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『FT 習主席が軍改革に意欲的な理由』(日経ビジネス8月8・15日号)について
本日から北戴河会議が行われるようです。<8/6日経 中国、人事巡り攻防激化 「北戴河会議」始まる
【北京=永井央紀】中国共産党の習近平指導部が党長老らと国内外の重要問題について話し合う非公式会議が5日までに河北省の避暑地、北戴河で始まったもようだ。最大の焦点は新たな最高指導部を選出する来秋の党大会に向けた人事の協議。習氏が2日に李克強首相らの出身母体である党青年組織、共産主義青年団(共青団)への統制強化策を打ち出すなど攻防は熱を帯びつつある。
中国国営新華社は5日、党序列5位の劉雲山政治局常務委員(中央書記処書記)が北戴河で、各界の専門家との会合に参加したと伝えた。馬凱副首相や趙楽際党中央組織部長が同席しており、多くの党指導者が北戴河に集まっているとみられる。
北戴河にある指導者専用の保養施設では5日、党高級幹部や軍高官を乗せたとみられる車列の出入りが確認できた。地元関係者によると7月下旬から交通規制が始まり、今月1日以降に「指導者が相次いで到着している」という。施設周辺は私服警官を含めた厳しい警備が敷かれ、専用ビーチの沖合では海警局の船が警戒に当たっていた。
中国共産党は5年に1度の党大会で最高指導部を入れ替える。68歳以上が引退する慣例に従えば、来秋は7人の政治局常務委員のうち5人が交代。習政権の2期目を左右する人事をめぐり、長老も巻き込んだ北戴河会議が攻防の舞台となる。
党中枢に詳しい関係者は「従来よりも党内の不満が高まっており、習氏が思い通りの人事ができるかは不透明だ」と言う。習氏は2012年に党総書記に就いて以降、江沢民・元国家主席につながる党幹部を相次いで汚職容疑で摘発し、権力基盤を固めてきた。李首相や胡錦濤・前国家主席ら共青団出身のグループとは一定の協力を保ってきたが、共青団系への摘発が続くにつれ関係が冷え込んできた。
水面下では「習氏のやり方は強引すぎる」との批判がうずまく。成長鈍化が鮮明になった経済情勢や、「核心的利益」と位置づけてきた南シナ海の権益主張が国際仲裁裁判によって否定されたことも批判材料で、江派と共青団系の双方が不満を抱えているという。
習氏は党内の引き締め強化で対抗する構えだ。「共青団改革計画」。党中央弁公庁が2日、唐突に発表した文書は党内に激震を走らせた。改革を「党を厳格に統治する一環」と位置づけ、共青団に対する統制強化が明確になったためだ。「習総書記の一連の重要講話を全面貫徹する」と忠誠を求める文言も入った。
最も関心を集めたのは共青団幹部の人数を減らすというくだり。関係者は「これまで団幹部に約束されてきたスピード出世の特権が小さくなる」と指摘する。北戴河会議の時期に合わせた発表は、共青団の求心力をそぐ狙いとの見方が多い。
6月末に開いた政治局会議では「共産党問責条例」が制定された。「民衆が強烈に反発した」「党の政治基盤を損ねた」などの時には党幹部の責任を追及すると明記し、習氏の政権基盤の源とも言える反腐敗運動を一段と強化した。習氏の右腕として摘発を取り仕切る王岐山・党中央規律検査委員会書記は「千回の働きかけよりも一回の責任追及だ」と党内にハッパをかける。「次に摘発される大物は誰だ」――。党内のあちこちで、不安げな会話が聞こえる。
北戴河会議とは・・・中国共産党の指導部が長老らと夏に重要事項を話し合う非公式の会議。北京から車で約3時間の避暑地、北戴河(ほくたいが)で開くことに由来する。避暑と休養を兼ねて同地を訪れていた毛沢東氏のもとに党幹部も集まるようになったのが起源。中国メディアが開催の事実を報じることはなく、会期も分からない>(以上)
8/6宮崎正弘氏メルマガでは<中国人民解放軍内の「江沢民残党」を一斉粛清 田修思につづき、李継耐と寥錫龍将軍が失脚。北戴河会議が大揺れ?
河北省秦皇島にある北戴河地区は警備が強化され、高級車の出入りが激しくなった。恒例の北戴河会議が開幕した模様である。
その矢先にどかんと北京政界を揺らすニュースだ。
軍人のトップである中央軍事委員会のメンバーだった李継耐と寥錫龍将軍が失脚したらしいという情報は北戴河会議を揺らしたに違いない。一説に江沢民は欠席するという情報がある(多維新聞網、8月6日)
軍人高層部の粛清は、もともと谷俊山中将の失脚から開始された。摘発したのは劉少奇の息子で軍改革の旗頭だった劉源である。
劉源は15年師走に突如引退を声明し、習近平の軍師役を降りたが、腐敗幹部からは目の仇にされていた。
江沢民派だった徐才厚将軍は末期ガンで入院中の病棟で逮捕され(その後、死亡)、ついで蘭州軍区のボスでもあった郭博(伯の誤り?)雄将軍が拘束、さきごろ無期懲役の判決が出た。ふたりの自宅や愛人宅からは「大判小判ざくざく」。ともかく現金と金塊、高価な骨董品多数が発見された。
郭博雄への判決直後、田修思が拘束され、ついで江沢民派の残党として目を付けられてきた李継耐と寥錫龍将軍が拘束されたと『南華早報』が速報した(8月5日)。
ともに容疑は「重大な規律違反」。だれもが、この遣り方は習近平の軍内部にくすぶる江沢民残党狩りと認識する。
なにしろ胡錦涛時代の軍事委員会は殆どが江沢民人事で高層部が固められ、そのうちの四人(徐才厚、郭博雄、李継耐、寥錫龍)が失脚するわけだから「江沢民残党四人組」とでも今後言われるかもしれない)。
李継耐(74)は前総政治部主任、軍事委員会委員。つまり胡錦涛政権で軍のトップテンに入る大物である。
将軍人事、軍事委員への抜擢は江沢民が行ったことで知られる。
寥錫龍(76)は前総装備部主任。軍事委員会委員。かれもまた胡錦涛政権下で軍人トップテンに入る。江沢民によって出世の道が開かれた。
寥はベトナム戦争に参加した歴戦の勇士という評価もあるが、出身地の貴州省名産「マオタイ酒」を「軍御用達」にしたことで知られる。
軍兵舎は夕方ともなればマオタイ酒の宴会で、酒気が溢れ、戦争どころではなく、基地の隣にはこれまた軍経営の売春宿。軍の腐敗はきわまった。
なお、このニュースは南華早報がつたえたもので、まだ確認はとれていない。>(以上)
習近平の軍の改革の意思やよし、でも軍の抵抗勢力の目を逸らすため外敵(主敵は憲法上の制約がある日本)を作り、戦争を始めるつもりのリーダーは時代認識ができていないとしか言いようがありません。中華思想に凝り固まった、自己中心の中国人に言っても詮方なき話ですが。宇野重規の『保守主義とは何か』の中に、「(エドマンド)バークのもう一つ興味深い概念に「時効(prescription)がある。これは英国人の自由を「相続財産」と呼んだこととも関連するが、バークにとってあらゆる権利は歴史的に認められてきたものであった。
人がある土地を占有し続けることによってその所有権が認められるように、王国もまた、その出発点が征服であったとしても、その後長く平穏に統治し、人々がそれに服従することによって正統性を得る。「時効こそ、草創においては暴力的だった政府を長年月の慣行を通 して熟成し、合法性の中に取り入れて来るものなのです」(同前)。
逆にいえば、時効によって認められてきた権利を、権力が恣意的に奪うことは暴力に等しい。フランスの新政府による財産の没収や、それを担保にしたアシニャ紙幣の発行は、そのような時効に基づく秩序を破壊することを意味した。
パー.クの考えるところ、国家とは、いま生きているものだけによって構成されるわけではない。「国家は、現に生存している者のパートナーシップたるに止まらず、現存する者、既に逝った者、はたまた将来生を享ける者の問のパートナーシップとなります」(同前)。現役世代が勝手に過去から継承したものを否定したり、逆に将来世代を無視した行為をしたりしてはならないのである。
いま生きている人間は、自分たちが生きている時代のことしかわからない。それゆえ現在という時間によって制限された人々の理性は、過去と未来の世代によって補われる必要がある。バークは現在の人間の視点を、時間軸に沿って拡大することによって補完しようとしたのである。
以上のように、バークの保守主義は、すべてをゼロから合理的に構築しようとする理性のおごりを批判するものであり、一人の人間の有する理性の限界を偏見や宗教、そして経験や歴史的な蓄積によって支えていこうとするものであった。
人間社会はけっして単線的に設計されたものではなく、むしろ歴史のなかでたえず微修正されることで適応•変化してきた。そうである以上、社会が世代から世代へと受け継がれてきたものであり、また将来世代へと引き継がれることを忘れてはならない。パークの保守主義はそのことを説き続けたのである。(P.60~63)」という一節が出てきます。
バークは18世紀に生きた思想家ですので、時代の制約を受けます。第一次大戦後のパリ不戦条約で戦争の放棄が謳われました。但し自衛のための戦争は除外されないとのことで現在も小規模な戦争が行われている訳です。バークの時効の概念は、歴史を逆回転させて昔の土地所有者の権利を認めれば今の所有者との間で戦争になるので、一定期間平和的に暮らす人々が居れば現行の所有者の権利を認めようというものです。中国の採っているチベット、ウイグル、モンゴル政策は平和的な生活を保障したものでありませんので、彼らには独立する権利があります。中国共産党に乗っ取られた漢民族もそうですが。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%8D%E6%88%A6%E6%9D%A1%E7%B4%84
中国の南シナ海の侵略行動は、第二次大戦で日本が負け、新南群島の領有権がハッキリしないため起きた問題です。でもバーグのいう時効の概念とは真逆です。鄭和の時代に通ったことがあるにしても領有したことにはならず、所詮国民党の11段線の焼き直しであることがばれていますので、とても平和的に領有を重ねてきたとは言えないでしょう。況してや、国際仲裁裁判の判決を無視し、傲然とした態度では中国への国際社会の視る眼は益々厳しくなるでしょう。いくら札束で誤魔化そうとしても。国際連合のG5の特権も剥奪すべき、或は脱退勧告すべきでしょう。
http://www.sguc.ac.jp/assets/files/d-kiyou/2015/08han.pdf
中国も米国の軍産複合体と同じように軍部が力を持っています。それを軍経験のない習近平が力で捻じ伏せようとすれば、どういう展開になるかですが。習の暗殺、クーデターが起こり、軍閥が割拠した時代に戻るのかどうか。解放軍もサラリーマン化して袁世凱が軍を持たない孫文を追い出し、臨時大総統になるような芸当の人物はいないのかも知れません。
どうなるにせよ、北戴河会議の人事がどうなるかが注目点です。
記事
習国家主席は、2012年11月に中国共産党総書記に就任して以来、人民解放軍の改革に力を入れてきた。鄧小平や胡錦濤前国家主席を見て軍を抑えなければ本当の権力を手にできないと知ったことが背景にある。腐敗撲滅によって軍部の権力を弱体化させる一方で、米国に対抗できる軍の近代化を図るのが狙いだ。

