『米国の没落が急加速!「アメリカファースト」政策の大失敗』(6/27ダイヤモンドオンライン 北野幸伯)について

6/27ZAKZAK【米中激戦!】「支持率低い」はつくられた? 米大手メディア、情報操作でトランプ氏たたきの理由

日本のマスコミでは、ドナルド・トランプ米大統領が「ロシア・ゲート」疑惑で弾劾されるとか、あるいは近い将来、辞任に追い込まれる、というような、まったく誤った情報が蔓延(まんえん)している。

これは米大手メディア(=メーン・ストリーム・メディア、一般に『MSM』と略称されている)が意図的に流している情報を、日本のマスコミが無自覚に垂れ流しているからだ。トランプ氏が弾劾される、あるいは辞任に追い込まれる可能性はほとんどない、というのが現実である。

ただ、トランプ氏がMSMに嫌われているのは事実である。それは彼が本格的な米国社会の革新を実行しつつあり、それに既成勢力の一部であるMSMが徹底的に抵抗しているからである。

「トランプ氏の支持率が低い」との報道もあるが、これもMSMがつくっている数字である。もし、彼らの世論調査が正しいとすれば、トランプ氏は昨年11月の大統領選で大敗北を喫していたはずだ。そして、ヒラリー・クリントン元国務長官が大統領に当選していたはずである。

昨年の大統領選で間違った情報を流したというよりは、情報操作で「クリントン勝利、トランプ惨敗」を意図的に実現させようとしたマスコミや世論調査会社が、まったく同じことをやっているのである。日本の左派マスコミによる、安倍晋三首相攻撃と似ている。

トランプ氏のスローガンは「アメリカ・ファースト」であり、「米国をもう一度、偉大な国にしよう」だ。彼は共和党の指名受諾演説で明言しているが、彼の政治的使命は「国民国家・米国の再建」なのである。「新しいナショナリズム」といってもよいだろう。

このナショナリズムに反対する左派リベラルが、多国籍企業・無国籍企業などと連携して「トランプたたき」を行っている。米大手メディアも、この「リベラル=無国籍企業」連携の一部である。国民国家・米国の再建に反対する勢力が手を組んでいるのだ。

米国で生まれても、多国籍化・無国籍化した企業は、さらなるボーダーレス・エコノミー化を推進しようとする。「ヒト、モノ、カネ」が国境を無視して自由に動くような経済が彼らの理想である。このボーダーレス化に反対し、国民経済という単位を重視しようというのが、トランプ氏の基本政策である。

ボーダーレスでなく、ボーダーを強化して、米国国民の利益を第一に考えるのが、トランプ政権である。ボーダーレスを理想とする無国籍企業からすれば、民主政治に基礎を置いて企業活動を規制しようとするトランプ氏のようなナショナリストは、敵以外の何ものでもないのである。

リベラル勢力はもともと、「アンチ・国家」であり、「国家の枠組みを破壊する」ことを使命としている。ここで無国籍企業派とリベラル派が手を組んで、国益重視のトランプ氏を引きずり下ろそうとしているのだ。単純化していえば、「グローバリスト対ナショナリスト」の対決である。

■藤井厳喜(ふじい・げんき) 国際政治学者。1952年、東京都生まれ。早大政経学部卒業後、米ハーバード大学大学院で政治学博士課程を修了。ハーバード大学国際問題研究所・日米関係プログラム研究員などを経て帰国。テレビやラジオで活躍する一方、銀行や証券会社の顧問、明治大学などで教鞭をとる。現在、拓殖大学客員教授。著書・共著に『最強兵器としての地政学』(ハート出版)、『米中激戦!』(ベストセラーズ)など。>(以上)

北野氏の記事に出てきますペドゥート・ピッツバーグ市長は民主党です。14年に初当選しましたが、1934年~今までずっと民主党が市長を担ってきました。(Wikiより)。ずっと民主党が岩盤の地域だったのに、ピッツバーグはラストベルトと呼ばれ、民主党は何もしてこなかったので、ピッツバーグの属するペンシルベニア州はスウイングステートでもあり、トランプに勝利を齎したのかと思いました。しかし、野口悠紀雄氏は違うように書いています。では何故トランプが勝利できたのかについては触れていませんが、やはり既存の政治家のやり方では国民は満足できなくなったという事ではないでしょうか。

https://www.msn.com/ja-jp/news/world/%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%97%E3%81%AE%E7%A5%A8%E7%94%B0%E3%80%8C%E9%8C%86%E3%81%B3%E3%81%9F%E5%B7%A5%E6%A5%AD%E5%9C%B0%E5%B8%AF%E3%80%8D%E3%80%81%E5%AE%9F%E3%81%AF%E7%9B%AE%E8%A6%9A%E3%81%BE%E3%81%97%E3%81%8F%E5%BE%A9%E6%B4%BB/ar-AAmeW06#page=1

藤井氏の言うグローバリストとナショナリストの闘いを、トランプは「アメリカ・ファースト」という事で分かり易くしました。北野氏が言うように自分ファーストを広言する人は嫌われるのはその通りでしょう。でも、本音は皆そうで、次の人や国にどういう手を打つかという選択の問題でしょう。トランプも貿易を止めるつもりもなければ、安全保障上の同盟の責任も果たすとしていますので。既存の枠組みを見直す時に、「アメリカ・ファースト」を訴えるのは、国民にとって納得しやすいでしょう。グローバリズムの手先のメデイアに対抗するためには彼らの意に反することも、ドンドン進めて行かなければなりません。グローバリズムが善だと単純に信じ込むことはナイーブ過ぎです。今の日本も全く同じ状況です。憲法改正という戦後の垢を落とすためには、国民投票で過半数を取らないとなりません。日本の反日左翼メデイアはそうさせないよう、あらゆる面で次から次へと事件化を図っています。大きく見ればグローバリズムとナショナリズムの闘い、守旧派対改革派の闘いです。情弱では正しい判断ができません。

北野氏は「習近平は、「地球ファースト」の「フリ」をして、名声を高めている。」と述べていますが、その通りです。劉暁波の緊急入院の情報で、毛沢東が周恩来の膀胱癌での入院治療を認めず、最後になってやっと認めたときには手遅れという故事を思い出させてくれました。人権弾圧が当り前の中国の中でもそれが際立っている習近平です。いずれ馬脚を現すと思います。言う事とやることが違うのが中国人、「騙す方が賢く、騙される方が馬鹿」という社会なので、付き合ってみればすぐに分かります。それでも付き合おうとするのは人口に幻惑され、経済的にメリットを受けられるのを思ってのこと。でもリスク管理をしっかり(約束違反は懲罰的ペナルテイを多国間で課すようにしないと)しないと駄目でしょう。中国が世界の救世主になると思ったら大間違いです。30兆$もの債務を抱えているので、いずれバブルははじけるでしょうし、中国の軍事暴発を防ぐためには、北野氏の「事実をあるがままに見る姿勢」ももちろん大事ですが、それ以上に日本主導の多国間での中国封じ込めの行動を起こしていくことかと。

https://ameblo.jp/yorikawa/entry-12073037590.html

ヘリ空母いずもが大活躍中です。日本のマスメデイアももっと報道しなければ。

http://jp.reuters.com/article/angle-izumo-idJPKBN19E0Z5?sp=true

こちらは、東大の新入生の政治姿勢についての記事です。直接本記事とは関係ありませんが、面白いので載せて見ました。やはり若くなればなるほど、ネットから情報を取って、メデイアの発信する記事は信じるに足りないと思っているのでは。メデイアの「報道しない自由」と「フェイク」とがあり、左翼の「目的の為には手段を選ばず」という姿勢が不信を買っているのでは。反日民進党・共産党のメデイアとグルになっての自民党攻撃はネットを読めば如何にひどいかが分かりますので。

https://www.businessinsider.jp/post-34482

記事

トランプ米大統領が孤立している。国内では「ロシアゲート」で、国際社会では「パリ協定離脱」でバッシングされている。「アメリカファースト」を掲げ、「わが道」を行くトランプ。しかし「米国を再び偉大にする」という願いとは正反対の結果になっている。(国際関係アナリスト 北野幸伯)

G7で「俺流」を貫き メルケルに見放されたトランプ

トランプは5月、多くの国々を訪れた。大統領就任後はじめての訪問先に選んだのは、サウジアラビア。5月20日、彼はここで、大きな実績を出した。なんと1090億ドル(約12兆円)の武器輸出契約を結んだのだ。これは、日本の防衛予算の倍以上にあたる、膨大な金額だ。オバマは、サウジアラビアを冷遇し、米サウジ関係は冷え込んでいた。トランプは、両国関係を修復することに成功した。

EUの盟主・ドイツのメルケル首相は、他国とのコンセンサスにまったく興味を示さないトランプ大統領に幻滅したことを隠さない。今や米国は、世界中から孤立してしまった Photo:REUTERS/AFLO

トランプは22日、イスラエルを訪問。オバマはイランと和解することで、米国とイスラエルの関係を悪化させた。今回の訪問で両国は、「イランは、共通の脅威である」ことを確認。関係は改善された。トランプの中東訪問は、「成果があった」といえるだろう。

問題は、その後だ。

トランプは5月25日、ブリュッセルで開かれたNATO首脳会議に出席。彼はここで演説し、NATO加盟国がGDPの2%という防衛費の目標を達成せず、「米国の納税者に損をさせている」と非難した。要するに、「守ってほしければ、もっと金を出せ!」と要求したのだ。

次にトランプは、イタリア・タオルミナで開かれたG7サミットに出席。彼は、ここでも「俺流」を貫く。結果、G7声明は、米国以外の6ヵ国が「パリ協定を迅速に実施する強固なコミットメントを再確認する」という、奇妙なものになってしまった。つまりG7は、「米国と他6ヵ国」で「分裂している」ことを、世界に示したのだ。

ドイツのメルケル首相は、他国とのコンセンサスにまったく興味を示さないトランプにとことん幻滅したらしい。NATO首脳会議とG7サミットの後、米国への「決裂宣言」ともいえる発言をしている(太線筆者、以下同じ)。

<米英はもう頼りにできない、メルケル独首相が警告
AFP=時事 5/29(月) 14:02配信 
【AFP=時事】 アンゲラ・メルケル(Angela Merkel)独首相は28日、ドイツ南部ミュンヘン(Munich)での選挙集会で、英国の欧州連合(EU)離脱やドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領の就任で欧米の同盟関係に亀裂が走る中、欧州は「その運命を自ら握らねばならない」と訴えた。>

メルケルだけじゃない!世界中から批判の声が殺到

さらにメルケルはこうも述べた。

<「われわれが他国を完全に頼りにできた時代は終わりつつある。私はそれをこの数日間で経験した」。
 聴衆に向けてこう述べたメルケル氏は、ドイツも欧州も米英との友好関係維持に努める一方で、「自らの運命のため闘わなければならない」と主張。>(同上)

この発言を見るに、メルケルはトランプを見限っている。これは、「重大事件」といっていい。2016年、世界GDPの21.8%をEUが占めた。そしてドイツはEU最大の経済大国で、最も影響力のある国である。実際、「EUの実態は『ドイツ帝国』だ」と主張する人もいる(例、フランス人の人口学者エマニュエル・トッド)。そのドイツの首相が、「もう米国は頼りにならない」と宣言したのだ。

トランプは6月1日、「パリ協定からの離脱」を宣言した。彼は以下のように語った。

< 私が選挙で選ばれたのは、ピッツバーグの市民を代表するためです。パリではありません。パリ協定は、ワシントンがまたしても、アメリカに不利な協定に参加した最新の例にすぎません。受け入れがたい法的リスクを押しつけ、われわれを世界の他国に対して、決定的に不利な状態に追いこみます。  われわれは、他国の指導者や国に、これ以上笑われたくない。これでもう笑わないはずだ。もう笑わない。今こそパリ協定を離脱すべき時だ。そして、新しい合意を追求すべきだ。環境とわれわれの企業を守り、われわれの市民とこの国を守る、新しい合意を>

トランプは、「ピッツバーグの市民を守るために、パリ協定離脱を決めた」かのような演説をした。しかし、同市のペドゥート市長は、即座に「ピッツバーグは、世界とパリ協定を支持する!」と宣言した。「トランプと同類にされたくない」ということだろう。

今やトランプは、世界中から批判されている。フランスのマクロン新大統領はパリ協定を守ることで、「地球を再び偉大にする!」と宣言。これは、「米国を再び偉大にする」のトランプを皮肉ったのだ。

マクロンは、トランプのオウンゴールを利用した巧みなパフォーマンスで、大いに人気を高めた。そのマクロン、メルケル、イタリアのジェンティローニ首相は1日、「米国の決断を残念に思う」との共同声明を出した。そして3首脳は、トランプが求める「再交渉」には「応じない」としている。

ロシアのリャブコフ外務次官は、パリ協定が「米国を含まない一部の国だけ優先しているというのは間違い」だと指摘。インドのモディ首相は2日、「気候変動に関してインドは責任ある国家だ」と語り、パリ協定を順守する決意を示した。国連のドゥジャリク事務総長報道官は、離脱発表は「大きな失望」とする声明を発表している。

「アメリカファースト」がトランプを孤立させた元凶

そして、非常に重要なポイントだが、米経済界からもトランプの決定に反対する声があがっている。BBCニュース、6月2日から。

米経済界も声高に、協定残留を求めていた。 グーグル、アップル、化石燃料メーカーのエクソンモービルなど、何百もの企業が大統領に協定に残るよう要請していた。 エクソンモービルのダレン・ウッズ最高経営責任者は自ら大統領に手紙を送り、米国は協定に参加したままでも「十分に競争できる」し、協定に残れば「公平なルール確保のために話し合いの場に参加できる」と力説した。>

トランプが世界のみならず、自国内でも「孤立している」ことは、明らかだろう。

トランプは、なぜ就任半年で、これほど孤立したのか?彼に敵が多いのは確かだ。野党である民主党はもちろん、与党・共和党内の「反ロシア派」、マスコミ(特にCNN、ABC、ニューヨーク・タイムズなど)、CIAなど諜報機関、国際金融資本など。これらの勢力は、執拗にトランプバッシングをつづけている。

しかし、トランプがNATO加盟国の全首脳に、「もっと金を出せ!」と演説したり、「パリ協定離脱宣言」するのは、「彼自身の決断」だろう。なんといっても、これらは大統領選挙戦中からの「公約」なのだから。彼の言動は、彼の「思想」を反映しているだろうから、問題は「彼の思想」ということになる。

トランプの思想とは、なんだろうか?そう、「アメリカファースト」(米国第一主義)だ。

トランプのおかげで、「〇〇ファースト」という言葉が、流行している。「ジャパンファーストでいこう」という政治家もいるし、「都民ファースト」という言葉も、しばしば耳にする。「米国の大統領が使うから」と、あまり考えずマネをする人が多いのは、危うい傾向だ。

もし「私は、『私ファースト主義者』です。自分の利益を最優先させます!」と宣言する人がいればどうだろう?この人は、人々から愛され、会社でトントン拍子に出世していくだろうか?そんなことはないだろう。

「私ファースト」のことを、一般的な言葉で「エゴイスト」(自己中心主義者)という。「エゴイズム」は、世界のどこでも「悪いこと」とされ、嫌われる運命にある。

では、ある企業の社長が、「『わが社ファースト』でいきます。お客さまのことよりも、わが社の利益を最優先させます!」と宣言したらどうだろう?普通、そんな会社から買いたいとは思わないだろう。

「自国ファースト」を掲げた国は次々にボロボロに

トランプの「アメリカファースト」は、「米国民の利益を最優先させる」という意味もあるだろう。会社でいえば、「従業員第一主義」だろうか。トランプが、「米国民の利益を最優先させる」といえば、アメリカ人が彼を支持する理由もわかる。これは「国内世論」的には正解だが、「国際世論」を味方につけることは、まったくできない。

実際、彼は「米国企業を守るため」という理由で、「パリ協定離脱」を宣言したが、国際世論を完全に敵にまわしてしまった。一方、フランスのマクロン大統領は、「地球を再び偉大にする!」といって、国内外の名声を高めた。

そして、国際社会から孤立してしまえば、実は米国民たちも不利益を被る。それをよく知っている米経済界はパリ協定離脱に反対したが、トランプは押し切ってしまった。「アメリカファースト」は、決して自国民に有利な戦略でもないのだ。

このように、トランプが孤立する理由は、「アメリカファースト」という彼の思想自体にある。筆者は2016年4月、「トランプ大統領誕生なら米国は覇権国家から転落する」という記事を書いた。残念ながら、米国は予想通りの方向にむかっているようだ。

実際、「自国第一主義」的スローガンや言動で、孤立したり叩かれたりする例は、トランプ以外にもある。たとえば安倍総理は12年、「日本を取り戻す」というスローガンを掲げて再登場した。中国は13年、熱心に「安倍は右翼」「安倍は軍国主義者」「安倍は歴史修正主義者」というプロパガンダを展開。結果、13年12月に総理が靖国を参拝すると、世界規模で「安倍バッシング」が起こった。

「靖国参拝を批判したのは、中国と韓国だけ」というのは、事実と異なる。実際は中韓に加え、米国、英国、EU、ロシア、台湾、シンガポール、オーストラリアなどが参拝を非難している(ここでは詳細に触れないが、「ウソだ!」と思う方は、是非本連載バックナンバー「“恐怖の大王”プーチンが日米関係を変えた 日米vs中ロの新パラダイムをどう読むべきか」を参考にしていただきたい)。

プーチンは、「ロシアの国家イデオロギーは、『愛国主義』だ」と語る、「自国第一主義者」だ。彼のもっとも好きな言葉は、「ナツィオナリニー・インテレス」(国益)だろう。14年3月、プーチンは「クリミア併合」を決断した。ロシア国民はこれを熱狂的に支持したが、欧米日はロシア制裁を決めた。その結果、ロシア経済はボロボロになってしまった。

習近平は12年、「中国の夢」という「自国第一主義」的スローガンを掲げて登場した。オバマが、シリア、ウクライナ、ロシアとの争いで多忙だったことから、しばらく問題はなかった。しかし、15年3月の「AIIB事件」後、オバマは、中国を激しくバッシングするようになっていく。

結果、15~16年にかけて、中国経済はボロボロになってしまった。16年1月、ジョージ・ソロスは、「中国経済のハードランディングは不可避」と発言し、世界に衝撃を与えた。

バリバリのナショナリストだった 習近平はグローバリストに豹変した!

このように「自国第一主義者」は、叩かれる運命にある。しかし、「方向転換」することも可能だ。

たとえば、安倍総理は、もはや「日本を取り戻す」と大声で主張しない。「日本は、自由主義のチャンピオンありたい」などと、グローバリストを喜ばせる発言をしている。その一方で「憲法改正」にむけて、布石を打っている。これは、バランスをとっているのだ。

もっとひどく「豹変」したのは、習近平だろう。彼は、トランプが「アメリカファースト」で孤立している様を見て、「逆の道を行く」ことにした。

今年1月に開かれた「ダボス会議」は、「お通夜のようであった」という。ここに集まるのは、世界のエリートで、大抵はグローバリストである。なぜ彼らがナーバスになっていたかというと、世界最強国家・米国で、「ナショナリストの大統領」が誕生したからだ。

習近平は1月17日、ダボス会議に乗り込み「グローバリズム絶対支持宣言」演説をし、グローバリストを味方につけた。さらに、1月18日、習はジュネーブの国連欧州本部で演説。なんと「核兵器のない世界実現」を呼びかけた。6月1日にトランプが「パリ協定離脱」を宣言すると、中国は、即座に「パリ協定を順守していく」と声明を出した。

現状の世界を見るに、トランプは「アメリカファースト」によって孤立している。一方、習近平は、「地球ファースト」の「フリ」をして、名声を高めている。

「日本には尖閣だけでなく沖縄の領有権もない」と宣言している国が、影響力を増している。中国の脅威に怯える日本人には、受け入れたくない事態だろう。しかし、世界で起こっていることの事実は、日本に都合のいいことも、悪いことも、「あるがまま」に知っておく必要がある。

「世界で起こっていること」の「事実」を知らずに、適切な対応策を考えることはできないのだから。

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『相次ぐ下院補選敗北、米民主党はどこへ行く 苦境に立つトランプ大統領を攻めあぐむ?』(6/27日経ビジネスオンライン 高濱賛)について

6/28日経軍事研究と大学(下)政府調達てこに技術革新 常設の司令塔で機能強化 角南篤・政策研究大学院大学副学長 

2045年には人工知能(AI)が人間の能力を超えるシンギュラリティ(技術的特異点)が訪れるとされる。それが現実になるかどうかは分からないが、すでにIoT(モノのインターネット)は私たちの生活環境を大きく変え、新たな産業構造への転換(第4次産業革命)による期待と不安が、経済社会から安全保障に至るまで様々な課題を突き付けている。

第4次産業革命は、宇宙、サイバー、海洋などの空間を一体化させる巨大な情報インフラだ。これらの空間はかつて人類が未踏だった領域で、科学技術の発展により、主要国の覇権争いが今後激しさを増すと予測される。また安全保障と民生の双方で必要とされるデュアルユース(軍民両用)技術のインパクトが最も顕著な空間であり、こうした技術を開発・獲得して「技術的優越」を確保することは、国際社会における新たな秩序の構築に大きな影響力を持つことになる。

それゆえ主要国は「核心的技術」の獲得に向けたイノベーション(技術革新)システムの構築に心血を注いでいる。AI、ロボット、無人機、3Dプリンター、脳波で機械などを動かすブレイン・マシン・インターフェース(BMI)といった核心的技術は、新しい産業構造を支える基盤であり、国家の安全保障においても重要な影響を与える技術群といえる。

最先端技術で技術的優越の確保を明確に重要視してきたのが米国だ。第2次世界大戦の直後は、航空、レーダー、暗号解読、原爆開発の成功で世界をリードした。ところが1957年にソ連が人類初の人工衛星「スプートニク1号」を打ち上げ、技術分野でライバルに先を越されてしまった。その上、自分達の手の届かない上空から敵に見下ろされるという恐怖は、最先端技術で競争相手国に敗れることが直接の脅威につながるということを実感させた。

スプートニク・ショックを2度と繰り返してはならないとアイゼンハワー大統領が58年に設立したのが国防高等研究計画局(DARPA)だ。ここから誕生した技術がインターネットや全地球測位システム(GPS)などで、いずれも世の中の常識をひっくり返す斬新な「ゲームチェンジャー」だった。

米国は現在、次のゲームチェンジャーとなりうる最先端技術の研究開発で、敵の軍事的優位を相殺することを目的とした第3のオフセット(相殺)戦略を展開している。戦略のキーワードは外部の技術やアイデアを研究開発に生かす「オープンイノベーション」だ。情報通信技術(ICT)などの民生技術を安全保障にも使う「スピンオン」へのシフトを意味している。

一方、中国も建国当初から核心的技術の開発に力を入れ、改革開放が始まるまでは原子力や宇宙分野などの技術開発に取り組んだ。政府、人民解放軍、国有企業が連携し、例えば政府の宇宙・サイバー技術を国有企業にスピンオフして民生部門の競争力強化につなげていくあたりは米国のモデルに近い。

