5/29希望之声<怕了?CGTN取消直播中美女主播辩论 大陆网络炸锅=怖がった? CGTN(環球TVネット)は米国女性アンカーとの討論のライブ放送を取消す 大陸のネットでは大騒ぎ>米中貿易戦争は反対論を抑えきれなかっただけでなく、世論の闘いを齎した。米国のフォックス(FOX)のビジネスチャンネルの女性アンカーレーガンとCCTV傘下のCTVNのキャスターの劉欣は、場外でバトルを展開した。 番組上で互いにやりあった後、双方は北京時間の30日の午前8時に議論をライブ放送することに同意した。 ネチズンと公式の見通しは、「CCTVが今回ライブ討論をするのは前代未聞である。 しかし、最新の情報ではCCTVは速やかに“撤回”し、“著作権上の理由から女性アンカーの対話は放送できなくなった」という声明を発表した。 そのニュースはネットで揶揄いの種となった。
やはり予想通りキャンセルしました。ライブ放送だけなのか、対決そのものを拒否したのか、今の所分かりません。レーガンのツイッターには5/30 11:30の段階で対決がアップされていません。
http://www.soundofhope.org/gb/2019/05/29/n2918827.html
5/29阿波羅新聞網<华为手机业务已经完蛋 外资点名这2家是最大受害者=華為のスマホ事業はダメになる 2社の外資系企業が最大の被害者となっている>米国は国家安全保障上の懸念に基づき、中国の通信機器メーカー華為社への禁輸を発表し、大規模なグローバル技術メーカーは華為への供給を停止することにした。 技術コンサルタントは、華為の国外市場でのスマホ事業は事実上終わっていると指摘し、Daiwa Capital Marketsは、華為のサプライチェーンが受注をカットし始めていることで、鴻海の子会社富士康とレンズメーカー大手の大立光電は、華為が出荷調整の前後で、影響を受けたメーカーになった。
ハイテク企業コンサルのApplicoのCOOであるAlex Moazedはブルームバーグのインタビューに、「中国以外の、特にヨーロッパでの華為のスマホ事業は事実上終了したと言える。華為は米国の制裁に反撃するものは何もない」と述べた。
アナリストは、「中国政府が華為に助成金を支給したとしても、華為のスマホOSにソフトウェアを提供することを何千万ものサードパーティ企業に説得することはできない。したがって、華為のOSは、GoogleのAndroidシステムから置き換えることはほぼ不可能である」と指摘した。
日本人は間違っても中国製のスマホは買わないように。中国製はGoogleのOSが使えないのであれば、台湾製を使えば良いでしょう。小生はずっとASUSのZenfoneを使っています。
https://www.aboluowang.com/2019/0529/1295518.html
5/30阿波羅新聞網<贸易战正在改变中国! 班农:川普不会退缩1秒钟=貿易戦争は中国を変えつつある! バノン:トランプは1秒たりとも後退しない>ホワイトハウスの元首席顧問のスティーブ・バノンはインタビューの中で、「トランプ大統領は米中貿易の場面で1秒たりとも後退しない。この争いは中国の経済構造を根本的に変えようとしているからだ」と述べた。
ブルームバーグの報道は、「バノンがカザフメディアフォーラムのインタビューを受け、“彼(チャンプ)は全力を尽くさなければならない。これは貿易戦争ではない。彼らは(中共)ずっと西側の経済戦争と対抗してきたからだ。資本市場への中共へのアクセスを遮断し、中共の技術の略奪を遮断すれば、直ちに降参する。」
バノンは、「トランプは1秒たりとも後退するとは思わない。貿易の争いが根本的に中国経済を変えつつあるので、彼ら(中国)は西側自由市場経済と協力できる」と述べた。 バノンは、「今は2つの互換性のないシステムがある。目下中国の問題が唯一の重要なことである」と述べた。
