『ネトフリ版『三体』に中国の愛国ネット民が噛みつくワケ…文化大革命の残虐シーンが冒頭5分で描かれた真意とは』(3/29JBプレス 福島香織)について

3/28The Gateway Pundit<Revenge Of The Swamp: DC RINOs Attempt to Sabotage President Trump’s Re-Election With Retirements, Insurrection Legislation – President Trump Must Work On Counter-Strategy Before It’s Too Late=沼地の復讐:DC RINOは議員辞職と反乱立法でトランプ大統領の再選を妨害しようとする –- トランプ大統領は手遅れになる前に対抗戦略に取り組まなければならない>

統一党は(再び)システムを不正操作し、トランプが大統領になるのを阻止しようと密かに画策している。この計画には 2つの部分からなる戦略が含まれています。1つは戦略的に計画された共和党下院議員の引退と、偽の反乱を理由にトランプ大統領を投票用紙から除外するための慎重に調整された法案の通過を組み合わせることです。ジョン・ロバーツ氏やエイミー・コニー・バレット氏のような最高裁判所は、「物議を醸す」法的問題について決定を下すことを避け、リベラル派の仲間たちから悪い目で見られるリスクを負っている。

最近、十人の下院共和党議員が早期退職、あるいは再選を求めない意向を表明しているという事実は、こうした決定が偶然ではないため、誰にとっても警鐘を鳴らすはずだ。これらは調整されており、トランプ大統領を投票から遠ざけるという特定の目的を果たしています。ファニ・ウィリスと特別検察官ネイサン・ウェイドの面会をめぐるジョージア州での大失敗から、レティシア・ジェイムズなどの下級判事や検察官が参加したニューヨーク市のカンガルーショー裁判に至るまで、彼らの法廷での試みは一つ一つ破綻しつつあるように見える。アーサー・エンゴロンとフアン・マーチャン、彼らが過激な極左工作員であることが暴露される – トランプ大統領の政敵はますます絶望的になり、その絶望の結果として、選挙前に下院の支配権を今から切り替える戦略を立てている。もし彼らがその偉業を成し遂げることができれば、下院共和党過半数割れ、党内の争いと共和党指導部の全般的な無能さの産物であり、民主党が政権を奪回することでその可能性はますます高まっており、トランプ大統領の敵は彼を投票から剥奪する法案をより容易に可決することができるだろう。これは、下院が民主党の手に移り、ハキーム・ジェフリーズ下院議長が手綱を引けば、既に上院の過半数を掌握している上院のチャック・シューマー氏との調整が容易になるためだ。少なくとも11月の選挙までは政府が分裂することはなく、民主党が両院とWHで過半数を握ることになる。  したがって、下院、上院、WHは共謀して、トランプ大統領を投票から除外する法案を可決することができる。なぜなら、彼らの不条理な解釈によれば、合衆国憲法修正第 14 条の第 3 条と第 5 条がそれを許可しているからである。

これが、早期に発表されたマイク・ギャラガー氏(ウィスコンシン州)やケン・バック氏(コロラド州)のような下院議員の引退と、元下院議員ジョージ・サントス氏(ニューヨーク州)の強制追放が、一部の人々を含むMAGA運動から(当然の)批判を受けた理由である。マージョリー・テイラー・グリーン(MTG)やローレン・ボーバートのような、最もトランプ支持の姿勢を強めている議員たちだ。マイク・ギャラガー事件は、RINO 破壊活動を特によく表しており、MTG はこの動きに対する彼女の批判を一切禁じませんでした。ギャラガーはすぐに辞任するのではなく、引退を4/19まで延期すると発表した。ウィスコンシン州法では、議席の空席を埋めるための特別選挙は4月の第2火曜日までしか実施できず、その後は11月の選挙まで空席を維持することが法律で義務付けられている。したがって、ギャラガー氏が4月の第2火曜日以降の19日まで引退を延期した場合、特別選挙は行われず、共和党は下院議席をさらに失うことを受け入れるしかなくなる。民主党は過半数支配の奪回にあと1議席に近づくことになる。ギャラガー氏が4月の第2火曜日までに辞任することを拒否したのはまったく意味がないし、意図的な妨害行為としか説明できない。 MTGは注目しました。 3/23、彼女はギャラガー氏が「即時離脱を拒否するなら除名されるべきだ」と投稿し、彼の引退遅れが最終的に共和党の下院多数派を失う可能性があることを認識した。