今後は先端技術で社会生活を豊かにする「超スマート社会」をリードするため、ロボット技術やAIなどを融合し宇宙空間を利用した情報通信インフラを広域経済圏「一帯一路」に展開する方針だ。習近平政権は宇宙、原子力、船舶のほか、量子通信、ロボット、バイオメディカルなどに重点投資する2兆円超の官製ファンドを立ち上げ、中華民族の偉大な復興という「中国の夢」を先端技術開発でも実現しようとしている。

日本も第4次産業革命を推進し、コネクテッドインダストリー(つながる産業)の創出を通じた超スマート社会「ソサエティー5.0」の実現を目指している。言うまでもなく、核心的技術の獲得による技術的優越の確保は重要な課題である。ただ、この取り組みで世界をリードしてきた米国とは、いくつかの重要な点で違いがある。

米国は国防総省が大きな役割を担っており、基礎研究から開発までを支援したり、中小企業技術革新制度(SBIR)などを活用した政府調達で需要サイドからイノベーションを引き起こしたりしている。一方、日本は防衛部門に同様の役割はそもそも存在せず、軍需工場も持たない。防衛関連の企業も収益などは民生事業に依存している。

こうした現実を前提として、ハイリスクだがゲームチェンジャーになるような核心的技術を創出するために、日本ならではのイノベーションのエコシステム(生態系)の構築が求められている。そこで、核心的技術の源泉となる長期的な基礎研究や基盤的研究を担う大学や国の研究開発法人への期待が大きい。

一方、大学や研究開発法人の先端性を確保するには、国際的にも開かれたオープンで研究者の自由な発想を引き出す研究環境が必要不可欠だ。そうした研究成果を企業との産学連携で実用化につなげていき、その過程においても大企業と中小ベンチャー企業との効果的なマッチングが常態的に発生するよう、大学、研究開発法人、産業界それぞれにかかわる制度改革を後退させてはならない。

今後とりわけ重要になるのは、政府が需要サイドからイノベーションをけん引するために調達制度を見直し、企業の予見可能性を高めてハイリスクな研究に産学で取り組みやすい環境を作ることである。我が国でも、DARPAを参考にした内閣府の「革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)」など、核心的技術に関して研究開発から産業化まで視野に入れた新しいエコシステムを構築する取り組みが始まっている。

2015年には防衛装備庁が基礎研究に資金を提供する「安全保障技術研究推進制度」も創設された。こうした取り組みが我が国の基礎研究力の向上につながるように、課題領域の設定や運用について、国内外の専門的知見を最大限活用することが肝要だ。

今後は、核心的技術の動向を把握して技術開発戦略を展開する一方、新しいシステム全体を管理する司令塔機能の強化が求められる。例えば、多義性のある技術について調査・分析・評価や提言をする有識者委員会を政府内に設け、その上で時限のImPACTを発展させた真のDARPAのようなプログラムを常設する。さらに、情報収集・分析機能を担う本格的なシンクタンクも必要である。

技術的優越を確保する上で最も重要なのは、国際標準の獲得である。新しい核心的技術が社会に実装される過程で、それを規定するさまざまなルール形成に関わることは、産業競争力に大きな影響を与える。外生的に与えられたルールに適応するためのコストは大きく、グローバル経済における市場獲得戦略の一つとしてもルール形成を有利に動かすことが重要である。

戦略的な国際標準化活動の推進は、最先端技術が切り開く新たなサイバーや宇宙空間でのガバナンス(統治)の在り方にもつながる。イノベーションが経済活動や安全保障に与える影響が極めて高いことからも、規制も含めた国際的なルールやガバナンスのメカニズムの構築が急がれる。

新しい産業構造の創出による経済発展のためにも、技術的優越の確保は欠かせない。我が国でも核心的技術の開発を軸にしたイノベーションシステムの構築が急がれる。

〈ポイント〉 ○第4次産業革命で技術的優越の確保急務 ○米は安全保障で民生技術の活用にシフト ○新しい核心的技術の国際標準獲得が重要

すなみ・あつし 65年生まれ。コロンビア大博士。専門は科学・産業技術政策論>(以上)

軍産学の共同研究についての提言です。米中と言うか世界各国では当たり前のように行われていることが戦後の日本では行われてきませんでした。GHQの呪縛から脱し切れていないという事です。況してや日本学術会議はアカに乗っ取られて「大学の軍事研究反対」声明を出す始末。自分たちの生存を他者に依存するのでは奴隷と何ら変わりがありません。日教組や日弁連もノイジーマイノリテイに押されて、マジョリテイはサイレントの役を演じてきました。そろそろこういう態度は止めて、マトモに国防を考えるようにしないと。日経に本記事が載るようになったのも、メデイアの論調の変化の兆しかも知れません。政策研究大学院は左翼・リベラルが多い印象を持っていましたが、そうでもないようです。角南篤氏は米国の大学・大学院を出ていますので、イデオロギーではなく、現実を見据えた対応を考えることができる人物と思います。こういう人が学会で主流になってほしい。

トランプの勝利は選挙だけでなく、6/27ロイター<入国制限の米大統領令、最高裁が一部容認 秋以降に最終判断>という記事にありますように、トランプの大統領令の「6ケ国からの一部入国差し止め」を最高裁が認めました。 4/7にニール・ゴーサッチ氏が最高裁判事に選ばれ、保守派判事が9人中5人を占めた効果が出たためです。トランプを支援した故フィリス・シェラーフリー女史は正しかったと思います。

https://jp.reuters.com/article/usa-court-immigration-idJPKBN19H2AD

https://matome.naver.jp/odai/2147428507352178601?&page=1

本記事にありますように、共和党の岩盤はそう簡単に崩れないでしょう。ケント・ギルバート氏が言っていますように、米国メデイアはリベラルばかりですが、カリフォルニアやNYの論調だけ見ると、そうなります。去年の大統領選で日本のメデイア、評論家が読み間違えたのも、それが理由です。左翼リベラルは日米問わず、世論を誘導すれば政治家選出も何とでもなると言った驕りを感じさせます。民意はそんなに簡単には動きません。日本でも「一度民主党にやらせてみれば」とメデイアがキャンペーンをうって政権を取らせましたが、失敗の連続でした。国民も分かっていますので、反日民進党は、復活はおろか、解体の憂き目に遭うのでは。森友・加計・豊田・豊洲問題があっても反日民進党は低支持率なのが、それを暗示しています。

記事

—「ロシアゲート」疑惑の影響もあってドナルド・トランプ米大統領の支持率は30%台に低迷しています。にもかかわらず6月20日に行われた米下院の補選で、民主党は二つとも負けてしまいました。なぜですか。

高濱:理由は簡単です。サウスカロライナ州第5区とジョージア州第6区はともに共和党の金城湯池だったからです。

米ジョージア州の下院補選で当選したカレン・ハンデル氏。共和党の筋金入りの保守層に対象を絞った選挙戦が功を奏した(写真:ロイター/アフロ)

で、その選挙結果をどう見るか。二つの見方があります。

「6月20日に行われた補選の選挙区は共和党の牙城だから負けても当然なところを、よくここまで共和党候補を追い詰めた」(ニューヨーク・マガジンのジョナソン・チャイト記者)という見方。 (”This Might be the Worst Democratic Freak out Ever,” Jonathan Chait, New York Magazine, 6/21/2017)

もう一つは、「民主党は、ジョージア州第6区ではなんとしてでも勝って18年の中間選挙に向けて弾みをつけようと臨んだ。接戦だったが負けは負け。共和党は『トランプ・アレルギー』を超えて党勢を維持すべく、党主流とトランプ支持の反主流が連帯感を持ち始めたようだ」(ジ・アトランティックのデイビッド・フラム記者)という見方です。 (”It’s Trump’s Party Now,” David Frum, The Atlantic, 6/21/2017)

補選はトランプ政権の信任問うリトマス紙

トランプ政権が発足して以降に行われた下院補選はこれで5回(カンザス、モンタナ、カリフォルニア、ジョージア、サウスカロライナ)。共和党の4勝1敗*となりました。 *:民主党の1勝はカリフォルニア州第34区。民主党現職議員が州司法長官に就任したため補選が行われた。本選は民主党候補同士の一騎打ちとなり、ジミー・ゴメス州下院議員が当選した。

6月20日に下院補選が実施された2選挙区について詳しく見ます。

サウスカロライナ州第5区は、ミック・マルバニー議員が行政管理予算局長(OMB)に就任したため欠員となりました。

同区は同州北部の農村地帯で、人口の67%は白人、黒人は29%。白人の多くはトランプ氏を当初から支援していた「中流の下」の農民・労働者層です。草の根保守「ティーパーティ」(茶会)支持者の多い選挙区です。

一方のジョージア州6区はトム・プライス議員が厚生長官に転出したため欠員となった選挙区です。同区はアトランタ市の近郊で、日本流に言えば「ベッドタウン」です。人口の72%は白人、黒人13%、ラティーノ(中南米系)12%で、有権者の多くは「中流の中」です。16年の選挙では、プライス氏が投票総数の61%を得て当選しています。

—トランプ大統領が閣僚や連邦判事に指名した下院議員は選挙が強い人ばかりなのでは? そうしないと下院における共和党の議席が減ってしまうからですか。

高濱:その通りです。ただ問題なのは、大統領は支持率30%台に低迷しています。その大きな要因は「ロシアゲート」疑惑です。いくら共和党が強い選挙区でも、また強力な候補者を立てたとしても、大統領自身がネガティブ要因をばらまいているわけですから(笑)共和党候補が絶対勝つとは言えない状況にありました。

つまり今回の下院補選はトランプ大統領への信任を問うリトマス試験紙のような意味合いを持っていたのです。

共和党候補はトランプ天敵の保守強硬派

—サウスカロライナ州の補選にはどんな候補が立候補したのですか。

高濱:共和党は、地元不動産会社の経営者を経て、08年から州下院議員を務めているラフル・ノーマン氏(64)を立てました。保守強硬派で、当選すれば「フリーダム・コーカス」(自由議員連盟)*に入ると断言しています。つまり「親トランプ」でないことだけは確かです。

ノーマン氏は選挙戦中、トランプ大統領についてはほとんど触れず、「医療保険制度改革」(通称オバマケア)の破棄一本に焦点をしぼりました。

*:フリーダム・コーカスは共和党下院の保守強硬派40人前後からなる議員連盟。トランプ大統領が提案したオバマケアの代替法案に反対するなど「トランプの天敵」とされている。

民主党は、司法省の税担当検事や下院歳入委員会スタッフなどを歴任した中道派のアーチー・パーネル氏(66)を立てました。同氏は「ロシアゲート」追及をキャンペーンの軸に据えました。

5月中旬段階での世論調査では、共和党ノーマン氏(53%)がパーネル氏(36%)を大きく引き離していました。しかし終盤でパーネル氏が猛追。結果はノーマン氏が僅差で当選しました。同氏の得票率は51%、パーネル氏は49.9%。票差はわずか2836でした。

サウスカロライナ州民主党支部で働く幹部の一人は、筆者にこう語りました。

「わが民主党は、共和党の金城湯池であるこの選挙区でもこれだけやれた。いま中間選挙をやればば勝てる。『ロシアゲート』で国民の信頼を失った共和党は中間選挙で必ず打ち負かせる」

「『トランプ政権はめちゃくちゃで任しておけない。政権があと4年続くというなら、まず議会に<民主党政権>を作らねばダメだ』という有権者の声がはっきりと表れた。この声はいずれ全米で『ツナミ』を起こすはずだ」

民主党、ジョージア州補選に2250万ドルを投入

—ジョージア州第6区のほうはどうでしたか。

高濱:同区は、民主党がカネとエネルギーを最もたくさん投入して戦った補選でした。民主党の戦略チームは、やれば勝てると踏んだのでしょう。

この選挙区は、トランプ大統領の盟友、ニュート・ギングリッチ元下院議長の地盤です。ですから民主党、ここで勝つことは、16年大統領選で負けた屈辱を晴らす絶好のチャンスと掛け声をかけていました。

共和党の候補は、カレン・ハンデル氏(55)。40年間、共和党ジョージア州支部で党勢拡大のために働いてきた女性です。一方の民主党候補はジョン・オーフソ(33)という全く無名のドキュメンタリー作家兼ジャーナリスト。選挙区に住んだことが一度もない「落下傘候補」です。

二人の戦いぶりは対照的でした。ハンデル氏は、共和党支持者を集めた小規模な会合や、メディアをシャットアウトした個人集会に専念しました。確実に票を入れてくれる共和党支持者に標的を合わせた戦術でした。ハンデル氏の狙いは72%いる白人のうちの筋金入りの保守層だけを狙った捨て身の作戦だったわけです。かつて小沢一郎氏(現自由党代表)が自民党時代に盛んにやっていた徹底した「どぶ板作戦」に似ていますね。

一方、オーソフ氏は若さをいかして、票のあるところならどこへでも赴くキャンペーンを展開。共和党系の会合にまで顔を出して支持を訴えました。

これに対して民主党本部は、まさに全米規模のメガ作戦を展開し、大物を応援に送り込みました。民主党全国委員会、議員選挙対策委員会をはじめとする民主党系PAC(政治活動委員会)が一丸となって選挙資金を集め、2250万ドルの資金も集めた。下院選にこれだけの選挙資金を集めたのは史上初だと言われています。まさに「金権選挙」(と言ってもカネを不正に有権者にばらまくわけではありません)です。

オーソフ陣営は、潤沢な選挙資金を使って運動員100人を雇ったほか、全国各地から1万2000人のボランティアを集めました。テレビ、ラジオ、インターネットなどに掲出した政治広告の費用は1100万ドルに上ったそうです。

共和党のほうが「金持ち」のイメージが一般に強くあります。しかしハンデル氏が集めたカネは、オーソフ氏の13%、310万ドルにとどまりました。

—トランプ大統領の政治手法、とくに「ロシアゲート」疑惑は選挙にどの程度響きましたか。

高濱:ハンデル氏も、サウスカロライナ州のノーマン氏と同じようにトランプ大統領についてはほとんど触れずしまい。「真実の解明こそ国民の知る権利だ」との抽象論に終始しました。つまり勝つためには、「トランプ隠し」が一番と考えたのでしょう。あとは共和党主流が主張してきた伝統的な保守政治の推進と経済政策に絞りました。

一方の民主党のオーフソ氏の「錦の御旗」はトランプ攻撃でした。「私は、トランプの疑惑を解明する、皆さんのエージェント(代理人)になる」と宣言し、折からの「ロシアゲート」疑惑を追い風にして戦いました。

突き崩せない共和党の南部中西部の「岩盤」

—それでもオーソフ氏は勝てなかった。民主党内には失望感がひろがっているのではないですか。

高濱:オーソフ氏自身は選挙結果を受けてこう言っています。「運動員の皆さん、支持者の皆さん。皆さんは『希望のたいまつ』を高く掲げてくれました。そのたいまつは、ジョージア州民を照らすだけのものではありません。世界中の人々へ示したたいまつです。この戦いは今始まったばかりです。『希望のたいまつ』は燃え続けます」

これまでジョージア州第6区では、大統領選でも上下両院選でも、共和党候補が60%の票を獲得してきました。12年の大統領選では、ミット・ロムニー共和党候補(当時)がバラク・オバマ民主党候補(同)に23%差をつけました。

それが今回の補選では、民主党のオーフソ候補と共和党のハンデル候補との差は3.8%、得票数の差は1万と拮抗しました。

リベラル系オンラインメディア「デイリー・ビースト」のパトリシア・マーフィ記者はこう解説しています。

「ハンデル氏は、これまで40年間積み上げてきた地元保守層との絆と政治的実績をアピールすることでかろうじて勝利した。『トランプ政治』を切り離したことが奏功した。一方、民主党は全党を上げて総力戦を繰り広げたが、今一歩及ばなかった。民主党が18年の下院選挙で過半数をとるには、岩盤のように固い南部・中西部の共和党支持基盤を崩さねばならない。中間選挙に向けて民主党の課題は残った」 (”Jon Ossoff’s $23 Million Loss Shows Dems Have No Idea How to Win in the Age of Trump,” Patricia Murphy, The Daily Beast, 6/21/2017)

民主党若手から首脳部批判も

—トランプ政権が発足して以降に行われた補選で民主党は1勝4敗。党首脳部への批判などは出ていませんか。

高濱:出始めています。下院の若手議員は補選で連敗した理由についてこう言い出しています。

「旧態依然とした民主党のイメージがトランプのイメージよりも悪いからだ」(ティム・ライアン下院議員=オハイオ州第13区)

「イメージを変えるためには今の党首脳を刷新することが必要だ」(キャサリン・ライス下院議員=ニューヨーク州第4区)

下院議員にとって来年は、生きるか死ぬかを決める中間選挙です。それだけ神経質にならざるをえません。

これに対して、ナンシー・ペローシ下院院内総務は、声を荒げて弁明しています。「ジョージア州第6区という共和党地盤で数%差まで追い詰めることができたのは大成果だ。私は党内での支持基盤に自信を持っている。私がどれだけ院内総務のポストに留まるかどうかは、あなたたちが決めることではなく、私自身が決めることだ」

ノースカロライナとジョージアの補選が終わり、次の下院補選は11月7日に実施されるユタ第3区です。現職のジェイソン・チヤフィッツ共和党議員が6月30日に辞任するからです。健康上の理由とのうわさがもっぱらです。この選挙区も94年以降、共和党候補が圧勝してきました。

「ユタの補選は中間選挙まできっかり1年という区切りの時期に実施される。ここで民主党がどこまで戦えるか。中間選挙を占う上で極めてカギ」(米主要紙の政治担当論説記者)となりそうです。

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『日本にも「移民局」が必要だ 『なぜ、世界は“右傾化”するのか?』対談(後編)』(6/25日経ビジネスオンライン 池上彰・増田ユリヤ)について

本記事では、移民受け入れが公理のように論じられている感じがします。労働力不足の観点からだけでは、不景気になれば、外国人労働者の帰国の問題が生じるでしょう。労働力の問題は、長期的にはAI、ロボット化で、中期的には雇用のミスマッチのある業界の賃金アップ、高齢者・女性の活用、短期的には外国人研修生で対応すればよいのでは。但し、外国人研修生は3年の任期が過ぎたら、再度の研修生での入国は認めないよう取り締まりを厳しくしないと。日本の企業経営者は内部留保に血道を上げるのではなく、消費者ともなる被雇用者の賃金を上げるべきです。

外国人研修制度は、人口侵略を目指している中国のカモになります。その内、増え過ぎれば今沖縄で行われている反基地闘争のようなことが東京で起きるかも知れません。中国人は偽物大国ですから、パスポートだって偽名で作れます。例えば劉明(Liu Ming)劉敏(Liu Min)のように英語で最後のgを消して署名すれば別人で再発行できます。入国審査の顔判別の精度を上げないとダダモレになります。

http://www.imin-nanmin-gaikokujin.com/entry/2017/02/04/125046

6/25産経ニュースには「中国経済データ「水増し」横行で統計法施行へ 改竄には厳罰も 8月1日から 管理組織を新設」という記事がありました。中国で流通する人民元の2割が偽物、小生が中国滞在時代(97~05年)によく言われていた「世界の偽物の4割は中国で作られ、その内の4割は広東省で作られる」事を考慮すれば、疑問符がつきます。賄賂と同じく改竄・捏造が社会的に当り前の国です。立派な環境保護法があっても、賄賂で運用を如何様にでもできる国ですから、本法も実効性は薄いでしょう。

http://www.sankei.com/world/news/170625/wor1706250018-n1.html

本記事の二人の論議は、世界は善人で溢れているという前提で進めていますが、おかしくはないでしょうか?上述の中国人の例を見れば分かりそうなものなのに。また、今欧州で一番問題になっているのは難民でしょう。何故欧州が難民を受け入れないといけないのか。欧州が困っているのであれば、内政干渉してでも、難民が祖国に留まれれば良いようにしたら良いと思うのですが。内政干渉できないのであれば、難民受入はストップすべきです。自国民を不幸にするだけです。日本も「中国人、朝鮮半島人を受入よ」となったら困るでしょう。米朝戦争が現実のものになったら、敵はそう迫ってくるかも知れません。ガードを固くして国民の意思を示さないと。

記事

(前編から読む

なぜ、世界は“右傾化”するのか?

