『プーチン大統領が天然ガスで日中を天秤に サハリンのガスを使う「極東ルート」は要注意』(7/14日経ビジネスオンライン 池田元博)について

7/15日経記事について江崎道朗氏がfacebook上でコメント。小生は朝5時起きして柏市議のチラシ400枚(7/16は残り400枚配布。全部で1700枚一戸建てに、柏駅頭での少女のAV出演勧誘防止の警告文)を配布してから日経を読みましたが、江崎氏と同じ危惧を抱きました。日本政府は何をしているのでしょうか?相互主義を徹底しないとロジ倉庫に危険物が置かれるではないですか。またチラシ配りで気付いたのは新聞を取っていない世帯が結構いましたが、取っている世帯では、まだまだ朝日新聞の世帯が結構多かったです。個人の自由の範囲ですが何も考えてないのだろうと思います。自分が朝日を取ることは彼らの経営を助けることに繋がると。代わりの新聞は他にもありますし、図書館へ行けばあるのでそこで読むようにすれば良いのに。安倍首相は国会の閉会中審査で「朝日、毎日は青山氏の質問も加戸氏の答弁も報道しなかった」ことを強調すれば良いでしょう。それでも民放各局が「報道しない自由」を行使するのであれば、TVの入札制と自民党の放送局を作ればよいでしょう。外国の介入は出来ないようにして。

http://www.sankei.com/politics/news/170712/plt1707120010-n1.html

江崎道朗氏のfacebook

<不動産大手の万科企業など中国系5社連合は14日、シンガポールの物流施設大手、グローバル・ロジスティック・プロパティーズ(GLP)を約160億シンガポールドル(約1兆3000億円)で買収すると発表した。

先日は、パナマ。今回は、シンガポール。

物流、つまりロジスティックスを押さえることで、貿易・経済を押さえるとともに、その国に対して秘密裏に工作員や武器を送り込み、内乱を仕掛けるというのが中国共産党の常套手段。

リー・クアンユーが存命であれば、こんな事態は避けただろうが、嫌な動きだ。

しかも、この会社、今年3月末時点で日本全国に97カ所の物流拠点を持つ。相模原市では約1300億円を投じ、合計6棟で構成する日本最大の物流施設を22年から順次稼働する予定だという。相模原といえば、在日米軍基地(在日アメリカ陸軍司令部があるキャンプ座間)のすぐ近くだし、そのほかにも全国97か所に中国系の物流拠点が出来る。安全保障上も由々しき事態だ。

インドネシアのタンジュンプリオク港も、中国系企業が使用権限を確保したという話を先日、聞いたばかり。この港、日本のODAで整備したところなんだが、中国共産党の札束攻勢の前に、日本は劣勢だ。

経済規模の拡大を死に物狂いで目指さないと、ASEANも本当に危ういし、何よりも、日本の物流も心配だ。

(以下、引用)

中国系連合、シンガポール物流施設大手GLPを買収 1.3兆円

2017/7/15 1:30日本経済新聞

【シンガポール=中野貴司】不動産大手の万科企業など中国系5社連合は14日、シンガポールの物流施設大手、グローバル・ロジスティック・プロパティーズ(GLP)を約160億シンガポールドル(約1兆3000億円)で買収すると発表した。ネット取引の拡大で物流施設の需要は今後も増えるとみて、GLPが施設を持つ日本のほか米中で事業を広げる。中国勢のグローバル展開が不動産分野でも鮮明になっている。

5社連合は万科、中国銀行(バンク・オブ・チャイナ)の投資部門、高領資本と、GLP役員の関連企業2社。GLPの株主総会の決議を経た上で、全株を買い取る。GLPの約37%の株式を持つシンガポールの政府系投資会社、GICは賛意を示しており、買収は成立する見通しだ。

