4/11日経にも中国のバブルについてコメントされています。
<中国「資本規制バブル」の足音 上海支局 張勇祥
全国人民代表大会(国会に相当)さなかの3月9日。重慶で自動車部品会社を営む50歳代の男性は、ネットの一報に面食らった。「碧桂園が森林城市を売り止め」。碧桂園は大手デベロッパー。森林城市は同社がマレーシアで手掛ける肝煎りの大規模マンションだ。
元安と資本流出を恐れる中国当局の意向が働いたのは想像に難くない。今、規制のターゲットは外国企業や個人以外にも広がる。
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上海屈指の観光地、外灘から2キロメートルほど北にずれた「虹口SOHO」。建築家の隈研吾氏が関わり、パナソニックも入居する高級オフィスビルだ。オーナーの潘石屹氏は2016年から検討してきた売却を取りやめた。「売った資金を海外投資に充てたかったが、許可が出そうにない」
同様の事例は相次ぐ。ネット大手、巨人網絡が305億元(4900億円)で合意したイスラエルのゲーム会社買収は審査が続く。楽視網による北米テレビ2位のビジオ、大連万達集団の米テレビ番組制作会社の買収も実現していない。
企業や個人など社会全体が調達した資金を示す「社会融資総量」は2ケタの伸びが続く。海外に出ることを封じられたマネーが向かう先は国内しかない。
準大手の光大銀行が3月に発行した300億元の転換社債への申し込みの総額は3兆4394億元(約55兆円)に膨らんだ。「凍結資金」と呼ばれる証拠金は1割。3千億元超の資金が一時的にせよ、振り込まれた。資本規制バブルと言える状況が起き始めている。
鉄道車両の中国中車は最大で150億元を理財商品の購入に充てると発表した。余資の有効活用が目的という。レノボの親会社、聯想控股は信託商品と理財商品に60億元を投じた。
特定金銭信託、ファンドトラスト投資に狂奔した日本のバブル期に似た光景だ。理財商品の利回りは4~5%。中国の経営者は資本コストを下回る金融商品に得々と巨額を投じている。
個人にも身近な理財商品の残高は、16年9月末で27兆元に膨れあがった。「資金の多くを預金や短期金融商品に振り向けているから安全」という運用会社の言葉はうのみにできない。
理財商品を組成、販売する銀行が、手にした資金を自行の劣化した貸出先に回している疑惑が浮上している。簿外に信用力の低い貸し出しが隠れているとすれば、噂される影の銀行のイメージと寸分たがわない。
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バブルははじけるまで認識されない。15年の暴落以降、底をはってきた上海株に上放れの機運が出てきた。原動力は「雄安株」。習近平政権が河北省で建設する新都市「雄安新区」に連なる、あらゆる銘柄が買い上げられている。
うたげをよそに冷静さを保つ人もいる。冒頭の経営者は最近、シンガポールで不動産を購入した。頭金は200万元(約3200万円)だったという。>(以上)
中国が資本の海外流出を規制(殆ど禁止に近いのでは)しているのは、それだけ外貨準備が減っていることを疑わせます。3/18日経にも企業が中国から入金or中国への送金ができなくて困っているのが描かれています。足抜けするのが遅すぎた面があります
<中国の資本規制、日本企業に影 海外送金ストップ続出
中国の通貨である人民元と外貨の双方で国境をまたぐ取引を抑える中国の資本規制が、日本企業の活動に影を落とし始めた。現地事業の売却代金を受け取れなかったり、日本への送金が止まったりする例が続出。ごく一般的な資金管理すら難しくなっている。中国は2016年に円換算で30兆円超が国外に流れた。当面は規制を優先せざるを得ず、習近平政権が掲げる人民元の国際化は揺らいでいる。
アサヒグループホールディングスは16年末、子会社である山東省の農業会社と牛乳製販会社を現地の乳業大手に売却した。売却額は日本円で約十数億円。しかし国境をまたいだ送金の規制が強化されたため、代金は3カ月近くたったいまでもアサヒの日本の口座には届いていない。
現地乳業大手は支払う意思は示しているが、現時点では送金の手立てがないという。アサヒは「弁護士らと相談しながら粛々と手続きを進めていく」というものの、着金には時間がかかりそう。大規模なM&A(合併・買収)を通じ、世界市場での事業再編成を進めるアサヒにとって、山東省の件は影響は小さいが、想定外の中国の資本規制にとまどいを隠さない。
深刻な例もある。「当局の許可がおりず、送金できない」。コンデンサーやプリント回路を手掛けるエルナーは16年12月、資本提携で合意していた中国企業からこんな連絡を受けた。
エルナーは財務内容の改善と中国事業の強化に道筋をつける目的で、中国企業への第三者割当増資で資金を調達する計画だった。しかし、増資は失効。経営戦略の練り直しを迫られている。