今年4月20日、北京に完成した連合作戦指揮センターを迷彩服を着て訪問した。このことは習氏が人民解放軍をも掌握したことを改めて印象づけた(写真=新華社/アフロ)
習近平国家主席は、今年4月、中国軍の新しく完成した連合作戦指揮センターを迷彩服姿で訪問した時、政界のエリートにメッセージを送っていた。
これまで指導者が人民解放軍を訪問する際は、必ず緑色の人民服を着た。それは、中国共産党の軍事的な役割と文民的な役割を服装で区別する慣習に沿ったものだった。
軍を自分の権力の中核にした
それだけに習氏が迷彩服で登場したのは斬新だっただけでなく、習氏の軍に対する態度の変化を示していた。習氏は軍を国家主席という権力の座の中核に据え、個人的な権威の支柱にも据えてきた。
「習は意図的にこの伝統を破った」と、米中央情報局(CIA)で以前、東アジア担当副長官補佐を務め、現在は中国の軍事専門家で、米ジョージタウン大学で教壇に立つデニス・ワイルダー氏は話す。「彼が(迷彩服で訪問することで)伝えようとしたのは、自分は党を代表するだけでなく、諸君(軍)の一員でもある、ということだ」(同)。
習氏の連合作戦指揮センターへの訪問は、テレビで全国放送された。習氏が北京の新施設でリアルタイムの作戦データが映し出されたスクリーンを見ながら、将校らと話す映像が流された。
米カリフォルニア大学サンディエゴ校の中国軍の専門家、張太銘氏は、あのテレビ放送は「習氏が軍の現場レベルにまで関与しているという事実を浮き彫りにした。それは最近の中国指導者には見られなかった特徴だ」と指摘する。
アナウンサーは習氏のことを軍の統合作戦の「総司令(最高司令官)」と呼び、習氏に軍で新たな肩書がついたことも明らかにした。総司令という肩書は、毛沢東の下で革命の元帥を務めた朱徳が1949~54年に使ったのが最後だ。
習氏は既に党中央軍事委員会主席であり、軍に対する最高権力を持っているので、新たな肩書は形式的なものにすぎない。しかし、党の肩書に加え、軍においても肩書を得たことで、習氏の象徴的な権威は一層強化されることになった。
習氏は強い指導者としてのイメージを強めるために階級や制服を利用した最初の政治家ではないが、昨年9月3日に行った大規模軍事パレードなど他のエピソードと総合すると、今回の派手な式典は、毛沢東や鄧小平が中国を率いた時代以来見られなかった形で習氏を軍と結びつけるよう設計されていたようだ。
毛沢東も最高司令官でなかった
米戦略国際問題研究所(CSIS)の中国政治専門家のクリストファー・ジョンソン氏は「毛沢東でさえ最高司令官ではなかった。これは全く新しいことだ」と言う。
さらに重要なことに、習氏は軍を改革する戦いで自分の勝利を印象づけるために今回の施設訪問を利用したと観測筋は指摘する。軍の改革は往々にしてむごいプロセスを経る。習氏による軍改革も反腐敗運動の一環として、過去2年間で数百人の軍高官を粛清した。今後さらに陸軍の30万人の人員削減を進める計画だ。

中国は習国家主席の下、陸軍を縮小し、海軍と空軍の増強に力を入れている(写真=新華社/アフロ)
連合作戦指揮センターの開設式典では高度な技術を披露したが、軍の新たな秩序も示された。中国軍が21世紀の戦いに備える中、陸軍中心の時代が終わり、海軍や空軍、戦略ロケット部隊が台頭していくということを世に知らしめた。
あるアナリストによると、腐敗撲滅運動は軍をばらばらにし、習氏の直轄下で組織の抜本改革を進めるために、まず軍を「弱体化」させる副作用もあったという。
シンガポール国立大学東アジア研究所の劉伯健研究員は「人民解放軍内の派閥主義を打破することは、反腐敗運動の大きな狙いの一つだった」と説明する。同氏によると、軍上層部の粛清で既に少なくとも37人の将校が失脚し、全員が裁判にかけられている。
1949年以来の軍の大改革
1949年の革命以来の広範に及ぶ改革とされる今回は、軍の報告体制を組み替え、その新体制を習氏直轄の指揮下に置き、軍の権限も一部奪った。
一連の粛清は対立する勢力を排除し、習氏の権威を強化するのが狙いだった。軍の既得権益にメスを入れることで、習氏は過去40年間のどの指導者と比べても最大と言えるような賭けに出ている。
「銃口から政権が生まれる」と言ったのは毛沢東だ。彼の死後、国家の基盤を成す軍と共産党の緊張した関係にあえて介入する人はほとんどいなかった。
だが、軍はこの過去40年の間に派閥主義と腐敗がはびこり、政治指導部を見下していると言われるようになった。過去の指導者はこうした軍の態度を容認したが、習氏は明らかにこれを改革の優先事項と見なしている。
先のワイルダー氏は、「指導者は常に軍との関係を考えなければならなかった」と言う。軍の共産党に対する関係を「条件付きの服従」と表現する同氏はこう指摘する。「軍こそが党の権力基盤なので、軍との関係は指導者にとって非常に慎重に扱うべき問題だ」。
軍は公式には党に従属しているが「実は本当の意味で従属する相手は、中央軍事委員会主席(習氏)だけだ。今や習氏と軍の関係が政治体制全体のあり方を決定づけている」とワイルダー氏。
ロシア国立研究大学高等経済学院の中国軍の専門家、ワシリー・カシン氏の言い方はもっと直截で、「習氏は軍を自分の政治的権力基盤にしつつある」と指摘する。
この軍と党の微妙な関係の見直しは、米国と中国が南シナ海でにらみ合っているという重大な局面下で進んでいる。
オランダ・ハーグの仲裁裁判所が7月12日に、南シナ海における中国の領有権主張を退ける判断を下した後、人民解放軍は判決を受け入れないことを各国に思い起こさせるため、大規模な軍事演習を実施した。
国内での政治力を挽回しようと軍がもっと強気な姿勢を取るべきだと働きかけている可能性があり、心配だと欧米の一部アナリストは話している。
改革の狙いは米国に対抗できる軍を持つことだ。中国は2030年までに技術力と作戦能力で米国と肩を並べるか超えるとしているが、その達成は容易ではない。
中国は過去四半世紀、ほぼ毎年、率にして2桁のペースで軍事費を増大してきたが、米国はまだ推定2000億ドル(約20兆円)とされる中国の年間軍事予算の3倍を軍事費に投じている。
日本との戦争の敗北は破滅的
陸軍中心から海軍、空軍強化へ ●中国人民解放軍の概要

*1=大陸間弾道ミサイル *2=弾道ミサイル発射能力を備えた原子力潜水艦 出所:Financial Times
一方、人民解放軍の技術レベルの低さは有名だ。最近の戦争に当たる1979年のベトナムとの国境紛争では、兵士がサンダルとソフト帽を身に着け、戦場での通信手段に信号旗を使っていた。
また、空母や原子力潜水艦、ステルス戦闘機といった新世代のハイテク兵器が次々と生産されているが、専門家は、中国がこれらの兵器を効果的に使えるようになるには何十年はかからないかもしれないが数年は必要だという。
専門家はさらに、米国はおろかアジアで対立する日本が相手でも、中国軍の今の力では戦争に勝てるか疑わしく、敗北した場合、政治的な代償は破滅的になりかねないと言う。「日本に戦争で負けたら、中国共産党にとっては全てがおしまいになる」(ジョンソン氏)。
人民解放軍は農民のゲリラ軍として20年代に誕生し、49年の国共内戦で国民革命軍を倒し、共産党が政権の座に就いた後、国家の2本柱の1本になった。60年代の文化大革命の大混乱後、中国で機能している数少ない機関の一つとして台頭。推定700万人規模に拡大した軍はいわば「国家内国家」となった。毛沢東の死後、鄧小平は軍の権力に何らかの手を打とうとし、兵士の数を100万人減らそうとした。
胡前主席から教訓学ぶ
ワイルダー氏はこう語る。「ベトナムとの戦争後、鄧小平が軍に立場をわきまえさせた様子を目の当たりにした習氏は今、同じ手を使っている」。
習氏を突き動かしているもう一つの要因は、胡錦濤前国家主席と軍との関係だ。決定的だったのは2011年1月、ゲーツ米国防長官(当時)が北京で胡氏との会談に臨むタイミングで空軍が国産ステルス戦闘機の初飛行試験を行った時のことだ。ゲーツ氏は後に、「胡氏は飛行試験に驚き(編集部注:飛行試験が行われたことを知らされていなかったとされる)、外国の客の面前で屈辱を味わったと思う」と述べている。
「この数年間、軍と文民の指導部の間に食い違いの兆しが何回か見られた」とゲーツ氏は当時、語った。
カリフォルニア大学の張氏は「習氏は次期指導者になる準備期間中に胡氏と軍の関係の問題を目の当たりにしたことで、軍部に対する考え方を固めていったはずだ」と言う。
習氏は実権を握って数カ月で最初の一撃を繰り出し、翌2013年11月に長期的な兵力削減と抜本的構造改革を進めると発表した。同氏は、人民解放軍の創設以来、4本の柱となってきた兵站(へいたん)を担う「総後勤部」と「総参謀部」「総政治部」「総装備部」を事実上解体した。これらの部はまだ存在こそするが、その影響力は劇的に弱められた。
「共産党員は自分たちの系譜を内戦中に創設されたこの組織にたどる。しかも中華人民共和国の設立より20年も古いこれらの組織が事実上解体されているというのは、極めて衝撃的な動きだ」と前出のカシン氏は言う。
並行して、反腐敗による粛清は徐才厚・元中央軍事委員会副主席や郭伯雄・前中央軍事委員会副主席を含む大勢の軍幹部の逮捕につながった。徐氏、郭氏も昇格人事で便宜を図る見返りに賄賂を受け取った罪に問われた。

腐敗撲滅は軍部の徐才厚・元中央軍事委員会副主席(左、収監前に死亡)や郭伯雄・前中央軍事委員会副主席(無期懲役)まで葬った(写真=2点:AP/アフロ)
まだ強い改革への抵抗
徐氏は裁判を経て収監される前にがんで死亡。郭氏は7月25日、無期懲役の判決を言い渡された。
改革と粛清の真の狙いは、軍内部の権力の本質を変えることだった。全ての部署は現在、陸軍主導の総参謀部ではなく、習氏率いる中央軍事委員会の支配下に置かれている。各部署は11機関(新設されたものも含む)と権力を共有するが、全て軍事委の直轄下にある。
上海政法学院の海軍専門家、倪楽雄氏によれば、それでも舞台裏では軍内外からの抵抗が続いているという。「改革にはつきものだが、内部にも抵抗勢力がまだいる」。
腐敗にうんざりしている若手将校など、軍の改革を支持する者もいるが、軍全体としては改革に抵抗している。過去1年間に軍の機関紙に掲載された多くの記事が共産党に対する忠誠を呼びかけていた。
観測筋によると、当局が軍の支持を得ているとの自信を持っていたら、こんな記事の掲載は必要ないという。
抵抗が最も強いのが、歴史的に軍を支配してきた陸軍だ。海軍、空軍、戦略ロケット部隊が重視されるのに伴い失うものが最も大きいからだ。
「(陸軍の制服の色である)緑を着ている人は改革が気に入らない」とCSISのジョンソン氏は言う。
もう一つの重要な要素は軍再編に伴う経済的影響だと倪氏は付け加える。社会不安を何にも増して恐れている習政権は、折しも経済が勢いを失い、一部の産業が既に何千人も人員を削減している時に、30万人もの兵力の削減をうまく進めなければならない。