1株あたりの買い取り額は12日の終値に25%、売却検討前の3カ月平均の株価に72%を上乗せした金額になる。調査会社のディールロジックによると、買収総額は今年の世界の不動産分野の買収で最大となる。

2010年にシンガポール取引所に上場したGLPは、日本でも1兆円を超える資産を持つ最大級の物流施設の運営会社だ。今年3月末時点で日本全国に97カ所の物流拠点を持つ。相模原市では約1300億円を投じ、合計6棟で構成する日本最大の物流施設を22年から順次稼働する予定。古い小型の物流設備が多く残る日本でネット通販による物流需要の拡大を見込み、積極的な投資を続けている。

中国では38都市に約1750万平方メートル、米国でも36の主要都市に約1610万平方メートルの施設を持つ最大級の物流施設業者となっている。資産から負債を差し引いた純資産ベースでは、総額の6割弱を中国市場が占める。5社連合は、いずれも世界有数の市場である日米中に豊富な資産を持つGLPの事業に魅力を感じたもようだ。

GLPによると、19年の中国の小売分野の電子商取引は16年に比べ、4割超増える見通し。中国では小規模な小売業者がなお多く、今後大手小売りのシェア拡大が進めば、大型物流施設の需要も増えるとみている。日米や、GLPが進出するブラジルでも電子商取引の伸びる余地は大きく、GLPは新たな株主の下で収益の拡大をはかる。

中国の不動産大手である万科などは、既存の事業や投資先との相乗効果を狙う。GLPの役員2氏も5社陣営に参加しており、早期の買収完了を目指す。

6月には中国の政府系ファンドである中国投資(CIC)による欧州の物流施設大手、ロジコールの巨額買収が明らかになったばかりだ。自国市場の成長で資金余力が増している中国勢の買収攻勢が不動産分野でも目立っている。

上場前からGLPの大株主であるGICは今回の売却で巨額の利益を計上する見通し。5社連合による買い取り額は13年の上場来高値を8%上回る水準のため、売却の好機と判断したもようだ。

日米欧の中央銀行の金融緩和によって、世界的にカネ余りの状態が続いており、アジアの不動産市場にも資金が流れ込んでいる。日本円換算で1兆円を超す今回の買収はこうしたカネ余りの一断面と捉えられる。ただ、米連邦準備理事会(FRB)の保有資産の縮小が今後見込まれる中、市場の活況がいつまで続くかは不透明だ。>(以上)

次は、メデイアが如何にフエイクな報道をしているかという事で、米国も同様と言う記事です。日本も追求しているのは視聴率か売上かは知りません。見た所、中共からの裏金でないかという気もしますが。

7/9Money Voice<日本メディアが報じない「米CNNの捏造体質」元祖フェイクニュースの罪>

http://www.mag2.com/p/money/259737?utm_medium=email&utm_source=mag_W000000115_sat&utm_campaign=mag_9999_0715&l=ttv0c03f55

続いて、7/14ぼやきくっくりブログから青山繁晴氏の7/10虎ノ門ニュースの中のコメント。

<(5)米戦略爆撃機が韓国で訓練 日本でも訓練  ニュースの途中に、「アメリカ軍の戦略爆撃機による、朝鮮半島上空での爆撃訓練が、公表されるのは初めてです」と。  これは共同通信、正確に書いてある。  

本当は北朝鮮上空も含めて、米軍は前から、威圧も含めてやってます。  公表したこと、一切ないですが。  それを前にこの番組だったか、発言したら、そんなことはないと軍事評論家も言ってると、またネットでこう盛り上がるんですけど、私は当事者に確認して言ってるわけですから。  内部文書ってあって、なかなか見ることできないけど、見られる時もあります。  そのうえで申してるんであって。  ま、それでようやく、朝鮮半島のかりそめの安定が保たれてきた面もあるわけですね。  

