『共産党の「核心」になっても続く習近平の権力闘争 “誰も挑戦できない権威の象徴”ではなくなった核心の座』(11/29JBプレス 阿部純一)について

中国の歴史は権力闘争の歴史です。決して民主化することはありませんでしたし、これからも長期に亘って民主化することはないと思われます。為政者側の腐敗がひどく、権力を握れば必ずや富を独り占めしようとします。人民は収奪の対象でしかありませんし、侵略の先兵として弊履の如く捨てられる運命にあります。中国人に高貴な精神を求めても無駄と言うもの。“対牛弾琴”というやつでしょう。孔子だって世の中に受け入れられなかったというのは中国社会が如何に弱肉強食で動いているのかを表しています。日本も徳川幕府時代、朱子学を武家の道徳と定めたので、論語の影響を受けて、中国人というのは公共道徳を守る優れた民族との思い入れがあったと思います。小生が中国から帰国した11年前に中国の実態を話したら、「国粋主義者」とか「人種差別主義者」とか罵られたものでした。今は日本にも中国人が沢山来て、その民度の低さが目に見えるようになったので、今話せば誹謗されることはないと思います。日本人が如何にメデイアという権威に弱いのかと言う証左にもなります。メデイアは左翼・リベラルの巣窟で自分の都合の悪いことを主張されると声高にラベル貼りをするか、完全に無視します。左翼人士は須らく、スターリンや毛、ポルポトの人民虐殺の歴史を直視すべきでしょう。そうすれば、左翼ではいられなくなるはずなのに。誠実さが足りない連中で、軽蔑・唾棄すべき人間です。

習近平は狡猾で、敵を打倒するのにいろんな手を打つでしょうが、敵は日本人のように甘くはありません。足をどのようにして引っ張るか知恵を巡らしている筈です。人事の問題こそが彼が権力を握れるかどうかの分水嶺になるのは間違いありません。①王岐山の定年延長②習自身の定年・任期延長です。でも本文にありますように、下剋上はありますし、下台(=step down)すれば、韓国大統領のように法の裁きを受ける可能性が高いと思われます。反腐敗運動をやりすぎ、恨みを沢山買ったためです。言ってみればこれも易姓革命の一つなのかも。権力者が如何に法を守らず、人治で政を行ってきたかという事です。人民の生命など鴻毛の如く考えているのでしょう。こういう国に生まれなくて良かったと思い、中国のような国にしないためには、中国の侵略に対抗して、日本の防衛を強化しなければなりません。左翼が良く言っています「中国が攻めてくることはない」というのは尖閣の現実を見ない議論です。騙されないように。何時も言っていますように中国人の基本的価値観は「騙す方が賢く、騙される方が馬鹿」と言うものですから。

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中国・北京でジャンマルク・エロー仏外相(写真外)と会談を行う中国の習近平国家主席(2016年10月31日撮影、資料写真)。(c)AFP/FRED DUFOUR〔AFPBB News

習近平政権は来年秋の第19回党大会に向け、内政・外交ともに正念場を迎える。

内政では10月に開かれた「6中全会」(中国共産党第18期中央委員会第6回全体会議)で党における「領導核心」の座を手に入れ、権力基盤をさらに固めた。とはいえ、党大会で自分の裁量による指導体制を作り上げるために、やるべきことはまだ多い。

外交では、米国で誕生するトランプ新政権への対応が重要な課題となる。習近平政権にとっては、トランプ新政権の外交・安全保障政策がどう変化するかを見極め、トランプ新政権とどう折り合いをつけていくかが問われることになる。

(参考・関連記事)「習近平がどうしても『核心』の座が欲しかった理由

トランプ新政権への期待

米大統領選挙でのトランプ候補の当選は、中国でも予想外の事態であった。しかし、同候補の掲げた「アメリカ・ファースト」に基づくTPP(環太平洋パートナーシップ協定)の否定や、同盟関係の見直しといった政策が中国にとって好ましい部分があることは確かであり、トランプ政権の誕生は中国で好意的に受け止められている。

たしかに、TPPや「アジア・リバランス」といったオバマ政権の政策は、中国の台頭を経済と軍事の両面から封じ込めようとするものだった。それを否定するトランプへの期待が中国で湧き上がったとしても不思議ではない。

しかし、トランプ新政権が中国の都合のいいように動く保証はない。オバマ政権の政策の逆を目指すにしても、トランプ政権がオバマ政権よりもむしろ中国に厳しい対応を取る可能性は排除できないからだ。

習近平政権が求心力を高めるために「愛国主義」というナショナリズムを称揚しているように、トランプ新政権も「米国を再び偉大な国にしよう」というナショナリズムを表面に押し出してきた。トランプのナショナリズムが「孤立主義」とイコールであるとは限らないのである。

トランプ政権の対中外交がどのようなものになるかは、時間が経つにつれて明らかになっていくだろう。しかし、それがどのようなものであれ、習近平政権は、オバマ政権に提示してきた、米中が対等の立場に立つ「新型大国関係」の構築を目指すことになろう。

主席制の復活を画策か?

習近平政権にとって、むしろ問題なのは内政である。

習近平は10月の6中全会で、党における「核心」の座を手に入れ、1980年に鄧小平が主導して作られた「党内政治生活に関する若干の準則」(以下「準則」)を大きく書き換えた。

1980年の「準則」のキーワードは「集団指導(集体領導)」であった。毛沢東の個人独裁がもたらした「文化大革命」の過ちを繰り返すことのないよう、「集団指導体制」が謳われたのである。これに沿って、翌1982年に開催された第12回党大会では、「党中央委員会主席」が廃止され「党中央委員会総書記」となった。

中国では1949年の建国以来、「党中央委員会主席」が党における最終的な意思決定者だった。毛沢東は、まさにその役割を担ってきた。しかし、「党中央委員会総書記」は党中央委員会の最高指導者と位置づけられるものの、意思決定は党中央政治局常務委員会における多数決に委ねられる。主席制を廃止することによって、党中央で毛沢東のような独裁を再現できないようにする工夫であった。

習近平は、10月の6中全会で新たに採択された「新情勢下の党内政治生活に関する若干の準則」で、この個人独裁回避のための「集団指導」を大きくトーンダウンさせてしまった。

より正確に言えば、1980年の準則では独立した項目として「集団指導」を取り上げていたのが、新しい準則では「集団指導」を「民主集中制」を構成する要素の1つとしている。この書き換えは、「領導核心」を「集団指導」よりも優先したと受け止めることもできる。

それをもって、習近平が主席制の復活を画策していることは十分に考えられる。領導核心に位置づけられた以上、自分が党における最終意思決定者であることの制度的保証として、総書記ではなく主席の呼称こそがふさわしいと判断しても不思議ではないからである。

江沢民派を一掃したい習近平

しかし、主席制の復活には当然のことながら党内に強い抵抗が予想される。おそらく、そこまで露骨な権力の集中を進めることはないと考えるのが自然である。

党内で権威を増した習近平が目指すものは、他にあるはずだ。それは第1に、個人の権限強化による「内規の改定」であろう。

内外の報道によると、「七上八下」という内規(いわゆる「潜規則」)、すなわち党中央政治局常務委員に選任される人物は「67歳以下ならOKだが68歳はダメ」という原則を見直すべきだとの声があがっているという。たとえ68歳を超えていてもその人物が余人を持って代えがたい能力があるなら、任務を継続できるという論理である。その「余人を持って代えがたい能力」を持つ人物とは、習近平のもとで反腐敗に辣腕を揮う王岐山である。

もう1つ目指すものがあるとすれば、党中央政治局常務委員会の人事刷新であろう。

胡錦濤時代は9名の常務委員がいたが、習近平時代になって7名に減った。理由は明示されていないが、裏で画策したのが「第3世代の核心」であった江沢民だとすれば、江沢民派のための多数派工作で人事を動かした可能性が高い。

胡錦濤時代、常務委員の中で純然たる「非江沢民派」は、胡錦濤総書記と温家宝総理だけだった。習近平時代にしても、江沢民の息のかかっていないのは共青団出身の李克強総理だけである。次期党大会で2期目を迎える習近平にとって都合のいい常務委員会人事とは何かといえば、まずは江沢民派を一掃することであり、反腐敗で辣腕を揮った王岐山の留任であろう。

王岐山の留任が実現すれば、「次の次」である2022年の第20回党大会を69歳で迎える習近平自身の「3期続投」の可能性も出てくる。習近平は3期続投を現実のものとするために、かつて鄧小平が1982年に現行憲法を決めたように国家主席の「2期10年」という憲法の定めを書き換えるかもしれない。

後継者を決めなければ求心力を保てる

もし「3期続投」を目指すとすれば、習近平はさらなる権威確立のために、“次期常務委員会で後継者を指名しない”ということも考えられる。

胡錦濤や習近平は、ともに総書記の後継者として国家副主席と中央党校の校長を兼務する形で常務委員会入りし、4中全会ないしは5中全会で中央軍事委副主席となり、総書記に就任するための研鑽を積んだ。もし習近平が後継者を決めるなら、同様の処遇で対応することになる。

しかし、後継者を決めれば習近平への求心力が徐々に低下するのは間違いない。そこで、あえて後継者を決めないままにしておき、求心力を保つというわけである。

しかも、それはきわめて簡単にできる。政治局常務委員のポストを5つに絞り、総書記、国務院総理、全人代常務委員長、全国政協主席、紀律検査委書記に限定することによって、後継者の入る余地をなくしてしまえばいいのだ。

同時に、習近平、李克強、王岐山が留任するとして、残りの2ポストの1つを習近平の側近である栗戦書・党中央弁公庁主任にあてがえば、それで習近平側が3名となり過半数を占めることになる。そうすることによって、習近平は「領導核心」の権威を振りかざすことなく、従来の「集団指導体制」を維持して多数決で意思決定をすることが可能になる。「個人独裁」を批判されることなく、自分の思うような政権運営が可能になるというメリットもある。

誰かに剥奪されても不思議ではない核心の座

しかし、このようなシナリオ通りに物事が進むかどうかは分からない。

そもそも習近平自身が、「領導核心」の座を江沢民から奪い取っているからである。

具体的に言えば、習近平は領導核心の座を得るために、「腐敗撲滅」を理由に周永康や徐才厚、郭伯雄といった江沢民につながる人脈を摘発することで江沢民の権力に挑戦し、ついに核心の座を奪い取った。

だが、このことによって、中国共産党の指導における核心の位置づけは「絶対的」なものから「相対的」なものになってしまった。もはや、核心は、誰も挑戦できない権威の象徴ではなくなっている。これは習近平が想定していなかった現実だろう。

振り返ってみれば、江沢民の核心の座も自らが絶対的な権力を行使して手に入れたものではなかった。鄧小平が「毛沢東が第1世代の核心であり、第2世代は自分が核心なのだろう」と言ったとき、その「核心」は、誰もが挑戦することをはばかる権威の象徴だった。だが、「第3世代の核心」はそうではない。鄧小平は、1989年の天安門事件後、軍歴も権威もない江沢民を党中央の指導者に祭り上げるため「第3世代指導部の核心」に任じた。江沢民が核心に値する指導者であるかどうか以前に、天安門事件で大きく動揺した中国共産党の指導体制に求心力をもたせる必要があったからであろう。

習近平は、その江沢民から核心の座を剥奪し、自分が取って代わった。その核心の座を、また他の誰かが剥奪してもけっして不思議ではない。その意味で言えば、習近平の権力闘争はまだまだ続くことになる。

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『中国が期待する米中蜜月関係』(日経ビジネス2016年11月28日号 The Economist)、『「大統領」狙う強権 習氏に死角 トランプ現象は中国でも 編集委員 中沢克二』(11/28日経朝刊)について

「エコノミスト」の記事は中国にまだ幻想を持っている記者が書いていると思われます。社会主義や共産主義が悪と言うのが分からないとすれば、知的誠実さを疑うし、そうでなければ単なる愚鈍なだけでしょう。「サルトル」は「マオイスト」だったと楊海英著『モンゴル人の民族自決と「対日協力」 いまなお続く中国文化大革命』の中にあります。日本でもサルトルを持ち上げていた時代がありますが、彼は毛沢東主義者=虐殺肯定派だったのでは。欧州知識人と言っても、現実を見ないで理想化したのでしょうけど。「騙す方が賢く、騙される方が馬鹿」というのが漢民族の基本的価値観と言うのが分かっていれば、少しは違ったかも知れませんが。況してや戦後何でも白人の言うことが善だと信じ込んだ日本人の程度も知れます。アカは、虐殺は不可避と考えます。スターリン、毛沢東、ポルポト、日本の連合赤軍、自国民を殺しまくったキチガイです。自分に逆らうものは全部殺戮してしまうというのは狂気以外の何物でもありません。

毛沢東は「百花斉放、百家争鳴」で民主派の批判が高くなったので慌ててブレーキをかけるために反右派闘争に切り替えたと一般的には言われていますが、楊氏の本の中では最初から敵(知識人、毛の批判者)を炙り出すための罠(陰謀ではなく陽謀)だったとありました。如何に毛沢東と言うのは狡猾、腹黒いかです。反右派闘争は文化大革命への嚆矢であって、而も漢人の敵を打倒してから少数民族へのジェノサイドを展開するよう考えていたというのですから。日本も五族協和何て考えていたのが如何に甘かったかという事です。

トランプが中国にどういう態度を取るかはまだ分かりません。言えることはオバマ以上に中国の横暴を許すことはないとだけ言えるのでは。軍事予算を増やすのは中国に対する牽制と読めます。ただ、ブッシュ(息子)も最初は中国に威勢が良かったですが、国務省辺りに騙されて、軌道修正していきました。中国は要人には金を配っているでしょうから。

トランプがAIIBや「一帯一路」を認めることは世界にとって最悪です。悪を世界に蔓延させることになります。そうならないことを祈ります。

中沢氏の記事では、中国は子供騙しの選挙をして見せたとのこと。事情が分かっている人は騙されないでしょうけど、TVだけでしか情報を取れない人は簡単に騙されるでしょう。中共はそれを狙っていると思います。でなければ香港の立法会選挙で揉めることもないでしょう。台湾こそが民主主義社会と言えます。悪の帝国・中共支配の国と台湾は全く別の国です。

The Economist記事

中国政府は、トランプ氏が大統領に就任すれば米中関係は好転すると見ているようだ。同氏が示す保護主義は実現しないと見る。中国は米国のインフラ投資を支援できるという。だが米中関係には不確定要素が多い。仮に蜜月が到来しても長く続くことを期待してはならない。

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中国の習近平国家主席(左)とトランプ氏は、同氏が米大統領に就任した後の首脳会談でどんな話をするのだろうか(写真=2点:ロイター/アフロ)

2016年の政治は、大きな番狂わせが相次いだ。さらに、ここにもう一つ思いがけない予想がある。「中国は、米中関係がこれから黄金期を迎えると考える」というのだ。これは、最近現実となったいくつかの予想外の出来事と同じくらいとっぴな考えだ。だが、それほど的を外したものとは言えないだろう。

米国の成長に中国は不可欠

ドナルド・トランプ氏は選挙期間中、中国を名指しでこう非難していた。「赤ん坊からキャンディーを取り上げる」ように米国から雇用とビジネスを奪い取った主犯であると。さらに同氏は、貿易戦争に臨む姿勢もにおわせた。大統領に就任したら即日、中国を為替操作国に認定し、中国からの輸入品に45%の懲罰的関税を科すと公言した。

その上、トランプ氏は、バラク・オバマ大統領と中国の習近平国家主席が9月に署名した地球温暖化対策を巡る合意も破棄すると明言した*1。この合意は、米中関係における数少ない外交的な成果だったのだが。

*1=パリ協定を指す。米中が同協定に署名したのは2016年4月。両国は同協定を9月に批准した

加えて、トランプ氏の政権移行チームが混乱の渦中にある中、対中政策担当者として取りざたされている名前を見てみるといい。中国首脳は安心などできないはずだ。

国務長官の候補として、元ニューヨーク市長のルドルフ・ジュリアーニ氏と、国連大使を務めたジョン・ボルトン氏の名前が挙がっている*2。ジュリアーニ氏は対中外交の経験がほとんどない。ボルトン氏はタカ派で、対中強硬派だ。

*2=両者に加えてミット・ロムニー元マサチューセッツ州知事の名前も挙がる

それでも中国は明るい面に目を向け始めている。中国政府内で楽観論が高まりつつある背景には次の推測がある。「米国の雇用と成長を本気で考えるなら、トランプ氏は最終的に中国への関与*3と貿易を重視するだろう」。

*3=米中関係では、「中国包囲」の対義語として用いられる

要するに、保護主義は「米国を再び偉大な国にする」というスローガンと整合しないのだ。ここから、トランプ氏が選挙期間中に繰り返した威嚇的な発言は基本的にこけおどしである、という結論が導かれる。少なくとも中国政府はそう期待している。

確かに、トランプ氏が中国を為替操作国に正式に認定する可能性は高い。しかし、そこから調査を開始し、結果を公表できるのは1年後だ。さらに、結果が出ても、ただちに影響が生じることはまずないだろう。

加えて、中国首脳はトランプ氏の中に、自分たちと同じ特性が潜んでいることを見抜いているかもしれない。民主主義の美点には敏感でなく、何より発展と成長に関心を抱いている点だ。

トランプ氏と習氏は11月14日に電話で初めて会談した。中国共産党機関紙・人民日報系の「環球時報」は、通常は米国に対して批判的な姿勢を示すが、この電話会談は高く評価し、次のように報じた。協調を求めた習氏に対してトランプ氏は、「外交的に申し分のない」言葉を返した。これにより、両大国間の今後4年間の関係に対する「楽観」が強まった。

同紙はさらに、トランプ氏こそが「恐らく、大国間の関係を現実的な手法で作り直していく米国の指導者だ」と評価した。同氏が「事業家の視点や草の根的な視点」を持っており、「ワシントンの政治エリートに取り込まれていない」ことを理由に挙げた。

米国のインフラ建設支援か?

