『ロシアに続き米国もネバダ砂漠で”核実験”緊張高まるNATOとロシア、核戦争の危険性も』(10/18JBプレス 堀田佳男)について

米ロが核で張りあえば中国を利するだけでしょう。本記事では、核弾頭保有数として米国が1750発、ロシアが1790発とありますが“Status of World Nuclear Forces ”によれば、米国が7000発、ロシアは7300発です。配備された核爆弾の数が堀田氏の数に近いです。Retiredがもう核弾頭として機能しないのかどうかは不明です。

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https://fas.org/issues/nuclear-weapons/status-world-nuclear-forces/

日本は唯一の被爆国だから米ロ・世界に核戦争が起こらないように説得する義務があるというのには違和感を感じます。勿論、核戦争を奨励する意味ではありません。被害の甚大さを訴えられるのは被爆国の日本だけという意味なのでしょうけど、核を持たない国が何を言っても聞くはずもなく、かつ被害の甚大さは日本への原爆投下前から分かっていたと思われるのに、2発も落とすような国が日本の言うことを聞くとは思えません。

やはり、MADを信頼するしかないのでは。通常兵器における、代理戦争で留めることになるのではないかと思っています。核ミサイルを米ロで撃ちあえば、地球は汚染され、生物は棲めなくなります。究極の自爆テロと一緒ではないですか。そんなことも分からないようではイスラムのテロリストを非難は出来ません。米ロとも同じキリスト教同士、キリスト教徒の罪深さを感じます。

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米空軍が公開した、B52爆撃機の後継となる次世代爆撃機B21〔AFPBB News

10月初旬、米ネバダ州にあるネバダ国家安全保障施設に2つの爆弾が投下された。日本のメディアではほとんど報道されていない。

爆弾は「本来」、核爆弾であるはずだった。だが1993年以降、米国は爆発を伴った核実験を行っていないので、今回は仮の核爆弾ということになっている。

それでも、「核なき世界」を目指しているはずのバラク・オバマ大統領が、なぜ核兵器へのこだわりを捨てていないのだろうか。

米軍事専門メディアは「米軍がネバダ砂漠に仮の核爆弾を2発投下」と報じ、今回の爆弾投下の真意を探っている。

新型爆撃機B-2Aが爆弾投下

実験に使われたネバダ国家安全保障施設というのは、2010年までネバダ核実験場と呼ばれた場所である。ラスベガスから北西に約100キロ行った砂漠地帯で、鳥取県とほぼ同じ面積がある。

1992年に包括的核実験禁止条約が締結されたことで、同地での核実験は行われなくなったが、51年から92年までに900回以上(約9割が地下核実験)の実験が行われている。

その地の上空に姿を見せたのは、米空軍に所属する戦略爆撃機「B-2A」。垂直尾翼と水平尾翼がない、水中を泳ぐエイのような形状の機体で「スピリット」という愛称がある。

2機のスピリットは700ポンド(約317キロ)の爆弾を1個ずつ投下した。1つは「B61-7」、別の1個は「B61-11」と呼ばれており両爆弾とも戦術核兵器として使用される。

爆弾の開発はエネルギー省国家核安全保障局(NNSA)が担当しており、爆弾投下後にプレスリリースを発表している。

「両爆弾は仮の爆弾であり、核物質は含まれていません。実験は見事に成功を収め、性能を計測するためのセンサーと計測器は確かな数値を示しています。今回の実験目的は核兵器の保証期間を確かめることと、現在開発中の爆弾の耐久性、正確性、性能を検証することでした」

核物質が含まれていないはずだが、どこまで必要なデータが収集できるのかは定かではない。9月に当欄で、オバマ政権が新型核兵器「B61-12」を400個も開発・製造する予定で、連邦予算を約110億ドル(約1兆1330億円)も割くと述べた(「米国が新型核兵器投入、開発配備に1兆1000億円」)。

実は今回の実験も、新型爆弾への助走と考えられる。

NNSAの高官であるマイケル・ルットン氏は「米国は常に核戦略を3本柱(戦略爆撃機、大陸間弾道弾、潜水艦発射弾道弾)で整備しておく必要があります。B61はその中でも中心的な役割を担っていて、今回の実験はNNSAがどれだけ核兵器システムに前向きな姿勢でいるかの証です」と、米政府がいかに新型核爆弾の開発に前向きかを語った。

ただなぜいま、実験をする必要があったのか。

ロシア、NATOで高まる緊張

ネバダ砂漠での実験直後、「エアフォース・タイムズ」という米空軍の事情を伝える週刊誌はこう分析する。

「ロシアとNATO(北大西洋条約機構)の緊張が高まっている。しかも核兵器を使ったイザコザが起こる可能性が増しているので、核兵器実験はたいへん重要である」

日本ではいま、ロシアとの関係は悪化というより良好な方向に進みつつある。12月にウラジーミル・プーチン大統領が訪日することもある。だがロシアとNATOの関係はむしろ逆で、戦争に発展しても不思議ではない「新たな緊張関係」が生じている。

日本国内で大きく報道されないのが不思議なくらいである。緊張の度合いは冷戦終結以来、最も高いレベルとさえ言われている。

米軍の業界誌「ディフェンス・ワン」の記者であるマーカス・ワイズガーバー氏は書いている。「ロシアとの緊張関係が増していることが、今回の実験の背景にあっても不思議ではない。むしろNATOとの緊張が新たな核兵器レースの始まりを予感させもする」

発端はもちろんロシアが2014年3月にクリミア半島を軍事的に併合したことにある。米国をはじめ、西側諸国はプーチン大統領の強権的な軍事行動を読めていなかったばかりか、軍事力で対抗する選択肢を取らなかった。

ロシアの不穏な動きはそれで収まったわけではない。みずから緊張を増長するような言動をとっている。

例えば2015年3月、デンマーク政府に対し、「デンマークが米国主導のミサイル防衛計画(MD)に参加するならば、デンマークの艦船はロシアの核ミサイルの標的になる」と脅している。

リトアニアではロシアからの軍事的緊張を日常的に感じていることから昨年、7年ぶりに徴兵制を復活させている。

オバマ政権誕生後、本来であれば、米ロは核兵器の削減に尽力しなくてはいけなかった。それがオバマ大統領の目指した「核なき世界」のはずだった。しかし現実は違う。

米国で新たなICBM開発も

米国が保有する核弾頭の個数は今春の数字で1750発、ロシアが1790発。新戦略兵器削減条約(新START)は現在、交渉が進んでおらず停滞したままだ。

今年10月に入り、ロシア軍は原子力潜水艦などから核弾頭搭載可能な弾道ミサイルを1日に3発試射する軍事演習を行っている。それに呼応するように、米国でも新たな大陸間弾道ミサイル(ICBM)の建造の必要性が叫ばれている。新STARTとは全く逆の流れである。

すでに具体的に練られた計画があり、航空機・軍事機器メーカーのボーイングが「ミニットマンIII」を新しいICBMに置き換える可能性さえあるという。

ただ反対意見も根強く、コストがかさむばかりか反核の流れと逆行するため、ウィリアム・ペリー元国防長官などは「置き換えの必要はない」と主張している。

一方、米空軍核兵器センターのスコット・ジャンソン准将は戦略核兵器を推す立場にあり、「核の抑止力の効力を保つためには、米国は新しいICBMの製造を進めていくべき」と述べている。

ペンタゴンの中にも軍縮派と軍拡派がいるわけだが、現在はオバマ大統領の表向きの政策とは逆の方向に動いているのが現実のようだ。

つまり冒頭で紹介したB61シリーズの新型爆弾の開発・製造と同時に、長距離弾道ミサイルの新たな導入が本当に始まることになりかねないのだ。そうなると、米ロは核兵器を主体にした新たな軍拡競争へと進むことになる。

いつの時代も有事への備えをしておくことは重要である。最悪のシナリオを想定しておくことも必要だが、被爆国の日本としては通常兵器の戦争だけでなく核兵器による交戦を回避する努力を世界レベルで行う義務がある。

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『米国人が腹をよじって笑う大統領選のパロディショー もう笑い飛ばすしかない史上最低の大統領選』(10/18JBプレス 老田章彦)について

老田章彦氏は「 岐阜県高山市出身。元NHKディレクター/プロデューサー。1985年からクローズアップ現代・NHKスペシャルなど報道番組を制作、2010年フリーに。」とありました。やはり、トランプに対して良い印象を持っていないことが分かります。NHK出身の池上彰と同類でしょう。

ヒラリーは私用サーバーを使って外国政府に機密情報を売り、クリントン財団に寄付させていた売国奴です。こういう輩が罰せられないというのは、アメリカは国としておかしいのでは。警官や軍人がトランプ支持なのも頷けます。国際金融資本に害を為さなければ何をしても良いというのでは、政治家として尊敬されないでしょう。

性的問題を挙げるのであれば、FDRとケネデイ、ビル・クリントン(総て民主党)の方がもっとひどかったと藤岡信勝氏のFacebookにありました。FDRは妻妾同衾(山崎豊子の『華麗なる一族』同様、而も国のトップ)、ケネデイはモンロー他浮名を流したのは多数、ビルはモニカ・ルインスキー事件で有名。WASPというのは如何に低俗かという事です。ケネデイはアイルランドから祖先が渡ってきたのでカソリックですが。こういう道徳観念が希薄な人間が国のトップとして君臨するのですから、人種差別や原爆投下など当り前のようにできるのでしょう。

本記事の最後に性的問題で非難されるトランプを支持する白人女性が写っています。大衆レベルでヒラリーでは今までの延長線(国際金融資本によるグローバリズム)による政治しかできないということが分かっているからでしょう。黒人も民主党が本当に黒人の為の政党かよく見極めた方がよいでしょう。リンカーンは共和党です。

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米ミズーリ州セントルイスのワシントン大学で、第2回大統領選討論会に臨むヒラリー・クリントン氏(手前)とドナルド・トランプ氏(2016年10月9日撮影)。(c)AFP/Paul J. Richards〔AFPBB News

近ごろアメリカでバカ受けしている「トランプ俳優」がいる。髪型をご本人そっくりに整え、唇をへの字に結んでのっしのっしと登場するだけで、観客は大喜び。ひとこと口を開けば、その声と仕草のあまりのトランプ氏ぶりに客席は爆笑につつまれる。

爆笑の大統領選パロディ

高視聴率で知られるNBCテレビのコメディバラエティ番組「サタデー・ナイト・ライブ」は現在、大統領選のパロディに全力をあげている。その主力として気を吐いているのがアレック・ボールドウィン。若いころは二枚目として鳴らしたが、58歳の今は体にけっこうな肉がつき、とぼけ味のある脇役として活躍中の大物俳優だ。

ボールドウィンはトランプ氏の特徴を実によくとらえている。最初の大統領候補テレビ討論会の直後に放送されたパロデイ寸劇では、実際のトランプ氏がそうだったように終始不機嫌な様子を見せ、顔面を紅潮させて荒々しく発言し、クリントン氏の発言を再三(実際の討論会では50回以上)さえぎった。

一方で女性コメディアン演じる「クリントン氏」は冷静さを失わず、得意の政策論を自信たっぷりに展開。それに押された「トランプ氏」は次第に落ち着きを失い、ついには露骨な表現で女性やマイノリティーへの差別発言を連発してしまう。その様子をじっと見ていた「クリントン氏」が目に涙をあふれさせ、今日はうまく行きすぎてるわ、まるで夢みたい! と感激して爆笑を誘った。

第1回討論会のエッセンスを痛快に描き出し、ボールドウィンの怪演で爆笑をさそった寸劇の評判はSNSによってたちまち拡散し、放送後にアップロードされたYouTubeの映像だけでもすでに1600万回以上再生されている(注:リンク先の動画は日本国内では視聴できないようなので、ボールドウィン扮するトランプをご覧になりたい方は「Alec Baldwin」のキーワードでYouTubeの動画を検索していただきたい)。この人気ぶりをニューヨークタイムズ紙、ワシントンポスト紙、CNNなど主要メディアが追いかけて報じることにより、「トランプ俳優」の活躍はいっそう社会現象化している。

いったいなぜここまでの騒ぎになっているのだろうか。

有権者が首を長くして待っていたトランプ氏の秘策

10月9日に行われた2回目のテレビ討論会について日本のメディアは、非難の応酬に明け暮れた残念な内容という伝え方をしたところが多かった。だがアメリカでは、非難の応酬があったことよりも、政策論議がなされなかったことに失望した人が多いようだ。

そもそもトランプ氏は、選挙戦の当初から具体的な政策について多くを語ってこなかった。かわりにトランプ氏は「世界中がアメリカの敵になっている、アメリカの内部は壊れきっている」と危機感をあおり、「私が偉大なるアメリカを再生する」と太っ腹に請け負うことで大衆を引きつけてきた。

いまアメリカは大きな矛盾をいくつも抱えて苦しんでいる。既存の政治家にはない大胆な発想が、この国に思わぬブレイクスルーをもたらす可能性は否定できない。

一方のクリントン氏は、政策通ながら人物としていまひとつ信頼できないという評価などが災いして人気が低迷。何があってもクリントン氏だけには投票しないという「ヒラリーぎらい」は民主党員の中にすら数多い。

国の行く末を案ずる有権者の多くが、トランプ氏の口からぜひとも具体的な政策論を聞いてみたいと考え、両候補の初の直接対決となるテレビ討論に大きな期待を寄せたはずだ。だが、クリントン氏が熱弁する政策論にトランプ氏が応じることは少なく、政策論はほぼ一方通行に終わった。

結局のところトランプ氏は政策に精通しておらず、公約を具体的に説明する能力が乏しいことを露呈してしまった。このことに強いフラストレーションを感じた有権者がサタデーナイトライブに殺到し、中身のない「トランプ氏」を笑いのめし、わずかながらでも溜飲を下げたのだろう。

「パロディ寸劇並み」だった2回目の討論会

不毛なテレビ討論会だったが初回はトランプ氏も緊張していたのだろうと2回目に期待する声は多かった。だがその2日前になって、2005年に録音されたトランプ氏の「わいせつな会話」が公開され、大騒ぎになった。

会話内容が暴露された翌日、すなわち2回目の討論会の前日、サタデーナイトライブは先見の明に満ちた寸劇を放送した。

臨時ニュースで会話の内容を伝えた「CNN」のキャスターが、「トランプ氏」を呼び出してインタビュー。だがどうにも歯切れがよくない。

「あの件については、この場を借りて正式にシャア… ザイしたい」とトランプ氏。

「え、なんとおっしゃいました?」

「その、深くシャアザイする」

「謝罪、とおっしゃりたいのですか?」

「いや私は絶対にそんなことはしない。私はあの発言によって不愉快な思いをしたすべての人々にシャアザイ・・・というかあれを聞いてコーフンしてしまった人たちにシャアザイしたい。だいたい半数がコーフンしたと聞いてるのでね」

などと反省の色のない応答を繰り返したあと、トランプ氏は唐突に話題を転じてフロリダで大きな被害を出したハリケーン・マシューについて語り始め、ニュースキャスターを煙に巻いてしまった。

さて、この放送の翌日に行われた2回目のテレビ討論会に話を移そう。

討論会では、トランプ氏が「わいせつな会話」についてどう釈明し、これまで繰り返し引き起こしてきた女性蔑視の問題についてどうケジメをつけるのか、全米がかたずをのんで見守った。だがトランプ氏は「あれはロッカールームでの冗談のようなもの」とお茶を濁したかと思えば、唐突に話題を転じてIS(イスラム国)について話し出し、司会者からの再三の問いただしを完全に無視して逃げ切った。サタデーナイトライブそのままの展開にあきれ果てた視聴者は多かったに違いない。

「異世界の住人」を大統領にできるのか

とはいえトランプ氏のこの「逃げ」は、討論会の冒頭の出来事だった。残りの約80分間に望みをつなごうとした視聴者は少なくなかっただろう。トランプ氏は今度こそ「本気」を出して政策を語り出すのではないかと。

だが、やはり期待は裏切られた。クリントン氏が、質問をした有権者の目を覗き込みながら熱心に政策を説いた(政策の適否についてここでは問わない)のに対し、トランプ氏は質問者とはあまり目を合わせず、虚空に落ち着きなく目を泳がせながら話す時間が長かった。

元FBI捜査官が「人はウソをつくとき相手の顔の斜め上を見て話す」と書いたことを筆者は思い出してしまったが、実際にはどうだったのだろう。政治家の発言の真偽を確認するサイト「ポリティファクト」によれば、トランプ氏は大統領選を戦ったどの候補よりもウソが多いという。またエコノミスト誌は、「トランプ氏は、どれほど事実の裏付けのない言葉であっても、票さえ獲得できるのなら躊躇なく口にする」と分析している。

他方、この日も論戦を形づくることができなかったクリントン氏は、討論の終盤、トランプ氏を「異世界の住人」と評した。暖簾に腕押し、議論にならない相手という意味だろう。こうした言葉を対立候補の面前で口にするのはたいへん異例なことだから驚いた。クリントン氏はよほどのじれったさを感じたのだろう。政策論でトランプ氏を叩きのめそうという戦法は今や手詰まりに陥っている。

だが本当に手詰まりなのは、有権者だ。これほどまでにトランプ氏が政策を語らず、ウソをつき続け、そうかといってクリントン氏も信用ならないのであれば、いったいどうすればいいのか。人々は今週もまたサタデーナイトライブが用意しているに違いない新ネタに爆笑し、カタルシス(鬱積した心情の浄化、解放)を得るしかないのだろう。

本稿の執筆時点でトランプ氏は、続出するスキャンダルの火消しに躍起になっているように見える。11月8日の投票日までにトランプ氏が傾聴に値するメッセージを有権者に向けて発することはあるのだろうか。

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トランプ氏の「わいせつ会話テープ」が暴露されたニュースを伝えるCNNの番組。キャスターの後ろには「Women For Trump」というプラカードを掲げた女性が映っている。ここまで来てもトランプ支持をやめない女性が多いことに驚かされる(筆者撮影)

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『もしトランプが大統領になったら トランプの請求に日本は従うことしかできない 沖縄から見た駐留経費問題』(10/18 日経ビジネスオンライン 寺岡篤志)について

本記事の前泊博盛氏は沖縄国際大学教授とありますが、元琉球新報論説委員長です。さもありなん。中国を脅威と見ていなくて、遠くの米国と付き合うメリットはないと論じています。左翼リベラルの脳内お花畑の典型でしょう。中国は、共産党一党独裁の人権抑圧国家であるということと民族的特質である「騙す方が賢く、騙される方が馬鹿」という人たちなのに、仲良くするという事がどういう意味を持つのか分かっていません。谷崎光著『国が崩壊しても平気な中国人・会社がヤバいだけで真っ青な日本人』(2016/8/5刊)を読んでもらうと良いでしょう。小生が本ブログで縷々述べてきたことが事例を挙げて詳しく説明してくれています。拝金主義、賄賂、黒社会の存在、騙すのは商慣習・戦場で兵法を使うのは当り前のこと(P.216)」、「平均値で言えば、中国人の能力が日本人に勝ることは、本当にない。仕事のチームワーク、人の誠実さ、ミッション達成の確実性、長期的な視野を持つこと、全部日本人が上である。ただ一つのことを除いては。日本人が中国人に金を積んでも学ぶべき、たった一つのことがある。それは、不安定な世をいかに生き抜くか、である。(P.41)」、中国と日本が戦争になったら、著者は「日本が勝つ」と言ったら中国人は「1億人の難民が日本に押し寄せる」(P.83~85)と脅されたそうな。冷静に考えれば、敗戦国の国民は戦勝国に難民として押し寄せられるのでしょうか?第二次大戦のドイツの敗戦のようにナチが崩壊して、政府がなくなったときのことを想定しているのでしょうか?或はベトナム戦争時のボートピープル?

