ブログ
ブログ一覧
12/17産経ニュース 石平 『習主席アジア外交は惨敗』、12/18日経電子版『東南ア、対中包囲網いまだならず アジア総局編集委員 村山宏』について
中国外交についての2つの異なった見方を挙げました。小生としては石平氏の言うようであってほしいと思っていますが、村山氏の言う部分も合っていると思いました。特に、「カンボジアが中国陣営に留まる限り、ASEANが対中包囲網でまとまることはない」というのはその通りです。南シナ海の領土問題で中国と争っているASEANメンバーはフィリピンとベトナムですが、ベトナムとカンボジアは歴史的に仲が良くありません。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%83%B3%E3%83%9C%E3%82%B8%E3%82%A2%E5%86%85%E6%88%A6
ただ、各国は強国に対抗するため、国益・歴史的経緯等を踏まえてでも纏まろうとします。カンボジアも中国の属国になるならいざしらず、独立を望むのであれば、日米寄りにスタンスを変えることもありかと。ミャンマーも中国寄りだったのが、中国の野心を感じ取ることにより、西側世界に近づきバランスを取るようになりました。日本も努力してASEAN諸国に中国の軍事膨張の危険性を説得しなければいけないと思います。
昨日(12/19)のTV「ウエークアップ!ぷらす」で熊谷亮丸が「中国は社会主義経済なので1~2年は持つが、3年後は200兆円の不良債権が出て、バブル崩壊する可能性がある。危ない。」、伊藤聡子も「中小企業で盛り上がっているのは、中国から如何に撤退するかという話題」と言っていました。TVでもドンドン中国経済の危険性についても述べられるようになってきました。ユニクロは将来中国に3000も店を出す(現在387店)と柳井社長が10月決算会見で述べたとのこと。(12/19日経)。売国奴の柳井氏がやる事ですから、自己責任でやればよい。困った時に政府に泣きつかないように。6000億円をCITICに投じた伊藤忠も同じです。ただ、駐在員が人質になる危険性があり、経営者の犠牲になるのは可哀想です。
石平記事
11月19日掲載の本欄で、南シナ海での中国の軍事拡張を封じ込めるために日米同盟を基軸とした「合従連衡」が形成される一方、中国はアジア諸国を個別に取り込む「連衡策」をもって対抗する、というアジア外交の構図を論じた。その前後の一連の動きを見れば、この「合従連衡」のゲームに敗れたのが中国の方であると分かる。
11月5日から6日にかけての習近平主席のベトナム訪問はその一例である。5日にハノイに着いてから、習主席はベトナムの首脳たちと次から次へと会談をこなし、相手のことを「同志」とまで呼んで「関係の改善」を訴えた。
しかし訪問中の6日、同じハノイにおいて、ベトナムのフン・クアン・タイン国防相は来訪中の日本の中谷元(げん)防衛相と会談し、南シナ海の要衝であるカムラン湾の海軍基地に海上自衛隊の艦船を寄港させることで合意した。
習主席を貴賓として迎えている最中に、ベトナムは中国に対抗するための日越軍事連携を堂々と進めた。中国に対する「配慮」の気持ちはみじんもないやり方である。このベトナムに翻弄され、恥をかいて帰国の途に就いたのは習主席の方だった。
そして11月21日からマレーシア首都のクアラルンプールで、東南アジア諸国連合(ASEAN)と日本、アメリカ、中国などの18カ国の首脳が一堂に会した「東アジアサミット」が開催されたが、それもまた、中国にとってのアジア外交惨敗の場となった。
まずは21日、米国とASEAN諸国との首脳会議が開かれた。会議後の共同声明には「南シナ海における航行の自由を保障することの重要性」が明記された。22日の東アジア首脳会議では、「親中派」といわれるカンボジアとミャンマーを除く、すべての国々が、南シナ海における中国の埋め立て・人工島造成の問題を提起して、中国批判の声を次から次へと上げた。
そして24日、東アジアサミットは首脳会議の結果を受けて議長声明を発表した。中国による人工島造成で緊張が続く南シナ海情勢について、声明は「航行の自由」の重要性を再確認するとともに、「一部首脳が表明した深刻な懸念に留意した」と中国の動きを強く牽制した。
その結果、少なくとも南シナ海問題に関しては、アジアにおける中国の孤立は決定的なものとなった。今月に入ってからも、習政権にとっての衝撃的な出来事がアジアで次から次へと起きた。
まずは7日、カーター米国防長官とシンガポールのウン・エンヘン国防相が会談し、防衛協力の拡大で合意した。同時に、米軍のP8対潜哨戒機を3カ月に1回程度の割合でシンガポールに配備することを決めた。
米軍哨戒機の配備は当然、南シナ海における中国の動きを監視する目的である。中国からすれば、それは要するに、伝統的な友好国であったシンガポールが「寝返り」、アメリカの中国包囲網に加わることであった。習主席自身が11月にシンガポールを訪問したばかりなのに、中国政府の挫折感はさぞかし大きかったのではないか。
そして8日、南シナ海問題とは関係がないが、韓国海軍が中国船に警告射撃を行う事件も起きた。今、中国ともっとも親密な関係にあるはずの韓国までが、習政権のメンツを丸潰れにする、このような行動を取ったのだ。
ここまで来たら、アジアにおける中国の立場はもはや四面楚歌に近い状況であろう。それは、習政権が進めてきた覇権主義的拡張戦略の必然的な結果だ。
中国の古典には、「得道多助、失道寡助=道義にかなった者には助けが多く、道義を失った者には支持が少ない」という有名な言葉がある。習主席はそれを暗唱でもしながら自らの行いを反省してみるべきではないか。
日経電子版記事
11月後半に開かれた東アジア首脳会議では中国と周辺国との対立が深まる南シナ海問題について「懸念」が示された。これをもってASEAN(東南アジア諸国連合)の外交スタンスが中国配慮から日米寄りに傾いているとの見方が広がった。東南アジアではミャンマーの中国離れが進むなど、対中包囲網が強まっているように映る。だが、東南アジア各国の政治状況を子細に見ていくと、逆に中国が攻勢に転じている局面が浮かび上がる。
11月8日のミャンマー総選挙でアウン・サン・スー・チーさんの率いる野党・国民民主連盟が圧勝したが、これは対中包囲網論者にとって朗報だろう。ミャンマー政権は民主派への弾圧から欧米の経済制裁を長く受け、経済は中国に頼らざるを得なかった。一方で中国企業のミャンマーへの怒とうの進出は現地住民の反発を呼んでいた。欧米とのパイプの太いスー・チーさんらの民主派政権が来春に誕生すれば、中国離れが進むとみられる。
世論を意識してか、テイン・セイン現政権ですら昨年、中国・昆明からミャンマーを通ってインド洋に達する鉄道敷設を中止したほどだ。中国の海洋進出を抑えようと、日米は東南アジア諸国を中国の影響下から切り離し、対中包囲網を形成しようとしてきた。この流れに沿って日本もミャンマー南部のダウェー経済特区の開発に協力している。ミャンマーが日米陣営に近づけば、陸からインド洋に向かう中国の海洋進出に待ったがかかる。