今回は公表するのが前提だから、38度線以北には入ってない。  あくまでも韓国の領内に建てた、ミサイル発射台に見立てた模型を爆撃すると。  それは公表するから。  北朝鮮はもちろん賢く、いろんなものをしたたかに見てますから、今回が今までより急に戦争準備が進んだわけじゃなくて、脅しだってことはよく理解してます。  但し、国会議員なんで慎重に話さないといけないんですが、アメリカのルート、どこの誰というのは拷問されても言えませんけど、やっぱり今回は北朝鮮を威圧するってメディアでは報じられる、その受け止めもいいけど、むしろ、韓国に対してなんだよねと。  それは僕も、よく分かるよねと。  つまり文在寅政権になって、要するに、軍のトップである大統領が、北朝鮮に対して融和融和で、軍の士気は大丈夫かということと、トップのもともとの考えがどうであれ、韓国民のために戦うのが軍でしょということを、韓国の軍部に、一兵卒から将軍に至るまで目に見える形で確認したかった。  そこに日本が加わるっていうのも、これまた独特な意味があって、僕は諸手を挙げて賛成ですけど、でも今まで国会で説明してきた専守防衛の枠なのかってことは野党が聞いて何もおかしくなくて、これ閉会中審査に値しますよね、もうこれだけで。  だって戦略爆撃機が朝鮮半島で実弾使って、北朝鮮にそっくりなやつを爆撃してるんですよ?  そこに我が航空自衛隊の戦闘機、戦闘機ですよ?輸送機じゃなくて戦闘機が2機加わったことについて、閉会中審査を要求しないっていうのは、野党は一体何が仕事だと思ってるんでしょうかね。  いちゃもん付けるのが国会じゃないんですよ。  

僕は大賛成ですけど、これは敗戦後の日本の防衛力のあり方の大転換が今、起きてます。間違いなく。  つまり自衛官の、一番こう、強く訓練された部分にとっては、新しい知見が今、もう滝のように入ってくる。  つまり攻撃とはこういうものだと。  これはアジアにとっては超大ニュースです。  いわば眠れる虎ですから、日本は。  はっきり言ってアジアでこれに対抗できる国はありません。  中国も含めて。核戦力を別にすると。  でも核は実際に使えないから。  現状ではですよ、将来は分かりません。  将来は日本も必ず選択肢に置いておかなきゃいけない、核武装の件は。  僕は、今、反対ですけど、選択肢は絶対残さないといけません。  で、そういう部分も含めてものすごく大きな地殻変動が起きてる、実は大ニュースですが、これで北朝鮮との戦争が始まるわけじゃないっていうのが、まさしく次のニュース。

(6)米朝戦争「近づいてない」マティス国防長官  米軍の前線トップのマティスさんが、別に北朝鮮がICBM発射実験をやったからと言って、北朝鮮とは戦わないよと言ったように見えますが、これ2つの意味で、そうではない。  マティスさんは何言ってるかというと、警告してる。  

本当にやる時にはやらざるを得ないけど、その時には犠牲が出ますと。  米国民も、日本国民も、韓国民もそれを踏まえて下さい、こんなはずじゃなかったって話をしないで下さい、民間人すら犠牲が出かねないってことをちゃんと踏まえたうえで、軍の活用を考えて下さいってことをずっとおっしゃってる。  それがひとつ。  もうひとつは、アメリカがかつて北朝鮮にやった制裁の中で唯一効いたものがあって、それをまだ完全にやりきれてないから、それをやりましょうって意味もある。  それは何かというと、金融制裁。  

