『「外交オンチ大統領」の機密漏洩と捜査妨害疑惑 トランプを悩ませる「内部告発者」は誰か?』(5/19日経ビジネスオンライン 高濱賛)、『トランプ大統領の“ウォーターゲート事件” 焦点は共和党が大統領を見捨てるか否か』(5/19日経ビジネスオンライン 篠原匡)について

5/18BBCニュースはトランプ支持者の声を取り上げていました。米国の報道は日本以上に偏向していると江崎道朗氏が言っていましたが、正しくその通りです。結局、トランプ支持者の声はBBC(英国)でないと取り上げてくれないのでしょうか?不法移民に厳しく、ロシアとの協調+中国との対決(近頃は雲行きがおかしいが)を目指したトランプですが、やっと全閣僚を指名しただけで、下にオバマの残党が沢山残っています。本記事に依れば情報機関にリークの犯人がいるという事ですから、CIAかFBIでしょう。フリンが辞任したのもずっと監視されていたからでしょうに。何故メール問題で国益を損ねたヒラリーが訴追されないのか?民主党だから?ユダヤ・グローバリズムに甘いからか?ヒラリーだってロシアと関係をリセットすると一時言っていたくらいなのに。ロシアのウクライナ侵攻と中国の南シナ海の内海化はオバマの失策ではなかったか。

http://www.bbc.com/japanese/video-39958457

日本の二人の報道ぶりは相変わらず米国のリベラルの跡をなぞっただけです。せめてBBCの報道のように、トランプ支持者の声も拾ってみれば良いのに。ま、日本のメデイアも森友ではTVの観客を引き付けられないと思ったのか、今度は二匹目のドジョウで加計問題をしつこく取り上げています。トランプ・バッシングと同じです。トランプが言った魔女狩りを日本のメデイアもしているという事です。それが「言論の自由」に当たるとは到底思えません。まあ、共産党や反日民進党はテロリスト支援団体ですから、「共謀罪」法案が成立すると困るのでしょう。でも、今国会(会期延長もあり)で成立は間違いありません。言論テロを仕掛ける左翼新聞も取り締まってほしい。沖縄に居て反基地運動をする外国人や違法行為を続ける左翼は厳しく取り締まらなくては。彼らの資金源はどこから来ているのか国民に明らかにしてほしい。中国や韓国からも来ていると予想していますが。

高濱記事

この握手の後、はたして機密情報は漏洩されたのか(提供:Russia Foreign Minister Press Ofice/Abaca/アフロ)

—米メディアがトランプ大統領をめぐる疑惑を相次いで報道していますね。

高濱:米連邦捜査局(FBI)長官の電撃解任、大統領執務室での録音疑惑が5月初旬から続きました(関連記事「FBI長官解任劇と米大統領執務室の録音疑惑」)。15日には機密性の高い情報(classified information)*をロシア外相に漏えいした疑惑、16日にはFBI長官に捜査中止を命令した疑惑が発覚しています。 *:classified informationは機密性の高い情報を指す。米国ではこれをstrictly confidential(極秘)とconfidential(機密)などに区分する。極秘はいわゆるトップシークレットだ。今回のケースではclassified informationと報道されており、区分は明らかになっていない。

15日と16日に判明した疑惑をすっぱ抜いたのは、米ワシントン・ポストと米ニューヨーク・タイムズ。トランプ大統領が敵対視してきた中道リベラル派の主要紙です。

もっとも、保守系の米ニューヨーク・デイリー・ニューズまでが、16日付1面に「Leaker of the Free World」(自由主義世界の漏洩犯)という大見出しを掲げてトランプ大統領の「裏切り行為」をなじっています。同大統領の支持率は今や55.0%と危険水域にまで落ち込みました。

イスラエル発の機密性の高い情報をロシア外相に提供

まず、トランプ大統領自身が機密性の高い情報を漏洩した疑惑の話からしましょう。

同大統領がロシアのセルゲイ・ラブロフ外相との会談(5月10日)の席上で、「某同盟国」の情報機関から入手した機密性の高い情報を漏らしたというものです。過激派組織「イスラム国」(IS)掃討作戦に関する情報と言われています。

会談には、ロシアのセルゲイ・キスキャック駐米大使も同席していました。外国の外相が米国の大統領に会うのですから、その国の駐米大使が同席するのは当たり前です。しかし、同大使は今や、「ロシア・コネクション」疑惑における「火中の人」になっています。

