『イスラエルによるイラン攻撃の可能性高まる 米国とイランの対立激化のもたらすもの』(1/21JBプレス 矢野義昭)について

1/20WSJ<Pelosi Knows Impeachment Is Weak Follow the speaker’s own advice: reject a partisan and unconvincing case against the president.>

“Compelling, overwhelming and bipartisan: These are the criteria Speaker Nancy Pelosi drew as she publicly announced last March that she wouldn’t support impeachment. Back then she claimed impeaching the president with anything less would be divisive and irresponsible,”

“Ten months later, however, Mrs. Pelosi has transmitted two articles of impeachment that fail to meet any of her criteria, let alone those of the Founders.”
The facts are clear: The Senate must “reject the temptation of partisan impeachment and expeditiously acquit the president.”
https://www.wsj.com/articles/pelosi-knows-impeachment-is-weak-11579554130?mod=opinion_lead_pos5

1/20 The Washington Times.<House impeachment will be a ‘permanent stain’ on Dems’ legacy>

https://www.washingtontimes.com/news/2020/jan/20/house-impeachment-will-be-a-permanent-stain-on-dem/

1/21希望之声<看懂参议院总统弹劾审讯全貌 您需了解五大要素=上院での大統領弾劾裁判の全体像を理解する 5大要素を理解すべき>1/21(火)、米国上院議員100人はワシントンDCの議会に集まり、米国史上3回目の大統領弾劾裁判を開始した。ストーリー全体を理解するには、裁判で重要な役割を果たす5大要素を理解する必要がある。裁判官、陪審員、証人、検察官、弁護人、がそれである。

火曜日の議題は、主に弾劾裁判の規則に関する最初の議論と投票である。その時点で、上院議員は下院の弾劾代表とトランプ大統領の弁護団の両方から冒頭陳述を聞くだろう。その後、検察と弁護側は書面による質問を提出し、質疑応答の期間に入る。最後に、上院は証人召喚するかどうかなどの裁判規則に投票する。普通であれば、上院の弾劾裁判は2~8週間続く。

上院民主党は、元国家安全保障補佐官のジョン・ボルトンとWH行政管理予算局長・大統領首席補佐官代行のミック・マルバニーを含む4人の証人が証言することを望んでいる。共和党側は、元米国副大統領で2020年大統領候補のジョー・バイデン、および彼の息子ハンター・バイデンなどの証人が証言することを望んでいる。

早く茶番は終わりにして、打倒中共に勤しんでほしい。

上院臨時議長Chow Grassleyと最高裁首席裁判官John Roberts

https://www.soundofhope.org/post/334663

1/21阿波羅新聞網<大陆老百姓无法想象!美维州万人携枪大抗议 不满议会提出管制枪枝法案=中国人には想像できない! 米国バージニア州で銃を携帯して抗議する何万もの人々 議会が銃規制法案を提出した事で>米国バージニア州上院は16日に本法案を可決したが、この法案はすべての銃の販売に関し経歴調査が必要となり、購入を制限するため、銃保持の支持者の間で不満を引き起こした。 州議会の厳しい銃規制法案に抗議するために、数千~万にも上る銃保持支持者が20日にバージニア州議会の外で集会を開き、州議会の厳格な銃規制法案に抗議し、多くの人々が銃を持ち込んだ。 州知事は、先週水曜日に始まった非常事態の延長を宣言した。

下の写真でデモ参加者は「私の(銃を持つ)権利は神から与えられたもので、政府からではない」というプラカードを持っています。米国憲法修正第2条との関係もあります。米国人は政府を信用せず、自衛手段を持たないと自分がやられると思うそうです。刀狩(1588年)以降、非戦闘員が武器を手にしない日本人とは感覚が違っています。

https://www.aboluowang.com/2020/0121/1398789.html

1/21阿波羅新聞網<“故宫奔驰女”涉曾庆红 纪委不敢查 习近平啥意思?故宫院长凌晨致歉洗白=“故宮のベンツ女”は曽慶紅に関係 規律検査委員会は調査せず 習近平はどうするつもり?故宮博物院長は早朝謝罪して終わりにする>中共元老の何長工の孫嫁の高露は北京の故宮に高級車で乗り入れ、世論を沸騰させた後、紅い革命家族の腐敗の噂もすぐに出てきたが、文化旅行部は高官の家族の腐敗事件を調査する権限はないと強調した。ある専門家は、何家は中共の官僚界に深い背景を持ち、前江派の常任委員だった曽慶紅と密接な関係を持っていた」と明らかにした。 この問題について習近平はどんな態度なのか? 21日の早朝、故宮博物院長の王旭東は謝罪声明を発表したが、隔靴掻痒、重大事件にせず、(休館日の活動で200人ほど集まったが、駐車場が満杯だったため、そちらに停めたと)すり変えた。