しかし、東南アジアでは中国に不利な出来事だけが起こっているわけではない。
| 筆者が注目した記事 |
| ・11月25日 AFP「中国に接近するタイ、初の空軍合同演習」 |
| ・11月24日 日本経済新聞朝刊5面「火力発電関連会社、中国に売却」 |
| ・11月17日 日本経済新聞朝刊7面「カンボジア野党党首、議員剥奪」 |
| ・10月17日 じゃかるた新聞ウェブ版「メガ氏 習主席と会談 海洋分野 協力関係強化で一致」 |
■中国寄りの政権も
タイは昨年5月のクーデターで民主政権から軍事政権となり、米国との関係がぎくしゃくし始めた。プラユット首相らタイ軍政は代わりに中国との関係を深めている。中国から逃れてきたウイグル族を7月に中国に送還、11月にも中国の反政府活動家2人を送還した。中国からの潜水艦の購入計画が一時浮上したほか、11月には中国との初の空軍合同演習に踏み切った。高速鉄道の敷設では日本だけでなく、別路線で中国もパートナーに選んでいる。
インドネシアも昨年10月に発足したジョコ・ウィドド政権が中国との関係を深めている。インドネシアの高速鉄道敷設では中国が日本に逆転勝利した。中国接近はジョコ大統領を支える与党、闘争民主党が中国寄りのためとされる。党首は元大統領のメガワティ氏。スカルノ初代大統領の娘だ。中国に近かったスカルノ大統領は1966年に軍内の反共グループの台頭で失脚したが、娘のメガワティ氏は父親の中国人脈を受け継いだようだ。
現地邦字紙、じゃかるた新聞によると、10月に中国を訪問したメガワティ氏は習近平国家主席と会談し、海洋協力の強化で一致した。メガワティ氏はさらに中国・深圳で「スカルノの家」の起工式にも出席したという。闘争民主党は与党だが、議会では少数派にとどまる。ジョコ大統領自身は親中でも反中でもないとされるが、ただでさえ難しい議会運営を乗り切るためには、メガワティ氏ら中国寄りの与党政治家に配慮しなければならない。
マレーシアの態度も微妙だ。中国は11月の東アジア首脳会議のさなかに、資金繰りの悪化したマレーシアの国営投資会社、1MDBを救済する案を同国に持ちかけた。すぐさま中国の原子力発電会社、中国広核集団が1MDB傘下の火力発電会社を98億リンギ(約2800億円)で買収することで合意した。1MDBはナジブ首相に巨額の資金を送った疑惑が浮上しており、窮地に陥ったナジブ首相に中国は手を差し伸べたのだ。マレーシアは南シナ海問題で日米になびくとの観測もあっただけに、中国はすかさず阻止に動いた格好だ。
■カギ握るカンボジア、首相の強硬策
東南アジア全体の対中姿勢を占ううえでカギを握るのはカンボジアの動向だ。フン・セン首相は親中派の筆頭格とされ、ASEANの重要会議では中国に不利な案件をつぶす役割を担ってきた。ただ、カンボジア国民は30年以上続く現政権に飽いている面もあり、18年の総選挙では野党・救国党の勝利も取り沙汰されていた。救国党のサム・ランシー党首はフランスに亡命していた経緯があり、欧米寄りに外交も転換するとの期待もあった。
こうした情勢を見越し、フン・セン首相は強硬策に打って出た。11月にカンボジア国民議会はサム・ランシー氏の議員資格と不逮捕特権を剥奪すると発表し、同氏の国内での活動を封じた。サム・ランシー氏の個人的人気に支えられた野党の勢いをくじき、選挙を有利に進めようという与党側のもくろみだ。カンボジアが中国側にとどまるかぎり、ASEANが対中包囲網でまとまることはない。
日米と中国による東南アジア各国の取り込み合戦は一進一退を続けており、どちらが有利とは一言ではいえない。グローバル経済の時代に地政学的な陣取り合戦をする是非はひとまず置くと
しても、対中包囲網と言うにはほど遠いのが実情だ。情報分析では「自らに有利になるように情報を取捨選択をしてはならない」という鉄則があるが、日本は東南アジア情勢になると自らに都合のよい情報に引かれがちだ。ここに挙げた関連記事は日本では大きく取り上げられていないが、日米と中国との力関係を考えるうえでいずれも見過ごせないものばかりだ。
12/18日経『韓国、裁判所に異例の善処要請 産経前支局長無罪 対日関係に配慮』について
加藤前支局長は『「当然の判決だ。感慨はない」、記事に公益性があることは明らかで、「検察は起訴すべきでなかった」、加藤氏の記事を韓国語に翻訳し、加藤氏と同様に名誉毀損で告発された韓国メディアに対する捜査は途中で立ち消えになったと指摘し、「日本の産経新聞記者である私を悪意を持って狙い撃ちにしたのではないか」と疑念を表明した。』とのこと。
当然のことです。駐米特派員がオバマ大統領の出生に絡む大統領資格への疑念について日本人向け日本語で報道したとして、それが名誉棄損だとしてオバマ大統領が訴えますか?男女の仲よりこちらの方が余程深刻でしょう。少し考えれば誰でも分かります。韓国は中国同様、法治国家でなく、人治国家だからできることです。なお、韓国では、『刑法312条1項・2項では、「308条(死者の名誉毀損)の罪は、告訴に基づいて公訴を提起することができる」、「307条(名誉毀損)と309条(出版物などによる名誉毀損)の罪は、被害者の明示した意思に反して、公訴を提起することができない」と、各々規定しており、名誉に関する罪を親告罪として規定している。』とありました。親告罪とすれば、朴大統領が公訴を認めなければ、検察も起訴できなかったはず。(九大法学103号(2011年) (143) 韓国におけるメディアによる名誉毀損に関する研究― 政治家及び高位公職者に関する名誉毀損訴訟を中心に ―朴 容 淑 より)。如何にデタラメな法運用をしているかという事です。しかし、12/18ZAKZAKには「韓国では法律上、第三者が名誉毀損で告発できるためだ。朴大統領への名誉毀損で加藤前支局長を告発したのは右翼団体のリーダーらだった。日本を含む多くの国は、「被害者本人が告訴しなければ名誉毀損で起訴できない」という親告罪を適用している。」とありました。どうも親告罪ではないようです。でもどちらにしろ裏で朴の意思が働いていたと思います。
http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20151218/frn1512181145004-n1.htm
小生としては、加藤前局長には申し訳ありませんが、有罪となり、入獄することにより韓国の異質さを国際社会にアピールして貰った方が良かったのではと思っています。彼の面構えからして、従容として赴くと思います。まあ、裏でアメリカの圧力があったのではと思っていますが。まだ控訴の道が検察には残っていますが、アメリカの圧力に負けたのであれば控訴は無いでしょう。
