『「北朝鮮は非核化で譲歩しなかった」は間違い 焦点は米朝の「和解」だった』(6/18日経ビジネスオンライン 森永輔)について

6/20西村眞悟の時事通信<我らの使命は、北朝鮮と中共の独裁体制が崩壊するのを見ることである>北と中共の独裁体制が崩壊するのは大賛成です。でも、真の敵は中国ですので、北を味方につけて攻める手も「あり」と思います。サウジも秘密警察の強い独裁国家ですが、米国は石油とオイルダラーの為に、それを黙認し、同盟しています。小生も北の国民が死の恐怖におびえながら暮らすより、民主化され自由な社会に生きた方が良いと思いますが、先ず隣国を民主化しない限り、中国が北に攻め上げて来るでしょう。中共を打倒するまでは致し方ないと思います。

http://www.n-shingo.com/jiji/?page=1435

6/21阿波罗新闻网<美议员提议案 呼吁摒弃一中并承认台湾=米国議員(ローラバッカー下院議員、カリフォルニア選出、共和党)は議案を提出 一中政策を止め台湾を承認する呼びかけ>議員は20日、議会に議案を提出し、「米国は台湾と外交関係を回復するプロセスを始め、米国政府の数十年に亘る“一中政策”を止めるべき」と。「“一中政策”には瑕疵があり、“一中一台”に改め、台湾を主権国家として承認すべき。米国政府は台湾を全面的に支持し、国家として国連組織全部に参加させ得るようにすべき。米国が国家承認をしていないのは成熟した民主国家としての台湾以外はシリア、イラン、北朝鮮、ブータンの4ケ国」とも。

いよいよ議会も台湾を国家承認、中共切捨ての方向で動き出したのでは。蔡英文総統がトランプ大統領との電話会談、米海軍艦艇寄港検討や要人の交流可とした事など、中共を正面の敵と認識し、米・日・台で対抗しようとしているのでは。

http://www.aboluowang.com/2018/0621/1132596.html

6/21看中国<金正恩玩弄两手策略 朝媒狠戳川金会(图)=金正恩は両天秤の策 北のメデイアは米朝首脳会談を思い切って後押しする>北京の外交関係筋は「金の三度目の訪中は①中国の朝鮮半島における不関与の懸念にバランスを取ること②トランプに核問題での進め方に注意を与える」と分析。北のメデイアは「金は習に対し、“朝中は家族と同じで、苦楽を共にし、お互いに関心と支持を寄せ、世界に向けて手を携えて朝中関係は既に伝統的な関係を超越し、歴史上前例のない特殊な関係に発展した”と述べた」と。もう一点注目すべきは「金は未来の朝鮮半島の発展に於いて中国の官員の協力があれば真の和平が保てる」と。トランプは金が習に面子を与えるのは面白くない。外交筋は「金が北京に近づくのは、ある種米国にヒントを与えているのである。(米国は中国を説得しないとの意?)この両天秤は至れり尽くせりとも言える」と。

まあ、金の本心が奈辺にあるかは神のみぞ知るでしょうけど。両大国を相手に振り回すだけの力量があることは大したものとも言えますが、日清戦争前夜の朝鮮の大院君、閔妃、高宗の事大主義でシナ、日本、ロシアに付いたり離れたりの例を思い起こせば、危ない綱渡りとも言えます。それもこれも米国の優柔不断、日本の無関心が招いた北の核保有国としての地位があればこそです。本当に核放棄するのかどうかです。

https://www.secretchina.com/news/gb/2018/06/21/862279.html

本記事の宮本氏の意見は、米朝首脳会談を肯定的に捉えています。本ブログでも何人かの意見を紹介しましたが、批判的に見る人の方が多かった印象です。小生は重村氏や宮本氏の言うように米国は譲歩していないし、いつでも戦争できる態勢にあるし、(安倍首相がトランプにアドバイスしたとも言われる)文書化もできました。細かい所が書かれていないのは、やはり金を助けるためでしょう。下手にストレートに書けばクーデターが起きる可能性があります。米国としてもここまで交渉してきて、海のものとも山のものとも分からない未来のクーデター政権と交渉するより良いとの判断と思います。

宮本氏も「中国は隣の国が共産主義国でなくなることを恐れている」と思っているようです。

記事

史上初の米朝首脳会談が6月12日に開催された。「非核化」の具体策と期限が示されなかった点に批判の声が上がる。だが、北朝鮮外交・政治・軍事の研究者、宮本悟・聖学院大学教授は「焦点は『和解』にあった」と見る。そして「金正恩委員長は非核化を目指す」(同)

(聞き手 森 永輔)

