『トランプ大統領を生み出し、社会を分断したSNS デマ対策をしていたら選挙結果は違っていた?』(11/21日経ビジネスオンライン エンリケ・ダンス)、『11/15「本当の歴史、中国・韓国の真実」なぜ日本と台湾にとってトランプ大統領の誕生は歓迎すべきことなのか 黄 文雄』(11/18宮崎正弘氏のメルマカ)について

エンリケ氏の記事はマスメデイアの報道が正しく、SNS等、下々が発するインタラクテイブな発信はデマが多いと決めつけているのでは。滅びゆく大手メデイアへの肩入れを感じます。日本でも同じで、左翼リベラルはネットの黎明期には、2チャンネルを叩いて、ネットは信頼するに値しないものだと刷り込みを図ろうとしました。ですが、今やその目論見は外れました。新聞の販売部数が減っているのが如実にそれを表しています。自由且つ相互に意見交換できれば、悪い情報は淘汰されます。マーケットメカニズムそのものでしょう。中国のように自由な意見を許さない国ではSNSと雖も政府擁護の意見しか載りません。況してやメデイアは「党の喉と舌」ですから、如何に真実から遠い世界しか言ってないかです。捏造・改竄は当り前、賄賂で記事が左右されることは当然のようにあります。自由な意見の表明を尊重する社会こそが大切です。

黄氏の記事は、日本人が米国人と比べ、如何にメデイアを信じる人が多いかと言うものです。「日本では新聞・雑誌を信頼できると考える人が73.8%、テレビを信頼できると考える人が69.7%に対して、アメリカはそれぞれ22.8%、23.2%しかいません。」とのこと。メデイアを信じている日本人は高齢者が多いと思われます。ネットを使いこなせないため、情報収集を既存のメデイアに頼るしかありません。官尊民卑というか、権威に弱い人が多いように感じます。今の官僚の保身、老後の天下り先の確保に汲々としている姿を見て尊敬できますか?メデイアは朝日新聞を筆頭に偏向していて、平気で嘘を垂れ流します。中国共産党と一緒です。まだ、朝日新聞を取っている人は彼らの経営を助けることになりますので、購読を中止してほしいです。

反トランプ運動もグローバリストのソロスが支援しているのがブログにありました。こういう記事を既存のメデイアは載せません。自主規制してしまうのでしょう。日本だけでなく米国でも。真実を報道しない報道機関は存在する意義はありません。信頼を失い、凋落していくだけです。日本も世代交代すれば上述のメデイアの信頼度の数字も米国に近づいて行くと思われます。朝日新聞の販売部数の大幅減が何よりそれを示していると思います。

http://blog.goo.ne.jp/zaurus13/e/5f153aa0d1c6110d045823f43d69d098

エンリケ記事

トランプ氏の勝利にともなう混乱

米大統領選でのドナルド・トランプ氏の勝利は多くの人々にとって大きな驚きであったが、その影響ははかりしれない。今や正当性を獲得したと考えるトランプ氏への投票者たちによって広がる人種差別的発言、一方で「トランプ氏は我々の大統領ではない」「人種差別と戦う」などといったプラカードを掲げた多くの人々の抗議行動。ひいてはカリフォルニア州のアメリカ合衆国からの独立を提案する「Calexit(カレグジット、カリフォルニア州の米国からの独立。実現すれば、世界で6位の経済圏が成立する)」の動き──。現在、同時多発で起こっている混乱がすべて収束する見通しはまだ立っていない。

このような激しい反応は決して驚きでもなんでもない。公の場で人種差別や女性蔑視の発言を連発するような人物である、ドナルド・トランプ氏が来年1月20日には世界一の大国の指導者になるからだ。

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大方の予想を裏切って、ドナルド・トランプ氏が来年1月、米国大統領になる。トランプ氏のこれまでの数多くの暴言、差別発言などから生じる先行き不透明感が、多くの人の心を不安にさせている。(写真:ロイター/アフロ)

テクノロジー産業に敵対的なトランプ氏

米決済大手ペイパル共同創業者でシリコンバレーの投資家であるピーター・ティール氏(トランプ氏の政権移行チームに参加)を除けば、おおむねテクノロジー業界は一致してトランプ氏への反意を表明してきた。シリコンバレー企業のイノベーションのカギは移民による多様性にあり、移民規制策を実施されれば悪影響が出るという現実的な理由も背景にはある。