まあ、相変わらずの中国式弁明で、言い逃れするための苦しい言い訳にしか聞こえません。でも多くの中国人がこれをやります。見慣れた風景でしょう。赤い特権階級が如何に権力濫用しているか、共産党が労働者のための政党なんて言うことはこれぽっちもありません。共産主義は特権を享受する手段です。それはそうで、三権分立していないので、為政者のなすが儘、批判は許されません。

https://www.aboluowang.com/2020/0121/1399054.html

1/21阿波羅新聞網<中共2任大使的乞讨信都白费 德国企业分文不给 形象工程泡汤=中共の2人の駐独大使の物乞いの信書はムダに ドイツ企業は寄付を与えず イメージ工作はダメに>ドイツメディアの調査によると、「中共の大使から信書を受け取ったドイツの財団や企業は、“中国報道”プロジェクト(2人のドイツ人中国通に番組を任せるための必要資金25万ユーロ)に提供する資金を誰も払わなかった。 しかし、この信書の公開はドイツ人に衝撃を与え、中共はドイツの世論に影響を与える努力を惜しまず、ドイツ企業に資金を出すところはないか探したりした。 これまでのところ、中国大使館はコメントを控えている」と。

中共はドイツだけでなく、世界で同じことをやっているでしょう。日本もカネは出していなくても、中共に協力している売国奴が沢山いるはずです。スパイ防止法が必要です。ドイツは、VWは中国で売り上げの4割を占め、シーメンスは110億ユーロ売っているにもかかわらず、売国はしないということです。日本の企業家はESG投資とかSDGsとか言っていますが、一番人権に鈍感です。香港、ウイグルの状況を見ても何も感じない、人間の感情を持たない人たちで構成されているからでしょう。

2019年9月9日の夕方、黄之鋒とドイツのマース外相は、ベルリン議会の最上階で行われた祝賀イベントで話し、中共に強い不満を引き起こし、その後独中関係は急速に冷却した。

https://www.aboluowang.com/2020/0121/1398770.html

矢野氏の記事では、イランの核保有は避けられないのではというニュアンスです。イスラエルは武力行使して防ごうとするでしょうが、トランプはイスラエルと共に戦うかどうか?サイバー戦で防いでもらうのが一番良いでしょう。

日本も米国とニュークリアシエアリングを進めていくべき。露中北と核保有国が日本を囲んでいる状態で、合法的に抑止するものと言えば、現段階ではニュークリアシエアリングしかない。時間をかけて日本も中距離核ミサイルを持てるようにする。矢野氏の言う原発稼働は必須と思いますが、テロ対策やミサイル対策を国が手当てしませんと、攻撃で犠牲者が多く出ます。

イラン、イスラエル、米国との関係で、今後の進展如何では、日本も巻き込まれる可能性が高くなります。日本の船舶だけの防護だけでは済まなくなるのでは。旗幟を鮮明にせざるを得ないでしょう。中共を念頭に置けば、人権弾圧している体制は変更させるべきです。自衛隊の犠牲が出ないようにできれば一番良いのですが。

記事

イランのモスク

 米国とイランの間の緊張状態が昨年末から急速に高まっている。

 昨年の12月27日には、イランがイラク北部のイラク軍基地を攻撃して米国民間人1人が死亡し、米国軍兵士4人が負傷した。

 12月29日には、米軍がイラクのシーア派武装組織の拠点を空爆し、5カ所で少なくとも25人が死亡した。

 さらに、12月31日には、イランがイラクの首都バグダッドにある米国大使館を襲撃するという事件が発生している。

 今年1月3日付の『ロイター通信日本版』は、「イラク国内では、米軍部隊が駐留する基地に対しイランの支援を受けた組織による攻撃が増加、その手段も高度化している。ある米軍高官は昨年12月11日、あらゆる当事者が統御不可能なエスカレーションへと追いやられている、と語った」と報じている。

