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『なぜ中国は米軍の潜水ドローンを拿捕したのか 忍耐力の低い米中の「偶発事件」に備えよ』(12/21日経ビジネスオンライン 福島香織)について
10/22日経<習氏悩ますトランプ流(ニュース解剖) 「一つの中国」も取引材料に
米次期大統領、トランプと中国国家主席、習近平が激しい神経戦を演じている。トランプは台湾総統、蔡英文との歴史的な電話会談に踏み切り、「一つの中国」さえも経済問題などの取引材料だとした。助走段階から不協和音が聞こえるトランプ時代の米中関係。その実相を追った。=文中敬称略
「南シナ海で米中が戦争か」――。アジアの一部メディアが派手に伝えた事件は20日、中国軍が奪い取った米国の無人潜水機を返還し、決着した。海中で情報を集める米軍と、それを実力で阻止した中国軍。一連の動きは、原子力潜水艦がせめぎ合う米中軍事対峙の危うさを浮き彫りにした。

■政権移行期狙い挑発
中国は、トランプの「無人機が盗まれた」とのツイッターでの言及に対し、「路上で物を拾ったら(所有者などを)調べなければならない」と主張した。だが450メートルという近さにいた米無人機の母船は無線で返還を求めていた。所有者を知りながら持ち去れば窃盗である。中国軍の明らかな挑発だった。
しかも、場所はフィリピン・スービック港の北西90キロの公海上で、中国が一方的に管轄権を主張する「九段線」の外だ。中国が埋め立てを狙うスカボロー礁にも近い。中国側の意図は何か。その背景には、米国と軍事協定を結ぶフィリピンの大統領、ドゥテルテが突然、中国に急接近したことがある。
「中国軍は今ならフィリピン近海で米軍に手を出しても安全だと踏んだ。米政府とドゥテルテの反応を試したのだ」「米軍が動きにくい政権移行期を利用し、中国軍がスカボロー礁周辺を仕切る既成事実をつくりたい」。南シナ海問題の専門家らは中国の狙いをこう指摘する。
17日、ドゥテルテは7月の仲裁裁判所判決に絡み「中国にいかなる要求もしない」と述べ、米国との共同歩調を否定した。スカボロー礁の埋め立てをあきらめていない中国にとっては、狙い通りの展開だ。米側の反応が限定的なうちに無人機を早期に返還しても目的は達成したことになる。
中国軍は東でも駒を進めていた。10日、中国空軍の編隊は沖縄本島・宮古島間の「第一列島線」を突破。台湾・フィリピン間のバシー海峡を抜けて、台湾を取り巻くように飛んだ。
航空自衛隊のF15が緊急出動。米軍は無人偵察機グローバルホークで高空から中国軍を監視した。台湾紙、聯合報の報道だ。中国軍は日台に圧力をかけ、背後の米軍の動きを探った。
中国には別の政治目的もあった。接近する日本の首相、安倍晋三とロシア大統領、プーチンへのけん制球だ。2人が日本で会談した前後、中国軍のリークとされる奇妙な軍事映像がインターネット上に出回った。
「我が軍のスホーイ30戦闘機が(日本の)F15を狙う」。中国機の脇を飛ぶF15の映像説明は刺激的だ。しかもスホーイ30がF15を「ロック・オン(照準の固定)」との表現まである。
映像リークの思惑を中国の安保関係者が解説する。「注目点は、映像で中国がロシアから導入したスホーイ30を確認できること」。スホーイ30は中ロ「準軍事同盟」の証しだ。日ロ会談中にプーチンは中国陣営にいるとアピールしたのだ。
習近平は唯一の盟友、プーチンの動向が気になる。トランプもエクソンモービル出身でプーチンと親しいティラーソンを次期国務長官に指名した。
「トランプはプーチンを利用して中国に圧力をかけかねない」。中国のシンクタンク内では警戒の声も上がる。
■中国不動産王の脅し
中国が当初、トランプ当選を歓迎したのは、利で動く「商人」と見たからだ。中国に厳しいヒラリーとは違う。ニンジンをぶら下げて陰に陽に圧力をかけ、取引に誘い込めば中国有利に動かせる。そんな読みがあった。中国は資金力なら絶対の自信がある。
中国の戦術の一端が垣間見える動きがあった。主役はトランプの向こうを張る中国一の不動産王、王健林だ。「我々は米国に100億ドルを投じ、2万人超を雇っている。うまくいかないなら2万人が食いぶちを失う」。商業用不動産で中国トップの大連万達集団(ワンダ・グループ)を率いる王健林は10日、北京で言い放った。
中国の利益を侵せば投資を引き揚げる。それは単なる脅しではない。大連万達は既に米大手映画館チェーンAMCエンターテインメント、映画バットマンで知られる米映画製作会社、レジェンダリー・エンターテインメントを買収した。
関係者は、裏に控える共産党の意向を指摘する。大連万達は民間企業だが、中国の高級幹部の子弟を指す「太子党」と関わりが深い。王健林は習近平の姉の夫の会社が以前、同社株を持っていた事実も明かした。
トランプは旧来の枠組みを軽々と超え、「一つの中国」まで取引材料だとする。巨額の対中貿易赤字、関税、為替操作……。これらも皆、取引の対象になり得る。「利にさといビジネスマン」。そう甘く見ていたトランプが本領を発揮し、習近平が手を焼く構図だ。
来年後半、中国は最高指導部人事を控える。権力闘争が山場を迎える頃、習近平が海洋で強硬策に出る可能性は残る。2012年の最高指導部人事の直前、中国は尖閣諸島問題で突然、強硬姿勢に転じた。反日デモで日本企業に多大な被害が出たのは記憶に新しい。
トランプは次期国防長官に「狂犬」の異名を持つ元中央軍司令官、マティスを指名した。アフガニスタン、イラクで戦った経験豊富な元軍人を相手にする「火遊び」は危険だ。トランプの大統領就任後、南シナ海に変化があるのか、目が離せない。
米中ロ「三角関係」の先行きは読みにくい。日本もどんな展開にも対応できる入念な準備が要る。旧来の発想にとらわれない柔軟な外交戦略が求められる。(編集委員 中沢克二)>(以上)
12/23日経<米マクドナルド、中国事業2300億円で売却 CITICなどに
米マクドナルドは中国事業を中国の国有複合企業、中国中信集団(CITIC)と米投資ファンドのカーライル・グループの連合に売却する方針を固めた。対象は中国と香港に保有する店舗で売却額は20億ドル(約2300億円)を超えるとみられる。マクドナルドは業績が頭打ちとなっており世界でリストラを進めている。競争が激化している中国事業の売却で収益基盤を立て直す。
年明けにも発表する見通しだ。複数の投資ファンドが中国企業と組んで名乗りを上げていたが、金額などの条件面から最終的にCITIC連合が独占交渉権を獲得した。
マクドナルドは1990年に中国に進出した。現在は約2200店を展開し約10万人の従業員を抱えている。だが、2014年夏に取引先が賞味期限切れの鶏肉を使っていた問題が発覚し、売り上げが大きく減少した。中国の消費者の所得水準が向上し、最近は地元資本の外食チェーンや外資のカフェチェーンなどに顧客を奪われている。
米マクドナルドは成長鈍化に直面する。16年7~9月期決算は純利益が前年同期比3%減になるなど利益減少が続き、コストのかかる直営店から外部に運営を任せるフランチャイズ店への切り替えを進めている。
18年末までに世界の店舗の1割弱をフランチャイズ店に移行する計画を掲げ、シンガポールとマレーシアでも店舗の経営権を売却した。中国事業もCITIC連合に売却したうえで、マクドナルドの店舗として営業を続ける公算が大きい。
米マクドナルドは保有する日本マクドナルドホールディングス株の一部売却も検討している。日本でも賞味期限切れ鶏肉問題などで客離れが進んだが、11月まで既存店売上高が12カ月連続で増加するなど業績が回復している。株価も大きく上昇しており、株の売却計画が進むかは不透明だ。>(以上)
マックの中国事業の株式売却は経済的理由だけでなく、今後の米中(トランプVS習)の覇権争いで、関税問題や経済制裁等の報復合戦、場合によっては南シナ海or東シナ海での小競り合いが起きるかもしれないと考えた上での決断では。賢明と思われます。日本企業の撤退は時間がかかり過ぎて間に合わないでしょう。ソニーは株式売却を従業員に手切れ金を払う形で解決しました。平時であれば非難の対象とすべきですが、准戦時と考えれば見事な決断と言えます。ただ中国事業は「まだまだ、かなりの投資機会があると見てよい」というのは中国へのリップサービスでしょう。本当にそう思っているなら売却しないと思います。因縁つけられるのを避けるためです。中国は暴力団が国を運営しているという事の証拠です。従業員を裏で煽動しているのは共産党でしょう。撤退させないように。
12/23日経<ソニー、中国工員スト金銭解決「供給守る現実策」 現地法人トップに聞く
ソニーの中国南部にある広東省の工場で11月、従業員約4千人による大規模なストライキが起きた。工場を中国企業に売却することに不満を示し、補償金を求めるストが約2週間続いた。同時期に米コカ・コーラの中国工場でも同様の理由でストが起き、中国ビジネスの難しさが改めて浮き彫りになった。ソニーの中国の現地トップ、高橋洋董事長(55)に金銭解決に至った判断や中国事業への見方を聞いた。

約2週間にわたってストが続いたソニーの広州工場で掲示板を見る従業員ら(11月)
――今回、カメラ部品を生産する広東省の広州工場で、なぜ大規模なストが起きたのですか。
「11月に中国企業への工場売却が決まった。従業員も労働条件など、そのまま中国企業に引き継ぐことも決まり、我々は粛々と業務移管を進めればよかった。ただ、従業員はソニーと全く関係のない企業に移ることが不安で、不満を持った」
――ソニー側に何か、落ち度はありましたか。
「正直ない。今振り返っても、こうすればよかったと思うこともない。我々は全力を尽くした」
――ただ、従業員はソニー側から工場売却に関し、事前の説明不足を指摘していました。
「私には2つの原則がある。1つは、不安になっている従業員に誠心誠意寄り添い、包み隠さず、会社の決定を丁寧に説明すること。2つ目は法に従い、現地政府の指導も受け行動を進めること。この2つの原則を絶対に曲げずに貫くことが中国ビジネスでは大事で、今回もそれを貫いた」
――ただ今回、従業員は職場を放棄したうえ、支払う義務のない経済補償も求めました。
「非合法な要求だが、会社が替わることに不安を持つ気持ちも分かる。だが、我々には顧客への供給責任がある。だから、生産ラインに戻って仕事を再開してくれる従業員には(最大約1万6千円の)『功労金』を支払うことにした」
――従業員のごね得にも映りますが、やはり金銭解決は必要ですか。
「顧客への供給責任がある以上、(2週間も続いたストに)どこかで落とし所をみつけるしかない。我々も、最後は現実的な解決をしたわけだ」

インタビューに応じた高橋洋ソニー(中国)董事長兼総裁(上海市)
――高い経済成長を遂げた中国ですが、この10年間で従業員の質にどんな変化がありましたか。
「ホワイトカラーの質が格段に上がった。非常に能力が高い。一方、工場の従業員の方々は正直、本質的には、まだあまり変わってはいない」
――中国で労働争議は今後も続きますか。
「中国は国全体が今、構造改革の途上にある。改革にはリストラなど大変な痛みが伴う。労働争議は不可避で今後も増えるだろう。だが、だからといって中国が駄目だというのは少し短絡的だ」
「労働争議は改革に必要なプロセス。それを通して色々な経験を今、企業も政府も労働者も蓄積している段階だ。政府もそれをよく理解していて今回起きたストへの対処にも協力的だった」
――ソニーは中国で7工場を持ち、数万人を雇用しています。今後のビジネスをどう見ますか。
「(政府に対しては)外資企業の参入や撤退の手続きを、もう少し容易にしていただきたい。だが、中国のビジネス環境自体は間違いなく良い。日本企業の場合、自社が強い分野に特化して参入したとしても、まだ巨大な市場が広がっている。こういう国は他にない。当社も確実に利益を出している。日本企業にはまだまだ、かなりの投資機会があると見てよい」>(以上)。
呉士存の言う「米国が(中国が領海と主張する)九段線の中に入ってきたのは・・・」と言うのは、事実誤認であります(九段線の外)が、わざとそう言ったと思われます。そもそも、九段線を世界で認めている国は中国以外であるのか、国際仲裁裁判所の判決が出ているのに、です。本当に中国と言うのは自己中心で平気で嘘がつける民族と感心します。
日本人は、米中で局地戦がおきる可能性を考えておかないと。それが尖閣になるのか南シナ海になるのかに拘わらず。尖閣は警察・海保・自衛隊が米軍より先んじて出動しなければなりません。米軍が先に血を流すことはありません。そうしなければ日米同盟は危殆に瀕します。その時に、左翼にかぶれている日本人がどういう行動を取るかです。すぐマスコミは「戦争反対」の大合唱が始まるでしょう。その声は中国に投げかけるべきなのに。洗脳された軽薄な人々もマスメデイアの言いなりになるに違いありません。そうなれば、日本の終わりです。如何に国民全体で国家権力の行使を支えられるかが勝負と思います。そのときにしか国民は憲法改正の意義が分からないと思います。
記事

