ジョージ・ブロンソン・レー(米国人)著『「満洲国建国」は正当である 米国人ジャーナリストが見た、歴史の真実』(1935年)を読み終えました。ハルノート以前から、特に1922年のワシントン会議から米国と支那政府(当時は中国を統一して統べていた訳ではない。擬制国家です。米国が蒋介石を支援していただけ。小生考えるにこの当時から蒋介石や張学良は米国人に賄賂を沢山贈っていたのでは。今、ヒラリーやキッシンジャーに贈っているように)が共謀して日本の生存を危うくする試みを企てていました。その裏にソビエト共産党の暗躍がありました。九か国条約で日本に中国大陸の門戸開放の遵守を求めながら、条約締結国の支那政府には好き勝手やらせ、かつ締結国でないソ連にも革命の輸出を、中共を通じてやらせていた状況でした。日本は米中ソによって包囲網を敷かれてしまっていたわけです。支那政府は露清密約(日清戦争後すぐの軍事同盟)を結び、日本を亡き者にしようとしていました。今の中国の横暴さは昔からだったという事です。歴史的に見て滿洲国は日本の傀儡国家ではありません。満洲族の国家樹立を手助けしただけです。米国と同じことをしていただけなのに日本だけを九か国条約違反で糾弾するのは米国の二重基準です。日本は侵略国家と言うのは濡れ衣です。断固拒否しましょう。
ソ連はユダヤ人が造った人工国家(マルクス、レーニンはユダヤ人)と見る見方もあります。今のプーチンはエリツイン時代からの強欲ユダヤ人の新興財閥から経済をロシア人の手に戻しました。だから人気が衰えないでいる訳です。この本が書かれた1935年の米国大統領はFDRですので周りを共産主義者で固めていました。日本がどんな抗弁をしようとも米国は聞く耳を持たなかったでしょう。1924年には排日移民法案(人種差別法案です)も成立していました。日本は戦争を避けることができないくらいに追い込まれました。ABCD包囲網の前で、です。今のグローバリストである国際金融資本(≒ユダヤ金融資本)が蠢いていたような感じを持ちました。グローバリズムとコミュニズムは親和性があるのではと。この本の中で田中上奏文は明確に否定されていました。シオン議定書と同じくソ連が作成したものと。日本人や中国人にそんな発想はできないとありました。歴史の見方が変わる一冊です。GHQのWGIPの洗脳を解くために、現代日本人は一読することを勧めます。
本記事でロシアから電力を買うのには反対です。莫大な設備投資をしても供給カット(ロシア自国での電力消費増大や経済制裁等で)される恐れがあります。同じ意味でパイプライン敷設にも反対です。やはり、石油・ガスを船で運搬するのが良いのでは。50年先を見据えたエネルギーミックスを考えないと。メタンハドレートや核融合が実現されているかもしれません。エネルギー調達先を固定化するのは安全保障上問題です。相手の言うことを聞かざるを得なくなります。
核分裂の発電方法は確かに危険と隣り合わせですし、使用済み核燃料のゴミが出るのも問題です。でも人類の叡智でカバーできるようにすべきです。少なくともCO2は排出しませんので。日本は核保有国に囲まれているし、いざとなればすぐにでも開発できるところを見せておかなければ抑止力になりません。原子力発電は田中氏の言うように必要と思っています。
記事
12月に予定されているロシアのプーチン大統領の来日に向けて、北方領土返還交渉や日露の経済協力に向けた動きが活発になっている。そうした中、エネルギー分野での経済協力として、ロシアから送電線を日本に引いて電力を輸入することなどを想定した「エネルギーブリッジ」という構想が浮上している。
