1/13日経ビジネスオンライン 福島香織『香港銅鑼湾書店「失踪事件」の暗澹 香港の一国二制度を見殺しにするな』について

昨日は「台湾総統選」、「AIIB開業」の日でした。中国の世界に於ける存在感は2000年と比べて大きくなりました。大きくしたのは西側世界、特に日米です。「飼い犬に手を噛まれる」との思いでしょうが、「騙す方が賢く、騙される方が馬鹿」という民族ですから、日米は馬鹿だったのでしょう。軍事拡張を続ける中国をオバマは制止できません。多国間の枠組みを使って何とか抑止しないと戦争になります。やはり、中国の経済を崩壊させるしかありません。日本の株価も下げるでしょうけど、一時的なものです。他に投資先がなければ必ず還ってきます。1/14日経に日本の中韓への通貨スワップの記事がありましたが、折角「AIIB」に参加しなかったのに、その効果を減殺します。尖閣や沖縄、或は日本全体への領土的野心を持つ国を助けるのは信じがたい愚行です。財務省は本当に愚かな人間の集団です。戦前だって西原借款を供与して返して貰っていないでしょう。単に学力レベルだけの人間では良い行政は出来ません。

銅鑼湾書店の5人失踪事件は、世界に中国は異質というのをまざまざと見せつけました。サッチャーは鄧小平に騙されたという事でしょう。中国人が約束を守るはずがありません。法の概念が欠落している民族ですので。台湾国民も選択を間違えれば、「明日は我が身」と思ったでしょう。その結果が、昨日の総統選と立法委選です。

中国に日本を慰安婦や南京で非難する資格はありません。今甚だしい人権侵害を平気で行っているではありませんか?日本の左翼、人権派弁護士はどうして中国非難の声を上げないのでしょう?彼らは慰安婦問題で国連人権理事会(ジュネーブ)までわざわざ出かけて行って、日本を貶める行動をしてくるのに。ダブルスタンダードです。中国か韓国から金を貰ってやっているのか、スパイ活動としてやっているのでしょう。

中国では逮捕状なしで拘引、拘留するのが当たり前です。何せ法治国家ではありませんので。「法輪功」の信者もそれで犠牲になっています。台湾の蒋介石も2・28事件で同じように都合の悪い人間を隠密裏に拘束しては処刑しました。中国人のやることは一緒です。しかも、人類の叡智の結晶である「三権分立」を共産主義は否定します。中国人+共産主義となれば悪も底なし沼でしょう。

1/16日経に「中国は令計画(元中央弁公庁主任)の弟(令完成)の身柄移送を米国と協議」とありました。令完成は2700件の機密文書と中国要人のセックススキャンダルを持ち出したと言われています。米国も令完成をもう用済と引き渡ししたら、死刑になるのは目に見えています。人権を声高に言うのであれば、引き渡さないで、スノーデンのように生かしておいた方が後々役に立つかもしれません。

記事

年明け早々の私にとって一番衝撃的なニュースは銅鑼湾書店の関係者が次々と失踪したことだ。香港の出版界にひしひしと圧力が迫っていることは承知していたが、まさか香港内に住んでいる人間、しかも外国パスポートを持っている人間が突然消えるほど、香港が物騒なことになっているとは。

 銅鑼湾書店関係者の失踪は5人。まず昨年10月17日に店筆頭株主・桂民海の行方が分からなくなり、10月24日に同書店の創始人で店長の林栄基が消え、10月26日に株主の呂波、書店経理の張志平、そして最後に12月30日に店主の李波がいなくなった。いったい何が起きたのか。私にとっても大事な書店であり、関係者の無事と書店の存続を切に願うものとして、今わかる情報を整理しておきたい。

禁書、絶版本が充実した「二楼書店」

 銅鑼湾書店とは、香港の書店文化の一つである「二階書店(二楼書店)」(個人がテナント料の安い雑居ビルの二階の一室で開く趣味に走った書店)の代表的な店の一つで、1994年に開業した。いわゆる中国政府や共産党の権力闘争の内幕を“関係者が匿名で暴露した”というスタイルの怪しげな“禁書”を専門に売るということで有名なようだが、実は絶版で手に入りにくい文学書や台湾関係史、中国近代史本も充実している。

 銅鑼湾地下鉄駅D4口から出てすぐ、駱克道に面する雑居ビルの急な階段を上がったわずか30平米の小さな店だが、天井まで続く本棚にぎっしりと貴重な本が並び、真剣に発掘すれば何時間あってもたりない。台湾書籍の卸売業に従事していた林栄基が20万香港ドルの自前資金で開いた書店で、当初の品揃えは完全に林栄基の趣味に走ったものだった。

 私が香港駐在であった2001年ごろはまだ、本に立ち読み防止のビニールがかかっていなかったので、立ち読みの大陸からの客でいつも狭い店内がいっぱいであった記憶がある。2014年、テナント料の高騰にともない経営難に陥った同書店は、スウェーデン籍を持つ実業家・桂民海が投資して創った巨流伝媒集団に身売りされ、林栄基は雇われ店長となっていた。だが、それでも店に行けば、たいてい林栄基が相手してくれた。

 私がこの書店に最後に立ち寄ったのは2015年5月、林栄基はいつもの店長席におり、私は彼に最近の売れ筋の本や、数あるゴシップ本の中で読む価値がある本の指南をうけながら、十数冊の本を買った。「そんなに買うなら、電話一本くれれば郵送してやるよ。日本には郵送で本を買う顧客がたくさんいる」というのが、林栄基と交わした最後の会話である。その後、彼を含む書店関係者ら次々と姿を消した。彼から勧められた選りすぐりのゴシップ本をもとに書いたのが拙著『権力闘争がわかれば中国がわかる』(さくら舎)である。

彼らはなぜ突如、行方が分からなくなったのか。ほとんどの人が、中国当局が拉致監禁していると信じて疑わない。私もそう思っている。

 まず、銅羅湾書店には中国が不愉快になる本がたくさん売っていた。権力闘争の背景から党中央政治家の下半身スキャンダルの暴露本、文化大革命や天安門事件の詳細な記録、そして雨傘革命の記録。さらに、これは噂でしかないのだが、桂民海には共産党の“双規”に対する批判本を出す計画があって、それが中国共産党にとっては非常に警戒されたため、今回の銅鑼湾書店弾圧が起きたのではないか、と言われている。

「双規批判」「下半身醜聞」に激怒か

 双規は、共産党中央規律委員会による党員の取り調べ制度、司法制度外の党規に基づく制度で、逮捕状も拘留期限も決められておらず、拷問による死者まで出す前近代的制度と知識人の間で非難されている。人権派弁護士・浦志強が微博などのつぶやきをもって「民族の仇恨を扇動した罪」というわけの分からない容疑で逮捕、起訴され執行猶予付き判決が出たことは記憶に新しいが、浦志強が本当に冤罪逮捕された原因は、彼が双規の違憲性を世論に問おうとしたことではないか、と見られている。

 というのも、習近平政権の反腐敗キャンペーンは、もっぱら司法ではなく「双規」に基づいて行われている。習近平の汚職退治は司法手続きにのっとった正当なものではない。そのことを真っ向から批判されては、習近平政権が語る「憲政主義」がいかに胡乱なものか大衆の目にも明白になってしまう。

 もう一つの噂は、習近平下半身スキャンダル本の出版が計画されており、これに習近平が本気で怒ったという話だ。確かに習近平の香港出版界弾圧事件として一番最初に知られるようになったのは、亡命華人作家・余傑が書いた「中国教父習近平(中国のゴッドファーザー習近平)」の出版人となった姚文田が2013年10月に深圳に出張にいった際に、密輸容疑などで逮捕され、翌年5月に懲役10年という異例の重い判決を受けた例である。以降、習近平のスキャンダル本は何にもまして敏感なテーマの一つとなった。

 なぜ今、というタイミングだが、2016年が文化大革命開始から50年、終了から40年という節目と関係がある気がしてならない。もともと香港の「二楼書店」文化は、文化大革命で多くの書籍が禁書焚書となったとき、そういった書籍を秘密裡に香港に持ち出した本の虫たちが開いたところから始まっている。政治動乱を生き延びた貴重な書籍・文字資料たちが、ひっそりと売られている店でもあった。

 文革終了40周年目にして、文革をルーツとする香港二楼書店文化をこの際、徹底的に叩き潰すというのが中国側の意図かもしれない。今の習近平政権のイデオロギー統制は文革の再来ともささやかれる激しさで、文革再評価本にもかなり、神経をとがらせていると聞いている。文革批判が習近平批判につながる可能性を言う人もいた。かつて首相だった温家宝が、薄熙来の「打黒唱紅」キャンペーンを暗に「文革の残滓」と批判したことがあるが、薄熙来以上の毛沢東式イデオロギー統制ぶりに、習近平こそが「文革の残滓」とする声も出てくる中、文革再評価論も敏感なテーマとなっていた。

 こうしたタイミングで、香港“内幕暴露本”出版関係者に弾圧をかけることは、香港出版界を牽制するだけでなく、香港出版界にネタを提供してきた党中央内部の改革派知識人や官僚たちを震え上がらせる効果も狙っていることはいうまでもないだろう。

「無事の連絡」は身柄拘束の証左

 事件の経過を振り返える。

 最初に行方がわからなくなった桂民海はスウェーデン籍でドイツ在住。1964年寧波生まれの満族で、1985年に北京大学歴史系を卒業した秀才。本人も詩作などを楽しむ文人という。タイ・パタヤにリゾートマンションをもっており、そこに滞在中、何者かに拉致されたもようだ。マンションの監視カメラに不審な男性が映っているという。BBCの取材によれば、行方不明になった後、友人を名乗る4人の中国人がマンションの管理部門を訪れ、桂民海の自宅に入れるよう許可を求め、自宅のパソコンを持ち去ったという。このとき4人は「桂民海はカンボジアで友人とギャンブルをしている」と説明したという。これとほぼ平行して、本人から管理部門に電話連絡があり、「心配する必要はない」「友人と一緒にパソコンをいじっている」と話していたとか。これは明らかに、桂民海が何者かに身柄を拘束されているということの証左といえる。

 2番目に失踪した林栄基はすでに還暦を迎えた香港人。10月23日に最後にパソコンにアクセスしたのち、行方不明になった。香港にいるのか、深圳にいるのか分からないまま、林栄基の妻は11月5日に警察に夫の行方不明を届けたところ、その数時間後に本人から妻に電話があり「失踪ではないから、警察への失踪人捜査を取り下げるように」と言ったという。出入境当局は最後まで、彼の出入記録の照会に応じなかった。

 11月6日に一部海外メディアで銅鑼湾書店関係者4人の失踪が報じられてのち、やはり林栄基本人からそのメディアに対して「私は無事だ。しばらくしたら帰るから、心配しないでほしい」という電話がかかってきたという。同じ頃、ドイツの桂民海の妻に桂民海から同じ内容の電話がかかって来た。

 一方、銅鑼湾書店の書店員の張志平は妻が東莞に暮らす中国人で、ちょうど東莞の妻の家にいるとき、十数人の男が突然現れて連行したという。その後、本人から家族に電話があり「大丈夫だ」と連絡があった。呂波は銅鑼湾書店の株主の一人だが、やはり妻が深圳住まいの中国人で、妻の家にいるところを連行されたという。この連行状況から考えても、林栄基も桂民海も中国当局に身柄を押さえられ、いま中国国内にいることはほぼ間違いないと思われている。

英国籍の李波を香港内から“内地”へ

 最後に失踪した李波は11月の段階で、林栄基ら関係者4人の失踪にずいぶん怯えていた。だが、彼も12月30日を境にふっつりと消息を絶った。31日に銅鑼湾書店の株主でもある妻が、香港警察に失踪届を出したが、年明けに李波直筆のファクスが会社に届き、「急いで処理せねばならない問題があり、世間に知られないように内地に戻って、調査に協力している。しばらく時間がかかる。…失踪捜査届を取り下げるように妻に伝えてほしい」という伝言があった。

 李波は英国籍保持者だ。大陸に行くためのビザ替わりでもある「回郷証」は自宅に置いたままの失踪だった。となると、彼はどうやって大陸に入境できたのか。本人の同意あるなしにかかわらず、香港という一国二制度の建前がある地域で、堂々と外国人を中国の都合で大陸に移送したとしたら、これは中国がいまや北朝鮮並みの無法国家になりさがったということではないか。

 2013年から香港の出版界弾圧は始まっていたが、それでも、出版関係者が深圳に入ったタイミングで逮捕するという最低限のルールは守られていた。タイのような外国で、外国籍華人を拉致するのもひどい話だが、香港という一国二制度による自治を中国自身が約束している地域で、香港の司法を完全無視して外国籍を持つ人間が拉致、連行されてしまうなど、許されていいわけがない。

2014年秋、香港の若者が雨傘革命で公道を占拠しながら真の普通選挙要求運動を行っていたとき、日本の少年漫画「進撃の巨人」に香港の状況をなぞって語っていたことを思い出した。

香港の「最後の壁」が壊されかけている

 香港人は3つの壁からなる一国二制度に守られて“香港の繁栄”を享受していた。一番外側にあるのが自由主義経済の壁。真ん中にあるのが民主・言論の自由の壁。最後の砦が司法の独立の壁。一番外側の壁はすでに破られていた。雨傘革命は真ん中の壁が破られそうになって、あるいは破られ始めて、それを必死に食い止めようと戦っているのだ、と言っていた。あれから1年あまり、今、司法の壁が巨人に壊されかけている。

 さすが英国政府も英国籍保持者の李波の安全確認を香港政府と中国政府に求め、訪中していた英ハモンド外相が王毅外相との会談で持ち出したようだが、王毅外相は李波について「この男は中国公民であり、根拠のない推測をすべきではない」と反論している。この5人の失踪が中国当局による拉致であるというのが、本当に根拠のない推測であったならどれほどよいか。

 香港では10日、この事件に対し、5人の即時釈放を訴えて数千人規模の抗議デモが起きている。だが、李波の妻は、夫の安全を懸念して、個人的理由で内地にいったので、抗議デモに参加しないでくれと懇願していた。もはや香港人だけでは香港を守りきれなくなってきている。ここで、国際社会が何もアクションを起こさなければ、香港の一国二制度は完全に失われてしまうだろう。

 このまま、香港が食われてしまうのを、私たちは黙ってみていていいのだろうか。

1/13日経ビジネスオンライン 鈴置高史『やはり、韓国は核武装を言い出した 北の核実験で始まる「ドミノ倒し」』について

中国は北朝鮮への厳しい制裁は、ここにありますようにしないでしょう。西側世界との貴重なバッファゾーンです。厳しくすれば生活できなくなった北朝鮮人が確実に国境を超えて東北三省(遼寧省・吉林省・黒龍江省)に入ってくるでしょう。朴槿恵は「統一大当たり」論を昨年主張しましたが、現実国際政治がまるで見えていません。流石妄想逞しい国民だけの国です。中国が簡単に統一を認める訳ありません。北朝鮮は政治体制では少なくとも一党独裁の中国共産党と同じく軍事政権(政権は銃口から生まれる)です。まあ、韓国も軍事独裁政権が長く続き似たようなものですが。でも米国も朝鮮戦争で5万人の米国人の血を流しましたから、そんなに簡単に逆に北朝鮮主導で統一はさせないでしょう。米中の思惑は現状維持がお互いに居心地が良い状態です。中国は金王朝が崩壊しても別の人間に据え変えようとするでしょう。韓国は「統一の邪魔をしているのは日本」とかすぐ日本のせいにするというか、何でも悪いことは日本のせいにする未熟な国です。日本は韓国を「敬して遠ざける」のが正しいスタンスです。

米国としては6ケ国協議で北朝鮮をコントロールするのは中国の責任にして丸投げしてきました。日本はイザと言うときのキャッシュデイスペンサーにするつもりでしょう。国民が厳しく監視しなければ、米中の思惑で日本が金を出す羽目になりかねません。日韓基本条約の対象範囲は朝鮮半島全体に及びますので、それこそ「蒸し返し」の議論になります。

核について米国の傘について当てにならないと感じているのは韓国人だけではありません。日本人も同じく感じています。二度と核を落とされないためには核抑止力が必要です。モーゲンソーの言う「核を持たない国は核を持つ国に降伏するしかない」はそのとおりです。P5は特権を持っている訳で、持たない国を隷従させ得ます。プーチンはウクライナ問題で核使用について言明したではありませんか。それに対し米国は何もしませんでした。やはり、他国を全面的に当てにして国防を考えるのは間違っていると思います。同盟は大切ですが、単独でもそれなりの装備を持たないと。日本も少なくとも核議論を深めるようにならねば。