「暴君トランプ」と「狂犬マティス」は中国の挑発をいなせるのか(写真:AP/アフロ)
中国の人民解放軍海軍が南シナ海で米軍の無人潜水探査機(ドローン)を「違法に奪取」した。12月15日のことである。米国側はすぐさま返還を要求、18日には中国側も返還に応じることを決定したが、いったい中国側は何を考えて、このような大胆な真似をしたのだろうか。今後の米中関係の行方を占ううえでも、気になるところだ。
フィリピンと中国の係争水域で
米国防総省の発表では、15日、アメリカ海軍の海洋調査船「バウディッチ」が南シナ海のフィリピン・ルソン島沖、スービック湾から北西93キロの地点で、無人潜水探査機(ドローン)2機による海洋調査を実施、探査機を回収しようとしたところ、中国海軍の潜水艦救難艦がボートを出して1機を奪ったという。バウディッチは無線で返還を要請したが、救難艦は応答せずに探査機を持ち去った。
米国側によればドローンは海水の塩分濃度や透明度などを調査するものだが、これは潜水艦航行時のソナーデータに役立つ情報でもある。潜水艦の航行、作戦に必要とされる情報といえば、軍事情報になるが、機密というほどのものはない。国防総省の発表でも、今回の調査は、民間用のドローンを使って非機密情報を収集していたという。
無断でこのドローンを拿捕した中国国防部は「中国海軍は15日午後、南シナ海海域で正体不明の装置を発見し、船舶の航行の安全と人員の安全を守るために、救難艦の責務としてこの装置の識別検査をしたのだ」と主張した。
だが、目の前に米海軍の調査船があり、無線で返還を呼び掛けているのに持ち去ったとなれば、この主張も口実にすぎないとわかる。中国国防部側は識別検査の結果、無人潜水探査機であると判明したので米国に返還すると決定した、と説明。「中国側は米国側とずっと連絡を保っているのに、米国側が一方的に問題を公開し、騒ぎ出したのは不適当であり、問題をスムーズに解決するのに不利となった。我々はこのことに遺憾を表明する」と開き直った。
さらに中国国防部は「強調すべきことは、長年、米軍は頻繁に中国当面海域で偵察や軍事測量を行ってきているが、中国はこのことには断固反対しており、この種の活動を停止することを米国側に要求する。中国側は引き続き米国側のこうした活動に対し警戒を維持し、必要な措置をもって対応する」とけん制した。
米海軍海洋調査船が寄港していたスービック湾沖という現場は、本来フィリピンの排他的経済水域内だが、スービック湾西200キロの地点にあるスカボロー礁はフィリピン、中国が領有権を争う係争地である。米国側はこの周辺海域を国際水域、つまり公海や自由海に準ずるものとして認識しているが、中国側にすれば現場は中国の排他的経済水域ということになる。排他的経済水域内の科学目的調査は沿海国への「妥当な考慮」が必要となっている。
この海域の認識はともかく、軍の船が領海領空のボーダーに近いところで調査を行えば、沿海国にとっては苛立つものだし、情報収集艦が接続水域や領海に入ってこないように、追尾し、監視して追い払おうともするだろう。中国の情報収集艦もしばしば尖閣諸島などの接続水域に入り、ときに領海を横切ることもあったので、日本もきりきりしている。ただ、日本は抗議するが、実力行使を行ったことはない。
中国側がいきなりドローンを無断で拿捕するということは、これは実力行使、戦闘行為に発展してもおかしくないぐらいの挑発といえる。
米国側が抗議と返還要求という抑制の効いた対応になったのは、前代未聞の中国海軍の行為にあっけにとられたのか、ひょっとするとこれは中国政府の意思に反した現場の暴走ではないかと考えたのか、奪われたドローン自体が民間の商用品で収集していた情報も非機密情報であったので、さして慌てる必要もなかったのか。トランプはこの件について、そんなドローンなど中国にやってしまえ、とツイッターで発言したのは、そこに軍事機密として保護を優先させるものはなく、中国の挑発に乗らないことを優先させた、ということかもしれない。
しかし、いったい、中国側は何を考えて、こうした前代未聞の、米国に対して真っ向から喧嘩を売るような行動に出たのだろう。
中国側の主張は、南京大学中国南海研究院院長の呉士存が環球時報のインタビューに対して語ったことにまとめられている。
「米軍の腹はわかっている」
「外国メディアが言っている国際水域、これは米国サイドの言い分であって、海洋法公約上にはこういう言い方はない。海洋には領海、領海の外側の接続水域、排他的経済水域、その外に公海がある。公海は公海としての管理規則がある。国際水域という明確な法律上の定義はない。
したがって、米国が中国に無人潜水探査機を拿捕されたのは国際水域ではない。黄岩島(スカボロー礁)の近海、つまり中国の排他的経済水域内かどうかを判断しなければならない区域である。ならば中国はこの種の科学的研究目的の潜水機に対し管轄権を有することになる。拿捕後、中国は米国と話し合い、最終的な交渉結果を出したわけだ」
「米国はどうして軍事測量船を用いたのか。なぜなら海洋法公約にはアナがあるからだ。沿岸国家が排他的経済水域における排他的主権・管轄権を有しており、海洋科学研究や海底ケーブル敷設や、人工施設建設・管理などについては沿岸国の同意が必要だ。だが、軍事測量については沿岸国の同意が必要、とは書いていない。米国はこの法的アナをついてきたのだ」
「米国が(中国が領海と主張する)九段線の中に入ってきたのは、米国の言うような海水濃度のデータ収集といったものではなく、実際のところは、中国の南沙諸島における施設建設状況にかかわる情報偵察が目的であろう。あるいは、中国の南シナ海の潜水艦航路の探索が目的であろう」
「この意味から言えば、米国の無人潜水探査機は中国の安全に対して脅威をなすものである。これは新たな接近偵察である」
「米国よ、お前は何をしに来たのか? 米軍の腹はわかっている」
習近平政権における「南シナ海政策ブレーン」の筆頭、呉士存がここまではっきりと中国の立場を主張するからには、おそらく今回の事件は現場の暴走というようなものではないと考えられる。一部で習近平自身も知らされなかった「現場の暴走」説が出たのは、そうしないことには、米国側も収まりがつかないからではないか。
ちなみに、2013年1月に東シナ海尖閣諸島付近で起きた「ロックオン事件」も、日本側は「現場の暴走」説をとることによって早期に収束させたが、後々に漏れ伝えられる情報を突き合わせると、習近平政権は2013年当初は、東シナ海で日本を挑発し軍事行動をとらせることで、日本の軍国主義台頭脅威の国際世論をあおり、日米離反を画策する目論見があったようである。日本は挑発に乗らず、この目論見は崩れた。
軍の末端が、政権の意向を無視して、勝手に対象国の軍艦に火器照準を合わせたり、探査機を拿捕したりしたら、それはそれで政権が軍を制御できないということであり、恐ろしい状態である。習近平の軍制改革があまりうまくいっていないという話もあるので、その可能性は捨てきれないのだが、拿捕後の中国の対応、落ち着きぶりを見れば、今回の件に関しては計算づくで来たような印象を受ける。
「やられたら、やり返す」
呉士存の意見をさらに見てみると、こう続く。
「いわゆる南シナ海の国際法廷による仲裁が出たあと、南シナ海問題は中国、フィリピンの当事国同士で解決するという形で下火になったのに、米国はそれに甘んじることができなかった。つまり、それは米国利益に合致しておらず、米国は南シナ海をかき回して中国の平和的発展をけん制しようとしている」
「中米の南シナ海における“地縁的政治競争”、海洋覇権ゲームに決着がついていない以上、米国はまたやってくる」
「中国が南シナ海問題のコントロールを強くできるか否か、それが米国に欲しいままにさせないためのカギだ」
「中国軍はこの点に関しては自信がある。南シナ海情勢は中国の南沙における関係施設の配置にともない徐々に変化してきている。米軍は焦っているのだ」
そのうえで、中国側がドローンを米国におとなしく返還したのは、「我々には米国の接近偵察が国家安全を脅かすことに対し、反撃の用意がある。…中国はただ黙っているだけの忍耐はない。今の時代、やられたらやり返す、ということだ」ということを伝える意味があったという。
トランプは国防長官に中国に強い警戒感を持つ元海兵大将・ジェームズ・マティスを指名しており、軍事的には対中強硬姿勢を強めてくるとの観測が中国側にも出てきている。トランプ政権が登場した当初は、トランプはオバマのアジアリバランス政策を後退させるのではないか、という期待が中国側にもあったが、政権チームの概要が見え始めてくるにつれ、南シナ海、台湾問題など、アジア太平洋における米中軍事対立の先鋭化は避けられないという見方に修正してきた。
もっとも、それでも習近平政権にとっては、トランプ政権はヒラリー政権よりも歓迎すべきだという考えが政権内部には強い。国外に巨大な敵の存在があれば、不安定な内政問題から国民の関心は逸れ、国内はまとまりやすく、共産党政権の求心力は高まる。軍、特に海軍空軍の士気は上がり、習近平の考える軍制改革、つまり陸軍中心から海空軍中心の覇権拡大に向けた軍制への改革が進めやすくなるし、それに伴う軍の掌握によって習近平が目指す独裁体制への道も近くなる、という期待があろう。
しかも米中二大大国冷戦構造というのは、中国が大国として米国に認識されたということでもあるので、そこはかとなく自尊心もくすぐられる。かつての冷戦構造は米ソ対立であり、その米ソ対立ゆえに、米国は中国を経済的軍事的に支援して自分たちの仲間に引き入れようとしてきたのだ。それが今やロシア(旧ソ連)と中国への米国の対応は入れ替わっている。
呉士存が指摘するように、南シナ海は米中の地縁政治競争、海洋覇権ゲームの最重要対局盤である。特に中国は、フィリピンのドゥテルテ政権が心底嫌米であることを布石として、今のタイミングをもってこの対局を制したいところではないか。それが成功するかしないかはともかく。
日本は「偶発的有事」を覚悟せよ
とすると、米中の間に、そう遠くない時点で、なにがしかの軍事的衝突があってもおかしくはない。
誰もが思い出すのは2001年の海南島付近上空での米中軍用機衝突事件(海南島事件)である。無線傍受偵察をしていた米海軍電子偵察機に対して、中国海軍戦闘機が挑発行為をした結果、接触し海に落ちた中国人パイロットは行方不明、米軍電子偵察機は中国側に回収され、機体の返還をめぐって緊張感の続く長い交渉があった。
この事件は中国を「戦略的競争相手」と認識したブッシュ共和党政権下で起きたこともあって、一つ間違えば紛争に発展しかねないものだったが、時の江沢民政権が外資導入による中国経済高度成長政策にプライオリティを置いていたこともあり、双方が忍耐をもって事件を決着させた。
これに続く米中危機は2009年のインペッカブル事件だ。米軍海洋調査船「インペッカブル」が海南島沖南120キロの地点で調査を行っていたところ、中国艦船5隻が取り囲み、立ち退きを要求。中国艦船はインペッカブルに25メートルまで近づき、あわやアレイ・ソナーを奪われそうになった。このときも、ひょっとすると軍事紛争に発展しかねないという危機感があったが、当時のオバマ政権、胡錦濤政権とも基本は協調外交路線にあり、双方が忍耐をもって危機を回避した。
今後、南シナ海で同様の軍事的偶発事件が起きる可能性は十分に予想されることだ。だが過去二度の米中軍事危機と明らかに違うのは、米国・トランプ政権にしても中国・習近平政権にしても、忍耐力が過去の政権と比して明らかに低そうなことだ。政治的にも経済的にも地政学的にも両国の動きに翻弄されやすい立ち位置の日本は、十分にアンテナを張って覚悟を決めておく必要があるだろう。
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『「ロシア革命」に変容する韓国の「名誉革命」 「広場民主主義」の暴走を恐れ始めた保守系紙』、『「キューバ革命」に突き進む韓国 どの大統領候補も皆「離米」』(12/20・22日経ビジネスオンライン 鈴置高史)について
12/19産経ニュース<世界にうずまく「恨」の不気味さ 「アメリカの韓国化」どう克服 評論家・西尾幹二
≪韓国を揺るがしたルサンチマン≫
朴槿恵大統領の職務剥奪を求めた韓国の一大政変には目を見張らせるものがあり、一連の内部告発から分かったことはこの国が近代社会にまだなっていないことだった。5年で入れ替わる「皇帝」を10大派閥のオーナーとかいう「封建貴族」が支配し、一般民衆とは画然と差をつけている「前近代社会」に見える。一般社会人の身分保障、人格権、法の下での平等はどうやら認められていない。
ただし李王朝と同じかというとそうではない。「近代社会」への入り口にさしかかり、日本や欧米を見てそうなりたいと身悶(もだ)えしている。騒然たるデモに荒れ狂った情念は韓国特有の「恨(ハン)」に国民の各人が虜(とりこ)になっている姿にも見える。「恨」とは「ルサンチマン」のことである。完全な封建社会では民衆は君主と自分とを比較したりしない。ルサンチマンが生まれる余地はない。
近代社会になりかかって平等社会が目指され、平等の権利が認められながら実際には平等ではない。血縁、財、教育などで強い不平等が社会内に宿っている。こういうときルサンチマンが生じ、社会や政治を動かす。
恨みのような内心の悪を克服するのが本来、道徳であるはずなのに、韓国人はなぜかそこを誤解し脱却しない。いつまでもルサンチマンの内部にとぐろを巻いて居座り続ける。反日といいながら日本なしでは生きていけない。日本を憎まなければ倒れてしまうのだとしたら、倒れない自分を発見し、確立するのが先だと本来の道徳は教えている。しかし、恨みが屈折して、国際社会に劣情を持ち出すことに恥がない。
≪吹き荒れる「ホワイト・ギルト」≫
ところが、困った事態が世界史的に起こりだしたようだ。ある韓国人学者に教えられたのだが、恨に類する情念を土台にしたようなモラルが欧米にも台頭し、1980年代以後、韓国人留学生が欧米の大学で正当評価(ジャスティファイ)されるようになってきた。
世界が韓国的ルサンチマンに一種の普遍性を与える局面が生じている、というのである。こういうことが明らかになってきたのも、今回の米大統領選挙絡みである。
白人であることが罪である、という「ホワイト・ギルト」という概念がアメリカに吹き荒れている、と教えてくれたのは評論家の江崎道朗氏だった。インディアン虐殺や黒人差別の米国の長い歴史が白人に自己否定心理を生んできたのは分かるが、「ホワイト・ギルト」がオバマ政権を生み出した心理的大本(おおもと)にあるとの説明を受け、私は多少とも驚いた。
この流れに抵抗すると差別主義者のレッテルを貼られ、社会の表舞台から引きずり下ろされる。米社会のルサンチマンの病もそこまで来ている。「ポリティカル・コレクトネス」が物差しとして使われる。一言でも正しさを裏切るようなことを言ってはならない。“天にましますわれらの父よ”とお祈りしてはいけない。なぜか。男性だと決めつけているから、というのだ。
あっ、そうだったのか、これならルサンチマンまみれの一方的な韓国の感情論をアメリカ社会が受け入れる素地はあるのだと分かった。両国ともに病理学的である。
20世紀前半まで、人種差別は公然の政治タームだった。白人キリスト教文明の世界に後ろめたさの感情が出てくるのはアウシュビッツ発覚以後である。それでも戦後、アジア人やアフリカ人への差別に気を配る風はなかった。80年代以後になって、ローマ法王が非キリスト教徒の虐待に謝罪したり、クリントン大統領がハワイ武力弾圧を謝ったり、イギリス政府がケニア人に謝罪したり、戦勝国の謝罪があちこちで見られるようになった。
≪トランプ氏は歪みを正せるか≫
これが私には何とも薄気味悪い現象に見える。植民地支配や原爆投下は決して謝罪しないので、これ自体が欧米世界の新型の「共同謀議」のようにも見える。日本政府に、にわかに強いられ出した侵略謝罪や慰安婦謝罪もおおよそ世界的なこの新しい流れに沿ったものと思われるが、現代の、まだよく見えない政治現象である。
各大陸の混血の歴史が示すように、白人は性の犯罪を犯してきた。旧日本軍の慰安婦制度は犯罪を避けるためのものであったが、白人文明は自分たちが占領地でやってきた犯罪を旧日本軍もしていないはずはないという固い思い込みに囚(とら)われている。
韓国がこのルサンチマンに取り入り、反日運動に利用した。少女像が増えこそすれ、なくならないのは、「世界の韓国化」が前提になっているからである。それは人間の卑小化、他への責任転嫁、自己弁解、他者を恨み、自己を問責しない甘えのことである。
トランプ氏の登場は、多少ともアメリカ国内のルサンチマンの精神的歪(ゆが)みを減らし、アメリカ人を正常化することに役立つだろう。オバマ大統領が許した「アメリカの韓国化」がどう克服されていくか、期待をこめて見守りたい。(評論家・西尾幹二 にしおかんじ)>(以上)
石平氏の『韓民族こそ歴史の加害者である』を読むと「朝鮮人は我が身を守るために外国勢力を国内に引き入れ、外国を振り回して売国するのが当たり前の政権が続いた」とありました。新羅の統一、元寇、李成桂、壬午事変、甲申政変、皆そうです。日本は朝鮮半島がだらしがないため、結局日清・日露戦争を戦わざる羽目に陥りました。朝鮮人にとって裏切りは当り前の世界です。朴槿恵大統領も中国に擦り寄ったり、米国に擦り寄ったりと忙しい。石平氏の本によると、元寇も高麗が元を唆して起こしたとのこと、朴槿恵が被害者の立場は1000年不変と言うのであれば、元寇の謝罪もないというのはおかしいと。
韓国保守が今頃になって、慌てて朴槿恵追及の手を緩めようとしても遅いでしょう。韓国民は情緒優先の民族です。言葉を変えて言えば、未熟という事です。論理的、合理的判断ができないという事です。国会で経済界を追及して、苦境にあるサムスンの足を引っ張るようなことを平気でします。雇用が失われ、自分の首を絞めることに気付いていません。まあ、北朝鮮のような粛清が当たり前の国にするつもりでしたら、企業は国有化されるでしょうけど。その時には、海外への輸出も制約されるのでは。どういう道を歩むにしろ、日本を恨むことでしかカタルシスを得られない、愚かとしか言いようがない民族です。
アメリカも韓国を見捨てるのでは。国民がここまでアホだと、救いようがない。米国が圧力をかけて結ばせた「慰安婦合意」も破棄されるでしょう。こうなることは見えていました。裏切りが当たり前の国ですので。アチソン声明に朝鮮半島を入れなかったのは正解でした。北朝鮮と一緒になればよい。米中共にどう動くかですが。
12/20記事

