『当たるのか? 米ミサイル防衛』(7/10日経ビジネスオンライン FT)について

7/10夕刊フジの山田宏参議院議員の記事です。本ブログで何度か予想した通り、北への米軍の攻撃はあるとすれば中国の共産党大会が終わってからになるようです。

ミサイル防衛は飽和攻撃の前には如何ともしがたいですが、全然意味のない物とも思っていません。露中とも米国ほどのミサイル防衛システムは手にしていないので、それだけでもいろんな交渉を有利に進めることができるでしょう。THAADの在韓米軍配備で露中が文句言って来るのはその表れでしょう。7/11宮崎正弘氏のメルマガには中国はドローン(無人攻撃機)の飽和攻撃を考えているようです。やはり、中国経済を崩壊させない限り、悪の手は止められないという事です。

https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q10173592275

http://www.thutmosev.com/archives/67097279.html

http://melma.com/backnumber_45206_6554582/

本記事に依れば、ミサイル防衛システムで迎撃できる確率は1/2とのことです。やはり専守防衛の限界です。「攻撃は最大の防御」です。日本も敵基地攻撃できるような装備と訓練が必要です。それとニュークリアシエアリングも。そのためには防衛予算の大幅増加を認めて行かねば。お花畑では平和は守れません。レーザーや電磁レールガン、敵の電波を遮断する研究も併せてやっていってほしい。

記事

北朝鮮が開発を続けるミサイルが米国本土を射程に収める可能性が高まっている。現行の米ミサイル防衛システムでこれを迎撃できるのか。確かな保証は存在しない。米政権は次世代システムの開発・テストを急ぐものの、その性能への評価は分かれる。

http://www.thutmosev.com/archives/67097279.html

ポーランドに配備したパトリオットミサイルの演習に取り組む米軍兵士(写真=AP/アフロ)

 米国防総省ミサイル防衛局(MDA)は米国を核ミサイル攻撃から守る使命を負う。局長を務めるジェームズ・シリング海軍中将は6月、北朝鮮のミサイルが米国に到達する能力を得たと示唆した。国防総省のこれほどの高官が北朝鮮の攻撃能力についてこうした発言をするのは初めてのことだ。

 シリング局長は米下院の委員会に対し、核弾頭を搭載したICBM(大陸間弾道ミサイル)で北米を直接攻撃する能力を北朝鮮が保有していると米国は“想定”しなければならないと述べた。

 「北朝鮮が核弾頭を搭載するICBMで米国を狙うことが可能と想定することは私たちの責務だ。この脅威に対して悠々と構えていられるだけの余裕が我々にあるとは言えない」(同局長)

このプログラムの主要委託先である米ボーイングのノーム・チュー・プログラム部長によると、新システムは「完璧に動作した」という。

 この次世代の迎撃ミサイルはまだ米国に配備されてはいない(今年末までに8基が配備される予定)。通常はミサイル1基を迎撃するのに複数の迎撃ミサイルを使用する。攻撃を受ける事態が生じれば新たな格納庫はフル稼働することになる。

 チュー氏はこのシステムについて「どんな脅威からも米国を守る性能があると確信する」と自信を見せる。

 その一方で、批判的な立場を取る人々は「テストを実施した環境は現実に本当に近いものなのか」などの懸念を口にする。

 軍事技術の開発に反対する研究グループ「憂慮する科学者同盟」のメンバー、ローラ・グレゴ氏は「我々は現実的な方法での運用テストをいまだに行っていない」と話す。

 同氏によると、最近のテストでさえICBMの実際の射程に届かなかったという。夜間のテストが十分でないうえ、デコイ(おとり)の数が少ない簡単なケースにとどまった。

 同氏は「システムの信頼性は実証されていない。実際に起こるであろう条件の下でテストされたこともない」という。「合理的に考えればこのシステムを拡張する展開になるはずはない」

真価は反撃までの時間稼ぎ?

 ところが5月に提出された超党派による法案は、まさにこの「なるはずがない」展開を提案している。同法案は米国が新たに28基の迎撃ミサイルを導入すべきである(全米で100基に増やす可能性もある)と要求する。これにはイランが開発を続けるミサイルの脅威に対抗すべく米東部と中西部に設置する新施設も含まれる。

 米上院軍事委員会で委員を務めるトム・コットン氏と同法案の発起人の一人は6月最終週、「我々にはもっと多くの迎撃ミサイルが必要だ」と述べた。「戦争に負けるより軍拡競争で勝つほうがいい」

 新ミサイル防衛システムの推進派は北朝鮮からの飛行経路は予測可能であり、自分たちはすでに何千もの軌道をモデル化していると主張する。また彼らはテストと資金調達を加速させるとともに、旧式の迎撃ミサイルの改良や交換にも熱心だ。テストには年間80億ドル(約9000億円)の資金が必要となる。

 「迎撃ミサイルの命中精度が高まれば、発射する数は減る」というのはパトリック・オライリーMDA元局長だ。「だから正直なところ、私が一番心配したのは予算のほうだった」

 MDAは18年、複数の迎撃ミサイルを同時に発射するテストを実施する計画だ。19年には拡張可能で低価格な直撃弾を導入する。さらに25年までに、1基の迎撃ミサイルに複数の直撃弾を搭載できるよう改良する予定だ。レーダーの改善や、宇宙に配備する衛星追跡システムおよびレーザーシステムを開発するかどうかについても検討する公算が大きい。

 新ミサイル防衛システムには異なる批判もある。北朝鮮からの攻撃には大きな役割を果たすかもしれないが、ロシアや中国からの攻撃に対してはあまり効果がないとの指摘だ。

 「問題なのは、このシステムが有効だと信じた敵国がさらに多くの攻撃ミサイルを製造することだ」。国防総省で兵器テストを主導していたフィリップ・コイル氏はこう語る。「これは我々が望むのとまったく逆の事態だ」

 同氏は次の2点を指摘した。一つは、ミサイル防衛システムが“お守り”(信仰すれば救ってくれる存在)になっていること。もう一つは、このシステムでは、連発される多数のミサイルに対応できないことだ。

 前出のオベリングMDA元局長は、目標とするのは飛来するすべてのミサイルを打ち落とすことではなく、中国やロシアにミサイル攻撃を思いとどまらせるだけの不確実性を作り出し、米国が反撃するための時間を稼ぐことだと語る。

 同氏は、もし北朝鮮が明日攻撃を仕掛けてきたら、迎撃ミサイルが敵の弾頭を本当に迎撃できるかどうか誰にも分からないと認める。何年もの時間と多額の費用をつぎ込んで準備してきたにもかかわらずだ。「少なくともコイントスくらいの勝算はあるだろう」

Katrina Manson ©Financial Times, Ltd. 2017 Jul.1

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