2/19ぼやきくっくりブログ<虎ノ門ニュース 青山繁晴氏>より
「(3)北朝鮮の最新状況分析 安倍首相が日米電話会談 このニュースが含んでる意味っていうのは、すごく深くて重いんですよ。 まず異例なことが2つぐらいある。 1つは、いま平昌五輪を朝鮮半島でやってる、その最中に、わざわざ総理がトランプ大統領と、朝鮮半島について電話協議すること自体が、やや異例ですよね。 しちゃいけないってわけじゃないけど、やや異例でしょ。 それからトランプ大統領と山のように電話会談なさってるんですが、その内容を(15日の)政府与党連絡会議でね、政府と与党内の会議とはいえ、政府じゃない自由民主党も入る所で、わざわざそれに言及されるというのは、これは異例です。 じゃあなぜなのかと。 これは、正直言うと、会員制レポートだけでお話ししようと思ったんです。 レポートではさらに踏み込んで書きますが、ここで申し上げるのは、開会式に重大なヒントがあったんですよね、安倍さんがこうせざるを得ない。 これが世の中で報道されてるのと全く逆なんですよ。 僕は前からニュースには尻尾があると申し上げてて。 いま行われてる平昌五輪、その開会式、9日のあたりをもう一度思い出してもらうと、アメリカからペンス副大統領がやって来ましたね。 ペンスさん顔がこわばっててすごかったですよね。 普段温厚な方でニコニコしてるんですけど、ものすごい怖い顔のまま、まずこのニュースにも出てくる金永南(キム・ヨンナム)、北朝鮮のナンバー2と言われるこの常任委員長…。 これは報道に出てこないこと1個申し上げると、北朝鮮は水面下で韓国を使って、会談したいってことも言ってたんですけど、ペンスさん、これを全然寄せ付けない。 そういう狙いもあって送り込んできた金正恩委員長の妹の金与正(キム・ヨジョン)さんも全然寄せ付けない。 それどころか韓国の顔にもう泥を塗るように、もうレセプションも席を離せと露骨に要求し、全くもう手を付けないと。 全くもう(晩餐会で)食べることもなく、蹴るようにしてペンス副大統領が出て行きましたよね。 これを見てですね、例によって日本の地上波などのコメンテーターとか、自称評論家の方々が、これはやっぱり3月18日にパラリンピック終わったあとにはアメリカはやるかもしれないと。 だからこんな怖い顔してるんだと。 そう思いますか? これね、逆説で言ってるんじゃなくてですね、何でもそうだと思うんですが、相手側、自分の立ってる位置と違う立場に立って、そこの視点を持とうと努力する、それ以外に道はないんですよ。 そうすると、もしこれを、日本が、第三者みたいに横から見てるんじゃなくて、アメリカ側に立って見れば、もしも3月18日にパラリンピック終わったあとに、ま、そこから、すぐにでも1年先でもいいですけれど、攻撃を考えてるとしたらですね、北朝鮮に警戒させます? そうでしょう? 北朝鮮は弾道ミサイルをたくさん持ってるんですよ。 1994年の半島危機っていうのは、当時のアメリカのクリントン政権が、もう直前まで行ったんですよ、攻撃の。 犠牲が多く出ることが分かったからやめたことになってますが、それは違ってて。 あの当時の北朝鮮もしたたかで、核開発をパシャッとやめてみせたんですよ。 アメリカは攻撃する正当な利用が失われてしまったんです。 それで攻撃やめたら、その陰で北朝鮮はどんどん核開発をやってきたんですよね。 いまは核開発だけじゃなくて、このミサイルの上に弾道ミサイルを載っけてんじゃないのかっていうね、はっきり分からないけど、おそらく載っけてると。 だから反撃能力が全然違うんですよね。 弾道ミサイルの能力をいま持ってるんですよね。 その状況下で、ペンス副大統領がわざわざ朝鮮半島へ行って、怖い顔してみせて、警戒させたらですよ、これ北朝鮮がやられる前にやるかもしれないじゃないですか。 それから、防護体制を固めますよね。 