「地方政府は近く退職を予定している者に仕事を用意する圧力にさらされている。そのため、既に飽和状態にある組織内にさらにポストを新設する必要に迫られるかもしれない」(倪氏)
アジアの軍事費拡大を招く
軍の改革により中国の近隣諸国が安心して眠れるようになることはないだろう。南シナ海と東シナ海では対立が生じる恐れが高まっている。ある近隣国の外交官は、軍を改善しようと改革に必死な中国の姿勢は「間違いなく地域の国々に合図を送っている」と言う。
主に中国と近隣諸国が一触即発の緊張関係にあることから、各地で軍事費が拡大している。ストックホルム国際平和研究所の調査によると、アジア・オセアニア地域では、昨年の軍事費が世界で最も高い伸びを見せた。戦争で荒廃した中東の防衛予算の伸びをも上回る伸びだ。
目下の問題は、新たに改造、近代化されたが、まだ試されていない「戦闘マシン」で習氏が何をする気なのかということだ。
ベルギーに本部を置く非政府組織(NGO)の国際危機グループ(ICG)の謝艶梅氏(北京在勤)は、習氏が強硬派というイメージを打ち出し、軍への関心を深めているために中国がナショナリズムの方向に振れていると指摘する。
「習氏は国家主義者で、自信に満ちた強硬イメージを打ち出したいと思っていると世間は感じており、そのため配下の政府高官や官僚たちは皆、それに合わせて自分の言動を調整している」
Charles Clover ©Financial Times, Ltd. 2016 Jul. 26
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『なぜ中国は日本人をスパイ容疑で逮捕し続けるか 「日中友好人脈」潰しの動き、その意図を読む』(8/3日経ビジネスオンライン 福島香織)について
中韓は自分の利益の為には、平気で嘘を言い、歴史を改竄・捏造する民族ということを日本人は頭に叩き込んでおかなければなりません。彼らは荒っぽいことも平気でしますし、裏切ることも良くあります。いくら温情をかけても感謝することはありません。2001年1月の大分老夫婦殺人事件などその最たるものでしょう。中国と韓国からの留学生が、彼らの身元保証人を引き受けてくれていた老夫婦を惨殺したものです。また、2003年に福岡県福岡市東区で発生した、中国人留学生3名による一家四人の強殺事件もありました。未開の部族と同じです。法の支配などある訳がありません。
「自分がするから他人もそうする」という発想で、日本人は中国人・韓国人も日本人同様良い人が多いと思いがちです。ですから騙されたり、挙句の果ては殺されたりするわけです。もっと警戒感をもって彼らを見なければ。中国人・韓国人も当然同じような発想をして、自分達だったら必ずこうするだろうという妄想の挙句、出て来たのが、南京虐殺や従軍慰安婦の問題です。日本人と中国人・韓国人は考え方だけでなく行動も違います。戦後日本は歴史戦でずっと負け続けてきました。河野洋平や加藤紘一、鳩山由紀夫のような政治家を選んだ国民が最終的に責任を負います。やっと通州事件をユネスコに世界記憶遺産として申請しましたが、これも民間の手によるものです。外務省は無能の集団です。
スパイ容疑で逮捕されたのは鈴木英司日中青年交流協会理事長です。元々左翼で中国に貢献してきた人間を逮捕するのですから、中国人に恩義の概念はないという事です。団派と習近平の権力争いの余波が及んだと多くの人が見ているようです。しかし、数十年も中国人と付き合ってきて、その本質を理解できなかったとは不思議です。中国人の基本的価値観は「騙す方が賢く、騙される方が馬鹿」という事ですので。イデオロギーに染まって目が曇ったのか、贖罪意識に苛まれたのか、或は下々と付き合わず中国人の本質を示す事例にぶつからなかったのかどうか。小生は中国駐在8年間で、4回裁判や労働裁判をしました。やはり、白地で事実に基づき発想することが肝要かと。井戸を掘った人間ですら逮捕拘留されるのですから、そうでない人は猶更です。日本企業の経営者は駐在員を早く中韓から帰すべきです。
8/4宮崎正弘氏メルマガの書評に<石平、陳破空『習近平が中国共産党を殺す時』(ビジネス社)
中国共産党の統治はいずれ斃れるが、自壊するのか、滅ばされるのか、 清朝のように自然消滅か、「問題はどうやって死ぬかだ」という問題意識 からふたりの議論は侃々諤々、はてしなき広がりを見せる。
そうだ、どうやって中国共産党は死に絶えるのか。
長崎へ講演旅行の往路で半分、帰路にのこり半分を機内で読んだ。表題 が表題だけに、あまり他人の目に触れないように気を配りながら(冗談)。
それにしても陳破空氏の展開する奥の院のすさまじいばかりの権力闘争の分析を聞いていると、さもありなんと頷く反面、いったいこれはどこまで本当の話なのかといぶかしい部分が頻出してくる。
陳破空氏は天安門事件のおりの指導者の一人で広東で活躍し獄中数年の 筋金入りだ。いまは米国に亡命し、ニューヨークに住む。
対談相手の石平氏は、こんかいは主に「聞き役」に回り、ときに相づちをうち、ときに異論を差し挟んでいる。
たとえば次のような未確認情報が並んでいる。
- 2,015年8月、「河北省委員会書記の周本順は北戴河でクーデターを起こし習近平を殺害することを計画していた」(34p)
これは大規模な暗殺計画で習近平のみならず王岐山を含む「全員を亡き者にしようと計画されていた」という。
- 「習近平は政権を握って3年以上経ったが、いまだに中央宣伝部を把 握できていない」。となると中央宣伝部という党の中枢にある、このプロパガンダ部門をがっしりと握るのは劉雲山で、かれは20年以上を書けて、このプロパガンダ機構を牛耳った。(40p)。
- 銅鑼湾書店事件の真相も、「桂民海は、よほど欲深い商売人で、彼はいくつもの出版社を経営していたことから、しばらく時間を置き、ほとぼりが冷めたころを見計らって、こんどは書籍のタイトルを『習近平と彼の6人の愛人』に変え、再出版しようとした」(51p)。
実際に評者(宮崎)も香港へ行った折、この銅鑼湾へ行ってみた。場所は高島屋の裏手の商店街ですぐに分かったが、銅鑼湾書店は閉鎖されていた。
これまでの報道では社長、店長以下五人が拉致され、嘘の供述を取られ、つまりは香港から出版の自由がなくなった。一国両制度の約束に反するとして学生市民が立ち上がり数十万の抗議デモも行われたが、じつは銅鑼湾 の社長は先に15万ドルで、習近平と手打ちが出来ており、作者にも5万ドルの『没原稿料』が支払われていたのだというから、そうなるとブラックジャーナリズムではないか。
- 秘密ファイル事件についても、団派の領袖だった令計画の失脚に関して驚くほどの情報がさりげなく挿入されている。
陳破空氏はこう言うのだ。
実弟の令完成は秘密ファイルを1,700件持ち出してアメリカに亡命したが、その秘密の中味たるや習近平と愛人のセックス録画ではなく、「ひとつは中国の核兵器に関する情報、ふたつ目は、中共指導部とその家族の動向、財産、女性関係、セックステープ。三つめは、未だ明らかになってい ない中南海の配置と政府要人の隠れ場所だ。すべてアメリカに渡っている」(72p)
これ以上書くと、本の営業妨害になるので、止めるが、本書は最初から 最後まで、秘密のベールに包まれてきた中南海の、どろどろとした実態を 余すところなく、語り尽くしている。
しかし検証されない、つまり裏がとれない情報なので信憑性の問題が残る。いや、小説として読めば面白いかも知れない。
最後に石平氏は習近平の最後を、自らが、自分でよってたつところを自らで破壊しているわけで、「必然的に共産党政権も終わる。はたして習近平は自身がどの方向に進んでいるのかを本当に自覚しているだろうか」と 歴史家の目をもっての疑問符をつけて読者の判断に委ねている。>(以上)
これが本当だとしたら、アメリカは情報を小出しにして中国を揺さぶればよいでしょう。戦争は避けられるかも。戦争よりは中国の内乱を望みます。人民解放軍の面子の問題で、南シナ海や東シナ海から何もなしで撤退は出来ないでしょうから。
記事
中国で、また一人、日本人がスパイ容疑で捕まった。中国では日本の諜報戦に対する警戒が高まっている。中国で日本人スパイがそんなに暗躍しているというのだろうか。日本人には想像もつかない中国の報道から見える中国の日本人スパイ観がある。
相次ぐ不当逮捕、また一人…
今回逮捕されたのは、某日中友好団体の理事長(59)。中国で国家安全危害にかかわる容疑で拘束されていることを中国外交部が7月30日に確認した。一部で、実名でも報道されているのだが、私自身、特にこの件について団体側に直接取材していないし、団体側も正式に発表しておらず、彼の安全にかかわることでもあり、あらぬ中傷を受ける可能性もあるので匿名のままでいきたい。
報道を総合するとこの日本人は7月11日、関西経済連合会訪中団のメンバーとして北京を訪問した際に逮捕された。本来なら15日に帰国する予定だった。この友好団体のサイトは現在、メンテナンス中で開けなくなっている。
この団体は2010年に創設されて比較的新しいのだが、彼自身は30年以上、中国とのかかわりをもつ典型的な日中友好人士である。団体の目的は日中両国の青年交流を通じて中国の緑化、植樹活動を支援することである。
彼が中国と本格的に関わり始めたのは1983年。中華全国青年連合会の招待を受けて上海、北京を訪問後、東北の戦争跡地も訪問した。まだハルビンの731部隊跡などが公開される前のことだ。この訪問団は戦後初めて、日中戦争跡地を訪問した日本の代表団だった。
その後、97年から北京外語大学教授、中国社会科学院中日関係研究センター客員研究員などの中国の教育・研究職に、足かけ6年就いていた。思想的には社民党系の左派リベラルだが今年4月から日本衆議院調査局国家基本政策調査室の客員調査員でもあり、中国情勢、朝鮮問題についての分析調査も行っていた。5月には「中国の外交」をテーマに講演を行っていたが、これが今回の逮捕と関係があるのでは、とみられている。
衆院調査局は議員の立法活動に必要な資料や勉強の機会を用意しサポートする部局である。そこから講演やリポートを頼まれることは、専門家ならば普通にある。こんなことでスパイ容疑と言われたら、学者や専門家は普通に中国をフィールドに研究活動することもままならないだろう。私からみれば、昨年から表面化している一連の“日本人スパイ”逮捕と同様、不当逮捕である。
ただ、今回話題にしたいのは、彼が実際に何をしたのか、何かしたのか、ということではなく、近年急激に目立つ中国の日本人スパイイメージに対する喧伝とその裏にある意図について、だ。
彼が植林などの日中友好事業にかかわってきたこともあり、中国では「日中友好の仮面をかぶったスパイが30年も潜んでいた!」といったニュアンスでさかんに報道されている。私自身は「日中友好」という言葉自体はあまり好きではないが、それでも中国との友好に身を捧げていた少なからぬ人たち、中国的に言えば「井戸を掘った人」の功績を踏みにじるような報道がなぜ今、増えているのだろう。まずは、今回の事件についての報道ぶりを見てみよう。
“中国通”スパイは以前から浸透?
