川田稔『昭和陸軍全史3 太平洋戦争』について

奥山真司氏の「戦略の7階層」には次のようにあります。

①世界観(人生観、歴史観、地理感覚、心、ヴィジョン)

②政策(生き方、政治方針、意志、ポリシー)

③大戦略(人間関係、兵站・資源配分、身体、グランドストラテジー)

④軍事戦略(仕事の種類、戦争の勝ち方、ミリタリーストラテジー)

⑤作戦(仕事の仕方、会戦の勝ち方、オペレーション)

⑥戦術(ツールやテクの使い方、戦闘の勝ち方、タクティクス)

⑦技術(ツールやテクの獲得、敵兵の殺し方、テクニック&テクノロジー)

第二次大戦中の日本の戦略は①世界観(人種差別撤廃)②政策(アウタルキー、国防国家)③大戦略(日独伊三国同盟+ソ連との提携)④軍事戦略(「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ」という特攻精神、白人を畏怖、人の損耗よりモノの損耗を重視)、⑤作戦(屍を乗り越えて、突撃精神。インパールに代表されるようにロジ無視)、⑥戦術(玉砕戦術)、⑦技術(ゼロ戦と空母運用の巧みさ、白人の想像を超えた技術力)

と勝手に小生が当て嵌めてみました。感じる所は、世上言われますように「何も考えないで戦争をした」訳ではなかったという事です。戦争自体の結果はついてこなかったです(それで我々は敗戦国としての悲哀を味わっていますが)が、我々の父祖はそれ程馬鹿ではなかったという事です。(但し、①の世界観(人種差別撤廃)は時間をかけて実りつつあります)。ただ、独ソで戦争したのが読めなかったのでしょう。これが勝敗の帰趨を決めました。ヒトラーの用兵の誤りです。日本も世界新秩序という壮大な夢を追いすぎました。今の中国みたいですが。言って見れば「天保水滸伝」の笹川繁蔵と飯岡助五郎みたいなもので、やはり新興勢力は駆逐されやすいという事でしょう。

そもそもで言えば、当時の日本のGDPは米国の1/12で勝ち目はないのが分かっていました。『昭和16年夏の敗戦』を読むまでもありません。武藤章ですら米国との戦争を回避しようとしたくらいですから。国家総力戦ではGDPの大きさと人口の多さが物を言います。やはり、無謀と言うしかありませんでした。

『失敗の本質』は名著ですが、「戦略の7階層」の上位概念ではなく、⑤の作戦レベルの話だったかと思います。前書きにそうわざわざ断っていたと思います。作戦レベルでも間違えなければ違った展開になった可能性があるという話でした。軍の人材登用の在り方としてハンモックナンバー重視等学校での順位がその後も幅を利かしたことや、教科書尊重で新機軸の作戦が立てられなかったことが弊害として挙げられていました。また上層部で信頼をベースにし過ぎて、確認・擦り合わせがなかったことで、目的と目標が食い違い、作戦に齟齬を来したこと(特にレイテ沖海戦)が挙げられます。

アメリカは1941年初めには日本の外務省の暗号を解読していたとのこと。今でもシギントが強く、盗聴は当り前の国です。これでは戦闘レベルで勝てても、作戦レベルでは勝てません。武道で相手がどこを攻めて来るのか分かれば「後の先」は簡単です。それと同じこと。パールハーバーはsneak attack ではありません。ましてや本内容にありますように、英国輸送船団を守るためドイツに宣戦布告なしに攻撃命令を出しています。フライングタイガーと同じです。FDRの人間の厭らしい所でしょう。中国が好きだったという人柄が滲み出ています。

内容

P.68~70

三国同盟は、対米戦のためではなく、あくまでも日米戦争を回避するためだというのである。

また、この発言の最後に武藤は、今後「ソ連との国交調整」が予想される旨の言葉を残している。東条陸相も、この武藤発言に続いて、「次に来るのはソ連との調整である」と 言葉をついでいる。

陸軍首脳部が、三国同盟締結によって、ドイツを仲介とする対ソ国交調整が進展することを期待していたことが分かる。

ちなみに、ドイツ側とは異なり、東条や武藤は、三国同盟のみではアメリカの対日行動を牽制しえず、むしろ対日態度は硬化するだろうとみていた。たとえば東条は、ニ八日の陸軍省局長会議で、「三国〔同盟〕条約は英米に対して大なる衝撃を与え、対抗手段に出づることは必至」だとして、対日禁輸の強化の可能性に言及している。また武藤も、条約締結による「米国のわれわれに対する経済圧迫は、万策を講じてこれを避けねばならぬ」と述べ、アメリカの対日経済制裁強化を警戒している。

ドイツにとっては、三国同盟それ自体が重要な意味をもっていた。ドイツはアメリカの対独参戦の危機に直面していた。したがって、日本との軍事同盟はアメリカを太平洋側から牽制する有効な手段として位置づけられていた。

だが日本は、後述するように、アメリカからの一定の輸出制限(石油・屑鉄を部分的に含む)を受けてはいたが、必ずしも対米戰争に直面する状態にあるわけではなかった。したがって日本にとって、ドイツとの軍事同盟が直接アメリカを牽制する効果をもつとはみられていなかった。

武藤ら陸軍中央は、三国同盟のみでなく、それにソ連との提携が加わることによって、はじめて対米牽制効果を期待しうると考えていたのである。

たとえば武藤は、三国同盟締結後の論考のなかで、次のように「ロシアとの提携」の必要に言及している。

吾々は・・・・ソ聯をして成べく枢軸側に協力させるように努めなければならない・・・・

吾々は飽くまでも自給自足の共存共栄圏を作らなければならない。それが為には…南方の資源を獲得することが必要である。・・・・この企図を遂行しようというならば、一時ロシアの方面との国交を調整しなければならない……南方発展の為に一時ロシアとの提携ということが起り得る」(武藤章「国防国家完成の急務」『東亜食糧政策』)

ここでの対ソ提携の必要は、南方発展の文脈で、すなわち南方武力行使のさいの北方の安全を確保する意味で主張されている。だが、先の陸軍案にみられるように、三国同盟に対ソ提携を加え、四国連合による対米牽制、南方武力行使(対英戰)時などでのアメリカの参戦阻止を意図するものでもあった。

武藤は戦後の手記で、「元来三国同盟の目的は、……日独伊の同盟に蘇聯をも加入せしめ、この一連の枢軸によって、米国の戦争加入をも阻止し、日支事変を速かに解决せんとの企図であった」としている(武藤『比島から巣鴨へ』)。

近衛首相も、

「三国同盟に伴う危険を防ぐ最大の安全弁はソ聯との提携であった。……日独伊三国だけの同盟は危険であるが、ソ聯が我々の側に立っているということになれば余程危険は緩和され得ると考えた」(近衛文麿『失はれし政治』)と後に回想している。

P.74~80

三国同盟とソ連との連携による米封じ込め

このような経過をへて、九月一四日の大本営政府連絡会議で、三国同盟は海軍側を含めて正式の承認をえた。その後、一六日の閣議、一九日の御前会議で同盟締結が正式に決定。二六日の枢密院審議での条約締結承認をへて、九月二七日、日独伊三国同盟条約が締決された。

自動参戦の回避については、攻撃を受けたかどうかは三国間の協議により決定するとの趣旨の交換公文が、オット駐日独大使の松岡外相宛書簡の形式で交わされた。

だが、オット駐日大使やスターマー特使は、この交換公文について、ドイツ本国政府に知らせかった。日本の対米自動参戦を強く望むヒトラー、リッベントロップら政府首脳の反応を恐れたためではないかとされている。

ヒトラー、リッベントロップらは、三国同盟による対米牽制(アメリカの参戦阻止)を期待していた。だが、それにもかわらずアメリ力系が対独参戦した場合には、日本がフィリピン、ハワイなどを攻撃すること、すなわち日本の同時参戦を望んでいたからである(ゲルハルト・クレーブス「日独伊三国同盟」近藤新治編『近代日本戰争史•第四編・大東亜戦争』)

整理すると、武藤ら陸軍中央にとって三国同盟の締結は次のよぅな意義をもっていた。 第一に、東南アジアを含めた「大東亜」の指導権(支配権)をドイツに承認させたこと。第二に、 対ソ国交調整へのドイツによる仲介による糸口をつかんだこと。第三に、日独伊ソ四国連合による対米牽制、アメリカの参戦阻止の可能性が現実化してきたこと。

だが、 同時にそれは独米戦突入が日米開戦へと連動する危険性をはらむものだった。またさらに、アメリカの日本への反発、対日圧力の強化をともなうものでもあった。

しかし、ドイツの仲介による対ソ国交調整が実現すれば、陸軍の戦略にとって大きなメリットがあった。それは、第一に、北方の安全確保が実現することによって、「大東亜生存権」形成のための南方武カ行使が実際に可能になることである。第二に、ソ連の対中援助(新疆ルート)を抑制させる。また、中国国内での国民党と共産党の離間、抗日勢力分断の可能性が生じる。第三に、三国同盟と相まって対米牽制力が格段に強化される。武藤らはこう考えていた。対ソ国交調整問題はそれだけ重要な意味をもっていたのである。

このあと陸軍は、「時局処理要綱」にしたがい、南方進出のための具体的な施策の策定・実施と、対ソ国交調整の実現をめざして動いていくことになる。

三国同盟成立後、武藤は、日本をとりまく国際情勢について、次のような認識を示している。

「日独伊は連携して、英米仏などに支配されていた「旧世界秩序」を転覆し、「世界の新秩序」を建設しつつある。日独伊は、「新たなる原理」によって、世界を「創成」しようとしている。日本は、このような世界史的な転換のなかで、好むと好まざるとにかかわらず「大変局」に直面している。

「日独伊等の新興国家群による勝利は、すなわち政治、経済•思想、文化等の全面にわたって、新たなる原理によって世界を創成せんとするものである。したがって、帝国また右の如き世界史的の転換の真只中に立って好むと好まざるとに拘わらず、有史以来の大変局に直面しているわけである。」(武藤「国防国家完成の急務」)

そのようななか、今や英米の反日的態度は先鋭化し、両国は緊密な連携のもと、対日攻勢を策しつつある。ソ連を英米陣営に引き込もうとし、重慶政府を援助して日本への抗戦を続けさせようとしている。またタイや蘭印をも、日本に対抗するよう使嗾している。

ソ連は、英米と日独伊の間で中立的態度をとっているが、独伊と共同で、枢軸側に協力させるよう努める必要がある。もちろん、その全世界に対する赤化宣伝への警戒は忘れてはならない。

だが、日本は、あくまでも「自給自足」の経済圏を作らねばならず、「南方の資源」の獲得が必須である。したがって、ソ連との国交を調整し、南方発展のために一時ソ連との提携を考えなければならない。また、ソ連の対中援助の影響は大きく、それを断つためにも、ソ連との国交調整が必要である。

「吾々はこのロシアの態度に対しては、独伊両国と共に、あるいは利を以て之を誘い、あるいは力を以て之を嚇かし、ソ聯をしてなるべく枢軸側に協力させるように努めなければならない・・・・ロシアの方面との国交を調整し・・・・一時ロシアとの提携ということが起り得る」(同右)

こうした三国同盟およびソ連との提携によって、なるべくアメリカを反省させるようにしなければならない。そして、「公正妥当なる態度」をもってアメリカに対処することが必要である。「自ら好んで[アメリカと〕戦さをするにはおよばない」が、最悪の場合でも、 断然これと対抗するだけの準備は整えておかなければならない、と。

武藤はまた、次のようにも述べている。

アメリカは「物資と財力の豊富な点においては世界第一」であり、現在、国防国家体制の整備を進めている。少なくとも1〇〇万の将兵一人一人に機械化装備を与え、年間五万機の航空機を製作しようとしている。その軍事費は約一四〇億円に達するもので、日本では考えられないことである(当時の日本の軍事費は約ニ○億円)。

しかも事態は決して楽観を許さないものであり、ひとたび対処を間違えれば、「日米戦争を太平洋上に始めて、世界人類の悲惨なる状態を招来する」こともありうる。

このような状況下において、国是としての「大東亜建設」を遂行していくには、国防国家体制を整え、強カに国策を遂行していかなければならない、と(同右)

すなわち、日独伊三国同盟とソ連の連携による圧カで、アメリカ参戦を阻止し、日米戦を回避しながら、大東亜生存圏の建設を実現しようと考えていたのである。先にみたように武藤は、三国同盟を、日米戦争を目的とするものではなく、あくまでもそれを回避するためのものだと位置づけていた。日中戦争、南方武力行使(対英戦)に加えて、圧倒的な国力差のある対米戦となることは、武藤も望まないことだったからである。

また、一九四一年(昭和一六年)初頭、武藤は、今後の国際情勢の大きな方向性について、次のように論じている。

世界は、日中戦争、欧州戦争、そして「新旧」両勢力の対立によって、今や「世界大動乱」へと進もうとしている。

「四周を見渡せば、客観的世界情勢はただならぬ超非常時の坩堝と燃えている。東に支那事変、西に欧州戦争が展開せられ、……世界勢力を新旧の分野に対立せしめ、今や世界大動乱への驀進は、好むと好まざるとに拘らず、不可避の観がある。」(武藤章 「新東亜建設と太平洋」『朝日新聞』昭和一六年一月一日)

近年の世界の趨勢をみるに、世界は四つのプロックに編成されようとしている。それは、アメリカを中心とする南北アメリカ大陸と、独伊の指導するヨーロッパ圏(アフリ力を含む)、欧州・アジアの北方領域を占めるソ連邦、そして日本がリードする大東亜共栄圏である。

「両三年前よりの世界大勢の趨くところを観察するに、米大陸においては、北米合衆国が中心となって西半球二十一ヶ国を連らねた大同団結を結成せんとし、欧州においては、独伊両国が指導的立場をとって所謂欧州新秩序を創成せんとし、更にソ聯邦は、欧亜北方に跨る一大ブロックを形成せんとする必然性が濃厚に看取されるのである。この世界情勢において、大東亜に生存する諸国が……大東亜共存共栄圏確立の謀を繞らすは自然の結論である。」(同右)

ここには、大英帝国圏の消失とソ連の存続の方向が示されている。そして、日独伊ソの提携による南北アメリカ大陸への米封じ込めの状態(参戟阻止)が含意されているのである。これはまた武藤自身の意図するところだった。

だが、この武藤の期待は、後述するように、日ソ中立条約締結のニ力月後、一九四一年六月の独ソ戦によって打ち破られることになる。

P.224~226

すべてはイギリス存続のため

なお、アメリカ政府は、一九四一年の初め頃には、日本外務省の最高機密暗号の解読に成功していた。そして、その暗号解読(「マジック情報」)から、七月二日御前会議決定「情勢の推移に伴う帝国国策要綱」の概要をつかんでいた。そこでの、「南進第一、状況良ければ北進、米独戦には自主的参戦」との内容を承知していたのである。

南部仏印進駐に対するアメリカの対日石油全面禁輸は、一般には日本のさらなる南方進出を抑制するためだったと理解されている。だが、それのみならず、北方での本格的な対ソ攻撃を阻止するためでもあったのである。もちろん、日本の北進抑制とともに南進抑制も対日全面禁輸の目的の一つだった。もし禁輸圧力によって南進も抑制されれば、それはそれで望ましいことだった。アメリカにとって、日本のさらなる南進は、東南アジアの英蘭植民地攻略を意味した。そのような事態になれば、日本の海軍力によって、アジア英領植民地、オーストラリアなどからのイギリスへの物資調達が遮断される可能性があった。

それはイギリスの対独継戦を困難にし、大英帝国の崩壊をももたらしかねない深刻な事態だと考えられていた。アメリカにとって、イギリスの崩壊は安全保障上絶対に阻止しなければならないことだったのである。

いずれにせよ、アメリカの対日石油全面禁輸と、その後の対日戦決意は、イギリスの存続のために行われたといえよう。

これ以後、武藤は、日米交渉による対米戦の回避に全力を傾けていく。「日米戦争は日本の自殺行為だ。あくまで外交交渉を成立させねばならぬ」、と彼は考えていた(武藤『比島から巣鴨へ」)。近い関係にあった矢次一夫も、「日米戦えば、いかに考えてみても、研究してみても、日本に勝目はない。どうしたら、戦わずに済むかと、このところ心肝を砕く思いをしている」との武藤の発言を聞いている(矢次『昭和動乱私史』下巻)。

他方、アメリカの全面禁輸によって、北方武力行使を延期せざるをえなくなった田中は、強硬に南方武力行使、対米英開戦を主張。武藤と激しく衝突することとなる。 なお、一般に、日米戦争は、中国市場の争奪をめぐる戦争だったと思われがちだが、それは正確ではない。実際は、イギリスとその植民地の帰趨をめぐって始められたのである。

事実、アメリカが中国を本格的に援助し、各種の対日制裁を実際に発動し始めるのは、 ドイツの対英攻撃が始まる一九四〇年からで、それまではある程度の借款による支援に止めていた。一九三〇年代後半までは、対日輸出額は対中輸出額の七倍前後を占め、日本との戦争を賭してまで中国市場を守ることは、アメリカ政府にとって考えられないことだったのだ。

たとえば、ジョンソン駐華米公使は、日中戦争中、「中国を武力で援助するようなことはしない」と、中国側に何度も伝えていた(福田『アメリカの対日参戰』)。

しかも当時日本の海軍力は米海軍を凌いでおり、日本に実力で対抗することは事実上困難だった。アメリカ国務省の対日強硬派ホーンベック極東部長も、アメリカは中国市場をめぐって日本と戦争する危険を冒すべきでないとのスタンスだった。

だが、その後ドイツのイギリス攻撃が本格化し、イギリス本土が危機に瀕してくると、アメリカは、日本を中国に釘付けにするため、中国の対日抗戦力を強化すべく重慶政府援助を本格化し(一億四五〇〇万ドルの借款供与)、対日経済制裁を強めていく。もし日本が中国を制覇すれば、ドイツに協力して、シンガボールをはじめ東南アジアその他の英領植民地への攻撃に向かう可能性が高く、植民地からの物資補給を断たれたイギリスは、ドイツの攻撃に耐えきれず敗北する懸念があったからである。アメリカが日独伊三国同盟の締結に神経をとがらせたのは、そのような背景があったからだった。  