—英国のEU離脱、アメリカのトランプ大統領の誕生、フランスでの極右勢力、国民戦線の台頭、ポーランドなどの政治の保守化、そして欧米全体を覆う反イスラム主義。池上さんと増田さんの著書『なぜ、世界は“右傾化”するのか』とお二人の解説によれば、いま世界で起きているのは、言葉通りの「右翼化」ではなく、極端な一国主義の台頭である、と。そこで連想するのが、日本における移民問題です。少子高齢化の進む日本で、保守・革新どちらの側にも、積極的に移民策を進める話はなかなかでてきません。

増田:まず、日本人のマインドに、移民や難民の受け入れがなじまないという実態があります。

地続きで隣国と接していて、たくさんの植民地をアジアやアフリカに有していたヨーロッパ各国や、そもそもが移民国家であるアメリカでは、絶えず移民がやってくるのは当たり前でした。一方、島国国家の日本の場合、文化や宗教の異なる外国人がどんどん押し寄せる、という経験をしていません。だから、「移民政策が必要かもしれない」と頭では理解していても、全く異なる文化や宗教を持っている人たちとお隣さんになる、ということに肌身では納得できない側面があるでしょう。結果、人手不足にもかかわらず、インドネシアやフィリピンなどからやってきた人たちに介護されるのに抵抗感を覚える、という人たちが少なくなかったりする。

こうした日本人の意識を前提に、海外からの移民を受け入れるのなら、どういう形でなら受け入れやすいのかを考えていかないとならないと思います。日本の人口が減少し、高齢化が進むのは、逃れられない事実ですからね。

日本も移民局をつくるべき

池上 彰(いけがみ・あきら)/1950年、長野県生まれ。1973年から2005年までNHKに記者として勤務。2005年からフリーランスのジャーナリスト。2012年から東京工業大学教授に。2016年、東工大を定年退職し、名城大学教授に。東工大でも特命教授として引き続き講義を受け持つ。今年度は計7つの大学で教壇に立つ。(写真:陶山 勉、以下同)

池上:今、コンビニエンスストアに行くと、店員の多くが外国人です。物流センターなどで働く人も外国人が多いと聞きます。介護や福祉の専門学校や大学では、多数の留学生を受け入れており、彼ら彼女らがそのままこうしたアルバイトについているケースも見受けられます。また、農村や漁村には、技能研修生という名の、事実上の移民が入っています。

前回、日本では公式には移民政策をとっていないと言いましたが、一方で、留学生や短期の労働者として日本で働いている外国人は数多くいるのです。でないと、日本の「現場」は人手不足で立ち行かなくなってしまう。つまり、建前と現実に大きな乖離が生まれているのです。ここで、日本のずるい建前と本音の使い分けが透けて見える。人手不足だから外国人に頼るしかない。でも、本当は入れたくない。だから、建前としては認めていないけど、移民という名目じゃないかたちで、入ってきてもらおう、と。

個人的な意見を言えば、私は日本も移民局をつくるべきだと思います。今は、入国管理局が難民の審査をしていますが、彼らの仕事は「不正に入ってこようとする人を入れない」というのが基本スタンスです。つまり、入れることが前提ではなく、入れないことが前提となっている。当然、入国審査は厳しくなる。日本の現実と未来を見据えたら、海外からの移民を受け入れることを前提とした役所をつくるべきでしょう。

増田:ヨーロッパの中でも日本と同じ島国国家イギリスの例をとってみましょう。

イギリスの国民が、なぜEUを離脱するBrexitの道を選んだのか。理由のひとつは、「移民に職を奪われた」という声が大きかったからです。90年代にEUができて、域内の移動が自由になると、かつての東欧各国から職を求めてヨーロッパの先進国に移民がやってきました。イギリスにもポーランドをはじめたくさんの東欧移民がやってきました。

増田:彼らは、農業や倉庫の仕事など、イギリス人が好まなくなった肉体労働につき、成果をあげました。さきほど池上さんが指摘された日本で外国人雇用が増えているのと同じ分野ですね。その結果、「移民が我々の仕事を奪った」という声が大きくなったのです。

池上:アメリカでトランプ大統領が政権をかちとった背景にも、同じような構造がありますね。アメリカでは、メキシコからの不法移民がアメリカ人の仕事をたくさん奪った、だからメキシコからの不法移民を防ぐために「壁」をつくろう、とトランプは公約にかかげ、大統領になりました。

でも、逆に考えれば、メキシコからの不法移民に頼らなければ、なり手がいなかった仕事がアメリカにも多数あった、ということです。いまの日本と同じですね。

増田:そう、日本の現状は、イギリスやアメリカが辿ってきた道とさほど変わりません。

増田ユリヤ(ますだ・ゆりや)/1964年、神奈川県生まれ。國學院大學卒業。27年にわたり、高校で世界史・現代社会を教えながら、NHKラジオ・テレビのコメンテーターを務めた。日本テレビ「世界一受けたい授業」に社会の先生として出演のほか、現在レギュラーコメンテーターとしてテレビ朝日系列「グッド! モーニング」などで活躍。日本と世界のさまざまな問題の現場を幅広く取材・執筆している。著書に『新しい「教育格差」』(講談社現代新書)、『移民社会フランスで生きる子どもたち』(岩波書店)、『揺れる移民大国フランス』(ポプラ新書)などがある。池上彰氏とテレビ朝日「ワイド! スクランブル」のニュース解説コーナーを担当している。

—日本で移民を受け入れたくないと考える人の中には、テロを恐れる人もいます。

増田:たしかに、アルカイーダやイスラム国=ISの台頭により、アメリカやヨーロッパではテロが頻発しています。とりわけヨーロッパでは、イギリスでもフランスでもここ数年テロの話を聞かないときがない。移民を認めると、テロリストがたやすく国内に入ってきてしまうのではないか、と恐れるのも無理はありません。

ただ、多くの日本人が誤解している事実があります。ここのところフランスで起きているテロは、いまフランス国内に移ってきた移民や難民や旅行者が起こしたものではありません。かつての移民の二世、三世、つまりすでに「フランス人」となった人たちによる、ホームグロウン・テロであるケースが非常に多いのです。

なぜ、自国民にテロを行うのか

池上:現実には、フランス国民がフランス国に対してテロを行っていると。

増田:そうなんです。ちゃんとフランス国籍を持っていて、生まれも育ちもフランスで、フランス人として生きてきた人たちが、フランス人がフランスに対して起こしているテロなんです。難民や移民が起こしているテロではない。ではなぜ彼らがテロを起こすのかというと、もちろんそこには理由があります。

フランスの北部にダンケルクという港町があります。ここは典型的なブルーカラーの街であり、イギリスに渡りたくても渡れずに森の中で野宿をしている難民たちの問題を抱えています。ですから住民の多くは、大統領選の際に移民や難民の排斥を打ち出した国民戦線のマリーヌ・ルペンを支持しました。一方で、このダンケルクは、移民によって支えられてきた街でもあります。もともと鉄鋼業が栄えており、その現場を担ったのが、北アフリカなどからやってきた移民だったのです。

池上:かつての植民地などからやってきた移民の第一世代ですね。

増田:そうです。移民の第一世代は、過酷な現場で必死に働き、フランスで生きることを目標にしていました。その結果、彼らはフランス国民となり、子供たちは最初からフランス人として生まれ育ったわけです。

増田:けれども、子供たちが大人になる頃には、あるいはさらに孫の世代が大人になる頃には、環境が一変しました。工場が自動化されたり、海外移転したりして、仕事そのものが激減してしまったのです。

ここでネックとなるのが教育です。もし子供たちが十分な教育を受けていないと、仕事を探すことができません。移民である親の出身地(母国)では、子どもが学校に行って教育を受けることに対して、フランス(先進国)のような高い意識がなかったりします。つまり、自分は忙しくて仕事だけで精一杯、子どもの教育にあまり熱心でない親も少なくない。

そうした価値観の家庭で育った子どもは、勉強熱心でなく、学校を休みがちでドロップアウトしてしまったり、高校卒業資格であるバカロレアも取れなかったり、というケースもあります。フランスは資格社会ですから、手に職がなければ安定した仕事につくのが難しい。

移民の二世三世の中には、こうした未来が見えない若者が少なくない。ホームグロウン・テロの根っこには、移民の子供たちの教育問題が潜んでいるのです。

池上:いつの時代でも、どこの地域でも起こりうることですよね。テロリストにならなくても、定職につけなかった移民の子供たちの一部がギャングになったりするケースは、世界各国で起きています。もし、日本で移民を正式に認めるとするならば、同時にその子供たちの教育環境をちゃんと用意する必要があります。社会不安やテロなどは、最初にやってきた親の世代ではなく、むしろその国で生まれ育った子供や孫の世代が自分の未来に絶望して起こしているケースが、少なくないわけですから。

増田:若くて力が有り余っているのに勉強はできないし、仕事もない。そうなった若者たちはたいがいたむろし始めます。そこで、自分たちの不満や不安を解消してくれるような何かに引き込まれるようになったら……。

若いときは誰もが不安を抱いていますし、一方で何かに単純に感化されやすかったり、信じ込んだりします。読者の皆さんも10代20代前半の頃を振り返ったら、思い当たる節があるはずです。ましてや今やインターネットがあるので、魅力的な誘いが簡単に手に入る。

67歳の「中核派」に見る埋没の怖さ

池上:しかもいったん感化された人は、その世界に閉じこもるとそのまま年を重ねていってしまう。1971年、警官が殉職した過激派による「渋谷暴動事件」の犯人として指名手配されていた「中核派」の大坂正明容疑者が、つい先日逮捕されました。年齢は67歳ですから私と同世代。暴力的な共産主義革命を打ち出していた「中核派」に当時共鳴して、そのまま歳を経たということになります。

これは日本の例ですが、アフガニスタンとパキスタン周辺で生まれたイスラム主義の武装勢力「タリバン」も、若い人たちが教育されて生まれたものです。アフガニスタンの内戦からパキスタンへ逃れた難民の子供たちが、難民キャンプで過激な思想を知り、学び、母国へイスラムの兵士として送りこまれたところから始まっています。

増田:もちろん、難民が犯罪を犯すケースもあります。2016年7月、ドイツのバイエルン州の列車の中で、アフガニスタン出身の少年がナイフや斧を振り回し、数十人の乗客に無差別に攻撃を加え、死亡者が出る事件が起きました。このとき、少年がアフガニスタン出身だったこともあり、ただの無差別殺人ではなく「イスラム教徒によるテロ」と報じられました。

増田:あってはいけない犯罪ですし、少年はこのあと警察により射殺されました。問題は、この事件がテロだったかどうか、ということです。イスラム系のひとが犯した犯罪を内容を精査せずになんでも「難民によるテロだ」「イスラム過激派の仕業だ」とステレオタイプにくくってしまうのは、社会不安を煽るだけで本質的な解決にはむすびつきません。

池上:だからこそ「教育」が重要となるわけです。社会の安定と経済成長にとって、いちばん確実に効く長期投資が、高水準の教育の普及であることは論をまちません。

増田:その通りです。私自身長年高校教師をしてきたので教育の重要性は痛感します。ただ一方で、エリート教育を受けていても、若者は感化されると過激な行動を起こすことが多々あります。イスラム過激派の中には、貧しい家庭の出身者だけではなく、裕福なエリートの子弟もいますし。

池上:日本でいえば、オウム真理教事件の主犯格の若者たちがいずれも高学歴でした。

増田:ですから、ただ高等教育を受ければいいというものでもない。フランスでも、問題の多い学校には生活指導を行う専門の先生を配置するなどして、子供たちと教師とが親密に相談できる環境をつくろうとしています。インターネットの世界だけに埋没されてしまうと手の施しようがなくなってしまうおそれがあるので、こうした先生が子供たちとアナログなコミュニケーションを深める機会を増やすわけですね。いわゆる「フェイクニュース」と呼ばれるような、俗情を煽るような虚偽の報道やデマゴーグに惑わされないだけの良識を持った大人に育てよう、という試みです。

欧州はこれからどうなるか

池上:若手が相対的に少なくなって、移民などを積極的に受け入れないと国が立ち行かなくなるかもしれない、というのは日本に限らず、東アジアに共通する問題です。だからこそ、ヨーロッパやアメリカの現状から学ぶ必要がある、と私は思っています。中国や韓国の少子高齢化のスピードは日本を上回る勢いです。中国にはすでに65歳以上の人口が1億5000万人いますから。

増田:日本の人口と同じくらいいるということですね。

池上:また、2014年の数字で比較すると、韓国の出生率は女性1人あたり1.20人と日本の1.42人より低いんです。しかも、中国や韓国には日本のような社会保障制度が充実していない。このため歳をとってからどうやって生きていくのか、という問題が、あらゆる人につきつけられます。

—大変ですね。日本や中国や韓国は、そして世界はどうなっていくのでしょうか。

池上:あまりに漠然とした問いでどう答えていいのかわかりません。いい質問じゃないですねえ(笑)。

—そ、そうですね。では、話をヨーロッパに戻して、今後ヨーロッパはどうなっていくでしょうか?

増田:今、イギリスではメイ首相の方針が半ば国民から否定されるような状況になり、当初の予定通りにEU離脱の手続きが進むのかどうか、わからなくなってきています。なので、まずは様子を見るしかない。

池上:そう思います。

増田:フランスのマクロン大統領は自分の考えをかなりはっきり口にします。どこに対してもいい顔をするのではなく、ロシアに対してはノーとか、ドイツとは協調するとか、かなり姿勢をクリアにしています。日本の政治家にもそれがあっていいと思います。

池上:マクロンはトランプとの握手でも態度を明確に示しましたからね。トランプはいつも相手の手を強く握りしめるんだけれど、マクロンはそれを上回るような力で握り返しました。手が真っ白になってしびれたトランプはかなり不快な表情をしていましたが、フランスの国民はそれを見て、トランプに負けないという姿勢を示したとしてマクロンを評価しました。

マクロンの希望、メルケルの苦悩

池上:さらに、マクロンが支持を得て力を持ったことで、EUはドイツとフランスで支えていくという姿勢が明確になりました。これまでは明らかにドイツ一国がEUを支えていきましたが、それが変わろうとしています。すると、ほかの小さな国も安心してEUに留まり続けられるという構造になるでしょう。

今、一番頭を悩ませているのはメルケルでしょうね。強くなってしまったマクロン、フランスとどう付き合っていけばいいか、相当、考えているはずです。

ただ、5月28日にメルケルはミュンヘンで、これからヨーロッパは他国に頼ることなく進む道を決めていかなくてはならないといった趣旨の演説をしましたが、それは、アメリカは、少なくとも今後3年半はダメだと見切ったということです。それは、トランプがパリ協定について改めて協議したいと言ってきたときにきっぱりと拒絶したところからもわかります。

増田:日本に話を戻すと、マクロンのように立ち位置を具体的に示し、世界とちゃんと対話し、対峙し、協力できる毅然としたリーダーが必要になってくるでしょうね。そのためにはやはり教育を……となると、道は遠いですが(笑)

(聞き手:片瀬 京子)

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『「コミー氏のロシア亡命を受け入れてもいい」 「ロシアゲート」を皮肉るプーチン大統領の真意』(6/23日経ビジネスオンライン 池田元博)について

プーチンは組織への裏切りは許さないタイプですから、スノーデンを亡命受け入れしましたが、利用価値があると判断してのこと。本音で信頼はしていないと思います。コミーにもロシア亡命を勧めたという事は、スノーデンと同じく組織への裏切り者というのを痛烈に皮肉ったものでしょう。

本記事を読めば、米国だってロシアへのサイバー監視はしているでしょう。西側諸国のトップを盗聴していた国が敵国ロシアに何もしないでいると思うのはナイーブすぎです。まあ、ロシアが領土的野心を持ってないとも思わないので、抑止の手段はいろいろと持っておいた方が良いと思います。しかし、メデイアの報道は偏っているのでは。プーチンの言うように米国はロシアをダシにしてトランプを追い落とそうとしている構図です。

何時も分からないのは、何故ロシアと協調するのが良くなくて、中国と協調するのが良いのかです。論理的にどう説明するのでしょう?昔はソ連も共産国でしたが今は違います。中国にはソ連打倒の為に米国が利用しようとして、逆に利用され続けてきました。それもこれもキッシンジャー一派の為せる業でしょう。勿論彼にも多額の金が贈られています。賄賂社会の中国ですから当たり前のこと。道徳的に高潔でない人間が世界の歴史の中で評価されるのはおかしいと感じます。

日本も良く相手を見た方が良いでしょう。真の敵は誰かという事を。北方領土は民間で協力できる範囲で良いのでは。ただ、こちらでロシア軍の駐留基地が強化されるのは問題です。中国との二正面作戦は取れません。トランプ大統領の在職中に日本は憲法改正を含め、軍事力を強化し、抑止力を高めていかねば。

記事

米国でロシアゲートを巡るトランプ政権への攻撃が過熱している。昨年の米大統領選へのロシアの介入疑惑とともに、同政権とロシアの不透明な関係が取り沙汰されるが、“悪者”扱いされた当のプーチン政権の反応はどうなのか。

6月15日、毎年恒例の国民からの質問に答えるテレビ番組に出演するロシアのプーチン大統領(写真:ロイター/アフロ)

ロシアで6月15日、毎年恒例の「プーチンとのホットライン」が実施された。プーチン大統領がテレビに生出演し、全国から寄せられる国民の様々な質問や苦情に直接対話形式で答えていく番組だ。今年は約4時間にわたり、合計で68の質問に答えた。

若手教師の低賃金、老朽住宅やゴミ処理問題、劣悪な道路事情……。来春に次期大統領選を控えているとあってか、例年に比べても国内の社会・経済問題がより多く取り上げられた。こうした中、外交分野で時間を割いたのはやはり、米国で広がるロシアゲートの問題だった。

「ひとえに米国内で激化する政治闘争の結果だ」

まず、「プーチン大統領の大ファン」と称し、米国で広がるロシア嫌いの風潮へのコメントを求めたアリゾナ在住の米国人男性の質問に対し、大統領は「我々は米国を敵だとはみなしていない」と強調。第1次、第2次世界大戦で両国が同盟国として協力した過去の経緯なども持ち出した。その上で最近、米国で広がるロシア嫌いは「ひとえに米国内で激化する政治闘争の結果だ」と断じた。

続いてロシアの「独立新聞」編集長が、米ロのどのような分野の協力が有益かを尋ねたのに対し、大統領は(1)大量破壊兵器の拡散防止(2)地球温暖化対策(3)テロの温床となる世界の貧困対策(4)シリアを中心とする中東政策――などを列挙。「我々は建設的な対話をする用意がある」と述べ、米国との関係改善への期待を示した。

ただし、米国との協力はロシアの意思だけでできるものではないと指摘。「(ロシアゲートは)明らかに米国内の政治闘争だけに、我々は何もできないし、何の影響力もない」と強調することも忘れなかった。

コミー氏のロシア亡命を提供する用意がある

プーチン大統領はコミー前米連邦捜査局(FBI)長官による米上院情報特別委員会の公聴会での証言に関する別の参加者の質問に対しても、「FBIの前長官は米大統領選でロシアの介入があったとみなしているが、今回もいかなる証拠も示さなかった」と反論した。

大統領はさらに、そもそも米情報機関のトップがトランプ大統領との会談記録を友人経由でマスコミに流すのはとても奇妙な話だと言明。コミー前長官の行動は米政府の情報収集活動を暴露してロシアに亡命中のスノーデン米中央情報局(CIA)元職員と大差はないとし、「我々は彼(コミー氏)にもロシアへの政治亡命を提供する用意がある」と痛烈に皮肉った。

「プーチンとのホットライン」は事前に大統領府と入念な調整をしているといわれる。それだけに、ロシアゲートを巡るプーチン発言はロシア国民が「米国の内政問題で、ロシアとは全く無関係」と納得できるように構成した面は否定できない。

ただ、国際的な関心の高まりを受け、プーチン大統領が様々な場面でこの疑惑をめぐるコメントを余儀なくされているのは事実だ。かつ、その発言内容はほぼ一貫しているといっていい。

例えば6月初め、ロシア第2の都市サンクトペテルブルクで開かれた国際経済フォーラム。プーチン大統領は総会演説後の質疑応答でロシアゲートが取り上げられると、「これは我々の問題ではなく、米国の国内の政治問題だ」と何度も強調。この疑惑は国際関係や国際経済、安全保障やテロとの戦いにも悪影響を与えているとして、早期に終止符を打ち、米国との「正常な協力」を開始すべきだと訴えた。

大統領はこの経済フォーラムの場で、米NBCテレビとのインタビューにも応じている。当事国のメディアとあって、質問の大半がロシアゲートを巡る疑惑に割かれた。米大統領選への介入の有無、キスリャク駐米ロシア大使は誰と会っていたのか、トランプ陣営との秘密ルートの可能性、対ロ疑惑で早々に辞任したフリン前大統領補佐官(国家安全保障担当)との関係などだ。

辛辣で細かい質問の連続に、大統領もさすがに憤りをあらわにする場面もあった。特に駐米ロシア大使の行動を聞かれた時には、「米国を含めて世界に駐在する大使が毎日、誰に会ったかを私に報告すると思っているのか。あなたは何を質問しているかわかっているのか」と激しい調子でまくしたてた。米大統領選への介入疑惑をめぐっても、「世界の至る所で他国の選挙に盛んに介入しているのは米国の方ではないか」と反論した。

その一方で、「私はロシアが米大統領選に直接介入したという証拠を一度もみていない」とし、そもそも「米国のような大国の選挙結果に影響を与えることはいつの時代であっても不可能だ」と述べている。

誰が大統領だろうと米露関係は変化しない

もちろん、米大統領選にロシアがサイバー攻撃で介入したとする報告書を米情報機関が公表している以上、プーチン大統領の主張を鵜呑みにするわけにはいかないだろう。

大統領自身、かつて「米ロの関係正常化の意向を公の場で語ってくれる人を歓迎しないわけにはいかない」と、トランプ氏の当選を望むような発言もしている。トランプ陣営に有利になるよう、ロシアが米大統領選で何らかの関与をした可能性は完全には否定できない。

とはいえ、仮にサイバー攻撃などによるロシアの介入が事実としても、プーチン大統領が指摘するように、米国のような大国の選挙結果を左右するほど多大な影響を与えたとは考えにくい。インテリジェンスの世界では半ば当たり前の情報工作合戦をことさら大ごとにし、米国内の政争にロシアを悪用するのはいいかげんにしてほしい、というのがプーチン政権の本音ではないだろうか。

いずれにせよロシアでは、トランプ氏の大統領当選直後にみられた米ロ関係改善への期待は急速にしぼんでいる。ロシアの世論調査会社レバダ・センターが5月下旬に実施した調査でも、米ロ関係に「変化はない」とみる国民が過半を占めている。

最近の米ロ関係をどう見るか

(注)5月下旬、ロシア市民1600人を対象にした世論調査 出所=レバダ・センター

米ロは7月7~8日にドイツのハンブルクで開かれる20カ国・地域(G20)首脳会議の際に、トランプ大統領とプーチン大統領による初の首脳会談を計画している。ただ、ロシア大統領府内では会談の実現すら懐疑的な見方も浮上。仮に予定通り首脳会談が実施されても、抜本的な関係改善につながるような進展は期待できないとの観測が大勢だ。

プーチン大統領も米ロの冷たい関係が長期化することを前提に、対米戦略を練り直しつつあるようだ。その兆候は最近の大統領発言にも垣間見られる。

例えば、くだんの米NBCとのインタビュー。プーチン大統領は「大統領や政権党が変わっても、基本的な政策は変わらない。従って本質的に、我々にとっては米大統領が誰になろうがどうでも良いことだ」と述べている。

大統領はこれに先立つ5月末、フランス訪問時にパリで実施したフィガロ紙とのインタビューでも、「私は既に3人の米大統領と接してきたが、政策は変わらない。なぜなら政権の官僚主義が非常に強いからだ」と指摘。例え何らかの理想をもって大統領になっても、どの政権でも官僚の説得によってたちまち理想は修正されてしまうと分析した。

領土問題の解決は日米安保条約が障害に

もちろん、米ロの関係正常化への期待も示してはいるが、「我々は決して急がない」とも語っている。恐らく、トランプ政権下でも米ロの抜本的な関係改善はほぼ望めないと結論づけたのだろう。

実際、フィガロ紙のインタビューでは、北大西洋条約機構(NATO)の東方拡大や対ロ防衛の強化、弾道弾迎撃ミサイル(ABM)制限条約からの一方的脱退、欧州でのミサイル防衛(MD)システム配備といった米国の安全保障政策を「近視眼的な政策」などと再び鋭く批判した。同時にNATOがどう対処するにせよ、「我々は自らの防衛能力を高めていく」としている。

米ロ「冷戦」の長期化を前提にしたロシアの外交・安保政策は、思わぬところにも波及している。日ロの北方領土問題への影響だ。

プーチン大統領は「プーチンとのホットライン」終了後に記者団の質問に答えた際、日ロの北方領土交渉にも言及。領土問題の解決に向けては「良好な条件の創設」とともに、「もうひとつやっかいな問題がある。この地域を含めた安保の問題だ」と強調。「日本が自らの同盟国に対して負う義務」という言い回しで、日米の安保条約が障害になるとの見方を暗に示したのだ。

要は仮に北方領土の日本への引き渡しに応じれば、米軍基地が展開される恐れを懸念したものだ。プーチン政権が北方領土交渉のハードルをさらに引き上げるために編み出した言い訳といえなくもないが、米国内で広がるロシアゲートの余波が日ロ関係にも影響しつつある現実には留意すべきだろう。

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『ルペンの国民戦線が極右なら、日本は極右の国だ 『なぜ、世界は“右傾化”するのか?』対談(前編)』(6/22日経ビジネスオンライン 池上彰・増田ユリヤ)について