記事

1月6日、北朝鮮が4回目の核実験を実施した。韓国はどう出るのか。

解決の意思がないオバマ

—前回の「韓国も核武装か、中国に走るか」の予想通り、北朝鮮が4回目の核実験をするやいなや、韓国で核武装論が語られ始めましたね。

  • 北朝鮮の核実験
回数 実施日 規模
1回目 2006年10月9日 M4.2
2回目 2009年5月25日 M4.7
3回目 2013年2月12日 M5.1
4回目 2016年1月6日 M5.1

(注)数字は実験によって起きた地震の規模。米地質研究所の発表による

鈴置:ええ、実験翌日の1月7日、朝鮮日報が社説「米中にも解決が難しい北の核、国と国民を守る非常措置をとらねばならない」(韓国語版)で「核武装を議論しよう」と主張しました。要約します。

  • 北朝鮮の核は大韓民国の存亡をかける最上級の懸案だ。だが、オバマ政権は解決の意思を失った状態だ。中国も北朝鮮の存在が自らにとって戦略的価値があるとのこれまでの立場を変えていない。
  • 政府は「国際社会と協力し、国連で追加の制裁措置を講じる」と言うが、それは20年間も繰り返してきた空しい話だ。
  • 高高度防衛ミサイル(THAAD)などの導入も進めるべきだが、いずれも核の前では限界がある。
  • 1991年の朝鮮半島非核化宣言の前後に撤収した、米国の戦術核兵器の再配置を積極的に議論することも可能だ。
  • 最近、米国の一部専門家の間では「中国とロシア、北朝鮮が核を保有している状況で、韓国など同盟国が核兵器を持つのがいいのか、米国が核の傘を提供するのがいいのか、検討せねばならない」との意見まで出ている。
  • 韓国の核武装は現実的には容易ではない。が、だからといって北の水爆実験まで見ながら「米国と協議さえできない」では、話にならない。

国民を守るには不可欠な核

—「米中も国連も頼りにならない」との韓国人の悲愴感が伝わってきますね。

鈴置:北朝鮮の核ミサイルは日本にも向けられるのですから、日本人ももっと悲愴な覚悟を固めるべきなのですが……。

 この社説が載った1月7日には、与党セヌリ党の幹部も相次いで核武装に言及しました。

 元裕哲(ウォン・ユチョル)院内代表が「自衛権の次元で平和的な核兵器を保有すべき時だ」と述べ、米国の戦術核の再配置を提案しました。金乙東(キム・ウルドン)最高委員は「核兵器の独自開発」に言及しました。

 これを受け、朝鮮日報は翌1月8日にも「独自の核開発を米国と議論すべきだ」との社説を載せました。「北の核への対応カード、全てを準備し、原点から検討する時」(韓国語版)です。2人の与党の大物議員の発言を引用したうえ、以下のように主張しました。

  • 与党セヌリ党から提議された「核保有論」について公論に付さねばならない。
  • 国際社会が容認しない状況で、韓国が独自に核開発するのは現実的には難しい。しかし、国の安寧と国民の生命を守るには不可欠であることに関し、米国とも論議を始める必要がある。

政府の言いにくいことは与党が

 なお、この社説の日本語版の見出しは「核保有、韓国政府は米国と真摯に意見交換を」です。「核保有」という言葉も入れ、より鮮明です。

 韓国政府は、本音を語りにくい時は与党首脳部に語らせます。今回もそのケースではないかと思います。

 韓国政府は自分の置かれた際どい状況と、必死さを訴えることで国際社会の強力な対北制裁を引き出したい。しかし、あまり露骨に核武装を語れば、世界からの共感を得にくくなります。

 一方、朝鮮日報はもともと、シニア記者のコラムで核武装を主張してきました(「一歩踏み出した韓国の核武装論」参照)。

 それがついに、与党執行部の発言を引用することにより、核武装を議論しようと、社説ではっきり呼び掛けるに至ったのです。

核のない日本は降伏した

—ほかの新聞の社説は?

鈴置:中堅紙の文化日報も、1月7日の社説で明確に核武装を検討すべきだと書きました。「対北政策のパラダイムを『全方位核封鎖』に変えよ」(韓国語)です。

 同紙は事実上、対北援助の窓口になっている開城工業団地の見直しや、THAADの導入、対北拡声器放送などの心理戦の強化とともに「自衛的核武装」を唱えました。ポイントを引用します。

現実主義的国際政治学の父、ハンス・モーゲンソー(Hans J. Morgenthau)は「非保有国が核保有国に刃向かっても滅ぼされるか、降伏するか、どちらかを選ぶしかなくなる」と予測した。

核の抑止は核に頼るしかないというのが核政治学の基本だ。核を持たなければ、相手の慈悲心に生命と運命をさらすしかない。

国際政治の力学上、独自の核武装が難しい場合は米国の戦術核を再導入する問題を議論すべきだ。(北の核放棄に向けて)中国を圧迫する手段にもなる。

大韓民国は今「まさか」との安易な考えと「米国など国際社会が解決してくれるだろう」といった依存心を捨てなければならない。

 なお、モーゲンソーは「核を持たない国は核を持つ国に降伏するしかない」具体的な例として、広島と長崎に原爆を落とされた後の日本を挙げています。日本語では岩波文庫の『国際政治(上)――権力と平和』(292ページ)で読めます。

中国への説得材料にも

 東亜日報は1月7日の社説「北の4回目の核実験、朴大統領は米中から『最終的な制裁』を引き出せ」で「核なしで大丈夫なのか」との間接的な表現ながら核保有を検討すべきと主張しました。

  • 朴大統領は増強された北の核の脅威に対し、核なしで対処できるのか、検討する必要がある。米国の核の傘の公約が確固としたものだとしても、有事の際に即座に効果があるとは壮語できない。

 中央日報はやや遅れて1月10日の社説「核実験の対北朝鮮制裁、中国は答えよ」(中央SUNDAY第461号、日本語版)で「核武装」に触れました。

 ただ、同紙の意見というよりも「北朝鮮に対する影響力が最も大きい中国がその核を抑え込むべきだ」と主張する中で「北の核を放っておくと韓国が核武装し、周辺国(日本)も追従するよ」と、中国への説得材料として言及するに留めています。以下です。

  • 習慣のように繰り返される北朝鮮の「核挑発」にブレーキをかけるためには中国が断固とした姿勢を見せなくてはならない。今回も口頭での警告程度にとどめてやり過ごしてしまうなら、中国が期待する韓半島非核化は遠ざかるだろう。
  • そうでなくても今回の北朝鮮の核実験により韓国では保守層を中心に「韓国も自衛次元の核開発に乗り出さざるを得ないのではないか」との主張が出ている状況だ。周辺国の「核ドミノ」が現実化するならば、北東アジアの平和を脅かす災いになる可能性が大きい。

 濃淡はありますが、保守系紙はほぼ「核武装論」を社説で訴えるか、言及したのです。半面、左派系紙は一切それに触れていません。

国民投票で決めよう

—保守系紙は本気なのでしょうか。

鈴置:米国や中国に対し「我が国は必死なのだ。核放棄に向け北への圧力を全力でかけてくれないと、核武装しちゃうよ」と脅す部分も相当にあると思います。例えば、中央日報の社説はブラフとして核武装を使う臭いが濃い。

 ただ、国際社会が実効性ある対北朝鮮制裁に乗り出さないと、韓国の国論は次第に「本気の核武装論」に傾いていくと思います。

 韓国各紙が指摘する通り、米国の核の傘がどれだけ有効か韓国人は確信が持てないからです。北朝鮮が米国まで届くミサイルを持ったと思われる今、米国人が核ミサイルを撃たれるリスクを冒してまで韓国を守ってくれるのか、韓国人の疑いが増しているのです。

—核武装論をいち早く唱えていた親米保守の趙甲済(チョ・カプチェ)氏は4回目の実験後、どう主張していますか?

鈴置:ご本人の記事はもちろん、保守派の核武装論など対北強硬論で「趙甲済ドットコム」(韓国語)は溢れ返っています。

 さらに趙甲済氏らが率いる保守団体、国民運動本部は1月10日に「自衛的核武装をすべきか、国民投票で決めよう」との声明を発表しました。

 この声明は「2016年4月の総選挙の際に、自衛的な核武装に乗り出すかを問う国民投票を実施しよう」と呼びかけるなど、具体的な行動指針を打ち出しました。

3分の2が核武装に賛成した

 2013年2月の北朝鮮の3回目の核実験の後の世論調査では、約3分の2の韓国人が核武装に賛成しています(「ついに『核武装』を訴えた韓国の最大手紙」参照)。

 今回聞けば、それ以上の割合の韓国人が賛成すると思われます。3回目の核実験の直後、韓国メディアはほとんど核武装に触れませんでした。一方、先ほど見たように、今回は保守メディアがはっきりと主張しています。

 これから見ても、趙甲済氏らは本気でしょう。核武装するだけではなく、この際、一気に北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)体制を潰してしまおう、とも主張しています。

—今はブラフの部分があるにしろ、本気になりかねない韓国の核武装論。米国や中国はこれにどう対応するのでしょうか。

鈴置:米国は韓国や日本に対し、改めて「核の傘」を保障しました。「(1月6日に)カーター米国防長官は韓国に対する米国の堅固な防衛公約を再確認した。米国の公約には米国の拡大抑止力のあらゆる手段が含まれる」と、韓民求(ハン・ミング)国防相が1月7日に表明しました。

 聯合ニュースの「米国が韓国防衛の公約を再確認 共同報道文発表」(1月7日、日本語版)が報じています。

 同日にはオバマ大統領も朴槿恵(パク・クンヘ)大統領に電話し「韓国への防衛公約は揺るぎない」と述べたうえ、北朝鮮への「包括的制裁」も約束しました。

 ただ、米国がいくら「包括的制裁」を約束しても、それに中国が参加しない限り効果は薄いのです。米国も軍事的な制裁までするつもりはなく結局、経済制裁が軸になります。

 が、過去の度重なる経済制裁により、北朝鮮経済は日本を初めとする西側諸国への依存度を急激に下げ――つまり、中国に全面的に依存するようになってしまったからです。

本気で制裁しない中国

—中国は北に核を放棄させることができるほどに強力な経済制裁を実施しますか?

鈴置:しないと思います。そんなに強力な制裁をかければ、北朝鮮の体制が崩壊しかねないからです。中国にとって北朝鮮は米国との緩衝地帯なのです。そんな貴重な地帯を容易に手放すわけがありません。

 中国が「北朝鮮消滅」のリスクを冒すのは、米韓同盟が破棄されるか最低限、在韓米軍が完全に撤収されることが保障された時と思います。

 逆に言えば、中国は「北朝鮮の核武装」を「米韓同盟破棄」へのテコに利用する可能性があります。

 北の核廃棄を要求する米国や韓国、あるいは日本に対し中国は「韓国が米国の核の傘によって守られているから北朝鮮も核を持とうとするのだ」と反論するのです。

 これまで「北朝鮮の非核化」を求める韓国に対し、中国の答えは常に「朝鮮半島の非核化」でした。韓国にさしかけられた米国の核の傘に対し、拒否権を発動するための布石を敷いてきたのです。

韓国の国論は分裂へ

—ではもし、中国が「米韓同盟をやめるのなら北朝鮮の核を廃棄させる」と言い出したら、韓国はどうするのでしょうか。

鈴置:国論が分裂するでしょう。まず、趙甲済氏ら一部の親米保守は――反中保守と呼んでもいいと思いますが、彼らは核武装しつつも米韓同盟を維持する方策を模索すると思います(「『核武装中立』を覚悟する韓国」参照)。

 それが不可能なら「核武装中立」もやむを得ない、とは考えているでしょうが。ともかくも、中国の属国に戻るのはごめんだと思う人がいます。米国との同盟を打ち切って中立化すれば、中国化してしまうとの懸念があるのです。

 一方、保守の中にも中国側に接近することで、北の核を解決してもらおうと考える人がいます。彼らは米韓同盟破棄を認める可能性があります。当然、反米色の濃い左派の中からも、それに賛同する人が出るでしょう。

朝鮮半島全体が中立化

—まさに、北の核実験を引き金に南北朝鮮がともに中立化すると予測した近未来小説『朝鮮半島201Z年』ですね。

鈴置:各国の利害を考えて“国際政治のチェス”をやると、そうなってしまうのです。この小説では中国が「朝鮮半島の非核化と中立化」を言い出し、米国がそれをのみます。北朝鮮の核の脅威が深刻になってくると現実世界の米国も、それをのみかねません。

 北朝鮮の4回目の核実験は、もちろんそれだけで東北アジアを揺るがす大ニュースです。新たな核武装国が登場するのですから。

 でも、その影響が韓国から米国や日本へと、広がっていくことを見落としてはなりません。

(次回に続く)

1/11産経ニュース 正論 渡辺利夫『自縄自縛の歴史解釈から脱し、中韓の理不尽な主張に究明された事実発信で対抗せよ』について

一昨日、官邸に韓国の通貨スワップ反対のメールを送りました。

「日韓通貨スワップに反対の件

1/11韓国の次期経済副首相兼企画財政部長官に指名された柳一鎬氏が「日本との通貨交換(スワップ)再開など、通貨スワップの拡大を考慮することがきる」と国会で述べたとのこと。借りる方が偉そうに言うこと自体この民族の特殊性を表しています。事実無根の従軍慰安婦問題を世界に喧伝してきた国です。また竹島を不法占拠し、共産中国に擦り寄った裏切り者です。こういう国は痛い目に合わせないと分からないのです。日本は軍事的・経済的支援をする理由がありません。韓国も日本を敵国と位置づけしているのですから日本も同じ考えで臨まないと。さんざん悪態をついてきたのに、困ったときだけ助けてくれとは虫が良すぎです。これをやれば参院選(場合によっては衆参同時)で自民党はボロ負けするでしょう。昨年末の慰安婦合意の上に通貨スワップまですれば。自覚して政策を決めていってほしい。」と。

1/14の日経では

「日韓・日中、通貨協定に再開機運 関係改善など背景に

日本と韓国、日本と中国の間で金融危機の際に米ドルなどを相互に融通しあう「通貨交換協定」の復活に向けた機運が高まってきた。最近の外交関係の改善と金融市場の動揺が背景だ。両国とは昨年に財務相などが参加する財務対話を再開。通貨協定が復活すれば、経済外交の正常化のシンボルにもなりうる。

currency swap

 「日本との通貨交換協定の再開など、協定の拡大を考える価値がある」。韓国の柳一鎬(ユ・イルホ)次期副首相兼企画財政相は11日、同国国会の人事聴聞会でこう述べた。日韓は領土や歴史認識の問題をめぐって外交関係が悪化し、通貨協定を15年2月に打ち切った。だが昨年末に最大の懸案だった慰安婦問題が進展。次期財政相の発言は「日韓関係の改善を象徴している」(国際金融筋)との見方がある。

 米国の利上げに伴う金融市場の動揺に備える意味も大きい。韓国銀行(中央銀行)によると、通貨が暴落した際にドル売り介入に使える同国の外貨準備高は15年12月末時点で3679億ドルと5年間で約26%増えた。ただ柳氏は「(米利上げの)影響は限定的だが、対策を立てなければならない」と指摘。その選択肢の一つが日本との通貨協定の再締結というわけだ。

 日本政府はこれまでの協定交渉と同様に「韓国側からの要請が必要」という立場を崩していない。次期財政相の発言はあくまでも韓国内での発言にすぎず、日本への要請とはいえない。ドル・ウォン相場は足元で1ドル=1200ウォン台前半と約5年半ぶりのウォン安水準に下落している。一時はウォン高で国内産業が疲弊していただけに、ウォン高につながりやすい通貨協定に前向きな財政相の発言については「真意を見極める必要がある」(日本の財務省幹部)と様子見ムードが漂う。

 1年以上前から交渉を続けている中国との通貨協定にも再締結に向けて前進する可能性が高まっている。日本は16年の主要7カ国(G7)、中国は20カ国・地域(G20)の議長国同士で幅広い経済連携を検討していく方針だ。中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)と日本が大株主のアジア開発銀行(ADB)がインフラ投資でも連携を探る。市場では「日本との協定締結は人民元の国際的な地位をさらに高めることになる」(SMBC日興証券の肖敏捷氏)との意見もある。

 日中韓は自由貿易協定(FTA)交渉を加速するなど外交関係の改善をテコに経済関係では緊密化を目指す動きが目立つ。ただ中国とは南沙諸島の問題など新たな外交上の懸念もある。歴史や領土問題をにらみながらの経済外交が続きそうだ。

