『香港デモで露呈、中国共産党が自民党を研究していた時代に戻るべき理由』(6/18ダイヤモンドオンライン 上久保誠人)、『1国2制度てこにした台湾統一しぼむ、香港への寛容不要に』(6/18日経ビジネスオンライン 宮本雄二)について

6/18阿波羅新聞網<习近平政见李克强汪洋反对?胡海峰披露官场抗习内幕 香港修例将中共带入地雷阵=習近平の政治的見解に李克強、汪洋は反対? 胡錦濤の息子の胡海峰は公の場で習に抵抗している内幕を明らかに 香港の条例改正は中共を地雷原に誘い込む。>中国は多くの出来事の重大な時期に入り、習近平は内憂外患に陥った。 香港のメディアは最近の情報を引用して「習近平は米中新冷戦にあって進退窮まり、上級幹部の信頼を失い、多くの人は消極的に抵抗し反撃の機会を待っている。一部の政治局常任委員は度々遠回しの批判をしている。 アポロネット評論員の分析は「具体的には李克強、汪洋、韓正が批判していて情報を流している」と。 胡錦濤の息子の胡海峰は先日、「習近平が昨年の初めに実施した“黒と悪を一掃する”行動の効果は非常に良くなかった。習の命令を中南海から新しく出すのは難しい」と明らかにした。 17日、香港政府のシンクタンクのトップは、「この条例修正は“完全に失敗した”」と認めた。 多くの専門家は、「“犯罪人引渡条例”が中共の内外の問題を悪化させている。習は時代の流れと共に歩むべき」と分析した。 香港の条例改正は中共を地雷原に陥らせ、中共を長期に挫折させるものである。

キャプション:大陸の請願者は、当局から“黒と悪を一掃する”目標に挙げられている。

言論の自由や表現の自由がないことが如何に恐ろしいことか。日本人は、共産主義は三権分立していない=為政者の好きに何でもできる、そうなれば腐敗は当り前、ジニ係数が0.73もの超格差社会ができるというのに思いを馳せないと。戦後の左翼脳から早く脱しませんと。

https://www.aboluowang.com/2019/0618/1303693.html

6/18阿波羅新聞網<“华为已成专利流氓” 美议员提案禁止华为索赔 华为勒索10亿美金要泡汤! ——美参议员提案 阻止华为使用美国专利勒索美企=「華為はパテントのならず者になった」 米国の議員は華為の賠償請求を禁止 華為の十億ドルの損賠償請求はダメになる  米上院議員の提案は華為が米国特許を使っていて米国企業に賠償請求するのを阻止する>米上院議員のマルコ・ルビオは6/17(月)に、華為が米国特許裁判所で賠償案件を提訴することを禁止するような法案を提出した。 以前、華為は米国の電気通信事業者のVerizonに、いわゆる特許技術のために10億ドルを支払うよう要求していた。

中国にはレシプロシテイの概念が昔からありません。「他人のものは俺のもの、俺のものは俺のもの」ですから。

https://www.aboluowang.com/2019/0618/1303920.html

6/18希望之声<美国务院15名处理希拉里电邮的官员涉嫌违反安全规定=ヒラリーの電子メールを扱った15人の米・国務省職員は安全規制に違反した嫌疑>6/17(月)米国国務省は、Hillary Clintonの電子メールを扱った職員の「多くの安全問題」を発表した。23件の重大な違反と7件の一般的な違反があった。国務省は安全審査を担当しているアイオワ州の上院議員Chuck Grassleyに書簡を送った。

副島隆彦氏の『国家分裂(デヴァイデッド)するアメリカ政治七顚八倒』のP.167に「ヒラリー.クリントンが、無防備に、横着をして、「私がオバマよりも権力者なのよ」 と、威張り腐って、自宅のパソコンから、大量の指令、命令を出していた。それらの、無防備なメール、6万6000通が漏出した。ジュリアン・アサンジ(ウイキリークス)や エドワード・スノーデンのような先端の軍事ハッカーたちによって、ハッキングされて、 一部は公開された。

その全面公開を握りつぶして阻止したのは、なんと「世界調査報道者協会」(I:CI R)を作って名乗っている、世界の主要な大新聞社たち(日本からは朝日新聞が入っている) 自身である。彼らのもとに、アサンジやスノーデンから、それらのヒラリー•メールの本物が、大量に送られて来たのだ。そのうちの600通から800通は「あまりに凶悪で、 とても公開できない|と、アメリカの司法省と、議会の運営高官たちが公開拒否している。