中国のタカ派が主張する楽観論は、明らかに別の推測に基づいている。トランプ政権は結局混乱して機能せず、米国の力を損なうというものだ。この事態は米中が演じる長期的な勝負の中で中国に有利に働き、米国は没落し、中国は興隆していくというわけだ。

環球時報は、ほんの1週間前には「トランプ氏がどのような混乱をもたらすかを見ていよう」と書いていた。

中国の首脳は、オバマ大統領の任期満了を歓迎している。同大統領が進めるアジアへの「ピボット」(アジア重視)政策を嫌っているからだ。

中国政府はオバマ氏の姿勢を次のように辛辣に批判する。習氏は2013年、両国間の「ウィンウィン」の協調を含む「新型大国関係」という素晴らしい提案をした。ところがオバマ氏は米中関係を「どちらかが勝ち、どちらかが負けるゼロサムの関係」と捉え、この提案を受けいれることができないというのだ。

オバマ氏は、この新たな関係は詰まるところ東アジアの覇権を中国に譲り渡すことだと考えている。どうしてそのように考えられるのだろうか、と。

従って、トランプ氏が大統領に就任して最初の米中首脳会談で何が話し合われるのか、想像するのは難しくない。“建設長官”を自認する同氏は大統領選の勝利演説の中で、「高速道路、橋、トンネル、空港、学校、病院」など多くの公共事業に取り組むと約束した。

習氏は、公共事業について自身も相当な専門家であることをアピールするだろう。総延長1万8400kmを超える高速鉄道が走る広大な国を率いているのだから、同氏がそうした専門知識を持ち合わせていても不思議ではない。

一方、米国に長大な高速鉄道網は存在しない。長江の三峡ダムは、米国のフーバーダムと高さはほぼ同じだが、幅は6倍ある。

習氏はトランプ氏に、米国のインフラ建設のため資金と専門技術を提供すると申し出て、米国の雇用創出に中国が貢献できると強調するに違いない。

トランプ氏がお返しに好意を示すことは容易だろう。例えば、中国が主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)に参加しないというオバマ大統領の方針を撤回することが考えられる。

あるいは、習氏が提唱する「一帯一路」構想を、もう一歩踏み込んで支持することもできる。この構想はアジアと欧州を結ぶインフラを建設するもの。トランプ氏の政策顧問は、こうしたカードを切る可能性を既に示唆している。

米中の将来は見通せない

こうなれば、ほとんど誰も予想することのなかった米中の蜜月関係が到来する。中国は間違いなくそれを望んでいる。

習氏は今、対外関係を平穏に保つことが極めて重要な時期にある。これから1年をかけて、党の指導部を全面的に刷新する考えだ。同氏は権力基盤を固め、後継者選びを主導したいのだ。このためには、国内に意識を集中する必要がある。

ただし、米中蜜月が長く続くと考えるのは間違いだ。まず、中国はトランプ氏が身につけている商売人としての本能の強さを恐らく過小評価している。また、仮にドル高が続き、中国の通貨管理が難しくなった場合、中国政府は対米政策を見直すかもしれない。

米国の友好国はトランプ氏が当選したのを受けて慌てふためき、米ニューヨーク・タイムズ紙の表現を借りれば、「まもなく自由主義世界の指導者となる人物に連絡を付けようと、トランプタワーに闇雲に電話を入れた」。

とはいえトランプ氏は、東アジアの同盟関係に対する保障を同氏流のやり方で高めている。第2次世界大戦後の東アジアにおける米国の影響力が、この同盟関係によって強化されてきたのは事実だ(本誌=英エコノミスト=が印刷に回される時点で、日本の安倍晋三首相が外国の首脳として初めて、次期大統領となるトランプ氏と会談しようとしている。安倍首相は、日本が自国防衛において果たす役割を拡大すると約束するものと見られる*4)。そして中国はこの同盟関係に対して敵意を抱いている。

*4=安倍首相とトランプ氏は11月17日に会談した。話し合いの詳細は明らかにされていない。ただし同首相は「信頼関係を築いていくことができると確信した」と発言

世界で最も重要な2国間関係、すなわち米中関係は、何によってかき乱されるか予断を許さない。2001年には中国の戦闘機と米国の偵察機が空中で衝突し、米中関係が緊張した。最近は、両国首脳を脅かすこうした危機は発生していない。しかし、論争の絶えない南シナ海や東シナ海で同様の事件が起こることは十分に考えられる。

このようなレベルの外交危機に対処する能力が一切試されていないのは、トランプ氏だけではない。これを忘れてはならない。この点では習氏とて同じなのだ。

©2016 The Economist Newspaper Limited Nov. 19-25, 2016 All rights reserved.

日経記事

英国の欧州連合(EU)離脱、米国のトランプ旋風、そして別格の指導者を指す「核心」の地位をつかんだ中国国家主席の習近平。今年の3つの動きのキーワードは、グローバル化の反動である地域優先主義と、強権主義だ。中国の変化はわかりにくい。だが、それは今後、アジアと世界に大きな影響を及ぼす。

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習が得た「核心」の地位の本質は何か。中国のネット空間では今、勝手な解釈が自動的に削除されている。その微妙な問題の解釈を一人だけ許された人物がいる。習が心を許す側近で、来年、最高指導部入りも噂される栗戦書だ。彼は、習が建国の立役者の毛沢東、経済大国への道を引いた鄧小平に並び立つとした。

前任の胡錦濤が10年かかっても手が届かなかった地位を習は4年で得た。それは必ずしも権力の盤石さを意味しない。既得権を持つ共産党が一党独裁を続けるにはひとまず習を「核心」とし、締め付けるしかないと判断したのだ。統治の危機はそこまで来ている。

習は力学を読みつつ、長くトップにとどまろうとするだろう。現憲法は国家主席の任期を2期10年までとする。党トップの総書記の任期に明文規定はないが、国家主席の規定に準じてきた。68歳になれば引退する内規も定着している。

3選禁止を破る手は色々ある。習に近いとされる学者らが観測気球を上げるのが「総統制」の導入だ。「国家主席に代わる総統を創設し、習主席が2022年の次々回の共産党大会以降、中華人民共和国第1代総統に就けばよい」。こんな声がじわり広がる。

集団指導を形骸化する総統制は形ばかりの選挙を経る。とはいえ米大統領制とは全く違い、一党独裁が前提だ。今も国営メディアは国家主席の英訳に「プレジデント」を使う。憲法改正で国家主席を総統に変えても大差ない。米国との対等さを気にする中国の新制度として見栄えも良い。

「あれはその予行演習だよ」。北京の識者が指摘したのは、習が恭しく一票を投じる姿を報じた16日の中国各紙のトップ記事だ。

党推薦候補から区の人民代表を選ぶ投票箱は、執務地の「中南海」に置かれた。いかにも中国的だ。立候補の自由さえない仕組みは小学校の学級委員選挙にも劣る。だが米大統領選の直後に中国でも選挙があると宣伝する意味はあった。

面白いことに抵抗勢力が現れた。投票用紙には印刷済みの推薦候補名にない名を書ける空欄がある。不満分子はトランプの名を書いたという。形だけの選挙への静かな抵抗だった。

共産党を取り巻く情勢は厳しい。米国では上位1%の層が全米所得の2割弱を占める実態に白人労働者層の不満が爆発し、トランプ旋風を生んだ。富の偏在は中国でも目立つ。なにせ将軍、人民代表の地位まで巨費で取引されていたのだ。

中国の巨大格差はいつ生じたのか。1999年、福建省代理省長だった若き習は本紙のインタビューで焦点の世界貿易機関(WTO)加盟について「利が弊より大きいなら入る」と語った。2001年の加盟後、約10年間、中国は2ケタ成長に沸く。グローバル化を進めるWTO体制の世界最大の受益者になったのだ。

本来、競争は経済の自由化を促す。だが、共産党は巧みに阻止した。グローバル化は外づらだけ。逆に市場を占める国有企業の一人勝ちとなり、幹部の給与も不当に跳ね上がった。

自由貿易と民主主義の親和性を信じる人々には想定外だった。「中国の特色ある市場経済」ならぬ、中途半端に開かれた中国だけの「権力市場経済」が、格差と汚職を生む元凶だった。

WTO加盟から15年を経た今、習はツケを払わされている。中国の国有企業は共産党内の定期人事異動体制の中にある。党組織が強い国有企業群を本気で潰せば独裁体制は弱まる。本当の改革は土台、無理だ。

一方、習は苛烈な汚職撲滅運動に踏み切った。それは権力固めにも使える利器だ。とはいえ他党や独立組織の監視機能がない以上、「反腐敗」は定着しない。習は新たな監督体制の導入を探るが、極めて難しい。格差を是正できないなら、いずれ不満が爆発する。

もう一つの問題は地域優先主義だ。来年、返還20年を迎える香港では議会選で中国からの独立を唱える「本土派」が躍進した。台湾では中国と距離を置く蔡英文政権が誕生し、独立を口にする新世代政党「時代力量」の台頭も著しい。

主役は10~20代の若者だ。これは今後、竹のカーテンで仕切られてきた中国大陸内にも影響を及ぼす。EUの揺らぎ、トランプ現象は他人ごとではない。

中国経済は、習の側近が認めたように当面「L字型」で推移する。習体制は低成長の下、民衆の不満、地域優先主義の2大潮流に対処する必要がある。「核心」の地位をふりかざす強権だけで、その流れに抗するのは時代錯誤である。

ペルーでのアジア太平洋経済協力会議(APEC)で習は微妙な軌道修正を迫られた。敵視する台湾の蔡英文が送った野党党首の宋楚瑜、不人気の香港トップ、梁振英、南シナ海問題でやりあった日本の首相、安倍晋三と次々会ったのだ。近隣の面々とあえて地球の裏で話す「全方位接触」には、強権への道を歩む習の悩みが透ける。

(敬称略)

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『死刑執行停止の世論を無視して執行された銃殺刑 “悪徳役人殺害犯”に庶民は同情、英雄視したが…』(11/25日経ビジネスオンライン 北村豊)について

中国の臓器移植の闇は今でも続いていると思われます。何せ平気で嘘がつける民族で、裏で悪いことは何でもできる社会です。マスメデイアは共産党の「喉と舌」でプロパガンダ機関ですから、党・政府に都合の悪い記事・報道は為されません。一党独裁の非常に悪い所です。北京で現地スタッフが交通事故で亡くなった時に、交通警察から言われたことは、「早く遺体を火葬するように。理由は①臓器売買される②労働争議の材料にされる」と。その後遺族との賠償交渉で「会社に遺体を運ぶ」と脅されましたが、「どうぞ」と答えて屈しなかった思い出があります。

http://www.epochtimes.jp/2016/08/26079-2.html

http://www.epochtimes.jp/jp/2015/03/html/d61618.html

生きたまま臓器摘出された人も多くいるのでしょう。多くは法輪功の信者のようですが。とても日本人には信じられないようなことが中国では平気で行われます。

本記事の賈敬龍のような問題は中国のどこにでも転がっています。ですから次の黒延平も出てきたのでしょう。報道はされなくともSNSで今は繋がる時代です。削除されても、口コミでは伝わっていきます。

「拆迁=拆遷」の問題は共産党統治が続く限り、解決できません。土地は共産党の所有になっている訳ですので。役人が私腹を肥やす対象になっています。「没有共産党就有新中国」にしなければ中国人民が幸せになることはないでしょう。新たな革命を起こさなければ。ただ人民解放軍を味方につけなければなりませんが、軍も腐敗の極みにありますので、望み薄です。

記事

2016年11月15日午前8時40分、河北省の“石家荘市中級人民法院(地方裁判所)”(以下「中級法院」)は、“最高人民法院院長(最高裁判所長官)”が署名した死刑執行命令書に基づき、“故意殺人犯”<注1>である“賈敬龍”に対して銃殺による死刑を執行した。死刑執行に先立ち、同日早朝に中級法院は賈敬龍に父母と姉との最後の対面を許可したが、対面の終了直後に死刑は執行された。賈敬龍は享年30歳だった。

<注1>“故意殺人”とは、殺意を持って行われた殺人を意味し、故意殺人罪の最高刑は死刑。

10月18日付で最高人民法院が中級法院による賈敬龍に対する死刑判決を承認したことが知れ渡ると、賈敬龍の境遇に同情する世論が沸き上がった。中国のネット上には多数の法学者や弁護士が死刑判決の見直しを求めて、「賈敬龍の死刑執行停止を求める嘆願書」への署名運動を呼びかけ、「“刀下留人(斬罪執行に待ったをかけること)”」を求める世論は盛り上がりを見せたが、最高人民法院に死刑執行命令の取り消しを促すまでの影響力を及ぼすことはなかった。

11月17日、賈敬龍の家族は中級法院から送付された“領取骨灰通知書(遺骨受け取り通知書)”を受領した。その内容は以下の通り。

河北省石家荘市中級人民法院・遺骨受け取り通知書

犯罪人の賈敬龍は故意殺人罪により法に照らして死刑判決を受け、2016年11月15日に死刑が執行された。“死屍(死体)”はすでに火葬されたので、家族は本通知書を持参して2016年12月14日以前に“石家荘市火葬場”へ出向き遺骨を受け取ることができる。期限を過ぎて受け取りがない場合には、遺骨は火葬場によって処理される。

河北省石家荘市中級人民法院 2016年11月15日

遺骨の引き渡し、引き延ばしか

上記通知書の日付が11月15日となっていることから考えて、賈敬龍の遺骸は11月15日の死刑執行当日に荼毘に付されたのだろう。遺骨の受け取り期限は12月14日となっており、死刑執行から丁度1か月後になっているが、通知書を額面通りに受け取って、家族が速やかに火葬場に出向いても、火葬場は種々の理由を付けて遺骨の引き渡しを引き延ばす可能性が強いと思われる。その理由は賈敬龍が報復目的で悪徳村役人を殺害したことにより庶民から英雄視されているからで、ネット上で行われた死刑執行停止を求める署名運動の沈静化を図り、遺骨引き取り後に行われる賈敬龍の葬儀に大挙して参列する可能性がある庶民の数を少しでも抑制しようという政府側の魂胆をうかがうことができる。

話は変わるが、中華人民共和国では1949年の国家成立から一貫して死刑は銃殺方式で執行されてきた。しかし、1997年に刑事訴訟法が改正され、銃殺方式と薬物注射方式の2本立てになったが、処刑後の遺体から移植用の臓器を取り出す関係から銃殺方式が大勢を占めていた<注2>。また、1980年以前には銃殺に使った銃弾の費用が家族に請求されたというが、法改正によって銃弾費用は国家負担となった。

<注2>中国では死刑囚の遺体から移植用の臓器を取り出すことは公然の秘密であり、死刑囚の臓器を用いた臓器移植ビジネスが横行していた。それが国際社会から問題視されたため、中国政府は2015年に死刑囚の臓器を使った臓器移植を禁止した。

閑話休題。それにしても、本来ならば通知書には、死者に敬意を払って“遺体”と書くべきなのに、“死屍(死体)”という言葉を使っているところに、死刑囚に対する冷淡な扱いが表現されている。さらに、賈敬龍の家族は死刑執行後に遺体と対面することも、火葬に立ち合うことも許されなかった。このため、多くのネットユーザーは火葬場から引き渡される賈敬龍の遺骨が本物だという保証はあるのかと、疑問を投げかけている。

立ち退き拒否の末…

さて、賈敬龍が死刑囚となった経緯は何か。その詳細については、2016年10月28日付の本リポート「横暴な権力者を殺害した男の死刑は止められるか」を参照願いたいが、最高人民法院“刑三庭(刑事第3法廷)”の責任者がメディアに語ったという事件の概要は以下の通り。

【1】本事件の被告人である賈敬龍は河北省石家荘市“長安区”内の“北高営村”の村民で、父母と共に同村の南華路6号に居住していた。2009年11月28日、村民代表大会は表決を経て北高営村の“拆遷改造(住民を立ち退かせて住宅を取り壊して村を改造する計画)”の実施を決定し、2010年6月に石家荘市人民政府の批准を得た。住民の立ち退きと住宅の取り壊し作業は北高営村の村民委員会が統一的に計画し、各戸同一基準で実施した。

【2】2010年11月10日、南華路6号の世帯主である“賈同慶(賈敬龍の父)と村民委員会は立ち退き協議書に調印し、協議内容に基づき賈同慶は村民委員会から低価格分譲住宅1戸と代替住宅1戸の配分を受けて、旧宅から引っ越した。但し、賈敬龍は父母や恋人などの忠告を聞かず、旧宅からの移転を拒否した。

改造釘打ち機で頭蓋骨を貫通

【3】2013年5月7日、北高営村村民委員会は村の改造計画と賈同慶との間で締結した立ち退き協議に基づき、賈同慶の旧宅に対する取り壊しを実施し、取り壊し部隊と賈敬龍の間で衝突が発生した。旧宅を取り壊されたことで、賈敬龍は北高営村の党支部書記兼村民委員会主任の“何建華”に恨みを抱き、何建華に報復することを計画した。

【4】2014年10月、賈敬龍は釘打ち機3台、模造拳銃1丁、釘打ち機用の火薬などを購入した。その後、賈敬龍はくぎ打ち機を改造して厚さ1cmの木の板を打ち抜けるようにした。

【5】2015年2月19日(“春節”:旧暦の元旦)朝4時頃、賈敬龍は車で北高営村の春節祝賀会場の付近まで行き、乗ってきた車を近くに駐車してから徒歩で借家へ戻った。当日午前9時頃、賈敬龍は釘打ち機3台と模造拳銃1丁を携えて借家から春節祝賀会場へ向かった。賈敬龍は、祝賀会場で村民たちに新年の挨拶を終えてひな壇から下りた何建華の後頭部に改造した釘打ち機で釘を打ち込んだ。釘は何建華の頭蓋骨を貫通し、何建華は頭蓋脳損傷により死亡した。

【6】犯行後、賈敬龍は事前に祝賀会場付近に止めておいた車で逃走しようとした。村民の“張瑞国”はこれを阻もうとしたが、賈敬龍は車を止めることなく張瑞国を跳ね飛ばして逃走した。村民の“金慶昆”、“何志輝”、“何志軒”などが車で追走し、賈敬龍が運手する車に車を衝突させることで停止させた。車を降りた賈敬龍は大声を上げて抵抗し、拳銃を構えて村民たちを威嚇し、拳銃を1発発砲した。後から追いついた村民たちが賈敬龍を取り押さえ、急行した警察官が賈敬龍を逮捕した。

表面的な事実を取りまとめれば、確かに上記の通りである。しかし、賈敬龍が何建華を殺害するに至った経緯を考えれば、以下のような同情すべき点があるのである。

脅迫、新居破壊、婚約破棄、自首も認められず

(1)父親の賈同慶が村民委員会との間で立ち退き協議を締結したのは、賈同慶の母、すなわち賈敬龍の祖母の社会保険(年金)支給を停止すると脅かされたためであり、決して納得してのものではなかった。この事実を知っていた賈敬龍は村民委員会およびその主任(責任者)である何建華に反感を持ち、協議締結という事実を認めていなかった。

(2)2013年5月7日に賈敬龍が住み続けていた旧宅は村民委員会が組織した取り壊し部隊によって取り壊されたが、この日は賈敬龍にとって27歳の誕生日の6日前であっただけでなく、恋人との結婚式の18日前だった。賈敬龍は大金を投じて自力で旧宅を結婚後の新婚住宅に改造していたが、全ては破壊され、甘く楽しい新婚生活の夢は消え去った。取り壊しをせめて賈敬龍の結婚式が終わり、新婚生活を始めるまで待ったやることはできなかったのか。村民委員会の1人が証言しているところでは、旧宅の所在地は緊急に取り壊す必要のない場所だったという。

(3)悲劇はそれだけでは終わらなかった。賈敬龍が村民委員会と抗争状態にあることを知った恋人の父親は、賈敬龍と関わり合いになって村八分にされることを恐れて、娘に賈敬龍と手を切るよう命じた。このため、恋人との結婚約束は取り消され、彼女は賈敬龍のもとから去り、後に別の人と結婚した。

(4)賈敬龍は犯行後に現場から車で逃走したが、それは付近の派出所へ自首するためだった。ところが、後から追走してきた村民たちに捕まり、殴る蹴るの暴行を受けて大腿骨を折られ、その後急行した警官によって逮捕された。賈敬龍の携帯電話には知人に宛てた「これから自首する」というメール原稿が残されていたが、発信されてはいなかった。裁判官は当該メール原稿を証拠採用せず、賈敬龍に自首する意思はなかったと判定したが、自首する意思が認められていれば、賈敬龍に死刑の判決が下されることはなかったものと思われる。裁判官が自首の意思を認めなかったのは、当初から賈敬龍を死刑にすることが決まっていたのではないだろうか。