悪の共産主義は打倒されるべきです。トランプはバノンの言うように1秒たりとも後退しないでほしい。
https://www.aboluowang.com/2019/0530/1295526.html
5/29日経電子版<中国、レアアースで米けん制 米は輸入の8割依存 習氏「重要な戦略資源」
20日にレアアース企業を視察した習近平国家主席(新華社のニュースサイトから)
中国が電気自動車(EV)やデジタル家電の部材に欠かせないレアアース(希土類)の禁輸をちらつかせて米国へのけん制を強めている。中国は世界生産の7割を握り、米国は輸入の8割を中国に依存している。貿易戦争の激化に歯止めがかからないなか、中国にとって輸出規制は米国に対抗するカードになりそうだが、副作用を伴うもろ刃の剣でもある。
【関連記事】中国のレアアース、日本企業にも影響大きく
「中国のレアアースで作った製品を用いて中国の発展を抑え込もうと考えているなら、中国人民は決して納得しない」。共産党機関紙の人民日報は29日付の論評記事で、対米輸出規制をほのめかした。経済政策の司令塔である国家発展改革委員会も28日に同様の声明を発表し、外務省報道局長は29日の会見で「権威のある発言だ」と述べた。
これらに先立つ20日。習近平(シー・ジンピン)国家主席はレアアースの主産地、江西省贛(かん)州の有力磁石メーカーを訪れ、「重要な戦略資源だ。技術レベルを絶え間なく高めなければならない」と強調した。視察には対米貿易協議を担当する劉鶴副首相の姿もあった。
トランプ米政権は5月、中国の通信機器最大手、華為技術(ファーウェイ)に対する米国製部品などの事実上の禁輸に動いた。自国のハイテク産業に強まる圧力への報復として、中国がレアアースを交渉材料に使うとの臆測が強まっている。
中国は2010年に沖縄県の尖閣諸島をめぐり対立した日本への輸出を滞らせただけに商品相場は敏感だ。EVに使うモーター磁石に添加して耐熱性を高めるジスプロシウムには投機的な買いが広がり、足元で1キロ280ドル前後と年初比6割高い水準に跳ね上がった。
18年に米国が輸入したレアアース(化合物含む)は1万8557トンで、中国からが8割を占めた。米通商代表部(USTR)は中国製品すべてに制裁対象を広げたとする追加関税「第4弾」からもレアアースを除外した。例えばガラス研磨剤などに使うセリウムは輸入に占める中国の割合が96%と依存が深い。
レアアース生産は中国に偏在している。米地質調査所(USGS)によると、中国は12万トンと2位のオーストラリア(2万トン)や3位の米国(1.5万トン)を大きく引き離し、世界全体(17万トン)の7割を占める。
「中東に石油があり、中国にレアアースがある」。経済成長へ改革開放にかじを切った最高実力者、鄧小平氏は早くから戦略資源と見定めた。中国は採掘したレアアースの半製品や製品の加工・生産拠点も整えてきた。
ただ輸出規制は代償を伴う。金属市場調査会社、アイアールユニバース(東京・中央)の棚町裕次社長は「中長期では中国自身へのダメージが大きく、踏み切るとは考えにくい」と指摘する。
10年に日本への輸出を絞った際は供給元としての信頼に疑問符が付き、他国からの代替調達やレアアースを使わない技術開発を促す契機になった。サプライチェーン(供給網)の下流にあるメーカーが「得意先」である米国への輸出ができなくなれば痛手にもなる。
日米欧は中国の輸出規制が国内産業を恣意的に優遇する政策だとして世界貿易機関(WTO)に提訴し、14年に中国の「敗訴」が確定した。いま中国は米国の制裁関税をWTOルール違反と主張するが、禁輸はその説得力を失わせて孤立を深める恐れもある。(貿易問題取材班)>(以上)