6/23には後編が掲載される予定でしたが、アップされませんでしたので、取敢えず本ブログに載せます。

今世界で起きている現象を右傾化と呼ぶのは間違っていると池上氏は主張しています。NHK出身でリベラルな彼がこういう風に言うのは珍しいと感じました。小生も「右傾化」というのは左翼・リベラルが保守派を貶めるために使う常套手段と思っています。新たな史料に基づき、歴史を見直そうとするとリビジョニストとして非難してモノを言わせないようにするやり方と同じです。ガリレイと同じで、「それでも地球は回っている」と言いたい人は一杯いるのでは。所詮、現世利益だけを追い求めている人間には真実の追及など関係ないのかもしれませんが。

6/24(土)は日本会議千葉東葛北部支部主催の古森義久氏講演会に出席しました。やはり、アメリカのメデイアは民主党びいきというのを言っていました。カリフォルニア、ニューヨーク、ハワイは民主党の岩盤州とのこと。昨年11月の大統領選でトランプは30州をものにしましたが、投票者数で見れば280万票ヒラリーが勝った。その内、700万票はカリフォルニアでの差という事です。この3州は米国の内陸部の人達とは考え方が根本的に違うとのこと。WSJが「日本国憲法の9条は日米同盟にとって危険」という記事も紹介していました。政治任用の官僚の指名が遅々として進まないのは(多分民主党の残滓を炙りだすためで)、政治任用以外の党派性の無い役人に任せれば進んでいくのでとも言っていました。

考えて見るに、森友・加計・豊田・豊洲問題は朝日を筆頭とする左翼メデイアが憲法改正させないため、良く練ったシナリオではないかと思います。都議選で自民党の力を削ぎ落すため、時間差攻撃をして、その都度、問題を膨らましてきました。テロ等準備罪はどう足掻いても通過は見えていましたので。情弱老人に「政府の説明は足りない」と思わせ、何としてでも内閣支持率を落とさせ、憲法改正を踏み止まらせたいのでしょう。でも安倍内閣は反撃に出ました。今臨時国会に発議案を提出と6/24講演会で明言したとのこと。敵の画策を読んでのことと思います。たとえ、中途半端な改正であってもWSJが「日本の憲法9条は危険」と言っている以上、改正に踏み切らないと日米同盟は持たないと思います。そうなれば、人権弾圧国家・中共の軍門に下ることに成ります。日本国民がどちらの選択をするかにかかっています。

本記事を読んで何故難民を受け入れないといけないのか理由が分かりません。二人とも公理のように思っているのでは。植民地支配してきた国が富の収奪をしてきた贖罪の意味で難民受け入れするというのなら、それはやればよいと思います。日本は植民地ではなく統合してきた訳ですので。況してや、縁もゆかりもない国からの難民受け入れは御免蒙ります。戦後のドサクサの時に、朝鮮人が無体なことを沢山し、拉致までするような民族が大手を振って日本を歩いているのはどう考えてもおかしいでしょう。新たな難民ではなく、今いる敵性国家人を何とかしないと、テロに遭うと思います。移民国家アメリカとは国の成り立ちが違いますので。

「既存政治の打破」はトランプが大統領になったことで、流れは決まったようなものです。マクロンを選んだのもそうでしょう。但し、EU内も一枚岩になれるかです。ドイツの一人勝ちを他国が許すような状況になるかどうか。イタリアの2銀行も破綻しました。ドイチエ銀行も危ないと言われています。そもそも中国との関係が深いので猶更です。情報強者になるべくいろんなところから情報を取り、分析すれば正しい判断ができるようになると思います。「98%の秘密情報は公開情報から得られる」と。

記事

「右傾化」という言葉は使いたくなかった!


 

なぜ、世界は“右傾化”するのか?

池上:それはですね、出版社が「右傾化」というキーワードをタイトルに使いたい、と言ったからです(笑)。

増田:私たちは抵抗したんです、使いたくないって。

池上:いま、世界で起きていることは、「右傾化」ではありません。なので、タイトルに「右傾化」と入れることについては、「違うんじゃないですか」と申し上げました。で、最終的に、「右傾化」という言葉を「“”」でくくる、ということです。

—イギリスのEU離脱=Brexit、アメリカのドナルド・トランプ大統領の誕生、フランス大統領選での極右政党国民戦線のマリーヌ・ルペン氏の人気と、エマニュエル・マクロン大統領の誕生。ポーランドで保守政党「法と正義」政権の樹立。本書で取り上げられている各国の一連の政治的変化を、日本のメディアの多くは「右傾化」と表現しています。でも、これは「右傾化」ではない、と。

「右傾化」と定義すると変化の意味が見えなくなる

池上 彰(いけがみ・あきら) 1950年、長野県生まれ。1973年から2005年までNHKに記者として勤務。2005年からフリーランスのジャーナリスト。2012年から東京工業大学教授に。2016年、東工大を定年退職し、名城大学教授に。東工大でも特命教授として引き続き講義を受け持つ。今年度は計7つの大学で教壇に立つ。(写真:陶山 勉、以下同)

池上:ないです。「右傾化」と言ってしまうと逆にいまの変化の意味が見えなくなる。各国の政治の変化に共通するのは、右傾化ではなく、自分の国さえ良ければいいという一国主義です。移民や難民など、自国民と異質な存在を受け入れたくないという思いです。

昨年末、米国でトランプ大統領が誕生したとき、彼が標榜した「America first」の一国主義は、このあとヨーロッパにも広がっていくのではと予測して、この本を作ることに決めました。このため、本書には、この5月のフランス大統領選の結果まで入っています。ぎりぎりでしたね。

増田:ルーブルで行われたマクロンさんの勝利宣言を聞いてから原稿を書いて送りました。マクロンさんの勢いは、向こうで取材を始めた3月の時点で感じていました。極右のマリーヌ・ルペンさんは地方では健闘していましたがパリではまったく人気がなく、「ルペンだけはイヤ。でも誰を選んだらいいか迷っている。「この人だ!」と思える候補がいない」という声も多かったですね。

池上:なぜ、いま各国で起きていることが「右傾化」ではないのか。日本では「極右」と報じられている、ルペンが率いる国民戦線の主張のひとつは、「移民は1万人まで受け入れる」というものです。

日本はどうですか。移民はそもそも正式には受け入れていない。難民の受け入れは、2015年が27人。2016年が28人です。

ルペンの国民戦線は、「フランス人から生まれた子どもは自動的にフランス国籍を得られるように制度を変える」と主張しています。これ、いまの日本がとっている国籍制度ですね。これまでのフランスの国籍の制度は、フランス国内で生まれたら、親がどの国の出身者であろうと誰もがフランス国籍を得られる、というものでした。

日本では、日本人から生まれた子でないと自動的に日本国籍を得ることができません。つまり、国民戦線が理想とする国籍制度は今の日本なんです。そしてルペンは「移民は1万人まで受け入れる」と明言しています。

ルペンの国民戦線を極右政党と呼ぶならば、そもそも移民を認めておらず、難民も数えるほどしか受け入れておらず、日本人の子供しか日本国籍を認めていない、いまの日本はもっともっと「極右の国」ということになりますね。さすがに違うでしょう。だから世界で起きている政治の流れは「右傾化」という視点ではくくれないんです。

—そういえば、トランプ大統領も、難民は5万人まで受け入れると言っていますね。

池上:バラク・オバマ前大統領が主張していた「難民10万人受け入れ」なんてとんでもない!と、トランプ大統領は「難民は5万人まで」と目標数値を削減しました。では、日本は?  27人とか28人です。となると、トランプ大統領よりいまの日本のほうがはるかに「右翼」ということになってしまう。逆に言えば、日本を基準とすると、今度は、フランスの国民戦線もアメリカのトランプ大統領も「リベラル」あるいは「左翼」ということになりますね。それもおかしいでしょう。だから、政治の右左でいまの国際政治を語ってしまうのはミスリードを招いてしまう。

増田ユリヤ(ますだ・ゆりや)1964年、神奈川県生まれ。國學院大學卒業。27年にわたり、高校で世界史・現代社会を教えながら、NHKラジオ・テレビのコメンテーターを務めた。日本テレビ「世界一受けたい授業」に社会の先生として出演のほか、現在レギュラーコメンテーターとしてテレビ朝日系列「グッド! モーニング」などで活躍。日本と世界のさまざまな問題の現場を幅広く取材・執筆している。著書に『新しい「教育格差」』(講談社現代新書)、『移民社会フランスで生きる子どもたち』(岩波書店)、『揺れる移民大国フランス』(ポプラ新書)などがある。池上彰氏とテレビ朝日「ワイド! スクランブル」のニュース解説コーナーを担当している

増田:私自身、フランスで現地取材をするまでは、人権に重きをおくフランスでも、国益だけを考え、難民など自分たちと異質な民族を排除したい人たちが増えて、「右傾化」してしまっているのか、と半信半疑でいました。

でも、池上さんが解説してくださったように、必ずしも「右傾化」ではないんですね。そもそも、いまでもフランスでは、他者を排斥するのはとんでもないという意識が根強いことがわかりました。歴史を見ても、フランスは移民で成り立っている国ですし、現時点でもその自覚を強く持っています。

国際結婚も当たり前。EU圏内のさまざまな国の人たちと結婚し、子供を生んでいる。ルペンさんの主張通りに、EUから離脱したら、各国を行き来するのにまたパスポートが必要になる。通貨も変えなくてはならなくなる。私が取材したフランス人たちの意見の多くは、そんな面倒をいまさら選ぶことは考えにくい、というものでした。

マクロンを支援する女性たちは「戦争」を意識している

池上:その点で言うと、やはりイギリスは日本と同じで島国だよね。大陸から人に来てほしくないといが気持ちが相対的に強い。

増田:EU離脱を表明したイギリスが閉ざしていることも、フランスの難民問題が解決しない大きな原因のひとつですね。

池上:今回の本では、増田さんがフランスで現地取材を行いました。その成果を聞いて、私が一番「なるほどな」と思ったのは、マクロンを支援する女性の集会の話です。

増田:パリ14区のカフェで開かれた集会ですね。私は最初、彼女たちがEUからの離脱に反対するのは経済的な不安があるからだろうと思っていたのですが、彼女たちの口から次々に聞かれたのは「戦争のこと」でした。

彼女たちいわく、「私たちの代も、私たちの親の代も戦争をしていないのに、子どもや孫の代で戦争が起こったら困る。だからEUには加盟し続けたい。それをはっきり主張しているのは、大統領候補の中でマクロンさんだけだから、彼を支持する」と。

池上:その話を聞く前は、私も「日経ビジネス」風に、経済的な理由で彼女たちのようなマクロン支持なのかと思っていました。EUに加盟している限り、関税がなく、人の行き来が自由で、経済面から考えるとやはり有利、と判断しているのかと。

池上:でも、増田さんが集めてきた生の声はちょっと違っていた。フランス人を含めヨーロッパの人たちにとって、EUにいたるヨーロッパ共同体のおかげでヨーロッパは戦争がなくなった、という意識が前提にある。2012年にEUがノーベル平和賞を受賞したときになぜなのかと思ったのですが、納得できました。

かつてヨーロッパは常にどこかで戦争や紛争が起きていた。第二次世界大戦後、1952年に欧州石炭鉄鋼共同体(ECSC)が発足し、それが67年に欧州諸共同体(EC)に発展し、80年代の東欧の崩壊を経て、92年にEUが発足しました。ヨーロッパ域内では戦争がずっと起こらずにすんできた。EUはヨーロッパから戦争をなくす構想のもとで立ち上がり、それを成し遂げた存在だ――。そんな風にヨーロッパの人々は思っているのだ、と、基本に立ち返らされたような感じがしています。

増田:EUに対する同じ思いは、フランス人だけではなくドイツ人たちも強く持っていると思います。あの国は、もう絶対に戦争はいけないと思っている国ですから。ただ、現在のEUでは、ドイツ一国が圧倒的に強いというイメージがあります。だからこそ、マクロン大統領は、EUの中でフランスの存在感をより高めていく政策を打ち出したのでしょう。もちろん、いまだにフランスにはドイツが大嫌いという人もたくさんいます。歴史的な経緯を考えるとしょうがないのですが。

池上:その代表が、ドイツ脅威論を唱える学者のエマニュエル・トッドでしょうね。

増田:一方で、ドイツ人と結婚しているフランス人も多いんです。イギリスはEU離脱を決めましたが、他国の人と結婚したイギリス人は、今後どうするのか。かなり悩んでいるはずです。

—これまでの話で、ヨーロッパで起きているいくつかの政治的な動きは「右傾化」ではなく「一国主義」であり、しかもフランスを見る限り、必ずしも一枚岩ではない。一方、やはり「一国主義」を打ち出したトランプ政権下のアメリカがあります。ヨーロッパとアメリカで起きている政治的変化の共通点と異なる点、どう見ていますか?

作用・反作用が素早く起こるアメリカ

池上:ヨーロッパでもアメリカでも共通しているのは、グローバリズムと一国主義の作用・反作用の繰り返しです。ヨーロッパでもアメリカでも、経済面で徹底的なグローバリゼーションが進み、ヨーロッパに関しては域内の経済がひとつになりました。その反作用として、イギリスはEU離脱というアンチグローバリズムを選びました。

アメリカでのトランプ現象も、グローバリズムという作用に対する反作用と見ることができます。ITや金融の分野で徹底的なグローバリズムを推し進めたアメリカ経済。その結果、国内で大きな格差が生まれ、グローバル化に乗り遅れた人たちの不満が募りました。結果、トランプが予想以上の票を集めたわけです。

一方、その後のイギリスの政治的な混乱やトランプ政権の迷走ぶりをみて、ちょっと待てよ、という機運が再び生まれました。その結果が、オーストリア、オランダ、そしてフランスで起き、一国主義への傾倒を踏みとどまる選挙結果が出ました。

アメリカ国内でも、トランプの一国主義に対する反作用が起き始めています。6月、トランプは、温暖化対策の世界的な枠組みを定めた「パリ協定」を離脱すると宣言しましたが、カリフォルニア州やワシントン州など複数の州が「独自に温暖化対策に取り組む」と即座に表明しました。また1月にトランプは、イラク、シリア、イラン、スーダン、リビア、ソマリア、イエメンのイスラム圏7カ国からの入国を一時的に完全に禁止すると宣言しましたが、シアトルの連邦地方裁判所は、この特定7カ国からの入国制限に対して、一時的差し止めを命じました。

たとえ大統領の命令といえども、理不尽だと判断したらすぐにその反作用が起きる。それがアメリカという国です。

—そもそも、なぜアメリカでトランプが人気を勝ち取るような一国主義という反作用が起きたのでしょうか?アメリカ中部の貧しい白人たちの世界を描いた『ヒルビリー・エレジー アメリカの繁栄から取り残された白人たち』(光文社)などを読むと、その空気をうかがい知ることができるような気もします……。

池上:トランプの支持者の多くは、『ヒルビリー・エレジー』で描かれたような、グローバリズムによるアメリカの繁栄から徹底的に取り残されたラストベルト(錆び付いた工業地帯)に暮らす貧しい白人たち、ヒルビリーやレッドネックと呼ばれる人たちですね。

ネイティブアメリカンやラテンアメリカ系、アフリカ系、アジア系の人たちのようにマイノリティとして逆に優遇措置を受けることもない。第二次産業が崩壊して、本当に行き場を失った人たちです。そんな彼らが突然、トランプのような著名な大富豪から「あなたたちのことは忘れていない、あなたたちこそがアメリカだ」と言われたらそれはぐっとくるでしょう。まさに「おらが大統領」に見えるでしょう。だから彼らは今でもトランプを大絶賛しています。

増田:たしかにトランプの支援者の多くは、民主党政権への不満、エリートへの不満を抱えた貧しい白人層。でも一方で実はエリートの中にも「トランプよ、よくぞ言ってくれた」という人たちがけっこういる。表立っては言えない本音を臆面もなく口にするトランプに憧れを抱いていたりするんです。

トランプの支援者集会で話を聞いたハーバード大学の卒業生もそうでした。自分の家族はみな、民主党支持だから、口が裂けても共和党を支持しているとか、ましてやトランプを支持しているなんて言えない。でも、実はトランプの支援者なんだ、この隠れトランプの集会に来れば、仲間に会って、思う存分に本当は移民や難民なんて大嫌いなんだと本音を話せると。喜んでいました。

それからトランプの支持者の中には、銃の規制に反対する人たちがかなりいます。アメリカ人にとって銃は特別な存在。トランプを支持しない人の中にも、銃の所持を規制されるのだけは嫌だという人がかなりたくさんいるんです。私も何人かにインタビューしました。日本人にとっては銃規制は当たり前ですが、9.11以降、自分の身を自分で守って何が悪いんだという空気がかなり高まっていると感じます。だから、トランプさんを全面的に支持するわけではないけれど、この一点で共和党を支持するからトランプを支持するという人も多かったですね。

既存の政治そのものへの不満

池上:フランスでもアメリカでも、今起きている政治の変化は、民主党系と共和党系、革新と保守という政治的な対立軸そのものが崩壊したことで生まれました。従来の二項対立の視点で見ると、一国主義を「右傾化」と見なしがちだけれど、正確には違う。一国主義は、これまでの二項対立の政治構造そのものへの不満から生まれている部分があります。

アメリカでは、ヒラリー・クリントンは既成政治家の象徴でした。それに対抗していたのが、トランプであり、バーニー・サンダースでした。フランスでも、共和党でも社会党でもなく、前進という新しいグループを作ったマクロンが選ばれた。既成の政党、体制への不満が一挙に吹き出ているのです。

増田:そうですね。フランスでも、テロばかり起きて失業率は下がらないので、社会党のオランドに対する不満は高まっていて、政権は共和党に戻そうという風潮も生まれていました。ところが、有力な対抗馬となるはずの共和党のフランソワ・フィヨン候補が支援者から高額のスーツを受け取っていたなど、お金のスキャンダルが出てきました。

池上:たしか1着165万円のスーツでしたね。どうしたらそんな高いスーツが作れるんでしょう(笑)

増田:そんな高額のスーツを受け取ったことを指摘されたフィヨンさんは「何が悪い」と開き直りました。彼は元々敬虔なクリスチャンであることを売りにしていたので反発も大きく、国民はこんな人には任せられないという結論を下しました。その結果、フランスでは、それぞれマイナーな政党を率いるマクロンとルペンの一騎打ちとなりました。

池上:歴史を見ると、ひとつの政治体制の耐用年数はだいたい70年間なんです。ソ連の社会主義体制は1922年のスタートから60年くらい経った80年代前半でおかしくなり始め、70年目の1991年の終わりに崩壊しました。日本の今の政治体制ができたのは1955年です。いわゆる55年体制ですね。そこから70年目は2025年。日本でも2017年時点で、すでに55年体制の崩壊は始まっていると考えたほうがいいでしょう。

東京では自民党でも民進党でもない、都民ファーストの支持が高まっています。都民ファーストは保守や革新のどちらかには分類できません。都民ファーストから出馬するとされている人を見ると政治の素人が多い。ここはフランスのマクロン新党と共通するように見えます。

—世論調査誘導型でいいのか?

増田:そもそもマクロンの支持者も政治の素人集団です。その素人の声を国会に届けることが大事だという理念を持っているのです。

今の安倍晋三政権が世論調査に非常に敏感なのは、日本の選挙民の政治意識の変化を感じ取ってのことでしょう。ただし、世論調査の結果の通りにすればいいというわけでは、もちろんありません。それでは単なるポピュリズムに陥ってしまう。

池上:民主主義とポピュリズムは不可分です。ポピュリズムをすべて否定することはできません。ただし、政治家が人気を得たいがためにあまりに実現不可能なことを公約に掲げたり、バラ色の未来ばかり主張したりする人が国民の支持を集めたりするのは危険です。

イギリスでは、総選挙に向けて、保守党率いるテリーザ・メイ首相が5月18日にマニュフェストを発表しました。そこで盛り込まれたのが、高騰する医療費を抑えようと高齢者の在宅介護の自己負担額を従来より増やす政策です。認知症を患った高齢者を自宅介護している家族にとっては大きな負担がのしかかるとして、「認知症税をつくるのか」と国民から猛反発され、撤回しました。

医療費の高騰をなんとか押さえ込もうとして、責任を持ってやろうとしたけれど、国民から叩かれて引っ込めたわけです。

一方、野党である労働党のジェレミー・コービンは、国民に負担を強いるようなことは一切言っておらず、大学の学費無料化など国民の負担を減らす公約を打ち出して、人気を獲得しつつあります。

国民としては、負担が少ないほうがありがたい。でも、国の未来を見据えたときにその選択が正しいかどうか。

—その善し悪しをチェックするのは・・・・・・。

池上:メディアの役目ですよ。

(聞き手:片瀬 京子) (後編に続きます。明日掲載予定です)

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『残留農薬で警告「中国人は子供を産めなくなる」 著名医師が予言する「50年後」を避けることができるか』(6/23日経ビジネスオンライン 北村豊)について

6/24日経台湾行政院長、中国との対話路線維持 

台湾の林全・行政院長(首相)は23日の日本経済新聞とのインタビューで、中国による外交圧力を警戒しつつ、摩擦を避けて対話を探る対中政策は「変わることはない」と、穏健路線の維持を明言した。米を除く11カ国での環太平洋経済連携協定(TPP)発効を日本が主導することを歓迎した。13日のパナマとの断交後、台湾首脳がインタビューに応じるのは初めて。

――台湾を国と認めて外交承認するのは20カ国に減りました。バチカンや中米ニカラグアとの関係にも懸念があります。

「どの友好国も対岸(中国)の次の目標になる可能性を排除できない。我々は一貫して良好な関係の維持を望んでおり、臆測には答えられない。対岸はパナマと台湾の外交関係に、強大な経済力を背景にした影響力を行使した。同じやり方が続くなら、他の友好国との関係にもリスクはある」

「もともと正式な外交関係を持つ国は少なく、我々は(非公式な形であっても)実質的な経済、外交関係をより重視している。脅威は認めざるを得ないが、台湾は圧力に屈することはない。屈服しないと(中国が)理解したときに(外交の切り崩しは)終わるだろう」

――蔡英文総統はパナマとの断交後の談話で「両岸(中台)情勢を再評価する」と発言。政策変更の可能性を示唆したとの見方があります。

「我々は対岸との現状維持を望む。現状のあらゆる変化を注視するという意味であり、立場は不変だ。衝突を避ける最も良い方法と考える」

――米国がTPPを離脱しました。米を除く11カ国による「TPP11」をどう考えますか。

「機会があれば参加を強く希望する。貿易は台湾が経済発展するための中核で、開放は必然だ。対岸は政治的な理由で、別の国が我々と自由貿易協定(FTA)を結ぶ際に影響力を及ぼす。日本が主導することを歓迎する。我々は加入に向けた準備を進めている。投資障壁を減らすなどの法整備を始めている」

――台湾の安全保障の要である米国は、北朝鮮問題での協力を期待し中国と接近しています。

「米国との非常に良好な関係は続いており、北朝鮮問題の影響は受けていない。米国が地域の安定と同時に、対岸との関係を維持したいと考えるのは理解できる。現状維持の立場は台湾と一致している。米国は台湾への武器売却を引き続き検討しており、手続きが順調に進むと信頼している」

――今年、日本の対台湾窓口機関の「交流協会」が「日本台湾交流協会」に、台湾側の対日窓口機関が「亜東関係協会」から「台湾日本関係協会」に改名しました。

「非常に意義が大きい。現在の台日関係は非常に良好で、民間交流や経済協力も密接だ。改名は双方が過去の政治的な隔たりなどを直視し、問題を解決しようとする素晴らしい動きだ」>(以上)

当日の日経に依れば、22日に民放TVBSが実施した世論調査では「蔡英文総統の支持率は21%と最低を更新した」とありました。林全行政院長は外省人二世です。内省人にはまだ人材が育っていないのでしょうか?蔡総統が政策的に中途半端な印象を与えているのはそのせい?