外務省も今回はまともに「慰安婦問題の立場は従来と変わらない」と言っています。その立場を是非堅持してほしい。そもそも、下の図にあるように問題は5つあって、その1つが解決したと思われる(控訴の可能性あり)だけです。▲10点だったのが▲8点になっただけ。まだ0点までに道が遠いです。従軍慰安婦・強制徴用問題は中国・北朝鮮・韓国と朝日新聞・日本共産党・日教組がタッグを組んで日本貶めのための陰謀と思っています。竹島問題はGHQ統治時代に日本が手を出せないのを見込んで、李承晩が火事場泥棒的に盗んだものです。水産物の輸入問題は、「東日本大震災をお祝いします」というような民族ですから、日本への嫌がらせでしょう。日本の暴力団には在日が多いと言われていますが、中国同様国家が暴力団です。靖国爆破犯は神をも恐れぬ所業です。宗教的テロリストと一緒です。また、横浜韓国領事館での在特会名義での糞入りギフトを送ったのも彼らの自作自演でしょう。(在特会は公式に否定)。日本には糞に拘る文化はありません。近代以降衛生観念が発達してそれに触れたくない気持ちの方が強いです。中朝韓独特の文化でしょう。2001年、中国の趙薇が中国のファッション誌「時装」のグラビア撮影で旧日本軍の旭日旗をデザインしたワンピースを着用した事で、公演中に観客から糞尿をかけられた事件を思い起こせさせます。
記事
【ソウル=峯岸博】産経新聞の加藤達也前ソウル支局長の17日の無罪判決に先立ち、韓国外務省は検察を通じて裁判所に日韓関係を考慮し善処を求める異例の要請をしていた。朴槿恵(パク・クネ)大統領がこだわる従軍慰安婦問題の早期妥結に向けて安倍晋三首相の決断を促す狙いがある。
「韓日関係改善の兆しがみえる。18日は韓日基本条約発効50周年であると勘案し、日本側の要請を真剣に考慮する必要がある」。ソウル中央地裁の裁判長は判決を下す前に韓国外務省から数日前に届いた公文を読みあげた。検察の求刑が懲役1年6月と厳しかっただけに、無罪判決に韓国でも驚きの声が上がった。
検察が控訴するかはまだ決まっていないが、韓国外務省当局者は「負担が取り除かれたことで韓日関係改善の契機になると期待する」と語った。韓国メディアも判決結果を対日外交への影響から肯定的に伝えている。
韓国政府はこの問題への対応次第で日韓修復が勢いづくか、逆戻りするかの分水嶺になるとみていた。4月に韓国政府による出国禁止措置が解除されて帰国した加藤氏を安倍首相が翌日に面会したことで首相の思い入れを感じとったためだ。米国内でも「報道の自由を制限している」との批判が韓国に向けられた。
判決公判を終え、記者会見する産経新聞の加藤達也前ソウル支局長(17日、ソウル市内)=共同
日本の有力議員は11月から韓国側に「宣告猶予」を働きかけてきたという。裁判所が有罪を認定したうえで刑の宣告を猶予し、2年間、別の件で有罪判決を受けなければ有罪判決自体が消滅する制度だ。フタをあけてみれば日本側の主張に沿った無罪判決だった。
大統領府に近い専門家は「朴大統領は今年中に日韓関係を良くしたいとの気持ちが強い。政治の意思が入った判決だ」と話す。韓国は来年4月に総選挙を控え、年明け以降は歴史問題を処理しにくくなる事情がある。
12/16日経ビジネスオンライン 福島香織『盗みは人のためならず 中国庶民的泥棒「予防心得」十箇条』について
一昨日のNHKの7時のニュースで明年1月の台湾総統選についての報道があり、直近の世論調査によれば台湾人意識を持つ人は6割、中国人と思う人は3%という事でした。残りの人についての言及がなかったので、「中国人&台湾人」、「中国人でも台湾人でもない」「分からない」という選択肢があったのかどうか?でも純粋に中国人と思っている人が3%とすると、馬総統のように中国に擦り寄る政策は採れないでしょう。国民党の衰退の始まりです。もし、後々国民党が政権をとったら台湾も米国同様、総統弾劾制度を活用すれば良いと思います。
しかしNHKを始めとする日本のメデイアは狂っています。南三陸町病院の再建で台湾が総工費の4割近くを寄付して下さったのに何も触れないとは。多数の日本国民は知らないでしょうね。
日経夕刊に宮本雄二元中国大使の記事が載っていますが、彼は福島氏のような実態を知らず、綺麗ごとだけ書いているとしか思えません。読者をミスリードするのでは。エリートと言われる人間の弱さでしょう。一番大きく騙されているタイプです。12/15記事を下記に記しますので、福島氏の記事と比べて見て下さい。騙される方が馬鹿の典型と思えます。「中国の友人が崇拝してやまない西郷隆盛の言葉も「敬天愛人」である。」と書いて中国人の多数がそうと思わせる刷り込みをしている気がします。勿論友人という限定詞ではありますが。ただ友人と言えば相手もそれなりのエリートでしょう。中国で上へ行くには血脈と人脈と詐術が必要です。その友人はこの記事を読んでほくそ笑んでいるかもしれません。
「性善説と性悪説 元駐中国大使 宮本雄二
小林陽太郎氏が亡くなられた。氏の人となりにかねがね敬意をいだいていた私は、その評伝に付された「『性善説』の経営者」というサブタイトルに納得した。人に対する信頼と期待を持ち続けた方だと感じていたからだ。最近、岡崎嘉平太氏のことを少し学ぶ機会があった。氏の言説には、公平なまなざしと相手に対する深い思いやりを感じた。その評伝のサブタイトルも「信はたていと 愛はよこ糸」であった。中国の友人が崇拝してやまない西郷隆盛の言葉も「敬天愛人」である。やはり人に対する慈しみに貫かれている性善説の世界なのだ。人間社会の現実は、醜くて汚い。しかし、それにもかかわらず人に対する信頼を持ち続けた、こういう先達たちの存在は、一服の清涼剤であり、希望を与えてくれる。
だが性悪説が古くから多くの人たちに支持されてきたのも事実である。確かに人間はそういう側面を持つ。だから会計法規や安全保障の考え方は、人は悪いことをするという前提に立ち、それを予防するというものになる。ところが、人間に対する悲観的な見方ばかりが跋扈(ばっこ)したのでは、人類の未来は暗い。人間の悪い面を抑えこむことには成功するかもしれないが、良い面を引き出すことはできないからだ。つまり楽観的な未来を思い描くことは不可能となり、進歩への憧憬も消えてしまう。これでは困る。
考えて見ればこの世に絶対的な悪人も絶対的な善人も普通はいない。一人の人間が両面を持ち合わせている。結局、人間社会をどう見るかの問題となる。先達にとり性善説かどうかは、つまるところ自分の生きざまの問題だったのではないだろうか。私自身迷いながら、そう思う、昨今である。」
何時も言ってますように、中国人の基本的価値観は「騙す方が賢く、騙される人が賢い」というのを福島氏の記事は裏付けます。愚かな日本人は人種差別とか言って騒ぎますが、実態を見ないで判断することこそ危険です。自分の目で確かめもせず、理念だけで偉そうに他人を批判する資格はありません。少なくとも今の時代、大手メデイアだけでなくネットで玉石混交ですがいろんな情報が取れますので。福島氏と宮本氏の記事を比較して読めばどちらが真実に近いかは一目瞭然でしょう。
記事
師走、北京に来てみると、ずいぶん治安が悪くなっていた。私の周辺で、かっぱらいやコソ泥に遭った人が続出している。昔から中国は小偸(コソ泥)が多かったが、それでも首都の北京は比較的安心して夜道を歩くことができた。だが、最近は北京も安心ではない、という。経済状況が9月ごろから肌身に感じるように悪化し、年末が近くなったからだ。