人民元を取り巻く環境が急変したのは15年8月。中国人民銀行(中央銀行)は突如、元を「過大評価されている」として切り下げに踏み切った。当時1ドル=6.1元台だったが、3日にわたる切り下げによって6.4元まで下落した。一定の範囲で値動きを認める「管理変動相場制」を導入した05年以降、元は初めて大きく下落した。
唐突な切り下げは「元は今後も値下がりする」との疑念につながり、元安と資金流出が止まらなくなった。人民銀はドル売り・元買いの為替介入で外貨準備をすり減らすなかで、規制の強化によって強引に資金流出の食い止めに動いた。
徐々に強化されてきた資本規制だが、16年末に「一線を越えた」(大手銀行)。500万ドル(約5億7千万円)以上の海外投資は当局の事前審査が必要になり、銀行の外貨両替や元の海外送金を制限した。「外貨と元の両方で規制がかかり、一気に厳しくなった」(外国銀行幹部)。中国から日本への海外送金も滞るようになった。
「とにかく待ってください」。ある商社は中国拠点から数億円の資金を日本に送ろうとしたが、銀行にこう告げられた。重工大手の中国拠点は、日本の親会社から調達した数億円相当の部品代金を支払えなかった。三菱電機は中国子会社の送金で外貨への切り替えなどを検討。TDKは中国事業の余資送金で、銀行や通貨当局に手続きに必要な時間を確認しているようだ。リスク管理で子会社に必要以上の資金を持たせないという経営管理すら難しい。
「経常項目は制限していない」。人民銀の周小川総裁は10日の記者会見でこう述べた。貿易取引の決済や配当金の支払いなどは規制の対象外だと明言した。銀行の審査を通れば資金をやり取りできるはずだが、実際には当局の窓口指導で銀行は慎重。「16年末以来、海外送金で支障をきたした企業は数十社にとどまらない」(銀行関係者)
中国で事業展開する外資系銀行は、送金額や時期について取引先の企業と調整を始めた。ヤマは6~8月で、中国現法による親会社への配当支払いがラッシュを迎える。ある銀行幹部は「現行の規制は外貨の方がまだ送金しやすい。経費増になるかもしれないが、外貨に両替したうえでの送金を頼むしかない」とあきらめた表情で語った。
中国は銀行金利の自由化など金融規制を少しずつ緩和してきた。国際通貨基金(IMF)が15年に仮想通貨、特別引き出し権(SDR)への組み入れを認めたのも自由化の努力が底流にあった。
だが、16年は貿易決済に占める人民元の比率が15年の26%から18%に低下。銀行間決済も2.3%だった世界シェアは1.7%になった。元の信認低下は数字にはっきり表れているだけでなく、中国の事業環境の評価を損ねかねないところまで来ている。(上海=張勇祥)>(以上)
人民元下落を防止するためと言って、資本の自由な取引を規制するのであれば、国際通貨としての役割は果たせません。いいとこどりは許されません。人民元をSDRバスケットに組み込んだIMFのラガルドは時期尚早の判断をしたのでは。
中国国内で怪しげな投資に資金が向かっているのは、日本のバブルで暴力団が株・不動産に投資してはじけた後、シノギがしづらくなった(=暴力団の企業進出が防げた)のを彷彿とさせます。何せ中国は共産党という暴力組織が牛耳っている国ですから。
中国は国内だけでなく、海外にもドンドン投資して回収できそうもありません。どうするのでしょうか?スリランカやカンボジアの国土を借金のカタに奪い、中国の一部とするのでしょうか?チベット、ウイグル、モンゴルと同じ目に遭うのに。為政者が中国寄りの政策を採るのは、間違いなく賄賂を取っているでしょう。インドネシアもそうです。しかし人民元が暴落すれば受け取った人民元の価値は減りますが、人民元建ての借款であれば返済額も減ります。その方が国民にとって幸せでしょうが、宮崎氏によれば借金は$建なので、借入国は人民元暴落があっても影響されないという所でしょう。
宮崎記事
中国の十大銀行の海外直接投資への貸し付けが10兆元(160兆円)に上っていることが分かった。恐ろしいほど破天荒な貸し付けを行っていたのだ。 これらは習近平の目玉路線「一帯一路」(シルクロード)のプロジェクトを海外で展開するため、現地との合弁企業への貸し付けが主力である。 四大国有銀行のなかで、国内融資が大半の中国農業銀行を除き、中国建設銀行は対外貸し付け金額を31%増加させていた(国内は15%増、いずれも前年同期比)。中国工商銀行は26%増に対して国内融資は僅かに02%増だった。 外為専門の中国銀行は10・6%増加(国内は0・7%の増加で、17兆元、(2468億ドル)。 ところが、これら海外への貸し付けの中味を見ると、ラオスの水力発電所建設プロジェクト、同ミャンマーへも。 バングラデシュ、カンボジアの橋梁工事、スリランカの沖合新都心建設など、習近平が目玉とする「一帯一路」構造にみあうプロジェクトへの融資が殆どである。返ってくるアテがない貸し付けである。 中国は「返せそうではない」国々に随分と無造作に政治的意図による無謀な貸し付けを行っている。「一帯一路」とは「サブプライム」の中国版である。 嘗て米銀は「返せそうではない」人々に住宅ローンを組ませた(サブプライム危機)。そしてリーマンショックへと疾走し始めて、世界経済は大きな打撃を蒙った。 その二の舞を中国は自ら進行させているように思える。
