『北京に吹き荒れた「看板・広告撤去騒動」の顛末 強権を振るう北京市トップは習近平の寵臣』(12/22日経ビジネスオンライン 北村豊)について

12/24日経朝刊中国、朝鮮半島有事を想定か 難民キャンプ準備  国境地帯、軍駐留施設を増設

中国の習近平(シー・ジンピン)指導部が朝鮮半島有事に備えた準備に着手したもようだ。北朝鮮との国境地帯で数十万人を収容できる難民キャンプを設営するよう指示したほか、軍駐留施設を増設している。中国は北朝鮮の核問題を対話で解決する方針を崩していないが、トランプ米政権と北朝鮮が衝突する事態に身構え、影響を最小限に抑えたい思惑がにじむ。

中国共産党関係者によると、習指導部は今夏、北朝鮮と国境を接する吉林省や遼寧省などの地方政府に対し、有事の際に難民キャンプを設営できる体制を整えるよう指示した。北朝鮮側から難民が流入しやすい地域を中心に複数の施設を設ける計画で、合計収容人数は最大で50万人を想定しているという。すでに食糧やテントなどの備蓄が始まっているもようだ。

12月上旬、中国通信大手、中国移動通信集団の内部文書とみられる資料がインターネット上に流出した。吉林省長白朝鮮族自治県で5カ所の難民収容所建設が計画され、同社が2日に通信環境を調査したとの内容だった。真偽は不明で、数日後にネットで閲覧できなくなった。外交筋に「本物だったのではないか」との見方が広がった。

国境地帯の関係者によると、吉林省の軍管理区域内では最近、駐留軍向けの新たな居住施設が建設されている。3階建て程度の低層住宅で、シャワーなどは共用の一般的な兵舎だという。

表向きは、冬季に凍結した河川を渡って国境を越えてくる北朝鮮人による窃盗事件が増えていることへの対応策、だという。だが実際には防犯を名目に、有事も視野に入れた国境警備を強化し始めた可能性がある。

ティラーソン米国務長官は12日の講演で、半島有事の際の難民対策や核兵器の管理についてすでに中国と協議したと明らかにした。6月にワシントンで開かれた米中外交・安保対話で議題にしたとみられ、ちょうど難民キャンプの設営指示が出た時期と符合する。

国境付近には見張り小屋が建てられ、北朝鮮兵士が周囲を監視する(10月28日、中国・遼寧省丹東から北朝鮮を望む)=小高顕撮影

ティラーソン氏は、仮に米軍が北緯38度線を越えて北朝鮮に侵攻した場合でも、条件が整い次第撤退することを「中国に確約した」とも説明した。米中がすでに一定の事前調整に入っていることが確認された。

共産党関係者や外交筋の間では、有事の際に中国軍が北朝鮮領内に入り、核・ミサイル施設を制圧し管理するとの見方もささやかれる。党内には慎重論もあり、実際には米国や北朝鮮の出方を慎重に見極めるとみられるが、こうした話が取り沙汰されるほど中国側の危機感は強まっている。

北朝鮮の核実験場に近い吉林省の党機関紙「吉林日報」の6日付の特集記事は、地元の緊迫感がうかがえる。新聞の5ページ目に「核兵器の常識と防護」との見出しが躍り、一面すべてを使って核兵器が使われた場合の対処方法を紹介。(1)避難が間に合わない場合は窓や戸を閉めて被曝(ひばく)量を減らす(2)外出時はマスクやコートなどで汚染を防ぐ(3)すみやかにヨウ素を飲む――などと、イラスト入りで具体的な対策を示した。

記事に掲載の狙いについての説明はないが、朝鮮半島有事を想定したものだと受け止められた。中国メディアによると同紙編集部は「通常の国防教育だ」と述べ、内容は吉林省人民防空弁公室の提供だったとしている。同省では、防空警報を使った避難訓練の強化も検討されているという。

中国人民解放軍の動きも慌ただしい。中朝国境地帯を管轄する北部戦区の部隊は、11月下旬から大規模演習を実施。氷点下20度近い環境の下で、武器や装備の動作を確認したという。さらに12月11~16日には、空軍がロシアと共同でミサイル防衛のシミュレーション演習を行った。第三国の「突発的な攻撃」に対応するためとしている。