そうでしょう? だからやるんならば、必ず油断させるんですよ。 必ず金永南さんとも握手をし、金与正さんとも親しげに会話をし、レセプションでは美味しそうに全部いただき、素晴らしいオリンピックだと言って褒め称えて、帰るはずでしょ? それがもう…(はねつけるジェスチャー)でしょ? だから話は逆なんですよ。 トランプ大統領は、ま、現時点だけですけど、現時点ではやる気がないんだと、いう証拠なんですよ、本当は。 あの怖い顔っていうのは。 これぐらいのことをご存知なくてテレビでよく解説するなと、僕、ま、もう呆れるはとっくに通り越してて、感心するんですよ。 よくもこう、知りもしないことをおっしゃるなと。 それで、テレビの視聴者は忙しいですから、そんなことまで考える余裕がないんで、当然、解説する人はその責任があってですね。 幸いなるかな、安倍総理はこれに完璧に気がついてるわけですよ。 アメリカは様子がおかしいと。 それで、これは僕はちょっと評価してるのは、日本のインテリジェンスが頑張ってですね、米朝の秘密交渉を把握しました。 オリンピックの陰で、アメリカと北朝鮮がこっそり接触してます。 僕は別ルートで人間も確認しました。 4人。 米側2人、北朝鮮2人。 4人、やってます。 日本は把握しました。 (カメラ目線)そうなんですよ、アメリカ合衆国。 これアメリカまだ気がついてないかもしれないけど、把握したんですよ。 するとですね、戦争が起きないっていうのは大変良いことっていうか、そうでなきゃ困るんですが、ところが前言ったとおりですね、半島情勢っていうのは選択肢が1個減ってるんですよ。 (1)外交努力と圧力によって北朝鮮が核・ミサイルを放棄 (2)軍事攻撃によって潰してしまう (3)米朝裏合意で、アメリカに届く物は諦めさせるがすでに持ってる日本に届く物は認める (1)はもうないんですよ。 北朝鮮は決して諦めないっていうのが分かったわけですよ。 もし(2)をやめたら、(3)しかなくなる。 つまり日本を実質置き去りにして、トランプ・安倍関係とか言いながら、米朝が裏合意して、日本だけ脅威の中に取り残されると。 僕はアメリカにずっと警告してるわけですよ、これを。 ものすごく話をシンプルに、よけいな枝葉を全部切り取って言うと、去年5月8月12月、3回も、ま、自費でハワイの真珠湾の太平洋軍司令部、それから艦隊司令部行った時に、2つしかしてないんですよ。 話はいっぱいしましたが、中心は2つです。 1つは拉致被害者、この(2)がもしある時は、拉致被害者の救出を、自衛隊と必ず連携をして下さいと。 それからもう1つは、(3)の米朝裏合意をやると、日本はいずれ核武装せざるを得なくなって、その核武装は長い大きな物じゃなくて、短い小さな核兵器を必ず持ちますと。 つまり日本の脅威は太平洋の向こうとかヨーロッパにありませんから。 残念ながら北朝鮮をはじめとする近隣だけだから。 中国の核ミサイルも日本の主要都市を射程に入れてますから、現に。 これちなみに河野太郎外務大臣のお父様の河野洋平外務大臣の時に、中国が天安門広場で軍事パレードでそれを出してきて、それを河野洋平外務大臣は、中国の新しい活気を感じると言って、公費で祝電を打ったんですよ。 で、その時に怒って抗議して、そういう記事を書いたのも、なんと僕1人でした。 ついでに記事は没になりました。 それが現実なんですよ。 で、話戻すと、日本がもし持たざるを得なくなると、中国や半島を射程範囲に入れるのは短い物だけですよ。 それから日本は、僕は核武装すべきじゃないとずっと言ってきて、だからいわゆる右の人たちからもずっと攻撃されてきたんですが、それどうしてかというと、核兵器は赤ちゃんや高齢者や戦わざる人々をドロドロに溶かすことが終目的だからです。 副作用でなるんじゃなくて、それが目的なんですよ、相手が軍隊でなくてですね。 