がソウル市内で講演し、合同演習が平和の邪魔物であるかのように語りました。

朝鮮日報の「統一部長官『韓米訓練再開で昨年に逆戻り』『北、2月8日に脅威与える軍事パレードを準備中』」(1月26日、韓国語版)から、その発言を拾います。

韓米合同軍事演習を再開すれば、北朝鮮は当然、猛烈な強度で反発するだろう。北朝鮮が挑発に出る可能性が高い。

すると再び北朝鮮に対する追加制裁を科すという悪循環に陥り、昨年と一昨年のような(緊張)状況に急速に戻る可能性が高いというのが現実的な見通しだ。

—合同演習を厄介者扱いしましたね。

鈴置:朝鮮日報の記事も触れていますが、米韓の軍当局はパラリンピック(3月9日―18日)終了後、直ちに合同演習を実施すると宣言しました。何と言われようと、やめるつもりはありません。

ブルームバーグの「U.S. Military Drills With South Korean Planned After Olympics」(1月25日)が以下のように報じています。

韓国国防部の崔賢洙(チェ・ヒョンス)報道官は1月25日、米韓合同軍事演習は平昌五輪・パラリンピックの後、3月末に“普通”(“normal” )に実施されると会見で明かした。

米国防総省もそれに声を合わせた。マッケンジー(Kenneth McKenzie)中将は記者らに「五輪期間中に一時中断したものであり、演習は五輪が終われば直ちに実施する」と語った。

「普通」(normal)に――とは、演習の規模や期間は縮小せずに、との意味でしょう。開始時期は3月25日ごろと見られています。

軍事パレードで危機感あおる

—「演習は少し後ろにずらしただけ」という姿勢ですね。

鈴置:そこで北朝鮮と韓国の「親北」政権は、揺さぶりに出ました。趙明均長官は1月26日の講演で、五輪開会式の前日に実施されると見られる北朝鮮の軍事パレードを材料に、危機感を煽ったのです。

北朝鮮が2月8日、大規模な軍事パレードを準備している。かなり大きな規模の兵力と、北朝鮮が持つほとんどの兵器をこのように(動員)することで、相当に脅威のある軍事パレードになる可能性が高い。

北朝鮮は今年、政権樹立70周年の建軍節(軍創建記念日)を迎える。金正恩委員長は後継者の立場を完全に固めるため、党や国家が主催する行事を大々的に展開している。

—緊張を激化する合同演習はやめろ、と言うのですか?

鈴置:そこまで露骨には言っていませんが「米朝は取引できる」と謎をかけたのです。趙明均長官の本心は「北朝鮮が軍事パレードを中止する代わりに、米国は合同演習をやめるか再延期すべきだ」ということと思われます。講演で以下のように語っています。

時間内に(合同演習が始まると見られる3月25日ごろまでに)北朝鮮と米国の間で対話が始まるよう、誘導するのが重要だ。

米朝対話が始まるなら、合同演習は再延期される可能性が高い。というか、再延期しないと北朝鮮は米国との対話は受けない。

一方、北朝鮮が平昌五輪の開始前日の2月8日に軍事パレードを実施した場合、面子を潰された米国は対話に応じないでしょう。

文在寅(ムン・ジェイン)政権は米朝対話の開始を名分に、軍事パレードの中止と合同演習の再延期を取引させたいのです。

ウソ臭い2月の建軍節

—そんなに上手くいくのですか。

鈴置:難しいと思います。韓国の主張は、要は北朝鮮への圧力を弱めろ、ということです。合同演習を含め軍事的な圧力は経済制裁と並び、北朝鮮に核・ミサイル開発を放棄させるための貴重な手段です。

北朝鮮は米国まで届くICBM(大陸間弾道弾)を実用化する直前の段階まで来ています。今、圧力を弱めれば、状況は米国や日本にとって一気に悪い方向に傾きます。

その方向に韓国が持って行こうと画策しているのですから、米国の目には当然「南北が組んで米国をだまし、時間稼ぎしている」と映ります。そもそも「2月8日の軍事パレード」というのがウソ臭い。

