『「14年前のムーディーズ」に再び怯える文在寅 韓国の左派政権を「通貨」で脅す米国』(10/12日経ビジネスオンライン 鈴置高史)について

10/12の鈴置氏の記事の段階では、中韓通貨スワップは延長されていませんでしたが、10/13再開されることが決定したようです。中国側が正式に発表していないのが気になりますが。

10/13産経ニュース<中韓通貨スワップ、協定を3年延長 中国側が貸しを作ったかたち>人民元が貿易決済でどの程度歓迎されるかですが、無いよりはマシというレベルでは。でもこれで韓国は中国に裏で何らかの約束をしたと思います。中国が条件なしで韓国を助けることなぞありませんので。それが何か?THAADの撤廃は米軍が認めないでしょうし。米中が北の金正恩体制を打倒し、その後の管理まで話合い、在韓米軍の撤退(勿論THAAD配備もなし)が決められているとすればあり得ますが。勿論中国は韓国には教えないでしょうけど。まあ、そうなれば鈴置氏の言う「米国が「韓国への金融制裁」を決意したら、人民元スワップがあろうとなかろうと、あらゆる手で資本逃避を仕掛けることができるのです。」という手を米国は使うでしょうけど。その前にレッドチーム入りしてウオンは人民元になっているかもしれませんが。

http://www.sankei.com/world/news/171013/wor1710130056-n1.html

10/12JBプレス北村淳氏記事<中国の「北朝鮮への電撃侵攻」は起こり得るのか? 北朝鮮との国境周辺地帯に中国人民解放軍が集結>。本記事も米軍の攻撃が近いのではと思わせる記事です。でも中国が米国に先駆けて北朝鮮を攻撃することはないでしょう。まず、大義名分がないです。機能はしていなくとも中朝は同盟国であり、北が明確に中国を標的としてミサイルを落とすと言っていない限り、「自衛権の発動」と説明は出来ないでしょう。現実に中朝で戦争すれば中国も痛手を蒙るし、核の撃ちあいになるかもしれません。結婚適齢期の男子が3000万人余っているからと言って戦線に送り込んで死なせたら、「一人っ子政策」で老後の面倒を見る子供がいなくなり、革命が起きるかもしれません。また、どうせ戦地に送るのであれば台湾か日本にと思うのでは。中国が先に攻め入ると言う話も米国のシンクタンクから出た話しのようですので、どこまで信用できるかですが。

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/51296

http://www.excite.co.jp/News/chn_soc/20091129/Recordchina_20091129018.html

7/11ハンギョレ新聞<9千億円さらに費やし「遅れての移転」…米8軍、11日から平沢へ>。米軍基地はソウルから平沢へ移転完了しています。

http://japan.hani.co.kr/arti/politics/27883.html

10/14宮崎正弘氏メルマガ<在韓米国人のエクソダス訓練を開始か すでにマニュアルは配布され、グループ別の集合場所、方法も>。NEO(Noncombatant Evacuation Operations)はやらないと思っていましたが、やっているようです。と言うことは、開戦は近い?でも秘密裡に20万人を移動させるのは難しいでしょう。日本人は自己責任で対応という事ですので、日本に帰国するか、マテイス長官の『ソウルを火の海にしない』発言を信じるかどうかです。在韓米軍も在日米軍基地に避難=日本は安全という意味でしょうから。

http://melma.com/backnumber_45206_6596028/

朝鮮半島はきな臭くなってきました。「日本では戦争は起きない、起こさせない」と思っている憲法9条信奉者は現実の前に膝を屈するでしょう。拉致被害者奪還のチャンスは今回しかありません。今度の選挙で、保守を標榜している左翼(立憲民主党、希望の党)には投票しないようにお願いします。彼らこそが中共の手先で、日本を中国の属国にし、人権弾圧をしたいと願っている輩ですから。“If you want peace, prepare for war”と平和を望む人々に一番大事なのは同盟を含めた抑止力です。

記事

盧武鉉政権の中枢にいた文在寅大統領は、当時の「ムーディーズ格下げ」など米国の経済的恫喝の怖さを知っているが、現状、打てる手は少ない(写真:YONHAP NEWS/アフロ)

前回から読む)