だから反対してきましたが、こうなると(米朝裏合意になると)持たざるを得ません。 反対論の僕も、転換せざるを得ないんですよ。 だから米軍はよく知ってるから、それ言いました。 その時は小さい物しか持たないですよ。 なぜかというと最小限度の攻撃にしたいから。 ということはですね、日本はそうやって、いわば正義を、核武装した時でも貫くけど、これは使える核兵器が登場するってことなんですよ。 いままで合衆国、ほとんどそういうの持ってないんですよ。 これから持とうとトランプさんはこないだ宣言して、大騒ぎになってるぐらいですから。 だから日本が優れた技術力でそれを持つと、これ日本は売ったりしませんけれども、ブラジル、それから皆さん意外でしょうがスウェーデン、近隣で言ったらインドネシア、ベトナム、こういう能力のある所は、これを持つようになり、そしてこういう国々ではおそらくなくて、違う意外な国の指導者が、これを使います。 フィリピンがそうするとは言いませんが、たとえばフィリピンのドゥテルテ大統領も民主主義に基づいて選ばれた大統領ですが、自分でピストル撃って犯罪者を殺しましたと自らおっしゃってますよね。 ドゥテルテさんがというんじゃないけれども、そういう言動を横目に見ながら、小型戦術核を使う指導者は必ず現れますよと。 そうすると、世界の終わりの始まりです。 これほんとに、世界の終わりの始まりですよ。 それをやるのかと(米朝裏合意をやるのかと)。 それは絶対やらないと米軍はいままで言ってきた。 軍はそうです。 米軍も困ったこといっぱいする困った人たちだけども、でも彼らは約束を守る人間でもある。 じゃあ誰が考えてるのか。 トランプ政権ですよ。 トランプ大統領は僕はむしろ、CNNと比べるとはるかに僕は評価してる方ですけれども、でも現実にその裏交渉をやってるんですよ。 その上でですね、このニュースをもう一回見て下さい。 トランプさんにまず、ま、どっちが電話したかは書いてないけれども、要するに安倍さんの意志で、トランプさんとオリンピックの真っ最中に電話してるんですよね。 これ分かります?意味。 分かりますよね。 トランプさんにまさか、あなた裏交渉してますよね、知ってますよなんて安倍総理が言うわけないですよね。 でも、要は日本は知ってますよと。 日本を舐めるんじゃない!ということですよ。 変な裏交渉をなさるなよ!と。 だからここに、北朝鮮に最大限の圧力をかけ続けることで完全に一致したと、いうことをわざわざ、政府与党連絡会議で言うっていうのは、これ人口に膾炙(かいしゃ)すべきだ、つまりみんなが知るべきだと。 そしてこの、ご自分が金永南さんと話したことについて、北朝鮮と、でも話すなっていうわけじゃない、話すチャンスを作ることは必要だと、それは裏交渉とは違う話でしょうと。 で、アメリカも理解してるとわざわざ安倍さんが言ってるのは、つまりそのことを言ってるわけですよ。 対話するっていうのと、それからアメリカの国務省がいま予備的協議って言ってますよね、これ予備的協議っていうのが非常に曲者であって。 予備的じゃない協議っていうのはどういう意味ですか。 それはトランプさん、いままで言ってきましたよね。 北朝鮮があらかじめ核・ミサイルを捨てると、いうことを言ってからでないと対話しないと。 テーブルには着かないと言ってきたんですよね。 は?予備的協議? じゃあそう言わなくても、話し合いをしましょうってことに、他ならないじゃないですか。 だからこれはさすがにトランプの意思じゃなくて、ティラーソン国務長官のいわば指揮下にある国務省としてそういう考えを出したんですよね。 でもこれが公然と出てきて、ホワイトハウスがそれを、あとで否定することもないんですよね。 