本記事の前泊博盛氏は沖縄国際大学教授とありますが、元琉球新報論説委員長です。さもありなん。中国を脅威と見ていなくて、遠くの米国と付き合うメリットはないと論じています。左翼リベラルの脳内お花畑の典型でしょう。中国は、共産党一党独裁の人権抑圧国家であるということと民族的特質である「騙す方が賢く、騙される方が馬鹿」という人たちなのに、仲良くするという事がどういう意味を持つのか分かっていません。谷崎光著『国が崩壊しても平気な中国人・会社がヤバいだけで真っ青な日本人』(2016/8/5刊)を読んでもらうと良いでしょう。小生が本ブログで縷々述べてきたことが事例を挙げて詳しく説明してくれています。拝金主義、賄賂、黒社会の存在、騙すのは商慣習・戦場で兵法を使うのは当り前のこと(P.216)」、「平均値で言えば、中国人の能力が日本人に勝ることは、本当にない。仕事のチームワーク、人の誠実さ、ミッション達成の確実性、長期的な視野を持つこと、全部日本人が上である。ただ一つのことを除いては。日本人が中国人に金を積んでも学ぶべき、たった一つのことがある。それは、不安定な世をいかに生き抜くか、である。(P.41)」、中国と日本が戦争になったら、著者は「日本が勝つ」と言ったら中国人は「1億人の難民が日本に押し寄せる」(P.83~85)と脅されたそうな。冷静に考えれば、敗戦国の国民は戦勝国に難民として押し寄せられるのでしょうか?第二次大戦のドイツの敗戦のようにナチが崩壊して、政府がなくなったときのことを想定しているのでしょうか?或はベトナム戦争時のボートピープル?
トランプが大統領となって負担増を押し付けられても7000億円が1兆円になるだけ。単独防衛すれば小川和久氏によれば30兆円かかると言われていますし、自衛隊員の数も人口の1%弱の兵力120万体制(現在の5倍)に増やさないといけません。非常に非現実的な議論を前泊氏はしているような気がします。流石、琉球新報出だけあって、日本を中国の属国にしようと動いていることが見え見えです。今の時代中国の情報はいくらでも取れますし、新聞社OBであれば自由自在に取れるでしょう。暴動の記事や陳情の記事なども。それでも中国のような国と付き合うという気が知れません。
自主防衛は賛成ですが、単独防衛は無理です。やはり、同盟で補わないと。蒋介石が取った戦略を日本がすれば良い訳です。
記事
「日本は米軍の駐留経費を全額負担せよ。払わなければ、米軍撤退も辞さない」――。米共和党の大統領候補、ドナルド・トランプ氏の在日米軍を巡るお騒がせ発言は、日米安保体制が持つ「金で安全を買う」というある種の歪みを映し出していると言える。
在沖縄米軍基地の全廃を訴える前泊博盛・沖縄国際大学教授は、もしトランプ氏が米大統領になったら「日本は唯々諾々と駐留経費を払ってしまう」と予想する。さらに「トランプ発言を契機に、日米安保条約が果たして何を守っているのか、日本がお金を払うだけの価値があるものか、考え直さなければいけない。中ロとの間に経済的な安保体制を組み立てることこそ日本の取るべき道だ」と主張する。(聞き手 寺岡 篤志)
日経ビジネスオンラインは「もしトランプが大統領になったら…」を特集しています。 本記事以外の特集記事もぜひお読みください。
前泊博盛氏(まえどまり・ひろもり)氏。1960年、沖縄県宮古島市生まれ。明治大学大学院博士前期課程(経済学)修了。1984年に琉球新報に入社し、社会部や政治部の記者として、防衛省、外務省、旧沖縄開発庁の取材に従事。2011年から沖縄国際大学経済学部教授。専門は基地経済の研究。
—トランプ氏は、米軍の駐留経費の100%支払いを、日本を含む各国に求めると発言しています。これをどのように見ていますか。
前泊:まず前提として、トランプ氏は防衛に関して無知だと思いますね。誤った情報に基づく発言であることは踏まえておいた方がいい。
—日本はいわゆる思いやり予算など7000億円以上を負担していると言われています。過去のデータでは負担割合は7割超です。
