5/6JBプレス 伊東乾『トランプ大統領になれば、地に落ちるドルの信用 米国とEUの衰退が顕著ないま、通貨について改めて考える』、5/8日経『「予測不能」がトランプ流 前例打破し本選へ

伊藤乾氏のプロフィールは

「作曲家=指揮者 ベルリン・ラオムムジーク・コレギウム芸術監督

1965年東京生まれ。東京大学理学部物理学科卒業、同総合文化研究科博士課程修了。2000年より東京大学大学院情報学環助教授、07年より同准教授、慶應義塾大学、東京藝術大学などでも後進の指導に当たる。若くして音楽家として高い評価を受けるが、並行して演奏中の脳血流測定などを駆使する音楽の科学的基礎研究を創始、それらに基づくオリジナルな演奏・創作活動を国際的に推進している。06年『さよなら、サイレント・ネイビー 地下鉄に乗った同級生』(集英社)で第4回開高健ノンフィクション賞受賞後は音楽以外の著書も発表。アフリカの高校生への科学・音楽教育プロジェクトなどが、大きな反響を呼んでいる。他の著書に『表象のディスクール』(東大出版会)、『知識・構造化ミッション』(日経BP)、『反骨のコツ』(団藤重光との共著、朝日新聞出版)、『日本にノーベル賞が来る理由』(朝日新聞出版)など。」とあります。

ビットコインの仕組みに疎いので、ビットコインが世界通貨の主流になるのかどうか分かりません。でも日本円を売り、ビットコインを買う時には、金融市場の為替レートを参考にするのではと思いますが・・・・・。固定相場ではやりきれないのでは。新たな仮想国の通貨が出来たと考えるべきなのか?世界を旅するときに、それぞれの国で両替しなくて済むというのは便利です。(つづく)とありますので次回の説明を楽しみに待ちたいと思います。

トランプ大統領になると$の信用が地に落ちると言っていますが、今回はその説明がありませんので、論理的根拠が分かりません。$の基軸通貨としての地位がそんなに簡単に低下するとは思えません。指導者の道徳性で貨幣価値が減ずるとは考えません。そもそも米国は戦争経済ではないですか。

トランプが共和党大統領候補として残ったのは、エスタッブリッシュが米国国民の民意を掬い上げて来なかったからでしょう。「世界人口の半分と同じ富が62人の富豪に集中」(News Week)という資本主義から生じる極端な格差社会を放置してきたためです。日本の戦前、軍人によるテロで社会改革を行うより、選挙で社会を変えようとする方が健全です。トランプの物言いは下品で、好きにはなれませんが、選挙民の心を掴んだという事です。ポピュリズムの極みではありますが。

http://www.newsweekjapan.jp/stories/business/2016/01/62.php

5/8日経には「FBIがヒラリーを数週間内に私用メールアドレス使用の件で聴取」との記事が出ていました。ヒラリーが勝つとは限らないというか、本選に出られない可能性もあります。その時の民主党の候補はサンダースになるのかどうか?

日本国民ももっと国防について真剣に考えなければ。トランプは駐留米軍基地代を全部払わなければ撤退、核武装も認めると言っています。国民的議論を起こす良いチャンスです。黒船来航と同じと考えれば良いのでは。あの当時の日本国民の情報レベルは低かったと思いますが、今はいろんな媒体から情報が取れます。憲法(特に9条)、日米安保、核保有、スパイ防止法、国民の国防義務(徴兵制復活ではありませんので念の為)を議論するようにメデイアは旗振りすべき。

しかし外務省は相変わらずお粗末。トランプに対する人脈がなくてアプローチできないとは。「タダ飯食い」と昔は言ったものです。国民はもっと怒らないと。別な組織で外交しないと、日本は中国の属国にされてしまいます。

JB記事

Hamilton

米初代財務長官アレクサンダー・ハミルトンの肖像が印刷された10ドル紙幣〔AFPBB News

 ついにビットコインの発明者が名乗りを上げました

 オーストラリア・ブリスベンの情報工学者、クレイグ・ライト(1970-)が「サトシ・ナカモト」の正体は自分である、とカミング・アウトした。大きなニュースと思います。

 税制の問題に関連して、唯一最大の謎&置石になっていた「サトシ」の正体が知れたことで、これから暗号通貨は大きく動き出すように思います。そんなことも念頭に、現在進行形の「お金の問題」を考えてみましょう。

 さて、ここで改めてお金の価値って、いったい何で決まってくるのでしょう?