昨年末のジョージ・サントス氏の解任に対して非常に批判的だった勢力が、これらの早期引退のニュースについて最も声を上げているのは偶然ではない。彼らは壁に書かれた文字を観察している。その願いは、トランプ大統領を投票から遠ざけ、そして大統領の職から締め出すことだ。この理論をさらに裏付けるのは、早期引退を発表した14人ほどのメンバーのうち、少なくとも6人が、悪名高い反トランプの大寄付者ポール・シンガーから多額の資金を受け取っていたという事実である:キャシー・マクモリス・ロジャース、パトリック・マクヘンリー、ドリュー・ファーガソン、ケイ・グレンジャー、ブレイン・リュートケマイヤー、グレッグ・ペンス。調査ジャーナリストのトロイ・スミスとベテランの政治工作員ロジャー・ストーンが賢明に報じたように、シンガーはニッキー・ヘイリーの大統領選失敗になんと500万ドルも寄付しており、これはトランプ大統領の軌道を狂わせようとするディープ・ステートによる新たな試みを示している。

下院でトランプ排除法案を可決しても、上院では60票の賛成がないとダメとのことで、トランプは少なくとも共和党上院議員41人に反対票を投じさせるようにすればよいとのこと。共和党議員もスポンサーの意向には逆らえない?

https://www.thegatewaypundit.com/2024/03/revenge-swamp-dc-rinos-attempting-sabotage-president-trumps/

民主党は民意を尊重しない悪党。

3/28Rasmussen Reports<Will Misinformation, Hate Speech Concerns Justify Censorship?=誤った情報やヘイトスピーチへの懸念は検閲を正当化するのか?>

有権者の大多数はオンラインの誤報やヘイトスピーチについて懸念を抱いているが、大半はインターネット上の政治的検閲についても懸念している。

ラスムッセン・レポートの最新の全国電話およびオンライン調査によると、米国の有権者と思われる人の 86% が、インターネットやソーシャルメディアが誤った情報を広めるために使用されていることを懸念しており、その中には非常に懸念しているという回答も 56% 含まれています。オンラインの誤った情報を気にしていないのはわずか 12% です。

https://www.rasmussenreports.com/public_content/politics/biden_administration/will_misinformation_hate_speech_concerns_justify_censorship?utm_campaign=RR03282024DN&utm_source=criticalimpact&utm_medium=email

左翼は検閲されず、保守派だけが検閲されるから。

3/29阿波羅新聞網<“群狼”环伺之际:习再对博鳌亚洲论坛降级=「狼の群れ」が周りを見渡すと:習近平、ボアオアジアフォーラムを再び格下げ>中国全人代の趙楽際・主席は28日、ボアオフォーラムで講演し、「中国は世界的な安全保障を提唱し、強権政治と覇権主義に反対し、アジア諸国は保護貿易主義や壁や障壁を築くことやデカップリングでサプライチエーンを切断することに反対すべきだ」と指摘した。学者は、中国は貿易のグローバル化が中国経済にもたらす恩恵を十分に認識しており、経済困難にある現在、グローバル化の縄にしがみつき続けるしかないと分析している。 しかし、世界各国は他の生産拠点を模索し、サプライチェーンを変更し、「ショートチェーン革命」に向けて中国への依存を減らしている。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的流行により、各国は強靱なサプライチェーンの重要性を認識し、自主的にサプライチェーンを構築するのが顕著になり、同時に、かつては「世界の工場」と呼ばれた中国も、プレッシャーを感じている。ボアオ・フォーラムで趙楽際は、最高指導者である習近平に同調して外国の投資誘致への扉を開くだけでなく、他のアジア諸国との結びつきを強め、デカップリングやサプライチエーンを切断することへの反対も繰り返し表明した。

世界のサプライチェーンの再編は中国経済に多大な影響を及ぼしており、英国ロンドンのパンシアン・マクロ経済コンサルティング・カンパニーのシニア中国エコノミスト、林浩波は、中国からのサプライチェーンの移転はまず地元住民の失業の波を引き起こすと指摘した。外資が中国で生産ラインを設置する必要性が減少しているので、将来の海外直接投資は減少するだろう。