「歩きiPhone」「地下鉄X線検査」は要注意
毎年、年末や春節前になると泥棒、強盗、空き巣、かっぱらいは増えるのだが、今年は本当に景気が悪いものだから、特に増えているとも聞く。iPhone6を耳に当てながら歩くなど、もってのほか。車道を走る車の窓から手を伸ばして、iPhoneをひったくられた、という知人もいた。
あと気を付けるべきは、地下鉄のX線検査だという。北京市の地下鉄では、テロ予防を理由に、地下鉄での持ち物検査が厳しい。またPM2.5がひどいので、自動車のナンバープレート制限や高速道路封鎖などの影響もあって、地下鉄が混雑しやすい。X線検査のベルトコンベヤーに荷物を置いて、出口に回って取り上げようとすると、荷物が出てこない。後ろに並んでいた男がその荷物をかっさらって、混雑に紛れて逃げてしまっていた、といった被害に遭った人もいた。
ちなみに、泥棒被害は、警察もあまり相手にしない。例えばかっぱらいに遭って、地元の派出所の警察官に、「カバンの中に1万元入っていた」と被害を訴えても、たぶん取り合ってくれない。その1万元はどこから来たのか、何か証明ができるものがないと、被害届すら受け付けてくれない。それどころか、なぜおまえのような貧乏人が1万元も持っている、と逆訊問にあって、面倒なことになることもあるとか。だから、代わりに民間の”探偵”や”調査事務所”、”セキュリティ会社”のようなものに頼むのだが、こういう人たちはむしろマフィアとつるんでいたりするので、やることがなかなか暴力的であったりする。
では、そういう中国で泥棒犯罪を予防するにはどうすればよいか。そう問われたとき、私は『盗みは人のためならず』という小説を読むといいと勧めている。赤川次郎のミステリ本のことではない。中国当代きってのユーモア小説家・劉震雲の人気小説「我叫劉躍進」(俺は劉躍進)の邦訳が最近、友人の水野衛子さんの訳で彩流社から刊行され、その邦題が『盗みは人のためならず』なのである。この本を読めば、中国人の泥棒の生態、人を騙すときの情理が分かる。今回の当欄は、ちょっと書評風となる。
劉躍進とは、主人公の名前だが、毛沢東の「大躍進」があった1950年末から60年代初めに生まれた中国人に非常にありふれた名前であり、中国庶民を代表する名前と言っていい。日本風にいえば団塊の世代か。作者の劉震雲は1958年生まれ、まさしく大躍進時代生まれのこの世代を代表する作家で、実際、親族に同じ名前の人物がいるという。
こずるいようで、どこか抜けている庶民の情理
原作は2007年に中国で出版され瞬く間にベストセラーとなりドラマ化、映画化された。なぜ大ヒットしたかというと、この小説こそ、中国人と中国社会というものが描けていると読者が思ったからだろう。
簡単にあらすじをいえば、中国人の典型である、こずるいようで、どこか抜けている善良な河南省出身の工事現場のコック、庶民・劉躍進がうっかり大金と大事な借用書が入ったウェストポーチを小偸・楊志に盗まれる。楊志はそのあと、甘粛省の美人局グループに騙されて、劉躍進のウェストポーチを奪われる。楊志は奪った美人局グループの行方を負うのだが、訳あって、その過程で汚職高官の賄賂受け渡しと性接待の証拠画像が入っているUSBの入ったカバンを盗んでしまう。だが逃亡途中でそれを捨て、劉躍進が偶然拾う。このUSBを高官や賄賂を贈った実業家たちが取り戻そうと、泥棒組織、民間の調査員、警察を巻き込んでドタバタ喜劇が展開される。
登場人物たちはほぼ全員、嘘つきで、自分勝手で、浅はかで、あるいは泥棒で、あるいは汚職官僚や悪徳実業家だ。借金は踏み倒すのが普通だし、厳しい取り立てに遭えば、嘘をつくし、経費をちょろまかす。だが彼らが悪人かというとそうではない。プロの泥棒たちにとっては、泥棒は立派な職業であり、縄張りがあり、秩序がある。嘘をつくのは悪意ではなく、見栄や調子に乗ってうっかりついてしまったり、つかざるを得ない事情がある。中国の低層社会をそれなりに知っていると、これこそ普通の中国人、と思うだろう。
日本人が「中国人は嘘つきだ」「中国人は泥棒だ」というと「ヘイト表現」と批判されるかもしれないが、中国人自身が、中国の低層社会において、嘘つきであることも、泥棒であることも、それなりの理屈があり、それなりの正当性を持つ行為であり、一種の生態であることを理解している。数千元の金のために嘘をつき、泥棒をし、時に暴力を振るう下層社会のプロ泥棒たちも庶民も、そう悪く見えないのは、巨額の賄賂をやり取りし、それをもみ消すために、交通事故を装って殺人を犯す高級官僚の世界が平行してあるからだ。だが、コックの主人公が食材費をちょろまかして小銭を貯める行為も、高級官僚がその地位を利用して行う汚職も実は同じ情理で行われていることも、この小説は描き出している。
冒頭のテーマに戻るが、中国に来て、泥棒など小さな犯罪トラブルに巻き込まれないようにするための心得事として、低層社会の中国人の生態をよく理解しておくことが重要だろう。この小説の中からいくつかくみ取ってみよう。
劉震雲作品に学ぶ中国防犯十箇条
①路上で出会う「清純そうな女性」の売春はたいてい組織的美人局(強盗)である。本当に清純な女性は売春しない。
②泥棒には出身地別の集団や縄張り、特性がある。泥棒に盗まれたものは警察に届けても返ってくる可能性はほぼゼロだが、泥棒の行方や住処などは、その地域の集団の人脈を熟知している地元の調査会社ならば、たどり着くことがある。
③借金はよほどうまく取り立てないと返してもらえない。強引に取り立てると、逆切れされることもある。だが、催促しないと決して返ってこない。
④夫婦の間でも親子の間でも騙し合いやスパイ行為、裏切り行為がある。愛や信頼は金銭によって維持される。
⑤民間の調査会社調査員の中に警官が混じっていることがある。潜入捜査は普通にある。
⑥中国では人脈が大事だが、その人脈の維持には金と暴力が必要なことも多い。
⑦物事を順序立てて説明するのが苦手な人は、激高したり、その果てに失神したりすることが割とある。
⑧泥棒でも不倫でも被害者は同情されるより馬鹿にされる。騙される方が悪い。
⑨従業員の経費などの”中抜き”は、ずるいのではなく要領がいいということであり役得である。同じ理屈で官僚になると賄賂を受け取る。
⑩どんな善良な人間も、相手にスキがあったりチャンスに恵まれると、泥棒になることもあるし、ゆすりたかりを行うこともある。そして嘘をつくことは悪いことでもなんでもない。
以上のことは私自身が北京駐在時代にいろいろ経験したことと合致している。例えば、信頼していたビジネスパートナーから、出張中に会社を奪われた実業家が、泥棒・マフィアネットワークを使って相手を見つけ出し、警察ではらちが明かないと、部下に拉致監禁暴行させて盗まれた会社を取り返そうとしたところ、相手側の政治的なバックがより強大だったため、結局、拉致監禁傷害罪で刑務所に入ったケースを取材したことがある。