北朝鮮がマネーロンダリングする時に、バンコ・デルタ・アジアが協力してきたから、そういう銀行にもうドルは扱えないというのをかけたら、北朝鮮は本当に根を上げた。  ブッシュ政権の末期だったが、あの時続けてたら、拉致被害者が帰ってくることも含めて、今の北朝鮮はなかった。  アメリカの一官僚が、北朝鮮は話が分かったと言って、一緒にワイン飲んだり中華料理食ったりして、当時、関西テレビ「アンカー」水曜日で徹底的に批判したが、批判したのは少数派で、日本の評論家やコメンテーターはやっと米朝雪解けだと、素晴らしいと言ってたわけですよ。  このために実は北朝鮮は今の事態に至った。  それをアメリカはさすがに記憶してて、金融制裁を改めてやろうとしたんですが、その前に、北朝鮮が手を打ってて、1カ所に、資金を集めていった。  チャイナです。  

だからトランプさんが最近チャイナに、思ったほどやってくれないじゃないかとずっと言ってるのは、石油のパイプラインを止めないことと、ちゃんと中国の銀行、共産党政権なんだから全部コントロールできるだろうと。  なのにやってないのはどういうわけかと。  これを中国の銀行といえどもドルを扱えなくなったら、人民元は本当は通貨と言えないシロモノだから、もう行き詰まっちゃうわけですよ。  これをやったら下手すると世界経済は凍り付いて、大不況。  世界恐慌になると言ってるマーケットの関係者もいます。  それをマティスさんは言ってる。  膨大な犠牲が出る米朝戦争の前に、この金融制裁の完成は必ずやるべきだと。  それでも北朝鮮がなぜか倒れないとなったら、分かりました、犠牲は払うけれどもやりますと。  だから米軍は今までになかった訓練(前項参照)をやってる。

(7)対北朝鮮で日米韓共同声明 トランプ氏が防衛確約  「核戦力も含むアメリカ軍の全能力を使って、日韓を防衛すると確約した」と。  前にMOAB(モアブ)っていう最強の爆弾実験したというのがあった。  あれだけじゃなくて、北朝鮮はその後の気配見てると、MOABでは金正恩が住んでる蟻塚みたいな地下施設は全部はやられないと。  じゃあ核を使いますよと。地中貫通型の戦術核爆弾。  戦闘機から撃ち込むこともできる。もうアラスカで実験してる。  これはそれを意味してる。  北朝鮮は鋭敏に反応する。  人類に二度目の核兵器を使っても北朝鮮を終わらせてやるぞと。>(以上)

中露は裏で北を支援しているとすると、やはり信用できないとなります。ただ、其の儘で良いかと言うと、中国が後背地を気にせず太平洋に出て来れるようになってしまいます。中西輝政氏は『日本人として知っておきたい「世界激変」の行方』の中で、日本が四島返還の旗を降ろすことは、法治でなくなることを意味すると述べていました(表現の違いはあるかもしれません。記憶で書いています)。その中で中西氏は具体的な四島返還の方法がなかったのは残念です。プーチンは領土を売ることはしないと言っていますので、取り返すには戦争するしかありません。今の日本人が望むとは思えません。藤井厳喜氏の『最強兵器としての地政学 あなたも国際政治を予測できる!(2016年9月出版)』の中でもロシアを少なくとも中立化すべきと言っています。(P.154~155)

<第一に台湾人の忍耐心と愛国心は疑いもなく強くなっている。台湾国民は断固として自らの自由と民主政治を守る決意である。 しかし第二の条件も大事である。日本やアメリ力がシー・パワーとして台湾を後ろからサボ一トする必要がある。後背地=補給基地としての日米なしでは、台湾をチャイナから守ることはできない。こういった条件を整えた上で、台湾は自国の制空権を守り抜かなければならない。現在では、ミサイル防衛の問題も考えなければならないので、少々複雑だが、状況は基本的に同じである。台湾は複層的なミサイル防衛網を築く必要がある。 現在の日本のことを考えても、日本とチャイナは相対峙しており、日本の場合はアメリカのサポートが不可欠だ。チャイナは核兵器保有国なので、当然、核保有国アメリカのパックアップが絶対必要なのだ。ロシアとチャイナの関係を分断して、ロシアをなるベくこちら側へひきつけておくことは、実は正面の東シナ海、南シナ海の防衛が非常に楽になるということである。できれば、ロシアがチャイナの後ろから牽制してくれれば、我々台湾の戦いはもっと楽になるであろう。