韓国保守紙は朴大統領を弾劾した「名誉革命」が「ロシア革命」に変質することを恐れる。写真はロシア革命の様子が描かれた絵画(写真:AP/アフロ)
(前回から読む)
韓国の保守系紙が慌てる。朴槿恵(パク・クンヘ)大統領を断罪した「名誉革命」が「ロシア革命」に変容する可能性が出てきたからだ。現在の体制を破壊されたら、自分たちも危ういのだ。
憲法裁判所に圧力
—12月9日、韓国の国会が朴槿恵大統領への弾劾訴追案を可決しました(「韓国国会、朴槿恵弾劾案を可決」参照)。
鈴置:混乱は続いています。可決以降の「下野を要求する土曜デモ」は憲法裁判所にも向かうようになりました。弾劾を棄却しないよう圧力をかけるためです。
デモ隊は大統領権限代行に就任した黄教安(ファン・ギョアン)首相に対しても辞任を要求しています。公安検事出身でタカ派なので、デモなどに強権を発動するのではないかと恐れているのです。
野党第1党の「共に民主党」も「即刻下野」と早期の弾劾決定を要求しています。弾劾案可決に成功した今の勝利ムードが続く間に、次の大統領選を実施したいのです。
同党の最有力大統領候補の文在寅(ムン・ジェイン)前代表は12月16日「もし、憲法裁判所が弾劾を棄却したら?」との質問に「そんな判決が出たら、次は革命するしかない」と答えています。
朝鮮日報が「文在寅『国民の憲法意識がすなわち憲法・・・弾劾棄却すれば次は革命しかない」(12月17日、韓国語版)で報じました。
弾劾訴追の可否を憲法裁判所がいつ下すか分からないことも、政局の不安定感を加速しています。一方、与党「セヌリ党」は親朴派と非朴派の対立が激化し、分裂状態です。
デモに便乗する勢力
注目すべきは保守系紙が怯え始めたことです。保守系紙は大統領を弾劾訴追に追い込んだ毎週土曜日の大型デモを「名誉革命」と絶賛してきました(「『名誉革命』と韓国紙は自賛するのだが」参照)。
「広場民主主義」の勝利とも褒めそやしてきました。ろうそくを手に広場に集まった人々が議会を突き動かしたからです。「100万人のデモでもガラス1枚割れない民度の高さ」も誇りとなりました。