北朝鮮の建軍節は1978年以降、4月25日と定められており、この日に軍事パレードを実施したこともありました。それが、今年から建軍節は2月8日――五輪開始前日――だと1月22日に突然、言い出したのです(日経・電子版「北朝鮮、軍創設の記念日 2月8日を指定」参照)。

2月の平壌(ピョンヤン)は極寒で、屋外活動には不向きです。「合同演習と取引するためのカード」を急きょ作ったな、と思うのが普通です。

「闘争しろ」と北から指令

—米国が韓国を疑うのも無理はない。

鈴置:趙明均長官も1月26日の講演で、それをポロリと漏らしました。先ほど引用した朝鮮日報の記事によると、以下のように語ったのです。

現在、進行中の状況(南北対話)に関し米国は支持しているが、憂慮しているのも事実だ。米国が我が国の政府に対し様々の疑いを持っているとの指摘もある。そんな点にも神経を使っている。

—趙明均長官も、韓国が米国や日本から疑いの目で見られていることは分かっている……。

鈴置:でも、だからと言って北朝鮮との共闘をやめるわけにはいきません。文在寅政権の中枢部――青瓦台(大統領府)では北朝鮮と極めて近い、親北派の活動家が要職を占めています。

冒頭に引用した朝鮮中央通信の「朝鮮政府・政党・団体連合会議」という記事に以下のくだりがあります。

(報告者と各討論者は)北と南、海外の全同胞は北南関係の改善を妨げ、情勢を緊張させようとする内外の好戦勢力の北侵戦争策動に反対する闘争を繰り広げなければならないと述べた。

北朝鮮から「北侵戦争策動に反対する闘争を繰り広げろ」と指令が下りたのです。米韓合同軍事演習は何が何でも阻止せねばなりません、親北政権としては。

奥の手は南北首脳会談

—でも、米国は「もう演習は延期しない」と言っています。

鈴置:南北には首脳会談を開くという奥の手があります(日経・電子版「北朝鮮、次の『時間稼ぎ』は南北首脳会談」参照)。

平昌五輪で平和ムードを盛り上げたうえ、パラリンピック閉幕(3月18日)の後に韓国と北朝鮮が首脳会談を開く、と発表するのです。1月26日の講演で、趙明均長官はそれを示唆する発言もしています。

(五輪・パラリンピックが終わった後の)4月にも(南北関係が)続く動力を確保し、6月以降も引き続く状況をいかに醸成するかが我々に与えられた課題だ。

「南北関係が続く」最大の原動力は首脳会談です。南北の間で何らかの合意を成すには、これ以上の対話はありません。

世界の多くの国も南北首脳会談の開催を歓迎するでしょう。北朝鮮の核武装とさほど関係ない国は、偽装の平和であっても目前の軍事衝突が避けられればいいのです。

それに専門家でない限り、普通の人は文在寅政権が親北派に動かされていることを知りません。普通の人は、対立していた南北が話し合うのだからいいことに決まっている、と思います。

そんな中「米韓合同軍事演習を予定通りに実施する」と米国が言い続けられるでしょうか。米国の中からも北朝鮮の核問題に関し「南北首脳会談の進展を見守ろう」といった声が出るのは間違いありません。

子供だましの時間稼ぎ

—普通の米国人はともかく、事情を知る指導層までも「核問題の解決は南北に任せよう」と考えるでしょうか。

鈴置:韓国は米朝対話をエサに南北首脳会談を飲ませる作戦です。米国に「南北首脳会談は米朝対話を実現するためのものだ。文在寅大統領が金正恩委員長に会ったら、米国と話し合う機会を持つよう説得する。米国は北と直接話し合っては核を放棄させればよい」と持ちかけている模様です。

1月27日にハワイで開かれた米韓国防相会談の冒頭、宋永武(ソン・ヨンム)国防長官が「南北対話は究極的に北朝鮮を米国との(非核化)対話に導くためのものという文在寅大統領の発言に関し(マティス国防長官と)意見を交換する」と語っています。