P.318~319

そして、九月一一日、「半球防衛計画第一号」が、ルーズベルト大統領の(当該海域枢軸国艦船に対する)「発見次第発砲」命令として発動された。「半球防衛計画第一号」とは、米海軍の哨戒領域を西経二六度線以西まで拡張し、その海域への枢軸国艦船の侵入は武力攻撃を加えても阻止するというものだった(西経ニ六度線は、グリーンランド、アイスランド西端、 ボルトガル沖のアゾレス諸島を含む)。その実施は、四月初旬に検討されていたが、日ソ中立条約締結(四月一三日)の動きによって実行が延期されていた。それが独ソ戦開始後、ソ連の対独抗戦継続のなかで、実施されることになったのである。

また、九月一三日、スターク米海軍作戦部長は、米艦隊に英国船団護送の開始を命じ、 護送中に出会う枢軸側海空部隊を壊滅させるよう指示した。

アメリカからアイスランド間の英国輸送船団による対英援助ル—トの安全が確保され、イギリスの対独抗戦体制が整うこととなる。少なくとも翌年春までのイギリスの安定的存立は確実のものとなった。あとは独ソ7戦の動向にかかっていた。

また、これらのことはアメリカ政府の対独戦への積極的意思(「宣戦はしないが戦争はする」〔ルーズヴエルト〕)表出を意味し、米独間は事実上戰争状態に入ったとみなされた。

また、九月ニ五日、「米国総合生産必要量に関する陸海軍統合会議算定書」、いわゆる「勝利計画」が大統領に提出された。

9/3宮崎正弘メルマガ『嘘に嘘を重ねて膨らませてきた結果、何が本当なのか中国自身わからない

やはり詐欺の名人、中国の言うことを信用すると痛い目に遭うという事でしょう。AIIBの参加なんて、詐欺が分かっていて加盟するという愚かなことだと分かるでしょう。結局、日米の信用がなければうまく行くはずがないのです。それで習近平も反日だけでは如何ともし難いので、日本に擦り寄ってきて日本の金を何とか得ようとしています。10/31or11/1辺りで日中韓の首脳会談を韓国で開催とかニュースで流れていますが。

会談をするのは良いですが、くれぐれも騙されないように。民主党政権と違い、安倍政権ですから変な妥協はしないと思いますが。

外貨がカラは充分あり得るでしょう。中国の財務諸表は3通りあり、株主・銀行・監督官庁用とそれぞれ違った数字で提出されます。昔から数字の改竄はお手の物。ですから大躍進時に餓死者が沢山出たのです。軍事でなく、中国国民の福利充実に予算を回せばよいのにそれもしません。GDPの数字もいい加減でしょう。天津の大爆発の死者が150人(8/30日経)ということは考えられません。温州の新幹線事故の埋め立てと同じく、埋め立てて死者を少なくしていると思っています。千人単位で亡くなっているでしょう。

中国と取引の多い企業は逃げる準備を早くしておかないと。伊藤忠なんかはどうするんでしょうね。CITICに6000億円も投資して。焦げ付いたときに誰が責任を取るのでしょうか?ビジネス・ジャッジメント ルールで株主代表訴訟は無理かも知れませんが。伊藤忠の株を持っている人は売った方が良いでしょう。丹羽宇一郎というのは正真正銘の売国奴です。こんな人物を民主党は駐中国大使にするのですから。民主党の危険性を日本国民はもっと自覚しないと。

宮崎記事

小誌が屡々指摘してきたことだが、「世界一」の外貨準備高を誇る中国の化けの皮が剥がれた。

 「ある、ある」と豪語してきた世界一のドル資産が、一夜にしてブラックホールに吸い込まれたかのように消える。おこりうるシナリオである。

 なんでもあり、の中国だから、史上空前の詐欺行為が行われているとすれば、至極可能性の高いことになる。

 かねてより、CIA筋の調査で中国から流れ出した外貨が3兆800億ドルとされ、2015年6月末の中国の外貨準備が3兆6500億ドルだから、差し引きすると、中国の外貨準備の中味は、5700億ドルでしかない。

 これは単純な引き算で、もっと複雑な要素がからむが、要するに中国は嘘に嘘を重ねて膨らませてきた結果、何が本当なのか中国自身、わからない状態、これを「新常態」と言い換えているかのようである。

 第一にもっとも重要な外貨準備指標は「経常収支」であり、この数字をみると、中国の2015年三月まで一年間の統計は2148億ドル。ところが外貨準備は同期間に2632億ドル減少している。膨大な外貨が流失しているから、こういう数字の齟齬がおこると考えられるだろう。

 そこで嘘の上塗り、つまり架空の数字をつくりかえ、粉飾のうえに粉飾をおこなう。

そもそも「GDP世界第二位」というのは真っ赤な嘘である。GDPのなかで、「投資」が締める割合が48%、こういうことはどう考えてもあり得ない。

 シルクロード構想は財源が450億ドルである。ベネズエラに投資した額は450億ドル前後、アンゴラへの海底油田への投資は焦げ付いたという情報があり、リビアでは100本のプロジェクトが灰燼に帰した。以下、スリランカ、ジンバブエ、スーダン、ブラジル等々。

 世界中で中国が展開した世紀のプロジェクトの惨状である。

 豪、カナダ、ニュージーランドなどには鉄鉱石鉱区を買収し、開発していたが、鉄鋼不況に遭遇し、開発を中断した。こおあおりで豪ドル、カナダドル、NZドルが下落した。

 にもかかわらず、たとえば中国の2013年末の海外直接投資残高は6605億ドルだったが、15年3月には9858億ドルと急激な増加が見られる。

 2015年3月末の対外債務残高は直接投資が2兆7515億ドル、証券が9676億ドル。合計3兆7191億ドル。

 さて冒頭に述べたように中国の外貨準備が3兆6500億ドルとすれば、差し引きは、マイナス691億ドルである。マイナスである。

 この実態がごまかせたのは中国へ外国からの直接投資と証券投資だった。

 それが、上海株式暴落と、人民元切り下げ、不動産バブル壊滅を目撃して、一斉に海外へ引き揚げを始めたわけだ。

 「外貨準備高」というのは貿易ならびに貿易外収支を合算しての対外経常収支の黒字の累積である。

だから日本の外貨準備は2015年七月末で1兆2700億ドル、この殆どが米国債で保有しているため、金利収入で着実に増え続ける。

 ところが中国の「外貨準備」と称するものの統計は外貨資産と海外からの借り入れを「短期外貨資産」に参入しているフシが濃厚なのである。お得意の誤魔化し、要するに借入金を「収入」蘭に記載しているのである。

 日本の対外純資産に対しての外貨準備高比率は16%だが、中国のそれは59%(数字はいずれも武者陵司氏(JBプレス、9月2日)。つまり史上空前のネズミ講のからくりが、数字から推測できる。

 どう考えても次は人民元の大暴落だろう。

田村記事

Cina central bank

 上海株は下落基調が収まらない。以前から指摘しているように、党主導で図体だけを膨張させた異形の市場経済を党が制御できなくなったのだ。

 ところが、日本のメディアでは、中国を西側の市場経済国家同然に見立て、やれ金利を下げれば景気が上向くとか、元安で輸出が増えるなどという楽観論がまかり通る。中国では経済学の教科書に書かれているような処方箋は通用しないのだ。

 金融政策を例にとろう。利下げは一般的に「金融緩和策」と呼ばれる。ところが、中国は金利を下げると量的側面で金融引き締めが進む。

 グラフは中国人民銀行が発行する資金量(マネタリーベース)をドルに換算し、米連邦準備制度理事会(FRB)のそれと対比させている。2008年9月のリーマン・ショック後、どれだけ増えてきたかを、中国の外貨準備と合わせて追っている。

 FRBは3度にわたる量的緩和策でドル資金発行量をリーマン前に比べて4倍増やしたが、人民銀行はドル増加量にぴったり合わせて元資金を増量してきたことが読み取れる。

 人民銀行はやみくもに元資金を発行するわけではない。流入する外貨を買い上げては元を市場に流し込む。元発行残高の約8割はドルを中心とする外貨の裏付けがある。2000年代初めはその比率が40%弱だったのだが、リーマン後に急上昇した。言い換えると、中国はドルの大増刷のおかげで元を米国並みの規模で刷り、不動産開発部門などに流し込んで投資主導型の高度成長を実現した。

ところが、12年から13年にかけて中国の不動産市場はバブル崩壊して不振に陥り、14年初めからは国内資金や流入していた外貨が流出し始めた。貿易黒字は続いていても、外貨準備は増えなくなった。そうなると、人民銀行は元資金を増発しにくくなる。

 そこで、習近平政権は党、政府総ぐるみで株価押し上げ政策を打ち出し、株式市場に国内や海外の資金を引きつけようとした。14年10月に米国が量的緩和政策を打ち切ると、中国を含む新興国市場から資金が米国に逆流する傾向が強まるので、習政権は上海株価引き上げにますます躍起となったが、6月中旬、暴落が始まった。

 株価下落とともに、資金流出に加速がかかる。景気悪化も止まらない。そこで人民銀行はそれまでの利下げに加えて8月11日に元を切り下げ、輸出のてこ入れを図ったが、米国は9月にも利上げする動きを見せたので、元資金の流出がますます激しくなった。

 人民銀行は外貨準備を取り崩して元を買い上げるしかない。その結果、元の資金量は急減するという具合である。8月25日には追加利下げに踏み切ったが、資金流出を助長し、株安も止まらない。金融の量的縮小圧力がますます高まる。中国の通貨・金融政策はことごとく裏目に出るのだ。党が株式や外国為替など金融市場を支配する体制のもとでは、中国経済は悪循環から抜け出られないだろう。

9/2日経ビジネスオンライン 福島香織『異例づくめの習近平的「大閲兵式」 すべては「正統性」確立のために』9/4日経『権力闘争 なお火種 江沢民氏、1年ぶり公の場に』『中国、高揚感なき国威発揚 戦勝70年軍事パレード 想定超す経済減速・日米欧首脳は不在』について

寂しいパレードだったと思います。欧米日とも参加せずでしたから。愚昧な村山元首相は体調不良で北京の病院に入院とのこと。天の怒りに触れたのでしょう。参加国も31ケ国(元首・首脳クラス)と寂しい状態。AIIBのときは57ケ国もはせ参じたというのに。5/9ロシアの対独勝利70周年の軍事パレードも20ケ国と寂しかったです。如何に人権抑圧国家は人気がないかという事です。今度の中国の場合でも、参加国は人権抑圧している国ばかりと言う感じです。仏教国のスリランカも参加を見送りました。賢明な行動です。

台湾の連戦元国民党主席が参加したことに馬総統も「遺憾」の意を表明、連戦の随行員は帰国時に台湾団結連盟の人から抗議の靴投げに合いました。郝柏村(中華民国参謀総長、元行政院院長)は国民党老兵に「参加は許さず。参加したら年金を取り上げるぞ」と脅したと宮崎正弘氏のメルマガにありましたし、中国時報には「リーダーは蒋介石だけで他にはいない。(=抗日を主導したのは共産党の毛沢東ではない)。歴史は歴史。変えることはできない」とありました。老兵がどの程度参加したかどうかは分かりません。

江&曽慶紅も胡も参加したのは手打ちが行われたのでしょうか?それとも一時休戦? 9/3香港紙『明報』は、「習近平の軍権掌握ならびに指導者として揺るぎない地位を確保したことを意味するセレモニーとなった。まさに習近平時代が到来したことを明確に告げる式典だった」と分析しました。本当に軍権が確立したかどうかは日経記事にあるようにまだ懐疑的な見方をしておく方が良いのでは。権力闘争は続いて行くでしょう。江派を潰した後は団派が待っていますので。胡は江に怨みがあるので上海派潰しには協力しますが、自派を標的にされたら死に物狂いで抵抗するでしょうから。また、令完成の2700件の米国内にあるデータがどういう形でリークされるかです。インターネット時代ですから、中国国内は遮断できても諸外国では見れるのでクチコミで中国内にも流れますので。

日経記事

xi & jiang

権力闘争 なお火種 江沢民氏、1年ぶり公の場に

軍事パレードの開始直前、天安門の楼閣上に89歳になった江沢民元国家主席が姿を現すと、階下の参観席がどよめいた。江氏が公式の場に現れたのは約1年ぶりだった。

左は記念行事に出席した習近平国家主席(左)と江沢民元国家主席(3日、北京の天安門)=共同

 反腐敗を掲げる習近平国家主席は、江氏に近い周永康・前政治局常務委員や、軍の元制服組トップ2人を次々に摘発した。この夏、北京での要人らの葬儀では、他の長老と違って江氏だけ姿を現さず、地方から花輪を送るケースが続いた。

 共産党機関紙、人民日報も、江氏の院政批判と見られる文章を堂々と掲載し、話題をさらった。中国の政界では「メンツを潰された江氏は軍事パレードを欠席しかねない」「身辺に異変があるか、体調が優れないのでは……」といった臆測が広がっていた。

 ところが、江氏は極めて元気な姿で習氏の左隣に陣取った。習氏がにこやかに江氏に語りかける場面さえあった。

 江氏、胡錦濤前国家主席らトップ経験者が軍事パレードのような重要行事に出席するのは共産党の伝統である。だが、習体制ではその常識が通用しない。聖域と見られていた最高指導部経験者でも突然、摘発される。

 習氏への権力の一極集中は、国営中央テレビの中継でも明らかだった。映像は、習主席と、隣の江氏を同じ画面で映すのをあえて避けた。

 習氏は1人だけの映像か、右隣のプーチン・ロシア大統領とのツーショットに。権力を固めた習氏を江氏と格の違うトップとして扱ったのだ。1999年、2009年の軍事パレードとの大きな違いだった。

 反腐敗を巡る習氏と長老らの暗闘には第2幕があるのか。高齢の江氏は確かに不利だが、経済界を中心にその影響力は侮れない。経済の先行き不透明、天津での大爆発……。相次ぐ大事件により、権力闘争の構図、力関係は変わりうる。

 2017年の次期最高指導部人事まで2年もある。何が起きるかわからない。

(北京=編集委員 中沢克二)」

中国、高揚感なき国威発揚 戦勝70年軍事パレード 想定超す経済減速・日米欧首脳は不在

【北京=山田周平】中国の習近平指導部は3日、2015年最大の政治イベントと位置づけてきた「抗日戦争・反ファシズム戦争勝利70年」の記念式典を開いた。北京では午前の軍事パレードの後も終日、祝賀行事が続いた。華やかな式典の裏では、力のよりどころだった経済に陰りがみえる。どこか高揚感の乏しい国威発揚の場となった。

 式典ではパレードに続き、人民大会堂で昼食会を開いた。ロシアのプーチン大統領ら約800人の出席者を前に、習主席があいさつした。

 「侵略戦争以降に生まれた人であっても、歴史の教訓を心に刻まねばならない」。安倍晋三首相が戦後70年談話で「戦争に関わりのない世代に謝罪を続ける宿命を背負わせてはならない」と述べたことを暗に批判した。

 夜には人民大会堂で日中戦争をテーマとした観劇会を開催。官営メディアは終日、一連のイベントの成功をたたえる報道を続けた。

 冷静に見れば習指導部の意図が空回りしている感は否めない。第2次大戦に勝って国連の常任理事国となった五大国のうち、式典に首脳を送ったのはロシアだけだった。

 安倍首相ら日米欧の首脳は、中国の軍事力への警戒感などから出席を見送り。戦争犯罪などで国際刑事裁判所(ICC)から逮捕状が出ているスーダンのバシル大統領を含め、共産党一党支配の価値観に賛同する首脳ばかりが集う場となった。

 習指導部が式典の準備に専念してきたこの半年間、国力の裏付けとなる経済は想定を超す減速に見舞われた。中国株は上海総合指数が直近の6月中旬の高値から4割近く下げ、ネット上には「式典を開く金があるなら救済してくれ」との投資家の恨み節が残る。

 官製の株価対策が不発なまま、8月中旬には人民元を十分な説明なく切り下げ、世界的な連鎖株安を招いた。しかし習主席は3日の演説で、経済について何のメッセージも発しなかった。人民元切り下げの直後には、天津市の港湾部で大爆発が起きた。責任者の身柄は拘束されたものの、爆発の原因や有害物質の拡散の実情は不明なままだ。

 習指導部は一方で2日夜以降、パレードのため北京の中心部を事実上封鎖した。世界2位の経済大国が自らの意志で首都機能をマヒさせ、カップ麺を大量に買い込む市民を生み出す様子には滑稽ささえ漂う。

 在北京の金融筋は式典について「3連休になったので、株価下落や経済指標の発表に一喜一憂しなくて済んだ」と冷ややかだ。宴(うたげ)の熱が冷め、株式市場が再開する7日以降、中国経済は再び世界の厳しい視線にさらされる。」

福島記事

 9月3日は抗日戦争反ファシスト戦勝記念日で国が定めた祝日である。今年は70周年ということで、習近平政権初の大閲兵式が行われる。私は残念ながら当日東京で仕事が入っており、現地でこれを見ることはできないのだが、どうせ北京に行っても、ジャーナリストビザもない私は式典場に近づくこともできない。

 2009年の胡錦濤政権時代の大閲兵式のときは、北京で何とか潜り込もうといろいろ画策したのだが、蟻一匹入り込むスキがなく、大望路付近まで下がって、閲兵式が終わった後に、戦車がぞろぞろと引き上げる様子を、友人のマンションの敷地からちらりと見ることができただけだった。だが、そのマンションも家賃が値上がりして、友人たちは引っ越してしまった。CCTVやフェニックスの中継を見るだけなら、日本でも見ることができるので、そうすることにする。

 そこで、私と同様、日本でテレビ中継で大閲兵式を見る人たちのために、この大閲兵式の意味、意義について改めて考えてみたい。

最新型84%、規模は胡錦濤時代の5割増

 大閲兵式は9月3日午前10時(北京時間)、天安門広場での閲兵昇旗からスタート。約70分の予定。中国人民共和国建国以来15回目の大閲兵式である。CCTV1、CCTV7、北京衛星テレビおよび主流ネットメディアで中継される。現場は厳しく統制されており、基本、招待客以外は二環路以内に入ることも難しいだろう。近くのマンション、オフィスビルもカーテンを開けることすら禁止されている。また、勝手にスマートフォンなどで写真をアップすることも禁止という。テレビやネットで見るのが確実だ。

 56の民族を意味する56の礼砲のあと、戦勝記念70周年を示す70回の礼砲を行う。

 50の部隊を含む1万2000人および500台の兵器、200機の軍用機が参加する。兵器・軍用機の84%は初披露される最新型のもので、空母艦載機・殲15戦闘機や武直-10攻撃ヘリや携帯多頭型核弾頭を搭載した東風41弾道ミサイルなど7種類のミサイルも披露される。胡錦濤政権時代の大閲兵式よりも5割増しの大規模なものだと言われている。