最高人民法院が死刑執行停止を求める世論を無視して賈敬龍の死刑執行を強行させた背景について、ある中国の作家は次のように述べている。

【1】中国の農村で農民の住民居住地や農地を強制収容して得た土地は、不動産開発業者に売り渡すことで、農村にとっての貴重な収入源の「土地譲渡収入」を獲得することができる。また、売り渡された土地は開発業者によって工業団地や宅地に造成され、工場や新たな住民を招き入れることにより、地元の繁栄につながる。これは省政府や市政府の規模でも行われていることであり、土地譲渡収入が政府歳入に占める比率は30~40%にも及んでいる。

【2】中国政府が土地譲渡収入に依存する地方政府の在り方を真っ向から否定して、土地の強制収容を容認しない立場を取るならば、最高人民法院は世論の高まりを謙虚に受け入れて賈敬龍の死刑執行停止を認め、賈敬龍に再審の機会を与えたかもしれない。しかし、土地の強制収容を許容する姿勢に変化がなければ、それに逆らう者への見せしめとして賈敬龍は“該死(死刑判決を下すべき)”の存在だった。賈敬龍の死刑が執行されたことで、土地の強制収容は今後も継続されようが、第2、第3の賈敬龍が出現する可能性は存続することになった。

予言通り「第2の賈敬龍」

上述した作家の予言は正しかった。11月16日の午後、陝西省“延安市”の管轄下にある“延長県”内の“七里村鎮”に属する“曹渠村”で、土地の強制収容に起因する問題で刀を持って村長一族を襲撃した犯人によって3人が斬殺、5人が重軽傷を負う大事件が発生したのである。

中国の官製メディアが報じた所によれば、曹渠村の村民“黒延平”は村長の“曹英海”と強制収容された土地の補償問題でもめていた由で、地元の延長県政府もこれを知っていたという。11月16日には前任の曹渠村村民委員会主任の娘が嫁に行くのを祝う事前祝賀会が催されたが、黒延平もこの祝賀会に参加していた。祝賀会の終了後、黒延平は刀を持って村長の曹英海の家へ乱入し、続いてその親戚の家2軒へも乱入して、家人を手あたり次第に刀で切り付けて8人を死傷させた。死亡したのは村長の曹英海、曹英海の長兄の嫁“郭忠芳”、曹英海の五男“曹徳民”の3人であった。曹英海の妻“蘇延梅”、息子の嫁“李蓉蓉”、甥の孫(3歳)の3人は重傷で、延安市内にある“延安大学付属医院”の集中治療室で懸命の救命治療が行われた。曹英海の孫(1歳)と甥の嫁“李瑞”の2人は軽傷で“延長県人民医院”において治療を受けた。

上記の事件に関する報道は規制されており、これ以上の詳細は不明である。すでに述べたように、中国では“拆遷(住民を立ち退かせて住宅を取り壊す)”問題が全国各地で次々と発生しており、土地の強制収容を受けた人々の怨嗟の声は社会に満ちている。曹渠村の8人殺傷事件の発生を知った中国のネットユーザーたちは、犯人の黒延平が賈敬龍事件を知って鬱憤を晴らすべく模倣事件を引き起こしたものと推定しているが、この種の事件は今後も止むことなく、発生し続けるだろう。

ある評論家は、「賈敬龍の死は中国の“拆遷”制度の下では必然的に発生する悲劇である」と喝破している。土地を二束三文の価格で強制収容しておきながら、公定価格で買ったかのように装い、差額を懐にいれる不届きな地方役人がいなくならない限り、この種の悲劇はなくならない。賈敬龍もその被害者の1人であると思われる。

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『「鴻海会長、総統選に意欲」が示す台湾の危うさ 驚異の支持率8割も「地方の一指導者」に転落必至』(11/24日経ビジネスオンライン 山田泰司)、『蔡政権は「なぜ日本に対してこれほどまでに卑屈なのか!」、一部で不満も=台湾報道』(11/24サーチナ)について

鴻海に買われたシャープの行く末は厳しいものとなるでしょう。郭台銘会長は外省人で言ってみれば中国人と一緒。偶々台湾にいるだけです。だから、ブラック企業の名に恥じず、2010年には鴻海傘下の富士康深圳工場で、14人もの投身自殺が相次いだわけです。如何にも中国人のやりそうな労務管理です。

http://www.epochtimes.jp/jp/2010/11/html/d31624.html

また2013年には鄭州工場で3人の自殺者が出ました。これだけ自殺者が出るというのは普通に考えて労務管理に問題があるという事でしょう。電通もブラック企業でしょうけど桁が違います。電通の企業体質も問題と思っていますが、一番悪かったのは上司でしょう。部下の努力を認めなかったわけですから。

http://www.afpbb.com/articles/-/2944859

シャープの凋落の原因は経営者にあります。町田社長の無謀な液晶への一本足投資と、その前の佐々木副社長の韓国への技術流出が原因です。従業員はたまったものではありません。

http://www.data-max.co.jp/2012/09/07/post_16448_dm1701_1.html

http://bu-imp-mba.cocolog-nifty.com/blog/2016/02/post-a81d.html

シャープは中国に技術を盗まれるほどの技術が残っているかどうかですが、少なくとも生産技術において、歩留まりを上げる技術は持っているのでは。台湾企業とはいえ、工場は殆ど大陸です。敵国・中国に技術移転する必要はありません。真剣に転職を考えた方が良いでしょう。

11/25日経朝刊に<シャープ、中国事業の統括会社を新設 鴻海の工場内に 

シャープは24日、中国事業を統括する新たな現地子会社、夏普科技(仮称)を2017年1月3日付で設立すると発表した。シャープの完全子会社として、場所は台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業の広東省深圳市にある龍華工場内に設ける。統括機能を鴻海の中国拠点に置くことで両社の連携をより密接にして中国での事業を拡大する。

新会社の董事長には、鴻海による買収交渉でシャープ側の窓口となった藤本俊彦常務が就く。人数などは今後詰める。

シャープは現在、中国事業を北京市内の夏普(中国)投資が統括している。17年1月3日以降は新会社が管理する。

新会社のもう一つの目的は子会社間の連携強化だ。戴正呉社長は「One SHARP」をスローガンに掲げ、事業部間の協力を訴えている。中国には家電やコピー機など9カ所の拠点があり、新会社がそれぞれの経営資源を互いに活用できるよう促していくとみられる。業務効率を高めるため今後、拠点の統廃合が浮上する可能性もある。>(以上)

いよいよもって、シャープの大陸化が始まるという事です。日本の工場もやがては閉鎖されるのでは。

郭氏が総統選に立候補するのは勝手でしょうが、国民党候補として中国に台湾を売り渡すのに手を貸すことになります。台湾国民もそう言う選択はしないと思います。

サーチナ記事は蔡英文総統に悪意を持った中傷としか読めません。所詮、外省人のプロパガンダ紙の中国時報の記事ですから。蔡総統は日本に卑屈な外交をしているというのなら、国民党は大陸に卑屈な外交を続けてきたではないですか。だから、太陽花学運が起こり、民進党に政権が移りました。蔡総統の支持率低下は生みの苦しみの状態であり、民主主義国では普通の事です。安倍内閣の支持率も50%ちょっとくらいですから。悔しかったら大陸でも選挙をして支持率を調べてみるのが良いでしょう。習近平主席など朴槿恵大統領程度ではないですか。その前に当選することはないでしょうけど。

日本と台湾の強い結びつきを示す記事がありましたので紹介します。

http://hk.on.cc/hk/bkn/cnt/lifestyle/20161025/bkn-20161025121658687-1025_00982_001.html

山田記事

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台湾の次期総統を狙っているといわれている鴻海精密工業の郭台銘会長(写真:ロイター/アフロ)

不動産王のドナルド・トランプ氏が米次期大統領就任を決め市場が株高で沸き立つ陰で、アジアでも、ある実業家のトップ就任の可能性が取りざたされ始めている。シャープを買収した鴻海(ホンハイ)精密工業の郭台銘(テリー・ゴウ)会長の台湾総統就任だ。

発端は、台湾の週刊誌『壹周刊』(2016年11月16日付)の報道。同誌が鴻海幹部らの話として伝えた記事の内容はこうだ。

トランプ氏が当選を決めた当日の夜のこと。郭氏は側近中の側近4〜5人に招集をかけ会議を開いた。彼らが集まったのは、台湾市新北市にある鴻海本社の1室で、社員たちから「神秘の501号室」と呼ばれている部屋。幹部の中には、鴻海の財務を握り、その実力者ぶりがジャニーズを牛耳るメリー喜多川副社長を彷彿させるとも言われる「鴻海的銭媽媽」(鴻海の金庫番の女帝)こと黄秋蓮氏の姿もあった。

その日の議題は、トランプ大統領誕生後の情勢分析と鴻海のとるべき戦略について。ただ、実業家で戦前劣勢が伝えられていたトランプ氏が当選したという事実を受け、幹部らの情勢分析に静かに耳を傾けていた郭氏の胸の中で、ある思いが急速に膨らんでいた。そして会議も半ばにさしかかったころ、郭氏はおもむろに口を開き、幹部らに尋ねた。

「2020年の総統選、どう思う?」。郭氏が総統選出馬の意向を示した瞬間だった。そして会議後、郭氏のもとに、1本の電話が入る。トランプ当選の結果を受け、総統選出馬を打診する最大野党、国民党からの電話だった。

郭総統待望論を生むもの

記事自体は出来過ぎの感が否めず、眉に十重二十重につばを付けて読みたい話ではある。選挙戦中、トランプ氏は「アップルはiPhoneを米国で造って雇用を生み出すべきだ」などとして米国企業が中国などアジアで製造することを批判していた。このため、まさにiPhoneの製造を中国で行っている鴻海のトップである郭氏がトランプ氏当選当夜に幹部を集めて行った討論の内容は、現実味が増してきたiPhoneの米国製造の話題に終始したと考える方が自然である。

ところが台湾では必ずしも、郭氏総統選出馬のこの記事がキワモノ扱いされておらず、それどころか、郭氏の総統就任の是非を真面目に検討する動きが出てきているのである。

「郭氏出馬に意欲」の報道が出た当日、台湾の有力紙『聯合報』が自社サイトで、「郭氏が2020年総統選に立候補したら投票するか」についてアンケートをとったところ、「投票する」が12万5000票あまりで回答者の82.5%を占め、「投票しない」の1万7000票あまりを大きく上回った。同じ日に、壹周刊と同じ壹媒体が経営する日刊紙『蘋果日報』が行ったネットのアンケートでも、「2020年の総統選に郭台銘氏と現職の総統で民進党の蔡英文氏が立候補したらどちらに投票するか」の問いに、回答者の68.29%が郭氏に投票すると回答し、31.71%の蔡氏を大きく引き離した。

郭氏自身は記事の出た翌日の11月17日、訪問先の中国浙江省烏鎮で香港の衛星テレビ『鳳凰衛視』対し、「(総統選に出馬する)そのような考えは元々全くない。メディアがデタラメを言ってるだけだ。冗談としてなら面白いが」と述べ、報道を否定している。

しかし、郭氏が現職の蔡氏を大きくリードした先の2つの調査結果を受け、台湾では郭氏の総統選参戦を巡る報道や議論が一気にヒートアップ。壹周刊の記事で、トランプ氏当選の夜、郭氏に電話をかけて出馬を打診したとされる国民党では、立法委員(国会議員に総統)の許毓仁氏が総統選出馬を支持すると表明。そればかりか与党である民進党でも、党の重鎮で前立法委員の林濁水氏が、「蔡氏の支持率が下がり続ければ、郭氏に対する待望論が高まるだろう」と述べ警戒感を示した他、民進党を離党した前立法委員の沈富雄氏は、「期待に値するリーダーだ」などとして郭氏出馬への期待を示した。

トランプ支持とダブる背景

この林氏が指摘したように、台湾で「郭氏総統選出馬」のうわさが出、議論が盛り上がりを見せているのは、郭氏本人に対する市民の期待の大きさと言うよりもむしろ、就任半年が経過した現職の蔡総統に対する失望が表出したという意味合いの方が大きいようだ。台湾の日刊紙『中国時報』(11月19日付)で台湾当局系のシンクタンク台湾工研院のアナリスト杜紫宸氏も、「既得権益を持たない層の現状に対する不満がトランプ大統領を誕生させたが、台湾もいま、似たような状況が生まれつつある」と指摘している。

今年1月の総統選で56.12%の得票率で、当時、与党だった国民党、親民党候補に大差をつけて当選した蔡氏だったが、支持率は下落傾向にある。シンクタンク台湾世代智庫が就任1カ月、100日、2016年9月、同10月に行った支持率調査では、「満足している」が62.1%、53.0%、49.0%、50.6%と推移してきたが、11月21日に発表された就任半年の最新調査では43.8%とこれまでで最低となった。

前総統の馬英九氏は、「中国と緊密な関係を築けば台湾の経済も好転する」とし中国との接近を図った。しかし、一部の既得権益層を除けば庶民の大半は給料も上がらなかったことから、中国との自由貿易協定の締結を強引に進めようとした馬氏と国民党に市民が反発。これが、中国との間に一定の距離を取る民進党の蔡氏当選の大きな要因の1つになった。

ところが、蔡氏就任後の支持率調査に伴う庶民の声を見ると、経済や生活に漂う閉塞感、停滞感は前政権時代と大差なく、一方で、民進党政権の誕生で台湾に対する態度を硬化させた中国との関係が極度に冷え込んでしまったことを心配するものが目立つ。半面、先の就任半年目の支持率調査では、「2025年に原発ゼロ」を目指す法案を提出したり、同性婚合法化の審議を進めたり等の政策が評価され、「蔡総統は今後の台湾を正しい方向に導いてくれる」との意見が51.6%に上った。

一方で郭氏は、「民主主義ではメシは食えない」「台湾の労働者は休み過ぎ」など、ブラック企業の経営者を思わせるような発言が物議を醸してきた人物。ただ半面、町工場から一代でシャープを買収するような巨大企業を作り上げた経営手腕や中国工場で100万人を雇用する中国での実績は高く評価され、アップルのティム・クック最高経営責任者(CEO)の随行役として習近平国家主席との会見を果たすほどの中国当局との関係の深さも一目置かれている。

大筋ではなお蔡氏に対する期待は大きいものの、経済的に明るい先行きが見えないことに対する苛立ちも膨らんでいる。とは言え、国民党の政治家に蔡氏に対抗できるような人材も見当たらない。郭氏待望論は、このようなところから出ているものなのであろう。

「習主席と緊密」は諸刃の剣

ただ、郭氏の中国との関係の深さは、台湾にとって危うさをもはらむ。

2013年4月のこと。中国海南省で開催された国際会議に出席した習国家主席が、台湾代表団と会見した。台湾側の1人ひとりとにこやかに、しかし儀礼的に握手を交わしていた習氏だが、ある男の前にさしかかると「やあ、また会えたね」と親しげに声を掛けて歩み寄り、肩を抱いた。目の当たりにした中国側の幹部らは、「ほぉ」と小さなため息を漏らした。この様子を伝えた台湾のある記者は、幹部らのため息の意味を「『この男、乗り切ったな』というどよめきだったのでは」と解説する。幹部らに嘆息を上げさせたこの男こそ、郭氏である。

乗り切った、というのには伏線がある。2012年3月、中国の最高指導部入りを目指していた重慶市の薄煕来書記が解任された。解任前に一時姿を消したことで失脚がうわさされた薄氏が同2月末、再登場して健在ぶりをアピールする場に選んだのが、郭氏との会見だった。薄氏と親密な関係にあるとの印象を持たれた郭氏は、同社が生産拠点の大半を置く中国でのビジネス展開が難しくなるとの観測が流れた。

それから1年。「やあ、また会えたね」と習氏に肩を抱かれるという「お墨付き」を得て、郭氏は習主席と対立して失脚した政治家と親密だったというイメージを払拭してみせた。

この一連の出来事は、中国における郭氏の影響力の大きさを示すものだ。ただ郭氏本人は、政争に利用されるほどの存在になったことをむしろ、自らの弱みとして認識したのではないかと思う。

「ごとき扱い」される台湾

さらに、巨大な雇用を生み出し、巨額の税収をもたらす企業のトップとして、現状は中国当局から歓迎されている郭氏だが、これはあくまで郭氏がビジネスマンだからである。万が一、台湾の総統になった場合、中国での位置付けは、アップルのCEOに随行して習主席に会い、ビジネスを対等に語り合えるほどの立場から、「地方政府の一指導者」へと「格下げ」になるだろう。

私がそう考えるのには理由がある。中国人が台湾の総統のことを語る時、それが政府の役人、大学の教師、学生、民間企業の経営者、サラリーマン、隣家のオヤジ、八百屋のおかみさんにかかわらず、ある人は憤りを込めて、ある人は鼻で笑いながら「あんなちっぽけな台湾ごときの指導者が偉そうにすんなよ!」という態度を取る人が圧倒的だからだ。

中国の書店には立志伝中の人物として郭氏の伝記が並ぶなど、中国の国民の間でも経営者としての評価は高い。ただ、台湾の指導者になった途端、「ごとき」の扱いになる。これは台湾全体についてもそうで、エレクトロニクスなど台湾の産業のレベルについては高く評価するのに、台湾という存在のことになると、たちまち、「あんなちっぽけな島ごときが」とやはり「ごとき」扱いになるというのが私の印象だ。

つまり、蔡氏でも郭氏でも、だれであれ台湾の総統が中国からごとき扱いされるということには変わりはないことになる。経済成長を期待して郭氏を推したはいいが、中国との関係が良好な郭氏が「ごとき」に格下げされるのを目の当たりにし、誤算だとなる可能性は大いにあると言えよう。

サーチナ記事

台湾の蔡英文政権による対日外交が一部の台湾人の不満を招いている。台湾メディアの中時電子網は20日、台湾のメディア関係者の見解として、蔡政権は「なぜ日本に対してこれほどまでに卑屈なのか」と批判する記事を掲載した。  記事は、蔡政権が福島原発事故を理由に輸入を禁止していた日本産の食品に対し、福島県産を除いて輸入禁止を解除する見通しであること、さらには日台海洋協力対話で「沖ノ鳥島を岩礁と見なさなかった」ことなどが、一部の台湾人の反発を招いていると紹介。  こうした蔡政権の態度は、日本の外交的な支持を獲得したいがための行動であると主張しつつも、「蔡政権が日本に対してこれほどまでに卑屈なのは、対日崇拝と日本に対して引け目を感じているからにほかならない」と主張した。  続けて、台湾で2014年に大ヒットした映画「KANO 1931海の向こうの甲子園」を取り上げ、「映画に登場する偽物の日本人に騙されるな」と主張。映画「KANO 1931海の向こうの甲子園」は、日本が台湾を統治していた時代の1931年に台湾の嘉義農林高校野球部が甲子園に出場して奇跡の準優勝を果たした実話を描いたものだが、この映画は日本が台湾を統治していた時代を懐かしむ「懐日」ブームと呼ばれる現象に火を着け、懐日ブームは特に台湾の若者たちの間で広がった。  しかし記事は「KANO」に登場する日本は真実の日本とは「まったくかけ離れており、同様に当時の日本人の真の姿を描いていない」と主張したうえで、日本による台湾統治を美化している作品だと主張。