前泊:トランプ氏はそのことを知らないと思いますよ。自分に都合のいい情報だけを元に発言を構成するのは、彼独特の論理展開の仕方ですね。刺激的な数字や情報があれば、そこを一点突破していく。そういう仕掛け方が非常に上手です。
「日本は十分な駐留経費を払っていない」と言えば、日本の安保体制に疑問を抱いている米国民は、なぜ日本のために米国の若者が血を流す必要があるのか、と反応する。事実でない情報で、米国民の頭の中の情報を勝手に操作してしまう。大統領候補の発言として一定の信頼がありますから。
—裏を返せば、トランプ発言を受け入れる素地が米国民にあるということですか。
前泊:やっぱり格差の問題があります。中間層から下のクラスが、この怒りをどこにぶつければいいか考えている時に、ターゲットが示されると、そこに向かってしまう。そういうところを上手に操作しているなという気がします。
「結局はみかじめ料か」
日本に対しては、「金を払わないならば守らないよ」とまるでみかじめ料をやりとりすることで日米同盟が成り立っているかのような印象を与えました。日本人は「結局、お金なのか」「相互信頼に基づくグローバルパートナーシップというのは建前だったのか」「トモダチってそんなものだったのか」と感じているでしょう。
トランプ氏はこのことをストレートに表現してしまった。米政府も「え? 本音を言っちゃった?」と思っているかもしれない(笑)。
—米軍が沖縄に海兵隊を配置しているのは、アジアでの抑止力のためと言われてきました。米国の中でその意味は薄れてきているのでしょうか。
前泊: 米軍は数百の基地を海外に展開しています。このうち沖縄の基地について、沖縄の四軍調整官を務めたウォレス・グレグソン氏が最も安上がりの基地だ、という趣旨の発言をしています。この発言は、「米軍の海外基地はコストが高すぎる。縮小を検討すべき」と米議会が問題提起した時のものです。グレグソン氏は、コストの低さから「沖縄からの撤退は最後でいい」と主張しました。
もう1つ大事なことは、マグネット論です。海外基地は、本国に攻撃を加えられないようおとりの役割を果たしているということです。
沖縄の基地は安上がりでマグネット効果があるという見方は、日米同盟を損なう可能性があるので、米政府はあまり流布しないようにしている。
—つまり、米国が保有する海外基地の重要性は薄れているものの、沖縄の基地にはまだ必要性がある。であるにもかかわらず、トランプ氏は必要ないとしているわけですか。
前泊:必要じゃないと思っている人も多いでしょう。というより、米国民は沖縄に基地があることをあまり知らないんですよ。米国民は政府がやっていることを全部知っている、と思ったら大間違いです。日米同盟があることすら知らない人も結構いるかもしれない。米連邦議会の議員だって沖縄に5万人も米軍人と関係者がいたことを知らない人が多い。
日本政府は、米軍は何から何を守っているのかを真剣に考えなくてはいけない。日米安保条約があっても米軍が日本を守るとは限らない。最近は防衛の専門家の口からもこんな言葉が出てきています。米国との同盟関係を今後も死守するなら、日米安保条約で日本が守るべき国益とは何なのかを検証する必要がある。
米国は国益委員会をつくってずっと議論している。米国が覇権国家として君臨できる体制をつくることが、最重要の国益として位置付けられています。同盟国において米国が国益を確保するためにどうするべきかも分析しています。例えば日本に対しては、自民党以外の政党を政権に就かせないという内容が出たこともあります。
日本も国益委員会をつくるべきだ、と2000年ごろに守屋武昌さん(元防衛事務次官)と話したことがあります。彼は内々に国益の検証を試みて、「この国は二律背反が多くて国益がまとまらない」と言っていました。自衛隊が何から何を守るのかという議論もまとまらない。だから場当たり的にしか自衛隊を動かすことができない。
日本はトランプ氏の負担増要求に応える