 今回の大閲兵式で特に異例なのは、国民党老兵、外国軍の参加と海外賓客の多さである。

 これは、従来の大閲兵式と、目的が少し違うからだろう。大閲兵式は何のためにやるか。一般には国威発揚、愛国心高揚、政権・軍権掌握のアピールである。毛沢東以来、大閲兵式は国慶節・建国記念日の10月1日に行われるものだった。しかも、江沢民も胡錦濤も政権の2期目、つまり権力基盤の比較的安定した後、建国50周年、60周年という節目に行ったのだった。2期にわたる政権運営の仕上げとして行ったのだ。

 今回は共産党史上初めて抗日・反ファシスト戦勝記念日の9月3日に行われる。この抗日・反ファシスト戦勝記念日を国の祝日に制定したのは習近平である。習近平政権は政権発足後わずか3年目、権力闘争がまさしく佳境に入っており、経済上も社会治安上も決して安定期とはいえないタイミングで、焦るように急に大閲兵式計画が決定され、実行されたのである。その意味は何だろうか。

国民党老兵と外国軍、異例の参加

 例えば国営通信新華社はこう論評している。

 「今回の閲兵は中国の抗戦精神の高揚、自信の増強、そして国際社会とともに世界平和を守っていく決心を示している。また最初の戦勝記念という以外に、多くの先駆的な試みを行っている。まず、初めて外国の軍隊が参加する。次に(八路軍の)英雄模範部隊の名を冠した小隊が閲兵を受ける。また共産党と国民党の抗戦老兵たちが初めて一緒に閲兵に参加する。

 中国国家安全論壇の副秘書長の彭光謙少将によれば、今回の閲兵の意義は中国が抗戦中、風化することのない貢献があったことを示し、全民族が異なる政治パワーを認め合い、国際社会においてともに世界平和を守る決心を明らかにするものであるという。

 またこの閲兵のテーマは、抗戦の偉大な勝利を紀念し、抗戦の偉大な精神を高揚し、民族の偉大な復興を実現することである。

 この論評を普通に読み解けば、今回の閲兵式は、従来の国威発揚、愛国心高揚、軍権掌握アピールとは別に、中国が第二次大戦の戦勝国であることを国際社会に認めさせるための舞台であり、日本が第二次大戦後の国際秩序に対する挑戦者だと印象付けるための演出もあるといえる。つまり、習近平は中国共産党正史としての歴史認識を、この大閲兵式で改めて国内外に喧伝することが大きな目的、ということになる。

「当時は共産党、国民党、日本人の三つ巴」

 言う間でもなく、第二次大戦終戦当時、まだ中国人民共和国は誕生していない。日中戦争で旧日本軍が戦った相手は国民党軍であり、新華社の論評で名前が出ていた張自忠も国軍の勇将として知られている。

 在米華人歴史学者の謝幼田の著作『中共壮大的謎』によれば、毛沢東は日本軍が国民党勢力を削いでくれることを期待して抗日戦はむしろ傍観を決め込んでいた。共産党勢力拡大に7割の力を注いで「(力の)10%は日本と戦うこと」という指示を出していたという。

 百団大戦が唯一の共産党がしかけた対日戦闘だが、それですら、党中央(毛沢東)の指示を受けずに八路軍が勝手に起こした戦闘として、党中央から厳しい批判を受けていた。八路軍副司令であった彭徳懐が後に失脚する際、百団大戦が「反毛主席」の行為として罪状の一つに挙げられたという。毛沢東が廬山会議で「当時は共産党、国民党、日本人が三つ巴になっていたが、我々は国民党と日本人を戦わせることで、壮大な発展を遂げることができた」と赤裸々に語ったことは結構知られた話でもある。

 そういう面から考えても、共産党が抗日戦争で主役ぶるのは、本当ならばあまりに厚顔である。ましてや国民党老兵を招いて、北京で共産党中央総書記にして共産党中央軍事委主席が閲兵するというのは、国民党側にすれば恩給取り消しに相当する寝返り行為だろう。しかし、連戦国民党名誉主席自身がのこのこと北京の式典に参加する。これは中国共産党の歴史の政治利用のうまさと言える。

 ある歩兵戦車小隊の兵士は言う。『抗戦に関して、私が感動し尊敬する人は多い。例えば張自忠(国民党軍陸軍上将、棗宜会戦=宜昌作戦で戦死した。その勇将ぶりは日本軍も感嘆していた)。中国は劣る武器装備で、多くの犠牲者を出しながらも、当初は敵を圧倒した』。

 彭光謙によると、抗日戦争勝利における現実的な意義がある。つまり、第二次大戦後の70年、日本はずっと戦争の侵略性を否定しており、国連を主導とした国際秩序に挑戦し続けている」。

 話がそれるが、この閲兵式に合わせて封切られる歴史映画「カイロ宣言」(八一電影制作、温徳光・胡明鋼監督)のポスターや予告編で毛沢東が主役風に登場していたことに、中国国内の一般ネットユーザーから歴史の改ざんではないか、と批判が集まっていた。

カイロ会議に毛沢東??

 1943年11月にエジプト・カイロでルーズベルト米大統領とチャーチル英首相と蒋介石中国国民政府主席によって対日方針が話し合われたカイロ会談を受けての宣言である。これには毛沢東も共産党も関係ない。人民日報系タブロイド紙の環球時報までが「映画のポスターで毛沢東を突出させているのは不適切、人を困惑、心配させる」「こんなポスターでは、まるで毛沢東がカイロ会談に出席して蒋介石が出席しなかったとネットユーザーが誤解する」「宣伝は、最低、実事求是でなければならない」と懸念を示した。

 さすがに映画では、毛沢東がカイロ会談に参加するという歴史捏造シーンは無いらしく、監督の一人がフェニックステレビの記者に「(歴史を捏造するほど)そこまで恥知らずじゃないです」と弁明、十数枚のポスターの中でメディア向けに選んだ4枚の宣伝ポスターに毛沢東を含めたことについては「考えが足りなかった」と反省を述べた。

 映画の件は、ちょっとあからさますぎて、国内からも批判を浴びたが、史実以上に中国共産党の役割を誇張喧伝して、執政党としての正統性を国内外に訴える政治宣伝が習近平政権にとってことのほか重要なのである。それは中国共産党の正統性というものに陰りが出ているということをヒシヒシと感じているからではないか。

 建国者としての圧倒的カリスマを持ちえた毛沢東、中国人民を富ませた鄧小平、その鄧小平から後継者指名を受けた江沢民、胡錦濤と比べると、独裁化を急激に進めている習近平の足元は、経済が悪化、社会の不安定化でむしろ揺らいでいる。そこで切り札になるのが、抗日戦争に勝利した党という肩書きの国際社会からのエンドースなのだ。

 私が関係者周辺から聞いた限りでは、抗日戦勝記念日に閲兵式を行うというアイデアは習近平が言いだしたのだという。当初、党中央ではこれに鼻白む反応が多かった。政権発足3年目で政治成果もろくに出していないうちに、大費用をかけて大閲兵式をやるのは早すぎる、と。

 だがこの時、習近平は、ライバル視する大国、米大統領を大閲兵式に招く意義を訴えて周囲を説得したという。だが、オバマサイドは最初の打診で早々に出席しない意向を伝え、習近平は慌てて、訪米日程を9月に入れてもらったらしい。実際のところは米大統領招待工作に失敗したのだが、9月に習近平が訪米して会談する予定があるので、あえてオバマを招待しなかった、というポーズをつけるためだったという。

「正史」確立、対外アピールに全力

 以前、このコラムでも紹介したとおり、習近平政権の発足当初は「戦後国際秩序に挑戦する軍国主義が台頭する日本」というイメージを国際社会に訴えて、日米離反を画策するという青写真を描いていたとみられる。結局、中国側の米国に対する対等意識がむしろ米国の警戒感を招いて、日米関係が緊密化することになった。

 大閲兵式には米国だけでなく、日本を含め、西側先進国の現役首脳は出席しない。しかし、ロシア大統領・プーチン、韓国大統領・朴槿恵および上海協力機構加盟国、ASEAN加盟国の約半分、アフリカ諸国などの49カ国首脳が出席し、国連事務局長・潘基文が参加する。習近平政権としてはかなり面目が立ったことだったろう。このほか英国元首相のブレア、ドイツの元首相・シュレーダー、日本の元首相・村山富市が出席するそうだ。

 このように見れば、習近平政権の大閲兵式は、中国の「正史」確立のための重要イベントと位置付けられるだろう。中国では歴史・国史とは、国家の正統性、正しさを裏付けるための学問である。本来、王朝ごとに別の国と言ってよい中国だが、連綿と4000年の歴史を受け継いでいるように正史を編纂してきた。抗日戦争の真の勝者である国民党から、その勝利の果実を正統に受け継ぐものとしての共産党の歴史を国際社会に承認させることが今の正史編纂に最も必要なことなのである。そのために国家の非正統性の根拠となる事実は封印し、あるいは証拠隠滅を図り、改ざんし、それを対外的にアピールするのは当然といえよう。

 ところで、日本人の考える歴史というものは、中国とはずいぶん違う。主流、非主流はあるがあくまでアカデミズムの世界で、国家の正統性を裏付けるための正史編纂事業というものがない。

 そもそも学者たちは、歴史を政治に利用するということ自体に疚しさを感じるのではないか。特にあまりに巨大な犠牲を払った第二次大戦の歴史は、政治に利用するどころか、歴史的事実に向き合うことすら回避して、ひたすら哀悼、反省の思いに浸る人が圧倒的に多かった。そのことが、他国の「正史」に利用される隙を作ったとも言える。

歴史に客観的に向き合う意義

 だが中国の歴史の政治利用のうまさを見習えとは思わない。歴史を研究することの国家にとっての本当の意義は、国家の運営における難問や課題に直面したとき、先人たちがどういう判断をし、そしてどういう結果を招いたかを参考にできるという一点にある。

 そう考えると、8月15日の安倍晋三の歴史談話は、日本が不幸な戦争にいたるまでの客観的な流れを踏まえたうえでの不戦の誓いを言っており、説得力があったのではないか。政治利用でもなく哀悼・反省に浸るだけでもなく、客観的に歴史に向き合う姿勢が示せた。

 さて、9月3日には、習近平も重要講話を披露するそうだ。おそらく戦争に対する歴史認識が盛り込まれているだろうが、どちらが国際社会に対して訴求力を持つか、よく聴き比べたい。

9/1JBプレス 古森義久『十字架を次々撤去、キリスト教を目の敵にする中国 習近平訪米を前にして中国の宗教弾圧に米国で非難轟々』について

ラルフ・タウンゼントの『暗黒大陸中国の真実』には1930年代の中国の様子が生き生きと書かれています。中国人の土地所有概念の希薄さ(人のものは俺のもの)、米宣教師も中国人から虐殺・放火があっても米本土の寄付金が減らされるのを嫌がって正確な報告をしなかったと書かれていたと記憶します。蒋介石も宋美齢も中国は人口が多いので皆クリスチャンになると信徒数が大幅に増えると米国に思わせ幻惑させました。中国は今でも拝金教が主流です。

キリスト教徒だけでなく、法輪功、チベット仏教、イスラム教に対する弾圧も相当なものです。中国こそが“rogue nation”ではと思ってしまいます。欧米、日本が中国に経済的・技術的に支援してきたことが、世界に悪をはびこらしてきた大きな要因です。そもそも「社会主義市場経済」と言うのが論理矛盾です。市場経済は私有財産制、自由な契約、価格競争を前提とするのに対し、社会主義は生産手段の共有、計画経済を意味します。市場経済のいいとこどりだけして、政治の自由化を進めないのはいびつであり、奇形としか言いようがありません。今の中国の状況はその咎めが出ているのだと思います。

軍拡して世界制覇の野望を持つ悪の帝国中国の経済を崩壊させねばなりません。経済が苦しくなろうとも、株価が下がろうともここは耐え切らないといけません。戦争するのが嫌であれば、そう考えるのが普通でしょう。国会にデモしている人に言いたい。中国に行って、声を大にして「侵略を止めろ」と言ってほしい。それが言えないというのであれば内弁慶の臆病者(ガキと一緒)か、共産党・左翼の信者かシンパでしょう。実際、それをすれば捕まって牢獄行きか強制送還かどちらかでしょうけど。

記事

中国の習近平政権の人権弾圧はとどまるところを知らないようだ。

 米国では、中国政府の人権弾圧を理由に、各方面から習主席の9月の訪米に非難が浴びせられるようになった。特に共産党政権によるキリスト教徒への組織的な弾圧に対する反発が強いようである。

「中国当局は浙江省だけで、この1年半に合計1500本以上のキリスト教会の十字架を破壊し、撤去しました。その暴挙に反対するキリスト教信徒たちが次々と逮捕されています。習近平政権の異常なキリスト教弾圧の一環なのです」

 中国でキリスト教徒を擁護する国際人権団体「中国援助協会」のボブ・フー(中国名・傳希秋)会長が熱を込めて証言した。

 米国の「中国に関する議会・政府委員会」が7月下旬にワシントンで開いた公聴会での証言である。この委員会は、立法府と行政府が合同で中国の人権や社会の状況を調べ、米側の対中政策の指針とすることを目的とした組織である。

米国連邦議会の内部で開かれたこの公聴会は「習近平の中国での弾圧と支配」と題され、中国政府による宗教や信仰に対する弾圧を報告していた。米国の国政の場で、習政権の人権弾圧への非難が一段と高まってきているのである。

暴君ネロを思わせるようなキリスト教弾圧

 この公聴会では、チベット民族、ウイグル民族、気功集団に対する当局の大規模かつ容赦のない弾圧行動が詳しく報告された。それぞれの被害者たちの代表が登場し、弾圧の実態を証言した(その証言の内容は本コラムでも報告してきた)。

 それら各方面に対する弾圧のなかで特に強い関心が向けられたのが、キリスト教への仮借のない抑圧である。米国は基本的にキリスト教徒の国である。そのため、その種の弾圧はたとえ中国の国内での出来事であっても、米国の議会はもちろん国民一般にも深刻に受け止められる。

 中国における現在のキリスト教弾圧は、ローマ帝国の暴君ネロのキリスト教迫害をも思わせるほどのひどさだと言ってよい。

 大手紙「ニューヨーク・タイムズ」(8月11日付)も、中国当局がキリスト教会十字架を撤去したことについて「教会の十字架を撤去する中国当局の試みが反発を招いている」との見出しの記事で詳しく報道した。中国政府がキリスト教のすべての教会の十字架を撤去するという新方針を打ち出し、実行し始めた、という現状を伝える記事だった。

「中国に関する議会・政府委員会」の共同議長を務める共和党のマルコ・ルビオ上院議員も、公聴会の冒頭で「今、習近平政権は文化大革命以来の最も苛酷な弾圧を実行している」と強調した。

 ルビオ議員は上院外交委員会の有力メンバーで、来年の大統領選に向けて立候補した注目度の高い政治家である。特に尖閣問題については、ルビオ議員は一貫して「尖閣諸島は日本に帰属し、中国の行動は侵略に等しい」と述べている。

当局公認の教会も十字架を破壊

 フー会長はさらに証言を続けた。

「中国当局は『家庭教会』と呼ばれる非公認のキリスト教会を邪教と断じ、信者の多い浙江省内だけでもここ1年半に50の教会を破壊し、信者1300人を逮捕しました。当局は、特に信仰のシンボルとなる十字架の破壊を頻繁に行っています」

 フー会長の証言によると、中国政府は共産党の無神論に基づく宗教弾圧だけでなく、キリスト教の外国との絆を敵視して抑圧を強化し始めたという。

 中国には、当局が公認するキリスト教組織として「三自愛国教会」や「天主教愛国会」がある。その信徒は2000万人強とされる。それ以外に5000万~1億人ほどが当局の禁じる家庭教会(地下教会)の信者だと見られている。沿岸部の浙江省には特に信者が多い。

 最近は家庭協会だけではなく、当局公認の教会も十字架が破壊されるようになり、キリスト教信者の心配が高まっている。教会は、尖塔の上に十字架を掲げることが禁止され、建物前面の最上部ではない壁に十字架を埋め込むことを命じられるようになった。それに反対する牧師や信徒は即座に拘束されるという。

一方で“ファシズムに対する勝利”を宣伝

 こうした現状を証言したフー氏は、中国の山東省生まれの中国人である。大学生時代の1980年代にキリスト教に入信した。民主化運動にも関わり、天安門事件にも参加した。90年代には中国国内でキリスト教の布教に従事して弾圧され、亡命の形で米国に渡る。そして2002年に「中国支援協会」というキリスト教支援組織を創設し、中国にいる信者たちと密接に連携しながら活動してきた。現在は米国籍である。

 フー氏は、公聴会に並んだ上下両院議員や政府代表に対して、中国政府に人権弾圧をやめさせることを対中政策の中心とするよう迫った。さらに、9月に予定される習主席の米国公式訪問も、中国の人権政策の修正を前提条件につけることを求めた。

 中国当局は9月3日に「抗日戦争勝利」を祝い、“ファシズムに対する勝利”を大々的に宣伝するという。だが、ファシズム政権でもこれほどひどくはなかった宗教や信仰の抑圧を現在の中国共産党政権が実行している事実は、改めて銘記されるべきであろう。

9/1遠藤健太郎オフィシャルブログ『プーチンは安倍に会いたい』について

遠藤健太郎氏は一般社団法人日本政策協会理事長で真正保守政策研究所代表です。遠藤氏の情報がどの程度信憑性のあるものなのか分かりません。プーチン、メドヴェージェフ、ロゴージン3人がそれぞれ役割分担して演じている可能性もあるからです。デイスインフォメーションには注意しないと。ただ、中国の封じ込めにはルトワックが言っていますようにロシアを味方につけられるかどうかにかかってきます。原油価格も100$を超えることはないし、イラン制裁が解除されれば供給が増え、価格は下がります。中国需要も減るばかりです。8/28ZAKZAKの産経新聞田村秀男のデータを見ると李克強首相の信頼する鉄道貨物輸送量が12年比で▲7%、商品価格は▲50%と大幅減です。

http://www.zakzak.co.jp/economy/ecn-news/photos/20150828/ecn1508281550005-p1.htm

高橋洋一も同じくZAKZAKで▲3%成長と言っています。金融をいくらいじくりまわしても実体経済が悪すぎですから、当分日本経済も悪くなりますが、新興国の方が影響が大きいでしょう。

http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20150901/dms1509010830005-n2.htm