一連の動きには、北朝鮮に対して中国が抱く危機感を明確に示し、新たな挑発行為を食い止めることが狙いとも指摘される。中国軍で旧南京軍区副司令官を務めた王洪光・元中将は16日、北朝鮮問題に関する討論会で「戦争はいつ起きてもおかしくない。来年3月までがヤマ場だ」と語った。

3月は毎年、米韓が軍事演習を実施し、北朝鮮が強く反発する時期だ。軍機関紙「解放軍報」は19日、「米軍攻撃に前兆はあるか」との記事を掲載。「米軍は威嚇が失敗した後、動きを止めたように思わせたうえで突然、戦争に打って出るかもしれない」と結んだ。(北京=永井央紀)>(以上)

本ブログで早くから告知してきた内容の記事です。中国観察(法輪功関係)の記事からの引用でしたが、「解放軍報」を除いて総て網羅できていたと思います。公開情報を追うだけでもそれなりに早く伝えることができるのかなあと。ただ、この時期にと言うのは、米軍家族はクリスマス休暇で帰って、後は日本人の新年休暇に向けて警告を発したのかも知れません。安倍首相は「平昌オリンピックがあるから韓国渡航は大丈夫」と言っていましたが、何の根拠にもなりません。今の情勢で見れば、いつ戦争になってもおかしくないのですから、韓国渡航は自己責任で行くことです。ソウルは「火の海」になると言われていますし、邦人救出に韓国は協力しないのですから。行く方が悪いとしか言いようがありません。

12/23facebook記事から易靈12月23日 16:32 ·

傻逼遊行抵制聖誕節,仲沿途大聲叫喊毛主席萬歲?

你毛爹死了幾十年都仲叫萬歲,真典型的腦殘加料;

傻逼你先將手中的手機、 家中進口用品全部燒晒,再將身上的進口衣物通通除光再講啦

クリスマスをボイコットするためのバカなパレードで, 途中大声で毛主席万歳を叫んでいる? 貴方は毛父さんが亡くなって何十年も経っているのに万歳を叫ぶ、典型的な本当の馬鹿である。 先ずバカなあなたの手に持っているスマホや家にあるすべての輸入品を燃やし、身に着けている輸入の衣服を全部捨ててから言いなさいよ。

https://www.facebook.com/100010311528070/videos/583662278654151/?id=100010311528070&hc_ref=ARTyose6Cg8M6ikEnSDSsY8fsffrc5RKX1_QfU2iC_nAUjUbLuCtvxYFfGyy4PcxmUE&fref=nf

>(以上)叫んでいるのは「中華を愛し、クリスマスなぞ止めろ」と聞こえます。まあ、官製デモで共産党の許可がない限りデモは出来ませんので。ここまで習はやらせるのかという事です。下が忖度したのかも知れませんが。150年前の日本の攘夷と同じ発想、排外主義者です。でも、あの当時の日本は外国からの圧力がありましたが、今の中国はないでしょうに。

もう一つ同じ排外思想を小学生から洗脳している図を紹介します。黒板に書かれているのは

「「外国の祭日にNOと言おう」

外国の祭日を拒否しよう!

まず自分から始めよう!

文明を伝承しよう!

中国の祭日を祝おう!

(写真です。クリックしても動画にはなりません)」

北村氏記事は12/20中国観察の記事<傳蔡奇被迫檢討 目標卻是習近平 分析:習走錯了路阿波羅新聞網=蔡奇は検討を迫られたと伝えられる 目標は習近平 分析:習は道を誤った アポロネット>にもありました。出だし部分のみを翻訳します。

「北京市委書記蔡奇領導下的驅逐〝低端人口〞和清理〝天際線〞等行動,因其野蠻暴力而遭國內外輿論鞭撻。外媒披露,蔡奇因此在政治局做了檢討。港媒認為,事件開始朝着政治鬥爭方向發展,政治炮口對着蔡奇但目標卻是習近平,已關係到“之江新軍”的安危。時政評論員陳破空表示,“中國模式”破產,習近平走錯了路。