本人に言わせれば、泥棒という犯罪者は相手で、自分は冤罪逮捕起訴された善良な市民だ。だが、彼はやはり、盗まれたものを取り返すために、その解決を警察に頼らず、暴力と金に頼ったのだ。日本なら彼は立派な犯罪者だが、中国ではそんなことはありがちであり、彼こそ普通の中国人であり、彼の逮捕は”災難”だ。
「本当に悪い奴ら」はもっと「上の方」に
小説の結末は、タイトル通り、盗みは人のためならず、己のためにやるのだが、その報いもまた自分に返ってくる。だが、盗みをやらざるを得ない庶民の事情がある。フェアな司法ではなく、金と権力を持つ者が支配する社会で庶民はなけなしの知恵と人脈を使ってこずるく生き抜こうとした結果として、嘘をついたり、泥棒をしたり、ゆすりや詐欺を働いたりする。それがなぜ悪いのか。中国では嘘つきも泥棒もむしろ善良な市民の部類に入る。本当に悪い奴らはもっと、上の方にいて、小説の結末とは違って、なかなか成敗されないのだ。
日本人がもし、中国に旅行や仕事に来るならば、まず、中国の低層社会で嘘や泥棒はさほど悪ではなく、被害に遭う方が脇が甘いと馬鹿にされるのだということは知っておくべきだろう。かばんの蓋をあけて財布やスマートフォンが見える状況で電車やバスに乗らないとか、見知らぬ美人が親し気に話しかけてきたら警戒するとか、そういう基本的な点は当然押さえてほしい。で、もし親しいと思っていた中国人に騙されたり嘘をつかれたら、中国社会のいびつさを思い描いて、なるほどこんな社会で生き抜くには、少々人も悪くなければ難しいだろう、と考えることだ。世界で、性善説で人と付き合うのは日本人ぐらいなのだ。
12/9JBプレス 古森義久『少しずつよい方向へ動き出した慰安婦問題 日本にとって事態が好転、その5つの根拠とは』について
「慰安婦問題で日韓局長会議を続けているが、朴大統領の要求した年内決着は無理」と言うのが12/16日経に載っていました。当たり前です。強制連行何て事実とも異なり、日韓基本条約で解決済の問題をグダグダ討議する方が余程おかしいです。日本の外交も椅子を蹴って退席してくるくらいの交渉をしなければダメでしょう。いつまでも甘やかすからつけあがるのです。ましてや相手が幻想・妄想で生きている民族となれば猶更でしょう。現実を見さしてやらねば。スマホ部材の輸出を止めれば韓国は一発で干上がります。日本の外務省は武器なし(というか戦う材料も探さない無能集団)で戦っているようなものでしょう。加藤産経ソウル支局長の裁判、靖国爆破事件の出国時検査の甘さ等突っ込みどころは一杯あるでしょう。テロ支援国家と国際世論に訴えるのが良いでしょうが、鼠男が国連事務総長をやっていて、ネポテイズムの塊の男なので期待できません。返す返すも日本の政治家はバカが多く残念という気がします。事務総長選の時に日本も推薦したのですから。翻ってそういう政治家を選んだ国民が悪いことになります。
古森氏の言われるように慰安婦問題について政府が褌を締めてかからないと、軍艦島の強制徴用の問題のように足元を掬われます。無能の外務省がネゴするのでとてつもなく心配です。今回の件も結局、政府が米国を動かしたというよりは民間が動かしたという事です。小生も目良浩一氏の訴訟にいくばくかの寄付をしております。本来、官房機密費はこういう時のために使うものでしょう。いくつかのフィルターを通して出所が分からないようにすれば良い。世界ではどこでもやっているでしょう。こういう所に役人の地頭(じあたま)の良さが問われるのに。
記事
慰安婦問題はいまどうなっているのか――。
11月の日韓首脳会談で「日韓関係改善の最大の障害物」とされた慰安婦問題はその後、どうなったのか。この問題の背後で重要な役割を果たしてきた米国はどのように認識しているのか。私がふだん駐在する米国の首都ワシントンから見る限り、きわめて少しずつではあるが、慰安婦問題は日本側にとって有利な方向へ動き出している。
以下では、事態が好転していることの根拠を5点ほど報告したい。
歴史学者たちの抗議声明に反論
第1は、米国歴史学会(AHA)の機関誌『歴史展望』(Perspective on History)12月号に日本側の学者50人の反論が掲載されたことである。
『歴史展望』は今年3月号に、米国の歴史学者20人による「日本の歴史家に連帯して」と題する日本外務省への抗議声明を掲載していた。その抗議声明に対する反論である。
米国側の歴史学者を主導したのは、慰安婦問題で長年日本を糾弾してきたことで知られるコネティカット大学のアレクシス・ダデン教授だった。ダデン教授らは、米マグロウヒル社の高校教科書の慰安婦記述の間違いを正そうとした日本外務省を非難していた。
その教科書には、慰安婦について「日本軍が強制連行」とか「20万人の性的奴隷」「天皇からの贈り物」などという根拠のない記述があった。日本外務省は当然のことながら、マグロウヒル社に訂正を求めた。だが、ダデン教授らは「米国の教科書の内容への日本政府の不当な干渉であり、検閲だ」と抗議したのである。
それに対して日本側では、大阪市立大学の山下英次名誉教授や東京大学の小堀桂一郎名誉教授ら50人の学者がダデン教授らの主張を正面から否定する声明を『歴史展望』に送り、掲載を求めていた。『歴史展望』には当初その掲載を渋る様子もあった。だが、12月3日発行の最新号にようやく掲載した。反論の内容は「米国の歴史家は日本政府に対する抗議声明を出すよりも、米国の歴史教科書の内容の妥当性について、全面的な検討作業を開始するよう米国内で働きかけ、自分たちもその方向で行動すべきだ」という骨子だった。
日本側の歴史学者たちが慰安婦問題について連名で反論を投稿し、米国の紙誌に堂々と掲載されたことはこれまで前例がない。米側の歴史学者全般にその反論が幅広く行き届くことが期待される。
韓国人学者の起訴に日米の学者が抗議
第2は、韓国当局が慰安婦問題の書『帝国の慰安婦』の著者、世宗大学・朴裕河教授を名誉毀損罪で起訴したことに対して、米国や日本の学者54人が抗議声明を発表したことである。
11月26日に公表されたこの抗議声明には、日本の大江健三郎氏、上野千鶴子氏らのほか慰安婦問題に関する日本政府の主張に反対してきたハーバード大学のアンドリュー・ゴードン教授やジョージ・ワシントン大学のマイク・モチヅキ教授も名を連ねた。
『帝国の慰安婦』は慰安婦問題に関して日本政府を非難しながらも、「日本軍と慰安婦たちは同志的な関係にあった」などと書き、日本軍の強制連行も朝鮮半島においてはなかったという立場を示していた。韓国政府は、その内容が韓国側の当事者らの名誉を傷つけたなどとして刑事訴追の措置をとった。
年来の日本糾弾の急先鋒のダデン教授らは、韓国政府を非難する声明には加わっていない。だが、「日本軍による集団連行はなかった」という立場をとる韓国人学者を擁護する声明が米国で出てきたことは、慰安問題についての米国側の事実認識にヒビが入ってきたことを意味するといえる。
日本糾弾の主張から消えた「強制連行」という言葉
第3は、朝日新聞の大誤報訂正に象徴される慰安婦問題の虚構部分が、米国の専門家たちにボディブローのように伝わり始めたことである。