こうした作品が映し出す「偽物の日本」に惑わされている蔡政権は、今後も日本に対して卑屈な外交を展開するだろうという見方を示した。  仮に「KANO」の中で描かれている日本人が当時の日本人の実際の姿と異なっていたとしても、台湾の人びとが好感を抱いているのは、主に現代の日本人や現代の日本文化であるという点を見失ってはならない。蔡政権の対日外交に不満があるのであれば、現代の日本と台湾の友好関係にひびを入れない建設的な形で、正しいと思える外交政策を提言すべきではないだろうか。(編集担当:村山健二

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『トランプ政権で危惧される中国の人権状況悪化 チベット、ウイグル、香港が直面する「反テロ法」の現実』(11/24日経ビジネスオンライン 福島香織)について

トランプが人権にうるさく言わないというのは、まだ分からないのでは。ビジネスマンなので、交渉時にこれを取り上げれば相手が弱みを見せるというのが分かれば、煩く言うでしょう。利用できるものは何でも利用するという考えです。動機が不純でも、言って貰った方が良いでしょう。

共産党と言う組織が如何に人権を抑圧するか、もっと日本人は知る必要があります。その日その日が平和であれば良いと言うだけでは、知らず識らずの内に、共産主義に汚染されていく可能性もあります。日本共産党が反日民進党に食い込んでいくやり方は、「庇を貸して、母屋を取られる」式を狙ったものでしょう。共産主義や社会主義の危険性にもっと敏感になる必要があります。

チベット、ウイグル、モンゴル、香港、台湾に支援の手を差し伸べることは、日本の安全にも直結します。国連でもっともっと取り上げて、中国の非道を非難すべきです。幸い、来年1月には事務局長が潘基文から元ポルトガル首相のアントニオ・グテーレス氏が就任します。中国の言いなり、無能、ネポテイズムの代名詞みたいに言われた潘基文以上に悪くなることはありませんし、グテーレス氏は「弱者に寄り添う姿勢」を鮮明にしていますので、難民問題以上に人権抑圧されている民族問題に力を入れてほしいと思います。日本もやられ放しになるのでなく、証拠を挙げて、国連組織で中国を糾弾して言ったらどうか?まあ、無能の外務省ではできないでしょうけど。

記事

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(写真:AP/アフロ)

先週、チベットの人権擁護活動を支援する国際NGO・インターナショナルキャンペーン・フォー・チベット(ICT)の欧州連合政策担当のヴィンセント・ミッテンが東京の日本外国特派員協会で、「ウイグル人、チベット人に及ぶ中国の反テロ法の危険」と題した報告書について記者会見を行った。残念ながら私はこの記者会見は参加しなかったのだが、前夜に在東京の研究者やジャーナリストたちと一緒に、彼から直接話を聞く機会を得た。

2016年1月に施行された反テロ法は、国家安全法、反外国NGO管理法、反スパイ法などともに中国国内の治安維持強化の要となっている。だが、この真の目的は、テロの撲滅、予防ではなく、中国国内における反共産党体制派を弾圧し、チベット人やウイグル人らマイノリティを迫害するための口実となっているのが、現実だ。しかも、中国の経済的影響力、そして米国のトランプ現象に象徴される自国第一主義の世界的潮流によって、世界の先進国がそういった現実を見ないふりするようになってきのだ、とミッテンは訴えている。

「テロ報道禁止」の危険

この報告書は、ICTと国際人権連盟(FIDH)らによる討議や分析によって浮彫りになった中国反テロ法が内包するリスクについて、まとめられている。報告書自体はICTのホームページからダウンロードでき、また外国特派員協会の記者会見もYOUTUBEなどでアップされているので興味をもった人はぜひ見てほしい。

反テロ法は2015年1月に施行された新国家安全法に続いて、テロリストを対象に特化した法律として2016年1月に施行。施行当時は、海外のIT企業に対しても中国司法当局が要請すれば暗号解読を支援せねばならないといった内容などが企業の経済活動を阻害するのではないかという議論も起きた。だが、その本質は反体制派の勢力をテロリストと位置付けて殲滅することの正当性を担保するための立法である。

この法律の大きな問題点の一つは、テロの報道に対しては、手口の模倣を防ぐという建前で詳細に報道することを禁じていることだ。当局の対応も、テロリストに関する情報も、事前許可がなければ一切報道することが禁止されている。つまり、報道によって事件がテロリズムであるかという検証も行えず、また当局がどのような手法で“テロリスト”たちを殲滅したか、その手法に正当性があったのかなかったのかも検証できない。また反テロ作戦のために海外に解放軍や武装警察を派遣することも同法によって可能になっている。

実際のところ、中国当局がテロ事件と位置付ける新疆ウイグル自治区で急増する暴力事件の中には、テロと言い難いものも多くある。農村にありがちな暴力事件、官憲の横暴に対する農民の抵抗や貧困への不満から自暴自棄になって政府機関を襲うといった事件、あるいは弾圧から逃亡するために密出国しようとしたところを、当局に計画がばれて拘束されそうになったために抵抗したケースなども、計画的な政治目的のテロリズムとして断罪されている。

また女性や子供を含むテロリストとは言い難いような家族や集団をテロリストとして、警察当局が殲滅した事件もあった。こうした事件は当局がテロ事件として発表したあとも、テロリストの年齢や性別、事件発生の状況などの詳細な情報が出てきたときに、国際社会からテロとは言い難いのではないかという疑問が出てきたわけだが、同法によって詳細の報道が禁じられると、新疆地域で起きている“テロリズム”の真相はますます不明となってしまう。

ウイグル、チベットへの「新たな迫害」

この報告書では世界ウイグル会議事務総長のドルクン・エイサの発言も取り上げられている。「テロリズムという言葉が中国によって政治的道具になっている。…反テロ法はウイグル、チベットコミュニティーに対する新たな迫害の手段となり、人民の安全を守るどころか、正当な権利要求活動を犯罪扱いすることで地域の緊張を増大させることになる」。このドルクン・エイサ自身も、中国当局のテロリストリストのナンバー3に指定されている。先週、日本の国会内で講演を行ったチベット仏教の最高指導者、ダライ・ラマ14世も中国はテロリストと呼んでいる。

ミッテンによれば、チベットにもこの反テロ法の影響がヒシヒシと迫っている。ICTはチベット地域の現地の人たちや、旅行者、企業関係者らから、当局の監視の目をぬったSNSなどの手段によってチベット地域の現状を比較的把握してきたが、最近のチベット地域における解放軍の存在感は目に見えて強まっている。彼らはチベット仏教僧侶や信者による焼身自殺をテロリズムと位置付けているので、反テロ法施行を建前に軍の配置を増強している。地域境では解放軍による反テロ演習の頻度が増え、明らかに解放軍は「チベット族の蜂起」と戦うことを想定しているようにみえるという。「ダライ・ラマ14世が崩御したあと、チベット人の間で維持されてきた中道路線が崩れ、中国共産党と命がけで戦おうとする動きが起きる可能性はある。中国当局はそれをチベットの徹底弾圧の好機と考えて待ち構えている」。

さらに反テロ法は、チベットやウイグルだけが対象ではなく、香港の民主化運動も対象になりうるとミッテンは指摘する。

「香港テロリズム」のレッテル

香港については、このコラム欄で何度も指摘したように、2014年の雨傘革命挫折以降、香港本土派と呼ばれる政治勢力が若者の間で広がっている。彼らは一国二制度に絶望し、香港基本法(香港地域の憲法に相当)を改正し、自らの手で香港の未来を決めることのできる高度の自治を望んでいる。香港基本法は憲法といいながらも、中国と英国によって勝手に決められた「押し付け憲法」であり、その解釈権すら香港人には与えられていない。基本法を解釈するのは中国全人代常務委員会なのだ。

そしてその全人代常務委の解釈をそのまま踏襲する形で香港高等法院は、香港有権者が選んだ本土派議員の游蕙禎、梁頌恒(ともに青年新政)の議員資格を剥奪した。9月5日の香港立法会(議会)選挙で香港本土派の議員は6人当選したが、この2人は宣誓式のときに、「香港は中国ではない」と書かれた旗を身に着け定型の宣誓文を無視して、チャイナと英語で読むところを広東語の支那にあたる発音で読み上げるなどして、中国に対する抵抗感を表明した。これにより、宣誓が無効となったが、二人の再宣誓を認めるか否かは、最終的に中国全人代常務委による法解釈に委ねられ、全人代は再宣誓は認められず、宣誓無効により議員資格は剥奪されると判断した。

この後、香港では2人の議員剥奪に反対する若者ら約8000人のデモが起き、警官隊と衝突、けが人の出る乱闘騒ぎとなった。中国側は2議員について「宣誓式で公然と国家と民族を侮辱し、国家分裂と香港の繁栄・安定を破壊する狙いを十分露呈した」として、彼ら香港本土派に対し平和の破壊者というレッテルを張り、にわかに中国国内で胡錦濤政権が制定しようとして香港市民の抵抗にあった結果ずっと棚上げにしていた「基本法23条に基づく国家安全条例の制定」の必要性が訴えられるようになった。

「香港テロリズム」という言葉は、2016年5月の全人代常務委員長(国会議長に相当)の張徳江が香港を訪問する際、公安当局が香港訪問中の指導者の身の安全を守る体制を説明するときに使用した。香港本土派をテロリスト認定しようという思惑を中国側は隠さなくなってきており、このままでは香港の民主を求める運動ですら、国家分裂を画策するテロリズムとして鎮圧される可能性が増大している。

こうした中国の、反テロリズムを建前とした人権や宗教、民族の弾圧は、米国のトランプ政権以降、ますますひどくなるのではないか、とミッテンは予想する。

人権カード捨てるトランプ

トランプは選挙運動中、テロリスト容疑者に対して水責めなど拷問を復活することを約束したり、テロリスト家族の殺害を米軍に命令することも示唆するなど、人権に対する意識はかなり低い。テロリスト容疑者への拷問も愛国である、とする思想は、今の中国の政権と共通するものであり、それも、中国政権サイドがトランプ政権の誕生を歓迎する理由の一つだ。

米国は伝統的に対中外交において人権を外交カードとして利用してきた歴史がある。米中首脳会談の折には、報道の自由や人権問題などがテーマに上がったし、米国国務省の出す人権リポートは常に中国を苛立たせてきた。もっともこの人権優先の建前はときに米国の国益と合致しないこともあった。たとえば天安門事件後、米国は対中経済制裁に踏み切ったが、米国の本音を言えば、一刻も早く制裁解除したかった。だが、人権問題という建前によって米国は制裁を解くことがなかなかできなかった。

だがトランプ政権では人権問題をカードに中国に外交的圧力をかけるという心配はまずなくなったと中国は見ている。反テロリズムという言葉を使えば、民族弾圧も拷問も愛国のためとなり、それはまったく米国も同じことをやっているのだから、とやかく言われる問題にはならない、ということになる。

こうしたトランプ的な思想は、トランプ当選後、欧州にも広がる気配がある。前回のコラムでも触れたがトランプ当選は「国際秩序の分水嶺」であり、中国のこれまでやってきた共産党体制強化のための人権軽視や民族弾圧、言論弾圧、宗教迫害を誰も国際秩序への挑戦であると非難することができなくなるわけだ。なぜなら、中国のそれらの行動は、愛国行動であり、トランプ政権をはじめ一部の欧州国家で広がりはじめた自国第一主義の価値観からいえば、中国が自国第一で動くことに対しては、自国の国家利益を損なわないかぎりは肯定するのが当然ということになるからだ。

もともと中国の経済的影響力がグローバル化の中で拡大していく過程で、先進国の中でも、中国の人権問題に対して真っ向から批判できる国は減ってきていた。それがたとえ外交上のカードとしての利用であっても、あるいは建前であっても、中国を上回る経済力と軍事力をもつ米国が中国の人権問題に関心を寄せているという姿勢は、中国国内で弾圧されてきたチベット、ウイグルの人々や民主化活動家にとっての一縷の望みであったのではないか。人権派弁護士や民主化活動家らの少なからずが米国に政治亡命を希望するのは、米国が中国の民主化を望み、米国だけが政治的に働きかけるだけの力をもっているという期待があったからこそだろう。そういう意味では、トランプ当選は、世界で、とりわけ中国で人権上虐げられている人々に絶望的な気分を味わわせたかもしれない。

日本は「公正さ」捨てるな

さて、日本にとって、トランプ政権が吉とでるか凶と出るかは、まだわからない。トランプの対日知識はほぼ白紙だろうし、両国の関係は日本の安倍外交の結果次第であると考えている。一部保守派が期待するように、日米同盟の見直しは、むしろ日本のプレゼンスが増大してより対等な同盟関係に発展するかもしれない。国際秩序の転換期がきているというならば、その外的環境の変化にあわせて、今までタブー視されて論じられることのなかった日本の安全保障の在り方を核保有論議も含めて行うことができるかもしれない。そのことについては私は肯定的にみている。

だがもし、国際秩序の再構築に当たって、日本もプレイヤーとしてかかわっていく覚悟があるのなら、どうか、人権問題について正しくあろう、公正であろうという姿勢を捨てないでほしい。それが、アジアの盟主として、中国式グローバリズム、中国式価値観に対抗していくための最大の条件となるのではないだろうか。

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『「性奴隷」を否定した韓国人教授の勇気 日韓両国における「慰安婦問題」の鎮静剤になるか』(11/23JBプレス 森清勇)について

韓国人は総て悪い人間と言う訳ではなく、李教授のように勇気を持った人もいるという事でしょう。ただ如何せん本記事にもありますように、親日と言う訳でなく、正しい歴史解釈をする人達に、暴力行為や社会的に抹殺することを周りが強制します。そもそも事後法の『親日派財産没収法』を成立させるくらいですから、韓国は法治国家とは言い難い。“law maker”としての国会議員のレベルが低すぎるのでしょう。近代法についてキチンと勉強していないのでしょうけど、議員は韓国国民が選んでいる訳ですから、韓国メデイア、韓国国民のレベルの低さを表したものです。

日韓基本条約で日本は韓国に経済援助して賠償問題(1910年の韓国併合は無効と言うのが韓国の立場、日本は世界が統合を認めた訳で有効との立場)に決着をつけたにも拘わらず、ゴールポストを必ず動かしてきます。不二越の強制徴用問題でも係争中ですが、元々当時は日本人だったわけで、それを理由に訴訟を提起し、受理する裁判所の姿勢がおかしいでしょう。これを見ても法治国家ではないと言えます。日本企業は須らく迅速に韓国からも撤退した方が良いと思います。中国と同様、事後法がまかり通る国ですから。安心して取引できません。

11/23日経<戦時強制徴用巡り不二越に賠償命令 韓国地裁 

【ソウル=山田健一】第2次世界大戦中に日本で強制労働をさせられていたとして、韓国人女性5人が富山市の機械メーカー、不二越を相手に損害賠償を求めていた訴訟で、ソウル中央地裁は23日、同社に1人あたり1億ウォン(約940万円)の慰謝料の支払いを命じる判決を言い渡した。原告の請求を全額認めた。

植民地時代の請求権問題は1965年に結んだ日韓請求権協定で解決済みというのが日本政府の立場。韓国では2012年に個人の請求権は消滅していないとする大法院(最高裁)判決が出て以降、強制徴用を巡って日本企業が敗訴する例が相次いでいる。

不二越は14年にも強制徴用を理由に別の韓国人女性らが起こした訴訟で敗訴した。現在は控訴審で係争中。>(以上)

李教授は2007年に韓国で『大韓民国の物語』を出版、日本には2009年に翻訳されて出ています。しかし、妄想に生きる民族なので、その本が大勢を動かすまでには至っていません。バンダービルド氏によれば、保守右派は15~20%くらいしかいません。その内何%が李教授の意見に賛同するかです。

http://oboega-01.blog.jp/archives/1062547173.html

また、バンダービルド氏は韓国人を変えるには保守派の人達の出生率を上げることだとも言っています。

http://oboega-01.blog.jp/archives/1062523694.html

韓国は如何におぞましい社会になっているかという事です。そう言う国と日本はGSOMIAを締結してしまうのですから何をか況やです。有効期間は1年で90日前の通知で解除できるところが救いです。早く解除した方が良いでしょう。朴大統領は日中韓首脳会議参加に意欲を見せているとのことで、クーデターの心配はしないのでしょうか?安倍内閣は間違っても通貨スワップは認めないように。トランプのTPP離脱宣言、プーチンの後退した領土発言等安倍外交に逆風が吹いています。ここは慎重に行かなければ。1月解散するのであれば、スワップすれば、堅い保守派の岩盤層が自民を支持しなくなります。

記事

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韓国ソウルの日本大使館前で、自分の体に火を付けた男性と火を消そうとする女性(2015年8月12日撮影)〔AFPBB News

2014年10月号『SAPIO』に掲載された1枚の写真が忘れられない。キャプションには「元慰安婦の前で〝土下座〟をする李栄薫教授。女性たちから罵詈雑言を浴びせられる様子が新聞・テレビで報じられた」とある。

ソウル大学経済学部の李栄薫(イヨンフン)教授は、朝鮮時代末期から植民地時代までを経済史的観点から再検討し、日本による土地と食料の収奪を誇張する従来の歴史を否定してきた。

教授は、2004年には、史実に基づいて慰安婦の「強制連行」を否定したが、社会的な非難を受け、ソファーに居並ぶ慰安婦たちの前で土下座させられた。写真はその時のものであった。

こうした民族主義の呪縛が、史実に忠実であろうとする教授を一層奮い立たせ、2006年には反日史観など従来の歴史観にとらわれない新しい歴史教科書を見据えて開催されたフォーラムに参加する。

だが、ここでも反対する勢力から殴る蹴るの暴力を受けたと言われる。しかし、教授はそれにもめげず、2007年に『大韓民国の物語』を上梓し、韓国民に歴史の真実を語りかけた。

(参考・関連記事)「天に唾する慰安婦問題、韓国の言論弾圧に世界も注目

歴史の「書き直し」が始まる

土下座のような「ひどい目にあった不快な記憶から解放されたかった」という教授は、フォーラムで「脱民族主義という観点から解放前後史を再解釈した国内外の優れた学術論文を一書に纏める編集作業を行う。

この一書が新聞や放送で大々的に報じられ、韓国社会を支えている多数派層が、「民族・民衆・階級などという彼らの日常生活と乖離した歴史によってどれほど苛まされてきたのかを、そして自由と信頼による法治の文明として明るく描かれた、新しい歴史をどれほど渇望しているのかを痛感した」という。

そして、「韓国の歴史教科書の内容は事実ではない。誇張されていたり、誤って解釈されたものが大部分だ。そのような話はすべて、教科書を書いた歴史学者の作り出した物語」だと述べる。