こうしたアイデアを早くから提唱していたのが、国際エネルギー機関(IEA)の元事務局長で、現在は笹川平和財団の理事長を務める田中伸男氏だ。
なぜ、日本がロシアから電力を輸入することが必要なのか。折しも、石油輸出国機構(OPEC)の加盟国が減産で合意して以降、原油価格は上昇傾向にあるほか、国内では原発の再稼働問題や高速増殖炉「もんじゅ」の廃炉方針決定など、エネルギー情勢が国内外で目まぐるしく動いている。
田中氏に、昨今のエネルギー情勢と日本が進むべき方向について、話を聞いた。
田中伸男(たなか のぶお) 1950年生まれ。73年通商産業省(現・経済産業省)入省。通商政策局通商機構部長、経済協力開発機構(OECD)科学技術産業局長などを経て、2007〜11年に国際エネルギー機関(IEA)事務局長、2011〜15年に日本エネルギー経済研究所特別顧問。2015年4月から笹川平和財団理事長(写真:陶山 勉)。
—9月に石油輸出国機構(OPEC)の加盟国が減産で合意して以降、石油価格は上昇傾向にあります。非加盟国のロシアのプーチン大統領も減産する用意があると発言したと報じられ、11月に開かれるOPEC総会の行方に注目が集まっています。石油価格は、今後も上昇していくのでしょうか。
田中伸男(以下、田中):確かに、アルジェリアでのOPEC会合の後、石油価格は少し上向いてきました。ロシアが減産に賛成するという話もあるし、サウジアラビアとイランが減産で合意できたという説もあって、石油価格は上昇機運ではあります。
しかし、本当にロシアが減産に応じるのか不透明です。また、OPECの加盟国が減産するかについても、具体的に各国の割り当てが決まらないと、実効力はありません。11月のOPEC総会の結果を見ないと、どうなるのか分かりません。ただし、これだけ上がってきて、もし、期待を裏切るようなことがあれば暴落してしまうので、なんらかの対応策が出てくる可能性が大きいと思います。
今、石油の産出量が一番多いのはサウジアラビアで次が米国、そしてロシアです。
石油価格が今後も上がり続けると、米国でシェールオイルの生産が増えてくるでしょうから、実際には石油の総量は減らないかもしれないという問題もあります。米国は、シェールオイルの生産量をコントロールする気はさらさらありませんから。
—むしろ、OPECやロシアの減産は、シェールオイル業者を利するだけになってしまいかねないというわけですね。
田中:はい。そのため、本気でOPEC加盟国やロシアが減産するかということ、それはなかなか考えにくい。今、口先だけで介入すれば価格は上がり気味になるのでしょうが、本当にずっと上昇していくかというと、必ずしもそうはならないと思います。
9月に国際エネルギー機関(IEA)がエネルギー投資に関するレポートを発表しました。そのレポートでは、石油やガスの上流への投資は2015年から3年連続で減ると予測しています。3年連続で減るというのは前例のないことだと。減るのは基本的にシェールをはじめとする非在来型資源への投資です。そのため、コストが安い在来型の中東産の石油がガスへの依存度は、ますます高まる傾向が出てくるでしょう。
一方、価格の低迷が続けば、中東諸国の財政を圧迫し、治安を維持するための様々な投資が十分にできなくなり、社会は不安定になります。つまり、不安定な中東にさらに依存せざるを得ないという状況に陥ってしまう。
特に、中国やインド、他のアジア諸国にとって、これは大きなリスクになります。そうなると、やはり中東依存度を下げる必要があり、原発の再稼動がままならない日本は、大変、危ない橋を渡っているという気がしています。
プーチン大統領来日で日露エネルギー協力が進展?