例えば新京報紙のウェブサイト版。
「なんとういことか。日本のスパイが中日友好交流団体にひそんでいたのか? 少なからぬネットユーザーは驚き、心ふさいだ。あんなに言っていた友好はどこにいったのだ?
だが実のところ、外交通のあるアカウントは『そんなに驚くことではない。“中国通”を騙る日本のスパイというのは以前から中国に浸透しているのだ』と語る。
最も有名なのは37年間の長きにわたってスパイ活動をしていた日台経済人の会理事長の阿尾博政。彼は経済学者の身分で中国に潜入。
阿尾博政は中国政府官僚のアレンジで少なからぬ軍事施設と武器を視察し、記念撮影を口実に中国最新鋭の軍用車両や最新型戦闘機の写真なども撮った。報道によると1982年から諜報活動を開始し、日本陸上幕僚監部に150編以上の中国に関するリポートを提出。2009年に彼は日本で自身の諜報活動についての書籍を出版している」
ここで引用されている阿尾博政著『自衛隊秘密諜報機関‐青桐の戦士とよばれて‐』(講談社 2009年)は、それなりにその世界を知っている人からすれば、ほとんど創作に近いトンデモ本と評価されている。小説や漫画の資料にするならともかく、メディアとして多くの反証論文もあるこの本を根拠に、日本の諜報活動を語るのは無理があろう。
さらに新京報は、過去に日本のスパイがいかに暗躍してきたかという例を次のように挙げている。
どれだけ日本に凄腕スパイがいるのか?
①2015年5月、50歳代の日本人男性が、中国でスパイ活動に従事したとして浙江省で起訴されている。温州・南麂列島の軍事施設周辺の写真を撮っていたところ身柄拘束され、9月に正式に逮捕された。南麂列島は釣魚島(日本の尖閣諸島)西北300キロに位置する。
②1996年、日本の北京駐在武官が軍事機密を窃取したとして中国から強制退去となった。当時、日本武官と米国武官が海南省に行き、中国海軍の最新潜水艇の情報を探っていたという。中国安全部に逮捕され取り調べを受けたところ、軍事機密を映した写真とビデオが見つかった。
③2002年10月26日には日本の駐在武官、天野寛雅が寧波の軍事管制区で海軍官兵に逮捕された。この後、天野は強制退去となった。
④国家測絵局(測量局)によれば、2011年5月、各地の測量行政主管部門が展開した抜き打ち検査19000回のうち、3000件以上の違法案件が見つかったが、その中で日本国籍者がかかわる件が非常に多いという。
⑤2010年2月、日本人が環境視察の名目でGPSを持ち込み、新疆ウイグル自治区のタルバガダイ地区など85か所にわたる軍事管制区を違法に測量していた。
⑥2014年9月、甘粛省の秦嶺山付近で、日本人国籍の容疑者を拘束。解放軍第二砲兵基地と中国爆撃機工場を秘密に測量する準備をしていたという。
⑦2006年、中国政府は中日経済新聞の創始者、日本国籍の原博文を逮捕。1995年から日本の外務省のために中国情報を収集、指導者の健康状態など大量の中国機密文書のコピーを提供したという。
⑧2013年12月、寧波市象山出身の中国人・陳威が海軍東海艦隊のある倉庫で写真撮影して拘束された後、取り調べで寄田を名乗る日本人男性からの指示を受けての活動であったことを自白。陳威は海外でビジネスを通じて寄田と知り合い、活動費を受け取って寄田の諜報活動に協力していたという。寄田は、写真撮影のほか、浙江省海洋局の職員や海洋研究に従事している人物とのコネクションづくりを要請していたという。
⑨中国社会科学院弁公庁主任助理の陳輝が日本外交官に外交政策に関する国家機密を渡したことで2006年6月、国家機密漏えい罪で有罪となった。彼の逮捕一か月前に、中国社会科学院公共得思索研究センター副主任の陸建華も国家安全にかかわる容疑で逮捕された。
どれだけ日本に凄腕スパイがいるんだ、というような印象の記事だが、このうち、本当の意味で諜報活動と言えるのは②、③くらいではないだろうか。いずれも武官の本来の仕事であり、彼らは退去させられたが、拘束はされていない。ちなみに、近年の駐在武官の方々から話を聞くに、最近はこうした果敢な情報収集活動は行っていないというか、許可されないそうだ。
だがそれ以外は本当にスパイといっていいのか。①の事件に関しては、以前このコラムの「中国のスパイ取り締まり強化に怯むな」でも触れている。この男性以外に、神奈川県在住の元脱北者のNGO関係者、札幌在住の元航空会社社員、東京在住の日本語学校経営者の女性ら4人が相次いで遼寧省や北京で拘束されたことは記憶に新しい。
愛知県男性が起訴されたあと、日本語学校経営者女性も起訴されているが、起訴事実は2人とも明らかにされていない。この4人については、いわゆる情報周辺者(業務上、深い情報を知りえる立場)であり、それを他人に漏らしうる立場かもしれないが、それはスパイとはいえない。
いずれにしろこのレベルをスパイ扱いしていたら、東京でいったい何千人の中国人情報周辺者を拘束せねばならないだろうか。
ポケモンGOもスパイ目的?
また、違法GPS利用の容疑者に日本人が多いといわれているが、トレッキングや登山のために持ちこんだGPSをスパイ利用と言いがかりをつけられて没収されたり、取り調べられているケースもかなり含まれていると思われる。
北京周辺の山岳地帯は万里の頂上跡など地図にも載っていない遺跡も点在しており、トレッキング趣味のある人はGPSを頼りに、こうした山岳地帯に行きがちだ。だが、それは実は違法であり、そうした山岳地帯の思わぬところに軍事施設もあるので、スパイ容疑をかけられやすい。ちなみに中国の地図アプリは、微妙にずらすなど細工をしてある。正確な地形情報、地図情報は中国では国家機密である。だから、中国ではポケモンGOの世界的流行はスパイ目的ではないか、といった言説がまことしやかに流れるのである。
別の記事、人民日報傘下にある環球時報も見てみよう。
「…(今回拘束された日中友好人士をかつて取材したことがある)日本華僑新聞編集長の蒋豊は28日に環球時報の取材をうけてこう語っている。
『日中友好交流団体からスパイが出てくるのは一向に不思議ではない。おそらく、これが日中友好交流団体から出てくるスパイとしては最後の一例ではないはずだ。いかなる団体も、スパイが利用する仮の姿になる可能性がある。』…
たとえ日本政府がスパイを派遣したことを否定しても、日本はこの数年の間に対外人力情報資源(ヒューミント)建設に力を入れており、外務省国際情報統括官組織、内閣情報調査室、公安調査庁などを利用して対外情報収集に力を入れている。昨年4月日本政府は、日本版MI6設立の提案書を提出している。中国は日本にとって一番防備すべき国の一つであり、自然、日本の情報収集の重点対象となるのである」
蒋豊編集長のこのコメントはブーメランである。日中友好交流団体の情報周辺者をいちいちスパイ扱いしていたら、彼自身も明らかな情報周辺者であり、疑われる立場だ。しかも過去に実際、「週刊文春」でスパイ疑惑を報じられたこともある。この疑惑について昔、本人に直接訪ねたところ、大いなる誤解であり、筆者の富坂聰氏にも抗議して了解してもらっていると主張しているが、それならなおのこと、情報の境界にいる善意の人々を陥れるような言動は控えるべきであろうといいたい。
このほかにも、日中友好人士がスパイ!といった見出しの報道があふれ、日本人への警戒感をあおっている。強引な日本人拘束と起訴、さらにまだまだ日本人スパイが暗躍しているようなニュアンスの報道。そんなに日本政府が諜報活動に熱心に取り組んでいれば心強い限りなのだが、実際のところは逆で、日本の対中国情報の収集能力は以前よりも劣化しているように私は思う。スパイ騒動は、むしろ習近平政権の対日外交姿勢の在り方によるものと私は見ているのだが、どうだろう。
目的の一つは、環球時報が触れたとおり、今、日本で外国人による情報収集や特務活動の予防が議論されており、その重点対象が明らかに中国人であることへのけん制があるとみられる。
当局の都合次第で、日本人も、親日派も
さらに、中国社会科学院日本研究所の呉懐中の環球時報へのコメントが興味深い。
「平時、日本人たちと交流しているとき、彼らは中国のいろいろな方面の情報に非常に興味を持ち、いろんな内幕話を聞く。中日双方の関係が比較的良好ならば、こうした方法で中国情報を仕入れるのはさらにたやすいだろう。現在、双方の関係がうまくいっていないので、日本は中国情報の必要性がさらに高まっており、人を利用したスパイ行為もやらざるを得ないのだろう」
このコメントの裏を読めば、日中関係が良好ならば普通にやり取りされる情報も、関係が悪くなった今は、かつては普通の情報のやり取りであったものが、スパイ行為に認定されかねない、という情報周辺者の不安が垣間見える。要するに、もともとスパイ扱いされなかった人たちが、習近平政権になってからはスパイ扱いされる可能性が強まったということでもある。
もう一歩、うがった見方をすれば、私は習近平政権にとって過去に日中が築いた人間関係が邪魔になっているのではないか、と疑っている。