だから予備的協議の名の下に、北朝鮮の核・ミサイルは、部分的には保有する、つまりアメリカに届く物はダメだけども、日本に撃ち込める物は持って良しという状態のまま、対話に入るってことをいわば、アメリカの外交責任当局の国務省が言ったのと同じですよね。 で、非常に危機的な状況になりつつあるんですよ。 で、その上でですね、これトランプ大統領は決断してません。 いつ決断するかというと、これが、3月18日に(パラリンピックが)終わってからというよりは、3月から4月にかけて、この2ヶ月の間で、つまり遅くとも、日本で言うと連休に入る前あたりまでに、トランプ大統領は決断します。 そうしないともう、いろんな意味で間に合わないんで。 で、もしも軍事的オプションを決断した場合は、すぐではなくて夏頃になると思われます。 米軍の現状見てる、あるいは現場で踏み込んで見ればですね。 で、じゃあ裏合意してしまうということになると、これは全く違う動きになっていって、たぶん年内にですね、IAEA、国際原子力機関の査察受け入れ、北朝鮮、とかね。 それから寧辺(ヨンビョン)というね、核開発の拠点にあった、クーリングタワーっていうんですけどね、原発にあるような。 これを(2008年に)爆破してみせたでしょ。 あれ爆破した時にすでに使ってなかったんですよ。 で、そういう一部施設を派手に爆破したりね。 で、そのあとも、IAEAの査察を受け入れたりね。 そういうのを見せながら、前と全く同じですよ、だから。 その裏で、日本にうまく命中するような核ミサイルの開発を続け、本当はアメリカも攻撃できる物を、間違いなく作っていくだろうと。 で、世界は終わりに向けての歩みを早めるってことに、この平昌五輪以降、なっていくと。 これはですね、やっぱり日本の政府の中枢で、一番物事を分かってらっしゃる方、僕とけっこう、だからこそ怒鳴り合いになること多いんですが、こういう方はね、このオリンピックの最初から言ってたんですよ。 女子アイスホッケーで合同チームできたら終わりだと。 まあ、この人物が安倍政権の中でも、どれだけ先端を歩いてるかってことですけどね。 これ前からその話があったって、実は日本は把握してたんです。 つまり、勝敗を争うようなね、たとえば昨日の小平さんと韓国の有名選手との、李さん(李相花)っていう有名な選手のところに北朝鮮を持ち込んだら韓国民が怒っちゃうけど、可愛らしくて、つまり女子のみんなで、そしてメダルにはとても届かない、そういうのを選んで北朝鮮との合同チームにするだろうっていうのは、日米とも予想してたんですよ、本当は。 去年からです。 だから、たとえば女子アイスホッケーで、南北の合同チームできたらアメリカはもう戦争できないと。 つまり、もともとはアメリカ、実はオリンピック期間中の攻撃まで検討したんですよ。 去年の夏頃。 だから僕は8月、真珠湾に行ったわけです。 それを知ってるからこそ行き、それを確認もしたんです。 というのは、やる時は本当のサプライズしかないと。 オリンピック期間に、平昌から北の国境まで80kmしかないんですよ。 そこで北朝鮮をやるかもしれないってことまで検討したんですよ。 それはアメリカが惨(むご)いっていう言い方もできるでしょうが、でも同時に北朝鮮の反撃能力がそこまで強くなってしまってるっていう現実を踏まえると、全く反撃が予想できないような、態勢が整わないようなところまでの、サプライズじゃないといけないと。 それがオリンピックで、南北融和で、北から代表団は来るわ、応援団は来るわ、韓国男性がまた熱狂するわ、それどころかチームも一緒になるわ、そういう状況になってしまって、民主主義国家、国際世論も気にしなきゃいけないアメリカが、しかも中間選挙云々も全部考えると、とても踏み切れなくなって、そこでアメリカの軍事オプションは終わりだと、その政府中枢はおっしゃるんで、僕は、あなたがそういう人じゃ困るじゃないかと。 諦めにつながるって言ったら、諦めじゃない、現実分析だと。 