米国の“左翼系”歴史学者たちは長年「日本軍が組織的に約20万人の女性を強制連行し、性的奴隷にしたことが慰安婦問題の核心だ」と主張してきた。「慰安婦」というのは、日本の軍隊が政策として一般女性を強制的に徴募して自国将兵たちのための売春行為を強要した国家的犯罪だと断じていたのだ。
だが、その「国家犯罪」部分の主張が、朝日新聞の記事撤回や、秦郁彦氏ら日本の歴史学者たちの事実提示により虚構だと証明された。「日本軍による強制連行」も「20万人」も「性的奴隷」も証拠がないことが明らかになった。
そのように事実が明らかになることで、米国の学者たちは主張を変えていかざるをえなくなった。長年、日本叩きの先頭に立ってきた前述のダデン教授でさえも、最近では「強制連行」などの虚構キーワードを使わなくなった。その代わりに「女性の人権弾圧」「女性たち本人の意思に反した」「日本軍の関与」といった表現を使うようになった。日本叩きの主張が後退しているのである。
ダデン教授が音頭をとって米国、欧州、日本などの学者、活動家の総計500人ほどの署名を集めた安倍政権への圧力文書にも、「強制連行」という言葉は出てこなかった。
米国の裁判や国連で日本側が正面から反論
第4は、米国や国連の第一線で慰安婦の真実を知らせる日本側の努力が少しずつ米国の国民や国際社会へ伝わり始めたことである。
全米で最初に慰安婦像が建てられたカリフォルニア州のグレンデール市では、地元在住の日本人、目良浩一氏らにより同市に対する抗議の訴訟が起こされた。訴訟は昨年から今年にかけて連邦裁判所と州裁判所に相次いで出された。いずれも原告側に不利な裁決が出たものの、日本側の主張は米国のメディアでも報じられ幅広く知られることとなった。米国ではそれまで、公式の場で日本側が慰安婦問題について正面から反論することはまったくなかったのだ。
2015年7月には、国連の女子差別撤廃委員会の準備会合で、慰安婦問題の虚構を正す日本女性の団体「なでしこアクション」の山本優美子代表らが「慰安婦問題は強制連行の事実はなく、反日の政治宣伝に使われている」と報告した。国連の場で日本側がこれほど明確に事実を報告した前例はない。同撤廃委員会の委員長らは「慰安婦問題で異なった主張があることを初めて知った」と述べていたという。
また、日本国内で2015年10月から口頭弁論が初めて開かれた朝日新聞に対する集団訴訟では、従来の「日本軍による強制連行20万人」という虚構を打破するために在米の日本人100人近くが原告に加わっている。
オバマ政権が韓国に日本との関係改善を要望
第5は、日本糾弾を執拗に繰り返す韓国にオバマ政権が批判的な姿勢を示し始めたことである。
これまで朴大統領は安倍首相との日韓首脳会談開催の前提として「日本がまず慰安婦問題で誠意ある措置をとる」という条件を突きつけていた。そのことに対して今年春頃から、オバマ政権のウェンディ・シャーマン国務次官らが「日韓両国間の安全保障協力を優先すべきだ」という意向を伝え始めた。
オバマ政権はそれ以前は、慰安婦問題などの歴史認識について日本よりも韓国側の主張に同調する傾向が見られた。だが、それが少しずつ変わってきた。
その背景には、中国の南シナ海などでの軍事攻勢や理不尽な行動がある。穏健な対中国政策を続けてきたオバマ政権も、ついに対中姿勢を硬化させるようになった。そうなると、東アジアの同盟国である日本および韓国との安全保障面での協力強化が必要となる。日韓両国があまりに距離を置いたままという状況では困るのだ。
このため、今年に入ってオバマ政権は韓国政府に対して、慰安婦問題などの歴史案件にこだわることなく日本との関係改善に着手することを促すようになった。その新政策を朴大統領に通知する最初の使者がシャーマン次官だったというわけだ。
オバマ政権のこの優先順位の修正に対して、韓国のメディアは激しく反発した。明らかに韓国政府の意向を受けての抗議である。だが韓国政府にとって、自国の安全を保障する米国の意向は大きい。結果的に朴大統領は年来の前提条件を引っ込めて、安倍首相との会談に臨むことになった。この点も、慰安婦問題を好転させる大きな潮流の変化だといえよう。
事態を逆戻りさせてはいけない
以上のように、慰安婦問題に関して日本にとって有利に見える要因が拡大しているが、米国ではその後も各地で慰安婦の像や碑を建てる動きが続いている。慰安婦像の設置や日本の「残虐行為」を示す博物館などの開設には、韓国系だけでなく、むしろ中国系の「世界抗日戦争史実維護連合会」がより大きな役割を果たすようになった。中国政府と直結した在米中国系組織である。
米国の歴史学者たちの多くも、朝日新聞の誤報訂正や秦郁彦氏らの指摘を無視するような態度は変えていない。国連でも、虚偽の「クマラスワミ報告」が修正されたり撤回されるという気配はまだない。
しかし、それでも、米国の学者や中韓両国政府からの「日本軍による強制連行20万人」という虚構の糾弾になんの反論もしなかった数年前までの状況が大きく変化してきたことは間違いない。
前述したように、今や「強制連行20万」という非難を正面から叫ぶ声はほぼ皆無となった。その代わりに論点をシフトさせた日本非難が述べられるようになった。日本糾弾のこうした質的変質の意味は決して小さくない。攻守が入れ替わったといっても過言ではない。だからこそ今後も日本の官民が一体となって、強制連行などなかったことを主張し続けることが重要である。
その点で危険なのは、今後の日本政府の韓国に対する対応だろう。慰安婦問題の核心部分について、これまでの外務省のように相手の虚構を決して突かず、「慰安婦問題は解決済み」との主張だけで事態収拾を図ろうとすれば、事態は逆戻りしかねない。そんな危険な陥穽が大きな口を開けているのである。
【訂正】米国『歴史展望』誌に反論を掲載した日本側の学者の名前に一部誤りがあり修正しました。(2015年12月9日)
12/10日経ビジネスオンライン 鈴置高史『核武装して“奴隷根性”を捨てよう 親米派も「今度こそ、米国の脅しは聞かない」』について
朝鮮半島人は被害妄想と誇大妄想とを併せ持った民族でしょう。まあ、ウリジナルを主張しない北の方が南よりマシかも知れません。「事大主義」もそこから出て来るのでしょう。魯迅の阿Qみたいなものでしょう。すぐに他人を羨みますが、自分の心の中でそれらを侮蔑することによってしか心の安寧を得られないタイプです。哀れと言えば哀れですが、韓国は中国同様「息を吐くように嘘をつく」民族だから、世界に悪を為している国と思った方が良い。
「核武装は韓国人の奴隷根性と事大主義を克服する」とか言っていますが、彼らにそんな技術があるのかどうか?自前で衛星を打ち上げられず、原発部品は偽物仕様、兵器はすぐ壊れる等、枚挙に暇はありません。開発中に爆発でも起こしたら、放射能が偏西風に乗って日本にやって来ます。