その内容は、まさしくヒラリーが自分のメールで命令して、「力ダフイを殺しなさい」と か、「リビア政府から没収(奪い取り)した資金と武器弾薬をシリアとイラクに送りなさい」とか、「資金はクリントン財団の世界中にある口座に入れなさい」というものだ」とありました。P.84にはヒラリー派として、人殺しも平気でするデビー・ワッサーマン・シュルツ下院議員(女性)の例も挙がっていました。今後民主党やデイープステイトの悪事が暴かれていくのでは。

https://www.soundofhope.org/gb/2019/06/17/n2966629.html

6/18希望之声<川普2020选战号召力强大 支持者提前40多小时排队等位=トランプの2020年選挙戦は動員が強力 支持者たちは40時間以上前から待機している>トランプ大統領は6月18日(火)の夜、フロリダ州オーランドの満員となったスタジアムで2万人以上の支持者と会い、2020年の再選活動を正式に開始する予定である。 一部の支持者たちはすでに40時間以上前から行列して待っており、トランプの強い動員力を示している。

テント写真の下のURLをクリックして中に映っています写真をご覧ください。日本のメデイアもキチンとトランプ人気を伝えるようになりました。6/19朝7時のNHKニュースでも取り上げていました。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190619/k10011959011000.html?utm_int=news-new_contents_list-items_035

https://www.soundofhope.org/gb/2019/06/18/n2968804.html

6/19阿波羅新聞網<美国贸易代表:对话无法迫使中共停止欺骗=米国通商代表:対話では中共の詐欺を止めることができない>Robert Lighthizerは上院財政委員会の聴聞会でこう述べた。「関税が中共の詐欺を止められるかどうかはわからない。だが他に選択肢があるとは思わない。彼らは何かがうまくいかなければ、すぐ対話と言って来ることを知っている」と。

さすがライトハイザー、中国人が嘘つきと言うのを良く分かっている。

https://www.aboluowang.com/2019/0619/1304085.html

上久保氏の記事では、中共が日本で一党支配して来た自民党(でもそれは民主選挙の結果であって、公明党と与党連合を組み、一時は野党に転落したこともあるので、共産党の一党独裁とは本質的違いがある)を研究して、漸進的に普通選挙と言論の自由を認め、民主化していくようになってほしいとの願望が記されています。まあ、うまい汁を吸っている共産党幹部連中が既得権益を手放すことはないでしょう。ソ連も封じ込めとSDIで潰されたようなもので、外圧がない限り自然に悪の共産主義が潰れる訳はありません。所詮、学者の戯言です。共産主義を潰すには封じ込めと圧力しかありません。

鄧小平、江沢民、胡錦濤の時代には共産主義の悪が見えにくかったのですが、習近平はそれを分かり易く見せてくれています。下馬して他の誰かと替わるとまた見えにくくなる可能性があり、是非とも習のままで中共のラストエンペラーでいてほしい。

宮本氏の記事では、少しは真面なことを言うようになったかとの印象です。所詮は外務官僚ですから、肚は坐っていませんけど。台湾人は中共の香港の扱いを良く見ておくことです。一国両制が如何にいい加減なものかを。香港人は一国両制が守られたとしても、2047年には大陸に吸収される運命です。大陸が民主主義、資本主義国に変わっていれば良いですが、そうでない場合は移民するしかなくなるでしょう。真剣に中共を潰すことを考えるべきです。

中共が、香港、台湾を回収しなければ屈辱の歴史の清算ができないというのも九段線と同じく後からこじつけたものでしょう。そもそも清朝は満洲王朝で、漢民族主体の中共とは違う王朝です。Uti possidetisの原則があったとしても、中共に清朝の版図を其の儘認める必要はないのでは。チベット、ウイグル、モンゴルを独立させ、香港、台湾も中共の統治から切り離すべき。

上久保記事

香港の逃亡犯条例改正について日本で会見を開いた、「民主の女神」と評される周庭(アグネス・チョウ)氏 Photo:JIJI

中国共産党が進めてきた「香港の中国化」

 香港で、中国本土への容疑者引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」の改正案をめぐり、若者ら103万人が参加する大規模な抗議デモが起きた。香港政府の林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は、立法会(議会)での審議を中断すると発表した。ラム長官は、改正案について「説明と意思疎通」が不十分だったことを認めた。

