『米中貿易戦争の主戦場は「胃袋」と「ハイテク」 屈服させたい米国、切り札残す中国、日本は漁夫の利を』(3/28日経ビジネスオンライン 福島香織)、『いよいよ「対決」の時代に、米中関係が歴史的変化 対中政策専門家、ロバート・サター氏が語る中国の本当の狙い』(3/28JBプレス 古森義久)について

3/29看中国<美中貿易戰,誰是始作俑者?(圖)=米中貿易戦は誰が最初に仕掛けたのか?>

中国の華春瑩報道官は「国際貿易はルールに則るべきで、強権に依るべきではない」と。中国の役人が言うには「米国が騒いで、中国に強権を以て譲歩を迫ろうとしている」と。これは本当か?当然違う。中国はWTO加入以来、重要な約束をずっと守って来なかった。今の米中両国の貿易戦争を齎したのは中国と言える。特に技術移転と知財の問題で約束を果たさなかった。他国の開発した技術やアイデアを剽窃したので悪名を轟かせた。米・商務省は昨年のメーカー調べで「中国は中方との合弁企業設立と技術移転を要求し、そうすれば市場参入できる」としたことを明らかにした。

米国が昨年出した301条報告に依れば、中国がどうしても米国企業に技術移転を迫るのは、中国がWTO加盟時に約束した透明性と公平性に対する違反である。笑えるのは中国は2010年8月に財務部も商務部もWTO加盟時の約束は既に達成したと発表し、2011年の貿易白書に公表した。これは道理に合わない。中国は自分達は頭が良いのが大事と思って、道を拓き、謀は隠し、工夫10年で世界経済二位の地位を得た。これがトランプの懲支の高関税の基本的背景である。米国だけでなく、欧州、日本も中国はWTOの約束を守っていないと思っているし、中国を市場経済国として認めていない。

李克強は中国へ参入希望の米企業への条件を緩めると発言して、水面下で話し合いを進めている。貿易戦争が始まれば、勝者はいなくなる。但し、中国の民族主義的かつ盲目的な愛国主義の下では、米国の要求に抵抗を続け、貿易戦争になってしまう。大きな過ちである。

https://m.secretchina.com/news/b5/2018/03/29/854071.html

中国人を信用するから痛い目に遭うのです。何時も言っていますように「騙す方が賢く、騙される方が馬鹿」という民族ですので。上述の文章でも自分達は頭が良いと思っている=世界を騙し続けられてきたではないかという自信が読み取れます。ですから小生はいつも騙される方が悪いと思っています。特に中国人と朝鮮半島人には。昔、会社勤めしていた時に、中国駐在から帰国後、中国の実態を話したら信用して貰えず、「国粋主義者」だの「人種差別主義者」とか言われました。そう言った人は小生の基準で言えば、「バカの壁を作り、空きめくらになっている馬鹿」、中国人の基準から言っても「馬鹿」になります。流石に今でしたら小生が言ったことは理解されるでしょうけど。民族差別でも何でもない、ありのままを伝えても、条件反射的に「人種差別」と思うのは洗脳が過ぎているとしか思えません。自分が体験したこと以外は受け入れない、左翼が刷り込んで来た既成概念を疑うことを知らない人は正しい判断ができなくなると思っています。

福島氏の記事で、トランプは選挙対策だけでなく長期的な貿易戦争を視野に入れているというのはその通りだと思います。田村秀男氏が言うように中国の軍拡原資は対米輸出にあるというのをトランプは理解して貿易戦争を仕掛けているのだろうと思います。「一帯一路」やサラ金紛いの貸し付けで他国領土を蹂躙し、国際法違反の人工島建設、WTO違反等、自己中で阿漕なやり方を世界にやってきました。世界が文句を言わない方がおかしい。でも中国は各国の要人をハニーか賄賂漬けにして文句を言わせないで来ました。賄賂を貰わなかったトランプだから戦えるのです。これがヒラリーだったらクリントン財団へ寄付が行われ、中国の言いなりになったでしょう。世界にとって首の皮一枚で悪の共産主義支配から逃れられたと思っています。

古森氏記事は、サター教授の言うように日本は米国と言うか自由民主主義国家を後押しするように動いて行かなければ。憲法改正、スパイ防止法、自衛隊法の改正等自由民主主義国家では当たり前の法整備をして国際社会に貢献していかなければ。共産主義が世界に蔓延するのを防ぐのは大事な使命と思います。