 ▼通貨交換協定 2つ以上の政府がそれぞれの外貨準備を使い、資金(主に米ドル)を融通し合う取り決め。通貨の急落などの金融危機に備える仕組みで、通貨スワップ協定とも呼ぶ。金融危機が起こった国では貿易決済や為替介入に必要な外貨が不足する場合がある。同協定を結んだ相手国がこのような国に外貨を貸し出し、為替市場の安定につなげる。」とありました。

日経は中韓を側面から支援しているようなものです。彼らの言うことを鵜呑みにすれば、必ず失敗します。日経は中国進出をあれだけ煽り、中国経済が崩壊直前でも、自分の責任については頬かむりです。マスメデイアの特質で「他人に厳しく、自分に甘い」です。

1/14ZAKZAKによれば「日韓、通貨交換協定を再開へ 政府、韓国の正式要請が前提 中国景気の後退リスクに対応

日本政府は、緊急時に通貨を融通し合う「通貨スワップ(交換)」の日韓協定について、韓国政府から正式要請があれば再締結に応じる方針を固めた。日本政府高官が13日、明らかにした。北朝鮮の核開発問題や中国景気の悪化など安全保障と経済の両面で不安要素を抱える東アジア地域の安定に向け、正式要請には応じるべきだと判断した。再締結が実現すれば、協定は昨年2月以来となる。
 日本政府は、中国の景気後退が韓国経済に大きな影響を与えるリスクがあるため、国境を超えた景気悪化の連鎖を防ぐには通貨スワップ協定が有効だと判断した。韓国で経済危機が発生し米ドルや日本円が不足したときに、日本が通貨を融通し経済の安定化を図る。
 日本政府は、韓国政府から協定再開の申し入れを受けてから、融通枠の上限額などを検討する。協議がまとまれば国際会議に合わせた財務相会談や首脳会談などでの調印式も検討する。
 通貨スワップ協定は、経済力のある国が周辺国を支援する側面が強く、日韓間の場合は日本が韓国を支援する形となる。
 日韓両政府は平成13年に通貨スワップ協定を締結。23年には欧州債務危機を受けて融通枠を最大の700億ドルまで拡大した。
 しかし、24年に当時の李明博大統領が竹島(島根県隠岐の島町)に上陸するなど日韓関係が冷え込んだ影響を受けて規模が縮小。協定期限を迎えた昨年2月、韓国側から延長要請がなかったため終了した。

ただ、昨年10月には日本経済団体連合会に対し、韓国の全国経済人連合会が再開を呼び掛けていた。

 日韓両政府が慰安婦問題で合意したことから、北朝鮮の核実験への対応などで「スムーズな日韓連携が可能になった」(首相官邸筋)とされる。日本政府にとって、歴史認識問題で中国の習近平国家主席と共闘してきた韓国の朴槿恵大統領との距離を通貨スワップ協定による支援でさらに縮める狙いもある。

 ただ、官邸サイドは韓国の非公式による再開打診に応じる気はなく、公式な要請を待つ考えだ。」

とありました。財務省がわざと流している可能性もあります。衆参同時選で安倍内閣が消費税増税見送りさせないようにいろいろ動いている可能性もあります。或はアメリカの要請かもしれませんが。

政府もキチンとした外交をしてほしい。中韓とも敵国です。敵が弱っているのに助ければ、相手を余計に増長させるだけです。「敵に塩を送る」のが通用するのは日本人同士の時だけです。常に相手を騙そうと思っている民族には通用しません。

南京虐殺は政府の責任でキチンと反論すべきです。中国の記憶遺産登録を奇貨として、「災い転じて福となす」とすれば良いでしょう。

記事

 去年は戦後70年だった。9月には「中国人民抗日戦争・世界反ファシズム戦争勝利70周年記念式典」なるものが北京で開催、大規模な軍事パレードが挙行された。天安門の楼上でパレードを見守る習近平国家主席をプーチン露大統領、朴槿恵韓国大統領、潘基文国連事務総長らが取り巻く異様な光景であった。

 ≪中韓で再生産される過去の記憶≫

 個人の人生においても国家の歴史においても凄惨(せいさん)なできごとが時に起こりうる。戦争はその最たるものであろう。しかし、戦争の悲劇も時間の経過とともに人間の記憶からは次第に薄らぎ、やがて消滅していくというのが人生の真実であり歴史の経験則である。ところが、中国や韓国では時の流れとともに過去の痛ましい記憶がいよいよ鮮やかなものとして再生産されている。

 戦争がいかに悲惨であっても、当事国がいつまでも啀(いが)み合っているわけにはいかない。勝者と敗者の間で戦争処理のための条件交渉がなされ、国際条約を結んで新しい国家関係を出発させるというのも歴史の経験則である。

 事実、日韓では1965年の基本条約や請求権協定が合意され、日中では72年の共同声明を経て78年に平和友好条約が締結された。前者では韓国の日本に対する請求権の一切が「完全かつ最終的な解決」をみたことが文書化され、後者では「主権及び領土保全の相互尊重、相互不可侵、内政に対する相互不干渉」が明記された。

≪わだかまり残った70年談話≫

 これで戦前戦中期の日韓間、日中間の懸案は、もちろん双方に少なくない不満を残しながらも、条約という形式に則(のっと)って決着したのである。慰安婦問題、靖国問題、歴史教科書問題などの提起は条約からの完全なる逸脱である。

 昨年8月14日には安倍晋三首相による戦後70年談話が発表された。評価はさまざまであったが、概(おおむ)ね国内では好意的に受け止められ、中韓からの反発も厳しくはなかった。私も談話が発表される以上はこれで致し方ないのかと考えもしたが、その一方で、そもそもなぜ一国の一首相、一内閣が自国の歴史解釈を表明してみせねばならないのか、これが歴史に対する誠実な向かい方なのかという思いをなお消すことができない。

 戦後50年の村山談話があまりにも自虐的な史観に立って自国を貶めたことへの慚愧の思いを安倍首相は抱いてきたのだろう。安倍談話が村山談話というテキストの書き換え、つまりは「上書き」を意図したのであれば、それはそれで意味があったことかもしれない。しかし、上書きは成功したのか。

 安倍談話の文書作成に先だち、首相は16人の有識者から成る「21世紀構想懇談会」を組成し、その報告書が談話より前の8月6日に公表された。報告書は断定的な文言をもってこう記す。

 「日本は満州事変以後、大陸への侵略を拡大し、第一次大戦後の民族自決、戦争違法化、民主化、経済的発展主義という流れから逸脱して、世界の大勢を見失い、無謀な戦争でアジアを中心とする諸国に多くの被害を与えた」。文中の「侵略」については複数の委員から次のような異議が唱えられたと注記されている。「(1)国際法上『侵略』の定義が定まっていないこと(2)歴史的に考察しても、満州事変以後を『侵略』と断定する事に異論があること(3)他国が同様の行為を実施していた中、日本の行為だけを『侵略』と断定することに抵抗がある」

 まっとうな異論である。注記で済ましていい話ではない。事実認識と歴史認識の根幹にかかわる異論である。ならば報告書があのように断定的な表現であっていいはずがない。談話作成に際して安倍首相は「自縄自縛」に陥ってしまったのではないか。

 ≪究明された事実を発信せよ≫

 談話では「事変、侵略、戦争。いかなる武力の威嚇や行使も、国際紛争を解決する手段としては、もう二度と用いてはならない」と述べた。自縄自縛から辛くも逃げたかの感があるが、よく読めば「もう二度と」とある。歴史をこんな言い逃れで弄ぶようなことはもうよしにしようではないか。

 戦争とは参戦国の錯綜する利害から成る多元連立方程式である。一国の行為のみを取り上げて糾弾できるほど単純な構図では描けない。万が一、往時の日本の戦争が侵略であったとしても「自存は単に国家の権利であるだけではなく、同時にその最高の義務であり、他のあらゆる義務はこの自存の権利および義務に隷属する」とパール判決書にはある。

 戦後70年が終わり、年も改まった。中国や韓国の理不尽な主張には、過去の条約を誠実に守るべきこと、真実は事実の中にのみ宿るという精神に立ち、究明された事実を粛々と発信することに徹しようではないか。南京虐殺の一大プロパガンダが始まっている。これに抗するには検証された事実をもってする以外にはないのだから。

1/12日経ビジネスオンライン 重村智計『「水爆実験」は、金正恩の訪中実現のため』、1/13日経電子版 中沢克二『“水爆” 毛沢東まねる金正恩氏、狙いは対米正常化』について

1/13日経には「オバマ米大統領は12日(日本時間13日)、議会の上下両院合同本会議で内政・外交の施政方針を包括的に示す一般教書演説をした。「米国民と同盟国を守るために必要であれば単独でも行動する」と明言した。4度目の核実験を強行した北朝鮮などを念頭に日韓両国など同盟国への脅威が差し迫った場合の米側の決意を示したものだ。」とありました。NPT体制が崩壊するのを恐れているのでしょう。国連の安全保障理事会も戦争を止めることはできません。ただ、北朝鮮には言えても、中国・ロシアに向かって本当にその通り行動するかは分かりません。ニュークリアシエアリングを米国と結べば良いのですが。ただ、そうすると平気で裏切る韓国も日本と同じということで強請るでしょう。朝鮮民族は本当に扱いにくいです。

今回の爆発は重村氏の言うように水爆ではないでしょう。確かに、米中が北朝鮮を甘やかし、何もしてこなかった咎めが出ています。時間の利益は核開発している北朝鮮にあります。中国が今回何もしなければ、味方に引き寄せて来た韓国が離れていく可能性もあります。THAADも配備されるかも知れません。習近平は内憂(権力闘争)外患(北朝鮮、米国による封じ込め)で苦境にあります。中国も金正恩のやる事は読めないのでは。これで自由主義陣営(日米+韓)の結束が固まり、中国には痛手になりました。

中沢氏の見方は驚きでした。世上、金正恩は金日成の真似をしていると伝えられているのに、毛沢東を真似ているとは。確かに両者とも徹底的に無慈悲です。独裁者の典型です。人の命を何とも思わないタイプです。習近平も毛沢東の真似をしていると言われていますが、流石に政敵の薄熙来や周永康を死刑にはしていません。その点で、張成沢を死刑にした金正恩の方が毛沢東の衣鉢を継ぐのに相応しいと言えるかも。人類にとっては不幸なことですが。習近平がどのように出るのか、本当に見物です。

重村記事

Korean student's demo against experiment of hydorogen bomb

北朝鮮の「水爆実験」に抗議して、韓国の学生がデモを行った(写真:AP/アフロ)

 北朝鮮が1月6日、「水爆実験」を行った。なぜ今、行ったのか。何のために行ったのか。本当に水爆なのか。盛んに議論されている。

 最初の2つの疑問には、来る5月に開催が予定されている、36年ぶりの朝鮮労働党大会が大きく関係している。党大会は、北朝鮮では歴史的な行事で、この成否が体制の行方を決める。金正恩第一書記の頭には現在、党大会の準備と成功しかない。そして、党大会を成功させるためには、金正恩第一書記の訪中と習近平国家主席との首脳会談が必須となる。これらを実現するための交渉ツールが今回の「水爆実験」だった。

年7000万円の国家予算では水爆は作れない

 まずは水爆だったのかどうかについてみよう。

 韓国の情報機関と専門家、米政府関係者は「(北朝鮮は)水爆が作れるほどの技術を持っていない」「爆発が小さすぎる、ブースト型核分裂爆弾ではないか」との疑問を示している。ブースト型核分裂弾は、水素爆弾ほどではないが、核爆発を拡大できる「水爆まがい」の技術だ。

 開発資金の面から見ても、北朝鮮が水爆を製造するのは難しい。水爆を製造するには1兆円を超える資金が必要と指摘される。北朝鮮の国家予算は、公式の為替レートを適用すると約7000万円程度しかない。

 水爆ではないという事実は、実は、北朝鮮の公式声明の中で明らかにされていた。政府声明は、次のように述べている。「我々は新しく開発された試験用水爆の技術的諸元(諸要素)が正確であることを完全に実証し、小型化された水爆の威力を科学的に証明した」。

 声明は「試験用水爆」との表現を使っており、今回の実験が「完成した水爆」ではなく「試験」段階でしかない事実を認めている。今回の核爆弾を、朝鮮語では「水爆」と表現することにする、というトリックを使ったわけだ。北朝鮮の技術者は正直なのか、あるいは「水爆でない」とバレるのを見越して、言い訳できる余地を残したのか。

 なぜ、こうしたトリックを使ってまで「水爆」と発表したのか。単なる「核爆発」では、国連安保理決議違反になり、国際社会の厳しい批判と新たな制裁を招くだけだ。米国や中国、日本と韓国が大きな衝撃を受けることはない。

 「水爆」と発表することでこれらの国々に衝撃を与え、中朝首脳会談を実現するとともに米国を対話に引き込む。恒例の「瀬戸際外交」を展開したわけだ。もしこの駆け引きに失敗しても、「水爆実験」ならば、指導者の「偉大な業績」として国内で宣伝することができる。

 さらに、関係者によると、新たな核実験を求める軍の意向に金正恩第一書記は逆らえない事情があるという。裏読みすると、金正恩第一書記は軍を完全には掌握できていないことになる。

党大会の成功には中朝首脳会談が必要

 北朝鮮は、1980年以来、労働党大会を一度も開催できていない。社会主義国としては、異常な事態だ。労働党大会は、最高意思決定機関である。当初の党規約は、5年に一度開催することを規定していた。

なぜ開催できなかったのか。その理由は明らかではないが、金正恩第一書記の父である金正日総書記の施政方針と関連していると見ることができる。金正日総書記は党の関与を弱体化させ軍主導の政治を行った。金正日時代は、軍が党を無視する事態が継続した。

 金正恩第一書記は、この軍事優先の政治を、労働党が優先する本来の権限行使状態に変えようとしている。だが、これを実現するのは容易なことではない。軍事優先のシステムは、20年も続いてきた。軍は多くの利権を獲得し、党の人事に関与した。これを党優先の政治システムに切り替えるには、党大会による決定がどうしても必要だ。

 一方、党大会を成功させるためには、食糧難の解消や国民生活の好転が必要となる。それには、金正恩第一書記が訪中し、習近平国家主席との中朝首脳会談を実現する必要がある。習近平国家主席が労働党大会に出席すれば、党大会は大成功となり、指導者の偉大な業績として評価される。

モランボン楽団のドタキャンも水爆が原因

 北朝鮮は「水爆実験」の当日、異例の報道を行った。国営朝鮮中央テレビが、「水爆実験」の命令書に金正恩第一書記が署名する様子を放映したのだ。昨年12月15日と今年1月3日の2回にわたり、同書記が命令書に署名したと明らかにした。

 北朝鮮が過去の核実験において、こうした経緯を明らかにしたことはない。この報道には、明らかに目的と意図があったと考えられる。北朝鮮の報道は、厳しく規制されている。宣伝工作の一環と位置づけられており、報道には隠れた真実がある。

 昨年12月の命令書は、今年5月の労働党大会に言及するとともに、わざわざ「2016年の壮大な除幕を爆音とともに行うことで、全世界が(北朝鮮)を仰ぎ見るようにせよ」に書いてあると伝えた。「水爆実験」と党大会が関連することの証の一つである。1月3日の命令書には、「党中央は水素爆弾実験を承認する。2016年1月6日に断行する」と金正恩第一書記が自筆で署名した。

 この報道で重要なのは、「12月15日」「1月3日」という日付である。北朝鮮が「水爆実験」を実施する原因は中国にあると述べていることになるからだ。

 実験に至る経緯は、次のようなものだった。まず、朝鮮中央放送が12月10日、「金正恩第一書記が、(北朝鮮は)核爆弾、水素爆弾の巨大な爆発音を響かせられる強大な核保有国となったと述べられた」と報じた。中国はこれに激怒した。核実験とミサイル発射を中止すれば、金正恩第一書記に訪中の招待状を送り、経済支援も再開すると北朝鮮に伝えていたからだ。

 実はこの日、金正恩お気に入りの女性音楽グループ「モランボン楽団」が北京入りしている。12日に公演する予定だった。各国メディアは、「中朝の関係改善の象徴」と報道した。ところが同楽団は、12日の朝に金正恩第一書記の命令で突然帰国。中朝関係が悪化していることが明らかになった。

 公演は、なぜドタキャンされたのか。北京に在住する北朝鮮関係者によると、公演には習近平国家主席ら最高幹部が出席すると期待された。ところが、水爆発言に怒った中国側が「指導部は出席できない」と伝えてきた。これを受けて金正恩第一書記は、同楽団に帰国を命じた。

