4/18日経BizGate 田中直毅『凄まじいバブルの崩壊が起きる』について

本記事は一言で言うと「社会主義市場経済」の矛盾が露呈してきたという事です。社会主義は計画経済で運営されるのに市場経済と言い募る所に言葉上の矛盾、自家撞着があり、また実態で見ても権銭交易で畸形市場経済です。

資源配分がうまく行かず(GDPに占める構成要素として不動産投資が多く、実需を無視したやり方)、また富の分配もうまくいってません(GDPに占める消費の割合が3割から4割というのは経済格差が大きく、党員や役人に富を収奪され、海外へ富が移転されていることを意味します)。共産主義は、本来は経済的に「結果の平等」を目指したはずですがそうはなっていません。やはりマーケット・メカニズムに調整を委ね、「機会の平等」を目指す資本主義の方が健全と思われます。政治的には、共産党統治は一党独裁≠民主主義、基本的人権を蔑ろにし、三権分立・法治の概念はありません。個人の生活においてこんな危険なシステムはありません。中国に8年駐在しての実感です。

中国でビジネスをするには必ず監督官庁に賄賂を贈らないとできません。中国人同士であれば当然と思っているでしょうけど、日本人にはこれは出来ません。雇った中国人が秘密裏にやるしかないでしょう。ですから中国人の金の持ち逃げも当然のように起きますし、財務部には「小金庫」という裏金をプールして、賄賂や接待時に使うようにしていました。中国の収賄側は日本の身分犯と違い、商業賄賂と呼ばれ、民間同士であっても法律上、罪に問われます。実際は皆やっていることですから、そんな例はなかったですが。

http://keieisha.zuuonline.com/archives/2252

田中直毅もやっと中国経済の危うさについて述べ出したかという気がします。宮崎正弘、田村秀男、渡邉哲也、近藤大介、石平氏辺りは1年以上前から「中国経済は危ない」と言ってきました。経営者や経済評論家に要請されるのは「先見性」でしょう。後出しジャンケンなんて誰でもできます。中国の危険性を無視して中国進出を煽った経団連と日経新聞の罪は深い。これらのトップはハニーでも咬ませられたのではと疑ってしまいます。その結果、軍事膨張を続ける「遅れて来た帝国主義国」というモンスターを作ってしまいました。中国支援をしてきた日米は製造物責任があり、中国包囲網を作って、台湾やASEAN、太平洋国家の安寧を守る義務があります。

記事

2009年時点において、中国のバブルの熟成とその崩壊の前兆はすべて整っていたといわねばならない。その前年のリーマン・ショックを受け、中国は4兆元にものぼる公共事業プロジェクトを表明。それまで「民進国退」とうたっていた産業政策が「国進民退」の様相を余儀なくされ、民間企業の収益が逼迫し、不良債権化していった。

早くも「喪失世代」が誕生

 ここで、2009年当時の状況を改めて点検してみよう。それは中国が正面から立ち向かわねばならなかった課題が顕在化していたからだ。バブルの発生はこうした課題から結果として目をそらす作用を及ぼしたといえよう。

 2009年に入ると、中国では2011年からの5ヵ年計画策定にあたって、雇用と賃金の分析が喫緊の課題となった。実際のところ、以下4点に関する問題点の噴出があった。

(1) 急増する大卒者に職場を用意できない。この点については4兆元の投資プロジェクトの緊急増がまったくといってよいほど寄与しないどころか、かえって状況を悪化させたことも明らかとなる。
(2) 沿岸都市部の工場労働者の賃金上昇率が、想定を上回る加速を見せつつあった。内陸部の農村の過剰就労状況に変化が見られない段階から、都市の賃金はしだいに上昇基調となった。「先富論」(可能な者から先に豊かになり、後から来る者を助ける)という不比例的経済発展論が前提としていた論理は、どこかで破綻をきたした可能性があった。
(3) 経済的機会が他の先進国に比して多い中国には、海外からの直接投資が相次ぎ雇用機会が増えるはずであった。しかし他方で、中国の内部で生まれるかなりの利益が、中国の内部で再投資に向かわず海外に流出することにより、雇用増の見通し、とりわけ高度な知識を要する職場の増大が予測外に小さい可能性を無視できなくなった。
(4) こうした大卒者をめぐる雇用市場の悪環境は、他国の経済発展の歴史との比較からすれば、あまりにも早熟な「喪失世代」の誕生に結びつき、中国が不安定な社会になりやすい可能性が出ていた。

 私は2009年秋の段階で中国共産党の内部で「構造改革派」が生まれつつあると実感した。5ヵ年計画の策定担当者と討論を繰り返すたびに、ほんの10年ほど前には「三農(農業、農村、農民)問題」の克服が唱えられたにすぎなかったが、この時点においては、中国は経済発展の全構造を再問しなければならない段階にきたと判断せざるをえなかった。

 当時の胡錦濤・温家宝政権の業績評価が中国の内部で芳しくないのは、この「構造改革課題」に十分な取り組みを見せなかったからである。経済発展の萌芽的段階が終了した以上、雇用については量も質もともに論じられなければならなかったにもかかわらず、見るべきほどの指導性が発揮されることはなかった。習近平総書記には、こうした無為の期間の経過ののちに登場せざるをえないという巡り合わせの悪さがある。

茫漠とした「新常態」構想

 習近平総書記は2014年河南省の視察に際して、「中国は新常態に適応する必要がある」と語り、それ以降、中国経済の進路に関連してこの言葉が頻繁に用いられるようになった。安定的な経済成長、新たな経済発展パターンの実現、市場経済化の改革促進を柱として、新たな経済への移行を謳ったものだとされる。しかし、「新常態」という言葉は登場したものの、その内容については茫漠としたものと言う以外にない。

 ほんの4、5年前までは「保八」という議論が根強くあった。これは、中国において年に1500万人増え続ける新規の労働参入を吸収するためには8%以上の経済成長率が維持されなければならないという意味で掲げられたスローガンである。

 このことは、部分的にはわれわれも見聞きする雇用の実態といえようが、実際にはさらなる精査が必要である。大学を卒業してもそれに見合う職場がないと考える人たちの溜まりがすでに数百万人から1000万人に達するという指摘は中国の諸方面からなされる。したがって、出来上がってしまった人材の皺を伸ばすために、高めの経済成長が不可欠という問題の立て方はたしかにこれまで存在した。

 しかし、さらに幅の広い観察をするならば、中国の労働力人口が2010年をピークに少しずつ減少に向かっていることも事実である。ここから中国における労働需給の全体的なマッチング問題、どのようにして職場を一つひとつ結びつけていくのかという巨大なマッチング課題の存在が明らかとなる。

 中国経済はすでに雇用問題でも従来とは異なる課題を抱えるに至っているが、その解決策を見出せずにいるのだ。

2011年には問題が煮詰まる

 そもそも、第12次5ヵ年計画が開始されようとしていた2011年の時点においても、すでにみたように問題は相当程度煮詰まっていた。5ヵ年計画に対する注目度も従来の計画と比べて飛躍的な高まりをみせていた。それは中国経済がいろいろな意味ですでに転機に入っていたからだ。

 これを改めて見定めるために、その5年前の第11次5ヵ年計画の開始当初との比較が有効と思われる。2006年当時は、民間企業が中国経済の骨格をどのようにして担っていくのかについての関心が非常に高かった。当時の情勢は「民進国退」という言葉で表現された。民有企業が経済の新しい担い手として期待され、事実、民有企業がカバーする領域が急速に拡大していたのである。

これに対し、国有企業は効率改善もままならず、中国経済におけるシェアを低下させつつあった。国有企業はいわゆるリストラに絡む問題も十分に論点整理ができていなかった。他方、民有企業には、どこまでカバレッジ範囲を広げることができるのかという前がかりのところで問題が存在した。

 だが、当時における民有企業の側の内部問題も深刻だった。そのひとつとして業界における供給者の極端な多さが挙げられた。米国でも自動車生産が開始された当初、1000社を超える自動車メーカーが群立していたが、これとほぼ同じ状況が2006年当時の中国に存在した。農業用耕作機に少し工夫を加えた程度のものも乗用車とされ、移動に使えるという意味だけの自動車生産も多かった。

 したがって、業界内の集約化、効率化のためにどのような基準を設けるかという課題が存在した。同様に、製鉄業においても電気炉が非常に多く、製鉄所も数百単位で林立するなど、産業としての合理化課題があり、環境問題の視点から鉄鉱石の過度の浪費がもたらす問題という指摘もあった。

 ところが、2011年から始まる第12次5ヵ年計画をめぐる様相は変貌した。2008年のリーマン・ショック以降、世界の需要が大幅に落ち込み、中国で生産した製品を欧米などに輸出し、そこから所得と雇用の場を確保するというメカニズムがいったん断ち切られることとなり、中国内部で財の新たな循環プロセスを作らなくてはならなくなった。そこで、2年間にわたり合計4兆元の資金を動員するプロジェクトが一挙に開始され、それによって中国経済の様子は一変したのである。

 先に触れたように、それまで「民進国退」と謳っていたものが完全に逆行し、「国進民退」となった。すなわち、政府が前面に出て発注作業を行い、受注するのももっぱら国有企業となった。4兆元のプロジェクトの90%以上を国有企業が受注したといわれる。逆にいえば、競争的市場において入札を競わせるような仕組みが中国では整っていなかった。

 職場を作る場合、民間企業が対応するならばいろいろな予測も可能である。民間企業では、収益条件や競争力維持の観点から必要とする人材についての具体的推計にも踏み込まざるをえない。しかし国有企業となると、その行動原理は中国の人々にとってもそれほど明らかではない。

 中国の国有企業の多くについては、受注して仕事を完了させ、粗利益が企業の内部にいったん入ったとしても、それがその後どこへ向うかがよくわからない面がある。国有企業の株式を保有する政府は支配者・所有者であり、当然、共産党の人材も国有企業に組み込まれる。共産党の諸機関はある時期から厳格な定年制度を採っているため、60歳以上の定年退職した人たちをどこで吸収するのかが大きな問題とならざるをえない。監査や政府とのリレーションシップ管理といった名目で国有企業にこれらの人材を押し付けることもある。

また、剰余金の性格を持つ資金を海外で企業を取得するために使うこともあるし、石油などのエネルギー企業の場合は、やがて来たるべき海外資源確保のための保蔵という名目も立つ。いずれにせよ、中国の国有企業でどのような仕事が増えるかを予測することは、民間企業の場合ほど簡単ではない。そのため国進民退に大きく転換するなかで中国の大卒雇用市場に大きな問題が生じてしまったのだ。その意味でも、第12次5ヵ年計画にいくつかの問題点があったことは明らかだろう。

日本と比較した投資効率は半分以下

investment for real estate in China

過大な不動産投資が工業生産の重荷に(重慶市)

 中国の高い成長率が持続している時期は、大雑把にいってGDPに占める投資比率が7割前後、あるいはさらに高く75%程度にまで達したとの声もあった。成長率が10%を超えた高度成長期の日本において対GDPの投資比率はその半分の30%から35%程度であったが、中国では、おそらくその倍近い投資比率になっていた。

 雑な比較であることを承知の上でいえば、投資額とそこから算出される所得からある種の効率性基準を作ると、日本の高度成長期に比べて中国の投資効率は半分程度だったといえよう。もちろん厳密な計算には相当な作業が必要だが、投資の半分は相当非効率なものである可能性がある。これは中国の分析者たちの指摘でもある。

 たとえば、中国では地方政府が所得を得ようとする場合、土地を処分したり不動産投資を行ったりする。それが地方政府の主要な収入源になっていたためだが、このことは結果として固定資本投資の比率を非常に高くすることにつながる。地方都市においては賃貸借契約に至らない非効率なビルディングが数多く建つ。これが投資効率の低さを掴みで把握するひとつの方法であろう。

 中国の地方政府改革にはさまざまな時機があった。たとえば朱鎔基が首相だった江沢民政権の時代は、地方の財源をいかにして中央に取り戻すかが大きな課題であった。地方政府の中には、自らの開発のために使える資金を朱鎔基改革によって中央政府に吸い上げられてしまったという意識を持つ人々が非常に多い。朱鎔基はその果断な決断力によって西側で非常に高く評価されたが、中国でいまひとつ人気が盛り上がらなかった理由のひとつは、地方政府から財源を奪ったことであろう。

 土地は基本的には公有となっているが、土地の処分については地方政府が圧倒的な力を持つ。ディベロッパーが地方政府と長期の賃貸借契約を結び、土地を借りて建物を建てる場合、ディベロッパーは不動産建設に関する仕事をする。地方政府にはディベロッパーとの契約締結権限を通じたお金が入る構図となる。このように、投資にかかわるかぎり、地方政府の収入が上がる仕組みといえよう。

 このように中国経済の歪みを生み出している重大な要因は、諸権限が圧倒的に国有企業や地方政府の手にあることだ。経済成長への寄与に大きくかかわっているのが投資であるがゆえに、地方政府や国有企業はここに注目するかたちで役割を果たそうとする。

これとは異なり、民有企業の場合はまったく別の視点に立つ。洗濯機やテレビなどで考えるとわかりやすい。消費者の選好に依存する非常に厳しい競争状態に置かれ、実際には過剰能力が存在するため売り値は容易に上げられない。しかも、わずか5年前までは資材価格は確実に上がり、賃金の上昇テンポは期を追ってさらに速まるという、利益を上げることがきわめて難しい情勢にあった。

地方では「取り付け」が発生か

 このような状態が生み出されるに当たって、一体どのような金融事象が随伴するものだろうか。ひとつ考えられることは、過剰な投資をファイナンスすることに適した構造が、国有銀行や地方の小規模な銀行にも当然見受けられるだろうということだ。投資促進のために融資が行われているが、投資の効率は非常に悪く、西側の普通の言葉でいえば不良債権になりがちなものが多い。

 少し前までの中国の金融監督の状況は、お金を借りた側の「あるとき払いの催促なし」が常態で、西側基準からすれば不良債権の定義にそのまま入ってしまうようなものが貸出金として計上された。この状況が是正されないままで銀行のマネジメントのミスがさらに重なったらどうなるか。不良債権比率が極端に高いという噂が出たりすれば、銀行に預金者が押しかけることがありうる。バンク・ラン(取り付け)である。預金通帳を持った人が銀行を取り囲むことになるかもしれない。

 昭和初期のわが国の金融恐慌においてはそうしたことが実際に起きたのだが、どうやら中国の地方都市ではバンク・ランが発生し始めているともいわれる。少なくとも中国人の分析家はそのように指摘する。その意味からも、中国の金融政策運営は、非常に危ういタイトロープを渡るかのごときものになり始めている。

 資源配分を改善するために資本自由化に取り組むべきという点については、中国でも少なからざる人が指摘するところである。だが、現実に資本自由化によって中国の人々が自由にお金を動かすことができるようになると、中国の銀行の不良債権比率が相当高まっている状況においては、海外の口座への資金流出が発生することも考えられる。

 その意味からも、中国における資本自由化は到底進められないという立論も根強い。もしそれを進めるのであれば、金融機関の不良債権問題に片をつけてからだということになるが、他方、投資の比重が高い経済体質が持続するかぎりにおいては、不良債権問題を片付けることは難しいという論理的関係にある。

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4/16JBプレス 古森義久 『米国が問題視、中国の圧力はケニアにも?45人の台湾人を台湾ではなく中国に強制送還』、4/16ZAKZAK 有本香『中国「反日」プロパガンダ溶解危機 ケリー米長官の広島献花の衝撃』について

中国は嫌がらせの名人、レアアースの禁輸、南京虐殺等、人の嫌がることを平気でします。自分たちにとって、その方が利益があると判断すれば果断に実行します。ただ、長期的な視点を持ち合わせているかどうかは別ですが。福田康夫の「人が嫌がることはしない」態度と真逆の態度であります。敵は日本人の人の良さに付け込みます。人の善意を信じる性格で”gullible”と言っても良いのでは。朝鮮人も小中華だけあって中国人と同じです。今度の熊本・大分地震でも人間の発言とは思えない言辞を弄しているのがネット記事にありました。ここに記載するのも憚れます。日本のメデイアは中韓北に籠絡されているので、記事にしないのでしょうけど。こういう国とは友好関係は結べないというのは国民レベルで広がっています。その結果が新聞販売量の結果となって現れています。

古森氏は「92共識」が存在するとの立場ですが、李登輝元総統は認めていません。中国人は文書偽造が得意です。大学の卒業証書や公的領収書も偽造して売っているくらいですから。中国人と台湾・外省人(=中国人)が手を握ってデッチ上げたのだろうと思います。でも、中国は45人を人質に取り、蔡英文次期総統を揺さぶろうと言うのが見え見えです。「92共識」を認めないと人質は返さないと言って来るのでは。日韓基本条約締結時と同じです。人質を取られた日本は、払わないで良い金を払ってしまいました。それが小中華を増長させることになったのです。日本は、小中華は相手にせず、台湾民進党をバックアップすれば良いでしょう。

http://fis.takushoku-u.ac.jp/worldnow/backnumber/17/shimojo.html

オバマ大統領の広島訪問は既定路線になった感があります。反日朝日と同じ反日NYTも賛意を示しました。ワシントン・ポストも賛成ですので、間違いないでしょう。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160416/k10010483611000.html