トランプ氏は大減税を実施して鉄鋼や自動車など製造業の拠点を米国に戻し、雇用を増やすと語ってきたように伝統的産業を持ち上げる。一方、「アップル製品は敵だ」などと、ITなどテクノロジー企業、シリコンバレーなどに対して、トランプ氏は冷淡で敵対的な発言をすることがあった。大統領選が終わりトランプ氏の勝利が決まった後、アップルCEOのティム・クック氏が社員たちに送ったレターのトーンは、シリコンバレーの重苦しい先行きを物語っている。

「iPhone」のボイコットを主張

トランプ氏は、アップル社がFBIの協力要請を拒否したために「iPhone」のボイコットを主張した。さらには、テクノロジー分野の外国人労働者へのビザ発給システムの差し止め、東南アジアからの輸入品への課税の引き上げ、インターネットの中立性への介入などを主張してきた。トランプ氏はテクノロジー分野の政策を明示していないこともあり、これまでのトランプ氏の言動から警戒を強めた米インターネット協会は、大統領選後の14日にトランプ氏に対して要望書を送っている。

トランプ氏は指導者にはふさわしくない差別的発言のほか、気候変動の問題も意に介さずに「パリ協定」(産業革命前からの世界の平均気温上昇を「2度未満」に抑えるなどといった内容)からの脱退を唱えている。次期米大統領は、震えるほどの不安を人々に与えている。トランプ氏が、テクノロジーカルチャーへの深い知識や洞察を持ち合わせていないことも最悪だ。

ともあれ、トランプ氏を非難するのはこれ位にしておこうか。テクノロジー業界も、ここで一定の内省が求められるべきだということを指摘しておく。テクノロジー産業の拡大、とりわけSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の浸透によって出現した社会の深い「分断」や「溝」がある。それが今回のトランプ氏勝利の要因の中でどれぐらいの比重を占めているのかについて、考えなければならない。

デマがSNSで拡散された

しばしば指摘されるのは、フェイスブックなどSNSで虚偽の情報が拡散されたことが、大統領選の帰趨に大きな影響を与えたのではないかということだ。フェイスブックCEOのマーク・ザッカーバーグ氏がどれほど否定しようが、SNSのチェックメカニズムの不在によって虚偽内容や操作された情報が際限なく拡散しており、トランプ陣営はSNSのこの特性をうまく利用したと言える。ピュリツァー賞を受賞した事実検証サイト「ポリティファクト」によると、トランプ氏の発言の70%は虚偽もしくは虚偽に近いと判断されている。

フェイスブックのアルゴリズムでは、例えば乳首を含む写真は投稿を禁止され削除される仕様になっているのに、名誉棄損、侮蔑、そして歪曲した情報、デマを流しても削除されずに放置される。SNS上での情報のチェックは表現の自由にかかわるだけに非常にデリケートな問題ではあるが、今回起こったのは、おびただしい数の有権者たちが、トランプ氏やトランプ氏支持者の歪曲した発言やコメントを読み、さらに雪だるま式に同様の意見が広がっていくという現象だった。そしてSNSのユーザーは、自分が好ましく思う情報だけをフェイスブックやツイッターのタイムラインで読む。とんでもなく間違った情報であっても、何度も見ているとユーザーは本当だと信じてしまうものだ。

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ドナルド・トランプ氏を、米大統領選での勝利に導いた公式フェイスブック(https://www.facebook.com/DonaldTrump)に18日、ついに我が国の安倍晋三首相が登場した。

SNSが生み出した「社会の溝」

このように今回の米国大統領選で、SNSが果たした役割のほかにも考えるべきことはある。それはテクノロジー産業が生み出した「社会の溝」が、どれだけの人々に疎外感や閉塞感をあたえたかということだ。

米国の庶民の多くは、自分でフェイスブックなどSNSやデジタル端末は使う一方で、それらを生み出したフェイスブックやアップルのようなテクノロジー企業は「大企業の象徴」である。実際、シリコンバレーには高い知識労働者が集まっている。そして、米国の多くの人々は、テクノロジー企業の経営陣は巨額の給料をもらって、日々、目もくらむ額を使っていると思い嫌悪感を持っている。

庶民がせいぜいできるのはプログラミングを勉強するか、多額の借金をして大学に入ることぐらい。失業のリスクを少なくするために。しかし、現実にはそんなことも、全部まやかしではないかと危ぶんでいる。いつも有識者が繰り返す決まり文句:「高度なテクノロジーはどんどん手の届くものとなり、来るべき世界は明るいものとなる……」。しかし私たち自身、今この言葉に確信が持てているだろうか。テクノロジーによって、本当に明るい時代はやってきたと言えるのか?

