『米中貿易戦争の激化は秋以降、日本も巻き添えか トランプ大統領と習主席、共に具体策先送りの「必然」』(4/10日経ビジネスオンライン 細川昌彦)、『北京はトランプ政権の“タフネス”を再認識した 元NSCアジア上級部長のデニス・ワイルダー氏に聞く』(4/10日経ビジネスオンライン 篠原匡)について

トランプ大統領の考えている不公平貿易の槍玉に、「鉄鋼」、「アルミ」、「家電」が候補として上がっています。日本企業の米国向け輸出がどのくらいあり、ソーシャル・ダンピングに該当するのかどうか分かりませんが、中国ほど影響は出ないのでは。高速鉄道を米国に敷設するときにどういう影響が出るのか。米国で日本に替わって車両を生産し、安全運航できるノウハウを持っているとは思えませんが。

https://www.axios.com/scoop-trumps-potentially-explosive-trade-play-2352691437.html

朝鮮半島問題で、4/8読売には「在韓米軍司令官らと対北連携強化確認…長嶺大使」の記事が掲載されました。韓国抜きで在留邦人の救出問題が話し合われたのではと思われます。それにしても、外務省の邦人の安全についての不作為は度を超しています。小坪慎也氏のメルマガには外務省に対し国会議員が「渡航自粛要請」を出すよう問い質したところ、外務省の回答は「現時点では注意情報のレベルを引き上げる必要がある状況とは認識していない」というものでした。韓国大使を帰任させたのは外務省で、何のために帰任させたかは明らかでしょう。それを愚図愚図決断しないでいれば、犠牲者が増えるだけです。外務省の発想は「相手国の嫌がることはしない」という福田康夫と同じです。外交問題にしたくない、事なかれ主義です。交渉能力ゼロだから、国益を損ねる外交をずっとしてきた訳です。政治(官邸)が外務省を動かさねば。神社や寺に油を撒いているのも、前例を見れば韓国より帰化の日本人でしたので、韓国人のビザなし渡航もなしにしなければ。北のスパイが混じっている可能性もあります。破壊工作されないようにしないと。

http://www.yomiuri.co.jp/politics/20170408-OYT1T50046.html

https://samurai20.jp/2017/04/tokou/

https://samurai20.jp/2017/04/refuge/

細川記事

米中首脳会談では共同声明も出されず、双方の発表内容にも違いがあった。トランプ大統領は国内政策での失点挽回、習主席は国内権力基盤の強化を狙い、具体策の先送りは「必然」。元経産省米州課長の細川昌彦氏(中部大学特任教授)は今秋以降、米中貿易戦争は激化し、日本も巻き込まれるリスクがあると分析する。

(「トランプウオッチ」でトランプ政権関連の情報を随時更新中)

トランプ米大統領の別荘で開催された米中首脳会談(写真:新華社/アフロ)

共同声明も出されず、米中双方の発表内容の違いが今回の首脳会談の特徴を物語っている。

中国側発表を見れば、今回は米中の協調を演出して、大国として米国と対等であることを誇示するのが目的であったことが露骨に表れている。今秋予定の5年に一度の共産党大会で、自らの権力基盤を強固なものとしたい習近平主席が、わざわざこのタイミングで訪米を仕掛けた意図はそこにある。

成果は新しい対話の枠組みを合意したことぐらいで、具体的取引は先送りにして、米国の圧力をかわそうとしている。これは常套手段で、2月の日米首脳会談での経済対話の合意も影響しているようだ。

また、米国に「相互尊重」を認めさせたことは、この概念が核心的利益の尊重を含みうるだけに、東シナ海、南シナ海問題での米国の圧力に弱腰ではなかったことを国内向けにアピールできるポイントだろう。

他方、米国はどうであろうか。

トランプ政権にとってオバマケアの見直しなど国内政策の失点を外交で挽回して稼ぐ、いいチャンスであった。協調が最優先目標の中国相手に、米国は決裂させても強硬姿勢が国内的には支持されるというのは、明らかに交渉ポジションが強い。

問題は政権内部だ。幹部人事が進んでいない結果、体制が整わず、対中スタンスも定まらない。強硬派と穏健派の綱引きもあって、政権内の力学も流動的だ。結果的に具体策にまで詰められず、立ち入れない。

具体策に立ち入らない中国、他方で立ち入れない米国。

結果は具体的合意がなく、具体策は先送りになって当然だった。

貿易不均衡是正、中国は秋まで米国とは事を構えない

その中で米国がこの強い交渉ポジションを活かして唯一、明確に得点したのが、貿易不均衡是正の100日計画の策定だ。中国側の発表には一切これが出てこないので、米国が中国にねじ込んだのは明らかだ。