ケリーだけでなく、オバマが広島に行けば、中国の驚愕度合いはもっと大きくなるという事です。江沢民が反日腐敗大統領のビル・クリントンと会う時に、ハワイの真珠湾に寄り、戦艦アリゾナで「米中は第二次大戦で一緒に戦った」と言う演説をしたことを思い出しました。勿論中国で戦ったのは国民党で、共産党は逃げ回っていただけですが。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B1%9F%E6%B2%A2%E6%B0%91

米国も原爆投下を正当化する意見がまだまだ主流ですが、歴史の見直しが進み、如何にFDRがスターリンに手玉に取られていたのか分かれば、米国世論も変わってくると思います。ハミルトン・フィッシュ著(渡辺惣樹訳)『ルーズベルトの開戦責任』やフーバー大統領の回想録“freedom betrayed”を読めば、日本は嵌められたのが分かります。でも騙される方が悪いと思わねば。キッシンジャーのような中国から買収されている政治屋が居なくなれば米国での歴史の見直しが進むかも知れません。日本のメデイアはGHQのWGIP其の儘の考えで報道していますので。いい加減呪縛から脱却しなければ。

http://blog.goo.ne.jp/2005tora/e/fce93545125696bebb8f2a84f07e56c2

古森記事

Nairobi

ケニア政府はなぜ台湾人を中国に強制措置したのか。ケニア・ナイロビの市街地(資料写真)

 ケニアに滞在していた台湾籍の45人をケニア政府が拘束し、中国に強制送還した。

 この“異常”な措置が、「一つの中国」政策を拡大する中国の強硬戦略の表れだとして、米国で重大な関心を集めている。中国が経済援助の見返りとしてケニアに圧力をかけ、台湾の独立性を骨抜きにする外交攻勢に出ていると警戒されている。

「台湾とは国交がない」とケニア政府当局者

 台湾当局などの発表によると、ケニアに滞在していた45人の台湾人が、4月8日に8人、同12日に37人、中国本土の広州市に向かう中国旅客機に強制的に乗せられ、送還された。

 ケニア政府の発表では、45人はいずれもケニア国内での詐欺事件、サイバー犯罪に関与した疑いがあり、同じ容疑の中国籍約10人と同じ扱いで中国側に引き渡すことにしたという。

ケニア政府当局者は、ケニアと台湾(中華民国)の間には国交がないこと、ケニアは中華人民共和国が唱える「一つの中国」の原則を受け入れていることを強調した。この原則に基づけば台湾籍の人物の身柄を中国に引き渡すことは決して不自然ではないという。それを受けて中国外務省報道官は、「ケニアが『一つの中国』の原則を堅持していることを高く評価する」と言明した。

 8日にケニアを離れた台湾籍の8人はすでに北京に送られて拘留されているという情報もある。台湾政府は中国政府に対して、すべての台湾籍の人物の身柄の引き渡しを求めた。だが中国側は、「ケニアと国交を有するのは中国であり、管轄権は中国にある」と答え、台湾側の要求を拒否した。

 ケニアに拘束されていた台湾人たちは強制送還の先が中国本土であることを通告されると、留置所内部で抗議し、連行されることを拒否した。しかし、ケニア当局により無理やり航空機に乗せられたという。台湾政府はこの留置所内部での抵抗を録画したビデオを入手して一部を公開し、ケニア政府に抗議している。

蔡英文氏へのいらだちを隠さない中国

 米国務省報道官は、中国本土に送られた台湾人の1人が米国籍も有していることから、米国がこの事件に重大な関心を抱いていると語った。

 しかし、米側の中国・台湾問題の専門家たちの多くは、別の点からケニア政府の強硬な措置を問題視している。つまり、ケニア政府は「一つの中国」政策を徹底しようとする中国政府の意向を受けて強制送還を行ったというのだ。

中国と台湾の間には、共に「一つの中国」の原則を認めたとされる「1992年合意」が存在する。だが、2016年1月の総統選挙で当選し、5月に総統に就任する民進党の蔡英文氏は、その合意への態度を鮮明にしていない。むしろ、受け入れることに難色を示しているとも伝えられる。

 中国は蔡氏へのいらだちを隠さず、さまざまな形で「一つの中国」原則を受け入れるよう圧力をかけてきた。今回のケニア政府の措置も、中国が「一つの中国」原則を押し通すために台湾人の身柄を引き渡すようケニア政府に働きかけた結果であり、それによって蔡氏に揺さぶりをかけているという見方がある。

 中国は近年、アフリカへの経済進出を拡大させ、特に鉱山資源や石油資源の豊かな南アフリカ、ザンビアなどへの援助や投資を増加させてきた。東アフリカで最大の経済規模を誇るケニアに対してもインフラ建設などの面で援助を強化してきた。ケニア側はそうした中国の援助に応える形で、台湾人の中国への異常な送還を強行したというわけだ。

 米国では、中国が今後も台湾の民進党新政権に圧力をかけ続け、台湾の国際孤立を深める戦略を進めるだろうという見方が広まっている。

有本記事

Kerry offered flower in Hiroshima

原爆慰霊碑に献花するケリー米国務長官(中央)と岸田外相。右はハモンド英外相=11日午前、広島市の平和記念公園

またもや北京が激怒している。広島市で開かれたG7(先進7カ国)外相会合の後、参加各国の在中国大使らを呼び付けて抗議したほどにである。怒りは主に、南シナ海や東シナ海の件が議論され、声明に盛り込まれたことに対してとされている。これは表向きのことだろう。  国際社会では日々、大小さまざまな国々が、2つの「り」を最大化すべく、しのぎを削っている。1つは「利益(国益)」、もう1つは「理念」だ。理念は、価値観と言い換えてもいい。  今日までの世界は、G7に代表される西欧諸国の価値観によって支配され、それによって彼の国々の利益が最大となってきた。  日本は元来、異分子ながら、西欧グループに肩を並べて、「自由」「人権」「民主主義」「法の支配」などの価値観を共有している。  中国はこれに挑戦しているわけだ。挑戦の過程で、各国にカネをばらまき、中国ビジネスの利権ケーキの切り分けを絶妙に差配しながら、G7の国々を黙らせることに努めてきた。  ところが、広島宣言によって、中国の南シナ海・東シナ海での軍事行動は、アジアローカルの問題から、G7の共有する懸念材料へと格上げされた。だが、中国の「怒り」のポイントをこの件だけと見るのは誤りだ。むしろ、米国のケリー国務長官が、他のG7外相とそろって原爆慰霊碑に献花をし、原爆資料館を訪れたことの方が、大きな衝撃を与えたにちがいない。  なぜなら、中国がこれまで韓国を従えて、米国などを舞台に好き放題やってきた「対日歴史戦」が、方向を見失う可能性があるからだ。「南京で日本軍が40万人を虐殺した」だの、「20万人の朝鮮の少女が強制連行され、性奴隷にされた」という一連のウソは、米国という戦勝国の史観がお墨付きとなって野放しにされてきた。

日本は、中国や朝鮮で散々悪いことをしたのだから、原爆を落とされても当然、原爆投下は戦争を終わらせ、多くの人を救った正当な行為だった-という米国のロジックが、中国・韓国勢のプロパガンダの下支えになってきたのだ。

 今般のケリー長官の広島での言動から、オバマ米大統領の広島訪問が実現すれば、中韓のプロパガンダの根底は溶融しかねないのである。米大統領の広島訪問には、それだけの意義がある。

 「オバマ大統領の最後のパフォーマンスに広島を使うな」とか、「大統領に謝罪を」という声が日本国内にあるが、求めすぎるのは得策ではない。米国内の世論への配慮も必要だ。

 米中が、価値観(理念)の対立を鮮明にしていく。その新たな冷戦を、日本の「り」につなげていくための、強かで着実な前進が今求められているのである。 =おわり

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4/15日経ビジネスオンライン 北村豊『中国ホテル内暴行、「皆が無視」のおぞましさ ネット告発でホテルに非難殺到も、対応に誠意なし』について

中国のホテルのロビーにはそれと分かる女性が屯しています。米系ホテルと雖もです。外から女性を持ち込むと、彼女らの商売の邪魔をすることになり、ホテル側から公安に通報される危険性が高いです。

中国は力の信奉者が多いです。女衒のような輩も、絶対公安に賄賂を贈っています。でなければすぐに逮捕され、安心して商売ができないからです。その為、逆に過信に繋がり、「何をしても大丈夫」という気にさせてしまう訳です。中国駐在時にも日本料理店やカラオケ店に時々、視察と称して公安が回ってきました。裏で金を出していれば別に何も起きません。カラオケ女性は「三陪小姐」(男性客の「食事、遊び、寝る」の3つにつきあうことを生業とする女性の蔑称、①陪你聊天②陪你喝酒③陪你上床、〈備考〉「三陪」は「陪酒、陪舞、陪歌」、「陪吃、陪喝、陪聊」を指すこともある。)とよばれることもありますが、全員が売春する訳ではありません。また、話をしたり、酒を飲むときに女性は男性の横に座ってはいけないことになっていますが、守られることはなかったです。大体取り締まる側の公安が腐敗していますから。中国には立派な法律が通過していますが、守られた試しがありません。賄賂で曲げられてしまうからです。排水中のBOD、COD超過も罰金を払えばそちらの方が、設備投資するより安いので、中国の河川は汚れ放しになる訳です。中国憲法の第35条には「中華人民共和国は、言論、出版、集会、結社、行進、示威の自由を有する」とありますが、守られてないのは、香港・銅鑼湾書店の例を持ち出すまでもないでしょう。デモも官製デモだけです。共産党が認めないデモを許せば、国はすぐに持たなくなるでしょう。共産党は悪逆非道の統治をしていますので。

でも、今はSNSが発達してますので、おかしなことが起きれば、政治的に微妙な問題でない限り、本記事のように反撃できます。権力の横暴に対抗するには、このような手段を活用するしかありません。社会に「悪」を晒すことでしか。日本のメデイアは権力となって、彼らにとって「不都合な真実」は「報道しない自由」の権利を行使します。でもSNSの発達で、メデイアが批判の目に晒されるようになりました。また、玉石の石の情報は炎上するか、淘汰されます。インターラクテイブの凄さです。

記事

ホテルグループ“如家酒店集団(Home Inns Group)”に属する“和頤酒店(Yitel)”は中国国内でチェーン展開する準高級のホテルで、国内24都市に60か所のチェーン店を擁している。「北京望京798和頤酒店」(以下「和頤(わい)ホテル」)は北京市内に9か所あるチェーン店の一つで、北京市北東部に位置する“朝陽区酒仙橋北路”にあり、“望京科学技術園区”と芸術家が集うことで名高い“798芸術区”に隣接することから命名された。和頤ホテルは“首都国際空港”まで北東へ15km、北京市の中心部まで南西へ15kmと、空港と市街区の中間点にあって交通に便利なことから、宿泊客には地方から上京するビジネスマンが多い。

北京の和頤ホテルで暴漢に襲われる

 さて、4月3日の夜、その和頤ホテルに宿泊していたハンドルネームを“彎彎_2016”と名乗る女性がホテルの宿泊階で暴漢に襲われる事件が発生した。その事件の経緯は以下の通り。

【1】彼女が和頤ホテルにチェックインしたのは4月1日だった。彼女は北京市へ業務出張するついでに休日を楽しもうと、3月30日に旅行予約サイト“携程旅行網(ネット)”を通じて首都国際空港に近くて便利な和頤ホテルを4月1日から予約した。北京滞在3日目の4月3日の夜、彼女は北京にいる友人との食事を楽しんだ後、1人でタクシーに乗り、10時50分前に和頤ホテルへ到着した。ホテルの玄関を入ってエレベーターホールに進むと、そこには3人がエレベーターの到着を待っていた。間もなくエレベーターが1階に到着し、上りのエレベーターには彼女を加えた4人が乗り込んだ。

【2】和頤ホテルのエレベーターはセキュリティシステムを採用しており、宿泊客がエレベーターで宿泊階へ上るには、宿泊客が持つカード式ルームキーをエレベーターの停止階表示器に組み込まれたセンサーにタッチする必要がある。彼女の部屋は4階だったが、停止階表示器を見ると、誰かがルームキーをタッチしたらしく、4階の停止表示はすでに点灯していた。エレベーターは4人を乗せて上昇し、3階で1人が降りた後に4階へ到着した。エレベーターが4階に止まって扉が開くと、彼女はすぐにエレベーターを降りたが、停止時間が過ぎて扉が閉まる直前に1人の男が降りた。

【3】彼女がエレベーターホールでバッグから部屋のカードキーを取り出すのに手間取っていると、その男が彼女に近付き、「姉ちゃんは何号室」と声を掛けてきた。これはまずいと思った彼女は、「どうしてあんたにそんな事を言わなきゃいけないの。あんたは誰?」と応じた。すると、男は表情を変えて、「お前の部屋へ行こうじゃないか」と言いながら、彼女の腕をつかんで無理やり部屋のある方向へ引っ張った。彼女は男の乱暴な行動に怯えると同時に、男が凶器を持っていたらどうしようと考えつつ、身体を引っ張られまいと抵抗を続けた。彼女の抵抗が激しいので、男はさらに力を強めた。彼女は「私はあんたなんか知らない。放してよ」と大声で叫び続けたところ、男はその声を他の宿泊客に聞かれては困るとばかりに、彼女の首と顔を押さえつけて声を出せなくさせて、彼女を強引に引っ張った。

【4】彼女は何としても逃れようと、必死の思いで「助けて」と大声で叫び続けた。たまたま部屋のある通路から現れたホテルのボーイが、彼女の叫び声を聞いて近付いてきた。天の助けと考えた彼女はボーイに向かって、「この人は知らない人なの、早く助けて」と叫んだが、これを聞いた男はなおさらいきりたって、彼女の首をつかむ手に力を加えたので、彼女は息ができなくなり窒息しそうになった。この状況を見て、恋人同士の痴話げんかだと思ったボーイは、男の暴力行為を止めようとしないばかりか、優しい声で「ここでけんかしないでください。だめです、こんなことはいけません」と語りかけたのだった。

ボーイも客も傍観、1人の女性が救いの手を

【5】ボーイは助けてくれるわけでなく、ただ傍観しているだけ。どうしようもなくなった彼女は、床に座り込んで男に引っ張られるのを防ぎながら、110番へ通報しようと携帯電話を取り出した。しかし、目ざとくこれを見つけた男は、彼女の手から携帯電話を奪い取ると、彼女から目を離さぬまま、やおら誰かに電話を掛け、電話の相手に応援に来るように依頼したのだった。これを聞いて、彼女は焦った。誰だか知らないが、男の仲間が来たら連れて行かれるかもしれない。彼女は混乱の極にあり、恐怖に打ちのめされて、全身をわなわなと震わせていた。

【6】この間にも数人の宿泊客がエレベーターから降りて来たが、彼らは男女が痴話げんかしているものと思ったのか、見て見ぬふりして通り過ぎて行くだけだった。但し、1人の女性だけは彼女と男のただならぬ様子に不審を覚えたようで、ずっと彼ら2人を見つめながら自分の部屋へ向かった。そうこうする間に、男は再度電話を掛けようと、彼女から手を放して少し離れた場所へ移動した。逃げるなら、今がチャンスだ。一瞬の間隙をついた彼女はエレベーターまで突進して上下ボタンを押したが、これに気付いた男は走り寄ると、有無を言わさずに彼女を捕まえ、髪の毛をつかんで、彼女をエレベーターとは反対の側にある消防用避難通路へ連れ込もうとした。

【7】先に2人の様子に不審を抱いた女性は、一度は部屋に戻ったものの気掛かりで、部屋から出て、彼らの状況をうかがっていた。男が彼女の頭髪をつかんで消防用避難通路へ連れ込もうとした時、見かねて意を決した女性は、彼女に救いの手を差し伸べて、男の手から彼女を救い出すと、彼女の盾となった。すると、形勢不利と見た男は慌てふためき、消防用避難通路から脱兎の如く逃走した。危機を脱した彼女は救い出してくれた女性の腕にすがり、自分を女性の部屋へ連れて行って欲しいと懇願した。ホテルのボーイは男が逃走するまで現場にいたにもかかわらず、最後まで彼女を救出することなく、ただ木偶の坊のように傍観していただけだった。

 上記の事件は4月3日の夜10時50分から54分までの4分30秒の間に発生したもので、その状況は4階のエレベーターホールに設置されていた監視カメラによって全て録画されていた。しかし、和頤ホテルの警備員も管理職員も監視カメラの映像を見ていなかったため、事件の最中に現場へ駆けつける者は誰もいなかった。また、当直のフロント係は事件後に何度も電話を掛けた末に、ようやく彼女の所へ出向くという体たらくだった。彼女が事件を110番通報したことで、派出所の警官が和頤ホテルへ急行し、和頤ホテルでの現場検証と監視カメラのチェックが行われた。その後、彼女は警官とともに派出所へ移動したが、警官が彼女の調書を取り終えたのは午前2時過ぎだった。

 彼女は派出所の警官に、「犯人は27~28歳の男で、黒革の上着にGパンをはき、うりざね顔で凶暴な目つきをしていた。男は酔っておらず、素面だった」と述べて、犯人を早急に逮捕するよう要望した。しかし、警官は、「盗られた物もないし、負傷もしていない。酔っ払いが絡んで来ただけじゃないのか」とまともに取り合うとしなかった。

