5/4JBプレス 古森義久『注目のトランプ「外交政策」、やはり中身はなかった 粗雑な孤立主義を米国の識者が厳しく批判』について

5/5朝日新聞デジタル

<米大統領選の共和党候補者指名争いで、獲得代議員数が2位だったクルーズ上院議員(45)が3日(日本時間4日午前)、選挙戦からの撤退を表明し、実業家のトランプ氏(69)が同党の指名を獲得することが確実な情勢となった。同日に行われたインディアナ州予備選で同氏が大勝し、クルーズ氏が選挙戦の継続を断念した。  クルーズ氏は、同日夜のインディアナ州での集会で、支持者を前に「我々は選挙戦から撤退する」と表明。一方、トランプ氏は早くも民主党のクリントン前国務長官(68)との対決を見据え、「我々はヒラリー・クリントン氏を打ち負かす。彼女は偉大な大統領にはなれない」と自由貿易に対する政策の違いなどを強調し、「(本選挙が実施される)11月に我々は勝利する」と述べた。  これまでの獲得議員数で3位のオハイオ州のケーシック知事は依然撤退の意向を示していないが、トランプ氏が7月の共和党全国大会前に候補者指名に必要な代議員総数の過半数を獲得するのは確実な情勢だ。  同党全国委員会のプリーバス委員長は同日、ツイッターで「トランプ氏が共和党候補となるだろう。我が党が団結し、クリントン氏を打倒することに集中する時だ」とコメントし、トランプ氏が指名を獲得するとの見通しを明らかにした。  一方、民主党のインディアナ州予備選ではサンダース上院議員(74)が、クリントン氏を僅差(きんさ)で破り、勝利した。クリントン氏が党の指名を獲得するのは確実な情勢だが、サンダース氏は選挙戦を継続する方針で、最終決着はしばらく先になりそうだ。(インディアナポリス=金成隆一、ワシントン=佐藤武嗣)>(以上)

米大統領本選はヒラリーVSトランプの戦いになりました。トランプが今後考えなければならないのは

(1)共和党全体を纏め上げれるか。特に共和党主流派はトランプを嫌っており、その関係修復をどうやるか。

(2)副大統領候補をクルーズはフィリオーナ(女性)にしていましたが、ペイリン(女性)を指名するかどうか。或は誰を指名するのか。

(3)女性を侮蔑する発言、人種差別発言をしてきたがこれをどう軌道修正していくか。

ヒラリーが共和党を分裂させるため、トランプを擁立させたとの噂がある中で、トランプはアジテーターの役割を止め、真剣に政策を訴えなければ本選でヒラリーに負けてしまうでしょう。

本記事のように矛盾を露呈するようではダメで、早急にスタッフを集めて、知恵を絞ってほしいと思っています。

記事

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米首都ワシントンで、外交政策について演説するドナルド・トランプ氏(2016年4月27日撮影)。(c)AFP/Brendan Smialowski〔AFPBB News〕

 米大統領選で旋風を巻き起こしている共和党候補、ドナルド・トランプ氏が初めて外交政策について演説をした。

 トランプ氏が予備選挙戦で事前に草稿をきちんと準備して演説したのはこれが初めてである。だが、その外交政策は粗雑な孤立主義であるとして、保守派かもらもリベラル派からも厳しく批判される結果となった。

「アメリカファースト」を掲げオバマ外交を批判

 トランプ氏は4月27日、ワシントン市内のホテルで初めて外交政策について演説した。以下がその内容の骨子である。

 まず、トランプ氏は外交政策全体の最重要点として「アメリカファースト」(米国第一)という標語を強調した。アメリカの利害関係を何よりも優先する姿勢である。

 その姿勢は、オバマ大統領の好きな「国際協調」や「多国主義」へのアンチテーゼとも言うことができる。トランプ氏はオバマ外交を「ビジョンがなく、目的も方向もなく、戦略もない」と断じる。そして以下の5点をオバマ外交の弱点として挙げた。