中央日報の「マティス国防長官『南北間の五輪対話は核問題解決できない』」(1月29日、日本語版)などが報じました。

なお、この記事の見出しから分かるように席上、マティス国防長官は「五輪対話では核問題は解決できない」と改めて韓国にクギを刺しています。

—米朝対話が実現したとして、北朝鮮は核を放棄するのでしょうか。

鈴置:その可能性は極めて低い。どんなに早急に米朝会談を開くとしても数カ月先。そのころ、北は米国まで届くICBMを完成しています。

米国から少々脅されても「ワシントンが消滅してもいいのか」と脅し返せるようになるからです。そんな子供だましの時間稼ぎ作戦に米国が乗るとは思えません。

原潜寄港を拒否した韓国

—韓国は、北が核武装してもいいのですか?

鈴置:いいのです。北朝鮮の核は「民族の核」です。日本や米国に落とす核であって韓国には落ちて来ない――と多くの韓国人が考えています。北の核に必死で反対するのは保守の一部だけです(「『南北共同の核』に心踊らす韓国人」参照)。

「同盟よりも民族」を象徴するエピソードがあります。韓国メディアは「米攻撃型原潜が1月18日に釜山に寄港する予定だったが、南北関係への影響を懸念する韓国政府が断った」と報じました。

聯合ニュースの「米原潜、釜山港に入港しようとしたものの計画変更」(1月17日、韓国語版)などで読めます。

韓国は、北朝鮮に軍事的に脅されるたびに米国に対し「同盟国の義務」として爆撃機や原潜など「戦略資産」を派遣するよう求めてきました。

その韓国が、北朝鮮の顔色を見て原潜の寄港を断ったというのです。「寄港拒否」を社説で批判したのは朝鮮日報ぐらい。ほかの保守系紙はさほど反応しませんでした。

「原潜の寄港を認めて北を怒らせたらどうするのか」「民族の和解の舞台となる五輪に水を差すな」といった読者の反応が怖かったのでしょう。韓国人にとって、核を持つ同族との良好な関係が、米国との同盟よりも重要になってきたのです。

『米韓同盟破棄』を青瓦台高官が語り始めた」で、第2次朝鮮戦争は「米日VS北朝鮮」の戦いだ、と述べました。いざという時に、韓国が中立を宣言する可能性が高まったからです。

しかし、平昌五輪を契機に韓国が北朝鮮側に付いたので、それは「米日VS南北」に変化しました。朝鮮半島の対立の構図が根本から変わったのです。「米日韓VS北朝鮮」という図式など昔話です。

安倍に「SOS」の米国

—構造の急変に韓国人は気がついているのですか?

鈴置:一部のメディアが報じ始めました。中央日報の1月26日の解説記事の見出しが「平昌五輪、『韓VS米日』の対決の場に変質か」(日本語版)でした。

韓国語版の元記事(1月25日)の見出しは「『安倍、平昌に一緒に行ってくれ』とペンス米副大統領がSOS」ですが、サブ見出しが「平昌が平和の祭典? 『韓VS米日』の対決の場に変質か」でした。

筆者はソ・スンウク東京特派員。安倍晋三首相が五輪開会式に出席することにしたのは、訪韓するペンス(Mike Pence)副大統領とスクラムを組んで南北朝鮮の対話ムードを牽制するためだ、と分析した記事です。

なお、ソ・スンウク特派員はその1日前にも「平昌行きを『大決断』という安倍首相、彼が来る本当の理由は…」(1月24日、日本語版)を載せています。

この記事では「ペンス副大統領が率いる米国の訪問団が平昌を訪問する中、日本だけが疎外されることを懸念した可能性もある」と書いていました。「韓米がスクラムを組み、日本がのけ者になる」と見ていたのです。

五輪をハイジャックした金正恩

—なぜ、1日で見方が変わったのでしょうか。

鈴置:ペンス副大統領の訪韓の目的は五輪の開会式出席という儀礼的なものではなく、北朝鮮が五輪をハイジャックして宣伝戦の場にするのを阻止するためだ、と報じられたからでしょう。

ロイターの「Pence aims to counter North Korea ‘propaganda’ at Olympics: White House」(1月24日)によると、匿名の米政府高官が以下のように語りました。