ホテルへの非難コメント200万以上

 その夜ホテルの部屋に戻った彼女はまんじりともせずに一夜を過ごした。翌4日の朝、ホテルのフロントへ出向いた彼女は、フロント係に今回の事件発生についてホテルはどう考えているのかを質したが、フロント係は事件が発生したことなど全く知らなかった。そこで、責任者に連絡を取るよう要求して、責任者と電話で話したところ、責任者はすでに公安局へ報告済みだから、公安局からの見解を待ちたいと言っただけで、ホテル内で事件が発生したことを謝罪しないばかりか、事件について何らの釈明もなかった。そればかりか、責任者は電話で応対しただけで、彼女の前に姿を現すこともなかった。それでも彼女はホテル側からの誠意を信じて連絡を待ったが、ホテル側は知らぬ顔の半兵衛を決め込み、彼女を一切無視した。このため、彼女は4日中にホテルを引き払い、飛行機で北京を去ったのだった。

 4月5日、彼女は自身のハンドルネーム“彎彎_2016”の“微博(マイクロブログ)”に4月3日夜に和頤ホテルで発生した事件の経緯を書き込むと同時に、ホテルで警官と共に監視カメラの映像をチェックした際にスマホで撮影した、事件発生当時の状況を示す動画を動画共有サイト“優酷(youku.com)”へ投稿した<注>。このマイクロブログの書き込みと投稿された動画は大きな反響を呼び起こし、ネットユーザーによって中国全土へ転送された。この結果、4月6日夜までに“彎彎_2016”のマイクロブログには15億件ものアクセスが殺到し、200万人以上がコメントを書き込んだ。その大部分は和頤ホテルの彼女に対する冷淡な対応を非難すると同時に、ホテルの管理能力と従業員教育に疑問を呈するものだった。

<注>“優酷”に投稿された動画の再生回数は、4月10日夜までに700万回を超えた。

 あるネットユーザーは、和頤ホテルが売春組織と結託して利益を得ているのではないかと疑問を投げかけ、犯人の男は彎彎_2016を自分が呼んだ売春婦と勘違いしたもので、そうならば、男が彼女を無理やり部屋の方へ連れて行こうとした理由が説明できるとした。後に判明したところによれば、和頤ホテルでは宿泊客以外は客室階へ上がれないようにするセキュリティシステムを採用しているというのに、なぜか客室には名刺大で煽情的な女性写真入りの売春ビラが多数配布されていたという。

ホテルの謝罪会見、5時間遅れ、5分のみ

 それはさておき、事件が公になり、大きな騒動に発展したことで、驚いたのは和頤ホテルだった。彼女からの問題提起を無視して、事件をうやむやのうちに終わらせようと考えていたホテル側は慌てた。彼女に電話を入れて、カネを払う代わりに、速やかにマイクロブログの書き込みと動画共有サイトの動画を削除するよう要請したが、彼女からは即座に拒否された。

 4月6日、和頤酒店チェーンを展開する如家酒店集団は、事件のあった和頤ホテルで記者会見を行った。会場となった和頤ホテルのホールにはメディアの記者が大挙して押しかけたが、会見は予定時間より5時間も遅れて始まった。会見には如家酒店集団を代表して2人の女性が出席し、そのうちの1人が原稿を読む形で、事件発生に対する遺憾を表明し、被害者および社会に対して謝罪した。さらに、今後は類似の事件が発生しないように改革を行い、公安局の調査には積極的な協力を行うと述べ、わずか5分で会見を打ち切り、記者たちの質問には全く応じることなく、会場を後にした。

 4月8日、あるメディアの記者が、事件の当事者である“彎彎_2016”は、浙江省“杭州市”にある某企業の従業員であることを突き止めた。彼女は出張で4月1日に北京を訪れ、事件生翌日の4月4日に杭州へ戻っていたのだった。一方、北京市公安局は公式マイクロブログで、4月7日の夜9時頃、和頤ホテル事件の専従班が河南省公安局の協力の下で、河南省“許昌市”で同事件の容疑者として李某(男、24歳、本籍:河南省)を逮捕し、現在取調べ中である旨を公表した。事件に対する世論の沸騰に北京市公安局も犯人逮捕に全力を上げざるを得なかったものと思われる。

 なお、某メディアは、犯人の男は和頤ホテルの客室に売春ビラを配るのを仕事としており、たまたま見かけた“彎彎_2016”を同業者であると思い込んで、彼女を連れ去ろうとしたと報じている。事件発生後、男は和頤ホテルに電話を入れて、彼女が同業者だと勘違いして犯行に及んだと話したと言う。これが本当ならば、北京市公安局が事件発生からわずか4日で北京市から約800kmも離れた河南省許昌市で男を逮捕できたことの説明がつく。

こうして事件は表面的に終わりを告げたが、事件の根は深い。その理由は以下の通り。

義侠心の復活は至難の業

【1】犯人の男が売春ビラを配るのを仕事としていたのならば、連日のように和頤ホテルに通っていたはずで、第一発見者となったボーイと顔なじみだった可能性がある。だからこそ、ボーイは、犯人の暴力行為を止めようとせず、「ここでけんかしないでください。こんなことはいけません」と犯人に呼びかけたものと考えられる。ボーイは“彎彎_2016”と犯人の2人が痴話げんかしているとは思っていなかった可能性が高い。

【2】それよりも、犯人が和頤ホテルの客室階へ自由に出入りできたのならば、彼は客室階へ上るマスターキーを持っていたことになる。恐らく、ホテル内のしかるべき役職にある人物が犯人に便宜を図り、見返りとして客がついた場合にリベートをもらっていた可能性が高い。和頤ホテルは準高級ホテルだから、そんなことはありえないと思うかもしれない。しかし、中国では高級ホテルでさえも売春婦が宿泊していて、館内電話を使って客室に電話をかけ、宿泊客に売春を持ち掛けることがあるくらいだから、客室に売春ビラが配られても決しておかしなことではない。果たして、北京市公安局が本件に関連して和頤ホテルと売春ビラの関係にまで踏み込んだ調査を行うかどうか。4月5日付のメディアは、民間企業である如家酒家集団が、110億元(約1980億円)で国有企業の“北京首旅酒店(集団)股份有限公司(略称:首旅酒店集団)”に合併されて、首旅酒店集団の傘下に入ると報じている。民間企業ならともかく、国有企業となった和頤ホテルの売春問題に北京市公安局が踏み込むことは恐らくないだろう。

【3】上述した事件の経緯を振り返ると、そこに見えてくるのは、人々の他人に対する無関心である。何人もの宿泊客が“彎彎_2016”に対する犯人の暴力行為を目にしながら、阻止しようとせず、無関心を装って通り過ぎた。2011年10月、広東省“佛山市”で2歳の女の子が前後2台の車にひかれて路上に倒れていたが、18人もの通行人が見て見ぬふりで救助せずに通り過ぎ、19人目の老婦人が救助して病院へ搬送したが、女の子は死亡した。また、「中国では老人が倒れていても助けるな」という考え方が一般化し、倒れている老人を見ても誰一人助けようとせずに、死亡する事例が多発している。これは自分の不注意で倒れた老人が、高い医療費を負担できないことから、助けた人に倒されたと主張し、裁判で勝利して医療費を騙し取る事件が多発していることに起因する。

【4】“彎彎_2016”は、今回の事件を踏まえて、こうした風潮に苦言を呈し、他人に無関心を装うことを止めて、困っている人を見たら助けなければならないと述べている。自分がその当事者として苦境に陥った場合を考えれば、誰かに手を差し伸べて欲しいはずではないかと彼女は言っている。かつての中国には「“路見不平,拔刀相助(路上で人の危難を見たら、刀を抜いて助ける)”」という言葉があり、義侠心を起こすという精神が存在していたが、いまでは言葉だけが残って、その精神は全く消え失せた。この精神を復活させることは至難の業だが、それをしない限り、中国社会は個々人がばらばらになり、新たな発展を遂げることはできないのではないだろうか。義侠心が存在しなければ、我々日本人が好きな、三国志や水滸伝に代表される中国古典文学は成立しなかったはずである。

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4/14日経ビジネスオンライン 水野孝彦『インバウンドより凄い「越境EC」って何?ルイスマーケティング 取締役COO 菊池尚氏に聞く』「について

4/16日経朝刊<中国景気停滞、見えぬ出口 消費の伸びに陰り

 【北京=原田逸策】中国景気の減速が続いている。国家統計局が15日発表した2016年1~3月期の国内総生産(GDP)の実質成長率は前年同期比6.7%だった。製造業が不振のうえ消費の伸びも鈍り、3四半期連続で成長率は縮小した。足元に明るい材料もあるが、国主導の投資テコ入れでかさ上げした面が大きい。過剰設備の整理もこれからで経済停滞の出口はまだみえない。

 GDPの足を引っ張ったのは製造業だ。実質GDPの伸びは前年同期比5.8%だが、景気の実感に近い名目でみると伸びはわずか0.9%。過剰生産・過当競争によるデフレ圧力が強いためで、1~3月の工業生産でも鉄鋼、石炭、アルミニウムは水面下に沈んだ。

 景気を引っ張ってきた消費も陰りがある。1~3月は前年同期比10.3%増で15年通年の伸びを下回った。前年比3~4割増と急拡大してきたインターネット販売の伸びが27%にとどまった。

 ただ、統計局の盛来運報道官は15日の記者会見で「経済運営は予想より良い」と語った。たしかに3月単月では工業生産、電力消費、企業の景況感などが改善した。引っ張るのは官主導の投資拡大と不動産取引だ。

China's component of GDP

 1~3月の固定資産投資は伸び率が拡大したが、国有企業やインフラ投資がけん引した。「人事のある共産党大会を来秋に控え、経済で実績を出したい地方政府は景気対策に力を入れる」(SMBC日興証券の肖敏捷シニアエコノミスト)

 投資と並ぶ下支え役は不動産取引だ。

 北京市中心部から車で約30分の同市通州。17年に北京市政府が一部機能を移すため値上がり期待で投機が活発だ。3月の新築不動産取引は前年の14倍に達した。地元出身の韓さんは13年に通州に約100平方メートルのマンションを買った。いまは当時の2.5倍の1平方メートル4万元(約68万円)。「交通が不便なのに市中心部より高い物件もある」

 中国政府は昨年春に住宅ローン規制を緩めた。昨年6月に上海株が急落すると行き場のないマネーが不動産に流れ、局所バブルを起こした。一方で地方都市は不動産が売れず、中国全体では奄美大島より広い7.3億平方メートルの在庫がある。

 投資や不動産主導で4~6月以降のGDPが回復するとの見方もあるが、いずれも官主導で膨らませた需要。かりそめの安定は持続的成長につながらない。みずほ総合研究所の伊藤信悟中国室長は「地方の住宅在庫や過剰な生産設備の解消には時間がかかる。中国経済の減速圧力自体は変わらない」と指摘する。

 製造業の過剰設備の解消が本格化すれば、経済をさらに下押しする。生産能力の余剰が指摘される鉄鋼・石炭・セメント・アルミニウム・板ガラスの5業種だけで約1000万人が働く。中国東北部では賃金未払いなどへの抗議活動が頻発する。伊藤氏は「構造調整を急ぎすぎても経済を不安定にする。中国当局は難しいかじ取りを迫られる」と分析している。>(以上)

中国のデータは全然信用できません。GDPは李克強指数を見れば、マイナス成長でしょう。でも地方政府は出世のため、数字を誤魔化して報告しますので。データを鵜呑みにして、投資したのでは誤ります。

インバウンドの爆買いもG7での中国牽制や自衛艦の比越派遣からストップをかけるのでは。何せ自由のない国ですから、簡単に政府が止められます。

中国でのビジネスは甘くはありません。天猫に出品するのには当然高い入場料が取られます。量販店に商品を入れるには同じように入場料を取られます。売り上げを約束してくれればよいですが、望むべくもなし、買い手が圧倒的に有利です。鄧小平の前までは社会主義で供給側が強かったのですが、改革・開放政策に切り替え、社会主義市場経済になってから、競争は厳しくなりました。技術力がない分、すぐに価格競争に走りますし、儲かると思えばすぐに新規参入してくるので、益々競争が激しくなります。人口の多さに幻惑されないように。中国に工場を造るよりは、入場料を払って中国進出した方がリスクは少ないと思いますが。

何故、中国で作った物を中国人は買わないかというと偽物が多いと言うのが挙げられます。偽物が出回って初めてブランドが認知されたとも言えます。何せ「騙す方が賢く、騙される方が馬鹿」というお国柄ですので。ネットで買うのであれば、信用できる国からとなるでしょう。電気製品を買う時、中国人は必ず動くのを確認して買いますので。日本のように簡単に「退貨」(=引取)はしてくれませんので。(10年以上前の話なので今は変わっているかもしれませんが)

記事

中国人旅行客の「爆買い」で注目されるようになったインバウンド需要。国内景気が停滞するなかで、流通・小売り業者にとって業績を支える数少ない追い風となっている。しかし、そのインバウンド需要よりも、既に大きなマーケットに成長しているとして注目されているのが「越境EC」だ。  日本企業はそのチャンスをどう生かすべきか。日本企業向けに中国進出や中国人向けのマーケティング支援を展開する中国系のマーケティング会社、ルイスマーケティング(東京都港区)の取締役COO、菊池 尚氏に聞いた(聞き手は日経ビジネス、水野孝彦)

越境ECの市場規模は6064億円

—まず、「越境EC」とは何かを教えてください。

菊池 尚氏(以下、菊池):中国人消費者がインターネットを通じて海外製の商品を購入し、その商品が国外から配送されているものが「越境EC」と呼ばれています。

 経済産業省の統計では2014年に中国人が日本から越境ECを通じて購入した商品の金額は合計で6064億円。同じ2014年の中国人によるインバウンドでの購入金額は4020億円ですから、既にインバウンドを上回る規模になっています。

Shou Kikuchi

ルイスマーケティング取締役COO 菊池 尚 氏 中国遼寧省出身で、日本に帰化。明治大学政治経済学部卒。中国人民大学交換留学生。日本の大手システム会社、中国にある日系の電子商取引運営会社を経て、自社データベースを活用した販促支援を提案する上海ルイスマーケティングの日本事業部長に。同社が15年に日本に設立し、中国市場および中国人向けに日本企業のマーケティング支援を行う、ルイスマーケティング 取締役COOに就任。

 インバウンドも越境ECも元々、存在していたものですが最近、急拡大したため注目されるようになりました。その契機となったのは、中国最大の企業間電子商取引(BtoB)の会社、アリババ・グループが14年に消費者向けの電子商取引(BtoC)のモール「天猫国際」を開設したことです。

 この「天猫国際」に健康関連商品の通販サイト、ケンコーコムや関西を中心にドラッグストアを展開するキリン堂がいち早く出店し、大きな成果を上げました。同じくいくつかの小売企業が「天猫国際」に出店し、好調な業績だと聞いています。

 「天猫国際」の成功もあり、越境ECサイトには現在、中国系企業の新規参入が相次いでおり、自社サイトや携帯電話向けのアプリを立ち上げるケースが目立ちます。その中で、日系の商品を扱うアプリとして知られるのは「Bolome」です。「越境EC」への出店に熱心なのは、主に小売り系の企業で、メーカーの参入はまだ一部です。

 しかし、越境ECサイトに商品を卸す形で売り上げに貢献しているケースも少なくありません。中国人の商品購入パターンは特定の商品に極端に集中する傾向があり、化粧品、医薬品、トイレタリーの分野では商品によっては、3割から半分以上を中国人が買っているというケースもあるほどです。

中国には1800万人もの並行輸入業者がいる!?

—なぜ越境ECが、これほど伸びているのでしょうか?