中韓通貨スワップは満期が来ても延長されなかった。日本・米国とのスワップも関係悪化から締結は期待できない。韓国は資本逃避の荒波を乗り切れるのか。

中韓スワップ延長せず

—中韓のスワップが延長されませんでした。

鈴置:10月10日に期限が切れました。韓国は延長を申し入れていましたが、不発に終わりました。中国の反対を押し切って在韓米軍のTHAAD(地上配備型ミサイル迎撃システム)配備を容認したことへの報復と見られています。

中韓スワップは韓国が通貨危機に陥った2008年12月に結んでもらい、2回にわたって延長してきました。現在の限度額は3600億人民元――548億ドル相当です。韓国の結ぶ2国間スワップ総額の70%強を占めていましたから、韓国紙は大騒ぎしています(「韓国の通貨スワップ」参照)。

韓国の通貨スワップ(2017年10月11日現在)

相手国 規模 締結・延長日 満期日
中国 3600億元/64兆ウォン(約548億ドル)終了 2014年 10月11日 2017年 10月10日
豪州 100億豪ドル/9兆ウォン(約78億ドル) 2017年 2月8日 2020年 2月7日
インドネシア 115兆ルピア/10.7兆ウォン(約85億ドル) 2017年 3月6日 2020年 3月5日
マレーシア 150億リンギット/5兆ウォン(約36億ドル) 2017年 1月25日 2020年 1月24日
CMI<注> 384億ドル 2014年 7月17日  

<注1>CMI(チェンマイ・イニシアティブ)は多国間スワップ。IMF融資とリンクしない場合は30%まで。 <注2>カッコ内は最近の為替レートによる米ドル換算額 資料:韓国各紙

北朝鮮の核問題が煮詰まって資本逃避が始まっている時だけに、専門家は危機感を強めています。朝鮮日報の趙儀俊(チョ・ウィジュン)ワシントン特派員は「『北の核危機』発の金融危機」(10月8日、韓国語版)で以下のように書きました。

CDSが急謄

トランプ(Donald Trump)大統領と北朝鮮の李容浩(リ・ヨンホ)外相が国連総会で言葉の応酬を続けた8月18日から23日まで、WSJ(ウォール・ストリート・ジャーナル)の米国版では北朝鮮関連のニュースが3回も1面に載り、うち2回はトップニュースになった。

海外メディアは北朝鮮の危機の中でも韓国経済が堅調であることを認めていたが、一転して韓国危機説が取り上げられれば、市中銀行の資金調達がすぐに行き詰まりかねない。

朝鮮日報は社説でも資本逃避の問題を取り上げました。「見過ごせない外国人の債券大量売り」(9月28日、韓国語版)です。その書き出しを翻訳します。

今週(9月24日から始まった週)に入り、2日間で外国人投資家が3兆ウォン(約2980億円)の債券を売った。史上最大の売りだ。

まだ、本格的な「韓国売り」(外国人の資本逃避)と見ることはできないが、朝鮮半島リスクが高潮する状況の中で起きたことだけに、見過ごすことはできない。

国の不渡りの危険度を示すクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)プレミアムも19カ月ぶりに最高値を記録した。

外交の失敗が国恥呼ぶ

—韓国はどうするのでしょうか。

鈴置:これまでの通貨危機時には日本や米国にスワップを付けてもらい――信用供与を受けて、しのいできました。でも今や、日米との関係が悪化。頼める雰囲気にはありません。

中央日報のイ・サンリョル国際部長は「また危機がくれば日米は通貨スワップに応じるのか」(10月2日、日本語版)で「次の危機は自力で克服することになるかもしれない」と国民に覚悟を求めました。以下が書き出しです。一部、要約しています。

朝鮮戦争以来の国難であった通貨危機(1997年)から20年。当時、外国人の資金は一気に流出し、外債は満期が延長されなかった。我々は日本や米国に支援を求めた。

しかしクリントン(Bill Clinton)政権は金泳三(キム・ヨンサム)政権に「IMF(国際通貨基金)で解決策を見いだすべきだ」として取り合わなかった。林昌烈(イム・チャンヨル)副首相は玄界灘を渡って三塚蔵相に支援を頼んだが、門前払いされた。