金(正恩)が平昌五輪をハイジャックし、その発するメッセージを思い通りにするとペンス副大統領は非常に懸念している。

北朝鮮は前々から、そうした操作が天才的に上手い。非常に危険な国だ。ペンス副大統領は訪韓中にメディアの取材を受ける。

ペンス副大統領は――たぶん安倍首相も、韓国で「北朝鮮の偽装平和攻勢に騙されるな」と呼びかけるのでしょう。

民族の和解を恐れる日本

—北朝鮮と文在寅政権は、それにどう対抗するのでしょうか。

鈴置:すでに「民族の和解を米国と日本が壊そうとしている」と韓国人に、あるいは世界に向け宣伝し始めています。

朝鮮中央通信は1月24日付で「日本は朝鮮民族の和解雰囲気がそんなにも快くないのか」 (日本語版)という見出しの論評を配信しました。以下が書き出しです。見出し同様に、日本語が少しおかしいのですが、そのまま引用します。

全世界が朝鮮半島情勢の緩和に支持と歓迎の声を高めている時、米国に劣らず意地悪く振る舞って邪魔する国がある。狭量のことで政治小国と指弾を受ける日本がそうである。

五輪により南北の友好ムードが高まるにつれ、こうした視点で報じる韓国紙が出てくるでしょう。すでに韓国語のネット空間には「米国と日本が民族分断を画策する」との声が登場しています。

北朝鮮を胡散臭い国と見る韓国人は多い。でも、彼らも「大国によって同民族が仲たがいさせられる」ことには憤りを覚えます。

試合を通じ反米・反日感情が高まるのではないかと警戒する韓国の親米保守派もいます。例えば、女子アイスホッケーで南北合同チームと日本が対戦し、米国人が審判を務めるケースです。

もし、合同チームにとって不当な判定が出たと思えば「民族の和解を嫉妬する米国と日本の陰謀だ」と騒ぐ韓国人が出ると思います。

騒ぎを起こせば南北の勝ち

—ソウル五輪(1988年)でも騒ぎがありました。

鈴置:ボクシングの試合で、判定に不服でリングに座り込んだ韓国選手がいました。会場の係員も照明を落とすなど騒ぎを大きくし、一部の新聞も民族感情を煽りました。

平昌で「大国の横暴」を思わせる事件が起これば、北朝鮮や文在寅政権にはしめたものです。「米国に頼らず我々、血を分けた兄弟だけでやっていこう」「まずは米韓合同軍事演習を拒否しよう」といった声がSNS(交流ソフト)などで噴出すると思われます。

もちろん、こうした事件は偶発的なものですから、起こるとは限りません。ただ、平昌五輪が「米日VS南北」という対立構造への分岐点となるのは間違いない。五輪を期に韓国が、国の基本姿勢を「同盟」から「民族」へと大きくカジを切ったからです。

そんな韓国に、ペンス副大統領や安倍首相が出かけて行って「偽りの平和」を批判する――。それは「民族分断を画策する悪役」を演じることを意味します。

(次回に続く)

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『トランプが最も恐れる男、バイデン前副大統領 「三度目の正直」で大統領を狙う民主党重鎮の「回顧録」』(1/29JBプレス 高濱賛)、『相手がトランプだと頭に血が上るエリート記者たち 「中立」原則はどこへやら? 軒並み外れた政権の将来予測』(1/28JBプレス 古森義久)について

1/30希望之声電台<疑與習近平決裂 金正恩突然發出一罕見指令=習と決裂は疑うが、金正恩は突然あまり見ない指令を発した>韓国メデイアによれば、北は中国からの工業品以外は輸入禁止にしたと。昨年の国連決議による北京の制裁に対する金の抗議の意味で。それでもロシアに石炭を運び、それをロシアは日本や韓国に売却している。明らかな制裁決議違反であるが。これは今でも続いている。