現実分析でも、アメリカにとってはそれは日本が諦めたになるんだよと。 言い合いになったんですけど。 もう最近では、我々はにこやかになって、予想通り、アメリカはこうなってますねというような話なんですが、ここで諦めるわけにはいかないんですよ。 つまり拉致被害者の救出を考えても、このまま金正恩体制が、安穏と日本を脅かしながら、日本を脅かすというのはどういうことかというと、あの強い日本が怯える状態にするぐらいの核ミサイルですから、これが売れるわけですよ。 中南米、中東を中心に。 一部アフリカにまで手を伸ばして北朝鮮はビジネスを行ってますから、その商売上ものすごく値打ちが上がっていくわけです。 そういうカラクリですよね。 それを続けさせることを(やめさせることを?)日本は絶対諦めちゃいけないです。 実はこのニュースはそういうニュースなんです。」
http://kukkuri.jpn.org/boyakikukkuri2/log/eid2152.html
青山氏の言うようにアメリカが裏切って日本に届く核ミサイルを容認するのであれば日本も中朝に届く核ミサイルを持つようにしなければ。NPTは崩壊するでしょう。それも一つのやり方です。P5だけが公認で核を持てるというのも論理的にはおかしいでしょう。彼らが道徳的高みにあるかと言うと過去や現在の植民地主義者ではないですか。でもここで米国は北と事を構えることができなければ中国とは戦えないでしょう。“proxy war=代理戦争”というのがアメリカは分かっているのかどうかです。
2/21日経夕刊にはペンスと北の金与正が会談する予定だったとのこと。北のドタキャンでなくなったようですがこんなことをしていたら足元を見られるだけ。「和平へのアリバイ」作りでしたら良いのですが。
2/20 Smart FLASH<米空母が朝鮮半島に集結「イラク戦争を超える過去最大級」>
https://smart-flash.jp/sociopolitics/34406
青山氏の話と大分違いますが。硬軟両様と言う所でしょうか。『電子攪乱機』で妨害電波を発すれば、北の攻撃を防げるのであれば、被害を算定することもないでしょう。さっさと攻撃に移したらと思います。
2/20朝日新聞デジタル<北朝鮮の核開発「再統一の野心から」 河野外相が見方>
https://www.asahi.com/articles/ASL2N35W5L2NUTFK00K.html
まあ、北が核を持たなくても文在寅の韓国は喜んで共産主義者に韓国を無償譲渡するでしょうけど。米国を恐れてできないだけです。
真壁氏の記事は、文在寅は北の工作員と言うのが分かっていません。ですからトランプやペンスが行ったときも勝手な行動を起こしました。彼のアイデアは“N Korea first”です。米軍に北を攻撃されないように立ち回っているだけです。ですから韓国民が100万も死ぬとか米国で裏金を使い言わしているのでしょう。慰安婦と同じです。
ここまで来たら、北への攻撃か日本の核保有のどちらかしかありません。安倍総理はトランプ大統領に決断を迫るべきです。まあ、前述の通り米軍の北への攻撃が無ければ中国の侵略行動が加速化するだけです。頭の悪い米国人、日本を歴史的に悪し様に言ってきた米国人には中国の悪辣さ、狡賢さが見えて来ないのでしょうけど。まあ、もっと頭が悪いのは戦後史観にドップリ染まった日本人の老人と左翼でしょうけど。危機感を持てないのだから始末が悪すぎです。
記事
Photo:YONHAP NEWS/AFLO
冬季五輪終了後朝鮮半島情勢の緊迫感は高まる恐れ
韓国のピョンチャンで開催されている冬季五輪では、各競技以上に北朝鮮のパフォーマンスが目立っていた。北朝鮮の“微笑み外交”の狙いの一つは、言うまでもない。韓国に友好的に振る舞い、南北の融和を重視してきた文在寅(ムン・ジェイン)大統領を懐柔することだろう。
