習訪米が決まったようです。でも3/31宮崎正弘氏のメルマガでは、フロリダの別荘に習は泊らないとのこと、秋の党大会に向けてのアリバイ作りだけでしょう。米国が中国に対して要求するのは、北朝鮮の核開発・ICBM開発抑止、米国への貿易赤字削減、南シナ海・東シナ海での行動抑止のどれをとっても中国は飲むつもりはないでしょう。でも、トランプだって譲歩することは出来ません。大統領選で当選したのは、白人労働者、軍・警察・消防の支持があって勝てましたので、彼らの望みを叶えないことには、それこそ弾劾されるかもしれません。
http://www.jiji.com/jc/article?k=2017033000880&g=int
http://melma.com/backnumber_45206_6507941/
メルマガ『台湾は日本の生命線』の3/30記事で「米国務省は三月二十二日に開催したIS打倒を目指す各国による有志連合の閣僚級会合に、台湾の高碩泰駐米代表(大使)を招いた。一方、日本政府は二十五日に台北で開催された日本PRのイベントに、赤間二郎総務副大臣を派遣した。日台断交後、副大臣級の高官を正式に派遣するのは初めてのことだ。」とあります。日米連携で台湾を守り、中国を牽制する狙いでしょう。習が4/6、7に訪米して、「一つの中国」を認めるように迫っても、この動きがその答えになると思います。米国の今までの説明、「中国は一つの国と承認」、「台湾が中国の一部分という中国の主張は理解した」というものに留まるだけでしょう。却って、米国が台湾に兵器を売却し、米軍顧問団を充実させた動きが今回の習訪米への回答になるはずです。中国が勝手に国際ルールを破るなら、米国も中国との約束も何故守らなければいけないのかという事です。日本へも尖閣の約束すら反故にしているではないですか。しかも、米国の覇権に敢然と挑戦してきていますので。中国としては米国要人に金を配って来たので、米国も折れると思っているのでしょう。でも、トランプは無能のオバマとは違います。中国に甘い顔はしないと思います。
http://mamoretaiwan.blog100.fc2.com/blog-entry-3103.html
http://www.sankei.com/world/news/170305/wor1703050003-n1.html
本記事の国務省予算28.7%減というのはバランスを欠くかもしれませんが、国に棲む「内なる敵」の炙り出しを狙っているのでは。国務省は中国寄りのスタッフ(金に転んでいるか、ハニーを仕掛けられたか)が多いと言われています。
本記事では、海軍の予算、特に艦艇の数が問題になっていますが、兵頭二十八氏の『日本の武器で滅びる中華人民共和国』によれば、中国を沈底機雷で海上封鎖すれば、日本でも勝利する=米艦艇を増やさなくても勝てるとのことでした。ただ、それをハッキリ言うと海軍予算が増えないので、大々的なアピールはしてこなかったとのことです。日高義樹氏の『中国、敗れたり』にも機雷の件は載っていまして、確かに中国は戦わずして敗れるでしょう。でも米軍の艦艇は増やしてほしいと思います。トランプのいうインフラ充実にもなるでしょう。
記事
米バージニア州ノーフォークの海軍基地を出港する米駆逐艦「マハン」〔AFPBB News〕
我が国を取り巻く安全保障環境の動向を考察する際に、米軍と人民解放軍(PLA)の軍事バランスを分析することは重要である。特にアジア太平洋地域における米海軍と人民解放軍海軍(PLAN)の将来動向を分析することは不可欠である。
筆者は現在、ハーバード大学アジアセンターで日米中の安全保障関係を研究しているが、同じ建物の中に中国研究のメッカであるフェアバンクスセンターがあり、毎週数本の面白いセミナーが行われている。
筆者自身も3月3日に人民解放軍に関するセミナーを主宰したが、その際に、米海軍大学のアンドリュー・エリクソン(Andrew S. Erickson)教授が司会の役目を引き受けてくれた。
海軍大学は、ボストンから比較的近いニューポートに所在し、同大学の教授と付き合う機会も増えてきたが、人民解放軍海軍に関する研究では世界最高峰の研究者が揃っていると思う。
本稿においても、米海軍大学の研究成果特にエリクソン教授が編者となり出版された「中国の海軍艦艇建造」(“Chinese Naval Shipbuilding”)の研究成果を紹介するが、人民解放軍海軍が急速にその戦力を増強し、2030年に数の上では人民解放軍海軍が米海軍を凌駕することを知ってもらいたいと思う。
当然ながら質の面では米海軍が優位性を保つ分野が多いと思うが、量で劣勢になることはアジア太平洋のパワーバランスに大きな影響を与えることになるので注意が必要だ。
一方、ドナルド・トランプ氏は、大統領選挙期間中の9月に大軍拡計画である「力による平和(Peace through Strength)」を提唱し、その中で350隻海軍を公約として掲げた。