http://www.soundofhope.org/b5/2018/01/28/n1491380.html

1/30産経ニュース<トランプ大統領、TPP政策逆転のワケ 「中国の略奪的な経済慣行」で再認識か 古森義久>この中に「デービッド・マルパス財務次官がトランプ演説直後に述べた説明である。 「TPP政策のシフトの理由はここ1年間に起きた状況の変化だが、最大の要因といえるのは中国の経済的侵略がグローバル規模で激しくなったことだ。トランプ政権としての中国の略奪的な経済慣行へのより深い理解が、TPPの効用を再認識させるにいたったといえる」」とあります。トランプもいよいよ中国と対決の覚悟が出て来たのでは。ただ、復帰はそんなに簡単ではないでしょう。11か国で取り決めたのに米国が従うならまだしも。TPPが中国包囲網を形成するためと言うのであれば、お互い譲れるところはあるかもしれませんが。

http://www.sankei.com/world/news/180130/wor1801300011-n1.html

高濱氏の記事で、2020年の民主党のバイデンが大統領候補で勝てるかなあという気がします。良く言えば老獪で議会運営巧者なのでしょうけど、インパクトが無いです。共和党主流派に通じる民主党主流派でチエンジはできないでしょう。「チエンジ」で名を売ったオバマはオバマケアを実現しましたが後は口先だけ、中露に足元を見られ、侵略を許しました。これに連なることを思えば、大統領選に出ても勝ってほしくありません。アンデイチャン氏によれば、民主党はロシアゲートをでっち上げ、トランプのせいにしていますが、元々はウラニュウムワン疑惑でヒラリーの問題だったとのこと。クリントン財団やらサーバー問題やら、ヒラリーとオバマは汚辱に塗れています。まあ、バイデンの代わりに若い颯爽とした人物が民主党から出るかもしれませんが。それでも、自分の党の不始末はキチンと片づけなさいと言いたいです。

古森氏の記事を読みますと、メデイアは第四の権力と言われますが、実は第一の権力なのではと言う思いがします。キャンペーンをはって日本では国権の最高議決機関たる国会の議員を簡単に落とせるのですから。而もトラブルがあっても責任を取らなくていいという恵まれた身分です。ですから勘違い男・女がこの業界には多くいる印象を持っています。所詮虚業の世界。玉石混淆の情報の中から正しい情報を掘り当てる作業を購読者ができるようになりませんと。本当にフェイクが混じっています。中共のプロパガンダと同じものもあります。識別能力を持つようにしませんと。

高濱記事

米ホワイトハウスでバラク・オバマ大統領から大統領自由勲章をかけられるジョゼフ・バイデン副大統領(2017年1月12日撮影)。(c)AFP/NICHOLAS KAMM〔AFPBB News

「株価と雇用」を自画自賛するトランプ

ドナルド・トランプ米大統領は、就任2年目に入り、株価の上昇や低い失業率など好調な経済状況を政権の成果と自画自賛している。

しかし、それをまともに受け止めるのは大企業と共和党支持の白人層だけ。支持率は30%台を低迷している。主要メディアは執拗に大統領の品格のなさを批判し続けている。

主要政策では、議会共和党、民主党は真っ向から対立し、予算は会計年度が始まる2017年10月から4か月近く経った今も成立せず。暫定予算でしのいでいるが、20日には新たな暫定予算が認められず、一時は政府機関の一部閉鎖にまで追い込まれた。

そんな状況の中で、メディアは<2020年大統領選挙にいったい誰れがトランプ大統領の対立候補になるか>と予想し始めている。

リベラル派よりも中道派を模索する民主党

トランプ大統領が再選に意欲を見せている。周辺は勝つと強気だ。

一方、挑戦者の民主党では、エリザベス・ウォーレン上院議員やバーニー・サンダース上院議員といった著名政治家のほか、成長株、カマラ・ハリス上院議員の名前が挙がっている。

しかし、いずれも「リベラルすぎる」ことから党内には難色を示す向きもある。

そうした中で、今注目されているのが、中道派超ベテランのジョン・バイデン前副大統領(74)の存在だ。

上院議員歴36年、上院司法、外交両委員長を歴任。副大統領を2期務めた、文字通り民主党の重鎮だ。年齢的にもトランプ氏よりも年上。

すでに「過去の人」と陰口も聞かれるが、いくつかの世論調査では、「トランプ再選を阻む最有力候補はバイデンだ」と答える米国民が半数近くに上っている(参照=https://poll.qu.edu/national/release-detail?ReleaseID=2513)。