戦狼中共が甘言を弄しても誰も信じない。自食其果。

https://www.aboluowang.com/2024/0329/2036605.html

3/29阿波羅新聞網<不给习面子!关键时刻 美又一大厂要撤…—习见美商界精英之际 美又一大厂要撤…=習に面子を与えず! 重大な時に、また一つ美国の大手工場が撤退しようとしている・・・——習は米国経済界のエリートと接見したが、また一つ美国の主要工場が撤退しようとしている・・・>米国の大手パソコンメーカーであるデルは最近、世界的なパソコン需要の急減により、2024会計年度中のデルの一時解雇数が予想の2倍近くになるとの発表を行った。 デルのアモイ工場では従業員の半数が解雇されたと伝えられており、アナリストは、デルの中国での売上高の急減と大規模な人員削減は「脱中国化」政策の影響を受けている可能性があり、将来的にはパソコンの生産能力の大部分が中国外に移転される予定だと指摘した。

嘘つき中国人の言うことを信じてはダメ。人口は10億くらいしかいない。

https://www.aboluowang.com/2024/0329/2036604.html

3/29阿波羅新聞網<马克龙、鲁拉“拍婚纱”?网起哄:俩左派总统太亲密=マクロンとルラは「ウェディングドレスで写真撮影」?ネットで哄笑: 二人の左派大統領は近すぎる>フランスのマクロン大統領がブラジルを訪問中、ブラジルのルラ大統領と手をつないで「兄弟愛」を誇示し、その親密な行為にネチズンはSNS上で、二人はただ結婚式の写真を撮っているだけだと冗談を飛ばした。

https://www.aboluowang.com/2024/0329/2036597.html

3/29阿波羅新聞網<“以牙还牙”对中共 这国总统要硬碰硬—菲律宾总统:将采取“等比例”反制措施应对中共海警“攻击”= 中共に対し「目には目、歯には歯」、この国の大統領は中共と真っ向から対決する-フィリピン大統領:中共の海警による「攻撃」には「それに比例した」対抗策が講じられる>フィリピンのフェルディナンド・マルコス・ジュニア大統領は木曜日(3/28)、南シナ海における中共の海警と海上民兵組織の「違法、脅迫、侵略」行為及び危険な攻撃に対抗するため、フィリピンは比例かつ合理的な対抗措置を講じると述べた。ロイター通信は、マルコス・ジュニア大統領のフェイスブックでの発言として、「われわれはいかなる国とも、ましてやわれわれの友人であると主張する国々との紛争を求めていないが、脅迫によって沈黙させられたり、降伏したり、引き下がったりすることは決してない」と伝えた。

日本の総理に聞かせたい。

https://www.aboluowang.com/2024/0329/2036595.html

3/29阿波羅新聞網<是习近平精神分裂?还是中共国安部挑战习?—习近平刚见美企大老板 中共国安部拍片提醒慎防境外咨询业者=習近平は精神分裂?それとも中共国家安全部が習に挑戦しているのだろうか? —習近平国家主席が米国企業の大ボスと会談したところ、中共国家安全部がビデオで海外コンサルティング会社への警戒を促す>習近平は昨日、外国企業に対して開放の姿勢を直接示し、国家安全部は本日ビデオを公開し、「調査コンサル活動」を隠れ蓑とした「海外スパイ活動・諜報機関」に警戒するよう中国国民に警告した。中国の主要地域で機密情報を盗んで、中国の国家安全保障に脅威を与えることは、大きな隠れたリスクとなる。

中国人自身が世界から盗んでいるのだろうに。

https://www.aboluowang.com/2024/0329/2036515.html

3/29阿波羅新聞網<爆发大宗丑闻!!中共这个教育局长有点坏=大スキャンダル勃発! ! 中共の教育局長はちょっと悪い>中国の教育界で大スキャンダルが勃発 浙江省の教育局長が過去20年間で3億元もの巨額を横領し、その職権を利用して女性校長2人、女性教師103人、女子生徒18人に手を出し、1名の女子大生を妾にした。 しかしこの事件が発覚したのは、この教育局長の管内での食事費用が何度も高い状況が続いており、関係部署の調査を経て初めてその行為があまりにも常軌を逸していることが判明したためである。

拒否すれば虐められる。セクハラ大国。

https://www.aboluowang.com/2024/0329/2036513.html

何清漣 @HeQinglian 8時間

王慶民氏が「誤解した」記事への弁護

私が米国の時事問題について批判した5本の記事を『聯合早報』に掲載したところ、欧州中道左派を自称する国際政治研究者の王慶民氏から批判を受けた。私は彼の批判記事のタイトルをリストした。それらはネットで見つけることができる。この人は国際政治において友好を主張しており(したがって米国はNATOへの軍事支出を負担し続けるべきである)、バイデンの政策は米国とその同盟国にとって非常に有益であると考えている。 …もっと見る