トランプが大統領となって負担増を押し付けられても7000億円が1兆円になるだけ。単独防衛すれば小川和久氏によれば30兆円かかると言われていますし、自衛隊員の数も人口の1%弱の兵力120万体制(現在の5倍)に増やさないといけません。非常に非現実的な議論を前泊氏はしているような気がします。流石、琉球新報出だけあって、日本を中国の属国にしようと動いていることが見え見えです。今の時代中国の情報はいくらでも取れますし、新聞社OBであれば自由自在に取れるでしょう。暴動の記事や陳情の記事なども。それでも中国のような国と付き合うという気が知れません。

http://togetter.com/li/60708

自主防衛は賛成ですが、単独防衛は無理です。やはり、同盟で補わないと。蒋介石が取った戦略を日本がすれば良い訳です。

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「日本は米軍の駐留経費を全額負担せよ。払わなければ、米軍撤退も辞さない」――。米共和党の大統領候補、ドナルド・トランプ氏の在日米軍を巡るお騒がせ発言は、日米安保体制が持つ「金で安全を買う」というある種の歪みを映し出していると言える。

在沖縄米軍基地の全廃を訴える前泊博盛・沖縄国際大学教授は、もしトランプ氏が米大統領になったら「日本は唯々諾々と駐留経費を払ってしまう」と予想する。さらに「トランプ発言を契機に、日米安保条約が果たして何を守っているのか、日本がお金を払うだけの価値があるものか、考え直さなければいけない。中ロとの間に経済的な安保体制を組み立てることこそ日本の取るべき道だ」と主張する。(聞き手 寺岡 篤志)

日経ビジネスオンラインは「もしトランプが大統領になったら…」を特集しています。 本記事以外の特集記事もぜひお読みください。

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前泊博盛氏(まえどまり・ひろもり)氏。1960年、沖縄県宮古島市生まれ。明治大学大学院博士前期課程(経済学)修了。1984年に琉球新報に入社し、社会部や政治部の記者として、防衛省、外務省、旧沖縄開発庁の取材に従事。2011年から沖縄国際大学経済学部教授。専門は基地経済の研究。

—トランプ氏は、米軍の駐留経費の100%支払いを、日本を含む各国に求めると発言しています。これをどのように見ていますか。

前泊:まず前提として、トランプ氏は防衛に関して無知だと思いますね。誤った情報に基づく発言であることは踏まえておいた方がいい。

—日本はいわゆる思いやり予算など7000億円以上を負担していると言われています。過去のデータでは負担割合は7割超です。

前泊:トランプ氏はそのことを知らないと思いますよ。自分に都合のいい情報だけを元に発言を構成するのは、彼独特の論理展開の仕方ですね。刺激的な数字や情報があれば、そこを一点突破していく。そういう仕掛け方が非常に上手です。

「日本は十分な駐留経費を払っていない」と言えば、日本の安保体制に疑問を抱いている米国民は、なぜ日本のために米国の若者が血を流す必要があるのか、と反応する。事実でない情報で、米国民の頭の中の情報を勝手に操作してしまう。大統領候補の発言として一定の信頼がありますから。

—裏を返せば、トランプ発言を受け入れる素地が米国民にあるということですか。

前泊:やっぱり格差の問題があります。中間層から下のクラスが、この怒りをどこにぶつければいいか考えている時に、ターゲットが示されると、そこに向かってしまう。そういうところを上手に操作しているなという気がします。

「結局はみかじめ料か」

日本に対しては、「金を払わないならば守らないよ」とまるでみかじめ料をやりとりすることで日米同盟が成り立っているかのような印象を与えました。日本人は「結局、お金なのか」「相互信頼に基づくグローバルパートナーシップというのは建前だったのか」「トモダチってそんなものだったのか」と感じているでしょう。

トランプ氏はこのことをストレートに表現してしまった。米政府も「え? 本音を言っちゃった?」と思っているかもしれない(笑)。

—米軍が沖縄に海兵隊を配置しているのは、アジアでの抑止力のためと言われてきました。米国の中でその意味は薄れてきているのでしょうか。

前泊: 米軍は数百の基地を海外に展開しています。このうち沖縄の基地について、沖縄の四軍調整官を務めたウォレス・グレグソン氏が最も安上がりの基地だ、という趣旨の発言をしています。この発言は、「米軍の海外基地はコストが高すぎる。縮小を検討すべき」と米議会が問題提起した時のものです。グレグソン氏は、コストの低さから「沖縄からの撤退は最後でいい」と主張しました。

もう1つ大事なことは、マグネット論です。海外基地は、本国に攻撃を加えられないようおとりの役割を果たしているということです。

沖縄の基地は安上がりでマグネット効果があるという見方は、日米同盟を損なう可能性があるので、米政府はあまり流布しないようにしている。

—つまり、米国が保有する海外基地の重要性は薄れているものの、沖縄の基地にはまだ必要性がある。であるにもかかわらず、トランプ氏は必要ないとしているわけですか。

前泊:必要じゃないと思っている人も多いでしょう。というより、米国民は沖縄に基地があることをあまり知らないんですよ。米国民は政府がやっていることを全部知っている、と思ったら大間違いです。日米同盟があることすら知らない人も結構いるかもしれない。米連邦議会の議員だって沖縄に5万人も米軍人と関係者がいたことを知らない人が多い。

日本政府は、米軍は何から何を守っているのかを真剣に考えなくてはいけない。日米安保条約があっても米軍が日本を守るとは限らない。最近は防衛の専門家の口からもこんな言葉が出てきています。米国との同盟関係を今後も死守するなら、日米安保条約で日本が守るべき国益とは何なのかを検証する必要がある。

米国は国益委員会をつくってずっと議論している。米国が覇権国家として君臨できる体制をつくることが、最重要の国益として位置付けられています。同盟国において米国が国益を確保するためにどうするべきかも分析しています。例えば日本に対しては、自民党以外の政党を政権に就かせないという内容が出たこともあります。

日本も国益委員会をつくるべきだ、と2000年ごろに守屋武昌さん(元防衛事務次官)と話したことがあります。彼は内々に国益の検証を試みて、「この国は二律背反が多くて国益がまとまらない」と言っていました。自衛隊が何から何を守るのかという議論もまとまらない。だから場当たり的にしか自衛隊を動かすことができない。

日本はトランプ氏の負担増要求に応える

—翻って日本から見た米軍基地について。トランプ氏が大統領になっても本当に駐留経費を払えと言うかどうか疑問はあります。ここはしかし、仮定を重ねて、仮に大統領になり、仮に駐留経費を払えと言ったとする。日本は払うと思いますか。

前泊:払うと思いますよ。駐留経費を7000億円ぐらい払っているけれども、世界最高の軍隊を番犬として雇えるならまだ安上がりと思っているでしょう。日本の保守勢力はこのことをストレートに言わないようにしてきた。言ったら米軍が引き上げちゃうかもしれないから。

ただ、トランプ氏はそこを揺さぶってくる。日本が出すというなら、さらにつり上げてくる。もっと出せと、嫌だったら引き上げるよと。その時、日本人はどこまでなら許容できるのか。

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移設問題が過熱している普天間基地。沖縄国際大学に隣接している。

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沖縄国際大学から見た普天間基地。木の陰には垂直離着陸輸送機オスプレイも見える。

例えばオスプレイを17機買いますよね。これは全部で3700億円ぐらいと言われています。この支出が、高いのか安いのかの議論がないまま決まる。辺野古に普天間基地を移すことも、その移転費用が適正か、十分な議論はされていない。

日本の安全保障は結局、米国に全権を委任する形になっています。お金の請求も鵜呑みにするしかなかった。日本国民は戦後70年間、米国に求められるがままにお金を支払うことに疑問をもってこなかった。しかし、トランプ氏の発言を契機に催眠術が解けるかもしれない。国立競技場の建築費と同様に、米国に現在支払っている金額が正当なものかどうか考え始めることになる。

—もしトランプ氏が請求をつり上げた場合、どこまでついていくんでしょう。

前泊:今の体制だと、「どこまでも」でしょう。米国は交渉上手なのです。

米国は1960年代に辺野古に新基地を建設する構想を作ったことがあります。これは、ベトナム戦争の最中だったため、予算が付かずお蔵入りになった。でも今回、「辺野古への移設を求めたのは日本なんだから、日本がお金を出せ」と主張して辺野古に基地を造らせている。

こういうタフネゴシエーターが米国にはいるけれども、日本にはいない。だからどこまでもお金を持っていかれるだけ。

—さらに仮定を重ねてしまいますが、もし日本がもう付き合えないとなった場合、本当に米軍は撤退するのでしょうか。

前泊:撤退しても米国に痛みはないと思いますよ。原状回復義務もないし、むしろ残していく施設を売ってお金に換えるでしょうね。

「経済安保が生きる道」

—トランプ氏が大統領になったとき、日本の安保戦略をどう見直すべきだと思いますか。

前泊:日本が守るべき国益は何かを問い直した時、例えばアジア全体で作り出す経済的利益がある。今はなぜ日米安保体制だけを重視しているのでしょう? 米国はそれこそ世界100カ国と安保体制をつくっている。なのに、なぜ日本は中国やロシアと結ばないのか。

軍事力を使った安全保障体制ではなく、経済的な手段を使った安全保障の確保でいい。中国がアジアインフラ投資銀行(AIIB)を作ったら、参加しないよう米国が牽制してくる。問われているのは自主的な外交をする能力です。

—中国とどういった距離感を保つかはものすごく難しい。そもそも沖縄に基地がある理由に中国を挙げる人も多い。

前泊:沖縄の基地はもともと日本を占領するための最前線拠点でしょう。それが朝鮮戦争やベトナム戦争に直面し、東西冷戦を戦うための基地に変貌した。そして今はアジアで米国の利権を確保するための基地になっている。

なぜ環太平洋という無理矢理な言い方で米国はアジアに入ってくるのか。アジアはアジアにおいて、アジアの人の血を一滴も流さない安全保障体制を作らないといけない。EU(欧州連合)と同じようにAU(アジア連合)をつくる。紛争が起きないよう話し合う利害調整機関をつくる。EUのような共同体ができれば、絶対に血は流れない。

自民党の重鎮でも危機意識を持って動いている人は居ますよ。ご近所とけんかをして、遠い米国と仲良くするっておかしな話でしょう。中国は脅威だと言われますが、最大の貿易相手国を脅威として見るのが正しいか。

「基地の撤収はむしろ沖縄を潤す」

—前泊先生の専門である基地経済について伺います。米軍が沖縄から引き上げた場合、問題はありませんか。

前泊:今、沖縄は空前の好景気です。国内外からの観光客が年間1000万人に届こうとしている。特にアジアからの流入が増えています。だから空港が足りない。米軍が嘉手納飛行場から撤退すれば、国際空港としてすぐ活用できますよ。撤退に至らなくても、岩国航空基地(山口県)のように軍民共用で使えばいいのです。

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観光需要に沸く沖縄。写真は北谷町の商業施設「アメリカンビレッジ」。

嘉手納飛行場の滑走路のように、米軍が撤退した後の基地には活用できるものがたくさん残ります。例えばF15の掩体壕。あれは横をふさげば、東京ビッグサイト以上の見本市会場になります。これらを一つ一つ検証し、何に使えるかを調べているところです。そういうビジネスを米国とできるようにしたいですね。

仲井真弘多県政時代から県庁が作っていた資料に、基地返還地における経済効果を予測したものがあります。例えば普天間飛行場が沖縄にもたらす経済効果は現在120億円ですが、返還されれば3800億円まで増える。すべての施設を合計すると、基地があることで逸失利益が1兆円ぐらいある。

日本政府が今、沖縄振興予算をカットすると揺さぶりをかけています。これは、県民に健全な危機感を持たせるむしろポジティブな効果があるのではないかと思っています。これまでは政府と協調路線を取る保守県政の方が振興予算が減る傾向にあった。逆に革新県政になると増える。直近の最も低額の時で年間2000億円強。この程度までなら減らされても沖縄は大丈夫ですよ。

米軍は尖閣を守っていない

—経済的手段で安保体制を築きリスクを減らすとして、米軍基地を全てなくすことは可能でしょうか。

前泊:駐沖縄米軍の縮小をうたった SACO(日米特別行動委員会)合意が生まれた背景には、沖縄県がつくった基地返還アクションプログラムがあります。このプログラムでは2015年までに基地を全廃することになっている。これは当時の橋本龍太郎首相も受け入れた計画です。基地が全部なくなってもよい体制を日本も沖縄も常に考えないといけない。

フィリピンは急に米軍が撤退して大変なことになった。日本は米軍が居なくなるときに備えてリスクヘッジしないといけないんですよ。

—経済的な安全保障体制で、米軍が持つ抑止力としての機能を完全に代替していくということですか。

前泊:例えば米軍から返還された土地に米ボーイングの整備工場や中国の物流企業のセンターを誘致し、経済安保の拠点にする。ほかにも香港、マレーシア、シンガポールといったアジアの国々が拠点を置いたら、沖縄をたたこうと思う国はないですよ。

使われない射爆撃場

—尖閣諸島に対する脅威は経済安保で排除できますか。

前泊:日米地位協定に基づいて日本が米国に提供している施設の中に、赤尾嶼 (せきびしょ)、黄尾嶼 (こうびしょ)という射爆撃場があります。これは尖閣諸島の大正島、久場島にあります。

大正島、久場島の接続水域にロシアや中国の軍艦が入ってきて大騒ぎになっても米軍は動かない。沖縄県の資料では、両施設は1979年から特に訓練が行われていません。もし米軍がここで演習したら抑止力になりますよね。中国軍機が入ってきたら自衛隊にはスクランブルがかかるのに、米軍はここを使わない。米軍は尖閣を守っていないんですよ。

—バラク・オバマ米大統領は、尖閣は安保条約5条の対象だと言っています。

前泊:対象だけど、自分たちで解決しろということでしょう。たかが岩山ごときのために、アジアにおける最大の貿易相手国である中国と対立することはないのです。日本との貿易量は中国とのそれに比べるべきもない。尖閣ごときのために中国とけんかして米国に何の得があるかと米国は考えていますよ。損得で見れば米国が動かないのは理解できます。

米国にとっての損得、中国にとっての損得、それを見定めた上で日本の安全保障を議論することが必要です。

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『日露会談、領土問題の先にある巨大な“果実” ロシアへのインフラ輸出は日本経済を潤す』(10/18日経ビジネスオンライン 管野沙織)について

10/17日経朝刊<北方領土に共同統治案 政府、日ロともに主権行使 12月首脳会談で協議探る

日本政府がロシアとの北方領土(総合・経済面きょうのことば)問題の打開策として日ロ両国による共同統治案を検討していることが16日、分かった。最終的な帰属の扱いで対立する国後・択捉両島などでともに主権を行使する手法で、双方が従来の主張を維持したまま歩み寄れる可能性があるとみている。北方四島のどの島を対象にするかや施政権をどちらの国にどの程度認めるかなど複数の案を用意し、ロシア側との本格協議に入りたい考えだ。(解説総合・政治面に)

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複数の日ロ政府関係者が明らかにした。5月のソチでの首脳会談で安倍晋三首相がプーチン大統領に示した「新しいアプローチ」による交渉の一環で、首相の地元・山口県で12月15日に予定する首脳会談での協議入りを探る。ロシア政府はこれまでの接触で日本側の意向を一定程度把握しているもようで、課題の洗い出しの作業に入ったとの情報もある。

日ロが北方領土問題を巡り共同統治による打開策で基本合意できれば、両国で結べないままでいる平和条約の交渉も加速するのは確実だ。

日本政府は北方四島の帰属を解決したうえで平和条約を締結する立場だが、1956年の日ソ共同宣言に明記した歯舞群島と色丹島を引き渡す「2島返還」での決着を目指すロシア側との接点を探るには一定の譲歩は避けられないとみている。

共同統治案を「引き分けによる解決を求めたプーチン氏の意向を踏まえた打開策」(首相周辺)と位置づける。4島を実効支配するロシア側にも譲歩を求める内容でもあり、プーチン政権は日本に要求している経済協力の進展も見据え、受け入れの可否を決めるとみられる。

共同統治は複数の国家が合意により同一地域や住民に共同して主権を行使する。過去には英国とフランスが南太平洋のバヌアツで80年の独立前に実施した例などがある。

日本政府は北方領土に共同統治を導入する場合、歯舞・色丹は日本に返還し、国後・択捉は共同統治とする案を軸に調整に入りたい方針。日本が強い施政権を確保することを条件に4島全域や歯舞・色丹、国後の3島を共同統治の対象とする案も用意する。

どの島を対象とするかや、施政権の範囲は今後のロシア側との調整に委ねられるが、ロシアが4島全体の強い施政権を求める可能性もある。

現在、北方四島にはロシア人約1万7千人が住み、日本人居住者はいない。共同統治を導入した際の施政権の行使については、まず元島民を中心に日本人の往来や居住を自由にし、北方領土に常駐する日本の行政官がこれを管理する方式の採用などが考えられる。

ただ島内の日本人の経済活動や、警察権、裁判管轄権をどう扱うかなど詰めるべき点は多い。それぞれ自国の法律を自国民に適用するか、共同立法地域にするかも決める必要がある。共同統治地域を米国が日本防衛の義務を負う日米安全保障条約の対象とするのかも課題だ。首脳間で基本方針の合意に至っても、実現に向けた事務レベル交渉や立法化の作業は数年かかるとの見方が多い。>(以上)

これに対し10/17産経ニュースは<菅義偉官房長官「事実ない」 日本政府が北方領土の日露共同統治案検討との「日経」報道を否定

菅義偉官房長官は17日午前の記者会見で、日本政府が日露両国による北方領土の共同統治を検討中との同日付の日本経済新聞朝刊の報道について「そうした事実はない。全く考えていない」と否定した。

菅氏は北方領土問題に対する日本政府の対応について「北方4島の帰属の問題を解決して平和条約を締結する。その従来方針に全く変わりはない」と説明した。

日経新聞によると、共同統治は安倍晋三首相がロシアのプーチン大統領に示した「新しいアプローチ」による交渉の一環で、日本政府が北方領土問題の打開策として検討。今年12月15日に安倍首相の地元・山口県で開かれる日露首脳会談で協議入りを探るとしている。>(以上)

日経記事はアドバルーンで日本国民の思いを測るために打ち上げられたのでは。菅官房長官が即座に否定したのも演技かも。でも日経記事にありますように、12/15にここまで詰まることはないでしょう。時間がかかります。そうなれば1月解散もなくなるのかも。そうであるなら、11/30臨時国会閉幕に合わせて総選挙にした方が良いのでは。予算や税制も総選挙の後に議論して決めたらどうか。選挙で国民の反発を恐れて、踏み込めないままというのより、良い気がしますが。

本記事の著者は「菅野 沙織(すげの・さおり)

大和証券キャピタル・マーケッツヨーロッパ・経済調査部副部長/新興国市場エコノミスト

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モスクワ生まれ。中央大学の研究生として来日後、1998年に経済学博士号を取得。2002年日本に帰化。2005年に内閣府経済社会総合研究所の客員研究員に就任。2006年大和総研入社、2014年から大和証券キャピタル・マーケッツヨーロッパのエコノミスト。ロシアのプーチン大統領来日時、日本経団連幹部との会談の通訳を務めた経験もある。

◇主な著書  『ロシア人しか知らない本当のロシア』(日本経済新聞出版社) 2008 『ジョークで読むロシア』(日本経済新聞出版社) 2011」ということです。

ロシアから帰化したからと言って、簡単にロシア側の情報が入手できることはないでしょう。ただロシアが何を望んでいるかと言えば、経済協力①資源の安定買付②シベリア開発③中国人のシベリア入植防止のための日系企業進出辺りかと分かります。

中国への封じ込めは日ロにとっての共通課題です。ロシアは璦琿条約で清から領土割譲を受けた土地を中国人は「回帰」しようと考えていますし、日本の尖閣は名分もないのに奪おうとしています。この侵略大国の膨張主義を共同で、防げるようになれば良いと思います。ただ、米ロの関係がおかしくなってきているのが、交渉にどのように影響するかです。

記事

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今年9月、ウラジオストクで開催された東方経済フォーラムで会談した安倍首相とプーチン大統領(写真=TASS)

ロシアのプーチン大統領の来日まで後2カ月余りとなった。

12月15日には安倍総理の故郷である山口県長門市で首脳会談が行われる予定である。サミットでは、「静かな環境」の中で両首脳が膝突き合わせて行うフェイス・トゥ・フェイス(直接)会談が重視される模様である。今回の首脳会談の結果は大きく注目されており、領土問題の解決に向けた進展や近い将来の平和条約締結への期待が寄せられている。

戦後70年余りを経ても双方の歴代リーダーたちによる領土問題解決に向けた努力が実らず、日露間では平和条約がいまだに締結されていない状況が続く。ただ、この「異常状態」が今度こそ打開できるのではないかと期待する声が高まっている。実際、根拠はいくつか存在する。

一つは日本政府がロシア側に提示した、経済協力関係の拡大を重視する8項目からなる新アプローチの「形」と「中身」の効果である。このアプローチの強みは、目に見える形での経済協力をとっており、過去にはなかった新たな挑戦ということである。

これまで、70余年に渡り続いてきたロシアへのアプローチは、実質的に何の成果も得られず、失敗だったと言わざるを得ない。日本政府側にも、従来のアプローチを変えない限り、交渉が成功する可能性はゼロに近いという焦燥感はあるだろう。

その変化の結果が、新アプローチの中身ということになるが、ここでのポイントは、ロシア側が重視している経済協力関係の拡大に焦点を当てたことだ。ロシア人がよく使う「共同経済活動」を重視したアプローチは、相手の要望に耳を傾け譲り合う姿勢を示している。この点が、従来の日本政府にはない変化であり、関係者に今回の会談が成功につながる期待感を与えている。

もちろん、その最終的なゴールは領土問題の解決だ。仮に新アプローチが領土問題解決につながらないのであれば、こうしてロシアへの経済協力ばかりしていいのか、という疑問の声は実はよく聞かれる。