当時も韓国は米国との関係を悪化させていました。イ・サンリョル部長は外交の失敗がIMF救済という国恥につながったことを韓国人に思い起こさせたのです。

通貨危機は日本のせい

—自明のことをわざわざ書く必要があるのでしょうか。

鈴置:韓国では「1997年の通貨危機は日本が突然、資金を引き揚げたから起きた」との認識が一般的です。

危機のたびに日本にそう言い募ってはスワップを付けてもらったので、事実とかけ離れた認識が定着したのです。そのためでしょう、この記事は「本当は怖い米国」について筆を進めました。

韓国はIMF救済金融を使うことにしたが、外国人の離脱は止まらなかった。金大中(キム・デジュン)次期大統領が当選直後に報告を受けた1997年末の外貨準備高推定額はマイナス6億ドルからプラス9億ドルで、デフォルト(債務不履行)の一歩手前だった。

金大中次期大統領はデービッド・リプトン(David Lipton)米財務次官の前で「面接試験」を受け、整理解雇や敵対的M&A(企業の合併・買収)など「IMFプラス改革」を約束した。ようやく米国はIMFと西側12カ国を動かして100億ドルの早期支援を決めた。

IMF救済が反米の原点

通貨危機の最中に誕生した金大中政権は韓国初の左派政権でした。IMFの救済条件は国民に大きな痛みをもたらすものでしたから、前政権が受け入れたIMF救済を左派政権が拒否するのではないかと米国は疑って「面接」を実施しました。

さらにはIMFの救済条件には含まれない「IMFプラス改革」も飲ませ、韓国経済をコントロールしたのです。その頃、知日派の識者から「IMFは(絶対的権力を振るった)GHQですよ」とこぼされたものです。

一連の「改革」によって金融機関が抱える不良債権は政府が引き受け、健全になった大手銀行はほぼ欧米資本が買収しました。現在の韓国の反米感情の原因の1つにこれがあります。

韓国人は不況と失業の苦難に堪え、短期間で危機を乗り越えました。一方、金大中政権は2000年6月に初の南北首脳会談を実現。米国は苦い顔をしてそれを眺めていました。

首脳会談実現の背景には、この危機で高まった「米国一辺倒ではダメだ。同じ民族同士が手を結ばねばならない」との韓国人の思いがありました。

なお、この首脳会談を実現するために韓国は2億ドルもの裏金を北朝鮮に払ったうえ、開城工業団地を設立し米ドルを送り続けることになりました。金大中政権は北の核武装に加担したのです。

「怖い顔」見せた米国

—米国は韓国の左派政権を通貨で威嚇する――とのことでしたが(「怒るトランプは『米韓FTA破棄』を命じた」参照)。

左派の盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権にも、文在寅(ムン・ジェイン)政権に対しても威嚇しています。あまり表面化しませんが、時に「米国の怖い顔」を垣間見ることができます。

米国のアジア専門家、マイケル・グリーン(Michael Green)CSIS上級副所長が中央日報に「トランプの最近の発言と韓国大統領選挙」(5月5日、韓国語版)を寄稿しました。同じ日の日本語版でも読めます。

今回の韓国大統領選挙の直前に載せた記事で「政権を握ったら反米・反日公約をおろせ」と文在寅氏に要求したのです。以下、ポイントです。

文候補はTHAADの迅速な配備に批判的だ。彼は慰安婦問題をめぐる韓日両国の合意を再交渉しようとする。米国だけでなく民主世界の多くの国が平壌に圧力を加えているこの時期に、北朝鮮に対するより前向きな接近を約束した。

しかし文候補はトランプ大統領に比べると選択の幅がもっと広い。トランプ大統領は選挙キャンペーン期間、当選後に変えるのが難しい公約をした

私はホワイトハウスで仕事をした当時、文候補を観察する機会があった。青瓦台(大統領府)秘書室長だった彼は理念的というより実用的な人物だ。

 「文候補は選択の幅が広い」とは「公約をおろせ」の外交的な表現です。英語版(5月8日)の見出し「A Moon-Trump clash is unlikely」(文在寅はトランプと衝突はしないだろう)も「トランプと衝突するな」との意味でしょう。

船出寸前に脅迫

—文在寅政権に反米・反日政策をやめさせる手段があるのですか?