(読者の声1)貴紙5262号によれば、中国は「返せそうではない」国々に「一帯一路」(サブプライムの中国版)。直接投資への貸し付けが10兆元(160兆円)に上っていることが分かった由、 外貨準備高が3兆ドルを大幅に下回っている、いや、実態は金庫は空っぽのハズとか言われているようですが。そのような無謀な直接投資への貸付の為に外貨保有高がへったのか? 素人にはわかりません。素朴な質問ですが、直接投資が文字通り「元」で貸し付けられているのか? ドル、その他の外貨でなく「元」なら関連資材、人材、etc を中国からなら調達、輸入できる事はわかる。 貸し付けられた通貨が「外貨」と市場の為替レートで有効に機能するものか、出来るものか? 教えてください。もし中国からのモノしか調達ができないとすれば、本国である中国自体の景気振興策の一つであり裏付け根拠のない元札の増刷は元の価値、レートが大幅に下がる運命か? (木内信胤の信徒の一人)
(宮崎正弘のコメント)相手国によって異なりますが、多くはドル建てで貸し付けられていますから、その分、中国の外貨準備は減少している筈です。 前号数字の統計は昨年までで、直後から資本規制を架けて、外貨流出を防ぎ始めたので、現時点では外貨準備がちょっと回復し、3月末速報で3兆90億ドルです。 あくまで表向きの数字ですが。。。。
East Asia Forum Economics記事
<East Asia Forum Economics, Politics and Public Policy in East Asia and the Pacific
Cambodia, Sri Lanka and the China debt trap
18 March 2017
Authors: Veasna Var, UNSW Canberra and Sovinda Po, ECNU
The influx of Chinese economic assistance into Sri Lanka and Cambodia has raised questions regarding the intentions behind these massive loans. While China may still be considered a developing economy, its current strategy of providing soft power loans and aid to its regional neighbours is reminiscent of the tributary system that the country employed back in its empire days.
Cambodia is one of China’s closest international partners and diplomatic allies, as well as being well and truly under China’s economic and political influence. Cambodian Prime Minister Hun Sen recently described China as Cambodia’s ‘most trustworthy friend’. Similarly, Chinese President Xi Jinping described Cambodia as ‘like a brother’ when Cambodian King Norodom Sihamoni visited Beijing in June 2016. China is now Cambodia’s largest military benefactor and provider of development aid and foreign investment, having given about US$3 billion in concessional loans and grants to Cambodia since 1992.
A 2016 International Monetary Fund (IMF) report showed that Cambodia’s external multilateral public debt is now at US$1.6 billion, while its bilateral public debt with China is US$3.9 billion — 80 per cent of this is owned by China.