ただ、ここで重要なのは、視点を領土問題から少しずらし、対ロシアの新アプローチは日本経済にどういう影響を与えるかについて考察することである。なぜなら、外交戦略である「新アプローチ」は事実上、対ロシアに限らず世界を舞台にした日本政府のインフラ輸出戦略そのものだからである。

ロシアへの経済協力は「インフラ輸出戦略」

2013年5月に発表された「インフラシステム輸出戦略」(その後、毎年改定されているが、当初の構想やガイドラインの大枠は変わっていない)では、インフラ輸出による日本の経済成長の実現という同戦略の目的が強調されている。

官邸のウェブサイトに掲載されている「インフラシステム輸出戦略」の原文(2013年5月)によれば

「・・・新興国を中心とした世界のインフラ需要は膨大であり、急速な都市化と経済成長により、今後の更なる市場の拡大が見込まれる。このため、民間投資を喚起し持続的な成長を生み出すための我が国の成長戦略・国際展開戦略の一環として、日本の「強みのある技術・ノウハウ」を最大限に活かして・・・(中略)・・・我が国の力強い経済成長につなげていくことが肝要である。」(第1章総論、p.4)。

「インフラシステム輸出戦略」の上記のガイドラインには、目的はもちろんのこと、具体策も明確に書かれているほか、具体的な分野や地域別の取り組み方針も明記されている。対象地域は、驚くには及ばないが、ロシアも当初から含まれている。

2013年に発表された戦略には「ロシア」に対するインフラ輸出戦略とは「ロシアでは、我が国の経験を活かし都市環境、運用インフラ分野で協力」と書かれている(上記、p.26)が、16年の改訂版には、同じくロシアを対象とした戦略としては「・・・都市環境分野で、モスクワ等における都市開発、木造建築、廃棄物処理、管路更生等で両国の協力を推進。運輸インフラ分野で、シベリア鉄道等の鉄道事業、空港等について検討を深度化。医療・保健分野で、ロシア極東地域の拠点として画像診断センターを開設し、検診・診断の事業を展開。郵便分野で、日本製郵便区分機の納入や郵便事業間での協力促進を支援。」と掲載されている(p.46)

つまり、インフラ輸出を目的とする経済活動分野が拡大していることが分かる。

そして、本年5月の日露首脳会談の際にロシア側に提案された8項目の新アプローチは、以下の分野に及ぶ(日本外務省のホームページより)。

(1)健康寿命の伸長  (2)快適・清潔で住みやすく、活動しやすい都市作り  (3)中小企業交流・協力の抜本的拡大  (4)エネルギー  (5)ロシアの産業多様化・生産性向上  (6)極東の産業振興・輸出基地化  (7)先端技術協力  (8)人的交流の抜本的拡大

この内容を政府のインフラ輸出戦略と照らし合わせてみよう。新アプローチの(1)が医療、(2)が都市環境、(4)が資源確保の関連事業、(5)と(6)が文字通り極東の産業振興・輸出基地化、そして(7)はこの戦略を支えるために不可欠である人的交流の拡大に重なる。提案が、政府の日本経済成長と関連性のあるインフラ輸出戦略の一部であることは明らかである。

ここまで理解できたとして、次は、新アプローチの中身だ。これがインフラ輸出戦略に沿ったものであるとしても、日本政府がこのアプローチをあくまでも領土問題解決に向けて利用したとする。人口2万人弱の北方四島の開発関連のみが対象なのであれば、果たして日本全体に経済的な利益をもたらし、景気対策になりうるのだろうかという疑問が残る。

日本の景気浮揚につながる

この疑問に対する答えの一端を、今年9月のウラジオストクでの会談で垣間見ることができた。

9月、ウラジオストクで開催された今年で2回目となる東方経済フォーラムにおいて再度日露首脳会談が実現した。同フォーラム(9月2~3日)では、9月2日に行われた安倍総理とプーチン大統領の首脳会談、続いて3日に行われた安倍総理の基調講演が大きな注目を集めた。

9月2日の首脳会談では平和条約に関して率直な議論があったと見られるほか、プーチン大統領の訪日が確認されるとともに、12月15日に山口県長門市で首脳会談を行うことでも合意された。加えて、平和条約締結に向けての動きが加速していることを反映する形で、12月の首脳会談を前に、11月にペルーで開かれるAPEC会議でも首脳会談を実現することで合意したことも発表された。

実際、1回目の東方フォーラムは「中国重視」の色が濃かったが、今回は日本側の参加者の顔ぶれ(政府関係機関だけでなく日本を代表する事業会社や金融機関のトップなども参加)と参加人数から見て、「日本重視」であったのは明らかである。

同フォーラムでは具体的な大型案件についての正式な発表こそなかった。だが、日本政府は同フォーラムの前日である9月1日にロシア経済協力相を新設(世耕経済相が兼任)するほどロシアとの経済協力拡大への「本気度」を示した。

ロシア側もこうした動きに呼応する形で領土問題解決に前向きな姿勢を示し始めている。プーチン大統領はブルームバーグとのインタビューにおいて、平和条約の締結を重要課題と位置づけ、今後日本側との妥協案を模索しながら解決に向けて努力していくという、これまでに見られなかったスタンスだ。

フォーラムでは首脳会談と同じ時間帯に日露経済会議が開かれ、両国の経済関係の拡大について議論が交わされ、具体策についても話し合われた模様であり、12月のプーチン大統領の来日の際には大型案件が発表されると示唆されている。

日露間の会話が政府レベルで活発化していることから、大型投資案件については水面下で交渉が行われていることが窺われる一方、詳細についての公式な発表はまだない。一方、先日は日本のメディアが、シベリア鉄道を北海道まで延伸させ北海道とサハリンを鉄道で繋ぐという、ロシア側が提案したと言われることに対する日本側が検討中とされる案件についての「リーク」情報を報じた。

加えて、開通から100年余り経過しているシベリア鉄道の一部である、極東のウラジオストクとロシア連邦に属するタタールスタン共和国の首都カザンを結ぶ線(800km)を高速化する提案も存在すると報じられた。仮にこのような交渉が一定の成果を挙げるならば、日本の建設業界や高速車両メーカー、信号システムなど運営関連のIT(情報技術)事業を担う日本のメーカーには大きなビジネスチャンスが訪れるといっても過言ではない。

興味深いのは、日本の報道を受けたタス通信をはじめとするロシアのメディアが、シベリア鉄道の延伸・現代化のプロジェクトについて一斉に報道し、日露関係の行方についての高い関心を裏付けたことである。

経済協力の案件はシベリア鉄道の現代化プロジェクトだけでは終わらないようだ。他にも、ロシア極東で発電される電気を海底ケーブルで北海道あるいは本州までに送電する「エネルギーブリッジ構想」も検討されていると報じられている。

対ロシアの投資に限らず競争が激しい大型インフラ輸出の受注を勝ち取るには、やはりトップセールス、つまり総理の力と相手国のリーダーとの信頼関係が極めて重要である。その意味で、対ロシアの新アプローチはまさに、日本のトップによるインフラ輸出の売り込みとも言える。

ロシアにとっても経済支援は干天の慈雨

ロシア政府は領土問題解決に向けて軟化した前向きな姿勢を示し始めたが、その背景として、新アプローチの効果以外にもロシア側に事情があることは想像に難くない。実際、2014年3月のクリミア併合とウクライナ東部の紛争を巡り欧米との関係が著しく悪化した結果、対露制裁が課された。

同年の夏には一時100ドルを超えた原油価格が下落し、2年経過した現在も1バレルあたり50ドル前後で推移している。制裁により国際金融市場から事実上シャットアウトされた上、輸出の7割をエネルギー関連が占めるため原油価格下落によるマイナスの影響を大きく受けたこともあり、意外感はなかったであろうがロシア経済は2014年下期には景気後退状態に追い込まれた。

しかし、2015年の夏頃にはロシア経済も底打ちし、徐々ではあるが回復に向かい始めた。国内経済は制裁と低原油価格という「ニューノーマル(新常態)」に適応し始めた模様であり、規模は縮小したものの貿易黒字と経常黒字が維持されているほか、ルーブル相場も安定している。

1年前には2桁台だったインフレ率が半減し、経済成長は来年からプラス転換する見通しである。ロシア政府には極東地域開発に注力する余裕も生まれつつあるが、日本の協力を取り付けることができれば、その開発が極東地域のみならずロシア国内の景気を大幅に押し上げるとの期待が寄せられている。

日露両国、両政府には「事情」があるが、今回、両国には政治・外交面、及び互いの経済活性化に向けて効果が得られる環境が整っていると言えるだろう。領土問題解決と平和条約締結に向けての本格的な合意の準備が年内に完了する可能性があるとすれば、プーチン大統領の12月の訪日後、次の世代の歴史教科書には日露関係に新しいページを開いた「長門協定」が記載される可能性もある。

12月の訪日が、歴史に残る動きとなることが期待されている。

※本稿は著者の個人的な意見であり、所属する組織の見解を表しているものではありません。

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『米海軍に大変化の兆し、中国関連用語が使用禁止に A2AD(接近阻止・領域拒否)を使わせない意図とは』(10/14JBプレス 渡部悦和)について

リチャードソン大将の「A2ADの使用禁止」の意図は「自由な発想で、強い米海軍への回帰」にあるということのようです。中国の人民解放軍の発言に乗せられて、米海軍が委縮するのを嫌ったのでは。米空母が中国近海に入れないようにするというのであれば、機雷設置で海上封鎖することもできるし、海軍担当でないかもしれませんがICBMもあります。また、SLBMを搭載した原潜もあるでしょう。中国はハッタリで相手を威嚇して、強い相手を怯ませることが得意です。孫子の「戦わずして勝つ」「敵の強い点を避け、弱点を衝け」「偽計と予知を働かせよ」などがそうでしょう。

10/14ZAKZAKにはトニー・マラーノ氏の記事が掲載され、「【痛快!テキサス親父】南スーダンPKO中国部隊逃げた!? 新組織つくった方がマシじゃないかと思うぜ」の中で、解放軍はPKO活動中に武器を捨て逃げ出したというのですから、南京防衛に当たった唐智生を思い出すではないですか。

http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20161014/dms1610141700011-n1.htm

また、10/15ZAKZAKでは「中国の最新鋭ステルス戦闘機 天津市の公園に墜落か」という記事が載りました。技術的に未熟であるにも拘らず、背伸びして大きく見せようとするから無理が生じる訳です。中国の良く言う「三戦」の内の「心理戦」で相手国の動揺を引出し、「世論戦」で中国の有利な道を相手国に選ばせるように仕向けることをしています。今の日本は中国の思惑どおりになっています。もっと、中国の現実を見よと言いたい。

http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20161015/frn1610151530004-n1.htm

いくら敵がハッタリをかましたと言っても、幾許かの真実が含まれている可能性がありますので、「最悪を想定しで準備する」必要はあります。何せ、中国はモノ余りが激しいほど、生産過剰、過剰在庫となっています。資本主義であれば生産調整に入りますが、社会主義市場経済のインチキな仕組みなので歯止めが聞きません。況してやモノが動く=賄賂の世界なので、生産を止める動機は何もありません。米国のFDRがニューデールで失敗した時のように、戦争で経済を立て直そうと、中国も考えないかと心配です。モノが余っていて、ドンドン消費すれば景気は回復すると。でも戦争になれば、中国に味方する国はなくて、敗戦、国の分裂となる可能性が高いでしょう。

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神奈川県横須賀市の米海軍横須賀基地に入港する米原子力空母ロナルド・レーガン(2015年10月1日撮影)〔AFPBB News

素朴な疑問

米海軍のトップである海軍作戦部長ジョン・リチャードソン大将は、ザ・ナショナル・インタレスト(The National Interest)に投稿した小論文“Deconstructing A2AD”(「A2ADを解体する」)において、今後米海軍においてA2ADという用語を使用しないと発表した。

米海軍関係者のみならず世界中の安全保障専門家はこの発表に驚いたと思う。米海軍大学の教授との接触が増えてきた私にとっても驚きであった。

なお、リチャードソン大将は、ワシントン所在のシンクタンクCSIS(戦略国際問題研究所)などでも同内容の講演を行っていて、YouTubeで視聴できる。

米海軍は、従来、中国人民解放軍のA2ADに対抗する作戦構想であるエア・シー・バトル(ASB:Air Sea Battle)を説明する際に、A2ADという用語を頻繁に使用してきた。

私もまたA2ADを頻繁に使用してきた。なぜなら、A2ADは非常に使い勝手の良い用語で、人民解放軍の脅威を素人にも分かりやすく表現できるし、A2ADに対抗する作戦構想も説明しやすいからである。

作戦部長の主張に初めて接した時の私の素朴な疑問は以下の通りであった。

・なぜ、作戦部長はこの使い勝手の良い用語の使用禁止をNational Interestで発表したのか? 世界中に展開する米海軍に徹底したかったのか。米海軍のみならず、世界中に周知したかったのか? 何か深い深慮遠謀があるのか?

・A2ADの使用禁止を一番喜んでいるのは誰か? 最大の受益者は中国ではないのか? 従来、A2ADに関係する国家として米国が指摘してきたのは中国、ロシア、イランである。特に人民解放軍はA2ADの代名詞であった。作戦部長は、A2ADを禁止することにより、対外的に強圧的な姿勢を堅持する中国にいかに対処しようとしているのか?

・A2ADは、米海軍の戦略・作戦構想・戦術、兵器の開発・取得、教育訓練、実際のオペレーションを説明する際のキーワードであった。作戦部長は、A2ADの代わりとなる用語を何も提示していないが、米海軍の現場において混乱はないのか? 代替案をしっかり提案してからA2ADの使用禁止を宣言すべきではなかったのか?

・A2ADは、我が国の南西諸島防衛を考える際にもキーワードであり、米海軍の戦略家たちは、A2ADを使用して日米共同の作戦を考察してきた経緯がある。日米共同にも大きな影響があるが、同盟国とよく調整をしてA2AD使用禁止令を発表したのか?

・米海軍の大きな変革の前触れとしてA2AD使用禁止令を出したのか?

以上のような素朴な疑問を持ったので、その真意を追求してみた。

なぜA2ADという用語が問題か:リチャードン作戦部長の主張

作戦部長の説明によると、A2ADが使う人によって様々な意味で使われ、混乱が見られるそうだ。

リチャードソン大将は、作戦部長として1年間が経過し、「明確な思考(クリア・シンキング)と明確な意思の疎通(クリア・コミュニケーション)」の時代を超えた重要性を再認識したと述べている。また、A2ADを使うことによる抽象的な議論ではなく、より具体的な議論の重要性も指摘している。

そして、A2ADを否定する理由として以下の4項目を列挙している。

  • 理由1:A2ADは、新しい特別な現象(phenomenon)ではない。

戦史によると、敵対する両者は、より遠くから敵を発見し、より破壊的な兵器で攻撃することにより、優勢を追求してきた。

ナイルでのネルソン提督、モビル湾でのファラガット提督、太平洋でのニミッツ提督やロックウッド提督を思い出してみなさい、A2ADは新しいことではない。海をコントロールし戦力を投入することは、国家が海軍に投資する第1の理由である。

  • 理由2:A2ADの「拒否(Denial)」という用語は、「既に終了した事項(fait accompli)」(拒否は完了している)として頻繁に使われるが、より正確には「願望(aspiration)」(拒否をしたい)である。

米海軍であろうと、その拒否地域(下図の第1防御層、第2防御層、第3防御層を参照)に入ると敗北を喫すると誤解したり、A2ADにおける拒否地域のイメージは「入ってはいけない地域」であると誤って認識されている。

しかし、「拒否」の脅威は、克服できないものではないし、不可侵なものではない。

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図「中国の重層的なA2AD能力」 出典:米海軍情報オフィス(ONI)

  • 理由3:A2ADは防御的な特徴があり、我は赤い円弧(例えば図1の第1防御層)の外から敵がいる内に接近する「外から内へ(アウトサイド・イン)」という固定観念に陥っている。

しかし、我に必要性があり意思があれば、敵の防御層の内側から戦うこともできるし、あらゆる方向から[内から外へ(インサイド・アウト)、上から、下から]攻撃ができるのである。

  • 理由4:A2ADの脅威は、現状で十分理解されている。A2ADは、すぐそこに潜む新たな解決すべき問題から我々を引き離してしまう。A2ADに集中すると、はるか前方が見えなくなる。より高いレベルの紛争における次の展開がどうなるのかという疑問を持たなくなる。

例えば、世界のどこでもリアルタイムのビデオをオン・デマンドで映像化されるような状況(つまり、リアルタイム情報を世界のどこでも見ることができる状況)では、敵に先んじるためには何をしなければいけないかという疑問を持たなければいけない。

世界各地の地勢は様々で、敵はその異なる地勢に基づき多様な構想や技術を使い戦う。「1つのサイズをすべてに適合するアプローチ(one-size-fits-all approach)」を使い、議論を過度に単純化する誘惑に抵抗しなければいけない。具体性が重要である。

海軍の焦点は、海洋優勢(海上優勢と海中優勢)の維持である。戦術と戦略の相互作用を深く理解し、具体的な脅威に対し、具体的な場所で目的を達成しなければいけない。

作戦部長の主張に対して当初浮かんできた反論

  • 理由1の「A2ADは、新しい特別な現象ではない」は、当然の認識であり、この認識を持っていない者の方が少数派ではないのか。A2ADを放棄する理由にはならない。
  • A2ADの定義が曖昧であれば、疑義がないように再定義すればいいではないか。理由2の「拒否」に対する誤解や理由3の「アウトサイド・インだけを考える」という誤解については、その誤解を正せばいいだけの話である。

A2ADに限らず、いかなる用語でもそれを使っていると様々な解釈をする者が出てくる。大切なことは、その解釈を本来あるべき解釈に戻すことであり、その用語の使用を禁止することではない。

  • 理由4で「A2ADに集中していると、そのはるか前方を見なくなる」のであれば、新しい用語を提示すればいいではないか。A2ADに代わる用語を提示しないでA2ADだけを排除するというのは適切ではない。
  • A2ADは中国の対米戦略として語られてきたし、A2ADと言えば、人民解放軍を連想する。もしも、中国に対する配慮でA2ADを禁止するのであれば非常に問題である。

人民解放軍は、米国がいかに配慮をしたとしても、米軍に追いつき追い越せ、米軍と戦い勝利するという最終的目標を捨てないであろう。

  • 作戦部長の人民解放軍に対する「関与策」に対する疑問

海軍関係者には、リチャードソン作戦部長の対中国関与策を厳しく批判する者(例えば、ジェームズ・ファネル大佐(退役))もいる。

また、海軍大学のジェームズ・ホームズ教授や東西センターのフェローであるデニー・ロイ博士は、対中国関与策をやんわりと批判している*1

ホームズ教授は、海軍の関与策は、戦術レベルの事項、意見の不一致、緊張の改善の助けにはなっても、米中の戦略レベルの根本的な意見の不一致を解決できないと言っている。

ロイ博士は、相互信頼を目的とした関与策は、米国と中国の目標のいくつかは、その違いゆえにいかに手に負えないものであるかが明らかになり、全く逆効果になると主張し、「(関与による)透明性は相互の猜疑心を取り除くのではなく、それを強化してしまう」と警告している。

しかし、彼はまた、「米中は、完全な戦略的信頼がなくても、多くの分野で協力ができるし、両国に緊張関係が生じた場合にそれを双方にとって有益な方法で管理する方策を見出すことはできる」とも主張している。

もしも、A2AD禁止令が対中国関与策の一環であれば問題があると思う。

*1= Steven Stashwick, “BEING REALISTIC ABOUT ENGAGEMENT WITH CHINA AND THE A2/AD THREAT”, Diplomat, September 23,2016

  • 海軍の戦略家たちの戸惑いが予想される

A2ADは中国の専売特許ではない。米国も中国に対するA2ADを同盟国(日本やフィリピンなど)や友好国の協力を得て実施し、米軍のアジアにおける作戦を容易にしようとしている。

例えば、自衛隊が実施する南西諸島の防衛は、我が国の防衛作戦であると同時に、米国の視点では「人民解放軍に対するA2AD」である。これは、米国特に米海軍の戦略家たちの主張である。

彼らがA2ADの使用を禁止されたら、いかなる用語を使い、いかに彼らの作戦構想を説明するのであろうか。

例えば、米海軍大学の教授であるトシ・ヨシハラとジェームズ・ホームズの共著である「米国式非対称戦」*2は、米国式の対中国A2ADを主張し、米国の同盟国や友好国に対中国A2ADを実施させようとしている。

特に、自衛隊が南西諸島において、人民解放軍に対するA2ADを実施することを推奨し、以下の様に説明している。

・米国単独で人民解放軍のA2ADに対抗するのではなく、同盟国を使い人民解放軍に戦闘力の分散を強いるべきである。

A2ADの実施に最適の場所が南西諸島であり、そこに自衛隊のA2AD部隊(陸自の88式や12式地対艦誘導弾や地対空ミサイルなどの部隊)を配置することにより、人民解放軍の水上艦艇、潜水艦、航空機のチョーク・ポイント通過を阻止する。

・人民解放軍に対するA2ADを実施する場所は、南西諸島、朝鮮半島の韓国、ルソン海峡を制するフィリピンのルソン島である。米国と日・韓・比が人民解放軍に対して同時に複数正面で米軍に協力すれば、人民解放軍は第1列島線の内側に封じ込められたと認識するし、北から南への移動にも危険を感じるであろう。

・第1列島線にA2AD能力のある陸上戦力を展開することにより、人民解放軍に犠牲を強要し、人民解放軍の戦力の分散を強要し、米海軍および空軍の作戦を容易にし、最終的には人民解放軍の侵攻を断念させる。

・ASB(エア・シー・バトル)が描く中国本土の目標に対する打撃ではなく、同盟国の配置部隊は、その致命的な打撃を公海などの公共空間(in the commons)で作戦する人民解放軍に限定することになる。

中国本土の打撃まで至らない公共ドメインでの打撃は、核攻撃に至るエスカレーションの可能性を減少させる。

以上が「米国式非対称戦」の要旨であるが、米国単独で人民解放軍に対抗するのではなく、第1列島線を構成する同盟国や友好国を使って人民解放軍に対抗することは、米国の立場からは至極当然の発想である。

そして、その利点がASBに対する批判の論拠であった「核戦争へのエスカレーションの危険」を回避する解決策になっているという説明は妥当である。

A2ADという用語を使用すると以上のような議論ができるのである。「米国式非対称戦」には何回もA2ADという用語が登場する。もしも、A2ADが使えないならば、米海軍の戦略家たちの議論はどうなるのか。大きな影響を受けることは間違いない。

*2= Toshi Yoshiharaと James R. Holmes、“Asymmetric Warfare, American Style”、Proceedings Magazine-April 2012

  • 我が国への影響

第1列島線を構成する同盟国や友好国の人民解放軍に対する戦いが対中国A2ADであるという発想は、米国の視点であり、同盟国や友好国にとっては自国の防衛そのものである。

特に日本にとっては南西諸島防衛そのものであり、死活的な意味を持つ。米国の戦略家たちとA2ADやASBをキーワードとして協議し、南西防衛構想を考えてきた者として、A2ADの禁止令の影響を実感する。

作戦部長の真意は何か?