 しかし、デモの主催者は条例改正案の審議を延期するだけでは不十分だと主張し、香港政府の譲歩を受け入れなかった。完全に条例改正案が撤回されるまで、政府への抗議を止めないという強い意思を示すために、抗議デモを継続することを決めた。

「逃亡犯条例」改正には、香港政府の背後にいる中国共産党の意向が強く働いていることは疑いようがない。中国と香港の間は「一国二制度」だが、その根幹にかかわる制度改正を、香港政府だけで決められるわけがないからだ。

「一国二制度」では、1997年の「香港返還」から50年間、香港の民主主義体制が守られることになっている。しかし、実際には中国共産党は「香港の中国化」を目指し、圧力を強めてきた。香港の行政長官選挙は普通選挙で選出されるが、事実上「親中派」しか選ばれない仕組みが導入された。それに反対した2014年の「雨傘運動」は成功せず、その後香港の「立法会」では、「民主派」「独立派」の議員が次々と資格停止となった。雨傘運動を主導したメンバーには実刑判決が下され、収監された(6月16日、中心人物だった黄之鋒〈ジョシュア・ウォン〉さんは釈放された)。

 だが、「逃亡犯条例」改正に関しては、中国はいささか調子に乗りすぎたのではないだろうか。時期的に最悪であり、やり方も稚拙すぎた。

 現在、中国は米国と「貿易戦争」の真っただ中にある(本連載第211回)。その時期に香港の「逃亡犯条例」の改正を強引に進めようとしたのは、米国に格好の攻撃材料を与えてしまう、最悪のタイミングだったといえる。デモが始まると、米国は即座に反応した。この改正案が香港の統治を脅かすと批判し、抗議デモに中国が直接介入するなどした場合、米国が制裁を検討する可能性があると牽制したのだ。

 また、中国への批判は米国だけでなく、国際社会に広がっていった。カナダのクリスティア・フリーランド外相が「香港のカナダ市民への影響を懸念している」と表明し、欧州連合(EU)も「香港市民の多くの懸念を共有する」と発言した。多くの欧米企業が、香港に拠点を置いており、自国民の安全や企業の利益にかかわるので、この条例案改正に無関心ではいられないのだ。

「逃亡犯条例」改正をめぐる中国共産党の痛すぎる失敗と誤算

 これに対して、中国共産党機関紙「人民日報」の姉妹紙「環球時報」は、「米国の香港問題への干渉が活発になっている」「米国が香港を米中ゲームのカードに使っている」「条例案への反対派は、政治的な利益のために中国を敵対視する外国の勢力と結託している」と猛反発している。だが、中国共産党は、欧米の批判を押し返すことができなかった。

 中国共産党にとって、欧米の厳しい批判は「誤算」だったに違いない。米国の覇権を驚かすほど急激な経済成長を続けてきた中国は、世界の多くの国に対して札束で頬を叩くような態度をとってきた。カナダやEUは、中国の強い態度に振り回されてきたのだ。

 また、権威主義・ポピュリズムが世界中で台頭し、民主主義の限界が指摘されている。中国は、自らの権威主義的な政治体制が民主主義より優位性があると自信を深めていた。民主主義など恐れるに足りない。批判など無視して、札束をチラつかせれば静かになると甘く考えていただろう。

 だが、ドナルド・トランプ米大統領が米中貿易戦争を仕掛けたことで、潮目が変わっていた。米国への輸出を拡大することで経済成長を達成した中国は、トランプ大統領によって制裁関税をかけられて輸出が停滞した。中国は経済が落ち込み、30年ぶりに経済成長率が6%を割り込むという予測が出てきた。一方、米国経済は好調を維持している。米中貿易戦争は、中国の一方的な敗北の様相を呈している(第211回・P.4)。これまで、中国に対して物申せなかった国や地域も、中国の足元を見るようになってきていたのだ。
 トランプ大統領本人は、「中国と香港の双方にとって良い方に解決してほしい」と述べて、表面的には中国共産党や香港政府への直接的な批判は避けている。しかし、中国を追い込んだ「ディールの達人」トランプ大統領が、さらに中国を攻める格好の材料を見逃すはずがない。