 「近代経済学」という言葉があります。正確には「ありました」というべきかもしれません。私がティーンの頃、つまり冷戦期の日本では、経済学は大きく「近代経済学」と「マルクス経済学」に二分されていました。

 早くに亡くなった父が果たせなかった学問への憧憬として「経済学」のファンであった中学高校時代の私にとって「経済学」とは「マル経」と「近経」を指すもので、両者をバランスよく学びたいと子供なりの頭で思ったりしていました。

 しかし、欧州に留学して冷戦期東側の実情を見て「マル経」に幻滅した経緯があります。

 果たして冷戦体制の崩壊後、急速に「マル経」という分野そのものが消滅するとともに、対概念に近かった「近経」という表現も下火になり、経済学はデリケートに分類されるようになっていきました。

 が、かつて「近代経済学」と言われた分野の本質はケインズ以降の経済学、より明確に特定するならケインズの「雇用・利子および貨幣の一般理論」(1936)以降の「ケインジアン」のエコノミクスで「古典派経済学」クラシックスに対して「モダン」なケインズ経済学として「近経」が位置づけられていたように思います。

 ケインズの経済学は、時期的に見ても、また米国でフランクリン・ルーズベルト大統領が推進した「ニューディール」政策の強力な後ろ盾になったことからしても「世界恐慌(1929-)」という眼前の自体と切り離しては考えられません。

 端的に言えば、1930年代以降のあらゆる経済学は、当該時期のマルクス経済学を含め、「恐慌再発」をいかにして防止するかという究極の目標を持っているといっても過言ではないのです。

 こうした観点はあまりに大上段、かつ大時代がかって見え、精緻な分析を旨とするプロのエコノミストが言及されることは少ないかもしれません。

 しかし、いまデジタルマネーや暗号通貨、ビットコインやブロックチェーンの技術などを考えるとき、あえて改めてこうした大本の観点に立ち返って見ることにも、一定の意味があると思うのです。

 いま改めて「お金」とはいったい何なのか。また「お金のクライシス」通貨危機とはいかにして起こり得るものなのか。金融に端を発する経済恐慌は、どのような政策によって回避できるのだろうか?

 こうしたナイーブな疑問は「経済学の本質的課題」の1つとして、広く問われてよいと思うのです。

お金の価値とは何なのか?

 さて、改めて、お金の価値、その源泉はどこから来るのでしょうか?

 貨幣というものの歴史を振り返ると、古典的には2つの考え方が長く対立してきました。

 第1は「貨幣価値説」と呼ばれるもので「お金そのものに価値がある」という考え方です。例えば金貨はその「金」という物質そのものに価値があるから「お金」なのである・・・。

 仮にそうだとすれば、金地金は立派に「お金」として通用するはずです。が、翻って、現在私たちが使っている日本国の通貨はどうでしょうか?

 調べて見ると「10円玉の原価は約10円」という興味深い事実が分かります。なぜ興味深いかと言えば、非常に珍しく額面と原価が一致しているから。

 と言うのも、「100円玉の原価は約25円」で、決して10円玉の10倍ではありません。それどころか「50円玉は約20円」、「500円玉に至っては約30円」で、およそ額面に比例していない。

 もっと問題なのは「1円玉の原価は約3円」で原価の3分の1の額面価値しか持っていない。これは5円玉が約7円というのと同様、作れば作るだけ赤字ということにもなりかねない。ところが逆もあるわけで、

 1万円札の原価は約22円、つまり50円玉と大して原価が変わらないのに、額面としては50円玉の200倍、原価からすれば約500倍という「割りのいい通貨」になっている。

 つまるところ「貨幣価値説」は、少なくとも21世紀の日本ではまったく成立していない。お金の価値はそれを担う「通貨」の価値と無関係であることが知れます。

国や中央銀行が決めれば「価値」なのか?

 この「貨幣価値説」と並んで長らく唱えられてきたのが「貨幣法制説」つまり法律などルールによって決められているから、お金には価値があるのだ、という考え方です。

 なるほど、1円は1円、1万円は1万円と定められているから、そのように流通しているので、貨幣法制説の方がもっともらしいと思われるかもしれません。

 が、これもよく考えるとすぐに成立しない現実の局面が見えてきます。例えば「国」を跨げばどうなるか?