米大統領が同盟国でもないロシアの外相に「某同盟国」から得た機密情報を流すのも大問題ですが、大統領と外国要人との会談内容が会談の5日後にメディアに流れるなんて…。こちらも前代未聞の事態です。情報源は、会談議事録を入手できる米情報機関に属する人物と見られています。

トランプ政権、とくに情報機関に「内部告発者」がいる事実が明らかになったわけで、同政権の脆弱ぶりを改めて露呈したことになります。 (“Trump revealed highly classified information to Russian foreign minister and ambassador,” Greg Miller & Greg Jaffe, Washington Post, 5/15/2017)

「テロリストはノートパソコンに爆破装置」

—トランプ大統領がロシア外相にリークした情報の中身は何だったのですか。

高濱:「某国」とはイスラエルだったと、ニューヨーク・タイムズが明らかにしています。イスラエルの情報機関が危険を冒して入手した機密情報の中身は、「ISが民間航空機爆破を計画している。その一つとしてノートパソコンに爆破装置を仕掛けている」というものでした。

米国と英国は今年3月下旬から、北アフリカおよび中東8か国と英米とを結ぶ航空機を利用する搭乗客がノートパソコンを機内に持ち込むことを禁じました。これはイスラエルから提供された情報に基づく緊急措置だったようです。

イスラエルのロン・ダーマー駐米大使は「米国とイスラエルとの同盟関係は(今回の事件にかかわらず)揺るぎない」と冷静な対応を示しています。しかし、これはあくまでも「外交辞令」です。イスラエルはもとより欧州の同盟国も、トランプ大統領への機密情報の提供に慎重にならざる得なくなりました。

日本の安倍晋三首相も同じ心境じゃないでしょうか。会談や電話の中身はすべて録音される。日本が提供した機密情報が、日本とは同盟関係にない国に日本の許可を得ることなく流されるのでは、たまったものではありません。冗談抜きに、安倍首相も気を付けたほうがいいと思いますよ(笑)

イスラエル「押し殺したトランプへの憤り」

駐米イスラエル大使の「外交辞令」とは裏腹に、イスラエルは怒り心頭に発すると言える状況にあります。機密性の高い情報が、ロシア経由で「敵国」イランに流れた可能性が大だからです。

イスラエルの有力紙ハルツームは、直接的表現を避け米情報機関当局者の発言を引用する形で「イスラエルが恐れていた最悪の事態が確認された」と報じました。

「バラク・オバマ政権の米情報機関当局は、政権引き継ぎの際に『イスラエル当局がトランプ政権に極秘情報を提供する際には十分注意すべきだ』と忠告していた。親ロシアとみられるトランプ大統領に機密情報を提供すれば、その情報がロシア経由で『敵国・イラン』に流れる可能性が十分あるとみていたからだ」

「今回の情報は、イスラエル政府と事前に協議することも許可を得ることもなく、ロシア側に提供された。米情報機関当局は、『米大統領には機密情報を公表する権限がある。だが、長きにわたって培ってきた米・イスラエル間の情報交換合意を危険にさらすことになりかねない』と懸念している」

こうした「トランプに対する押し殺した憤り」(在米イスラエル外交筋)をイスラエルが抱く中、トランプ大統領は22日にイスラエルを訪問します。中東・欧州歴訪の一環です。日程はだいぶ前から決まっていましたが、米保守派の親イスラエル派からはイスラエル訪問を一時延期せよ、との声が出ています。 (“U.S. Officials: Israel Provided Secret Intelligence That Trump Leaked to Russia,”Haaretz, 5/16/2017)

—イスラエルから取得した機密性の高い情報をリークした張本人であるトランプ大統領は何と言っているのですか。

高濱:トランプ大統領は開き直って、ツイッターでこうつぶやいています。「(情報を提供したのは)IS掃討作戦において、ロシアに関与を深めてほしいからだ。私には米大統領として絶対権限が与えられている。(ロシア側に情報を提供したことは)完全に正しい判断だった」

その一方でトランプ大統領は、同大統領とロシア外相との会談内容を記録した議事録の一部、あるいは書かれた情報をワシントン・ポストが入手したことを重視しています。リークした人物の割り出しを急ぐよう、H.R.マクマスター大統領補佐官(国家安全保障担当)に直ちに命じています。