そこには、民族主義に占領された国民に、正しい史実を知ってもらいたいという不動の意志が見て取れる。

こうした意識で教授が上梓したのが『大韓民国の物語』である。副題は「韓国の『国史』教科書を書き換えよ」という提案になっており、民族主義にとらわれない人間を歴史の基本単位として書かれた私本・歴史物語とでも言えよう。

日本語訳の帯には「韓国内で猛攻撃を受けたベストセラー遂に翻訳!」「親北朝鮮、反日の韓国の歴史は間違っている」「ソウル大教授の歴史学者が書いた本当の韓国の歴史。これを機に『新しい歴史教科書』作りがはじまった」と書かれている。

反日教育を受け、反日政治が常態化した中で生活してきた多くの韓国人にとっては目から鱗の内容ばかりで、衝撃の本であったに違いない。

このような本を手にすること自体が反韓・親日の烙印を押され兼ねない状況の中で、ベストセラーになったわけで、韓国人には複雑な気持ちが混交したことが想像できる。

目次の中の小項目をざっと見ると、「民族主義の陥穽から抜け出でよ」「『植民地収奪論』批判」「日本軍慰安婦問題の実相」「日帝がこの地に残した遺産」などがある。民族主義の色眼鏡で歴史を見るのではなく、また善悪抜きに史実を直視しようとする視座が伺える。

本論の前に「書の扉を開くにあたり」の一文が添えられている。従来は使用する用語に気を使うあまり表現を曖昧にしたり、事前に友人に読んでもらうと「日本びいきの右派にされてしまう危険性がある」という指摘を受けることがあったなどととして、「いつの頃からであろうか。文章を書くときに自己検閲をかけるようになった」と告白し、この検閲者は「韓国の横暴な民族主義」であったと述懐する。

そして、「そのような検閲を強いる韓国の民族主義を批判し、過去50年の間、民族主義の歴史学が、二十世紀の韓国史の道筋をどれほど深刻に歪めてきたのかを晒そうとした」と出版の目的を語る。

恣意的な「挺身隊=慰安婦」混同

問題の慰安婦については「日本軍慰安婦問題の実相」と、続く「あの日、私はなぜあのように言ったのか」に詳しく書かれている。

韓国の今日の中学・高校の歴史教科書には、「日本が朝鮮の純潔な乙女を挺身隊という名で動員し、日本軍の慰安婦とした」と書かれているが、1960年代初めまでは「慰安婦と挺身隊は内容も経緯も全く別個のもの」と理解し、「1979年までの歴史教科書は挺身隊や慰安婦に関してこれといって言及していません」と歴史的事実に触れる。

教授は約175人の女性が自身の慰安婦としての不幸な過去を告白したが、誰一人当初は挺身隊として動員されたと証言した人はいなかったという。

しかし、その後、慰安婦問題のために結成された市民団体は「韓国挺身隊問題対策協議会」の名で活動してきたし、マスコミは「女子挺身勤労令」を探し出して、日本が半島で組織的に慰安婦を挑発した証拠と1面トップで特筆大書。

また12歳から13歳の若い生徒は勤労挺身隊に、15歳以上の未婚女性は従軍慰安婦として連行されたと書いたことなどを指摘する。

この頃から、小説に女子挺身隊の「令状」が来て、「風聞」で慰安婦にされていったなどの描写も現れてくる。教授は歴史家の立場から、女子挺身隊に令状が出されたことはないので「正確なものではありません」と否定する。

このようにマスコミが先を争って、幼い少女たちが挺身隊という名で慰安婦として強制連行されたと報道する中で、小説、映画、そして歴史教科書にまで「挺身隊=慰安婦」が登場し、韓国民の間に定式化が進んでいったとみる。

ただ、こうした認識に火をつけたのは図らずも日本人であったとも述べる。

こうした中で、教授は藤永壯(たけし)氏の論文(「上海の日本軍慰安所と朝鮮人」)を引用する形で、日本人女性だけでなく、「朝鮮女性たちも1931年以降、活発に上海へ入ってきてい」たという事実が重要だと述べる。

1931年の韓国人慰安婦は139人であったが、36年には913人となり、同年からは朝鮮人経営の慰安所もできる。また、2000円でスタートした資本金が3年後の40年には6万円にも膨れ上がったという。

慰安婦を集めるために活躍したのが女衒(ぜげん)である。女衒が親に大金を見せて誑かし、「就職斡旋詐欺」や「脅迫及び暴力」で女性を集め、あるいは「軍慰問団」や「女子軍属」の募集などと偽って集めた事実を述べる。

いずれにしても、朝鮮人女衒が甘言を弄して女性を集めたというわけで、決して「(日本人や日本軍による)強制連行」などではなかったので、朝日新聞が2014年にようやく虚言と判定した「吉田清治の告白(本)」を、10年も前に「事実ではない」と否定していたのである。

また、軍による管理売春は朝鮮戦争当時の韓国でもソウル、春川、原州、江陵、束草などで行われており、慰安婦たちは「第5種補給品」(ちなみに第1種は糧食、第2種は装備品などである)と呼ばれ、未成年者も少なくなく、「売春市場を経由した韓国女性が、1980年代までに百万人を超えた」とも述べる。

当時健在であった慰安婦に取材して確認しながら書いた李教授の本書に、朝日新聞や性奴隷などと主張する日本の学者・知識人たちは目を通さなかったのだろうか。多分目を通したが、事実よりもイデオロギーが先にあり、イデオロギー的主張を変えることの方が難しかったのであろう。

「性奴隷」もきっぱり否定した勇気

李教授は2004年に強制連行を否定した。

しかし、「上海の慰安所においてちょっと驚くほどの大金を稼いだ慰安婦の話」があるが、「いろいろな記録を見ると、これはそれほど稀なことでもありません」などと述べ、中国の漢口で働いていた朝鮮人慰安婦が「5万円(すでに3万円貯金)になったらソウルに戻って小料理屋を開く」と語っていたことを聞いた日本人司令官が「大したオナゴである」と表彰したことや、1942年から3年間、ビルマ戦線で過ごした文玉珠は5千円を実家へ送り、なお通帳には2万5千円(「週刊新潮」2016.10.20付、櫻井よしこ氏の「日本ルネッサンス」では、2万6千円と述べ、家26軒分としている)があったことなどを例示する。

しかし、慰安婦の生活状況については、吉見義明中央大学教授の主張に賛成の立場から、行動の自由がなかった、定期的な衛生検査を受けねばならなかった、自由な外出は禁止されていたなどを挙げ、「女性たちは性奴隷に他なりませんでした」と書いていた。

同時に「韓国内では未だ専門的な研究が不足しているのが実情」と語っていた。

また、教授は歴史的経緯を重視し、韓国軍にも慰安婦制度があったことや米軍のための韓国人慰安婦が1990年代までいたことなどを統計資料などで示し、歴史家として「日本軍慰安婦という事件を過去の歴史としてのみ見るのではなく、今日我々の周辺にまで深く浸透している現実として感じている」とも述べている。

ところが、今年8月に行った「慰安婦の女たち」の講義では、「性奴隷説」も明快に否定したのである。

講義は「李栄薫教授の幻想の国」と題して12回行った連続講義の最終回で、22日と23日に3回に分けて、計2時間10分余にわたって講義したという(上記週刊誌および「産経新聞」28.10.20付「阿比留瑠比の極言御免」)。

有力な資料源となったのは『日本軍慰安所管理人の日記』(日本語未翻訳)のようである。奴隷には法的人格が認められないが、「慰安婦は高賃金で廃業の自由があった」「著しい乱暴をした日本兵士を刺殺した慰安婦が正当防衛を認められ無罪となった」、また「日々の生活でも、月2回の休日があり、その時は勤務地を離れる自由もあった」ことなどから、慰安婦には法的人格が認められていたとして、「性奴隷ではない」と言い切る。

過去の日本の慰安婦制度が性奴隷であるならば、同様の制度を近年に至るまで持ち続けていた韓国の制度も「性奴隷」と言わざるを得ないという認識に立ったこともあろう。

こうした考察の結果として、現在も「慰安婦性奴隷説」を主張している吉見教授を指して、「氏の本は根拠が不十分だ」と退け、「日本軍慰安婦性奴隷説」を見直すべきだと結論付けているそうである。

慰安婦は20万でなく5000人

慰安婦の数についても20万人説を荒唐無稽と否定し、多くて5000人(秦郁彦氏は『慰安婦と戦場の性』で、約4000人と試算。JBpress拙論「天に唾する慰安婦問題、韓国の言論弾圧に世界も注目」参照)と見積もっている。

また、元慰安婦たちは証言をころころ変えており、資料として使う場合は慎重さが必要と戒めてもいる。

従来、慰安婦の証言に食い違いが見られても、一種の天の声でもあるかのように疑問を呈することさえ憚られたことからすると、瞠目すべき発言であり、韓国民の歴史認識が改めて問われよう。

韓国で本当のことを言うのは、いかに勇気がいることであり、ましてや日本を評価するような発言は教授などの地位を剥奪され、作家は不買運動に巻き込まれるなど、社会的に抹殺されかねない。以下に幾つかの事例を紹介する。

慰安婦は帝国主義がもたらした問題で、日本だけに特有のものではなく多くの国も大なり小なり関係しているとした朴裕河(パクユハ)教授の『帝国の慰安婦』は出版を差し止められている。また、元慰安婦たちからは名誉棄損で訴えられ、現在裁判沙汰になっている。

朴教授は日本を免責するものではないが、韓国も感情からではなく事実を事実として追求し、「韓国も変わらなければならない」という考えに至り、上梓したのであった。しかし「韓国も・・・」が慰安婦や支援団体を刺戟したのである。

2014年4月、大型旅客船セウォル号沈没事故があった。その直後から7時間、朴槿恵大統領の行動が不明なことについて韓国紙等を引用してコラムを書いた産経新聞の加藤達也支局長(当時)が名誉毀損で訴えられ、事情聴取のため拘束された。

日本の報道機関ばかりでなく、米欧諸国や報道機関などから「理解できない」と轟轟たる批判を受けたにもかからず8か月余にわたって拘束され、出国を禁止された。

最終的には無罪放免になるが、韓国民や大統領の意図で動くとも揶揄される検察には、慰安婦問題を追及してやまない産経新聞が、またその支局長が、感情的に許せなかったのであろう。

親日では「生きていけない」

この件に関して、SAPIO誌(2014年10月号)が、19人の韓国人識者にインタビューを申し込んだところ、13人が「言いたいことはあるが、韓国批判をすれば社会で生きていけない」などの理由で取材拒否し、応じたのは6人だけであったという。

取材に応じた呉善花氏は、日韓の文化比較を分かりやすく書いた『スカートの風』がベストセラーとして一躍有名になるが、新宿歌舞伎町で働く韓国人ホステスなどを取材したことから売国奴と批判され、氏の著作を読んだことがない人までが「犬畜生の呉善花をぶっ殺せ(社会的抹殺の意)」などの罵詈雑言を浴びせられたそうである。

日本に帰化した後、肉親の葬儀と親族の結婚の2度、韓国への入国を拒否され、その揚げ句に「日本右翼に買収された現在の従軍慰安婦」だの、「実在の人物(韓国人)ではなく日本人」などと、低俗かつ出鱈目な記事で人格否定まで行われたと語っている。

作家の金完燮(ワンソプ)氏は『親日派のための弁明』を出版した際、竹島は日本領、慰安婦は兵士の士気を高め、一般子女の強姦を防ぐ点で日本が発明した素晴らしい制度などの記述もあり、青少年有害図書に指定された。また、脅迫を受けると同時に、一時は出国禁止にもなる。

ブロガーの歯科医は、韓国の反日思想に警鐘を鳴らし続け、『韓国人による恥韓論』や『韓国人による沈韓論』などを上梓しているが、本名でなく「シンシアリー」というペンネームで発言し続けている。

作家の柳舜夏氏は『あなたたちの日本』を出版後、ネットで容赦ない糾弾を受けたし、書評は否定的なものばかりで、「韓国の改善点を指摘するには覚悟がいる」と述懐する。

そうしたうえで、「今、韓日両国が目指すべきは、貪欲な中国をコントロールできる良好な関係を構築することだ」と主張し、「反日はレベルの低い感情的な排泄行為以上の意味を持ち得ない」と指摘する。

文化人類学者で、日本学科の主任教授であった崔吉城氏は、「韓国語浄化」を掲げる学生が木の下で花札に興じていたので、「花札は日本の文化だ。それなのに韓国語の浄化だとはどういうことだ」と問うと、(暴力などがあったかは不明であるが)「学生らは大いに怒った」と告白する。

そして、東南アジアでは強い反日は聞かれないし、韓国における反日も植民地時代に醸成されたのではないと述べ、「少なくとも教育、農村振興、インフラ整備については邪念を交えず(日本を)正当に評価すべきである」と主張する。

韓国陸軍元大佐の池萬元氏は、反日親中を強めていた朴槿恵大統領について「政治家としての能力とバランス感覚が余りにも欠如している」と批判し、「韓国の国益を損ねる愚行」と断言している。

一事が万事、真っ当な意見が暴力によって封じ込まれてきたのが韓国社会である。

インタビューに応じた作家たちの勇気を称える意味で、足跡を簡単に紹介した。勇気ある彼等であるが、インタビューの中で、等しく「私は親日派ではない」と断りを入れているところに、自己検閲が見られる。

おわりに

李栄薫教授は、経済学者として歴史的事実を踏まえて、あえて火中の栗を拾おうとしているわけである。その勇気に対する賞賛の言葉は容易には見当たらない。

教授は「私たちが先進国になるためには、すべての幻想を消さなければならない。まず外交的な葛藤にまでなった歴史から解放されてこそ、本当の意味で近代人になれる」と、韓国人に呼びかける。

「慰安婦性奴隷」の否定など、従来は炎上したであろう国民世論もこの講義ではさほどでないのは、昨年末の慰安婦問題に対する日韓合意が効を奏しているからであろう。

慰安婦問題も南京虐殺問題も火元は日本であり、朝日新聞である。この姿勢は朝日新聞が大東亜戦争の敗戦情報を知りながら、政府や世論に気兼ねしてさらなる戦闘を煽り続け、国民を無駄な死に追いやったこと(細川隆元『実録 朝日新聞』)と二重写しである。

慰安婦性奴隷説の否定で韓国に後れを取っては、末代までの語り草となり、購読者の激減になることは必定であろう。

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『中国工場売却、従業員の乱 ソニーに補償金要求 撤退の難しさ浮き彫り』(11/23日経)、『中国地方政府債権も不良債権化の懼れ 融資平台の債券発行はすでに27兆3000億円を突破』(11/23宮崎正弘メルマガ)について

本記事を読みますと、中国には法治の概念が根付いてないことが分かるでしょう。法は自分の都合の為にあるという事です。都合が良いときだけ法を主張し、都合が悪くなればサッサと無視します。国も国民も法を守ろうなんて気はサラサラありません。翻って日本は法がなくても「武士に二言はない」と言って、約束は守ろうとしてきました。守れない場合は切腹覚悟です。言葉の重さを実感して生きてきました。英語でも“my word is my bond”と言う表現があります。ラテン語の“dictum meum pactum”から来たとネットにはありました。中国には封建時代がなく、中央集権の時代だけと見ることもできると言われます。封建時代を経験したのは欧州と日本だけで、それで騎士道精神と武士道ができた訳です。

中国の長い歴史の中でルールを守っていれば、殺されかねないというのが、民族的特質を形造ったと考えられます。「騙す方が賢く、騙される方が馬鹿」と言うものです。本記事は「ゴネ得」を狙って、従業員が騒いでいるとありますが、中国でこんなことが簡単にできるはずがありません。何せ人権抑圧国家ですので。裏で地元政府or中共分子が蠢いているはずです。でなければ、騒いでいる社員はもっと多く、逮捕・収監されるでしょう。少なくとも当局が黙認しているという事です。外国系企業の撤退を何としても阻もうという意図でしょう。1915年の「対華21ケ条要求」だって、日本に無理な要求させた形を取らせたうえで、袁世凱は国民や世界に向けて日本の非道を発信しました。大隈内閣の時です。早稲田の学生は良く現代史を勉強しないと。大学創始者が為したことを大事に思って勉強せねば。慶應も「脱亜論」を主張した諭吉の思いを活かさねば。両校の卒業生はすっかり忘れているように思えます。何はともあれ、「対華21ケ条要求」が第二次世界大戦に参戦する道を造った訳です。昔から日本人は中国人の不誠実、狡猾さに悩まされて来ました。いい加減『非韓三原則』ならぬ『非中三原則』を打ち立ててはどうか。

http://d.hatena.ne.jp/jjtaro_maru/20100929/1285712786

日本企業はアホとしか言いようがありません。自業自得でしょうけど。日経があれだけ大陸進出を煽ったせいもあるでしょう。日経は悪辣です。経営トップが、金か女で籠絡されたのかも知れませんが。でもやはり「騙される方が馬鹿」です。中国駐在員の生の声を聞けば進出には二の足を踏んだでしょうに。ソニーは日本人の名誉にかけて支払い拒絶すべきです。当たり前で、もし支払い義務がないのに支払えば、株主総会で追及されることは覚悟しなければなりません。放っておくことが大事です。ソニーの責任ではありません。株を全部売却する手続きを整斉とすることです。嫌がらせがあるでしょうけど、弁護士を立てて対抗し、世界にアピールすることです。外資の投資意欲を減退させるでしょう。日本政府は当てになりませんので。

宮崎氏の記事は「中国の地方債務が膨大」ということですが、早く中国版ブラックマンデーが来ないかと思っています。なかなかしぶといですね。言ってみれば「飛ばし」を国家レベルでやっているようなものでしょうが、いったい誰が一番損をするのかです。中国の債券はデフォルトになるでしょう。日本の金融機関も中国債は早く処分しておいた方が良いと思います。

11/22の朝日新聞はヨーカドーの北京撤退のニュースを流しました。遅きに失した感がありますが、早めの全店撤退が賢いやり方だと思います。

http://www.asahi.com/articles/ASJCP4WRDJCPUHBI01Y.html

日経記事

ソニーの中国広東省広州市の工場で、従業員による大規模なストライキが発生していることが22日までに分かった。同工場の売却を発表したことに対して従業員が一斉に反発し、4千人を抱える工場で生産が中止に追い込まれる事態となった。中国では待遇改善だけでなく、撤退に絡んでも日本の大手企業を狙うストが相次ぐ。中国ビジネスの難しさを改めて浮き彫りにした格好だ。

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仕事をすることをやめたソニーの広州工場の従業員たち(17日、広東省広州市)

発端はソニーが7日に発表したリストラ計画だ。計画は広州市にあるカメラ部品の工場を約100億円で中国企業に売却し、同工場から完全に撤退するというものだ。

工場は2005年に稼働。足元で4千人もの雇用をもたらしているが、中国経済が減速する中で厳しい決断を迫られた。従業員は全て売却先の中国企業に引き継ぐとしており、ソニーに特段の非があるわけではない。

ところが、この決定に翌日から従業員が一斉に反発した。

「我々はソニーの社員だ!」「何の説明もなく勝手に中国企業に工場を売るな!」「デモが嫌なら補償金をよこせ!」

従業員らは口々にこう叫び、工場幹部らに迫った。10日からは工場の出入り口を封鎖して製品の出荷を遅らせる強硬策に出た。15日には納期が迫る製品の出荷に困る状況下、警察がようやく事態収拾に乗り出し、デモを鎮圧。負傷者も出て、デモを主導した11人の従業員らが逮捕される事態にまで発展した。

しかし、これで収まらなかった。

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「我々従業員は機械ではなく奴隷でもない。我々を(他の企業に)売らないでください。我々にも尊厳と人権があります」

16日からは従業員らがこうした横断幕を工場の門に掲げ、工場に出勤するものの仕事はせず、工場内の食堂や運動場で思い思いに時を過ごす。それが22日現在まで続いている。周囲は今も万が一に備え、多くの警官隊が見張る異様な状況だ。

従業員が強硬手段に出るのには訳がある。狙いは「補償金」だと従業員らは口々に認める。26歳の女性従業員は「ソニーが撤退すると聞いて驚いたけど、リーダーの人から、ストに参加したら、ソニーは有名な大きな会社なので多額の補償金がもらえると聞き、よく分からないけど参加した」と明かした。そのうえで「お金がもらえるまで生産ラインには戻らないわ」と言い切った。

実際、企業側に全く非がなくても「多額の補償金を積むことで早期収拾を優先してきた日本企業は多い」。中国の労務や撤退問題に詳しいIBJコンサルティング(広州市)の前川晃広氏は進出企業の実態をそう指摘する。従業員に騒ぎ続けられるよりも、補償金で解決するなら、それで収拾してしまいたいというのが企業側の考えだ。

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そのことをよく知る従業員らは、交流サイト(SNS)を使って過去の事例などの情報を共有し合う。「どの企業が、何かあった時、どれだけの補償金を出したのかなどをよく把握し、それを交渉の材料に使う」(前川氏)のだという。

今回のソニーのケースも手続き上、企業側に全く非はない。労働契約法第33条は「雇用単位が名称、法定代表者、主たる責任者又は投資家等の事項を変更することは、労働契約の履行に影響しない」と規定。今回は売却で雇用主が変わるだけであるため、ソニーは従業員に経済的な補償は一切行わなくていい。

本来支払う必要のない補償金という日本企業が何度も苦汁をなめた問題に対し、ソニーがどう臨み、事態を収拾するかが注目される。

中国側もこの問題をどう受け止めるのか。「量から質へ」と産業高度化を標榜する以上、海外企業などに公正な事業環境を用意する必要があるが、現実はほど遠い。

少なくともこうした「ゴネ得」を狙う行為が繰り返されるなら、海外からの投資が今後一段と冷え込むことになるという認識と覚悟が必要だ。

広州=中村裕

宮崎記事

どうするつもりなのか、不良債権を平然と増やし続ける神経は?