デジタルディバイド」による格差

「デジタルディバイド」(情報技術を使いこなせる人と、そうでない人の間に生じる、貧富や機会などの格差)という言葉がある。これは今や単にデジタル端末を買う余裕があるかないかという問題ではないのではないか。言い換えれば、新しいやり方で柔軟に物事をこなせる人であるか否か、もしくは、これまでとは違う世界に対し必要以上の恐怖を持たない人か恐怖を持つ人か──とも言い換えられそうだ。そして、両者の分断が広がる傾向にある。

シリコンバレーで働くような「ホモテクノロジクス(高度技術・情報化社会に生きる人間)」は優越的なイメージを与え、能力もあり、社会の動きにうまくついていっている。一方、ついていけずに不安を持ったりテクノロジーに反感を持つ庶民も少なくない。こうした疎外感を抱く人々の多くが、トランプに投票したと言えるかもしれない。

トランプ氏はそんな大衆に迎合し、彼らの抱える不満や恐れを解決しようとした。資本主義への不満、政治家への不信感、エリートへの嫌悪が一緒くたになって、テクノロジーの優位を終わらせてしまうことを私は危惧する。

テクノロジー産業は希望を与えてきたか

一方でテクノロジー業界は「我々の製品を使わないならあなたはダメな人で、そのうち仕事を失うだろうという」という言い方で低所得者層を突き放してきたのではないか。それは意図して冷たい言い方になったわけではないのだろうが、彼らに十分な希望を与えることができなかったことは事実だ。

トランプ氏の政策や手腕はまだ未知数だが、私個人は暗い時代を招くだろうと思う。そして、その状況を導いた原因のいくらかは、多くの人に疎外感や閉塞感を与え、結果として虚偽情報を拡散する手助けをしてしまった、テクノロジー産業にもあるのではないかと思っている。

黄記事

◆トランプ陣営参謀、「台湾への武器供与」の必要性強調  ドナルド・トランプ氏が次期アメリカ大統領に決まったことで、日本では日米関係を不安視する声が高まっています。読売新聞の世論調査では、今後の日米関係に不安があると答えた人が58%にのぼりました。  

トランプ氏は日本の米軍基地をはじめとして、在外米軍基地への同盟国の負担増大を求めており、また、ヒラリー・クリントンが中心となって進めたオバマ政権のアジア・リバランス政策の見直しが行われる可能性があるということで、アジアでのアメリカのプレゼンスの低下と中国の覇権主義の増大が懸念されています。  

台湾でも、一部ではそのような懸念が持ち上がっています。今年の7月には、アメリカの「ボイス・オブ・アメリカ」がトランプ大統領が誕生すれば、台湾海峡で戦争の可能性があり、台湾は自主防衛のために核武装を模索すること十分ありえるとしました。もっとも、この分析も、選挙期間中に繰り返されてきたトランプ氏へのネガティブキャンペーンの一環である可能性もありますが。  

台湾でもトランプ氏の大統領当選は大きな話題となっていますが、一般の台湾人はこれを「ショック」と捉えるよりもむしろ「歓迎」する向きが大きくなっています。  

というのも、中国はさかんに台湾を「絶対不可分の神聖なる国有領土」と呼び、白書まで発行して台湾にも他国にも「ひとつの中国」を認めるように圧力をかけてきています。日本ですら国会で中国の主張を「理解する」と是認して、国家として認めていません。 そのため台湾人は「暴言王」であるトランプ氏が中国の主張を否定するような言葉を言ってくれることを、密かに期待しているのです。そしてその台湾人の期待を後押しするような情報が、いろいろと入ってきています。