 絶対に譲歩しないはずの中国共産党が、慌てて条例改正案の審議先送りを香港政府に指示したのは、トランプ大統領の介入を本気で恐れたと考えるのが自然だ。それならば、最初からこんな最悪な時期に、条例改正を進めなければよかったのだ。中国共産党は、甘すぎたのだと断ぜざるを得ない。

「逃亡犯条例改正」の先送りは、習近平国家主席の統治下では前例のない「譲歩」だ。中国共産党は間違うことがない「無謬性」を前提とした権威主義的統治には、「痛すぎる失敗」を国内外に晒すことになってしまった。

「活動家」から「政治家」に成長しようとした若者を排除

 中国共産党の「失敗」は、14年の「雨傘運動」が終結した時に、実は始まっていたのではないかと思う。雨傘運動から1年後の15年、私は香港を訪問した時、雨傘運動の広報役を務め、女神と呼ばれた周庭(アグネス・チョウ)さんと初めて会った(第116回)。

 それは、雨傘運動が解散した後、多くの学生は民主化運動に希望を失い離れていった時だった。アグネスさんは、「香港の民主主義は、『AKB総選挙』のようなものです。一見、普通の選挙が行われている。だけど、最後は秋元康さんが全部決めている。香港も、一見普通の選挙が行われているようだけど、実は共産党が全部決めている」と自虐的に語っていた。また、彼女が「暴力」による政治活動を肯定していたことが印象的だった。公正な選挙のない香港では、暴力によって民主主義を勝ち取るしかないと訴えていたのだ。

 だが、15年4月、アグネスさんや羅冠聰(ネイサン・ロー)さん、ジョシュアさんら運動の中心メンバーらは「デモで選挙制度は変えられなかったが、将来を自分たちで決めたいなら若者の政党をつくるべきだ」と考え、新党「香港衆志」を結成した。香港では、満21歳から被選挙権を得られる、香港立法会への立候補は、彼らにとって現実的な目標となり得るものだったからだ(第141回)。

 16年9月4日に香港立法会(香港議会)選挙が行われ、香港衆志のネイサンさんが23歳の史上最年少当選を果たすなど、民主派の若者らが6議席を獲得した。彼らを含む「反中国派」全体で30議席を得て、法案の否決が可能になる立法会定数70議席の3分の1(24議席)以上を占める画期的な勝利となった。

 しかし、その後ネイサンさんを含む民主派議員8名は、中国を侮辱する言動を行ったとして、議員資格を取り消されてしまった。また、アグネスさんは18年4月の香港立法会議員の補欠選挙に、弱冠21歳の現役女子大生として立候補しようとしたが、当局によって立候補を差し止められた。彼らの政治家になろうとする志は、香港政府とその背後にいた中国共産党によって、踏みにじられることになったのだ。

「政治家」になろうとした民主化勢力の若者を議会から排除して「活動家」に戻してしまったことは、中国共産党の「失敗」だった。彼らが「中国を侮辱した」というが、それは日本ならば議会内での「野党の批判」であり、「言論・思想信条の自由」の範囲内で、何ら問題にならない程度のものだ。

 香港衆志のホームページをみれば、彼らが「雨傘運動」で訴えた、共産党政権による香港行政長官選挙の制度改革への反対だけにとどまらず、住宅や福祉、教育などあらゆる分野の政策構想を作っていることが分かる。

 17年にインタビューした時は、アグネスさんは「香港の社会保障政策が外資の大企業優遇であり、平等なものではない」と訴えた。私が初めて会ってから2年が経ち、彼女は明らかに、かつて「暴力革命肯定論」さえ口にしていた活動家から、政治家への変貌を遂げようとしているようにみえた。

 議会の中で民主的に政策を実現する「政治家」を目指すようになっていた若者を議会の外に追い出さなければ、「逃亡犯条例」の改正案についても、もう少し建設的な議論ができたはずだ。不透明な中国の司法制度に市民が巻き込まれる恐れを払拭して香港の民主主義を守ることと、香港を中国本土からの犯罪者の隠れ場所にしないようにすることを両立させるために、どこで折り合えるかを「政治」で決めることができたのかもしれない。

「民主派」と「独立派」を同一視して排除

 さらにいえば、民主派の若者を「香港独立派」と同一視して排除したことも中国共産党の「失敗」だったといえる。よく誤解されるのだが、民主派と独立派はまったく違うからだ(第116回・P.2)。民主派は、「一国二制度」で香港の民主主義を守ることを志向するが、独立派は、「本土主義」と呼ばれる「香港ナショナリズム」を思想的な基盤としている。