ロシアは日本の資金と技術を欲しがっているのは間違いありません。中国が買うと言った原油やガスも当てになりません。韓国は中国と心中するつもりですので中国以上に当てになりません。北朝鮮は援助を欲しがっている国でハナから相手になりません。欧米が制裁を続ける中で、頼れるのは日本しかないのです。

領土問題も拉致問題も解決できれば良いですが焦りは禁物です。特に米国のスタンスが重要です。アメリカが真の敵は中国だと理解して初めて交渉できます。悲しいかな、それが現実でしょう。

今、川田稔の『日本陸軍全史3 太平洋戦争』を読んでいますが、イデオロギーに染まらず、陸軍を持ち上げることもなく、淡々とした筆致で事実を基に書かれています。良書と思います。その中で戦争直前の陸軍首脳部は世界を独伊が欧州を、ソ連がソ連周辺を、日本がアジアを、アメリカがアメリカ大陸を経済圏とする構想でした。大東亜共栄圏は国防国家建設、アウタルキー形成に必要だったという事でしょう。三国同盟にソ連も入れて英米に対抗するつもりでしたが(それで終戦真近にソ連の仲介を得ようとしたのだと思います)、独ソ不可侵条約があったにも拘らず、独ソで戦争も始まり、うまく行きませんでした。日本も松岡洋右が日ソ中立条約を結びましたが、陸軍の田中新一作戦部長は関東軍特別演習をして機が至れば条約に関係なく侵攻するつもりでした。北進と南進と2正面作戦でしたが、武藤章軍務局長は独ソ戦は長期戦になるとの観点から北進には慎重でした。武藤章は石原莞爾の不拡大方針に反対して、中国に攻め入りました。盧溝橋事件の時に、武藤は石原に「石原さん、なにをおっしやるんですか。私は、あなたが満州事変の柳条湖事件の時にやられたことと同じことをやっているんですよ」と言って。でも盧溝橋事件は日本陸軍と国民党を戦わせるように共産党の劉少奇が指示して発砲させたものです。

ソ連が日ソ中立条約を破ったと日本人は怒りますが、日本も当時は隙あらばだったのです。それが現実だったという事でしょう。領土交渉は現実的にならざるを得ませんし、拉致もロシアの圧力で北がどの程度動くかです。

the number of railway freight transportation

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

記事

http://www.jiji.com/jc/zc?k=201508/2015082800561

▲時事通信:プーチン支持率、低下の兆し=北方領土利用、対日関係に影響-ロシア

 私がかつて「いわゆる先進国の中で政権基盤が盤石なのは、独国のアンゲラ・メルケル首相、露国のウラジーミル・プーチン大統領とわが国の安倍晋三首相ぐらいのものだ」と指摘した際、少なからず「ウクライナ問題が発生したため、プーチン大統領はここに入らないのでは」というご意見を伺いましたが、プーチン大統領の支持率が八十%越えだったことをその方はご存じなかったようです。

 時事通信社配信記事では、わずかに支持率が下がったこととドミートリー・メドヴェージェフ首相による八月二十二日の北海道択捉島への再上陸を結びつけ、支持率低下が対日政策に与える悪影響を懸念しています。

 現に政府主催の愛国集会「全ロシア青年教育フォーラム」が、日露講和未締結のために未だ日本に領土帰属のある通称「北方領土」内で開かれたのは初めてでした。

 また、ドミトリー・ロゴージン副首相が「日本人なら伝統に従ってハラキリし、おとなしくすべきだ」などと日本政府の抗議に暴言で返したため、これこそわが国の対露政策に与える悪影響は甚大です。

 この事案を取り上げるべく本日まで時間を要したのは情報の確認のためですが、まずプーチン大統領は自ら北方領土へ上陸するつもりがないこと、メドヴェージェフ首相との関係はその緊密さを白じらしいパフォーマンス(先日は筋力トレーニングを二人でするなど)でアピールしなければならないほど今なおよくないこと、プーチン大統領が祝電を打ったのは恒例のフォーラムに対してであってメドヴェージェフ首相が択捉島に上陸したことは無関係である、とのことでした。

 プーチン大統領が首相時代、当時のメドヴェージェフ大統領が北方領土へ入ったことを不快に思ったという話はずいぶん前に聞きましたが、彼は愛国心の鼓舞という目的では「短絡的な政治判断しかできない政治家をうまく利用している」とも聞きます。

 露国の内需回復策が苦しいのは通信社配信記事にもある通りで、プーチン大統領が支持率回復を狙うなら、日露の経済交流を講和(日露平和条約)締結によって一気に活性化させようとするのは間違いありません。

 米政府と足並みをそろえる安倍首相に対し、日露交渉へと引っ張り込むための牽制を続ける方針に変わりがないことを確認しました。プーチン大統領はまだ安倍首相のことを諦めていないのです。

 やはりプーチン大統領のうちに領土問題を解決しなければ、彼以外の政治家はまるで大したことがなく、安倍首相は一刻も早く「対露制裁維持の要求」を振り払って日露首脳会談を決めなくてはなりません。このままでは北朝鮮が起こした拉致事件も北方領土問題も何一つ解決できなかった首相で終わるのです。

8/29BLOGOS the page『韓国・朴大統領の軍事パレード出席どう見るか 早稲田大学・重村教授に聞く』について

重村智計教授をWikiで調べるとシエル石油を2年で辞め、毎日新聞社入社とありました。生まれが中国遼寧省丹東ですから鴨緑江を挟んで北朝鮮の対岸となります。韓国総監府(後の朝鮮総督府)の鉄道局がかけた橋(1909年)は朝鮮戦争時に米軍によって一部爆破され、使えませんがまだ残っています。それで朝鮮半島と関わることにしたのかもしれません。

毎日新聞出身ですから朝日と同じく、朝鮮半島に有利な筆運びをする可能性もあるのではと思っています。2006年に出した『外交敗北』を読んだ時に違和感が残った記憶があります。多分外務省主導の日朝交渉を評価してなかったせいではないかと思います。でもその結果拉致を認め、5人が還って来、国民に共産主義、朝鮮半島の実態が明らかになったのだから、結果としては「外交敗北」ではありません。外務省の田中均などは自分の出世のために平気で国を売る輩です。小生は外務省を評価しませんが、中山恭子現次世代党首や安倍晋三現首相の頑張りで拉致被害者を返さなくて済んだわけですから。大きな目で見て国家意思が働いたわけです。田中均なんて人非人です。自分の子供が拉致されていて返すなんて言えますか?福田康夫も似たようなものです。それと小泉の愚かしさが分かった本ではないかと。それと情報を取るには相手の懐深く入り込まなければなりません。民団、総連、米国からの情報収集はデイスインフォメーションもあることに注意しないと。ミイラ取りがミイラになる可能性もあります。暴対法ができる前の警察のように組事務所に出入り自由にすれば、癒着も腐敗も当然出てきます。でも完全遮断は情報入手を困難にするため、もっと運用面で緩めた方が良いのでは。山口組分裂で市民に累が及ばないように。

北朝鮮がどう出るかです。干ばつで如何ともしがたくなれば、将軍様が狂って、破れかぶれで南進するかも知れません。韓国の富を掠奪しようという事です。そこが父・金正日と違う所です。そうなれば、米軍は戦時作戦統制権を持っている限り、対応せざるを得ないでしょうが、韓国軍に前線を守らせるのでは。同じ民族同士でケンカさせ、米中は高見の見物、疲弊したところで元の38度線に戻すのでは。

yalujiang bridge

横は丹東市を臨む鴨緑江断橋です。

記事

韓国大統領府は8月26日、朴槿大統領が9月3日に北京市で行われる「抗日戦争勝利記念行事」の軍事パレードに出席すると発表した。朴大統領がパレード出席に参加する理由と、北朝鮮の軍事的挑発から南北高官協議に至るまでの経緯について、朝鮮半島問題が専門の早稲田大学国際教養学部・重村智計教授に話を聞いた。(河野嘉誠)

—朴槿恵大統領の軍事パレード出席をどう見るか。

 韓国と北朝鮮の軍事的緊張が高官協議によって解決した背景には、中国の大きな関与があった。中国は一貫して韓国を擁護し、北朝鮮に圧力をかけ続けた。北朝鮮は妥協的な交渉姿勢に転じざるを得ず、共同報道文も韓国に有利な内容で決着した。朴槿恵大統領の軍事パレード出席は、こうした中国の協力に対する見返りと考えられる。

—韓国にとって、どのような意味を持つのか。

 軍事パレードへの出席により、韓国は抗日戦争の担い手として中国から認められる。そもそも、北朝鮮による軍事的挑発が本格化したのは、朴槿恵大統領の「抗日戦争勝利記念行事」への出席を阻止するためだった。実際、青瓦台(大統領府)が20日に朴大統領の式典参加を発表したが、北朝鮮はその直後に軍事境界線付近で二度の砲撃を実施し、「準戦時状態」を宣言している。

—北朝鮮はなぜそこまでして、朴大統領の式典参加を阻止したかったのか。

 朴大統領の抗日式典およびパレードへの出席が、北朝鮮の国家としての正統性を動揺させ、クーデタも憂慮されるからだ。金日成の抗日パルチザンを建国の起源としている北朝鮮は、朝鮮半島における抗日戦争の唯一の担い手を自任している。中国に対して、朴大統領の招待を中止するよう再三にわたり要請してきたが、無視された。中国は韓国の平和統一政策を支持しており、北朝鮮の「ワガママ」に付き合うつもりはない。

—南北高官交渉では、自ら南北高官協議の開催を申し入れるなど、北朝鮮の妥協的な姿勢が目立った。

 計算違いが生じ、弱腰に徹するほかなかったのだろう。地雷の設置など一連の工作活動は、最近になって大将に復帰した金英哲偵察総局長などが関与して実行された。北朝鮮にとっての誤算は、米中を味方につけた朴政権の強硬姿勢だった。軍事衝突に発展すれば、米韓同盟には敵わない。中国からの圧力も日に日に強くなる。北朝鮮としては本格的な衝突の回避に奔走するしかなかった。

—北朝鮮は、韓国の拡声器による北朝鮮向け宣伝報道にも過剰反応した。

 北朝鮮の政治は、指導者への「忠誠心競争」が基本原理だ。将軍様の名誉を傷つけられて、放っておくわけにはいかない。とはいえ、北朝鮮は南北軍事国境線付近に設置していた拡声器を撤去してしまっており、再設置する資金もない。宣伝放送による反撃ができないため、軍事的挑発に踏み切るしかなかったという事情もある。

—共同報道文には、南北間の協議・対話の継続や民間交流の促進などが盛り込まれ、双方にメリットがあるとの評価もある。

 有り得ない。共同報道文は、協議日程が明記されておらず、具体性に乏しい内容だ。地雷事件に関し、朝鮮語では「謝罪」のニュアンスが強い「遺憾」という言葉を使用させられるなど、北朝鮮側にとってはかなり不本意な内容となっている。また、韓国は「無条件での対話再開」は望んでいない。韓国人観光客が北朝鮮兵士に殺害された2008年の金剛山の謝罪と責任者処罰をしない限り、南北の経済交流の復活は難しい。

—北朝鮮からは、崔竜海労働党書記が「抗日戦争勝利記念行事」に参加する予定だ。金正恩第一書記の出席は見送られる。

 朴大統領の「抗日戦争勝利記念行事」への出席を阻止するという外交目標は達成されなかった。北朝鮮では今後、担当者の責任が厳しく問われるだろう。朴槿恵政権は今回の対応により、支持率が3ヶ月ぶりに40パーセントを超えた。22日間に及んだ両国の緊張関係だったが、結果だけ見れば北朝鮮が期せずして、朴政権を助けてしまった。

—朴槿恵大統領の軍事パレード出席により、中韓は結束を強める見通しだ。北朝鮮は国際社会からより一層孤立するのではないか。

 北朝鮮が10月10日の「朝鮮労働党創建70周年」に合わせ、ミサイルを発射すれば、南北対話の継続も不可能になる。北朝鮮では今年、「100年に1度」の干ばつが発生しており、ただでさえ厳しい国内情勢が続いている。金正恩の権力基盤も脆弱であり、北朝鮮の不安要素は増える一方だ。

【メモ1:北朝鮮の軍事的挑発】

 南北軍事国境に近い非武装地帯の韓国側で8月4日、地雷が爆発し、韓国軍下士官2人が重傷を負った。韓国軍は、地雷は北朝鮮が設置したとする調査結果を発表し、拡声器による北朝鮮向け宣伝報道を開始した。北朝鮮は20日、韓国側に軍事境界線付近で二度の砲撃を実施し、軍事行動の可能性を示唆した。韓国側にこれを受け、韓国も数十発の砲撃で応戦。金正恩第一書記は、軍事境界線付近の「準戦時状態」を宣言し、南北は一触即発の状態に陥った。

 翌21日になると、北朝鮮は韓国に、南北高官協議の開催を申し入れ。韓国側は会談場所に板門店を指定し、黄炳瑞軍総政治局長の出席を求め、北朝鮮側はこれに応じた。韓国と北朝鮮は25日未明、共同報道文を発表し、臨戦態勢の解除を合意した。北朝鮮は「準戦時命令」を解除し、韓国も拡声器による宣伝放送を停止した。一時は軍事衝突の危機にあった両国だが、43時間にわたる高官協議の結果、南北の緊張緩和が実現した。

【メモ2:「抗日戦争勝利70年」の記念式典】

 中国政府の主催により、9月3日に北京市で開催される。韓国の朴槿恵大統領、ロシアのプーチン大統領、エジプトのシーシ大統領ををはじめ、30カ国の政府首脳級が出席する見込み。このほかにも、19カ国が政府代表を派遣。また、日本の村山富市元首相やドイツのシュレーダー前首相らも個人として出席を予定している。

重村 智計(しげむら としみつ)

1945年、中国に生まれる。早稲田大学卒業。1971年、毎日新聞社に入社、79年から85年までソウル特派員。ワシントン特派員時代には、米朝核交渉で数々の国際的なスクープを報じる。この間、高麗大学大学院、スタンフォード大学へ留学。毎日新聞論説委員を経て、早稲田大学国際教養学部教授。最新刊は 『激動!北朝鮮・韓国そして日本 歴史的必然と日本の選択』(実業之日本社)。『月刊 WiLL』に『朝鮮半島通信』を連載中。

櫻井よしこ×花田紀凱『「正義」の嘘』について

マスメデイアはすぐに「言論の自由」とか「表現の自由」とか言いますが、自分に都合が悪くなると頬かむり。朝日新聞なんてその最たるもの。昨年の8月の慰安婦誤報報道も開き直り、海外向けでの謝罪もしていません。『「正義」の嘘』は朝日が代表するメデイアの嘘を指します。今の日本のメデイアに「正義」の観念があるかどうか。理性的でなく、すぐに情緒的に大騒ぎする癖があります。貧困問題、安全保障問題、不法在留問題等現実を見据えて自ら合理的解決案を提示してみたらと言いたくなります。この点では民主党、社民党、共産党と同じく無責任であります。しかも平気で嘘をつくところも一緒。8/30国会周辺デモは主催者側発表12万人と言う数字を垂れ流して報道していますが、警察発表は3万人。60年安保の時は警察発表で13万人ですから、今回の数字は大したことがありません。どうせ共産党とかが動員したのでしょう。日本のメデイアは産経・読売を除き、中国と朝鮮半島の手先です。

朝日新聞は如何に戦争を煽っていたかが西尾氏の発言から分かります。戦後は手のひらを反してGHQに擦り寄り、共産中国や北朝鮮擁護に走りました。こんな変節新聞を、「日本の良識」と思って有難がって読んでいる人は、朝日新聞の過去をキッチリ理解した上で読んでほしい。でないと刷り込まれるだけです。金を払って、インチキ情報を頭にインプットしてるようなもので二重に悪いとしか言いようがありません。小生は日経を読んでいますが、富田メモに象徴されるように政治は偏向していますし、経済は中国進出を煽りに煽ってきましたので、その2点については眉に唾して読んでいます。でも、伊奈久喜、春原剛、鈴置高史、福島香織(フリー)の記事が読めます。

ドイツはひどいですね。ユダヤ人だけではないですね。第二次上海事変も一次と違い日本軍が苦しめられたのもドイツ軍事顧問団指導による要塞でした。中国とは裏で繋がってましたし、今でも経済的結びつきは強いです。ワイツゼッカーの謝罪は国家としての謝罪(=賠償)でなく、ユダヤ人虐殺に対してです。日本のメデイアは中国発なのでしょう。そういった事実には目を塞ぎます。

今の日本の社会は軍事には無関心。政治に無関心以上です。やはり日本が弱くないと困る国があるのでしょう。でも主権在民の国で、軍事に関心がなければ、平和を維持するのは難しくなります。隷従一直線です。(昔、小林よしのりの「東大一直線」という漫画がありましたが)。オバマを見ていると分かるでしょう。軍事嫌いが何を引き起こしたか。ウクライナや南沙・西沙、尖閣の問題、チエンバレンの宥和政策が何を齎したか。自分の頭で考えるためにはいろいろ調べることが必要です。今は幸いネットという強い味方があります。検索すればすぐに必要な情報が入ります。

内容

P.42~50

櫻井:私と花田さんが番組を持つ「言論テレビ」は、イン夕―ネットの動画コンテンツなので、若い人たちだけが見ていらっしゃるかと思ったら意外にそうではありません。実は言論テレビを毎週見て下さる正会員の中には若い世代と共に五〇代、六〇代、七〇代の方もたくさんいらっしゃいます。

花田:そうなのです。だからどちらかといえば、ネットの世論調査のほうが実は客観的なのではないかという気が私はしています。

櫻井:安倍総理の靖国参拝後の世論調査では、ネットでは八割が支持したという数字があったとも聞きました。

花田:ヤフーが行った意識調査で〈安倍首相の靖国神社参拝は妥当?〉という質問では、八割近くが妥当と回答していました。

櫻井:でも、彼らは都合が悪いので、それを書かない。

都合が悪くなると書かないということについては、ずいぶん古い事例なのですが こういう本を挙げておきます。

それは、『読んでびっくり朝日新聞の太平洋戦争記事』で、戦後五〇年が迫った一九九四年にリヨン社というところから出版された本です。すぐに朝日新聞が権利関係で法的手段をちらつかせてこれを絶版にさせました。その後、太田出版からほぼ同じ内容の『朝日新聞の戦争責任—東スポもびっくり!の戟争記事を徹底検証』が発行されています。