文大統領を懐柔することで、軍事演習などを通して北朝鮮への圧力を強めてきた米韓の関係を分断しようとする考えがあると見られる。問題は、文大統領が、見え透いた北朝鮮の狙いに上手く乗せられているように見えることだ。
北朝鮮は、五輪に選手を派遣するだけでなく、外交の切り札である金委員長の妹(金与正氏)、金委員長に次ぐNo.2の金永南氏までを派遣し、韓国との友好を世界にアピールした。それによって、北朝鮮は南北対話の姿勢を世界に示したいのだろう。
見方を変えれば、国際社会からの制裁などを受けて、北朝鮮にはかなりの焦りが出始めているといえるかもしれない。
一説には、北朝鮮の後見人的な役割を担ってきた中国が、金正恩委員長の独裁体制に見切りをつけ始めたのではないかとの指摘もある。すでに、中朝国境では難民収容を目的とした施設が設営されるなど、その可能性は軽視できない。
ただ、今回の“微笑み外交”を、北朝鮮が本当の意味で対話を重視し始めたと見るのは適切ではない。一方で“微笑み外交”を演出しながら、北朝鮮は核開発を放棄していない。今後も、ミサイル発射実験などは実行される可能性がある。冬季五輪終了後、再度、朝鮮半島情勢の緊迫感は高まる恐れがある。
北朝鮮の見え透いた“微笑み外交”の裏
今年に入って以降、ピョンチャン五輪を控えた中での北朝鮮の外交を見ていると、従来とは打って変わって、韓国に友好的なメッセージを発することが増えた。そのきっかけとなったのは、金正恩委員長の新年の辞だった。
それまで韓国が目指す融和(対話)政策に聞く耳を貸さなかった北朝鮮が、突然、韓国への友好姿勢を示した。五輪開催後も、金書記長は南北の対話を一層進めるように関係各庁に指示を出している。
こうした北朝鮮の外交政策の変節は、今回が初めてのことではない。これまでも北朝鮮は制裁などを受けて自国の状況が窮すると、韓国に近づき、緊張の緩和を狙おうとしてきた。
見え透いた“微笑み外交”が今回も展開されている格好だ。
韓国の文大統領は、北朝鮮との対話を重視するスタンスを示してきた。北朝鮮にとって、文大統領はくみしやすい相手なのだろう。文大統領は、自身が側近を務めた故盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領と同じように、北朝鮮との融和・中国との関係強化を図る姿勢を持ってきた。
そうしたスタンスの人物が国のトップにある韓国を利用して、「対話こそが北朝鮮の暴走を抑える術である」と国際社会に伝える狙いが北朝鮮にある。融和を呼びかけて韓国を揺さぶり、米韓軍事演習を延期させることも、狙いの一つだったはずだ。
年初には、中国が朝鮮半島での有事を想定した全軍規模での演習を実施した。それは、中朝の関係が従来よりも悪化していることを示している。今回、“微笑み外交”によって北朝鮮が融和姿勢を示せば、中国はそれを評価するだろう。
北朝鮮が聞く耳を持っていると中国が判断するなら、制裁に関する慎重論が出されるなど何らかの配慮を取り付けることができるかもしれない。そうした考えが、“微笑み外交”の裏にある。
北朝鮮は、冬季五輪という世界のスポーツの祭典を利用して“微笑み外交”を仕掛け、日米韓の関係分断や中国からの配慮などを通して、国際社会からの圧力を後退させようと画策している。
“微笑み外交”に乗せられた文政権の無節操
北朝鮮が微笑み外交を進めなければならないということは、これまでの制裁などを受けて国内社会の疲弊が進んでいることの一つのサインといえるだろう。
言うまでもないが、制裁は国連の決議によって発動された措置だ。つまり、北朝鮮にどう対応していくかは、国際社会全体で協議を重ね、方針が決定されなければならない問題と考えられる。