 中国指導部はその後も、同書記の訪中に関する交渉に応じなかった。「党大会前に訪中し、偉大な成果を宣伝する」という金正恩第一書記の計画が、崩壊したわけだ。

 北朝鮮の労働党機関紙「労働新聞」は、金正恩第一書記が12月15日に水爆実験の命令書に署名をした後、12月17日と23日の2回にわたり、同第一書記による「水爆発言」を報道した。「このままでは、水爆実験をしますよ」と中国を脅し、譲歩を求めた様子がうかがえる。「水爆実験」の署名に関する報道は、この経過を示唆し、「責任は中国にある」と非難しているわけだ。中国は、なんとも子供じみた対応だと受け止めたことだろう。

 金正日時代にも、指導者お気に入りの楽団を訪中直前に派遣したことがあった。この時、中国の指導者は、公演に出席し、写真撮影をして歓待した。北朝鮮の外交関係者によると、金正恩第一書記はこの前例にならって中朝関係の改善を実現し、訪中を実現するつもりでいた。

米中の甘い対応が「成功体験」に

 金正恩第一書記は、指導者に就任して以来一度も中国を訪問していない。中朝首脳会談も実現していない。5月の党大会を盛り上げるためには、訪中と首脳会談がどうしても必要だ。首脳会談が実現すれば、中国から石油や食料などの大規模援助を期待することができる。党大会を成功させるには、この援助が必要だ。

 北朝鮮はこれまでの経験から、中国は核実験やミサイル発射に当初は反発するものの、やがては関係改善に応じると見ている。米国の大統領も、任期最後の年になると、北朝鮮問題で成果を上げようとして、対話に応じてきた。

 この「成功体験」が、北朝鮮を「水爆事件」に踏み切らせたわけだ。

 だが、金正日時代と現在では、中国と北朝鮮の国力に天と地ほどの差がある。北朝鮮の国内総生産(GDP)は最大でも3兆円しかないと韓国銀行は推測している。一方、中国のGDPは1300兆円を超える。この数字は、中国が決断すれば、北朝鮮の指導体制が弱体化し、やがて崩壊に向かう可能性を物語っている。

 金正恩第一書記はこの現実を理解できず、父親時代の感覚のまま「水爆もどき実験」を命令し、習近平国家主席の怒りを買った。金正恩第一書記は、中国と国際社会で尊敬されていない。歴史はいずれ、「水爆実験」が北朝鮮崩壊につながった、と記録するかもしれない。

中沢記事

ちょうど1年前、中国国家主席、習近平は北京の人民大会堂で、中国の「水爆の父」として有名な老科学者に国家最高科学技術賞を授与していた。水爆実験を実施した毛沢東時代には機密保持のため名前が伏せらていた于敏(89)である。そして、この1月11日、朝鮮中央通信は、北朝鮮の第1書記、金正恩が「水爆実験に寄与した」とする核科学者らを朝鮮労働党中央委員会庁舎に招き、記念撮影をしたと伝えた。

Mao ze dong's picture

毛沢東は文革中でも核開発などは着々と進めさせた

 「金正恩は中国の過去の道を同じようにたどるつもりだろう」

 「金正恩は毛沢東を意識している。毛は文化大革命(1966~76年)の動乱期でさえ核開発にこだわり続けた」

 中国と北朝鮮の動きを大陸でウオッチする関係者らの指摘だ。金正恩が毛沢東を戦略・戦術をまねている、と耳にすると、あの斬新な髪形まで毛を倣っているような気がしてくるから不思議だ。

 

■東京五輪中に中国が初の核実験

 約半世紀の隔たりがある中朝の核開発を振り返ってみよう。

中国
1964年 初の核実験 「核実験は世界平和の維持への巨大な貢献だ」
 67年 初の水爆実験 「中国核兵器の新たな飛躍。毛沢東思想の偉大な勝利だ」
 70年 初の衛星打ち上げ成功 「衛星は東方紅(毛沢東をたたえる歌)を放送している」
北朝鮮
2006年 初の核実験 「核実験は朝鮮半島と周辺地域の平和と安定の維持に貢献する」
09年 “衛星”と称するミサイル発射 「衛星から金日成将軍の歌、金正日将軍の歌が電送されている」
16年 1月6日 “水爆実験成功”と発表 「5千年の民族の歴史に特筆すべき大きな出来事が起き、天地を揺るがしている。水爆まで保有した核保有国の前列に堂々と立った」

 北朝鮮が水爆実験に本当に成功したかは別として、半世紀を経た両国の発表内容は驚くほど似る。中国は1964年10月、東京オリンピックの最中にあえて初の核実験に踏み切った。日本国内でも放射性物質が確認された。東京には各国要人、選手が集まっていたが、中華人民共和国は蚊帳の外だった。

 67年には水爆実験。1990年代まで中国が40回以上も実験を繰り返した場所は、スウェーデン生まれの地理学者、スヴェン・ヘディンが「さまよえる湖」の謎解明に取り組んだ新疆ウイグル自治区のロプノール周辺である。「楼蘭の美女」のミイラ発見でも知られるシルクロードの一角だ。

大阪で万国博覧会が開催中だった70年、中国は人工衛星を打ち上げた。中国内では衛星が発する「東方紅」の曲がラジオから流れ、北京はお祭り騒ぎに。中国の示威行為だった。中国は国際的に孤立していた。今、北朝鮮が置かれている環境に極めて似ていた。

■水爆実験5年後にニクソン訪中

 中国に核開発の力がなかった時代、毛沢東は、米国などの核兵器を「張り子の虎」と呼び、虚勢を張った。だが、朝鮮戦争(50~53年)などで現実的に米国による核攻撃の瀬戸際に立たされると、自らの核開発にまい進する。

 60年代には、文化大革命の混乱に関係なく、核開発計画だけは着々と動いていた。当時、中国では、将来を見据えた潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)「巨浪1号」の開発も本格化した。

 毛沢東が喉から手が出るほど欲した「両弾一星」は、原爆、水爆と人工衛星(核運搬手段としてのミサイル技術)を指す。中国は70年までにいわば「三種の神器」を獲得し、対米交渉力を格段に強めた。密使となったキッシンジャーとの秘密交渉を経て、歴史的な米大統領、ニクソンの訪中が72年に実現する。中国の水爆実験の僅か5年後だった。

 中国は、対立していたソ連に対抗する手段として、当時は禁じ手と思えた米国と組む道を選んだ。続いて日本も中国と国交を正常化し、国際情勢は激変した。

 金正恩の狙いも対米交渉にある。その先には日本との国交正常化も見据えているだろう。とにかく危機をあおって米国の注意を引きつけ、最後は米朝交渉→国交正常化で現体制の保障を勝ち取りたい。金正恩にとって米軍のB52戦略爆撃機が核兵器を積んで韓国上空を飛んだり、日米韓の外交・安全保障上の結束が強まったりするのは、狙い通りかもしれない。

 そしてもう一つ。叔父まで粛清し、死刑としてしまった金正恩の恐るべき手法も毛沢東を想起させる。「大躍進」の失敗などで地位が揺らいだ毛沢東は、奪権のため国家主席だった劉少奇まで死に追いやった。

 毛沢東の文革的な方法で反腐敗運動を推し進める習近平でも、前最高指導部メンバーの周永康を無期懲役としたものの、死刑にはしていない。あくまで「ミニ文革」にとどまっている。現在の北朝鮮では、文革に似た事象が進行しているとの推測も成り立つ。

習近平にとっては、極めてやっかいだ。6日の核実験の衝撃で北朝鮮国境に近い中国東北部はかなり揺れ、地割れまで生じた。「(北)朝鮮で戦争が始まったのか……」。住民はおびえた。北朝鮮の核実験だと判明すると、今度は放射能被害への恐怖も広がる。

 中国には物資供給を止め、北朝鮮と手を切る選択肢もある。だが、それでは地域での影響力が低下するだけだ。それに北朝鮮は今でも形の上では“同盟国”だ。中朝友好協力相互援助条約(1961年)は破棄されていない。米中関係が南シナ海問題などで悪い今、北朝鮮カードを簡単には手放せない。その中国の弱みを金正恩は突いている。

■臆測広がる美女楽団公演ドタキャンとの関係

 北朝鮮発表によると、金正恩が“水爆実験”の実施を命じたのは、先に北朝鮮の美女らによる牡丹峰(モランボン)楽団が、北京公演をドタキャンして帰国した直後の12月15日だった。

Kim & Liu

金正恩氏の昨年の記録映画からカットされた中国序列5位の劉雲山氏(右、15年10月の平壌での軍事パレード、中国中央テレビの映像から)

 さらに1月10日、北朝鮮で放送された去年1年間の金正恩の活動をまとめた記録映画からは「中国との蜜月の証し」が消されていた。昨年10月、金正恩と手をつないで軍事パレードを参観した中国序列5位の劉雲山の姿がカットされたのだ。

 核実験だけはしないよう圧力をかけ続けた中国は当然、金正恩の挑発と受け止める。中国外務省スポークスマンも金正恩の誕生日である8日に中国が祝電を送ったかについて「知らない」と素っ気ない態度を示し、事実上、否定した。

 いざとなれば金正恩は「中国の1960年代の行動を見習っているだけ。自衛のためだ」と開き直ることもできる。自身の誕生日には、水中からのSLBMの発射映像も公開した。これも60年代からの中国のSLBM開発を意識しているかのようだ。中国は何もせず見ているのか。次の一手が見ものである。(敬称略)

1/8JBプレス 柯 隆『中国がなかなか退治できない毛沢東の亡霊 今なお聞こえる文革を賛美する声』について

中国・河南省・開封市・通許県の毛沢東の金像が撤去されました。造る方も造る方ですが、撤去する方も撤去する方です。中国には表現の自由がないことが、この1件で、1発で分かるでしょう。世界中の人がこのニュースを聞いてどう思うかです。中国には立派な法律は沢山できていますが、そのとおり運用された試しはありません。賄賂が物を言う世界ですので。PM2.5があれだけひどい状況になっても打つ手がないのは、法律を作っても誰も守らないからです。

確かに、毛沢東は大躍進時代、少なくとも2000万人の中国人を餓死させました。その後の文革でも知識人を迫害・粛清し、中国の発展に大きくマイナスとなることをしてきました。TVで「金像はネットで中国人からの大躍進・文革のことを批判されたから撤去」とか言っていましたが、嘘でしょう。そんな意見はすぐ削除されるハズです。でなければ天安門に掲げる毛沢東の肖像画も外すべきです。所詮、権力闘争の一部です。

でも柯隆氏のように日本にいる中国人は、自由な日本の中で、いろいろ調べた方が良いと思います。如何に中共が歴史を自分の都合よく、嘘で糊塗しているかが分かるはずです。ユネスコの南京虐殺の記憶遺産登録もロクに調べず1委員が認めたとのこと。多分買収したのでしょうけど。

http://www.sankei.com/politics/news/160110/plt1601100006-n1.html

因みに柯隆氏は南京生まれで大学も金陵科技学院です。金陵は南京の意味です。彼が南京虐殺に対してどういう立場を取っているかというと中国側の立場ですが。日本人だってひどいことをしたと思っている人の方が多いので仕方ありません。しかし、中国の出している資料は悉く東中野修道氏によって否定されています。挙証責任は中国にあり、証明されなければ日本は無罪で、中国はここでも歴史を改竄・捏造していることになります。中韓北と本当に碌でもありません。

http://www.fujitsu.com/jp/group/fri/column/opinion/201401/2014-1-4.html

ただ自由のない中国では、大陸に残した家族が人質になります。だから、なかなか本音は言えません。我が身だけでなく、家族の身も危うくしますので。毛の「百花斉放、百家争鳴」は見せかけで、後に反右派闘争の手段として使われます。それで身に染みて能力ある人間は文系の大学に行かず、理系で政治から遠去かっていました。90年代後半、小生が北京大の物理の教授と話した時も、大分話題に気を使いながら話していたのを覚えています。柯隆氏もこのような論文を発表すると、朱建栄のように中国大陸に拘留されるのではと心配になります。でも真実は真実、日本人が言うより、多くの中国人が言った方が、中国人は真剣に聞いてくれるでしょう。石平さん然り。古くは汪兆銘だっていた訳ですから。蒋介石が大陸を自分のものにしたかったから、汪兆銘と袂を分かち、英米に媚びた訳です。でも最終はスターリン、米国に裏切られ哀れな末路を辿りました。台湾国民にとっていい迷惑でしたが。

記事

Mao's portrait

中国・北京の毛沢東の肖像画(資料写真)

中国の旧暦では、まだ2016年になっていない。春節(旧正月)を迎えてはじめて新年になるのだ。

 中国人にとって2016年はどのような年になるのだろうか。この設問に答える前に、まず自分にとっての2015年を振り返っておきたい。

 これまでの1年間、筆者が集中的に読んだ本は、経済学の本に加えて中国の近現代史の本である。なぜなら、筆者が中国で受けた教育では、本当の歴史がまるで空白のようになっているからだ。

 大学受験の勉強では歴史的事件の背景や意義ばかり暗記させられ、歴史上の事実の多くは教わっていない。歴史とは国、民族と文化の歩みであり、学者による意義づけよりも事実そのもののほうが重要だと考えている。

 2016年は中国にとって、毛沢東(1893~1976年)が文化大革命(1966~76年)を発動してから50年目の節目の年にあたる。同時に、文革が終わってから40年になる重要な年である。今年はすべての中国人にとって、文革を検証し反省する年となる。そして、その後の鄧小平による「改革・開放」政策(1978年~)の始まりを記念すべき大事な年だといえよう。

2000万人以上を餓死させ中国文化を破壊した毛沢東

 中国では「国父」といえば毛沢東ではなく孫文(1866~1925年)である。しかし、毛沢東はそれ以上の存在感を放っている。今でも中国では、毛沢東は公式に批判できない存在だ。

 鄧小平が復権してから、共産党はいちど公式文献のなかで文革を否定する総括をしたが、その後、公の場で文革を発動した毛沢東の責任を追及することはタブーとなった。

 皮肉なことに鄧小平自身も文革の被害者である。北京大学に在学していた鄧小平の長男は、文革の最中に迫害を受けて学生寮の上層階から飛び降り、命こそ助かったが下半身不随となった。

 歴史的な事実を検証すると、毛沢東が犯したのは単なる過ちではなく、間違いなく犯罪であった。

 まず、反右派闘争(反体制狩り)において数百万人もの知識人と共産党幹部が迫害された。革命時に共に戦った同士の多くも迫害され、殺害された。自殺に追い込まれたものも少なくない。

 そして1950年代半ば、「英米に追いつき追い越す」ために毛沢東の鶴の一声で「大躍進」運動が繰り広げられた。農民が鉄鋼生産に動員された結果、農産物が収穫されず、59年から61年までの3年間、中国は大飢饉に見舞われた。公式の統計でもこの3年間において少なくとも2000万人が餓死したとされている。大飢饉で餓死した人数はもっと多いという人口学者や歴史学者もいる。

 中国共産党の公式文章では、この3年間の大飢饉は自然災害によるものとなっている。しかし気象記録によれば、この3年間に中国で大飢饉をもたらすほどの自然災害は起きていない。自然災害ではなく人災が大飢饉をもたらしたのである。

 大飢饉を招いた張本人は紛れもなく毛沢東本人である。しかし、毛は責任を負おうとはしなかった。党内で沸き起こった毛沢東への批判を封じ込めるため、文化大革命を発動した。

 その直接な狙いは一番の政敵だった劉少奇である。政治には権力闘争がつきものである。通常、権力闘争は権力者同士の争いである。しかし毛沢東は全国民を巻き込んだ権力闘争を繰り広げた。その結果、劉少奇と直接関係のない学校の先生や共産党幹部も多数迫害された。

 振り返ってみれば、文革のときに知識人や共産党幹部を迫害し、中国の歴史的な文化財を破壊し尽くした紅衛兵自身も実は被害者であった。彼らは貴重な青春時代を失い、若くして農村に下放された。元紅衛兵たちは、今、中国各界のリーダーとなっている。

歴史の逆戻りは許されない

 1つの民族や国にとって歴史は木の年輪のようなものである。年輪の形を変えることはできない。しかし中国の近現代史は政治的な必要性から大きく書き変えられている。

 歴代の中国指導者は「いかなる者も歴史を直視しなければならない」と訴えてきたが、なぜか学校教育のなかで教わる歴史は大きく歪んだものになっている。

 文革の始まりと終わりの節目となる重要な年に際して今の中国を観察すると、危機はまだ去っていないことが分かる。というのも、毛沢東が残した負の遺産が中国を不安定化させているからである。

 中国各界のリーダーの多くが元紅衛兵という現実から事態の深刻さが分かるはずだ。文革のときに青春期を過ごした者はまともな学校教育を受けておらず、まっとうな人格形成もなされていない。彼らは政治的必要性が認められれば、平気で人権など無視してしまう。