北京市書記の蔡奇の下で低級人口を追い出し、スカイライン(ビル看板)を整理する行動は、野蛮で暴力的であるが故、国の内外の世論を喚起した。外国メデイアは、蔡奇は政治局にて検討を迫られたと明らかにした。香港メデイアは、事件が起きてから早々に政治闘争に発展、非難は蔡奇に向けられたが目標は習近平で、“之江新軍”(習の昔からの仲間)の無事と関係して来る(指桑罵槐です)。時事評論家の陳破空は「中国モデルは破綻し、習は道を誤った」と。」

12/24ロイター<焦点:中国工業地帯を襲う天然ガス不足、環境対策が裏目に>

https://jp.reuters.com/article/china-pollution-gas-shortages-idJPKBN1EC0XT

北京市だけでなく石家荘市でもガスが足りなく、一時的に石炭の使用を認めたとのこと。日本だったらキチンと手当てしてから実施するでしょうけど。“没問題”“没関係”の人達ですから。

最後にトランプ関連で12/24トランプのツイッターより

<@FoxNews-FBI’s Andrew McCabe, “in addition to his wife getting all of this money from M (Clinton Puppet), he was using, allegedly, his FBI Official Email Account to promote her campaign. You obviously cannot do this. These were the people who were investigating Hillary Clinton.” >「FBI副長官の妻がヒラリーの手先から金を受け取り、FBIの公式アカウントを使ってヒラリーの選挙応援をした。やってはいけないこと。こういう人達がヒラリーの調査担当者だった」ということです。辞任しても追及すべきです

https://twitter.com/realDonaldTrump/status/944906847970119680

http://www.sankei.com/world/news/171224/wor1712240021-n2.html

記事

北京市書記の蔡奇は現代の蔡京か?(写真:ロイター/アフロ)

北宋(960~1127年)の政治家に“蔡京(さいけい)”(1047~1126年)という人物がいる。興化郡仙游県(福建省仙游県)の人で、前後4回(1102~1106年、1107~1109年、1112~1120年、1124~1126年)にわたって宰相を務め、権力を掌握すること合計16年間に及んだ。蔡京は、後世の人から「中国史上最も名高い汚職官僚の1人であり、贅の限りを尽くし、無能で無定見、保守的で腐敗にまみれ、北宋王朝の衰微を招いた奸臣」と評されている。

歓心を買う奸臣

蔡京は宰相を4回も務めた程の人物だから、決して無能であったとは思えない。その証拠に、蔡京は“興寧3年(1070年)”に実施された科挙で“進士”に23歳の若さで合格している。北宋の第6代皇帝“神宗”(在位1067~1085年)は財政再建のため“王安石”を宰相に任命して“新法(革新政策)”を行わせたが、神宗の死後政権を握った“宣仁太后”は保守派の“司馬光”を宰相に任命して“旧法(保守政策)”に復そうとした。司馬光は新法である“募役法”を廃止し、旧法である“差役法”を復活させることを5日間の期限で実行するように命令したが、役人の抵抗で思うように保守回帰が進まなかった。当時、“開封府”(現・河南省開封市)の“知事(長官)”であった蔡京は、新法支持者であったにもかかわらず、司馬光におもねって旧法支持者に転じ、この難題を司馬光の命令通り5日間で実行して、司馬光を喜ばせたという。

宣仁太后が1093年に死去すると、7代皇帝“哲宗”(在位1085~1100年)の親政が始まり、再度新法への復帰が行われ、多数の旧法派官僚が追放され、新法派官僚が登用されることになった。しかし、蔡京は神宗時代には新法、宣仁太后時代には旧法を支持するという無定見な風見鶏的性格が災いして、冷遇された。ところが、第8代皇帝の“徽宗”(在位:1100~1126年)の治世が始まると、持ち前の非凡な処世術で宰相に上り、彼に反対する者は旧法派・新法派を問わず追放して絶対権力を握り、16年間も宰相の地位を保った。権力者となった蔡京は、一般民衆から重税を取り立て、大規模な土木工事を行い、大量の賄賂を受け取って私腹を肥やし、富と権力を独り占めして、北宋の弱体化を促進させた。なお、蔡京は伝記歴史小説『水滸伝』にも悪名高き“高俅(こうきゅう)”と並ぶ「四奸臣」の1人として登場している。