 米国は、そのエスカレーションの元凶となっている中心人物を、イラン革命防衛隊の精鋭「コッズ部隊」を率い、イランが国外で支援している中東各地のシーア派武装組織のテロや破壊活動の総指揮をとっていたカセム・ソレイマニ司令官とみていた。

 ついに今年に入り1月3日に、米軍はイラクの首都バグダッドでソレイマニ司令官を殺害した。これに対する報復として、1月8日にイランが弾道ミサイル攻撃をイラク国内の2カ所の米軍基地に対して加えた。

 同8日にウクライナ機が撃墜され乗客176人全員が死亡するという事件も起きている。今後の中東情勢がどこに向かうのだろうか?

米国とイランの緊張状態 当面どうなるのか?

 ソレイマニ司令官の殺害について1月3日、イラン政府は「厳しい復讐」を誓ったが、これに対しドナルド・トランプ米大統領は、「戦争を始めるためでなく、止めるため」だったと述べている。

 またトランプ大統領は8日、イランのミサイル攻撃については、米国人やイラク人の人的被害はなく、わずかの損傷にとどまったとし、「イランは戦闘態勢から引く様子だ」と語っている。

 米国は10日にイランに対する追加制裁を公表しているが、軍事報復については言及されていない。これらの対応には、イランとの新たな軍事衝突は避けたいとのトランプ大統領の意向が反映されている。

 米国はいま、北朝鮮の核開発をめぐり北東アジアで緊張の火種を抱えている。

 また、次期大統領選挙を控えて、トランプ大統領としては、中東でもイランとの新たな戦端を開き、19年間戦い続けてまだ解決の見通しの立たない中東での泥沼のテロとの戦いをさらに拡大することは避けたいと思われる。

選挙前に、新たな対外強硬政策を採り国民の結束を求めて、支持率を高めるという手法は、しばしば歴代の米大統領により用いられてきた。

 確かに、トランプ大統領は軍備拡大には熱心である。2020年度の米国防予算の上限枠は史上最大規模の7380億ドルに達している。

 しかし、同時にトランプ大統領は大統領選予備選挙の時代から「戦争は最後の手段」であると明言しており、新たな戦争の開始や拡大には慎重である。

 2019年6月20日『ニューヨークタイムズ』紙は、「トランプ氏はこれまで、泥沼化したイラク戦争を「避けられた大失態」と批判し、米軍の海外活動を縮小する方針を示している。

 イランとの戦争についても、望まないとの意向を繰り返し表明してきた」と報じている。

 無人機攻撃によるテロリストの殺害は、バラク・オバマ政権に引き続き、トランプ政権でも重視されている。

 今回のソレイマニ司令官の殺害も、アブバクル・バグダディの殺害に次ぐ、米国にとっての「世界一のテロリスト」の殺害だった。

 1月3日付の『ロイター通信日本版』は、「ソレイマニ司令官は、イラク側協力者のトップであるアブ・マフディ・アル・ムハンディス氏をはじめとする民兵組織有力幹部に、イランが提供する先進的な兵器を使ってイラク駐留米軍への攻撃を強化するよう指示した」と報じている。

 また、1月3日、米政府の要人が、ソレイマニ司令官が「米国の陸空海軍・海兵隊の将兵、外交官らに対する攻撃を計画していた」と語ったと報じている。

 このようなソレイマニ司令官の、米軍の新たな損害を招きかねない挑発行為が、米軍の殺害作戦を誘発したと言える。

 ソレイマニ司令官殺害に対し、イランと同一宗派のシーア派が主導権を握っている現イラク政権は反発した。

 イラクのアブドルマハディ暫定首相は、ソレイマニ司令官とイラク側のムハンディス氏がともにイラク国内で殺害されたことから、「イラクの主権に対する言語道断の侵害だ」と非難した。

 イラク国会は1月5日、外国軍部隊の駐留終了を求める決議を採択した。ただし、投票に参加したのはシーア派系の議員が主体だった。

トランプ米大統領は、イラク政府が駐留米軍の撤収を正式に求めてきた場合には「厳しい制裁を科す」と警告しているものの、その後イラク政府と米国の間の対立激化の様子は見られない。

 これまでトランプ政権が新たに行った軍事作戦としては、2017年4月、シリアでの民間人に対する化学兵器攻撃への報復として、巡航ミサイルにより、化学兵器攻撃を加えたとするシリア空軍基地施設の破壊を行った程度に過ぎない。