 私たちは日常的に為替レートの情報を目にします。円安は製造業にとっては歓迎すべき影響をもたらすことが多いですが、円を持って海外に出る人にとっては財布を直撃してなかなか厳しいことになる。

私たちは「円が高い」「円が安い」という相場の変動を当たり前のものとして認識しています。同じ製品を日本で円建てで購入するのと、欧州でユーロ建てで購入するのと、原価から流通コストまで様々な違いがあり乱暴なことは言えませんが、少なくとも「特定の国家が法で定めたから、その通貨にそれだけの価値がある」などと言えないことだけは間違いない。

 さらに、一国内での出来事で考えるなら「ハイパーインフレーション」のような事態を考えれば物事は如実に知れるはずです。

 かつて「ジンバブエ・ドルZWD」という通貨がありました。1980年に導入された当初は1USドル=約0.68ZWD、米ドルと同じ桁で通用する通貨としてのスタートだったはずが、2000年に始まった土地接収行政など政策的な失敗によって人類史上最悪のハイパーインフレ記録を塗り替え続けることとなります。

 2008年のジンバブエのインフレ率は5000億%だったそうです。こう言われても正直ピンと来ませんよね?

 これはつまり、正月に1円で買えたものが、暮れには50億するという話で、リヤカー一杯お札を持っていっても、「こんなもの何の信用も置けない!」と受け取りを拒否されるレベルの代物になっている。

 「貨幣法制説」をこれほど明確に否定する現象はないでしょう。昨年つまり2015年、ジンバブエ準備銀行(中央銀行)は最終的にこの通貨を廃止、3.5京ジンバブエドルつまり、

 35,000,000,000,000,000ZWD=1米ドル

 として残高を精算、通貨としての35年の命を閉じました。

 こんな状況になってしまえば財政政策も金融政策もへったくれもあったものではありません。市場が貨幣を信用しなくなってしまえば、国家がどのような法を定め、どんな財政出動をしようとも、あるいは中央銀行が金利を多少操作しようとも、まさに焼け石に水です。

 近代経済学の諸パラダイムが成立するのは、通貨(政体を含めるべきかもしれません)への信用が大前提、「信用なきところに通貨成立せず」あるいは「信用なき貨幣」に法制説は無用と言うべきかもしれません。

 どんなに政治権力が力で抑え込もうとしても、いったん信用を失った通貨は元来の価値を市場で通用させることができません。

「マルボロ本位制」と暗号通貨

 日に日に通貨価値が下落し、「ジンバブエ・ドル」に何の信用も置けなくなっても、現地で暮らす人々は日々の取引をせねばなりません。そこで彼らは何を用いたか?

 一部では「旧ソ連でルーブルが暴落したときと同様」の対処がなされたと言われます。いわば「マルボロ本位制」、つまり、封の切っていない米国フィリップ・モリス社製のタバコ「マルボロ」が通貨代わりに用いられていたらしい。

 これについては旧ソ連末期、ルーブルが紙くずとなり使い物にならなかったとき、日用品その他の売買にマルボロが使われていた現場に居合わせた佐藤優さんから「金でも銀でもルーブルでもない、マルボロ本位制」として体験談を伺ったことがあります。

 赤いマルボロ何個かが金のマルボロ1個に相当、といった、実際の価格とは独立した「マルボロ信用経済」がローカルに成立して、日用品や食物などが取引されていたという。

 国家の信用が崩れたとき、外国のタバコが信用を代替したという、笑うに笑えない現実です。

 さて、2016年の今日、私たちは1989~91年のモスクワやレニングラード=ペテルスブルクのように米ドルを信用することができるでしょうか?

 国際政治的に「世界の警察官」であることをやめ「米国の平和」はとうに終わってしまった超大国米国の通貨「ドル」。

 第2次世界大戦欧州全土が壊滅的打撃を受け、その復興時に米ドルが果たした役割、あるいは1960年代のスタグフレーションを切り抜け変動相場制に移行した時期に機軸通貨ドルが果たした役割・・・。

 いずれも2010年代後半、すでにパックス・アメリカーナが完全に終結し、ドナルド・トランプのようなキワモノ大統領候補が一定の風評を得てしまうところまで来てしまった米国通貨に、今後のグローバル経済が仮託できるものではないでしょう?