余談だが、大統領候補と言えば、超人気テレビ司会者のオプラ・ウィンフリーさんへの大統領選出馬への待望論が出ている。

司会業のほか、ケーブルチャンネルやダイエット企業の株を持ち、資産額は28億ドル(約3100億円)の黒人女性の億万長者だ。

トランプ氏と大統領選を争えば、52%対39%でウィンフリーさんが勝つとの世論調査結果も出ている。

その半面、66%が「政治音痴のセレブが大統領になるのはトランプでこりごり」と答えている。このウィンフリー待望論はどうも「話のタネ」の域を出ていない。

今、「回顧録」を出した理由

“Promise Me, Dad: A Year of Hope, Hardship, and Purpose,” by Joe Biden, Flatiron Books, 2017

そのバイデン氏が2017年末に出した「回想録」が今ベストセラーになっている。

2015年、息子のボー氏(享年46歳)を脳腫瘍で亡くしている。

バイデン氏は1972年、30歳の若さで上院議員に当選した直後、妻のネイリアさんを交通事故で失った。

同乗していた3人の子供のうち長女も死亡。2人の息子ボー氏とバート氏は瀕死の重傷を負う。

亡くなったボー氏は、その後、政界入りし、デラウェア州政府の司法長官を2期務めていた。将来、大統領になる器だと、地元紙は書いていた。

本のタイトル、「Promise me, Dad」(パパ、僕に約束してくれ)は死ぬ直前にボー氏が父バイデン氏につぶやいた一言だった。

「息子は言った。『僕は何があっても大丈夫だ。だから約束してほしい。僕にどんなことがあってもパパは大丈夫だと言ってくれるかい』。私は『大丈夫だよ。ボー』と答えた」

「息子は言った。『それだけじゃだめだ。1人のバイデンとして言葉に表してくれ。パパ。<約束する>と言ってほしいんだ』。私は『分かった、約束する』と答えた。ボーは、父である私にも死んでいく自分と同じような心の安らぎを与えようとしてたのだ」

副大統領としてバラク・オバマ大統領を支えてきた多忙の日々。その激務中で最愛の息子が父を置き去りにして去っていく悲しみ。その悲しみを乗り越えて重職を全うし、翼を休めたかに見えるバイデン氏。

「回想録」に描かれた家庭を愛するバイデン氏の姿は多くの人々感動を与えている。

だが、生き馬の目を抜くワシントン政界の読み方は異なっている。行間には2020年出馬への秘めた決意が滲み出てとみる向きが少なくないのだ。

それにはそれなりの理由がある。昨年夏頃からバイデン氏の周辺も慌ただしくなっている。

2017年6月にはバイデン氏出馬を前提にした政治行動委員会(PAC)「American Possibilities(アメリカの可能性)」を設立。同委員会の責任者にオバマ氏の選挙キャンペーンに2度も携わったグレッグ・シュルツ氏が就任している。

行間ににじみ出ている2020年出馬への「決意」

そう思って本書を通読していくと、その「決意」が何か所か出てくる。

バイデン氏は、2015年7月、アンドルー・クオモ・ニューヨーク州知事と5時間話した時、同知事は、父親のマリオ氏が大統領選出馬を断念した時、言っていたことをまず回顧している。

「マリオ氏はアンドルー氏にこう述べた。『決断を下す時大切なことは後で後悔しないことだ。なぜならその決断は自分に一生ついて回るからだ』と。マリオ氏はその年の後半、他界した」

バイデン氏はこれまでに2度大統領選に出馬したが、2度とも途中で撤退している。1度目は1988年、予備選の最中に行った演説が英労働党党首の演説の内容を盗用したとの疑いが持ち上がり、撤退に追い込まれた。