 香港は、1947年に人口約170万人だったのに対し、91年には552万人まで増加した。これは、自然増ではなく、その大多数が中国大陸で起こった反革命鎮圧運動、大躍進、文化大革命や飢餓から逃げてきた人たちだ。この大陸から移住してきた人たちには、「香港人」としてのアイデンティティーがなかった。だが、その子どもたちは、香港で生まれ育ち、香港人としてのアイデンティティーを持つようになった。この若者たちから生まれたのが「本土主義」というナショナリズムだ。

 本土主義は、中国大陸の人々の急激な経済成長による、香港への莫大な投資に反発する。香港の名物ともいえる高層マンションに住むのは、大陸の金持ちばかりとなっている。共産党幹部によるマネーロンダリング(資金洗浄)により、ダーティーマネーが広がっているという噂もある。

 また、いわゆる「爆買い」という言葉で表現される大陸の人々の消費行動にも頭を悩まされてきた。さらに、香港社会は、世界一貧富の差が激しいとされている。リッチな人が多い半面で、月収500円という人も少なくない。これらが、急激に経済成長する大陸への反発につながっている。

 だが、本土主義の具体的な行動は問題が大きい。「中国資本のモノを買わない」「高級マンションを購入しない」「大学内にスーパーはいらない」「スターバックスはいらない」「多国籍企業に入らず、社会的企業や非政府組織(NGO)を立ち上げる」などだからだ。これが、香港のためにならないのはいうまでもない。

 そもそも香港は、英国統治下で「自由民主主義」を基盤として発達し、アジアの「資本主義」の中心地の1つとなってきた。この自由民主主義を守ることが、民主派の目指すことだ。それに対して、香港人が質素倹約の穴に引きこもる独立派の本土主義は、自らの最大の長所である「資本主義」を捨てて、大陸人の下層階級の地位に自らをおとしめることになるのだ。

自民党を勉強して民主化を進めていた時代に戻るべき

 あえて大胆にいえば、中国共産党が独立派を排除したことは分からないでもないが、民主派を排除する必要はなかったのではないだろうか。政治家になろうとした民主派の若者の言い分をある程度取り入れて香港の民主主義を認めながら、「豊かな香港社会」を築き、安定した統治を実現するというやり方はあり得たからだ。

 要するに、無理やり権威主義を押し付け、些細な批判に対して「中国を侮辱した」として独立派とともに民主派まで排除してしまった中国共産党の狭量さが、今回の「失敗」の大きな原因となったのではないだろうか。

 中国共産党は、少なくとも胡錦濤国家主席の時代までは、日本の自由民主党を研究してきたといわれる。共産党は、中国の近代化プロセスを、第1段階で経済発展、第2段階で社会政策、そして第3段階が民主化と考えてきた。現在は第2段階で、貧富の格差縮小、社会保障政策の強化、情報化への対応、民度向上などを進めている(時事ドットコム「特集 中国建国60年」)。

 そして、それは将来的に本格的な直接選挙や言論の自由など欧米型の民主化を導入するための準備ともいえた。ただし、中国共産党はそれでも政権の座から絶対に落ちない一党支配の「永久政権」でありたい。その参考としたのが、民主主義ながら、全国の津々浦々に利益誘導と選挙の集票のネットワークを築き、一党支配体制を確立してきた日本の自民党だったということだ。

 しかし、習近平国家主席の時代になり、急激な経済発展・軍事力の拡大を実現した中国は、民主化しなくてもやっていけると過信した。むしろ中国の権威主義体制を、欧米式の民主主義に代わる「世界の政治体制のモデル」と考えるようになったといえる。

 だが、香港における「逃亡犯条例」改正の先送りという「失敗」は、中国共産党の「無謬性」神話を崩壊させ、「中国モデルの政治体制」などありえないことを痛感する契機となるかもしれない。中国共産党は、自民党を研究してきた時代に戻り、将来の普通選挙、言論の自由の導入を前提として、少しずつ民主化を進めるという方向に戻るべきである。

(立命館大学政策科学部教授 上久保誠人)

宮本記事

香港のデモは台湾にも拡散している(写真:AP/アフロ)