『読んでびっくり朝日新聞の太平洋戦争記事』には、昭和ニ〇年八月一四日の朝日新聞の記事が挙げられています。翌ー五日に日本は降伏するわけですが、その前日の朝日新聞の社説〈敵の非道を撃つ〉にはこう書かれています。

〈われらはわれらに與へられた至上命令である航空機増産、食糧増産その他の刻下の急務にひたすら邁進すれば足る。敵の暴虐に対する報復の機は一にこの國民の胸底に内燃する信念が、黙々としてその職場に於て練り固めつつある火の玉が、一時に炸裂するときにある。

すでに幾多の同胞は戦災者となっても、その闘魂は微動だもせず、いかに敵が焦慮の新戦術を実施しようとも、一億の信念の凝り固まった火の玉を消すことはできない。

敵の謀略が激しければ激しいほど、その報復の大きいことを知るべきのみである〉 まだ戦え、戦えと奨励している。

終戦の前の日の社説ですよ。

私がこのことを本当に酷いと思うのには理由があります。終戦の五日前に当時の下村(宏)情報局総裁談話によって、「戦局は最悪の状態」との声明が発表された。そして、朝日新聞はこれを日本の敗戦を示唆した初めての政府声明だと受けとめたということですが、新聞人としては、敗戦を政府が発表したと受けとめたのならば、すぐに発表しなければならないわけでしよう。

にもかかわらず、そうしていない。先の書籍が細川隆元氏の著書『実録朝日新聞』を引用しながらどう書いているか。当時の朝日新聞の編集主幹たちが、新聞はむしろ知らぬ顔をして、従来の「国体護持、一億団結」を表に出していった方がよかろう、 と編集方針を定めたというのです。そして前の日の社説までイケイケドンドンを主張して、多くの死ななくていい人たちを戦場に送り込んでしまった。

急に編集方針を変えることができないから、徐々に書いていこうということだったようですが、それはつまり単に自分たちのメンツを守りたいということでしよう。

花田:メンツに捉われるから、報道が歪むんです。

櫻井:こういうメディアがいまや「日本の良識」などという。

花田:自社が戦時中に戦意高揚のためにどういう報道をしてきたかについてきちんと検証し、それを詫びるということをまずやらなくてはいけなかった。

櫻井:していないですね。

花田:それがもう根本的におかしいと思います。単なる誤報ではない。

櫻井:朝日はしかし「いや、我々はやりました」という主張だと思います。終戦直後の新聞にものすごく小さなスペースでちょっと反省文を書きました、と。しかし、これは朝日新聞の一面の真ん中よりちょっと下のところに小さく書いてあるだけです。 これをもって戦前戦中、戰争を煽ったことに対する謝罪だとは誰も考えないでしょう。

毎日や他の新聞も多かれ少なかれそうだと思うので、朝日だけを責めるのはどうかという意見もありますが・・・・。

花田:朝日は日本の新聞の一応、代表的存在ですから。

なぜ朝日新聞ばかりを標的にするのかとよく言われます。たとえば、ぼくは一九八八年から『週刊文春』の編集長を六年間やりましたが、その間に朝日について八〇数本もの記事で取り上げたそ、うです。『ダカーポ』編集部が調べてくれたのですが。

「なぜ朝日ばかり」と聞かれたら、朝日は日本の新聞の代表だからだと答えています。部数はたしかに読売の方が多いかもしれないけれども、やはり朝日新聞に対する読者の信頼感は高いものがあるわけで、日本の新聞の代表として取り上げている。別に朝日が憎くてやっているわけではありません、とこう言っています。

櫻井:朝日に期待するという部分が、逆説的にいえばあるのかしら。

花田:そういうこともあるかもしれませんね。いや、ないか(笑)。

櫻井:批判は、がんばるべきだと、がんばってほしいという気持ちでもあるということでしょう。

大メディアをよくする方法

花田:本当に安倍総理の靖国参拝と特定秘密保護法に対する朝日新聞などの報じ方を見ていて、ぼくはもうほとほと日本の大新聞に絶望しました。いくらやっても虚しいなという気さえしましたね。

櫻井:花田さんがそんなことを仰ると、メディアは困るじゃないですか(笑)。

花田:そう言いつつ大批判の特集を組むんですけどね(笑)。朝日新聞だけでなく、テレビもいい加減な報道をしていますね。

櫻井:私もテレビの無責任さにはいろいろな思いを抱いているのですが、テレビの検証は難しいのです。新聞はあとで読めますが、テレビでの発言はなかなか確認ができない。

花田:前から言ってるのですが、一度放送したものについては、たとえば研究者やジャーナリスト、あるいは他のメディアなどが希望したら、必ず放映済みの映像をDVDなどで提供するというシステムをつくるべきです–それは有料でもいいのですよ。そういうシステムをテレビ界自身がつくらなければテレビはよくならないでしょう。このままだと批評ができない。

何気なくテレビを見ていて、「あれ?変だな」と思っても、すぐに消えてしまうわけです。ニ四時間、録画したり、メモしているわけではないですしね。最近、ネット上にはウォッチャーがいて、テレビ朝日の『報道ステ—ション』やTBS日曜朝の 『サンデーモーニング』など問題番組はきちんとウオッチしていたりしますけれども、 批判にさらされなければ、テレビ界はよくなりませんよ。

櫻井:日本のメディアがこのままでいいはずはないわけですから、どうにかよくしていきたい。テレビに関してはいま花田さんが言われたこと、一度報道したニユースや 番組は要求があれば自動的に供給しなければならないというルールは非常にいいですね。是非、NHKをはじめ民放各社に取り組んでほしいものです。 新聞はどうですか?

花田:新聞はいまの大部数を維持しようということ、大部数神話が一番の問題だと思います。それによるいろんな無理がきている。それぞれの新聞社が自前の販売店を持って、そこに莫大なお金を投入しているわけです。しかし、戦時中のように合配制度をとれば、ある新聞店が朝日も読売も毎日も産経も配ることができる。軒並み配れるから能率もいいし、費用も少なくて済む。 ところがいまは各社がそれぞれに配っているわけでしょう。ものすごい無駄。 こういうところを改善すればいいと思うのですが、彼らがなぜやらないかというと、お互いに正確な部数がバレて新聞の優劣がハッキリしてしまうからです。

櫻井:朝日は嫌だから読売にするということも簡単にできてしまうようになりますしね。

花田:だから絶対にやらない。それにそもそも押し紙(売れないのに販売店に押しつける部数)してまで、八〇〇万部、一千万部の大部数である必要はないですよね。

櫻井:小さな新聞社でも、合配制度を使えば「クオリティーペーパー」を全国に配ることができる可能性があります。が、いまは単体の販売所を持たなければならないので、小さな新聞社ではどうしても体力的に無理な状況が続いています。

花田:アメリカは新聞の数は多いけれども、発行部数はそうでもない。電子版が好調のようですが、紙と電子を併せても「ニユーヨーク・タイムズ」で一五〇万くらいでしよう?「ウォール•ストリート•ジャーナル」も二〇〇万部くらいですよ。

櫻井:私がかつて勤めていた「クリスチャン•サイエンス・モニター」は、当時は 一八万部でした。

花田:けれど、すごく影響力はあるわけじゃないですか。言論界に大きな影響力がある。そういう新聞をつくっていかなければならないですよね。だからぼ<は今、東西で一六〇万部くらいの産経新聞には期待していて、日本のクオリティ—ペーパーは産経だ、あまり大きくならない方がいいと言っています。

櫻井:ハッハッ、それでも私は産経新聞の部数が增えてほしいと思います。とりわけ沖縄県では何とかもっともっと読まれてほしい。

P.118~127(西尾は西尾幹二)

西尾:結局どうなるのか。朝日が生きていくためには、読売、産経に近づくのか。私はそれを期待しますが、読売、産経に近づいてしまったら、ひょっとすると、産経より右なったりするかもしれませんよ。なにせ、ペティ•ジャステイスですから。「右がジャスティスだ」となったら、「右向け右」となってしまう。朝日新聞とは、そういう会社なのですよ。だって、戦争中がそうだったのですから。

花田:今度は右に暴走すると(笑)。

西尾:私は花田さんも知っての通り、『GHQ焚書図書開封』(1-10、徳間書店、二〇〇八年〜)という仕事をしています。GHQ焚書図書とは、戦後アメリカの連合国軍総司令部(GHQが没収した戦前、戦中の七〇〇〇冊以上の図書のことですが、この中で朝日新聞社から刊行された書物は一四一点ほどで一番多いのです。

花田:いかに戦争協力に熱心だったかということですね。

西尾:そうです。いかに戦時プロパガンダで生きた新聞だったかということです。ベストスリーは朝日新聞、講談社(八三点)、毎日新聞(八一点)の順です。この3社こそ、その後は戦後民主主義、白虐史観で生きようとしてきた会社です。私はしみじみ考えるのですが、なぜ朝日がこうなったかということは、罪の意識でそうなったのではなく、戦争.にとことん打ちのめされると打ちのめした相手の神を自らの神として、それにすり寄っていくことで生きようとする。こういう心理構造だと思うのです。

戦後日本はだいたいそういう傾向があったのですが、だんだん国民がまともになってきて、極端な自己否定の間違いに気がつき、敗者にも正義があることを知るようになり、今までの硬直した生き方を少しずつ捨てようとしています。国民がまともになっていく中で、今まで全面敗北主義でいちばん突出した世界が真っ先におかしくなる。朝日新聞の問題は、そういう事件だとみているのです。

ドイツの凄まじい管理売春

花田:ドイツの慰安婦問題については昔から発言されていますね。

西尾:慰安婦問題について、ドイツ人自身はほとんど考えていません。知られていない。なぜならば、先に述べたようにナチスのことで頭がいっぱいですから、彼らが慰安婦について考えている余裕はないのです。

一般のドイツ人は、自分たちに慰安婦の問題などないとずっと思っていました。

二〇年ほど前、日韓で騒いでいる話がドイツにも伝わってきて、そういえばナチス時代にもあった、あれはどうだったのかとドイツの左翼が騒ぎ出したのです。日本でも翻訳書がニ、三点出ていますが、それ以前の一九七〇年代に、軍事衛生問題研究家のフランツ•ザイドラー著『売春・同性愛・自己毀損—ドイツ衛生指導の緒問題 一九三九—四五年』(一九七七年)という本が出ています。翻訳はされていません。

この本の中で、ドイツで行われていたことが事細かに研究されていますが、それは軍事問題というよりも「衛生問題」でした。というのも、第一次世界大戦のとき、ドイツは約二〇〇万人の性病患者を出して、兵力が落ちたからです。

花田:どの国の軍隊にとっても大問題ですよね。日本軍が慰安婦の検診をするようになったのもそれが原因です。

西尾:その教訓から、第二次世界大戦ではいろいろな知恵を絞って、徹底した管理売春を行ったのです。まず売春の方法としては、司令部、司令官がすべてを取り仕切る。

花田:そういう施設は軍が作ったのですか。

西尾:ふた通りあって、西ヨーロツバ、つまりフランスやオランダでは公娼制度が熟成していたため、ドイツ国防軍は軍の専属施設としてこれを利用し、いわゆる女郎屋の女主人が売春婦の確保に努め、その代わり収入の半分を手にしました。

しかし東方、つまり東ヨーロツバからソ連にかけては、公娼制度がなかったため前線司令官の命令で、人さらいのような「強制連行」が少なからず行われました。

花田:軍が強制的に集めたりしていたと。

西尾:そうです。ザイドラーの前述の本には、例えば次のように書かれています。 〈若い娘で、労働力投入への呼びかけに応じてドイツに行くのはいやだといって拒んだ者は、二者択一として、国防軍売春宿にしばらく勤務する以外に選択の余地はなかった。ユダヤ女性に対してさえもこの二者択一が提案された。「やるべきことをちゃんとやれば」釈放が保証されるといって強制収容所で募集された女たちが、東部占領地区の売春宿に連れて行かれたか、それとも、ラーヴエンスブリュツク強制収容所で売春婦に仕立てられていった女性在監者と同じような運命を辿って、ドイツ国内で使役されるにいたったか、そこははっきりしていない。ただ、彼女らが美人で使いものにさえなれば、アーリア人であろうとセム人であろうと、たいして問題ではなかったのだ〉

強制連行は当たり前に行われていたのですが、へルケ・ザンダーとパーバラ・ヨールが書いた別の本、これは翻訳があり、『1945年・ベルリン解放の真実—戦争・強姦・子ども』(現代書館、一九九六年)にはこう書かれています。

<連合軍が押収して一九四六年にニュルンべルク裁判に提出されたドイツの記録文書、恐怖をあおるためにドイツ人征服者が組織的に強姦したことを立証している。ポーランド、ユダヤ、ロシアの女たちが強姦され、多くの場合、むごたらしく殺された。情容赦なく何百人もの少女や女性が迫害され、軍用娼家へ追い込まれそこで強制売春に使役された。いわゆる「慰安勤務」である。それが管理的に行われた大量殺人の前段階だったこともしばしばだった〉

こういう凄まじいことが行われたのです。

花田:ザイドラーの本には、西尾さんが著書『歴史を裁く愚かさ新しい歴史教科書のために』 (PHP研究所、一九九七年)に出された訳文によると、パリ大隊本部司令官の衛生指導将校がドイツ兵に対し、「性病にどう立ち向かうか」と通達した書類も紹介されています。これがまたすごいですね。

〈常軌を逸した房事に耽けらぬよう注意せよ!それはあなたの職務能力を引き下げ、あなたの健康にも良くない。

性病にかかった軍人は勤務不能である。自らの責任で勤務不能になることは、ドイツ軍人たるにふさわしくない!

それゆえ軍管理外の軽佻浮薄な女性との交際は避けよ。彼女らはたいてい性病持ちである!

アルコールは「性病の父」である。……〉

西尾:つまり、第1次大戦の失敗から、兵士を街で遊ばせると危ない、完全に管理したほうがいいということになったのです。特に東ヨーロツバではそうでした。

ドイツは合理的といえば合理的ですが、表も裏もない国です。これが日本だったら、売春婦を買ったといった話は隠れて言ったり、亡くなった小野田寛郎さんが書き残されていたように「ピー」という隠語で呼んだり、あるいは売春婦と結構仲よくなったり、人間的なのですね。

ところがドイツでは、性行為そのものが徹底的に監視されていました。不能も、中断も、全部監視され、記録されていたのです。だからそれは女性の悲劇だけでなく、男性の悲劇でもあるのです。

「強制連行」したドイツ軍

花田:そうすると、ドイツの場合の軍の慰安婦こそ、強制連行し、完全に軍の管理の下にあり、統制性のあるものだったのですね。

西尾:そうです。売春宿は五〇〇もありました。例えば、南イタリアの慰安所は終戦と同時にドイツの慰安所から米軍の慰安所へひっくり返った。そして女性もろともアメリカへ移ったそうです。そんな愉快な話もあります。

だから、どこの国もやっていたのです。どうか朝日新聞、調べて欲しいですね。 大いに研究して欲しい。朝日新聞に期待しますよ。世界中の戦時慰安婦がいかにひどく、いかに日本は微笑ましかったかということが、きっと分かるでしょう。

当時は売春宿のおかみがドイツ軍当局に対し、売春宿についての報告を全部、記録して提出しなければならなかったため、そうした書類も残されています。

花田:この書類を見ますと、売春宿が誰によって設立されたかをはじめ、安全保安対策は誰によってなされているか、娼妓の数、年齢、娼妓への報酬、誰が護を検査するのか、客の訪問時間は時間的に制限されているかなど、全部答えなければならなかったのですね。

西尾:売春宿の内規もありました。前線司令官の署名があります。 〈この宿は前線司令官の軍事的かつ警察的監督下に置かれる。許されるものは、軽い地酒のワイン、ビール、ミネラルウォーター、果汁ジュースに限られる。前線司令官の命令に反する騒音、暴行ならびに違反諸行為は、罰せられる。 この売春宿の女主人(または、その代理)は、緊急時に警察や軍隊の助力を求めるこ とが義務づけられている〉

ですから、売春婦をことごとく「キープ」したのです。これこそまさに、軍が管理 し、軍が「人さらい」までやった慰安所なのです。特にポ—ランド、ルーマニア、ウクライナの女性は被害者でした。拉致されたのですから。

ところが、驚くべきことはその先にありました。特に東ヨーロッパからソ連地域で大きな問題だったのですが、そこまでやっても性病を防ぎきれなかったのです。 しかも、南ウクライナでは、軍が建てた売春宿が、性病の発生源だということが分かって軍当局はほとほと困り果てたのです。そこで何を考えたかというと、売春宿を軍が管理しても駄目だということで、一般の女性にやらせろと。

花田:え?