大統領の捜査中止命令は「捜査妨害」にあたるのか

—マイケル・フリン大統領補佐官(国家安全保障担当、当時)をめぐるロシア・コネクション疑惑に関する捜査の中止を命じた疑惑はどんな話ですか。米国内の政局に与えるインパクトは、こちらのほうが大きそうですね。

高濱:その通りです。

情報源はFBI高官だと思われます。ニューヨーク・タイムズによれば、コミーFBI長官(当時)は2月14日に大統領と会談した後、会談でのやりとりをメモに書き留め、それをFBI幹部に配布したとされています。ニューヨーク・タイムズはそのメモ(あるいはメモを読んだニュース源から内容)を入手したのです。

2月14日と言えば、トランプ大統領の側近であるフリン氏が辞任を余儀なくされた日(13日)の翌日。

会談の席上、大統領は次のように語ったとメモに書かれているそうです。「君がこれ(フリンに対する捜査)を止めて、フリンを無罪放免してくれることを期待しているよ。フリンはいいやつだ。彼を逃がしてやってほしいんだ」

もしあなたがコミー氏だったら何と答えますか。あなたはFBI長官を続けたい。中止命令を出したのは生殺与奪の権限を握る大統領です。これは「忖度」を必要としない「業務命令」と言えるでしょう(笑)。 (”Comey Memo Says Trump Asked Him to End Flynn Investigation,” Michael S. Schmidt, New York Times, 5/16/2017)

このメモに書かれていることが事実だとすれば、合衆国法典第18編(犯罪と刑事手続き)に明記されている「Obstruction of Justice」(司法妨害、捜査妨害)*に該当する可能性があります。少なくとも国を挙げての大論争になるのは必至です。 *:「Obstruction of Justice」は司法当局の捜査を妨害する行為。証人を殺したり、証拠を隠滅したといった直接的な妨害のほか、司法手続きを妨害したり、不正に影響を与えたりする行為など間接的な妨害行為も含まれる。 (“Protection of Government Processes–Omnibus Clause–18 U.S.C. 1505,”Office of the United States Attorneys, U.S. Department of Justice.)

議会が弾劾手続きを進めるかどうかについて、スタンフォード大学法科大学院で教鞭をとるディビッド・スクランスキー元連邦検事は次のように述べています。「大統領を弾劾するプロセスは極めて半司法的(quasi-judicial)、半政治的(quasi-political)だ。大統領による『司法妨害』があったか、なかったかを判断するのは連邦議員であって司法ではないからだ」 (“What Is Obstruction of Justice? Often-Murky Crime, Explained,”Charlie Savage, New York Times, 5/16/2017)

かつて弾劾の対象となったのは、リチャード・ニクソン第37代大統領とビル・クリントン第42代大統領です。ニクソン氏は弾劾決議案が上院で成立した段階で辞任しました。一方、クリントン氏への弾劾決議案は上院で否決され、同氏は弾劾を免れています。

いずれにせよ司法判断ではなく、議員の判断で弾劾の当否が決まるのです。その時の世論動向が議会の審議に影響を与えることはいうまでもありません。

下院監視・政府改革委員会は全資料を要求

—フリン氏に対する捜査中止をめぐる報道についてトランプ大統領は何と言っているのですか。

高濱:ホワイトハウスは16日ステートメントを発表しました。「トランプ大統領は司法当局とすべての捜査に最大の敬意を払っている。これ(報道されているメモ)は大統領とコミー氏との会談内容を誠実かつ的確に描写したものではない」

一方、一連の報道を受けて、米下院監視・政府改革委員会のジェイソン・チャフェッツ委員長(共和・ユタ州)は16日、FBIに対し、大統領とコミー氏との間で行われた会談、電話などに関するメモ、ノート、録音テープなど全ての資料を提出するよう要求しました。期限を5月24日までとしています。

—同委員会が進める調査の結果などにもよりますが、この「司法妨害」「捜査妨害」は大統領弾劾の動きにつながりそうですか。

高濱:調査を進めているのは下院監視・政府改革委員会だけではありません。上下両院情報特別委員会が、ロシアによる米大統領選への介入 (ヒラリー・クリントン民主党大統領候補や民主党本部に対するサイバー攻撃の有無)や、トランプ大統領周辺の人物とロシアとの関係について調査しています。また上院司法委員会はフリン氏とロシアとの関連について調査しています。上院軍事委員会でもロシアによる米大統領選介入疑惑を追及する動きが出ています。議会の一部ではウォーターゲート事件の時のように特別検察官を設置すべきだ、という声も上がり始めました。