—翻って日本から見た米軍基地について。トランプ氏が大統領になっても本当に駐留経費を払えと言うかどうか疑問はあります。ここはしかし、仮定を重ねて、仮に大統領になり、仮に駐留経費を払えと言ったとする。日本は払うと思いますか。
前泊:払うと思いますよ。駐留経費を7000億円ぐらい払っているけれども、世界最高の軍隊を番犬として雇えるならまだ安上がりと思っているでしょう。日本の保守勢力はこのことをストレートに言わないようにしてきた。言ったら米軍が引き上げちゃうかもしれないから。
ただ、トランプ氏はそこを揺さぶってくる。日本が出すというなら、さらにつり上げてくる。もっと出せと、嫌だったら引き上げるよと。その時、日本人はどこまでなら許容できるのか。
移設問題が過熱している普天間基地。沖縄国際大学に隣接している。
沖縄国際大学から見た普天間基地。木の陰には垂直離着陸輸送機オスプレイも見える。
例えばオスプレイを17機買いますよね。これは全部で3700億円ぐらいと言われています。この支出が、高いのか安いのかの議論がないまま決まる。辺野古に普天間基地を移すことも、その移転費用が適正か、十分な議論はされていない。
日本の安全保障は結局、米国に全権を委任する形になっています。お金の請求も鵜呑みにするしかなかった。日本国民は戦後70年間、米国に求められるがままにお金を支払うことに疑問をもってこなかった。しかし、トランプ氏の発言を契機に催眠術が解けるかもしれない。国立競技場の建築費と同様に、米国に現在支払っている金額が正当なものかどうか考え始めることになる。
—もしトランプ氏が請求をつり上げた場合、どこまでついていくんでしょう。
前泊:今の体制だと、「どこまでも」でしょう。米国は交渉上手なのです。
米国は1960年代に辺野古に新基地を建設する構想を作ったことがあります。これは、ベトナム戦争の最中だったため、予算が付かずお蔵入りになった。でも今回、「辺野古への移設を求めたのは日本なんだから、日本がお金を出せ」と主張して辺野古に基地を造らせている。
こういうタフネゴシエーターが米国にはいるけれども、日本にはいない。だからどこまでもお金を持っていかれるだけ。
—さらに仮定を重ねてしまいますが、もし日本がもう付き合えないとなった場合、本当に米軍は撤退するのでしょうか。
前泊:撤退しても米国に痛みはないと思いますよ。原状回復義務もないし、むしろ残していく施設を売ってお金に換えるでしょうね。
「経済安保が生きる道」
—トランプ氏が大統領になったとき、日本の安保戦略をどう見直すべきだと思いますか。
前泊:日本が守るべき国益は何かを問い直した時、例えばアジア全体で作り出す経済的利益がある。今はなぜ日米安保体制だけを重視しているのでしょう? 米国はそれこそ世界100カ国と安保体制をつくっている。なのに、なぜ日本は中国やロシアと結ばないのか。
軍事力を使った安全保障体制ではなく、経済的な手段を使った安全保障の確保でいい。中国がアジアインフラ投資銀行(AIIB)を作ったら、参加しないよう米国が牽制してくる。問われているのは自主的な外交をする能力です。
—中国とどういった距離感を保つかはものすごく難しい。そもそも沖縄に基地がある理由に中国を挙げる人も多い。
前泊:沖縄の基地はもともと日本を占領するための最前線拠点でしょう。それが朝鮮戦争やベトナム戦争に直面し、東西冷戦を戦うための基地に変貌した。そして今はアジアで米国の利権を確保するための基地になっている。
なぜ環太平洋という無理矢理な言い方で米国はアジアに入ってくるのか。アジアはアジアにおいて、アジアの人の血を一滴も流さない安全保障体制を作らないといけない。EU(欧州連合)と同じようにAU(アジア連合)をつくる。紛争が起きないよう話し合う利害調整機関をつくる。EUのような共同体ができれば、絶対に血は流れない。
自民党の重鎮でも危機意識を持って動いている人は居ますよ。ご近所とけんかをして、遠い米国と仲良くするっておかしな話でしょう。中国は脅威だと言われますが、最大の貿易相手国を脅威として見るのが正しいか。
「基地の撤収はむしろ沖縄を潤す」