5/29日経電子版<中国のレアアース、日本企業にも影響大きく
レアアースはEV向けの需要増加が見込まれる(中国のレアアース鉱山)
レアアース(希土類)の輸出制限を巡る中国政府の動向を日本企業も注視している。2010~11年に領土問題で日中関係が悪化した際、中国は日本に対するレアアースの輸出を制限。日本企業は調達難に見舞われ、代替素材やリサイクル技術の開発を進めた。中国側が米国への輸出規制に踏み込めば価格高騰など日本企業にも余波が広がる可能性がある。
【関連記事】中国、レアアースで米けん制 米は輸入の8割依存
「レアアースの供給は中国が世界市場の約8割のシェアを占めており、仮に輸出規制となれば(市況などへの)インパクトは大きい」。研磨剤用途を中心に扱う住友商事の担当者は身構える。
日本企業にはレアアースの輸出規制で苦い経験がある。領土問題で中国からのレアアース輸入が制限された結果、高性能磁石の原料となる「ネオジム」や磁石の耐熱性を高める「ジスプロシウム」の価格は10倍近くに跳ね上がった。企業はオーストラリアなど調達先の多様化や代替技術の開発に走り回った。
信越化学工業は磁石に使うレアアースの量を減らしリサイクルも強化した。一部のレアアースでは1つの磁石に使う中国産の量を10年間で3分の1以下に減らしたという。トヨタ自動車は18年、ネオジムの使用量を半減し、高温下でも磁力が損なわれない新型磁石を世界で初めて開発した。
日本企業の中国産レアアースへの依存度は下がっているとは言え、電気自動車(EV)やハイブリッド車(HV)のモーターに不可欠な高性能磁石向けなど、レアアース需要は今後も拡大する見通しだ。米中摩擦の余波で価格が高騰すれば、日本企業の調達コストが上昇して収益の重荷になる恐れがある。
レアアースを取り扱う専門商社によると、「米中摩擦を背景に顧客がレアアースの在庫を積み増すような動きは現状では確認していない」という。
日本企業はこの10年、リサイクルによるレアアースの確保や、中国への依存脱却へ向けた技術開発など幅広い取り組みを進めてきた。
トヨタグループの自動車部品大手ジェイテクトはネオジムとジスプロシウムを使わずに高出力を維持できる埋め込み磁石型のモーターを19年1月に開発した。磁石に中国以外でも採掘されて安価な「サマリウム」を代わりに使った。
モーター世界大手の日本電産は、レアアースが原料となる永久磁石を使わないスイッチトリラクタンス(SR)モーターを開発した。10年に買収したエマソン・エレクトリックの技術を生かした。永久磁石の代わりに、軸の周囲の電気の流れを切り替えて軸を回転させる仕組み。建機などで一部使われているという。
三菱マテリアルは16年にエアコンや洗濯機、冷蔵庫などのモーターからネオジムなどのレアアースを使った磁石を回収する技術を開発した。現在は共同開発したマーク・コーポレーション(三重県鈴鹿市)で磁石の回収事業を実施している。
中国の米国に対するレアアースの輸出規制は、中国にとってももろ刃の剣であることは過去の歴史が物語る。
レアアースの供給を絞った結果、調達先の多様化や代替技術の開発が進み、レアアース価格は下がり、需要も低迷した。15年1月には日米欧が世界貿易機関(WTO)に提訴した中国のレアアース輸出制限の協定違反で中国は敗訴している。
米国に対するけん制にとどまるのか、発動に至るのか。日本企業も固唾をのんでいる。(貿易問題取材班)>(以上)
5/29宮崎正弘氏メルマガ<トランプ、次の中国企業の標的はMEGVII(メグビー) 顔面認識メーカーの機器が新彊ウィグルの監視体制で「大活躍」>「ところが、日本は南鳥島沖合海底に膨大なレアアース鉱脈が確認されており、世界有数の埋蔵と言われている。だから日米は、中国の警告に慌てないのである。」とあります。日経の報道はこの視点がありません。不安をあおるだけ。勉強不足です。