主に80年代から始まった日中の蜜月が培った人間関係は、主に胡耀邦につながる人脈、つまり共産主義青年団人脈が主流だ。今回、拘束された日中友好交流団体理事長も共青団関係組織がカウンターパートになることが多かったようだ。習近平個人には日本政府や民間人との人脈パイプはほとんどない。夫人の彭麗媛は共青団出身であり、80年代の日中青年交流にも参加しているのでそれなりの人脈があるが、習近平周辺ではそれがほぼ唯一といってよい日本とのつながりだろう。
習近平の権力闘争の主なターゲットはすでに上海閥から共青団派に移っているが、その権力闘争と日中間の人脈つぶしは全く関係がないと言えない気もする。昨年に拘束された4人の日本人のうち2人は権力闘争に巻き込まれた可能性も仄聞している。
共青団系の政治家で失脚して汚職と情報漏えいで無期懲役判決を受けた令計画は弟が機密情報をもったまま米国に亡命した。令計画は日本にもそれなりの資産を持っており、妻が日本へ逃亡する計画もあった。
いずれにしても今、スパイ容疑で拘束されている日本人のほとんどが不当逮捕であると私は見ている。日本人が優秀な諜報能力があったのは戦前の話だ。だが、習近平政権の強硬な対日外交や日本への警戒感や権力闘争などを背景に、あいまいなスパイの定義を使って日本人を拘束することは、対日牽制や国内の親日派に揺さぶりをかける一つの手段となっている。
だが、そんな政権の都合で、長きにわたって築かれた日中の民間の交流の成果が傷つけられていいのだろうか。それでより大きな不利益を被るのは日本や日本人よりも、中国と中国人の方ではないだろうか。
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『「最前線」金門島で実際に見た台湾・中国関係 複雑に絡む利害、微妙な距離感』(8/2日経ビジネスオンライン 上野泰也)について
南シナ海の仲裁裁判は判事が中国も台湾も同じ国という思い込みがあって、言わなくても良いことを言った気がします。それだけ世界に中国の嘘のプロパガンダが効いている証拠でしょうけど。南シナ海全体に触れるとどうしても太平島にも触れざるを得なかったのかもしれませんが。
中国も5/20に蔡英文民進党総裁が就任してから、台湾への旅行客を減らすとか経済的圧力をかけてきましたが、金門島の賑わいの記事を読めば、それ程でもないのでしょう。中国人は「上に政策あれば下に対策あり」ですから。7/19台湾で中国人を乗せたバスが事故を起こし、台湾人運転手・ガイドを含む26人が亡くなったのは記憶に新しいです。バスの車体本体は繁体字、観光客向けの案内版は簡体字で書かれているので調べれば中国人観光客が減っているかどうか分かります。
金門島の土産として人民解放軍が撃ち込んだ大砲の弾で造った包丁とかがあります。
https://www.toyo-sec.co.jp/china/column/yawn/pdf/r_053.pdf
http://www.cinemajournal.net/special/2013/hocho/index.html
日本人も中国のプロパガンダに左右されることなく、事実に即した現代史を学び、日本にとっての台湾の地政学上の重要性に鑑み、もっともっと台湾を支援をしていくようにしていければと思っています。国民党の財産も国家に戻すようにしましたから、益々国民党は衰退していくでしょう。でも国民党と台湾(国家)との関係は、中国共産党と中国(国家)との関係と同じです。漢人の発想は同じで、国家より私的な党を優先するという事です。それで公共の概念が発達しませんので、自らの身を律する道徳も無きに等しくなります。台湾は今後も民進党が政権を握るのが続き、真の民主主義国家として発展していくのでは。嘘が得意な韓国とは違います。
http://mincome.net/koe.html/20160725-00000574-san-cn
記事
台湾海峡には金門島や馬祖島といった、台湾(中華民国)の実効支配下にありながら中国本土(中華人民共和国)から目と鼻の先の島がいくつかある。筆者は会社の夏休みを利用して、金門島を今回訪れた。
■台湾(中華民国)が実効支配する金門島と中国本土との位置関係、
そして今回の旅行の経路

台湾は猛暑続きで汗まみれ
7月中下旬は台風が次々と襲来することが多く、台湾では観光のオフシーズン。ところが今年は異常気象で台風の発生が極端に少ない。このため金門島と台湾本島の都市(嘉義および台北)に筆者が滞在している間、お天気はほとんどの時間、晴れだった。その代わりに猛暑続きで、外を歩き回る筆者のポロシャツは、一日に数回汗まみれ。夕方には乾いた塩分が白い線になって浮かび上がっていた…。
実は、筆者の今夏の一人旅の行き先としては、バングラデシュが有力候補になっていた。ところが、「地球の歩き方」を読んだ翌日にバングラデシュのダッカで飲食店襲撃テロ事件が発生したため、取りやめとなった。ほかの行き先を再検討する中で、台風が発生しないかどうか、天気図や現地の天気予報を毎日にらんだ上で、休暇入りの数日前になってようやく、台北往復(国内線への乗り継ぎが楽なように台北中心部にある松山空港発着便)のチケットをインターネットで購入した次第である。
金門島と大陸の間で砲声が止んだのは1979年
1946年からの国共内戦で敗北濃厚になった蒋介石率いる国民党・中華民国政府軍は、1949年に台湾に撤退して拠点とした。そして、大陸にきわめて近いものの彼らが支配下に置き続けた金門島は、1958年夏から秋に中国共産党の人民解放軍によって大量の砲弾が撃ち込まれるなど、最前線の島になった。台湾海峡の緊張状態に米国が介入したため、共産党政権は武力による台湾制圧を断念。しかし、その後も大陸と金門島との間では形式的な砲撃が続けられ、砲声が止んだのは1979年に米中国交正常化が実現してからのことだった。
台北・松山空港で国内線のチケットを買って、1時間ほどのフライトで金門空港に到着。インフォメーションで宿を予約してもらってから(週末のためほとんどの宿が満室な中、電話をかけまくって一生懸命探してくれた若い女性担当者に感謝!)、タクシーで街に向かうと、景色はのんびりした田舎の風情である。
けれども、島のあちこちに防空壕や基地として使用された長い地下トンネルがあるほか、北側の海岸には上陸用舟艇の接岸を防ぐためレールを砂浜に斜めに刺した障害物が今でも多数埋め込まれており、最前線の島だったことがよくわかる。

海岸の障害物と対岸のアモイの高層ビル群
中台関係の緊張感の高まりは感じなかった
台湾の陸軍兵士による榴弾砲の操作実演も見学した。上陸した人民解放軍を国民党の軍隊が撃滅した古寧頭の戦いの記念館もある。そうした軍事関連施設が、平和が保たれている現在、この島の観光の目玉になっている。
中台関係は、今年1月の台湾総統選挙で民主進歩党(民進党)の蔡英文氏が当選し、5月20日に就任してから、微妙に悪化している。6月25日には中国で台湾政策を担当する国務院台湾事務弁公室の報道官が、蔡英文政権は「(中国大陸と台湾は一つの国だとする)一つの中国の原則という共同の政治的基礎を認めていないので、両岸(中台)の対話メカニズムは既に止まっている」と述べた。台湾独立を志向する蔡政権との当局間対話を中国は事実上停止していたが、当局者が明言したのは初めてだという(6月26日 日本経済新聞)。
経済の調子が良くないと外交・軍事面での対立・緊張に国民の目を向けさせるという事例は、古今東西枚挙にいとまがない。中国は現在、不動産バブル崩壊後の不良債権問題への対処で抜本的な対応策を打ち出せないまま、経済成長率の下支えに苦慮している。蔡政権発足後、金門島でも少しは緊張感が高まっているのではないかと筆者は考えたのだが、実際にはそうした兆候は見出されなかった。
金門島とアモイの間では、通航の自由化が実現
金門島と対岸の中国の大都市アモイ(厦門)の間では、2001年から「小三通」と呼ばれる通航の自由化が実現している。金門島からアモイまでフェリーで約35分。だいたい30分に1本と、便数はかなり多い。

金門島からアモイに向かうフェリー
滞在2日目の朝、一番早い朝8時発の便に乗ってみたら、台湾人・中国人の観光客でかなりの席が埋まっていた。別の政府の支配地域に行くといった緊張感はまったく感じられなかった。元朝日新聞台北支局長である野嶋剛氏の著書『台湾とは何か』を読むと、「金門の人々は、中国に対する警戒心がそれほど強くない。台湾意識も強くない。基本は中台和解支持である。対中国のハードルが台湾本島より低いのである」と書かれていた。
なお、筆者がたどったこのルート(台北から金門まで国内線で飛んで、フェリーでアモイに入る)は、台北からアモイに飛行機で直接飛ぶよりも安く行けることから人気があるようで(庶民の知恵のようなものか)、台湾の国内線3社が乗り継ぎに便宜を図っていた。中国への入国審査も、現地の人々は慣れており、実にスピーディーである。
中国へ入国、もしかするとスパイと疑われた?