 文革の世代は法律を無視する世代でもあった。習近平国家主席は就任してから、法治の強化を繰り返して強調している。しかし中国では司法の強化が遅れている。法律が強化されても、法律が順守されていないのである。

 法の秩序が乱れる一番の原因は特権階級の存在にある。特権階級は法の訴追を免れることが多い。これは毛沢東時代から始まったものだ。逆に正規の裁判を経ずに政敵や“政治犯”などを投獄してしまうことも多い。

 2016年は習近平政権にとって、1期目の政権を安定させて2期目の政権構築の準備を行う過渡期にあたる。しかし、「毛沢東と文革」の負の遺産をきちんと清算しなければ、法による統治は強化されず、社会は安定しない。習近平国家主席がどれだけ汚職幹部の撲滅に取り組んでも徒労に終わるだけだ。

 近年、中国社会では、毛沢東の時代を評価し賛美する保守左派の動きが台頭している。これは中国社会の病根だといえよう。毛沢東を完全に否定しなければ政治改革は行われない。中国社会の不安定性は当面続くものと思われる。

柯 隆:富士通総研 経済研究所主席研究員。中国南京市生まれ。1986年南京金陵科技大学卒業。92年愛知大学法経学部卒業、94年名古屋大学大学院経済学研究科修士課程修了。長銀総合研究所を経て富士通総研経済研究所の主任研究員に。主な著書に『中国の不良債権問題』など。

1/10日経 伊奈久喜『オバマ氏を褒め殺しする』について

米国の「瓶の蓋」論(日本封じ込めの米中密約)が如何に愚かだったかです。対華21カ条条約(1915年)は密約部分(5号条項)をわざと中国が洩らしました。国際世論に日本の横暴さをイメージつけるためです。中国人は平気で約束を破ります。別に密約を破ったとして咎められるわけはありません。後は米国の態度の問題でしょう。尖閣は米軍自体が射爆場として使用していたことがあり、中国に領有権があればそんな行動は取れなかったはずです。台湾も領有権を主張していたので(今も国民党は主張していますが)、米軍が射爆場として使わなくなったときに、素直に日本領有とは言えなかっただけ。オバマもレガシー作りで尖閣の日本領有を明言して、大統領職を去ればよいと思います。

一昨日はグアム発でB-52機がソウル近郊の烏山(オサン)上空まで威圧飛行しました。北朝鮮だけでなく、中国に対して目に見える形での恫喝でしょう。本来、米軍原潜は日本海を遊弋している可能性が高く(軍事作戦上のことなので、当然公表するはずがありません)、わざわざグアムからB-52を飛ばす必要はないでしょう。また以前ブログでも書きましたが、キャプター型の機雷を朝鮮半島に沿って海底に敷設するだけで、海上封鎖と同じ効果が得られます。http://dwellerinkashiwa.net/?p=1983

ここでも米国の意思がどうであるかだけです。米国経済に中国経済は必要なのかどうか?中国の門戸開放を巡って日米は戦争しましたが(スターリンの謀略に乗せられたFDRが開戦したかっただけと小生は思っています)、安価な労働力でなくなった中国、AIIBを作り米国に金融面で挑戦する中国、自由・民主主義、法治、基本的人権のない中国に肩入れする必要があるのか聞きたい。米国要人に賄賂まがいの金を送っているので、そういう人(キッシンジャーやブレジンスキー)の意見は中国擁護でしょう。金を受け取っているかどうかを見分けるリトマス試験紙になります。

B-52

記事

Senkaku,Xi & Obama

2016年の世界が最も注目するニュースが11月8日の米大統領選挙であることは論をまたない。民主、共和両党の候補者がどんな組み合わせの対決になるにせよ、外交政策の焦点は、中東、ロシア、中国などだろう。

 このうち日本が最も深い関心を持つ対中政策には米政治に一種の公理めいたものがある。どの政権も選挙中は中国に厳しく、政権に就けば現実的対応に変わる点である。

 典型的だったのが01年に発足したブッシュ政権だった。選挙中は中国を「戦略的競争相手」と警戒し、政権末期の08年8月8日には、中国の人権状況に絡めた米国内の批判を承知で北京五輪開会式に参加した。

 例外はオバマ政権だった。08年の選挙中のオバマ氏は「中国も含めた包括的なアジア安保体制」を志向した。日米同盟の相対化であり、共和党のマケイン候補は日米同盟を「アジア外交の中核」に据えていた。

 中国に対しては「世界の課題解決により責任ある立場をとるべきだ」と、責任ある行動に期待する言い方をしていた。これらの政策の「対中融和度」を考えれば、70程度だったろうか。この点ですでにオバマ政権は異質であり、公理を覆していた。

 政権に就いてからも、中国が主張する新型大国関係論に反論せず、融和度は90以上になった。しかし15年10月27日、逆方向に再び公理を覆す。イージス艦「ラッセン」が南シナ海で中国が建設した人工島から12カイリの領海と主張する海域を航行した。融和度は40程度に落ちた。

 だが、日本の月刊誌が形成する外交論壇では懐疑的な意見が目立つ。「中央公論」の1月号(以下同じ)で外交評論家の佐藤優氏は、米艦は国際法で認められる無害通航をしただけであり、「なんらかの明示的、もしくは合意があったうえでの行動」と述べた。

 評論家の桜井よしこ氏も「正論」で「一番望ましい形の進入は、中国が、自分の領海だと主張している十二海里の海域に進んで、そこで軍事行動、軍事訓練をすること」とする。それがなかったから「既に負けている現状」と、厳しい。

 一方、「Voice」は、矢板明夫産経新聞北京総局長の「外洋拡張路線の挫折」を掲載した。副題には「米軍と爆撃機の派遣により傷ついた習主席の権威」とある。中国の敗北、米国の勝利との見立てだ。

 矢板氏の意図を離れ、これはオバマ大統領に対する褒め殺しになる。狙いは小欄でも何回かとりあげてきた尖閣諸島の領有権である。立場をとらないとする米国の態度を変更させ、日本領と認めさせるには、いまが好機であり、それにはオバマ氏に対する褒め殺しが効果的だからだ。

 1970年代初め、米国が尖閣領有権で立場をとらないとしたのは、北京政府ではなく、当時国交のあった台湾への配慮だった。15年の中台首脳会談をみれば、国民党はもはや北京に近い。国民党への配慮は無用である。

 では対中配慮か。融和度がすでに40まで下がっているとすれば、仮に尖閣問題で30に下がっても大差はない。冷戦時代の米ソ関係もそうだったが、2つの大国に世界を共同管理する意識がある時、直接衝突は寸止めで避けられてきた。

 尖閣でオバマ政権が日本の領有権を認めれば、日米間の不信のとげは抜け、対中抑止力も増す。中国は米国との軍事衝突を選べないから、米国は失うものはない。それはオバマ政権が歴史に残すレガシー(遺産)として輝く。

1/5日経ビジネスオンライン 上野泰也『トランプ躍進に見る米国人の「復活」願望』について

今週の注目は米大統領選ではなくて台湾総統選+立法委選でしょう。蔡英文の勝利は揺るがないでしょうし、立法委選でも民進党+時代力量で過半数は超えそうです。宮崎正弘氏のメルマガにもそうありました。中共に擦り寄る国民党では日米の信頼は得られませんし、台湾国民の支持も得られないでしょう。

http://melma.com/backnumber_45206_6311539/

本文中の「ミザリー・インデックス」を見れば米景気は悪くなく、それで年末にFRBも利上げしたと思います。では何故共和党でトランプ現象が起きているのか?本文の「エリート政治家に舵取りを任せてきた結果、米国では中間所得層が崩壊し、所得格差(貧富の差)が拡大している。」というのは違うのでは。富の分配がうまく行っていないのかもしれませんが。でも金持ちトランプがそれで支持率を上げているとは考えにくい。やはりオバマの無能にホトホト嫌気がさしているのだろうと思います。レーガンの「強いアメリカ」に戻ってほしいという気持ちの為せるわざでしょう。ただレーガンはスタッフの意見を良く聞く耳を持っていましたが、トランプはワンマンタイプで、大統領になれば躓きを起こすのではと思われます。やはりマルコ・ルビオが良いかと。ただ1/10日経にバーナンキ(共和党支持)がルビオの「大統領になったらイエレン氏の再選は認めない」の発言を受けてか、「共和党をずっと支持してきたが、最近は愛想が尽きた」と自伝で歎いたとありました。

前にブログでも書きましたが、ヒラリーは大統領になる前に、人間的にどうしようもありません。でも米国民が選ぶのでどうしようもありませんが。トランプが「女性大統領はいつの日か出て来るだろう。ただ、ヒラリーではない」との発言をTVで見ました。今回は『ガラスの天井』があればよいのにと思います。

1/5日経には「米のアジア系移民 学歴高く世帯収入多め

 テロの潜在的脅威の中で移民規制を唱える声も出るものの、欧州からの移民中心に建国された米国は依然としてその受け入れ大国であることに変わりはない。

rate of Asian people in US

 中でも存在感が高まるのがアジア系だ。米国勢調査局の推計では2014年の米国の総人口(約3億1800万人)に占めるアジア系移民の比率は5.4%。50年前の1965年には1%に満たなかったが、その年の改正移民法施行で出身国別の移民数の制限が撤廃されたのを機に急増した。

 総人口に占める人種別比率では白人(62.1%)、ヒスパニック(17.4%)、アフリカ系(13.2%)に次ぐ4番目の規模。ただしこれは累計で、新たに入ってくる数ではアジア系が最も勢いがある。米シンクタンクのピュー研究所によると年間移民数に占めるアジア系比率は2000年時点の19%から10年に36%へと高まり、ヒスパニック(31%)を5ポイント上回る。

 同研究所はアジア系の特徴を「学歴と世帯収入の高さ」と指摘する。25歳以上で大学の学位以上を持つ割合は10年時点で49%と全体の28%を上回る。平均世帯収入も6万6千ドル(約800万円)と全体の4万9800ドルより3割強多い。

 アジア系は働く人の半分が企業役員や弁護士、医師といった専門職やその関連職で、この比率も全体の40%より高い。タクーン・パニクガル氏のようなデザイナーは全体ではまだ珍しいが、分母となる人口が膨らんでいけば、今後は多方面で才能を開花させる人たちが増えるだろう。」とありました。

アジア系の移民が2000年以降増えてきているのが分かります。勤勉・優秀な人材が多いので、そういう結果になったのでしょう。将来の大統領選に影響を与えます。中韓は米国で反日活動を活発化してきています。国際社会にアピールするには米国の世論を味方につけるのが手っ取り早いからです。中国は人口が多く、マンパワーを持って世界進出の強みとしています。中国系米国人を大統領にして世界を牛耳ろうと考えていますので、注意していかないと。日本の外務省は土下座外交するしか能がありません。キチンと戦略を立てろと言っても無駄なのが悲しい。

記事

Carson & Trump

2015年12月15日、米国の大統領選で、共和党候補の指名争いを繰り広げる元神経外科医のベン・カーソン氏(左)と不動産王ドナルド・トランプ氏(右) (写真=AP/アフロ)

 米国の共和党大統領候補指名争いで、不動産王ドナルド・トランプ氏の独走状態が長く続いてきた。イスラム教徒の米国への入国を禁止すべきだという発言が物議をかもした後、トランプ氏の支持率はむしろ上昇。モンマス大学が昨年12月14日に発表した調査結果では共和党内での支持率が41%に達し、同党の候補者で初めて4割を超えた。経済問題ではなくテロに対する不安が米国民にとって現在は最大の関心事になっているのが原因だと説明されている。

 2位に付けたのは、草の根の保守派運動「ティーパーティー(茶会)」に加え、キリスト教右派にも支持を広げているテッド・クルーズ上院議員(14%)。3位はマルコ・ルビオ上院議員(10%)。ともに40歳代のクルーズ氏かルビオ氏のどちらかが最終的に共和党の指名争いで勝つだろうという見方が専門家の間では根強い。経歴詐称などが問題視された元神経外科医のベン・カーソン氏はこの調査では9%にとどまり、4位に沈んだ。

 米ワシントンポストとABCテレビが共同実施して昨年12月15日に結果を発表した世論調査では、トランプ氏の支持率が38%に上昇。クルーズ氏は15%で4位から2位に浮上した。

クルーズ氏とトランプ氏がデッドヒート

 もっとも、大統領候補指名争いの皮切りとなる党員集会が2月1日に開かれるアイオワ州では、クルーズ氏がトランプ氏とのデッドヒートを繰り広げている。アイオワ州の地元有力紙が昨年12月7~10日に実施した州内の世論調査では、クルーズ氏が31%の支持を集め、トランプ氏の21%を上回った。

 過去の事例から、アイオワ州やニューハンプシャー州といった序盤の戦いで勝利するかそれなりの健闘を示さないと、支持率が急速に下がって、選挙戦からの撤退を余儀なくされる可能性がある。

 筆者を含む多くの日本人にとり、まさに予想外の「トランプ現象」。市場関係者の間では「トランプ・リスク」がささやかれ始めている。過激な発言で知られるトランプ氏が核のボタンを握ることになるようだと何が起こるのか予想がつかないというわけだ。

 では、型破りの発言を連発するトランプ氏を少なからぬ米国人が支持しているのはなぜだろうか。

多数説は、エスタブリッシュメントと呼ばれる伝統的エリート層による米国の政治支配への失望や強い不満がトランプ氏支持の原動力になっているという見方である。エリート政治家に舵取りを任せてきた結果、米国では中間所得層が崩壊し、所得格差(貧富の差)が拡大している。

 テロや銃撃事件への恐怖も以前より強まっている。そこで、これまでとは違う考え方・出自の人に政治を任せてみてはどうかというムードが広がっているのだという。トランプ氏の歯に衣着せぬ大胆な発言は人々のうっ積した不満のはけ口にもなっているようである。

 だが、本当にそれだけだろうか。筆者は、オバマ政権下で何度も明らかになった国際社会における米国の力や威信の低下に強い不満を抱いた米国人が、「強いアメリカ」復活願望を抱いてトランプ氏に期待している面が、少なからずあるのではないかとみている。

 1980年代に映画俳優出身のロナルド・レーガン氏が共和党から出馬して当選し、大統領を2期務めた。その1期目の前半にヨーロッパを長期フリー旅行していた際、たまたま出会った米国人の女子学生と語り合ったことがある。

 詳しい内容は忘れてしまったが、景気悪化に加えてイラン米大使館人質事件への対応(救出作戦)に失敗した民主党の前大統領カーター氏を徹底的にけなした上で、レーガン大統領の話になると彼女が目を輝かせながら「強いアメリカ」に絶対必要な人物だと熱弁していたことを、今でも記憶している。

本当に国を任せたらかなり危なっかしいが…

 トランプ氏はテレビの人気番組「アプレンティス」で、課題をこなせなかった脱落者に対する「おまえはクビだ!(You’re fired!)」という決めゼリフで人気を集めた人でもある。銃を手にして西部劇映画で活躍した俳優出身のレーガン氏に対する米国民の30数年前の心情と同じようなものが、今回はトランプ氏に寄せられているのではないか。

 昨年12月14日、シリアからの難民受け入れに対してトランプ氏は反対を改めて表明し、自分が大統領になれば「彼らは(シリアに)帰ることになる」と発言。パリ同時テロ事件で犠牲者が拡大したのはフランスの厳しい銃規制のためだという持論も展開した。

 もっとも、内政・外交の両面で経験がまったくないトランプ氏に米国という大国の先行きを本当に委ねることができるかどうかとなると、よく言えば未知数、悪く言えばかなり危なっかしいと言わざるを得ない。

 トランプ氏は、東部ウクライナの親ロシア派による分離運動を支援して国際社会から非難されたロシアのプーチン大統領とは、どうやら緊密な関係を築けそうである。プーチン大統領は昨年12月17日の記者会見で「トランプ氏には花があり、才能があることに疑問の余地はない」「ロシアとの関係を深めたいと(同氏は)発言しており、われわれはもちろん歓迎する」と述べた。

 これに対しトランプ氏は、「内外で尊敬されている人物からこうした賞賛を受けるのは常に大変な名誉だ」「米ロがもっと協力すればテロを根絶でき、世界平和を再構築することができると常に感じている。貿易のみならず、あらゆる恩恵が相互の信頼関係からもたらされる」と返答した。

 ソ連を「悪の帝国」と呼んで強硬姿勢をとったレーガン大統領は1980年代後半になると、重い軍事費負担や計画経済の行き詰まりから経済的に疲弊したソ連のゴルバチョフ書記長との間で、東西冷戦の終結に向けた動きを積極的に推し進めた。仮にトランプ氏が米国の大統領になれば、米ロ関係の改善が進む可能性は確かに高いだろう。米国が方針を転換してアサド政権の存続を認める形で、シリア問題の「交通整理」も進むと予想される。