 逃亡犯条例改正をめぐり香港の混乱が続いている。6月9日、香港史上最多の100万人超が参加する反対デモが起こり、香港政府は15日、審議を延期すると発表した。だが、16日、その完全撤廃を求めて、前回を上回る200万人近くがデモに参加した(いずれも主催者発表)。香港は混迷を深めている。

 歴史をたどると、物事の本質がもっとはっきり見えてくるものだ。

 中国共産党は香港、台湾を取り戻さないと近代100年の“屈辱の歴史”は清算されないと考えてきた。失われた領土の回復は、中国共産党にとって著しく重大な事業なのだ。

矛盾と対立をはらんだ一国二制度

 香港は「香港島」と、中国と陸続きの「新界」からなる。香港島は1842年のアヘン戦争後に英国領となり、その後、英国は新界を99年間租借した。その期限が1997年に訪れた。鄧小平は78年に改革開放政策を決めると、台湾問題を念頭に置きながら、香港問題の解決を考え始めた。当然、香港全部の返還が大前提であり、そのためには英国と交渉する必要がある。中英の香港返還交渉は80年代に始まった。

 84年12月、中英共同声明が発出された。これは国際約束であり、中国のその後の香港政策の基本的枠組みとなった。香港は高度の自治権を持つ特別行政区となり、そこで実施されていた自由や権利は保障されることとなった。しかしながら、香港は中国の一部となり、中央の直轄となった。具体的にどう統治するかは、全国人民代表大会(全人代、日本の国会に相当)が決定する「香港基本法」で定める。

 香港が中国に帰属するという建前と、香港に与えられる高度な自治との間には調整の難しい深刻な矛盾と対立が存在していた。天安門事件から1年もたたない90年4月、基本法が成立したが、この矛盾は解決されなかった。曖昧さを残したものしか作れなかったのだ。基本法を具体化するプロセスの中で、それらの矛盾が逐次表面化していく。基本法の解釈権について、「中央が管理する事務」と「中央と香港の関係」は全人代が、それ以外は、香港法院が解釈できると定めている。だが、その細部は不明であり、前例を積み重ねるしかなかった。中国と香港の関係はそのつど緊張した。それが香港の「一国二制度」の宿命だった。

香港に寛容だったのは台湾を統一するため

 それでも、基本法の実施に当たり、中国は可能な限り香港の現行制度と自由と人権に配慮してきた。自由で繁栄する香港の存在が、中国自身が経済発展するのに必要だったからだ。香港は50年代半ばから工業化を進め、80年代にはシンガポール、韓国および台湾とともに経済成長著しい「アジアの四小龍」と呼ばれた。中国は香港を最大限に活用して経済発展を図ることにした。中国の改革開放に香港は重要な役割を果たしてきたのだ。

 同時に鄧小平は台湾問題の解決を見据えていた。葉剣英(全人代の常務委員会委員長)は81年、台湾に対し香港以上に柔軟な一国二制度を提案した。台湾は香港よりさらに大きな自治と権限を持つことができ、軍隊まで保有できるという内容だ。83年、鄧小平はその早期実現への期待を表明した。基本は、中国共産党と中国国民党による第3次国共合作だった。香港で一国二制度を成功させることは、台湾問題を解決する道でもあったのだ。

逃亡犯条例改正は共産党政府が繰り出した第4の矢

 これらの理由により、北京は香港に対し比較的柔軟な姿勢を持続させた。しかし香港における政治運動は中国本土に悪影響を与える。香港の経済を自由に発展させ、それを利用しながら、同時に政治の管理を強めたいというのが北京の本音だった。

 転換点となったのが2003年の50万人デモである。基本法は反逆、国家分裂、反乱扇動など国家安全を脅かす行為を禁止する法律を香港が自ら立法するよう規定している(23条)。02年、香港政府はその立法化に着手した。しかし、デモによりこれは失敗に終わった。

 中国は、この動きを愛国心不足のためだと認識し、12年に「徳育・国民教育科」の導入を目指した。だが北京の意向を受けた香港政府の動きは、中高生の強い反対を呼び起こし撤回に追い込まれた。

 中国は続いて14年、17年に行われる予定の香港行政長官選挙において、民主派が立候補するのを事実上不可能とする決定を下した。これに反対する香港の人たちは「雨傘運動」を繰り広げた。この運動は79日間継続したが、中国は譲歩せず、反対運動は挫折した。