何清漣 @HeQinglian 9時間

米国の数学教育制度に対する数学者の深い洞察と批判…もっと見る

福島氏の記事は、何清漣のX上で解説が少しありました。氏が書いているのは、この著者は、文革を経験して生き延びた中国だから、他国が滅びても生き延びられると言いたいのでは?温家宝が文革を「毒」と表現したように、「革命」は夥しい血が流れ、密告奨励という不道徳も付き纏う。「異論」は許されず、生き延びるためには、自分の心を枉げて権力者に追従する。とても真面な社会ではない。何百年後でも中共が存続していたとしたら、世界は不幸なものになるだろう。

習は自分の経験から、大学生を下放したがっているようですが、今の時代、先端技術は日進月歩。学問を留守にすれば、それだけ遅れをとることになるのが分かっていない。「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」。習は愚者でしょう。

記事

中国のSF小説『三体』は国際的なベストセラーに=北京の書店にて(写真:AP/アフロ)

  • ネットフリックスが中国のベストセラーSF小説『三体』をドラマ化。冒頭で文化大革命のシーンを迫力満点で描いている。
  • 他方、昨年制作された中国の動画配信サービス「テンセントビデオ」版の『三体』には、同様のシーンは一切ない。
  • 習近平国家主席の独裁化が進むなか、ネトフリ版『三体』から中国の行方を考察する。(JBpress)

(福島 香織:ジャーナリスト)

3月21日から配信が始まった中国SF小説の金字塔『三体』の実写版ドラマシリーズ見たさに、ついにネットフリックスに加入してしまった。このネトフリ版『三体』に描かれた、キャンパス一杯にあふれかえる学生たちが声をそろえて「革命無罪」と叫ぶ狂気の「清華大学100日大武闘」の再現ワンシーンは大迫力だ。それを見たらネトフリの加入ボタンを押さずにはいられなかった。

ネットフリックス『三体』のワンシーン(写真:Everett Collection/アフロ)

『三体』は昨年、中国版実写化作品の第1部30話が中国の動画配信サービス「テンセントビデオ」で配信された。だが、中国版にはこのシーンはない。一方、ネトフリ米国版は最初の5分間が、これでもかと文革の残虐シーンに費やされた。文革シーンがこれほど丁寧に描かれた意味は結構大きいのではないか。

『三体』は世界20カ国語以上に翻訳され2900万部以上を売った(2019年調べ)世界的大ベストセラーだ。愛読者にはオバマ元米大統領やメタ(旧フェイスブック)のマーク・ザッカーバーグCEOや、映画監督のジェームズ・キャメロン氏といった著名人もいる。

おそらく少なからぬ世界のSFファン、映像ファンがテンセントの中国版とネトフリの米国版を見比べてやろうと思うことだろう。特に第3次世界大戦前夜と言われるほど、世の中が不穏な時代の今、『三体』の中に盛り込まれた文明論や抑止力論には、世界の未来を考える上でなにがしかのヒントが見つかるかもしれない。

ネトフリ版『三体』の中国人たちの反響を中心に、それを考察してみたい。若干のネタバレになるかもしれないので、先入観なく小説、映像作品を楽しみたい方はご注意ください。

濃くなる「文革の遺毒」

この原作小説は、劉慈欣という1963年生まれの中国人SF作家の代表作で、地球往事三部作(三体、黒暗森林、死神永生)とよばれている。タイトルのとおり、地球文明が滅ぶまでのスペース大叙事詩である。

中国のSF雑誌・科幻世界で連載が始まったのが2006年5月、1966年5月に始まった文革からちょうど40年目を迎えたタイミングだった。その冒頭シーンは清華大学百日大武闘の激しい批闘シーンから始まったことは、一部で大いに話題となった。

ネットフリックス版『三体』(写真:Everett Collection/アフロ)

当時、文革表現は必ずしもタブーではない。時代背景をいえば、胡錦涛政権時代で、首相は温家宝。温家宝の祖父、父親は教師で、文革でひどい迫害をうけた記憶を持ち、文革を憎んでいる。

温家宝が首相引退直前の2012年全人代での最後の記者会見で「文革の遺毒(悪影響、影響を受けて新たな文革を企む人物)が完全に取り除かれていない」という発言で、そのことは広く知られることになった。