しかし「革命の熱気」が高まるに連れ、保守系紙は「広場」に不気味なものを感じ取ったのです。中央日報の社説「弾劾とろうそくに便乗する統合進歩党と尹昶重氏」(12月6日、韓国語版)がそれをよく表しています。
記事が載ったのは、6回目のソウルのろうそく集会(12月3日)に150万人(主催者側発表)が集まった後。大統領の弾劾訴追案が国会で可決される見通しが強まった時でした。ポイントを訳します。
- 問題はこのような純粋な志に便乗して私利を得ようとする勢力が台頭し始めたことだ。北朝鮮式の社会主義を実現しようとしたとして2014年末、憲法裁判所が「危険な政党」と規定し解散させた統合進歩党出身の人物らが代表例だ。
- この者たちは、内乱扇動罪で懲役9年を宣告され収監中の李石基(イ・ソッキ)前・統合進歩党議員の釈放を求める要求するプラカードをデモ現場で掲げた。
体制をひっくり返す
—統合進歩党とは?
鈴置:2012年の選挙では300議席中13議席を占めた、それなりに存在感のある政党でした。この選挙でも得票率は10.3%を記録しています。既存のいわゆる「進歩的な政党」に飽き足らない人々から支持を集めていたのです。
一方、保守は「北朝鮮の手先」として危険視していました。韓国憲政史上初めて政府が命令してこの政党を解散させたのもそのためです。解散を主導したのが当時、法務長官だった現在の黄首相です。
同党の指導者、李石基議員(当時)も2013年9月に内乱陰謀罪や内乱扇動罪などで逮捕されました。国会は289人中258人の賛成で逮捕に同意しています。
—なぜ、この政党の解散問題が蒸し返されるのですか?
鈴置:今、韓国では「朴槿恵が国を滅茶苦茶にした」ということになっています。左派はそのムードを利用して、既存の体制を一気にひっくり返そうと狙っています。
「ABP」モードに
—体制をひっくり返す、ですか!
鈴置:韓国紙には「ABP(Anything but Park)」という言葉が散見されるようになりました。「朴がやったことはすべて否定する」という意味です。この際、統合進歩党の強制解散も「ひっくり返そう」と考える人が出てきたのです。
左派系紙のハンギョレが、ロシア出身の朴露子(パク・ノジャ、Vladimir Tikhonov)オスロ国立大学教授の寄稿を載せています。「朴槿恵の最悪の犯罪」(12月4日、日本語版)です。朴露子教授の専門は韓国学です。彼の主張を要約します。
(朴槿恵政権の)悪行の中でも統合進歩党の法的解散とイ・ソッキ前議員らの拘束と裁判は特筆に値する。この事件により、1987年の大闘争で勝ち取られた形式的・手続き的民主主義は回復し難い傷を負った。事件以後の大韓民国を民主国家と呼ぶこと自体が無理だ。
裁判で国家情報院と検察の主張の核心的部分が事実上虚偽であることが判明した。被告たちが「作った」という「革命組織」の実体がなかったことが明らかになり「内乱陰謀」という恐ろしい容疑に対しても無罪が宣告された。
朝鮮日報は権力の手先だ
—「韓国は民主国家ではない」と言い切っていますね。
鈴置:今回の崔順実(チェ・スンシル)氏による「国政壟断事件」が露見する前でしたら、韓国人の反発を買ったと思います。でも今、韓国人は「これでも国か」と自信を失っています(「『美し過ぎた自画像』が呼んだ朴槿恵弾劾」)。
そんな時に「統合進歩党の解散だって、まともな国だったらあり得なかった」と言われれば「確かにそうだな」と考える韓国人が出ると思います。
しかし韓国の保守にとって「北朝鮮の傀儡組織」統合進歩党の解散は譲れない一線です。それに左派の矛先は自分たちに向いているのです。朴露子教授は朝鮮日報も批判しています。以下です。
- 朝鮮日報や韓国日報など多くの新聞が、国家情報院が執筆した「内乱陰謀」小説を事実であるかのように報じた。
- 情報機関とマスコミが一緒になって政権の政敵に対する従北攻撃(北朝鮮に賛同追従する勢力だという攻撃)に出るならば、民主主義や基礎的な人権常識がまともに残り得ようか?
左派政権のイジメ
—朝鮮日報は名指しで攻撃されましたね。
鈴置:最大手紙として保守の声を代表してきた朝鮮日報は当然、左派の最大の攻撃目標です。朴露子教授だけではありません。「朴退陣デモ」も朝鮮日報を標的にしています。
朴槿恵大統領の退陣を求める集会やデモの現場で歌われる歌には「セヌリ党よ、朝鮮日報よ、お前らも醜悪な共犯じゃないか」とのくだりがあります。
東京基督教大学の西岡力教授が月刊『正論』2017年1月号に載せた「混迷の韓国 次は過激な親北政権?」でこの歌を解説しています。西岡教授の記事によると、歌詞は以下のように続きます。
- (朴槿恵批判の)ショーをするな。だまされないぞ。お前らも解体してやるぞ。
—朝鮮日報が「標的」になると、販売部数が減るということですか。
鈴置:それもあります。韓国ではそれに加え、政権からのイジメも恐れなければなりません。金大中(キム・デジュン)政権、盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権の10年間、保守系紙は苦労しました。
左派政権から「税務調査するぞ」「オーナーを収監するぞ」と脅され続けたのです。韓国では新聞も政治のプレーヤーの1つなのです。
財閥も解体せよ
—次に左翼政権ができたら保守メディアは大変ですね。
鈴置:だから朝鮮日報も「広場に便乗する勢力」に対し、必死の反撃に出ています。朴相薫(パク・サンフン)論説委員の「大衆の憤怒に乗ってはいけない」(12月12日、韓国語版)から引用します。
- 警戒すべきことがある。(今の)雰囲気に便乗してすべてをひっくり返そうとする極端な流れだ。ろうそくデモの人波の中に、昔の統合進歩党勢力が登場した。
- 野党の大統領候補は「鮮明性」競争を繰り広げている。朴槿恵政権のすべてを否定するというのだ。支持率1位の候補は「国家の大掃除」を打ち出した。野党で2位の候補は財閥解体論に打って出た。財閥は直すべき点が多いが、「解体」とは扇動に近い。
- 大統領の退陣が既定事実となった状況で今、我々は冷静でなければならない。直すところは直し、守るところは守る――という玉石を見極める知恵を発揮すべきだ。
- 何を守るのか。国家の基本を守らねばならない。統合進歩党の解散は国家体制を否定する集団に対する憲法的決定だった。大韓民国の秩序を危険にさらす勢力に対しては、より目を見開かなくてはいけない。
サムスンのオーナーを面罵
—野党で支持率1位、2位の候補とは?
鈴置:2人とも「共に民主党」の政治家で、1位の候補とは文在寅氏。2位は昔から過激な発言を繰り返し「韓国のトランプ」と評される李在明(イ・ジェミン)城南市長です。