Looking further afield, Sri Lanka’s growing economic engagement with China has also generated concern among scholars and policymakers. One side of the argument posits that China has made a positive contribution to the economic growth of Sri Lanka. China has provided Sri Lanka with over US$5 billion between 1971 and 2012. Most of this has gone into infrastructure development, with China investing US$1 billion into a deep-water port at Hambantota and billions into the Mattala Airport, a new railway and the Colombo Port City Project.
As a small country emerging from civil war, infrastructure is crucial in facilitating Sri Lanka’s trade and foreign investment sectors. The World Bank forecasts that Sri Lanka’s GDP growth is likely to grow from 3.9 per cent in 2016 to around 5 per cent in 2017.
Yet opponents see flaws in the China–Sri Lanka bilateral relationship. First, Sri Lanka has borrowed billions of dollars from China in order to build domestic infrastructure. Sri Lanka’s estimated national debt is US$64.9 billion, of which US$8 billion is owed to China. This can be attributed to the high interest rate on Chinese loans. For the Hambantota Port project, Sri Lanka borrowed US$301 million from China with an interest rate of 6.3 per cent, while the interest rates on soft loans from the World Bank and the Asian Development Bank (ADB) are only 0.25–3 per cent. Sri Lanka is very deep in a debt crisis or ‘debt trap’ as some scholars describe it.
Second, Sri Lanka is currently unable to pay off its debt to China because of its slow economic growth. To resolve its debt crisis, the Sri Lankan government has agreed to convert its debt into equity. But the recent Sri Lankan decision allowing Chinese firms 80 per cent of the total share and a 99 year lease of Hambantota port caused public outrage and violent protests in Sri Lanka. In addition, Chinese firms have been given operating and managing control of Mattala Airport, built by Chinese loans of US$300–400 million, because the Sri Lankan government is unable to bear the annual expenses of US$100–200 million.
According to Brookings Institute visiting fellow Kadira Pethiyagoda, having access to the Hambantota port and Mattala airport provides Beijing with a strategic military position in the event of an Indian Ocean conflict and is also key for its ‘Belt and Road’ initiative. The growing Chinese influence may also compel Sri Lanka to support China’s position on the South China Sea dispute and ‘One China’ policy.
While Cambodia and Sri Lanka differ in terms of their geographic location, demography and pattern of strategic relations with China, there are some crucial lessons that Cambodia and other small countries can learn to avoid ending up in Sri Lanka’s position.
Cambodia needs to diversify its borrowing sources and critically consider taking loans from multinational donor agencies like the IMF, the World Bank, the ADB as well as other major countries like the United States and Japan. While the approval process would be slower, the wait is beneficial because these loans are attached to strict conditions of accountability, transparency and rule of law.
Cambodia must be aware that China’s influence in the country will grow as the loans increase. This is already evident, with Cambodia’s recent decision to unilaterally delay the Angkor Sentinel with the United States for two years and to ban the Taiwanese flag from being raised in Cambodia. Cambodia’s foreign policy seems to largely serve China’s political and diplomatic interests in the region while Cambodia’s own international reputation and soft power are eroding.
When borrowing from China, Cambodia needs to initiate the legal contract and detail the terms and conditions of the loans and aid in accordance with international standards. Cambodia will also need to diversify its foreign policy to include other countries and regional initiatives like ASEAN and the Greater Mekong Sub-Region Economic Cooperation.
But none of this will be possible until Cambodia resolves its own domestic priorities. This includes the elimination of corruption, cronyism, forced evictions, land evictions and the protection of human rights and fair elections. This will bolster support from the international community and counterbalance China’s dominant presence in the country.
Veasna Var is a PhD candidate at the University of New South Wales (UNSW), Canberra and Sovinda Po is a masters student at East China Normal University (ECNU), Shanghai.