筆者の場合はどうだったか。中国・北朝鮮国境の都市である延吉から中国に昨年入国・出国したせいか(当コラム2015年9月8日配信「中国側から眺めて分かった『北朝鮮のいま』」参照)、女性係官によるチェックにやや時間がかかった。横に寄ってきたベテランの男性係官が「ちょっとすみません、日本ではいま平成何年になりましたか?」と、小職に突然質問。ちゃんと正しい返答をしたのだが、もしかすると北朝鮮の工作員か何かと疑われたのだろうか。あるいは、天皇陛下の生前退位問題が中国でも報じられたためだったのかもしれない。
アモイは中国の中で、住宅価格の上昇率の高さが最近目立つ都市の一つである。6月の新築住宅価格の上昇率は前年比+33.6%で、深センに次ぐ第2位。金門島の住民も投資しているらしい。そのためか、高層マンションの建設現場ではクレーンがちゃんと動いていた。
この都市における観光で筆者のお目当てはコロンス島という島であり、別のフェリーターミナルまでタクシーで30分かけて出向いた。だが、この日は日曜日。行楽に出かける中国人観光客でターミナルはごった返しており、午前中のフェリーは全部満席だったのであきらめた。猛暑の中、代わりに南普陀寺などを観光し、わずか5時間の滞在で、金門島にフェリーで戻った。
仲裁裁判所判決に抗議する若者
もう1つ筆者が関心を抱いたのが、7月12日に出された南シナ海問題を巡る国際的な仲裁裁判の判決で、「九段線」の内側は主権・権益の及ぶ範囲だという中国の主張が完敗したことへの、台湾の姿勢である。
この「九段線」は、1947年に中華民国(当時の国民党政府)が引いた「十一段線」がルーツである。同政府が台湾に移った後、中華人民共和国が2本減らして「九段線」にした。したがって、仲裁裁判所の判決を不服とする点で、台湾は中国と同じ立場である。台湾ではすでに述べたように現在は民進党政権だが、総統府は判決が出た12日に声明を発表し、「南シナ海の諸島と関連海域は中華民国(台湾)が所有する。我が国の利益を損なういかなる情勢にも譲歩しない」などと反発した(7月13日 毎日新聞)。
台湾本島では民国党という政党が、この判決に抗議する署名運動を展開していた。民国党の徐主席が副総統候補として、総統候補の親民党・宋主席とペアで総統選を戦ったが、得票率1割強で落選したことを後で知った。嘉義の在来線駅の前に若い男性が2名。

嘉義駅前で仲裁裁判所判決に抗議する署名運動をしていた若者たち。
筆者も声をかけられたが、中国語ができないので英語で会話。本当に判決に不服だと彼らは言う。だが、道行く人はつれなく、署名はさほど集まっていなかった。その後、台北中心部のホテルの前でも、若い女性が2人組で同じ活動をしているのを目にした。
台湾が実効支配する太平島が判決で「島」ではなく「岩」とされたことに抗議する漁船が20日に現地に向かうなど、抗議活動が台湾で広がっているという。
「太平島は長さ約1.4キロ、最大幅400メートル。淡水が湧き、辺境防備のために200人以上が駐在する。にもかかわらず『人間の居住又は独自の経済的生活を維持することができない岩』とされた」(7月21日 毎日新聞)
「住民の間では中国への警戒感が根強いが、台湾に不利な判決を日米が支持したことに失望する声も出ている」「国際協調を重視する蔡英文政権は関係国との摩擦を避けたいのが本音で、世論との間で板挟みになっている」(7月21日 日本経済新聞)
複雑な利害関係で結びつく台湾と中国
1つの問題では共同歩調をとり得るものの、別の問題では根深い対立を解消するのが難しい。中国と台湾の問題は、そうした複雑な絡み合いの中で現代の国際関係が成り立っていることを、あらためて思い起こさせてくれる。
端的に言えば「白か黒かでは割り切れない」わけで、英国のEU(欧州連合)からの離脱問題の行方などにもあてはまることだろう。
これは、新たに出てきた材料を、時間の経過とともにマーケットがどのように消化していくのかを考える際にも、有用な視点だと言えそうである。
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『日本単独で「核武装国」中国を壊滅させる秘策は機雷』(8/1ZAKZAK 兵頭二十八)について
兵頭氏の「米国抜きでの日本の中国への機雷設置」は中国の核ミサイル報復を受けるのではという気がします。日本も核保有しなければ採れない戦略と思います。しかし、中国はMAD(相互確証破壊)が成り立つ国かどうか?毛&ポンピドー会談の経緯を見ると成り立たないのでは。中国は昔から国民の命を鴻毛の如く扱ってきました。為政者だけが生き延びれば後はどうなろうと知ったことはないというスタンスです。現代史を見ても、南京陥落時に真っ先に逃げた唐智生、黄河花園口を決壊させた蒋介石の所業を見れば分かります。オバマの「核なき世界」は中国を有利にするだけです。中国の核爆弾はまだ200発くらいと言われていますが、米ロは7~8000発台です。時間の利益を中国に与えます。中国はSTART(戦略兵器削減条約)を批准していませんので。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A0%B8%E4%BF%9D%E6%9C%89%E5%9B%BD%E3%81%AE%E4%B8%80%E8%A6%A7
http://www.cnn.co.jp/special/interactive/35030561.html
機雷敷設は中国船だけを認識して、爆発するように設定しなければなりません。日高義樹氏の『中国、敗れたり』によれば、米軍の海底に設置した機雷は、衛星に頼らず中国船を自動認識して浮上して爆発するタイプとの記憶があります。当然日本もその程度の機雷は持っていると期待します。
http://blog.jog-net.jp/201510/article_1.html
機雷敷設は准戦争行為なので中国に宣戦布告したと看做されるのでは。中国が黙っている訳はないと思います。通常戦力だけであれば日本が短期的には勝つと思いますが、200発も核を持っている中国にどう対峙するのでしょうか?BMDやPAC3では全部は撃ち落せないのでは。その対抗策が明示されていないので不安になります。勿論、武道と同じで敵にこちらの手の内を見せれば敵はそれを打ち破る手を考えるでしょうから説明してないのではと思います。日本は対抗策を持っていると信じたいです。まあ、自由主義諸国で中国を経済制裁し、封じ込めるのが先という気がしますが。
記事
日本の国防を考える時、最大の脅威は中国だ。仮に共和党の大統領候補・ドナルド・トランプ氏が主張するように米国の後ろ盾がなくなったら、日本はどうすべきか。軍学者の兵頭二十八氏は、日本は「自衛」の結果、中国を簡単に滅する“奥の手”があると論じる。 * * * 在日米軍が2017年に急に引き上げ、日米安保が停止したとしよう。ふつうは他の集団的安全保障(たとえば核武装国である英・仏・印・イスラエルとの2国間の軍事同盟条約)を模索するだろうが、話を極度に単純化し、それもナシということにする。 すると日本は核武装国の中共に対して単独で自衛せねばならぬ。 体重百キロのチンピラに密室で襲撃された老人と同じく、弱者の自衛には手加減は不可能だ。日本は主権と独立を防衛するために、中共体制そのものを全力で亡ぼしてしまうしかない。じつはそれは簡単である。 まず尖閣の領海に機雷を敷設し、それを公表する。これは主権国の権利なのだが、チンピラの中共は必ず、わけのわからないことを叫び、軍艦か公船か漁船を出してきて、触雷するだろう。そのうえもっと軍艦を送り込むので、わが国は「自衛戦争」を始められる。 こっちは弱い老人だから体力のあるうちに早く決着をつけなくてはならぬ。すぐ、中共本土の軍港前にもわが潜水艦によって機雷を撒き、それを公表する。同時に黄海や上海沖で潜水艦によって敵軍艦も雷撃させ、わざとらしく「機雷が作動したと思われる」とアナウンスする。 すると中共海軍の防衛ドクトリンがスタートする。彼らは外国軍の潜水艦を北京や上海に寄せつけない手段として、漁船を動員して大量の機雷を撒かせることに決めているのだ。こっちが機雷を撒くと、向こうも機雷を撒く。レバレッジ(梃子作用)が働いて、わが自衛行動が数倍の効果を生むのだ。
連中には撒いた機雷の位置を精密に記録するという訓練も装備もありはしない。しかもシナ製機雷には時限無効化機構もついてない。
自分たちで撒いた機雷により、シナ沿岸は半永久に誰も航行ができない海域と化す。中共に投資しようという外国投資家も半永久にいなくなる。なにしろ、商品を船で送り出せなくなるのだ。
外国船籍の原油タンカーがシナ沿岸には近寄らなくなる(無保険海域となるのでオーナーが立ち寄りを許可しない)結果、中共沿岸部の都市では、石油在庫はたちどころに闇市場向けに隠匿されて、表の市場には出てこなくなるだろう。他の生活必需物資も同様だ。
およそ精鋭の掃海部隊があったとしても、大量の機雷の除去には数十年を要する。中共軍にはその準備がないので、中共だけが「石油高」「電力高」「輸出ストップ」に長期的に苦しむ。闇石油を押さえた軍閥が強くなり、石油を支配していない中央政府と大都市・大工場は逼塞する。第二の袁世凱または張作霖があらわれるだろう。弱者の日本の正当防衛は成功したのである。
機雷戦のメリットは、いったんスタートすると、核をチラつかせた脅しや、シナ人得意の政治的工作をもってしても、事態を元には戻せないことだ。そもそも敵艦がわが領海を侵犯しなければ触雷はしないのだから、平和的だ。艦艇が沈む前に敵に脱出のチャンスを与えるという点では、対人地雷よりも人道的である。
そして、機雷戦がいったん始まれば、シナ大陸沿岸海域は長期にわたって無保険化することが確定するので、戦争の決着がどうなるかとは関係なしに、中共経済の未来は終わる。スタートした時点で、日本の勝利が決まるのである。
このように、強者の米国がバックについていない場合、余裕を失った弱者の日本は、却って簡単に中共を亡ぼすことになるのである。
※SAPIO2016年8月号
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『トランプ人気が急加速、悪役クルーズ登場が契機に 受け狙いの米国・日本のメディアが伝えない真の潮流』(7/29JBプレス 堀田佳男)について
<日経ビジネス8月1日号 『トランプ氏に乗っ取られた共和党』
7月21日に閉幕した党大会で、ドナルド・トランプ氏が共和党の大統領候補に指名された。反移民や反自由貿易を掲げ、同盟に疑問を呈するトランプ氏は共和党の従来の主張と大きく異なる。左傾化する民主党とポピュリズムに走る共和党、その間で“企業”は行き場を失いつつある。
7月21日に閉幕した党大会で、ドナルド・トランプ氏が共和党の大統領候補に指名された。反移民や反自由貿易を掲げ、同盟に疑問を呈するトランプ氏は共和党の従来の主張と大きく異なる。左傾化する民主党とポピュリズムに走る共和党、その間で“企業”は行き場を失いつつある。

トランプ氏の主張は、共和党を支えた「3つの保守」とは異質なものだ(写真=新華社/アフロ)
2012年の共和党候補として米大統領選を戦ったミット・ロムニー元マサチューセッツ州知事は選挙戦で、3本脚のスツールを愛用した。
共和党には、伝統的に経済的な保守、社会的保守、安全保障の保守という3つの立場がある。経済的な保守はレーガン政権以降、いわば党是と化している自由貿易や減税、規制緩和など小さな政府路線を支持する経済界や富裕層、社会的保守は妊娠中絶や同性婚に反対する宗教的保守派、安全保障の保守は同盟国との連携を重視する国際協調主義者や強い米国を重視する外交的タカ派などが主なベースである。
3つの保守が共和党を支えているということを示すため、ロムニー氏はその象徴として3本脚のスツールを持ち歩いていた。だがドナルド・トランプ氏を候補に担いだ今年の大統領選で、そのバランスは大きく崩れている。