田中:確かに石油もガスも値段が安くなったことは、エネルギーの多くを輸入に頼る日本にとって悪いことではありません。それによってアベノミクスも助かっているわけですね。ですから、原発があまり稼働しなくても何とかなっているわけですけれども、この状況が長続きするのか疑問です。万が一の場合を考えておくべきでしょう。
そのためのキープレーヤーになり得るのが、ロシアです。米国やカナダなどからシェールオイルやガスを輸入するもの大切ですが、在来型の資源が豊富にあるロシアとの関係強化は今後、大変可能性があるでしょう。
現在、ガスの総輸入量のうちロシア産が占める割合は約10%、石油は約4%ですが、それを増やす余地はある。今、日本はウクライナ問題で欧米諸国と一緒にロシアへの制裁に協力していますが、すべての活動が禁止されているわけではありません。制裁のルールを守りながら、ロシアとの間で様々な関係を強化し、エネルギーを確保していくというのは十分あり得るだろうと思います。
特に安倍政権になって、プーチン大統領と非常にいい関係を築き、北方領土の問題も解決に向けていろいろな動きがあります。12月にプーチン大統領が来日するので、エネルギー関係で何か動きがあるかもしれません。
その1つが、ロシアが以前から言っている、電力線を日本とつないで、日本がロシアから電気を買うという話です。
—「エネルギーブリッジ」という構想ですね。
田中:この構想には、いくつか話があります。1つは、サハリンで石炭やガスを燃やして作った電力を、サハリンから北海道に送電線を引いて日本に持ってこようという構想です。北海道には、風力がたくさんありますよね。その風力で発電した電力と一緒に、本州まで持ってこようというものです。
風力発電を増やしていくと、風が吹かなかった場合のバックアップとして、石炭やガスを使った発電所が必要になります。そのバックアップの部分を、サハリンに作るというのは、面白いコンビネーションだと思います。
そしてもう1つが、ソフトバンクの孫正義さんが、中国の国家電網公司、韓国電力公社、そしてロシアのロセッティと覚書を結んで進めている「アジア・スーパー・グリッド」構想です。もともと孫さんは、モンゴルで風力や太陽光を使って発電した電力を、中国、韓国を経由して日本を持ってこようという「ゴビテック」という構想を持っていましたが、ロシアを経由してサハリンから日本に持ってくるルートも作れば、大きなリングのようなグリッド(送電網)を作ることができる。これに、プーチン大統領も関心を示していて、「面白いので是非サポートしたい」といったことを、ウラジオストクで9月に開かれた東方経済フォーラムで発言しています。
日露間の「エネルギーブリッジ」に複数シナリオ
—すいぶんと壮大な構想ですね。
田中:韓国の朴槿惠大統領も支持するようなことを発言しています。日本では、決して賛成する人たちばかりではありません。安定供給はできるのか、ロシアや中国は信用できるのかという議論があり、必ずしもどんどん進むということではないでしょうが、隣国は日本がエネルギーを必要とするときは、私たちは協力できるよと言っているように見えます。お互い、電力網をつなぐことで、電力消費量がピークになるタイミングをずらすとか、再生エネルギーを使いやすくするとか、そういう可能性が出てくるでしょう。
また、電力ではなく、ガスをパイプラインでサハリンから引いてこようという構想もあります。また、北極海航路でヤマル地方から液化天然ガス(LNG)を持ってくるという構想もあります。地球温暖化によって北極海の氷が溶けて、少なくとも夏の間はタンカーが北極海を通れるようになる可能性が開けてきた。そこを通れば、南回りで持ってくるより、はるかに近くて安上がりです。
それだけではなくて、シベリアの水力発電で余った電力を水素に変えて、日本に持ってくるという構想もあります。有機ハイドライド法というもので、トルエンに水素原子を3つくっつけると、メチルシクロヘキサンという液体になり、普通の石油タンクに貯蔵できる。むしろ、長大な送電網を作るよりも安上がりではないかという議論はあり得ると思います。
今回、世耕経済産業相がロシア経済分野協力担当相を兼務し、経済協力を進める姿勢を強く打ち出しています。東方経済フォーラムではロシア側も非常に熱心でした。12月のプーチン大統領の来日の際に何が起きるか予断を許しませんが、日露の経済協力はいよいよ本格的に進む可能性があるという印象を強く持ちました。
もちろん、これらの構想がすべて実現するわけではありませんし、乗り越えなければならない課題はたくさんあります。ですが、メリット、デメリットを今からいろいろ議論すべきではないでしょうか。