東アジアと太平洋の経済、政治、公共政策についての東アジア会議
カンボジア、スリランカと中国からの負債の罠 2017年3月18日
スリランカとカンボジアへの中国の経済援助の流入は、大規模借款の裏に潜む意図について疑問を投げかけている。中国がまだ開発途上国経済と考えられるかもしれないのに、ソフトパワーとしての借款戦略や地域の隣人に付与する援助は、中国が帝国時代に使った朝貢体制を思い出させる。
カンボジアは、中国の最も親しい国際的パートナーの国の一つであり、外交的同盟国である。中国の経済や政治的な影響下にある国とも言える。
カンボジアのフン・セン首相は、最近、中国をカンボジアの『最も信頼できる友人』と言った。同様に、習近平主席は、カンボジアのノロドム・シハモニ国王が2016年6月に北京を訪問したときに、カンボジアを『兄弟のような』国と言った。中国は今やカンボジアの最大の軍事支援者であり、開発援助と対外投資の提供者である。そして、1992年以降カンボジアに無利子融資と補助金でおよそ30億米ドルを付与した。
2016年の国際通貨基金(IMF)報告は、カンボジアは中国との二国間の公的借款が3.9億米ドルであり、対外多国間の公的借款が現在1.6億米ドルであって、この80パーセントは、中国が負担している。
もっと遠くにはスリランカがあり、中国のスリランカへの経済成長への関与は、学者と政策立案者の間に懸念を生み出した。一方で、中国はスリランカの経済成長へ明確な貢献をしたと断定する。
中国は、1971年~2012年にスリランカに50億米ドル以上を提供した。このうち多くのものはインフラ投資に用いられ、数十億$のコロンボ港プロジェクト、新鉄道、マタラ空港への投資、ハンバントタに深海港(潜水艦が寄港できるように)10億$を投資した。
内戦が終わり、やっと立上った小さな国として、インフラ整備はスリランカの貿易と外国からの投資にむけ死活的に重要である。世界銀行は、スリランカのGDP成長は2016年の3.9パーセントから2017年に5パーセントまで成長しそうであると予測する。
それでも、反対者は中国とスリランカ二国の関係の欠点がわかる。最初に、スリランカは、国内インフラを建設するために、中国から数10億$を借りた。スリランカの国債発行は、649億米ドルで、その内80億米ドル分は中国が所有している。これは、中国の高いローン金利に起因していると言える。
ハンバントタ港プロジェクトのために、スリランカは世界銀行とアジア開発銀行(ADB)からの長期低利貸し付けの金利が0.25~3%の間のときに、中国からは6.3パーセントの金利で3億100万米$を借りた。一部の学者が言うように、スリランカは債務危機または『負債の罠』で非常に深刻である。
第2には、スリランカは現在緩やかな経済成長のため、中国にその負債を返済することができないでいる。その債務危機を解決するために、スリランカ政府はデット・エクイテイ・ワップすることに同意した。しかし、総株式の80パーセントを中国の会社に与え、ハンバントタ港の99年の租借付与という最近のスリランカの決定は、大衆の怒りと激しい抗議を引き起こした。更には、スリランカ政府は1~2億US$の年間支出に耐えられないので、中国の会社に、マタラ空港(3–4億US$借款で中国が造った)の管理運用権を付与した。
ブルッキングズ研究所のカデイラ・ペシヤゴダによると、ハンバントタ港とマタラ空港へのアクセス権を付与することは、インド洋で中印が衝突した場合、北京に戦略的要地を与え、『一帯一路』構想の鍵となる。中国の影響力の伸長は、スリランカに南シナ海領土紛争と『一つの中国』政策につき中国への支援を押し付けられるかもしれない。
カンボジアとスリランカは中国との関係では、地理上の位置、人口動態、戦略的結び付きの傾向について違っている。それ故カンボジアと他の弱小国は、スリランカのようにならないことを重大な教訓としなければならない。
カンボジアは、借入先を多様化して、IMF、世界銀行、ADBならびにアメリカ合衆国と日本などの他の主要な国等の機関から融資を受けることを真剣に検討する必要がある。融資の承認過程には時間がかけられ、待っている間、厳しい説明責任、透明度と法の支配の洗礼を受ける。
カンボジアは、中国からの融資が増えることは、中国の影響が増すことに気づかなければならない。2年間アメリカ合衆国と共にアンコールの門衛をするのを、カンボジア国内で台湾国旗を翻させないため、一方的に遅らせたのは明らかである。カンボジアの外交政策が中国の国益に寄与するように見えるのは、カンボジア自身の国際的な評価とソフトパワーを毀損する。中国からの融資に対し、カンボジアは契約を結ぶに当たり、国際基準に則り融資や援助の条件を詳述する必要がある。カンボジアは他の国やASEAN、大メコン経済協力等の地域構想を含めて外交政策を多様化する必要がある。
しかし、カンボジアが国内の優先課題を解決するまで、これのどれも可能ではない。これは、腐敗やえこひいき、強制立ち退きをなくし、人権と公平な選挙を保護することを含む。これは国際社会から支持を強め、中国の優位な存在とバランスをとることができる。
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