インフラ投資の継続が目的とされるが、期日の迫った過去の借金の借り換えをやっているだけである。

高利の利息を支払いつづけるわけだから、雪だるま式に債務が傍聴してゆくには火を見るよりも明らかだ。

「融資平台」というのは、地方政府の企業体、つまりダミーである。

事実上、中国地方政府が債権を発行できない(上海特別市など特例を除く)ので、ダミーを設立し、銀行からの借り入れができないために、独自に「城投信」をいう債権を起債してカネをかき集めてきた。これら「融資平台」は中国全土に一万社が設立されており、その債券発行の推計は27兆3000億円を突破している。

地方政府の債務は最低に見積もっても290兆円になることは楼財務相が認めている。ウォール街は中国の地方政府の債務を340兆円前後と推定しているが、これだけでも日本の国家予算の四倍弱。破天荒の額面である。

かねて指摘してきたように財源不足を架空の投資話をでっちあげたりして、国有銀行に融資させ、焦げ付きが問題となると、理財商品という妙な投信を発行し、さらにはシャドーバンキング、街金。P2Pというネット上の金貸し。

株式市場はパンクしてしまったため、証券会社に資金をぶち込んで暴落を防いできたが、これで新規上場の機能が失われ、上海株式市場というのは官営となった。つまり株価操作のギャンブル場と化けた。

近未来に中国版ブラックマンディがやってくるだろう。

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『断言しよう。異例ずくめの「安倍・トランプ会談」は満点外交だ!狙うは中国の野望をくじく平和構想』(11/21現代ismedia 高橋洋一)について

11/21産経ニュース<「蓮舫人気」不発か 次期衆院選の候補者擁立で民進党に遅れ 83空白区でメドが立ったのは「1ケタ」

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代議士会で挨拶する民進党の蓮舫代表=11月8日、国会内(斎藤良雄撮影)

民進党が次期衆院選をめぐり、公認予定候補のいない83の選挙区について、各都道府県連に擁立の意向を確認したところ、具体的な候補者名が挙がった選挙区が1ケタにとどまっていることが20日、わかった。9月に「選挙の顔」として蓮舫代表が就任したものの、政党支持率が上向かないのが一因。衆院過半数となる238人以上の擁立は難航しており、積極的に擁立を進める共産党との候補者調整にも影響を与えそうだ。

民進党は295の衆院選挙区中、これまでに現職や新人などを含め、212選挙区で公認予定候補を決めた。党執行部は残る83の空白区について、10月末までに各都道府県連を対象に候補擁立作業の状況を調査。この結果、候補者名が挙がるなどめどが立ちそうだったのは「7、8選挙区」(党幹部)だったという。地方議員らに次期衆院選への出馬を打診しても、断られるケースが多い。

不人気なのは、党勢低迷が原因だ。今月12、13両日に行った産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)の合同世論調査では、民進党の政党支持率は前月より1・7ポイント減の8・6%。自民党(38・3%)の4分の1以下にとどまっている。民進党中堅は「蓮舫代表になって党勢回復を期待したが、効果が出ていない。候補者が集まらないのが証拠だ」と指摘する。

民進党は岡田克也前代表の時代に候補者の公募を大々的に実施し、7月の参院選では、公募で選ばれた候補が当選するなど一定の成果を収めた。だが、次期衆院選では早期解散論もあることから候補者をじっくり選ぶ時間が取れず、現在は公募を予定していない。

自前の人材不足は、共産党との選挙区調整にも影響を与えそうだ。

共産党はすでに165選挙区で候補者を発表、志位和夫委員長は16日の記者会見で、約200人の公認候補を内定したと言及した。月内をめどに「ほとんどの選挙区で擁立し、民進党と(候補一本化に向け)話し合う」と述べた。

民進党が候補を擁立できない選挙区は、共産党候補が「野党統一候補」となる可能性がある。さらに志位氏は、選挙区で党公認候補の確実な勝利を目指す「必勝区」を設ける方針も示している。民進党の野田佳彦幹事長は、野党間の候補者調整について「まずは自分たちの候補擁立を優先させたい」としているが、早期に空白区を埋めなければ、候補者調整は共産党主導で進むのは必至の情勢だ。

民進党執行部も、深刻な人材不足への危機感は共有しており、党幹部は地方行脚を強化している。蓮舫代表は19日、公認候補が一人もいない宮崎県に入り、街頭演説などを行ってアピール。野田氏も20日、鳥取県の元職のもとに足を運び、支援者らと意見交換した。(山本雄史)>(以上)

青山繁晴氏は11/21「虎ノ門ニュース」の中で、「佐々江駐米大使は安倍首相のトランプ会談に反対した」とあります。既存メデイアは駐米大使の人脈で会談できたとか持ち上げていましたが、嘘と言うのが分かります。11/20本ブログにも書きました。

http://kukkuri.jpn.org/boyakikukkuri2/log/eid1977.html

プーチンに会うまでに解散をと思っていましたが、ここまでくれば日程的に厳しいでしょう。1/22日経によれば、プーチンは「共同経済活動」をと言っているようで、この癖玉で日本を揺さぶる狙いもあると思われます。流石にプーチンは強かです。来年1月冒頭解散で反日民進党を壊滅、共産党しか生き延びなくして、敵の姿を浮き彫りにした方が良いのでは。連合は共産党と手を組む反日民進党を応援しないでしょう。

反日民進党の保守派は何をしているのでしょう。共産党と手を組むのを許すのであれば保守とは言えません。日本共産党は中国、北朝鮮の手先です。売国と同じ行為です。比例復活でなければ、党を飛び出し、他党(自民・維新・小池新党?)に移った方が日本の為になるでしょう。「こころ」の和田政宗議員は参院で自民会派入りしました。「こころ」の中山・中野氏も来年統一会派を組むようです。青山氏は女性初代首相には中山恭子氏をと発言しています。大賛成ですが、自民党がスンナリ認めるかどうかです。自民党にも腐った部分がありますので。親中派や親韓派議員も沢山います。筋を通す議員は嫌われます。

http://ameblo.jp/sikihanana156/entry-12221614288.html

記事

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「内容が漏れなかったこと」がとても重要

安倍首相は日本時間の18日朝、ニューヨークでトランプ次期大統領と初めて会談した。会談は1時間半、世界が注目する中で日本の首相が存在感を見せた。CNNでは、何度も安倍・トランプ会談の模様を放映していた。

会談の場所はトランプ氏が住むトランプタワー。挨拶代わりとして、安倍首相は日本製のドライバーを持参した。トランプ氏がゴルフ好きなことを知っており、次回の会談をも視野に入れている。

日本の首相が、アメリカ大統領選挙に勝利した候補者と大統領に就任する前に会談するのは極めて異例だ。安倍首相の動きは素早かった。10日朝には、先進国の中でも先駆けて電話会談に成功し、その場でニューヨークでの会談合意にこぎ着けている。安倍首相は、長期政権なので余裕を持って外交をこなしている。

当初の会談時間は2時間を予定し、途中で食事が入っていたようだが、米国政府から「現職大統領はオバマ氏だ」という横やりが入り、結果として食事は抜きになったようだ。会談時間も短くという要請であったが、結果としてウマが合ったのか、かなり長い会談になった。

また、本格的な「首脳会談」にはしないという要請もあったので、安倍首相は通訳と二人だけでトランプ氏と会ったが、トランプ氏側は長女のイバンカ氏、夫のジャレッド・クシュナー氏、マイケル・フリン元米国防情報局長が同席した。

トランプ氏の自宅に行ったわけだから、長女のイバンカ氏、夫のジャレッド・クシュナー氏がいるのはギリギリのところだが、マイケル・フリン氏がいたので、これで事実上「日米首脳会談」になってしまった。まあ、日本側はオバマ政権の顔をつぶしてはいないだろう。

会談内容は、この会談が非公式である以上明かされないが、次回の会談の予定も話し合われただろう。

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首相官邸HPより

実は、会談内容が漏れてこないというのは重要だ。もちろん、オバマ大統領のメンツの問題もあるが、それ以上に、安倍首相はトランプ氏との会談で「内容についてはお互いの胸のうちにしまい外の漏らさないようにしよう」といったはずだ。もし漏らせば相手を裏切ることになる。内容が漏れなければお互いに信頼できる相手になる。

安倍首相は、トランプ氏の会談後、複数の日本のメディア関係者に連絡をとったようであるが、その対象者から漏れているマスコミ諸氏も心配要らない。肝心の内容は決して言っていないはずだ。官邸のホームページに出ている範囲、そこで掲載されている写真からわかる範囲でしか、話していない(http://www.kantei.go.jp/jp/97_abe/actions/201611/17usa.html)。

これで、安倍首相が「トランプ氏を信頼できる」といった理由もわかるだろう。内容を漏らさないようにしようと言って、相手も了解したという意味で、こちらからも漏らさない。それで、信頼できるということなのである。

無粋というか、まったくトンチンカンなのが民進党である。蓮舫代表が、「非公式会談ではあるが、首相は説明する義務がある」として、「何をもって信頼できるのか。ぜひ詳しく説明してほしい」といった。

これに安倍首相が答えたら、それこそ安倍首相とトランプ氏の信頼関係をぶちこわし、日米関係を危うくする。民進党の意図として、日米関係を壊してでも安倍政権を倒すことを狙っているのだろうか。もし万が一(とてもあり得ない話であるが)、民進党に政権が交代したとして、トランプ氏との会談内容を明らかにせよといわれれば、明らかにするのだろうか。

もし国会で民進党議員が安倍首相に質問したなら、「日米の信頼関係を壊したいのか。逆の立場で民進党が政権をとったときにはそうするのか」と反論され、愚かな質問であることが一発でわかるだろう。

蓮舫代表は一国のトップになったことがないので百歩譲って仕方かないとしても、首相まで務めた野田佳彦幹事長も同じ発言をしているのには、驚くばかりだ。海外から見れば、非公開会談を公開せよという民進党は、非公開のことをも公開する方針の党なのかと思うだろう。とても信頼できる党にみえない。

ゴルフ外交の意味

さて、安倍首相は、ゴルフのドライバーをお土産にして、トランプ氏もゴルフシャツを返したという。安倍首相のほうが高額なのは、今後の貸しになって好都合だ。当然、ゴルフの話はしただろう。アメリカでビジネスをした経験のある人ならば、ゴルフ好きのビジネスマンと交友をもつには、ゴルフ経験は必須であることがわかるだろう。

トランプ氏は、欧米にゴルフ場をいくつも持っている、ゴルフ好きで有名だ。安倍首相も、ゴルフが大好きである。トランプのベストスコアは60台というが「おおらかで楽しい」ようだ。もっとも、トランプ氏は自分のゴルフ場をもっており、どこからOBなのかといったルールは、トランプ氏次第らしいという話もある。

政治家のゴルフは人それぞれ、国でもいろいろだ。故・金正日北朝鮮総書記は、初めてゴルフクラブを握った際、11回もホールインワンし、ラウンド38アンダーという驚異的なスコアをたたき出したという。

安倍首相のゴルフスコアは「国家機密」という冗談もあるが、楽しいという点ではひけをとらない。ゴルフの腕はどうでもよく、おそらくゴルフ談義で盛り上がっただろう。

安倍首相の祖父、岸信介元首相は、第34代米国大統領のドワイト・アイゼンハワー氏と米国でゴルフをし、日米関係を強化している。アイゼンハワー氏は、トランプ氏と同じく政治家経験なしで大統領になった人で、ゴルフ好きで有名だった。安倍首相も、祖父にならって、ゴルフでトランプ氏にアプローチするだろう。

ゴルフという話題は、個人的な信頼関係を作るには重要なのだ。アメリカのゴルフは、キャディーも同伴せずにプレーヤー同士で話しながらラウンドし、ラウンド後、シャワー室で裸のつきあいになる。こうした人間関係はビジネスや政治に必要だ。

いずれにしても、18日の会談では日米同盟関係の重要性についてもふれただろう。日米同盟は単なる軍事同盟ではなく、民主主義や法の支配という基本的な価値観を共有するものだ。この点だけを確認しておけば、その後の、TPPなどの経済についての話はかなり楽になる。

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首相官邸HPより

トランプ氏は当選後、30ヵ国以上の各国首脳と電話会談している。各国首脳とも、いち早く実際にあって会談したいはずだ。実際、そうした申し入れは多いが、トランプ氏は各国首脳との会談を「時間の制約」という理由で断りながら、安倍首相とは長時間会って会談した。安倍首相が長期政権であることと、自由主義社会の盟友だからだ。

世界の首脳が安倍首相に話を聞きたがっている

国内では、TPPがどうなるかという、やや矮小なことが議論されているが、あまり細かな話に時間をとるのは得策でない。TPPは、①自由貿易、②多国間交渉、③中国除く自由主義圏、という特徴がある。

もし、会談で話していたとしても、①自由貿易、③中国を除く自由主義圏を強調するくらいだろう。トランプ氏も共和党も自由貿易を否定するはずない。トランプ氏はTPPの多国間交渉を批判し、自分ならもっとうまく交渉(ディール)できるといってきた。

初対面で、いきなり相手を否定する会話を安倍首相がするはずなく、将来に日米二国間交渉の余地を残し、自由主義社会を日米で牽引していこう、といったくらいではないか。

トランプ氏と会ったという安倍首相の財産は、早速、その直後のプーチン・ロシア大統領との会談でも生きたはずだ。

なにしろ世界の首脳の中で、いち早くトランプ氏と会談したわけで、プーチン大統領も、トランプ氏はどんな人かと興味津々であろう。かつて、小泉元首相が金正日北朝鮮総書記と実際に会談した西側先進国の唯一の首脳であったが、しばしば金総書記はどういう人か、と西側諸国の首脳会談で聞かれたという。

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【PHOTO】gettyimages

トランプ次期アメリカ大統領、プーチン・ロシア大統領という二大強国のトップ実力者と相次いで、安倍首相が会談したというのは、大きな意味がある。

トランプ氏が次期大統領に選出されたことで、世界のパワーバランスに大きな変化があるだろう。振り返れば、第二次世界大戦後、米ソによる冷戦構造が続き、ソ連の崩壊後はアメリカが世界の警察官として世界平和を担ってきた。それがそろそろ限界になって、オバマ政権はアメリカの世界の警察官としての地位から抜けだし、トランプ氏はそれを加速しようとしている。

一方、トランプ氏の軍事費の拡大志向をみると、ひょっとしたら、レーガン大統領の強いアメリカを目指しているのかもしれない。いずれにしても、アメリカが世界の警察官をやめるか継続するかは、今後、共和党が主導するアメリカ議会との関係がカギを握る。

アジアをどうコントロールできるか

ただし、パワーバランスに変化があるのは確実である。そこに乗じて、中国が海洋進出の野望を隠さないようになってきた。

具体的には、南シナ海問題であり、東シナ海での尖閣問題だ。要するに、今は中東がIS問題でクローズアップされているが、いつ何時、東アジア問題が勃発しても不思議ではない状況になっているのだ。

東アジアには北朝鮮という行動予測が不可能な独裁国家もあるうえ、身近なところでは韓国の朴政権がレームダック状態なのも、おおいに気になるところだ。

こうした情勢をみると、日本の安倍政権の外交姿勢は、不測の事態への対処を意図しているようにみえる。日本として、中国とロシアの二面作戦は物理的にとれないという制約がある。となると、ロシアとは平和条約を結んでおく必要がある。

幸いなことに、安倍首相とプーチン大統領とはケミストリーがあう。安倍首相は、ロシアのプーチン大統領とはお互いを「トゥイ」(=ロシア語で親しい相手を示す表現)と呼び合う仲だ。これまで、安倍首相がプーチン大統領と実際に会って行われた日ソ首脳会談は、2013年4回、2014年3回、2015年2回、2016年は12月のプーチン大統領訪日も含め、4回の予定だ。

もっとも、北方領土問題が容易に解決しないのは、本年10月17日付け本コラム「北方領土問題、安倍政権が奮起しても成果は「このあたり」が限界」( http://gendai.ismedia.jp/articles/-/49961)で既に述べている。

(なお、ここでも、民進党はまったく方向がずれている。蓮舫代表は、四島一括を求めている。四島一括は、かつて冷戦構造の下でソ連が敵国であったときの話だ。いつの時代の話かと勘違いしてしまう。北方領土問題に対する民進党の認識は、3周ほど周回遅れである。)

狙うは日米露印による新たなアジア安全保障

安倍首相は、今の世界のパワーバランスに即した実践的な考えをもっていると筆者は考えている。

つまり、中国の海洋進出という野望に対して、日米露、さらにはモディ・インド首相と個人的な関係をうまく構築しているインドを加えて、日米露印で対抗していく、大きな世界構図である。これらは民主主義、自由主義を背景とする国家群である。日本が米露印を押さえておけば、今揺れてる欧州も日本についてくるだろう。