 「米ドルこけたら皆こけた」

 こういう状況を回避するために、私たちはどのような命綱を張ることができるのか。

 ここで欧州や日本、そしてなにより自国通貨としてのドルの先行きを案じる米国先覚層が期待を寄せるのが「暗号通貨」ビットコインなどのデジタル・マネーにほかならない。

 そう言っても大げさではないのでは、と思うわけです。

(つづく)

FT記事

米国の政治はもう後戻りできない。実業家のドナルド・トランプ氏が11カ月前、米大統領選挙に名乗りを上げた時、誰もが笑い飛ばした。今や共和党候補の指名獲得が確実だ。

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5日、ウエスト・バージニア州の集会で演説するトランプ氏=ロイター

 二大政党の1つがグローバル化と自由貿易に明確に異を唱える人物を大統領候補に指名するのは近代以降、初めてだ。長い歴史を持つ共和党が、このようにいきなり世界観を覆したのは民主主義史上、まずない。

 (インディアナ州の予備選があった)今月3日の夜、米大統領を選ぶ本選挙が事実上始まった。この選挙で世界の中の米国の立ち位置が変わる。トランプ氏とヒラリー・クリントン氏の戦いは、色々な意味で前例を打ち砕くものになる。

 選挙の構図は共和党対民主党ではない。造反者と支配階級、思いつきで物を言う人と道徳的、政治的に正しい発言をする人、混乱を呼び込む者と現状維持派、自国第一のポピュリストと他国との関係を考える従来型の国際主義者の戦いだ。

 なかんずく今回は、選挙で選ばれる公職に一度も就いたことがない者と、大統領選に勝つために人生をささげてきた者の一騎打ちなのだ。

 普通に考えれば、クリントン氏が勝つに決まっている。トランプ氏はこれまで次々とマイノリティー(少数派)など様々な集団を侮辱してきた。彼らを足し上げると有権者の大半を占める。女性を加えれば圧倒的多数になる。

 さらに言えば、トランプ氏のように有権者に嫌われながらも、本選で勝ちそうになった人物はこれまでいなかった。

 そもそもそうした人物は候補者として指名されることがなかった。この点でトランプ氏はこれまでの常識というものをずたずたにした。仮にこのニューヨークの大富豪が自分に有利になるよう、半数を超える共和党員の気持ちを動かせるとしたら(実際、すでに大きく動かしたが)、彼が本選でそうするのを誰が阻めるだろう。

 従来の判断基準はどれも当てにならない。党の候補者指名を勝ち取るには、党内有力者の推薦を取り付け、徹底した選挙組織を構築し、驚異的な集金マシンで寄付を集め、経験豊富なアドバイザーを複数抱えることが不可欠とされてきた。トランプ氏はこうした鉄則とは無縁のまま、予備選で勝利を収めてきた。今後の注目点は同氏がいつ党内の推薦を取り付け、本選に向け組織を組み立てるかだ。

 膨大な数の共和党のエリート党員がツイッターで展開してきた「トランプは絶対ダメ運動」などはどうでもいい。識者は社会の趨勢が読める。すでにツイッター上では「ようこそドナルド運動」にとって変わりそうな兆しが見える。

 (共和党全国大会が7月に開かれる)オハイオ州クリーブランドで暴動が起きるとは思えない。党大会で候補指名が争われる可能性は3日の夜、インディアナ州で消えた。党大会はトランプ氏の「即位式」になる。

 大統領選は今後、事実上の候補2人の重大な弱点に焦点が当てられていく。

 クリントン氏の最大の弱みは信頼感の低さだ。陣営の中には、信頼されていないことについて同氏が演説で率直に話したらどうかと提案する人がいる。過去の大統領選でも、ジョン・F・ケネディ氏が1960年にカトリック教徒であることをはっきりと語り、あまり成功したとは言えないが、ミット・ロムニー氏が2012年にモルモン教徒であることを明かした。どんな形であれ、発言する前から信用されなければ、クリントン氏は他の問題を打破するのに苦労するだろう。

◇ ◇ ◇

 トランプ氏の問題は、敵に回した有権者があまりにも多いということだ。支持者を扇動しアフリカ系米国人の活動家に嫌がらせをしたり、ヒスパニック系の不法移民を悪者よばわりしたり、女性を見下した発言を繰り返したりした結果、同氏にとっては間違いなくかなり不利な戦いになる。11月の本選で勝つには、驚くほど多くの白人票を獲得する必要がある。とはいえ、今年に入ってすでに常識では考えられないことが起きている。

 劣勢候補とみられていたトランプ氏は、今後も常に予測不能な言動をとることで強みを発揮するだろう。隙を突いてクリントン氏に不意打ちを食らわせ、米国政治で長らくタブーだったような侮辱をクリントン氏に浴びせもするだろう。

 大事なのは社会通念を信じるなということだ。各世代が長らく信奉してきた考えが通用しなくなる。向こう半年の間、近代史以降で恐らく最も興味深い政治劇が展開されるだろう。

 「我々は再び美しい愛すべき1つの国になる」。トランプ氏はインディアナ州の予備選の後、こう述べた。どうもそうはならない気がする。

By Edward Luce

(2016年5月5日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

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