それが端的に表れているのは、自由貿易や移民に対する強硬な姿勢だ。
元来、共和党は自由貿易の守護者だが、トランプ氏は選挙戦を通じて自由貿易が米国の製造業や雇用を破壊したと主張している。移民についても「メキシコ国境に壁を作る」と繰り返す。7月21日の指名受諾演説でも、「労働者を傷つけるような貿易協定にはサインしない」と明言、政策綱領にも「国境の壁」の建設が明記された。
2つの「保守」は既に崩壊
安全保障に関しては、日米安全保障条約など既存の同盟にたびたび疑問を呈している。党大会の期間中には、北大西洋条約機構(NATO)における米国の防衛義務に疑義を表明した。その底流にあるのは、同盟国が応分の負担をしていないという認識だ。
同盟には歴史的経緯や平和の配当など金銭負担を超えた恩恵があるはずだが、トランプ氏は外交をP/L(損益計算書)的な視点でしか見ていない。不動産デベロッパーとして銀行や下請け業者とシビアに交渉してきたトランプ氏ならではの発想だろう。
社会的保守について言えば、過去の選挙戦で妊娠中絶に反対を表明するなどキリスト教保守派の主張に沿った発言をしている。もっとも、ゲイを公言している米ペイパルの創業者、ピーター・ティール氏を党大会のスピーカーに招聘、トランプ氏自身も「LGBTQ(性的少数派を意味する言葉)を暴力と弾圧から保護するために全力を尽くす」と述べるなど、その立場は交錯している。
単純に割り切れないのは他の2つの保守も同様だ。演説では、いつものように保護主義的な言動を繰り返していたが減税は支持した。オバマケアの撤廃も支持しているが、共和党が主張している社会保障の給付金見直しには言及していない。
それでも、伝統的な共和党とは懸け離れているのは確かだ。「社会的保守の柱は堅持していくようだが、それ以外の2つの柱は完全に破壊された」と共和党系のシンクタンク、アメリカン・エンタープライズ研究所のジェームズ・ペソコウキス研究員は天を仰ぐ。
共和党主流派は既に“トランプ後”を見越して動き始めている。
党の実質的なリーダーであるポール・ライアン下院議長はトランプ氏の支持を表明しているが、消極的な支持の枠を出ない。予備選・党員集会を戦ったライバルも一様に距離を置く。
「小さなマルコ」と揶揄されたマルコ・ルビオ上院議員は党大会にビデオでのみ参加した。お膝元のクリーブランドで開催された党大会なのに、オハイオ州知事のジョン・ケーシック氏は会場に姿を現さなかった。妻を侮辱されたテッド・クルーズ上院議員に至っては、演説でトランプ支持を明言せず、最後は大ブーイングに包まれた。今年の党大会のハイライトの一つだろう。
ブッシュ家が輩出した2人の元大統領も、オバマ大統領に敗れ去った2人の元大統領候補も不参加を決めた。党大会は党の結束を深め、11月の本選に向けて士気を高めることが目的の一つ。だが、党大会の4日間を見る限り、一枚岩になりそうな雰囲気にはない。
政治的に消滅した中道路線

(写真=AP/アフロ)
トランプ氏の登場で共和党の“解体”は加速しつつある。影響を最も受けているのは、伝統的な支持基盤だった大企業や商工会議所などの経済団体だ。
トランプ氏はTPP(環太平洋経済連携協定)やNAFTA(北米自由貿易協定)に反対票を投じているだけでなく、大企業が社会経済システムをゆがめ、不当な利益をむさぼっていると強調している。格差と社会的不均衡の拡大は事実だが、その見方は民主党の候補者争いを戦ったバーニー・サンダース上院議員に近い。事実、指名受諾演説ではサンダース支持者に秋波を送った。
トランプ氏の最近の発言を見ると、白人労働者層や宗教的保守派にフォーカスして選挙を戦う姿勢が鮮明だ。今年の大統領選では白人労働者層が多い北西部のラストベルト(かつて製造業が栄えたエリア)がカギを握るとみられている。それを考えれば、不満を抱えた労働者に注力したポピュリズム戦略は合理的に違いない。
オバマ治世の8年間、米国ではリベラル化が進行した。「1972年以降の大統領選の中でも最も左にシフトしている」と米ワシントン・ポストが書いたように、民主党の新たな党綱領には最低賃金や気候変動、人工中絶などでこれまで以上にアグレッシブな政策が並ぶ。
「企業関係者は極めて厳しい選択を迫られている」とペソコウキス氏が指摘する。先鋭化したリベラルと宗教色の強いポピュリズムに米政治が色分けされる中で、右派、左派ともに中道路線が絶滅しかけているのが現状だ。共和党や民主党が割れて第3極が生まれるという見方が出始めているのも、そうした認識が背景にある。
英国の欧州連合(EU)離脱が示したように、中道の消滅は世界的な現象。主張が右と左に離れるほど、合意形成は難しく国は分裂していく。それを防ぐには、安定した経済成長の実現と公平な分配しかないが、道のりは険しい。“トランプ後”の世界は依然として視界不良だ。
| 経済政策における違いが目立つ ●伝統的な共和党の主張とトランプ氏の主張の主な相違 | ||
| 自由貿易の推進 | 「私は労働者を傷つけるような、いかなる貿易協定にもサインしないと誓う」 「我々には米国を第一に置く、より条件のいい貿易協定が必要だ」 | |
| 国際的な協調主義 | 「コストを負担するのは米国で、NATOの加盟国は応分の負担を果たしていない」 「グローバリズムではなく米国第一主義が我々のクレド(信条)」 | |
| 合法的な移民はOK | 「検査態勢が確立されるまで、テロに屈しているいかなる国からの移民も一時的に止めなければならない」 | |
| オバマケアの撤廃 | 「破滅的なオバマケアを廃止し置き換える」(*共和党は高齢者向け公的医療保険「メディケイド」などの見直しを主張しているが、トランプ氏はそれについては演説で述べていない) | |
| 中絶や同性婚の反対 | 「イデオロギーによる暴力と弾圧からLGBTQを保護するために全力を尽くす」(*同性婚は支持している模様。中絶には言及していないが、過去の発言では中絶には反対の立場) | |
| 減税による経済成長 | 「今回の大統領選に出馬したあらゆる候補の中で、最も大規模な減税案を提案している」 | |
| 注:トランプ氏の指名受諾演説を基に作成、一部は党の政策綱領の表現 | ||
(ニューヨーク支局 篠原 匡)>(以上)
<8/2日経The Economist 開かれた世界を守るには
劇場型政治といえば、米大統領選に向けた二大政党の全国党大会に匹敵するものはない。右派と左派が一堂に会して党の大統領候補を選び、共和党は保守主義的な、民主党はリベラルな党政策綱領を採択する。しかし今年は違った。民主党のヒラリー・クリントン氏が二大政党で初の女性の大統領候補になったからだけではない。両党とも全国大会で新たな断層が浮き彫りになったのだ。それは左派対右派の構図ではなく、志向が外向きか内向きかによる分断だ。

7月25日の米民主党全国大会でサンダース氏に声援を送る支持者ら=AP
共和党の大統領候補に選ばれたドナルド・トランプ氏は例により一刀両断的表現で「グローバル主義ではなく米国第一主義こそ我々の信条だ」と言明した。自由貿易を批判する彼の演説は、クリントン氏と民主党の大統領候補の指名を最後まで争った「民主社会主義者」を自称するバーニー・サンダース氏の支持者の共感も誘った。
ポピュリスト政党 欧州9カ国で与党に
これは米国に限ったことではない。今や欧州全土でも「世界というのは不快で恐ろしい場所だから賢明な指導者は世界と遮断するために壁をつくるべきだ」と訴える政治家が勢いを持つ。ハンガリーでは民族主義的な保守強硬派が政権を握り、ポーランドでも排外主義を訴え、司法にも介入する政府が誕生した。欧州では右派、左派を問わずポピュリスト(大衆迎合主義者)の主張を掲げる政党が2000年時点の2倍近い支持を集め、9カ国で政権を握るか連立与党に加わっている。
これまでのところ、反グローバル主義者たちにとって最大の成果は、英国の欧州連合(EU)離脱の決定だろう。自由貿易が最もうまく機能しているEU単一市場からの退出が決まった6月の国民投票では、有権者の偏狭な考え方が肯定され、主要政党は真っ二つに割れた。
強まる内向き志向 自由主義のリスクに
反グローバル主義者の主張に説得力を持たせるニュースは毎日のように起きている。7月26日には過激派組織「イスラム国」(IS)に忠誠を誓う男2人が、フランス北部ルーアン近郊の教会で85歳の聖職者を殺害した。フランスとドイツではその前から残虐なテロ行為が後を絶たない。危険なのは不安があおられ、内向き志向の勢力が選挙でさらに勝つことだ。自由主義陣営にとり、共産主義に続く最も恐るべきリスクだ。この流れには何としても対抗しなければならない。
まず何が危機的状況なのかを思い出してみよう。米国主導の組織や規則、同盟などの多国間システムは第2次世界大戦以降、70年間にわたって世界の繁栄の礎となってきた。この体制のおかげで欧州は戦後復興を遂げ、ソ連の共産主義が崩壊し、中国が世界経済に組み込まれて貧困層がかつてないほど減少した。
壁をつくって外界を遮断すれば国は貧しくなり、危険に満ちる。もし欧州が協調をやめてバラバラに自国の主権を振りかざしたり、米国が世界から目を閉ざしたりすれば、望ましくない国がその間隙を突くだろう。米国と同盟関係にあるバルト諸国がロシアの脅威にさらされても、米国は何もしないかもしれないというトランプ氏の発言は無責任で、理解に苦しむ。米国は北大西洋条約機構(NATO)加盟国への攻撃を、NATO全体に対するものとみなすと断言してきた。もしトランプ氏がそれをほごにしたら、米国は二度と信用されなくなる。トランプ氏のあたかも大統領になったかのような発言は、世界の厄介者と呼ばれる国々を増長させた。ロシアのプーチン大統領が同氏に肩入れするのはもっともだ。
壁の建設を唱える人たちが支持を広げることで、すでに様々な影響が出ている。EUを離脱することになった英国は景気後退へ向かうだろう。EUも危機にある。フランスで来年、極右政党「国民戦線」のマリーヌ・ルペン党首が大統領となり、英国に続いて離脱を決めればEUは崩壊しかねない。トランプ氏は自身の経営するカジノが客から現金を吸い上げるように、国際機関から信頼性を吸い上げた。世界最大の経済大国の大統領になるかもしれない人物が新たな貿易協定の締結を阻み、既存の貿易協定を破棄し、自分の考えが通らなければ世界貿易機関(WTO)から脱退すると脅している。
壁の建設に反対し、開かれた世界秩序を維持するには、一段と強い言葉で大胆な政策を示し、それを広める作戦を練らなければならない。まず言葉については率直さが必要だ。米国にとってなぜNATOが重要なのか、欧州にはなぜEUが欠かせないのか、自由貿易や異民族との共存を進めればいかに社会が豊かになるか、そしてテロとの戦いにはなぜ各国協調が必要なのかを有権者に思い出させるのだ。
グローバル化の信奉者の多くはほとんど口を閉ざしている。勇敢にも立ち上がったのはカナダのトルドー首相やフランスのマクロン経済産業デジタル相など一握りの政治家だけだ。グローバル化の推進のためには戦わねばならない。
社会の安全網強化で 負の要素を減らせ
しかしながら、グローバル化には手直しが必要なことも忘れてはいけない。貿易で損を被る人も大勢いるし、移民が急増すれば地域社会の混乱を招くこともある。こうした問題の最善の対応策は壁をつくることではない。開かれた社会の良さを維持しつつ、負の要素を減らす大胆な政策を打ち出すことだ。モノや投資資金の自由な流れを守りながら、そのために仕事を失った人たちが支援と新たな機会を得られるよう社会のセーフティーネットを強化するのだ。移民の流入をうまく管理するため公共インフラを整備し、移民が仕事に就けるようにし、移民の急増を抑える規制を認めよう。
作戦について言えば、左派や右派の政党で開かれた世界を支持する勢力が、いかに選挙で勝つかが重要になる。オランダとスウェーデンでは中道政党が団結し、国粋主義者らを締め出した。フランスでは02年の大統領選の決選投票で、同じような連合体が国民戦線のジャンマリー・ルペン党首を破った。17年の大統領選でも娘のマリーヌ氏を倒すには、こうした政党の連合が必要になるかもしれない。英国でも今後、中道主義の新党が求められるだろう。