 そして今回の逃亡犯条例改正に反対するデモである。中国が12年以来、香港への管理を強化する流れの中で、香港が返還されて以降、最大のデモとなった。中国の経済発展と国力の増大は香港の有用性を相対的に低下させ、それが香港の中国化を促進する。それに対する反発と将来への不安が、これほど多くの香港の人たちをデモに駆り立てたのであろう。

 しかし、理由はそれだけではない。香港の出来事は中国の国内情勢と不可分に結び付いている。

香港の経済的重要性は20年で7分の1に低下

 12年11月、習近平氏が中国共産党総書記に就任した。その頃、中国の国力は増大し、世界における中国の存在感も急速に拡大していた。中国国内のナショナリズムの高まりも顕著だった。同年9月に始まった尖閣問題をめぐる日中の衝突は、中国の対外姿勢を「実力による現状変更」という新たな段階に引き上げ、自己主張の強い強硬姿勢に転換させた。

 この基本姿勢の転換は、香港においては、中国の権威を誇示し管理を強化する方向に作用した。中国経済にとって香港の有用性が大きく低下した事実が、それを助長した。香港経済は、1997年には中国全体の2割弱の規模を誇っていた。それが20年後の2017年にはわずか3%弱となった。深圳は経済規模で香港に追い付き、ハイテク分野でははるかに引き離した。金融市場としても上海の重要性の方がさらに高まった。中国は香港に対して、以前ほど遠慮する必要がなくなったわけだ。

 香港を優遇するもう1つの理由であった台湾問題も、この20年間で大きく変質した。中国国民党の統治は終わり、その優勢も消えた。国共合作による統一は夢と消え、台湾独立派が力を強めた。一国二制度に基づき台湾問題を解決するという基本方針に変わりはないが、台湾と香港は分けて考えざるを得なくなった。台湾問題を念頭に、香港の政治に甘い姿勢を見せる必要もないと考える人たちが増えた。

 国際社会との関係でも中国は自信を付けた。中国が天安門事件後の国際的孤立から脱却し、経済を驚異的な勢いで成長させたのを背景として、欧米は中国の民主化や人権にあまり口出ししなくなった。むしろ遠慮するようになったほどだ。逆に、中国の影響力と国際的発言力は増大した。昔ほど欧米を気にする必要はなくなった。

これらを背景に、香港を「より中国的に」統治すべきだという声が中国指導部の中で強まったとしても不思議ではない。とりわけ、「中国モデル」に従い中国国内の管理と統制を強めているときに、香港にだけ自由気ままを許したのでは示しがつかないだろう。2012年以来、そういう方向で香港の管理強化が意図されてきたことは恐らく間違いない。

 従って、香港の人たちが「北京は香港の『中国化』を進めている」と強く感じ、それに反発し抵抗しているという見方は正しい。中国大陸への経済的な依存が高まり、中国の影響力が増す中で、香港の生きざま(Way of Life)を守りたいということだ。それは欧米のいう「民主化」とは必ずしも一致しない。英国の植民地であった時代に香港が真の民主主義を経験したことは一度もなかった。

国際社会の注目が改正を延期させた

 中国が台頭し、自分たちのやり方に対する自信を増大させたことが、米国を中心とする欧米社会において中国異質論を生み出し、中国を現行国際システムに対する「修正主義者」と断じさせた。米国では、今、中国をたたいておかないと米国の民主主義自体が壊されるという恐怖心が芽生えているという。これまでのように、中国はいずれ自分たちと似たような国になるのだから、中国が嫌がることはあまり言わずにいてあげようという雰囲気は欧米から消えた。自由や人権という、民主主義の核心的価値を求めるべく、再度声を上げるべきだという雰囲気になってきている。なんだか天安門事件の頃の雰囲気に似てきた。

 今回、香港政府が逃亡犯条例改正の延期を決めたのは、混乱を収拾し事態を沈静化するためだろう。同時に6月28日から始まる20カ国・地域首脳会議(G20サミット)を強く意識した対応だ。天安門事件のときのような人権をめぐる対立の構図を、世界との関係で作りたくないのだとみられる。

 米中対立の激化は、中国国内で路線の違いを表出させ、もう少しソフトな対応を求める声が強まっている。香港問題についても同じ力学が作用する。力で押さえつけ管理を強めるだけでは物事はうまくいかないと思っている人も少なくないのだ。逃亡犯条例改正問題は、中国と世界との関係がどのように収れんしていくのかという問題と切り離せない関係にあるのだ。

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