この笑顔は米国との和解を達成した喜びを表すのか、非核化で譲歩しなかったことの達成感をしめすのか(写真:AFP/アフロ)

—6月12日、史上初の米朝首脳会談が開催されました。注目されたのは、どんな点ですか。

宮本:第1に、北朝鮮が「完全な非核化」を米朝首脳会談で受け入れたことです。4月27日に行われた南北首脳会談の「板門店宣言」に記されている通りの内容です。これは北朝鮮が譲歩したことを意味します。

宮本悟(みやもと・さとる)
聖学院大学 政治経済学部 教授 1970年生まれ。同志社大学法学部卒。ソウル大学政治学 科修士課程修了〔政治学修士号〕。神戸大学法学研究科博士後期課程修了〔博士号(政治学)〕。日本国際問題研究所研究員、聖学院大学総合研究所准教授を経て、現在、聖学院大学政治経済学部教授。専攻は国際政治学、政軍関係論、比較政治学、朝鮮半島研究。著書に『北朝鮮ではなぜ軍事クーデターが起きないのか?:政軍関係論で読み解く軍隊統制と対外軍事支援』(潮書房光人社)など。(撮影:加藤 康)

—「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化」(CVID)が共同声明に盛り込まれなかったことから、「北朝鮮は非核化で譲歩することがなかった」とする見方が多くあります。

宮本:私は異なる見方をしています。まず北朝鮮は6カ国協議の際にCVIDを否定していました。なのでCVIDの「C」すなわち「完全な」が入った分、北朝鮮は譲歩したと見るべきです。

もちろん「完全な」が意味するものが明確でないことは否めません。しかし、その点を責めるべきではないでしょう。そもそもCVID自体が曖昧なもので、同じ状態でも、北朝鮮に対して「まだCVIDになっていない」とも、「すでにCVIDである」とも言うことができるものです。極端に言えば、米国がこれはCVIDだと言えばCVIDになるのです。

それに、今回は「首脳」会談です。和解し、非核化の大きな目標を示すことがその目的でした。「非核化」の定義が明確でないとの批判は的外れな気がします。よって「米国は負けた」「北朝鮮ペースで交渉が進んだ」と見るのは適切でないと思います。

—「和解」の重要性に注目していますね。

宮本:はい。米国の見方は、非核化したら和解できるというものでした。しかし北朝鮮は「和解できたら非核化する」と考えている。そもそも、朝鮮戦争を発端とする米国との対立があるから北朝鮮は核開発を始めたのです。今回は、米国がこの北朝鮮の考えを受け入れて首脳会談に臨んだのだと思います。

つまり、米朝が対立をやめ、和解と非核化のスタートラインに立つことが首脳会談の目的だった。この目的は一応達成できたのではないかと評価します。

米国側で、この北朝鮮の考えを理解したのがマイク・ポンペオ国務長官だったと思います。

—国務長官がレックス・ティラーソン氏からポンペオ氏に交代したのは、米朝首脳会談を開くという点においてはグッドニュースだったわけですね。ポンペオ氏が理解しているのはどこから分かるのですか。

宮本:5月13日に、「北朝鮮が核兵器を放棄する戦略的選択を行なえば、米国は北朝鮮に安全保障を提供する用意がある」と発言していました。

北朝鮮がシンガポールでの会談に応じたのも譲歩です。元々はピョンヤンで開くことが北朝鮮側の希望でした。しかし、そうなれば北朝鮮の国民が「米国が謝罪に来た」と解釈する可能性があるでしょう。この案はドナルド・トランプ米大統領が拒否しました。

宮本:次に浮上した板門店もホワイトハウスが受け入れなかった。韓国の影響を強く受けることが望ましくないと考えたようです。

シンガポールは空路で移動する必要があります。北朝鮮においては神にも等しい存在である金委員長を危険な目に遭わせることは国家の尊厳に関わることでしょう。それに、北朝鮮の航空機は老朽化しているため、戸惑いがあったはずです。結果的には中国国際航空を利用することで解決させました。

2月15日から3月5日の間に「非核化」を決断

—北朝鮮はこれまで米国からの脅威に「核」で対抗する道を歩んできました。これを、「和解」することで米国の脅威をなくす方針に転換したわけですね。なぜでしょう。

宮本:核兵器開発や核抑止体制を維持するにはコストがかかります。「和解」して非核化すればそれが必要なくなり、核兵器開発に対する経済制裁も解除されます。

また、北朝鮮は、中東やアフリカなど第三世界との交流を進めています。テロ支援国家の指定や制裁によって国家イメージが悪化するのをよしとしていません。

—米国に対する方針転換を図ったのはいつだったのでしょう。

宮本:1月1日から3月5日の間のどこかだったと考えます。そして、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領の説得が金委員長の背中を押した。