極悪な連中に取り囲まれている日本こそが核武装しなければならないと思っています。「国と国とにあるのは友情ではなくて、国益のみ」です(英首相パーマストンの『わが英国にとって、永遠の同盟もなければ永遠の敵もない。あるのはただ一つ、永遠の英国の国益のみ』より)。米国との同盟でも、日英同盟が破綻したように、破綻することもありうるからです。サウジがイザとなったらパキスタンから核爆弾を入手できるようにしていると言われていますが、それと同じように日本もインドから入手できるようにしておけばよいと思います。新幹線の1兆4000億円の借款はそれでチャラにしても安全が買えるなら、それで良しとすべきでは。また一方では、米国の関与を深めるためにも「ニュークリアシエアリング」の話を進めて行くべきです。
記事
(前回から読む)
奴隷根性を捨てるためにも核兵器を持とう――。韓国の核武装派は主張する。
北東アジアに恐怖の均衡
—前回と前々回は、朝鮮日報という韓国の最大手紙が核武装を呼び掛けているとの話でした。
鈴置:この新聞の核武装論には年季が入っています。2013年2月12日に北朝鮮が3回目の核実験をしました。
その直前に、保守論壇の大御所である金大中(キム・デジュン)朝鮮日報顧問が「北の核実験、見学するだけなのか」(2013年2月5日、韓国語版)を書いています。ポイントは以下です。
- 北朝鮮が核兵器を放棄することはあり得なくなった。世界も北の核を既成事実として認める方向に向かっている。
- 可能な対応策は3つしかない。まず、米国など西側が北朝鮮との関係を正常化して国際社会に引き出すことだ。ただ、これは不確かな方法だ。
- それが難しい場合、一定の国際ルールの下で韓国が核保有することにより、北朝鮮の核の効果と意味を相殺する方法がある。北東アジアを「核の恐怖の均衡地帯」にするということだ。
- 最終的には「北の核」ではなく「北の体制」を変える発想に立って根源的に解決する道がある。金氏体制の崩壊と統一がそれである。
米日中ロに通告
—北の核武装に対抗するための案は3つあるけれど、1番目と3番目は実現が難しい、ということですね。
鈴置:ええ。従って、直ちにとり得る道は2番目の「韓国も核武装すること」だと金大中顧問は主張しているのです。
その20日後になりますが、朝鮮日報は朴槿恵(パク・クンヘ)大統領が就任した2013年2月25日の社説「北の核を超える新たな国家戦略が必須だ」(韓国語版)でも、以下のように主張したのです。
- 北朝鮮から「最終的な破壊」と核兵器で脅迫されている韓国としては、国際協力とは別次元の軍事的・政治的な対処方法を独自に模索するしかない。
- 国家と国民の保護という厳粛な課題を大統領が実践しようとするなら米日中ロに対し、我々の切迫した必要を満たしてくれない場合には我々自らが解決策をとるしかないということをはっきりと伝えなければならない。
核武装に向け国民大会
—「核武装しよう」と露骨に書いてはいませんね。
鈴置:社説ではっきりと核武装を主張すれば、世界から韓国も北朝鮮と同じ存在と見られ、北に対する核放棄圧力が弱まりかねない。そこで「核武装」との単語は使わなかったのでしょう。
でも、韓国人が読めば「核武装の勧め」であることはすぐに分かります(「今度こそ本気の韓国の『核武装論』」参照)。社説はともかく、少し前に大物記者が署名記事でそう書いているのですし。
在野の保守運動指導者、趙甲済(チョ・カプチェ)氏も同じ時期に――北朝鮮の3回目の核実験の日に「韓国も核を持とう」と自分のサイトを通じ国民に呼びかけています。
その記事は日本語にも訳されました。統一日報のサイトで読むことができます。「国家生存の次元で自衛のための核武装を決断せよ!」(2013年2月12日)です。
趙甲済氏は国民の強い意思を世界に見せつければ、核は持てると強調しています。その部分を要約します。
核武装すれば国際社会から経済制裁をされると憂慮する人もいる。だが、安保のためには経済的損害を甘受する必要がある。ただ、合理的な論理と法理で世界を説得すれば、制裁は受けない。
北が核を廃棄すれば我々も廃棄することを明確にしたうえ、米国と中国の圧迫に対応できる外交力を強化していくことが奴隷根性や事大主義を克服する道だ。
自衛のための核武装運動は韓国人の奴隷根性と事大主義を克服する絶好の機会だ。我々の生存は我々が決定するとの姿勢で固く団結すれば、韓国社会の弊害のかなりの部分を解決できる。
ソウル市の中心部で数十万人が集まる「核武装要求国民大会」を持続的に開くべきだ。
韓国の核コンプレックス
—核武装と奴隷根性や事大主義が関係するのですか?
鈴置:1970年代に朴正煕(パク・チョンヒ)政権が秘密裏に核開発に動きました。しかし、米国の圧力に屈し計画を放棄させられました。
今度こそは、大国の命じたままに動く「奴隷根性や事大主義」から脱し、核武装を実現しようということでしょう。
逆に、核武装さえすれば大国の言いなりになる「奴隷根性や事大主義」を捨て去ることができる、との主張でもあります。
韓国には日本のような「核アレルギー」は存在しません。被爆国ではないからです。しかし、核を持とうとしてもどうせ大国に脅されるから持てるはずはない、という別の意味の「核コンプレックス」があります。
約40年前に脅された実体験があるからです。「朴正煕大統領が暗殺されたのは核開発に動いたからだ」との俗説さえ韓国にはあるのです。
もう、米国の言いなりにはならない
朝鮮日報の金大中顧問も先に引用した「北の核実験、見学するだけなのか」で、以下のように「大国の横暴」を批判しています。
- 強大国の優越意識丸出しの思考に異議を唱えたい。弱小国や途上国が核を持とうとすると、強大国は「危険性」とともに「核の効率的管理の不在」を指摘した。自分たちは管理できるが私たちには難しいとの理屈だ。
金大中顧問も趙甲済氏も韓国では親米保守の代表的人物とみなされてきました。金大中顧問は2013年に「二股外交」というコラムを書くなど、一時は米中等距離論を打ち出しました(「保守派も『米中二股外交』を唱え始めた韓国」参照)。が、今では再び、米国との関係が最も大事だと説いています。
趙甲済氏は「自由と民主主義の理念を共有する米国と手を組むほかない」との主張で一貫しています。
しかし2人とも、北朝鮮が核武装するというのに韓国には許さないというのなら「今度こそは米国の言いなりにはならないぞ」と宣言したのです。
中国への過剰な期待
—では、2013年の北の3回目の核実験の後に、韓国で核武装要求運動は起きたのですか?
鈴置:いいえ、そんな運動は起きませんでした。韓国では常に大事件が起きていまして、北の核実験もすぐに忘れ去られてしまった感があります。
趙甲済氏は別の説明――中国説を唱えています。これも当たっていると思います。日本語に翻訳された彼の著書『韓国の自衛的核武装論』の19ページを要約しつつ引用します。
- 2013年初めから韓国で本格化した自衛的核武装論を米国と中国は真剣に受け止め、韓国政府もこれをカードとした。
- ところが中国の北韓(北朝鮮)への態度が変わりつつあるとの希望的観測が韓国メディアを通じて広まると、同年夏からは(韓国内の)核武装論への関心が弱まった。
—中国が助けてくれると韓国人は本当に思ったのですか?