福島記事

3月22日、トランプ米大統領は中国への高関税措置に署名した(写真:UPI/アフロ)

今週、中国人の間に動揺が広がったニュースは、米国が「最低でも500億ドルの対中関税引き上げ」を宣言し、それに対して中国が報復措置を発表したこと。いよいよ米中貿易戦争の開戦の狼煙があがった、という声も聞かれる。これは中国人の経済活動と暮らしに直接大きな影響を与えるだけでなく、おそらくは世界をも巻き込む。この煙の無い戦の行方はどうなるのだろう。

戦争はしたくないが、恐れない

多くの保守系論者は、トランプ政権の措置に、中国の涙目を期待しているのかもしれないが、実際のところは、どうなのだろう。中国はいずれこの展開となることをかなり前から予測しており、何度も切り札は、中国側にある、と主張している。

だが、今回発表された報復措置は、どうも生ぬるい。それとも、むしろ“喧嘩”を仕掛けられた、“被害者”顔をすることで、米国内のアンチトランプ派や国際世論を味方につける機会としたい、ということだろうか。人民日報は、商務部長の鐘山が3月25日にポールソン基金会主席のポールソン(元財政長官)に語った「中国側は貿易戦争をしたくない。貿易戦争に勝者はないからだ。しかし、中国は貿易戦争を恐れてはいない」という言葉を見出しにとっている。戦争を仕掛けてきたのは米国であり、中国は仕方なく応戦するが、これに伴って引き起こされる世界への負の影響はすべて米国のせいだ、と言いたいようだ。

流れを簡単にさらっておくと、米東海岸時間の3月22日にトランプは大統領令に署名し、通商法301条を発動、中国の知財権侵害に対する報復措置として、米通商代表部(USTR)に約500億ドル、最大で600億ドルに及ぶ中国製品に対する高額関税賦課を指示した。これに対し、中国も23日、報復計画を発表した。中国製鉄鋼・アルミ製品の輸入制限(通商拡大法232条に基づく)が発表された際に、報復措置を保留にしていた中国が対応を発表した、ということで、これをもって“米中開戦”と見る向きが多い。

昨年夏からのUSTRの調査によって、中国との合弁企業が中国サイドから技術供与を強要されている実態などが明らかになっていた。対象は宇宙航空関連製品などハイテク製品が中心で、中国製品の輸入総額5000億ドルの1割以上になるという。また、一部中国企業の対米投資に対しても制限を設けることにした。

中国商務部が発表した報復措置計画は、第一部計画としては鉄鋼パイプ、果物、ドライフルーツ、ワインなど120品目に対しては15%の追加関税をかけ、第二部計画としては豚肉、リサイクルアルミなど8品目に対して25%の追加関税をかける、というもの。米国は通商拡大法232条に基づいて“国家安全”を理由に輸入鉄鋼製品・アルミ製品に対して25%、10%の追加関税をかけるとしているが、これに対しては中国側はWTOの規定に従って対応する、としている。

切り札の大豆やEVは後回しに

ただ、この追加関税は総額にしてもわずか30億ドル規模であり、米国の600億ドル規模への報復というにはずいぶんと軽い、ともいえる。これは米国の対中輸出総額1300億ドルの2%あまりだ。なので、フィナンシャルタイムズなどは、中国側は対米貿易制裁に斟酌を加えている、と論評している。

本気で米国に報復するならば、大豆やトウモロコシ、高粱など家畜飼料、航空機などへの関税を引き上げる方が効果的だろう。実際、中国の前財務部長である楼継偉は、今回の報復措置を“軟弱”と批判し「私ならまず、大豆、次に自動車、そしてボーイングを叩く」と上海で開催された「中国発展ハイレベルフォーラム2018」の席上でほえた。

誰もが内心そう思うはずなので、中国はわざと切り札を後回しにして、米国の出方、本気度を見定める作戦なのだろうか。

米国産の大豆の3分の1、およそ140億ドル相当を中国が買い占めている。中国が大豆輸入を制限すれば、米国大豆農家への打撃は相当なものである。また米電気自動車メーカー・テスラは上海に巨大工場を建設して、来る世界最大のEV大市場に打って出る計画なので、EV車部品、電池なども大きな影響力をもつ。