日本もTPPを先行して各国を取り纏め、台湾の加入と米国の復帰を働きかけて行くようにした方が良いでしょう。TPPは元々中国の経済的封じ込めが目的でした。北村氏記事にありますように、利益の為には毒でも何でも使う民族です。封じ込めねば。TPPを将来的には共同防衛組織に変えて行けば良いでしょう。6/24日経にはヨーロッパではNATOがあるにも拘らず、「EU防衛協力を拡大」という記事がありました。域内防衛協力を深める方針とのことです。ASEANは反共が設立の由縁ですが、今や中国に切り崩されているように見えます。米国が頼りにならないため現実を見て対応してきたからです。

6/22朝日新聞デジタルの記事<性暴力も愛情と勘違い… いいセックスって何だ?

漫画・田房永子

■社会活動家・仁藤夢乃さん

いいセックスって何だろう。社会活動家の仁藤夢乃さんは問いかけます。女性の性が軽く扱われる世の中で、男女が対等にセックスを楽しむなんて、そもそも無理じゃないかと。

14歳の女の子の話です。ネットで知り合った「年上の彼氏」に「こんなセックスをしたい」とAVを見せられ、超汚いトイレでセックスし、裸で路上を歩かされ、異物を膣(ちつ)に入れられ、動画に撮られたという。

それって性暴力だよ、あなたが大切ならそんなことしないよ、とこちらが言っても、本人は被害を受けたとは思っていない。愛情表現だと思っている。

その後、彼女は中学生がレイプされる漫画や動画を大量に集めるようになり、「不安なとき、これを見てオナニーすると落ち着く」と。AVに出ようとしたり、危険な行為で血だらけになったり。支援者につながって施設に入っても、男性の支援者を誘って肉体関係になり、また居場所をなくしていく……。

そんな彼女が性を楽しんでいるといえるのでしょうか。私にはそうは思えない。

■「自分を大切に」は無意味

心の傷、トラウマの表れ方の一つに「再演化」があります。かつて被害に遭った時と似たような状況を作り出しつつ、積極的に誘惑的に振る舞うことで、自分の無力感を払拭(ふっしょく)しようとするのです。

また、過酷な環境で暮らす子の…

残り:1750文字/全文:2305文字>(以上)

新聞媒体の劣化はとうとうここまできたのかということです。毎日は海外版WaiWaiで日本人のありもしない変態ぶりを英語で発信し、ネットでは「変態新聞」と呼ばれています。朝日は国内でこんな性に関してあられもない記事を書いて恥ずかしいと思わないのでしょうか。買春次官がTVで堂々と政府の説明責任を追及していましたが、それなら自分の買春の疑惑を晴らしてから言えと言いたい。相手にした女性をTVに呼んで、具体的に証言して貰ったらどうでしょう?蓮舫の二重国籍の説明責任についてメデイアは知らん振りしています。また、うんこ漢字ドリルとか生きるための営みをこんなにもあけすけに書くことが知識人のやることですか?不買運動すべきです。国民も買わないで経営に打撃を与えて彼らに軌道修正せないと。

しかし、左翼・リベラルは劣化しました。昔はそれなりに、左翼独特の難しい表現を使い、煙に巻いていた時代もありました。どの程度資本論等理解していたかは分かりませんが、それなりに勉強していたとは思います。今は、それでは大衆に受けないからか迎合記事が多くなり、センセーショナルにアジるだけ。イエロージャーナリズムと何ら変わる所はありません。慰安婦の嘘は白日の下に晒され、次は南京、靖国についても朝日の果たした役割を問い、廃刊に追い込んでいかねば。

森友・加計問題で、萩生田官房副長官をダシにして、前川一派とメデイアが組んで憲法改正させないように倒閣運動しているのではという気がします。豊田真由子の件も倒閣運動の一環でしょう。彼女の場合、園遊会でも事件を起こしていますし、桜蔭高校というエリート校を出た東大キャリア組の鼻持ちならない傲慢さが窺われ、助けてやる余地はありません。次はないでしょう。

http://www.zakzak.co.jp/soc/news/170622/soc1706220007-n1.html?ownedref=articleindex_not%20set_newsList

6/24TV「ウエークアップ!」で「ミサイル飛来時の対応」についての政府広報の取り組みを取り上げていました。訓練の様子も。J-アラートの音声も流しました。メデイアはこうでなければ。国民の命を守るように、国民に注意を喚起しないと。政府は避難の方法もTVCMで流すとのことです。小生も以前、内閣府にシンゴジラみたいな映画を作って国民に啓蒙する必要性があることをブログに書きました。

http://mami-ch.blog.so-net.ne.jp/2017-06-23

http://www.kokuminhogo.go.jp/shiryou/nkjalert.html

http://www.news24.jp/articles/2017/06/22/04365029.html

http://dwellerinkashiwa.net/?p=6156

7/1には士気の集い主催で木中先生による講演があります。詳しくは本ブログのトップページをご覧ください。時間があれば、是非ご参加ください。

さて、本記事中の鍾南山は小生の記憶に間違いがなければ、2003年SARSの時に、衛生部が患者の人数を少なく発表し、「大したことはなくコントロールできている」としたのを、勇気を持って告発した人です。衛生部長はそれが為に更迭されました。小生は当時北京にいましたが、鍾南山は広州呼吸疾病研究所所長でした。小生は同じく広東省の深圳に仕事で住んでいましたので、成り行きを興味を持って見ていました。彼は逮捕されることもあり得たはずです。結局そうはならず、彼は中華民族の英雄となりましたが。

中国が「世界最大の農薬製造商であり輸出商」というのは知りませんでした。米国のモンサント辺りだろうと思っていましたが。一国全体と一企業の差かも知れませんが。鍾南山が言うように中国の農薬が生殖能力を落とすというのであれば、中国の人口侵略を防ぐという意味で世界に平和を齎すのでは。まあ、彼らの選択(体に異常を来す農薬の使用)の問題ですが。日本の1ha当たりの農薬使用率が中国より高いという事は、中国がまた嘘を言っているという事でしょう。何せ捏造の得意な国ですから。しかし、日本の農水省も厚生労働省も残留農薬や禁止農薬が使われていないかどうかはキチンと調べてほしいと思います。また、中国産野菜は体の為には買わないことです。外食は止めようがありませんが。前にも書きましたが、小生が上海に駐在していた時に、銀行支店長から言われたことは「錦(日式?)農園以外は買わないように。全部農薬塗れだから」でした。くれぐれも中国産野菜には注意しましょう。

記事

鍾南山は長年にわたって中国における残留農薬の危険性を訴えているが…(写真:AP/アフロ)

6月9日、中国のポータルサイト“捜狐(SOHU.com)に『“浸泡在農薬里的中国人(農薬の中に浸る中国人)”』と題する記事が掲載され、ネットユーザーたちの間に大きな反響を巻き起こした。中国では農作物に農薬が過剰に使われていることは周知の事実で、庶民は収穫後の農産物に含まれる残留農薬による健康被害を懸念している。そうした前提の下で敢えて掲載された当該記事の概要は以下の通り。

世界最大の農薬製造商であり輸出商

【1】各種病虫害を予防・駆除し、農作物の収穫量を増大させるため、農薬は農業生産活動の中で広範囲に応用されている。多くの人々の生活は田畑から遠く離れているが、農薬はすでに各種の方法を通じてひそかに我々の日常生活の中に浸透している。農薬をその効果に基づいて区分けすると、除草剤、殺虫剤、殺鼠剤、殺菌剤などに分類される。全世界の農業生産で毎年必要とされる農薬量は350万トンであり、そのうち、中国、米国、アルゼンチンの3国で70%を占め、中国だけで世界の農薬使用総量の半分を占めている。2014年における中国の農薬使用量は180.69万トンであった。

【2】2013年8月16日発行の科学週刊誌「Science」の特集記事『Pesticide Planet』によれば、2005~2009年のデータに基づいて推計すると、耕地1ヘクタール(ha)当たりの農薬使用量が、米国は2.2kg、フランスは2.9kg、英国は3.0kgであったのに対して、中国は10.3kgで、米国の4.7倍だった<注1>。過去20年間に、米国とドイツの農薬使用量は比較的安定しているが、英国、フランス、日本、イタリア、ベトナムの各国は農薬使用量をそれぞれ44%、38%、32%、26%、24%削減した。これに対して、中国の農薬使用量は過去20年間に136.1%増加した。

<注1>同記事の表によれば、農薬使用量は、日本:13.1kg、ニュージーランド:9.5kg、コロンビア:15.3kg、最大のバハマは59.4kgとなっている。従い、10.3kgの中国が最大ではない。

【3】中国の農薬使用量は、1991年には76.53万トンに過ぎなかったが、1999年には132.16万トンとなり、2014年には180.69万トンとなった。また、中国は農薬の大部分を自給自足しており、現在国内には2000社以上の農薬生産企業がある。化学農薬の有効成分である“原約(原体)”の生産量は、1998年に55.9万トンであったものが、2014年には374.4万トンになり、2015年には374万トンになった。これから分かるように、中国は世界最大の農薬製造商であり、同時に輸出商でもある。また、中国は毎年少量の農薬を輸入しているが、その量は2014年が9.25万トン、2015年が9万トンであった。

【4】それでは中国の一級行政区(省・自治区・直轄市)の中で農薬の使用量が多いのはどこなのか。中国政府“国家統計局”の「一級行政区別農薬使用総量(2014年)」で1~10位を見ると下表の通り。

一級行政区別農薬使用総量(2014年)

(出所)中国・国家統計局データ

【5】こんなに多くの農薬が健康にどのような影響を与えるのか。中国政府“農業部”の公表データによれば、2015年の「農薬有効利用率」はわずか36.6%であり、残りの63.4%の農薬は様々な形で動植物、水、土壌、大気および人々の健康に影響を及ぼしている。葉物野菜について言えば、根部は農薬が最も多く、次が茎部で、葉と果実がそれに続く。国際環境NGOの“緑色平和組(グリーンピース)”の報告書が示すように、2016年に多くの大型スーパーマーケットが販売したきれいに包装された野菜からは、国家禁止農薬である“克百威(カルボフラン=Carbofuran)”と“氟虫腈(フィプロニル=Fipronil)”が検出された。前者は人類の生殖と発育に影響を与えるし、後者は人体の甲状腺、肝臓や腎臓に対して高い毒性を持つだけでなく、人体に蓄積される。

【6】グリーピースが図示している『農薬の旅の道のり』によれば、農作業で散布された農薬は、土壌に浸透して植物に吸収されるだけでなく、水源を汚染し、そこから流れ出た汚染された水が魚介類に影響を与える。さらに、散布された農薬は蒸発によって大気を汚染し、汚染された大気が雨となって降ることで、地上の動植物に影響を与える。また、汚染された大気の中で生きる昆虫や動物にも影響を与える。農薬の使用者は、農薬の使用技術、農薬の過剰使用、禁止農薬や使用制限農薬の使用などの行為が環境中における農薬の残留を増大させることを重視しておらず、農薬の有効利用率の向上は一刻も猶予できない状況にある。

食べたいなら食べればよい

上述の記事のコメント欄には多数のネットユーザーが意見を書き込んだが、その代表的な例を紹介すると以下の通り。

(A)耕地が配分されて、個々の農民が農業を営む“小農経済”を管理・監督することはできない。農民は自分たちが食べる野菜や穀類には農薬を少量しか使わないが、市場へ売りに出す農産物には懸命に農薬を散布する。彼らは農薬によって他人である消費者が健康被害を受けることなど全く気にしていない。

(B)子供の頃、お腹には回虫が多くいて、薬屋で最も売れたのは俗に“宝塔糖”と呼ぶ“殺虫薬(駆虫薬)”だった。あれから数十年が経過したが、まだ覚えている人はいるだろうか。今もお腹にはまだ虫がいる。食糧、野菜、果物、豚肉、鶏肉などの中で、殺虫薬が不要なものがあるだろうか。もし農薬が使えなくなったら、安心して食べられるものがなくなってしまう。

(C)農薬で汚染されていようが、食べたいなら食べれば良い、全て自業自得なのだから。農薬を使わない野菜は誰も買わないが、農薬を使った野菜は争って買う。農薬を使っていない野菜は見た目が悪いだけでなく、虫もいる。農薬を使った野菜はきれいで虫もいない。虫がいて見た目も悪い野菜を誰が買うものか。“吃緑色(環境を食べる)”というスローガンを叫ぶあんたは、見た目がきれいで虫がいない野菜を食べないとでもいうのか。

ところで、中国には“鐘南山”という著名な医師がいる。現在80歳の鐘南山は江蘇省“南京市”で1936年10月に生まれた。1960年に“北京医学院”を卒業した彼は、1979年に英国は留学し、1981年にエジンバラ大学で医学博士号を取得して帰国した。鍾南山は1996年には“中国工程院”の“院士(アカデミー会員)”に選出された。彼は呼吸器疾患の専門家で、2003年に中国で重症急性呼吸器症候群(SARS)が流行した際に、広東省“広州医学院”院長として広東省におけるSARS予防・治療チームの責任者として活躍した。

ガンを引き起こし、精子を減少させ…

その鐘南山は長年にわたって残留農薬の危険性を訴え、このまま残留農薬を野放しにすれば、50年後に中国人は子供を産めなくなると提起している。その根拠となるのは以下の理由からである。

【1】中国で農薬を大規模に使用するようになってからすでに20年以上が経過した。中国の野菜に残留する農薬は国家基準を22.15%上回り、一部の地区では国家基準を80%上回っている。米国環境保護局(EPA)は、92種以上の農薬、90%以上の殺虫剤ががんを引き起こすことを実証している。残留農薬の害毒は、がん、先天性奇形児、ダウン症、両性具有児、神経系統失調、心脳血管疾病、消化器疾病などを引き起こしており、それらは中国国内の至る所で目にすることができる。

【2】中国では夫婦8組のうちの1組は不妊であり、この比率は20年前に比べて3%高くなっている。中国男性の精液1ccに含まれる平均精子数はわずか2000万個前後だが、1940年代の平均精子数は6000万個以上であった。この精子減少の主因の一つが残留農薬である。世界保健機関(WHO)が男性側の受精限界としている数値は、精液量が2cc以上、精子数が1cc当たり2000万個以上、PHは7.2~8.0などであるから、中国男性の平均精子数はすでに受精限界にあり、平均精子数がこれ以上減少すれば、不妊の夫婦数は大幅に増大する。従い、このまま残留農薬を野放しにして、抑制する方策を採らないのであれば、50年後に中国人は子供を産めなくなるという鐘南山の予測は正しいものとなりかねない。

「次の世代」に深刻な影響

【3】残留農薬が妊婦の流産、死産や胎児の奇形を引き起こしていることは、世界が認めている。多くの統計が、妊娠期間中に農薬に触れた女性に流産、死産、先天性奇形の発生率が顕著に増大していることを示している。農薬は先天性奇形やダウン症などの構造や機能の異常を引き起こす。深刻な場合は、胎児の発育停止、流産、早産、死産を発生させる。また、児童の成長発育期には、彼らの急速に成長する細胞は容易に農薬の影響を受けやすい。目下、新生児の奇形率は5%を上回っており、全国で毎年生まれる奇形児の総数はすでに100万人を超えている。「新華社」の報道によれば、重慶市だけで毎年700人以上の新生児に尿道下裂があり、外性器は女性に似て、生殖器の両性奇形を示している。彼らは成人後に性機能と生殖能力を喪失する可能性が高いが、全国では毎年このような尿道下裂の新生児が20万人近く誕生している。また、農村における小児白血病患者の40~50%は、その発病の誘因や直接原因が農薬に含まれる化学物質であることは、多くの調査資料で判明している。

【4】有機塩素系農薬が主として作用する器官は大脳の中核となる神経系統で、脳や智力の異常を引き起こし、反応遅滞、智力低下、無表情などの症状を呈するようになる。人間の細胞中の有機塩素農薬の濃度が体重1kg当たり100万分の3gになると、大脳の発育を促進する蛋白質の合成作用が完全に停止し、大脳は発育しなくなる。子供が有機塩素農薬に汚染されると、体重が軽くなり、頭が小さくなり、智力が低くなり、年齢が増すに従い智力の低下は激しくなる。

【5】環境ホルモンは世界が認める「人と生物の成長に異常を引き起こす元凶」である。現在までのところ、世界で確認されている環境ホルモン(内分泌かく乱物質)は70種類あり、そのうちの40種類が農薬で、農薬は環境ホルモン全体の60%を占めている。環境ホルモンは、子供の性早熟を引き起こしていると言われている。中国では女児の初潮は20年前には平均14歳前後であったが、今では10歳前後に早まっている。また、4歳の少女の乳房が成人並みに成熟したり、5歳で初潮を迎えたりする現象が全国各地で普遍的に発生している。性早熟は身体の早期成長をもたらすが、その半数以上は最終的な身長が150cmに満たない。

【6】成人が日常の食事で少量の残留農薬を体内に取り入れても、人間の身体はそれを分解可能なので、突然に急性中毒を引き起こすことはない。但し、残留農薬を含む農産物を十分に洗わずに長期間食用すれば、必然的に健康に重大な危険を及ぼすことになる。その主なものは、免疫力の低下、がんの発生、肝硬変や肝腫大などの肝臓病変、胃腸疾病などである。

2017年5月28日付のニュースサイト“毎日頭條”は「果物・野菜に含まれる残留農薬が人々の生命に危害を及ぼすが、我々はどうしたらよいのか」と題する記事を掲載した。その概要は以下の通り。

近年、農産物の残留農薬による中毒事件と輸出検査で差し止めとなり罰金を受ける事件が頻発している。関係資料によれば、全国で発生する農薬による急性中毒は年平均で10万件以上に上っている。具体的には次の通り。

2011年:中国政府“衛生部”が受領した残留農薬による食物中毒報告は981件で、中毒者5万5715人、死亡846人。

2013年:衛生部が「中国疾病予防抑制センター」のインターネットシステムを通じて受領した残留農薬関連の食物中毒報告は、全国で1296件、中毒者7万8063人、死亡1096人、100人以上の食物中毒事件は27件だった。

2015年:「国家衛生・計画出産委員会」(旧・衛生部)は9月12日付で、「8月だけで、全国で残留農薬関連の突発性公共衛生事件は230件、中毒者8929人、死亡124人」と発表した。

国家基準で抑制するが…

中国は2005年に国家基準を制定して、食品中の残留農薬制限量を明確に規定した。その後、2006年に『農産物品質安全法』、2007年に『農薬管理規定』、2009年に『食品安全法』を公布し、2010年に「残留農薬基準審議委員会」を設置して残留農薬の抑制に努めている。

国家基準は79種類の農薬について32種類の“農副産品(農産物と副業性産物)”に対する残留農薬制限量を規定している。しかし、農民の農薬や国家基準に対する知識不足、さらには悪徳商人による禁止農薬や制限農薬の違法販売が横行しており、収穫量を増やしてカネを稼ぎたい農民たちは、禁止農薬や制限農薬などを気にすることなく、増収だけを念頭に農薬を過剰に散布するのである。そこには残留農薬の危険性などは考慮の外にある。

筆者の友人でもある日本を代表する中国農業の専門家は、かつて中国最大のニンニク産地である山東省“済寧市”の“金郷県”を訪れた時のことを語ってくれたが、過剰な農薬散布が行われた結果、ニンニクの茎や葉が白色の農薬で覆われていて、驚くと同時に、中国産のニンニクはできるだけ食べないようにしようと思ったとのことだった。「かつて」が何年前かはうっかりして聞き忘れたが、輸出商品であるニンニクに過剰な農薬散布が今なお行われているとは思えない。しかし、中国では残留農薬の危険性が解消されることなく、依然として存続していることは事実だろう。だからこそ、上述した「農薬の中に浸かる中国人」の記事に人々は大きく反応したのだろうが、残留農薬の危険性を抜本から改善できなければ、鐘南山が予測しているように、残留農薬の影響を受けて、50年後に中国人は子孫を残せなくなる可能性があるのだ。

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『「THAAD封鎖」でいよいよ米国を怒らせた韓国 文在寅の「反米」にトランプは即刻、反応した』、『「米韓合同演習」を北に差し出した韓国 文在寅は中朝と組んでトランプに対抗』(6/22・23日経ビジネスオンライン 鈴置高史)について

6/23日経米中安保対話すれ違い 北朝鮮など懸案進展せず 

【ワシントン=永井央紀、永沢毅】米中両政府は21日、初の外交・安全保障対話を開いた。双方が主張を譲らず、すれ違いで終わった。北朝鮮の核・ミサイル問題などの懸案で進展を示せず、共同文書もまとめられなかった。「結果重視」を掲げるトランプ米政権は7月、ドイツでの20カ国・地域(G20)首脳会議にあわせた米中首脳会談で中国の協力を引き出したいが、溝の深さが改めて鮮明になっている。

 「協力関係を深め、双方の立場の違いを埋めるためには不十分だった」。ティラーソン国務長官は21日の記者会見で今回の対話について率直に認めた。従来の米中戦略・経済対話では通例だった両政府の閣僚による共同記者会見は開かず、共同文書の発表も見送った。その事実が両国の隔たりを如実に示している。

 トランプ大統領は対話前日の20日、北朝鮮問題への中国の取り組みについて「うまくいっていない」と不満を表明した。「中国は経済的、外交的圧力をさらに強める責任がある」。ティラーソン氏も会見でこう強調し、中国に1段階上の対応を迫った。

 中国の反応は冷ややかだった。中国外務省の報道官は22日の記者会見で「解決の鍵は中国にはない」と指摘。米国側が合意したと発表した「国連決議で制裁対象になっている北朝鮮企業との取引中止」も、中国側の発表には具体的な言及がない。米中が明確に一致したのは朝鮮半島の非核化や国連決議の履行などだけで、従来と変わらない。南シナ海問題の議論も平行線のままだった。

 ただ、米中両国ともに協調関係には配慮を見せた。トランプ氏は北朝鮮問題の解決には中国の協力が必要と考えている。今秋に5年に一度の共産党大会を控える中国も、米国との摩擦は顕在化させたくない。双方はトランプ氏による年後半の公式訪中を再確認し、軍同士の信頼醸成やテロ対策での協力などに触れることで関係を取り繕った。