西尾:一般の女性に性行為をさせろと。

花田:そんな通達が出たのですか。

西尾:はっきりそれが書けないから、軍事刑罰法典を改定して、被占領地域において強姦を犯したドイツ軍人の処罰が寛大に扱われるよう改められた、とザイドラーは指摘しています。

花田:よく、ソ連の兵士は「強姦型」というか、ドイツへ侵攻したら必ず女性たちを強姦していったと言われていますが、ドイツはそれに近いひどさですね。

西尾:だから、ドイツはベルリンでソ連に復讐されたのです。 話を戻すと、ドイツ軍人に対しては、次のように改められたのです。 〈ドイツ帝国と帝国併合地域の外部に動員されたSS親衛隊ならびに各種警護部隊の構成員に有罪の判決を下すに際しては、強姦罪の量刑に当っては、つねに特別の事情が考慮されなければならない。彼らは特別の事情の下に勤務を果たしているからである〉

戦争がある限りなくならない問題

西尾:さらには、次のような条文もありました。〈よしんば、強姦犯罪が武器の脅しで行われた場合があったにしても、ただそれだけでは、それは一九三九年十二月五日付の暴力犯罪法規定の、あるいはまた、戦時特別処罰法規定第五条(a)の適用をそのまま正当化するものではない。兵たる者は職業上武器を携行し操作する者であり、強姦犯罪に際しそれを使用したからといって—西尾註/「それ」とは「武器」ですよ—それだけでは彼が暴力犯罪者であるとの烙印をただちに捺されるいわれはない〉

ポーランドやルーマニア、ウクライナ、ロシアの女性をドイツ兵が武器で威嚇して手籠めにし、強姦行為を果たしても、まあ大目に見てやってほしいという公式文書です。このような文書があれば、ドイツ軍事法廷は「運用」次第で、たいていのドイツ兵の性犯罪を無罪放免としてしまったと考えられます。

P.182~186(古谷は古谷経衡)

無人機の時代に『徴兵制』から出ない朝日

花田:そこで、ぜひおうかがいしたいのは、集団的自衛権のことです。朝日新聞や東京新聞は、集団的自衛権の行使容認について、いますぐ戦争になる、または、徴兵制になるといったことを書きます。それについて古谷さんは「最新の軍事を知らない。おかしい」と発言されています。

古谷:全く噴飯ものですね。朝日新間も、以前はもう少し知識があったような気がするのですが、いまはひどい。

花田:だいたい、世界の国は徴兵制をどんどんやめていますよね。

古谷:やめています。朝日などの「戦争になる」論に関連して、無料通信アプリ「LIINE (ライン)」では、テイ―ンの間で次のようなチェーンツイートが出回りました。

〈集団的自衛権ができたら子供は最低でも2年、自衛隊の訓練をしないといけなくなる!もしこの訓練期間中に戦争があったら戦場に行かないといけないんだって!〉 このデマは、朝日新聞的には肯定したい内容でしょうが、まず集団的自衛権は「できたら」と言うものではなくて、法概念ですので、できるも何もない。これをテイーンの一部でも信じているということが本当であれは、ずいぶんレベルが落ちていると言えます。

というのも、これは伝聞ですよね。こういうテイーンに流れるデマは昔からありました。例えば一九七〇年代、八〇年代には「ロ裂け女」ブームや「人面犬」ブームがありました。

花田:そのレベルですか、集団的自衛権が。

古谷:実はそのレベルでさえないのです。ロ裂け女は「隣の中学校の隣の隣の友達が見たって」といった伝聞でしたが、検証はできない。本当はいるかもしれない。分からないのです。

それに対して、集団的自衛権の話はすぐに検証できる。あり得ないのですから。検証可能なデマが流されているという意味では、テイーンのうわさ話の歴史上、最も低俗な部類です。本当に信じているのならば、レベルが落ちています。

次に、徴兵制についてですが、朝日は社説で「徴兵制につながる」と書いています。そんなトンデモな論調で大丈夫なのでしょうか。朝日的イデオロギーの人でも、 本当に分かっている人は何も言わないのですが。

こうした反応はやはり、近代戦の発想から抜け切れていないからです。社民党のポスターも同じ雰囲気ですが、ある日突然、「赤紙」が外部から来る。外部のまがまがしい悪意に無辜の人民が引っ張られて、三八式歩兵銃を担がせられて突撃する。こういうイメージ。そこから一歩も出ていないのでしよう。

いまの現代戦はUAV (unmanned Air vehicle)、無人機の時代なのです。自衛隊も二〇一五年、無人偵察機「グローパルホーク」を導入する見通しで、これは偵察機なので攻撃する能力はありません。ただ、最新のX47B「ペガサス」という無人攻撃機 は、一三年七月、史上初めて空母への着艦に成功しました。無人機がですよ。あの大東亜戦争のときは、それでさんざん訓練して、死者も出たことが、無人でできる段階までで来ているのです。

ペガサスはまだ実戦には投入されていないようですが、「プレデター」という無人機はすでにアフガニス夕ンやパキスタンで使われています。これは米国本土のネバダやフロリダ、ペンタゴン(国防総省)で、フライトシミュレー夕―のような装置にセンサー要員と操縦士の二人が乗る。センサー要員がモニターを確認して、例えばこれが本当にタリバンの幹部かどうかを伝えて、OKならば撃つ。それをデー夕リンクという衛星の通信システムで操作するのですが、こうしたシステムがほぼ主力になりつつある。無人機がなぜいいかというと、安いのです。

花田:安いのですか。

古谷:プレデター一機が、為替によりますが四億円くらいです。戦闘機一機は一〇〇億円、ニ〇〇億円するのに対してです。維持費も、有人機なら撃墜された搭乗員を救助しなければならないし、搭乗員の医療費もかかる。給料も払わないといけないし、住居費も軍が責任を持たなければならない。

無人機はそれらが一切ありません。一説には、無人機の全体の維持費は有人機の5%程度だと言われます。 ニ〇分の一です。やはり世界の趨勢はそちらになっていく。

地上から無人機を操る操縦員も、一朝一夕で養成できるわけではなく、「ゲームみたいにできる」と言われてもそんなに簡単なものではない。一年くらい訓練が必要らしい。つまり、徴兵制を敷いて、「お前、あしたから無人機を操縦しろ」「強襲揚陸しろ」などと言われても、できるわけがない。こうした専門要員を育てるためにアメリカへ行っている時代なのに、徴兵制という発想自体がまずおかしいのです。

花田:軍事の現状を何も知らないのですね。

8/27・28日経ビジネスオンライン 鈴置高史『“恩知らず”の韓国 「従中」一直線、でも困った時は米国頼み』『「どうせ、中国の属国だったのだから……」 韓国は「恐怖」と「甘え」の狭間で生きる』について

韓国は桂・タフト協定、アチソン声明を覚えてないようです。アメリカもこのような蝙蝠外交にいつまで耐えるのでしょうか。結局、裏で動いて恫喝し続けた中国の勝利になった訳です。ましてや次期大統領候補の潘基文まで9/3抗日行事に参加します。無能、ネポテイズムで史上最低の事務局長と言われる所以です。でもこんな男をアメリカと共に事務局長に推薦したのですから、日本の政治家は間抜けとしか言いようがありません。慰安婦で世界に嘘を吐きまくってきた彼らは得た権力を利用することは充分読めたでしょうに。

アメリカも舐められたものです。韓国ごとき小国にゆさぶられてしまうのですから。オバマになってからです。同盟国を同盟国と扱ってこなかったから、アメリカ離れが起きてしまったのです。AIIBに参加表明した英国、イスラエル、サウデイ、韓国はアメリカの(準)同盟国です。

韓国は戦勝国になりたいがために中国へ行くとしたら、歴史の改竄・捏造がまた行われるという事です。北朝鮮はどう出るか。朝鮮半島で正統性を持つ政権は北と自負を持っているので。まあ、ソ連に逃げていた金日成が亡命政権(これも怪しいが)というのですから。それで朴槿恵は李承晩が一時いた上海へ行くのでしょうけど。イタリアもムッソリーニを逆さ吊りしたことから戦勝国と主張する人もいますが認められていません。フランスのドゴールだけがその政治力で戦勝国と認められましたが、実質はドイツの第二次大戦始まってからの占領国で連合国によって解放されました。台湾・韓国は第二次大戦開始前から日本国でした。その事実を鑑みれば戦勝国扱いは無理でしょう。中国共産党も日本と殆ど戦ったことがないのに、こういう行事を平気でできるのですから、中華・小中華は似た者同士です。

韓国は中国の属国になった方が良い。そのとき初めて日本統治時代が良かったと気付くでしょう。アメリカも甘やかしせず、同盟解消した方が良いのでは。彼らは「アメリカはどうせそこまではできない」と高をくくっている訳ですから。「桂・タフト協定、アチソン声明を思い出せ」と言ってやれば良い。昔ですら朝鮮半島を見限れたのですから、ミサイル、ICBMの時代に朝鮮半島の価値はないと思います。レーザーやロボット(無人機等も含む)、衛星等で監視、後の先で相手を攻撃できるようにしておかないと。これが抑止力になります。

記事

 「行かないで」と頼む米国を振り切って、朴槿恵(パク・クンヘ)大統領は北京に行く。韓国の二股外交はこれで大きく中国に傾く。

韓国は「忘恩の徒」だ

鈴置:匿名で外交を論じる韓国のヴァンダービルド氏が、烈火のごとく怒りました。「我が国は米国から忘恩の徒と見なされるぞ」と警告したのです。

 親米保守派のサイト、趙甲済(チョ・カプチェ)ドットコムに載せた「自らの評価と他人の評価」(8月22日、韓国語)の全文を以下に翻訳します。

  • 非常事態(北朝鮮の挑発)が勃発したら、韓国人が叫ぶのは……「韓米連合作戦を発動し対処する必要がある」「米空母の投入が至急だ」「韓米同盟をさらに固めるべきだ」
  • 平常に戻ると……「米国にだけ頼ってはいけない」「中国が経済で世界1位になる。中国が重要だ」「日本と親しくする米国はひどい目にあわせよう」
  • 韓国人自身の評価は「これを我々は『等距離外交』と呼ぶ」
  • 他人の評価は「二股外交」「恩知らず」「中国への事大主義のDNA」……

「米空母を呼ぶぞ」

—8月20日には軍事境界線で砲撃し合うなど、南北は8月下旬に緊張を高めました。

鈴置:何をするか分からない北朝鮮に対峙する韓国は、米国の軍事力を全面的に頼りにしています。というのに米国から「行かないでくれ」と言われた、北京での「抗日戦勝70周年記念式典」に朴槿恵大統領は出席します。

 ヴァンダービルド氏ならずとも「なんと不義理な国だ」「米国はいつまで韓国を助けるのだろうか」と考えるでしょう。

 韓国は今回も緊張が高まると、北朝鮮に対し「米国の空母やB52、B2爆撃機を呼ぶぞ」と脅しました。

 聯合ニュースの「米国と原子力空母などの配備時期を検討中=韓国政府」(8月24日、日本語版)によると同日、国防部報道官は会見で「韓米は現在の危機的状況を持続的に注視し、米軍の戦略資産の展開時期を検討している」と語りました。報道官は「B52」「B2」など米国の戦略資産――装備の具体的な名称にもちゃんと言及しました。

異様な朴槿恵の参加

—「俺の後ろには、強力な兵器を持った米国がいるぞ」との威嚇ですね。

鈴置:韓国は北を脅す時には必ず「世界最強の米国」を持ち出すのです。ところが、これほどに世話になりながら、朴槿恵大統領は「抗日式典」に参加します。

 「抗日戦勝70周年記念式典」とは、中国が北京で9月3日に開くイベントです。ロシアやベトナム、南アフリカなどの国家首脳が参加します。

 一方、米国やNATO加盟国――いわゆる西側諸国の首脳は参加しません。交戦国だった日本の安倍晋三首相も非公式の経路で招かれましたが、断りました。

 「抗日式典」の名をつけていますが、要は中国が世界に軍事力を誇示するためのイベントです。ことに今、中国は軍事力の増強を背景に東シナ海や南シナ海で領土・領海の拡張に動いています。

 この式典に参加すれば、中国の膨張主義を認めることになりかねない。西側の首脳が参加しないのは当然です。そんな中、米軍に最も助けてもらっている韓国の大統領が参加するという、異様な事態が起きかけているのです。

—ではなぜ、朴槿恵大統領が出席するのでしょうか。

鈴置:理由は2つ挙げられています。「経済的に中国とのつながりが深い」と「北朝鮮への牽制や、統一問題で中国の助けがいる」――です。

米韓間の問題になるぞ

—まっとうな理由ですか。

鈴置:いずれも言い訳にすぎません。経済的に中国とのつながりが深いと言い出せば、どの国も同じことなのです。

 確かに韓国は、輸出額をGDPで割った数字が50%に迫るなど輸出依存度が高いこともあって、貿易大国たる中国に気を使いたくなるのは事実です。なお、日本のその数字は10%台です。

 でも、先ほども指摘したように韓国は「おカネ」より大事な「命」を米国に託しているのです。その米国が参加するな、と言ったのです。

 もちろん米国が大声でそう叫んだわけではありません。様々の外交チャネルを通じて静かに韓国に警告を発し、それが効かなかったので日本や韓国のメディアを使ったようです(表「南北の緊張激化と朴大統領の訪中」参照)。

表●南北の緊張激化と朴大統領の訪中
8月4日 非武装地帯(DMZ)の韓国側で韓国軍兵士2人が地雷で負傷
8月9日 共同通信「米国が韓国に対し、朴大統領の抗日式典参加への懸念を伝達」と報道
8月10日 韓国国防部「8月4日に非武装地帯で起きた爆発は北朝鮮が仕掛けた地雷」
8月10日 韓国軍、地雷への報復措置として軍事境界線付近で拡声器による対北宣伝放送再開
8月11日 中央日報「抗日式典へは朴大統領ではなく駐中大使の参加を、と米国が要望」と報道
8月13日 「10月16日にワシントンで米韓首脳会談を開催」と両国政府が発表
8月15日 米サンフランシスコのチャイナタウンに抗日戦争記念館設立
8月17日 米韓両軍、指揮所演習「乙支フリーダムガーデン」を韓国内で開始
8月20日 韓国政府「北京での抗日式典に朴大統領が参加。軍事パレード参観は未定」と発表
8月20日 北朝鮮「48時間以内に宣伝放送を中止しなければ軍事的行動をとる」
8月21日 朝鮮中央通信「金正恩第1書記が軍事境界線付近を準戦時状態にと命令」と報道
8月22日 南北、板門店で午後6時半から高官会談を開催。23日午前4時15分まで10時間弱続く
8月23日 午後3時半に南北高官会議が続開
8月24日 終日、南北高官会談が継続
8月25日 未明に南北高官会談が妥結。北は「地雷事故に遺憾」を表明し「準戦時状態」を解除。南は宣伝放送を中止
8月25日 中国外交部「朴大統領含む30カ国首脳が抗日式典に加え軍事パレードに参加」と発表

注)赤字は南北の緊張激化に関する項目、黒字は朴大統領の訪中に関する項目を示す

 マイケル・グリーン(Michael Green)米戦略国際問題研究所(CSIS)副理事長も中央日報の取材に答え、以下のように語っています。

 「<戦後70年談話>『米国が歓迎する内容…韓国の部分は3、4点』」(8月17日、日本語版)という記事の最後のくだりです。

  • (「朴大統領が戦勝節行事出席のために訪中する可能性が残されているが、米国の立場は何か」との質問に答え)中国軍の閲兵式(軍事パレード)に出席すれば、韓米間の問題になるだろう。米国の他の同盟国のうちどこが行くだろうか。英国も豪州も日本も行かないはずだ。焦点は朴大統領が閲兵式に出席するかどうか、中国に利用されないかどうかという点だ。

北を制御できない中国

—もう1つの「対北朝鮮政策で中国の助けがいる」という理由は?

鈴置:一見それらしいのですが、よく考えるとおかしな理屈です。そもそも中国は北朝鮮をコントロールできないからです。

 今回の緊張激化を思い出して下さい。発端は北が韓国側に地雷を仕掛けたことです。中国が北朝鮮を制御できるなら、こんなことは起きません。

 北朝鮮が渋々ながら「地雷事件に遺憾の意」を表明したのも、中国の圧力によるものではありません。軍事境界線付近で、北が最も嫌がる拡声器による宣伝放送を韓国が再開したからです。その背景には米国の軍事力がありました。

 統一問題だってそうです。朝鮮半島には中国の死活的利益がかかります。今、韓国が少々ゴマをすっておいても、中国はいざという時に韓国の願う方向で動いてくれるとは限りません。

 むしろ韓国の、恩を忘れた「離米従中」の結果、米国との関係を悪化させる方が統一にはマイナスになるでしょう。怒った米国が韓国を見捨てたら、韓国はますます中国の言う通りに動くしかなくなります。

朝鮮戦争は中国の義戦

 東亜日報が8月11日に載せた社説「朴大統領は南北統一を阻止した中国の人民解放軍に拍手を送れない」(韓国語版)も対米配慮を訴えています。

 8月9日に共同通信が「米、韓国に不参加要請 中国の抗日記念行事」と報じました。翌8月10日、この記事にコメントを求められた青瓦台(大統領府)が参加を匂わせました。

 東亜日報の社説はそれを批判したのです。行くべきでない理由は2つで、それを述べた部分は以下です。

  • 人民解放軍は朝鮮戦争に突如参戦し、我々の統一を妨げた敵軍である。習近平主席は2010年10月25日に「(米国に抗し北朝鮮を助けた)抗美援朝戦争は偉大で、侵略に対抗した正義の戦争」と述べた。この軍のパレードに朴大統領は拍手できない。
  • 習近平主席は今回の行事を中国の国際影響力と軍事力を誇示する機会と考えている。中国の覇権拡大の意図があると考える米国は参加しない方針だ。韓国が参加した場合、米国、日本との関係を損なう恐れがある。

賛否は5対2

—南北の緊張が激化する前から「参加するな」との社説が書かれていたのですね。

 ただそれは少数意見でした。朝鮮日報の「朴大統領の訪中必要、軍事パレードには異論」(8月18日、韓国語版)によると、同紙が意見を聞いた米韓関係、中韓関係の専門家7人のうち6人が「参加すべきだ」と答え、はっきりと「参加すべきでない」としたのは1人に留まったのです。

 ただ、抗日式典の中核行事である軍事パレードに関しては、この6人の中、1人だけが積極的な参加を唱えました。残り5人は「避けるべきだ」と答えました。

—普通の人の意見は?