韓国には、その常識が通用しない。むしろ韓国は、北朝鮮の“微笑み外交”に上手く乗せられている。それは北朝鮮の思うつぼだ。状況によっては、これまで国際社会が協議を重ね、渋る中国やロシアを巻き込んできた制裁への足並みが乱れる恐れもある。
そうなれば、北朝鮮は時を得たりと、核開発などに従来以上のエネルギーを注ぐことが考えられる。その結果、国際社会は、さらなる脅威に直面することとなる。
韓国の文政権は、北朝鮮が自国の融和政策に呼応していると考え、さらなる関係強化を求める姿勢を示し始める可能性がある。すでに、文大統領は米国が北朝鮮と対話する用意があるとの考えも示した。これは、行き過ぎだ。無分別、無節操な韓国の政策が、国際社会に与えるインパクトは軽視できない。
韓国は歴史に学ぶべきだ。
過去の政権の対応を振り返ると、故盧大統領が重視した北朝鮮への“太陽政策”は、朝鮮半島情勢の安定にはつながらなかった。当時の政策は、韓国と米国の関係を悪化させた。それは、韓国のみならず、極東地域の安定のためにも避けるべきだ。
しかし、文政権の政策は、本来必要な国際社会全体での圧力を基本としたものよりも、韓国社会の不安定感を高めた過去の政策に向かっているように見える。
本来であれば、韓国の世論が文政権の政策リスクを指摘し、社会全体で本来あるべき政治・政策を目指すべきだ。
問題は、前政権までの政治スキャンダルへの怒り、国内の経済格差への不満が、文政権の支持に繋がっていることだろう。当面、韓国の政治は北朝鮮の“微笑み外交”に振り回される状況が続きそうだ。
一段と複雑化する朝鮮半島情勢
北朝鮮の核開発は米国を念頭に置いたものである。今後も北朝鮮は、米国全体を射程に収めた弾道ミサイルを発射するための技術を確立するために、発射実験を繰り返す可能性がある。北朝鮮による対話姿勢の演出は時間稼ぎに過ぎないと考えるべきだ。北朝鮮は核の保有によって、自国の体制維持などを実現しようとし続けるだろう。
北朝鮮の“微笑み外交”に乗ることは、状況の混迷、複雑化を招く。
米国にとって、北朝鮮の脅威は増す可能性が高い。米国政府が北朝鮮への対応方針を易々と修正するとは考えられない。CIA関係者の発言などを丹念に追っていくと、むしろ足許の状況を米国の安全保障の専門家が憂慮していることもわかる。基本的に米国は、制裁を中心に北朝鮮を包囲し、国際社会の考えに金委員長が従う状況を作り出そうとするだろう。将来的に対話の可能性はないわけではない。しかし、現段階でそれを検討・議論することは、あまりに尚早だ。
今後、北朝鮮が核実験などを実施した場合も、依然として韓国は対話路線を維持することになるとみられる。南北共同参加での冬季五輪開催に浮足立つ文政権が、一朝一夕に現実的な発想を身につけられるとは考えられない。
それこそ北朝鮮の思うつぼだ。
北朝鮮が米国の譲歩を得るため強硬姿勢を強めた際に、韓国が対話重視の姿勢を続けると、それが最終的に朝鮮半島情勢を一段と複雑化することが懸念される。
具体的には、米国は北朝鮮の核開発を非難し、状況によっては限定的な先制攻撃の必要性などが一部の政治家の間で議論される可能性もあるだろう。中国は朝鮮半島情勢の混乱を避けるために、米国の考えから距離を取るだろう。そこに朝鮮半島への影響力を狙うロシアの思惑も加われば、米中露を中心に国連が対北朝鮮政策を協議することは難航する。
韓国の節度なき外交政策が、朝鮮半島情勢の混乱を助長する一因になるのだ。
わが国としては、安全保障面では米国との同盟関係を重視し、外交面から国際社会の足並みが揃うよう取り組む必要がある。アジア各国との関係強化を急ぎ、北朝鮮包囲網を強化することの重要性を国際社会と共有し、制裁などの履行が徹底されるよう働きかけていくべきだ。
(法政大学大学院教授 真壁昭夫)
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