 今後は7月の首脳会談が焦点になる。米中は4月の首脳会談で、貿易不均衡を是正するために「100日計画」をつくることで合意した。米政府高官は経済と北朝鮮の問題には一定の関係があるとする。中国の協力によって北朝鮮問題で満足できる進展があれば、米国は経済問題で中国に厳しい対応を求めない。100日目にあたる7月中旬までに成果を出すよう中国に迫っている。

 米国は北朝鮮と取引する中国企業への独自制裁をちらつかせて中国の協力を引き出す構え。中国は、国連制裁の厳格な履行や北朝鮮労働者の雇用制限など事実上の独自制裁で一定の協力を示し、米国をかわしたい。

 米国には「北朝鮮問題で成果が出なければ、今の米中協調は壊れる」との見方も根強い。習近平国家主席は北朝鮮問題の溝を米中関係全体に波及させたくない。米中はどこまで歩み寄るか難しいかじ取りを迫られる。>(以上)

トランプも中国に騙されているのにいい加減気が付かないと。中韓北の特亜3国は「騙す方が賢い」という基本的価値観で動いています。北の核開発に米国は騙され続けてきました。その動きをサポートしてきたのは紛れもなく中国です。アメリカは中国にも騙され続けてきたという事です。暴れん坊の役を北にやらせ、中国は宥め役or抑え役を演じてきました。文在寅が考えている「いい警官・悪い警官」の構図そのものです。この地域に住む者は発想が似るという事でしょう。

7月中旬には100日目を迎えますから、それまでに中国が北を押さえつけない限り、米国は中国にも経済的な締め付けをするよう、ライトハイザーのUSTRは待っているのでは。しかし、北は何もしなくても開発は続けられます。時間の利益を与えないように、中国にも厳しい締め付けをした方が良いでしょう。北はワームビアさんの件もあり、テロリスト支援国家に再指定されるでしょうから、金融制裁、北と取引のある中国企業の決済は$ではできなくするようにすれば良いと思います。そうすれば人民元以外の通貨での取引もできなくなります。

http://www.huffingtonpost.jp/2017/06/21/north-korea_n_17250144.html

韓国は大統領が日本から金を引き出すのが当然というか、能力のある大統領の評価を受けることができると呉善花氏は言っていました。日本が今まで甘やかしてきたからつけ上がって世界にないことないこと触れ回ってきたのです。米国にも所謂慰安婦像なるものを建ててきました。やっと米国も韓国の言う事が嘘と分かってくるのでは。日本に少しでも関心がある米国人なら、2014年の朝日新聞の謝罪で韓国の言ってきたことは嘘と分かるはずです。朝日は日本でだけしか発信していませんが。米国は気づいていても、日本に力を持たせないorFDRや原爆投下の正当性の否定や朝鮮戦争時の基地村の存在に繋がることを恐れて像の建立を放置してきたきらいがあります。まあ、中国と韓国はハニトラと賄賂の得意な国ですから引っかかっているのが米国内に沢山いるのかも知れませんが。

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THAAD配備に反対する住民が配備エリア入口付近で座り込み。後方には警察官が居並ぶ(写真:ロイター/アフロ )

前回から読む)

 文在寅(ムン・ジェイン)政権が米国を裏切る。それも北朝鮮の核問題という、トランプ(Donald Trump)政権が今、もっとも神経を尖らす問題で。

「韓国」でトランプが緊急会議

鈴置:米国が韓国に対し怒り出しました。6月8日の会見で、国務省のナウアート(Heather Nauert)報道官が「(同日)トランプ大統領とティラーソン(Rex Tillerson)国務長官、マチス(James Mattis)国防長官が大統領執務室で朝鮮半島と湾岸で進行中の事態に関し話し合った」と語りました(「Department Press Briefing-June 8, 2017」)。

 「湾岸」とは、サウジアラビアなどによるカタール断交を指します。米国も巻き込む中東の大混乱が懸念される事件です。トランプ大統領は「朝鮮半島」を「中東」と並ぶ、あるいはそれ以上の緊急事態として扱ったのです。

THAAD配備には2年かかる

—「朝鮮半島」の危機は続いています。なぜこの日、大統領が会議を招集したのですか?

鈴置:6月8日朝(米国東部時間7日夕)、北朝鮮が地対艦ミサイル数発を発射しました。というのに、韓国ではその前日の6月7日に青瓦台(大統領府)関係者が、環境影響評価を理由にTHAAD(地上配備型ミサイル迎撃システム)配備には2年間ほどかかるとの見通しを明かしました。

 中央日報の「青瓦台がTHAADは至急ではないと言った翌日、北が巡航ミサイル発射」(6月9日、日本語版)によると、具体的な発言は以下です。

北朝鮮の核実験とミサイル発射はかなり以前から行われてきた。環境影響評価を省略するほど緊急を要する事案ではない。

 米朝の軍事的対立が深まっている時に、在韓米軍と韓国を守るためのTHAAD配備を遅らせようと韓国が画策していることが明らかになったのです。もちろん米国でも重大ニュースとして速報されました。

汚い言葉で罵る

 6月8日の会見で「配備を遅らす韓国に対し米国は失望したか?」との質問に対し、ナウアート報道官は「そこまではっきり言うつもりはないが、米国にとって極めて重要な問題だ。この配備は同盟国同士が決めたのだ」と答えました。「それでも同盟国か」と韓国をなじったのです。

 原文を先の「Department Press Briefing-June 8, 2017」から引用します。

I don’t want to characterize it as that, but that’s something that is incredibly important to the U.S. Government. This is a conversation that’s taken place at the highest level.

we would continue to say that THAAD was an alliance decision at the time, and we continue to work closely with the ROK throughout the process.

 中央日報の金玄基(キム・ヒョンギ)ワシントン総局長は「青瓦台の『THAAD搬入は知らなかった』との主張を嘘と疑うホワイトハウス」(6月19日、韓国語版)で「トランプの激怒」を報じています。

8日昼、ホワイトハウスの執務室で「THAAD配置遅延」を報告するティラーソン国務長官、マチス国防長官、マクマスター(Herbert MacMaster)大統領補佐官(国家安全保障担当)にトランプ大統領は火のように怒った。消息筋によると「汚い言葉も多く使った」という。

WSJ「韓国の大失態」

—米メディアはどう反応しましたか?

鈴置:韓国の裏切りを厳しく批判しました。WSJ(ウォール・ストリート・ジャーナル)は6月12日「South Korea’s Defense Blunder」――「韓国の防衛上の大失態」という見出しの社説を掲げました。

 ワキ見出しは「THAADに関し新大統領は中国の圧力に屈した」(The new President bows to Chinese pressure o missile defense )です。以下が前文とその邦訳です。

Moon Jae-in’s decision to suspend deployment of a missile-defense system last week signals how the new South Korean President will approach the threat from North Korea as well as relations with the U.S., China and Japan. Like his center-left predecessors, Mr. Moon wants to play a balancing role between the regional powers and convince North Korea to negotiate an entente. This naivete puts South Korea’s security in peril.

文在寅大統領のTHAAD配備延期は韓国の新政権が北朝鮮の脅威にどう対するのか、米中日との関係をどうするのかを示した。

文氏は彼の中道左派の前任者と同様、地域の大国の間を「バランス外交」で立ち回り、北朝鮮とは協商を図るつもりだ。この鈍感さは韓国を安全保障上の危機に追いやるだろう。

—中道左派の前任者」とは?

鈴置:盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領のことです。盧武鉉政権(2003―2008年)は北朝鮮との融和を第1に掲げる民族主義的な路線を打ち出し、ことあるごとに米国と衝突しました。

 当時、駐米大使だった国際政治学者の韓昇洲(ハン・スンジュ)氏によると、民族主義的で反米的な大統領の参謀たちを米政界は「韓国のタリバン」と呼んでいたそうです(「文在寅は『五面楚歌』から脱出できるか」参照)。

 文在寅氏は盧武鉉氏の親友で、政治的な盟友でもありました。盧武鉉政権では秘書室長など要職を務めましたから、米国は新政権を「盧武鉉 シーズン2」と警戒していました。そこに「配備延期」。米国とすれば「やはりそう来たか」といった感じでしょう。

  • 米国が神経を尖らす文在寅の「離米従中親北」公約 ・早期の南北首脳会談 ・在韓米軍へのTHAAD配備の見直し ・開城工業団地と金剛山観光の再開 ・戦時作戦統制権の返還 ・日韓慰安婦合意の破棄または再交渉

在韓米軍撤収の名分に

—「韓国が追いやられる安保上の危機」とは?

鈴置:「在韓米軍撤収」を指すのは間違いありません。WSJの社説は結論部分でもう一度、韓国に警告を発しました。

Mr. Moon still has time to fix his mistake before he meets President Trump in Washington later this month. Environmental assessments can and should be waived when national security is at stake. If Thaad doesn’t satisfy that requirement, it’s hard to imagine what does.

 6月末の米韓首脳会談までに文在寅は誤りを正せ。環境影響評価などというものは国の安全がかかる時には辞めることもできるし、そうすべきだ。もし、THAADが機能しないのなら、どんな結果となるか、想像するのは難しくない――です。

—確かに、米軍兵士を後ろから撃つような国に軍は置いておけませんね。

鈴置:米国の朝鮮半島専門家であるスナイダー(Scott Snyder)外交問題評議会(CFR)シニア・フェローは「The Holt of South Korea’s THAAD Deployment」で明確に在韓米軍撤収に言及しました。

もし、韓国政府が米軍を守る手段を妨害するとの認識が広がれば、米軍が韓国に関与することへの米国の世論の支持は急速に消え失せる。それはトランプ大統領に対し在韓米軍撤収の名分を与えることになりかねない。

左派が米軍基地を「封鎖」

鈴置:韓国の保守系メディアは「トランプの怒り」に震え上がり、「米韓同盟を壊すつもりか」と文在寅政権を非難しました。朝鮮日報はさらなる「不都合な真実」も暴露しました。

 6月8日付の「最近、北朝鮮が弾道ミサイルを撃った時、THAADは油がなくて動かせなかった」(韓国語版)で、THAADが配備されている慶尚北道・星州(ソンジュ)の米軍基地を左派の運動団体が封鎖し、米軍車両による石油の搬入を阻止していると報じたのです。

 星州には強力なレーダーと射撃管制装置、それに2本の発射筒が配備済みです。本来、THAADは6本の発射筒を備えるものですが、残り4本は韓国には持ち込まれたものの星州の基地には運び込まれていません。

 左派が物理的に阻止しているうえ、先ほど説明したように韓国政府が環境影響評価を理由に配備拒否の構えを見せているからです。

 ただ、星州基地のTHAADは発射筒が2本という不完全な形ながら機能していると見られていましたが、そうではなかったというのです。

 THAADの強力なレーダーには大量の電力が要ります。米軍は韓国の民間会社から購入する計画ですが、左派の反対運動で高圧線工事ができず、非常用の自家発電装置でまかなっていた。

 しかし基地が「封鎖」されたため、陸路ではレーダーを動かす石油を運び込めず、ヘリコプターで空輸していた。

 でも、運べる量は知れていてフル稼働できない。何と、北が弾道ミサイルを撃った5月21日も動かせなかった――と朝鮮日報は報じたのです。これではTHAAD配備の意味がありません。

 米国の大物議員が「韓国がTHAAD配備を望まないなら、他の場所で使う」と文在寅大統領に抗議したのも当然です(「『第2次朝鮮戦争』を前に日米を裏切る韓国」参照)。

怒りに油注ぐ文在寅政権

—韓国の警察は左派の石油搬入阻止を許しているのですか?

鈴置:その通りです。朝鮮日報の社説「星州と議政府で繰り広げられるとんでもない光景」(6月13日、韓国語版)は「韓国を守るTHAADへの妄動を政府と警察が放置する」と嘆きました。

—それでは米国の大統領や議員が怒ります。

鈴置:というのに、文在寅大統領は米国の怒りに油を注ぎました。

(次回に続く)=6月23日掲載予定

6/23記事

韓国政府筋が「米韓合同軍事演習の縮小」に言及する中、米国は戦略爆撃機「B-1B」を韓国に派遣。文在寅政権への怒りを示したと韓国では見られている(写真:YONHAP NEWS/アフロ 2016年9月撮影)

前回から読む)

 米韓の対立は深まるばかりだ。同盟がいつまで持つのか分からない。

「挑発中断なら無条件で対話」

前回は文在寅(ムン・ジェイン)大統領がトランプ(Donald Trump)大統領の怒りに油を注いだという話で終わりました。

鈴置:在韓米軍に配備されたTHAAD(地上配備型ミサイル迎撃システム)を韓国は「封鎖」しています。当然、米国は怒り心頭に発しました。

 それに加え、文在寅大統領は6月15日にソウル市内で開かれた南北首脳会談の開催17周年を記念する式典で演説し、北朝鮮に次のように呼び掛けたのです。

北が核とミサイルの追加挑発を中断すれば、北と条件なく対話に臨めることを明確にする。

膝を突き合わせ、どのように従来の南北合意を履行するか協議する意思がある。核の完全な放棄や朝鮮半島平和体制の構築、朝米関係の正常化まで包括的に議論できる。

条件切り下げて抜け駆け

 北朝鮮のミサイル実験の直後に、文在寅大統領が「核・ミサイル実験を中断すれば対話できる」との趣旨で発言したことはありました(「北朝鮮のミサイル発射が増幅する米韓の不協和音」参照)。しかし、北朝鮮に「実験を停止すれば対話する」と正式に呼び掛けたのは初めてです。

 米国は驚きました。トランプ政権は北朝鮮との対話を始める条件として「核・ミサイル開発の完全で検証可能な停止」つまり「廃棄」を要求してきました。

 文在寅大統領が言うように「核・ミサイル実験の中断」だけ、つまり「凍結」を交換条件にすると、北朝鮮に核開発の時間を稼がれてしまう可能性が大きいからです。実験を「凍結」しても、開発は続けられますからね。

 そもそも「凍結」を交渉条件に掲げていたのは北朝鮮。これに中国も賛同し、米国にも乗るよう勧めています(「韓国を無視して『パンドラの箱』を開ける米国」参照)。今回、それに韓国が加わったのです。

 交渉事ですから今後、米朝が「凍結」で手を打つ可能性が全くないわけではありません。しかし今現在は、米国は「廃棄」を条件に掲げ、全力で北朝鮮に圧力をかけているのです。その米国を韓国は裏切ったのです。抜け駆けです。

「火に油」第2弾

—韓国が中朝側に回り、米国を孤立させる……。

鈴置:その通りです。米政府が運営するVOA(Voice of America)はさっそく翌6月16日「米国務省は『北が非核化してこそ対話』」(韓国語版)という記事で韓国にクギを刺しました。

 ナウアート(Heather Nauert)報道官の6月15日の定例ブリーフでの発言を引用しています。以下が前文です。

米国務省は北朝鮮の非核化を対話の前提条件とすると重ねて提示した。「挑発を中断すれば、条件なしに対話する」との文在寅大統領との発言とは異なると示唆した。

—韓国政府は軌道修正したのですか?

鈴置:いいえ。それどころか文在寅政権は、米国の怒りにもう一段の油を注ぐ挙に出ました。大統領の統一外交安保特別補佐官である文正仁(ムン・ジョンイン)延世大学特認名誉教授が米国を訪れ、具体的な「凍結案」を主張したのです。それも、現在北朝鮮にかけている軍事的圧力を弱める融和策です。

 6月16日にワシントンDCで開かれたセミナーと、それに続く韓国メディアの特派員懇談会で語りました。朝鮮日報の「文正仁『THAADのために韓米同盟が壊れるなら、それが同盟か』」(6月17日、韓国語版)から、同氏の発言を引用します。

北朝鮮が核・ミサイル活動を中断すれば、米国との協議を通じて韓米合同軍事演習を縮小できる。朝鮮半島に展開する米国の戦略的資産の配置も縮小できる。

「米韓の差」が鮮明に

—「戦略的資産」とは?

鈴置:米国の空母や戦略爆撃機を指します。それらを「縮小」すれば、北朝鮮は米国から受ける軍事的な圧迫を大いに減らすことができます。

 その戦略爆撃機「B-1B」2機が6月20日、グアムから韓国に飛来し、韓国空軍機と合同訓練を実施しました。異例だったのは米軍が飛来と同時に、その事実を公開したことです。20日の訓練の写真付きです。

 朝鮮日報は「文正仁発言受けたのか……在韓米軍司令官が『B-1Bの出撃を積極的に知らしめよ』」(6月21日、韓国語版)で「文正仁発言に対する米軍の怒り」を次のように報じました。

軍事筋によると、ブルックス(Vincent Brooks)在韓米軍司令官自身が「B-1B」展開の事実を積極的に広報せよと指示した。

「文正仁発言とは関係なく戦略的資産を投入する」との米国の意思を明確にしたもの、と関係者は見ている。

—文正仁氏は米韓合同演習の規模縮小まで言い出しましたね。

鈴置:もちろん、これも軍事的な圧力を弱める融和策です。北朝鮮が一貫して「演習中止」を求めているので、これを「ニンジン」にすれば対話に応じると文正仁氏は言いたいのでしょう。

 しかし文正仁発言により、軍事的な威嚇で北朝鮮を対話に引き出そうとする米国との姿勢の差がますます鮮明となりました。この米韓ギャップを突くことで、中国や北朝鮮が時間稼ぎに出る可能性もあります。米国や日本が実施してきた核放棄圧力を台無しにしかねません。

VOA、「タリバン」に反撃

—米国政府は文正仁氏の「合同演習縮小」発言にどう対応しましたか?

鈴置:これにもVOAが直ちに反撃しました。「国務省『文正仁の軍事訓練縮小発言は韓国政府の政策ではないだろう』」(6月18日、韓国語版)です。

 見出しは国務省のエドワーズ(Alicia Edwards)東アジア担当報道官の発言からとっています。VOAの質問に答えたものです。次がポイントです。

We understand these views are the personal views of Mr. Moon and may not reflect official ROK Government policy. I refer you to the ROK Government.

 要は、文正仁発言はあくまで個人的な意見に過ぎず、韓国政府とは関係ないんだろ。もしそうでなかったら、大変なことになるぞ。韓国政府は今すぐに訂正したらどうだ――との威嚇です。

 なお、文正仁氏は統一・外交問題の専門家で金大中(キム・デジュン)政権(1998―2003年)以降の左派政権で参謀役を務めました。盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権(2003-2008年)では政府の委員会のトップも務めました。

 民族主義的で「反米親北」路線に突っ走った盧武鉉大統領。その参謀陣の一部を米政界は「韓国のタリバン」と呼びました(「文在寅は『五面楚歌』から脱出できるか」参照)。文正仁氏は米国から「タリバンの中心人物」と見られていると思います。

大統領も「文正仁発言」を支持

—文正仁発言は韓国政府と無関係なのですか?

鈴置:そんなことはあり得ません。大統領の特別補佐官なのです。経験豊富な国際政治学者ですから失言ではなく、反響を十二分に計算したうえでの発言でしょう。

 文在寅大統領は6月20日、米CBSのインタビューを受けました。この問題に関しては「彼(文正仁氏)がワシントンで語ったことは個人的な意見だ」と述べました。「Top 5 takeaway from S. Korean President’s Interview with Norah O’Donnell」(6月20日、英語)です。

what he mentioned in Washington was his personal view.

 しかし「北朝鮮をいかに対話に引き出すかには様々の意見がある」「トランプ大統領との会談でそれを話し合い、合意に至りたい」とも語りました。文正仁発言を事実上、支持したのです。

I believe that there can be many opinions on how we will draw North Korea out to dialogue.

I believe that when it comes to the detailed strategy and tactics on how we will achieve this, this will be ? have to be discussed and agreed upon during the summit meeting with President Trump.

いい警官、悪い警官

—なぜ大統領の周辺は6月末の首脳会談を前にして、米国との摩擦を引き起こす発言をするのでしょうか。

鈴置:韓国の発言力を増す狙いと思います。朝鮮日報の「青瓦台、文正仁特別補佐官に『韓米関係の助けにならない発言』」(6月20日、韓国語版)にも以下のくだりがあります。

文正仁氏は訪米前「米国に言うべきことは私が前に出て言う。ある種の『いい警官、悪い警官』の役割だ」と漏らしていたと消息通は語る。

 自分が過激な発言をして「悪い警官」を演じておけば、大統領が少々厳しいことを言っても、トランプの目には比較的「いい警官」に映るはずだ。そうすれば、THAADや対北政策を巡り激突が予想される米韓首脳会談を乗りれる――と計算したのでしょう。

小細工外交で存在を主張

—うまくいきますか?

鈴置:トランプ大統領が文在寅大統領を、いいにしろ悪いにしろ「警官」と見る保証はありません。むしろ「凶悪犯」の共犯者扱いする可能性の方が大きいと思います。日米からは、核武装に突き進む北朝鮮の「時間稼ぎ」を手伝っているように見えますから。

—韓国は小細工が好きですね。

鈴置:そうでもするしかないのでしょう。この政権は「米国の言いなり」と見られるのだけは避けたいのだと思います。

 文在寅大統領はワシントン・ポストのインタビューに答え「北朝鮮の核問題を解決するにあたって、韓国はより重要でより主体的な役割を果たさねばならない」と語っています。

 「South Korea’s new President: Trump and I have a common goal」(6月20日、英語)の冒頭に出てきます。以下です。

there is one thing I would like to stress: Korea should now play a larger and more leading role in this process. During the periods when South Korea played a more active role, the inter-Korean relationship was more peaceful and there was less tension between the United States and North Korea.