ただ李在明市長は「トランプ」とは異なって、政治的立場はかなり左です。極貧の環境で育った人で財閥解体論を唱えています。「日本は敵性国家だ」とも発言しています。
「ABP」ムードの中、「以前から朴槿恵を徹底的に攻撃してきた人」として急速にスポットが当たっています。文在寅・前代表の発言が過激になっているのも、李在明市長の人気急上昇を警戒してのことと見られています。
—韓国では財閥解体論が語られているのですね。
鈴置:「すべてをひっくり返す」一環です。12月6日、崔順実氏の「国政壟断事件」に関する国会の聴聞会に、財閥のオーナー9人が呼ばれました。朴大統領を初めとする歴代政権との「政経癒着」を追及されたのです。
ある野党議員はサムスン電子の李在鎔(イ・ジェヨン)副会長に向かって「あなたの財産は8兆ウォン(8000億円)でしょう」「相続税は(たったの)16億ウォン(1億6000万円)と言われています」と畳み掛けました。テレビで中継された聴聞会の場で、財閥への反感を煽ったのです。
韓国経済新聞は「『歳はいくつだ、経営権を手放せ』・・・企業人を面罵した聴聞会」(12月6日、韓国語版)の見出しでこの聴聞会を報じました。別の野党議員は李在鎔副会長を「50歳にもならないのに、ちゃんと質問に答えろ」と面罵したのです。
「革命前夜」の韓国
—韓国は「革命前夜」ですね。
鈴置:「ハンギョレ」にキム・ドンチュン聖公会大NGO大学院長が「再び岐路に立った韓国」(11月29日、日本語版)を書きました。これを読むと、左派の発想と戦略がよく分かります。引用します。
- 「キャンドルデモ」に集まった韓国の国民は真に偉大だ。その力で弾劾局面まで持ってきた。しかし朴槿恵政権の企画、監督、演出者はそのまま残っており、政策も何も変わっていない。
- 1987年の6月抗争(民主化)直後のように、いや4・19(1960年の学生革命)、いや8・15(日本からの独立)直後のように、韓国は再び岐路に立っている。
要は「韓国は何度も変革を体験したが、いずれも不十分だった」との認識です。そして「今こそ、既得権勢力を一掃して国を正そう」と呼び掛けたのです。以下です。
- このゲート(国政壟断事件)のすべての法律違反者と共謀者を徹底的に捜査・処罰し、責任を負わせなければならない。
- 検察改革、国家情報院改革、選挙法改正、公営言論改革がない改憲論や大統領選挙競争は、再び国民を”卒”(日本の将棋の歩に相当)に転落させるだろう。
- 弾劾は始まりに過ぎず、大統領選挙は終着点ではなく過程だ。
「革命の波」は外交にも
キム・ドンチュン大学院長らの「体制一新」の主張を、保守――既得権勢力は深い恐怖感とともに聞いています。空論ではなく実現しそうだからです。次の大統領選挙では左派が勝つ可能性が高いのです。
「韓国革命」の波が及ぶのは内政に留まりません。このまま行くと、米国との同盟を打ち切ることにもなりかねないのです。
(次回に続く)=12月22日に掲載予定
| 「国政壟断事件」の動き(2016年) |
| 7月 | |
| 26日 | TV朝鮮「財界の文化財団『ミル』への486億ウォンの募金に青瓦台幹部が関与」 |
| 10月 | |
| 24日 | JTBC、大統領演説の草稿など機密資料が崔順実氏に漏えいと報道 |
| 25日 | 朴大統領が資料提供を認めて国民に謝罪 |
| 26日 | 検察が崔氏自宅など家宅捜索。外交資料なども漏洩とメディアが報道 |
| 28日 | 朴大統領は首席秘書官全員に辞表を出させる。秘書室長が辞表提出 |
| 28日 | 韓国ギャラップ「朴大統領の支持率が6週連続で落ち、過去最低の17%に」と発表 |
| 29日 | 青瓦台、検察の家宅捜索を拒否。ソウルで1万人強の退陣要求デモ |
| 30日 | 青瓦台、検察に資料提供。朴大統領は一部首席秘書官らを辞任させる |
| 30日 | 与党、挙国一致内閣を提案するも野党は真相究明が先と拒否 |
| 30日 | 崔順実氏帰国、31日に検察に出頭、逮捕状なしで緊急逮捕 |
| 31日 | リアルメーター「潘基文氏の支持率が前週比1.3ポイント低い20.9%に」 |
| 11月 | |
| 2日 | 朴大統領、首相を更迭し、後任に盧武鉉時代に要職を歴任した金秉準氏を指名 |
| 2日 | 野党各党、新首相の就任に必要な国会聴聞会を拒否することで一致 |
| 2日 | 検察、安鍾範・政策調整首席秘書官を緊急逮捕 |
| 3日 | 検察、崔順実氏を逮捕。容疑は「安鍾範氏と共に財閥に寄付を強要した」職権乱用など |
| 4日 | 韓国ギャラップ「朴大統領の支持率は過去最低の5%、不支持率は89%」と発表 |
| 4日 | 朴大統領「検察の捜査受ける」と国民向け談話。野党は「退陣要求運動を展開する」 |
| 5日 | ソウルで4万5000強人の退陣要求デモ。釜山など他都市にも拡散 |
| 6日 | 禹柄宇・前民情首席秘書官が検察に出頭 |
| 7日 | 与党・セヌリ党の金武星議員、大統領に脱党を要求 |
| 7日 | 朴大統領、与野党代表との会談を提案するも3野党に拒否される |
| 8日 | ソウルで4万5000強人の退陣要求デモ。釜山など他都市にも拡散 |
| 8日 | 検察、崔順実氏に関連するとしサムスン電子本社や大韓乗馬協会を家宅捜索 |
| 8日 | 朴大統領、丁世均・国会議長を訪ね「国会が推薦する総理を受け入れ、内閣を任せる」 |
| 9日 | 野党3党、朴大統領の国会推薦総理案を「一考の価値なし。大統領は2線に引け」と拒否 |
| 9日 | 米次期大統領にトランプ氏決定 |
| 11日 | 韓国ギャラップ「11月第2週の大統領支持率は前週と同じ5%。不支持率は最高の90%」 |
| 12日 | 全国で朴大統領の退陣求める集会。ソウルでは26万人参加 |
| 13日 | 検察、「国政壟断事件」でサムスン電子の李在鎔・副会長ら財閥トップを参考人として聴取 |
| 13日 | 青瓦台「昨日、大統領は国民の声を重く受け止めた。国政正常化のため苦心している」 |
| 13日 | 検察、国政壟断事件に関連し朴大統領に15日か16日の参考人事情聴取を要請 |
| 13日 | 金武星・前セヌリ党代表「唯一の収拾策は大統領弾劾」 |
| 14日 | 与野党、国政壟断事件に関する特別検察官の任命で合意 |
| 14日 | 共に民主党、大統領に対する要求を「2線への後退」から「即時退陣」にと強化 |
| 14日 | 秋美愛「共に民主党」代表、早朝に大統領との会談を受諾したものの同日夜に拒否 |
| 14日 | 日韓、東京でGSOMIAに仮署名 |
| 15日 | 文在寅「共に民主党」前代表「条件なき退陣求め在野団体と『非常時局機構』作る」 |
| 16日 | 韓国軍「2017年初めまでにTHAAD工事着工」と発表 |
| 16日 | 朴大統領、釜山の大型不動産開発事業「エルシティ」を巡る疑惑の徹底調査を指示 |
| 17日 | 崔順実氏の国政介入疑惑に関し、特別検察官任命法案と国政調査実施を可決 |
| 18日 | 韓国ギャラップ「11月第3週の朴大統領の支持率は5%、不支持率は90%」 |
| 18日 | 秋美愛「共に民主党」代表「大統領は支持者による衝突と戒厳令を準備している」 |
| 18日 | 青瓦台「東京での韓中日首脳会談の日程が決まれば朴大統領は参加する」 |
| 19日 | 退陣デモ。全国で24万人、うちソウルは17万人(警察発表)。支持デモに1万1000人(同) |
| 20日 | 検察、崔順実氏らを職権乱用共犯などで起訴。「大統領も共謀と判断、捜査続ける」と発表 |
| 20日 | 朴大統領の弁護士「検察は想像と推測で捜査、対面調査には応じない」 |
| 20日 | 青瓦台「検察の発表は遺憾。特別検察官の捜査で無実を証明する」 |
| 20日 | 野党の大統領選立候補予定者ら8人「国民的退陣運動と平行し弾劾推進論議で合意」 |
| 21日 | 青瓦台スポークスマン、退陣を前提とした野党の首相推薦は拒否 |
| 21日 | 第1野党「共に民主党」と第2野党「国民の党」がそれぞれ弾劾推進を決定 |
| 22日 | 朴元淳・ソウル市長、閣議で閣僚辞任要求と日韓GSOMIAへの反対を表明 |
| 22日 | 崔順実疑惑を解明するための特別検察官任命法案を閣議決定 |
| 23日 | ソウルで日韓GSOMIA署名・締結。写真撮影禁止に韓国写真記者が一斉抗議 |
| 24日 | 野党3党、朴大統領弾劾で合意 |
| 25日 | 韓国ギャラップ、11月第4週の朴大統領の支持率は4%、不支持率は93% |
| 26日 | 5回目の退陣要求デモ。参加者はソウル27万人、全国32万人 |
| 28日 | 朴大統領の弁護士「求められた29日までの検察の対面調査は困難」 |
| 28日 | 政界元老集団と与党の「親朴」重鎮議員らがそれぞれ秩序ある退陣を朴大統領に要請 |
| 28日 | 教育部、国定歴史教科書の内容を開示 |
| 29日 | 朴大統領、3回目の国民談話を発表「任期短縮を含め進退は国会にすべて任せる」 |
| 30日 | 野党3党「無条件退陣の要求」と「弾劾推進」で合意 |
| 30日 | 朴大統領、国政壟断事件の特別検察官に元ソウル高検検事長の朴英洙氏を任命 |
| 12月 | |
| 1日 | セヌリ党、「4月退陣」を党論に決定 |
| 1日 | 朴正煕元大統領の生家に放火。犯人は「大統領が退陣しないので火を付けた」 |
| 2日 | 韓国ギャロップ、12月第1週の朴大統領の支持率は4%、不支持率は91% |
| 2日 | セヌリ党非朴派「12月7日午後6時までに退陣時期明言なければ弾劾に賛成」 |
| 3日 | 野党3党、朴大統領の弾劾訴追案を提出 |
| 3日 | 6回目の退陣要求デモ。参加者はソウル32万人、全国で43万人 |
| 4日 | セヌリ党非朴派「4月退陣案への大統領の姿勢とは関係なく弾劾訴追案に賛成する」 |
| 5日 | 青瓦台「『4月退陣・6月大統領選』案を朴大統領はセヌリ党員として受け入れる」 |
| 6日 | 国会で「国政壟断」に関する聴聞会。財閥オーナー9人が証人として出席 |
| 6日 | 朴大統領「4月退陣受け入れる。弾劾可決時には憲法裁判所の審理を見守る覚悟」 |
| 6日 | セヌリ党、弾劾訴追案は自由投票と決定 |
| 7日 | 国会で「国政壟断」に関する聴聞会。証人喚問された崔順実、禹柄宇氏らは欠席 |
| 8日 | 弾劾訴追案、国会本会議に報告。「セウォル号沈没当時の大統領の行為」は削除せず |
| 9日 | 国会、朴大統領の弾劾訴追案可決。賛成は234票でセヌリ党から62人が賛成 |
| 10日 | 「共に民主党」、憲法裁判所に「早期に弾劾を認めよ」と要求 |
| 10日 | 「即位退陣」と「逮捕」を求めソウルで12万人がデモ。4万人が弾劾無効訴え集会 |
| 15日 | 文・前代表「慰安婦の法的責任と謝罪を求め追加協議を。THAADは次の政権で」 |
| 16日 | 朴大統領の弁護人団「弾劾訴追に足る資料なし」と反論の答弁書を憲法裁に提出 |
| 16日 | 文・前代表「弾劾が棄却されたら革命だ」 |
| 17日 | ソウルで大統領の即時罷免と黄首相辞任を求めるデモ。保守派は弾劾無効を訴え集会 |
| 20日 | 崔順実氏、初公判で起訴内容を全面否認 |
※注 デモの参加者数は警察発表
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韓国の大統領候補は「離米派」揃い。韓国の「名誉革命」は「ロシア革命」から、さらに「キューバ革命」へと進む様相を呈している(写真:AP/アフロ)
(前回から読む)
「韓国革命」により、米韓同盟が存亡の危機に立つ。
「3点セット」拒否
前回は、韓国の自称「名誉革命」が、既得権層を打ち倒す「ロシア革命」に向かい始めた、という話でした。
鈴置:それだけではありません。米国との関係を断絶する「キューバ革命」に至る可能性も相当にあります。大統領候補と見なされる政治家が一斉に「米国離れ」を叫び始めたからです。
世論調査で支持率1位を占めることが多い「共に民主党」の文在寅(ムン・ジェイン)前代表。12月15日にソウルの外信記者クラブで以下のように語りました。
聯合ニュース「文『THAADは次の政府に先送りすべきだ・・・誰がなるかは分からずとも、政権交代は確実』」(12月15日、韓国語版)から引用します。
- 朴槿恵大統領の職務が停止され首相が権限を代行する中で、THAAD(地上配備型ミサイル防衛システム)を強行するのは望ましくない。次の政権で十分に議論し、外交的努力を尽くして合理的な判断を下すべきだ。
- (日本との慰安婦合意に関しては)正当性を認めることが難しい。合意に関する両国の説明が異なるだけに、合意を(再)確認する必要がある。
- (日本とのGSOMIA=軍事情報包括保護協定=については)この協定を通じ受け渡しする情報が何なのかに対し、十分に見直し検討する必要がある。
THAADもGSOMIAも、そして実は「慰安婦合意」も米韓同盟の紐帯です。その3点セットをすべて見直す、と表明したのです。「文在寅政権」は米国との同盟を打ち切る方向で外交政策を組み立てると宣言したのも同然です。
文・前代表は翌12月16日にも「大統領に当選したら最初にどこに行くか」との質問に「躊躇せずに言う。私は真っ先に北朝鮮に行く」と答えました。
これも明確に「離米路線」を打ち出したと受け止められました。朝鮮日報が「文在寅『国民の憲法意識がすなわち憲法・・・弾劾棄却すれば次は革命しかない」(12月17日、韓国語版)で報じています。
韓国防衛に責任を持てない
—「慰安婦合意」も米韓同盟に絡むのですか?
鈴置:米国から、日本とのGSOMIAを結べと要求された朴槿恵政権は「日本が慰安婦問題の解決に応じない」という無茶苦茶の言い訳を掲げて逃げ回りました(「ついに米国も韓国に踏み絵を突きつけた」参照)。
一方、韓国の要求に対し安倍晋三首相は「何度も謝る必要はない」と突っぱねるつもりでした。しかし、米国の仲介でやむなく「慰安婦として苦労した方々へのお詫びと反省の気持ち」を表明したうえ、元慰安婦を支援するために10億円を支払いました。
そして両国の外相は「この合意により、慰安婦問題は最終的かつ不可逆的に解決された」と確認しました。これが2015年12月28日の「慰安婦合意」です。
慰安婦合意は米国を事実上の保証人として成立したのです。ことに「最終的かつ不可逆的」部分は韓国の蒸し返しを防ぐために、日本が望んだ条件でした。逆に言えば、韓国がこの合意を破棄する時は、米国との相当な摩擦を覚悟せねばなりません。
THAADもGSOMIAも同様です。米国は韓国に対し「この2つを拒絶するなら、米国は韓国の防衛に責任を持てない」と言い渡していた模様です。米国の国防政策に詳しい日本の安全保障専門家が明かしました。
THAADは米国が長らく配備を希望していました。韓国を守るために在韓米軍基地は存在します。それを防衛するためのTHAAD配備です。韓国が拒否するというなら、米軍が出て行くのは当然です。
しかし中国から「配備を認めるな」と脅されたため、韓国はなかなか応じませんでした。ようやく2016年7月8日になって米韓は正式に合意しました。配備の場所は慶尚北道・星州(ソンジュ)に確定し、時期は2017年末の予定です。
突然動いたGSOMIA
日韓のGSOMIAも主な狙いは北朝鮮のミサイル対策です。日米と米韓は同盟を結んでいるため、その間では軍事情報は円滑にやり取りできます。しかし日韓の間には同盟関係はありません。
そこで米国は日韓間でGSOMIAを結ばせ、3カ国の軍事協力強化を狙ったのです。しかしこれにも中国が反対しており、朴槿恵政権は乗り気ではありませんでした。
その朴政権が突然に動いたのが10月27日でした。聯合ニュースが「韓国政府、日本とのGSOMIA締結を検討」と報じたのです。そして11月14日には、東京で仮署名という素早い展開になりました。
米国からの「見捨てられ」を懸念したと思われます。崔順実(チェ・スンシル)氏の「国政壟断事件」で朴政権は突然に弱い立場に追い込まれました。
「GSOMIA検討」を聯合ニュースが報じた日の2日前の10月25日に、朴大統領は自分の非を認める1回目の国民談話を発表しています。1日前の10月26日には検察が崔順実氏の自宅など家宅捜索しています。
混乱時には米国が「裁定」
—「国政壟断事件」とGSOMIAがどう関係するのですか?
鈴置:韓国で民衆が蜂起し、これを抑えるため戒厳令が布告されるなど際どい状況に陥った時、米国は「裁定」を下してきました。
1960年、初代の李承晩(イ・スンマン)大統領が戒厳令を出した際、米国は圧力をかけて下野させました(「朴槿恵の下野か、戒厳令か」参照)。
1979年に釜山などで民主化運動が突然に高調した時、当時の政権は動揺し地域限定で戒厳令を布告しました。この事件が朴正煕(パク・チョンヒ)大統領――朴槿恵大統領のお父さんです――暗殺事件の遠因となりました。
暗殺犯は大統領の側近でした。民主化運動を弾圧する朴正煕政権を米国が見放すと想定した上での犯行だった、との見方も多いのです。
現在も韓国メディアは「平和なデモを米国政府が支持している」などと相当に無理筋の分析記事を流し、朴大統領に圧力をかけています。
「民衆蜂起」を恐れる朴槿恵大統領とすれば、米国の信任を取り付けるために日本とのGSOMIA締結を急ぐ必要があったのです。
10月29日に「朴退陣」を求める第1回目のデモが起きました。青瓦台(大統領官邸)に迫るものでした。GSOMIA決断の情報リーク(10月27日)は、その直前だったのです。
見捨てないでね
THAADも「国政壟断事件」との関連を疑わせます。韓国軍は11月16日、突然「2017年初めまでにTHAAD工事着工」と発表しました。
「THAAD配備を認めるな」との中国の圧力は相変わらず続いていますから、朴政権は「着工」をできる限り先延ばししたかったはずです。
そもそも配備に同意したのも、親中派が「配備拒否」に動いたため、その反動で認めてしまった側面が強いのです(「『中国陣営入り』寸前で踏みとどまった韓国」参照)。
しかし、デモの参加者が膨れ上がり、朴大統領の支持率も急降下。背に腹は代えられず「THAADも約束通りちゃんと受け入れます」とメッセージを出すことで、米国から見捨てられる可能性を少しでも減らそうとしたのだと私は見ています。
強弁に終始した文在寅
—文在寅・前代表は米韓同盟に関し明確な発言をしていますか?
鈴置:12月15日の外信記者クラブでの会見では、以下のように語りました。
- 韓米同盟が強固であることが何よりも重要だ。過去の政府の韓米政策をそのまま継承することはもちろん、同盟を強固にし、発展させるよう努力する。
でも、この発言をそのまま受け止めた韓国紙はありませんでした。「THAADもGSOMIAも見直す」と言っているのですから「過去の韓米関係を継承する」ことは不可能です。なお、文・前代表はTHAADに関しても以下のように付け加えています。
- THAADの再検討が韓米同盟を害するとは思わない。
これも誤魔化しです。在韓米軍基地へのTHAAD配備は「韓国防衛に責任が持てない」とまで言われたので朴槿恵政権が認めたのです。文・前代表は在韓米軍の撤収や米韓同盟の打ち切りを覚悟のうえで、再検討を語っているのでしょう。
離米は「トランプ」が先導
—安保問題に関しほかの候補は?
鈴置:野党候補は皆「3点セット」見直し論です。要は「離米派」ばかりです。朴大統領の行ったことはすべてひっくり返す、というのが今の韓国のムード。「ABP(Anything but Park)」なのです。
中でも、この3点セットは朴槿恵大統領の「悪行中の悪行」とされています。大統領選に立候補する者なら「NO!」と叫ばなくてはなりません。
激しい発言から「韓国のトランプ」と呼ばれる李在明(イ・ジェミョン)城南市長の発言に注目する必要があります。李在明市長は「日本は敵性国家だ」とまで言い出し、それを理由に「3点セット」に強く反対しています。
支持率調査あるいは人気投票で2位、あるいは1位に付けることもある政治家です。この人の発言に引っ張られ、与党系含めすべての候補が「反日・離米」に傾いて行くと思います。
「油ウナギ」の潘基文
—保守・中道から出馬すると言われる国連事務総長の潘基文(バン・キムン)氏も、ですか?
鈴置:潘基文氏は「慰安婦合意」に関しては歓迎を表明したことがあります。中央日報が「潘基文国連事務総長『朴大統領の慰安婦妥結勇断、歴史が評価』」(1月4日、日本語版)で報じています。
ただ、この人の韓国でのあだ名は「油ウナギ」。状況に応じて姿勢をコロコロ変えるので有名です。慰安婦合意の直後は、朴大統領を援護射撃するために「歓迎」を表明したのでしょう。
でも、今や「韓国人の憎悪の的」となった朴大統領とははっきりと距離を置いています。むしろ「離朴」の証拠として「慰安婦合意の見直しを要求する」と言い出すかもしれません。もともと、反米で鳴らした盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権の外交通商部長官だった官僚です。
—GSOMIAやTHAADも見直すつもりでしょうか?
鈴置:その可能性が大いにあります。この人は「中国に弱い」のでも有名です。潘基文氏は2015年の天安門の軍事パレードを参観しました。
その際、会談した習近平主席に「この行事によって、平和を守るという中国の人々の願いが存分に示された。中国は長年にわたって国際平和・開発事業に積極的に尽力してきた」と称賛したのです(「『中国の尻馬』にしがみつく韓国」参照)。
米国のアジア専門家の中には「この男が大統領になったら、韓国は完全に中国側の国になる」と言い切る人もいます。
国連事務総長になれたのは米国の強力な後押しがあったからです。でも、米国にすれば「やらせてみたら中国の言いなりだった」のです。
中国が決める韓国の進路
—でも、潘基文氏は韓国ではそれなりの支持率を維持しています。
鈴置:保守としては他に選択肢がないのです。世論調査でも、5%以上の支持を獲得できる保守の大統領候補はこの人しかいないのです。
—逆に、野党候補の中に「当選するまでは『離米』だけれど、当選したら米韓同盟を熱心に維持する人」は出てきませんか。
鈴置:安哲秀(アン・チョルス)「国民の党」共同代表はそうかもしれません。「経済はリベラル」を標榜していて財閥には厳しい。でも「政治は保守」をうたっていますから。
ただ、この人を含め、韓国の政治家は外交政策を自ら選択できなくなっています。中国が圧力をかけ続けているからです。それに抗してTHAADやGSOMIAに賛成できる政治家がいるかは、大いに疑問なのです。
(次回に続く)=12月27日掲載予定
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『北方領土交渉進展へ一段と高いハードル 共同経済活動はもろ刃の剣』(12/20日経ビジネスオンライン 池田 元博)について
左翼リベラル偏向メデイアは論外ですが、保守派の中にも「経済支援だけすると、食い逃げされる恐れがある」との批判があります。可能性としては確かにその可能性はありますが、それを恐れていては何もできません。それでは中国へ6兆円も支援したときに、ストップをかけたかと言いたいです。日本の支援にも拘わらず、中国は南京や従軍慰安婦の嘘を世界に撒き散らし、反日教育をして国民に日本に対し恨みを抱くようにし、且つ尖閣はおろか沖縄までとりに来ようとしています。ロシアは少なくとも反日教育はしていません。将来国民同士が友好的に付き合うことは可能と思います。勿論、日ソ中立条約違反やシベリア抑留等過去の問題はあったにしろ。米国の原爆投下を許してきたのだから、充分ロシアの過去の行為だって許せるはずです。日本人の特質は「水に流す」ことです。中国人・韓国人のように歴史をあげつらって強請る民族ではありませんので。
ある人は「北方領土返還で一番問題は4島に日米安保が適用されるかどうか。安倍首相が1月下旬にもトランプ大統領と会い、日米安保の適用除外or4島に米軍基地は置かないと確認、密約するのでは。それを受けて本格的な返還交渉、平和条約締結交渉となるのでは」と言っていました。今回の安倍・プーチン交渉は、その露払いであったのかもしれません。日本の最大の敵国は中国です。米国の力が相対的に下落傾向にある時に、中国包囲網を築くには、ロシアをどうしてもその中に組み込まなければなりません。
米国メデイアや日本のメデイアの発する記事だけでは、真実を師知ることはできません。ネットでいろんな情報を取り、情弱を脱しませんと。それをベースにして自分の頭で考えるようにすれば、メデイアや学者、共産党や反日民進党の嘘にも騙されなくなります。民主主義は国民一人ひとりが賢明になることが要請されている政治システムです。そうでなければ衆愚政治に陥ります。
記事
やはり、というべきだろうか。大統領として11年ぶりとなったロシアのプーチン大統領の来日は、北方領土問題を含めた平和条約締結交渉で確たる進展のないまま終わった。ロシア側の強硬な立場が改めて浮き彫りになった。