しかし、最近の分析記事を読むと米国の造船業界およびその関連サプライチェーン(原料の段階から製品やサービスが消費者の手に届くまでの一連の工程)における諸問題が指摘され、350隻海軍の実現が簡単なものではないことが明らかになってきた。その状況も中国の状況と対比しながら説明したい。
トランプ政権の350隻海軍と米海軍の355隻海軍
- トランプ政権の350隻海軍
トランプ氏の最初の60日は挫折の連続であった。移民制限に関する大統領令は裁判所に拒否され、オバマケアの代替となるトランプケアの実現にも失敗した。安全保障を研究する筆者にとって特に心配になるのが、「力による平和」の行く末である。
「力による平和」の最重要な公約として、米海軍の艦艇数を現在の275隻から増強し、米海軍350隻体制にするという平時における史上最大規模の海軍増強計画を発表した。この米海軍350隻体制が挫折してもらっては困るというのが筆者の思いだ。
- 米海軍の355隻海軍
米海軍が大統領選挙におけるトランプ氏の勝利(昨年11月8日)を見届けて、12月15日に提案したのが355隻海軍体制である。当時のアシュトン・カーター国防長官が火事場泥棒的な海軍案に対し激怒したように、トランプ勝利に便乗した海軍増強案という厳しい見方もできよう。
いずれにしろ、海軍が示したFSA(戦力構成評価)によると、空母12隻、大型水上戦闘艦艇104隻、小型水上戦闘艦艇52隻、両用戦艦艇38隻、攻撃型潜水艦66隻、弾道ミサイル潜水艦12隻、戦闘兵站艦艇32隻、遠征迅速輸送/高速輸送艦艇10隻、遠征支援艦艇6隻、指揮支援艦艇23隻、合計355隻海軍の提案であり、トランプ政権案の350隻よりも多い案である。海軍はしたたかである。
米海軍350隻体制の実現の可能性
中国人民解放軍海軍が2030年に415隻体制を構築する可能性が指摘されている中で、米海軍の350隻体制の構築が急がれるが、米国には造船業界が抱える諸問題があり、すんなりと350隻体制が達成されるかどうか分からない。
- ニューズ・ウィーク誌が伝える諸問題
ニューズ・ウィーク誌の記事*1は、350隻海軍の実現には大きな問題があると指摘している。まず、予算の確保の問題であり、次いで熟練工等の確保やサプライチェーンの問題だ。
*1=Reuters, “Trump’s Navy Warship Expansion Plan Faces Major Obstacles”, News Week
- 予算を確保する必要性
まずは予算を確保することが最優先事項だ。350隻海軍を実現するためには期間30年間で6900億ドル(1ドル110円として76兆円)、1年間で230億ドル(2兆5300億円)必要だと言われている。これは過去30年間、艦艇建造に使っていた予算の60%増の額になる。
企業にとっては、350隻体制というスローガンは歓迎するが、実際に予算的裏づけが明確にならないと、さらなる設備投資をし、雇用を増大する決定ができない。将来を見越して新規雇用するのは難しい。特に小規模な造船所や部品供給会社においては特にそうである。
まずトランプ政権が実施すべきは予算の獲得である。政府は予算案を提出できるが、予算決定の主導権は議会が握っている。国防力の強化は確かにトランプ政権の重要な公約であるが、同時に大幅な減税や膨大なインフラ整備も重要な公約であり、大幅な財政赤字が予想される中でいかなる国防費になるかが問題だ。
- トランプ予算案の問題点
トランプ政権が発表した予算案に対し多くの者が批判している。あまりにもバランスを欠いた国防費偏重の「ハードパワー重視予算」であるという批判だ。
確かに国防費は独り勝ちで、540億ドル増の6030億ドル(66兆3300億円)であり、これだけを見れば評価できる。しかし、全体の予算をスクラップ・アンド・ビルドで国防費の540億ドル増を他の省庁から540億ドルを減じてプラスマイナスゼロにしたために非常にいびつな予算となっている。
例えば、国務省28.7%減、労働省と農務省はともに20.7%減、保健・福祉省16.2%減、商務省15.7%減、オバマ大統領が目の敵にしている環境保護庁は31.4%減となっている。
特に国務省予算28.7%減はソフトパワー予算の大幅な削減であり、多くの専門家が懸念を表明している。本来であれば、ハードパワーである軍事とソフトパワーである外交などが上手くバランスをとることが重要であるが、トランプ予算はそうなっていない。
共和党は昔から、ロナルド・レーガン大統領の「力による平和」をマントラのように唱えてきた。トランプ大統領も同じだ。彼の「力による平和」はレーガンの真似である。しかし、レーガン大統領の場合は、外交政策として「軍事力が全てで、外交はゼロ」というアプローチをとっていない。
トランプ大統領は、予算においても「アメリカ・ファースト」を強調し、国防費の増額を主張する一方で、同盟国に対しても国防費の増額などの負担増大を要求しているが、明らかな論理の矛盾を露呈している。この論理の矛盾こそトランプ政策の特徴の1つである。