レーガン時代と比べると

 だが、いまの世界情勢は、レーガン政権の頃とはだいぶ異なっている。中国の影響力が格段に大きくなったことに加え、欧州では統合の動きが進んだ。中東ではイスラム国家やイスラム組織の動向が重要になっており、米ロ2国だけで世界秩序をいかようにもできるわけではない。そうした中でトランプ氏が米国の外交をうまく操ることができるかどうか。筆者は懐疑的である。

 経済問題でも、トランプ氏の主張には危うさがつきまとう。日米などがTPP(環太平洋経済連携協定)で大筋合意に達した昨年10月5日、トランプ氏は「現政権の能力のなさは理解を超えている。TPPはひどい協定だ」と批判。11月10日のテレビ討論会では「恐ろしい合意だ」「承認されれば雇用がますます失われる」「私は自由貿易主義者だが、交渉には頭のいい人があたらなければならない。今の米政府には頭のいい人がいない」と述べた。だが、仮にTPPが再交渉となれば各国の利害が再び噴出することになり、まとめ上げるのは至難の業だろう。

 為替相場についてトランプ氏は、「ドルの競争力が弱い」ことを問題視する立場をとっている。「中国や日本など他の多くの国の通貨切り下げによって、米国の企業がわたりあっていくことが不可能になっている」と述べ、中国や日本の通貨下落を非難した。

 その一方で、FRB(連邦準備理事会)が利上げに動かないことについて、昨年12月の利上げ開始よりも前の11月上旬の時点で、「オバマ大統領が利上げをしないよう要請しているからだ」「オバマ大統領は在職中にバブル崩壊を目の当たりにしたくないためイエレンFRB議長に利上げしないよう要請した」という、明らかに根拠のない発言をした。

 12月19日のアイオワ州での集会では、「バブルが崩壊するなら、次の政権が発足してから2カ月後ではなく、今起きればいいと思う」「今はとんでもないバブルの状態かもしれない。もしそのバブルが崩壊すればやっかいだ」と、他人事のように述べていた。もしトランプ氏が本当に大統領になるようなら、崩壊の前か後かにかかわらず、バブルへの最善の対応策をとっていかなければならないのだが…。

 だが実際には、オバマ大統領が再選を果たした前回2012年の大統領選と同様に、内輪の争いの中で共和党は消耗してしまい、幅広い米国民の支持を得られる候補者を出せないという「負けパターン」に陥りつつあるように見える。今回の大統領選では民主党のヒラリー・クリントン氏が勝利するだろうというのが、筆者の予想である。

 ちなみに、大統領選(特に現職が再選を狙うケース)でその行方を占う際に注目される「悲惨指数(ミザリー・インデックス)」、すなわち失業率と消費者物価上昇率(前年同月比)を足した数字は、2015年11月時点で5.0+0.5=5.5という歴史的な低さである<図>。12月の数字は未発表だが、各年の12月の数字を遡ると1955年(4.6)以来の低水準になる。翌56年の大統領選挙ではアイゼンハワー大統領(共和)が再選を果たした。

■図:米国の「悲惨指数(ミザリー・インデックス)」

misery index

注:各年12月のデータのみ表示。ただし15年は11月のデータ(出所:米労働省資料より筆者作成)

 むろん、既に述べたように雇用の数は増えても賃金の伸びが鈍く、中間所得層が崩壊しつつあるという米国経済の厳しい実情も常に指摘されるのだが、このインデックスで見る限り、オバマ大統領と同じ民主党のクリントン氏には経済状況という面からも追い風が吹いていると言える。

1/5日経ビジネスオンライン 倉都康行『2016年に忍び寄る「ドル高変曲点」 ドル円100円時代は来るか?』について

本記事とははずれますが、昨年の慰安婦合意について「英霊に失礼」という意見がありますが、この表現はどうも軍人だけへのニュアンスが強い気がします。「従軍・慰安婦」という実態はなかったのにという気持ちからだと思います。しかし、戦ったのは軍人だけでなく、「進め一億総火の玉」となって国民全員が戦ったわけですから、「日本人の名誉を汚す」表現の方が良いかなあと思います。当時の総ての日本人の名誉を傷つけている訳ですから。中国が良く言う「日本国民も軍国主義者の被害者」のような二分論で、国民の軍嫌いを助長させる論理に、意図はなくても与する可能性もあります。ドイツのヒットラー、セルビアのカラジッチ等彼らを犠牲にして「国民は悪くなかった」というカタルシス(小生から言えば卑怯者の論理ですが)として利用されなくもないでしょう。

 

中国の人民元についての1/8ZAKZAK田村秀男『習政権にとって“人民元自由化”は自滅の道 日本としては大いに結構』の記事によれば

RMB&$

「年明け早々から株式市場はチャイナ・リスクで大荒れである。世界最大水準の中国債務は今後さらに膨らむ情勢なのだから、不安がグローバルに伝播してしまう。  「中国、今年は改革の正念場に」(米ウォールストリート・ジャーナル1月4日付)であることには違いないが、習近平政権にとってはそれどころではない。  中国金融のどん詰まりぶりを端的に物語るのは、中国人民銀行による人民元資金発行残高である。昨年後半から急減している。前年比マイナスは実に16年ぶりだ。  人民銀行は2008年9月のリーマン・ショック後、元の増発に増発を重ね、国有商業銀行を通じて資金を地方政府や国有企業に流してきた。大半は不動産開発など固定資産投資に向けられ、国内総生産(GDP)の2ケタ成長を実現した。その結果、10年にはGDP規模で日本を抜き去ったばかりか、党中央は豊富な資金を背景に軍拡にもいそしんできた。東シナ海、南シナ海などでの海洋進出はマネーが支えてきた。党の意のままにできる元資金こそが「超大国中国」の原動力だ。  元膨張を支えてきたのはドルである。リーマン後の米連邦準備制度理事会(FRB)によるドルの増発(量的緩和=QE)に合わせて、人民銀行が元を刷る。グラフはQE開始後、元資金のドル換算値がドル資金発行増加額とほぼ一致していることを示す。偶然にしては、でき過ぎの感ありだ。  人民銀行は自らが定める基準レートで流入するドルをことごとく買い上げては元を発行する。買ったドルはゴールドマン・サックス、シティ・グループなど米金融資本大手に委託して米国債で運用するのだから、北京とウォール街の間には何らかの合意があったとしてもおかしくない。

 ところが、FRBは米景気の回復に合わせて14年初めごろから、世界に流れ出た余剰ドルの回収の模索を始めた。QEを14年10月末で打ち切った。さらに先月下旬には利上げした。バブル化していた中国の不動産市況は14年初めに急落、次いで上海株も15年6月に暴落した。

 中国からの資本逃避に拍車がかかり、人民銀行は外貨準備を取り崩して元を買い上げ、暴落を食い止める。それでも売り圧力は高まるばかりだ。元の先安予想がさらに上海株売りなどによる資本流出を助長する。

 一方で、ワシントンは昨年11月、習政権に対し「金融市場改革」を条件に、元の国際通貨基金(IMF)・特別引き出し権(SDR)入りを認めた。改革とは自由化のことである。すると資本はより一層逃げやすくなるし、元相場は暴落の自由を得る。そうなるなら平和を求める日本にとって大いに結構。中国膨張の方程式が成り立たなくなるからだ。

 ならばなおさらのこと、習政権にとって自滅の道だから、自由化約束を履行するはずはない。その場合、IMFは元のSDR入りを白紙撤回せよ、と安倍晋三首相は官僚に言わせる。それこそが今年の財務省の優先課題だ。 」とあります。倉都氏は「中国の人民元のSDR通貨バスケット入りは、元を緩やかに下落させて、各国から文句が出ないようにする」作戦との見方ですが、田村氏は「人民元のSDR通貨バスケット入りは、元を暴落させる」チャンスと見ています。

小生の考えは、中国経済の終わりの始まりです。中国は膨張主義を標榜して止まず、実際行動に移してきている「遅れて来た帝国主義国」です。21世紀には相応しくない行動です。干戈を交えるよりは平和的手段(経済崩壊)により、軍事拡張できないように「金」の面から締め付けた方が良いというのは大方賛成するでしょう。日本の経済界も自分の会社の利益のみを考えるのでなく、歴史観・世界観を持たないと。米国は「AIIB」事件で、中国は軍事・金融分野で米国に挑戦してきているというのが無能なオバマでも気が付いたでしょう。これから米中の情報戦となります。欧米メデイアはドンドン中国経済の悪化の記事を流すでしょうし、南シナ海だけでなく、アフリカ進出のあくどさの記事も流してくるでしょう。「AIIB」の債券格付も金立群が如何に喚こうとも「格付なし」=ジャンク債以下になりましたし。

本記事の後にサウジVSイラン断交のニュースが流れました。裏でプーチンが原油価格を上げるために動いたとの見方もあるようです。産油国にとっては今の低価格の状況は望んでいないでしょう。輸入国日本にとっては有難いことですが。

記事

2016年を迎え、市場は新たなリスク要因の吟味を始めようとしている。一般論としては、昨年遂に利上げに踏み切った米国がどこまで金利を引き上げるのか、に注目が集まりそうだが、筆者自身はこの点をそれほど警戒していない。FRBが目論むような今年4回の利上げはまず無理筋だ、と思っているからだ。

 既に何度か指摘したように、米国のコア・インフレ率や期待インフレ率の足取りは重く、雇用が改善中だからといって、何度も利上げする必要がある状況ではない。米国の金融市場も、せいぜい今年の利上げは2回程度と踏んでいる。筆者も同様に、来る3月に2回目の利上げを行った後、大統領選挙までにもう1回利上げ出来れば御の字だ、と考えている。

 勿論、米国にインフレ基調が戻ってくる可能性はゼロではなく、それをリスク・シナリオとして捉えておく必要はあるだろう。そうなれば長期金利は急上昇し、株価は急落し、ドルは一段高となる。だが「インフレの死」を告げる昨今の世界経済構造において、その確率は相当に低いように思われる。むしろ2016年に注目すべき点は、中国の人民元と原油価格のリスク・シナリオだろう。

厄介な存在になりそうな不透明材料

 2015年の国際資本市場では、大きなセンチメント変化が三つあった。一つ目は、中国経済の成長モデルの限界が明らかになったことである。上海株の暴落や人民元の急落は、過去何年にもわたって中国に対して指摘されてきた警報が「オオカミ少年の警告」ではなかったことを証明した。今年も成長率鈍化の傾向は変わらず、市場リスクの筆頭に位置することは誰にも異論はないだろう。

 二つ目は、原油価格の長期低迷である。昨年初の時点では、年末には70ドル近辺まで相場が戻るとの見方が大勢であったが、実際にはその半分の水準での越年となった。サウジが戦略を大胆に転換しない限り、この低水準が急速に切り上がる可能性は乏しいだろう。

 そして三つ目がジャンク債などクレジット市場の心理悪化である。これも昨年前半までは、エネルギー・セクターに限定された売りであったが、それが徐々に他産業へと拡大し、ジャンク債全体の利回りを大幅に押し上げてしまった。そして昨年12月には、幾つかのクレジット・ファンドが清算を余儀なくされている。

 市場には、このジャンク債の動揺に2007年の「パリバ・ショック」を思い浮かべる人もいる。当時、サブプライム・ローン関連の証券化商品に投資していたフランス大手銀行のBNPパリバの傘下にあったファンドが、投資家からの解約を凍結すると発表して市場に激震が走り、その後の金融危機の序曲となった事件である。

 今回はジャンク債が対象であり、サブプライム・ローンとは異なるが、同じ「クレジット市場」の仲間での現象であり、類似性は確かに高い。金融危機の引き金を引くのは株価の急落ではなくクレジット市場の崩壊である。利上げ時期と重なったこともあり、嫌な雰囲気が醸成されていることは否めない。

 但し、前回と違うのは金融システムにおけるレバレッジの水準が低いことである。仮にレバレッジの問題が深刻でなければ、悪影響の波及も限定的である。損失を被る投資家は間違いなく存在するが、ジャンク債市場はいわゆる「リプライシング」という一段の価格調整で収束するのではないかと思っている。

 それに比べれば、人民元と原油という二つの不透明材料は、昨年以上に厄介な存在になるかもしれない。ブラジルやロシア、インドネシアなど新興国問題もまだ燻ったままである。それらの材料が、我々にとって気になるドル円や株価動向などに意外な影響を及ぼす可能性は小さくない。

 中国経済に関してはほぼ世界中が「景気減速」を織り込んでおり、特に目新しい話題がある訳ではないが、資本流出や人民元の相場動向に関しては不透明感が強い。昨年8月に中国人民銀行が予想外の人民元切り下げを発表したことで世界の市場が動揺し、FRBは9月の利上げ断念に追い込まれたことは記憶に新しいが、今年もそんなサプライズが無いとは言えまい。

 為替市場では昨年秋に習主席が「8月と同じような切り下げは二度とやらない」と公言して相場が安定したことで、相場は落ち着きを見せている。だが低迷する中国経済と割高な人民元相場とを並べてみれば、更なる切り下げ以外の答えは出てこない。

 中国からの資本流出と人民元のじり安傾向は、依然として継続中だ。後者に関しては、オフショア人民元の下落につられるように、人民銀行が設定する基準値も既に8月の安値を通り越して約4年半ぶりの水準に低下している。中国政府の本音も一段の人民元安にあることは明らかだが、政府や人民銀行がそれを認めれば、収拾のつかない通貨急落を招きかねない。

 市場混乱は是非とも避けねばならない。だが割高な通貨を放置する訳にもいかない。各国や市場が認める形で人民元安を進めるにはどうすればよいか、と考えて出てきたのが、ドルではなく通貨バスケットを参照する、という案である。

人民元の二面作戦

 市場は通常、人民元を対ドル相場で見ている。昨年8月の人民元急落も、対ドルの実勢相場に基準値を近付けるという作業の中で起きたものだ。だが人民銀行は「ドルではなく通貨バスケットとの対比で通貨の適正価値を判断する」という手法に転換しようとしている。

 人民元は対ドルでやや低下しているが、通貨バスケットとの参照においては多少ながら上昇していると言える。従って、適正水準に戻すためには人民元の一層の下落が必要だ、と正当化することが出来るのである。つまり人民銀行は、人民元に切り下げ余地があることを世界にアピールし、通貨切り下げの贖宥状を受けようとしているのだろう。

 もっとも、中国が通貨バスケットに言及するのはこれが初めてではない。2005年7月に米ドルとの固定相場制から管理フロートに移行した際、ドルや円、ユーロ、ウォンなどに7通貨を加えた11通貨のバスケットに対して相場水準を設定する方法に切り替える、と発表した。だがその詳細は発表されないまま、今日まで事実上の対ドル管理相場が採用されている。恐らく対外的には通貨バスケットを強調しつつ、対内的には対ドルでの相場が参照され続けるものと推測される。

 こうした二面作戦がうまくいくのか、保証はない。いずれにせよ人民銀行と投機筋との駆け引きが続くことになるだろうが、悲願の「SDR採用」を果たした中国が、以前のように派手な介入策を採ることも難しいだろう。従って、人民元が対ドルで7.0超えといった水準にまで急落するリスクは存在する。人民元急落懸念は市場のリスクオフを生み、株価急落や円急上昇といった副次的な作用をもたらす可能性は高い。

 一方の原油市場に関しては、ゴールドマン・サックスなどが1バレル20ドル台までの下落を予想するなど、先安観が根強い。昨年末にWTI市場では期近物が34ドル台まで低下、ブレントは7年ぶりに36ドル台にまで下落した。ドバイ原油は11年ぶりとなる33ドル台を付けている。

 ブルームバーグに拠れば、メキシコ原油は既に28ドル台で取引されており、イラクのアジア向けバスラ重油は25ドル台という超安値が観測されている、という。もはや世界中で原油生産は採算割れの状況だ。だがサウジやイラクの増産体制だけでなく、今年は制裁解除でイランによる輸出増が見込まれており、供給過剰感は強まるばかりである。

 ファンド勢の原油先物市場における空売りポジションは、過去最高水準にまで積み上がっているが、先安観から新たなショート積み上げに向かう投機筋も居るようだ。確かに産油国が価格や需要水準を無視した生産を続ける限り、原油価格下落を止める力はない。

 こうした原油市場への警戒感にさほどサプライズは無さそうに見えるが、リスク・シナリオがあるとすれば、何らかの材料で起きる投機筋のパニック的な買い戻しであろう。原油も株価や為替と同様にオーバーシュートした後、どこかで急反転する傾向がある。それが来年中に起きないとは言えない。