鈴置:韓国の世論調査会社、リアルメーターが8月10日に「朴大統領は抗日式典に参加すべきか」(韓国語)を聞いています(グラフ1参照)。

グラフ1●中国の「抗日式典」に参加すべきか

(8月10日、リアルメーター調査)

Korea graph-1 

 それによると、51.8%が「参加すべきだ」、20.6%が「参加すべきでない」と答え、「よく分からない」が27.6%でした。

 興味深いのは「保守が反対、左派が賛成」ではなかったことです。自らを「保守」と考える人の賛否の比率は64.0対23.1。これに対し「進歩層」は40.8対24.3。「中道層」は52.1対18.4でした。「右」になるほど、抗日式典に参加すべきだと考える人の比率が増すのです。

奇妙な日本の“リベラル”

—なぜでしょうか。

鈴置:保守の中の、ヴァンダービルド氏のような親米派は「反対」を唱えます。でも保守の中にも親中派がいます。彼らの中には「賛成」と答えた人が多いと思います。

 一方「進歩層」――韓国のリベラルの中には独裁政権である中国に警戒感を持つ人もいます。彼らは反対に回りがちです。

—変な感じがします。

鈴置:日本人が見ると奇妙かもしれませんね。でも、それは日本の感覚がおかしいのです。日本のリベラルを自認する人の相当数が、独裁国家で膨張主義の中国を一切批判しません。

 安保法制に関する議論でも「戦争ができる国、日本」を非難しても「中国の脅威」には触れません。日本の“リベラル”の方が異常なのです。

 なお、リアルメーターは8月18日には「朴大統領は軍事パレードを参観すべきか」(韓国語)も聞いています(グラフ2参照)。

グラフ2●軍事パレードにも参加すべきか

(8月18日、リアルメーター調査)

Korea graph-2-2

 朝鮮日報の記事が示すように「式典に参加しても、パレードは参観すべきでない」という人が多いため、敢えてこれだけ聞いたのでしょう。

 結論は「軍事パレードを参観すべき」が39.5%、「参観すべきではない」が32.7%でした。この調査でも、保守の方が参観に肯定的な傾向がありました。

世論はますます参加に傾く

—いずれにせよ、式典参加への賛否は5対2、という世論構成なのですね。

鈴置:少し後に実施した韓国ギャラップの調査では、賛否の比率が69対18と、さらに差が大きくなりました。ざっくり言って、7対2です(グラフ3参照)。

グラフ3●抗日式典に朴大統領は参加すべきか

(8月18―20日、ギャラップ調査)

Korea graph-3

 この「デイリーオピニオン176号 2015年8月第3週」の調査期間は8月18日から20日。8月20日に韓国政府が「式典へは参加、軍事パレードは検討中」と発表したので、現状追認的に賛成した人の分がかさ上げしたのかもしれません。

 なお、その後の8月25日には中国外交部が「朴槿恵大統領を含む30カ国の首脳が、抗日式典に加え軍事パレードにも参加する」と発表しました。

 朝鮮日報は速報で「中国の抗日式典に崔竜海参加、朴大統領は真っ先に紹介」(8月25日、韓国語版)と、韓国がいかに中国から大事にされているかを強調しました。

—だんだん中国に取り込まれて行きますね、韓国は。

鈴置:その通りです。韓国政府の参加の発表を受けた東亜日報の社説「抗日戦記念行事に出席する朴大統領、外交後遺症を相殺する実利を得よ」(8月21日、日本語版)も「結局、大統領は軍事パレードも参観する可能性が高い」と指摘しつつ、反対を撤回しました。

 決まったことを反対しても仕方ない、ということもあるのでしょうが、世論が「参加」に流れたことが大きいと思います。

韓国人はすっかり「中立気分」

—「米国から恩知らずと思われるぞ」とのヴァンダービルド氏の警告も不発に終わりそうですね。

鈴置:神戸大学大学院の木村幹教授は8月20日、ツイッターで以下のようにつぶやいています。

  • 大統領訪中についてKBSは、「米中間の均衡模索」と明確に説明。改めて米中間で韓国が中立的な立場であることが、韓国内で常識化している事を実感。

 KBSとは韓国の公共放送のことです。それだけに報道に癖は少なく、韓国人の意見の最大公約数を映します。

 木村幹先生が指摘するように、韓国人は「自分たちは米中間で中立であることが当然だ」と考えるようになったのです。

 そして、この大統領訪中によって――中国の狙い通り今後、韓国が一気に中国に傾く可能性が大きいのです。米国がますます韓国を中国側の国と見なし、冷たくなると思われるからです。

戦勝国の地位与える中国

 それに加え、中国も一気に韓国取り込みに動くでしょう。例えば、韓国が望んでも米国からは与えられなかった「戦勝国の地位」です。「抗日式典」は、ある意味でその授与式でもあります。

 大統領の抗日式典参加に一時は強力に反対した東亜日報も、8月21日の社説では「訪中する以上は外交的な成果を挙げよ」と主張しました。そして結論は以下でした。

  • 訪中の成果は、韓国が米国と中国の間で新しいバランス外交を模索する試金石になるだろう。

 「新しいバランス外交」――つまり、中国側にグンと傾く、ということでしょう。 

(次回に続く)

(前回から読む)

 韓国は「中国への恐怖」と、米国への「甘え」の間で生きる。

異例の抗日式典参加

—前回の「“恩知らず”の韓国」は、朴槿恵(パク・クンヘ)大統領の「抗日戦勝70周年記念式典」参加を機に、韓国はますます中国に引き込まれるだろう、というところで終わりました。

鈴置:読んだ人から「なぜ韓国は中国の言うままになるのか」との質問が寄せられました。

 「抗日式典」に、西側の国の首脳で参加するのは朴槿恵大統領だけです。中国の覇権主義をほう助することになりかねないからです。同盟国の米国も「抗日式典には行かない方がいい」と止めたのです。

 それでも朴槿恵大統領は北京に行く。そこまで中国の顔色を見ることもないだろうに……と多くの人が首を傾げました。「経済や外交面で中国の協力が重要だ」という韓国の説明は言い訳に過ぎませんし。

「高句麗も中国のものだ」

—日本人は、そこがよく分からないのです。

鈴置:一言で答えれば、韓国人独特の中国観からです。彼らの心の奥底には「中国は韓国の上に君臨する国であり、逆らってはいけない」との抜きがたい観念があります。これが韓国を「従中一直線」にと突き動かしているのです。

 2006年秋のことです。韓国の指導層の4人と夕食をとりながら歓談しました。彼らが韓国語で会話し、私は黙って聞いている。少しお酒が入って舌は滑らかになっているけれど皆、酔うほどではない。

 1人が中国の悪口を言い出すと、座が一気に盛り上がりました。当時、中国と韓国は「歴史認識」で対立を深めていました。中国の学界が高句麗や渤海は中国の少数民族が建てた国だったと主張したからです。

 21世紀の韓国では「高句麗も渤海も韓民族の国家」と教えていますから「中国人に歴史を盗まれる!」と大騒ぎになったのです。

 高句麗などの領域は現在の北朝鮮の領土と重なります。韓国人は「北が崩壊した後に、中国がその領土を我がものとする布石ではないか」とも疑いました。

 学界の論争は両国民の間の感情問題に発展しました。最後は両国政府が「政治問題化しないこと」で決着したのですが、対立は今も燻り続けています。

 韓国人はこれを単に歴史や領土の対立ではなく「力を付けた中国が韓国を見下し、再び宗主国のように振る舞い始めた」象徴と受け止めたのです。

中国には逆らってはいけない

—歴代、朝鮮半島の王朝は中華帝国に属しましたね。

鈴置:そこがポイントです。話を韓国人4人との歓談に戻します。ひとしきり中国の悪口になった後、1人が「でも、どうせ我が国は属国だったからなあ」とポツリと漏らすと、皆が黙ってしまったのです。

 私が驚いたのは「属国」という言葉がスルリと出てきたことです。日本の属国だったことさえ認めたがらない韓国人が、中国に対してはごく自然に使う。それも「中国には逆らえない」という意味で。

 私がソウルに住んだのは1980年代後半から1990年代初めにかけて――まだ、中国が貧しかったころです。当時の韓国人は中国を完全に下に見ていて「中国の属国だった」などという言い方は聞いたことがありませんでした。

 しかし2006年のこの体験以降、しばしば「属国だったのだから、しょうがない」という言説を聞くようになりました。韓国人がかなりリラックスした時に限りますけれど。

 日本でも昭和40年代まで「まあ、アメリカさんの言うことだから」なんて言い方がありました。米国から少々無理を言われても、戦争に負けたのだからしょうがない、との意味です。

 でも、それとは比べものにならないほど韓国人の「属国だったのだから」は強烈です。なにせ、この一言でどんな議論も終わってしまうのです。

貢女も常態化

—何が異なるのでしょうか。

 

鈴置:太平洋戦争で負けた日本は、初めて国土を外敵に占領されました。その体験は日本人に強烈な影響を与えました。ただ、米国は日本人が想像していたほどには厳しい統治は行いませんでした。

 一方、朝鮮半島の歴代国家の手痛い敗戦は1度ではなく、度重なるものでした。さらに朝鮮半島に対し苛酷な支配体制を敷いた中国大陸の王朝もありました。

 冊封体制の下で、朝鮮半島から中国大陸へと貢女――若い女性を大量に貢ぐことも常態化していたのです。

 「属国だった」という言い方には「中国にはかなわない」との心情だけではなく、中国に対する恐怖感も混じっているのです。

 2009年、韓国の指導層の1人に以下のように質問したことがあります。「膨張する中国に対し、日本人は立ち向かう決意を固め始めました。インド人やベトナム人も同様です。でも韓国人はそうは見えない。なぜでしょうか」――。

中国には勝ったことがない

 その人は、こう答えたのです。「歴史の差です。日本人と異なって我々は中国に勝ったことがない」。

 そこで私は「高句麗は隋に勝ちました。統一新羅も唐を朝鮮半島から追い出したではないですか」と問うたのです。

 すると彼はふっと寂しそうに笑って「そんな大昔のことは関係ないのです。我々は中国と仲良くやっていくしか道はありません」と言い切ったのです。

 要は「韓国人は中国に対抗する覚悟を固めることはない。勝ったことがないからだ。これからは中国の言うことを聞いて生きていく」との告白でした。

 この人の言うように確かに「大昔」を除いて、韓国人が中国人に戦争で勝ったことはありません。それどころか、常に隣の超大国の恐ろしい力を見せつけられてきたのです。直近では朝鮮戦争です。

 韓国を侵略した北朝鮮軍を米軍が朝鮮半島から駆逐しました。その世界最強の米軍を、突然に介入した中国の人民解放軍が敗走させたのです。

 米軍は北緯38度線付近まで押し戻しましたが、人民解放軍の力を目の当たりにした韓国人の、中国への恐怖感は今も相当なものです。

 その前は17世紀の明清交代期の経験です。のちに清となる後金の軍勢に朝鮮の領土は蹂躙され、多くの国民が拉致されました。

ヘビににらまれたカエル

—400年も前の話ですよね。

鈴置:400年前の話ですが、いつでも繰り返され得る話なのです、大陸に住んでいる限りは。そして「北方の強大な異民族への恐怖」は今も小説や映画で再生産されています(「『異様な反日』生む『絶望的な恐中』」参照)。

 中国と向き合う韓国人には、ヘビににらまれたカエルのようなところがあります。私の観察するところ、2010年を過ぎる頃には「中国には従うしかない」との空気が、韓国社会の密かなコンセンサスになっていたと思います。

 2013年2月までは親米路線の李明博(イ・ミョンバク)大統領の時代でしたから、外交的な動きとしては「離米従中」は表に出ませんでしたが。

—今回の朴槿恵大統領の「抗日式典」参加も中国への恐怖感が主因、ということですね。

鈴置:その通りです。

国家意思などない

—でも、米国との関係は、どうするつもりなのでしょうか。

鈴置:韓国の行動からは「どうするつもり」などといった、国家の大方針や国家意思は読み取れません。とにもかくにも恐ろしい隣の超大国の怒りを買わないよう、びくびくと動いているだけです。

 韓国はヘビににらまれないようにするので精一杯なのです。その結果「ヘビほどには恐ろしくない米国」の意向は無視するようになっています。

 匿名の外交評論家、ヴァンダービルド氏がそのあたりの「感じ」を説明しています。趙甲済(チョ・カプチェ)ドットコムの「最近の韓米間の重要な動き」(8月22日、韓国語)から引用します。

米国には甘えても大丈夫

 まずヴァンダービルド氏は、韓国が米国の要請は聞かず、中国の言う通りに動く国になったと指摘します。

 具体的には、日本の集団的自衛権の行使容認、アジアインフラ投資銀行(AIIB)、終末高高度防衛ミサイル(THAAD)、「抗日式典」などの米中対立案件で、です。

 私が「米中星取表」でしばしば指摘するのと同じです。

米中星取表~「米中対立案件」で韓国はどちらの要求をのんだか (○は要求をのませた国、―はまだ勝負がつかない案件、△は現時点での優勢を示す。2015年8月27日現在)
案件 米国 中国 状況
日本の集団的自衛権 の行使容認 2014年7月の会談で朴大統領は習近平主席と「各国が憂慮」で意見が一致
米国主導の MDへの参加 中国の威嚇に屈し参加せず。代わりに「韓国型MD」を採用へ
在韓米軍への THAAD配備 青瓦台は2015年3月11日「要請もなく協議もしておらず、決定もしていない(3NO)」と事実上、米国との対話を拒否
日韓軍事情報保護協定 中国の圧力で署名直前に拒否。米も入り「北朝鮮の核・ミサイル」に限定したうえ覚書に格下げ
米韓合同軍事演習 の中断 中国が公式の場で中断を要求したが、予定通り実施
CICAへの 正式参加(注1) 正式会員として上海会議に参加。朴大統領は習主席に「成功をお祝い」
CICAでの 反米宣言支持 2014年の上海会議では賛同せず。米国の圧力の結果か
AIIBへの 加盟 (注2) 米国の反対で2014年7月の中韓首脳会談では表明を見送ったものの、英国などの参加を見て2015年3月に正式に参加表明
FTAAP (注3) 2014年のAPECで朴大統領「積極的に支持」
中国の 南シナ海埋め立て 米国の対中批判要請を韓国は無視
抗日戦勝 70周年記念式典 米国の反対にも関わらず韓国は参加を決定

(注1)中国はCICA(アジア信頼醸成措置会議)を、米国をアジアから締め出す組織として活用。 (注2)中国はAIIB(アジアインフラ投資銀行)設立をテコに、米国主導の戦後の国際金融体制に揺さぶりをかける。 (注3)米国が主導するTPP(環太平洋経済連携協定)を牽制するため、中国が掲げる。

 そしてヴァンダービルド氏は最後に「韓国人の習性」を指摘しました。以下です。

  • 時に露見する韓国人の特徴:好意的に接してくれる側(米国)に対しては礼儀を守らないどころか、むしろ組みしやすしと見て、ぞんざいに扱う習性がある。
  • 同じ陣営である米国や日本を軽く見る傾向
  • 中国に対しては口一つ聞けぬ傾向

 「好意的に接してくれる側はぞんざいに扱う」と直訳しましたが、この部分を「米国には甘えてばかり」と意訳すると、ニュアンスがより、はっきりするかと思います。「中国ほど怖くない米国には甘えても大丈夫」という感じなのでしょう。

反中デモは起きない韓国

—「中国には口一つ聞けない」とは厳しいですね。

鈴置:韓国では毎週、反日集会や反日デモが開かれます。それほどの頻度ではないにしろ、反米デモも行われます。ただ、反中デモはほとんど起こりません。

 この現象について、韓国の記者から「我が国にとって、中国は特別な国なのです。何をして来るか分からない国だから」と解説されたことがあります。

 日本にも「中国の要求を受け入れることが平和を維持する方法」と思い込んでいる政治家や経済人がいます。ただそれは、韓国のように国民的「コンセンサス」にはなっていない。そこで中国から属国扱いされずに済んでいるのです。

—中国経済の不調が明らかになってきました。それでも韓国は中国側に行くのですね。

鈴置:まさにそこです。韓国人は「抗日式典に参加するのは中国に経済的に依存しているからだ」と言います。でも今、中国への輸出が減る中、経済面でも再び米国頼りになり始めているわけで、この理屈は相当に怪しい。

 実際、多くの韓国人が「経済も中国頼みではダメだ」と考え始めました。でも「中国への恐怖」から、もう米国側に後戻りできなくなっているのです。

57%が「米中等距離」

—普通の韓国人はどう考えていますか?

鈴置:韓国の世論調査会社、リアルメーターが7月29日に「米中、どちらが重要か」を聞き、翌30日に公表しています(グラフ参照)。これによると、「米国が重要」と答えた人が50.6%、「中国」が37.9%です。

グラフ●米中どちらが重要か

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 「中国派」の比率が「米国派」に迫っていることが分かります。なお、この結果はネット上に記事スタイルで提供されていますが、主見出しは「まだ、米国?」です。少しの差だけどいまだ米国派が中国派よりも多いことがニュース、という感覚です。

 もう1本の見出しは「中・米の中でより重要な国は」と「中国」を先に表記しています。米国より中国を先にする書き方は初めて見ました。

 また、朝鮮日報とソウル大学アジア研究所が実施した世論調査の結果が、同紙に載っています。「2030女性たち『韓米同盟を強化』の声、増える」(8月10日、韓国語版)です。

 それによると「韓中関係を強化し、米中間で等距離外交をすべきだ」と答えた人が57.1%で、「米韓同盟を強化すべきだ」の42.9%を上回りました。

 調査日は記事中に示されていませんが、独立記念日特集なので、今夏に実施したと思われます。なお見出しは、調査結果のうち「20歳代と30歳代の女性に限れば、10年前と比べ米韓同盟支持者が増えた」という部分からとっています。

 日本のメディアの編集者なら「米中等距離派が米国派を超えた」と付けるところです。もう韓国では「等距離外交」が当たり前になったということでしょう。

米国は韓国を捨てないはずだ……

—韓国では「等距離外交」が当たり前、ですか!

鈴置:ええ、韓国人の平均的な意見は「米中間では等距離に位置すべきだ」との方向に傾いています。ただ、「米韓同盟は維持しておきたい」という人も多いと読むべきでしょう。米国には、北朝鮮からの攻撃を防いでもらわねばなりませんからね。

—米中等距離をやりながら米国に守ってもらう――そんな虫のいいことが可能ですか?