http://melma.com/backnumber_45206_6823728/
福島氏の記事では、銅鑼湾書店の拉致事件のように秘密裡に拘束したものが、建前上は合法的に逮捕できるようになるという事です。まあ、中共のやることですから冤罪で逮捕者が続出し、中国側の厳しい監獄送りになるのでは。台湾に逃げる人は増えていくでしょう。
世界は中共のやることを良く見ていた方が良いです。中共は約束を守らないという事です。一国二制度だけでなく、WTOルール、東シナ海・南シナ海での行動を見れば分かるでしょう。「騙す方が賢く、騙される方が馬鹿」と言う民族ですから。米国人が中国人に騙され続けて来たのは愚かです。ハニーと賄賂で転がされて来たのでしょう。強欲もの同士だからです。
台湾で起きた殺人事件で台湾との犯罪人引き渡し協定を結ぶため、香中にも引き渡し協定を結ぶというのは口実としか思えません。やはり中共は50年も待つつもりがないという意思表示です。
記事
香港の高層ビル群
(福島 香織:ジャーナリスト)
天安門事件30周年を前に世界各地でシンポジウムや討論会が行われ、1989年6月4日に起きた悲劇を風化させまいという努力がなされている。特に香港では、毎年、6月4日の夜にはキャンドル集会が恒例になっている。だが、ひょっとするとこうした香港の天安門事件追悼集会は今年が最後になるかもしれない。
というのも「逃犯条例」(中国への犯罪人引渡し条例)改正案が今年(2019年)夏にも可決しそうなのだ。そうなれば、中国から香港に逃げてきた民主活動家や法輪功学習者、人権活動家、そして汚職官僚なども犯罪人として中国公安当局に引き渡されることになる、かもしれない。そして、天安門事件を忘れまいとするデモや集会なども違法な集会、反党活動、国家分裂活動として取り締まられ、主催者が犯罪人として中国に引き渡される可能性もありうるわけだ。
逃犯条例については、日本メディアでもかなり報じられている。4月28日には香港市民による13万人規模の条例に反対するデモが起きた。そして来たる6月9日には条例改正の絶対阻止を掲げて大規模デモが呼びかけられている。その前に行われる6月4日の天安門事件集会でも条例阻止が1つのテーマとなるだろう。
香港で、中国本土への容疑者引き渡しを可能にする条例改正案に反対するデモに参加した人々(2019年4月28日撮影)。(c)Anthony WALLACE / AFP〔AFPBB News〕
決定的に崩れる香港の司法の独立性
この改正逃犯条例とはどんなものなのか。現行の「逃犯条例」は「香港以外の中国その他の地方にはこの条例を適用しない」ことが規定されており、香港が中国本土と異なる司法の独立を有することを裏付ける内容になっている。改正条例案はこの適用外条項を削除する。
一言で言えば、香港の司法の独立性はこれで決定的に崩れることになる。条例の運用次第では、中国共産党が国内でやっているような政治犯・思想犯逮捕を香港でも行えるようになる可能性があるというわけだ。
中国で法律を犯した中国人が香港に逃亡した場合、香港司法当局は逃亡犯を中国に引き渡さなければならなくなる。また香港は目下米国、英国など約20カ国との犯罪人引渡協定に調印しているが、そうした国々に何の説明もなく、条例提供範囲を中国にまで広げてしまうことは、国際社会にとっても大問題だ。
西側諸国が香港と犯罪人引渡協定に調印しているのは、同じ民主主義の司法制度があるという前提で行われている。だから、香港とは犯罪人引渡を認めても、中国とは認めていない国も多い。だが、香港と中国の間に逃犯条例が成立すれば、香港を経由して自動的に中国に容疑者を引き渡してしまうことになる。西側の自由社会にしてみれば、中国のような法治国家でないところに容疑者を引き渡すわけにはいかない。