 因みに原油市場のセンチメントをよりよく示すと言われる長期先物水準を眺めると、ブレント3年先物水準は既に2009年当時を下回っている。世界経済は現在も多々問題は抱えているが、底割れすら懸念された2009年とは比べ物にならない。それは、投機筋の弱気度がやや過剰になっている可能性を示唆しているようにも見える。買い戻しの契機となる一つの可能性があるとすれば、サウジアラビアの戦略転換だろう。

サウジアラビアとロシアに共通する「思い」

 IMFに拠れば、サウジアラビアの財政収支が均衡する原油価格の水準は、今年86ドルと推定されている。昨年の財政赤字はGDP比20%に達しており、歳出削減が進めにくい経済構造を考えれば、今年も同程度の赤字が続くことは避けられまい。同国は昨年8年ぶりとなる国債を発行、今年は史上初の外債を発行する予定である。また財政穴埋めのための資産取り崩しも行っており、米国債だけでなく日本株を含む先進国優良株の処分を始めている。

 同国の公的債務はGDP比7%程度に過ぎず、長期戦には耐えられるとの計算のようだが、いくら体力に余裕があるとはいえ、40ドル台の水準を長期間放置する訳にもいかない。財政均衡水準が100ドルを超えるリビア、アルジェリア、バーレーンなどからは悲鳴が上がっている。

 原油シェア死守を御旗に掲げるサウジも、生産調整に関して関心が無い訳ではない。先月のOPEC総会では生産目標で合意出来なかったが、それはOPEC外の生産増ペースが落ちないために、自分たちだけで調整しても意味がないからだ。OPECは既に価格維持機能を失っているのである。

 そこでサウジは水面下でロシアにOPEC参加を促している、とも言われている。中東情勢に関しては、シリアのアサド政権を支持するロシアと、同政権崩壊を願うサウジとは対立中であるが、原油に関しては市場支配力を回復させて価格を採算コストまで早期に戻したい、という共通の思いがある。

 ロシアのオレシュキン財務副大臣は「我々は2022年まで1バレル40ドルでの財政計画策定に着手した」と述べて、低価格の長期化にロシアが十分耐え得ることをアピールしている。ルーブル安も救いである。それは減産合意出来ないOPECに対する挑戦状のようにも見えるが、ロシアの財政状況がかなり疲弊していることも明らかである。

 ロシアの財政赤字はGDP比4%程度に拡大する見通しで、サウジに比べれば低水準だが、依然として欧米市場での資金調達は困難であり、石油基金も来年末には底を突くとの見方もある。サウジとロシアの消耗戦に、勝者は居ないのかもしれない。となれば両者がどこかで妥協する可能性もゼロではあるまい。

 サウジの早期戦略転換は無い、と確信する市場にパニック的な買い戻しが起きれば、原油価格の急反転は世界的金融緩和の終焉を想起させ、市場にはリスクオフの嵐が吹き荒れる。確率は低そうだが、それが原油に関するリスク・シナリオと見て良いだろう。

ドル円急落のリスクも

 そんな外部環境を想定しながら日本市場を見渡せば、メイン・シナリオである「日銀による追加緩和政策への期待、円安地合いの継続、日経平均の上昇基調維持」といったムードも、時々水を差されることになるだろう。

 日銀は、いずれ衆参ダブル選挙を目指す官邸からの圧力で追加緩和に踏み切る可能性が高そうだが、それが円安・株高基調を維持する力が残っているかどうか、筆者はやや疑問視している。昨年12月の補完措置は、日銀のコミュニケーション力を大きく低下させてしまったようにも見える。

 まず米国では、FRBは3月に利上げした後、暫く様子見を強いられる可能性が高い。インフレ期待が上昇しない中、景気のもたつき感が出始める可能性があるからだ。そして大統領選を控えて、何か問題が起きれば政治家は必ず利上げを悪者にして、利上げにブレーキを掛けようとするだろう。

 それは、ドルの上昇力を殺ぐことになる。過去のパターンから見てもドルは利上げ開始後3か月程度でピークを打つケースが多い。ドル円も125円程度を天井に、春あたりから徐々に下値を切り下げていくものと思われる。115円近辺までの下落はもはや想定内だろう。

 問題は、それ以上のドル円の下落即ち円高が有り得るかどうかであり、上述した人民元と原油のリスク・シナリオがそこに関わってくる。仮に人民元急落といった場面が来れば、リスクオフの嵐にドル円が100円近くまで急落するかもしれない。中国不安は日本売り材料だから円安だとの見方もあろうが、「リスクオフの円買い」という公式はまだ健在だ。人民元安が最終的に中国経済回復への材料となれば、日本買いにも説明が付く。

 また原油が急反発すれば、日銀の追加緩和シナリオは霞んでしまう。それは、2012年末以来の円安・株高モードの終焉を意味する。日本経済がそれで腰折れするとは思えないが、永続的な緩和期待で浮ついている市場には冷水が浴びせられるだろう。

 誤解しないで頂きたいが、人民元急落も原油急反発も飽くまで「リスク・シナリオ」でしかない。今年こそはメイン・シナリオ通りに平穏に過ごせるかもしれない。だが、コンセンサスが外れ気味の昨今の市場では、こうした材料をひとまず頭の隅に置いておいても損はあるまい。

『古森義久がオバマ・習近平・朴槿恵・金正恩を斬る』について

本年の国連事務総長選挙の候補にユネスコ事務局長で南京虐殺を記憶遺産に登録したブルガリアのボコバが入っています。共産党員です。日本と米国は(非)常任理事国で選挙権を持つので絶対阻止で動かないと。潘基文の二の舞にならないように。スケジュールは昨年12/22産経ニュースによれば「立候補は来年3月にも締め切られ、国連総会で公開ヒアリングが本格化。「能力に疑問符が付く人は、この時点で振り落とされる」(国連外交筋)。候補者が1人もしくは数人に絞られた後、安保理が7月中に本格選定に入り、10月にも国連総会に「勧告」、総会での採択を経て選出される。」とのこと。下の写真は抗日70周年戦勝記念閲兵式に参加したボコバです(天安門楼上。中央の女性)。中国が彼女に言うことを聞かせてありもしない「南京虐殺」を世界にアピールしようとしています。

これこそまさに「日本の悪魔化計画の一環」です。中国は着々とそのために手を打ってきているという事です。翻って日本は何もしていないように見えます。無能の外務省はさておき、安倍内閣が昨年末韓国と慰安婦合意を結んだのは早計・軽率の謗りを免れません。いくら米国の圧力があったにせよ、中国はほくそ笑み、これを最大限利用して日本を道徳的に劣った民族という刷り込みを世界に広めるでしょう。内閣の責任でキチンと反論していって貰いたい。それができないなら、合意すべきではなかったという事です。今年の参院選(「衆参同時選挙」と見ていますが)では保守派から手痛いシッペ返しを食らうかもしれません。でも憲法改正のこともあるので我慢かなとも思います。これ以上いい加減妥協はしないでほしいし、慰安婦の外務省の英文の説明も修正するように。

Bokova

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

二階のような政治家は落とすべきだし、それに唯唯諾諾と従う業界と言うのも情けないと思います。日本人の誇りより所詮は「カネ」かと。日本人の劣化もここに極まれりという事です。安全保障を蔑ろにして富を追求して滅んだカルタゴそのものです。エリートと言われる人達が腐っているのと「朝日新聞」を購読して経営を支えている自覚なき日本人が問題でしょう。

内容

アメリ力の「対中政策」は大まちがいだった

米国の軍事研究家『100年のマラソン』によって明かされた衝撃

ヒルズべリー氏の「最新報告」

アメリ力の歴代政権の中国への「関与」政策はまちがっていた。関与すれば中国はアメリカ主導の国際秩序に協調的な一員として参加してくるという推定は幻想だった。中国はアメリカを排除して独自の世界覇権を一貫して目指しているのだ              —。

こんな大胆な新考察がアメリカの国防総省で長年、中国の軍事研究を任されてきた権威によってこの’15年2月、公表された。その中国の世界覇権への野望は「100年のマラソン」 と評され、中国が日本を世界の悪者に仕立てる「日本悪魔化」工作もその長期戦略の重要な一環なのだという。

この衝撃的なミスの自認はアメリカの1970年代のニクソン政権時代から一貫して国防総省の高官や顧問として中国の軍事動向を研究してきたマイケル・ピルズベリー氏により最新刊の書『100年のマラソン—アメリカと交替してグ口―パル超大国になろうとする中国の秘密戦略』のなかで明らかにされた。

ピルズベリー氏といえば、アメリカの中国研究者多数の間でも軍事分野での第一人者とされる。とくに中国語に堪能で共産党や人民解放軍の軍事戦略関連の文書を読みこなす一方、中国側の軍首脳との親密な交流を保ってきた実績で知られる。同氏は東西冷戦中のレーガン政権時代にはアメリカがソ連を牽制するために中国に軍事関連の支援をするという政策を提唱し、中国軍首脳と緊密な関係を築いて、中国側の信頼をも得てきた。そのピルズベリー氏がいまやその中国強化の政策はまちがいだったと告白したのである。だからその書はいまワシントンの外交政策形成の世界では衝撃的な波紋を広げている。

同氏の著書によると、アメリカ_には官民ともに中華人民共和国に対しては「欧米や日本の侵略の犠牲になった貧しく弱い国」という思いこみがあり、とくに1970年代のニクソ.ン政権や力ー夕―政権の時代から中国をより強く、より豊かにすることがソ連への牽制だけでなく、中国自体をアメリカ側に協調的、友好的な姿勢をとらせる最善の方法だと信じてきた、というのだ。つまりアメリカは「建設的関与」により中国を最大限に支援して、その根幹を強くし、豊かにすれば、中国は国際社への参加や協力を強め、西側に同調すると考えてきた、というのである。

だがピルズベリー氏はいまや自分自身のかつての思考をも含めてアメリカ側の年来の「中国に対する関与政策は中国の対米協カをもたらす」「中国は民主主義へと向かっている」「中国は国家としてまだ弱体」「中国はアメリカのようになりたいと願っている」・・・・といっ想定はみな錯誤だったとも断じるのだ。 そのうえで同氏は自書のなかで次のような重大な指摘をしていた。

中国「タカ派」指導者が主流に

▽中国は「平和的台頭」や「中国の夢」という偽装めいたスローガンの下に力の拡大を進め、アメリカを安心させ、対中関与政策をとらせてきた。だが実は建国から100年目の2049年を目標に経済、政治、軍事の各面でアメリカを完全に追い抜く超大国となり、 自国の価値観や思想に基づく国際秩序と覇権を確立しようとしているのだ。

▽中国共産党指導層はアメリカが実は中国の現体制を骨抜きにし、国際的にも封じ込めて変質させ、アメリカ主導の国際秩序に従属的に参加させる意図だと長年、判断してきた。だが表面はアメリカの主導と関与の策に従うふりをしながら、国力を強め、アメリカの覇権を奪い、中国主導の国際秩序を築く長期戦略を「100年のマラソン(馬拉松)」として進めてきた。

▽中国指導層のそうした真意は人民解放軍の最高幹部や共産党の幹部のうち「タカ派(白鷹)」とされる人たちの意見の発表で明示されてきたが、実はそのタカ派的な「100年のマラソン」の思考が指導層の主流であり、とくにいまの習近平主席の考えに近いことが明白なった。

▽ピルズべリー氏自身は中国が実際にはアメリカを圧して、自国が覇権を行使できる世界秩序を構築することを意図している事実を2010年ごろから認識するにいたった。アメリカ政府側でもCIA (中央情報局)などはその事実を認めるようになった。対中関与政策が中国をアメリカの好む方向へ変質させるというのは幻想だといえる。

「日本悪魔化」のブロパガンダ

以上のように、なにしろ中国軍事研究の最高の権威がこれまでの自分の認識が幻想だったと自認するのだからその余波は大きくなる。

しかし、ピルズべリー氏は日本についても重大な指摘をしていた。中国がアメリカを圧倒して世界最大の覇権国家になろうという野望「100年のマラソン」には日本を極端に敵視する戦術が組み込まれているというのだ。同氏によると、中国はその野望の主要手段として「現在の日本は戦前の軍国主義の復活を真剣に意図する危険な存在だ」とする「日本悪魔化」工作をすでに実行してきた。アジア諸国と日本国内をも対象とするこの反日工作は ロ本がアメリカの主要同盟国として安保と経済の大きな柱である現状を突き崩すことを目的にするという。つまり日本を悪魔のような悪の存在として描き、その負のイメージを国際的に、さらには日本国内に向けても投射する、というのである。つまりは日米分断の試みともいえよう。

ピルズベリー氏の指摘によると、中国側ではこの「日本悪魔化」戦術の一貫として次のようなプロパガンダをも内外に発信しているという。

「日本の首相の靖国参拝は中国への再度の侵略への精神的国家総動員のためなのだ」 「日本の宇宙ロケット打ち上げはすべて弾道ミサイル開発のため、プルトニゥム保有は核兵器製造のためだ」

このような日本非難が中国共産党指導層内部で堂々と操り返されているというのである。

その発信役はおもに「白鷹」と呼ばれる党や軍の強硬派だが、そのメッセージ自体は共産党全体の発信として重く受けとめられるという。

だからピルズベリー氏は日本側としてはこの種の有害なプロパガンダを取り上げて、正面から論争を挑み、正すべきだと提言するのだった。

(2 015年2月18日)

「態度軟化」の中国が腹の底で考えていること

二階俊博氏が3千人を引き連れて訪中した裏側には

15年前の訪中と多い「酷似点」

中国の習近平国家主席が日本の観光業界関係者約3千人に対日和解とも思える歓迎調の演説をした。だがその言葉の行間には日本国内で安倍政権への批判をあおるという計算が露骨ににじみ、背後には最近のアメリカの対中硬化への戦略的な対応の意図が影を広げていた。

15年5月23日の北京の人民大会堂での習主席の演説は一面、中国の対日政策の軟化をも

思わせた。だがこの種の演説は多角的な解釈が欠かせない。同主席の言葉をよく吟味すると、日本への従来の批判や圧力はまったく緩めず、むしろ日本国内の分断を図るような意図があらわなことがわかる。

それにしても人民大会堂に異様なほど多数の日本人が座って、中国の国家主席の壇上からの言葉に耳を傾けるという光景は私にとってデジャピユー(既視体験)だった。産経新聞中国総局長として北京に駐在していた’00年5月、日本からの観光交流使節団という日本人訪中のグループ約5千人がまったく同様にしていたのだ。私もその場にいて、一部始終を目撃していた。その15年前の光景と今回の展開とは気味の悪いほど酷似点が多ぃのである。

当時も現在も日本側の主役は二階俊博衆議院議員である。中国側の国家主席は江沢民氏から習近平氏へと代わっていた。二階氏の肩書は当時は現職の運輪大臣、現在は自民党総務会長だが、自分の管轄あるいは影響下にある日本側の業界に指示を出して訪中者を大量に動員するという手法も同じだった。 二階氏は各政党を見渡しても代表的な親中派である。中国側の理不尽な言動にも一切、 批判を述べないという点では二階氏は「媚中」と評されたこともあるが、日本の中国との関係をとにかく中国側が求めるような形で良好に保とうとする努力は長年、一貫している。 今回も人民大会堂の会場で習主席と会った際、習氏が単に片手で握手を求めたのに対し、二階氏は両手を添えて、相手の手を握り、しかもそのまま相手の手を高く持ち上げようとするという動きは、いかにも友好の強調、悪くいえば媚びてもみえる動作だった。

二階氏は会合での声明や習氏との挨拶でも、日中友好や民間レベルの交流の重要性をもっばら説いていた。両国間の緊張を高めている中国側による尖閣諸島日本領海への頻繁な侵入、そして核拡散防止条約(NPT)の軍縮会議での中国側による日本の「各国首脳の広島、長崎訪問」提案の削除など、目前の日中間の課題には二階氏はなにも触れなかった。要するになにがなんでも とにかく「友好」を唱えるという姿勢なのだ。

一方、習主席の言葉は対照的だった。「中日関係発展の重視」を語りながらも、「いまの日本で軍国主義を美化し、歪曲する言動は許されない」とか「日本国民も戦争の被害者であり、歴史の歪曲には(中国と日本国民が)ともに戦おう」などと述べたのだ。明らかに安倍晋三首相とその政権を日本国民から切り離して、安倍政権だけを非難するという「分断」のこの姿勢だった。