1月1日に新年の辞を発表した時点では、まだ米国に対して強硬姿勢でした。核のボタンは執務机の上に置かれている、としていた。いっぽう3月5日には、金委員長と会談した韓国の特使がその足で訪米し、米朝首脳会談をしたいという金委員長の意向をトランプ大統領に伝えています。

2月9日に金委員長の妹である金与正(キム・ヨジョン)氏と金永南(キム・ヨンナム)最高人民会議常任委員長が平昌(ピョンチャン)五輪に出席するため訪韓し、大統領府を訪れました。文大統領が米朝会談を進めることを提案しましたが、北朝鮮側は反応を示しませんでした。

しかし2月25日、今度は金英哲(キム・ヨンチョル)党副委員長が訪韓し、文大統領に「米朝会談をする用意がある」と伝えました。

—この時点で「和解」へのかじを切った。

宮本:そうかもしれません。党の高官がこのように発言したことの意義は大きいでしょう。しかし、核問題について米国と協議することは許されていませんでした。

北朝鮮は2013年3月に開いた党中央委員会全員会議の場で、核問題を協議の対象としてはならないと定めていたからです。この全員会議は、核開発と経済再建を並行して進める「並進路線」を定めた会議として知られているものです。

同会議は次のように宣言しました。「先軍朝鮮の核兵器は決してアメリカのドルと換えようとする商品ではなく、我々の武装解除を狙う対話の場と交渉卓上に載せて議論する政治的交渉物や経済取引物ではない」

つまり、この2月25日から3月5日までの間に、この宣言を取り下げる大きな決断をしたのではないかと思います。これは大転換です。党中央委員会全員会議の開催なしで、党の方針を変えられるのは、当然、金委員長しかいません。

—平昌五輪を皮切りに南北が接触する過程で、文大統領が金委員長を説得したわけですね。ただ、文大統領が説得しても、金委員長がすぐに受け入れるとは考えられません。北朝鮮の側に文大統領の説得を受け入れる下地があったのでしょうか。

宮本:そう思います。金委員長はかつて「脅威がなくなり、安全が確保されるなら、苦労して核を開発する必要はない」と語っていました。「苦労して」と言っているところから、核開発にかかる資金面の負担が財政を悪化させていたことが読み取れます。

—冷戦末期のソ連と同じですね。軍拡の負担が重くなっていた。

宮本:そう思います。

「体制の保証」も定義されていない

—北朝鮮は非核化の具体策を示していないのに米国は北朝鮮の「安全の保証(security guarantee)」をしたという批判も多いですね。

宮本:実は、北朝鮮が求める「安全の保証」の定義も「完全な非核化」と同様に具体的ではありません。具体性がない点ではイーブンではないでしょうか。

(撮影:加藤 康)

トランプ大統領が「米韓合同軍事演習を当面行なわない」と示唆したのは米国の譲歩だと見る向きもあります。これに対して北朝鮮は「米国はいつでも容易に再開できる」と評価しているでしょう。反対に、北朝鮮が核実験場とミサイル実験場を破棄しても非核化にあまり意味がないと評価する向きが米国で多いですね。

トランプ大統領の発言は北朝鮮の安全を保証する意思があることを示すシグナルではあっても、保証そのものではありません。同様に、北朝鮮が核実験場とミサイル実験場を破棄したのも非核化の意思を示すシグナルであっても、非核化そのものではありません。今は、米国も北朝鮮もお互いに、意思を示すシグナルを出している状態であって、お互いに何も相手に与えていないのです。

繰り返しになりますが、今回の米朝首脳会談は両国の首脳が仲直りの握手をしたことに意義があるのです。そして、非核化と北朝鮮の安全に関する大きな方針を掲げたわけです。

—トップダウンで方針を決めて、詳細は実務者に任せる。これがトランプ流でしょうか。

宮本:そうは思いません。大きな外交交渉ではよくあることです。先の南北首脳会談もそうでしょう。具体的な話は、今後予定されている実務者協議が進むのを待って評価するべき。

イランと北朝鮮が異なる理由

—実務者協議は期待できるでしょうか。

宮本:進展させるためには米国が現実的な人物を交渉担当者に据える必要があります。核の平和利用にまで制限を課すようだと、北朝鮮は決して受け入れないと思います。1994年に米朝が枠組み合意に達した時も、北朝鮮の平和利用の核は認めました。北朝鮮は慢性的な電力不足に苦しんでいます。国内にウラン鉱を保有しているので原子力発電を切望しているのです。