来日したプーチン大統領は12月16日、安倍首相と共同記者会見を行った(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)
ロシアの首脳にとって、日本訪問は鬼門だ。会談では常に北方領土問題が議題の中心にならざるを得ないからだ。プーチン大統領が今回、初日の会談場所となった山口県の旅館に約2時間半遅れて到着したのも、日本側の期待値をあらかじめ下げる思惑があったのかもしれない。
12月15日に安倍晋三首相の地元の山口、翌16日には東京に場所を移し、2日間に及んだ今回の日ロ首脳会談。大統領の到着が遅れたとはいえ、会談時間は合計で約6時間に上った。このうち領土問題を集中的に議論したのは、初日の安倍首相とプーチン大統領による通訳だけを交えたサシの会談だった。
首相は2人だけで約95分間も会談したとし、「平和条約の問題を中心に議論した」と語った。その成果は翌日、日ロが別々に発表した2つの「プレス向け声明」に盛り込まれた。ひとつは北方4島における共同経済活動の協議開始の合意、もうひとつは4島の元島民らがロシアの査証(ビザ)なしで「自由往来」できる制度の拡充・簡素化をうたったものだった。
なかでも注目を集めたのは、4島での共同経済活動だろう。声明では共同経済活動の協議開始が「平和条約の締結に向けた重要な一歩になり得る」と指摘。具体的な分野として漁業、海面養殖、観光、医療、環境などを挙げ、関係省庁に条件、形態などを調整する協議開始を指示するとしている。
さらに、実施のための法的基盤の諸問題は「国際約束の締結」を含めて検討するとし、共同経済活動が「平和条約問題に関する日ロの立場を害するものではない」と明記した。声明には、両首脳が「平和条約問題を解決する自らの真摯な決意を表明した」との一文も盛り込まれた。
なんとかつないだ、領土問題解決への「細い糸」
ロシアのウシャコフ大統領補佐官によると、日ロは数週間前から事務レベルで「共同文書」の作成作業を進めてきた。しかし、文書の内容や表記の仕方で合意できず最終的に首脳の裁量に委ねられ、両首脳が約40分かけて調整したという。つまり95分に及んだ2人だけの会談のうち、半分近くは「プレス向け声明」に費やしていたわけだ。
ちなみに、当初予定していた共同声明が日ロ別々の「プレス向け声明」になった理由をいぶかる向きもあるが、日ロの表記で違う部分は北方4島の表現だけだ。日本側は「択捉島、国後島、色丹島及び歯舞群島」とし、ロシア側は「南クリール諸島」と記している。4島の名前を明記しなかったのは、ロシアでは歯舞群島とは言わず、色丹島と歯舞群島を合わせて「マーラヤ・クリールスカヤ・グリャダー」(小クリール群島)と総称しているからだろう。
話を戻そう。今回の会談は日ロの領土交渉の当面のヤマ場とみられていたが、発表された声明を見る限り、領土問題という言葉は全くなく、4島における共同経済活動の協議開始がほぼ唯一の成果だったことになる。
安倍首相は9月にロシア極東のウラジオストクを訪問した際、プーチン大統領と会談後に「新しいアプローチに基づく交渉を今後、具体的に進めていく道筋がみえてきた」と表明していた。その道筋が今回の合意だったのだろうか。
首相はウラジオ訪問に先立って5月にロシア南部のソチを訪問し、ウクライナ危機後に控えていた本格的な日ロ首脳対話を再開した。このソチ訪問の際に、首相はプーチン大統領との間で「新しいアプローチ」を掲げたわけだが、日本側はその一環として、当時から北方領土での共同経済活動に前向きに取り組む姿勢を示していたとされる。
ただ、ソチ、ウラジオ会談当時、日本側が想定していたのは恐らく、「2+α」方式だったのだろう。色丹、歯舞両島は日本に引き渡してもらい、択捉、国後の両島は共同経済活動によって日本が関与できる形で決着させる方式だ。
プーチン大統領はかねて、平和条約締結後に色丹、歯舞の2島を日本に引き渡すとした1956年の日ソ共同宣言の有効性を認めている。北方領土での日ロの共同経済活動にも前向きだ。安倍首相は70年以上も未解決の北方領土問題を動かすには、ロシアが応じやすい方式で着地点をみいだすのが現実的だとみて、これを「新しいアプローチ」と称して進めてきたようにみえる。
ところが、プーチン大統領の来日が近づくにつれ、領土問題に対するロシア側の想像以上に厳しい姿勢が明らかになり、結局は共同経済活動と元島民らの4島往来の拡充だけを打ち出す形で、なんとか細い糸をつないだのが実情ではないだろうか。
早くも浮き彫りになった日ロの見解の相違
では、共同経済活動によって平和条約交渉進展の道は開けるのだろうか。
もちろん、北方4島に日本が直接関与できるメリットはある。ヒト、モノ、カネの往来を盛んにし、現地の経済インフラを整えれば、将来の返還に向けた環境整備を事前に進めることにもなるし、地元住民との信頼醸成にも寄与するだろう。しかし、主権の問題があやふやなまま進めれば、逆にロシアによる4島の実効支配を固定化することにもなりかねない。共同経済活動はもろ刃の剣だともいえる。
両首脳の声明は確かに「双方の(法的な)立場を害さない」としており、安倍首相は「ロシアの法律でも日本の法律でもない特別な制度の下で実施していく」と述べ、「特区」を念頭に進める考えを示す。ただ、ウシャコフ大統領補佐官は「(4島が)ロシアに帰属しているのだから、ロシアの法律で実施するのは当然だ」としており、早くも日ロ間の見解の違いが浮き彫りになっている。
過去をさかのぼると、日ロ両国は1998年、北方領土の周辺水域での日本漁船の操業枠組み協定を結んだ経緯がある。管轄権を事実上棚上げにして、双方が安全に漁業に従事できるようにしたもので、日本側は今後、これを参考にしながら実現の道を探っていくとみられる。
ただ、小渕政権時代のこの年には日ロの共同経済活動委員会も設置され、操業枠組み協定を発展させてウニ、貝類の栽培漁業などを進めようとしたが、主権の問題などが絡み実現しなかった。今回もあくまでも「双方の立場を崩さない」方式で共同経済活動を実施しようとすれば、入念かつ綿密な事前調整が欠かせない。実現にはかなり長い時間がかかるとみるべきだろう。
新たなリスク要因となりかねない共同経済活動
首脳会談で打ち出された共同経済活動の協議開始の合意は、別の観点からみても新たなリスク要因となりかねない危うさを抱える。今後の平和条約交渉を進める前提条件となる恐れがあるからだ。
プーチン大統領はこれまで、平和条約の締結には「高いレベルの信頼関係」が不可欠とし、信頼醸成のひとつの方策として、日ロ間の大規模な経済協力を挙げていた。一方の日本側は今回、安倍首相が提案した「8項目の対ロ経済協力プラン」に基づき、官民合わせて80件、総額で3000億円規模に上る日ロの合意文書をまとめた。
ところが、プーチン大統領は来日直前、読売新聞と日本テレビのインタビューで、「例えば南クリール(北方領土)を含めた大規模な共同経済活動」が平和条約を準備する条件づくりに寄与するかもしれないと語っている。来日時の合意事項を事前に踏まえたうえでの発言といえるだろう。
つまりロシア側は今後、日本が4島でどれだけ共同経済活動に関心があるのかを注視するだろうし、仮に活動条件や形態をめぐる事前調整が長らく難航すれば、平和条約締結に向けた「高いレベルの信頼」が醸成されていないと言い続けることもできるわけだ。
大統領は来日時の共同記者会見で、ロシアは1855年の日魯通好条約で北方4島を日本に「引き渡し」、第2次世界大戦後にこれらの島々を「取り戻した」と言明した。両国の国境線を択捉島とウルップ島の間と定めた通好条約は日本側が「北方4島は日本固有の領土」と主張する根拠になっているが、大統領は当時から「ロシアは自国に帰属するとみなしていた」として、日本の歴史認識にも鋭くクギを刺した。
日ソ共同宣言についても「(主権の問題を含めて)どのような原則で2島を日本に返還するのかは分からない」と改めて強調。日米同盟に基づき、米軍が駐留する懸念も領土交渉の障害になっていると示唆している。平和条約締結交渉の前途はかなり厳しいと予測せざるを得ない。
ロシアが強硬姿勢を貫く背景には、米国でロシアに融和的なトランプ政権がまもなく誕生し、原油価格も底打ちしたことで、日本に接近する動機が薄れたという事情もあるのだろう。
平和条約締結への前向き姿勢は崩していないプーチン大統領
ただし、ここで止まってしまえば、領土問題決着の道は完全に閉ざされる。プーチン大統領の国内支持率は依然として80%を超え、しかも強い指導力を持つ。手ごわい相手ではあるが、日ロの平和条約締結に前向きな姿勢は崩していない。