 この際にも、ロシア政府やアサド政権に事前通告を行い、目標としては人的被害を招かない施設のみを慎重に選定している。

 同様の手法が、今回のイランによる、イラク内米軍基地に対する弾道ミサイル攻撃でも模倣された点は、興味深い。

 イランとしては、米軍同様に、慎重に選定された目標を正確に即座に攻撃できると、力を誇示しつつも、他方で、慎重に米軍の人的被害を回避し、米側を挑発して軍事行動に踏み切らせないよう配慮している。

 イラン指導部の対応には、硬軟両様のバランスをとった巧みな戦略判断に立ち、一応報復攻撃に出て国内外の強硬派をなだめつつも、米国への挑発を慎重に回避しようとする姿勢が窺われる。

 イラン国営テレビが1月8日、「15発のミサイルを発射し、少なくとも80人の米国のテロリストが死亡した」と発表したのは、国内外の対米強硬派をなだめるための宣伝とみられる。

 ウクライナ機の撃墜についても、事件3日後の10日にイラン政府は、誤って撃墜したことを認めている。

 当初、イランのミサイルは命中していないと断言していたが、速やかに撃墜を認めたイラン側の姿勢から見ても、イランが事態の鎮静化を望んでいることが窺われる。

 イランは、トランプ政権の核合意破棄に伴い再開された経済制裁により、国内経済がインフレが進むなど疲弊しており、指導部としても、いままた米国を挑発して本格的な戦いに入ることは望んでいないであろう。

 またイランとしては、米大統領選挙を控えたトランプ政権は、本格的なイランとの戦争を望んでいないと読んでいるかもしれない。

 あるいは米大統領選挙で民主党候補が勝利し、オバマ政権により締結された核合意に米国が復帰することに望みを託し、イランとしてはあえて米国を挑発せず、事態を静観するとの姿勢なのかもしれない。

 以上のような米国とイラン双方の対応姿勢から見ると、事態は当面は沈静化に向かっていくと言えよう。

核合意の制限破棄を明言したイラン

 しかし大きな問題が潜在している。それはイランがソレイマニ司令官殺害を受け、包括的共同作業計画(JCPOA)、いわゆる核合意に基づく、ウラン濃縮の上限にとらわれないと表明している点である。

 2015年7月に発表されたJCPOAにおけるイランに対する主な核関連の制約としては、

①ウラン濃縮関連では、ウラン濃縮のための遠心分離機を5060基以下に限定すること

②ウラン濃縮の上限を3.67%にするとともに、保有する濃縮ウランを300キロに限定すること

③プルトニウム製造に関しては、アラク重水炉は兵器級プルトニウムを製造しないよう再設計・改修し、使用済核燃料は国外へ搬出すること

④研究開発を含め使用済核燃料の再処理は行わず、再処理施設も建設しないこと

 などが含まれる。ジョン・ケリー米国務長官(当時)によれば、本合意により、イランのブレークアウトタイム(核兵器1個分の核燃料の製造にかかる期間)は、JCPOA以前の90日以下から、1年以上になる。

 また、JCPOAはあくまで核問題にかかる合意であるため、国際テロ、ミサイル、人権問題などにかかる制裁は停止または解除されるものに含まれない。

 これに対し、イスラエルのネタニヤフ首相は2015年10月の国連総会の一般討論演説において、イランの核合意は戦争の可能性を高めているとして激しく非難した。

 また、米国においては、議会の過半数を占める共和党が合意に反対していたが、大統領の拒否権を覆す上下両院での3分の2以上の不承認支持には至らず、合意の不承認は回避された(『令和元年版防衛白書』184頁)。

 トランプ米大統領は2018年5月、現在のイランとの合意では、完全に履行されたとしても短期間で核兵器を完成させる寸前までたどり着ける、また、弾道ミサイル開発への対応に失敗しているなどと指摘したうえで、米国は合意から離脱すると表明した。

 トランプ政権は同年11月に、JCPOAの下で解除されていた制裁をすべて再開するとともに、米国はイランと新しくより包括的な合意(ディール)を行う用意があるとし、イランに対して交渉のテーブルに着くことなどを要求している。