北京のSKYLINE

さて、11月27日、北京市当局は、“北京市城市管理委員会(北京市都市管理委員会)”、“北京市規劃和国土資源管理委員会(北京市計画・国土資源管理委員会)”、“北京市綜合管理行政執法局”が連名で策定した11月24日付の『“関于開展集中清理建築物“天際線”専項行動的通知(建築物輪郭集中撤去特別行動展開に関する通知)”』を公布した。“天際線”は英語では“SKYLINE”だが、「空を背景とした建築物の輪郭」を意味する。同通知の内容は以下の通り。

建築物輪郭集中撤去特別行動展開に関する通知

都市の管理を強化し、都市の質を高め、視覚的に明瞭な都市の輪郭を作り、国際的に一流で、調和が取れて住みやすい都を建設するため、中国の各種法令の要求に基づき、2017年第4四半期から我が市は建築物輪郭集中撤去特別行動を開始するので、ここに以下の通り通告する。

【1】この通告の公布日を起点として、『北京市看板標識設置管理規範』の要求に合致しない建築物の屋上や壁面にある広告看板は全面的に撤去する。すなわち、建築物屋上の高さを超えたり、壁面の縁(へり)からはみだしている戸外広告や看板標識、建築物壁面に垂直に置かれた戸外広告や看板標識、建築物の壁面に張り付けられた違法な戸外広告、一つの壁面に張り付けられた多数の戸外広告、外地が設置した看板標識、“店内店(店の中の店)”が建築物の壁面に設置した看板標識、その他規則の要求に違反した看板標識。

【2】この通告の公布日を起点として、全ての新設される看板標識は『北京市看板標識設置管理規則』の要求に合致しなければならない。撤去後新たな看板標識を設置する確たる必要性があるならば、財産権を持つ組織は関係部門に申請し、審査を経た上で実施することができる。重要な大通り、重要な地区は北京市や区の特別行動連絡会議の連合審査と専門家の審査を経た上で実施が可能になる。

【3】各レベルの党・政府機関、事業組織、北京駐留の軍部隊、北京駐在機構、国有企業は率先して自ら撤去し、もしも撤去能力がない場合は、所在する区の都市管理部門に申請して援助を受けることが出来る。およそ管轄区が規定した時間内に自力撤去できない場合は、各区の組織が連合して撤去を執行し、撤去費用は建築物の財産権を持つ組織の負担とし、法令に違反している場合は、企業および個人の信用システムに記録する。

【4】撤去過程で、屋上にその他の違反建築や規定違反の残存設置物があれば同時に撤去し、市外観の整然性を保証しなければならない。

【5】公安部門は、暴力による公務執行妨害、強迫や威嚇、攻撃や報復などを行う暴⼒団員や悪党に対して、法に則り厳重な処罰を行う。紀律検査・監察部門は高級幹部からの声掛けや“保護傘(後ろ盾)”となるなどの紀律・規則違反の行為に対しては法に基づき厳しく処罰する。

【6】いかなる組織も個人も『北京市看板標識設置管理規則』の要求に違反した建築物の屋上や壁面上の広告看板を訴える、あるいは告発する権利を有する(都市管理局ホットライン:96310、首都環境建設委員会ホットライン:12319)。

北京市城市管理委員会 北京市計劃・国土資源管理委員会 北京市総合管理行政執法局

2017年11月24日

上述の通知は公布された11月27日を期して実施に移された。11月27日の当日から北京市内には大量の大型クレーン車や高所作業車が出現し、手当たり次第にビルの屋上や壁面から企業名の看板や商品の広告看板を撤去し始めた。北京市内には『北京市看板標識設置管理規則』の要求に違反した撤去を要する戸外広告や各種看板が2万7000カ所以上あり、これらを12月末までに全て撤去ことが目標とされた。

8956カ所を猛烈撤去

12月1日付の北京紙「北京日報」は、「SKYLINEを遮る広告・看板はすでに8956カ所撤去された」と題する記事を報じた。その概要は以下の通り。

(1)北京市内各区のビル屋上にある広告看板の撤去作業が猛烈な勢いで進められている。記者が昨日(11月30日)「建築物輪郭集中撤去特別行動分析会」から得た情報によれば、全市ではすでに各種の違反広告看板8956カ所が撤去されている。現在、各区は積極的に撤去作業を展開しており、年末までに“長安街”沿線、環状2号・3号・4号道路周辺区域の撤去作業を完成させるべく全力を挙げている<注1>