内容は、短期間に貿易不均衡を是正する具体的措置を求めるというものだ。中国としてみれば、今秋までは米国と事を構えず、なだめる作戦だろう。なだめる手法は1980年代の日本を参考にしている。当時米国から貿易不均衡是正の圧力を受けて日本が繰り出したのが、輸出自主規制、輸入拡大、現地生産の拡大の3点セットだった。

米国としても今秋までの交渉ポジションの強いうちに、取れるものは取っておこうという算段だ。

中国は経済のパイが大きいこと、そして国有企業もあって、経済活動を国家がコントロールすることはお手の物であることを考えると、当時の日本と比較にならないくらい、やりやすいだろう。ただし、国内的に、米国に譲歩したとみられない工夫も必要になってくる。

米中貿易戦争の激化に日本も巻き込まれかねない

むしろ問題なのは、日本への影響だ。

近々予定されている日米経済対話で、日本にも貿易不均衡是正の対策を要求してくる可能性が出てきた。かつて指摘したように、米国が「均衡のとれた経済関係」という、いわば結果主義を標榜していること自体が問題だが、中国はあっさりこれを認めてしまったことになる。

日本の場合、対米貿易黒字はかつてのような規模ではないものの、中国のように国家が経済活動を直接的にコントロールできる国ではない。そして効果がないことは過去の経験が実証している。日本は難しい対応を迫られそうだ。

また今秋の党大会を終えて以降、米中の貿易戦争が激化することが予想される。中国が対外的に強硬路線を採りやすく、米国は来年の中間選挙に向けてアピールできるものが欲しくて強硬に出る。しかし、米国は80年代のような一方的措置をちらつかせているものの、当時の日本が相手の時とはまるで事情が違うことは要注意だ。

中国は安全保障で米国に依存しているわけでもなく、巨大な中国市場というレバレッジを持っている。米国への報復措置も航空機など様々有効な手立てを繰り出すことができる。

あり得るシナリオとして、米国はアンチダンピングを頻繁に活用する事態になるのではないだろうか。

いずれにしても、日本が中国の対米経済問題に巻き込まれるリスクが大きいだけに注意が必要だ。

米国から見れば、中国と日本を同列に並べて攻めていく構図ではない。そのため、日本としては、米国と連携して中国が抱える問題に対処していく構図に持ち込めるかどうかが、来るべき日米経済対話での戦略のポイントとなる。

米中で食い違う北朝鮮問題の「時間軸」

協調の演出と引き換えに中国が重い宿題を負わされた、もう一つの問題が北朝鮮問題だ。

北朝鮮問題については、まず米中の間で時間軸が違うことがポイントだ。

米国にとっては、北朝鮮による米国本土を射程に入れる大陸間弾道ミサイル(ICBM)の開発が迫る中、これを阻止するのが当面の差し迫った最大目標だ。事態は緊迫しており、時間との勝負である。

他方、中国にとっての北朝鮮問題は、できれば触りたくない問題で、今秋の共産党大会までは国内からの批判を恐れてなかなか思い切った手を打てない。この時期、人民解放軍、とりわけ東北部の陸軍に不満を持たせないことは、権力基盤の安定化の上で大事だ。

来月予定の韓国大統領選も大きく影響する。反米、対北融和の大統領が選出される可能性もあるからだ。

中国としては米国を揺さぶるうえでも、そういう事態をじっくり待ちたい。逆に米国はそうならないうちに中国を具体的行動に追い込んでいきたい。また、反米、対北融和の韓国大統領が誕生すれば、米国は北朝鮮への軍事行動の前提になる諜報活動を韓国に大きく依存していることから、影響が出てくる恐れもある。そういう綱引きが米中間で行われている。

今回の米国によるシリア空爆および米国の単独行動も辞さずの姿勢は、中国に対する強烈な圧力になっているようだ。さらに米国は中国に対して波状攻撃で圧力をかけてこよう。

日本は「平和ボケ」の状況から一刻も早く抜け出すべき

こうした米中の駆け引きの中で、日本はどうするべきか。

日本としては短期的には、米国の言う「あらゆるオプション」への備えに怠りないようにすべきだろう。ミサイル防衛の強化に一刻の猶予も許されない。北朝鮮が日本射程の弾道ミサイルを100発近く保有しているという現実を直視して、平和ボケから脱するべきだ。