米国では既存政党自身が答えを引き出さなければならない。反グローバル主義に真剣に対抗しようとするなら、共和党員は意に沿わなくてもクリントン氏を支持すべきだ。クリントン氏自身もまた、明確な開放政策を打ち出さなければならない。副大統領候補にスペイン語に堪能なグローバル主義者のティム・ケーン氏を選んだのは良いことだ。とはいえ、世論調査でトランプ氏との差はごくわずかだ。リベラルな世界秩序が維持されるかどうかは、クリントン氏が大統領に選ばれるか否かにかかっている。
(7月30日号)>(以上)
<8/1産経ニュース トランプ氏がイスラム教徒の戦没者遺族を「侮辱」 身内からも批判
【ワシントン=加納宏幸】米共和党大統領候補の不動産王、ドナルド・トランプ氏(70)が7月31日、戦死したイスラム教徒の米軍人の遺族を侮辱したとして批判された。共和党幹部もトランプ氏に対する不快感の表明が相次ぎ、陣営は釈明を迫られた。米軍最高司令官になる資質に関わるだけに、11月の本選にも影響を与えそうだ。
遺族は、2004年にイラクで自爆テロにあって戦死したフマユン・カーン陸軍大尉の父でパキスタン出身のキズル・カーン氏。
民主党大統領候補にヒラリー・クリントン前国務長官(68)を指名した同党全国大会に7月28日、妻と登壇し、イスラム教徒の入国禁止を主張するトランプ氏に「米国憲法を読んだことがあるのか」「(戦没者が眠る)アーリントン国立墓地を訪れたことがあるか」などと問いかけた。
トランプ氏は31日、ツイッターで「カーン氏から敵意をもって攻撃されたが、反応してはいけないのか。イラク戦争(開戦決議)に賛成したのはクリントン氏で、私ではない」と反論。米メディアでは「クリントン氏のスピーチライターが原稿を書いたのではないか」とも発言した。
カーン氏は31日のCNNテレビ番組でトランプ氏を「黒い魂を持っている。指導者には到底ふさわしくない」と批判し、共和党幹部に同氏への支持撤回を要求。クリントン氏もカーン氏に同調し、同党に「党派よりも国家(への忠誠)を取るべきだ」と訴えた。
共和党のライアン下院議長は31日、声明を発表し、カーン大尉を含む多くのイスラム教徒の米軍人による献身をたたえ、宗教を理由に入国を禁止するような主張を「拒否する」とした。同党のマコネル上院院内総務も入国禁止は「米国の価値に反する」と指摘した。
トランプ氏への批判の高まりを受け、共和党副大統領候補のペンス・インディアナ州知事は31日夜、「カーン大尉は英雄であり、すべての米国人が遺族を大事にすべきだ」とする声明を発表した。ただ、テロに関与した国からイスラム教徒を入国禁止にするとの主張は変えなかった。>(以上)
堀田氏は「メデイアは決めつけて書いてしまう癖がある」と言いたいようです。朝日新聞の角度を付けた報道の例もそうでしょう。ただ朝日新聞には戦後反日に転換したため、日本への悪意が感じられますが。角度を付けると言うことは、事実に基づいた報道ではありません。日本国内の外国に関する報道では日本のメデイアの特派員がその国の新聞やTVを見て解説するのが多く、堀田氏のように現地でいろんな人に取材して記事を書く人は少ないという印象を持っています。
堀田氏は「共和党が全国大会でクルーズに演説させて逆に団結を促すようにシナリオを描いた可能性もある」とのことです。それにしてもトランプは物議を醸す発言が続き、ヒラリーを利しているように見えます。それでも最終的に米国民がどちらを選ぶかですが。
「エコノミスト」の記事はリベラル臭がプンプンします。グローバリズムが「善」との思いが前面に出ています。鎖国するより開国して国際分業した方が経済的に富むことは北朝鮮やキューバの例を見れば明らかです。でも移民の受入を前提にしなくとも良いのでは。今現実に起きている問題はイスラム移民の問題です。ISシンパが紛れ込んでいるかも知れず、テロの危険性が高まる施策をEUは率先してやっているようにしか見えません。国の大きな役目は「国民の生命及び財産」を守ることです。EUに入っていてそれができないのであれば離脱を望む国が出て来るのは当然です。「多文化共生」と良くリベラル左翼が言いますが、「多文化尊重」が正しい道と思います。自分の生まれ故郷の伝統文化を大事にして、その地で暮らせるのが理想でしょう。勿論外国暮らしを否定するものではありませんが、「郷に入れば郷に随う」ように相手国のルールを尊重して初めて存在が認められるのでは。在日のように日本国内で反日活動する人たちは帰国して貰った方が良いでしょう。英国「エコノミスト」はシテイのグローバリズムを後押しする立場ですので、世界の潮流を見誤っているように思えます。世界は「統合」から「分散」「分断」へと動いて行っています。メデイアが「報道しない自由」を行使しても、今や「SNS」を使って瞬時に世界に流れる時代です。中国のように「金盾」ですぐ削除するような国もありますが。中国国民も海外旅行に行くようになったのだから如何に自国は自由がないか感じれば良いのに。「ポケモンGO」すらできない国です。
記事

米オハイオ州クリーブランドで開かれた共和党全国大会で演説する(2016年7月21日撮影)〔AFPBB News〕
米大統領選は大手メディアに煽られている――。
オハイオ州クリーブランドで開かれていた共和党全国大会を取材し終えて抱いた思いである。いきなり筆者の思いから入って恐縮だが、現地で見聞きしたこととメディアで報道されている内容の違いが目にとまったので報告したい。
党大会前、ドナルド・トランプ候補(以下トランプ)の支持率は不支持率よりもはるかに低く、党内がまとまらずに分裂する危険性もあるとの見方があった。
なにしろトランプは共和党の重鎮から嫌われていた。ブッシュ家の3人(大統領経験者2人とジェブ・ブッシュ元フロリダ州知事)は早々と党大会に出席しない意向を表していた。
ジョン・マケイン元大統領候補、ミット・ロムニー前大統領候補、さらにトランプと予備選を戦ったジョン・ケーシック・オハイオ州知事らも党大会には姿を見せなかった。
分裂の党大会かと思いきや
党大会前の各種世論調査を見ると、トランプの不支持率は70%代半ばで、ヒラリーに勝てそうもない「危険水域」に入っていた。有権者だけでなく党内の重鎮が反旗を翻していたため、党内を統一することは多難だった。
「分裂の党大会」という言葉が脳裏に浮かびさえした。
多くのメディアも、そこに切り口を見つけた。割れた党内といった流れの方が、読者を惹きつけやすい。「党内はよくまとまっている」では面白みに欠ける。ニュースは悲劇の方が受けるし、読者も悲劇をどこかで期待していたりする。
もちろん、ジャーナリズムの役割は目の前で起きていることを正確に伝えることだが、結束していない党大会の方が伝える側も受け手の側も注目度が高い。
クリーブランドには世界中から約1万5000人(主催者発表)のメディア関係者が集まっていた。8割近くがリベラル派に属していると言われる。その流れでは、トランプが醜態を晒すとか、共和党が分裂するといった出来事を嬉々として伝える傾向がある。
日本の大手日刊紙も「トランプ氏指名に反発噴出 米共和党大会 分断あらわに」、「党大会、目立つ亀裂」といったタイトルを打った。本文中でも「挙党態勢からはほど遠い共和党大会だった」といった文面が読める。
大会初日(19日)、反トランプ派の代議員らはトランプを代表候補にするのを阻止する動きに出た。大会規則を承認する手続きに異議を唱えたのだ。コロラド州から来ていた代議員が退場する場面もあった。
そうした光景を目の当たりにすれば「亀裂」という言葉は外れていない。けれども過去の党大会を振り返ると、ライバル候補を支援する代議員たちは大勢いた。バトルと呼べる状況になったことさえあった。
その中で、トランプは全米から集まった代議員(2472人)の過半数を得て代表候補になる。予備選で州ごとに選ばれた代議員たちが党大会で、もう1度投票をしてトランプを代表候補に選んだのだ。
会場の雰囲気を大きく変えたクルーズ演説
しかし、トランプが実際に獲得したのは2472人中1500人超に過ぎない。残りの900人ほどはテッド・クルーズ候補(以下クルーズ)やマルコ・ルビオ候補の支持者たちで、トランプ以外に票を入れている。
つまり、党大会に集まった代議員は、最初から全員がトランプを推しているわけではなかった。
大会3日目、さらに党内分裂と言えることが起きた。演者として招待されたクルーズが、トランプ支持を表明しなかったのだ。演説の最後に、「良心に従って投票してください」と述べた言葉は、「ヒラリーに投票してください」という意味でもある。
会場からはブーイングが起きた。その言葉の直前まで、演説巧者のクルーズらしい内容だっただけに、落差が激しかった。クルーズはこともなげに党とトランプを裏切ってみせた。
メディアによっては、こうした党内の動きこそが共和党を分断させていると発信した。だが、大会参加者のムードはクルーズの演説直後から変わる。クルーズを党内から排除するような空気が醸成されていったのだ。
4日目の朝から、様々な共和党関係者を取材した。話をしてくれた全員がクルーズを非難した。
アダム・キンジンジャー・イリノイ州議会議員は「クルーズの演説で党が割れたとは思わない。政治理念の違いはあっても、あのクルーズの演説はあり得ない」と憤りを隠さない。党大会に招待されたら、代表候補を支持するのは慣例なのだ。
クルーズの出身地であるテキサス州の代議員からも話を聞いた。カーボーイハットが似合う年配の紳士である。
「クルーズは自分勝手過ぎます。私は予備選ではクルーズ支持者でした。でもクルーズには嘘をつかれた気分です」
共和党全国委員会の広報部長、ショーン・スパイサー氏も「反トランプの党員でさえも、クルーズの演説内容は尊厳に欠けていたと思ったはず」とトランプを擁護した。
ブルートになったクルーズ
CNNのコメンテーターは、クルーズを漫画「ポパイ」の登場人物「ブルート」になぞらえた。誰からも嫌われるキャラクターになったことで、周囲の人間は主人公の「ポパイ」であるトランプへ、今まで以上に強い思いを寄せるようになったというのだ。
悪役が誕生したことで、トランプに求心力が生まれた瞬間だった。
党がここまで計算したいたかは分からない。クルーズもまさか自分がブルートになるとは思わなかっただろう。裏の裏がある米政界だけに、共和党がこれくらいのシナリオを考えていた可能性はある。
オハイオ州の名誉代議員の男性は党大会最終日、会場を出た所に特設された屋外の飲み屋でビールを飲みながら長々と語ってくれた。
「オハイオ州出身ですが、フロリダ州パームビーチに別荘を持っています。そこで何度もトランプと顔を合わせています。ゴルフ場で会ったこともあります」
「彼はやり手のビジネスマンですが、話をすると本当にまともな人であることが分かります。選挙中、ライバル候補に暴言を吐いたりしましたが、最初は信じられなかった」
「落ち着いて話をすると、すぐに優秀な人であることが分かります。クルーズの演説の後、仲間の党員たちはトランプでまとまりつつあります」
こうした党大会の潮流の変化は、現場に足を踏み入れないと分からない。男性は最後に言った。
「予備選で反トランプ派だった党員でも、ヒラリーだけには票を入れないという点で共和党はまとまっています」
筆者は、やみくもにトランプを支持するつもりはない。そうではなく、メディアの多くが最初から「分裂された党大会」というイメージを心にすり込んで大会に乗り込み、変化が起きても気づかずにいることに疑問を持つのだ。
日米のメディアを散見するかぎり、共和党全国大会後も「党内は分断」といった論調のメディアが多いことに驚くのだ。
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