ちなみに中国と犯罪人引渡協定を結んでいる国も約40あるが、多くが中東や中央アジア、東南アジア、アフリカなどで、民主主義の法治の先進国家ほとんど含まれていない。こうした協定に基づき中国に引き渡されている“犯罪者”には、ウイグル人留学生や民主活動家らも含まれていたりするのだ。
フィナンシャル・タイムズの取材に対して、米中経済・安全審査委員会(米国議会の諮問機関)は「新条例は香港における米国の国家安全と経済利益に重大なリスクをもたらす」「ウソの口実を使って、香港在住米国人の引き渡しを要求するかもしれない」と警告している。国際商会・香港区会は「こんな条例ができれば、香港に企業の総本部を置くこと考えなおさなければならない」と不安を口にする。
残虐な「陳同佳事件」がきっかけに
香港の立法会に逃犯条例改正案が提案されたきっかけは、台湾で起きた「陳同佳事件」だ。2018年2月、香港人男子学生の陳同佳が恋人の潘暁穎を旅行先の台湾のホテルで殺害、翌日、遺体を台北MTRの竹園駅近くの公園の草むらに遺棄し、香港に逃げ帰った事件である。
潘は妊娠しており残虐きわまりない事件だが、香港と台湾の間には犯罪者引渡条例がなかった。そのため台湾警察は陳同桂を国際指名手配するも、香港は容疑者を引き渡すことができなかった。台湾警察は取り調べができないので起訴できないまま。香港警察は陳同桂をマネーロンダリングなどの別件で起訴、香港司法は今年4月に懲役29カ月の判決を下した。陳同桂は控訴せず。なぜなら判決前の収監期間を入れれば10月には出所し、自由の身になるからだ。
香港政府としては陳同桂を台湾に引き渡すために、それまでに逃亡条例を改正することにした。だが、香港の立場上、“中国の一部”である台湾とだけ条例を結ぶことは難しい。そこで条例改正案では、台湾だけでなくマカオ、そして中国本土とも容疑者引き渡しを認める内容になったわけだ。
中国への引き渡しを恐れる人たち
条例案では、引き渡し請求を受けると香港の裁判所で審理を行うが、最終決定権は香港特別政府行政長官が握る、としている。香港当局は、人権と裁判審理プロセスの公正さは担保されるし、引き渡された場合に死刑が執行される場合や政治犯容疑者は引き渡さないし、上訴や審理差し戻し請求の権利なども維持されており変化はない、としている。経済犯罪も重大犯罪のみに限定するとした。
だが現状、香港の司法制度の独立性が目に見えて中国当局に侵されているわけで、香港市民はこうした香港政府の説明に納得していない。行政長官は、親中派で固められている選挙委員会による選出であり、中国の意向に逆らえない立場である。反対派は、そうした実態があることから、条例案でいくら政治犯引渡しを認めないという内容があっても、政治犯を経済犯やその他の冤罪を着せて引き渡すことは十分ありうると考えているのだ。
こうした懸念は、香港の民主派議員や人権、宗教組織関係者、共産党批判の香港市民といった特定のイデオロギーを持った人たちに限ったものではなく、広くビジネス界金融界やメディア界にも共有されている。
というのも、香港というのは中国政治家たちの一大マネーロンダリング地であり、国際金融市場を利用して本土から不正に持ち込まれた政治家・官僚たちの資産をロンダリングして海外に移転する手助けをしてきた。金融界、財界の少なからぬ有名人たちは「ホワイトグローブ(白手袋)」と呼ばれ、汚れた手を“白手袋”で隠すように、合法的に見える手法で違法な資金洗浄を行ってきた。もし逃犯条例が改正されれば、中国国内の権力闘争のたびに、大量の香港の金融・財界人が逮捕され中国に引き渡されて取調べを受ける、なんてこともありうるわけだ。