ここまでA2AD使用禁止令に対して疑問を呈してきたが、“Deconstructing A2AD”を何回も読み返してみると、リチャードソン作戦部長の真意の一端が見えてきた。

作戦部長の狙いを一言で言えば「米海軍の原点への回帰」なのであろう。具体的には以下のような諸点を強調したかったのであろう。

・A2ADという用語を使用する弊害として、人民解放軍のA2AD能力(例えば「DF-21D」に代表される弾道ミサイルや対艦巡航ミサイル)に対する過度の警戒により、米海軍の発想が防衛的で縮こまったものになってしまっている状況を転換しなければいけない。

・A2ADを使用することにより、「1つのサイズをすべてに適合するアプローチ」で思考を過度に単純化することなく、具体的な状況に基づき、「明確な思考(クリア・シンキング)」と決定的な行動により、現在および将来の脅威に対抗して任務を遂行することが重要である。

・米海軍の存在意義は、いつでもどこでも作戦し、言葉ではなく行動によって米国の戦略的影響力を行使し、米国の国益に寄与することである。

そのためには、米海軍本来の攻撃的で強い海軍に回帰することが急務である。

・リチャードソン作戦部長の考えは、同盟国による対中国A2AD論における米海軍の消極的な行動に対する批判であり、米海軍本来のより強くて積極的な作戦をアジアにおいて実施することを示唆する。

もしもそうであるとするならば、日本としても歓迎すべき考えである。

さらなる深慮遠謀はあるか?

さらに考えると、今回のA2AD使用禁止命令には、いまだ明らかにされていないリチャードソン作戦部長の深慮遠謀があるのかもしれない。

米海軍の将来について大きな構想があって、その手始めとしてA2AD使用禁止令を出したのであれば、作戦部長の言動には今後とも要注目である。

以上が私の考察であるが、今回の禁止令は米海軍に限定されていて、米国防省全体にA2AD禁止令が出た訳ではないので、私は今後ともA2ADという便利な用語を使い続けることにしよう。十分にリチャードソン大将の真意に配慮しながら。

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『北への予防攻撃が頼みの綱だ 「自前の核武装」は間に合わない』(10/14日経ビジネスオンライン 鈴置高史)について

朝鮮民族同士で相争うのは勝手ですが、日本を巻き込まないでほしいという事です。日本も核武装を考えないと韓国のようになるでしょう。核の恫喝を受けたときに、平然と対抗できるかという事です。どこかの国から買って核配備をしたとしても、敵の手先となっている輩が大騒ぎし、それに大衆は煽動されるでしょう。貧者の恫喝、キチガイの恫喝程、手に負えないものはありません。政府はキチンと対応してほしいし、国民は動揺・慌てふためくことの無いようにしてほしい。

予防攻撃こそがポイントでしょう。北に継戦能力があり、かつ核を残存していれば撃つでしょうけど、米国のように遠くまで飛ばすうちに撃ち落される可能性があるので、ソウルor東京or北京になるのでは。無防備なのはソウルと北京でしょうからそちらに落とすのではと思います。日本はSM3やPAC3があるので途中で撃ち落とされる可能性がありますので。

韓国と米軍共同での予防攻撃に踏み切れるかという所でしょうけど、反米の韓国では共同では難しく、やるなら米軍単独になるのでは。中国と金正恩排除後の北の体制を話し合い、非核化させた上で中国の傀儡政権を作るようにするのでは。

この記事の続きが楽しみです。

記事

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米国が配備を迫り、中国が拒否を迫るTHAAD(地上配備型ミサイル迎撃システム)。韓国の保守派は「THAAD配備が実行できなければ、いよいよ北の核に対抗できなくなる」と焦りの色を隠さない(提供:U.S. Department of Defense, Missile Defense Agency/ロイター/アフロ)

前回から読む)

「自前の核」を唱えていた韓国の保守派が、北朝鮮への「予防攻撃」をも訴え始めた。北の核武装が予想以上に速いテンポで進むからだ。

脆い「米国の核の傘」

前回は韓国の保守の論客が「北の核」がいかに韓国の安全と独立を侵すかを必死になって国民に訴えているとの話でした。

鈴置:米国の「核の傘」が「北の核」の前ではいかに脆いものか、保守運動指導者の趙甲済(チョ・カプチェ)氏が極めて具体的に説明しています。

自身の主宰するネットメディアに載せた「仮想シナリオ・大韓民国最後の日(1)」(9月23日、韓国語)が圧巻です。シナリオの形式をとって、悲惨な韓国の近未来を描き出しました。

北朝鮮が核ミサイルを実用化した後の2018年か2019年頃の朝鮮半島が舞台です。要約しながら訳します。

  • 北朝鮮が軍事境界線付近の白翎島(ペンニョンド)を突然砲撃し、韓国の軍民に数百人の死傷者が出た。韓国軍は直ちに報復、同島の砲撃を命じた北の軍団司令部を空軍機で爆撃した。北朝鮮側も多数の死傷者を出した。
  • 翌日、金正恩(キム・ジョンウン)自身が直接「我々への攻撃命令を下した国防長官、参謀総長らを処罰しろ。損害を補償しろ。白翎島から韓国は出て行け」と要求したうえ「応じないなら韓国の都市1つに核兵器を使う」と宣言した。
  • 韓米両国の大統領は緊急に電話会談し「米国は約束通りに韓国に核の傘を提供する」と共同発表。さらに米国は空母と潜水艦を韓国周辺海域に派遣した。

日韓で「核戦争反対」デモ

—米国はちゃんと「核の傘」を提供すると宣言するのですね。

鈴置:ええ、そこは「従来の現実」通りです。北朝鮮が核実験するたびに、米国は核の傘を提供すると日韓両国に確認してきました。でも北が核を実戦配備すると、この先の展開が変わってくるのです。以下です。

  • 北朝鮮は「もし、米国が攻撃してくるのなら米西海岸を核攻撃する」と宣言した。
  • そんな中、韓国では「核戦争反対運動」が巻き起こった。大規模のデモ隊が平和を叫びながらソウル市内を占拠。彼らは北の核攻撃の脅威を糾弾するのではなく、米国を批判した。
  • 多くの国民が「とりあえず核戦争を防がねばならない」と米韓の強硬策に反対した。世論調査では70%以上の韓国人が「平和のために北の要求を聞かねばならない」と答えた。
  • 韓国の政界でも「北の司令部への攻撃はやり過ぎだった」といった批判が強まる半面、「一戦も辞さず」と主張する声は小さくなった。
  • そうした韓国の動きを見て、米国では議会とメディアを中心に「ソウルを守るためにロサンゼルスを犠牲にはできない」との世論が高まった。
  • 米軍基地がある日本でも「第2のヒロシマに反対する」と、米国の対北報復方針を批判する大衆運動が始まった。米韓両国政府はジレンマに陥った。

高まる米国の反韓感情

—確かに、多くの日本人は「あの不愉快な韓国と北朝鮮の内輪もめに巻き込まれ、核ミサイルを撃ち込まれるなんてとんでもない」と考えるでしょうね。

鈴置:そこです。北が核を持つと日本人の「巻き込まれ」への懸念がぐんと増します。「沖縄や三沢から米軍機を発進させるな」と要求する「平和運動」が起きるのは間違いありません。

韓国人でさえも、このシナリオでは70%強が「核戦争を避けられるのなら、北朝鮮の言うことを聞こう」と言い出すのですから。

北朝鮮は「核」をさらに活用するだろうと趙甲済氏は読みます。記事の翻訳を続けます。

この状況を見て、中国が6者協議を提案する。だが、北朝鮮は拒否したうえ「我々の要求をまず実行しろ」と韓国を圧迫。北朝鮮の無人島で小型の核兵器を爆発させた。

潜水艦から中距離ミサイルを垂直に近い角度で撃ち上げる実験でもあった。韓国が持っているお粗末な防衛システムではこうしたミサイルは防げないことが明らかになった。

ソウル市民は恐慌状態に陥り、仁川(インチョン)国際空港は国外に脱出する人で麻痺した。公務員も会社員も欠勤し、社会システムが動かなくなった。

将兵の家族は連日、国防部の前に集まり、戦争反対デモを繰り広げた。ついには「こんな危機を呼んだ国防長官らを拘束して捜査せよ」との主張が登場した。

こうした中、米国の反韓世論がより高まった。

白翎島で米韓合同演習

この後、どうしようもなくなった米国政府は北朝鮮との話し合い路線に転換します。待ち構えていた北は、米韓同盟破棄の伏線となる米朝平和条約の締結を持ち掛けます。

この記事の続編である「『閣下、それが韓国の最後の機会でした』」(9月24日、韓国語)では、米副大統領が大統領特使として訪韓し、韓国の大統領に同盟の根本的な見直し――事実上の破棄を通告するのです。

—不気味なシナリオですね。

鈴置:この暗い予測は韓国の保守派の間で共有されてきました。5回目の北の核実験を受けて、趙甲済氏が改めて国民に説明したのです。

「北朝鮮はまず、白翎島に挑発を仕掛ける」との予測も韓国では一般化しています。米韓の海兵隊は10月1日にこの島で合同軍事演習を行っています。

「来るなら来い」ということでしょう、米軍は演習の画像まで公開しました。「US-ROK Exercises in Northern Limit Line (Baengnyeong Island)」(10月8日)です。

韓国の核武装は時間切れ?

—趙甲済氏は北朝鮮の核にどう対抗しようと訴えているのですか。自前の核武装ですか?

鈴置:核武装も主張しています。ただ9月下旬に掲載した一連の「仮想シナリオ」では、北朝鮮の核・ミサイル施設への予防攻撃が必要だと力説しました。

中国と「非核化」を約束してしまった朴槿恵(パク・クンヘ)政権は自前の核武装においそれと動けません。仮にこれから取り組んだとしても、時間切れになる可能性が高い。

北朝鮮が核を実戦配備するのは2-3年後つまり2018年から2019年頃と見られています。一方、韓国が核武装に必要な第2撃能力――垂直発射管を備えた潜水艦とSLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)を配備するのは2020年です(「韓国が目論む『2020年の核武装宣言』」参照)。

核弾頭の開発にも2年程度の時間がかかる。今、核武装に乗り出しても、北朝鮮との実戦配備を巡るスピード競争に勝てません。韓国が核を持たない状況で、北に「白翎島砲撃」に始まるシナリオを実行されたら「国が消滅」します。

後は、予防攻撃しかない

そこで、趙甲済氏は北朝鮮が核を実戦配備する前の予防攻撃が必要だと主張し始めたのでしょう。9月7日にはソウル市内の講演でそれを訴えました(「北の核を予防攻撃で処理する時間はまだ残っている」=韓国語、動画付き=参照)。

予防攻撃とは敵が自分を攻撃する動作に入る前に、敵の軍事能力を叩いて取り除く作戦です(「朴槿恵は『北爆』を決意できるのか」参照)。

「核施設の在り処」を知り、強力な打撃力を持つ米軍が主体で実施するしかないのですが、米国も予防攻撃を辞さない姿勢に変わっています(「米国が北朝鮮を先制攻撃する日、韓国と日本は?」参照)。

しかしこの際、韓国に課題が残ります。北朝鮮がまだ核を実戦配備していないと見積もっても、ひょっとすると少数ながら実用可能な核ミサイルを持っているかもしれない。予防攻撃によってもそれらを完全に破壊できない可能性もあるのです。

当然、北朝鮮は核ミサイルを撃って反撃するでしょう。米韓はTHAAD(地上配備型ミサイル迎撃システム)やPAC3(地対空誘導弾パトリオットミサイル)、SM3(海上配備型迎撃ミサイル)で撃ち落とすことになります。

でも現時点で、韓国軍はいずれも持っていないのです。敵の核ミサイルに対し丸裸なのです。米国はPAC3を持っていますが、在韓米軍基地の防衛用でソウルは守れません。

米国はTHAADの配備計画も進めています。が、朝鮮半島南部に展開する米軍基地の防衛が目的で、これもソウルを防御できません。そのうえ中国や国内の反対で、本当に配備できるかも分からないのです。

THAADを導入しておけば……

—結局、米軍は予防攻撃できるのですか?

鈴置:趙甲済氏は「『閣下、それが韓国の最後の機会でした』」(9月24日、韓国語)で、韓国軍のミサイル防衛能力の不足と韓国人の反対により、米国が予防攻撃を決意できなくなると予測しました。

それだけではありません。このシナリオ――近未来小説で、予防攻撃できないことが米韓同盟崩壊の最後の一撃になると指摘したのです。米国の副大統領は韓国の大統領に対し以下のように語ります。要約しつつ翻訳します。

  • 今から考えれば、2018年が最後の予防攻撃のチャンスでした。我が国の情報機関は、この時までなら北の核ミサイルは実戦配備されていないと踏んでいたからです。
  • ただ、米国の情報も完璧ではない。我々の攻撃を受けても北は1、2発の核を維持するかもしれません。
  • もしこの時、韓国がTHAADをはじめPAC3や、SM3による多重的な防衛網を建設し、米国のMD(ミサイル防衛)システムと連結していれば、北の核攻撃による被害は最小化できたことでしょうに……。
  • 閣下(韓国大統領)は北朝鮮への予防攻撃に最も積極的でしたが、その計画が韓国メディアに流れたことですべてが水泡に帰しました。韓国で反戦デモが起こり、核攻撃するぞとの北の脅迫により韓国国会は圧倒的な賛成多数で軍事措置反対を決議しました。
  • そうなった以上、米国も軍事的解決を放棄するしかなかったのです。閣下、あれが最後の機会だったのです。

米国に見捨てられる韓国

—なるほど、見出しの「最後の機会」とは「予防攻撃が米国を引き留める最後のチャンスだった」ということなのですね。

鈴置:その通りです。THAADをはじめとするミサイル防衛網を韓国が造っておけば、予防攻撃も可能だった。でも予防攻撃ができなかったので、米国は北朝鮮と話し合うしか道がなくなり、韓国は米韓同盟を失った……とのシナリオです。そして北朝鮮と話し合いに入る米国が、その核武装を完全に食い止める保証はありません。

—では、近未来小説を離れ、現実の世界ではTHAAD、あるいは予防攻撃構想はどうなっているのでしょうか。

(次回に続く)

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『中国はハリウッドを乗っ取るのか あるいは「自由な発想」が中国に入り込むか』(10/12日経ビジネスオンライン 福島香織)について

日本は対応が遅いです。ユネスコへの分担金支払い保留何て、「南京大虐殺の記録」が登録する前にやって圧力をかけるべきでした。外務省の無能が災いしたという所でしょう。普通の民間会社であればライバル会社の動向を広告会社や卸、小売、量販店辺りから情報を取ります。敵国である中国や韓国がどういう風に動いているか情報を取る国を見つけないと。ユネスコに影響を及ぼす国にアプローチできるようにしないと。結局、外務省は何もしていないという事でしょう。岸田外相はリーダーシップがありません。とても総理の器ではありません。「追い詰められてから」では遅いです。先手先手で動いて行かないと。

http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS14H0B_U6A011C1EAF000/

水野靖夫著『Q&A近現代史の必須知識』を今読んでいますが、「日本は追い詰められて行って大東亜戦争へ入っていった」とあります。FDR、チャーチル、スターリン、蒋介石、毛沢東の考えが読み切れていないことが大きかったと思います。大きく見ればコミュニスト(シンパも含む)の謀略にしてやられたという事でしょう。今も「南京」や「従軍慰安婦」問題でコミュニストの中共に追い詰められて行っています。歴史から何も学べなくなった日本人の感がします。官僚の劣化が著しい。まあ、自分の頭で考えることもせず、日教組の教科書や偏向メデイアの報道をプロパガンダと思わず信じている人達ですから。結局、GHQのWGIPの呪縛がまだ解けていないという事でしょう。

中国は人口の大きさを市場の大きさとして武器として使ってきます。それに靡かざるを得ない、経営者に自覚を求めても詮方なきことでしょうが。アンジェリナージョリ-の「アンブロークン」や韓国の「鬼郷」などプロパガンダ映画が作られているのに何もしないことに歯がゆさを感じます。「表現の自由の尊重」ではなく、単なる意気地なしではないですか。抗議の声を政府は上げるべきです。また正々堂々と「歴史の見直し」を進めるべきです。米国が歴史修正主義と非難しようとも。中国は数百年のタームで日本を手なづけようとしています。それで世界に嘘をバラマキ、日本を道徳的に劣った民族と刷り込みをかけて、侵略されても仕方がないと世界に思わせようとしています。その手先が韓国なだけです。単なる使い走りですが。

自由のない国、人権抑圧国家の国民になれば、どういう仕打ちを受けるか、ソ連のスターリンの粛清、中国のチベット、ウイグル、内モンゴルでの虐殺、大躍進、文化大革命、天安門事件を見れば分かるはずです。日本国民はもっと中国の間接侵略に敏感にならねば。沖縄の反基地闘争や日本のメデイア操作等、考えれば分かりそうなものですが。

記事

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大連万達の2つ目のテーマーパークが中国・合肥市に開業。写真中央が王健林(写真:Imaginechina/アフロ)

「王健林がハリウッドに侵食していると、米国人たちが慌てている」。そういう趣旨の記事が中国国内でも10月初旬に相次いだ。中国一の大富豪にして大実業家の王健林率いる大連万達集団が米テレビ制作会社大手ディック・クラークプロダクションを10億ドルで買収しようとしている、と米紙WSJ(ウォールストリートジャーナル)などが危機感をもって報じたことを受けての記事だ。

ディック・クラークプロダクションといえばゴールデングローブ賞やアメリカンミュージックアワード、ビルボードミュージックアワードなど、米国映画、音楽文化を代表する賞を主管する。今年1月に、ジュラシックパークなどを制作した米大手制作会社レジェンダリーを35億ドルで買収したことに続いて、いよいよ中国がハリウッド乗っ取りに王手をかけた、このままではハリウッドの魂が中国に奪われてしまう、と米国人が焦るのも当然かもしれない。

というのも2012年から始まる万達の米映画産業の“爆買い”は、明らかに一企業の経済行為以上の意味があるからだ。つまり中国の文化覇権戦略を背景にした政治的行為とみられるからだ。

グローバルな映画産業で発言力を勝ち取る

万達集団のハリウッドがらみの買収を時系列にみていくと、まず2012年、米国で二番目に大きい映画館チェーンAMCを26億ドルで買収した。これは万達にとって初の海外企業買収であった。