ロシアが困っている今がチャンス
—なぜ、ロシアはこれほど積極的なのでしょうか。
田中:エネルギー価格、特にガスの価格が低迷しているからです。ロシアにとってガスの主要な売り先は欧州ですが、ウクライナを経由するパイプラインでヨーロッパに送らなければならないという地政学的なリスクに加えて、欧州の景気が悪いうえにロシアに制裁をしているので需要が伸びない。
となると、アジアにも売りたいとなるわけですが、中国は安く買い叩こうとしている。一方、ロシアはできるだけ高く売りたいので、価格はなかなか折り合いがつかない。中国しか売り先がないと買い叩かれるので、ロシアは日本や韓国とも取引をすることで、中国をけん制する狙いもあるでしょう。
中国とロシアは関係が悪いわけではありませんが、互いに信用しているわけでもありません。安倍政権がロシアに接近しているので、ロシア側はいろいろなディールをするチャンスだと見ていることは間違いないでしょう。
日本側もロシアに一方的に利用されないように、したたかに対応すべきです。むしろ、ロシア側は困っているわけですから、安く買うチャンスです。リスクはありますが、今買わないでどうするんだとも思います。
もし、民間だけで資金を出すことが難しいのなら、国が何らかの形でお金を出して利権を押さえていくことも必要ではないでしょうか。今回、国際協力銀行(JBIC)が随分とお金をつけようとしています。石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の出方はわかりませんが、いずれにしても、国が一定のリスクを肩代わりすることは、特に資源関連では自然な流れだと思います。
ロシアからの電力輸入は発送電分離とセットで
—ロシアから電力を輸入する話については、国内の電力会社は否定的なのではないでしょうか。競争が増えますし、電力供給の安定性が揺らぐかもしれない。
田中:地域独占で長らくやってきた電力各社にとっては、競争が増えるという意味で、海外からの電力輸入は当然、嫌でしょう。いつ、供給がカットされるかわからないようなリスクを抱えている電源には頼れないとも考えるに違いありません。しかし、日本の電力市場改革の行方によっては、あり得る話だと思います。
つまり、発電と送電を担う会社を分離する発送電分離が完全に進み、小売りも完全に自由化されれば、外国から電力を買うのはそれほど難しくないと思います。ロシアからの電力輸入は、発送電分離の議論とセットで考える必要があります。
東京電力は送電専門の会社として生き残るべき
例えば私は、東京電力が生き残るには、日本で唯一の送電会社になるしかないと思います。つまり、福島の復興は別にして、原発も含め発電部門は他の会社に全部売り払う。すでに、火力発電部門は中部電力とJERAという会社を作っています。次は、原子力でしょう。現在、柏崎刈羽原発のように原発再稼働に世論の反発が大きいのは、原発の運営主体が東京電力だからという面も少なくないでしょう。
原子力事業の買い手としては、関西電力がいいと思います。関西電力はもともと、発電量に占める原子力の割合がもともと半分くらいありましたから、関西電力が原子力の会社となり、安全に十分に留意しながら発電をしていくのが良いのではないでしょうか。一方、関西電力は送電部門を東電に譲る。
東京電力は送電会社として電力価格について政府の規制を受けることになります。それでも、東京電力は送電に関して非常に大きな知見を持っていますから、それを生かすことが東京電力を再生する唯一の方法だと思います。そして、東北電力や北海道電力は、風力や太陽光など再生エネルギー専門の発電会社になるというくらい、大胆な改革をしてもいいと思います。
その上で、送電会社が発電各社から電力を買って、原子力と上手くバランスを取りながら、電力のコストを総合的に下げていくという絵が描けると思うのです。そこに、外国から電力を買うというオプションも組み合わせればいい。
東京電力にも役所にも、そうした考えを持つ人はいるとは思います。ただ、ほかの電力会社の考えもあるし、福島の事故の反省もあるし、東電がこれからどうすべきかというのは、さまざまな議論をしていくべきでしょう。しかし、国から得た資金を返済するには、会社として持続的に経営を成り立たせなければなりません。「GOOD東電」になるには、送電会社として生き残るしか道がないでしょう。