菊池:まず何と言っても、中国の消費者が海外の製品の品質を、私から見ると過剰なまでに信頼していることです。

 まず海外旅行時の商品購入。日本でいうところのインバウンドの増加が要因です。一度買って気に入ったものはまた買いたくなるのが当然ですから、それが越境ECの増加へとつながっています。

 さらに、政府の後押しという側面もあります。背景として、海外旅行者や個人のバイヤーが海外で買い付けた商品を中国国内で転売するケースが増える中で、政府はそうした輸入品からしっかりと関税を徴収したいと考えています。

 実は、中国には1800万人もの「ソーシャルバイヤー」と呼ばれる、並行輸入を手掛ける人々がいると言われており、日本だけではなく世界中から商品を買い付けています。 日本人から考えると中国では1800万人もの人が並行輸入を手掛けているとは信じられない話かもしれませんが、その多くがアルバイト感覚でやっています。

 留学生が友人と2人で年間1億円分の商品を買い付けて、日本から中国に送っているといった話や、規模が大きくなると倉庫を用意して買い付けた商品を一時的に保管しているといった話もあるほどでです。そして、アリババグループの消費者同士の取引(CtoC)サイト、「淘宝網(タオバオ)」などで輸入した商品を売っています。

 本当はそうした「ソーシャルバイヤー」からも、しっかりと関税を徴収したいのですが、広大な中国大陸全域で個人の輸入を正確に把握し、適切な関税を課すのは人手・手続きスピードの両面で現実的には難しい。そこで、中国国内に「保税区」という地域を作り、その地域を通る輸入品には通関システムを整備することで、スピーディーに適切な関税を課せるような体制を整えています。

 商品を保税区を通して中国国内に輸入することに越境ECサイト側も協力しており、その代わりに輸入にかかる手続きなどを簡素化。中国国内での販売をし易くすることで、越境ECサイトを優遇し、ある意味では保護しているというわけです。

表 3つの購買ルートから試算した中国人の日本からの購買額(2014年)

Chinese EC from Japan

※1(並行輸入業者による購買)…並行輸入業者による購買額6000億円のうち左に記した2つの項目との重複が含まれる為、半分の3000億円にて試算。 ※2(年間小売総額に占める比率)…経済産業省 平成21年度版 我が国の商業内の化粧品、飲料、菓子、飲食料品、医薬品、電気機器、婦人服・紳士服・子ども服、身の回り品、家庭用品、その他の医療、家庭用電気機械器具、酒、たばこ、料理品、趣味・スポーツ用品等の小売総額より試算 (出所)ルイスマーケティング

 なお、「ソーシャルバイヤー」が日本で買い付ける商品の金額も急増中で、私たちが各種の統計類から試算した推計値()では、2014年の「ソーシャルバイヤー」による買い付け額は3000億円。加えて越境ECにおける購入額は6064億円、インバウンドの購入額が4020億円ですから、トータルで1兆3084億円に達しています。この金額については、私たちの予測では、2015年に2兆円を超えたと見ています。

日本企業は2年先を見据えた戦略を

インバウンド、越境EC、ソーシャルバイヤーと日本側から見ると様々な販売チャンネルがあると思いますが、もっと中国の方々に自社製品を買ってもらうために日本企業は何をすべきでしょうか。

菊池:まず、インバウンドで評価され、その結果、越境ECサイトやソーシャルバイヤーに興味をもってもらい、自社製品を仕入れてもらう。さらに知名度が上ったら、「天猫国際」に旗艦店を出店するというのが低リスクで理想的です。

 中国人から青汁を爆買いされている山本漢方がその典型例といえるでしょう。ただし、越境ECのピークは2年後くらいに訪れ、売り上げは減りはしないでしょうが、急成長は止まると思っています。

 現在、中国人に日本製の商品がよく売れているのは、中国人が海外製の商品の品質を過剰に信頼しているためです。なかには国産の商品は全く信頼せず、海外製品ばかり使いたがる人もいるほどです。しかし、こうした極端な風潮はあと2年もすれば収まると思っています。

 実際、「海外製品には品質の高いものが多いかもしれないが、中国にもそれに負けない品質の製品はある。中国製品だから品質が悪いと決めつけるのはおかしい」という冷静な意見が中国国内のマスコミや消費者の間にも目立ち始めました。

 また、現在の中国では化粧品や健康食品の販売許可の取得にかなりの時間を要し、日本企業が現地に拠点を作って販売しにくいという側面もあるのですが、今後は規制緩和も予想されます。日本で売るのではなく、直接、中国で販売しやすくなるとも考えています。その結果、インバウンドや越境ECの重要性も相対的に低下するのではないでしょうか。

 ただし、中国で日本の製品が売れるかどうかは、中国人の間での認知度次第という側面があります。そして、中国人に知ってもらうにはまず、インバウンドや越境ECで知ってもらうことが重要です。そうした視点から、長期的な自社製品のプロモーションをすべきではないかと思います。

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4/14日経ビジネスオンライン 高濱賛『大衆が抱く日米同盟への認識、トランプが露わに 「在日米軍がいつかは撤退する」というセンチメント』について

トランプは予備選で過半数を取れない可能性が高まっているとのこと。クルーズとの暴露合戦は米国大統領候補としての品位を落とすものですが、FDRやケネデイ、ビル・クリントンなども不倫で有名です。所詮、大衆が選ぶため、品位よりは近づき易さが基準となってしまうのでしょう。

メルマガ『宮崎正弘の国際ニュース・早読み』によれば、トランプはケーシックを副大統領にする様子を窺わせているとのこと。特別代議員は反トランプが多いので、彼らを取り込む戦術でしょう。

http://melma.com/backnumber_45206_6354792/

トランプの女性の中絶に対する罰発言は、本選になったときに女性候補のヒラリーを有利にします。受け狙いで刺激的な発言をするのは諸刃の剣です。トランプの女性蔑視発言は今に始まった訳ではありませんが。有権者の半分を占めるので考えた方が良いでしょう。

米軍基地の撤退をするのでは「偉大な米国を再び」というのと矛盾します。世界覇権は世界に張り巡らせた米軍基地のネットワーク(軍事力)と基軸通貨$の存在(経済力)によって齎されています。そこが本当に分かっているのかどうか。中国がこの2方面で米国に挑戦してきているのが理解できているかどうかです。ポピュリズムで大統領になっても、米国大統領は世界平和に対する責任を負っています。良いスタッフが必要となるでしょう。

日本の集団安保法制を廃止しようと反日民進党や共産党は画策していますが、トランプの発言にどう答えるのでしょう。本法案により同盟の片務性は薄まったと高村自民党・副総裁は思っていますが、その通りです。一体野党は日本をどのように導こうとしているのか。中国の属国にしたいと思っているとしか思えません。米軍が撤退すれば単独で日本を守ろうとすれば、5兆円の防衛予算では圧倒的に足りません。現在の予算の4~6倍必要になり、財源をどうするかと言う問題が出てきます。自主防衛は良いですが、単独防衛は予算の面から見ても無理なことが分かります。核が安くて良いのでしょうが、国際世論の納得が得られるかどうかです。やはり、日米同盟を堅固にして、「遅れて来た帝国主義国」に対峙しないと。

http://president.jp/articles/-/16057

http://togetter.com/li/60708

トランプの言うことをペンタゴンがすんなり受け入れるとは思えません。第二次大戦を経て得た世界覇権の地位を易々とは手放すとは思えません。軍産複合体から報復されるでしょう。多分大統領になれば、宗旨替えすると思われます。

今は、中国の南シナ海進出をこれ以上させないことです。中国の内海にしない為、米軍中心に活動をしていっています。勿論、日本も入っています。また高濱記事にあります、「米国の尖閣巻き込まれ」論は中国の金が撒かれた影響と思われます。米軍は賛成しないでしょう。

4/15日経朝刊記事を紹介します。

<米比、南シナ海を共同哨戒を定期実施 中国けん制

【マニラ=佐竹実、北京=永井央紀】フィリピン訪問中のカーター米国防長官は14日、マニラで記者会見し、米比両国軍が南シナ海で共同哨戒活動を始めたと明らかにした。今後定期的に実施する。米軍は近く両国間の新軍事協定に基づきフィリピンに四半世紀ぶりに事実上駐留する。軍事的な拡大姿勢を続ける中国へのけん制を強める。

US Forces in Asia

 カーター氏は「埋め立てなど、中国による行動が地域の緊張を高めている」と名指しで非難した。同席したフィリピンのガズミン国防相は「米国の展開で、中国の不測の行動が控えられることを期待する」と述べた。

 カーター氏によると、共同哨戒活動は3月に開始し、2回行った。これまでは米軍や比軍がそれぞれ単独で行っていたが、中国に比べ軍備力に乏しい比軍にとっては米軍の哨戒機や艦艇などを使える利点がある。

 カーター氏は、米比両軍の合同演習のため現在フィリピンに配備しているA10攻撃機などの航空機や米兵約200人が、15日の演習終了後、一時的にクラーク基地に残ることも明らかにした。

 米比両国は2014年、中国の海洋進出を念頭に「拡大防衛協力協定」を結んだ。フィリピンの憲法では、上院が批准した条約がない限り外国軍の駐留を禁じているが、同協定で、米軍はフィリピン軍の基地を共同利用できるようになったほか、基地の敷地内に米軍の施設を設置できる。

 今回の協定は「一時的な軍事力の展開」との位置づけだが、艦船や兵力などを長期間展開し、実質的な駐留となる。

 3月には、南シナ海に臨むパラワン島の空軍基地など5カ所を利用することで両国が合意しており、近く本格的な米軍の展開が始まる。

 米軍は、中国をけん制するため、南シナ海に米軍機や艦船を派遣する「航行の自由」作戦を続けており、今後はその目と鼻の先に位置するフィリピンを拠点にできるようになる。

 かつて米軍はフィリピンに駐留していたが、冷戦終結後の1992年までに撤退した。米軍はその後、日本や韓国の基地のほか、シンガポールやオーストラリアにも拠点を築いてきたが、南シナ海の最前線に位置するフィリピンに足場を失ったままになっていた。

 中国は、米軍のいない「空白」をついて、海洋進出を続けてきた。南シナ海を譲歩できない「核心的利益」と位置づけており、米国とフィリピンが安保協力を強めても海洋進出をやめる可能性は低い。

 米軍準機関紙スターズ・アンド・ストライプスは、中国軍が西沙諸島の永興(英語名ウッディー)島に戦闘機16機を派遣したと伝えた。同島は中国が実効支配して地対空ミサイルなどを配備している。戦闘機派遣は過去にもあったが、今回は過去最大規模だという。

 中国メディアによると中国国防省は14日、米国とフィリピンの安保協力強化について「第三国の利益を損ねず、地域の平和と安定に悪影響を与えないよう求める」と注文を付けた。>

記事

—4月5日に行われた米共和党ウィスコンシン州予備選では、これまで快進撃を続けてきた不動産王ドナルド・トランプ氏がテッド・クルーズ上院議員に完敗しました。

高濱:ウィスコンシン州でクルーズ氏が獲得した代議員数は36。トランプ氏は6人。

 これでクルーズ氏の獲得代議員数は517人。トランプ氏は743人。指名獲得に必要な1237人には、どちらもまだまだです。7月の党大会前に1237人を獲得することは、どちらも候補もできないという観測が強まっています。 (”Who’s winning the race to nomination?” Lily Mihalik, Los Angeles Times, 4/6/2016)”

 クルーズ氏が勝利した要因は、共和党既成勢力の「ストップ・ザ・トランプ」作戦がやっと効果を上げ始めたことのほかに、トランプ氏のここ1~2週間の言動があります。クルーズ氏にとっては「敵失」による勝利、トランプ氏にとっては「身から出た錆」です。

 その言動の一つが、人工中絶問題について暴言です。トランプ氏は3月30日、テレビ番組収録中に「人工中絶手術を施した医師だけでなく、受けた女性も法的に罰されるべきだ」と主張しました。

 日本では人工中絶が黙認されています。しかし、米国では未だに「人工中絶は罪だ」という認識が根強いのです。キリスト教保守派の人たちにとって絶対に妥協できないのが人工中絶手術です。中絶手術を施した医師のクリニックを襲撃する事件さえ起こっています。

 この発言に対して、各方面から激しい批判の矢が飛びました。するとトランプ氏はこの発言を直ちに撤回するステートメントを発表しました。トランプ氏、お得意の朝令暮改です。

オバマ氏も怒る「大統領の資格なし」

 トランプ氏の問題発言はこれにとどまりません。米ニューヨーク・タイムズ、米ワシントン・ポストとのインタビューで、不得意な外交・安全保障政策に関する質問攻めに遭いました。

 そしてNATO(北大西洋条約機構)からの離脱、日米安全保障体制の見直し、在日米軍と在韓米軍の撤退、日韓が核武装することの容認など、軍事・安全保障について思い切った発言をしました。これまでの大統領候補指名争いで、こんな発言をした候補はいません。前代未聞のものです。

 世界中の指導者やメディアが一連の発言に驚きました。現職大統領のオバマ氏まで、まだ指名されてもいない共和党大統領候補の発言を激しく批判しました。

 オバマ大統領は、「日本や韓国が核武装してもしかたがないとトランプ氏は言っているそうだ。この発言だけで、トランプ氏が米大統領になる資格がないことは明らかだ」と吐き捨てるように言っています。

 こうした発言はウィスコンシン州予備選に大きく影響しました。各種世論調査によると、同州の共和党員・支持者の学歴は他の州に比べると、比較的高いといった結果が出ています。こうした一連のトランプ発言を聞いた共和党員・支持者たちの中には「こりゃ、ダメだ」と思った人が多いのではないでしょうか。これは地元紙の政治担当論説委員から聞いた話です。 (”Obama: Trump’s nuclear remarks prove he’s unfit for Oval Office,” Jordan Fabian. The Hill, 4/1/2016)

次の焦点は「4・19ニューヨーク対決」

—今後、支持者のトランプ離れは加速するのでしょうか。

高濱:今後の焦点は、ニューヨーク州(4月19日)やペンシルバニア州、メリーランド州(ともに4月28日)で、トランプ急降下現象が起こるのかどうかです。

 現時点での予想では、トランプ氏はニューヨーク州、ペンシルバニア州でも優勢のようです。ニューヨーク州はトランプ氏の地元ですが、同州の共和党員はリファインされている(知的で洗練されている)はず。実際の投票で予想通りの結果が出るかどうか、注目したいと思います。

 ニューヨーク州の代議員数は95人。「勝者総取り」ではなく、得票率を反映した「比例配分」です。 (”2016 Primary Forecasts: N.Y. Republican primary,” FiveThirtyEight, 4/4/2016)  (”2016 Primary Forecasts: Penn. Republican primary,” FiveThirtyEight, 4/4/2016)

核心は「核武装」より「同盟の片務性」

—トランプ氏の日本に関する一連の発言をめぐって、日本国内では複雑な反応が出ています。日本の核武装を是認する発言がクローズアップされていますが、発言の核心は、トランプ氏が「日米安保条約の片務性」を問題視していることではないでしょうか。

高濱:確かに日本の核武装に関する議論はこれまでに何度も出ています。そのいずれも、日本が核武装することを恐れる警戒心から出たものでした。それを「是認してもいい」と言っているわけですからショッキングな発言ではあります。

 ただ、トランプ氏のこの発言には、いくつかの前提があります。「安保条約は米国にとって『持ち出し』ばかりでメリットが少ない」という不満がまずある。それを日本と再交渉して改定することができないなら在日米軍を撤退させる。米軍が撤退したあと、日本がどうするかは日本が決めること。もし日本が核武装するならば、それも致し方ない、と言っているわけです。

 菅義偉官房長官は「誰が次期大統領になろうとも日米関係は揺るぎない」と発言しています。トランプ氏が大統領になることは恐らくないだろうと考えているのでしょう。大統領になったらなったで、より現実的な対日政策をとるようになるという希望的観測もありそうですね。

 安倍晋三首相はトランプ氏の発言について、米ウォール・ストリート・ジャーナルとのインタビュー(4月6日付)の中で、直接言及することは避けながらこう述べています。

 「日米同盟の重要性は誰が大統領になろうとも変わらない。予見できる将来では、在日米軍が必要でなくなる状況は想像できない。アジア太平洋において米軍の存在が必要だと信じている」 (”Shinzo Abe Says Countries Must Avoid Competitive Currency Devaluations,” Paul Jackson & peter Landers, Wall Street Journal, 4/5/2016)

日本の革新、超保守はともにトランプ発言を歓迎?

—日本政府の公式反応とは別に、ソーシャルメディアなどではトランプ発言をめぐっては保守・革新入り乱れて複雑な反応が出ています。左翼の人たちは在日米軍の撤退には賛成していますが、核武装はもっての外といった反応です。一方、反米保守の人たちは、対米依存をやめて自主防衛しろという点でトランプ発言を支持しています。米国内の識者や一般大衆の反応はどうでしょうか。 (参考:日本でジワリ広がる “トランプ大統領’待望論”’――対米自立か隷属か――、古谷経衡、Yahoo Japan ニュース、3/27/2016)

米外交・安保専門家は異口同音にトランプ発言を批判

高濱:オバマ大統領のコメントはすでにお話ししました。米政府当局者はもとより、在野の外交・安全保障の専門家たちのほとんどは、トランプ発言について口を極めて批判しています。

 例えば、CNNテレビの外交記者、クリスティン・アマンポア氏は驚きを隠すことなくこうコメントしています。「二大政党の大統領候補が、日韓など同盟国との安全保障関係についてこんな発言をするのを聞くのは初めてだ。唯一の被爆国・日本は核武装しない。その代わり米国が核の傘で日本を守る。日本の軍事力はあくまでも防御的なもの、万一攻撃を受けた場合には米国が支援に駆けつける。日本はそれ以外の分野で平和のために貢献する。これは日米のトレードオフ(妥協点、兼ね合い)だ」。

 またジ・アトランティック誌で外交を担当するジェフリー・ゴールドバーグ記者はこう指摘しています。「トランプという御仁は、米国が戦後に築き上げてきた国際秩序がなんであるか、まったく理解していない。外交政策について無学であることを完璧にさらけ出した」。 (”Journalists And Foreign Policy Experts Call Out Trump’s ‘Completely Uneducated,’ ‘Baffling’ Foreign Policy,” Tyler Cherry & Christiano Lima, mediamattters. org., 3/28/2016)

尖閣問題への巻き込まれを警戒

—「日米安保条約はアンフェアだ」というトランプ氏の主張を支持する声が米国内にあるのでしょうか。

高濱:あります。これは今に始まったことではありません。尖閣諸島をめぐって日中関係が緊張し始めた2、3年前からそう主張する学識経験者が現われました。米議会の中にもいます。

 例えば、保守系シンクタンクのケイトー研究所のダグ・バンドー上級研究員はその一人です。尖閣諸島の領有権をめぐって日中が対決した場合、米国はそれに関与したり、巻き込まれたりしてはならないと主張しています。

 同研究員は、13年1月28日にフォーブス誌にこう書いています。「米国は今や、世界の国々が直面している脅威から、それらの国を守ることなどできなくなっている。いわゆる『アジア回帰』政策を掲げているからと言って、米軍が未来永劫アジアに駐留するわけにはいかない。安倍首相自身、『米国は国防予算を大幅カットしており、アジアにおけるバランス・オブ・パワーは揺らぎ始めている。それが不安定さを生み出しうる』と述べている。尖閣諸島の領有権をめぐって日中に紛争が生じる可能性すらある、これも米軍がアジアから撤退する大きな理由の一つだ。日本が防衛面で米国依存をやめる時がすでにきている」 (”It’s Time to End Japan’s Defense Dependence on the United States,” Doug Bandow, www.cato.org., 1/28/2013)