 一方、イランは米国による制裁の再開に反発し、2019年5月、JCPOAから離脱するつもりはないとしつつ、JCPOAの一部義務の停止を発表した。

これを受け、米国はイランに対し鉄鋼やアルミニウムなどの分野で新たな制裁を科した。

 また、同月、米国は自国の部隊や利益などに対するイランの脅威に対応するためとして、空母打撃群及び爆撃機部隊などを米中央軍に派遣するなど、両国の間では緊張が高まっていた。

 その最中の2019年5月12日にオマーン湾に面したフジャイラ沿岸で4隻の民間船舶が攻撃されるという事件が発生した。米国はイランまたはその代理勢力が実施したと指摘する一方、イランはこれを否定している。

 2019年6月13日にホルムズ海峡で日本とノルウェーの運航するタンカー2隻に対して何者かが攻撃するという事件が発生した。この日は、安倍晋三首相がイランの最高指導者アリー・ハメネイ師と会談をしていた当日だった。

 同6月20日、米国の無人偵察機がホルムズ海峡上空でイランの地対空ミサイルに撃墜される事案も発生した。

 米国は、同機が国際空域で撃墜された旨主張する一方、イランは同機が領空侵犯したために撃墜したと主張している(同上書、184~185頁)。

 この無人機撃墜に関しトランプ米大統領は、2019年6月21日朝、ツイッターで、米軍が前日夜にイランへの軍事攻撃の準備を進めていたが、開始10分前に中止させたと発表している。

 その理由について、軍事攻撃により150人が犠牲になると聞かされたためとし、「無人機に対する報復としては相応ではない」と述べている。

 2019年9月にはサウジアラビアの石油施設がドローンなどの集中攻撃を受け、10月にはイランのタンカーが紅海で攻撃されて爆発炎上するなどの事案が相次いで起こった。

 他方2019年には、イランが支援するイエメンのフーシ派によるサウジ国内へのミサイルなどによる攻撃も頻発している。

 そのような緊張状態が続く中、冒頭に述べたような一連の事案が昨年末から起こり、終に1月3日のソレイマニ司令官殺害に至った。

 このような一連の緊張状態を招く最初のきっかけとなったのは、これまでの経緯から見て、2018年5月のトランプ大統領によるイランとのJCPOA、いわゆる核合意の廃棄にあったと言える。

 EU、ドイツ、フランス、英国、ロシア、中国は核合意の存続を目指してきた。また、国際原子力機関(IAEA)からの報告によれば、イランは核合意の条件を順守していた。

核合意離脱後に米国が新たな制裁を発動した後も、イランは核合意の順守を続けるとともに、その存続に向けて各国の指導者らと交渉を続けた。

 だが米国の核合意からの離脱から1年経った昨年5月以降は、段階的に合意条件を破ってきた。

 イランが、核合意の制限を全面的に順守しないと決めたのは、ソレイマニ司令官が米軍に殺害されたためである(『ニューズウィーク日本版』2020年1月6日)。

 イランの英字紙『テヘラン・タイムズ』は1月5日、イラン政府の発表として「今後イランはウラン濃縮および核燃料の備蓄、そして核の研究開発のレベルに対するいかなる制限にも縛られない」と伝えた。

 イランのジャバド・ザリフ外相も、核合意の下での制限を今後順守しないという同国の決定をツイートしている。

加速が予想されるイラン核開発

 もしイランが核合意の制限に縛られないとすれば、核合意の効果として「イランのブレークアウトタイム(核兵器1個分の核燃料の製造にかかる期間)は、JCPOA以前の90日以下から、1年以上になる」ことが期待できなくなる。

 すなわち、イランのブレークアウトタイムは再び「90日以下」に戻ることになる。

 そうなれば、イスラエルにとり国家の存続に関わる危機が訪れることになり、イランが核爆弾1個分の核燃料の製造を完了する前に、先制空爆その他の方法により、イランから核開発能力を奪おうとする誘因が高まるであろう。

 トランプ大統領も、1月8日のイランのミサイル攻撃後の声明の中で、イランには「核兵器は持たせない」と明言している。

 また2019年6月に米NBCテレビの番組の中でも、イランと目指す合意とは「イランに核兵器を持たせないことだ」と発言。

 イランを5月に訪問した安倍晋三首相を通じ、同国最高指導者のハメネイ師に「核は持たせない。ただ、他については交渉で取引できる」と伝えたことを明らかにしている(『産経新聞ニュース』2019年7月6日)。