—前泊先生の専門である基地経済について伺います。米軍が沖縄から引き上げた場合、問題はありませんか。
前泊:今、沖縄は空前の好景気です。国内外からの観光客が年間1000万人に届こうとしている。特にアジアからの流入が増えています。だから空港が足りない。米軍が嘉手納飛行場から撤退すれば、国際空港としてすぐ活用できますよ。撤退に至らなくても、岩国航空基地(山口県)のように軍民共用で使えばいいのです。
観光需要に沸く沖縄。写真は北谷町の商業施設「アメリカンビレッジ」。
嘉手納飛行場の滑走路のように、米軍が撤退した後の基地には活用できるものがたくさん残ります。例えばF15の掩体壕。あれは横をふさげば、東京ビッグサイト以上の見本市会場になります。これらを一つ一つ検証し、何に使えるかを調べているところです。そういうビジネスを米国とできるようにしたいですね。
仲井真弘多県政時代から県庁が作っていた資料に、基地返還地における経済効果を予測したものがあります。例えば普天間飛行場が沖縄にもたらす経済効果は現在120億円ですが、返還されれば3800億円まで増える。すべての施設を合計すると、基地があることで逸失利益が1兆円ぐらいある。
日本政府が今、沖縄振興予算をカットすると揺さぶりをかけています。これは、県民に健全な危機感を持たせるむしろポジティブな効果があるのではないかと思っています。これまでは政府と協調路線を取る保守県政の方が振興予算が減る傾向にあった。逆に革新県政になると増える。直近の最も低額の時で年間2000億円強。この程度までなら減らされても沖縄は大丈夫ですよ。
米軍は尖閣を守っていない
—経済的手段で安保体制を築きリスクを減らすとして、米軍基地を全てなくすことは可能でしょうか。
前泊:駐沖縄米軍の縮小をうたった SACO(日米特別行動委員会)合意が生まれた背景には、沖縄県がつくった基地返還アクションプログラムがあります。このプログラムでは2015年までに基地を全廃することになっている。これは当時の橋本龍太郎首相も受け入れた計画です。基地が全部なくなってもよい体制を日本も沖縄も常に考えないといけない。
フィリピンは急に米軍が撤退して大変なことになった。日本は米軍が居なくなるときに備えてリスクヘッジしないといけないんですよ。
—経済的な安全保障体制で、米軍が持つ抑止力としての機能を完全に代替していくということですか。
前泊:例えば米軍から返還された土地に米ボーイングの整備工場や中国の物流企業のセンターを誘致し、経済安保の拠点にする。ほかにも香港、マレーシア、シンガポールといったアジアの国々が拠点を置いたら、沖縄をたたこうと思う国はないですよ。
使われない射爆撃場
—尖閣諸島に対する脅威は経済安保で排除できますか。
前泊:日米地位協定に基づいて日本が米国に提供している施設の中に、赤尾嶼 (せきびしょ)、黄尾嶼 (こうびしょ)という射爆撃場があります。これは尖閣諸島の大正島、久場島にあります。
大正島、久場島の接続水域にロシアや中国の軍艦が入ってきて大騒ぎになっても米軍は動かない。沖縄県の資料では、両施設は1979年から特に訓練が行われていません。もし米軍がここで演習したら抑止力になりますよね。中国軍機が入ってきたら自衛隊にはスクランブルがかかるのに、米軍はここを使わない。米軍は尖閣を守っていないんですよ。
—バラク・オバマ米大統領は、尖閣は安保条約5条の対象だと言っています。
前泊:対象だけど、自分たちで解決しろということでしょう。たかが岩山ごときのために、アジアにおける最大の貿易相手国である中国と対立することはないのです。日本との貿易量は中国とのそれに比べるべきもない。尖閣ごときのために中国とけんかして米国に何の得があるかと米国は考えていますよ。損得で見れば米国が動かないのは理解できます。
米国にとっての損得、中国にとっての損得、それを見定めた上で日本の安全保障を議論することが必要です。
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