もう1つ、トランプ予算の特徴は戦略の裏づけがないことも指摘したい。
- 専門技術者の不足にいかに対処するか
350隻への拡大は、ただ単に75隻を追加するという単純な問題ではない。現在就役している275隻の多くを更新する必要があり、この更新所要も考慮すると、今後30年後の2046年までの間に321隻の艦艇を購入しなければいけない。
350隻海軍の建設は5万人の雇用を創出する。2016年における造船および修理産業は、10万人雇用していた。冷戦時代の1980年代末には600隻艦隊の維持のために17万6000人を雇用していた。
急激な造船ブームに対応して労働力を確保することは非常に難しい。艦船の建造のための熟練工(電気技術者、溶接工など)が不足している。ここ数年における歴史的な艦艇製造数の低下により、造船所および核燃料製造業者を含む関連企業を数年間にわたって強化しなければいけない。
政府は、造船関連企業に能力アップの時間を与えなければいけない。米国の2大造船企業は、ジェネラル・ダイナミックスとハンチントン・インガルスだが、両社はすでに受注している事業(コロンビア級の弾道ミサイル発射潜水艦など)を完成させるために、2017年における新規雇用6000人を予定するなど、大幅な熟練工の確保が必要となる。
- 潜水艦の危機
海軍の増強特に潜水艦部隊の増強計画により深刻な能力不足問題、サプライチェーン問題がある。また、潜水艦の造船所で働く場合、秘密保全の基準をクリアするのが難しいという問題もある。
原子力潜水艦を製造してきた造船所(ジェネラル・ダイナミックスのエレクトリック・ボートやハンチントンのニューポート・ニューズ)は、1980年代には1年間に7隻の原子力潜水艦を製造してきたが、直近の10年間は1年間に2隻以下しか製造していない。
例えば、ヴァージニア級とコロンビア級の原子力潜水艦は規模が最大でしかも最も複雑な潜水艦だが、コロンビア級1番艦は2021年に製造を開始し7年間かけて完成し、その後に2~3年の試験が必要だ。つまり戦力化するまでには製造を開始してから10年はかかる。
より大きな問題は、サプライチェーンを拡大することだ。潜水艦の部品メーカー、例えば炉心、大きな鋳物、プロペラやシャフトの鍛鉄は、製造を2倍にするのに5年はかかるという。
「年2隻の潜水艦のための産業基盤を作ってきた。その上に1~2隻を追加できない。年2個の炉心だったのに年4個は作れない」との声もある。
また、長い間眠っていた造船所のスペースを入れ替えるには、数年間の年月と資金の投入が必要になるなど解決すべき問題は多い。
中国人民解放軍海軍(PLAN)は2030年までに主要艦艇415隻体制
一方、人民解放軍海軍の艦艇数の将来予測はどうなっているか。
- 米海軍大学の予想:2030年に主要艦艇415隻体制
英国のRUSIに所属するピーター・ロバーツによると、人民解放軍海軍は500隻海軍を目指していると主張している*2。
しかし、彼のリポートの根拠は米海軍大学の研究*3を根拠としている。また、ジェームズ・ファネル(James E. Fanell)などのリポート*4も米海軍大学がスポンサーになった研究(つまりエリクソン教授等の研究)に基づき、中国海軍の2030年における艦艇数は主要水上艦艇430隻、潜水艦100隻、合計530隻体制になると主張している。
しかし、この530隻は非常に紛らわしい数字であり、機雷戦用の小艦艇や補助艦艇(合計120隻)を含んだ隻数である。結論として、米海軍の350隻(主要水上艦艇と潜水艦の合計)と比較するためには下図(「人民解放軍海軍の主要艦艇隻数の推移」を表している。
出典:「Chinese Naval Shipbuilding」)の右下に記載している415隻が適切な数字である。500隻とか530隻ではなくて、415隻を2030年における人民解放軍海軍の隻数とする。
なお、各年の主要艦艇の隻数は以下のとおり。
2016年:潜水艦数66隻、主要水上艦艇237隻、合計303隻 2020年:潜水艦数69~78隻、主要水上艦艇244~264隻、合計313~342隻 2030年:潜水艦数99隻、主要水上艦艇316隻、合計415隻
*2=Peter Roberts, “CHINA’S 500-SHIP NAVY SUDDENLY APPEARS ON THE HORIZON”
*3=Andrew S. Ericson編,“Chinese Naval Shipbuilding ”,Naval Institute Press
*4=James E. Fanell、Scott Cheney-Peters、“Defending Against a Chinese Navy of 500 Ships”、WSJ
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