続いて、2016年1月、レジェンダリーの買収を発表。この調印式のとき、王健林は「世界の映画産業は少数の米国映画会社に牛耳られている。この買収がその局面を変えることになる」「中国企業にとって、このように巨大で、その一挙手一投足が業界に影響を与えるような大企業を買収できたことは、まさに奇跡」「中国企業はこれからグローバルな映画産業において“話語権”(発言力)を勝ち取っていく」と挑発的な演説を行った。

また、この直後からハリウッド6大スタジオのうちの一つを買収する意欲をみせ、その6大スタジオの一つ、パラマウント・ピクチャーズの親会社ヴァイアコムがパラマウント株の売却先を探していると知るやいなや、その49%を推定資産価値よりも高い50億ドルで購入する提案を出した。

結局、ヴァイアコムの創業者の92歳になる大富豪、レッドストーンの強い抵抗で、パラマウント買収計画は頓挫。だが、かわりに、6大スタジオの一つ、ソニー・ピクチャーズの提携を発表した。この提携はソニー・ピクチャーズの一作品につき10%を上限とした出資を行うというもので、万達の影響力は限定的とみられてはいるが、今持ち上がっているディック・クラークプロダクション買収計画となると、これは米国人をかなり焦らせるだろう。

9月半ば、米下院議員16人が連名で、万達集団の“ハリウッド買収”に反対する意見書を米政府に提出、米政府側も「権限の及ぶ限りで、今後4か月調査を行う」との返答をしたという。

一方、万達集団は9月30日に、山東省青島市に中国版ハリウッドというべき映画基地「青島万達東方影都」をオープンさせた。これは15以上の映画スタジオ、11のセットを備え、10月にはここで「パシフィックリム2」の制作も始まるとか。

映画と話題は少しずれるが、万達は今年6月、ディズニーランドに対抗する映画テーマパーク「ワンダ・シティー」を江西省南昌にオープンさせ、2020年までに全国で15か所のワンダ・シティーをオープンさせる計画を明らかにした。この南昌のワンダ・シティーのオープニングでは、白雪姫などディズニーキャラのコスプレ姿の店員が映り、失笑を買ったが、王健林自身は「ショップが勝手にやったこと」と一蹴しつつ、今後20年、中国ではディズニーにはもうけさせないと豪語している。

このように、映画・エンタメ世界で破竹の勢いで進撃する王健林の本当の狙いは何なのだろうか。ハリウッドを牛耳り、映画王と呼ばれることだろうか。エンタメは儲かるからだろうか。私は、これは一企業家の行動ではなく、中国・習近平政権の覇権拡大戦略の重要な柱であるとみている。

習近平の覇権拡大戦略の一手

王健林という人物を簡単に説明しておこう。1954年生まれ、四川省出身。父親は長征にも参加した革命家の王義全。いわゆる紅二代だ。軍隊時代に、大連陸軍大学、遼寧大学に進学、卒業後は、ちょうど軍の大リストラにあい、公務員に転身し、大連市の住宅開発問題に取り組む。このとき、国有企業の大連市西崗区住宅開発公司の責任者となる。この国有企業が大連万達不動産集団の前身だ。

やがて企業家として頭角を現し、万達集団を中国最大級のコングロマリットとして導いていく。大連と言えば、失脚した元重慶市党書記の薄熙来との関係も当然深かったのだが、幸運なことに薄熙来が失脚する以前に王健林は薄熙来とけんか別れしていたという。さらに幸運なことに習近平に気に入られ、習近平の姉の蓄財にも貢献したとみられている。

権力闘争の機微にも通じており、習近平の政敵の巣窟・遼寧省出身でありながら、目下、習近平の一番のお気に入り企業家とみられており、本人も習近平政権の意向にそった言動をしている。FIFA(国際サッカー連盟)のオフィシャルパートナーになったのも、儲からないと自分で言っているサッカーチームへの投資も、習近平の無類のサッカー好きを見越してだと言われている。

ところで習近平政権の政策でいくつか顕著なのは、文化産業のコントロールと振興である。党を支えるのは二本の棒、銃とペン、すなわち軍とメディアでありその双方の掌握が重要というのは毛沢東の時代からいわれていることだが、習近平はそれを忠実に守っており軍制改革と強軍化によって軍の掌握を進める一方で、メディアコントロールにも前政権以上に力を入れている。

このメディアというのは単に新聞テレビなどの報道分野だけでなく、「政治宣伝」を担うあらゆるメディアのことであり、その中には映画、アニメ、文芸、音楽、芸能なども重要な地位を占める。特に映画の伝播力、洗脳力については非常に警戒と期待があり、だからこそ、国内のハリウッド映画などの中国人への影響力を「文化汚染」「文化侵略」と呼んで排除しようとやっきになったりもしている。

だが、実際のところ中国の映画市場でハリウッドを締め出すことは困難である。

「西側の普遍的価値観」に危機感

中国の映画市場は2015年、約440億元の売り上げがあり、うち国産映画のシェアが初めて60%を超え、さらに年間売り上げナンバーワン映画が初めて国産映画の「捉妖記」となったことが「中国映画市場のハリウッド離れ」という文脈で報じられた。逆に言えば、2014年まで中国映画市場でハリウッド映画はずっと人気のトップを走り、中国側が輸入枠を設けて進出を制限し、厳しいセンサーシップを設けて、上映映画館を限定して、上映期間も国産映画よりも短期に設定したとしても、売り上げ上位はハリウッド映画にほぼ独占されていたということだ。

“ハリウッド離れ”と言われた2015年に関しても冷静にみれば国産映画は278本、輸入映画は80本しかないのに、興行収入の割合でいけば4割が輸入映画だ。この80本の輸入映画のうちハリウッド映画は44本までに制限されている。1億元以上の興行収入の映画は81本、うち中国国産映画は47本にとどまる。

中国当局がハリウッド映画を警戒しているのは、ハリウッド映画がエンタメを装いながら米国的な価値観を非常に効果的に観客に浸透させることだ。例えば、自由や民主、人権、そして米国は正義、米国はヒーローというイメージ。中国が受け入れられるものもあれば、受け入れがたいものもある。

たとえば、「アバター」という映画は、一見、完全な娯楽SFのように見えて、マイノリティへの迫害問題もテーマになっており、中国人にはどうしてもチベット迫害を想起させる内容になっている。審査のときには当局はそのメッセージ性に気付かなかったが、上映されたとたん、映画を見た中国人ネットユーザーが民族問題について語るようになったため、いったん許可した上映を急きょ取り消す事態になった。習近平政権は、9号文件に代表されるイデオロギー政策で強く打ち出しているように、「西側の普遍的価値観」(自由、民主、人権など)の中国への浸透を非常に警戒しているが、ハリウッド映画など娯楽は、センサーシップをうまく潜り抜けてそうした価値観を中国人に浸透させてしまうわけだ。

こうした状況に対して、中国が取り得る対抗措置はもはや国内にハリウッド映画の流入を防ぐことよりも、ハリウッド映画よりも面白い中国映画を作ること、あるいはハリウッド映画の中身に中国サイドが関わることしかない。万達のハリウッド投資は中国にとって好ましいハリウッド映画を作ることが狙い、ということになる。

2016年には中国映画市場の拡大にともない、ハリウッド映画の輸入枠上限が撤廃されることになったが、もはや本数の制限ではなく、中国にとって都合のよい映画をハリウッドに作らせることに力点が変わってきている、ということだろう。王健林のいう「話語権」とはまさに、中国が伝えたいメッセージをハリウッド映画に組み込んで世界に伝えるということであり、これはハリウッドの文化侵略、文化汚染を恐れていた中国が、一転して攻めの姿勢となって「文化覇権」を狙っていると言えなくもない。

マット・デイモンが中国人兵士役

実際に近年のハリウッド映画は明らかに、中国寄りになってきている。なにせ中国は2017年には米国を抜いて世界最大の映画市場となるのだから、中国人観客に受けないことには、ハリウッド映画も成功しない。例えば2015年に公開されたハリウッド映画「オデッセイ」は火星に取り残されたNASAの宇宙飛行士を救出するために万策尽きたとき、中国国家航天局が国家機密のブースターを提供するという、すごく頼りになる国家に描かれている。実際の中国は、こんなお人よしではない。

今年12月に公開予定のスターウォーズシリーズの最新作「ローグ・ワン/スターウォーズストーリー」には、中国人気俳優で監督でもある姜文と香港アクションスターのドニー・イェンが正義感あふれる役で登場するのも中国市場の受けを計算したと言われている。

さらに張芸謀監督、マット・デイモン主演で万里の長城を舞台にしたファンタジー映画「長城」が、来年春節前後に公開される。マット・デイモンは目覚めた古代中国人兵士役なので、なんで中国古代兵士を白人が演ずるのか、不自然だ、と一部中国人側からブーイングも起きている。確かに中国市場受けを狙うなら中国人俳優の起用の方がいいのではないか。だが、これは中国側の狙いとしては、中国の悠久の歴史や文化の深さ、美しさを世界に発信するため映画だという。つまり中国のポジティブイメージをハリウッドの手法で世界に発信するために、ハリウッドスターを主役に起用したわけだ。

習近平政権が目下、強軍化による海洋覇権をもくろんでいることや、人民元の国際化やAIIB(アジアインフラ投資銀行)の設立などで、通貨の国際化を進め、いずれは米ドル基軸体制に挑戦するという「通貨覇権」をねらっていることは、このコラムでも取り上げてきた。国際社会で影響力を拡大していくには軍事と経済の実力が欠かせない。だが同時に欠かせないのが文化の力なのである。

政権の安定に、治安維持力と経済成長とメディアコントロールによる世論誘導が必須であるのと同様、国際社会における影響力も軍事力、金融・経済、そして文化・情報発信力による国際世論誘導力が重要だ。強引な戦争を仕掛けても国際世論の誘導力があれば、それは正義の戦いとなる。世界の秩序が今、米国基準になっているのも、“普遍的価値観”が西側のデモクラシーが基本になっているのも、すべて米国の文化・情報発信力の強さのせいだとしたら、それをしのぐ発信力で中国の秩序、価値観を広めれば、中国が世界の正しさの基準になるわけだ。これが今の中国の考え方だ。

イデオロギーか、「自由な発想」か

ただし軍事、金融・経済に比べて、文化の覇権は難しい。軍事は金の力で強化できるが、文化は金があれば質の良いものができる、というものでもないからだ。そこには、「表現の自由、思考・思想の自由」という精神の問題も絡んでくる。自由な発想がなければ、そこに金や技術があっても優れたコンテンツは生まれない。

米国人はハリウッドが乗っ取られることを恐れているが、中国が本当にハリウッドの手法で世界市場に通用する映画を作ろうとすれば、表現の自由、思考・思想の自由を求めるように変わっていく可能性もあると、私は思っている。もちろんハリウッド映画がつまらなくなる、という可能性もあるが。

中国がハリウッドを乗っ取るのか。それとも、ハリウッドに引き込まれた中国の映画産業が政治やイデオロギーのくびきから自由になろうとするのか。それは今後、生まれてくるハリウッド映画や中国映画を見てみないことにはわからない。

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『ポピュリズム跋扈の中、日露急接近で世界史は動く 米国が最も恐れる対米独自外交路線に安倍は踏み切れるか』(10/7JBプレス W.C.)、『怒りのプーチンが西側メディアに警告した「第三次世界大戦」開戦の理由』(10/11MONEYVOICE)について

いやはや米ロ関係がここまで悪くなっているとは。第三次世界大戦、しかも核戦争の幕開けになりそうという記事です。日ロの信頼感構築が吹き飛んでしまうような問題でしょう。グローバリズムVSナショナリズムの戦いというふうに馬渕睦夫氏は見ていましたが。MAD(相互確証破壊)の概念は通用しなくなったという事でしょうか?米国のミサイル防衛がロシアの戈の核ミサイルを撃ち落とす危惧があるので、物量作戦で対抗するということです。でも戦争になれば、地球全体が汚染され、いくら核シェルターで暮らしても地上には出られず、生物も生きられず、水も飲めない状況に陥るのでは。ユダヤ人は罪作りです。国際金融資本を牛耳り、原爆を作り、キリストを生んで人類破滅の計画を立てさせるのでは。ユダヤ人の偉業は認めますが、核戦争はゴメンです。日本には米軍基地がありますのでロシアは当然そこに核ミサイルを撃ち込むでしょう。

日本が米ロを仲立ちできれば良いのでしょうが、軍事力(自衛隊は制約を受けているという意味で)を持たない国では両国から相手にされないでしょう。中国もわれ関せずで、漁夫の利を狙っていると思います。でも核戦争が始まれば、中国も生存できなくなります。

10/14宮崎正弘氏のメルマガに「ウィキリークスの暴露でばれたヒラリーの無知  中国が「南シナ海」と言うのなら「太平洋は『アメリカの海』ね」。

ウィキリークスが暴露したヒラリー・クリントンの中国に関して演説内容を読むと、彼女が中国に対して無知と誤解による幻像を抱いていることが明らかになった。  ヒラリーは国務長官辞任後、ウォール街の大手ゴールドマンサックスや、その関連会社、CMEグループなどへでかけて、高額な講演を行っている。そのときの講演録が、こんかい、ウィキリークスの手で暴露されたのだ。  「習近平は胡錦涛より、はるかにマシな政治家よ」と彼女は言い放った。  「胡錦涛がなしえなかった経済改革と社会改革に壮大なビジョンがありそう」。「なによりも彼は短時日で軍を統率して、権力を集中している」。  習近平をほめあげる理由として、「30年前にアイダホ農家に短期だが、ホームスティの経験があり、彼の娘がハーバード大学に留学していることは、発表はないが中国高官はみな知っている。つまりかれらの「中国の夢」って、「アメリカンドリームの中国版」なのよ」。  しからば、中国軍人たちの愛国心とは何かと問われたヒラリーは「人民解放軍の幹部、とりわけ50代、60代の軍人等は周りに親戚や家族や友人が「日本軍に殺された」というわ。中国のナショナリズムって、『反日』なの」。  講演したのは2013年の6月4日(天安門事件記念日に中国を褒める無神経に注目したい)、そして同年10月(日付け不明)と同年11月18日。いずれも習近平が国家主席となって数ヶ月ばかりの頃である。  中国へのあまい評価と幻像を抱いていることがこの演説からも読み取れる。」(以上)

とありました。ヒラリーこそが第三次大戦を齎す大統領候補ではありませんか。同盟国(属国?)をさておいて敵国と深く結びついているヒラリーが大統領にならないことを願っています。

12月の安倍・プーチン会談はそういう意味では「信頼関係構築」が大事になるのでは。

JBプレス記事

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露ウラジオストクで開催された東方経済フォーラムで挨拶を交わす安倍首相(左)とプーチン露大統領(右、2016年9月3日撮影)〔AFPBB News

文中敬称略

9月中旬に行われたロシア下院選挙は、周知の通り与党の圧勝という結果に終わった。50%を切るような投票率の低下に助けられた結果だ、と米紙は書く。だが、米国でも投票率の40%台は珍しくもないから、選挙への無関心についてそう偉そうなことをあまり言えたものでもあるまい。

その選挙直前の週に、日本のメディア関係の方々とモスクワを訪れる機会があり、選挙戦終盤の日本のイメージとは程遠いその街で、ロシアの政治や経済の専門家たちから様々な意見を聴取して回った。

9月初めにヴラジヴォストーク(ウラジオストク)で行われた日露首脳会談からまだ日も浅く、12月のロシア大統領V.プーチンの訪日が公表された後だったから、面談相手への質問は何と言っても日露関係、つまりは領土問題と平和条約交渉に集中する。

当たり前の話とはいえ、4島は多分日本に返還されるよ、などと頼もしいことを言ってくれる相手は皆無。その多くが、「プーチンは資金や投資ではなく、信頼関係を重視する。この信頼関係がなければ話はまとまらない」と強調する。経済支援という1990年代の発想はもはや通用しない、と念も押してくる。

相互信頼構築の皮算用

経済協力にいくら努めても4島が戻ってくるわけではない、となれば、日本で指摘される「ロシアが経済だけを食い逃げする」「いいとこ取りで終わる」という議論がもっともらしく聞こえもする。

しかし、一歩下がって考えれば、彼らがそのつもりなら、最初から「経済と島はバーターではない」などと自ら強調する必要もないはずではないか。

彼らの力点は一様に「信頼関係」に置かれている。「その点に日本は十分な注意を払っていないようだが」として、外交誌編集長でロシア外交のブレーンの1人でもあるF.ルキヤーノフは次のように解説する。

「過去20年以上にわたって(それは日本の責任でもないが)欧米がロシアへの約束を何度か破り、それが理由でロシアは誰も信用できなくなってしまった」

「それを考えれば、重要なのは平和条約締結という形ではなくその実体(相互信頼)に求められる。領土問題に関するプーチンの基本姿勢は『両国間の関係の質的変化を伴わねば、その解決はあり得ない』なのだ」

「それは、ロシアがこれまでに、中国、カザフスタン、エストニア、ノルウェーといった国々とどう領土問題を解決してきたかを見てみれば分かるはずだ。経済関係などを通じて信頼関係が醸成されれば、それが結果的に政治関係の緊張緩和につながっていく」

こうして両国間の相互信頼を強調するところは、ロシア人とこれまで付き合ってきた経験値に照らし合わせると確かにその通りと頷けなくもない。

肝胆相照らす、とまではいかないにしても、気持ちが通じ合える仲にならねば・・・飲んで無防備な泥酔状態に互いに陥る仲にでもならねば・・・仕事なんぞできない、である。

そうなると、これは理屈を超えた情の世界の問題でもあるということになる。互いにトモダチになれるのか? だが、それ以前に多くの日本人は「相互信頼」という言葉そのものに、そしてそれがロシア側から言われ出すことに引っかかってしまうだろう。

2国関係では得てして一方は、常に自分は友好的かつオープンであると自負してそれに何ら疑いを差し挟まず、そうした関係が達成されていないならそれは相手に何か原因があるから、という考えに流れやすい。日本人とてその例外ではない。

だから、「相互信頼」などと言われても、善意の塊のようなこちらにとっては当然至極の話で何をいまさら、と訝しく思い、さらには、ロシアが適当に何かを隠し立てする美辞麗句に過ぎないのでは、と推し量る結果になる。ロシアが相手だけに、有体に言えば「お前だけにはその言葉を吐かれたくはない」だろう。

どうやらロシアに対して、まだ相互信頼を積極的に見出していこうという流れには乗れそうもない。ならば、それがないままならこれから先は? を考えたならどうなるだろうか。

領土問題が平行線たるゆえん

領土問題のこれまでの日露間の議論は平行線をたどるのみであった。割り切ってしまえば、領土問題は元々が議論で片が付くような代物ではない。それは世界史の中で常に戦争を伴ってきた。奪われたら腕ずくででも奪い返すしかない。

だが、それが真実であっても、現実には意味がない議論だ。そのために新たに戦争をこちらからやらかそうと主張したところで、まあ今の日本では正気の沙汰とは扱われない。

ならば、言論の力で島を取り戻せるのだろうか。この点での歴史上の事実認識やその解釈を巡っての日露間の議論は、詳細をいじり出したらきりがないのだが、これまで平行線をたどるだけだったことは皆が認めざるを得ない。

議論とはいうものの、日本ではその根底に「米軍にコテンパンにやられ、倒れる寸前だったヨレヨレの日本に攻め込み、その後の敗戦のどさくさに紛れて他人の土地を分捕っていった奴ら」というロシアに対する思いが流れる。

だが、ロシア側にもそれに対抗する感情や理屈は星の数ほどある。そして、国際世論も、「法と正義」という人類普遍の価値を標榜する日本の主張の下になぜか集まってこない。

その中でロシア人も日本人も、世論調査に答える大多数がこうした相手から出てくる細かい議論や感情、それに第三者のスタンスを知らずに終わっている、というのが実情だろう。言論は、暴力の否定という意味で大変な価値を持つものなのだが、それは必ずしも問題解決の万能薬であることを意味はしないのだ。

ならば、ここでそうした恩讐を超え、思い切って問題に終止符を打つか、互いに歴史への蟠りを抱えながら半永久的に今の状態を続けるか、のいずれかしかない。そして今、首相の安倍晋三はその前者の道を選択したように見える。

恩讐を超える――それは多分に理屈の世界ではない。ロシアの専門家たちはそう言いたいのだろう。どちらがどちらを言い負かすか、の目的を捨てることでもあり、もしプーチンが「引き分け」と述べた際にそこまで思いを致していたとすれば、彼も中々の哲学の持ち主なのかもしれない。

彼らによれば、机上演習で構築された「相手が欲しがるものを与え、こちらが欲しいものを取る」というアプローチは、その中では通用しない。最初から、ギブ・アンド・テイク(Give and take)の構図を見せてしまったのでは、それはロシア人が受け止める「相互信頼」でもなんでもないということになってしまうからだ。

これにも異論はあろう。国際関係では「相互信頼」は外交辞令でしかない。そこら中の国際関係でこの用語は氾濫状態だ。それに、それが情に根差したと言うなら、そんな一時の感情に国の進路を委ねるなど危険極まりないではないか、となる。