議会以外では、むろんFBIがロシア・コネクション疑惑の究明を続けています。

—米国民は、今の動きをどうみているのでしょう。現時点ではトランプ大統領への支持率はどうなっているのでしょう。

高濱:各種世論調査の平均値は「支持」が39.9%、「不支持」が55.0%。その差は15.1%です。就任4か月にしてトランプ大統領は、世論調査でも危険水域に入っています。

「アメリカ第一主義」をスローガンに掲げるトランプ大統領がいよいよ初外遊の旅に出かけます。ロシア・コネクション疑惑から逃れる(?)ためであるかのような外遊。その行く先がイスラエルというのは皮肉なことです。 (“President Trump Job Approval,” Polls, Real Clear Politics, 5/16/2017)

篠原記事

FBI長官を電撃解任されたコミー氏。同氏が残したメモが司法妨害疑惑の発端となった(写真:ロイター/アフロ)

ホワイトハウスに乗り込んで以来、過激な政策や奔放な発言で物議を醸しているトランプ大統領。就任後100日あまりが経過したここに来て、就任以来、最大の危機に直面している。足元で火を噴いているのはロシア外相に対する機密情報の漏洩と、ジェームズ・コミー米連邦捜査局(FBI)長官の解任に端を発した捜査妨害だ。

機密情報の漏洩はトランプ大統領がロシアのセルゲイ・ラブロフ外相と5月10日に会談した際に、過激派組織「イスラム国」(IS)の国際テロに関わる機密情報を伝えたとされる問題だ。この問題を5月15日に報じた米ワシントンポストによれば、米国の諜報能力を証明するために衝動的に漏らしたようだ。今回の情報を収集したのはイスラエルと言われており、他国が収集した情報を安易に漏らせば関係国の情報共有に多大なる影響を与える。

H.R.マクマスター国家安全保障担当大統領補佐官は、「(大統領の言動は)全く適切だった」と即座に火消しに走ったが、報道内容そのものは否定していない。トランプ大統領はラブロフ外相に明かしたのは極秘情報ではなく、情報を開示するかどうかは大統領の権限だとツイッターで弁明している。

だが、報道によればラブロフ外相に伝えた内容は最高機密に分類されるもの。米軍の最高司令官たる大統領が最高機密とされている情報を、あろうことかロシアに提供していたとすれば、大統領自身がインテリジェンスの重要性や大統領の職責を全く理解していないというに等しい。

この機密漏洩疑惑によってホワイトハウスは大混乱に陥った。さらに翌5月16日、ニューヨークタイムズが大統領による司法妨害をたたみかけるように報じたことで、反トランプの火勢は燎原の火のごとく広がりつつある。とりわけ司法妨害は致命傷になり得る。

焦点は情報漏洩から司法妨害へ

振り返ること3カ月前。2月13日にトランプ大統領の側近の一人、マイケル・フリン氏が安全保障担当補佐官を辞任した。同氏はトランプ氏が大統領に就任する前、セルゲイ・キスリャク駐米ロシア大使と接触、欧米による対ロ政策の解除について協議したという疑惑が報じられていた。

その翌日、コミー長官がトランプ氏にブリーフィングした際に同大統領がフリン氏に対する捜査の中止を求めたというのが今回の報道の核心だ。「フリンはいい奴だ。放っておいてくれることを望む」と告げた大統領に対して、「いい人だというのは同感です」とだけコミー長官は答えたという。コミー長官はこの時の会話をメモにまとめ、FBIの幹部に送ったと報じられている。

実はトランプ大統領がコミー長官に圧力をかけたのはこの時が初めてではない。

それに先立つ1月27日、トランプ大統領が夕食会の席で自身に忠誠を誓うよう求めたところ、コミー長官は公正であることは誓ったが忠誠は拒んだ。その後、3月の議会公聴会でコミー長官はロシアとトランプ陣営が共謀している疑惑をFBIが捜査していると明言、5月9日に長官を解任された。「いい仕事をしていない」。トランプ大統領は解任理由をこう語ったが、一向に収まらないロシア疑惑や政権内からの相次ぐリークにいらだちを深めた末の決断だという見方が根強い。