一方で2008年ごろから重慶では「唱紅打黒」と呼ばれる文革に似た政治運動が薄熙来・重慶市書記の主導で広がっていた。この薄熙来こそ温家宝が言う「文革の遺毒」とされている(一説には温家宝は習近平を「文革の遺毒」と考えていたという噂もある)。

つまり共産党中央ハイレベルには、文革を党の過ちとして、二度と繰り返すなという温家宝のような政治家と、エリートを暴力で引きずり下ろした文革時代の快感を懐かしむ農民や仇富思想(自分の貧しさの恨みを、金持ちを憎む方向で発散させる思想)の大衆を煽動、コントロールして権力闘争に利用しようとする薄熙来のような政治家が混在していた。

だからこそ共産党指導部にとって、文学などで文革を表現するということはそれなりにセンシティブで、数年単位にそのセンサーシップの厳しさは変化した。

習近平政権では文革の批判的表現はタブー

2006年前後は、現在と比較すればセンサーシップは圧倒的に緩く、文革表現を盛り込んだ名作は少なくない。たとえば、中国で大問題作として話題になりベストセラーとなった余華著『兄弟』(2005年)も真正面から文革の狂気を描いた。

だが、北京夏期五輪が終わるころから、センサーシップは厳しくなっていく。『三体』は2008年に単行本化されたが、この時、冒頭の文革シーンは第1部半ば以降の回想部分に目立たぬように織り込まれてしまった。

ネットフリックス版『三体』(写真:Everett Collection/アフロ)

2014年に英訳版が発行されたとき、連載時のように文革シーンが冒頭に持ってこられた。英訳版はSF作家でも知られるケン・リュウの翻訳で、この翻訳によってSF小説界のノーベル文学賞ともよばれる「ヒューゴー賞」をアジア人として初めて受賞し、世界レベルのベストセラーになった。

早川書房の日本語版は比較的おそく2019年に出版。これも冒頭は文革シーンだ。ちなみに多言語読者によれば日本語訳版は中国語原作の緻密さと英語翻訳の読みやすさを兼ね備えた最も完成された「三体」という。

世界中が夢中になったこの小説の実写化の一番乗りは中国であった。3部作のプロローグに当たる第1部だけで30話を費やす大作だが、文革シーンがあるはずの第11話は通常45分の尺が33分ほどに縮められた。検閲によって文革シーンが全部削られたことを意味している。習近平政権になって文革の批判的表現はほぼタブーになったのだ。

毛沢東のような個人独裁にまっしぐら

習近平は文革で父親・習仲勲が迫害され、自身も15歳で陝西北部に下放され厳しい労働に従事した。だが、下放の苦労が今の自分にとってプラスであったと語り、今の大学生たちにも農村で働けと訴えている。

文革については、「共産党の過ち」という表現を使わず「共産党の前進に必要なプロセス」と評価した。多感な時期に毛沢東思想のシャワーを浴び、それ以外の教養を得ることもなかった習近平は、高学歴、留学経験を持つエリート層や資本家に否定的である。そのため、外国に学ぶことを奨励し資本家を育成した鄧小平の改革開放の逆走路線に舵をきり、毛沢東のような個人独裁への道をまっしぐらに進めた。

ネットフリックス版『三体』(写真:Everett Collection/アフロ)

より独裁を強固にするために昨年、「新時代の楓橋経験」(浙江・楓橋鎮で1963年に住民のみで治安維持を行った経験に基づく相互監視・密告システム、後に文革に応用される)をスローガンに打ち出し、今にも「新時代の文革」でもやり始めるつもりじゃないか、とまで言われるようになっている。

こういう状況で、ネトフリ版はリリースされた。第1部は8話で全24話。原作の舞台は中国で登場人物もほとんど中国人だが、そこを大きく改変し舞台は英国、キャラクターの造形や役割を融合したり分割したりして、アフリカ系、南米系、アジア系の移民系俳優が演じている。国際色を豊かにし、中国色を排除して、尺も短いのに、冒頭5分も文革のシーンに割いたのだった。

中国の愛国的ネット民、ネトフリ版『三体』に噛みつく

中国の愛国的ネット民、通称・小粉紅(ピンクちゃん、ネット紅衛兵)たちがまもなく、一斉に、このネトフリ版をこき下ろし始めた。

「米国人が中国名作SF三体を散々改悪している」
「小説中の文化大革命シーンをわざと大げさに表現して、中国を貶めている」
「ネトフリはこのシーンを世界に発信したいために『三体』を実写化したのだ。皿のため餃子をつくるようなものだ」
「中国が狂暴で野蛮な社会で、それを米国ら西側が救済してやる、というストーリーを発信したいのだ」
「中国版実写化VSネトフリ版では完全に中国版の勝利だ」