 下院では民主党リベラル派のブラッド・シャーマン議員(カリフォルニア州選出)がここ1、2年、日米安保条約の片務性を公の場で取り上げています(日本の安全保障関連法が成立する前のこと)。

今回のトランプ発言について同議員にコメントを求めていますが、まだ回答を得ていません。

 トランプ発言が一般大衆に受けている点に注目するジャーナリストもいます。外交誌「ワールド・ポリティクス・レビュー」の編集主幹、ジュダ・グルンスタイン氏はこう指摘しています。「トランプ氏のド素人のような外交政策を批判するのは簡単だ。だが、同氏の言っていることが一般大衆に大いに受けているセンチメントは無視できないし、そのセンチメントはそう簡単に消え去るものではない」。

 「トランプ氏の主張していることは、彼のスローガンである『米国を再び偉大な国家にする』ことにつながらない。むしろ米国の衰退を加速させるだけだ。他方、トランプ発言やそれを支持する米一般大衆の高まりを見て、同盟諸国がある日、ある時、対米依存に代わる選択肢としてより信頼のおけるパートナーを見つける可能性を憂慮する識者もいる」 (”Criticize Trump’s Worldview for Its Weaknesses, but Take It Seriously,” Judah Grunstein, worldpoliticsreview.com., 4/4/2016)

 ウィスコンシン州予備選までにトランプ支持の共和党員・支持者によってえらばれた代議員の数は743人です。これは共和党全代議員数の30%を占めています。この人たちすべてが、日本に関するトランプ氏の発言に同調しているとは思いません。

 なぜなら、この人たちのほとんどは、日米安全保障体制がどういうもので、どのように機能しているのか知らないからです。ましてや集団的自衛権の行使を可能にした安全保障関連法が3月29日に施行されたことなど全く知らないでしょう。

 それゆえ「日本が攻撃を受けた時に米軍は支援にかけつけるのに、米国が攻撃を受けた時に日本は助けに来ないのはアンフェアだ」とトランプ氏から聞けば「その通りだ」と手をたたくのです。戦略論ではなく、感情論です。

 つまり米政府当局者や外交・安全保障専門の学者やジャーナリストと、トランプ氏に票を投じた共和党支持者との間には大きな認識のギャップがあるのです。

エリート層と一般大衆の間にある認識ギャップ

 ここに米外交問題評議会が1998年に公表した「The U.S.-Japan Security Alliance in the 21st Century(A Study Group Report)」があります。この報告書は、日米の政策立案者、オピニオン・リーダー、トップ・ビジネスマン、外交官、安全保障問題専門家、学者たちが意見交換し、21世紀における日米安全保障同盟への提言としてまとめたものです。参加者にはハロルド・ブラウン元国防長官、リチャード・アーミテージン元国務副長官らが名を連ねています。

 この中に次の指摘があります。

1日米の間にある経済的、軍事的な格差が狭まった。日本は世界第2の経済力を持ち、いまでは最も充実した通常戦力を保有する国の一つになっている。

2一方で、米国および日本国内では、この40年にわたって同盟関係を支えてきた政治的コンセンサスが弱まりを見せている。米国には、冷戦期に構築された世界的な軍事同盟のネットワークを存続させるのにかかるコストやその妥当性を疑問視する人々もいる。

3日米貿易摩擦が恒常的なものになっている。かっての取引の構図――米国が日本に市場を開放する見返りに、米国は日本に軍事基地を置く権利を得る――は今では魅力を失っている。

 私が注目したのは以下の下りです。

「米国において、エリート層の見解と一般国民の認識の間にあるギャップは依然として大きい。エリート層は日米同盟に対して肯定的だ。これに対して一般国民の同盟への関心は低い、もしくはほとんど何も知らない」 「日米同盟は、米国民が漠然と信じているほど、あるいは一部の政治家たちが一般国民に吹き込んでいるほど一方的な関係ではない」 「同盟の再構築や在日米軍についての論議を党派政治に持ち込んではならない。…日米両国の指導者は、いまこそ自国の有権者に対して日米関係の重要性を正面から訴えるべきである」

 米国の一般大衆の間には「日米安保条約の片務性」を疑問視する人が18年前からいたのです。トランプ氏が急に言い出したものではありません。トランプ氏自身が「一般大衆」の一人だったのです。

—「米国は日本を守る、その代わりに日本は米国に基地を提供する」という構図をトランプ氏は完全否定しているわけです。安全保障関連法が施行となり、日本が集団的自衛権を行使することが可能になりましたし、新ガイドラインの下で日本の防衛負担はさらに増えます。それでも片務的であると米国が言うのであれば、日本としても考えざるを得ません。そうなれば、米国はその世界戦略を根本から変えることになります。果たして米国は将来、そこまで腹をくくった決断を下すでしょうか。

高濱:日米安保体制は、米国の長期的な国家戦略の根幹をなすものです。米シンクタンクの軍事外交問題の専門家の一人は筆者にこう述べています。

 「どの国においても、外交と軍事、長期国家戦略は国内政治と直結している。すなわち、軍事産業や経済通商戦略と結びついている。米国が海外に基地を置いて軍を駐留させているのは、他国の独立や自由を守るためだけではない。国益に合わないとみれば、米国は軍を日本からさっさと撤退させる。今、在日米軍を駐留させているのは米国の国益に資する体制と判断しているからだ」 (”The U.S.-Japan Security Alliance in the 21st Century(A Study Group Report)“, Michael J. Green & Mike M. Mochizuki, Council on Foreign Relations, 2/1998)

短期的には「安全保障関連法」は役立っている

 トランプ氏の発言は少なくとも大統領選予備選という公の場で出たものです。その発言を支持する米一般大衆がいることもわかりました。相手のホンネを知ることは日本にとってはいいことです。日米安保体制の本質を国務長官としてじっくり見てきたヒラリー・クリントン氏が大統領になったら、「トランプ発言のような見方もあったな」と振り返ることになるでしょう。

 重要なのは、このアメリカ合衆国という国にはありとあらゆる意見があり、その是非をみんなで論議する。まず予備選段階で精査し、最後は11月の大統領選の投票で決着する。それを、来年1月にスタートする新政権の下で実行する。

 その過程でトランプ氏が代弁した日米安保批判が浮上しているという点です。慌てず、焦らず、クールに聞き耳を立てたいと思います。

 自民党の高村正彦副総裁が4月6日の講演で以下の指摘をしました。短期的にみると、これがすべてを言い表している気がします。「安保ただ乗り論が米国世論にあり、トランプ発言が受けているようだ。日本は米艦防護(を可能にする集団的自衛権の行使を認めた安全保障関連法)をやっておいて本当によかった」 (参考:”自民・高村氏 安保ただ乗り論に懸念表明、毎日新聞、4/6/2016″)

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長谷川慶太郎著『今世紀は日本が世界を牽引する』を読んで

中国の経済的崩壊を予言している本です。今日日、別に珍しくありませんが、小室直樹と並んでソ連崩壊を予言しましたから、信憑性が高まると言うもの。加瀬英明は「独裁国家はオリンピックを開催して9年後に崩壊する」と言っていました。ナチスドイツやソ連がそれに該当するという事です。北京オリンピックは2008年開催ですから9年後と言うと来年のことです。

AIIBの金立群もうまく行かなくて、焦っているのでしょう。台湾の加盟に言わないでも良いことを言ってしまいました。外省人の国民党政権ですらブチ切れて、加盟申請を見送るとのこと。5/20には台湾民進党の蔡英文が総統に就任します。長ければ8年間はなしの礫になります。

http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20160413/frn1604131700005-n1.htm

というかAIIBは8年も持たずに雲散霧消するでしょう。中国人がキャッシュを持ち逃げして、解散もできないのでは。出資国は資本金を取られて手元には何も残らないでしょう。戦争して取り返すしかありません。加盟が如何に高くついたか思い知ることになります。キャメロンもパナマ文書の行方によっては辞任せざるを得ない所まで追い込まれるかもしれません。イギリスがAIIBに現実に払込終わっているかどうか知りませんが。次はオズボーン財務相(パンダハガー)かEU離脱派のボリス・ジョンソンロンドン市長になるのか?

中国・韓国は相手にせずと言うのが正しい選択です。通貨スワップは勿論しないことです。室谷克実氏が言ってましたように「日本を攻撃し無くなったら、おねだりの前兆」と言うのが当てはまります。

http://npn.co.jp/article/detail/67044381/

朝鮮戦争が再勃発しても、米軍支援と在留邦人の救出だけで後は同じ民族で争えば良い。況してや膨大な金がかかる統一のお金を日本が反日国家の為に出す必要はない。分断国家にしたのはソ連とアメリカだから彼らに払わせれば良いだけ。お米の支援などもっての他である。

日本は技術立国の道を歩まねば。盗みとパクリの得意な中韓には充分注意のこと。大学も両国の留学生には注意しないと。有名大学の管理はザルのように思える。大体孔子学院なんてスパイの巣窟でしょうに。簡単に設立を認める大学があります。敵国と言う自覚がありません。尖閣・沖縄と竹島・対馬を狙っている悪辣な連中です。敵を知ることから始めなければ。

内容

①P.69~70

私はこの天津大爆発事故について考えるとき、どうしてもソ連の最期を思い出してしまう。これは、拙著『2016長谷川慶太郎の大局を読む』にも書いたことだが、改めて記しておきたい。

1985年3月にソ連共産党書記長となったミハイル・ゴルバチョフは、西側先進国に圧倒的な差をつけられたソ連経済の現状に危機感を持ち、大きな政策転換に乗り出した。ペレストロイカ(改革)とグラスノスチ(情報公開)の断行だ。また、それに合わせて外交面では東欧の民主化革命も支持した。彼は社会主義を維持しながら経済を回復させるというソフトランディングを目指していたのだ。

だが、その矢先の1986年4月にチエルノブイリ原発事故が起きた。そのため、ソ連経済は大きなダメージを受け、ソ連崩壊の要因の一つとなっていった。ゴルバチョフ自身も、2006年4月の「チエルノブイリ20周年」の席で、「旧ソ連の崩壊の真の原因はペレストロイ力ではなく、チェルノブイリだった」と告白している。チェルノブイリの事故でソ連政府は140億ルーブル(約599億円)もの巨費を投入せざるを得なかった。それがソ連崩裏の引き金になったというのだ。そういう意味では、天津の大爆発#故がきっかけとなって中国が崩壊へと向かっても何ら不思議ではないのである。

②P.132~138

韓国国防の柱は沖縄のアメリカ海兵隊だ

北朝鮮がギリギリまで追い込まれたとき、金正恩が暴走して、軍に韓国への侵攻を命じるのではないかと言う人がいるが、私は北朝鮮軍が侵攻してくることはないと思っている。もし金正恩が命じたとしても、もはや戦車を動かす燃料も、戦闘機を飛ばす燃料もないし人民解放軍の兵士たちも飢餓状態に陥っており、戦うどころではないからだ。また、万が一そんなことになった場合は沖縄にいるアメリカ海兵隊がすぐに出動することになる。

韓国のソウルの近くにはアメリカの歩兵第二師団が駐留しているが、実は北朝鮮が軍事的に侵攻を開始したとき、在韓米軍は当初、まったく役に立たない。アメリカ議会上下両院の本会議で参戦することが承認されなければ銃を撃てないからだ。独自の判断で出動できるのは沖縄にいる海兵隊だけなのだ。その海兵隊が韓国軍と共に北朝鮮人民軍の侵攻を阻止することになる。そういう意味では、韓国の国防政策の柱は沖縄の海兵隊だといっていい。それは韓国もよくわかっている。

だから、20 0 9年、鳩山由紀夫が総理大臣になって、なんの軍事的知識もなしに米軍の沖縄県外移設へ前向きな姿勢を示したとき、当時、韓国の大統領だった李明博が強い不快感を示し、外務大臣だった岡田克也を呼んで、「あなたの国の首相は沖溝の海兵隊をどこかへ持っていくとおっしゃるが、もしそうするのなら、受け皿はわが国だ」と切り出した。 それで大騒ぎになり、鳩山が沖縄の海兵隊を存続させるという声明を出すことで、やっと 2010年5月の日中韓首脳会議が開催されることになったという経緯もある。

この話はあまり知られていないが、韓国の安全保障にとって沖縄の海兵隊はまさに命綱なのである。

韓国の崩壊を防ぐには日本の援助が不可欠

話をもとに戻そう。現実を見る限り、心配すべきはやはり、北朝鮮が食糧難から内戦状態となり、大混乱に陥った飢餓難民たちが韓国に流人してくる可能性だ。そんな不測の事態が起きたとき、韓国はどこを頼るべきか。

はっきり言って、私は韓国が頼るベきは日本しかないと思っている。まず必要になるのは230 0万人の北朝鮮国民を食べさせるための食糧=米である。

では東アジアにそれだけの米を備蓄している国はどこか。言うまでもなく日本しかない。その数量は約350万トン、しかも政府の保有米はすべて港に近い倉庫に保管されている。すぐにでも韓国に向けて積み出せる状態にある。また石油も同様だ。日本が保有している石油の備蓄は日本全体の消費量の91日分だ。その中から緊急用としてある程度の石油を出すことも可能だろう。

いずれにせよ有事の際に韓国が必要とするものを提供できる能力は日本しかないのである。

もちろん一国の大統領たる朴槿恵もそうした規実は十分理解しているはずである。日韓両国の関係を良好に保ってこそ韓国の安全保障は保たれる。それにもかかわらず、いつまでも歴史認識だとか従軍慰安婦だなどと騒ぐのは、日本に甘えているとしか言いようがないのであるそこはアメリカもわかっているから、朴槿恵の頑なな反日に辟易しているわけなのだ。

飢餓による北朝鮮の崩壊、その結果、引き起こされる北朝鮮の内戦、大量難民の発生、そして中国の崩壊で大打撃を受けている韓国経済が、北朝鮮からの大量難民の襲来によって破綻する・・・・・。私は、その最悪のシナリオが現実のものとなる可能性は限りなく高いと思っているが、そんな架空の話を論じても仕方がないという人もいるかもしれない。ならば、2016年に不測の事態が起きなかったと仮定して話を進めよう。

日本が握る韓国の命運

韓国が南北統一を国是としていることは誰でも知っている。それは国土を分断された北朝鮮と韓国両国の国民の願いでもある。私もいつかは両国が平和裏に統一されることを願う者の一人である。しかし、それを実現させるには韓国が経済的に安定し、より豊かになることが必要だ。

2014年3月、朴槿恵はドイツを訪問した。そのとき、朴槿恵はドイツのメルケル首相に東西ドイツの統合で、西ドイツがいくら金を負担したかと聞いているが、帰ってきた答えは40兆ユ—ロ(5600兆円)だった。これには朴槿恵も腰を抜かした。

4C兆ユー ロとは韓国のGDP (2014年:1426兆5400億ゥォン〔約143兆 5000億円〕)の39年分である。とても韓国一国で負担できる金額ではないし、近い将来に南北朝鮮を統一するなどということはとても無理だと悟ったはずである。

そして韓国経済を立て直すために、まず中国を頼ろうとした。しかし、ここまでにも書いてきたように中国にはそんな余力などない。それを見て、朴槿恵は徐々に反日を引っ込めざるを得なくなってきたのが現状である。

それを象徴するのが、韓国のTPP,(環太平洋パートナーシップ協定)に対する対応だ。 このTPP交渉に韓国は参加していない。それは中国と自由貿易協定(FTA)を結んでいるからだ。また、FTAはアメリカとの間でも結んでいるから、中国包囲網ともいえる TPPに入る必要はないと考えていた。

しかしいざTPP交渉が大詰めを迎えると、大きな問題があることがわかってきた。それは、TPPに入らないとTPP加盟12ヵ国の関税に関する情報が一切入ってこないということである。

TPPの取り決めで加入国同士は関税情報を交換できるが、非加盟国にその情報を与えてはいけないことになっているのだ。

たとえば日本と韓国が取引しようというとき、関税に関する情報がなければ商売にならない。商品を日本に輸出するのに、実際に税関に持っていくまでいくら関税がかかるかわからないというわけだ。そんな不安定な状況で安定的、長期的な関係が築けるはずがない。それが日本だけでならまだしも、アメリカをはじめ、TPP加入国すベて同様になる。それは貿易国である韓国にとって非常に大きなハンデとなる。

たとえばアメリカとはFTAを結んでいるからこれまでどおり貿易ができるかもしれない。しかし、アメリカに輪出している商品をTPP加盟国に輸出しょうとしても、それらの国々の関税の情報がまったく入らないから、企業は非常に大きなリスクを背負うことになり、とても不利な状況で、事実上貿易ができないことになってしまう。韓国と日本はFTAを結んでいないから、韓国に日本の関税情報が入らない。結局、日本・韓国間の貿易をこれまでどおり進めることはできなくなる。

今の韓国の貿易の最大の相手は中国とアメリカだが、その二国と商売をしていればなんとかなるというものではない。このままでは韓国経済はますますしぼんでいく。

結局、中国頼みの朴槿恵政権が世界情勢を読み問違っていたということであり、今後、朴槿恵が韓国経済界から激しい突き上げを食らうことは間違いない。

こうした状況の中、朴槿恵政権に残されているのは、日本との関係改善を急ぐという道しかない。

経済界を含め、韓国の国民は日本との協力関係が重要であることに、そろそろ気づき始めている。さもなければ、韓国経済は疲弊して、凋落の一途をたどるだろう。まして北朝鮮崩壊の危機を目前にした厳しい状況の中で、国民の生活を守りつつ南北統一という悲願を達成するには日本の支援は欠かせない。そういう意味では、韓国の命運は日本が握っていると言っても言い過ぎではないのである。