ほかの電力会社も、それぞれが独自に原発を維持するのは、リスクも大きいと思います。技術やノウハウが分散してしまうのは効率が悪いですし、将来の廃炉の資金負担も重くのしかかる。送電を東京電力に、原発を関西電力に集約するのは、理にかなっているはずです。(後編に続く)
新潟県知事選で原発再稼働慎重派の米山隆一氏が当選する一方、核燃料サイクルの中核を担うはずだった高速増殖炉「もんじゅ」について、廃炉を含めた抜本的な見直しが決まるなど、国内の原子力政策に不透明感が漂っている。特に「もんじゅ」の廃炉に向けた方針は、日本が進めてきた核燃料サイクルが大きな転換点にさしかかっていることを示唆している。 国際エネルギー機関(IEA)の元事務局長で、現在は笹川平和財団の理事長を務める田中伸男氏のインタビュー前編では、ロシアから送電線を日本に引いて電力を輸入する構想や東京電力の生き残り策などについて聞いたが、後編では核燃料サイクルの今後について話を聞く。
田中伸男(たなか のぶお) 1950年生まれ。73年通商産業省(現・経済産業省)入省。通商政策局通商機構部長、経済協力開発機構(OECD)科学技術産業局長などを経て、2007〜11年に国際エネルギー機関(IEA)事務局長、2011〜15年に日本エネルギー経済研究所特別顧問。2015年4月から笹川平和財団理事長(写真:陶山 勉)
—原発については再稼働の問題だけではなく、核燃料サイクルも岐路に立たされています。高速増殖炉「もんじゅ」も廃炉の方針が決まりました。
田中:日本にとって、原子力はエネルギーの安全保障上、必要だと思います。ただし、原子力が必要な理由はそれだけではありません。地球温暖化の問題で、二酸化炭素の排出削減には絶対に欠かせない。
ただし、福島の事故以降、これまでのような体制で原子力政策を進めても、国民の納得は得られません。重要なのが、原子力のサステナビリティーです。
1つ目は、安全上の問題です。「絶対」という安全はないにしても、できる限りの受動的安全性(事故が発生した際に電力など人工的な動力を用いず、自然の力で事態を収束させる仕組み)を備えなければなりません。2つ目は、高レベル放射性廃棄物や使用済み核燃料の処理の問題。これがきちっとできないと、国民は納得しません。そして3つ目が、核兵器の製造に活用されないという点です。
これら3つを満たす原子力の技術、あるいはシステムを国民に提示しなければなりません。それなくして、国民は原発の再稼働には納得しないでしょう。日本には、高速増殖炉「もんじゅ」や六ヶ所村(青森県)の再処理施設があるわけですが、なかなかうまく稼働して来なかった。
使用済み核燃料を再処理してMOX燃料(ウラン・プルトニウム混合酸化物 燃料:使用済み核燃料を再処理して分離したプルトニウムとウランを混ぜて作った燃料)にしても、それを燃やすための原子炉がなかなか再稼働しない。しかも、本来、MOX燃料というのはコストが高い。日本の核燃料サイクルは、もんじゅを動かすことが前提でしたが、もんじゅが動かないので、とりあえずMOX燃料を作り、既存の原子炉(軽水炉)で燃やそうとしたわけです。それがいわゆる、「プルサーマル」と呼ばれるものです。
ところが、福島の事故以来、MOX燃料を燃やすための原子炉が再稼働しない。それから、MOX燃料を作っても、結局、高レベル放射性廃棄物はゴミとして出る。そのゴミは10万年もの期間、地下に埋める必要がありますが、その場所も決まらない。
ようするに、核燃料サイクルのそれぞれのパーツが、国民を納得させるレベルまで達していないのです。したがって、今のまま「大丈夫です」といくら説明しても、「わかりました」と国民は納得しないでしょう。
核燃サイクルを維持に「統合型高速炉」の活用を
—こうした状況を解決する技術があると、主張していますね。
田中:私は、「統合型高速炉」という技術に注目しています。米国のアルゴンヌ国立研究所の技術で、高速炉に乾式再処理技術を組み合わせた、プルトニウムが外に出ない形の核燃料サイクルを実現するものです。核不拡散の観点から優れていると同時に、安全性も高い。1986年に全電源を喪失させる実験をしているのですが、無事に原子炉が停止しました。さらに、この統合型高速炉から出てくる核のゴミは、天然ウラン並みに毒性が落ちる期間が300年程度と、これまで30万年から10万年と言われていた状況から大幅に短くなる。
私は、こういう原子炉と再処理を一体にした小型の施設を各地方に配置し、地方分散型、地産地消型で原子力を活用する方が良いのではないかと考えています。六ヶ所村だけに作るという発想は、限界だと思います。高レベル放射性廃棄物を捨てる場所が見つかればよいですが、なかなか難しい。むしろ、原子炉で出たゴミは、その地域で処分するという発想に転換した方がいいでしょう。