2度目は2008年の予備選前半のアイオワ州で第5位、ニューハンプシャー州では第6位と振るわず、諦めた時だ。

今度出るとすれば、まさに「三度目の正直」ということになる。

2020年大統領選出馬への「決意」は、バイデン氏が尊敬するドイツの哲学者、イマヌエル・カントの言葉を引用することで示唆しているようにも思える。

「カントは言う。『幸福になるためのルールは3つある。何かをすること。誰かを愛すること。そして何かに希望を抱くこと』」

「私が2016年大統領選に立候補しなかった理由は息子ボーの死別と無関係ではなかった」

「出馬するか否かは、すべてボーのこと、そして目標、希望ということと絡み合っていた。出馬を断念したことはまさにボー(のこと)を忘れてしまうと言っていると同義語だった」

「私は残りの人生をどう過ごしたいのだろう。できるだけ長い時間家族と過ごすこと、そして米国という国を変化させ、世界をより良い場所にしたい」

「そのためにやるべきことは、自分が目的とするものよりも大きい。その責務は自分に希望を与えてくれるだろう。将来に向けて私をノスタルジックにさせてくれるのだ」

「運命を尊ぶが、何が起こるか分からない」

バイデン氏は、大統領選出馬について、本書が出た直後のNBCテレビのインタビューでこう述べている。

「(大統領選に立候補するという)扉は閉じていない。私は(政界には)長いこと関わり合いを持ってきた。私は運命というものを尊ぶ。けれどもこれから1年半後に何が起こるか誰も分からない」

「私のアイルランド系の母親は私によく言っていた。『生きている限り、一生懸命努力する責任があるわ。神様と目と目が合うまであなたは死んではいないのよ』。まさにアイルランド人の真骨頂とでもいうものかもしれないね」

(参照=https://www.nbcnews.com/politics/politics-news/former-vp-joe-biden-says-he-s-not-closing-door-n820156

日米関係を知り尽くしたバイデン

暴露本(「Fire and Fury」=「炎と怒り」)のお陰でトランプ氏の大統領としての素質が問題視されている。

大統領選挙中、同氏を身近に見てきた選挙参謀の1人は、「トランプ氏は自分の知らないことが何であるかは知っている。しかしその知らないことを知る必要性は全く感じていない」と述べている。

トランプ政治の問題点はまさにそこにあるのだろうが、政権2年目に入ってもそれを変える意図は全くないようだ。

バイデン氏は本書ではトランプ大統領については一切触れていない。しかし、昨年12月13日のCBSとのインタビューでは、トランプ政権の最大の欠陥は、外交政策にあると指摘している。

「今米外交の最大の懸案は東アジアだ。トランプ大統領の外交スタンスもさることながら外交の司令塔であるレックス・ティラーソン国務長官は国務省に綺羅星のごとくいる外交のエクスパートを使いこなせていない。これではまともな外交などできっこない」

(参照=http://www.cbs.com/shows/cbs_this_morning/video/q2OP4R_JHw4YQBjMlMg9kma5OFelgDFI/joe-biden-on-promise-me-dad-and-his-journey-to-regain-hope-and-purpose-/

バイデン氏は内政・外交に精通したオールラウンド・プレーヤーだ。

選挙中トランプ氏が日本の核武装に言及した際には、「日本が核を保有できないとする日本国憲法を作ったのは米国なんだぞ」と一蹴。(参照=https://www.apnews.com/af44536131b34653a146b1b1807086d7

また中国の習近平国家主席が「中国人民解放軍は米国が中国を包囲しようとしていると考えている」の述べたのに対し、「米中の連携がなければ、日本の核保有はあり得る。日本が核兵器を保有したら中国はどうする、日本は一晩で核兵器を保有する能力がある」との認識を示している。

(参照=https://www.forbes.com/sites/timdaiss/2016/06/25/japan-could-go-nuclear-virtually-overnight-joe-biden-tells-chinese-president/#20c1e992161

品格といい、政治経験といい、トランプ氏にはないものすべてを兼ね備えているバイデン氏。その一挙手一投足に目が離せない。

古森記事

スイス・ダボスでの世界経済フォーラム年次総会で演説するドナルド・トランプ米大統領(2018年1月26日撮影)。(c)AFP PHOTO / Fabrice COFFRINI〔AFPBB News