鈴置:グリーン氏は、続けてこう書きました。

文候補は盧武鉉大統領が2002年の大統領選挙キャンペーンで米国を攻撃した時、ムーディーズ・インベスターズ・サービスが韓国を格下げしたことを記憶する必要がある。

 ムーディーズは2002年に韓国を格下げしていません。2003年2月10 日に見通しを「強含み」(positive)から「弱含み」(negative)に引き下げましたから、これを指すと思われます。

 当時、通貨危機から6年経っておらず、船出する直前の盧武鉉政権にとっては見通しを下げられるだけで大打撃でした。

 引き下げの理由は2003年1月10日に北朝鮮がNPTから脱退宣言したことでした。が、それから1カ月も経っており、しかも2月25日の左派政権発足の直前でしたから、マーケットは米国の威嚇と見なしたのです。

2003年にも空爆論

—露骨ですね。

鈴置:それだけに効果てきめんでした。盧武鉉政権の中枢にいた文在寅氏の回顧録『文在寅の運命』(2011年5月)は265ページに、こう記しています。

(2003年5月の米韓首脳会談に先立ち)当時、米国が準備した韓米共同声明の草案には北の核問題に対し「すべての選択肢を排除しない」との米国の立場が含まれていた。

簡単に言えば「(戦争を含む)すべての手段を辞さない」との意味だ。もちろん米国も武力の使用を実際に選択しようということではなかった。それを選択肢の中に入れておけば、北朝鮮を牽制するカードとして助けになるということだった。

だが、その可能性に言及することだけで不安心理が高まり、外国人の対韓投資を含め、我が国経済に悪影響を与える危険が大きくなった。

実際、米国の一部に北朝鮮への空爆の話が出ただけで、ムーディーズが韓国の信用等級を1段階下げたりもした。

反米大統領の詫び状

—韓国はマーケットの動揺にどう対応したのですか。

鈴置:『文在寅の運命』によると、盧武鉉大統領は「すべての手段を辞さない」との文言を「対話を通じた平和的な解決」に替えるよう米国に求め、首脳会談の過程でそれが受け入れられたというのです。

 安堵した盧武鉉大統領は首脳会談の席上、ブッシュ(George W. Bush)大統領に感謝の意を伝えたうえ、ワシントンで「米国の助けがなかったなら朝鮮戦争の時に生き残るのは難しかった」と語りました。

 選挙期間中に「反米のどこが悪い」と叫んだ盧武鉉氏に“ムーディーズ”が詫び状を書かせたのです。

 盧武鉉大統領の屈服をなぜ、盟友の文在寅氏が書き遺したのか、不思議に思う人がいるかもしれません。

 それは「米国の助けで生き延びた」との発言が、韓国の反米親北派から強い批判を受けたからです。文在寅氏はそれに対し、あれは通貨危機を避けるための「韓信の股くぐり」だった、と弁解したのです。

 この本は文在寅氏が出馬した2012年の大統領選挙を意識して書かれたもので、支持層固めのための言い訳がここ以外にも見られます。

要職は親北派が占める

—「すべての選択肢を排除しない」辺り、現在とよく似た状況だったのですね。

鈴置:この時、北朝鮮に強い姿勢で臨めば、核問題は様相が変わっていたかもしれません。しかし結局、米国は話し合い路線を選択。韓国は北にカネを与え続けた。

 将来、歴史家が振り返れば1994年の「枠組み合意」と並び、この時の甘い判断が間違いだったと評価すると思います。

 だから米国の外交界には「今度は失敗しないぞ」との思いがあり、グリーン氏も文在寅政権のスタート前から「ムーディーズの格下げ」で脅したのでしょう。

 文在寅大統領も14年前の恐ろしい思い出があるだけに、グリーン氏の威嚇を意識しているのは間違いないと思います。

—でも、文在寅政権は親北路線を捨てていません。

鈴置:この政権は左派の支持で誕生しました。青瓦台のかなりの数の要職は「親北派」が占めています。もし北朝鮮への人道支援をやめれば、大統領は彼らの反乱に直面するかもしれません。おいそれとは変われないのです。