③P.195~197

弱体化が進むイギリス

EUに加盟しながらもユーロを導入せずに他のEU加盟国とは一線を画しているイギリスだが、2014年の名目GDPは約2兆9500ドル(約312兆5200億円)で、前述のとおり世界第5位、EU内では第2位につけている。しかし、そのイギリスが今後も経済成長を続けていけるかというと、あまりいい材料が見当たらない。それを象徴する出来事が 2014年6月に起きている。

中固の李克強首相がイギリスを訪問し、イギリスのキャメロン首相と首脳会談を行い、エネルギーや金融の分野を中心に、総額140億ポンド(約2兆4150億円)超の大型商談が成立したときのことだ。

そのとき、英国メディアが、「事前の日程調整の際、中国側が李首相とエリザベス女王との面会を強く求めた」と報じたことに対し、中国は事実無根の憶測だと反発。人民日報が、 英国は「衰退しつつある帝国」であり、イギリス国民は中国に対して偏見を持っているとして、社説の中で「こうした誇張された報道は、英国メディア、さらには英国社会全体の偏狭さを映し出すものに他ならない。かつては強大だった大英帝国も、今となってはプライドを誇示するためにそのような策略を取らざるを得ない」と酷評したのである。

しかし、2015年10月に中国の習近平主席が訪英した際、イギリスはエリザベス女王、ウィリアム王子、キャサリン妃も列席するという最上級待遇で出迎えた。

イギリスは同年3月、中国のAIIB設立に際してもいち早く参加を表明していたが、習近平の訪英時には、原発、土地再開発、住宅プロジエクトなどへの投資の他、イギリス系石油メジャーからのLNG (液化天然ガス) 購入、旅客航空用エンジン20機分の購入などを含む、総額400億ポンド(約7兆2700億円)の投資契約が交わされた。

イギリスは自国の経済を維持するために、まさに背に腹は代えられぬと言わんばかりの対応で習近平を歓待したのである。

しかし、イギリスが恥を忍んで手に入れたそれらの契約を、破鍵寸前の中国がどこまで実行できるかは大いに疑問である。

transition of UK's GDP

④P.217~218

ranking of getting patent number -1

ranking of getting patent number -2

 

⑤P.246~247

中国崩壊.韓国破綻に日本はどう対処すべきか

本書で論じてきたように、中国の一党支配が崩壊し、韓国経済が破綻する危険性は非常に高い。もしそうなったら、日本はどう対処すればいいのだろうか。

はっきり言えば、まずは何もする必要はない。いや、してはいけない。決してお人好しに救いの手を差し伸ベるべきではない。

そんなことをすれは「清国がかわいそうだ」「朝鮮がかわいそうだ」といって情緒的に介入した戦前の二の舞になりかねない。

中国や韓国が崩壊したり破綻したりしたら、世界中の経済がメチャクチャになつて、日本経済にも大きな被害が及ぶと心配する人もいる。確かに一時的に世界経済も混乱するだろう。株価も下がれば景気も悪くなるだろう。

しかしそれは一過性のものであり、その後、日本とアメリカが世界経済を牽引していく という構図に変わるところはない。

中国と韓国の体制がどうなるかハツキリし、その政権と国民が心から望み、「もう反日はしません」と確約するまで、日本は気軽に援助すべきではない。援助したのにそれがその国の国民に知らされることもなく、妬みや怨みを買うという愚は二度と犯してはならない。 日本は、これまでの中国に対するODAや韓国に対する援助がすべて無駄となり、反日攻撃が延々と続いていることを肝に銘じるべきなのである。

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4/13日経ビジネスオンライン 福島香織『「パナマ文書」は“倒習”の導火線になるか 米国による情報戦? 闘争棚上げで消火に躍起だが…』について

「パナマ文書」についての記事が続きます。中国ウオッチャーは皆が皆、中国の要人で不正をしていない人間はいないというのを理解しています。中国人一般も勿論そう思っています。朝日新聞のような左翼偏向メデイアくらいでしょう。中国が理想の国と思っているのは。朝日新聞は「押し紙」の件で公取の調査を3月に受けたようです。公表部数が200万部多いというのでは、広告主に対する詐欺でしょう。「社会の木鐸」を標榜する報道機関がこうですから。

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/48396

また、教科書採択で教師や教育委員に賄賂を送っていた教科書会社に対して、「新しい歴史教科書を作る会」は東京・大阪地検特捜部に告発状を送付しました。「表現の自由」とは関係ありません。純粋な刑事事件ですから。

bribes from the textbook companies

2/24文科相の教科書会社10社の社長への厳重注意くらいでは収まりません。左翼の得意な法律戦を保守派もどんどんやるべきです。公取も動くそうです。

日本を悪くしてきたのは偏向メデイアと日教組ですから、国民の力でここを徹底的に叩かないと。

独外相がG7外相会議に遅れたのは、飛行機のトラブルではなく、中国の顔色を窺ったためでしょう。VWも中国市場での売れ行きはそれ程悪くないので、中国批判の共同声明作りには参加しなかったというアリバイ作りでは。河野洋平がASEAN外相会議出席のためバンコクに飛行機で向かったが、台風のため台北空港に緊急着陸した時に、中国に義理立てして外に出なかった話と通じるものがあります。人物の器の小ささを物語るものです。

http://kabutan.jp/news/marketnews/?b=n201601180272

本文書が「倒習」になるかどうかですが。隣の国が「遅れて来た帝国主義国」であれば、崩壊することを望みます。共産党打倒の革命が起こらんことを。ただその後の政権も信用は出来ません。平気で嘘がつける民族は信頼すること能わずです。

記事

 「パナマ文書」の漏洩で世界中が大騒ぎである。日本も、有名企業の名前が散見されるが、政府として調査しないそうだ。調査すると、政府自身が“やぶへび”になるのかしらん、と勘ぐったりもするのだが、現役の国家最高指導者親族の名前も出ている中国などは、調査しないどころか、国民の閲覧禁止で自国に関わる一切の情報を流さない。習近平は政治局常務委員会拡大会議を開き、権力闘争保留で対応すべしと訴えたとか。

 香港ゴシップに普段から接しているチャイナウォッチャーにすればさほど新鮮味のない情報に思えても、今の不安定化する習近平政権にとっては致命傷になりかねないわけだ。反腐敗キャンペーンを建前に、ばっさばっさと政敵を刈り取っている習近平自身が親族を使ってオフショアマネーロンダリングに勤しんでいると大衆に広まれば、社会経済不安と相まってそれこそ大暴動が起きても不思議はない。パナマ文書が、中国政治にどのような影響を与えるのか、考えてみたい。

大物政治家の親族ら9人の名が

 パナマ文書はパナマの法律事務所・モサック・フォンセカが作成したいわば顧客リストのようなもので、英バージン諸島などオフショア金融センターを利用する21万4000企業の取締役、株主らについての詳細な情報という。容量にしておよそ2.6テラバイトのデータ、総数1150万件に及ぶ。文書に記載されている、著名な政治家、公人およびその親族の名前は12カ国140人以上。4月3日、裏付け作業にあたった国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)が提携メディアとともに公開したあとの衝撃は相当なものであった。

 情報の出所はミステリアスで、2015年に南ドイツ新聞にジョン・ドウ(名無しの権兵衛)と名乗る匿名メールで「データに興味はあるか?」「私の命が危ないので、直接会うことはかなわないが、どのネタを公表するかは君たちに任せる」という問い合わせがあり、南ドイツ新聞サイドが興味があるというと、データが提供された。「狙いはなんだ」と南ドイツ新聞サイドが問うと、「犯罪を明らかにしたいだけだ」という。そのメールのやりとりも、ネット上で公開されている。その後、ICIJにも同じデータが送られ、各国記者らが協力して裏取し、裏取したデータについては、ICIJのサイトで公開されている。データはまだすべて裏取が終わっているわけではなく、裏取が終わり次第、残りもサイトなどを通じて公表されるという。

 モサック・フォンセカは世界第4位のオフショア関連法律事務所で、その秘密保持能力も高く評価され、世界中の政治家や企業家、セレブたちが資金洗浄に利用していた。なぜ、この機密が流出したかは不明だが、目下の報道では、内部リークというよりは外部からのハッキングではないかという説が強い。

 ここで“チャイナウォッチャー”たちが興味を持つのは、もちろん中国要人リストである。

 なにせ現役・引退を含め、党中央政治局常務委員クラスの大物政治家の親族ら9人の名前が挙がっているのだから。

筆頭は、党総書記にして国家主席の習近平の姉・斉橋橋の夫、つまり義兄の鄧家貴。彼はカナダ籍で、1996年に斉橋橋と結婚。もともと不動産企業家として優秀であったが、習近平のコネをフルに使って、レアアース利権などにも食い込み、胡錦濤政権時代の2004年にバージン諸島にオフショア企業を設立。これは習近平が政治局常務委員会(最高指導部)入りした2007年に登記が削除されるが、2009年9月、バージニア諸島のペーパーカンパニー2社、ベストエフェクトエンタープライズとウェルス・ミング・インターナショナルの株主兼取締役となった。この2企業の用途は不明という。

お馴染みの疑惑者リスト、不正蓄財は“常識”

 さらに現役の指導部では、政治局常務委員序列5位で思想宣伝担当の劉雲山の息子嫁の賈麗

青、政治局常務委員序列7位で副首相の張高麗の娘婿で香港の企業家・李聖溌がペーパーカンパニーの株主、あるいは取締役員となっている。

 このほか元首相の李鵬の娘の李小琳、元中国政治協商委員会主席・賈慶林の孫娘・李紫丹、元国家副主席・曾慶紅の弟・曾慶淮、胡耀邦の三男・胡徳華という元政治局常務委員も名を連ねている。

 すでに失脚している元重慶市党委書記・薄熙来の妻、谷開来の名前も挙がっている。彼女はバージン諸島に持っていたペーパーカンパニーを通じて南フランスで別荘を購入したりしていた。元愛人で英国人家庭教師のヘイウッドを殺害するに至った動機は、こうしたペーパーカンパニーや資金洗浄について暴露されそうになったからだという。

 さらには毛沢東の孫娘・孔東梅の婿・陳東昇はバージン諸島にキーンベスト・インターナショナルという会社を2011年に設立。彼は中国を代表するオークション企業の嘉徳国際や保険大手の泰康人寿保険の創設者でもある著名企業家であり、2013年の「新財富」誌による長者番付ベスト500では夫婦で50億元の資産を持ち242位というセレブである。

 だが正直な感想を言えば、これら中国要人オフショアリストに大して新鮮味はない。まず中国で不正蓄財や汚職をしていない政治家や公務員はほとんどいない、というのは中国人にとってもチャイナウォッチャーにとってももはや“常識”だからである。ここに出てくる名前は、いわゆる“チャイナゴシップス”では、お馴染みの不正疑惑者の面々である。

 ただ習近平ファミリーの不正蓄財疑惑については、噂はあっても、やはり最大のタブーでもあった。思い出すのは、2012年6月末の、米ブルームバーグのスクープ。斉橋橋夫婦の蓄財の中身についてはかなり詳細に報じられていた。この時、夫婦2人で11企業を所有し、その資産合計は少なく見積もっても3億7600ドルは下らない、と報じられた。ちなみに同じ年にニューヨークタイムズが報じた温家宝・前首相ファミリー不正蓄財疑惑では合計資産27億ドルと報じられている。

 この時点では、これら資産形成において、斉橋橋夫婦が、習近平のコネを使ったり不正を働いた形跡についてまでは踏み込まれておらず、私の周囲の中国人たちの反応は「習近平は中国の政治家の中ではむしろクリーンな方といえるのでは?」というものであった。

米メディア報道などとは“ネタの筋”が違う

 だが、その後のブルームバーグ北京・上海支局に対する習近平政権の圧力は、尋常ではなかった。抜き打ち調査を行い、ブルームバーグ記者のジャーナリストビザ更新を盾にとって報道の自由を奪った。ブルームバーグは、“自己検閲”によって続報配信を取りやめたが、悔しまぎれに「中国はドイツ時代のナチス」と発言したら、さらに怒られて謝罪を求められた。そうなると、額の多寡ではなく、これら資産形成にはやはり相当後ろ暗いところがあるのだと疑わざるを得なくなってくる。

 その後の2013年4月、やはりICIJが通称「オフショア・リークス」と呼ばれる、匿名者から提供されたデータを、各国の記者らが手分けして裏を取り公開。この中にも習近平や温家宝のファミリーの名前が挙げられた。

 2015年4月にはニューヨークタイムズが、習近平、胡錦濤、温家宝らのファミリーが、不動産王・王健林率いる「万達集団」の株を取得していたという香港発情報を報道。斉橋橋夫婦運営企業が2009年に取得した株を13年に購入時の8倍の2.4億ドルで譲渡したという。この株取得などは、明らかに党中央指導部と大企業集団の癒着であり、8倍の利ザヤは賄賂と受け取られてもしかたない類の話である。

 こうした流れに続くパナマ文書の公表なので、その内容に特に驚くほどでもない。

 ただ、ブルームバーグやNYTの報道、あるいはオフショア・リークスと、パナマ文書が大きく違うところがあるとすれば、ネタの筋が違うと言われている。

 ブルームバーグやNYTの報道、オフショア・リークスについては、これまでのところ江沢民派の政治家の名前がほとんど絡んでいなかった。同じ不正蓄財でも、90年代から2000年代初めに奇跡の二桁成長時代を実現した江沢民政権時代の政治家たちのスケールは一桁以上は違うといわれている。このため、この情報は江沢民・曾慶紅派、あるいは失脚した元政法委員会書記の周永康派の人間によってリークされた、つまり江沢民派と習近平派の権力闘争のプロセスの中で、江沢民派によってリークされた、と見られていた。

国内検索を停止、米国によるイデオロギー戦?

 だがパナマ文書は曾慶紅や劉雲山、賈慶林ら江沢民派の政治家の名前が挙がっている。そもそも、パナマ文書のターゲットは中国人ではなく、世界中が巻き込まれている。しかも、米国の政治家の名前は今のところ挙がっていない。なので、これは米国サイドでリーク、あるいはハッキングされた情報ではないか、というのが多くの中国人の見方だ。

 パナマ文書に関する報道統制が本格化される前の4月5日付の人民日報系タブロイド紙環球時報は社説で「非西側政治エリートとキーとなる組織に打撃を与える新手段」「このような絶好の世論資源をもって、西側主要インテリジェンス機関は、非西側のターゲットに対し世論戦を仕掛ける」などと、米国の陰謀論をほのめかしている。

 ちなみにこの社説自体はネット上からまもなく削除され、いまは“パナマ”のキーワードで百度など中国のサーチエンジンで検索をかけても、パナマ文書については一切の記事が出てこない。

 王毅が外相として訪中中のドイツ外相・シュタインマイアーと共同記者会見を行った時に、パナマ文書に関して「先に明確かつ正確な情報を理解する必要がある」と答えたのみで、外交部報道官も定例会見ではコメントをしない方針を貫いている。

 だが、最初に環球時報の社説がほのめかしたとおり、今回の件については、米国が中国を含む非西側社会に対するイデオロギー戦を仕掛けている、というとらえ方をしているのではないだろうか。おりしも米通商代表部がちょうど中国のネット検閲を「貿易障壁」と認定したタイミングと重なることもある。中国はネット統制によるネット世論誘導を得意としてきたが、米国がネットをリークス式の情報漏えいを使って世論戦を仕掛けてきている、という警戒心がある。

 独立系華字ニュースサイト・博聞が伝えた中南海消息筋の話によれば、パナマ文書公開後、習近平は政治局常務委員会拡大会議を招集、急遽対策を練り直したのだという。7人の常務委員のうち4人はパナマ文書に今のところ無関係であるが、「この事件については、7人ともが運命共同体」であるという認識に立ち、これを党内権力闘争に利用しない方向性で対策を協議された模様という。

13点で合意も揺らぎ止まらず、「次の火」は?