「韓国無視」と自嘲

 しかし、文在寅大統領の願いとは反対に韓国は、北朝鮮の核を巡る駆け引きで完全にカヤの外に置かれています。

 米国は、北朝鮮に経済的な圧力をかけてくれそうな中国とは頻繁に話し合う。軍事基地を提供し、後方支援してくれる日本の顔は立てる。しかし韓国にはろくに相談しません。

朝鮮半島を巡る米・中のカード

米国 中国
THAAD配備留保 従来より強い対北朝鮮制裁容認
米韓合同軍事演習の中断と一部制裁の解除 北朝鮮の核・ミサイル実験の中断
米朝平和協定(不可侵協定)の締結  ・米朝国交正常化  ・在韓米地上軍撤収  ・在韓米軍撤収  ・米韓同盟廃棄 北朝鮮の核兵器廃棄  ・核弾頭の増産中断  ・弾頭再突入技術の開発中断  ・弾頭小型化技術の開発中断  ・保有核兵器の全廃
「朝鮮半島の非核化・中立化」の制度的保障
 

注)左右の項目は必ずしも連動しない

 在韓米軍基地は北朝鮮に近すぎて使い勝手が悪いうえ、THAADの配備も邪魔するなど、韓国は信用できないからです(「『THAAD封鎖』でいよいよ米国を怒らせた韓国」参照)。この結果、韓国は北朝鮮からも交渉相手とは見なされない。

 そこで存在感を増すべく使い始めたのが「米韓合同演習の縮小」カードでしょう。これなら韓国にも発言力があるように見える。それをかざせば韓国を無視する米国と北朝鮮を振り向かせることができると考えたのでしょう。

 韓国紙には毎日のように「Korea Passing」(韓国無視)との自嘲的な単語が踊ります。北朝鮮の核問題には韓国人の死活的な利害がかかるというのに、自分たちは関与できないとの不満です。そんな中「韓国も駆け引きに参加する」ことになれば、政権は浮揚力を一気に増せます。

米韓同盟は要らない

—でもそんな小細工をすると、米国との関係が悪化しませんか。

鈴置:もちろん悪化します。米朝の軍事衝突が予想される中、同盟国の米国を裏切って中朝側に走るのですから。

この政権の中枢部には「韓国にとってもっとも重要な北との和合・統一を米国が邪魔している」と考える人たちが座っています。彼らにとって米韓同盟は邪魔なのです。文正仁氏は米国で以下のように発言しています。

THAAD問題が解決されなければ韓米同盟が壊れるとの見方があるが、そうだとするなら何たる同盟なのか。

 米国人は「THAADで言うことを聞かねば、在韓米軍を撤収する」と脅してくる。韓国を子分扱いして意見を聞かず、南北和解を阻害する同盟など願い下げだ。いつでも打ち切る――との思いの表出です。

マケインと会わなかった文在寅

 一連の「反米騒動」の中で、米上院軍事委員会委員長のマケイン(John McCain)議員と文在寅大統領の「会談消滅事件」が明るみに出ました。

 中央日報の社説「マケイン米上院議員の取りやめ、尋常ではない兆候だ」(6月16日、日本語版)によると、5月に青瓦台(大統領府)はマケイン議員から会談の要請を受けましたが、すぐには返答しませんでした。

 韓国側は1週間後に面談日を指定しましたが、マケイン議員から「その日には別件がある」と連絡があり、会談は不成立に終わったというのです。

 マケイン議員のような同盟国の安全保障の命綱を握る大物政治家との会談に、韓国の大統領が積極的に応じないのは前代未聞です。普通だったら要請を1週間も放置しません。

中国の顔色を見た?

 マケイン議員と会えば「米国ではなく北朝鮮に味方するのか」と問い詰められる可能性が大でした。会談を受けていいのか、大統領周辺は判断できなかったのだと疑う向きが多いのです。

 あるいは同議員が軍事問題の専門家であることから「米韓同盟強化を嫌う中国の顔色を見て、会談を事実上、拒否したのだろう」と言う人もいます。

 会談不発の原因について青瓦台は「事務的な問題」と説明していますが、米政界はそうは考えないでしょう。「やはり、第2のタリバン政権だ」と見なしたはずです。

 米国と韓国は激突します。これまでは前哨戦。6月29、30日の首脳会談が天王山です。

(次回に続く)

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『中国がパナマと国交樹立、その意味を考える トランプ迷走の中、台湾を追い込みつつ中南米攻略へ』(6/21日経ビジネスオンライン 福島香織)について

6/22日経中国ネット統制 波紋広がる 上級論説委員 飯野克彦

インターネットの安全を保障し、ネット空間の主権と国家の安全、社会の公共利益を擁護し、公民や法人その他の組織の合法的な利益を守り、社会と社会の情報化が健全に発展するのを促す……。

中国で1日に施行された「インターネット安全法」は、こんな文章で始まる。個人の権利や経済・社会秩序、そして国家の安全保障まで、幅広い課題に対する法律であることが伝わってくる。

ユニークなのは「ネット空間の主権」を守ると明記した点だ。国内法であえて「主権」を主張したのは、サイバーセキュリティーの問題を国際的な視点からとらえていることの表れだろう。実際、中国のネット統制の波紋は世界的な広がりを見せている。

同法については、中国に進出した外資が早くから懸念の声をあげてきた。たとえば、「大切な情報インフラの運営者」は個人情報や重要なデータを中国国内に保存しなくてはならず、海外に持ち出すには関係当局の定めに従わなくてはならない、との条項だ。「ビッグデータの持ち出しが禁じられるのでは」。こんな声が聞こえてくる。

実際にどんな影響が出るか現時点では未知数といえる。「大切な情報インフラの運営者」が何を指すのか、はっきりしないからだ。そうした不透明感こそが外資の不安を増幅している印象もある。

国際的な人権団体などからは、情報統制が一段と強まるのでは、といった声が出ている。中国では最近、政権に批判的な発言で知られる賀衛方・北京大学教授が、自分の公式アカウントを閉鎖されたことへの抗議としてソーシャルメディアでの「断筆」を宣言し、話題になった。

習近平国家主席ひきいる共産党政権は、異論を封殺しようとする姿勢をますます強めている。ネット安全法の施行は、賀教授への圧迫のような活動に対する法的根拠を改めて用意したことになろう。

波紋が及ぶのは中国の内側に限られない。米国で生まれ広がってきたサイバー空間のありようそのものが、影響を免れない。

情報が国境をも軽々と飛び越えて自由に流通できる世界的なインフラとしてのインターネットに、共産党政権は早くから警戒感を抱いてきた。1998年には公安省が「金盾工程」というプロジェクトに乗り出した。

これは国民の海外サイト閲覧を制限する「グレート・ファイア・ウオール」(防火長城)を含むネット統制の事業で、2006年に第1期の完了を宣言した。「自由」を核心とするインターネットを、中国は「統制」しつつ利用する道を選んだわけである。

今年はじめに防火長城の迂回が困難になるなど、ネット統制は「進化」している。そこに改めて明確な法的根拠を用意したのがネット安全法であり、同時に「金盾工程」などの成果が同法の実効性を高めているともいえる。

中国の取り組みは一部の国々、とりわけ独裁的な国々の指導者にとって魅力的なようだ。ジャーナリストの国際的な非政府組織(NGO)「国境なき記者団」は10年以上も前から、中国の技術がキューバなどに提供されている可能性を指摘してきた。法体系の整備も今後は協力のテーマになるのかもしれない。

日本など民主主義の国々にとって体制の維持を最優先する中国流は論外ではある。ただ参考にすべきことがないわけではない。たとえばネット安全法は、エネルギーや金融といった重要インフラを担う企業に、厳しい安全管理を義務づけている。ネットの安全に関する宣伝・教育の重視を明確に打ち出している。

サイバー空間の自由な情報の流通は、民主主義にとっても脅威となりうる。米大統領選を揺さぶったフェイク(偽)ニュース、ネットを利用したテロ組織の宣伝活動、個人攻撃やヘイトスピーチの拡散などを思い浮かべればいい。

その対策は中国のような独裁国家であればむしろ簡単といえる。情報の自由な流通を妨げず、それにともなう弊害を抑え込むにはどうしたらいいか。民主主義世界は、共産党政権よりも真剣に取り組む必要があるはずだ。>(以上)

表題の「トランプの迷走」というのは、トランプが当初蔡英文台湾総統に電話したり、一つの中国政策を見直すこともできると言った後、北朝鮮問題で中国を担いで取引しようとしていることを指すのではと思われます。6/22日経には「イバンカ・クシュナーに年内訪中を要請」という記事、6/22産経ビズ「米国、中国をWTO提訴へ 通商代表、不公正貿易で」という記事が載っていました。外形上はぶれているようにも見えます。ただ中国のやろうとしていることは、米国の国益(世界覇権)に挑戦してきていることが明らかです。それに気づかぬ米国人ではないでしょう。世界の人々にとって、米国の世界覇権と中国の世界覇権どちらが人類にとって良いかの選択の問題です。上記日経の記事にありますように、共産主義という人権抑圧する政治体制になれば人々に不幸を齎すのが見えています。ここは米国に頑張って貰って、北と中国と共産国を崩壊させてほしい。日本も相応の役割を果たしていかねば。

福島氏記事で面白く感じたのは、次の台湾総統になるのは蔡英文氏よりもっと独立志向が強く、より親日の度合いを明らかにしている頼清徳台南市長かも知れないという点でした。習近平の強引さが敵を作り、中国国内外で彼の思惑から離れた方へと動いて行っているのでは。下放時代の厳しさが彼の人生観を変えたのかもしれませんが。でも小島直記の『出世を急がぬ男たち』を思い出しました。習近平は作中の田中角栄のように転ぶ可能性があります。暗殺か失脚かは分かりませんが。

南シナ海の問題はASEANと台湾それに日本と米国の結びつきを強めるのでは。このままいけば南シナ海は中国の内海になり、海洋に眠る資源は皆中国のモノとなり、どこへ出るにも中国の許可が必要となります。少し考えれば分かること。今までは米国の覇権内にありましたので、領海・領土は保全でき、自由な航行も妨げて来られませんでした。ASEAN諸国を発奮させられるかどうかは偏に米国にかかっています。日本もヘリ空母「いずも」を南シナ海に派遣しています。

https://youtu.be/mPp4kQlFoTM?t=11

Japan Largest Warship To Be Deployed To South China Sea

ニカラグア運河で思い出したのは、満洲鉄道の並行線を張作霖が作ったことです。中国人は如何に約束を守らないか、日本人は歴史上からも見る必要があります。米国も裏庭の中南米を中国に荒らされて傍観しているだけではだめでしょう。パナマはノリエガ逮捕のようにいつでも侵攻できると思っているのかもしれませんが。台湾人の先生に聞いたところによると、パナマの台湾断交について「パナマ運河を支援してきたのは長栄(エバーグリーン)の張栄発氏。生きていれば、すぐにクレームを付けただろう」とのことでした。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%BA%80%E5%B7%9E%E5%9B%BD%E5%9B%BD%E6%9C%89%E9%89%84%E9%81%93

記事

中国とパナマが国交樹立。中国は中南米を飲み干せるのか(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

中国がパナマと国交を樹立した。すなわち台湾とパナマが断交したことになる。これは単に、台湾の国際生存空間が中国によって狭められた、という以上の意味があるのではないか、と思う。そのあたりをいろいろ推察してみたい。

パナマへの照準は毛沢東時代から

パナマは6月12日夜に中国との国交樹立を発表。「一つの中国」政策を支持し、台湾が中国の一部であるとして、これを受けて台湾と断交することになった。2016年12月には西アフリカの島国サントメ・プリンシペが中国との国交樹立とともに台湾と断交したのに続いて、台湾に蔡英文政権ができてから、台湾と正式国交を結ぶ国は二つ減った。残るはバチカン市国を含めてわずか20カ国。昨年は、中国がブルキナファソに多額の経済支援と引き換えに台湾断交を持ちかけていたことが、ブルキナファソの外務担当相に暴露されるなどしていたが、台湾と正式国交を持っていた国の中では、最も影響力の強かったパナマとの断交によって、他の小国もドミノ式に、台湾から中国に乗り換えていくのではないか、という声もある。

ちなみにパナマは、蔡英文が台湾総統に就任した後、最初の外遊先に選び、パナマ運河拡張工事の竣工式にも参加した。中華民国として107年の国交があり、パナマは台湾にとって最重要友好国としての待遇を受けてきた。経済援助も過去数十年にわたって累計十数億ドルに上るという。だが、パナマ運河利用国第二位である中国の方が、パナマ経済にとっては重要であるということだろう。パナマの対中ラブコールは今に始まったことではない。

中国としては、1964年当時、米国の支配下にあったパナマ運河地帯でパナマ学生がパナマ国旗を掲揚しようとして、暴行を受けたことから始まる市民暴動・国旗事件のころから、パナマへのアプローチを続けており、毛沢東はパナマの運河主権回復を支援するためのデモを指示したりもした。84年に香港返還を決めた中英連合声明が出されると、香港を窓口とした経済関係が強化され、香港に置かれる貿易事務所が事実上の大使館として機能することとなった。

このころ、台湾総統であった李登輝は巨額の援助を伴う札束外交攻勢によってパナマをつなぎとめていたが、2000年、陳水扁民進党政権になると、パナマ側は足元をみて外交関係維持をちらつかせて台湾に経済利益を要求するようになった。陳水扁政権の行った対パナマ経済援助は、かなりの部分が当時の女性大統領・モスコソの個人資産に入ったといわれるし、また陳水扁が機密費から彼女に巨額賄賂などを送ったことなどが、後に問題視されることとなった。

2004年にマルティン・トリホスが大統領になると中国と急接近、この時点で中国・パナマ間の国交樹立の方向への認識が共有されることとなった。だが2009年、いざパナマ側が中国との国交樹立を望んだとき、おりしも台湾は親中派の馬英九が総統。2011年にウィキリークスが暴露した駐パナマ米大使の外交電文によれば、中国側はこのパナマの申し出を拒否したという。馬英九のメンツを優先させたからだという。ちなみに、ロイター通信によれば、この当時、中国が外交関係樹立を持ちかけられて、馬英九政権のために拒否した国は五カ国に上るとか。

そういった経過を経て、今年のこの時期、中国とパナマの国交が樹立した背景には、①台湾内の反中意識の高まりによって蔡英文政権が発足した今、中国としては、台湾からパナマを奪うことで、蔡英文政権に思いっきり打撃を与えたい。②パナマ側の都合もある。2014年から深刻な経済悪化に見舞われたパナマ大統領、バレーラは中国との国交樹立準備を急いでいた。中国も地下鉄建設などを含む7.5億ドルの融資などパナマを積極的に支援した。③トランプ政権発足後、米国の対中南米、対台湾政策に、明確で安定した方向性が見えづらくなった。米国の影響を強く受けているパナマだが、今のタイミングは、中国にしてみればパナマを含め中南米に深く入り込む好機であり、パナマにしても台湾を軽視するきっかけになった、などの見方があがっている。

なりふり構わぬ外交圧力

パナマが中国との国交樹立を望むのは、単純に中国の経済力に期待してのことだろうが、中国の目的はかなり戦略的なものを感じる。

一般に、上記に挙げたうちの背景の中の①、つまり、中国が“敵”と見定める蔡英文政権を追い込むことが中国の最大の目的といわれている。確かに、そういう部分はある。基本的に反中的な民進党政権になるたびに、中国は台湾の国際社会における生存空間を狭めようと、台湾と国交を持つ国を、巨大な中国経済の影響力を武器に奪ってきた。陳水扁政権のときは、マケドニア、リベリア、ドミニカ、グレナダ、ナウル、セネガル、チャド、コスタリカ、マラウイが中国の“金銭外交”によって奪われた。馬英九政権のときは、胡錦涛政権は台湾を経済依存させることによる中台平和統一の実現に自信を持っていたので、馬英九のメンツを立てる形で、“台湾の生存空間を維持させてやった”のである。だが習近平政権になり、これまで水面下でひそやかに進展させていたはずの、中台統一への野望を一気に表面化させたことで、危機感に目覚めた台湾に蔡英文政権が登場した。こうなれば、中国は再び、なりふり構わず台湾への外交圧力をかけてくるわけだ。

ただ、蔡英文政権に圧力をかけても、今のところは台湾の国民党自体に、執政党になり得る実力や求心力がないので、国民党に対する追い風にはあまりなっていない。中国はWHO(世界保健機関)に総会(WHA)参加の招待状を台湾に送らないように圧力をかけたが、この事件にしても、むしろ台湾世論の蔡英文批判は「中国になめられている」という方向に流れる。もし、中国の圧力に弱腰の蔡英文政権がダメだと台湾有権者に判断されれば、おそらく次に登場するのは、民進党のより反中的な、例えば頼清徳(台南市長)あたりが総統候補として台頭してくるのではないか、と見られている。仮に彼が台湾総統になれば、おそらく、中国にとって蔡英文よりも扱いづらい相手となろう。

狙いは中南米への食い込み

なので、私はむしろ、中国にとってパナマとの国交樹立は上記に挙げた背景の③の部分、米国の裏庭であった中南米への食い込みの好機という意味合いの方が大きいような気がする。新華社が実に誇らしげに記事を配信している。

「中国遠洋海運集団(COSCO)の貨物船が夕日を浴びながら悠々と、パナマ運河を通過している。船長は鮮やかな五星紅旗を掲げ、船員とともに記念写真を撮り、中パ国交樹立を祝った…」

「船長は振り返る。以前はこの地方の人々は中国に対して理解も少なかった。中国の国力が増強するにつれて、多くの外国人が中国経済の奇跡を絶賛し、中国と中国文化への理解は日々増している」

「中国はすでに(米国に次いで)パナマ運河第二の顧客。中パ国交樹立後は、この世界の“黄金水道”を通って、五星紅旗がはためく中国貨物船が世界の隅々に向けて馳せ参じ、中国とラテンアメリカ地域の貿易往来をさらに一歩推進させることだろう」

「24年前にパナマにやってきた中国文化センター創始者の張雲懐は感動して語る。…『数年前までは、中国国旗はこの文化センターくらいにしかなかった。だが中パ国交樹立後は、五星紅旗は美しき“中国の夢”を乗せて、華僑華人の心の中からパナマの津々浦々、メーンストリートから小さな路地にまで広がっていくだろう』」

なんか、国交を樹立しただけなのに、まるでパナマを占領したかのような勝ち誇った口ぶりではないか。うがった見方かもしれないが、この新華社が配信するパナマ運河ルポには、ついに米国の裏庭で中国国旗を翻してやったぜ、というニュアンスを感じるのである。

米国によって建設され99年にパナマに返還されたパナマ運河というのは、中国から見れば、今なお米国の海運支配の歴史の象徴的存在。そして米国によってコロンビアから独立させられたパナマ自身、今なお米国の強い影響下に置かれる。習近平ファミリーを含む中国大物政治家ファミリーたちがパナマ経由の英領タックスヘイブンで不正な蓄財をしている可能性を暴露した「パナマ文書」が、実は中国やロシアをターゲットにした当時のオバマ政権の陰謀である、みたいな噂が出てくるのも、パナマと米国の緊密な関係が背景にあるからだろう。

不透明なニカラグア運河よりも

中国としては、この米国の影響力が強いパナマ運河に対抗すべく、香港企業を通じて2014年からニカラグア運河建設に巨額投資してきたのだ。ニカラグアも正式国交を結んでいるのは台湾だが、パナマと違って反米的で、中国としては与しやすい。ニカラグア運河ができれば、おそらくニカラグアと中国は国交を樹立、しかも、米国のお膝元で中国が管理するパナマ運河より巨大な、軍艦も悠々通れそうな運河が誕生するわけだから、その戦略的意義というのは、深く考えるまでもなかろう。運河沿岸は中国企業の管轄地となり、積み荷検査も中国自国が行う。そういう地域が中米にぽっかりできると、南米諸国に中国は、米国に干渉されずに、なんでも売り込むことができる。それこそ、南米武器市場を中国が奪うことも可能だろう。

ただ、今の中国の懐事情を考えると、一応2022年竣工をうたうニカラグア運河建設が本当に順調に進むのかどうかは、まだわからない。ニカラグア運河の竣工を待つより、パナマがその気ならば、パナマにおける中国のプレゼンスを強化する方が、話が早いともいえる。

ロイター通信(3月27日)によれば、パナマ運河管理当局は年内に、運河沿岸の1200ヘクタールに及ぶ土地の物流拠点建設プロジェクト(40年の土地使用権付き)の公開入札を行うが、すでに中国企業が水面下で当局者に接触しているとか。

トランプ外交の危うさと連動

中国の「走出去」(海外進出)戦略の本質は覇権拡大、なかでも海洋覇権に重きが置かれている。新シルクロード構想「一帯一路」戦略も、海のシルクロードにおける軍事利用も視野に置いた港湾建設など海洋インフラ建設の意義は大きい。COSCOがギリシャのピレウス港管理経営権を取得したことは一帯一路の欧州における海洋出口を押さえたという大きな戦略的意義があったが、そこから南米東海岸につながる国際海洋物流の極であるパナマ運河沿岸の土地を押さえる意味も、同等かそれ以上に大きい。中国はすかさず、パナマも「一帯一路」に参加するよう呼びかけ、パナマサイドも「パナマは一帯一路で重要な役割を負う」などと発言している。

こうした中国の一連の動きは、トランプ政権の中南米政策の変化や、対中政策、対台湾政策の定見のなさと連動している。トランプ外交は自国利益優先の駆け引き、ディール外交といわれていたが、今や、瞬時の利益を判断して処理するトランザクション外交だ、という表現もある。この言葉には、瞬時の利益に目を奪われて、長期的な国益を損なう可能性もある、という含みがあるが、日本として傍から見ていても、実に危うい。そして、こうしたトランプ外交が、内政ではいろいろ苦労している習近平政権に、意外な外交的チャンスを与えていることが、日本にとってはなかなか懸念されるところである。

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『中国農村に「ロミオとジュリエット」が大量に出現?中国共産党よりもはるかに厳しい「村の掟」』(6/19JBプレス 安田峰敏)について

6/21JX通信社が纏めた新聞社別の内閣支持率が出ていました。如何に新聞社が偏向報道しているかという事です。安倍支持率の高い産経、安倍支持率の低い朝日、毎日、東京を除いた読売、日経が一番妥当な国民の意識を表しているのでは。左右ともプロパガンダで国民を洗脳しようとしている感じです。野党は、今度は萩生田官房副長官を槍玉に上げる作戦に転じました。そもそもメモにどの程度の証拠能力があるというのか。言った、言わないの水掛け論になります。大体組織の中で働いていれば「黄門の印籠」宜しく、自分の思い通りになるよう「上の意向」だとして相手を説得するのは良く見られる話、また自分が失敗した時の「エクスキューズ」として「会長・社長の指示があったから」とか「特約店から言われたので止む無く」とか直属の上司に報告することも多々あります。況してや自分の責任になることを一番嫌がる官僚でしょう。文科省は三流官庁と言われても仕方がありません。省内の文書を持ち出すことが正義ではないはず。守秘義務違反です。そもそも事務次官が買春に勤しんでいた時点でアウトでしょう。子供たちに何を教えるのか?教育への自覚のない前川や寺脇がTVで堂々と政府を攻撃するのは違和感があります。碌を食んだものとしての仁義もない。見下げ果てた連中です。そいつらを担ぐメデイアも。

https://news.yahoo.co.jp/byline/yoneshigekatsuhiro/20170620-00072316/

本記事の械闘(中国語読み=xie4dou4、水利権等の争いで村毎に対立する村と火器を使わない棍棒等の武器でのケンカのイメージがあります)がまだ残っていたというのは流石としか言いようがありません。前近代な風習が今でも残っているという事です。日本国憲法の前文の「平和を愛する諸国民」から程遠いのでは。彼らを信じて無防備になることは、泥棒に入ってくれと言わんばかりでしょう。前近代的な風習は儒教の影響と見る向きもありますが、中国内では儒教にそんな力はないでしょう。孔子も仕官できなかったくらいで、今でも孔子学院は語学学校で中共のスパイ活動に利用されているだけです。孔子の説いた道を一番守っているのは日本人でしょう。韓国人の信じる儒教は形だけを尊重して、精神に迫るものが無いと言われます。朝鮮半島人は儒教と言うよりも華夷秩序を重んじ、島国である日本人を侮蔑します。所謂従軍慰安婦も強制性の有無は関係なく、アニマルの日本人とセックスしたのを咎めているとのこと。では何故、日本の統治を受けたのか、当時は喜んで日本人と結婚した人もいたでしょうに。究極の人種差別主義者です。彼らは歴史上誇れるものがないため、嘘をでっち上げ、日本人を虐めるのが元気の素とか。お粗末な民族です。(呉 善花・加瀬 英明 共著『呆れた哀れな隣人・韓国』より引用)。在日も同じ考えでしょう。だから日本人に対して平気でヘイトスピーチする訳です。日本人に対するヘイトスピーチも取り締まれるよう法律改正してほしい。