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一方、中国も、米露英仏というかつての戦勝国の連携を主張してくる。このために、日本の戦争責任を徹底して世界にプロパガンダするわけだ。

ただし、この構図にはやや無理がある。戦後70年間、日本は一貫して平和主義に徹してきたからだ。それに、日本の戦争責任を中国とともに吹聴し、告げ口外交してきた韓国の朴政権が瀕死の状態になっていることも影響している。

もちろん、ロシアもインドもしたたかである。そうやすやすと日本の思惑どおりにならない。アメリカのトランプ氏も安倍首相とのケミストリーはあうだろうが、あくまで自国優先であって、日本の期待通りにはならない。それが世界政治である。

ただ、世界情勢が混沌としている時に、民主主義を基調とする世界平和構造を日本が主導して構築しようとしている。これも、安倍政権が民主主義国家の中で長期政権であるからこそできることだ。

日頃のニュースをちょっと鳥瞰図のようにみると、ちょっと違って世界が見えてくるものだ。

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『トランプ大統領を生み出し、社会を分断したSNS デマ対策をしていたら選挙結果は違っていた?』(11/21日経ビジネスオンライン エンリケ・ダンス)、『11/15「本当の歴史、中国・韓国の真実」なぜ日本と台湾にとってトランプ大統領の誕生は歓迎すべきことなのか 黄 文雄』(11/18宮崎正弘氏のメルマカ)について

エンリケ氏の記事はマスメデイアの報道が正しく、SNS等、下々が発するインタラクテイブな発信はデマが多いと決めつけているのでは。滅びゆく大手メデイアへの肩入れを感じます。日本でも同じで、左翼リベラルはネットの黎明期には、2チャンネルを叩いて、ネットは信頼するに値しないものだと刷り込みを図ろうとしました。ですが、今やその目論見は外れました。新聞の販売部数が減っているのが如実にそれを表しています。自由且つ相互に意見交換できれば、悪い情報は淘汰されます。マーケットメカニズムそのものでしょう。中国のように自由な意見を許さない国ではSNSと雖も政府擁護の意見しか載りません。況してやメデイアは「党の喉と舌」ですから、如何に真実から遠い世界しか言ってないかです。捏造・改竄は当り前、賄賂で記事が左右されることは当然のようにあります。自由な意見の表明を尊重する社会こそが大切です。

黄氏の記事は、日本人が米国人と比べ、如何にメデイアを信じる人が多いかと言うものです。「日本では新聞・雑誌を信頼できると考える人が73.8%、テレビを信頼できると考える人が69.7%に対して、アメリカはそれぞれ22.8%、23.2%しかいません。」とのこと。メデイアを信じている日本人は高齢者が多いと思われます。ネットを使いこなせないため、情報収集を既存のメデイアに頼るしかありません。官尊民卑というか、権威に弱い人が多いように感じます。今の官僚の保身、老後の天下り先の確保に汲々としている姿を見て尊敬できますか?メデイアは朝日新聞を筆頭に偏向していて、平気で嘘を垂れ流します。中国共産党と一緒です。まだ、朝日新聞を取っている人は彼らの経営を助けることになりますので、購読を中止してほしいです。

反トランプ運動もグローバリストのソロスが支援しているのがブログにありました。こういう記事を既存のメデイアは載せません。自主規制してしまうのでしょう。日本だけでなく米国でも。真実を報道しない報道機関は存在する意義はありません。信頼を失い、凋落していくだけです。日本も世代交代すれば上述のメデイアの信頼度の数字も米国に近づいて行くと思われます。朝日新聞の販売部数の大幅減が何よりそれを示していると思います。

http://blog.goo.ne.jp/zaurus13/e/5f153aa0d1c6110d045823f43d69d098

エンリケ記事

トランプ氏の勝利にともなう混乱

米大統領選でのドナルド・トランプ氏の勝利は多くの人々にとって大きな驚きであったが、その影響ははかりしれない。今や正当性を獲得したと考えるトランプ氏への投票者たちによって広がる人種差別的発言、一方で「トランプ氏は我々の大統領ではない」「人種差別と戦う」などといったプラカードを掲げた多くの人々の抗議行動。ひいてはカリフォルニア州のアメリカ合衆国からの独立を提案する「Calexit(カレグジット、カリフォルニア州の米国からの独立。実現すれば、世界で6位の経済圏が成立する)」の動き──。現在、同時多発で起こっている混乱がすべて収束する見通しはまだ立っていない。

このような激しい反応は決して驚きでもなんでもない。公の場で人種差別や女性蔑視の発言を連発するような人物である、ドナルド・トランプ氏が来年1月20日には世界一の大国の指導者になるからだ。

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大方の予想を裏切って、ドナルド・トランプ氏が来年1月、米国大統領になる。トランプ氏のこれまでの数多くの暴言、差別発言などから生じる先行き不透明感が、多くの人の心を不安にさせている。(写真:ロイター/アフロ)

テクノロジー産業に敵対的なトランプ氏

米決済大手ペイパル共同創業者でシリコンバレーの投資家であるピーター・ティール氏(トランプ氏の政権移行チームに参加)を除けば、おおむねテクノロジー業界は一致してトランプ氏への反意を表明してきた。シリコンバレー企業のイノベーションのカギは移民による多様性にあり、移民規制策を実施されれば悪影響が出るという現実的な理由も背景にはある。

トランプ氏は大減税を実施して鉄鋼や自動車など製造業の拠点を米国に戻し、雇用を増やすと語ってきたように伝統的産業を持ち上げる。一方、「アップル製品は敵だ」などと、ITなどテクノロジー企業、シリコンバレーなどに対して、トランプ氏は冷淡で敵対的な発言をすることがあった。大統領選が終わりトランプ氏の勝利が決まった後、アップルCEOのティム・クック氏が社員たちに送ったレターのトーンは、シリコンバレーの重苦しい先行きを物語っている。

「iPhone」のボイコットを主張

トランプ氏は、アップル社がFBIの協力要請を拒否したために「iPhone」のボイコットを主張した。さらには、テクノロジー分野の外国人労働者へのビザ発給システムの差し止め、東南アジアからの輸入品への課税の引き上げ、インターネットの中立性への介入などを主張してきた。トランプ氏はテクノロジー分野の政策を明示していないこともあり、これまでのトランプ氏の言動から警戒を強めた米インターネット協会は、大統領選後の14日にトランプ氏に対して要望書を送っている。

トランプ氏は指導者にはふさわしくない差別的発言のほか、気候変動の問題も意に介さずに「パリ協定」(産業革命前からの世界の平均気温上昇を「2度未満」に抑えるなどといった内容)からの脱退を唱えている。次期米大統領は、震えるほどの不安を人々に与えている。トランプ氏が、テクノロジーカルチャーへの深い知識や洞察を持ち合わせていないことも最悪だ。

ともあれ、トランプ氏を非難するのはこれ位にしておこうか。テクノロジー業界も、ここで一定の内省が求められるべきだということを指摘しておく。テクノロジー産業の拡大、とりわけSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の浸透によって出現した社会の深い「分断」や「溝」がある。それが今回のトランプ氏勝利の要因の中でどれぐらいの比重を占めているのかについて、考えなければならない。

デマがSNSで拡散された

しばしば指摘されるのは、フェイスブックなどSNSで虚偽の情報が拡散されたことが、大統領選の帰趨に大きな影響を与えたのではないかということだ。フェイスブックCEOのマーク・ザッカーバーグ氏がどれほど否定しようが、SNSのチェックメカニズムの不在によって虚偽内容や操作された情報が際限なく拡散しており、トランプ陣営はSNSのこの特性をうまく利用したと言える。ピュリツァー賞を受賞した事実検証サイト「ポリティファクト」によると、トランプ氏の発言の70%は虚偽もしくは虚偽に近いと判断されている。

フェイスブックのアルゴリズムでは、例えば乳首を含む写真は投稿を禁止され削除される仕様になっているのに、名誉棄損、侮蔑、そして歪曲した情報、デマを流しても削除されずに放置される。SNS上での情報のチェックは表現の自由にかかわるだけに非常にデリケートな問題ではあるが、今回起こったのは、おびただしい数の有権者たちが、トランプ氏やトランプ氏支持者の歪曲した発言やコメントを読み、さらに雪だるま式に同様の意見が広がっていくという現象だった。そしてSNSのユーザーは、自分が好ましく思う情報だけをフェイスブックやツイッターのタイムラインで読む。とんでもなく間違った情報であっても、何度も見ているとユーザーは本当だと信じてしまうものだ。

trumps-facebook

ドナルド・トランプ氏を、米大統領選での勝利に導いた公式フェイスブック(https://www.facebook.com/DonaldTrump)に18日、ついに我が国の安倍晋三首相が登場した。

SNSが生み出した「社会の溝」

このように今回の米国大統領選で、SNSが果たした役割のほかにも考えるべきことはある。それはテクノロジー産業が生み出した「社会の溝」が、どれだけの人々に疎外感や閉塞感をあたえたかということだ。

米国の庶民の多くは、自分でフェイスブックなどSNSやデジタル端末は使う一方で、それらを生み出したフェイスブックやアップルのようなテクノロジー企業は「大企業の象徴」である。実際、シリコンバレーには高い知識労働者が集まっている。そして、米国の多くの人々は、テクノロジー企業の経営陣は巨額の給料をもらって、日々、目もくらむ額を使っていると思い嫌悪感を持っている。

庶民がせいぜいできるのはプログラミングを勉強するか、多額の借金をして大学に入ることぐらい。失業のリスクを少なくするために。しかし、現実にはそんなことも、全部まやかしではないかと危ぶんでいる。いつも有識者が繰り返す決まり文句:「高度なテクノロジーはどんどん手の届くものとなり、来るべき世界は明るいものとなる……」。しかし私たち自身、今この言葉に確信が持てているだろうか。テクノロジーによって、本当に明るい時代はやってきたと言えるのか?

デジタルディバイド」による格差

「デジタルディバイド」(情報技術を使いこなせる人と、そうでない人の間に生じる、貧富や機会などの格差)という言葉がある。これは今や単にデジタル端末を買う余裕があるかないかという問題ではないのではないか。言い換えれば、新しいやり方で柔軟に物事をこなせる人であるか否か、もしくは、これまでとは違う世界に対し必要以上の恐怖を持たない人か恐怖を持つ人か──とも言い換えられそうだ。そして、両者の分断が広がる傾向にある。

シリコンバレーで働くような「ホモテクノロジクス(高度技術・情報化社会に生きる人間)」は優越的なイメージを与え、能力もあり、社会の動きにうまくついていっている。一方、ついていけずに不安を持ったりテクノロジーに反感を持つ庶民も少なくない。こうした疎外感を抱く人々の多くが、トランプに投票したと言えるかもしれない。

トランプ氏はそんな大衆に迎合し、彼らの抱える不満や恐れを解決しようとした。資本主義への不満、政治家への不信感、エリートへの嫌悪が一緒くたになって、テクノロジーの優位を終わらせてしまうことを私は危惧する。

テクノロジー産業は希望を与えてきたか

一方でテクノロジー業界は「我々の製品を使わないならあなたはダメな人で、そのうち仕事を失うだろうという」という言い方で低所得者層を突き放してきたのではないか。それは意図して冷たい言い方になったわけではないのだろうが、彼らに十分な希望を与えることができなかったことは事実だ。

トランプ氏の政策や手腕はまだ未知数だが、私個人は暗い時代を招くだろうと思う。そして、その状況を導いた原因のいくらかは、多くの人に疎外感や閉塞感を与え、結果として虚偽情報を拡散する手助けをしてしまった、テクノロジー産業にもあるのではないかと思っている。

黄記事

◆トランプ陣営参謀、「台湾への武器供与」の必要性強調  ドナルド・トランプ氏が次期アメリカ大統領に決まったことで、日本では日米関係を不安視する声が高まっています。読売新聞の世論調査では、今後の日米関係に不安があると答えた人が58%にのぼりました。  

トランプ氏は日本の米軍基地をはじめとして、在外米軍基地への同盟国の負担増大を求めており、また、ヒラリー・クリントンが中心となって進めたオバマ政権のアジア・リバランス政策の見直しが行われる可能性があるということで、アジアでのアメリカのプレゼンスの低下と中国の覇権主義の増大が懸念されています。  

台湾でも、一部ではそのような懸念が持ち上がっています。今年の7月には、アメリカの「ボイス・オブ・アメリカ」がトランプ大統領が誕生すれば、台湾海峡で戦争の可能性があり、台湾は自主防衛のために核武装を模索すること十分ありえるとしました。もっとも、この分析も、選挙期間中に繰り返されてきたトランプ氏へのネガティブキャンペーンの一環である可能性もありますが。  

台湾でもトランプ氏の大統領当選は大きな話題となっていますが、一般の台湾人はこれを「ショック」と捉えるよりもむしろ「歓迎」する向きが大きくなっています。  

というのも、中国はさかんに台湾を「絶対不可分の神聖なる国有領土」と呼び、白書まで発行して台湾にも他国にも「ひとつの中国」を認めるように圧力をかけてきています。日本ですら国会で中国の主張を「理解する」と是認して、国家として認めていません。 そのため台湾人は「暴言王」であるトランプ氏が中国の主張を否定するような言葉を言ってくれることを、密かに期待しているのです。そしてその台湾人の期待を後押しするような情報が、いろいろと入ってきています。

◆トランプ氏は中国・台湾をそれぞれどう見ているのか  

たとえば、かつて陳水扁政権で国防部副部長だった林中斌氏は、トランプ政権では反共産主義の立場だった人が要職につくという予測しています。また、冒頭の記事は、トランプ陣営の参謀である米カリフォルニア大のピーター・ナバロ教授と、米下院軍事委員会で海軍力小委員会委員長のアドバイザーを務めたアレキサンダー・グレイ氏が、米誌「フォーリン・ポリシー」に台湾への全面的な武器供与の必要性を訴える論文を掲載したというものです。  

同記事によれば、2人は、オバマ政権の台湾に対する扱いは「実にひどいものだった」とし、台湾はおそらく米国のパートナーの中で軍事的に最も脆弱だと指摘。2010年にアメリカ国防情報局が台湾海峡の軍事バランスを「北京側に傾いている」と警告したにもかかわらず、オバマ政権は中国の野心を食い止めるために必要な、台湾への包括的な武器の供与を拒み続けたと批判している、と報じています。  

たしかにオバマ政権時代は米中蜜月の時代と見なされ、台湾人のアメリカ離れを招きました。そしてそれが馬英九政権に「対中接近」の好機を与えたのです。しかし、馬英九はアメリカ国籍などを持っているかどうかを曖昧にしたまま8年間も総統を務め続けたこともあり、支持率は1ケタ台にまで低迷してしまいました。  

2013年ごろから、台湾ではアメリカ共和党支持が大勢になりつつありました。だからトランプの出現と躍進に対しては、意外というよりも期待のほうが大きいのです。中国の台湾に対する理不尽な主張に対して、ハーグの仲裁裁判所のように「まったく根拠なし」とまで断じなくとも、「中国は嘘つきだ」とさえ言ってくれれば、台湾は主権国家としての正当性が生まれます。  

トランプ氏の陣営のアジア系アメリカ人委員会に所属する台湾出身の企業家・徐紹欽氏も、「トランプ氏は台湾を信頼できる友人と考えている」と発言しています。  

トランプ氏の対中政策はまだ判然としません。しかし、鉄鋼をはじめとする中国の輸出品については不当なダンピングをしているということで、中国産品に45%の関税をかけるべきだと主張しています。この姿勢については、大統領就任後も変わらないでしょう。というのも、トランプを選んだ白人労働者は、自分たちの仕事を奪っているのは中国だという怒りを持っているからです。  

こうした労働者の反中国感情は世界中で高まっています。昨年の10月に習近平主席がイギリスを訪問したときには、同国の鉄鋼業界が中国の鉄鋼ダンピングについて強く批判を行っており、デモも起きています。

加えてトランプ氏は、選挙期間中に中国を為替操作国に認定すると述べてきました。これについては元財務長官顧問も「トランプ氏は公約を守るだろう」と述べています。そうなれば、中国経済はさらに苦境に陥ることは避けられません。

◆日本がトランプ新大統領を歓迎すべきこれだけの理由  また、トランプ大統領は、アメリカの対ロシア政策を軟化させる可能性があります。プーチン大統領を「オバマ大統領より優れている」と持ち上げるなど、プーチンをよく称揚しているからです。その背景には、米ロ接近による中国牽制という意図も見え隠れします。そしてこれは安倍首相による日ロ接近ともシンクロします。  

先日もモディ首相が来日しましたが、日本はインドとも連携して中国包囲網を構築しようとしています。こうした動きはトランプ氏の「アメリカ・ファースト」とも利害が合致する可能性が高いと言えるでしょう。  

楽観視することはできませんが、トランプ陣営から出てくる情報では、日本や台湾よりも、対中政策がより厳しくなると予想されます。それに、アメリカがアジアでの軍事的プレゼンスを低下させることは、日本にとっては日米地位協定などの「不平等」な協定見直しや憲法9条の改正に拍車をかけることにも繋がります。  

2013年に安倍首相が靖国神社を参拝した折には、アメリカ大使館が「失望した」などという声明を出しました。言うまでもなくこれは、オバマ政権が命じたものです。アジア・リバランス政策を重視するオバマ政権は、韓国の反発によって日米韓の連携が崩れることを懸念したのでしょうが、多くの日本人は内政干渉だと感じたはずです。  

こうしたことも、トランプ大統領の誕生によって、変わってくる可能性があります。もともと自 民党は共和党とのパイプが太いですし、これまでアメリカの圧力でできなかった防衛システムの強化、日本の独自外交も進んでいくと思われます。  それにしても、大方の予想に反してドナルド・トランプ氏が次期大統領に決まったことは、日米のメディアの終焉を示す象徴的な出来事でもありました。このメルマガでも以前お伝えしたように、私が10月に訪米した際、日米のメディアではヒラリー当選が確実のように伝えていましたが、ロサンゼルス在住の日本人でトランプ当選を予想する人が少なからずいました。

ヒラリーが優勢といわれたカリフォルニア州でも、トランプ当選を感覚的に予測していたということは、あれだけのネガティブキャンペーンでも、それを信じない人が多かったということです。 日本のメディアはアメリカのメディアの伝えることをそのまま流すだけですから、「トランプはとんでもない人物」という評価ばかりが先行し、「だから当選はない」という論調につながっていきました。  

しかし予備選のときも予想を外し、本選でも予想が大外れしたわけですから、メディアとしての信用力はガタ落ちです。もともとアメリカは新聞やテレビメディアを信用する人の割合が日本に比べて低く、世界価値観調査(2010~2014年)によれば、日本では新聞・雑誌を信頼できると考える人が73.8%、テレビを信頼できると考える人が69.7%に対して、アメリカはそれぞれ22.8%、23.2%しかいません。むしろ信頼できないと答える人のほうが多いのです。  