◆トランプ氏は中国・台湾をそれぞれどう見ているのか  

たとえば、かつて陳水扁政権で国防部副部長だった林中斌氏は、トランプ政権では反共産主義の立場だった人が要職につくという予測しています。また、冒頭の記事は、トランプ陣営の参謀である米カリフォルニア大のピーター・ナバロ教授と、米下院軍事委員会で海軍力小委員会委員長のアドバイザーを務めたアレキサンダー・グレイ氏が、米誌「フォーリン・ポリシー」に台湾への全面的な武器供与の必要性を訴える論文を掲載したというものです。  

同記事によれば、2人は、オバマ政権の台湾に対する扱いは「実にひどいものだった」とし、台湾はおそらく米国のパートナーの中で軍事的に最も脆弱だと指摘。2010年にアメリカ国防情報局が台湾海峡の軍事バランスを「北京側に傾いている」と警告したにもかかわらず、オバマ政権は中国の野心を食い止めるために必要な、台湾への包括的な武器の供与を拒み続けたと批判している、と報じています。  

たしかにオバマ政権時代は米中蜜月の時代と見なされ、台湾人のアメリカ離れを招きました。そしてそれが馬英九政権に「対中接近」の好機を与えたのです。しかし、馬英九はアメリカ国籍などを持っているかどうかを曖昧にしたまま8年間も総統を務め続けたこともあり、支持率は1ケタ台にまで低迷してしまいました。  

2013年ごろから、台湾ではアメリカ共和党支持が大勢になりつつありました。だからトランプの出現と躍進に対しては、意外というよりも期待のほうが大きいのです。中国の台湾に対する理不尽な主張に対して、ハーグの仲裁裁判所のように「まったく根拠なし」とまで断じなくとも、「中国は嘘つきだ」とさえ言ってくれれば、台湾は主権国家としての正当性が生まれます。  

トランプ氏の陣営のアジア系アメリカ人委員会に所属する台湾出身の企業家・徐紹欽氏も、「トランプ氏は台湾を信頼できる友人と考えている」と発言しています。  

トランプ氏の対中政策はまだ判然としません。しかし、鉄鋼をはじめとする中国の輸出品については不当なダンピングをしているということで、中国産品に45%の関税をかけるべきだと主張しています。この姿勢については、大統領就任後も変わらないでしょう。というのも、トランプを選んだ白人労働者は、自分たちの仕事を奪っているのは中国だという怒りを持っているからです。  

こうした労働者の反中国感情は世界中で高まっています。昨年の10月に習近平主席がイギリスを訪問したときには、同国の鉄鋼業界が中国の鉄鋼ダンピングについて強く批判を行っており、デモも起きています。

加えてトランプ氏は、選挙期間中に中国を為替操作国に認定すると述べてきました。これについては元財務長官顧問も「トランプ氏は公約を守るだろう」と述べています。そうなれば、中国経済はさらに苦境に陥ることは避けられません。

◆日本がトランプ新大統領を歓迎すべきこれだけの理由  また、トランプ大統領は、アメリカの対ロシア政策を軟化させる可能性があります。プーチン大統領を「オバマ大統領より優れている」と持ち上げるなど、プーチンをよく称揚しているからです。その背景には、米ロ接近による中国牽制という意図も見え隠れします。そしてこれは安倍首相による日ロ接近ともシンクロします。  

先日もモディ首相が来日しましたが、日本はインドとも連携して中国包囲網を構築しようとしています。こうした動きはトランプ氏の「アメリカ・ファースト」とも利害が合致する可能性が高いと言えるでしょう。  

楽観視することはできませんが、トランプ陣営から出てくる情報では、日本や台湾よりも、対中政策がより厳しくなると予想されます。それに、アメリカがアジアでの軍事的プレゼンスを低下させることは、日本にとっては日米地位協定などの「不平等」な協定見直しや憲法9条の改正に拍車をかけることにも繋がります。  

2013年に安倍首相が靖国神社を参拝した折には、アメリカ大使館が「失望した」などという声明を出しました。言うまでもなくこれは、オバマ政権が命じたものです。アジア・リバランス政策を重視するオバマ政権は、韓国の反発によって日米韓の連携が崩れることを懸念したのでしょうが、多くの日本人は内政干渉だと感じたはずです。  