<注1>長安街は北京市の中心を東西に走る幹線道路で、道路の両側には主要な官庁や企業のビルが立ち並んでいる。環状道路は市中心から外側に2号から6号まであるが、2・3・4号は快速道路、5・6号は高速道路。

(2)高いビルの屋上と空との接合部を“天際線(SKYLINE)”と呼び、これは都市景観にとって重要な構成部分である。今年から北京市共産党委員会と北京市政府は「北京に美しいSKYLINEを取り戻せ」という意見を度々提出し、戸外の広告・看板標識の撤去を呼びかけて来た。今年9月に公布された『北京市看板標識設置管理規則(改訂版)』には、ビル屋上に看板、標識、広告などを設置することの禁止、すでに設置済みの物は撤去することが明記されており、その重点は市内中心部、長安街沿線、2号・3号・4号道路沿線となっている。

(3)北京市都市管理委員会の関係責任者は次のように述べた。すなわち、各区で調査した台帳によれば、全市で撤去が必要な違反広告看板は2.7万カ所以上で、その7割が市内の6つの区に集中している。事前の2カ月の撤去作業により<注2>、現在全市ですでに撤去されたのは8956カ所である。その中、“石景区”はすでに1700カ所余りを撤去しており、率先して撤去作業を完了している。その他の区の撤去状況は、“東城区”:702カ所、“西城区”:1365カ所、“朝陽区”:2497カ所、“海淀区”:1518カ所である。12月末に各区の関係部門が検収を行い、来年1月には北京市都市管理委員会が道路毎に北京市としての検収を行う。

<注2>北京市当局は10月下旬に違反看板標識・広告撤去の特別行動を決議し、各区に命じて撤去作業を行わせていた。

(4)ビル屋上には看板標識や広告が設置できないだけでなく、各建築物は“一楼一標(1ビルに1標識)”が要求され、外壁にいくつもの標識を掛けることはできない。また、撤去後の建築物は“規劃部門(計画部門)”が認可したビル名称しか使用できず、掛ける位置はビルの3階以上、屋上の床面からの距離は0.5m以上となっている。同時に、字体の大小にも厳格な規定があり、建築物名称の文字は高さ2mを超えないこと、組織名称の文字は高さ0.8mを超えないことになっている。新しい看板標識にはステンレスなどの高反射材料の使用は禁止、“外射光源(外へ光を放つ光源)”の使用も禁止で、“内投光源(内側へ光を投じる光源)”だけが使用可能である。

朝令暮改、再び

12月5日に中国メディアが報じたところでは、北京市内西城区にある“金融街(Financial Street)”では、“中国銀行”、“北京銀行”などの大手銀行、生命保険の“中国人寿保険”、携帯電話の“中国移動”、ホテルの“麗思卡爾頓(リッツカールトン)”などを含む127カ所の看板を年末までに全て撤去することになっており、地元の“街道居民委員会(自治組織)”や都市管理執行チームに雇われた十数人の作業員が看板の撤去作業を行っていたが、彼らに賃金はなく、撤去した残骸が彼らに与えられるということだった。

この撤去作業を見守る北京市民の中には、「違反広告看板が取り外されて北京市本来の外観が取り戻せる」と好感する者もいるにはいたが、大多数の市民は冷たい視線を送っていた。一番の問題はビルから看板が撤去されたことにより、目印となる物がなくなり、道に迷う人が激増したことだった。あるネットユーザーは、「目印となる看板や広告がなくては、自分がどこにいるのかも分からなくなるし、ましてや目的の場所を探すのは容易ではない。人に道を尋ねても、聞かれた方も目印なしでは道案内できるはずがない。どだい、看板や広告が何もない、無味乾燥なビル群は寒々しいだけで、何の魅力も感じられない」と掲示板に書き込んだ。