また、香港はこれまで、中国国内で権力闘争がらみで反腐敗キャンペーンのターゲットになった官僚、政治家の一時避難所であった。自分の身辺に汚職捜査に手が伸びそうだと思ったら香港に脱出し、権力闘争の旗色を見ながら米国に亡命するか、あるいはほとぼりが冷めたころに中国に戻るかを決める。数百人単位の中央・地方官僚が、党中央や地方での闘争の嵐が過ぎるまでフォーシーズンズホテルなどに逗留している。
メディア界にしても、香港はこれまで重要な中国取材拠点としての意味があった。例えば香港駐在記者や香港人記者が中国で敏感なテーマを潜入取材しても、無事香港に戻ってくれば報道はできたし、身の安全も守れた。香港では問題ない取材でも、中国では擾乱罪や分裂扇動罪に問われかねないネタは多々ある。北京駐在記者がジャーナリストビザを通じて厳しく監視コントロールされている中で、機動力のある香港駐在記者が敏感な取材をするという意味で、「中国取材の本当のメディア最前線は香港である」と位置付けていた記者、ジャーナリストたちもいる。
さらに強まる中国の影響力と圧力
香港は習近平政権になってから深刻な中国共産党の干渉を受けるようになっている。例えば2015年10月の銅鑼湾書店事件(中国における禁書や習近平スキャンダル本の出版を行ってきた銅鑼湾書店関係者が秘密裡に逮捕され、銅鑼湾書店が閉鎖に追い込まれた事件)や、2017年1月27日に起きた大富豪・蕭建華の“失踪”事件(中国公安当局に秘密裡に身柄拘束され、北京に移送された事件)など、香港の司法の頭越しに北京が非合法なやり方で自分たちに都合の悪い人間を秘密裡に収監する事件が相次いでいる。
また、香港独立を主張する香港民族党が活動禁止を言い渡された後、香港外国特派員協会(FCC)が民族党の創始者である陳浩天に講演講師を頼んだことが原因で、講演企画者でFCCの副会長も務めていたフィナンシャル・タイムズの特派員・ビクター・マレットがビザ更新を拒否され香港から退去を余儀なくされた事件(2018年10月)。2014年の雨傘革命のきっかけとなった「オキュパイ・セントラル」(中環を占拠せよ)運動の発起人である香港大学法学部副教授の戴耀廷ら9人に最長1年4カ月の実刑判決が4月に出たことも、中国の影をひしひしと感じさせる出来事だった。
こうした中国の影響力、圧力は、条例成立によって、香港の“法治”を維持しているように見せかけながらさらに強まるのではないか、とみられている。
条例が改正されれば、具体的にどういう現象が起きるだろう。
中国政府駐香港連絡弁公室(香港中聯弁)によれば、1997年の香港返還後、本土から香港に260人以上の容疑者が逃亡しているという。香港はこれまでこうした“容疑者”を1人も中国に引き渡したことがないが、条例が改正されれば、彼らの引き渡しが一斉に始まるかもしれない。あるいは、香港から第三国への脱出ラッシュがおきるかもしれない。
銅鑼湾書店主の林栄基もその対象の1人だろう。彼は中国で秘密逮捕され長期に取調べを受けたのち、自主的に中国に戻ることを条件に一時的に香港に戻ることを許されたが、結局中国に帰らず香港で記者会見して秘密逮捕のことを暴露した。その後、切実に身の危険を感じたので、4月末に台湾に脱出。3カ月のビザが出ており、その3カ月の間に今後の身の振り方を考える、としている。
陳同佳に殺害された潘暁頴や遺族の無念を思えば、司法管轄の障壁によって裁かれるべき人間が裁かれないという今の状況は人権の観点からいっても改善されるべきなのだろう。だが、その代償が香港の司法の独立、法治だとすれば、なんと矛盾に満ちていることだろう。
一香港青年の凶行が、恋人とその赤ん坊の命を奪っただけでなく、香港そのものの命を奪うことになるとは。
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