こうしたことも、トランプ大統領の誕生によって、変わってくる可能性があります。もともと自 民党は共和党とのパイプが太いですし、これまでアメリカの圧力でできなかった防衛システムの強化、日本の独自外交も進んでいくと思われます。  それにしても、大方の予想に反してドナルド・トランプ氏が次期大統領に決まったことは、日米のメディアの終焉を示す象徴的な出来事でもありました。このメルマガでも以前お伝えしたように、私が10月に訪米した際、日米のメディアではヒラリー当選が確実のように伝えていましたが、ロサンゼルス在住の日本人でトランプ当選を予想する人が少なからずいました。

ヒラリーが優勢といわれたカリフォルニア州でも、トランプ当選を感覚的に予測していたということは、あれだけのネガティブキャンペーンでも、それを信じない人が多かったということです。 日本のメディアはアメリカのメディアの伝えることをそのまま流すだけですから、「トランプはとんでもない人物」という評価ばかりが先行し、「だから当選はない」という論調につながっていきました。  

しかし予備選のときも予想を外し、本選でも予想が大外れしたわけですから、メディアとしての信用力はガタ落ちです。もともとアメリカは新聞やテレビメディアを信用する人の割合が日本に比べて低く、世界価値観調査(2010~2014年)によれば、日本では新聞・雑誌を信頼できると考える人が73.8%、テレビを信頼できると考える人が69.7%に対して、アメリカはそれぞれ22.8%、23.2%しかいません。むしろ信頼できないと答える人のほうが多いのです。  

もともとアメリカではメディアはあまり信用されていないので、今回の影響は「軽微」ともいえます。むしろ影響が大きいのは日本のほうではないでしょうか。ネット世代が増えて、新聞やテレビを必要としない人はこれからますます増えてくるわけですからなおさらです。  

これまでも日本のメディアの偏向ぶりは問題となってきました。安保法制のときもそうでしたが、その影響力の低下は静かに、しかし確実に広がっています。トランプ現象は、日本のメディアの終焉、そして彼らが支持してきた左派の終焉にもつながると思われます。

◆そして訪れる、中国経済の大崩壊  

メディアが結果を見誤ったのは、世界的にグローバリズムからナショナリズムへの回帰が起きていることを認めようとしていなかったからではないでしょうか。 とくに左派メディアは「ナショナリズム」が嫌いですから、世界的潮流を見ないようにしてきたと思われます。  

しかし、今回のトランプ当選は、間違いなく世界的なグローバリズムからナショナリズムへの回帰です。そしてそれはイギリスのEU離脱にも通じるものです。イギリスのEU離脱も、多くのメディアや世論調査は予想を大外ししました。  

東西冷戦後、パックス・アメリカーナが確実となり、アメリカは「アメリカイズム」としてグローバリズムを世界規模で推し進めてきました。しかしそれがやがてリーマンショックを招き、アメリカの経済や産業に衰退をもたらしました。そして、ヒラリーが代表していたのが、このグローバリズムという既存の世界秩序であり、トランプが代表していたのが既存の世界秩序への反逆でした。  アメリカは過去のモンロー主義へと先祖返りし、世界もグローバリズムやボーダレスからナショナリズムへと回帰しつつあり、国家優先が大きな潮流となりつつあります。世界経済をマクロ的な視点で見ると、中国をはじめとするBRICS諸国の奇跡的な経済成長は、グローバリズムによって成し遂げられたことは間違いありません。中国はすでに人類史上最大の通商国家となっています。  

しかしグローバリズムからナショナリズムへと逆回転が始まれば、通商国家は生き残れません。しかも中国はかつての「自力更生」の時代に戻ることも不可能です。アメリカは中国最大の輸出国(輸出全体の約17%を占める)でもあります。そのため、アメリカの関税が引き揚げられただけで中国は干上がってしまいます。  

来年にはドイツの総選挙があり、反グローバリズムと反移民の国民感情のたかまりから不人気のメルケル首相は出馬しない可能性があります。 そうなれば、安倍首相は国際政治の最長老として存在感がますます大きくなっていきます。  

安倍首相は戦後日本外交の巧者であり、これほど世界を回った首相はいません。安倍首相の努力によっては、アジアで日米露の三国同盟という新しい展開も夢ではありません。日本も台湾も、トランプ大統領の誕生は大きなチャンスなのです。

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