(1)米国の資源を無駄使いしている

 オバマ大統領は米国の軍事と経済を弱体化した。他国の国づくりを唱えながら米国の国力をすっかり骨抜きにしてしまった。

(2)米国の同盟国の負担が不足している

 北大西洋条約機構(NATO)の加盟国28のうち、公約である国内総生産(GDP)の2%以上を防衛費にあてている国は4カ国しかない。これは不公正である。

(3)同盟諸国の米国への不信が増した

 オバマ大統領の「友を嫌い敵を好く」態度によって、米国の同盟諸国の間で対米不信が増した。

(4)競合相手から軽んじられている

 ロシアや中国はおろか北朝鮮までもが米国を恐れず、もちろん敬意も抱かない。特に中国は米国への敵対的行動を盛んに行っているが、米国は対抗措置をとらない。

(5)外交政策に明確な目標がない

 リビアの独裁政権を倒した後 民主主義勢力の崩壊を黙視した。イラクやシリアでもテロ組織IS(イスラム国)の跳梁を座視した。

「国益を守るために軍事力を断固として使う」

 以上のようなオバマ政権批判を踏まえ、トランプ氏は自らの外交政策目標として次の3点を挙げた。

(1)イスラム過激派の勢力拡大を阻止する

 この目標達成には米国だけでなく全世界の努力が必要である。米国は軍事力の行使もためらわないが、哲学的な闘争も必要とする。

(2)米国自身の軍事力と経済力を再強化する

 中国もロシアも軍備を強化して国威を発揚しようとしている。米国も軍備縮小の流れを逆転させ、世界最強の地位を確実にする。経済面でも米国を偉大にする。

(3)米国の国益に基づく外交政策を確立する

 まやかしのグローバリズムに流されるべきではなく、主権国家こそが国民の幸福や調和の真の基礎となる。国際的な連帯もそれ自体には価値がない。

 トランプ氏は以上のような要点を訴えるとともに、「米国の国益を守るために軍事力を断固として使う」「民主主義など欧米の基本的価値観を世界に広める」「NATOおよびアジアの同盟諸国と協議して、共同防衛の経費の負担のあり方を論じ、共通の脅威への対処を考える」とも誓約していた。

立場を異にする3人の識者の評価は?

 このトランプ外交演説を米国各界の識者たちはどうみたのか。米国には多様な政治理念の論者たちがいる。ここでは代表的な3人の識者の反応を紹介しておこう。

・共和党系保守派の見方

 第1は、共和党系保守派の大物政治評論家、チャールズ・クラウトハマー氏の意見である。

「トランプ氏はこの外交演説で、自らを揺るぎない信念の政治家、そして大統領にふさわしいリーダーとして示したかったのだろう。その狙いはある程度は成功したと言える。

 彼の演説の主眼は『アメリカファースト』という標語に集約されていた。その背後には、トランプ氏が誇りとするナショナリズムが影を広げている。トランプ氏のナショナリズムは、他国や他国の国民には米国民の血や資源を犠牲にしてまで介入する価値がない、とする孤立主義と一体となっている。だが、その孤立主義志向は、同盟国の対米不信を取り除こうとしたりイランの封じ込めを唱えるとなると、矛盾が露呈する。いずれも対外的に関与しなければ達成できない目標だからだ」

・民主党系リベラル派の見方

 第2は、民主党系リベラル派の外交ジャーナリスト、ファリード・ザカリア氏の意見である。

「今回のトランプ演説は、メキシコとの国境に壁を建設するとかイスラム教徒の入国を禁止するという実行不可能な措置を提示していなかった点では、改善あるいは前進だと言える。だが矛盾の目立つ演説だった。軍事増強を唱える一方で緊縮財政を主張する。人道的な理由で海外への米軍投入には反対しながらも、海外でイスラム教徒に弾圧されるキリスト教徒の救済には熱心な態度をみせる。

 だが全体として、トランプ氏の外交政策はできるだけ外国への関与を避ける孤立主義の傾向をちらつかせる。しかも大衆迎合のポピュリズム的な外交政策と言えるだろう」

・中立の立場の見方

 第3には、ほぼ中立の立場としてタフツ大学の外交問題専門家、ダニエル・ドレズナー教授の意見を紹介しよう。

「トランプ氏の外交演説はオバマ政権の外交の欠点を大きく取り上げ、激しく非難しているが、そこには代替案がほとんど入っていない。

 トランプ氏の基本的な信念は、米国が一国だけ強大で対抗できる勢力がいないときにこそ世界は最も平和で安定した状態になるということだろう。米国の覇権による平和の維持は、米国の対外関与や対外介入を必ずしも意味しない。

 混乱が続く中東に軍事介入して治安を維持することには反対しながら、その一方で中東で米国的な民主主義を拡大させるためにもっと関与すべきだと唱える。トランプ氏の外交戦略の基本は、なんとなく孤立主義をにじませた、論理や一貫性に欠ける国威の発揚にみえる」

 トランプ氏の外交政策演説は米国内でもこのように多様に評価されており、日本にとっての意味を読むことは難しい。だが日本にとって、日米同盟における負担の是非を問われることは間違いないだろう。

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