中長期的には、朝鮮半島の将来像をどう描くかという、本質的な問題に米中は向き合うことになるだろう。仮に反米的な韓国大統領が誕生した場合、米中それぞれ扱いにくい子供を抱えて、朝鮮半島を統一して非核化、中立化する考えが出てきてもおかしくない。その時もっとも深刻な影響を受けるのが日本である。米中のグランドデザインが共有されたとき、想定外ということにならないようにしたいものだ。

篠原記事

トランプ大統領の別荘、「マール・ア・ラゴ」で4月6、7日に開催されていた米中首脳会談が終了した。米中の貿易不均衡や北朝鮮の核開発問題が争点だったが、シリア・アサド政権が化学兵器を使用した報復措置としてミサイル攻撃を命令、首脳会談の最中にミサイル攻撃が敢行されるという異例の展開になった。今回の米中首脳会談をどう見たか、専門家に聞いた。

(ニューヨーク支局、篠原匡)

—米中首脳会談が終了した。今回の会談に当たって、それぞれが獲得を目指した目標は何だったと思うか。

デニス・ワイルダー氏(以下、ワイルダー):ティラーソン国務長官が語ったように、米中には過去40年の関係があり、現在は次の40年の関係を確立する時期だ。今回の首脳会談の目的は米中関係における新たな“パラメーター(変数)”をセットすることにあった。

デニス・ワイルダー氏 米中央情報局(CIA)の東アジア担当副長官補佐、ジョージ・W・ブッシュ政権で国家安全保障会議(NSC)のアジア上級部長などを歴任。現在は米ジョージタウン大学で教壇に立つ

もちろん、それぞれの国にも思惑があった。トランプ大統領は習近平国家主席に対して、自分がこれまでの大統領とは異なり、中国にタフだということを示したいと思っていた。一方の習近平国家主席も米国の新大統領と上手く関係を構築できるというところを示したかった。習近平国家主席のその目標は、達成することができたのではないだろうか。

—トランプ大統領は目的を達することができたか。

ワイルダー: トランプ大統領は果断で断固としたリーダーということを、米国が世界で最も力強く重要な国だということを示した。ミサイル攻撃がその後押しになったのは確かだ。習近平国家主席は(シリアへのミサイル攻撃という)トランプ大統領の大胆なアクションで少し影が薄くなったと感じたかもしれない。

中国はトランプ大統領が世間の注目を集めるために、あるいは有権者の支持を得るために、大げさなことを言いたがるという傾向を理解している。同様に、中国は(義理の息子の)クシュナ―上級顧問や(長女の)イバンカ氏と緊密な関係を築いており、大統領と直接のチャネルを得たと考えている。

一方で、習近平国家主席は首脳会談の間、トランプ大統領のタフネスも学んだ。

中国は会談前に、北朝鮮に対する米国の単独行動について大統領がどれだけ深刻に考えているのか、知りたいと思っていただろう。だが、ティラーソン国務長官は首脳会談の後も単独行動を辞さない姿勢を繰り返している。しかも、トランプ大統領は首脳会談の最中にミサイル攻撃を命じた。ミサイル攻撃に対して、習近平国家主席がネガティブな反応をするというリスクもあったが、トランプ大統領はそのリスクを取った。彼は中国が考慮しなければならない米国のグローバル・パワーと適用範囲を明確に示した。中国は単独行動の脅威をより深刻に捉えるようになると思う。

米国の最大の成果は「貿易不均衡是正のための100日計画」

—トランプ政権は決して与しやすくない、と。

ワイルダー: ミサイル攻撃の後、北京がトランプ大統領との交渉をイージーだと考えることはないと思う。他方、トランプ大統領と彼のファミリーはマール・ア・ラゴに習近平国家主席を招待したことで、中国のリーダーに偉大なるリスペクトを示した。中国は恐らく、トランプ政権が強くタフだと認識している。同時に、トランプ大統領の発言を注意深く、真剣に考えなければならないと感じているだろう。断固とした行動を取る超大国のリーダーということを改めて認識したと思うよ。

—北朝鮮の核開発についてはどうか。

ワイルダー: 両国が互いの見方を表明したとは思うが、何かの合意を得たということはないと思う。新たに構築される安全保障にかかわる対話メカニズムが北朝鮮問題を前に進める上で重要になるだろう。

—北朝鮮の核開発問題と並び、貿易不均衡の是正も焦点の一つだった。

ワイルダー: 今回の最大の成果は恐らくそこだ。新たな包括的な経済対話のメカニズムは失敗しつつある米中戦略・経済対話をリセットすることにつながる。貿易不均衡是正のための100日計画がアナウンスされたことで、両国のリーダーはこの問題を前進させる方法を考えなければならなくなった。

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