習主席は日本の遣唐使についても述べ、日本が中国への朝貢外交を続けていた歴史を現代の友好というオプラートに包むような形で語るのだった。

さて前述のように、今回の二階訪中団の動きと中国側の対応は00年5月の5千人規模の二階訪中団の展開とあまりに似た諸点が多い。

まず日中関係が基本的に冷えこんでいる状況である。しかも日本の訪中団との北京での会合で国家主席が登場するのは意外だった点である。’00年も江主席が出てくることは事前に.は予測されていなかった。だが江主席だけでなく、胡錦濤国家副主席(当時)までいっしょに登場したので、日本側はびっくりだった。もちろん喜ぶ方向でのびっくりである。 今回も習主席の出席は日本側の一般には事前まで予測されていなかった。やはり日本側としては喜ぶ方向へのびっくりだったのだ。

中国の国家主席が日本との基本的な関係を良好に保つことの重要性を強調する一方、日本側の「歴史」への態度などを非難し、叱責するという部分も今回、前回まったく同じである。

訪中団の動きと国家主度の歓迎の挨拶の内容を中国側の官営メディァが大々的に報道したことも00年と15年と同じだった。

日米同盟の強化がポイントに

類似点はさらにより重要な次元でも指摘できる。

私は00年5月の日本からの訪中団の動向と中国側の対応について当時、書いた記事のなかで以下の点を明記していた。中国側がその時点でなぜ軟化とも呼べる態度の変化をみせたのか。その原因についてだった。北京の日中関係に詳しい専門家たちの分析を聞いての記述だった。以下がその骨子である。

▽中国側が最近の日本国内での対中観の悪化を懸念するようになった。

▽米中関係が行き詰まりとなった。

▽日米関係が強化された。

当時の江沢民国家主席は’98年の訪日でも日本側に対して、歴史認識を「正しく持つ」ことを叱責するように要求し続け、日本国民一般の対中観をかつてなく悪化させていた。 またアメリカでは当時のクリントン政権が中国の台湾への軍事恫喝などを理由に中国への姿勢を険しくしていた。同時に日米関係が一段と強固になっていた。こんな要因が中国に日本への融和ともみえる姿勢をとらせたという分析だった。

現状をみてみよう。日本側の反中、嫌中の傾向は激しくなるばかりだといえよう。中国側としては、ここらでなんらかの予防策を講じておかないと、日本側の反中意識は日中両国間での経済交流にまで悪影響を及ぼしかねないと判断してもおかしくない。私自身のうがった見方だが、最近、日本で激増している中国人観光客たちの傍若無人の言動も日本側一般の対中認識のかなりの負の要因になっているようだ。

一方、アメリ力のオバマ政権は中国へのソフトな姿勢の保持に努めてきたが、中国側がそれに応じず、逆に強硬な手段をとる。南シナ海の紛争海域での一方的な埋め立て作業、更にはフィリピンやべトナムへの軍事威嚇の数々、東シナ海での一方的な防空識別圏(ADIZ)の宣言などがあいつぎ、オバマ政権をすっかり硬化させた。そして最新の米中関係の摩擦の最大要因として南シナ海での中国の無法な埋め立て作業にオバマ政権がついに軍事艦艇をその至近海域にまで送りこむ構えをみせ始めたのだ。

中国はアメリカとの関係が悪くなると、日本への非難や叱責を緩めるのが年来のパターンである。アメリカと日本と、両方を同時に敵に回すのは得策ではないという判断からだろう。今回の状況がまさにそんなパターンを浮き上がらせる。

さらに日本とアメリカの関係が最近、より緊密になったことも明白である。とくに安全保障面での日米同盟の強化が顏著だといえる。安倍首相の訪米がその例証であり、原因だともいえよう。

中国は日米同盟に反対である。日米両国の同盟のきずなを減らすこと、7なくすことは中国の国家戦略上の長期目標とさえいえよう。だから中国は日米共同のミサイル防衛や防衛ガイドライイン改定など、日米同盟強化策にはすべて反対する。その逆に日米両国が同盟を薄めることには賛成する。日米同盟の弱体化を実際に企図するわけだ。そのためには日米離反の諸策は可能な限り、推進する。ちなみに奇しくもこれにぴたりと合致するのが朝日新聞の論調である。

最近の日米関係が安倍首相の訪米などにより、また一段と強化されたことは明白である。中国からすれば、これ以上の日米連携強化を防ぐためにも、また日本にきつく当たり、日本をさらにアメリカの方向へと追いやることは当面、自制する。いまの中国指導部はそんな対外戦術を考えているといえよう。

いずれにしても中国首脳部のいまの対日軟化にみえる動きは決して対日政策の基本的な変化ではない。外交的な戦術としての一時的な強弱、緩急の調整なのだといえよう。その調整のメロディーに二階俊博氏が伴奏をしてみせる。そんな構図としてとらえるのが適切だろう。

(2 015年5月27日)

1/6日経ビジネスオンライン 鈴置高史『韓国も核武装か、中国に走るか 「北の核」に背を押される南』について

北の今回の爆発は水爆程の規模ではないので水爆ではないと思っていますが、原爆実験したことは間違いないと思います。日本は周りを核保有国に囲まれています。ロシア、中国、北朝鮮と。日本は非核三原則なるものを金科玉条としていますが、米軍基地に今は置かなくても、米軍の原潜に配備してあるから、日本の安全が守られて来たと言うだけ。リアリズムのない人間はそこに気が付かないだけです。

北は今度のサウジとイランの断交をみて、両方に核を売り込むつもりという記事も見ました。日本が思うほどに北は貧窮していないと。ただ日本海に北と思われる木造船が漂流してきた事件が続いているのは、それ程豊かにはなっていないと思いますが。TVで辺真一が「北の地下には鉱物資源が埋まっており、それを売れば財政は持つ」と言っていましたが、経済制裁を厳格化して密輸を認めなければ苦しくなります。中露がどれだけ真剣に取り組むかでしょうけど。

日本も早く核武装に動いて行かないと。周囲3ケ国以外に韓国も保有したら、「恨」の国だから本当に日本に復讐のために原爆を投下するかもしれません。本当は千年属国の中国に向けて発射すべきでしょうけど。北と言い、南と言い、中国もですが人民の生命は凄く軽く感じます。それを糊塗するために反日をしているのでしょう。自国政府に恨みを向けない為、日本を敵に祭り上げる訳です。ここを押えた上で特亜3ケ国とどう付き合うかを考えなければなりません。何せ韓国はまた約束を破る(口約束だけれど)可能性が高いと読んでいます。特亜3ケ国が約束を守るはずはありません。何せ「騙す方が賢く、騙される方が馬鹿」の文化ですので。日本は何事も善意で解決しようとし過ぎですし、対応が遅すぎです。朝日新聞等左翼メデイアに刷り込みを受け、現実を見ない平和ボケが余りに多すぎるせいです。彼らは中国か北朝鮮から核ミサイルが飛んで来たらどう思うのでしょう。ミサイル防衛だけでは中国の核ミサイルは防ぎきれません。米国にニュークリアシエアリングを要求すべきです。これであればNPTにも違反しないでしょう。欧州では既にやっていますので。その後、地道に核を持つステップを探っていかないと。そもそもで言えば、P5だけ核を保有できると言う論理がおかしいのでは。彼らはそれだけ善良なのか?歴史をみれば植民地経営や侵略してきた国家でしょう。それとレーザーの研究開発をして核を無効化できるようにできれば良いと思います。

記事

朝鮮が「1月6日10時(現地時間)、初の水爆実験を行った」と発表した。4回目の核実験となる。北朝鮮は“核保有国”への道をさらに一歩踏み出した。韓国も核武装に走るか、あるいは中国に急接近する可能性が出てきた。

「核選択権」を宣言しよう

 北朝鮮国営の朝鮮中央テレビは日本時間1月6日12時半から「特別重大報道」として、「6日10時(現地時間)に北東部で初めての水爆の実験を行った」と発表した。

 韓国では、北朝鮮の核に対抗し自らも核武装すべきだとの意見が一気に高まるだろう。4回目の核実験の前から、保守派が核武装を主張し始めている(「ついに『核武装』を訴えた韓国の最大手紙」参照)。

 2015年5月21日には最大手の保守系紙、朝鮮日報の楊相勲(ヤン・サンフン)論説主幹が、署名コラム「金正恩も、恐れさせてこそ平和を守る」(韓国語版)で「核武装」を訴えた。

 厳密に言えば、米国の核で守られないことが確認された瞬間に韓国も即座に核武装すると宣言しておく「核選択権」の主張だ。宣言時期は「北が4回目の核実験を実施し、核ミサイルの実戦配置が確認された瞬間」を想定している。

 なお、「核選択権」に関しては拓殖大学の矢野義昭客員教授が詳しい(「米国も今度は許す?韓国の核武装」参照)。

若い独裁者に「核抑止」は働くか

 この記事が掲載される少し前の5月12日には保守運動の指導者、趙甲済(チョ・カプチェ)氏が同様の「核選択権」を唱える記事「核ミサイル実戦配備に対応する政策を国民投票に付せ!」(韓国語)を自らが主宰するネットメディアに掲載した。

 趙甲済氏は「国民投票にかけることで核選択権の権威を増そう」とも主張した。さらに「必要なら核拡散防止条約(NPT)を脱退する権限を政府に付与すべきだ」と訴えた。韓国の保守指導層は「核選択権」の合意を固め終えた感がある。

 韓国は米国の核により守られていることになっている。北朝鮮が韓国を核攻撃すれば、米国は直ちに北に核で反撃する、との約束だ。論理的には、米国の核による報復を恐れ、北朝鮮は韓国を核で攻撃しないと想定されている。

 しかし、若い独裁者に「核抑止力」は働かないのではないか、と韓国人は懸念する。北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)第1書記が正常な判断力を持つのか、あるいは彼が非合理的な判断を下した時に側近が止められるかは不明なのだ。

 金正恩率いる北朝鮮なら、米国から核攻撃を受ける可能性を無視して南を核攻撃するのではないかとの恐れである。

 となると、そんな非合理的な国からグアムや本土を核攻撃されるリスクを冒してまで、米国が韓国をちゃんと守ってくれるのか――と韓国人は疑う。

韓国はMDには参加できない

 具体的な懸念がある。北朝鮮が核兵器を「見せ金」にして通常戦力を行使するとのシナリオだ。

 北が通常戦力だけで韓国を奇襲攻撃し、ソウルまで占領する。米韓連合軍が反撃に出ようとした際に北朝鮮が「核を使うぞ」と脅したら、米国は核戦争に巻き込まれることを嫌がり、休戦に応じるかもしれない。韓国は首都であり、経済力の過半を占めるソウルを奪われてしまう――との悪夢である。

 米国も韓国人のこの悪夢を十分に承知している。4回目の核実験後、すぐにでも韓国に対する核の傘の保証を改めて宣言するであろう。ただ、韓国人がそれに納得するかは分からない。

 日本は米国の核の傘に加え米国と共同で、ミサイルを撃ち落とす仕組み、ミサイル防衛(MD)システムを構築中だ。これらにより中国や北朝鮮の核に対抗する。

 米国は韓国に対しても、米主導のMDシステムに参加するよう呼びかけてきた。しかし韓国はそれが「中国包囲網」の一環となることから、中国に遠慮し参加を断ってきた。

 MDの一部である終末高高度防衛ミサイル(THAAD)を、米国が在韓米軍に配備をしようとしたら、韓国はそれさえも拒否した。習近平主席が朴槿恵(パク・クンヘ)大統領に直接「反対せよ」と申し渡しているためだ。

米国も韓国の核を許す

 韓国では、自分たちも核を持ってしまえば、米国もそれを認めるだろうとの本音が今後、公然と語られるかもしれない。また、今すぐに核は持たなくとも「核選択権」くらいは直ちに宣言すべきだとの世論が盛り上がり、政権をつき動かす可能性が高い。

 カーター(James Earl “Jimmy” Carter, Jr.)政権(1977-1981年)時代に大統領国家安全保障担当補佐官を務めたブレジンスキー(Zbigniew Kazimierz Brzeziński)氏が、2012年に「Strategic Vision: America and the Crisis of Global Power」を書いた。

 この本の114ページでブレジンスキー氏は「米国の力が弱まると、その核の傘の信頼性が落ちる。すると韓国や台湾、日本、トルコ、ひいてはイスラエルでさえ新たな核の傘を求めるか、自前の核武装を迫られる」と指摘している。

 安全保障の専門家として名高いブレジンスキー氏が、韓国の核武装を自然な流れと認識したうえで、食い止めるべき対象とは書かなかったのである。

 そしてこの本を、当時の韓国各紙は一斉に社説で取り上げている(「『中国に屈従か、核武装か』と韓国紙社説は問うた」参照)。

 韓国の核武装の可能性は、日本人が考える以上に高い。被爆国、日本とは大いに異なり、韓国人には核兵器への忌避感が薄いからだ。

 世論調査では3分の2の韓国人が核武装に賛成する。3回目の核実験(2013年2月12日)の直後、韓国ギャラップと、峨山政策研究院が国民に聞いている。

 核武装に賛成した人はそれぞれ64%と66.5%に上った(「今度こそ本気の韓国の『核武装論』」参照)。

北の抑制を中国に頼む

 韓国のもう1つの選択は中国による核抑止だ。米国の核による抑止が効かないなら、北朝鮮経済の生殺与奪の権を握る中国に頼もう、との発想だ。

 朴槿恵大統領は2015年9月4日、中国から帰国する飛行機の中で「中国と協力し統一を目指す」と語った(「統一は中国とスクラム組んで」参照)。

 9月2日に習近平主席と会談し、3日に天安門から軍事パレードを参観した直後の出来事だ。韓国の保守は「米韓同盟を破棄してでも統一に動くつもりか」とパニックに陥った。

 中国が韓国主導の統一に協力、つまり北朝鮮を捨てる以上、代わりに米韓同盟の破棄を要求するというのが常識だからだ。

 大統領の真意は不明だ。が、将来の統一問題で「スクラムを組む」ほどに中国を頼みとするのなら当然、差し迫った核問題で中国を頼みにするだろう。もちろんその時、中国は米韓同盟の破棄、あるいは事実上の無効化を韓国にのませるに違いない。

 2014年4月23日、朴槿恵大統領は突然、中国の習近平国家主席に電話し「北朝鮮のさらなる核実験は域内の軍備競争と核ドミノを引き起こす。(核実験を実施しないよう)北朝鮮に対する説得を一段と努力して欲しい」と要請した(韓国の通信社、ニュース1による)。

 北朝鮮の核武装阻止をも話し合う、米韓首脳会談の開催を2日後に控えての“事件”だった。朴槿恵政権がもはや同盟国の米国だけを頼みにするわけにはいかない、と考えている明確な証拠である。

4割弱が親中派

 韓国には3番目の選択肢もある。「現状維持」である。これは北の核への抑止を、現在の同盟国である米国に全面的に依存することを意味する。

 もっとも、米国と「完全なスクラム」を組むためにはTHAAD配備を容認したうえ、米主導のMDにも参加する必要がある。

 韓国の保守派の一部は、戦術核兵器の韓国への再配置を米国に要求しようと言い出すだろう。自前の核武装よりも手っ取り早く、かつ米国との摩擦も少ないからだ。

 だが、すっかり中国に取り込まれた朴槿恵政権が、中国が嫌がるそんな選択をとる可能性は低い(「『中国の尻馬』にしがみつく韓国」参照)。

 政権だけではない。4割近い韓国人が「落ち目の米国」ではなく「浮上する中国」とともに生きる決意を固めている。

 韓国の世論調査会社、リアルメーターの2015年7月29日の調査によると、「米中どちらが重要か」との問いに対し、韓国人の50.6%が米国と答え、37.9%が中国と答えている(「どうせ、中国の属国だったのだから」参照)。

韓国の動揺を待つ中国

 今現在は「北の核」への恐怖が韓国を支配している。しかし「米国を頼り続けるか」あるいは「中国を新たなパートナーに選ぶか」で、論争が起こる可能性が高い。

 いくら米国が頼りないからといって、傲慢な独裁国家に身を寄せるものだろうか――と日本人は思う。その答えは歴史にある。

 韓国の歴代王朝は19世紀末まで、中華王朝の冊封体制下にあった。外から見れば属国だが、韓国人の集団的な記憶では「中国に守られ、結構うまくやっていた」のである。

 中国も韓国人のそんな心情は知り尽くしている。中国と近い朴槿恵政権の時代、それも北の核への不安が一気に増した今、韓国を取り込んでおこうとするに違いない。

 “核保有国”となった北朝鮮に世界の目が注がれる。だが、極度の不安に陥った南の動きにも注意を払うことが必要だ。実はこの韓国の動揺こそを、中国は「待っていた」のかもしれない。