 合意点として以下が挙げられている。

 ①重要なのは自分たちの陣営の足並みを乱さないこと。外部勢力(この場合は米国?)に世論の鼻先をひきずりまわされてはならない。安定が一切に優先する、特に軍隊の安定が重要である。一切の方法を使って人心の安定をはかる。

 ②軍隊、武装警察、公安は職務を忠実に守り、持ち場を離れず党中央、党中央軍事委に従うこと。税関とネット監督管理部門は対策を強化し、パナマ文書の中国に関わるいかなるものも国内への流入を阻止する。

 ③公安部門は世論への注意を怠らないよう、パナマ文書を利用しようとした事件に警戒すること。群衆事件が起きれば適時に対応し、事態の蔓延を許さないこと。

 ④香港、マカオの連絡弁公室および特区政府と協力し、これを利用しての学生・群衆の街頭活動の扇動を防止すること。解放軍駐留部隊に警戒レベルを上げるよう要求し、香港、マカオの安定を図る。

 ⑤外交部および在外大使館に現地の華人メディア工作強化を行うよう指示し、パナマ文書を海外における反華活動に利用されないようにする。

 ⑥反腐敗キャンペーンを適度に実施し、基層民(農民・労働者)に対する反腐敗宣伝を強化し、庶民には党の反腐敗の立場が不変であることを固く信じさせる。

 ⑦党内ハイレベルの反腐敗キャンペーンの手は緩めない。国際社会に反腐敗キャンペーンの決心に動揺がないことを知らしめる。

 ⑧元中央軍事委副主席の郭伯雄の起訴審理、令計画事件の議事日程などを急ぎ、世論の視線をパナマ文書から逸らす。

 ⑨メディア、特にネットの統制を強化し、パナマ文書に関わる内容を絶対流れないようにする。

 ⑩中央メディアに、中国イメージの再構築をテーマに、多種多様の形式で宣伝報道させる。

 ⑪現役の政治局常務委員の活動報道、退職政治局常務委員たちの退職生活報道を増やし、中国指導者のイメージを再構築する。

 ⑫事態の進展にあわせて、相応の対応を先取りする。

 博聞の報道を信じるなら、習近平の緊張ぶり、うろたえ方は大方の予想を上回っていることだろう。特に、軍の安定、群衆事件への警戒のものすごさは、軍制改革が必ずしも順調でないこと、社会不安が増大していることが背景にあるのだろう。

 中南海消息筋の言葉によれば「習近平がこのように緊張しているのは、最近、党内でアンチ習近平の声が高くなり、“倒習ブーム(習近平引退勧告書簡に見られるアンチ習近平の空気)”とも関わりがある。党内の結束に不安があり、パナマ文書が、アンチ習近平運動の導火線になるかもしれないからだ」という。

 私はパナマ文書の内容そのものよりも、それが政権の根幹を揺るがすまでになり得ると習近平政権が恐れるほど、党内結束が緩み、反習近平の空気が濃くなっていることの方が驚きである。そして、これが中国の疑うように、米国による対中世論戦の発動の一手であるとしたら、続きはまだまだあるのかも知れず、時間が経つにつれ、思いもかけないところから“倒習”世論の火の手があがるかもしれない。

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4/12ZAKZAK 有本香『中国では報道されない「パナマ文書」 人民が驚きも怒りもしないワケ』、高橋洋一『「パナマ文書」流出の衝撃度 租税回避資産は720兆円 政治家糾弾続く』について

前にも小生のブログで述べましたが、パナマ文書は米国のAIIB参加国を標的にしたものという気がしています。キャメロンはその最たるものでしょう。また中国との武力行使なき戦争で基軸通貨国の強み(テロ・マネロン対策の名のもとに、米国と取引するためには各国の銀行情報を米国に知らせる)を存分に活かし、世界に蓄財している人間を知らせ、反米諸国のリーダーの追い落としを図ろうとしているのでは。

4/12テレビ朝日で遠藤誉が「中国のリーダーが外国に投資しているというのは、共産党に未来はないと思っている証拠」と言っていましたがその通りだと思います。散髪していましたので、音だけでしたが。ただ有本氏の言うように、中国人は平然と受け止めるでしょう。上から下に至るまで汚濁に塗れていますので。やはり、経済崩壊させるのがポイントかと思います。

4/12日経電子版では<中国の地銀、相次ぎ上場へ 不良債権処理に備え

【上海=張勇祥】中国の地方銀行が相次いで株式を上海など中国本土の証券取引所に公開する。杭州銀行や上海銀行、貴陽銀行など8行が監督当局である中国証券監督管理委員会(証監会)から株式公開の承認を得たほか、さらに5行が申請手続きに入った。株式の上場を通じて自己資本を積み増し、景気の減速で今後の増加が見込まれる不良債権の処理に備える。

 杭州銀行は年内にも上海証券取引所に株式を公開する見通しだ。ほかに上場を計画しているのは江蘇常熟農村商業銀行や無錫農村商業銀行など、主に農村部で事業を展開する中小銀行。江蘇江陰農村商業銀行のように、深圳証券取引所の中小企業向け市場への上場を検討する例もある。

 総資産が1兆元(約17兆円)に達する上海銀行など一部を除けば、多くの資産規模は数百億元から数千億元で、日本の地方銀行とほぼ同程度だ。現在、中国本土の株式市場には16行が上場しているが、大手・準大手の国有商業銀行がほとんどだ。今後、上場銀行が中堅・中小にまで広がり、国内の保険会社など機関投資家や個人が主な買い手となる見込みだ。

 中国政府の意向も働いている。監督当局が銀行の新規株式公開(IPO)の認可を加速するのは、景気の減速で増加傾向にある不良債権への対応を急ぐ必要があるためだ。中国の銀行の不良債権は2015年末で1兆2744億元と、過去最高の規模を更新した。

 融資全体に占める不良債権の比率は2%弱にとどまるが、「関注類」と呼ぶ不良債権の予備軍を含めると、実態は見かけよりも悪いとの見方は多い。これらの銀行の多くは中国の地方政府や地方政府系の企業が主要な株主に名を連ね、過去に積み上げた採算性の低いインフラ整備事業などが不良債権となっている可能性がある。平安証券の黄輝鋒アナリストは「景気低迷もあり、資本面で圧力を受けている銀行は少なくない」と指摘する。

 中国政府は重工業の設備過剰の解消や利益を出せないゾンビ企業の淘汰を進める方針で、今後、不良債権は一段と増える可能性がある。不良債権処理に伴って財務体力が弱い中堅、中小の地方銀行の経営が揺らげば、金融システム全体に悪影響が及びかねない。このため、中堅・中小の銀行を中心に前もって財務体質の強化に動いた形だ。

 ただ中国当局が株式市場の需給の悪化を懸念し、実際の新規上場のペースを抑える可能性もある。銀行の財務体質の強化がもくろみ通り進むかどうかは不透明さが残る。>とありました。

機関投資家が買うとなっていますが、買う余裕があるかどうか。機関投資家だって不良債権の山になっているのでは。

4/11FT“China looks to capitalise on improved growth signs” Tom Mitchell and Yuan Yang in Beijing

China’s premier pushed for debt-for-equity swaps and more aggressive measures to reduce the burden on struggling local governments as Beijing tries to capitalise on improved indications for economic growth in the first quarter.

Premier Li Keqiang said on Monday that some localities would be allowed to reduce contributions

“Policy measures taken so far have paid off. At the same time, a lot remains to be done to ensure steady growth, advance reform, and achieve further restructuring of the economy,” Mr Li said at a meeting of provincial leaders attended by several of the nation’s top officials.

The remarks were published after data released on Monday showed some easing in China’s producer prices deflation. Last month’s PPI, a key gauge of the woes plaguing China’s industrial and export sectors, dropped 4.3 per cent, easing slightly from a 4.9 per cent drop in February.

Consumer prices rose 2.3 per cent, largely on the back of a sharp jump in pork prices. Non-food inflation remained modest at 1 per cent.

Chinese officials have been scrambling to paint a more optimistic picture of the economy. While recent data suggest there is some stabilisation, international jitters remain over the slowdown and the extent of the government’s commitment towards rebalancing towards consumption.

A fuller picture is set to emerge this week, with the release of trade data on Wednesday, followed by first-quarter economic growth numbers on Friday. China’s economy last year grew at its slowest annual rate in a quarter of a century.

Despite the more positive March figure, PPI remains deep in deflation, according to Zhou Hao, economist with Commerzbank AG. “From the Chinese authorities’ perspective, it is far more important to get rid of [PPI] deflation,” he said.

China’s PPI has been in negative territory since March 2012, a symptom of heavy industrial spending courtesy of Beijing’s Rmb4tn ($618bn) stimulus to counteract the effects of the global financial crisis. The subsequent price deflation in sectors likesteel has rippled around the globe, adding to tensions between Beijing and its two largest trading partners.

Blowback from lower commodity prices compounded the trend, since industrial input costs account for three-quarters of the country’s PPI. But as a large importer of oil and iron ore, China also benefited from the end of the commodity boom as large trade surpluses helped bolster flagging economic growth.

“Today’s data suggest [China’s central bank] will be less aggressive in monetary easing,” said analysts at ANZ Research, who are now predicting just one more cut this year in the level of reserves banks are required to hold. ANZ had previously expected three additional cuts in the reserve requirement ratio by the end of the year.

China’s benchmark stock index, the CSI 300, rose more than 1 per cent on Monday’s inflation data and is up almost 12 per cent since January 28. The renminbi also strengthened against the dollar and has risen almost 2 per cent against the greenback over the past two months.

最初の部分だけ翻訳しますと

<4/11 FT「中国は改善された成長の徴候を利用するように見える」在北京のトム・ミッチェル、ユエン・ヤン

李克強首相は、北京では第 1 四半期の経済成長の改善された数字を利用しようとしているのと同じように、「債務の資本化」を後押しし、地方政府が苦しんでいる債務の重しを減じるため積極的な政策を採った。李首相は月曜日、国のトップ主催で省のリーダー達を集め、「一部の地域は積立金を減じることが許される。今まで採られた政策手段は効果を生んできた。同時に、なすべき沢山のことが残っている。着実な成長を確保し、改革を進める、さらに経済の構造改革を達成すること等」と述べた。>

デッドエクイテイスワップは債権者が損を引き受けることになります。何故なら健全な企業であれば債務は返済できますが、それができないための窮余の一策ですから。債権者は4大銀行=国ですが、国の損は誰が穴埋めするのでしょうか?税を上げても、3経済主体での30兆$もの債務を返済するのはできないでしょう。

有本記事

Xi's struggling from Panama papers

習主席に「パナマ文書」が直撃したが… (AP)

この1週間、世界を席巻しているトピックといえば「パナマ文書」である。史上最大の機密文書漏えいで、アイスランドのグンロイグソン首相は辞任を表明し、英国のキャメロン首相は政治生命の危機を迎えている。  「米国と中国がすでに新たな冷戦に入っている」「しからば日本はどうすべきか」を論じる当連載でも、触れずにいられない大事件である。  民主的な国家では、この種のスキャンダルは政治家にとって命取りになりかねない。だが、独裁国家におけるインパクトは限定的ともみられる。  「パナマ文書」に記載のある世界各国の法人、個人の情報1100万件超のうち、実は、件数が最多なのは中国である。習近平国家主席をはじめ、最高指導部7人のうち3人の親族がタックスヘイブン(租税回避地)に登記された会社の株主に名を連ねていることが、すでに報じられた。  しかし、こうした情報は中国国内では報道されないばかりか、発覚直後、中国のインターネットでは「パナマ」という単語すら検索不可能となってしまった。  筆者は先週、来日していた中国メディア関係者と会う機会があったので、「パナマ文書」についても聞くと、彼は次のように語った。  「報道はないが、多くの国民が『パナマ文書』について知っている。外国と行き来する中国人は多いし、在外の親族や友人から情報を得る人もザラにいる。策を講じて、『壁』(=中国当局によるインターネットの検閲システム)を超え、外国のサイトを見る者も少なくない」

ただ、習氏の親族の件を知っても、中国人はさほど驚いたり怒ったりしないという。日本では「腐敗撲滅キャンペーン」を実施してきた習氏自身が、親族名義で外国に財産を隠していたとなると、国民の怒りが爆発するのではないかと報じられたが、実際はさにあらずと。なぜか? メディア関係者は続けた。  「中国では『汚職をしない政治家や官僚は、この世に1人もいない』という人間界の真理を、皆が知っているからだ。資産を外国に移すことも、程度の差こそあれ、多くの国民がやっている。あなた(筆者)が追及している、中国人が日本の不動産を買いあさっている件も同じことでしょ」  彼は一笑に付しつつ、一方で中国メディアが連日、国内のショッキングな事件報道に力を入れ、「パナマ文書」が大きな話題にならないように陽動作戦を展開していることも明かしてくれた。  中国共産党機関紙「人民日報」傘下の国際情報紙「環球時報」は「『パナマ文書』流出の最大の利得者は米国だ」という趣旨の論説を掲載した。そのまま中国政府の公式見解とはいえず、米国の陰謀というのは早計だとしても、確かに現段階での米国のダメージは意外なほど小さい。まったく的外れな見立てともいえない。「パナマ文書」をめぐる、米中の情報戦の佳境はまさにこれから、であろう。

高橋記事

Cameron

キャメロン英首相も「パナマ文書」をめぐり批判が高まってきた(ロイター)

パナマの法律事務所の内部文書が流出し、世界各国の指導者らがタックスヘイブン(租税回避地)を利用した資産隠しを行った疑惑が浮上している。  パナマの法律事務所は「モサック・フォンセカ」といい、租税回避地への法人設立を代行していたが、その金融取引に関する過去40年分の内部文書が流出した。20万社以上の企業の詳細な情報が含まれているという。企業の関係者として、株主や役員等がいるが、その中には有名な政治家やその親族、著名な資産家が含まれているようだ。  これらの資料は匿名でドイツの新聞社に送られてきたが、情報量は2・6テラバイトとあまりに膨大なために、その分析は80カ国400人のジャーナリストが行ったという。今回出された文書はごく一部であり、今後も各国で分析に加わったジャーナリストによって公表されていくだろう。  「パナマ文書」には、10人以上の現職・元職の各国首相・大統領の名前が出ている。さらに、40カ国以上の政府関係者の親族や友人の名前も記載されているようだ。ロシアのプーチン大統領本人の名前は出ていないが、友人の名前は出ている。中国の習近平国家主席は義兄、英国のキャメロン首相は父、といった具合に各国首脳の関係者の名前も出ている。今のところ、これらの政府関係の情報では日本人の名前は出ていない。米国の関係者も出ていないようだ。

租税回避地の明確な定義はないが、課税が著しく軽減もしくは全くない国・地域である。具体的には、スイス、ケイマン諸島、香港、パナマなどだ。ルクセンブルク、アイルランドや米デラウェア州もタックスヘイブンだという人もいる。

 租税回避地に法人を設立して、その法人との取引を使って、所得・資産を移転させ、課税逃れ・資産隠しを行う。つまり、各種の名目で租税回避地法人に手数料を払う方法などで所得・資産移転を行うわけだ。

 これらはあくまで合法の取引であり、租税回避地という国・地域で課税されないという国家主権を逆手にとって、「脱税」ではなく「節税」をしているというのが表向きの理解だ。

 世界の金融資産のうち8%が租税回避地にあり、その額は6・5兆ドル(720兆円)といわれ、関係国の所得税・相続税の逸失額は年間1500億ドル(約17兆円)という試算もある。

 パナマ文書に関する各国政治家関連の報道を受けて、アイスランド首相は辞任した。これは、パナマ文書の信憑(しんぴょう)性が高いことを意味しており、各国のジャーナリスト魂により火をつけるだろう。中国では、パナマ文書に関してインターネットで検索できず、記事も削除されているという。

 引き続き各国で政治家糾弾報道が出て、世界的な競争になる予感がする。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

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4/8JBプレス 池田信夫『パナマ文書で見えた世界の「地下経済」 タックスヘイブンを動かす闇のからくり』について

本記事で日本企業は10社と書いてありますが、ネット上では、実態はもっと多く29社程名が挙がっています。調べればもっと、出て来るのかもしれませんが。

http://deliciousicecoffee.blog28.fc2.com/blog-entry-6181.html

菅官房長官は「日本は調査しない」と早々にアナウンスしましたが、調査しないことはないと思います。消費税増税を目論む財務省・国税庁が黙って見ているハズがありません。彼らの税のモットーは「公平・中立・簡素」ですので。合法であったとしても、公平性が欠けていれば立法措置を踏まえて、管理強化するでしょう。「租税回避している企業は覚悟しておけ」くらいではないか。

ファイザーがアラガンの買収を中止した上、本社移転も中止しました。米国のFATCAとパナマ文書公表の影響ではないかと思われます。「Tax inversionは許さない」という米政府の強い意志の反映では。

http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye2744037.html

ホセ・ムヒカ前ウルグアイ大統領の出ていたTV「Mr.サンデー」を見ました。「消費の為に自分の大切な時間を潰すのは愚かなこと。好きなことをした方が良い。出来れば何か価値のあるものを残した方が良い。自分の為だけでなく、周りが幸せになるように」との発言は大いに納得するものでした。4度の投獄と銃弾を体に受けたとのこと。本物の人間です。日本の似非インテリの薄っぺらさは微塵もありません。彼は人を集めて正義の実現のために戦うことを主張しています。

http://www.lifehacker.jp/2016/04/160408jose_mujica1.html

同番組で木村太郎は「消費するために働くのではなく、働くこと自体が好きな民族がいると言うのが初めて分かったのでは。認識を新たにしたのでは」というニュアンスのことを言っていました。確かに日本人は西洋の言う“labor”=「労働、苦役」の思いはないと思います。仏教、石門心学から働くことの大切さは日本人のDNAに刷り込まれています。

ムヒカ前大統領は宮根MCの「パナマ文書についてどう思うか?」との問いに、「政治家は儲けたいんだったら商売すれば良い。政治家になるべきでない」と明言。アイスランド首相やウクライナ大統領は合法であっても政治家失格でしょう。国民が経済的苦境にある中で私腹を肥やすとは。ヤツェニュク・ウクライナ首相も辞任しました。パナマ文書に名前が挙がっているのかも?

http://blog.goo.ne.jp/ns-japan/e/c2040c9e8c0b2f0001278f419b123a26

グンロイグソン首相はシグルザルドッティル首相の後を継ぎ、4/7でヨハンソン首相に交代しました。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%82%A4%E3%82%B9%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%89%E3%81%AE%E9%A6%96%E7%9B%B8