—米国は5月8日、イラン核合意から離脱することを決めました(関連記事「米国の『原則ある現実主義』が導く核なき中東」)。この合意は、医療用途などウランの平和利用をイランに認めるものでした。

米国のその核合意から離脱した。このことは米朝首脳会談における北朝鮮の態度に何か影響を与えたでしょうか。

宮本:恐らくなかったでしょう。「米国は約束を守らない国だ」という印象を北朝鮮に与えたなら、北朝鮮は首脳会談を進めなかったと思います。

またイランと北朝鮮では置かれた環境がかなり異なります。トランプ大統領が離脱を決めた理由の一つに、バラク・オバマ前大統領が達成したレガシーを否定する意図があります。イラン核合意しかり、TPP(環太平洋経済連携協定)しかりです。一方、北朝鮮の核問題には、オバマ政権は手を着けませんでした。だから、オバマ前大統領のレガシーを否定するには、北朝鮮の非核化に何か手を着ければよいのです。

—米国がイラン核合意から離脱した背景には、イスラエルの安全を守る意図もありそうですね。

宮本:そう思います。米朝首脳会談が実現した背景に、米国の同盟国であるイスラエルが反イランであるのに対して、同じく同盟国である韓国の文政権が親北朝鮮にかじを切った点も影響したでしょう。

懸念は、米朝の国内にいる反対勢力の存在

—実務者協議を成功に導く要素と、破綻につながる要因を一つずつ挙げていただけますか。

宮本:成功に導く要素は、金委員長が非核化を実現する意思を固めていること。和解が順調に進めば、核開発の全貌を明らかにするところまでは少なくともいくと思います。現在は、核弾頭が何発存在するのか、それは高濃縮ウランを使ったものも含まれているのか、プルトニウムを使ったものだけなのか、まったく分かっていません。

加えて、朝鮮労働党は4月20日に中央委員会全員会議を開いて、並進路線を集結し、経済建設に集中する意向を発表しました。北朝鮮が路線の終結を明らかにするのは極めて異例です。ここにも金委員長の決意が表れていると言えるでしょう。

一方、ネガティブな要素は米朝双方にある政治的雑音、つまり反対勢力の存在です。

核兵器を開発している研究チームや、その管理を担当する戦略軍が簡単に納得するとは考えられません。

北朝鮮の閣僚の中にも「米国は信用できない」と考える人がいます。閣僚ではありませんが、第1外務次官を務める金桂寛(キム・ゲグァン)氏が5月16日、ジョン・ボルトン米大統領補佐官(国家安全保障担当)を「えせ憂国の志士」と罵倒したのは、金第1外務次官が米国の意図に疑いを持っていたからかもしれません。同氏が本来、米国と交渉してきた外交官であることを考えると、彼自身がそう考えたのではなく、反対派の突き上げに遭い、言わせられたことも考えられます。

さらに、朝鮮労働党の機関誌である『労働新聞』も和解に反対する個人論評を掲載していました。トランプ大統領が米朝首脳会談を中止する意向を表明し、金第1外務次官が再考を促す談話を発表した翌日の5月26日のことです。「帝国主義の侵略的本性は絶対に変わらない。死ぬ時まで他国と他民族に対する侵略と略奪をこととするのが帝国主義者の生存方式であり、本業である。帝国主義、特に米帝に幻想を抱いて、それからの『恩恵』を期待するのは革命的原則を譲歩し、反帝・反米闘争から退く卑屈な行動である」との記事を掲載しました。

記事は少なくとも党組織の検閲を通らないと掲載できないことを考えると、執筆者だけでなく同じ考えの人々が朝鮮労働党内に存在することが分かります。

こうした反対勢力が今後、例えば、査察対象とする施設のリストを作成する際に、その一部を故意に省くことがあるかもしれません。それが明らかになれば、米国は北朝鮮が国ぐるみで行った隠蔽工作と疑うでしょう。実務者協議が停滞することになりかねません。

—米朝首脳会談を直前に控えた6月3日、北朝鮮は軍の幹部3人を解任しました。彼らも反対派だったのでしょうか。

宮本:それは分かりません。

—首脳会談で1対1の話し合いを終えた後、金委員長は「誤った偏見と慣行が時に目と耳をふさいできたが、あらゆることを乗り越えてこの場にたどり着いた」と発言しました。これは反対派による抵抗を意味していたのでしょうか。

宮本:はい、そう理解しています。米国に対する偏見によって誤った判断を金委員長に報告したり、金委員長自身も米国に対する悪イメージから判断を誤ったことがあるでしょう。