航空機分野も然り、中国は2015年にボーイング社へ380億ドル分の航空機300機を発注している。ウォールストリートジャーナルは「中国側は強い切り札を手の内にしたまま、米国との貿易戦争での話し合いの余地を残した」と、中国側のじらし作戦という見方で報じている。だから、米国の出方次第では、次に大豆が報復関税措置を受ける。米国農業界は気が気ではない、という。

もう一つの見方は、米国が高関税をかけようとする中国製品は、安価であるから大量に輸入しているのであって、決して米国内で製造することができないものではないが、中国が米国から輸入している農産物やハイテク製品は、中国国内で生産、製造しきれないから必然的に輸入に頼らざるを得ないものであり、そう簡単に高関税をかけて輸入を削減するわけにはいかない、というものだ。

中でも大豆は、中国の家畜飼料および食用油原料だ。その輸入量減少や価格上昇は中国庶民の胃袋を直撃する。中国には未だ飢餓の苦しみを記憶に残す人がおり、食品物価の上昇は日本人が想像する以上の社会不満の暴発の引き金になりうる。中国も慎重にならざるを得ない。もっとも、米国の安すぎる大豆が中国大豆農業を破壊したのだ、という恨みがあり、また南米とロシアの大豆があれば中国の食糧市場から米国産大豆を駆逐できる、という予測もあって、米国の態度が軟化せねば、最終的には中国側は大豆カードを切る、と見られている。

中国の豚肉と食用油物価が上昇しても、米国だって日常生活品が高騰する。お互い肉をえぐり、歯を抜きあうような痛みに耐えるのが貿易戦争なのである。忍耐力なら中国人の方がある、と言いたいわけだ。しかも、この戦争は米国から仕掛けてきており、中国は貿易戦争も一気に応じずに、大豆やEV車や航空機を後回しにするなど、“米国に斟酌”して見せた。もし、中国社会に食品物価高騰の恨みが渦巻いても、その矛先は米国に向かうはず、という中国側の計算もあるかもしれない。

外圧を利用して胃袋を取り返す

もう一つは、航空機などは米国に製造できて中国ではまだ製造できない領域かもしれないが、少なくともハイテク製品の世界最大の市場は中国であり続けることは間違いないので、中国側の方に余裕がある、という見方。中国市場で米国製品が締め出されても、米国産業界は生き残っていけるのだろうか。

中国は確かに、胃袋という生存にかかわるところを米国に依存しているのだが、習近平政権は、この状態を良しとしていない。食糧不足はいずれ中国の発展における深刻な足かせになるが、食糧安全保障にかかわる部分を戦略的ライバル国家に握られたままでいいわけがない。中国自身が大豆の米国依存から脱却したいのだ。だからむしろ、米国から貿易戦争を仕掛けられることは、外圧を利用して中国国内の食糧対米依存度を大きく軽減するチャンスということもいえる。

もちろん、食品物価上昇という痛みは被るが、独裁国家は庶民の痛みを気にする必要はあまりない。選挙がないのだから、世論の圧力で政権が交代するということはまずない。心配すべきは社会動乱だが、今のところ、庶民が被るこの痛みの原因は、米国が作ったのだ、という宣伝をうまく行えば、むしろ反米感情で国内の不満のガス抜きができるやもしれない。

ところで、米国経済も相当の痛みを被る貿易戦争を米国側がこのタイミングで仕掛けたことの意味は何だろうか。単に、来る中間選挙で支持基盤の製造業労働者票を固めるためだけだろうか。だが、米国の株価は急落を続け、米国大手マスコミ世論も国際世論もトランプに手厳しい。必ずしも選挙にプラスばかりというわけでもなかろう。

おそらく、米国の中間選挙とからむ理由だけではなく、この“戦争”はもっと本質的な問題をはらむのではないか。

コバルトはアフリカで爆買い

たとえば、「ハイテク技術国家の覇権争い」という問題である。多くの人には、中国は安価で労働集約型の製品を米国に輸出し、米国は中国に製造できないハイテク製品を輸出している、というイメージが刷り込まれているが、実際、今回の関税引き上げ対象は中国製のハイテク製品・部品で、米国の主張ではそれは“知財権を侵害したことにより中国が製造できるようになった”ものである。

実のところ、中国はハイテク製品を含め、かつて製造できなかったものを次々と製造できるようになっている。しかも知財権侵害か、買収か、いずれにしろアコギなやり方で吸収した技術であるから米国などの先進国よりも安価で製造する。