300年で天然ウラン並みに毒性が落ちるゴミなら、地上でも地下でも、管理するのはそれほど難しくない。統合型高速炉を各地に作れば、これまでたまっている軽水炉の使用済み核燃料をそこで処理していけるオプションができる。地産地消型の原子力は、将来の1つのビジョンになりうるのではないでしょうか。
また、福島第一原子力発電所から、溶け落ちて固まった燃料デブリを取り出した際、それを処理する技術が今後、必要になります。それにも、統合型高速炉は活用できるでしょう。
—もんじゅの時のように、莫大な資金を投じてもうまくいかなかったということになる恐れはありませんか。
田中:それはおっしゃる通りですが、やってみないと分かりませんよね。アルゴンヌではある程度の実証がなされていますので、実験してみる価値はあるという気がしています
原子力を将来も活用するのであれば、今の軽水炉の技術のままでよいのでしょうか。安全性や核のゴミの問題を考えれば、早いうちに新しい技術に切り替えていく必要があるでしょう。2018年には日米原子力協定の改定期を迎えます。日本の核燃料サイクルを日米原子力協定の枠組みの中で続けていくには、きちっとしたモデルがないとダメです。
日本が核燃料サイクル路線を続けるのならば、具体的にどういうやり方で何をやっていくのかというビジョンを示さないと、協定の改定や延長は今後、難しくなっていくのでないかと心配しています。
米国にも、日本がプルトニウムを持つのはおかしいから再処理なんてやめろという人がたくさんいますよ。米国が気にしているのは、プルトニウムが蓄積することによる核不拡散上のリスクです。統合型高速炉でプルトニウムをゴミとして燃やしてしまうことに、米国が異を唱えるとは思えません。
プルサーマルで出る「核のゴミ」に課題も
—もんじゅの失敗は核燃料サイクルの破綻を意味し、再処理もやめるべきだという意見もあります。電力会社はMOX燃料を使ったプルサーマルの維持を主張していますが。
田中:そうですね。プルサーマルはやったらいいんですよ。それをやらないと、せっかく作った施設が無駄になりますから。コストは高いですけどね。
ただ、問題は、プルサーマルをやると、使用済みのMOX燃料が出てきますよね。これは、六ヶ所村の施設では処分できず、直接処分するか、または別の再処理工場を作らなくてはなりません。使用済みのMOX燃料を直接処分するならば、最初から使用済み核燃料を再処理してMOX燃料など作らずに、直接処分しておけばよかったわけです。もし、プルサーマルを続けるのなら、使用済みMOX燃料を再処理する新たな施設を作ってプルトニウムを使っていくというプロセスを繰り返すことになる。つまり、第2再処理工場、第3再処理工場が必要になってくる。
ですので、そうならないためにも、統合型高速炉を作って、使用済みMOX燃料も燃やしてしまえばいい。
もんじゅについて言えば、「もんじゅは危ないから潰してしまえ」というのは、正直もったいないと思っています。例えば、統合型高速炉は金属燃料を燃やすのですが、もんじゅで金属燃料を燃やす実験ができるのではないでしょうか。従来通り発電を続けますというのでは国民の理解は得られないでしょうが、次の核燃料サイクルのための技術開発に生かすという方向性も、議論してもよいでしょう。
—仮に統合型高速炉を今から実験し始めたとして、いつ頃から作り始められるのでしょうか。
田中:どう考えても2030年代でしょうね。軽水炉の寿命は40年、延長しても60年という中で、2030年代には次々と廃炉が始まっていきます。その時までに、次に何をするのか考えておかなければなりません。
もちろん、再生エネルギーは技術革新が進み、コストは下がっていくでしょう。バッテリーの技術も進む。核融合も実現するかもしれない。しかし、それでも原子力なしでいけるのかというと、苦しいのではないでしょうか。
そういう意味で、持続可能な原子力のオプションも持っていた方がいい。原油もガスも、再生エネルギーも、うまくいかないという事態が出てくるかもしれない。そういう時のために、原子力というオプションは残しておいた方がいいと思います。 エネルギー問題に関する議論は、石油の価格の話から、最終的には原子力の是非まで総合的にしないと、完結しない。中東やロシア、原子力など、すべてのピースは関連しているのです。それをぜひ、皆さんに理解してもらい、幅広い議論につなげていただきたいと思います。
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