安倍首相はその大統領とすでに16回も会談している。今後とも首脳間の信頼関係をはぐくみ、日ロ双方の国益や実利につながる協力を積み重ねながら、局面打開の方策を粘り強く模索していくべきなのだろう。
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『トランプ時代の米中対立、想定される中国の報復シナリオ』(12/16ダイヤモンドオンライン ロイター発)、『習近平主席「トランプ劇場」に我慢の限界?』(12/14日経 中沢克二)について
トランプがブランスタド・アイオワ州知事を駐中国大使に任命するのは、楊潔篪と父ブッシュの逆をやると考えれば良いのでは。問題が生じたときの、緩衝材としての役割を果たすことが期待されていると思います。
http://blog.livedoor.jp/ussyassya/archives/52076054.html
上のURLのブログ記事を読みますとイレーン・ラン・チャオ(趙小蘭)運輸長官候補は江沢民派と思われます。
江崎道朗氏によれば、今の習政権は江派の利権を潰すように動いているという事なので、中国からの投資で米国へのインフラ整備は難しくなるのでは。日本の出番と思われます。企業も内部留保を貯め込むだけが能でなく、安全保障にも目配りした外国投資が必要です。トランプはインフラ整備にメイドインUSAの物を使うと言っていますので、工場を建てるとか金融支援の道を探さないと。中国と米国の経済的結び付きをこれ以上深めないように日本は振る舞うべきです。
ダイヤモントのロイター記事にありますように、中国は着々と米国に報復しています。あまつさえ、日本や台湾にまでも。
①台湾近辺での軍事的挑発
中沢氏の記事にありますように、人民解放軍は空自機にロックオンしたのは間違いないでしょう。空自機が妨害弾を発射することは憲法の制約があってできないはずです。「チャフ」や「フレア」でロックを回避したという所では。12/17の士気の集いの江崎道朗氏の講演会に織田邦男氏も来ていましたが、「差しさわりがある」とのことで事実関係につき聞けませんでした。やはり、憲法を早く改正しないと、自衛隊員の命が守れません。
②南シナ海における対決姿勢
12/17日経<中国、南シナ海で米の無人潜水機奪う 米は返却求める
【ワシントン=川合智之】米国防総省のクック報道官は16日、南シナ海の公海を調査していた米国の小型無人潜水機1機を中国海軍の艦船が奪ったことを明らかにした。「国際法の義務に従い、無人機を速やかに返却するよう中国に要請する」と表明した。
15日にフィリピンのスービック湾から約90キロメートル北西を航行していた米海軍の調査船が、海温や塩分濃度などを調べる無人機を海中に降ろして調査していたところ、中国海軍の艦船が近づいて無人機を引き揚げた。米海軍は無線で返却を呼びかけたが、中国軍艦は無視して立ち去ったという。
米メディアによると、無人機の価格は15万ドル(約1800万円)。無人機が集めていたのは海洋調査のデータで、機密情報ではないとしている。中国軍艦は米海軍の調査船に数日間にわたりつきまとっており、調査船が無人機を回収しようとした際、先回りして引き揚げ、去っていったという。
>(以上)
12/18日経<米、中国が奪取した潜水機返還で合意と発表
【ワシントン=川合智之】米国防総省のクック報道官は17日、中国軍が南シナ海で奪取した米国の無人潜水機について、返還を受けることで中国側と合意したと発表した。中国側も17日に返還する意向を示していた。>(以上)
中国は分かりやすく報復行動を起こします。子供じみていますが、何と言われようとも脅した方が良いと考えるのが彼らの流儀です。これから延々とこういう展開が続くと思います。しかし日米のメデイアとも強く中国を非難することはしません。左翼・リベラルの巣窟と言うこともありますが、中国のことですから裏で金を配っているのでは。悪の国の経済を大きくすれば賄賂の財源として使われます。日系企業はもっと考えないと。
オバマは本当に罪作りです。世界の平和を攪乱するような怪物を作り上げて。それでいてロシアにあれだけ強硬なのですから、二重基準としか言いようがありません。「ノーベル平和賞」受賞には全然値しないでしょう。選考基準がおかしいのでは。
ダイヤモンドオンライン記事

2月13日、米国のドナルド・トランプ次期大統領が中国を怒らせている。台湾の蔡英文総統と電話会談を行い、米国が長く維持してきた「一つの中国」原則と言う立場を必ずしも堅持する必要はない、と発言したためだ。写真は2011年、北京のホテルに掲げられた米国と中国の国旗(2016年 ロイター/Jason Lee)
[13日 ロイター] – 米国のドナルド・トランプ次期大統領が中国を怒らせている。台湾の蔡英文総統と電話会談を行い、米国が長く維持してきた「一つの中国」原則と言う立場を必ずしも堅持する必要はない、と発言したためだ。
台湾問題は、米中関係における最も難しい要素であると言える。中国は台湾を反乱地域と見なしており、これを支配下に置くための武力行使を放棄したことはない。
トランプ氏が台湾問題をめぐって強硬姿勢を維持する場合、米国に対する中国の報復措置として、想定されるシナリオは以下の通り。
- 米国との断交
トランプ氏が台湾に対し、何らかの公式な外交的承認を提示するならば、中国は大きな混乱を招く過激な行動ではあるが、米国との外交関係を絶つ可能性が高い。中国は、台湾と国交を維持する国に対して外交関係を持つことを拒否している。米国との断交は、中国政府による最終手段となる可能性が高い。
- 台湾近辺での軍事的挑発
中国は、台湾近辺で軍事的挑発を行うことで、台湾支配に向けた決意を示す可能性がある。たとえば、人口密度の高い台湾西岸に近い水域にミサイルを発射することによって海路や空路を実質的に封鎖するなどの手段に訴える可能性があり、これは地域を不安定化する動きとなる。中国の国営メディアは、台湾問題を断固として解決するためには、いまや軍事的手段が必要となるかもしれないとさえ示唆している。
- 南シナ海における対決姿勢
中国は領有権争いが生じている南シナ海において、「航行の自由」作戦の下で米国が行った哨戒活動に怒りを示してきた。中国は南シナ海で占拠した島嶼(とうしょ)や岩礁で埋め立て工事を行い、飛行場その他の施設を建設している。
これまで中国は、哨戒活動を行う米艦を追尾し、言葉による警告を発するという形で対応してきた。だが、米国による今後の哨戒活動に対しては、より強硬な手段をとる可能性がある。2001年には、米軍の偵察機が南シナ海で中国側戦闘機と接触した後、中国領内に強制着陸させられた例がある。
ただし、中国は自国の通商路を確保しておくために南シナ海の平和を必要としており、軍事衝突を起こすことには消極的だろう。
- 台湾向け武器輸出に関与する米国企業への制裁
2010年、中国はオバマ米政権による台湾への新たな武器輸出に怒りを示し、関与した米国企業への制裁措置をほのめかした。最終的にはこの制裁は実施されなかった。
- 保有する米国債の大量売却
中国は米国にとって最大の債権国であり、9月時点で1兆1600億ドル(約137兆円)相当の米国債を保有している。
中国が保有する米国債のかなりの部分を急に売却すると決定すれば、米債券市場に深刻な打撃を与え、米国は資金を求めて慌てることになる。ただ、中国による報復的な米国債の大量売却は、精密な照準爆撃とはなり得ない。グローバル市場を混乱させ、ひいては中国自身にもその衝撃が及ぶ可能性が高い。したがって一部のアナリストは、こうした動きは、戦争に次ぐ最悪のシナリオと認識している。
- 北朝鮮への圧力緩和
米国は、核武装を進める北朝鮮に対して、中国に「厳しい対応」を繰り返し求めている。中国は北朝鮮にとって経済や外交面における最大の支援者ではあるが、中国自身も北朝鮮の核実験・ミサイル発射実験については強い怒りを示している。
中国が米国への不快感を表現するために北朝鮮に対する国連制裁を緩和する可能性はあるが、それは逆効果を招き、結局のところ、北朝鮮政府とそのミサイル・核開発計画を後押ししてしまう可能性がある。これは中国政府が望まない結果だ。
- 米企業に対する圧力
国営メディアや消費者団体を通じて、あるいは単に国民感情を煽ることによって、米企業に打撃を与えるという間接的な手段もある。
南シナ海における領有権紛争に関して今年、国際司法の場で中国が敗れた後、アップルやケンタッキーフライドチキンの親会社ヤム・ブランズなど複数の米国ブランドが、短期間ではあるが反米的な抗議行動やボイコットの標的となった。
米企業に対し関税を引き上げる可能性や、航空機などの製品について、米国以外の競合他社へ乗り換える動きが露骨に進められることも考えられる。
また中国は、国内で活動する米企業に対して官僚主義的な障害を設けるかもしれない。在中の米大手消費財メーカー幹部は、米企業に対する何らかの報復があるとすれば、声高で攻撃的な対応よりも、地元当局による認可プロセス停滞や書類処理の遅れなどが発生する可能性が高いとロイターに語った。
- 農産物調達先の乗り換え
銅からトウモロコシ、原油に至るまで、中国は世界随一のコモディティ消費国である。したがって中国は、農産物調達先の乗り換えを模索することで米国に打撃を与えることができる。トウモロコシから大豆に至るまで、米国産農産物の中国輸出量は、2015年に過去最高の4790万トンに達した。
- 市場アクセス推進の停止
トランプ氏が「1つの中国」原則を捨てれば、ほぼ確実に2国間投資協定をめぐる協議に差し障りが出る。そもそもトランプ氏はこの種の協定に乗り気ではないかもしれないが、2国間投資協定による市場アクセスの拡大は、中国に対して米ビジネス界が望む最優先項目である。
以前からずっと、米中の2国間投資協定が中国に対する投資自由化の先駆けになると考えられていた。その協議が停滞すれば、中国は欧州との投資協定に関する協議を推進する可能性もある。
- サイバー問題に関する合意への障害
トランプ氏が「1つの中国」政策を維持しなければ、2015年に中国の習近平主席とオバマ大統領が合意したサイバーセキュリティに関する誓約を中国が反故にする可能性がある。政府顧問やセキュリティ専門家は、この誓約によって中国主導のサイバースパイ行為が減少したと評価している。
(Ben Blanchard記者、Michael Martina記者、John Ruwitch記者、 Jo Mason記者、Adam Jourdan記者、翻訳:エァクレーレン)
日経記事
「トランプが『一つの中国』を商業的な利益と交換しようとするのは幼稚な衝動だ」「外交をまるで知らない子供」「台湾に関して平和統一を武力統一に優先させる必要があるのか」
中国共産党機関紙、人民日報傘下の環球時報は12日付の社説でかなり鋭く米次期大統領トランプを攻撃した。言いたい放題である。そこには共産党内部の本音がにじむ。
さらに、13日付社説では「北京は、非平和的手段による台湾独立派への様々な懲罰を探る必要に迫られている」「武力行使による台湾統一は一つの選択肢だ」などと強調した。
同紙は中国の保守・強硬派を意味する「左派」の影響力が強く、ときに当局の公式答弁と異なる見解を示す裁量権を持つ。特に今回は、中国が武力行使も辞さない「核心的利益」とする台湾問題だ。関係者は「編集幹部は人脈上、人民解放軍との関係が深く、内部の声も反映されている」と指摘する。
■「一つの中国」のほごも取引次第
「様々な取引ができないなら、なぜ『一つの中国』の原則に縛られなければならないのか」
トランプの米FOXテレビにおける発言は、中国国家主席、習近平に衝撃を与えた。中国が40年かけて慎重に重ねた「積み木」を崩されかねない。トランプは「外交の素人」を装って、高いハードルを軽々と乗り越えそうな勢いだ。その威力は、トランプと台湾総統の蔡英文による電話会談を超す。
なお、中国政府の公式答弁はおとなしい。「関係報道に注目している」「強く懸念している」。中国外務省スポークスマンは、トランプという固有名詞の名指しをあえて避け、新しい米政府の指導者という用語を使った。「一つの中国」に関する立場を表明する声色も抑制的だ。
なぜなのか。前回、このコラムで紹介したように、訪中した米元国務長官、キッシンジャーが習近平に「協力的に対処せよ」とアドバイスした点も効いている。
習近平としては、トランプが2017年1月20日に大統領に就任する前に、決定的な対立に至るのは避けたい。だが、共産党内の情勢は刻々とそれを許さない雰囲気に傾きつつある。その一端が、連日掲載された環球時報の社説にも表れた。