 トランプ政権が、イランに核兵器を持たせないという絶対条件を譲らず、イランが今回の核合意の制限破棄声明を貫けば、いずれイスラエルと米国による、イランの核開発能力を破壊するための、何らかの先制的阻止行動あるいは軍事行動がとられることは必至であろう。

 またその時期は、イランが1個分の核分裂物質を保有する可能性のある3カ月以内ということになる。イスラエルとしては努めて早期に阻止行動をとりたいであろう。

 その場合にイスラエルがとりうる行動の選択肢としては、行動の烈度の順に以下のような選択肢がありうる。

①サイバー攻撃による、核関連施設の破壊、イランの革命防衛隊、弾道ミサイル基地などの核作戦に関する指揮通信・統制システムの制圧など

(2010年に発見されたスタックス・ネットによるイランの核施設への高度のサイバー攻撃には、イスラエルが関与していたとみられている。いまもイスラエルはサイバー攻撃を行える高度の能力があるとみられる)

②無人機、特殊部隊の破壊工作などによる要人の殺害、特に核関連部隊の指揮官、核物理学者など枢要な人物の殺害

(かつてイランの核物理学者が暗殺されたことがあり、今回のソレイマニ司令官の殺害もこの型の暗殺作戦とみられる。イランの場合、中心になって高度の指揮能力や核開発能力を発揮できる人材は少ないため、打撃が大きい)

③多数の無人機、あるいは無人機と有人機を併用した精密空爆による核関連施設、指揮通信組織などの中枢施設の破壊

(イスラエルは、1981年にイラクのオシラクに建設中のプルトニウム生産用とみられる原子炉を、2007年にはシリアの建設途上の原子炉を、ともに精密空爆により破壊した実績がある。近年は無人機を多用し、レーダ網をかいくぐり奇襲する空爆作戦が多用される傾向にある)

④特殊部隊および正規軍を限定使用した、ペルシア湾内の離島など小規模の拠点に対する限定地上攻撃

(このような攻撃ではイランの核能力は奪えず、他方でイラン側の本格的報復攻撃を誘発するリスクがあり、効果的作戦とは言えない)

⑤空爆では破壊できないイラン本土内の地下の核施設、指揮統制・通信中枢、ミサイル基地などの破壊を目的とする、限定地上攻撃

(効果は⑥より大きいが、イラン側の迅速な反撃が予想され、イスラエル軍の対処能力に限界がある。地上戦支援のために、ペルシア湾や近海からの米海軍艦艇による巡航ミサイル攻撃、米空母艦載機による空爆も必要になるとみられる)

⑥ペルシア湾の機雷戦、潜水艦戦などによる海上封鎖

(この場合は米海軍の支援が不可欠になるとみられる。また、米同盟諸国の同湾内からの原油などの積み出しも制約される)

⑦本格的な地上戦を伴う攻撃

(この場合は数十万人以上の人的戦力が必要で、米軍だけではなく多国籍軍による攻撃も必要になる)

 以上の選択肢のうち、①、②、③まではこれまでイスラエルが行った実績もあり、今もより高度の能力がイスラエルにはあるとみられ、実行される可能性は高い。

ただし、100カ所以上はあるともみられているイラン側の核関連施設の多くは地下にあり、それらの数、位置、規模などの細部は不明であろう。

 そのため、効果は限定的なものにとどまり、イランの核能力を完全に奪うことはできないであろう。

 イランはイラクの米軍施設に対する報復攻撃で見せたように、十発以上の改良型スカッド級の弾道ミサイルを同時に比較的正確に発射し目標に命中させる能力を持っている。サウジの石油施設攻撃では、無人機の多数運用能力もあることを示している。

 秘匿が容易な移動式弾道ミサイルや無人機を先制攻撃で一挙に破壊することはできない。これらのイラン側の残存報復能力をみれば、イスラエルや湾岸に展開する米軍に対する何らかの報復なしに、一方的にイランが制圧される可能性は低い。

 また報復に際しては、シリアのアサド軍が多用した化学兵器が使用される可能性もある。核兵器の可能性は低いが、隠蔽された軍用原子炉で密かに核分裂物質を生産し、核実験なしでそれらが弾頭に搭載される可能性も、時間とともに無視できなくなる。