鈴置:韓国人の多くが可能と考えています。日本人から見れば、あるいは韓国では珍しい外交感覚のヴァンダービルド氏から見れば、それは「米国に対する甘え」なのですが。

 韓国人と話せばすぐに分かりますが「こんなことをしていたら、米国が怒り出すだろうな」と考える人は予想外に少ないのです。「確かに韓国は米国に世話になっている。でも、米国は韓国との同盟をやめるわけにはいかない」との認識からです。

覇権交代期には「二股」可能

—なぜ「米国が韓国との同盟をやめられない」のでしょうか。

鈴置:平均的な韓国人は現在の国際社会を冊封体制的な視点で見ています。そこでは朝貢国は、冊封体制に属しているということだけで、宗主国に恩を売っているのです。

 なぜなら宗主国の皇帝は、より多くの朝貢国を抱えることで内外に権威を示せるからです。だから、朝貢物よりもはるかに価値がある品物が宗主国から下賜されるのです。

 現在の韓国人も「私は中国側に行ってもいいのだけれどまだ、米国と同盟を結んであげているのだ」と、心のどこかで思っています。

 明清交代期に朝鮮は明と清の双方に朝貢しました。二股外交です。当然、明清双方から「敵方に行くなよ」と言われました。しかし清の力が決定的になるまで、いずれからも白黒を付けるよう厳しく迫られることはありませんでした。

 明も清もその覇権が不安定な時期は、朝鮮を相手方に押しやるような厳しい姿勢はとれなかったのです。そこで数十年間ですが、朝鮮の二股外交が成立したのです。

米国は口を出すな

—現在の指導層も「二股外交は十分可能だ」と考えているのでしょうか。

鈴置:中央日報で国際問題を担当する金永煕(キム・ヨンヒ)大記者が「韓国の外交的決定は『韓国のもの』であるべき」(8月21日、日本語版)を書いています。

 国際情勢を色々と説いていますが、結論部分は以下です。なお日本語版では、金永煕大記者の肩書は「論説委員」と訳されています。

  • 韓米同盟が韓国安保の根幹だが、米国の顔色をうかがい過ぎだ。9月3日に中国戦勝節(抗日式典)に行くのに米国の暗黙的な了解を求めるのは時代錯誤的な屈従外交だ。
  • 北朝鮮牽制に中国の役割は必須だ。いつかあるだろう統一外交にしても同じだ。朴大統領は戦勝節に出席して軍事パレードまで参観することに対して躊躇する必要はない。
  • 韓国は堅実な中堅国家として周辺強大国パワーゲームのバランスウエイトだ。今後は広い北東アジアを視野に置いて、この地域唯一の中堅国家として「バランスウエイトの力」を使って北東アジアの平和を牽引しながら南北問題に接近することができる。
  • 米国は韓国を中国包囲網に編入させようと、韓米日の3角安保体制に入れ、THAADを受けろ、ミサイル防衛(MD)網に参加しろとしきりに圧迫するが、判断は徹頭徹尾「韓国のもの」でなければならない。

気分は明清交代期

—強気ですね。

鈴置:「米国は、韓国のやることにいちいち口を出すな」との主張です。韓国の「自主外交宣言」です。

 「『バランスウエイトの力』を使えば二股外交も可能だ」との主張でもあります。米国に対し「朝貢をやめるぞ」と言えば、中国側に行かれては困る米国が逆に大事にしてくれるだろう――との読みが見え隠れします。

 中央日報は保守系紙の中でも最も現政権に近いと見られています。朴槿恵政権の本音もこんなところかと思われます。

 韓国の気分は明清交代期なのです。そうそう、言い忘れていました。今の韓国では「米中の間で覇権が交代し始めた」――米中交代期との認識が一般的なのです。

トランプのただ乗り論

—米国はどう動くでしょうか。

鈴置:韓国が同盟国の義務を果たさないどころか、敵方陣営に堂々と出入りし続けるなら、いずれ捨てるかもしれません。ことに今、米国では「帝国の規模」を現実の力に合わせて縮めるべきだ、との声が高まっています。

 米共和党の大統領候補者の1人で実業家のトランプ(Donald Trump)氏が「米国との同盟にただ乗りしている」と韓国を批判しました。安倍晋三政権になって必死で米国に忠義を尽くす日本との同盟さえも「片務的だ」とやり玉にあげました。

 トランプ氏の意見は極端かもしれません。が、共和党候補の中で一番の人気を誇っているところを見ると、米国の気分を反映しているのは間違いありません。

 そもそも米国人の同盟観が、韓国が長い間属していた冊封体制の感覚と同じである保証はありません。米国人は自分の理念を世界に広げる方を好むように見えます、朝貢国の数を増やすことよりも。中国人のような下品な恫喝はしませんが、米国人は裏切り者には厳しいですしね。

8/26 大礒正美メルマガ『天皇の憲法誤解を解かねば』について

確かに、大礒氏の言うように日本の2つの憲法は上から付与されたものです。明治憲法は不平等条約改定のため、西洋人に安心感を与えるため法の整備をする必要があったからです。結果として日本の近代化、法治主義の徹底(どこかの国のように人治主義、情治主義ではありません。明治時代にです)が進められました。

昭和憲法はGHQの押付け憲法です。東大法学部を頂点とした国家統治の官僚システムでは、護憲に対し非常に威力を振るって来ました。憲法99条は「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。」とあり、公務員試験・司法試験受験者はこれが頭に刷り込まれることになります。ただ、現憲法は96条に改正手続きがあるので、当然に変えられるはずです。それが不磨の大典のように扱われるのは思考停止しているとしか思えません。護憲派というのは適者生存できない(環境変化に対応できない)合理性に欠く人達か、外国の手先かどちらかです。学者、マスメデイアの権威者・知識人と言うのがこのレベルです。自分の頭で考える癖をつけましょう。

三島由紀夫の『文化防衛論』で天皇親政・天皇の軍隊を主張していましたが、小生は「天皇は“priest-king”で権威の象徴、政治の実権を握る権力者とは分離しておいた方が良い。戦争に負けたときに断絶させられる可能性もある。日本の悠久の歴史の中で守ってきたものが変わってしまうことになりかねない」と思っていますので、この部分は三島の意見に反対です。

そもそも憲法で天皇の地位を定める(明治憲法も含めて)のは間違っていると思います。日本の歴史の中で天皇が政治の実権を握った時代は短かったと思います。「君臨すれど統治せず」は王が実権を握った時代が長かった英国の知恵でしょう。天皇は憲法を超えた存在と言うのが正しいのでは。今上天皇が憲法に拘りを見せるのは憲法99条を意識してのことかも知れません。

ただ、今年の年頭の感想で「この機会に,満州事変に始まるこの戦争の歴史を十分に学び,今後の日本のあり方を考えていくことが,今,極めて大切なことだと思っています。」と日中戦争が満州事変から始まったと位置づけるのは東京裁判史観です。この発言は踏み込みすぎでしょう。リットン報告書も日本軍の侵略行為と認定していません。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AA%E3%83%83%E3%83%88%E3%83%B3%E8%AA%BF%E6%9F%BB%E5%9B%A3

孫文は「革命が成功したら、夷荻の国満州は日本に売却してもいい」と言っており、エリザベス・シューペンターやヘレン・ミアーズも日本の満州での行動を欧米諸国の取った行動と同じと擁護しています。

記事

近代日本の不幸の1つは、たった2つしか持ったことのない憲法が、2つとも上から国民に与えられたものだということである。

 その事実を知るだけで、憲法が国家権力を縛るためのものだという主張が、いかに後付けのこじつけか分かるはずだ。

 明治の大日本帝国憲法は、天皇が「臣民」に与えた欽定憲法と言われるもので、政府・議会も国民投票で信任を得るという手続きは考えもしなかった。

 つまり、上から順に「天皇」「憲法」「国民」という上下関係が初めから決まっていた。

 戦後の日本国憲法は、マッカーサー憲法と呼ばれるように、占領軍から「天皇を含む日本国民」に与えられた。

 したがって上から順に、「マッカーサー」「憲法」「国民」という上下関係になった。

 当時の日本人がどんなに独裁的司令官を尊崇し敬愛したか、今でも語り草になっているほどだ。そのマッカーサーがいなくなれば、自然に憲法が最上位に位置し、国民が下につく。

 これが、憲法至上主義を生んだ根本原因である。

分かりやすくいえば、憲法をあがめることで、その上にあるはずのマボロシの権威に従うという心理である。すなわち平和や民主主義を天与の宝物のように受け止めた。

 こうなると宗教と同じで、憲法が神殿のようになり、もちろん9条が「ご神体」となる。当然、ご神体を毀損することなどバチ当たりの極で、神殿が古くなって改修が必要となっているのに、それさえも手を触れるなと大声で反対する。

 そういう憲法至上主義論者たちは、日本国憲法を与えた米国自体の憲法を、都合よく無視しているのが常だ。

 米国憲法はそもそも、英国からすれば反逆者となる13の植民地が、独立の理由付けと、連邦国家にまとまって英国の再攻撃に備えるために、妥協を重ねて作った外交文書のようなものだ。

 国民が政府を縛るというような発想はなく、13の仮想独立国が連邦政府の権限を縛ることに集中している。通商交渉の権限が、政府でなく議会にあるのが典型的な例だ。

 それよりも重要なのは、前文で独立が「神の御意志・祝福」(Blessings)だと宣言し、英国の反逆者呼ばわりを跳ね返している点である。

  キリスト教、ユダヤ教、イスラムの文化では、明示しなくても一神教の神(造物主)を前提にした言い回しが普通に見られる。

 米国憲法には、大統領を始め公務員は宣誓しなければならないという規定が複数あるが、その宣誓とは当然に「ゴッド」を対象としている(異教徒は別文言)。

 つまり、米国民は憲法の上位に「ゴッド」を置いていると言ってもいい。ドル紙幣の裏面には「IN GOD WE TRUST」と明記されている。日本流に言うと「おてんとうさまが見てる」という価値観、

宗教観だろう。

 では、アメリカを生んだ元の英国では憲法をどう見ているかというと、ここでは成文憲法がないのである。憲法がないのではなく、マグナカルタ(1215年)以来の重要法や判例の積み重ねが、不成典憲法として存在している。

 どうしてそういう特異な最高法規が成立したのかというと、王権と宗教権が長期間に亘り激しく対立してきた歴史があるからだ。

 結果として16世紀に英国国教会がローマ教会から独立し、国王が首長を兼ねて今日に至っている。

 そうなると、憲法の上位にゴッドを戴く米国スタイルは都合が悪いということになる。

 英国は、仏、米、日、独、伊の諸国と異なり、近代国家への脱皮が明確でないので、特に成文憲法を必要としなかったという事情もあるだろう。

 逆に日本は、西欧と足並みを揃えようと焦って憲法を制定したため、今日に至る大混乱を生み出してしまったと言えるだろう。

 悪いことに、マッカーサーなきマッカーサー憲法に、君主である天皇が国民の一部として、無条件に従っている。昭和天皇に比べ今上陛下は一段と、日本国憲法に思い入れが強いように推察されている。

 こうした根本的な憲法誤解が続く限り、9条はおろか、神殿である憲法に一指も触れられない日本が、今後も続いていくのではないかと危惧される。

 平和安全法制の審議が60年安保騒動になぞらえられるほど混乱してきたのは、思いがけず「戦後レジーム」の核心にぶち当たってしまったからだと考えられる。

 そのため安倍首相は米国向けに、「戦後レジームからの脱却」という看板を下ろしますと宣言して見せた。

 それが「戦後70年談話」の真意だと見ることもできよう。

8/24産経ニュース 野口 裕之『海賊退治に原潜を随伴する中国軍 山賊には重戦車軍団を充てる!』について

相変わらず、中国のあくどさが分かる記事です。世界覇権の野望を着々と進めています。口先では綺麗なことを言いながら、中国の属国にという野望を「衣の下の鎧」をちらつかせながら進めようとしています。でも、ミャンマーもスリランカもそれに気づいて中国とは距離を置くようになりました。

アメリカがリバランス政策とか言いながらアジア回帰に見えない所が問題です。中国の増長・傲慢はアメリカの軍事費削減とオバマの「世界の警察官はヤメタ」発言を見聞きしてからです。プーチンも然り。だからクリミアや東ウクライナを取りに行ったのです。オバマは史上最低の米国大統領として記憶されるでしょう。彼の言動により、侵略を事実上許してしまったのですから。オバマケアの成功など大したことはありません。米国内の問題ですから。

昨日はAIIBの記事を載せましたが、彼らに金融まで好き勝手やらせれば、軍事目的に使われることは必定です。寄港地にするために大きなポートやバースをAIIBの低利貸し付けでやらせ、その国の貿易も活性化すると言った触れこみで取り込み、属国化するつもりでしょう。

中国人は過去に拘る民族(=未来志向ではないが、未来の阿漕な掠奪については知恵が回る)で、鄭和(馬三保、1405~1433年7度にわたる大航海をし、アフリカまで行った。中国で馬姓は先祖は回教徒と聞いた覚えがあります)が回った国々も中国にひれ伏すべきと考えているのでは。

中国ほど人権・民族自決を蔑ろにしている国はありません。孫文の三民主義の「民族主義」ですら、滅満興漢の意味で、漢民族の政府樹立を目的としました。民族自決とは程遠い。だから今でもチベット、ウイグル、内蒙古の人々は悲惨な目に遭っています。邪悪な国・中国をのさばらせない為に①中国の経済崩壊②多国間よる封じ込めが必要です。日本人も中国との貿易が減る、株価がそれで下がる痛みを覚悟し、かつまた集団安保法制を早めに通して、中国の経済崩壊で国民の目を逸らすための戦争勃発に備えなければなりません。平和を愛する人々こそこの法案の大切さが分かるはずです。

記事

狡猾な帝国は海賊の悪用法をご存じだ。イングランドを治めたエリザベス1世(1533~1603年)は、海賊の頭目フランシス・ドレーク(154頃~96年) に出資して略奪行為を支援し、見返りに莫大な金銭を受け取り、大英帝国繁栄への道筋を敷いた。今なお、海賊は使い勝手がすこぶる良い。

◆実体は戦力投射演習

中国海軍はソマリア沖などで跋扈する海賊より商船を護る任務に、憑かれたように、参加各国中突出した積極性を見せる。南シナ海の係争海域で岩礁を埋め立て、東シナ海では日本領海を侵すなど、国際法を公然と破る中国が、海賊退治では国際社会との協調性を示す不可解。

案の定「水面下」でたくらんでいた。海賊退治には無用の長物・原子力潜水艦を随伴したのだ。海賊退治は隠れみので、実体は米軍に比肩する遠征軍創設に向け、実戦を意識した長期・遠方での戦力投射演習。

しかも 往復の航海中、インド洋での有事を想定し、宿敵のインド軍や米軍など敵性国軍を迎え撃つべく、潜水艦の待ち伏せ場所の探査まで行う。中国軍膨張を看過できぬ国はインド洋を表玄関とするインドや、航行の自由を国是とする米国に限らない。

エネルギーや食料の大動脈=インド洋で、航行の生殺与奪権を中国が握れば、日本や東南アジア諸国の生存に関わる。中国海軍はエネルギーや途上国の市場など、世界の富をあさりまくる「大海賊」の様相を呈している。

中国海軍は2008年12月~15年8月まで21次にわたり、延べ1万7000人の海軍将兵+1400人の海軍陸戦隊・特殊作戦部隊が800回以上の任務を遂行。13年12月 以降だけで、攻撃型原潜や通常型潜水艦、潜水艦救難艦が最低各1回随伴した。

海賊をにらむ商船護衛に潜水艦は原則必要ナシ。そもそも海賊の操る高速艇に比し、水上航行する潜水艦は遅い。新世代は甲板に大砲や機関銃は装備していな い。丸みを帯びる船体も、海賊船の拿捕に使う小型ボートの緊急発進を阻害する。

実は、オランダ海軍が10年と12年、海賊対処活動中のNATO(北大西洋条約機構)艦隊に通常型潜水艦を参加させている。潜水艦には、海賊根拠地の偵察や、 根拠地に対する特殊作戦部隊の潜入・急襲任務を支援する母艦としての役割も考えられる。

ただ、海賊の警戒網突破は潜水艦の隠密行動が不要なほど難度が低く、潜水艦投入は例外中の例外だ。

◆「親善」寄港も看板に偽り

国力や取り巻く情勢に見合う《軍備=能力》保有は独立国の権利だが、問題は《意図》。日米印や豪州、東南アジア諸国の多くは中国が邪悪な軍事拡大意図を隠していると警戒する。

中期的には、エネルギー・市場や台湾の支配を狙った南シナ海/東シナ海の覇権確保。長期的には政治・経済・安全保障上の「中華圏」に、米国を介入させない総合力の確立だろう。中華圏が膨張し続けるには南シナ海/東シナ海のみならず、さらに遠方=インド洋での覇権も必要となる。

覇権達成には、陸海空軍の統合運用を基盤としつつ、陸空軍兵力投射が難しい遠地における、海軍の長期作戦が不可欠。作戦成功には、武装水上艦/潜水艦/補給艦/艦載・艦上機の相互連携などがカギとなる。

当然ながら、純粋に国際の安定を目的に海賊対処に加わる国の海軍でも装備・作戦・補給・教育訓練といった各面での「戦訓」を得ようと総括を繰り返す。ただし「付加価値」追求には常識と節度が求められる。

「戦訓」を暴力的な覇権目的に悪用されては、東シナ海/南シナ海/インド洋をエネルギー・食料の生命線と位置付ける国々の生存は脅かされる。

中国が静粛性を向上した潜水艦の投入をインド側に通告しなかったケースでは、探知できなかった印国防省が衝撃を受けた-との情報も在り、生命線を分断される不吉な予兆は既に顕著だ。

「親善・補給・休養」目的の寄港でさえ看板に偽りが有る。一般的に「移動大使館」でもある海軍艦は陸空軍に比べ外交の一翼を担いやすいが、中国の軍事外交は生臭過ぎる。中国海軍は海賊対処活動を行っている7年近くの間に百数十回の外国寄港を果たした。多くはインド洋上か沿岸の国々で、その内ミャンマー▽イエ メン▽オマーン▽パキスタン▽スリランカ▽ケニア▽タンザニア▽モザンビーク▽セーシェル▽ジブチ…などで、中国企業が港湾・補給施設建設を終了か計画している。

◆モルディブが「周辺国」?

16世紀の海賊は港湾都市などを急襲して財宝を奪い、酒と女性に飽きれば次の獲物を目指した。ところが、現代の「海賊」はもっと獰猛で、相手国を骨抜きにして事実上乗っ取る。

中国海軍は海賊退治を名目に、乗っ取りの先兵として寄港。 本国が乗り出し次第に誼を深め、文化交流→経済支援・インフラ建設→貿易拡大→軍事交流や兵器供与→兵器輸出→労働者派遣→港湾・補給施設建設→軍事同盟締結→中国 船・国民保護名目で駐留軍派遣→中華街建設…と、受け入れ国の意向に関係なく、中華圏に呑み込んでいく。

欧州列強の苛烈な植民地政策に虐げられたアフリカ・アジアの人々に「遅れてきた帝国」の恐ろしさは自覚してもらわなければなるまい。

ハリウッド映画上はともかく、今どきの海賊は損得しか考えぬ。インド洋上のモルディブで14年12月、海水淡水化施設が火災に遭い断水に陥ったときのこと。

淡水化装置を有す中国潜水艦救難艦が対海賊任務を中断、来援したのは支援要請2 日後だった。大量の飲料水を積む空軍の大型輸送機や民間機も次々に到着。迅速な給水・資金支援に国際社会は目を疑った。

同時に、中国外務省報道官の「モルディブ国民の危機をわが身のことのように感じ(略)親・誠・恵・容という中国の外交政策 を明示した」とのコメントに、少なからず関係者は白けた。

インド国防関係者も、伝統的に担保してきたモルディブの安全保障を切り崩している、中国の野望を憂う。 借款+外務省庁舎・国立博物館建設などは全て、軍事協定締結と潜水艦基地建設を求める“中国の善意”だった。

中国外務省報道官は「中国と周辺諸国は運命共同体」だとも説明したが、小欄には「周辺諸国の運命は中国が握っている」と響く。はるか遠方のモルディブ が「周辺諸国」と認定するズレた感覚にも中華帝国の「鎧」を見る。