英国の政治家がかつて喝破したごとく、永遠の敵も永遠の味方もいない、あるのは永遠の国益だけ、のはずだからだ・・・。

だが、もしロシア人が(そして、実は日本人も)、外交が駆け引き100%の世界でもなく、しょせんは人間と人間との関係であり、最後は情に行き着く「信頼」もその中の価値観の1つとして意味を持つ、と理解するのなら、それを無視することはもはや賢明ではないのかもしれない。

メディアのから騒ぎが領土問題を難しく

昨今、日本では領土交渉関係の記事がメディアを賑わす――2島で終わるのか(世論調査を根拠に、それすら難しかろうと評するロシアの専門家もいるが)、それ以上があるのか。12月までこの状態が続くだろう。それが衆院解散にまで結び付く話となれば尚更の話である。

この状況の中で、日本の外務省高官は日本のメディアに対して、「『国民に説明できる解決策が簡単に見いだされる』と、世論の過大な期待が高まることは望ましくない」と述べている。同じ趣旨を、F.ルキヤーノフも、「政治的に注目されなければそれだけ領土問題は解決が早くなる」と指摘していた。

世論が過熱し、蓋を開けたら皆が仰天し、その挙句に日比谷焼打ち事件勃発、などは政府にとって何としても御免蒙りたいところ。安易なポピュリズムよりは、まだ無関心の方がマシなら、年明けに選挙があってもロシアの下院選並の投票率で収まることをひょっとしたら期待しているのかもしれない。

今回の面談先との対話で日露関係以外のトピックスとなると、シリア問題と米露関係が出てくる。そのいずれもが、日露関係にも影響を与えかねない。

露紙の軍事評論家であるP.フェリエンガウエルによれば、8月下旬のロシア国防省幹部会議で極東大陸部北端からヴラジヴォストークに至る千島列島に沿った防衛線確立政策が承認された。

その目的は、オホーツク海での核兵器安全移動の確保で、この海を外国へ向けて閉ざして完全に支配下に置くことにあるという。

これは冷戦時代の対米防衛思想そのもので、このためには国後・択捉間の海峡のみならず、歯舞・色丹を除いたすべての島嶼海峡が重要になるという。つまりは、「軍事的にもはや歯舞・色丹以外の千島諸島を、一部たりとも外国に渡すわけには行かない」、なのだ。

この米露関係を悪化の一途に追いやるのはウクライナに続くシリア問題であり、これも周知の通りシリア政府軍とロシア空軍がアレッポ奪取に大手を懸け、そうはさせまいと動く米国との関係が冷戦後最悪の状態、と評されるまでになっている。

9月の初めに両国間で一度は和平交渉を成立させたかに見えたが、その直後に起こった米軍のシリア軍への誤爆や(ロシアの一部では誤爆とは信じられていない)、ロシア機の関与が疑われる国連の人道支援車列への空爆事件の発生で、それは頓挫してしまった。

米露双方ともに問題を抱える。レーム・ダックの米大統領、B.オバマの下でペンタゴンは徹底した反露路線を崩さず、何とか話をまとめようとする国務長官、J.ケリーの足を引っ張る。議会も同様、そしてボスのオバマとも方針が一致とはいかず等々で、同長官も、もうやってられない、と弱音の1つも吐く

ロシアとて米国を嗤えない。1年前にシリアへ参戦した際には、遅くとも今年の初め頃までにはアレッポを落してB.アサド政権を何とか維持できる状態に持って行こうとの目算だった

しかし、主役となるべきアサド政権軍が予想以上にだらしなく、そして肝心のアサドが、戦局の転換で気を良くし過ぎて誇大妄想にでも陥ったのか、ロシアの言いなりにはならなくなってしまった。

自らへの反省意識が全くない西側

その昔のアラブ民族主義の時代から、スラヴにアラブはしょせん理解できない、と言われてきた。今回も同じ轍を踏む憂き目に遭いかけている。なぜ性懲りもなく、なのか。

カーネギー・モスクワセンター所長のD.トレーニンは、西側との折り合いが悪くなってしまったために、ロシアが求めた独自の外交戦略の結果が、シリアへの介入とアジア・太平洋地域に向けての東進政策だったと言う。

折り合いが悪くなった理由の、西側に騙されたというロシアの思いについては何度かこのコラムでも触れた。要はソ連末期のM.ゴルバチョフと欧米が交わした合意 - 東にNATO(北大西洋条約機構)勢力を拡大はしない、がその後いとも簡単に破られたことに端を発している。

ロシアにとってみれば、その後のウクライナ問題も、泥沼化した中東問題も、無定見な西側が最初に踏み込んできた、だから防衛するしかない、ということになる。

だが、西側ではこれとは正反対に、先に狼藉を働き始めたのはロシア(と中国)で、だから「危機感を覚えた米英などの軍・情報機関が本気で巻き返しに動き出した・・・」と論じている

どちらが先に悪さをしでかしたのかで、見方は正反対になる。特に西側では自らへの反省意識が零に近い。これでは欧米とロシアの溝はその埋まりようがない。その中で欧米では、ソ連帝国復活を目指し、武力による領土拡張も厭わない「邪悪」なプーチンのイメージが形成されていく。

米の大統領選では、民主党候補のH.クリントンが、そのプーチンを悪の権化と名指して憚らない。ロシアが犯人とされる民主党へのサイバー攻撃がその火に油を注ぐ。外交儀礼などどこへやらのロシアへの罵詈雑言乱発に対し、ロシアの知識層はそこに、ベトナム戦争の時代ですら見られなかった米国の自信喪失、あるいは知的頽廃を垣間見ている(12)。

クリントンが次期大統領なら米露関係は絶望的だ、と多くのロシアの専門家が一致していた。ネオコンの続投を確信するからだろうし、さらにその深層には、今の米国は相手にできるようなまともな状態にはない、という見方が横たわる。

その中で安倍の対露外交は生き残れるのだろうか。そこに問題の本質が現れてくる。問われているのは日露外交と言うよりは、むしろ米国が最も危険視する日本の対米自主外交の可否なのだ。そこに膨張中国を見据えた日本の国家百年の大計を重ね合せなければならない。安倍の心労やいかばかり、である。

最近は、権力欲にまみれきっている「邪悪」なプーチン、と断じて憚らない西側のメデイアですら、実は彼が疲れてきており、再来年の大統領選では次の世代にその座を譲る可能性も、などと書き始めてきている

治世16年で漸く、である。これまでの働きぶりを見れば、疲れない方がおかしい。10倍近くの国力を持つ米国を相手に丁丁発止を演じるなど、誰にでもできることではない。

他国に彼の隠れファン(中国ウォッチャーによれば、習近平もその1人らしい)がいるのも、日本が大国・ロシアを打ち負かした日露戦争に新たな国際時代の幕開けを見ようとした当時の人々の気持ちに似た何かを、彼に感じるからなのかもしれない。

そのプーチンの姿は、彼に14回も会っている安倍の眼や心にはさてどう映っているのだろうか。

MONEYVOICE記事

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第三次大戦が迫っている――ロシアのメディアは去年早くから、こうしたことを自国民に向けアピールしてきましたが、西側が真剣に報じるようになったのはつい最近のことです。(『カレイドスコープのメルマガ』)

※本記事は、『カレイドスコープのメルマガ』 2016年10月6日第176号パート1、10月11日第176号パート2の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。割愛した全文もすぐ読めます。

「もう私は何も言わない、何も期待しない」プーチン怒りの理由とは

開戦前夜

「今は第三次世界大戦前夜である」

数年前から、米国の数多くのオールターナティブ・メディア(企業にスポンサードされていない中立メディア)が、その可能性について指摘してきたことですが、ほんの数ヵ月前からは、いわゆる西側の企業メディアと言われている主流メディアでさえ、それを隠さなくなっています。

英BBCが、独紙フランクフルター・アルゲマイネによって公表されたドイツ内務省の「民間防衛計画書」を取り上げて、ドイツ政府が国民に国家的緊急事態に備えるよう勧告していることを報じたのが今年8月。

それに先駆けて、オバマが5月31日のホワイトハウスの公式ページで「緊急事態に備えて、携帯電話にFEMAアプリをインストールすることを推奨」するだけでなく、同じく、ホワイトハウスの8月31日の公式ページでは、国家の非常事態に対処するため、国民一人一人に備えをしておくよう「国家準備月間 2016」を宣言しました。

さらに、その前の8月2日のホワイトハウスの公式ページでは、「米国で緊急事態が起こったとき、トランプではそれに対処する能力が十分ではない」と、来月に迫った大統領選でトランプを潰すための方便に利用することも忘れていません。 (※第160号「経済崩壊と世界規模の気候大変動と日本版FEMAの創設」、あるいは、第174号パート1「国民に計画的『大艱難』への準備を奨励するホワイトハウス(その1)」にて詳述)

大方は、もはや不可避となっているドイツ銀行の破綻が、リーマンショックを一ケタも上回る経済災害を引き起こすためであって、米欧の経済大国が注意喚起のために、こうした警告を出すに至ったのである、と見ています。

【関連】ヒラリーもトランプも消える、アメリカ大統領選「第3のシナリオ」とは

【関連】ドイツが恐れるテロでも金融危機でもない「第3の脅威」プーチン・リスク

ロシア緊急事態省が核戦争の危機を警告

しかし、その憶測は、9月29日のロシア・トゥディが、ロシア緊急事態省(EMERCOM)の「モスクワの全市民を地下シェルターに避難させる準備がととのった」との声明を報じたことによって、すぐに吹き飛んでしまいました。

そして、翌日の9月30日、今度は英語圏向けに「モスクワは、米国が核兵器使用の準備が済んでいることに留意し、その対応に備えている」と、明確に核戦争の危機が迫っていることを警告したのです。

これは、ロシア・トゥディだけでなく、同日のプラウダでも報じられました。

ロシア・トゥディもプラウダも、ロシア政府にコントロールされたメディアである以上、それらの英語圏向けの記事は、自国民向けの警告とともに、米国民に向けて核戦争の脅威を喧伝する目的も、その一方にあることは言うまでもないことです。

ロシア国民に向けて、(英語のように)バイアスのかかっていないロシア語で正確に伝えているロシアのメディアによれば、その内容は次のとおりです。

米国・ロシア間の核戦争は一触即発の危機

ロシア緊急事態省(EMERCOM)のNo.2であるアンドレイ・ミスチェンコ(Andrei Mishchenko)は、「民間防衛体制の新しいアプローチとして、核攻撃その他の非常事態が生じた場合に備えて、モスクワの都市人口の100%を保護することができる地下避難施設の準備を完了した」と述べた。

ロシア政府は、民間防衛体制を強化するために、制御および緊急警報システムを近代化するための法的枠組みを更新した。

さらに、ミスチェンコは、「われわれロシア緊急事態省は、民間防衛体制の分野において、市民の訓練システムの改善に取り組んでいる」と付け加えている。

ロシア情報技術・通信省、ロシア財務省、ロシア産業貿易省、ロシア連邦準備制度理事会、そしてロシア銀行は、ロシア軍の突然の立ち入り検査にも応じている。

これらの政府関連部門は、戦争の可能性に備えながら、戦時モードで各々のシステムの試験に取り組んでいる。

(ワシントンの権力者たちにとって都合の悪いニュースの暴露に専念している)ワシントン・フリー・ビーコン(Washington Free Beacon)は、ロシアが、突然、巨大燃料庫の建設を始めた、という米情報筋のソースを引用して記事にしている。

公表された情報によれば、このような掩蔽壕(えんたいごう)はロシアの国中に多数建設されているということである。

専門家は、これらの建造物は、予期される事態に対応するための統合化自動コマンドとロシアのミサイル戦力の第五世代コントロール・システムに関係していると指摘している。

それだけでなく、ロシアの民間防衛体制と緊急事態対応の組織に強い権限と責任を持っている部門によれば、この特別プログラムは2015年にモスクワでスタートしたということである。

その特別プログラムの範囲内で、空爆避難所と放射性降下物退避所がロシアの首都のあらゆる地区で建造され、あるいは再開されている。

2年前、ロシアは、モスクワへの核攻撃を阻止して、徹底的な報復攻撃を加えるために実戦的な演習を行った。

伝えられることろによれば、その実戦演習では、プーチン大統領は「核のスーツケース」を使用したということである。

2015年に、ロシアとアメリカ双方の将軍は、米国とロシアの間の核戦争は一触即発の危機にあると初めて述べた。

「モスクワ市民を含む大多数のロシア国民は、彼ら住人にもっとも近い空爆避難所の場所を知っているわけではないが、それにもかかわらず、避難所のリストは存在している。 避難所は、現在、人災によって引き起こされる非常事態、あるいは核攻撃に晒される数日間をやり過ごすことができるように維持されている」とロシア緊急事態省は述べている。

ロシアのメディアは、去年早くから、こうしたことを自国民に向けてアピールしてきましたが、西側の企業メディアが真剣に報じるようになったのは、つい最近のことです。

去年の暮、秘密結社のローマ法王フランシスコの言ったことを思い出してください。 「今年は、人類にとって最後のクリスマスになりそうだ」。

クリスチャンは、こんなことを言う聖職者が悪魔憑きであることが、どうして分からないのでしょう。

プーチン「怒りのスピーチ」

米ロの核戦争が現実味を帯びてきたのは、ロシア第二の都市、サンクトペテルブルクで6月16~17日の2日間にわたって開かれた国際経済フォーラムからです。プーチンが数ヵ国の報道機関の代表を招いて行ったスピーチで話したことが衝撃となっています。

その模様は、クレムリンの公式ホームページにアップロードされている動画によって確認することができます。

幸運にも、ここには、そのフル・スピーチが翻訳字幕付きでアップされています。 元の動画はコチラ。全世界で実に274万6千回も視聴されています。

プーチンは、集まった報道機関の代表者たちに、「私がこれから言うことを、あなた方が正確に報道するなどと期待してなどいない。しかし、私たちは大人である。大人としての対応を各人がすればいいことである」と、毎度、事実をゆがめて報道する西側メディアを牽制しながらも、率直に迫りつつある世界的危機について語りました。

おそらく、この10分間のプーチンのスピーチも、いつものように、西側メディアの多くは封印しようとするでしょう。

国境なきハザール・マフィアの国際金融資本と、彼らの世界支配のツールであるCIAにコントロールされた西側メディアによって洗脳されている西側世界のすべての人々が、このスピーチの中味を理解できるかどうかに、地球の運命がかかっています。

しかし、この動画の翻訳がところどころ間違っているため、予備知識や免疫のない人々には誤解を与えかねません。

以下は、スピーチの重要ポイントを抜き出して補足を加えながらも簡潔に要約した正確な内容となります。

この70年は、東西(米ソ)の核戦力が微妙なバランスを保つことによって第三次世界大戦は回避されてきました。

この二つの超核大国は、攻撃目的の戦略的核弾頭ミサイルの製造を停止しました。

理由は単純で、どちらか一方の軍事力が潜在的に支配的になったとき、核弾頭ミサイルの発射スイッチを押したくなるものだからです。

米ソ両国は、1972年5月に「戦略弾道ミサイルを迎撃するミサイル・システムの開発、配備を厳しく制限するABC条約」を締結しました。

本土から、あるいは、核弾頭ミサイルの搭載が可能な原子力潜水艦などから発射された核弾頭を搭載してミサイルを、迎撃ミサイルによって撃ち落とせば、両陣営の核抑止力が機能しなくなってしまうからです。

たとえると、同じ剣を持った同じ能力の戦士のどちらか一方が、決して突き破られない強固な盾を持って戦った場合、常識的には、その盾を持った戦士が戦いに勝利することになります。

その盾を制限することによって、互いに核による先制攻撃を思いとどまらせることこそが核抑止力になる、という考え方からABC条約が生まれたのです。

しかし、大陸間弾道ミサイルの製造停止は、世界的世論によって受け入れられたものの、戦争で利益を上げたいと画策している米・軍産複合体にとっては致命的なダメージとなったのです。

そこで、ブッシュ米大統領は、ABM条約から脱退する旨を露骨に表明して2002年6月13日に同条約から正式脱退したのです。

これによって、両核大国の軍事バランスは不透明になって、強い盾を持った一方が戦いに勝つことになってしまうのです。

そのため、ABM条約の正式脱退によって足枷を解かれた米・軍産複合体は、企業メディアを使いながら一方で(北朝鮮などを使いながら)核の脅威を実態以上に煽って弾道ミサイルの迎撃システムの市場を開拓していったのです。

私は(プーチンは)、ブッシュら、ネオコンの策動に気が付いていたので、ロシアは、核戦力を増大させることによって東西の核抑止力を取り戻そうとしたのです。

それは、事前に私(プーチン)から米側の支配者に通達されており、米支配者側も私(プーチン)の考えを受け入れたのです。

なぜなら、その当時、ロシアは経済的に疲弊しており、米支配者側も、ロシアが旧ソ連時代以上の核戦力を取り戻すことなど想像だにしなかったからです。

しかし、それは達成されたのです。

今では、ロシアの軍事力は、米国のそれ以上にハイテク化され、米国の戦力を凌駕するまでに巨大かつ強力になりました。

しかし、それは、今まで、約束を守らず世界に嘘ばかりついてきた米国の軍産複合体とネオコンに対する警戒心から、そうせざるを得なかったことであって、ロシアが米国に対して先制的に戦争を挑むつもりなど毛頭ない、ということだけは言明しておきたいと思います。

しかし、問題は、米国と米国の同盟国が配備しているミサイル迎撃システムの対ミサイルの種類です。

外形的にはトマホークなどの小型攻撃用ミサイルの形をしていても、小型の高性能核弾頭を搭載しているかどうかを知ることはできないからです。

それは、たった数時間で取り付け可能です。艦船の上での作業によって、急きょ、核弾頭ミサイルに造り替えることができるのです。

ワシントンのホワイトハウスにいる総司令官は、「非核から核へ」のたった一言で、すべてのことを済ませることができます。

また、私(プーチン)が米国側のパートナーと話をしたとき、米国は核弾頭抜きの弾道ミサイルを開発したいという意向を持っていることを知りました。

米国本土から、あるいは、原子力潜水艦が深く静かに潜航してロシアの領土に近づき、そこから弾道ミサイルを発射した場合、ロシアは、その瞬間、それが核弾頭を搭載した弾道ミサイルであると断定してしまうでしょう。

そのことによって、ロシアは自国防衛と、地球を核汚染でダメにしてしまう前に、それを止めるために大陸間弾道ミサイルを米国本土に向けて応酬するでしょう。

これは、ネオコンによる罠であって、運よく人類が生き残った場合、ロシアを核の狂人であると責め立てるためのプロパガンダに使うでしょう。

このプーチンのスピーチのテーブルについている西側メディアの報道機関の代表と言われている人々の表情を見てください。

彼らのうち、一人二人は気が付いたような表情をしていますが、大半の代表は、理解できないようです。

私たちは、こうした人々が毎日、送り出している捏造情報を鵜呑みにしながら、一歩一歩、第三次世界大戦に向かっているのです。

「それが何をたらすのか分かっているのか!」プーチンの真意とは

さて、ここで重要なことを思い出してください。

ロシア首脳陣による半ば非公式の公開討論会で、プーチンが、ISISが米国と、その同盟国によってつくられたことを正式に暴露した直後に、ロシアの戦闘爆撃機がシリアのISISをターゲットとして、果敢な空爆を行ったことを。

それまで、ロシアはシリアに対して援軍を送りませんでした。

しかし、主権国家であるシリアのアサド大統領からの正式な要請を受けて、プーチンのロシア軍は、ISISの掃討と同時に、米国とNATOが資金援助と武器を提供しているシリア反政府軍をターゲットとして本格的な反転功勢に出たのです。

結果、オバマの米軍が、それまで数万回もの空爆を繰り返しても、大した打撃を与えることができなかったISISを、たった2週間で、ほぼ殲滅させることに成功したのです。

その後、ISISの残党は、姿を変えて東に分散・移動し、東南アジアでテロを引き起こしたり、アメリカのワシントンの手引きによって米国本土に潜入していることは既報のとおりです。

プーチンは、今度のメディアに対するスピーチで、このように言いました。

「私たちは、全員、大人です。もう、私はあなた方には何も言わないし、何も期待しない」

恐らく彼は、最後に、こう言いたかったはずです。「それが何をたらすのか、分かっているのか」と。

前回同様、プーチンのロシアは、100%勝てることを確信した上で、こうした発言をするのです。これから何が起こるのか、それは自明です。

プーチンが西側メディアを集めて、彼らに説教するときは、常に戦闘体制に入った後のことであることを忘れてはならないのです。

一方のホワイトハウスも、間違いなく、第三次世界大戦の準備をととのえ終わったようです。

企業メディアでさえ、オバマ政権と彼の背後にいるグローバリストの戦争アジェンダを隠そうとしなくなりました。

200年以上も国際金融資本の寡頭勢力による新世界秩序と闘ってきたプーチンのロシアは、ロシアが米国によって攻撃されようとしていることを確信をもって感じ取ったからこそ、ロシアが防御モードに入ることを「国家主権に基づく措置である」と 国際社会に訴えるようになったのです。

西側のメディアによって、その声がかき消されてしまうことを知りながら。

米ロの直接対決は、米国の敗北を意味します。そして、グローバリストによる米国の破壊計画は、何十年も前から用意周到に練られてきたのです。

核弾頭17,000発分のプルトニウムを備蓄

定評のあるサバイバル・サイト「デイジー・ルーサー(Daisy Luther)」は、最近、ソースを明記した上で「ロシアとの戦いが切迫している8つの警告に値する兆候」という見出しの「まとめ記事」をアップしました。

それによると、「ロシアは、プルトニウムを備蓄している」ということです。

米・国務省は、ロシアが備蓄しているプルトニウムの総トン数は、17,000発の核弾頭を製造するのに十分な量となっていることを点に注目しているとのこと。

同時に、ロシアは、シリアへの米国の侵略を想定したミサイル防衛システムを展開していることを正式に発表しました。

これは、ロシアがヒラリーの勝利を前提として、彼女がシリアでの飛行禁止空域の設定を強行に進めようとすることを想定してのことであると思われます。

世界の人々は、米国の同盟国であるアラブ連合が、カダフィーを打倒するために国連に働きかけてリビアに飛行禁止空域を設定したことを忘れてはいないでしょう。

グローバリストの一民間組織に過ぎない国連のこの横暴な措置によって、NATOによるリビア侵略は国際世論の承認を得たことにされてしまったのです。

飛行禁止空域が解かれたのは、カダフィーが殺害された後のことでした。リビアのカダフィーというアフリカの盟主を失った北アフリカは、その後、アルカイダとISISの餌食になったことは周知されていることです。

プーチンのロシアは、シリアで再び、それが繰り返されることに危機感を募らせているのです。

ワシントンのプロパガンダ・メディアとして有名なFOXニュースは、ロシア外務省が、最近以下のような大変気がかりな声明を出したことを報じています。

「われわれは、ワシントンがシリアの首都、ダマスカスの政権をなんとしてでも交代させようと、悪魔と取引する準備ができていることを確信をもって言うことができる」と、ロシア外務相は述べました。

「シリアのアサド大統領を追い出す目的のために、米国は、歴史の道筋を引き戻そうとするかのように、非情なテロリストと同盟を組み、テロリストたちを再び放とうとしている」とつけ加えて…

FOXニュース自体が、米国のワシントンが、アルカイダ、そして、ISISと連携してロシアの同盟国を倒そうとしていることを報じているのです。

FOXニュースは、ロシア外相の声明を借りて、いったい何を言っているのでしょう。少なくとも、アルカイダはワシントンが創り出した、と言っているのです。

米国務省は、ロシア国内でテロ攻撃を実行に移そうとしている?