こうした庶民の声は日を追って大きくなり、看板標識や広告の撤去に対する不満は大きくなり、世論の高まりは北京市党委員会ならびに北京市政府に大きな圧力を与えるに至った。このため、12月8日、北京市都市管理委員会は会議を招集して検討した結果、撤去作業を一時停止することを決定し、翌9日に市内関係者に緊急通知を発した。緊急通知は、「区内の違法広告看板の撤去を一時停止し、すでに看板を撤去した商人は北京市当局の規格に適合した看板を新たに設置しても良い。撤去作業の再開時期は改めて通知する」というものだった。撤去一時停止の理由は次の2つの要因であった。すなわち、(1)冬季は気温が寒冷で、風が強く、気候が乾燥しており、高所作業には危険があり、出火の危険性も高いこと。(2)看板撤去後、人々にビルの識別を困難なものとしたこと。

12月9日の早朝から北京市内の街頭からは撤去作業を行っていたクレーン車の類や作業員が消えた。この撤去作業一時停止を知った北京市民の多くは、又しても朝令暮改かと呆れると同時に嘲笑したのだった。「又しても」とはどういう意味か。中国政府“環境保護部”はPM2.5の低減を目的として、10月1日から北京市を中心とする2+26都市で“禁煤令(石炭禁止令)”を発令して、“電代煤(石炭に換えて電気)”と“気代煤(石炭に換えて天然ガス)”を推進する暖房変換政策を展開したが、関連工事の遅滞や天然ガスの供給不足により1000万人以上が暖房なしの生活を余儀なくされた。この実情を知った世論は中国政府の準備不足を非難し、圧力に屈した環境保護部は同政策の緩和を表明せざるを得なくなって朝礼暮改を行い、工事遅延地区に対して石炭使用を認めたのだった。<注3>

<注3>暖房変換政策については、2017年12月15日付の本リポート『1000万人が凍える中国「暖房変換政策」の失態』参照。

蔡京と蔡奇を重ねて

暖房変換政策は環境保護部が主管部門だが、その対象地域の中心である北京市の党委員会と市政府が深く関わっていることは疑問の余地がない。その北京市のトップこそが北京市共産党委員会書記の“蔡奇”である。蔡奇は11月18日に発生した火災を契機として違法建築物の撤去を命じ、膨大な数の出稼ぎ労働者の住処を取り壊して、彼らを北京市から駆逐した張本人である<注4>。蔡奇は違法建築物の取り壊しを5日以内に終わらせろと命じて、無情にも出稼ぎ労働者たちを最低気温が氷点下となる寒空の下に放り出した。

<注4>11月18日に発生した火災に関連する事態は、2017年12月1日付の本リポート「寒空の北京、路頭に迷う10万人の出稼ぎ者たち」参照。

蔡奇は、福建省“三明市”の管轄下にある“永安市”に属する“龍渓県”出身。“福建師範大学”政治教育学部を卒業した後、大学院へ進み、政治経済学博⼠号を取得した。その後は浙江省党委員会常務委員、杭州市長などを経て、2017年1月に北京市長となり、同年5月に北京市党委員会書記となり、同年10月に中国共産党中央政治局委員となった。蔡奇の経歴は福建省、浙江省と中国共産党総書記の“習近平”が歩んだ足跡と重なり、習近平によって中央へ引き上げられた人物で、習近平の寵臣の1人である。その蔡奇が北京市のトップである党委員会書記就任後に始めたのが血も涙もない違法建築物の取り壊し、出稼ぎ労働者の駆逐、違法看板標識・広告の撤去であった。さらに暖房変換政策の一翼も担った。

人々は文頭に述べた北宋の蔡京と蔡奇を重ね合わせ、蔡奇が国を弱体化させる可能性を危惧している。両者は共に福建省出身であり、新法を廃して旧法を5日間で復活させた蔡京をまねて、蔡奇も5日間で違法建築物の取り壊しを命じている。12月5日、内部会議の席上で蔡奇が「末端に至っては、本物の刀や銃が必要で、やるなら徹底的にやり、強硬に押し切れば、問題は解決する」と述べたという情報がネット上に流出した。この高圧的な政治姿勢に反発した“清華大学”、“中国人民大学”などの卒業生たちが、12月13日に蔡奇の辞任を求める公開書簡を発表した。

後世に蔡奇が蔡京と同様に奸臣と見なされるかどうかは分からないが、今のままでは習近平がその任命責任を追及されても仕方ない状況にあると考えられる。

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