もともとアメリカではメディアはあまり信用されていないので、今回の影響は「軽微」ともいえます。むしろ影響が大きいのは日本のほうではないでしょうか。ネット世代が増えて、新聞やテレビを必要としない人はこれからますます増えてくるわけですからなおさらです。  

これまでも日本のメディアの偏向ぶりは問題となってきました。安保法制のときもそうでしたが、その影響力の低下は静かに、しかし確実に広がっています。トランプ現象は、日本のメディアの終焉、そして彼らが支持してきた左派の終焉にもつながると思われます。

◆そして訪れる、中国経済の大崩壊  

メディアが結果を見誤ったのは、世界的にグローバリズムからナショナリズムへの回帰が起きていることを認めようとしていなかったからではないでしょうか。 とくに左派メディアは「ナショナリズム」が嫌いですから、世界的潮流を見ないようにしてきたと思われます。  

しかし、今回のトランプ当選は、間違いなく世界的なグローバリズムからナショナリズムへの回帰です。そしてそれはイギリスのEU離脱にも通じるものです。イギリスのEU離脱も、多くのメディアや世論調査は予想を大外ししました。  

東西冷戦後、パックス・アメリカーナが確実となり、アメリカは「アメリカイズム」としてグローバリズムを世界規模で推し進めてきました。しかしそれがやがてリーマンショックを招き、アメリカの経済や産業に衰退をもたらしました。そして、ヒラリーが代表していたのが、このグローバリズムという既存の世界秩序であり、トランプが代表していたのが既存の世界秩序への反逆でした。  アメリカは過去のモンロー主義へと先祖返りし、世界もグローバリズムやボーダレスからナショナリズムへと回帰しつつあり、国家優先が大きな潮流となりつつあります。世界経済をマクロ的な視点で見ると、中国をはじめとするBRICS諸国の奇跡的な経済成長は、グローバリズムによって成し遂げられたことは間違いありません。中国はすでに人類史上最大の通商国家となっています。  

しかしグローバリズムからナショナリズムへと逆回転が始まれば、通商国家は生き残れません。しかも中国はかつての「自力更生」の時代に戻ることも不可能です。アメリカは中国最大の輸出国(輸出全体の約17%を占める)でもあります。そのため、アメリカの関税が引き揚げられただけで中国は干上がってしまいます。  

来年にはドイツの総選挙があり、反グローバリズムと反移民の国民感情のたかまりから不人気のメルケル首相は出馬しない可能性があります。 そうなれば、安倍首相は国際政治の最長老として存在感がますます大きくなっていきます。  

安倍首相は戦後日本外交の巧者であり、これほど世界を回った首相はいません。安倍首相の努力によっては、アジアで日米露の三国同盟という新しい展開も夢ではありません。日本も台湾も、トランプ大統領の誕生は大きなチャンスなのです。

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『驚くほど刑罰が軽かった天津爆発事故の一審判決 死者・行方不明者173人、経済損失1078億円も高級官僚は安泰』(11/18日経ビジネスオンライン 北村豊)について

天津爆発事故の死者・行方不明者が173人と言う事はないでしょう。中国は都合が悪いことは、大体1/10くらいにして発表しますので、少なくとも1500人はいるでしょう。2015年8月28日北村氏の「人災だった天津爆発事故」の記事にも具体的な人数は書かれておらず、「173人を遥かに上回っているような気がしてならない。」としかありません。

中国は一党独裁の国、司法部門は行政機構の一部であり、当然三権分立ではありません。且つ又、「政権は銃口から生まれる」という軍事優先国家でもあります。国民の批判を受け止める構造的な体制はないと言ってよいでしょう。「上訪(直訴)」することもありますが基本的には「截訪(直訴阻止)」されます。中国一流の羊頭狗肉、表面だけ飾るやり方です。

http://www.epochtimes.jp/jp/2005/04/print/prt_d51869.html

国民を不幸にする共産主義と言う制度を続けている意味が分かりません。そもそも国家とは何のために存在するのかです。国民の福利向上と国民の共同防衛を担う組織のはずです。中共は国民の自由を抑圧する組織となっている訳ですから。共産主義の恐ろしさは歴史上明らかになっています。旧ソ連、北朝鮮、今の中国の粛清の仕方を見れば、誰も喜んで住みたいとは思わないでしょう。今の韓国には選挙やデモをする権利が認められていますが、やはり火病の国だけあって知恵が回りかねと言った状態です。北が韓国への間接侵略を狙っているにも拘らず、朴大統領を追い落とそうとしているのですから。喜んで北の共産主義体制に近づこうとしているように見えます。次期大統領候補の文在寅は北の手先と言われています。イザとなったら米国が守ってくれると韓国は思っているようですが、反米・裏切りの国を助けようとはしないでしょう。桂・タフト会談やアチソン声明のように切り捨てられるだけです。ボルトン次期国務長官候補も「米国は北を先制攻撃しない」と明言しました。

http://s.japanese.joins.com/article/718/222718.html?servcode=A00&sectcode=A20

何でも利用しようとしてきた韓国に甘い顔は出来ないという事です。日本もGSOMIAとか通貨スワップについて真剣に止めることを考えてほしい。韓国の次期大統領が潘基文か文在寅どちらになろうとも、反日・親中になるのは見えています。何故政府は利敵行為を繰り返すのか理解できません。

日本人で左翼やリベラルにシンパシーを持っている人は考えた方が良いでしょう。現実を良く見れば、人権抑圧の酷い体制と言うのが分かるはずです。それを汲み取れる頭は持っていると思うのですが。朝日新聞を筆頭とした日本のメデイアや欧米の偏向メデイアは何故中国をバッシングしないのか不思議でなりません。あれだけロシアを叩くのに。今一番世界を不安に陥れているのは軍事拡張主義を採っている中国です。批判の声を上げないというのは金に転んでいるとしか思えません。彼らに「社会の木鐸」とか「社会正義の実現」とかは言ってほしくないです。購読者は取るのを止めて、ネットから情報を取った方が良いでしょう。

記事

2015年8月12日の夜10時52分頃、天津市“濱海新区”にある天津港の“天津東彊保税区”内に所在する“瑞海国際物流有限公司”(以下「瑞海公司」)の危険品倉庫で発生した大規模な火災爆発事故は「天津爆発事故」<注1>として世界中に報じられた。

<注1>天津爆発事故の詳細については、2015年8月28日付の本リポート「人災だった天津爆発事故」参照。

「特別重大事故」だが…

事故発生直後の8月13日に組織された中国政府“国務院”の「天津港8月12日瑞海公司危険物倉庫特別重大火災爆発事故調査チーム」は、2016年2月に発表した調査報告書で天津爆発事故を“特別重大生産安全責任事故”<注2>と認定した。同報告書の要点は以下の通り。

<注2>“生産安全責任事故”とは「生産経営企業が生産経営活動中に発生させた人の死傷あるいは経済損失を引き起こした事故」を意味する。なお、“特別重大事故”は最大級の事故を指し、死者30人以上、あるは重傷者100人以上、あるいは経済損失1億元(約15.7億円)以上の事故を意味する。

【1】死者165人(内訳:救援に駆けつけた天津市消防局消防隊員24人、天津港消防支隊隊員75人、公安警察官11人、瑞海公司従業員および周辺企業従業員と住民55人)、行方不明8人(内訳:天津市消防局消防隊員5人、周辺企業従業員および天津港消防支隊隊員の家族3人)、負傷者798人(重傷者58人、軽傷者740人)。損失を受けた物:建物304棟、販売用自動車1万2428台、コンテナ7533個。2015年12月10日までに『企業従業員死傷事故経済損失統計標準』などの標準や規定に基づいて統計し、確定した直接経済損失額は68.66億元(約1078億円)である。

【2】各方面の努力を経て、2015年9月13日までに救援や現場処置などの任務を完成させ、危険化学品1176トン、販売用自動車7641台、コンテナ1万3834個、貨物1万4000トンを搬出し、798人の負傷者に適切な治療を行った。

【3】事故の直接原因は、瑞海公司が運営する危険物倉庫の荷降ろし場南側に置かれたコンテナ内の“硝化棉(ニトロセルロース)”が、湿潤剤の消失によって局部的に乾燥し、高温(天気)などの要因で分解・放熱を加速し、蓄積された熱で自然発火した。この火が周辺のコンテナ内のニトロセルロースやその他の危険化学品の燃焼を引き起こし、荷降ろし場に堆積されていた“硝酸銨(硝酸アンモニウム)”などの危険化学品の爆発を誘発した。

【4】事故調査チームは、重大な関連法令違反を行った瑞海公司が事故発生を招いた主たる責任を持つと認定した。瑞海公司は安全生産のために負うべき責任を無視し、天津市都市総合計画と濱海新区を規制する詳細計画に大きく違反し、違法に危険貨物堆積場を建設し、違法経営、危険物貯蔵規則違反を犯し、安全管理を著しく混乱させ、安全面の隠れた危険は長期間にわたって存在したと認定した。

【5】公安部門は24人の企業メンバーに対して法に基づく立件・調査ならびに“刑事強制措置(身柄の自由制限)”を取った(内訳:瑞海公司13人、“天津中濱海盛衛生安全評価監測有限公司”<注3>11人)。検察部門は政府の役人として行政監察対象者に当たる25人に対して法に基づく立件・調査ならびに“刑事強制措置”を取った(内訳:“正庁級(部長ランク)”2人、“副庁級(副部長ランク)”7人、“処級(課長ランク)”16人。その所属:交通運輸部門9人、税関系列5人、天津港(集団)有限公司5人、安全監督管理部門4人、計画部門2人)

<注3>“天津中濱海盛衛生安全評価監測有限公司”(以下「天津中濱公司」)は、消防関連などの安全評価を主務とするコンサルタント企業。同公司は瑞海公司の安全評価を担当していた。

【6】123人の責任者に対して処分を行うよう意見を提出した。すなわち、74人の責任者に対する“党紀(共産党員が守るべき規則)”・“政紀(行政機関職員が守るべき規則)”違反の処分(内訳:局長ランク5人、部長ランク22人、課長ランク22人、係長ランク以下25人)、その他48人に対する訓戒処分、残る1人は病気死去により処分免除。

27件の刑事事件の判決は

天津爆発事故の発生から1年2か月以上を経過した2016年11月7日から9日まで、同事故の一審裁判が“天津市第二中級法院(地方裁判所)”と9か所の“基層法院(下級裁判所)”で一斉に公開の形で行われた。これら10カ所の裁判所で審理されたのは「2015年天津港“8.12”特大火災爆発事故」に関わる27件の刑事事件であった。上述した国務院「天津港8月12日瑞海公司危険物倉庫特別重大火災爆発事故調査チーム」の報告書にあったように、同事故は死者165人、行方不明8人を含む直接経済損失68.66億元(約1078億円)を発生させており、その間接経済損失の規模は“不可估量(計り知れない)”のである。

11月10日付の中国メディアによれば、11月9日、上記【5】に述べた24人の企業メンバー(彼らは事故に直接責任を負う)並びに25人の役人(彼らは事故に間接責任を負う)、計49人の被告人に対し公開で一審判決が言い渡された。被告人たちは全員が罪を認め、罪を悔いて謝罪した。一審判決の内容は以下の通り。

(1)瑞海公司“董事長(取締役会長)”の“於学偉”:危険物質違法貯蔵罪、違法経営罪、危険物品事故惹起罪、贈賄罪により“死刑緩期二年執行(死刑執行猶予2年)”ならびに罰金70万元(約1100万円)。

(2)瑞海公司“副董事長(取締役副会長)”の“董社軒”、“総経理(社長)”の“只峰”など5人:危険物違法貯蔵罪、違法経営罪、危険物品事故惹起罪を構成するとして、それぞれ無期懲役から懲役15年の有罪判決。瑞海公司のその他7人はそれぞれ10年から3年の懲役刑。

(3)天津中濱公司“董事長”兼“総経理”の“趙伯揚”など11名:直接責任者としてそれぞれ4年から1年6か月の懲役刑。

(4)“天津市交通委員会”主任の“武岱”など25人の役人:職務怠慢罪や職権濫用罪によりそれぞれ7年から3年の懲役刑。このうち、“李志剛”など8人には収賄罪などの併合罪が適用された。

トカゲの尻尾切り

さて、上述したように、25人の役人には刑罰が下されたが、天津市政府の指導部に連なる高級官僚は何らの制裁も受けておらず、言ってみれば「トカゲの尻尾切り」で、中間管理職に罪を押し付けただけで幕引きを図った感がある。国務院の調査チームは、死者165人、行方不明8人との調査結果を発表したが、この数字は果たして信用してよいものか。天津爆発事故では、天津市消防局消防隊員24人、公安警察官11人と合計35人もの公務員<注4>が殉職したために彼らの死者数は公になったが、「瑞海公司従業員および周辺企業従業員と住民55人」という死者数は正しい数字と言えるのかは甚だ疑問である。この点については、<注1>に記載した2015年8月28日付の本リポート「人災だった天津爆発事故」を参照願いたい。

<注4>165人の死者には天津港消防支隊隊員75人が含まれているが、彼らは“天津港(集団)有限公司”所属の消防隊員で公務員ではない。

2012年6月30日の午後4時頃、天津市の管轄下にある“薊県”の繁華街にある5階建てのデパート“莱徳商厦”で発生した火災はビル1棟(焼損面積:約5000平方メートル)を全焼する大火となった。火災発生当時、デパート内には多数の買い物客がいたが、支払いを済ませていない客を逃がすまいと、総経理の指示で保安係がビル1階の出入り口のシャッターを閉めたことから、相当多数の客と従業員が逃げ出せずに焼け死んだ。しかし、7月6日に天津市政府が発表した同火災による死者は10人(従業員9人、客1人)で、これに異を唱えた民間の調査機関が発表した死者数378人とは大きく異なっていた。後者の数字は丹念に聞き込み調査を行った結果であり、正しい数字と考えられる。この天津市政府による死者数の隠蔽工作は、当時“天津市共産党委員会”書記であった“張高麗”が自己の業績に傷をつけることなく、中国共産党中央政治局常務委員に昇格することを目的として行われたものだった。この結果、張高麗は2012年11月に党中央政治局常務委員に昇格できた。

この例からも分かるように、中国では事故による死傷者数を過少報告するのが一般的であり、国務院の調査チームによる調査結果であろうとも、その死傷者数を鵜呑みにできない。天津爆発事故による一般住民の死者数は、爆発後の現場写真や当時の目撃者談などから判断して少なくとも数百人に上るものと考えれられるが、その実態は定かではない。

それにしても、官製発表で死者・行方不明者173人を含む直接経済損失68.66億元を出したにもかかわらず、その事故発生の直接責任者である於学偉(瑞海公司董事長)に死刑執行猶予2年の判決が出たことは、中国の庶民に驚きを持って受け止められた。死刑執行猶予2年は、猶予期間の2年間に故意の犯罪を行わなければ、2年の満期後に無期懲役に減刑されるし、2年の猶予期間中に大きな功績を立てたと認められれば、猶予満期後に懲役25年に減刑される。猶予期間中の死刑囚の評価は、“監獄(刑務所)”およびその上部組織の“司法局”によって行われるから、於学偉がいつの間にか懲役25年に減刑され、さらに服役態度が良好であるとの理由でさらなる減刑が行われる可能性もあるのだ。

三者による癒着か

ところで、話は変わるが、2014年12月13日に山西省“太原市”で“農民工(出稼ぎ農民)”の“王奎林”、その父親の“王友志”、母親の“周秀雲”など10人ほどが住宅団地“龍瑞苑”の建設現場へ押しかけて未払い給与の支払いを要求した。建設現場の警備員はこれを阻止しようと彼らに対峙し、両者の間で激しい口論が行われた。その間に警備員からの通報を受けた“龍城派出所”から3人の警官が現場へ到着したが、彼らは周秀雲に罵声を浴びせて殴り殺し、王友志にも肋骨を骨折する重傷を負わせた。王奎林からの訴えを受けて、“太原市公安局”は12月30日に警官の“王文軍”、“郭鉄偉”、“任海波”の3人を職権濫用罪の容疑で逮捕したのだった。

同事件の裁判は2015年5月に“太原市中級法院(地方裁判所)”で開廷となり、被告人3人に対する“故意傷害罪”および“職権濫用罪”の容疑に関する審議が行われて結審した。ところが、なぜか判決の宣告日が次々と5回も延期され、1年半後の2016年11月10日にようやく待ちに待った判決が言い渡された。太原市中級法院が下した判決は以下の通りだった。

主犯の王文軍を過失致死罪で懲役4年、職権乱用罪で懲役2年2か月とし、両者を併合して懲役5年に処す。刑期は判決執行の日から計算するものとし、判決執行前の拘留期間を差し引き、2014年12月27日から2019年12月26日までとする。また、郭鉄偉と任海波の2人は執行猶予とする。

事件当時、王文軍は周秀雲を殴り殺したが、周秀雲が全く動かくなったにもかかわらず、彼女の頭髪をつかんで捩じり上げ、数分かけて首をねじ切った。もうその時には周秀雲は何の反応も示さず、死亡は確実だったが、王文軍は周秀雲が死んだ振りをしているとして、周秀雲の頭を足で踏みつけたのだった。こうした事実がありながら、王文軍に適用されたのは「過失致死罪」であって、「故意殺人罪」ではなかった。判決文には次のように書かれている。

被告人の王文軍は、公務執行中に被害者の周秀雲に対して素手で頭部を捻じ曲げて制止しようとした措置は不当であり、明らかに合理的限度を超えて死に至らしめており、その行為は過失致死罪を構成する。被告人の郭鉄偉は公務執行中に職権乱用で1人に軽傷を負わせたことにより、職権乱用罪を構成する。また、被告人の任海波は故意に1人の身体に軽傷を負わせたことにより、故意傷害罪を構成する。但し、郭鉄偉と任海波は犯罪の情状が軽く、罪を悔いていることから、2人を執行猶予とする。

父親の王友志は郭鉄偉か任海波のどちらかによって肋骨を骨折させられる重傷を負ったのだが、裁判官はそれを軽傷として処理しているのである。宣告日が5回も延期されて1年半も放置されたのはなぜか。その理由は言わずもがなで、太原市公安局、“太原市検察局”、太原市中級法院の三者による癒着と考えられ、公安局の要求を受けて、判決文は当初の内容から大幅に書き換えられた可能性が高い。判決後にメディアの取材に答えた王友志は、判決内容に不満を表明しつつも、控訴しても判決が変わる可能性は極めて低いとして、上訴するかの問いに消極的な姿勢を示した。

蒸し返す方法はない

上述した2件の裁判は2016年11月9日と翌10日にそれぞれ判決が下されたが、その内容はいずれも中国共産党中央委員会総書記の“習近平”が標榜する「法治国家」と「法の下の平等」からは遥かに遠いものだった。天津爆発事件の被害者たちが一審判決を不満として控訴したとしても、為政者たちが政治的思惑や恣意的理由で決めた判決は決して変えられることはないのだ。諺に言う「“秀才遇上兵, 有理説不清(泣く子と地頭には勝てぬ)”」は、今なお中国社会全体を貫く真理としてまかり通っている。

2015年8月に世界中を驚かせた天津爆発事件は、11月9日に49人の被告に対して下された判決によって一つの区切りがつけられた。今の中国にこれを蒸し返す方策はない。

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