米国のドナルド・トランプ大統領が就任2年目に入り、世界各国でトランプ論が再び盛り上がっている。そのなかで私の目を引いたのは、イギリスの大手紙記者がトランプ大統領に対する評価の誤りを認めた記事だった。

欧米の主要メディアはトランプ大統領を就任当初から「米国の大統領であってはならない人物」と非難し続け、政権が倒れることを予測してきたが、倒れることはなかった──記者は自分の判断が間違っていたことを、こう素直に認めている。

トランプ大統領を前に吹き飛ぶ「中立」原則

イギリスの大手紙フィナンシャル・タイムズ(1月23日付)に、外交問題主筆のギデオン・ラックマン記者による「ドナルド・トランプと天才という言葉の多数の意味」と題する長文のコラムが掲載された(日本語訳は日本経済新聞の1月25日朝刊に掲載された)。

この記事はまず、ラックマン記者や欧米主要メディアの記者たちがトランプ氏をいかに辛辣に評しているかを記している。欧米メディアの記者たちはトランプ大統領を「どうしようもない馬鹿」「悪の天才」などと断じているという。ラックマン記者自身も、トランプ氏は白人優先の人種差別主義者であり、政治には無知、恐怖と憎しみを利用して選挙に当選した、と述べる。ラックマン記者はトランプ氏を統治者の資格のない人物だと断じ、一日も早く大統領の座を離れることが望ましいと願っているのだ。

欧米の伝統的なジャーナリズムは客観主義や中立原則を標榜している。一国の政府や政治指導者を論じるときには、論者は中立の立場をとり、反対派、賛成派の両方の見方を紹介するのが建前になっている。

だが、ことトランプの論評となると、とたんに論者の主観が前面に飛び出てきて、トランプ氏は大統領であってはならない人物だと断じるところから記事が始まる。ラックマン記者のコラム記事は期せずしてその典型例となっていた。

ちなみに日本経済新聞が日本語に訳して転載した同記事の見出しは「憎しみ操るトランプ氏」「意図的に嘘・攻撃 裏をかく『天才』」となっていた。トランプ氏が果たして憎しみを操っているのか、意図的に嘘をついているのか、それは誰にも証明できない。ラックマン記者の主張は、言ってみれば反トランプ勢力の主観的な見解である。

私は長年欧米のメディアの政治報道に接し、記者たちとも接触してきたが、彼らは基本的にジャーナリズムの客観性や中立性を尊重する良識ある人たちだと感じることが多かった。ところがその記者たちがトランプに対しては冷静さを失い、感情的な言葉でとにかく叩きまくるのである。

この反応にはいろいろな理由があるだろうが、報道の受け手側が気をつけねばならないのは事実判断である。トランプ政権はこのまま存続していくのか、それともすぐ倒れてしまうのか。その予測や判定は、記者のトランプ氏への好き嫌いではなく、あくまでも事実を基にすべきである。

軒並み外れた大手メディアの予測

ラックマン記者はこのコラムで自らの誤りを次のように認める。

<主流メディア(筆者もその立派な一員だ)は何度も、「大統領は今度こそやり過ぎたので、もはや命運は尽きた」と公言してきた。しかし、その都度、トランプ氏はメディアの予想を覆し、むしろ自信を深めてきた。実際には、同氏を政治的に葬り去ることができなかった問題、特に人種差別と女性蔑視が同氏の力を深めてきた。>

ラックマン記者は、自分をはじめとする主流メディアの記者たちがトランプ大統領について何度も何度も公言してきた「トランプの命運は尽きた」という予測はみな間違っていた、というのだ。

そういえば、米国大手メディアの反トランプ陣営であるワシントン・ポストやニューヨーク・タイムズ、CNNテレビなどは「トランプ大統領の退陣」「トランプ政権の崩壊」などという予測を何度報じたことだろう。

日本でも主要メディアが、「トランプ政権の終わり」を、米国メディアの論調をなぞるように頻繁に伝えてきた。だが、それらの「予測」は見事に外れてしまっている。この大きなミスを、イギリス大手紙のベテラン記者、ラックマン氏があっさりと認めたというわけだ。日本のトランプ大統領研究も他山の石とすべきだろう。

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