さすがのFOXニュースでさえ、第三次世界大戦が濃厚になって来たので、これを阻止しようとワシントンの暴露に動き始めた?

違います。事態は、もっと深刻です。

グローバル・リサーチに多数の記事を寄稿していることで知られているカート・ニモー(Kurt Nimmo)は、先週、そのグローバル・リサーチに、「米国は、まもなくテロリストがロシアの都市を攻撃するであろうとロシアに通達した。なんと、そのテロリストは米国と同盟関係を結んでいる」という記事を書き上げました。

国務省のスポークスマン、ジョン・カービーは、「シリアの急進的なサラフィスト(Salafist)のテロリストがロシアの都市を明日にでも攻撃するかもしれない」と、先週の水曜日にロシアに警告しました。

「過激派グループは、彼らの活動を拡大するためにシリアにある空白地帯を食いつくし続けている。それは、ロシアの利害に対する攻撃をも含んでいる。おそらく、ロシアの都市でさえも。

結果、ロシアは、ロシア兵を遺体袋に入れてシリアから帰還させることになるだろう。 そして、ロシアは、重要な戦力、そう航空爆撃機さえ失い続けるだろう」とジョン・カービーは言います。

シリアの領土に入り込んでいる「過激派グループ」は、米国とその同盟国である湾岸の首長国のパートナーよって支援されているので、カービーのこのコメントは、米・国務省がロシアを恫喝していると解釈する以外にないのです。

ワシントンとオバマの背後にいるグローバリストは、今まで彼らのアジェンダを必死に隠してきましたが、主権国家であるシリアにまったく事実に反する難癖をつけ、その同盟国のロシアまでテロによって脅迫するようになったことは、事実上、米国のグローバリストは、シリアとロシアに対して宣戦布告したことになるのです。

ワシントンと、グローバリストの操り人形であるオバマ、そして、すでに死んでいようが、影武者であろうが、その後釜に据えられようとしているヒラリー・クリントンが、明確にロシアのプーチン打倒を言い出したということなのです。戦いの準備はできています――

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『日本の将来に禍根を残す中国人へのビザ緩和 フィリピン人、ブラジル人とは全く異なる彼らの行動様式を直視せよ』(10/7JBプレス 森清勇)について

日本は外国に対して、本当に危機感の無い国だというのが分かります。反日教育をしている中国・韓国に対して自由に日本に入れるようヴィザ緩和し、かつ研修生名目や農業に対する外国人門戸開放とかセキュリテイに対する配慮が全然なされません。外国に暮らしたことが無い人間が政策を決めているのか、外国の侵略の手先として動いているのかが分かりませんけど。

タイのブミポン国王の容体が悪いようで、ここでもネパールと同じことが起こりうるかも知れません。タクシン(華僑の末裔)が中共の思惑通り動いていた可能性はあります。崩御後はタクシン・インラックVS国王派の戦いになるのかも。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20161012/k10010726511000.html

中国は国防動員法ができてからは、国外にいる中国人に忠誠を誓わせることはおろか、中国国内の外資企業にも徴用を誓わせています。流石、一党独裁・共産主義国です。軍事独裁と言ってもいいでしょう。こんな国が日本を軍事国家呼ばわりし、それに手もなく乗せられてしまう多くの日本人がいることが残念です。平和ボケもいい加減に止めないと、と思うのですが、年寄りは刷り込まれたことがなかなか変えられません。小生のように中国に駐在し、中国人の腹黒さを目の当たりに見れば違うと思うのですが。世代交代しないと治らないのでしょう。昭和天皇は敗戦後「日本を立て直すのに300年かかる」と仰いましたが、そんな悠長なことは言っていられません。中国の毒牙にしてやられてしまいます。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%BD%E9%98%B2%E5%8B%95%E5%93%A1%E6%B3%95

日本で買った不動産は戦争状態になれば資産接収すれば良いと思います。その代り、中国にある日本企業の資産(不動産は所有権を持たず、使用権のみ)は没収されるでしょうけど。早く撤退した方が良いでしょう。日本の経営者は先見の明がないですね。ただ、日本にいる中国人は送還するでしょうが、中国に居る日本人は人質にされる可能性が高いでしょう。ITが発達したこの時代にそんなことはできないと日本人は思いがちですが、中国人にとって都合の悪いことは隠し通すのが彼らの性癖ですから。また帰化した中国系日本人も大陸に親戚をのこしていますので監視が必要です。勿論石平氏のように日本人以上に日本人の方もいますので、総てではなく不断の言動で判断すべきです。

記事

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都内で日中韓外相会談を行った岸田外相(中)、中国の王毅外相(左)、韓国の尹炳世外相(右、2016年8月24日撮影)〔AFPBB News

始皇帝は日出る蓬莱島に不老長寿の仙薬を求めて徐福を遣わした。今日は共産党指導部が中国系資本で瑞穂の国にやって来て、水などを求めて山林などを買い漁っている。

活用されていない離島や、人手も足りず買い手もなくて困っていた土地や山林所有者にとっては、有り難い上客、それが中国系資本である。

買い漁られている土地や山林は、個々には何の関連もなさそうであるが、近々100年の中国の動きに照らして眺めると、後日内乱を誘発するための行動拠点であり、また下流域の住民の死活を制する水源など、国家挙げての戦略が隠されていると見るべきであろう。

対日工作文書が中日文化交流協会などに対し、「純然たる奉仕に終始し、いささかも政治工作、思想工作、宣伝工作、組織工作を行ってはならない」と念を押していた手法そのものである。

土地や山林の買収も、「買ってやる」恩義を感じさせる私人や企業の営業的意志もさることながら、スパイなども暗躍する国家意思によるところが大きいと見なければならない。

農業や企業が受け入れる技能実習や留学生に対しても、日本人は純粋に技能の習得・伝授や向学心の視点からしか見ないだろうが、中国の場合は、共産党や在日中国大使館の指令下で、日本革命を目指していると見なければならない。

日本とも交流の深いタイ王国であるが、2001年のタクシン政権発足を発端に、「体制を揺るがすほどの深刻な政治的混乱が絶えない」。「中国がタイ王国の内乱への関与を認めるわけがないが、タイの王制を揺るがす混乱は、どう見ても中国の影が濃厚」であり、「タイ工作の最終目標がもし万一、タイの王制を廃絶することにあるならことは重大」で、「これはわが国にとっても他人事ではない」(関岡英之『中国を拒否できない日本』)のである。

水の枯渇で砂漠化する中国

日本人がODA(政府開発援助)で中国において植林支援を行っているが、中国人自身が植林の必要性を理解し、日本の植樹祭のように国家プロジェクトとして努力しなければ何の効果もない。

余計なお世話だろうが、人民解放軍(200万人)だけでなく、予備兵力(50万人余)、武警(70万人弱)、民兵(800万人)などを動員すれば、かなりの植林ができよう。

これまでの中国(人)は植林以上に伐採するので、国土全体としてはどんどん山林面積が少なくなり砂漠化・乾燥化してきた。その揚げ句、水資源を外国に求め、あるいは、下流に恩恵に与るべき水源を抑えて、自国の欲求のみを満たそうという姑息が目立つ。

かつて杜甫は自国を「城春にして草木深し」と詠んだが、今では中国の森林率は21.9%(日本は68.52%、世界平均は30.3%)でしかない。

森林が遍在しているとされる四川省でも1950年代は3年に1度の旱魃が、70年代には10年間に8回も起き、近年はほぼ毎年起きていると報じられる。

千湖の省と言われた湖北省には、建国時(1946年)は正しく1066湖あったが、81年には309湖に減ってしまったという。近年の報道では洞庭湖の5分の3は干拓され、鄱陽湖も半分が干拓され、湖底は年々3メートルも上昇して消失が懸念されている。

中国政府は河南の揚子江から大運河で北部に水を流す「南水北調」の大プロジェクトを進めているが、上述のように南部自体が枯渇しつつある。

インドシナ半島のタイ、カンボジア、ラオス、ベトナムを潤すメコン川、および南アジアのインド、バングラデシュを流れるブラマプトラ川にダムを造ってせき止め、下流の国々から問題提起されている。

日本の水源が狙われても不思議ではない。人里離れた北海道や和歌山県の山奥の買収は、水源確保の目的があるに違いない。メコン川などの事例からは、途中でせき止められ、根こそぎ持って行かれるかもしれない。

そうなると、下流に生きる村々や田畑が荒廃し、あるいは寒村・廃村の憂き目に遭うこと必定ではないだろうか。

日本では水源は下流に住む皆を潤す共同の恵みであり、決して独占したりはしない。しかし、中国人は違う。ウイグルで中国が行ったこと、またチベットに源流を持つメコン川やブラマプトラ川で行っていることからは、下流域に枯渇をもたらしても、自分たちが独占する意識しかない。

チベットやウイグルの二の舞?

フランスで起きたテロを契機にして、中国はテロ撲滅で国際協力をすることを口実に、自治区や少数民族の監視を強化していると報道されている。

2016年1月来日したチベット亡命政府のロブサン・センゲ首相は、近年、生体認証機能のあるIDカードの所持をチベット人に義務づけ、「中国当局が移動を厳しく管理して、政治活動を制限している」(「産経新聞」平成28.1.10)との認識を示している。

また、チベット高原の気温が世界平均の2~3倍のペースで上昇し、氷河消失が加速しており、「アジアの水源が深刻な危機に瀕している」と語り、原因は「中国政府によるインフラ整備や資源開発、人口流入」などであるという。

チベットは先述のメコン川とブラマプトラ川の水源である。中国がチベットを手放すはずがないとみられる大きな要因でもあろう。

中華人民共和国が成立して2年後に、中国は人民解放軍を進駐させる。その5年後に自治区準備委員会を発足させ、武力鎮圧を進めている。

中華人民共和国が成立する年に、東トルキスタン(現在の新疆ウイグル自治区)共和国政府の首脳陣が飛行機事故で死亡する。時を移さず人民解放軍が進駐し、共産党の実効支配がスタートする。

その5年後、進駐していた「西北野戦軍第一兵団」の退役軍人を中心に屯田軍事組織「新疆生産建設兵団」を発足させ、主要都市と主な水源地に配置する。

平時は役所や企業に勤務し、また農場を経営するが、いったん有事になると武器を取り、ウイグル人を鎮圧する予備役の大集団である。

南モンゴルでは1936年、毛沢東がモンゴル独自の国家・政府を樹立することを支持表明し、チンギス・ハーンの後裔である徳王の蒙古軍政府が、中華人民共和国成立後もやや距離を置いた状態で形を変えながら存続する。

しかし、1966年に徳王が死去すると、中国政府と中国人主導のモンゴル人ジェノサイドを開始する。69年、北京軍区が「内モンゴル生産兵団」を成立させ、草原開拓を推進し、環境破壊が進む。その半年後、モンゴル自治区は軍事管理下に置かれた。

研修生らはトロイの木馬?

「朝日新聞」(2010.4.26)に、中国の雲南省大理自治州から日本へ来る研修生(現在は特定活動と一体で技能実習というが、そのまま使用する)のルポがある。発展する中国沿岸部からの研修生は減る一方であるが、就職難の内陸部からの若者は増えているという。

研修生を求めて徳島県からやって来た農家の主人は、研修生約20人の中から最も好感を持った19歳の女性を選ぶ。山奥で暮らしているので足腰は強く、真面目な両親の娘だからしっかりしている、とべた褒めである。

派遣会社が労働者を海外派遣すると、国、省、地元州、それぞれの政府から会社に報奨金が出るという。社長は雲南省(人口約4500万人)からの派遣は始まったばかりで、研修生になる可能性がある人材は200万人おり、10~20年は続くとみている。

韓国や中東にも研修生を出すが日本の待遇が一番良いそうで、2003年に開業して以来、静岡や千葉などに約300人の研修生を派遣しているという。

このように、日本は農業や企業で中国の若者を研修生として受け入れ、労働力であると共に日本の理解者になってくれると単純に考えている。

しかし、こうした若者たちは中国共産党指導部の愛国心高揚策から、反日教育を受け、30万~40万人の市民を南京で大虐殺した、あるいは20万人の慰安婦を性奴隷にした悪徳な犯罪国家・日本というイメージを焼きつけられている。

個人個人は国家を感じさせる行動は取らないかもしれないが、北京オリンピック時の長野トーチ・リレーや福島原発事故で見せた集団行動のように、一朝ことがあるときは、日本に弊害をもたらしかねない若者でもある。

日本は農業や製造業で働く研修生を2008年は約10万2000人受け入れ、うち約7割の6万9000人が中国人であった。しかし、リーマン・ショックや福島原発事故が起きた時など、入国者が急減したり、一斉に引き上げたりするので日本は著しい影響を受けてきた。

ここ数年の中国人技能実習は4万人前後であるが、行方不明者が2012年度(1532人x0.7)1072人、13年度(2822人×0.7)1975人、14年度(3139人×0.7)2197人くらい出ているとみられる。

派遣会社社長は「日本に行けば、どんなに辛くてもやめられない。雇い主に服従する労働者の本分をしっかり理解させる」と強調し、出国前に3~4か月の合宿を行い、自己を厳しく律する訓練をするという。

礼儀作法や日本語も教えるが、合間には人民解放軍から派遣された教官の指導で、迷彩服を着て軍事訓練も受けている。

一地方の報道でしかないが、関岡英之氏は派遣事業が国策化し、軍事訓練までも受けていることから、「事実上、屯田兵すなわち『日本生産建設兵団』の要員の募集、養成、派兵制度ではないか」と訝り、「かつて東トルキスタンで起きたこと、そして王政が廃絶されたネパールや、王政が危殆に瀕するタイ王国で起きていることを思い起こせば、いくら警戒してもし過ぎることはない」と忠告する(『中国を拒否できない日本』)。

国防動員法公布直後の状況

2010年2月26日に国防動員法が成立し、7月1日に施行された。その間の3月1日には海島保護法を施行し、退役艦艇を漁業監視船に改造して無人島周辺の巡視を始めている。

この前後から、日本での山林等の買い漁りが目立つようになったと言われる。国防動員法公布後の中国の動きをざっと見ると以下の通りである。

4月8日:艦載ヘリコプターが海上自衛隊護衛艦に異常接近 4月10日:艦艇10隻が沖縄本島と宮古島間の公海を通過、潜水艦も浮上して示威行動 4月12日:鳩山由紀夫首相、ワシントンでの日中首脳会談で抗議せず 4月21日:艦載ヘリ、海自護衛艦を2周旋回して挑発行為をする 5月3日:海洋局監視船、奄美大島沖のEEZ内で海保の測量船に作業中止を要求して、4時間にわたり追跡

5月中旬:中国各地の外資系企業で賃上げ要求スト(広東省仏山のホンダ部品工場が皮切り) 7月1日:国防動員法施行、日本がビザを中流層まで緩和 9月7日:領海12カイリ内で操業中の中国漁船が、海保の巡視船に追突

このように、海自の護衛艦に示威・挑発行動を取り、領海侵入を警告する海保の巡視船に対して追突する行動に出たのである。

日本が船長を逮捕・拘留すると、事前に計画していたと思われるように、次から次に圧力をかけてきた。米国高官は「中国は日本を試した」と言ったそうである。

中国は国防動員法を補強する国防交通法を来年から施行する。「特殊な状況」と認定すれば、在中国日本企業の輸送手段も軍事目的に供出させられることになる。

おわりに

中国人へのビザはめまぐるしく緩和されてきた。ひとえに観光などで日本に来てもらいたいからである。しかし、富裕層が買い物でカネを落とすならばともかく、中流層の来日ではカネを落とすどころか、数次ビザを利用して、就職や永住権獲得目的で来日する者が増えていることが判明している。

来たる10月17日からは、商用目的や文化・知識人対象の数次ビザの有効期限が現行の5年から10年に延長される。同時に、学生らの個人観光ビザも申請手続きが簡略化される。只々入国者数の増加、3000万人目標を目指すビザの緩和である。

純粋に観光客などの増大に寄与するならば、取り立てて問題視することはない。

しかし、韓国人やフィリピン、ブラジル人などと違い、中国人の行動様式は全く異なり、日本の共産化を目指す中国共産党の意図が陰に陽に働いており、日本社会の安全・安定にかかわる大問題である。

中国大使館(東京)や名古屋・新潟総領事館の敷地が異常に広大であるばかりでなく、相互的である公館敷地は賃貸が基本であるが、中国に限って購入・所有している。

中国公館のある主要都市や、北海道や和歌山、その他全国にまたがる中国系資本で買い占めた山林の水源地を抑え、そうしたところに退役軍人や人民軍の教育・訓練を受けた技能実習や留学生、あるいは多数の行方不明者などが、「日本生産建設兵団」として活動すれば、ウイグルや内モンゴル、さらにはチベットの二の舞となること必定ではないだろうか。

まししてや、国防動員法の施行によって、平戦結合、軍民結合が可能になったときでもあり、内政・外交共に困難に直面しつつあるように思われる隣国である。

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『苦境の習主席、頻繁な軍視察の深い意味』(10/12日経)、『逮捕3回、服役23年「元・大富豪」の波乱万丈 3度目の釈放、75歳でなお捲土重来を期す』(10/7日経ビジネスオンライン 北村豊)について

10/10産経ニュースでは瀋陽軍区+北朝鮮VS習近平の構図で捉えています。中国が分裂した方が戦争は起こりにくいと思いますので、分裂に賛成ですが、中国の持つ債務や南シナ海の基地はどうなるのでしょうか?

http://www.sankei.com/premium/news/161010/prm1610100010-n1.html

また、北京の国防部前で元軍人がデモを行いました。軍規の乱れ、習近平に対する反感の表れと思います。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20161012/k10010726471000.html

日経記事は、習近平は未だ軍権を確立していないという記事です。ですから冒険主義で臨む確率も高くなります。鄧小平が中越戦争を越したように、習近平も東シナ海か南シナ海で戦争を起こすかもしれません。油断大敵です。