記事

Mossack Fonseca

パナマの首都パナマ市にある、法律事務所モサック・フォンセカが入るビル(2016年4月4日撮影)。(c)AFP/RODRIGO ARANGUA〔AFPBB News

 パナマの法律事務所モサック・フォンセカから漏洩した機密ファイルが、世界を震撼させている。「パナマ文書」と呼ばれるこの文書は、タックスヘイブン(租税回避地)であるパナマで税務処理を行なってきた「モサック・フォンセカ」が過去40年にわたって扱ってきた膨大な税務情報だ。

 南ドイツ新聞が入手し、国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)が4月3日に発表したところによると、そのデータ量は2.6テラバイト、1万4000の金融機関とそのクライアント21万4500社の税務情報が記載されているという。ウィキリークスやスノーデンのファイルより質量ともにはるかに大きく、インパクトも強烈だ。

ケイマン諸島で見たタックスヘイブンの実態

 タックスヘイブンというと、実態のないペーパーカンパニーだと思う人が多いだろうが、私はその本拠地として有名なケイマン諸島に行ったことがある。1995年にインターネット上で営業していた銀行が姿をくらまし、その所在地がケイマンということになっていたので取材したのだ。

 広さは淡路島ぐらいで、空港のあたりは椰子の木しかない熱帯の島なのだが、高速道路で中心部に入ると、風景が一変する。高層ビルが林立し、それもシティバンクやバークレーズなど、世界の一流銀行ばかり。問題のネット銀行も堂々たる社屋があったが、無人だった。

 その銀行に預金をだまし取られた企業の北米本社もケイマン諸島にあったので、たずねてみた。たしかにそのビルは存在し、受付に聞くと会社もそこに登記されている。だが、調べてみると3階建てぐらいのビルに1500社も入居している。それも多くは北米本社とか世界本社としてケイマンで法人税(ほぼゼロ)を払っているが、従業員は受付しかいない。

 一応ケイマンにも大蔵省はあるのだが、日本の税務署より小さな建物で、スタッフも数十人。問題の企業についての税務資料を出してくれというと、出てきたのは10ページぐらいの簡単な財務資料だけで、ここ10年の売り上げや利益ぐらいしか書いてない。

 税率は実質ゼロなので、財務内容を知る必要がないのだ。それでもケイマンは豊かだ。これだけ多くの銀行があれば、彼らの落とす金だけで小さな島は十分やっていける。一応主権国家なので、他国がケイマンの税率に介入できない。

 こんな小さな島に数千の「プライベートバンク」と称する金融機関があるが、その財務内容は “CONFIDENTIAL”としか書いてない。電話番号はあるが、電話しても「顧客の秘密を守ることが当社の使命だ」としか答えない。

地下経済を支配する英米の金融資本

 不可解なのは、世界の企業や大富豪が、こんな小さな島の電話しかない「銀行」に何億ドルも預金するのはなぜかということだ。

 その答は、現地の弁護士が教えてくれた。「実際にはそんな銀行は存在しない。キャッシュもケイマンにはないんだよ」。実際の取引が行なわれているのは、ニューヨークのウォール街とロンドンのシティのコンピューターネットワークで、「デリバティブ」と称する金融商品でケイマンの証券のようにみせているのだ。

 だからケイマンの金融機関の経営者にも、シティの銀行を退職した貴族や大蔵省OBなど、シティの関係者が多い。もとはイギリスの植民地だったので当然だが、正体不明の銀行の多くはシティのダミー会社であり、プーチンや習近平の親族の資産も、実際には英米の投資銀行にあるのだ。

 タックスヘイブン自体は違法ではないが、アップルの海外法人がこういう仕組みを利用して利益の1.8%しか納税していないことが議会で批判を浴びた。また、こういう銀行に預けられるのは犯罪や汚職などによって得られた資金のマネーロンダリング(資金洗浄)であることが多い。

 アメリカ政府も2001年の9・11の後、ブッシュ大統領がアルカイダの資金が隠されているという理由でケイマン諸島の銀行を摘発したが、失敗に終わった。タックスヘイブンの実態はコンピューターネットワークであり、最近では匿名の「ビットコイン」のような仮想通貨を使えば、タックスヘイブンも必要ない。

 世界の金融資産の1割は、こういうタックスヘイブンに隠された「地下経済」にあると推定されている。その最大の原因は、法人税を利益に課税した上に、その残りの配当にも所得税を課税する二重課税だからであり、法人税を廃止すれば租税回避はかなり減るだろう。

 タックスヘイブンが麻薬の売買や汚職の蓄財に使われていることも事実だが、問題はそういう犯罪であって租税回避ではない。公共サービスを受けている人が税を負担しないと、財政が支えられなくなるが、これを警察や税務署が摘発するのは限界がある。

 現実的な方法は、固定資産のような逃げられない資産に課税することと、消費税を増税することだ。所得税は捕捉しにくく回避しやすいが、消費は隠すことができない。ケイマン諸島に資産をもっている大富豪も、金を使うのは自国なので、そこで課税すればよい。

アジアの政治情勢にも影響か

 問題はパナマ文書の信憑性だが、アイスランドのグンロイグソン首相は、この中に本人名義の口座が発見されて辞任したので、その信憑性は高い。他にもロシアのプーチン大統領や中国の習近平国家主席の親族の名前も出ており、これが事実だとすれば、問題は単なる租税回避にはとどまらない。

 タックスヘイブンには、ソ連が解体したとき国有財産を横領した「ロシアマフィア」の資金が大量にあるといわれ、プーチン自身がそういう「新興財閥」を資金源にしてのし上がってきた人物であり、海外資産の大部分はそういう犯罪による所得を隠した脱税と考えられる。

 しかし彼の場合にはロシアマフィア全体が泥棒集団であり、プーチンひとりの問題ではないので、全容が分からない。政敵も「消される」ので、有力な対抗勢力が少なく、摘発する司法当局も彼の支配下にあるので、政権への影響は限定的だろう。

 問題は中国である。パナマ文書を伝えるNHKニュースは、中国では放送が中断されたが、これは習近平の名前が出ることを恐れたためと思われる。中国では伝統的に、高級官僚は賄賂で蓄財して一族を養うことが義務とされているので、叩けば誰でも埃は出てくる。

 逆にいうと、スキャンダルが表面化したときが政治生命の終わりだ。習近平の有力なライバルだった薄煕来(元重慶市長)は、妻の殺人と海外蓄財の容疑で起訴されて無期懲役になったが、彼より巨額の隠し資産が報じられた温家宝はおとがめなしだった。

 習近平は国家主席と共産党総書記と軍事委員会主席を兼務し、かつてない権力を集中しているといわれるが、その権力基盤は意外に脆い。江沢民元国家主席を中心とする「上海グループ(上海閥)」がまだ実権をもち、党内抗争が絶えない。

 いま習近平は経済危機の中で政治的に追い込まれ、「虎も蠅も退治する」と銘打って反腐敗闘争を展開している。その実態は上海グループの排除だが、最大の虎が習だとなると政変になる可能性もある。これは東アジアの軍事情勢を不安定化するおそれがある。

 パナマで起こった情報漏洩は、世界経済を揺るがすだけでなく、国際政治にも大きな影響を与えるおそれがある。パナマ文書に出てくる日本企業は10社しかないが、これは対岸の火事ではないのだ。

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4/8日経ビジネスオンライン 池田元博『強気を撤回?融和姿勢強めるプーチンの本音 EUの制裁緩和に躍起?』について

4/10日経には池田元博氏の「ロシアと中国にすきま風」の記事が載っていました。ロシアは原油・ガス価格が上がらなければ、国家財政が危殆に瀕すと思われます。日本にも擦り寄ってきている感がありますので、オバマが何を言おうとプーチンと会えば良いでしょう。ただ、領土問題の解決は一気に解決は難しく、大々的な経済支援も契約を反故にされたサハリンⅡや米国とのことを考えると、難しい面があります。しかし、中国包囲網に参加して貰うのを一番の目的とすれば良い。日本も中国が天安門事件で欧米の経済制裁を最初に解除したことがあるのだから、ロシアをそこそこ助けることはできます。敵(中国)の敵(ロシア)は味方です。プーチンも中国の交渉術には値を上げている様子。4/10日経記事によると、「2014年11月には中ロ首脳立会の下、ロスネフチと中国石油天然気集団(CNPC)がバンコール油田の10%の権益を売買する覚書を交わした。ところが最終合意に至らず、ロシアはついに中国を見限ってインドに靡いたわけだ」とありました。

ポロシェンコ・ウクライナ大統領と会い、2000億円も供与するという事はロシアから見れば敵対行為かもしれませんが、羨ましくも思っているはず。ポロシェンコ大統領はパナマ文書に名前が挙がっていますので、用途のチエックをしないと死に金になりますし、その金でロシアとの妥協も働きかけなければ。ミンスク合意での、親ロシア派が支配する東部地域への自治権付与や地方選挙の実施に必要な憲法改正をするよう圧力をかけてほしい。パナマ文書に名前が出たことで圧力はかけやすくなったのでは。そうすれば、ロシアを助けることにもなります。

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/48389

ロシアも中国と日本を比べてどちらが信頼するに足るか気が付いたのでは。シベリアには合法・非合法に関係なく中国人が沢山入り込んできていると言われています。中国人の発想は他人のものは自分のもの、自分のものは俺のものと言う発想ですから。2011年には、ブータンの国土の2割が既に中国に奪われてしまったと河添恵子氏が言っていました。何もしなければゴキブリのように繁殖してきます。南シナ海の九段線も。歯止めが必要です。

記事

原油安に加え、ウクライナ危機に伴う欧米の経済制裁に苦しむロシアが西側との関係改善に躍起となっている。シリア和平への積極関与もしかり。政権が狙っているのは、7月末に期限を迎える欧州連合(EU)の対ロ制裁解除だ。

 およそ50カ国の首脳らが一堂に会し、米ワシントンで先に開かれた核安全保障サミット。「核なき世界」を唱えたオバマ大統領の〝総決算〟ともいえる国際会合だったが、本来はこの種の会合で主役級を務めるはずの、ある首脳の姿がなかった。米国と並ぶ核超大国、ロシアのプーチン大統領である。

オバマ政権への嫌がらせ?

 米ロ関係は2年前の2014年春、ロシアによるウクライナ領クリミア半島の併合とウクライナ東部への軍事介入をきっかけに、「新冷戦」と言われるほど冷え込んだ。今回の核安保サミットへの参加拒否も、ロシアに冷淡なオバマ政権への嫌がらせとみるのが自然だが、真相はやや異なる。

 実は、ロシアがこのサミットへのプーチン大統領の「欠席」を米側に通告したのは、1年半も前の14年10月のことだ。米ロ対立が頂点に達していた時期で、翌11月にはロシア外務省がわざわざ欠席を通告した事実を公表、米国との対決姿勢をあおったほどだ。まさに当時としては嫌がらせだったわけだが、その後のロシアの対米姿勢の微妙な変化を踏まえれば、早々と「欠席」を公表してしまった以上、今さら撤回しても外交的メンツが潰れてしまうというのが本音だったのではないか。

 というのも米ロ関係はなお冷え込んだままとはいえ、外交面では昨年来、イランの核合意、シリアの化学兵器の廃棄完了など米ロ協調の成果が相次いでいたからだ。なかでも今年2月末、米ロ首脳の呼びかけで実現したシリアの一時停戦は、3月の和平協議再開につながった。

Putin

シリアに展開していたロシア軍部隊の撤退について演説するプーチン大統領(Sputnik/Kremlin/ロイター/アフロ)

 プーチン大統領はその和平協議再開のタイミングを見計らったように、昨年9月末からシリアに展開していたロシア軍部隊の撤退も命じた。欧米からの批判も根強かったシリア空爆から手を引くことで、西側との融和を演出する方向に舵(かじ)を切ったともいえる。その流れをさらに生かそうとすれば、今回の核安保サミットも出席したほうが外交的な利点は大きかったのかもしれない。

GDP3.7%ダウン――苦境に立たされるロシア経済

 では、ここにきてロシアが西側との関係を軌道修正し始めた理由は何か。狙っているのはやはり、ウクライナ危機を機に米欧がロシアに科している厳しい経済制裁の緩和だろう。

 ロシア経済は原油安に加え、制裁の打撃で苦境に立たされているからだ。昨年の国内総生産(GDP)成長率はマイナス3.7%に落ち込んだ。できるだけ早く、制裁を緩和してほしいというのが本音だろう。

Russian GDP

 もちろん、シリア情勢とウクライナ危機は別問題だ。先月下旬、モスクワを訪れプーチン大統領、ラブロフ外相と会談したケリー米国務長官は対ロ制裁について、ウクライナ東部の和平プロセスを規定した「ミンスク合意」がすべて履行されれば、「制裁を緩和するというオバマ大統領の約束を厳守する」と表明した。

 米国はミンスク和平プロセスに直接関与しておらず、この合意を順守しないのはロシアだと一方的に決めつける傾向が強い。米国の制裁緩和が容易でないことはロシアも分かっている。制裁問題でロシアが注視しているのはむしろ、欧州連合(EU)の動向だ。

 EUの主要国であるドイツとフランスはミンスク合意に直接関与した。EUも米国同様、ミンスク合意の履行を制裁緩和の条件としているものの、米国ほど対ロ姿勢は強硬ではない。

 ロシア、ウクライナと距離的に近いこともあって、合意の履行が進まないのはロシアだけの責任ではなく、ウクライナ側にも非があると認識している。たとえばミンスク合意は、親ロシア派が支配する東部地域への自治権付与や地方選挙の実施などを規定しているが、ウクライナのポロシェンコ政権はそのために必要な憲法改正をいまだに実現できていない。

 さらに経済の絆が希薄な米ロと違い、EUとロシアの経済のつながりは非常に深い。EUは石油や天然ガスの対ロ依存も高く、EU加盟国の中でも対ロ制裁に否定的な国は少なくない。

独外相への対応ににじむ切実なアピール

 そのEUはこれまで、米国とともに数次にわたって対ロ制裁を発動し、半年ごとに延長してきている。このうち、金融取引や石油分野の技術供与の制限などを盛り込んだ最も厳しい制裁は7月末に期限を迎える。EUは6月中にも延長するかどうかを決める見通しだが、ロシアはまさに、この制裁の撤回や緩和をもくろんでいるようだ。

 折からロシアが対抗措置として14年8月に導入し、延長している欧米の農産物・食料品の禁輸措置も6月末をメドに再延長するかどうかを判断する見通しだ。EUが制裁を緩和すれば、欧州製品の禁輸措置は撤回する腹積もりなのだろう。もちろん、プーチン政権は制裁緩和を公に要請しているわけではないが、EUを何とか懐柔したいという思惑は随所に垣間見える。

 一例は先月下旬、ケリー米国務長官に先だって訪ロした、ドイツのシュタインマイヤー外相への対応だ。独外相はプーチン大統領、ラブロフ外相とともに、経済を統括するメドベージェフ首相とも会談した。そのメドベージェフ首相は独外相との会談の直前、ロシアの政府系投資ファンド「ロシア直接投資基金」のキリル・ドミトリエフ総裁を呼んで協議し、その内容を公表した。

ドミトリエフ総裁「欧州の投資家やビジネス界は制裁に強く反対している。彼らは、政府が6月にも対ロ制裁を緩和するのではないかと期待している」

メドベージェフ首相「もし彼ら(EU)が賢明な決断をすれば、我々はもちろんあらゆる分野で協力を拡大する用意がある」

 明らかにドイツ向けの発言といえるだろう。

 当のメドベージェフ首相は今年2月、ミュンヘン安全保障会議に参加した際にも、ユーロニュースのインタビューで「我々は米国ともEUとも良好で実のある関係になりたい。とくにEUは最も重要な貿易パートナーだ」と指摘。対ロ制裁とロシアの報復措置についても「互いに利益を失うだけ」とし、制裁を先に発動したEU側に「我々はこの日をもってやめるから、あなたたち(ロシア)も対抗措置をやめてほしいと勇気をもって言うべきではないか」と呼びかけ、早期の制裁解除を暗に求めた経緯もある。

「幅広く協調する用意がある」

 傍証をもうひとつ。ラブロフ外相が今年3月、ロシアの外交専門誌「グローバル政治の中のロシア」に寄稿した論文だ。

 「ロシア外交の歴史的展望」と題したもので、キエフ・ルーシ(キエフ公国)がギリシャ正教を導入した988年以来の歴史を振り返りつつ、「常用されるテーゼとして、ロシアは常に欧州の裏庭で、欧州政治のアウトサイダーだったといわれるが、これは史実からは確認できない」と断じた。

 論文はさらに、近年も東西冷戦の崩壊後には「欧州の分裂を決定的に克服し、『欧州共通の家』という夢を実現する現実的なチャンスが芽生えた」と指摘。ロシアも前向きに取り組み、多くの提案をし、主導的役割を果たそうとしたとしている。ところが、「残念ながら西側のパートナーたちは別の道を歩み、北大西洋条約機構(NATO)の東方拡大を選択した」と続く。

 NATO批判の論調は相変わらずだが、結論として繰り返し強調しているのは「我々は米国やEU、NATOと対立するつもりはない。ロシアは西側のパートナーたちと幅広く協調する用意がある」ということだ。この点は目を引く。同論文もやはり西側、とくにEUを意識した融和のアピールとみていい。

 EUの制裁緩和を水面下で画策するロシア。当面は6、7月を照準に、欧州への揺さぶりを本格化させていくだろう。

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