 したがって、④から⑦の選択肢を採ることによるリスクは大きく、イスラエルがこれらの選択肢を実行する可能性は高くない。

 特に、米軍の本格的な長期の支援が必要になる⑥と、多国籍軍の大規模な地上兵力が必要となり、大量の死傷者が予想される⑦の攻撃には、トランプ政権は同意しないであろう。

 また英独仏は1月4日、対イラン国連制裁の再開に道を開く「紛争解決手続き」を発動したとの共同声明を発表しているが、核合意継続を望んでおり派兵には同意しないであろう。ペルシア湾岸諸国も紛争のエスカレートや長期化は望んでいないとみられる。

 また⑥や⑦の場合は、中露はイランへの武器援助、経済支援などを行う可能性があり、紛争が長期化し、場合により軍事紛争がエスカレートする危険性もある。

 ⑥、⑦など最悪のシナリオは米国、イランも望んでいるとはみられず、実現の可能性は低い。

 しかし、イスラエルなどの限定的な攻撃に対するイラン側の対応によっては、ペルシア湾での機雷敷設といった事態はありうる。その場合は、石油価格が急騰し、ペルシア湾の石油輸出ルートが長期にわたり安全に使用できなくなるであろう。

 全般的には、イスラエル側のイランの核化阻止のために採りうる行動の選択肢の効果には限界があり、イランの核能力を一時的に制限しあるいは遅延はできても、完全阻止は困難であろう。

 唯一可能性があるのは、イランのイスラム共和制が民主化運動により倒されることである。

 ウクライナ機誤爆をめぐる体制批判がいまイラン国内で起きているが、その動きがどこまで広がるのか、体制側がいつかの時点で革命防衛隊などによる武力弾圧に踏み切るのか、あるいは譲歩するのか、体制変革まで進むのかが注目される。

わが国の採るべき対応

 今年1月10日、海上自衛隊の中東派遣命令が発出された。

 日本の輸入原油の9割近くが中東からの来ており、原発の稼働が遅れている現状では、わが国のエネルギーの8割以上を原油に依存せざるを得ない。日本の生存と繁栄にとり、中東原油の輸入ルートの安全確保と中東地域の安定は死活的要請である。

 そのために海上自衛隊を派遣した今回の政府の対応は当然のことと言えよう。また、独自派遣にとどめ、その任務を調査研究と限定したのも、やむを得ない選択とみられる。

 イランとも友好関係を維持してきたわが国の立場と、地域の安定化を必要とする、わが国の安全保障上の要請を考慮すれば、有志連合には加わらないとの選択は正しい。

 他方で米国の信頼を得るために、収集した情報を米側に提供するという対応も、妥当な措置と思われる。

 ただし、今後数カ月以内に、イスラエルがイランの核化阻止のために、軍事行動を含む何らかの阻止行動を採る可能性は高まっている。

 その際に日本のタンカーが巻き込まれ、あるいは海上自衛隊が行動する海域に紛争の影響が波及する可能性もある。

 その場合の対応行動としては、情報の収集にとどまらず、日本のタンカーの保護、警護も必要になるであろう。場合により敵性国とみられて海上自衛隊艦艇も攻撃の対象になるおそれもないとは言えない。

 おそらく紛争は、地理的にも時間的にも烈度の面でも限定的なものにとどまる可能性が高いとみられるが、いかなる状況変化にも対応しうる柔軟性と即応性が求められる。

 その場合は、過度に現場指揮官の裁量権を拘束するのではなく、指揮官に必要な権限を委譲して自主裁量の余地を与え、危機に即時に的確に対応し、危機を拡大させることなく早期に収束に向かわせることが、危機対応上は重要になると思われる。

 それと同時に、政府としては、入手しえた最新の情報に基づき、大局に立った冷静な政治的戦略的判断を下し、必要な場合は、任務と権限を変更するなど、新たな行動命令を、機を失することなく発令することが必要になるであろう。

 長期のエネルギー安全保障の観点からみれば、過度に中東原油にわが国のエネルギーを依存している現在の態勢を改めねばならない。

 その代替エネルギーを、不安定で自然災害の多発する新エネルギーに期待することには限界がある。

 1割以下に低下しているわが国のエネルギー自給率を高めるためにも、準国産エネルギーである原発の早期再稼働を進めねばならない。

 原発の再稼働は地球温暖化防止のためにも必要である。その決断がいま求められている。

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