さらには黒人俳優のジョバン・アデポの写真に「綿摘み」といったコメントをつけるなど人種差別的な攻撃もおきた。また、葉文潔役にザイン・ツェンを起用したことについて「欧米人の中国人イメージである三白眼、頬骨の高い顔の邪悪相を選び、中国人イメージを貶めようとしている」と批判するものもあった。

ネットフリックス版『三体』(写真:Everett Collection/アフロ)

中国でネトフリは見ることができない。もし見たとしたらVPNをかませてアクセスしたわけだが、今の中国ではそれは違法行為。だからこうした反応が一斉におきたのは、実際にネトフリ版を見ての素直な感想というより、一種の政治的アクションだろう。

正直いえば、ネトフリ版は冒頭5分の文革シーン以外、特筆するほどのインパクトはない。文革シーンを描きたいためにつくったと言われたら、そうかも、と感じるくらいに。

「弱肉強食、先手必勝」という残酷な世界観

批判の矛先はネトフリに版権と改変の権利を与えた劉慈欣に向かうかと一時は思われたが、そこまでは今のところいっていない。劉慈欣には実は愛国的民族主義者のファンも多いのだ。

劉慈欣は米雑誌「ザ・ニューヨーカー」のインタビューで新疆ウイグル自治区の強制収容所を支持し、民主化は中国の国情にあわない、などと発言したこともあった。これは、民主派在米華人や共和党議員らから批判を受け、一時はネトフリ版実写化の障害になるのではないか、と懸念する声もあった。

だからこそネトフリ版はあえて文革シーンを丁寧に描いたのかもしれない。劉慈欣の権威主義擁護のイメージを払拭するために。

ネットフリックス版『三体』(写真:Everett Collection/アフロ)

中国の『三体』ファンに愛国的民族主義者が多い理由について、シンガポール大学法学部教授のヘンリー・ガオがフランス国際放送に「この小説の描く弱肉強食理論(黒暗森林理論)と中国サイバーナショナリズムは、中国と世界の関係をめぐる物語と一致しているから」とコメントしている。

この物語のコアには「帝国主義の相手を滅ぼそうとする心は決して消えない」「宇宙は弱肉強食、遅れをとったら食われる。先手必勝」という冷酷な思想が盛り込まれている。

質量一定の宇宙で、文明が拡張し続けた場合、かならず文明の生存をかけた戦いがおきる。抑止力をコントロールすることが唯一平和維持の方法だが、その均衡を崩して敵を滅ぼした時には自らも滅びる運命をたどるのだ。この残酷な真理の前に、愛は役に立たず、判断を誤らせる、と。

文革のシーンこそが『三体』で最も重要?

劉慈欣はザ・ニューヨーカーのインタビューで自身は作家に過ぎず、小説を通して政治的観点を示す意図はないと語っている。だが、読み手によっては、『三体』にいろいろな政治的メタファーを読み取ることだろう。

過酷な環境によって残虐無慈悲で感情や倫理観に乏しい侵略者となった「三体人」(宇宙人)が暮らす「三体文明」が共産党体制を比喩しているという読者もあれば、米国帝国主義を指していると感じる人もいるだろう。三体vs地球の対決に米中文明の衝突の未来を重ね、異なる文明同士に真の平和共存などなく、先手必勝、抑止力重要というメッセージを受け取る人いるかもしれない。

広大な宇宙の中で人類の命、一つ文明の滅亡など取るに足らないものだという達観を受け取る人もいるだろう。酒を飲んで話し合えば戦争など起きないという善良な日本人読者は、この小説を読了できるだろうか。

この時間にして2000万年におよぶ文明の生存をめぐる壮大な物語は作家の想像力の産物だ。ただ、物語の発端だけが、文革の狂気という史実である。

そう考えると、私はやはり冒頭の文革シーンこそが、この小説の最も重要なパーツである気がしてならない。この小説は読者を宇宙の果てどころか外まで連れて行ってくれるが、読了後、文革の遺毒が支配する中国がまだそこにある。この事実に向き合う瞬間が本当の物語の結末ではないだろうか。

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