中国では人権という考えそのものが無いのではと思います。こういう国とは付き合うと危ないです。6/11大紀元記事上海の弁護士「中国の人権派弁護士は将来の大統領候補」

人権派弁護士として知られる上海在住の鄭恩寵氏。同氏はこのほど大紀元の取材に対し、709弁護士一斉拘束事件で弾圧された中国の人権派弁護士は、中国の未来のために自分と家族の経済的利益のすべてを投げ打って尽力を尽くしていることを特に取り上げた。その上で、彼らの払った犠牲と受けた苦難の数々は中国の歴史に深く刻み付けられるだろうと敬意を表し、彼らこそが中国の未来の大統領候補だとの思いをあらわにした。

鄭恩寵弁護士は取材に対し、709弁護士一斉拘束事件で逮捕された李和平、謝陽、王全璋の各氏は中産階級に属していたため、本来ならば経済的に恵まれ、豊かな暮らしを送ることができる立場にあったことに触れ、やり方によっては巨額の富を築くことも不可能ではなかったはずだと述べている。だが、彼らは中国の未来のため、自分や家族にもたらされるはずだった金銭的な豊かさを投げうったのだと語った。

「彼らは(自分の使命のために)家族全員を犠牲にした。子供たちは(当局の妨害により)学校へ通うこともできなくなり、家族は職を追われ、住む場所も(当局の嫌がらせで)度々引っ越しを余儀なくされている」と家族の置かれた境遇に心を痛めている。

709弁護士一斉拘束事件とは、2015年7月9日、中国公安部が中国全土で一斉に人権派弁護士を大量に拘束した事件のことで、翌12月16日までに少なくとも319人の弁護士、人権活動家やその家族らが、事情聴取、出頭命令、出国禁止、軟禁、住居の監視、逮捕、強制失踪(政府による拉致)など、何らかの形で迫害を受けた。

彼らが当局からこれほどまでに虐げられた理由は、社会的弱者の代弁者になったからにすぎない。李和平氏、王全璋氏、余文生氏をはじめとする弁護士の多くが、国の巨大な権力に果敢に立ち向かい、無実の罪に問われた法輪功学習者らの無罪を勝ち取るため、当局からの妨害に晒されながらも、いくども弁護を引き受けた。

今年5月9日、李和平弁護士は669日間に及ぶ長い不当拘留からようやく解放された。だがその間に、わずか47歳の李弁護士の頭髪は老人のような白髪に変わってしまった。李弁護士の妻の王峭岭さんは、李弁護士には高血圧の持病はなかったのに、拘留中に医師から無理やり高血圧の治療薬と称して薬を流し込まれた結果、筋肉の痛みや意識の混濁、視力の深刻な低下などが引き起こされたと語り、拘留中に李弁護士が当局から非人道的な扱いを受けたことを明らかにしている。

李弁護士と同じく、長期にわたり不当に収監されているとされる王全璋弁護士の消息は依然として不明のままだ。謝陽弁護士については、収監先で酷い拷問を受けているといった話が伝えられている。

鄭恩寵弁護士は彼らについて「当局に投獄された若い弁護士たちこそが、中国の未来の大統領候補だと思う。彼らは今、中国のネルソン・マンデラやマハトマ・ガンジーとも言える立場にある」と大きな期待を寄せている。

「中国の良心」と称された高智晟弁護士もまた、以前に法輪功学習者の弁護に立ったという理由で当局からひどい弾圧を受けた。だが高氏が高潔な心で、不屈の精神により信念を貫いたことは、国際社会から大きな称賛を浴びている。彼もまた、中国の未来の大統領候補の1人だと言える。

鄭氏は「法輪功学習者が弾圧されたとき、他にもたくさんの弁護士が立ち上がって声を上げた。これこそが中国の人権派弁護士が(人として)優れた品格を備えていることを表している」「彼らがそのために払った犠牲や受けた苦難の数々は、中国の歴史に刻まれるだろう」と語った。

鄭氏はまた、彼らに向けられる海外からの称賛はありがたいが、もっと別の視点も持ってほしいと願っている。彼らのような人権派弁護士は、しばしば海外から勇敢であるとか、脅しに屈せず毅然とした発言をすることについて評価されることが多いが、そこだけに注目するのではなく、彼らが自身や家族の経済的利益を犠牲にしていることを理解してほしいと訴えている。

取材の最後、鄭氏はこのように結んだ。「習近平主席は腐敗撲滅運動で成果を挙げた。だが私は、709事件に関する態度と処理については彼は失敗していると認識している。(反対勢力の仕業であるかもしれないが)709事件に関しては間違いなく誤っていると思う」>(以上)

反日左翼に牛耳られている日弁連もこういう人権の為に頑張っている中国人弁護士を支援したらどうか。海渡弁護士や戸塚弁護士、伊藤和子弁護士等は国連人権理事会を舞台に日本を貶める活動を止め、中共に対抗して戦っている人権派弁護士を応援すべきです。まあ、日本共産党と繋がり、裏では中共と繋がって金も貰っているのでしょうから、望むべくもありませんが。

没有共産党就有新中国(共産党が無ければ、新しい中国ができる。革命歌:没有共産党就没有新中国=「共産党なくして新中国なし)をからかったもの)です。人権を弾圧する左翼は根絶せねば。

記事

記念撮影に臨む中国の新婚カップル(本文とは関係ありません)

先月、中国福建省を舞台とする興味深いニュースが報じられた。水利をめぐって数百年にわたり対立していた同省南安市郊外の梧山村と月埔村が歴史的な和解を実現し、それまで駆け落ち同然で地元を離れていた両村の出身の男女が晴れて結婚を認められたというニュースである。AFP通信の日本語版(「300年の争い終わらせた中国版ロミオとジュリエット」)が報じているので、ご覧になった方もおられるかもしれない。

もっとも、上記の記事は片方の村の共産党委員会のトップの話しか載せていないので、本件について中国国内における他の関連報道も紹介しておこう

まずは『北京青年報』が報じた、両村の村人の証言の大意訳である。ちなみに梧山村の証言者の姓が「王」ばかりなのは、この村の住民の大部分が王さん一族だからだ(対して月埔村の大部分は傅さん一族であるらしい)。

*  *  *

「とにかくガキのころから『大きくなって嫁を探すときには、なにがあっても月埔村の娘だけはやめろ』と両親に言われていてね。なぜなのか尋ねたりはしなかったのだが、とにかく周囲の親戚も友だちもみんなそう言っていたんだ」 ──梧山村で通信用品ショップを経営する王権有さん(仮名 36歳)

「年寄りたちはみんな、恨みができたのは清朝のころで、200年以上昔だって言っている。当時、山から流れてくる水の灌漑をめぐって(梧山村と)衝突があったらしい。そのあとで、互いの村は決して通婚しないことと、もし通婚したら呪いを受けるということが取り決められたと言うんだ。まあ、本当にそういう事情なのか、よく分からないし調べようもないんだけど」 ――月埔村で民宿を経営する傅維建さん

「田舎の村というのは人間の情がたいそう濃い。もしも先人の決まりを破ればずいぶん居心地が悪いし、この先になにか不吉なことが起きるかもしれんと心配にもなる。そりゃあ禁忌を破った(相手の村と通婚した)人間も実は過去にいたのだが、やはり数はとても少なかった」 ――梧山村の王氏一族の長老の1人である王蹺鼻さん

*  *  *

もはや当の村人同士もなぜ対立しているのかよく分かっていないものの、とにかく両村は仲が悪かった。地元紙『東南早報』が月埔村の老人に取材したところでは、数百年前の水争いの際に両村を挙げての武力衝突(械闘)が発生して死亡者が出て、それから村民たちはクワを持って隣村との戦いに備える日々が続き、やがて不婚の掟ができたのだという。

当初の抗争の原因となった水利の問題は中華人民共和国の建国後に解決されたが、その後も1960年代に墓地の場所をめぐって深刻な対立が発生。前出の梧山村の長老、王蹺鼻さんも当時は20代の若者であり、一族の年長者に言われて刃物や棍棒を持って村を防衛したという。彼は「村中の老若男女がみな出てきて村境に集まり、戦いに備えた」と地元紙の取材に対して述べている。

しかし、近年は掟にとらわれない若者が増え、両村は経済活動などで交流するようになった。AFP通信の報道でも紹介された両村の「ロミオとジュリエット」は、中学生のころから相思相愛で、やがて男女の交際に発展してから7~8年が経過。しかし村の掟を理由に両家の親や親族から結婚を反対され続けたので、遠く離れた貴州省でこっそり事実婚をおこない、2人の子どもを授かったこともあってなし崩し的に結婚を認めてもらったようである。

地元紙が報じた月埔村と梧山村の手打ちの式典の様子

今年(2017年)5月1日、この2人の結婚が引き金となり、梧山村と月埔村は手打ちの集会を開いて数百年の対立に終止符を打った。ひとまずハッピーエンドで一件落着というわけだ。

結婚すれば不思議な力で死ぬことになる

上記の話だけなら、読者各位はごく珍しいニュースであると感じるかもしれない。しかし実のところ、似たような話は南方の福建省や広東省ではしばしば報じられている。

例えば2015年5月19日付けの中国のウェブ新聞『大河網』は「広東省のロミオとジュリエット」と題して、上記とそっくりな話を紹介している。

こちらで反目しているのは、広東省広州市郊外の西洲村の徐さん一族と夏埔村の鐘さん一族だ。現地紙の記者が西洲村の老人たちに取材したところ、もはや理由はよく分からないが100年以上も前から彼らは夏埔村と仲が悪いそうで、両村の男女が結婚すると村人が不思議な力で死ぬことになると信じられているらしい。

報道によれば、この両村の「ロミオとジュリエット」はなんと複数いる。まず西洲村の徐天くんと夏埔村の鐘欣さん(ともに仮名)は、お互いに中学生だった2007年に徐天くんが愛の告白をしてから長年のカップルであり、すでに交際は8年になるが、村の掟にこだわる両親の反対によって結婚できていないという。また、夏埔村の鐘強くんと西洲村の徐莉さん(ともに仮名)も中学生のときにいったん付き合ったものの両親の反対で別れさせられ、3年前に再度交際を始めたが、いまだに親を説得できていないらしい。

「運悪くがんになった村人がいて、(西洲村の)村人たちはこれも祟りだと言うんです。なので、(夏埔村の人との)結婚は、お年寄りたちがみんな反対するんです」とは徐天くんの弁である。彼が地元紙の記者に語ったところでは、すでに10組以上のカップルがこの掟によって破局を迎えたらしい。冒頭の梧山村と月埔村とは違い、こちらの両村はいまだに和解していないらしく、より深刻な状況だ。

ほかにも報道は多い。2013年1月には、福建省晋江市の浦辺村と荘頭村が100年の不婚の掟を解消して歴史的な和解。両村のロミオとジュリエットであった浦辺村の許明くんと荘頭村の陳紅さんが晴れて結婚できるようになった。また、2016年には同じ晋江市の井上村と内林村も、110年の不婚の掟を破棄して和解したという。

2017年3月にはもっとすごい話も報じられている。同じく福建省晋江市の8つの村々は、かつて400年間にわたりバトルロワイヤル的に相互に反目し合い、互いの通婚を禁止するという鉄の掟を結んでいたが、ついに時代の流れに従って和解を決めたというのだ。結果、2014年にこっそり掟を破って結婚していた梧山村(冒頭の梧山村とは別の村)出身の蘇景東くんと西畲村出身の陳菁さん(ともに仮名)は大喜び。こちらは関係する村の数が多いだけに、彼らの他にもロミオとジュリエットがもっと大量にいた模様である。

近年、安倍総理が習近平政権の世界戦略である一帯一路政策に協力を表明したり、中国都市部を中心に広がる先進的なスマホ決済システムに日本のテック系の人たちが驚嘆の声を上げたりと、中国の国際的なプレゼンスの増大やデジタル社会化の進展がニュースを賑わせることが多い。こうした「大国・中国」を実感させる話は間違いなく事実だが、一方で農村部において数百年来の「村の掟」を理由に、今日もなお前時代的なロミオとジュリエットがぼこぼこ生まれているというのも、やはり中国の現実である。

かの国の奥深さとカオスぶりをしみじみと実感させられる話ではあるだろう。

2014年1月、中国内部情報告発サイト『中国茉莉花革命』が報じた、広西チワン族自治区の農村の戦い。廖さん一族が、敵の劉さん一族の村に討ち入るところである。

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『ついに出た! トランプと正反対の次期大統領候補 米国版・二宮尊徳は、歴史学者、大学学長で名声を得た45歳』(6/19JBプレス 高濱賛)について

6/17・18前後のマスコミ各社の世論調査で、内閣支持率は軒並み下がっています。テロ等準備罪の法案化は阻止できなくとも、憲法改正の歩みを遅くさせる目論見は成功したという事でしょう。まあ、あれだけ連日連夜、森友や加計で政府の悪口を聞かされれば刷り込みされます。6/19には近くのスーパー銭湯に出かけました。昼間ですので、圧倒的に老人が多かったです。彼らの話を聞いていても、内閣の批判ばかり。加計の政府の説明には納得できず、悪いことをしているのではと言ったものでした。中にはTVはどこのチャンネルも同じ内容だから見ないようにしているという人もいました。また談義は野球の話題に移っていきました。やはり、TVや新聞からの情報だけで判断しているのが窺えます。世代交代しないと情報の取り方は変わらないのかもしれません。加計問題で文科省の牧野美穂氏の報告を見ると、総理が個別具体的に大学・学部設置を指示したとは読めません。前川・メデイア・民共の共謀しての捏造と言うのが分かります。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-06-19/ORRV006JIJUQ01

http://netgeek.biz/archives/98162

トランプもメデイアのバッシングと官僚の裏切りという点で日本と同じ事が起きていると見えます。中国のような専制国家では起きないことで、それだけ健全ということですが。

ベン・サーサ氏は歴史学者とのことで、インデイアン・西漸運動や植民地獲得、第二次大戦の評価を聞いてみたいところです。異論をリビジョニストとして排斥するかどうかで“court historian”(FDRを信奉する御用歴史家)かどうかが分かります。

本記事は、トランプは長くは持たないという希望を色濃く感じさせます。メデイアは今後もトランプの足を引っ張ろうとしますが、堅い岩盤の支持層が崩れない限り、政権は続くと見ています。2018年の中間選挙までは弾劾の動きもないでしょう。それも、北朝鮮や中国との関係で、人気が急上昇する可能性があります。日本の内閣支持率と同じで、世論と言うのは移ろいやすいものです。それほど気にせず、やるべきことを着々やっていく方が大事です。

でも、民主党には新しい大統領候補が出ず、共和党にはいるというのは日本にとって良い傾向と思っています。而も二宮尊徳流でマックス・ヴェーバーのように勤労の精神の大切さを説くのであれば、日本人と合うと思います。

記事

ドナルド・トランプ米大統領周辺とロシアが共謀した疑惑の捜査を指揮するロバート・モラー特別検察官。米首都ワシントンで(2013年5月16日撮影)〔AFPBB News

「ロシアゲート」疑惑で風雲急を告げる「トランプ幕府」

メリケン国の「トランプ幕府」は大揺れに揺れている。

時の将軍(ドナルド・トランプ大統領)から切腹を命じられた「火付盗賊改方」(ジェームズ・コミ―前FBI長官)がこともあろうに将軍を「嘘つき」呼ばわり。将軍を取り巻く「太鼓持ち家老」たちは「火盗改は幕府の極秘覚書をリークした」と騒ぎ立ている。

これまで「ロシアゲート」疑惑に関わっていたとの疑いで蟄居を命じられていた火盗改の上司、若年寄(ジェフ・セッションズ司法長官)は「葵の御門(の印籠)」(大統領特権)を翳して「この紋所が目に入らぬか」と将軍の弁護に目の色を変えている。

将軍にとっては数少ない、昔からの子分だ。

江戸の町民(米国民)はうんざり。そうした矢先、江戸城下では「譜代大名」(スティーブ・スカリス下院共和党院内幹事)が何者かに命を狙わる事件が起こった。

巷には、「いつ腹を召されるか」(弾劾や辞任があるか)と書きたてる瓦版(フェイクニュース)が横行している。講談なら、差し当たり、ここで「べべん、べんべん」となるところだろう。

「分別も責任感もある米国の大人たち」はどこへ行った

The Vanishing American Adult: Our Coming-of-Age Crisis–and How to Rebuild a Culture of Self-Reliance by Ben Sasse St. Martin’s Press, 2017

風雲急を告げる大江戸で今、「世直し」本が静かなブームを呼んでいる。

タイトルは「The Vanishing America Adult」(滅びゆく米国の分別ある成人)。

サブタイトルは「Our Coming-of-Age Crisis–and How to Rebuild a Culture of Self-Reliance」(忍び寄る危機──いかにしたら独立独行文化を再構築できるか)。

筆者(Ben Sasse)は「譜代大名」(共和党)の末席を汚す身分(上院議員=ネブラスカ州選出)だが、「関ケ原の戦い」(大統領選)の時から「我が将軍(トランプ候補)も敵将(ヒラリー・クリントン民主党大統領候補)も信用できぬ嘘つき」と公然と言ってのける強者だ。当年とって45歳。

上院議員1期目の「陣笠」だが、メディアからは早くも注目されている。

と言うのも名門エール大学で歴史学博士号を取得、英オックスフォード大学に留学。テキサス大学で教鞭に立ったのち、いきなり厚生労働次官に任命され、さらには38歳の若さでネブラスカ州にあるミッドランド大学学長に就任。

5年間学長を務め、同大学を有名校にまで引き上げたのち、2014年の上院選に出馬して当選、中央政界に躍り出た。共和党内では「将来の大統領候補」と高く評価する向きも出始めている。

両親は規律を重んずるエバンジェリカル・ルーテル教団の信者で、夏休みともなれば、7歳の頃からトウモロコシ畑で働かされた。「おカネが問題ではない。額に汗して働くことこそが人生にとっていかに大切かを叩きこまれた」と言う。

両親の訓えはサーサ家にも受け継がれている。子供3人は学校には行かせず、すべてホームスクーリング(母親が教える自宅学習)。ワシントン勤務のサーサ氏は週末には必ずネブラスカに戻り、子供たちと週末を過ごしている。

まさに「古き良き開拓期」の米国の成人男性だ。信仰心が篤く、女性を蔑視するような下品な言葉は一切言わない。結婚歴3回、離婚歴2回。宗教とは全く無縁な「将軍さま」とは対照的な米国市民だ。

まず子供からスマートフォンを取り上げよ

本書は、「建国の父」たちが誓い合った「Exceptional America」(つまり他国とは異なる特別な国家)のバックボーンである「独立独歩」の精神がいかに大切か、を説く。

返す刀で米国の親たちはいかにしたら子供たちを勤労精神を持った「成人」に育て上げるか、そのノウハウを教示している。

とにかく子供は朝から晩までスマートフォンにかじりついていないで、もっと本を読んだり、音楽を聞きなさい。親も額に汗してまともな仕事をし、人様から後ろ指を差されないように子供の範となるべきだ――と当たり前のことを当たり前に書いているにすぎない。

不動産の売り買いで財を成し、ギャンブルビジネスで巨万の富を得た社会的な常識もなければモラルのない「将軍さま」への当てつけのようにも思える。

著者は本の構想や執筆はトランプ大統領就任前だったと弁明していただけでなく、本書は上院議員としてではなく、子供の父親として、一読者として、一市民として書いたものであることを強調している。

本の根幹をなすのはピューリタニズム。「道徳を忘れた商売は罪悪」だと説いた二宮尊徳を米国流に諭して説いている。

サーサ氏は、政治家である前に歴史学者。さすが歴史学者だけあってアリストレスに始まり、ジャン=ジャック・ルソー、トーマス・ペイン、アダム・スミスなど古今東西の賢者や思想家の引用が至る所に出てくる。

そうした中で教育論としては、19世紀の米哲学者のジョン・デューイ博士の進歩主義の影響が色濃く出ている。

「<われわれは個々の人間の自発性を重視せねばならない。その自発的な成長を促すための環境を整えるのが教育の役割だ>」という基本スタンスだ。

「我が家では人間の性格を作り上げ、成長させるためには厳しい勤労体験を徹底的に、限界ギリギリまで追求させることだという結論に達している」

子供たちをダメにしたのは「アフルエンザ」(金満主義)

サーサ氏はその動機についてこう記している。

「私が学長をしている時に校内に巨大なクリスマスツリーを立てることになった。学生たちと一緒に木にイルミネーションや飾りをつける段になった。学生たちは安易に手の届く木の下段にばかり飾りをつけて、梯子を使って上段につけるものは1人もいなかった」

「私は学生たちの行動に驚き、ショックを受けた。安易なことをするだけで満足している。嫌なことや面倒くさいことは誰かがやるだろうと思っているのだ」

「こうした傾向は何も我が大学だけのものではないことが分かった。私が住んでいるコミュニティでも我が家においてもだ。米国という国全体がそうなのだ」

「次の世代に生きる学生がそうだとすれば、この国はいったいどうなってしまうのだろう。かって一生懸命、精一杯働いてきた『アダルト』、つまり社会に対し責任を持ち、その社会の一員として自主的に貢献するまともな大人は滅んでしまうのだろうか。無責任、無気力は今や集団的危機になっている」

「親たちは、『金満主義』(Affluenza)の影響を受け、無為で行き当たりばったりになっている自分たちの子供をそのままダメな大人にさせてしまってはならない。その危機から子供たちを救い出さねばならない」

「経済不況の今日、個々の市民は独立独歩志向文化に回帰せねばならない。これまで以上に緊急になってきている」

2020年共和党大統領候補の呼び声も

サーサ氏はなぜ今の時期にこの本を書いたのか。政治家になった今、どうしても書き残しておきたかったとしているが、政治家が本を書けば当然、将来、政界における上昇志向、つまり大統領を狙う野望(2020年あるいは2024年)があるのではないかと勘繰られる。

特に共和党内だけでなく、民主党内でも「共和党議員としては数少ないまともで有能な政治家」(民主党全国委員会幹部の1人)といった評価があるくらいだ。

トランプ政権下の米国にうんざりしている人たち(民主党支持者はもちろんのこと、共和党支持者の中にも急増している)にとって、サーサ上院議員の今後の動向は気になるところだ。

そんな中でサーサ氏の地元ネブラスカの主要紙「リンカーン・ジャーナル・スター」は意味深な書評を掲載している。

「おらが国の上院議員が著した本書は、政治などよりも子供を育て、円満な家庭を築くことがいかに重要かを思い起こせてくれた。ワシントン(連邦政府)などの世話にならずに次の世代を育て上げることがいかに大切かを教えてくれた」

トランプ政治で保守とリベラルが激しく対立、分裂国家の様相を呈する米国。それなのに負けた民主党からは2020年に向けた、これは、といった新進気鋭の大統領候補がまだ現れていない。

むしろ共和党からサーサ氏のような潜在性を秘めた候補が出てきたとは、皮肉なことである。

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