戦略の要諦というのは、まさに優先順位である。日本にとってチャイナが今一番危ない国なわけだから、ロシアとの関係は友好化しておいたほうがいいだろう。少なくともニュートラルな立場にしておき、向こう(チャイナ)の味方をしないように牽制しておくことが重要だ。アメリカとロシアの関係は基本的に現在は良好で、日本としては有利だし、台湾防衛にとっても良い方向である。逆をいえば、日本国内で北方領土うんぬんということをやたらと強調している人々には、隠れ親中派が多いともいえる。それを言っている限りロシアとの関係はうまくいかないからだ。

アナロジーの話に戻すが、地政学の基本戦略の一つは「挟み撃ち」である。敵の敵は味方なのである。ここで言うならば、チヤイナという敵の敵であるロシアをどうやってこちらに誘い込むか、もしくは誘い込めなくともニュ一トラルな立場でいてもらうかが重要なのだ。ロシアはチャィナの人口圧力によりどんどん侵略を受けており、放っておけばシベリアはチヤイナに獲られかねず、それをプーチン大統領もよくわかっている。

だから、とりあえず北方問題はペンディングにしてでも、日本は行動を起こさねばならない。北方領土の問題も、今日本は人口が減ってきているので、仮に返還して貰うことができても、そこの資源が手に入るものの、すぐそこに人が住むようにはならないだろう。

ただ、この北方領土問題は「正義の戦い」であるわけだから、 この看板を降ろす必要はない。降ろす必要はないが、今-番重要なのはチャィナの脅威である。日本の中の親中派は北方領土のときだけあたかも日本の味方をしているように声高に反ロシアを唱えているが、これに騙.されてはいけない。>(以上)

やはり中露は分断させないといけないと思います。北極海の氷が解けて航路が開発されれば、強欲な中国との間で争いになるのでは。日本はガスのパイプラインまでは必要ないと思いますが、船で運ぶようにしてエネルギーミックスを考えていけば良いでしょう。将来はメタンハイドレート、核融合もありますし。

記事

中国の習近平国家主席が7月3~4日、ロシアを公式訪問した。米韓合同軍事演習の凍結を求めるなど、北朝鮮の核問題で中ロが共闘して米国に対抗する姿勢が話題となったが、中ロ間の天然ガス供給でも注目すべき合意があった。

7月4日、プーチン大統領と習主席がロシアのモスクワで会談した(写真:代表撮影/Russian Look/アフロ)

モスクワのクレムリンで7月4日に開かれた中ロ首脳会談。プーチン大統領は会談の冒頭、「尊敬する主席さん、親愛なる友人たち」と呼びかけた。大統領は習主席のロシア公式訪問の意義を強調するとともに、中ロ間の貿易額が増えている現状に満足の意を示し、「経済問題は常に我々の関心の中心だ」と語った。

習主席も「尊敬するプーチン大統領さん、我が良き友よ!」と呼応した。2013年3月に国家主席に選出後、自らの最初の外遊先がロシアだったと振り返り、訪ロは6回、プーチン大統領との会談回数は22回に上ったと指摘。「私にとってロシアは最も訪問回数の多い国で、あなたとは外国首脳の中でもっとも緊密な間柄だ」と持ち上げた。

両首脳は今年も既に、5月に北京で開かれた現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」の国際会議、翌6月にカザフスタンの首都アスタナで開催された上海協力機構の首脳会議の際にも会談している。こうした首脳間の頻繁な対話が「蜜月」といわれる中ロ関係の礎となっているのは間違いない。

かつ、中ロ首脳の互いの公式訪問の際には、両国の企業が数多くの合意文書や覚書などに署名し、経済面での成果をアピールするのが習わしになっている。特にロシアにとって、中国は最大の貿易相手国だけに重要なのだろう。