「少なくとも2回、捜査の中止を事実上促したこと。それにコミー長官が応じなかったため解任に至ったことはトランプ大統領が司法妨害に関わったとの疑いを強める。司法妨害が弾劾につながるのは超党派の共通認識だ」。丸紅米国ワシントン事務所の今村卓所長はこう語る。今回の疑惑によって、大統領としての資質や適格性の欠如が改めてクローズアップされた形だ。

大統領選にロシア政府が干渉した疑惑を捜査するため、司法省は特別検察官を設置、ロバート・モラー元FBI長官を任命した。だが、焦点はもはやトランプ大統領の側近とロシアの共謀疑惑から大統領自身の捜査妨害疑惑に移ったと言っていい。

様子見だった議会共和党も、トランプ大統領とのやりとりを記したコミー長官のメモの提出を求めるなど、疑惑の解明に前向きに取り組み始めた。ダウ平均が400ドル近く下落したのは、ワシントンの危機感が市場に伝わり始めた証左だろう。

「ウォーターゲート級のスケール」。トランプ大統領に批判的なジョン・マケイン上院議員(共和党)が指摘したように、トランプ大統領とロシアを巡る一連の疑惑を、ニクソン大統領を辞任に追い込んだウォーターゲート事件になぞらえる向きは多い。特別検察官の解任など大統領による司法妨害がニクソン弾劾の引き金になった点を見れば、当時の状況に近づいていると見ることも可能だ。

共和党が直面する政策の停滞と中間選挙の苦戦

もっとも、弾劾に向けて民主党やメディアの期待は高まるが、議会の多数派を占める共和党がトランプ大統領を見捨てない限り、弾劾には至らない。「ロシアとの共謀に関する具体的な証拠がない中で共和党が見捨てる可能性は低い。今のところ、弾劾は現実的ではない」とユーラシア・グループのジョン・リーバー米国政治担当ディレクターは語る。

実現する可能性が高いものを挙げれば、政権の混乱がもたらす政策の停滞と、それに伴う中間選挙の苦戦だろう。

トランプ政権は閣僚こそ埋まったが、実務を担う高官の指名は進んでいない。また、米医療保険制度改革(オバマケア)の代替法案は下院を僅差で通過したが、上院共和党には異論が多く、今後の審議や修正に時間を要する。その他にも、2018年度予算や税制改正など重要な政策課題が目白押しだ。

その中で余計なスキャンダルが起きれば、調査や公聴会など実態解明が優先されるため重要政策の実現が遅れていく。そうなれば、中間選挙の前にトランプ政権が政治的な成果を得るのは難しくなる。オバマケアの代替法案は年内に成立しそうだが、税制改正は来年の第1四半期か第2四半期までかかるという見方が浮上している。

それ以外にも逆風はある。クイニピアック大学の世論調査によれば、トランプ大統領のコア支持層と言われる高卒白人男性の支持率が低下している。また、大統領選以降、経済自体は好調に推移しているが、完全雇用に近い労働市場や新車販売台数のピークアウトなどを見ると、成長の伸びしろはあまり残されていないように見える。改選に臨む議員数が民主党の方が多い関係で2018年の中間選挙は共和党が有利と言われるが、経済情勢次第では苦戦することも十分に考えられる。仮に中間選挙で民主党が議会の多数派になれば、弾劾の道は開かれる。

「大統領にはあらゆる機密を外す権限がある。FBIの中のリークを止めることができなかったことを考えれば、コミー長官の解任は妥当だ。それなのに、トランプ嫌いのメディアがあらゆる方法で彼を悪人に仕立て上げている。メディアは本当に酷い仕事をしている」

米デトロイトで金属加工業を営むマシュー・シーリー氏はこう語ると、メディア批判を繰り広げた。シーリー氏のようなトランプ大統領の熱狂的な支持者はメディアの情報をフェイクと語り、今も忠誠を誓っている。確かにシーリー氏が語るように、メディア全体がトランプ大統領の一挙手一投足を注視している面はある。だが、今回の司法妨害が事実だとすれば、トランプ大統領は完全に一線を越えた。これまで様々な批判を乗り越えてきたものの、今回ばかりは厳しいかもしれない。少なくとも政権運営の大きな障害になることは確かだ。

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