たとえばリチウム電池。EV車に使われるリチウム電池研究の最先端は米国であり、その産業化においては日本がもともと中国のずっと先を走っていた。だが、2005年以降から中国および韓国の安価なリチウム電池産業が日本の市場を蚕食しはじめた。そして2019年以降に登場する中国の巨大EV車市場を武器に、米国が先頭を走っていたリチウム空気電池研究開発などの分野にまで中国が、あと数歩、というところにまでせまろうとしている。

もちろん基礎研究から始めて追いついてきたのではない。米国のリチウム電池技術研究企業に対する投資、買収によってである。たとえば、中国の自動車部品大手の万向集団は経営破たんした米国A123システムズを2012年に買収し、続いてフィスカー・オートモーティブを買収。続いて固体電解質やイオン材料の研究企業やソリッドパワーなどにも投資を行い、中国におけるEV車生産特許を取得、ステラの牙城を崩さんとする高級EVメーカーを生み出した。

しかも万向A123はゼネラルモーターズ製EV車に搭載される電池も提供することになった。これは米自動車産業の命脈を半分くらい握った、ともいえるかもしれない。ちなみに、リチウム電池の原料となるコバルトの鉱山はアフリカ・コンゴなどに集中しているが、アフリカ諸国を半分植民地化している中国はこうしたコバルトも安値で爆買いし、EV車市場の覇者になる下準備を十分したうえで2019年から政権命令でEV車生産割当の義務化を開始するわけだ。

日本は漁夫の利を見出せ

ろくな基礎研究も行っていない中国企業が巨大市場を武器に先端技術企業を買収し、特定ハイテク分野の覇者となる。こうした例はEV・リチウム電池分野だけでなく、他の先端技術分野でも頻繁に起きている現象であることは、中国の業界紙にも紹介されている。上記のリチウム電池問題についての例は、北極星蓄能ネットに転載されていた業界紙記事を参考にした。市場を握り、産業化の要を握れば、金が集まるし、金があれば技術者が集まる。最先端技術に追いつき追い越すこともよほどたやすい。技術者に対するリスペクトが根本的にない中国では、“白菜を買うように”技術も技術者も買いあげる。それが中国流イノベーションの一つの方法でもある。

今回の米中貿易戦争勃発の本質は、ハイテク技術の覇者の自負がある米国と、市場を武器に特色あるイノベーションで台頭し、次なる覇者の座を狙う中国の、ハイテク技術覇権をかけた戦いの序章、という見方を私はあえてしてみたい。

とすると、トランプ政権の目的は、中間選挙の票集めとか、当面の貿易不均衡是正という狙いだけではなく、それなりの痛みを覚悟して、台頭してきた中国流イノベーションを“屈服させる”という意味での長期的な経済戦争を視野にいれているかもしれない。ハイテク技術はすなわち軍事技術であり、国家の安全に直結する。潜在的ライバル国家・中国に奪われてよいものではないし、中国の技術的台頭を抑え込むならば、まだ完全に追いついてはいない今のうちである、と。

こうした貿易戦争、経済戦争は、おそらく双方が多大な痛みを被るだけでなく、周辺国の経済へのインパクトも大きい。今回の米中の報復関税合戦で、日本の株価は当事国よりも下落した。だが、争いがあれば、巻き込まれて損失を被る場合もあれば、漁夫の利を得る場合もあろう。相変わらず日本のメディアはモリカケ問題でにぎわっているようだが、日本の政治家や官僚たちに神経を割いてほしいのはやはり国内のしょぼい利権問題より、この国際情勢の中で日本がどのようにして損失を最小限に抑え、漁夫の利を見出すかというテーマであろう。

古森記事

中国・北京の人民大会堂で米国のドナルド・トランプ大統領(右)を出迎える中国の習近平国家主席(左、2017年11月8日撮影、資料写真)。(c)AFP PHOTO / NICOLAS ASFOURI〔AFPBB News

米中関係に歴史的な変化が起きている。ドナルド・トランプ大統領と習近平主席という、両国の歴代の首脳のなかでもきわめて特殊な指導者が率いる世界第1と第2の大国が、正面からぶつかり合う局面が多くなったのだ。両国が対峙するのは、政治、軍事、経済、そして基本的な価値観まで広範な領域に及ぶ。