現にプーチン大統領は、今回の首脳会談後の報道向け声明で中ロの貿易額に触れ、「2016年は(前年比で)4%増えて660億ドルに達した」と表明。今年も貿易額が膨らんでいるとしたうえで、エネルギー、原子力発電、宇宙、航空機産業、農業など、個別分野の経済協力案件を詳細に列挙した。

国内ガス需要が急増している中国と利害が一致

中でも大統領が今回の目玉として挙げたのが、ロシア産天然ガスの対中供給の開始時期をめぐる合意だ。シベリアの巨大ガス田から中国北東部にパイプラインで輸出するもので、プーチン大統領は「天然ガスの初の供給が2019年12月に始まる」と誇らしげに表明した。

ロシア国営天然ガス企業のガスプロムと中国国有石油企業の中国石油天然気集団(CNPC)が結んだこの契約は、2014年5月に合意した。中国の年間ガス需要のおよそ2割に当たる年間最大380億立方メートルの天然ガスを30年間にわたって供給する計画で、「世紀のディール」と呼ばれた。

東シベリアにはチャヤンダ、コビクタという2つの巨大ガス田がある。その天然ガスの仕向け先に苦慮していたロシアと、国内のガス需要が急増している中国の利害が一致したわけだ。

ガスプロムによれば、チャヤンダの天然ガス推定埋蔵量は1兆4000億立方メートル、コビクタは2兆5000億立方メートルに達する。ロシアは契約通り、大量のガスを長期間にわたって中国に安定供給できる埋蔵量を誇ってはいるが、当初から最大の課題とされたのがパイプラインの敷設問題だ。東シベリアのパイプライン網は未整備で、2つのガス田から中国国境まで、全長で約3000キロメートルに及ぶパイプラインを新設する必要があったからだ。

パイプライン建設が大幅に遅れている

ガスプロムは通常、「東ルート」と呼ばれるこの新パイプライン計画を「シベリアの力」と命名。当初は中国からガス代金の前払いの形で融資を受け、パイプラインを新設する予定だった。しかし、融資条件などで折り合いが付かず、結局は自力での建設に踏み切った。ただし、その後も原油・天然ガス市況の急落によって採算性の問題なども浮上し、パイプラインの完工は大幅に遅れるのではないかとの観測が大勢だった。

実際、2014年9月からパイプライン建設に着手したものの、これまでに完成した距離は約800キロメートル。対中輸出を開始するには最低限、当面の供給を予定するチャヤンダのガス田から中ロ国境のブラゴベシェンスクまで2156キロメートルのパイプラインを敷設しなければならないが、建設着手から3年近くたつのに、その半分も完成していない。

それにもかかわらず今回、ガスプロムとCNPCは2019年12月の供給開始を最終決定したわけだ。しかも両社のトップはプーチン大統領と習主席が見守る中で文書に署名しており、政府間の正式な合意となった。ガスプロムはすでに今年の「シベリアの力」向けの投資予算を大幅に増やしているものの、パイプライン建設を急ピッチで進めなければならなくなったといえる。

ロシアは巨大な中国のガス市場を何としても押えたい

ロシアがそこまでして対中ガス輸出に力を入れるのは、中ロの絆をさらに強める狙いに加え、巨大な中国のガス市場を押さえたいという思惑がある。ガスプロムなどによれば、中国のガス需要は年々急増しており、2016年は約2100億立方メートルに達したという。

ロシアにとって天然ガスの主要な輸出先は欧州市場だが、ウクライナ危機をきっかけに欧州との関係はぎくしゃくしつつある。欧州向けのガス輸出が将来的に先細りする懸念も浮上しつつあるなか、中国を欧州に代わる有望な輸出市場と見込んでいる面もあるようだ。