鈴置:韓国人は中国に過剰な期待感を抱きます。米国と同盟関係にある韓国の苦境を、中国がタダで救ってくれるわけもないのに。
中国とすれば、核を失った北朝鮮を米韓が圧迫し崩壊させるリスクも考えねばなりません。下手すれば米軍が軍事境界線を越えて北上し、中国との国境まで来かねないのです。
またしても事大主義
—なぜ韓国人は、そんな過剰な期待を中国に抱くのでしょうか。
鈴置:それに関し、趙甲済氏は続けて以下のように記しています。
- 長年の事大主義の影響が残って親中的な韓国のメディアと政界は、北の核問題の解決を中国に頼んで解決しようとした。
—またしても事大主義ですか。
鈴置:今度は中国への「事大」ですけれどね。韓国、ことにその外交を分析する時にはこの「事大主義」や、その背景にある冊封体制の歴史を考慮に入れないと、大きく読み違えます。
例えば、韓国がなぜこれほどまでに中国にすり寄るのか、理解できない米国の外交関係者が多い。彼らは国際政治や外交史を学んではいますが西洋中心で、東洋の国際政治――冊封体制に関する知識は乏しいのです。
話を戻すと、もちろん中国は「事大主義」に裏打ちされた韓国の過剰な期待に応えてくれませんでした。
2013年の、朴槿恵政権にとって初の中韓首脳会談でもそうでしたが、中国はことあるごとに「朝鮮半島の非核化」を唱えます。文言が「北朝鮮の非核化」ではないことに注目下さい。
中国は「北朝鮮の核はなくすべきだ」と言いつつ「北が核を放棄した時には南も核の傘から出るべきだ」つまり、米韓同盟の破棄を暗に要求し続けているのです。
逆に言えば、韓国が米韓同盟を打ち切る姿勢を見せない限り、本気で北朝鮮の核問題の解決には乗り出さないぞ、ということなのです。
核開発に向け着々
—朝鮮日報が核武装の旗を振っているのはよく分かりました。肝心の韓国軍はどう考えているのでしょうか。
鈴置:軍はこれに関し一切、発言していません。しかし、世界の軍人や安保専門家の間では「韓国の国軍が核武装を検討しない方がおかしい」と言う人が多い。敵国である北朝鮮が露骨に核武装に乗り出しているのですから(「米国も今度は許す?韓国の核武装」参照)。
ある日本の専門家も「歴代の政権の意思とは関係なく、韓国軍は核武装の夢を捨てていないだろう」と言います。
1980年代に韓国の国立研究所が国際原子力機関(IAEA)の規約に違反し、申告せずにウラン濃縮の前工程である「ウラン転換」と、核燃料からのプルトニウム精製・抽出をしたことが判明しています。
2000年にはこれまた未申告で、ウラン濃縮も実施しました。量は微量だったとされていますが、核兵器に使えるほどの濃度だったと報じられました。
いずれも2004年に明らかになり、日本でも大騒ぎになりました。しかし、IAEAの規約違反に関する国連安保理での論議は避けられ、韓国に対する処分は見送られました。
当時の国際社会は北朝鮮の核開発阻止に全力を挙げており、それへの悪影響が懸念されたためと見られます。
一方、核ミサイルを発射できる垂直発射管を備えた大型潜水艦の建造計画が、2013年ごろから韓国で報じられるようになりました。
例えば、聯合ニュースの「韓国海軍 3千トン級潜水艦9隻を戦力化へ」(2013年8月4日、日本語版)です。なお、韓国の安保専門家の間では少なくとも2000年代から、この計画が語られていたそうです。
歴史への罪
—本当に、核開発に向け着々、という感じですね。
鈴置:米韓原子力協定の改定交渉に関連、やはり韓国は核武装するつもりだな、と専門家から見なされました。ウラン濃縮と使用済み核燃料の再処理の権利獲得に異様にこだわったからです。いずれも核兵器の製造に必須の工程です。
この協定は1974年に結ばれ、2014年に期限が切れました。2013年になっても韓国の執拗な要求により、改定交渉が進みませんでした。
そこで2年間、協定の期間を延長して交渉を続け、2015年4月22日に新しい協定の仮署名に漕ぎつけました。そして11月25日に発効しました。
交渉途中の2014年10月16日に突然、違和感を覚えるコラムが朝鮮日報に載りました。書いたのは楊相勲(ヤン・サンフン)論説主幹です。
楊相勲主幹は政治部長、編集局長を歴任したエース記者で、常に冷静な記事を書くことで定評があります。金大中顧問が保守論壇の大御所なら、そのプリンスといったところです。
日本は許されたのに
彼のコラム「韓米原子力協定、歴史に罪を犯すな」(韓国語版)のポイントは以下です。
- 現在、交渉が最終段階にある韓米原子力協定は、このままでは子孫に足かせをはめることになる。使用済み核燃料の安全な再処理と保管、原子力発電所の輸出に対する規制に加え、原発燃料の安全な確保(ウラン低濃縮)までも新たに規制するというのが米国の立場だ。
- 米国は日本とは濃縮・再処理のすべてを許す協定を結んでいる。一方、韓国に対してはIAEAが保障した濃縮・再処理の権限まで封鎖しようというのだ。過去、核爆弾を作ろうとしたからと言うが、40年も前の話だ。
- 我々は米国の政治・経済・軍事の力に対し過度に委縮している。この陥穽から抜け出る意思もなく、米国に道理を説く時間もないのなら協定に署名すべきではない。急ぐ理由はない。歴史に罪を残すな。
無理筋で強引な交渉
—この記事も「米国に委縮するな」と訴えているのですね。
鈴置:楊相勲主幹も親米保守ですが、国の生存がかかった問題だけに絶対に米国と妥協するな、と国民に呼び掛けたのでしょう。
それにしても楊相勲主幹らしからぬ強引な論理です。米国が日本に濃縮・再処理を認めたのは、協定の締結前から日本がその能力を持っていたからです。
韓国がIAEA規約に違反しウラン濃縮したのは、この記事が書かれた2014年から見て14年前のことです。40年前ではありません。
韓国政府はメディアに「我が国は差別されている」と書かせて反米感情を煽り、交渉圧力に活用しようとしました。が、韓国の専門家の中にも「無理筋の交渉テクニック」と評する声がありました。
というのに楊相勲主幹は「子孫に罪を犯す」との情緒的な表現まで使って、交渉に警鐘を鳴らしたのです。濃縮・再処理の権利をここで得ておかないと、国益を大きく毀損するとの危機感があったに違いありません。
「一歩踏み出した韓国の核武装論」でも引用したようにこの後、楊相勲主幹は「金正恩も恐れさせてこそ平和を守る」(2015年5月21日、韓国語版)で核武装の必要性を説きました。11月5日には「釜山沖で考えた生存の一撃」(韓国語版)を書いて、原子力潜水艦の保有を訴えました。
軍と保守勢力がタッグ
—何だか、軍と朝鮮日報がタッグを組んでいるみたいですね。
鈴置:証拠は一切ありませんが、心証ではそうです。軍の意向を受けた保守勢力の一部が、核武装に向けコンセンサス作りに乗り出したかに見えます。メディアでは朝鮮日報だけでなく、趙甲済氏ら保守指導者が彼らのサイトで核武装を呼び掛けています。
—結局、新たな米韓原子力協定は楊相勲主幹の願い通りに結ばれたのですか?
鈴置:楊相勲主幹が満足したかは分かりませんが、2015年に結び直した新協定では、韓国は制限付きながら、濃縮と再処理を認められました。
ウラン濃縮は「条件が整えば」との前提で20%まで可能になりました。案件ごとに米国の同意が必要だった使用済み核燃料の再処理は、一部の工程だけですが既存の研究所で実施するなら同意が不要になりました。
「新協定で核兵器開発が直ちに可能になるわけではない。しかし、核武装への道を開いたことは確かだ」というのが原子力専門家の一致した見方です。
—今後、韓国の核武装論者はどうやってそれを実現するつもりでしょうか? 米国は認めるのですか? 国民の核コンプレックスは乗り越えられるのですか?
鈴置:それは次回に詳しく分析します。