金英哲とポンペオが米朝首脳会談の舞台を回した

—米朝首脳会談の出席者から読み取れることはありますか。

宮本:米朝首脳会談に北朝鮮側は外交の大物をそろえました。首脳二人だけの会議に続いて開催された拡大会議に参加したのは、金委員長に加えて、李洙墉(リ・スヨン)氏、李容浩(リ・ヨンホ)氏、金英哲氏でした。李洙墉氏は朝鮮労働党副委員長兼国際部長、李容浩氏は外務大臣です。

金英哲氏は朝鮮労働党副委員長兼統一戦線部長なので、対米外交とは本来関係ないのですが、ポンペオ氏がCIA(米中央情報局)長官として訪朝した時に、諜報部門の代表としてカウンターパートになったものと考えられます。それ以来、金英哲氏とポンペオ氏の交渉ラインが、米朝首脳会談にこぎつけました。

妹の金与正氏は3月末の中朝首脳会談には参加しなかったので、最高指導者の肉親の安全を図るため外されたと思っていましたが、南北首脳会談の後はずっと金委員長についていますね。しかし、重要な会議に参加したのは南北首脳会談だけですから、重要な役割があるわけではなさそうです。本人が希望してついてきているとしか思えません。

北朝鮮は中国への警戒を解いていない

—中国について伺います。今回の米朝首脳会談に中国は何かしらの影響を及ぼしたのでしょうか。もしくは、北朝鮮が有利な立場を築くため、中国の存在を利用したことはありますか。

宮本:中国が米朝首脳会談を成功させたかったのは明らかです。米国が米朝首脳会談を中止する意向を表明した時、中国共産党系の環球時報はこれ以上ないくらいに批判していました。

—北朝鮮が核開発を続け、米国と対立していた方が、中国にとっては好ましい。北朝鮮に対して影響力を行使できるから、という考えがあります。

宮本:私は違うと思います。北朝鮮が非核化を進め、朝鮮半島の緊張が緩和されることこそが中国の利益と考えているのです。対立が高じたり、戦争が起きたりすると、中国が開発に力を入れている中国東北部や山東省の経済に悪影響が生じるからです。首都・北京だって、わずかの距離しか離れていませんから影響を受けます。

そのために、金委員長がシンガポールに移動するための飛行機を提供したり、事前に中朝首脳会談を2回も行なったりしているのです。安定を得るためのコストとして米朝首脳会談を受け入れたわけです。

中朝の関係を振り返えると、ある傾向が見て取れます。南北関係や米朝関係が宥和に進む時ほど中朝の往来も活発化しているのです。例えば、2000年に中朝首脳会談が行なわれました。これは、南北首脳会談が開かれる直前のことでした。北朝鮮は、米国や韓国との話し合いの時にこそ、中国の後ろ盾を必要とするのです。

南北関係や米朝関係が悪化した時に、北朝鮮が中国を頼る――と考えるのは朝鮮戦争の時に中国が義勇軍を派遣して北朝鮮を支援した時のイメージが記憶に残っているからでしょう。その時とは既に構図が変わっています。

それに、考えてみてください。中国軍を北朝鮮国内に入れて、裏切られたらどうなるでしょう。そんな恐ろしいことを北朝鮮はしたくないと考えます。北朝鮮が軍事面で中国を頼るのは非常に考えにくいことです。

中国が安全を維持するため、バッファーとして北朝鮮を必要としている――という考えはもう古いでしょう。今はどこからでもミサイルが飛んでくる時代ですから。それよりも中国が発展する邪魔はしてくれるな、暴れてくれるな、というのが中国の考えでしょう。

—昨年の春、米国が北朝鮮を軍事攻撃するのではと緊張が高まっている時、「中国が人民解放軍を北朝鮮に進駐させて守るのでは」との見方が浮上しました。米軍は、誤って中国軍を攻撃すれば一大事になるので北朝鮮への攻撃を踏みとどまる、という発想です。

宮本:そういう話もありましたね。しかし、逆の説もありました。人民解放軍が北朝鮮に入って武力をもって政権交代を進める、と。もちろん、どちらも滑稽な話です。

—仮に将来、統一コリアができるとして、これが韓国主導であっても中国は容認するでしょうか。

宮本:統一そのものは問題視しないと思います。それよりも、北朝鮮という一党独裁制の仲間が一つ減ることの方が嫌でしょう。

中国にとっては、統一コリアが敵対的になったり、朝鮮半島が内戦になって混乱したりしなければ、それでよいのです。

ただ、南北のどちらかがどちらかを吸収合併する事態になれば、内戦が発生するかもしれません。

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