 ただ盧武鉉政権と同様に、通貨危機の足音が聞こえてくれば、そんなことも言っていられなくなるでしょう。

天中殺の韓国経済

 資本逃避を誘発する要因は「北の核」だけではありません。米国の利上げ、韓国の家計債務の急増、文在寅政権の「ばらまき」による政府債務の増加など「惑星直列」というか「天中殺」状況です。

 スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)のキムエン・タン常務は中央日報のインタビューで「不動産価格が急落すれば銀行の財政に直ちに影響する」と語りました。「韓国の格付けを脅かすのは北核よりも家計債務」(9月15日、日本語版)で読めます。

 韓国の家計債務問題は日本ではあまり取り上げられていませんが、日経の梶原誠コメンテーターは日経・電子版「金融危機10年は買いか」(10 月11日)で激しく警鐘を鳴らしました。

 韓国は急速な少子高齢化に直面しています(「グラフ1」参照)。2015年からは、それにより経済が弱体化する「人口オーナス」の時期に入っています(「グラフ2」参照)。

グラフ1:日中韓の高齢化率の比較

注:65歳以上の高齢者が7%以上を「高齢化社会」、14%以上を「高齢社会」といい、高齢化の進み具合を示す目安になっている  出所:国連「World Population Prospects:The 2010 Revision」から大泉啓一郎氏作成

グラフ2:日中韓の従属人口比率の推移(中位推計)

注:従属人口比率は0~14歳と65歳以上の人口の比率  出所:国連「World Population Prospects:The 2010 Revision」から大泉啓一郎氏作成

 歴代政権は「経済の縮み」を不動産取引の活性化策という麻薬でごまかしてきました。その副作用が噴出し始めたのです。格付けが引き下げられずとも、何かをきっかけに資本逃避が本格化する可能性が高まっています。

食い逃げの達人

—中国からスワップを付けてもらう可能性は全くなくなったのですか?

鈴置:満期日に直ちに延長する必要はありません。今後の交渉次第で延長というか空白期間を置いての再開と呼ぶべきか、復活する可能性があります。

 中国の金融当局も人民元の国際化のためには中韓スワップを延長したいでしょう。ただし、2つ障害があります。

 韓国が外貨不足に陥った時、中国とのスワップを発動し人民元を手に入れて市場でドルに交換することになります。

 しかし大量の人民元売りは為替の急落を招きかねない。中国自身の格付けも今年に入って、ムーディーズやS&Pに引き下げられているのです(日経・電子版「S&P、中国を『シングルAプラス』に格下げ 債務増で」参照)。韓国との「連鎖倒産」を覚悟できるか、がポイントです。

 もう1つは政治要因です。THAADの配備撤回なしにスワップの延長を認めれば、韓国が勘違いして中国を「なめる」可能性が大です。

 日本は韓国にスワップを付けた瞬間、徹底的に後ろ足で砂をかけられました(「5年前、韓国はスワップを『食い逃げ』した」参照)。

 中国も「食い逃げの達人」韓国に騙されました。韓国はTHAAD配備を拒否するふりをしていたので、中国もスワップの延長に応じてきたのです。「人民元の国際化に役立ちます」と言われても、中国共産党のトップが首を縦に振るかは不明です。

米国が金融制裁を決意すれば

 仮に、中韓スワップが延長されても韓国経済に対する不安感は収まらないと思います。「中韓」は通貨防衛に使う時は人民元をドルに転換する必要があります。そんな使い勝手の悪いスワップがどれだけ威力を発揮するのか、疑問視されています。

 そもそも、資本逃避の根にあるのは米国との関係悪化です。トランプ大統領が韓国との同盟をいつまで維持するつもりなのか、怪しくなってきました(「『韓国は中国の一部だった』と言うトランプ」参照)。

 そのうえ、北朝鮮の核問題解決の邪魔をする韓国には容赦しない姿勢も明白にしました(「怒るトランプは『米韓FTA破棄』を命じた」参照)。

 米国が「韓国への金融制裁」を決意したら、人民元スワップがあろうとなかろうと、あらゆる手で資本逃避を仕掛けることができるのです。

(次回に続く)

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