北村氏記事は中国人のバイタリテイを垣間見せる記事です。政治と結びつかなければ、大きなビジネスができないのが中国です。でも足を引っ張る輩は必ずいて、落とし穴に嵌まる場合も多く、場合によっては命まで奪われてしまいます。それだけ生存競争が激しいという事です。大多数の日本人はこれが理解できません。賄賂を贈る方も受ける方も命懸けです。日本では社会的に非難される行為ですが、中国は社会にビルトインされている行為です。悪徳の栄える国に生まれなくて良かったとつくづく思います。

日経記事

最近、中国国家主席の習近平が、人民解放軍の視察を繰り返している。かなりの頻度だ。そこには今、習が置かれた厳しい環境も絡んでいる。

まず8月29日。習は、新設した「戦略支援部隊」の視察に訪れた。これは、杭州で開いた20カ国・地域(G20)首脳会議に出席するため北京を離れた9月3日の前だった。

戦略支援部隊は旧来の戦闘部隊ではなく、「未来の軍」といわれる。中国紙、環球時報のインターネット版などによると、戦略支援部隊は3つの部門で構成される。

(1)ハッキングに備えるインターネット軍=サイバー戦部隊

(2)偵察衛星や中国独自の衛星ナビゲーションシステム「北斗」を管轄する宇宙戦部隊

(3)敵のレーダーシステム・通信をかく乱する電子戦部隊

これらはすべて、南シナ海などで対峙する米国や、中国周辺部の局地戦において、きわめて需要な役割を果たすとみられる。

■戦略支援部隊、ロケット軍など次々

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新設した「戦略支援部隊」を視察し、幹部一人一人と握手する習近平国家主席(8月29日、国営中国中央テレビの映像から)

そして9月13日。習は中央軍事委員会の下に新設した「聯勤保障部隊」の設立大会に出席した。この組織と関係が深い旧総後勤部は伝統ある陸軍4総部の1つだったが、汚職の巣窟でもあった。すでに谷俊山・前副部長が断罪されている。

総後勤部は、習が推し進めた軍再編で後勤保障部に改編。その核心を担うのが聯勤保障部隊とされる。総合的に全軍を後方支援する兵站(へいたん)部門で、食糧供給や戦闘員の確保・投入のほか、軍事衛星・通信衛星と連動する衛星ナビゲーションシステム「北斗」の運用にも関わるという。

さらに9月26日。新設した「ロケット軍」を視察した。これは大陸間弾道弾を含む戦略・戦術ミサイル部隊だった「第2砲兵」を格上げし、陸海空の3軍と同格にしたものだ。ロケット軍は、近代戦の主役であるばかりではなく、戦略支援部隊と同じように宇宙戦の核心を担う。

10月11日。人民解放軍機関紙、解放軍報は1面で、前日に北京で全軍の重要会議が開かれたと報じた。「全軍大組織・軍事委員会機関各部門共産党委員会書記の専門会議」と称するものだ。習自身は出席しなかったが、軍事委主席として習が批准した会議であると、あえて冒頭で説明した。

会議のテーマは、前中央軍事委員会副主席で断罪された郭伯雄、徐才厚(故人)らが軍内に浸透させた腐敗という「毒」の流れを断つという、おどろおどろしいものだった。

■軍の足場固めの重要性認識

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習主席は軍再編で「ロケット軍」を新設した(2015年9月3日、北京の軍事パレードに登場した弾道ミサイル「東風21D」)

なぜ、こうも頻繁に習の軍視察や、習が指示した軍の会議があるのか。かつて毛沢東は「政権は銃口から生まれる」と説いた。苦しい場面で軍を視察し、みずからのバックに軍が控えているとアピールするのは、毛沢東以来のセオリーに沿った行動である。

習は、清華大学を出た後、国防相だった耿飆(こうひょう)の秘書として中央軍事委員会で働いた経験を持つ。“青年時代から軍歴がある”というのが、習の自慢だ。その自信もあってか、苦しい局面で、あえて軍を訪問してきた。

今年は、軍トップとして軍の一大再編も指揮した。しかも肝煎りの戦略支援部隊、ロケット軍などは、中国の将来の安全保障を担う核になる。習は、それを一気に作り上げた功績を掲げ、難局を乗り切り、来年の共産党大会に臨みたい。

これだけの仕事をしたのだから、本来、すでに足場は固まったはずだった。しかし、この中国で軍を完全に掌握するのはそう簡単ではない。なにせ無期懲役に追い込んだ郭伯雄、周永康(前最高指導部メンバー)の元部下や関係者は、なお軍や武装警察の組織内に潜んでいる。彼らは表向き習の命令を聞いたふりをしつつ抵抗している。

それだけではない。習の「反腐敗」で身動きが取りにくくなった官僚組織そのものが、裏であらがっている。その一端が、図らずも露呈した事件があった。

■抵抗の実相、赤裸々に語る学者ら

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無期懲役になった陸軍のボス、郭伯雄・前中央軍事委副主席(2012年11月の共産党大会で)

この夏から秋にかけて、著名な中国の国際政治学者が内部向けに語った講演内容が大きな話題になった。それは彼の専門領域の話ではなく、内政に関して指摘した部分だった。

「習近平は柔らかい抵抗にあっている」――。こう題した文章は、講演録を基に別の人物が書いて、中国の公式なインターネットサイト上に流布された。きわめて刺激的な内容だった。習がトップに就いた2012年から14年まで、苛烈な「反腐敗」運動の目新しさから大衆人気も盛り上がった。官僚らも文句を抱えながらも、従うしかなかった。

だが、15年に一変したという。「反腐敗」をはじめとする習の指示は、実際上無視された。聞くふりをして誰も聞いていない。そして誰も仕事をしないので、経済もどんどんおかしくなっている。こんな内容だ。それを「柔らかい抵抗」と表現している。門外漢の国際政治学者が赤裸々に述べただけに、迫真のルポのような面白さがある。

しかし、その内容は数時間以内に中国のインターネット、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)監視当局によって削除されてしまった。中国内の一般庶民に苦しい習を取り巻く実態が流布されてはまずい、との判断だった。講演内容はいくつかのサイト上で繰り返し流れたが、その都度削除されている。いたちごっこだ。

この2、3年、習はずっと胸突き八丁のつらい坂を上ってきたつもりだろう。そして「反腐敗」、軍再編など力業の結果、ようやく苦しい局面から抜けられるかと思っていたら、そうは問屋が卸さなかった。目の前に再び高い壁が現れたのだ。

動かぬ官僚、不透明な経済、口うるさい長老たち……。17年党大会の最高指導部人事に向けて、まだまだ楽はできない。習の頻繁な軍視察は、政治情勢の厳しさを認識する彼の危機感の表れだろう。

習は今後の権力闘争を優位に進めるためにも、軍の後ろ盾を必要としている。とすれば、どうしても中国の対外政策、安全保障戦略は強硬に傾きがちになる。この点にも注意を払う必要がある。(敬称略)

北村記事

湖北省の“洪山監獄”は省都“武漢市”に属する“江夏区”の“廟山開発区”にある。9月27日朝6時15分、洪山監獄の正門脇に1台のワゴン車が横付けされた。車から降り立った1人の中年女性が正門脇の守衛所で入構の手続きを行った。入構許可を取得した女性が車に戻ると、守衛によって電動で開閉する正門の柵が開けられ、車は監獄の構内へ走り去った。それから35分後の6時50分頃、正門の柵が開けられて女性の運転する車が出て来たが、車の助手席には16年の刑期を終えて釈放された“牟其中(むきちゅう)”の姿があった。

かつての大富豪、詐欺罪で懲役18年

牟其中とはどのような人物なのか。筆者が牟其中という名を初めて知ったのは2006年頃で、まだ現役で東京都中央区勝どきに所在する商社に勤めている時だった。当時、中国へ送る書類がある時は会社が所在するビル群の中に事務所を構えるFedEx(フェデックス)社の国際宅配便を利用することが多かった。ある時、送付する書類があるとFedEx社の事務所に連絡を入れた所、送付する書類を受け取りに来たのがFedEx社の事務所長である中国人のX氏であった。X氏は業務の関係で我が社の入館証を持っていたようで、その後は我が社の社員食堂で何度も顔を合わせるようになり親しくなった。

ある時、X氏が国際宅配便で送る書類を受け取りに来社したのに、書類がまだ整っておらず、10分程待ってもらう必要があった。その待ち時間を筆者はX氏と会議室で雑談したのだが、その時にX氏の前歴を聞いたところ、彼から出たのが日本へ来る前は牟其中の秘書だったという話だった。当時は牟其中などという人物を知らなかった筆者は、「牟其中っていうのは誰」とX氏に質問したが、X氏から出た言葉は「中国の大富豪だったが、詐欺罪で懲役18年の刑を受けて、今は刑務所に収容されている」とのことだった。この時、X氏はそれ以上のことを話したくなさそうだったし、筆者も己の無知を恥じて、詳しいことは聞かなかった。X氏が帰ってから慌てて牟其中について調べてみると、後述するように驚くべき人物であることが判明したのだった。

X氏がそんな異色の人物の秘書だったと知って、牟其中について詳しい話を聞こうと思っていた矢先、X氏が勝どきにある超高層マンションの自宅から飛び降り自殺して亡くなったという訃報を聞いた。X氏はFedExの輸送機で毎週金曜日の夜に上海へ行き、日曜日に東京へ戻る日程で、中国国内でも個人的にビジネスを行っていたようだから金回りは良かったと思うが、見るからに精力的であり、人懐こく笑顔の絶えないX氏に一体何が起こったのか。筆者にはX氏の死が信じられなかった。牟其中が刑期満了で釈放されたというニュースを知って、筆者はすでに死後10年になろうとするX氏を思い出したのだった。X氏には筆者の中国人の友人が中国政府“国家安全部”により国家機密漏洩の容疑で逮捕された時にも、FedExの国際宅配便で“国家安全部長”宛に日本の友人が作成した嘆願状を届けるのにも尽力してもらった。

それはさておき、牟其中とはどのような人物なのか。牟其中は1941年6月19日に四川省重慶市“万県”(現在の重慶市万州区)に生まれたから、現在の年齢は75歳である。小学校時代の牟其中は非常に活発な生徒で、ある教師は牟其中を評して、もし彼が大言壮語する性格を改めることができれば、将来必ず出世するだろうと述べたという。若い頃の牟其中の夢は将来新聞記者になることだったが、1959年に受験した“高考(全国統一大学入試)”に不合格となったことで大きな挫折を味わった。その後も何とか大学に合格しようと湖南省や新疆ウイグル自治区にまで足を伸ばしたが、結局大学生にはなれずに故郷の万県へ戻った。

政治活動で死刑判決、釈放後に投機商売で拘留

万県で牟其中は最初の仕事につき、地元のガラス工場でボイラー工になった。しかし、牟其中は他の工員たちとは異なって政治に情熱を燃やし、マルクス・レーニンや毛沢東の著作を読み漁り、法律や哲学の書物まで目を通し、いつの間にかガラス工場内で最もマルクス・レーニンや哲学に精通した人物となった。1974年の春、すでに万県の青年たちの中で信望を集めていた牟其中は、情熱の赴くままに気心の知れた仲間と『中国は何処へ向かうのか』と題する文章を書くと同時に個人で2編の過激な文章を書いて世間に発表し、大いに宣伝を行った。ところが、こうした行為が社会に混乱を招くとして問題になり、牟其中は逮捕されて監獄に収監され、死刑に処せられることが内定した。幸運にも死刑は執行されず、4年4か月を獄中で過ごした牟其中は1979年12月31日に釈放された。

釈放されたが無職となった牟其中は、1982年4月に借金して賄った300元(当時のレートで約4万円)を元手に“万県中徳商店”(以下「中徳商店」)を開業した。当時の万県では、商品の販売に“三包(返品・交換・修理の保証)”の習慣は無かったが、牟其中は中徳商店の顧客に“三包”を導入し、都市部の顧客には3日以内、農村部の顧客には7日以内の商品交換に応じるなどして商売を発展させ、1年目で8万元(当時のレートで約1050万円)もの驚異的な利益を上げた。これは牟其中が商売で天賦の才を発揮する契機となった。1983年初旬に牟其中は、重慶市の兵器工場から超安値で買い取った銅製の鐘を上海市の多数の商店に相当の高値で売りさばき、驚くほどの暴利を得た。その後も同様な手口で投機的な商売を行って金儲けに専念した。

1983年9月17日、牟其中は投機商売を行った罪で拘留されて取調べを受けた。ところが、留置所の中で牟其中は突然に政治への情熱を復活させ、拘留11日目に中国共産党への『入党申請書』を書き上げると、大胆にも当時の総書記“胡耀邦”宛てに発送した。また、『中国の特色ある社会主義と我々の歴史的使命を論ずる』と題する文書を書いて、胡耀邦総書記に宛てて発送した。これらの文書が四川省“成都市”から北京市の“中国共産党中央委員会”へ届き、関係部門が注目したことで、1984年初旬に牟其中は11か月間の拘留を経て釈放された。

1984年9月18日、牟其中は慌ただしく「中徳商店営業再開懇談会」を招集して、中徳商店から“中徳実業開発総公司”(以下「中徳実業」)への格上げを決定すると、速やかに営業許可を取り付け、正式に営業を開始した。牟其中はたゆまぬ努力の末に、“重慶市農業銀行”から創業資金として250万元(当時のレートで約2.6億円)を借り受けることに成功した。この250万元は後に大きな成功を収める牟其中にとって実質的な起業資金になった。しかし、この1980年代初頭の時期に、重慶市農業銀行が大したカネも無い牟其中に250万元もの大金をどうして貸し出したのかは大きな謎だが、恐らく何らかの政治的意図があったものと思われる。

ソ連のジェット旅客機、仲介に成功

中徳実業が本格的に動き出すと、牟其中は1984年の年末までに、観光資源開発の“小三峡旅游資源開発公司”を皮切りに、“中徳服装工業公司”、“中徳竹編工芸廠”、“中徳造船廠”など10社以上の会社を設立した。1985年には中徳実業の本社を故郷の万県から重慶市の中心にある“中華路”に移し、企業名も“南徳集団”に変更して本格的に国内および国際貿易に取り組むことになった。

1989年のある日、牟其中は北京市で竹・籐編製品の販売促進を行うために万県から北京行きの列車に乗った。牟其中は車中で知り合った1人の河南省出身の男ととりとめのないほら話に興じていたが、その男の口から耳寄りな話を聞いた。それは、解体の危機に直面しているソビエト連邦(以下「ソ連」)が3発ジェット旅客機Tu-154(ツボレフ154)を売りたがっているが、買い手が見つからないということだった。男と話すうちに牟其中の飛行機取引への興味は掻き立てられ、北京市へ到着すると竹・籐編製品の販売はそっちのけにして、ツボレフ154の買い手探しに奔走した。飛行機の知識が皆無な牟其中は、手当たり次第に買い手になりそうな相手を訪ねて打診していたが、そのうちに1988年の開業を予定する“四川航空公司”が国産のプロペラ機である“運‐7(Y-7)”と“運‐12(Y-12)”に替えて大型飛行機の購入を計画していることを知った。

すぐさま四川航空公司に連絡を入れた牟其中は、押っ取り刀で四川省成都市にある四川航空公司の本社を訪ねてツボレフ154に対する興味を打診すると、先方は渡りに船の話に大乗り気であった。当時ツボレフ154の販売価格は1機当たり5000~6000万元(当時のレートで約18.4~22億円)であるのに対して、米国のボーイングなら2~3億元(当時のレートで約73.4~110億円)したから、ツボレフは格安だった。四川航空公司は速やかに中国政府“国家計画委員会”の承認を取得し、“中国民用航空総局(略称:民航総局)”の同意を取り付けると、牟其中にツボレフ154を4機買い付けるよう正式に依頼した。

それからが牟其中の面目躍如たるところで、山東省、河北省、四川省など7省の300か所以上の工場から売れ残っていた軽工業品(シーツ、靴下、皮コートなど)や食品(缶詰など)を買い集めて貨車500両以上に乗せてソ連側へ供給し、その交換として4機のツボレフ154の引き渡しを受けることに成功した。この取引によって牟其中は8000万元(当時のレートで約29.4億円)から1億元(同約36.7億円)の利益を上げた。

1995年2月に米誌「フォーブス(Forbes)」が発表した「1994年版世界富豪番付」で、牟其中は番付入りした中国の民営企業家17人中の第4位にランクされ、富豪の仲間入りを果たした。当時の牟其中の個人資産は20億元(当時のレートで約226億円)を上回っていた。一方、南徳集団は1994年にロシアと投資協定を結び、BS放送用の直接放送衛星である「航向1号」をロシアのバイコヌール宇宙基地から発射して軌道に乗せることに成功し、1995年11月には「航向2号」の発射にも成功した。衛星発射には莫大な費用がかかるが、1995年から始まった中国政府による経済の緊急引締め政策は南徳集団の経営に大きな打撃を与えた。

オーストラリア企業との訴訟の末に

こうした金詰まりの中で南徳集団に資金提供を申し出たのがオーストラリア企業“澳華集団(Austway Group)”駐華代表の“何君”だった。何君の資金提供を受けて南徳集団は「航向3号」の打ち上げることができた。しかし、何君が資金提供をする条件には、澳華集団が担保を提供し、中国国内の輸入権を持つ企業(湖北省軽工業進出口公司)が銀行(中国銀行湖北支店)から香港の某企業宛ての「ユーザンス付信用状(Usance L/C)」を開設し、香港で某企業が現金を受領した上で、資金を南徳集団に貸与する形式をとることが含まれていた。これが後に中国銀行湖北支店が湖北省軽工業進出口公司や南徳集団などに対して信用状立替金および担保の返還を求める民事訴訟に発展した。

民事訴訟が進むうちに、南徳集団および牟其中が信用状詐欺を行った容疑が固まり、1999年2月8日に牟其中は“武漢市公安局”によって逮捕された。同年11月から審議が始まった南徳集団および牟其中などによる信用状詐欺事件の裁判は、翌2000年の5月30日に一審判決が下り、牟其中は信用状詐欺罪により無期懲役並びに政治的権利の終身剥奪が言い渡された。牟其中は判決を不服として控訴したが、2000年8月22日に“湖北省高級人民法院(高等裁判所)”は一審判決を維持する公訴棄却の判決を下し、牟其中の無期懲役が確定した。2000年9月1日、牟其中は武漢市第二看守所から市内の洪山監獄へ移送され、囚人として収監された。

2003年の秋に牟其中の無期懲役は懲役18年に減刑されたが、刑務所内の規則を守り、服役態度も良好であることからさらに減刑されて、収監から16年後の2016年9月27日に牟其中は刑期満了により釈放された。

長くなったが、以上が牟其中の人物紹介である。まさに波乱万丈の人生と言えるが、現在75歳の牟其中は合計3回の拘留・服役で23年間を社会から隔離されて過ごした。一時はフォーブス誌によって中国国内で第4位の富豪にランクされた牟其中だったが、監獄から出所した彼には資産と呼べるものは何もないだろう。

刑期を終え、なお再起に意欲

9月27日に洪山監獄へ車で乗り付けて釈放された牟其中を出迎えたのは、牟其中の妻の妹であり、彼の唯一の指定代理人である“夏宗偉”であった。27日の午前中に夏宗偉はメディアに対して「南徳集団理事会の牟其中氏刑期満了釈放に関する声明」を発表したが、その最後に記載されていた南徳集団理事会の署名欄には夏宗偉の名が明記されていた。

さて、その声明に記されていた内容の概要は以下の通り。

【1】信用状詐欺事件は偽造された証拠に基づき判決が出されたものであり、再審を要求する。牟其中は再審における必勝を確信している。

【2】再審に勝訴したら、南徳集団は直ちに「南徳試験(Ⅱ)」をスタートさせる。それは知恵を中心とする生産方式で、資本を中心とする生産方式に比べて全ての面で生産効率が高い。それを幅広い範囲で実践して証明し、全世界の新しい企業に普及させる。

【3】牟其中氏はすでに数えで76歳だが、健康にはまだ問題がない。最近、彼は「人生すでに齢(よわい)百歳を超えても、再び少年のように奮い立つ感情を持つのを妨げるものはない」という詩を作った。これは宋の詩人“蘇東坡(本名:“蘇軾”)”の詩『江城子・密州出猟』にある「老人である自分にしばし少年の奮い立つ感情を発揮させよ」という一節に相通じるものがあり、牟其中氏は精神的に若く、まだ老いてはいない。

【4】かつての南徳集団は廃墟と化し、何も残っていないが、我々は必ず“東山再起(失脚から再起する)”を果たし、南徳集団を再建してみせる。

壮年時の牟其中は、身長182cm、体重75kgの頑健な体躯で、押しが強く、怖いもの知らずであったと思われるが、満75歳の今となっては南徳集団を再興することは難しいだろう。しかし、中国に牟其中という波乱万丈な人生を送った人物がいたことは歴史の一コマに刻まれることだろう。天国にいるX氏も牟其中が刑期満了で釈放されたことを喜んでいるに違いない。最後に衷心よりX氏の冥福を祈ります。

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