習近平・中国国家主席(左)とトランプ米次期大統領=AP
一方、トランプは中国に変化球を投げ込んだ。次期駐中国米大使に70歳のアイオワ州知事、ブランスタドを指名したのだ。習近平の古い知り合いだからである。1985年、32歳だった習近平は初めて訪米した。当時、彼は河北省の小さな町、正定県のトップだった。
訪米の目的は、農業大国の穀倉地帯、アイオワ州の視察である。そこで習近平は、若きアイオワ州知事のブランスタドに会う。中国トップへの道が見えてきた頃から、2人のパイプは徐々に太くなる。12年、習近平が国家副主席として訪米した際も、わざわざアイオワ入りし食事を共にした。
トランプ人事は、なかなか巧妙である。農業州、アイオワにとって中国は大得意先だ。トウモロコシ、大豆の大切な輸出先なのだ。中国は、習近平の「老朋友(古い友達)」を拒めないし、農産物の対中輸出拡大にも寄与する、とにらんでの人選だった。
はたして中国は、次期中国大使を大歓迎した。トランプ・蔡英文の電話会談が「硬」の策とすれば、中国に秋波を送る「軟」の策がブランスタドの起用――。中国はそう分析した。
ところが、事はそう単純ではなかった。それはトランプが出向いたアイオワ州の集会に布石があった。トランプは次期大使を紹介する前のあいさつで、予想を覆して対中強硬発言を繰り返した。ツイッターのつぶやきを拡声器で言い直したような中身は、大統領選挙中の激しい言葉を彷彿(ほうふつ)とさせた。
■駐中国大使は「トロイの木馬」か

2016年9月、宮古海峡の上空を飛行して西太平洋に向かう遠洋訓練を強行した中国空軍のH6K爆撃機(左)と戦闘機スホイ30=共同
「米国の貿易赤字の半分近くを中国がつくり出している。中国は市場経済でない。彼らに(規則順守を)始めさせる時だ」「知的財産を盗み、我々の企業に不公平な税を課した」「北朝鮮の脅威を抑える役にも立っていない」「(人民元の)為替相場を低く抑え、ダンピング輸出している」
最後に、こう付け加えた。「ここで挙げたこと以外、彼ら(中国)は、なかなかすばらしい」。皮肉の効いたトランプ演説は、とても次期大使への餞(はなむけ)には聞こえない。ブランスタドは驚きつつも、トランプとにこやかに握手するしかなかった。
一連のトランプ発言は、その後のテレビインタビューで語った「『一つの中国』にこだわらない」という発言の前段だった。そこでトランプは南シナ海問題にも踏み込み「巨大な要塞を造っている」と中国を非難した。ひとまず習近平に歓迎されて北京入りするブランスタドだが、トランプが中国に送り込む「トロイの木馬」にも見えてくる。
中国の内部では侃々諤々(かんかんがくがく)の「トランプ論議」が始まっている。強硬派の本音の一端が表れたのが、先の環球時報の論調でもある。さらに問題なのは、中国人民解放軍の「独自」の動きだ。
電子偵察機を含む中国空軍の編隊は12月10日午前、スホイ30の護衛を伴って沖縄本島と宮古島の間を超えた後、台湾南部の空域とバシー海峡を通過した。台湾をぐるりと囲むように飛行したのだ。中国による明らかな挑発行為だった。
飛行の目的はなにか。日本の自衛隊、台湾軍、そして背後にいる米軍を試しているのだ。特に、政権移行期にある米軍の動きを気にしている。中国が本気で台湾を攻略しようとすれば、台湾東部の西太平洋の制空権、制海権を握って島全体を攻囲するのが手っ取り早い。「第一列島線」を越え、台湾南部とフィリピンの間のバシー海峡に回り込むのはその訓練だ。
■軍は日米台けん制、空自機を「ロックオン」?

日本側は航空自衛隊のFー15が出動。台湾南部の守りを担う戦闘機も緊急発進し、追尾した。一部の中国系軍事サイトが驚くべき情報を意図的にリークした。「日本の戦闘機は東シナ海で人民解放軍機に『ロックオン』されて、妨害弾を放って命からがら逃げた」との見方だ。「ロックオン」情報のリークは、一連の動きが軍主導の動きであることを示唆している。
今回、中国国防省は「空自機の妨害」に関して、日本側の機先を制していきなり発表した。中国軍機の動きをあえて明かして「台湾問題は日本にも大きく影響する」と脅した形だ。真の狙いはトランプにある。だが、矛先はひとまず日本にも向けられている。
日本側は、空自機による至近距離の危険行為や、「妨害弾」の発射を否定している。とはいえ、周辺に緊張が走ったのは事実だ。だからこそ台湾側も「スクランブルをかけて、中国軍機を追い払った」としている。
習指導部は外交上、なお「冷静な対応」を続けているが、軍の論理と動きはまったく別である。トランプと蔡英文の電話会談を見過ごすわけにはいかない。人民解放軍はあらかじめ一定の権限を付与されている。軍が安全保障上の理由で作戦を立てるなら、最高指揮官の習近平は認めるしかない。今回の事態は、ある意味で軍が習近平に圧力をかけている、とも言える。
そもそも習近平は「韜光養晦(とうこうようかい)」と呼ばれる、鄧小平以来の安全保障の考え方を捨てた。軍事的な実力を隠して、ひたすら経済建設に没頭する中国は、すでに過去のものだ。それなら「核心的利益」である台湾問題では、武力行使も辞さない姿勢を示すしかない。仮に副作用がどんなに大きくても、である。トランプ劇場「台湾編」の刺激は強い。周辺からの圧力も強まるなか、いつまで習近平が我慢できるのか。限界は近付いてきている。(敬称略)
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『安倍-プーチン会談のウラ 対中密約か、トランプ氏含め3国で習氏に圧力』(12/17 ZAKZAK)について
12/17「士気の集い」主催の江崎道朗氏の講演会に出ました。「ロシアとの信頼関係構築と言うのはおかしい。国益こそ考慮されるべき」とのことで至極当然な話と思いました。日本も韓国を笑えないような情緒的且つ左翼の影響を受けた論調が多すぎです。保守系と雖も。ただ、「米軍の優先順位は、1位は中東、次に中国」とのこと。そうであれば、中東問題をロシアに任せられれば、米軍も中国に力が振り向けられるのではと小生は考えます。「トランプは経済と軍事とで中国への対応を変えるのでは。経済問題では国民を喰わせないといけないので、TPPは止めるがRCEPやAIIBに加入するのでは。インド洋・太平洋開発や中央アジア開発で儲けたい。トランプがどこまで抗せるか。日本には米国経済を牽引する力はない。日米でどう儲けて行くか。中国は国家でない。習財閥と江財閥があるだけ。国民がどうなろうと知ったことではない。中国の高速鉄道でインドネシアと南米でうまく行っていないのは、習が江を邪魔しているだけ。経済と軍事は二律背反」。
「米国のメデイアは日本以上に左翼リベラル。FDRの時代に乗っ取られた。日本の方がまし。FDRを批判すると学会にも残れない。日本ではありえない。日本のメデイアが米国の実態を書くとワシントンで仲間はずれになる。僕の書いたことは皆知っていると日本の記者は言うけど」。
「キッシンジャーが習と会った時に言ったことは2つの見方がある。『俺はトランプをコントロールできないから報復しないでくれと懇願に行った』と『俺はトランプをコントロールできる』と。ただ、キッシンジャーとトランプは仲が良かったが、蔡総統に電話したことによりキッシンジャーの顔を潰したことは間違いない」。
「中国はペンス副大統領と習近平は人脈を作っている。また、イバンカの夫のクシュナーの弟の恋人のカーリー・クロスと华为(huawei、人民解放軍系)が広告契約を結んだ(=これは形を変えた賄賂です。合法ですが)。日本はまだまだ」とのことです。

日本もトランプが大統領になって、浮かれてばかりではいけないでしょう。藤井氏の言うように日米露で中国包囲網が築ければ理想です。日本政府及び民間団体もそうなるべく努力せねば。
記事

首脳会談冒頭、握手を交わした安倍首相とプーチン大統領=15日午後、山口県長門市(代表撮影)
安倍晋三首相は15日夜、地元・山口県長門市で、ロシアのプーチン大統領と首脳会談を行い、16日には東京に移動して首相官邸で平和条約締結に向けた協議を続けた。今回の会談では、領土問題を含む平和条約締結交渉の進展が注目されているが、同時に、安全保障をめぐる緊密な協議もあったようだ。アジアでの軍事的覇権を目指す中国を牽制(けんせい)する、日米露連携が構築されるのか。 「日露両国が安全保障上の関心事項について率直な意見交換を行うことが重要だ」 安倍首相は15日の首脳会談で、プーチン氏から提案があった外務・防衛閣僚級協議(2プラス2)の再開について、こう応じた。 日露両国の2プラス2は、2013年11月に1度だけ開催しているが、これを復活させ、安全保障分野で緊密に連携していこうというのだ。また、合同捜索・救助訓練の再開を確認するほか、訓練海域を広げて対テロや海賊対策も実施する方向だ。 東アジアや北極圏でプレゼンスを高める、習近平国家主席率いる中国に対する牽制という意味もありそうだ。 日露2プラス2は、早ければ年明けにも開催し、日本側は岸田文雄外相と稲田朋美防衛相が出席し、ロシア側はラブロフ外相とショイグ国防相が参加する見通し。 今回の首脳会談では、日露間の経済連携を中心に議論され、8項目の対露経済協力プランの内容を具体化した事業などで合意。両首脳は16日午後、共同記者会見に臨んだ。
「領土問題」と「経済協力」がクローズアップされたが、日露の安全保障上の連携は、東アジアの地政学を大きく変えることになる。 ドナルド・トランプ次期米大統領は、世界各国の首脳で真っ先に安倍首相と会談し、選挙中からプーチン氏を評価していた。一方、台湾の蔡英文総統と電撃的な電話協議を行い、米メディアのインタビューで、中国の主張する「1つの中国」政策や南シナ海での軍事的覇権に異議を唱えた。 日米露が安全保障で連携すれば、中国は震え上がる。 国際政治学者の藤井厳喜氏は、日露2プラス2について「非常にメリットがある。日本とロシアの『仮想敵国は中国だ』という共通認識ができた」といい、続けた。 「日露間が安全保障分野で連携することは、『お互いが軍事的に敵対する国ではない』ということを確認でき、両国間の信頼関係を醸成できる。『友好関係を深めてから、領土問題を解決しよう』というロシア側のメッセージではないか。オバマ米政権は日露の接近を警戒してきたが、今回の動きを見ると、安倍首相は事前に根回ししている可能性が高い。トランプ氏は『親露反中』という姿勢を明確に示している。日本が米国とロシアと歩調を合わせることは、中国を押さえ込む戦略上、非常に重要だ」
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