現にロシアはウクライナ危機以降、天然ガスの売り込みで中国に大攻勢をかけている。今回、供給開始の日程を固めた「東ルート」のほかにも、西シベリアのガスを中国北西部に大量供給する「西ルート」も打診し、2015年5月には中ロ間で基本合意書も交わしている。ただ、北東部への供給を重視したい中国側の思惑などもあり、「西ルート」の交渉は難航しているのが実情だ。

日本を巻き込む「極東ルート」構想

そこで新たにロシアが中国側に持ちかけているのが「極東ルート」。極東サハリン沖の天然ガスを中国北東部にパイプラインで輸出する構想だ。

ガスプロムはすでにサハリンから極東のハバロフスク、ウラジオストクに至るパイプラインを建設・稼働済みで、中ロ国境まで短距離のパイプラインを建設すれば供給できる。ガスプロムとCNPCは2015年9月に「極東ルート」をめぐる覚書を交わした経緯もあり、ガスプロムのミレル社長は今年6月末、「2017年末までには供給条件で合意したい」と表明したばかりだ。

ただ、「極東ルート」の動向には、日本も注視せざるを得ない。サハリン沖のガスは日ロ間のエネルギー協力案件にも深く関わってくるからだ。

例えば、ガスプロムと英蘭ロイヤル・ダッチ・シェル、日本の三井物産、三菱商事が資本参加する資源開発事業「サハリン2」の液化天然ガス(LNG)基地増設計画、現在は凍結状態にある日本市場向けを想定したウラジオストクのLNG基地新設計画は、いずれもサハリン沖のガス田からのガス供給を前提にしている。

さらに安倍晋三首相が「8項目の対ロ経済協力プラン」を打ち出し、対ロ経済協力を積極的に進める姿勢を打ち出すなか、日本では日ロ間に海底ガスパイプラインを敷設する構想を推進する動きも一部に浮上している。その構想でも対日供給を想定しているのが、サハリン沖に埋蔵される天然ガスである。

サハリンのガスで日本と中国を天秤に

サハリンのガス田のうち、ガスプロムが最有望鉱区としているのが「サハリン3」の南キリンスキー鉱区だ。同社によれば、天然ガスの推定埋蔵量は7000億立方メートルを超えるという。ところが大きな問題がある。

米政府は2015年8月、ウクライナ危機をめぐる対ロ経済制裁の一環として南キリンスキー鉱区を制裁対象とし、開発のための技術供与や機器の提供を禁止してしまったのだ。制裁の影響によりロシアはサハリンで果たして十分な量を確保できるのか、危ぶまれているのが実情だ。

こうした現実にもかかわらず、今年6月末に開かれたガスプロム株主総会後の記者会見では、ミレル社長から意外な発言が飛び出した。事実上、凍結していたウラジオストクのLNG基地建設計画を、「外国企業の関心がある」として復活させると明言。さらに、「サハリン2」のLNG基地増設も遅くとも2019年第1四半期までに最終決定し、2023~24年中に稼働させると述べたのだ。

中国に「極東ルート」の実現を積極的に呼びかける一方で、LNGの最大の需要国である日本にも秋波を送ったといえるだろう。日本と中国を天秤(てんびん)にかけながら、より優位な契約条件が見込める案件の実現を目指しているようにもみえる。

しかも、ロシアのエネルギー輸出は経済的利益だけでなく、外交政策とも密接に絡む。最終決定には当然、政権の意向が色濃く反映するはずだ。表面的には「蜜月」とはいえ様々な問題を内包する中ロ、安倍首相とプーチン大統領が頻繁に首脳会談を重ねているとはいえ、先行き不透明な日ロ関係。それぞれの外交関係の行方も絡めながら、ロシアはサハリンのガスの利用法を固めていく腹積もりなのだろう。

日本としてもまずはサハリンのガス開発状況を慎重に見極めつつ、冷静に対応を検討していく必要がありそうだ。

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