この現状について、米国歴代政権の国務省や中央情報局(CIA)、国家情報会議などで中国政策を30年以上担当したロバート・サター氏(現ジョージ・ワシントン大学教授)に尋ねてみた。

ロバート・サター氏。ハーバード大学での中国研究などで博士号取得、1968年から2001年まで米国政府の中央情報局(CIA)、国務省、国家安全保障会議、国家情報会議などで中国政策を担当した。その後はジョージタウン大学教授を経て、ジョージ・ワシントン大学教授となる。(出所:ジョージ・ワシントン大学)

3月中旬、ワシントンでインタビューに応じたサター氏は、トランプ政権と米国議会が足並みを揃え、中国との協調を基本とするこれまでの関与政策を中止して対中対決政策へと踏み出したことを指摘する。この新政策では、日本との連帯への期待も大きいという。

米中関係が歴史的な変革を迎えた――サター氏の見解を総括すれば、こんな結論といえるだろう。

同氏との一問一答の骨子は次のとおりである。

米国主導の国際秩序に挑戦する中国

――米国の中国に対する態度は現在どういう状態なのですか

ロバート・サター氏「米国の対中政策は歴史的とも呼べる大きな過渡期に入り、変革を迎えました。米中国交樹立以来、米国の歴代政権は『中国との協力分野を増やしていけば、中国は米国に利益をもたらすようになる』という前提に基づく関与政策をとってきました。それがここへきて、関与政策がむしろ米国に害を与えることが明白となったからです。

トランプ政権が最近公表した国家安全保障戦略や国家防衛戦略も、これまでの姿勢を変え、中国を競合相手、修正主義と断じました。中国の国のあり方が米国の価値観に反するとまで明言して、対中政策の中心に対決や警戒を据え始めたのです。米国が政府レベルでこうした厳しい言葉を中国に対して使うことはこれまでありませんでした」

――米国の態度を根本から変えさせた原因はなんでしょうか。

「中国の戦略的な動向や意図の本質が明確になったことです。今回の全国人民代表大会(全人代)でも明らかになったように、中国共産党は、まずアジア太平洋全域で勢力を強め、他国に追従を強いて、米国をアジアから後退させようと意図しています。『中国の夢』というのはグローバルな野望なのです。米国主導の国際秩序に挑戦して、米国の弱体化を図る。中国政府は軍事、経済、政治などあらゆる面で米国を敵視して攻勢をかけています」

──米国側は中国のそうした実態をいまになって分かったというのでしょうか。

「いいえ、米国の国益をすべての面で損なう中国の挑戦が明白になったのはこの1年半ぐらいだといえます。南シナ海での軍事膨張、貿易面での不公正慣行、国際経済開発での中国モデルの推進、国内での独裁の強化など、すべて米国の政策や価値観への挑戦です。私自身は、2009年ごろから中国のこの基本戦略は認識していました。しかしオバマ政権下では、中国との協調こそが米国を利するという政策が相変わらず主体でした」

重要度が高まる日米同盟

――中国の対外戦略の基本は米国敵視だということですか。

「基本はそうだといえます。だが、米国が強く反発すると、中国は攻勢を抑制します。その一方で、最近の習近平主席はロシアのプーチン大統領と緊密に連携し、米国の力を侵食する手段を画策しています。その連携には軍事面も含まれます。

『一帯一路』も中国が企むパワー誇示の一環だといえます。実体のないインフラ建設計画を、いかにも巨大な実効策のように宣伝する。中国政府による対外的な情報戦争であり、プロパガンダなのです」

――では、米国はこれから中国にどう対峙していくのでしょうか。

「米国は総合的な国力を強めて中国を押し返さなければならないでしょう。トランプ政権はそのための措置をすでに取り始めています。米国が本気で押し返せば、中国も慎重になります。そうした強固で新たな対中政策を推進する際は、日米同盟への依存度を高めることになるでしょう。日本の安倍晋三首相は中国の本質をみる点で優れていると思います。トランプ大統領も対中政策の大きな部分を安倍氏から学んでいます。

中国の膨張戦略は、多分に米国が弱くなってきたという認識から発しています。オバマ前政権は中国の膨張を正面から止めようとはしませんでした。中国はそれをよいことにさらに膨張を続けたのです。しかし米国は中国側の認識や真の意図が分かり、中国には対決も辞さずに強硬に立ち向かわねばならないという思考が強くなったのです。この思考はトランプ政権だけでなく議会でも超党派の支持があります」

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